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#イスラエルの軍事シミュレーション
ari0921 · 3 months
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和六年(2024)1月7日(日曜日)
   通巻第8083号 
 昨年のウォール街上場で新記録8兆円はエヌビディア
  中国向け半導体製造装置の輸出が不許可。株式下落
*************************
 2023年10月にエヌビディアは高度AI用半導体の中国向け輸出規制について、対象となるのはAI用半導体「A800」と「H800」が含まれるとしていた。米商務省の新規制ではゲーム用半導体「RTX4090」も禁輸対象となった。
 11月にエヌビディアは「AI用半導体は商業向けであり、中国にAI用半導体を販売することは合法、販売する予定である」と楽観的だった。
これらのAI用半導体は中国のアリババ、TikTokの親会社バイトダンス、百度(バイドゥ)などが、すでに2024年分として50億ドルを発注していた。この大商いが政治の風圧で飛ばされた。
 エヌビディアは、「画像処理半導体(GPU)を使用した先端AIコンピューティングシステムが不許可となったため、他の顧客に振り向ける必要があるのだが、(バイデン政権の政策により)米国産業の競争機会を永久に奪われる。将来の悪影響は避けられない」と不満を表明した。
 米商務省は輸出不許可理由を「当該品は最も洗練された、最も処理能力の高い半導体だからだ。こうした最先端の半導体を輸出してしまうと中国は最先端モデルの訓練が可能になる」との懸念を表明した。
 一方、米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は12月6日に人工知能(AI)向けのアクセラレーター新製品(MI300)を発表した。エヌビディアが席巻していた市場にライバル製品の登場となった。CEOのリサ・スー女史(彼女は台湾人)は「AI半導体業界は今後4年間で4000億ドルを超える」と大胆な予想を展開した。
MI300の採用を予定しているのはマイクロソフトやオラクル、メタ・プラットフォームズが含まれる。
余談だが、人工知能(AI)と「人間の知能」とが「偶会」した。AMDのリサ・スーはシリコンバレーで伝説化した才女だが、日本の将棋のチャンピオン藤井聡太がスー女史との会見を望んでいた。
「?」。じつは藤井叡王はAMDの新型パソコンを自作し、「AI将棋ソフト」によって勝負局面の解析や対局シミュレーションを行ない、勝負能力強化を図ってきたのだ。AMD製品の活用で次々とタイトルに挑戦し続けてきたわけで、2022年にはAMDのブランド広告に藤井が起用された。スー女史は来日時に、藤井の誕生日に合わせて会談を設定した。
▼なぜアメリカは台湾半導体企業を警戒するのか
日本でも波乱の一幕があった。西村産業相は「エヌビディアCEOの黄仁勲(「ジェンスン・フアン=台湾人)から、日本における研究開発拠点の設置の意向が示された」と記者会見で披露した。大規模言語モデルに加えて、ロボティクスの分野でエヌビディアはモデル開発に期待しているという。
エヌビディアが日本と組みたいのはスパコンなど日本が優位を誇る技術との連携で、とくに産業技術総合研究所との連携強化に狙いがある。産総研はエヌビディアからGPU(画像処理半導体)の供給を受けてきた。
 米大手のインテルやマイクロンはバイデン政権の意向に逆らって中国国内で半導体生産を継続している。そのうえラボを設営しており、米商務省の規制には反対の声をあげてきた。
 またTSMCはアリゾナ州に進出するものの、次世代AIは、「台湾で製造する」と言明しており、エヌビディアも先端ラボは台湾で設立するなどの動きをみせている。これらの動きは米国の神経を逆撫でしている。
 懸念する理由ははっきりしている。
 第一にハイテク情報、とくに台湾から中国へ最先端技術の機密漏洩が連続していること。中国のSMICはそもそも台湾TSMCにいた台湾人エンジニア数百人が大陸に渡って仕上げたのだ。
 第二に台湾軍人の軍事機密漏洩がつぎつぎの明るみに出たことだ。
中国は台湾総統選挙に向けてスパイ気球を1月6日までに17個も飛翔させ、武威、威嚇をしめしつつ、裏面では破壊工作に余念が無い。米国は台湾軍高官等の機密売買の実態を把握しており、このため高性能武器の台湾供与を遅らせてきた。
 第三にファーウェイのL540ノートブックがSMIC製造の半導体使用ではなく、TSMCの5ナノ半導体「Kirin 9006Cプロセッサ」だったことがカナダの研究所のモデル解体解析調査で判明した。
 ただしファーウェイのスマートフォン「Mate 60」は、中国製の7ナノ相当の半導体だった。これらは台湾人エンジニアが協力し、中国の技術的独立推進に貢献していた。
 第四に中国に工場を持つ台湾企業の従業員らの心理と背信である。また眼に見えないスパイ工作が台湾で進んでいることも米国に疑念を抱かせる。
 台湾当局は5日、暗号資産を利用して中国から資金提供を受け、選挙活動を行っていた女性候補を反浸透法違反容疑で拘束した。この女性候補は桃園から立候補した馬治薇。彼女は23年に中国の対台湾工作部門の人物から選挙に立候補して選挙関連の情報を渡す見返りに暗号通貨などで470万円を受け取った。
馬は台湾民衆党からの立候補を目論んだものの中国との関係に問題があるとして、同党は推薦せず、無所属での出馬となっていた。
 ▼中国SMICが大量生産に突入する
 2024年の世界の半導体市場を展望すると、6%以上の成長が見込まれている。とくに中国の飛躍が予測されている。
現在も世界の半導体の30%は中国が買っている。
半導体生産は80%がアジア、それも中国、台湾、韓国、日本に集中している。米国の生産は世界の10%、欧州は9%。だから欧米の焦りは並大抵ではなく、WTOが規制する政府補助金をつけて、半導体企業の誘致に余念が無い。ドイツも99億ユーロを補助して半導体企業の誘致をきめた。
 インテルはインドとイスラエル、とくに後者には250億ドルを投資し、イスラエル政府は32億ドルの補助金支出をきめた。
 TSMCはアリゾナに新工場を建設中だが、建設労働者不足と労組の反対運動のため、工期が大幅に遅れている。日本のラピダスは千歳で工場建設は予定通り、TSMCの熊本工場も建設は順調という。
 中国のSMICは24年度中に新工場を42ヶ所つくると豪語している。SMICは汎用28ナノ半導体の大量生産をはかり、EVならびにAI向けとする。
 業界がおそれるのは、いきなりの大量生産により中国のダンピング攻勢で世界の半導体市場が攪乱されかねない懼れである。
なぜなら中国は国内消費者に中国製を買えとキャンペーンを張るうえに補助金をつけるからだ。
風力発電、太陽光パネル、そして現在のEV自動車の世界への殴り込み、その遣り方、その世界市場独占への道のりを考察すれば、中国の次の一手がみえてくる。
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reportsofawartime · 4 months
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これは重要。注意してください。 米国政府がウクライナに対して行ったことは許されない。 ナチスとCIA狙撃兵の援助による2014年のクーデター、終わりのないプロパガンダと嘘、ミンスク協定違反、ドンバスでの1万5千人以上のロシア系住民の殺害、モスクワから400キロ離れたところに核搭載可能なミサイルを配備する計画によるNATO拡大によるロシアとの戦争誘発、ロシアの撤退警告を傲慢にも無視し、ロシアが「いわれのない」ウクライナ侵攻に驚いたふりをし、国際テロ行為としてノルドストリームのパイプラインを爆破し、「政権交代」を強制するためにロシアに対して数千件の制裁を発動し(失敗に終わった)、融資でウクライナを破産させた。そして、ウクライナ経済を破壊し、米国の税源を剥奪し、古くて効果のない武器備蓄をウクライナに送った軍産複合体に支払いをすることで、何百万人ものウクライナ人をヨーロッパに��亡させ、ウクライナに「必要な限り揺るぎない支援」を誤って約束した。 」とロシアとの和平協定を阻止し、米国の代理戦争で60万人以上のウクライナ人を死亡させ、ウクライナ領土の20%と10兆ドル以上の証明された天然資源をロシアに失い、西側の主流メディアをコントロールし、虚偽の主張で世界に嘘をついた。ウクライナが勝利し、ロシアが崩壊しようとしており、EUの政治家を売国奴らの操り人形として利用し、決して再選には勝てない、ヨーロッパの産業空洞化、アメリカへの不当な補助金でガス依存産業を誘惑し、EUの納税者に120以上の損害を与えている、と。アメリカの代理戦争に資金を提供し、EUに将来数兆ドルの経済損失をもたらしたこと、第二次世界大戦でソ連がアドルフ・ヒトラーを阻止するために2700万人を犠牲にした後、ドイツにロシア人を殺すための戦車を派遣させたこと、西側の資金提供を受けたプーチン大統領を戦争犯罪で告発したことで数十億ドルを支払ったこと国際刑事裁判所に提訴し、その後、イスラエルによるパレスチナ民間人に対する実際の大量虐殺を支持し、国防総省の戦争シミュレーションがゴミだと認める代わりに反撃の失敗をウクライナのせいにし、平和と中立のウクライナがロシアの勝利となるため外交を妨害し、バイデンの政権を破壊した。再選の可能性、ウクライナ経由で米国とウクライナの政治家への資金洗浄、リストは続くon. 米国政府が新型コロナウイルス感染症と安全でないワクチンの開発に資金を提供して殺害した何百万人もの人々について、私に話をさせないでください。 あなたは米国政府と、あらゆる政党、司法機関、ビッグテクノロジーの政治家を支配する米国ディープステートを支持していますか? あなたは国防総省のプロパガンダメディア、米国の検閲機関、そしてあなたに関するあらゆるデータを常に収集しているファイブアイズ大量監視体制を支持していますか? あなたは米国主導の NATO 戦争機構、意図的な混乱、世界的な欺瞞と大量殺人を支持していますか? 第二次世界大戦以来、米国政府が被害国37か国で2,000万人以上を殺害したことをご存知ですか?これには制裁や新型コロナウイルス感染症による死者は含まれていない。 あなたの国と政治家は、終わりのない米国の戦争、窃盗、人道に対する犯罪を支持していますか? ウクライナで起きたことは、皆さんへの警鐘です。これは、悪者とその腐敗したシステムに対して立ち上がる最後のチャンスかもしれません。間もなく
@Xと
@elonmuskは検閲に従うか破棄されることになるため、インターネットの匿名コーナーでこのような投稿を探す必要があります。 もしあなたが行動を起こさなければ、第三次世界大戦が起こる可能性が高く、人類の99%が消滅するでしょう。これは恐怖を煽るものではありません。なぜ米国がロシアとの代理戦争を始めたのかを理解する必要があります。 もし米国政府がロシアと中国が先導する多極化秩序の拡大や国際貿易の脱ドル化を阻止できなければ、米国は単に崩壊するだろう。米国を利用する他国の背中で紙幣を刷ることができなくなるからである。基軸通貨としてのドル。 市場をポンジスキームに変え、持続不可能で急速に増大する債務負担を管理する米国政府にとって、数兆ドルを印刷することが存続を維持する唯一の方法だった。そんな日も残りわずかだ。
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ari0921 · 6 months
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我が国の未来を見通す(90)
『強靭な国家』を造る(27)
「強靭な国家」を目指して何をすべきか(その17)
宗像久男(元陸将)
─────────────────────
□はじめに
 
 パレスチナ情勢については、10月22日、日本
を除くG7の6カ国からイスラエルの自衛権を支持
する一方でガザの民間人の人道支援を求める共同声
明が出されるなど、人道支援要求の世論、それにイ
スラエル国内の人質解放優先世論の力、それに欧米
首脳などの説得工作などが功を奏して、イスラエル
の本格的な地上攻撃開始は、当初計画よりかなり遅
れているようです。
イスラエルの歴史からすると珍しい決断だったと考
えますが、それだけ、今回のガザ地区への地上攻撃
の持つ意味がこれまでとは違ってきている証拠でも
あるのでしょう。極めつけが、24日、国連安保理
の場で、米国ブリンケン国務長官の「人道目的の一
時停戦が検討されなくてはならない」との発言でし
た。
一方、グテーレス国連事務総長がイスラエルのパレ
スチナ占領を批判する発言をしたり、いつもながら、
国連安保理が決議案を否決しあう形で“機能不全”
に陥っているなど、イスラエルの国連不信が限界に
達しているように見えます。イランを含むアラブ諸
国自体も反イスラエルという立場で必ずしも一枚板
ではないようなので、今後も、状況は刻々変わって
くることから、安易な予測は禁物でしょう。
その上で想像するに、イスラエルは、いかに人質解
放をするか、そして500キロに及ぼうとする地下
トンネルをいかに(できれば民間人に被害を与えな
い方法で)攻略するか、その作戦を練って、その上
で一部限定的な作戦を遂行しているのでしょう。
また、地上攻撃の代わりなのか、連日激しい空爆が
繰り返されていますが、それによる民間人犠牲者の
6割は、避難先であるガザ地区南部だったとの報道
もあります。国連事務総長のような発言もイスラエ
ルを追い込むだけで逆効果だと思いますが、無差別
に近い空爆もイスラエルが自らの首を絞める結果と
なって、やがて自制心のタガが外れ、“後に引けな
くなる”ことが懸念されます。
数年前、ベトナムを旅行した際、ベトナム戦争時に
使用されたサイゴン(現ホーチミン)市西側に広が
る巨大な地下施設「クチトンネル」を見学し、その
巧妙な造りに驚いたことがあります。アメリカは、
空から枯葉剤を含む絨毯(じゅうたん)爆撃を繰り
返しても攻略できず、ついには南ベトナムから撤退
する結果になったのでした。
「クチトンネル」は総延長約250キロといわれて
いましたが、その倍ほどの長さに及び、映像を見る
限り、長い時間をかけて極めて堅固に建造されてい
る地下トンネルを実際に攻略しようとすれば、多大
な時間を要し、犠牲者も半端でないことでしょう。
イスラエルが保有する最新の軍事技術をどのように
駆使するのかを含め、(不謹慎ではありますが)注
目しています。
ところで、今回のG6声明から外された我が国は、
文字通り“孤立国”になってしまいました。23日
の岸田首相の所信表明演説において、「経済」を連
呼する中での「人間の尊厳」とか「核兵器のない世
界」などの発言は、もちろん、理想であり、間違っ
てはいないとは思いますが、いかにも“空虚”に聞
こえるのは私だけでしょうか。
▼「国家戦略」をだれが作るか
 
いよいよ「国家戦略」指針の私案を提示したいと考
えますが、その前に、「国家戦略」を誰がつくるの
か、について一案を提言したいと考えます。
戦前の歴史を勉強しない人、あるいは軍国主義など
といって昭和の軍人たちにその責任を負わせること
のみを追求している歴史家たちには到底信じられな
いことだろうと思いますが、歴史をつぶさに学べば、
戦前の我が国の方が、現在よりはるかにダイナミッ
クで柔軟な国家運営をしていたことがわかります。
その典型的な組織が「陸軍省戦争経済研究班」(通
称「秋丸機関」と呼称)でした。少し補足しますと、
第1次世界大戦の頃から、戦争は単に軍事力だけで
はなく、経済、産業、教育、宣伝など「国力」のす
べてをもって遂行される「国家総力戦」の様相を呈
し、当時、欧州において身をもってその体験をした
永田鉄山あたりはその必要性を声高に唱えていまし
た(永田は陸軍の抗争の犠牲となって殺害されまし
た)。
この流れをうけて、我が国の経済力がないことを知
っていた陸軍は、日本における総力戦の実態と戦争
遂行の可能性などを研究するため、昭和14年春、
当時の我が国の最高頭脳を集めた本格的なシンクタ
ン「陸軍省戦争経済研究班」をスタートさせたので
す。
設立を提唱したのは、当時の政府や陸軍の首脳では
なく、「陸軍中野学校」の設立者、戦後は京都産業
大学の設立者として名を馳せた岩畔豪雄(いわくろ・
ひでお)大佐でした。このあたりにも目を見張る
ものがありますが、岩畔は、そのトップに、(軍政
とか作戦畑ではなく)経理畑の俊才、当時まだ41
歳の秋丸次朗中佐を指名し、組織造りを含めて全権
を委任しました。
秋丸は、実質的な研究リーダーとして、治安維持法
違反で検挙され保釈中の身であった東大経済学部助
教授のマルクス経済学者・有沢広巳を招きました。
それ以外に大学教授、企画院・外務省・農林省・文
部省などの少壮官僚、さらには民間企業・業界団体・
金融機関・民間調査機関・研究所などの精鋭たち
を集めて総勢200名程度の組織を作り上げて、昭
和16年まで約2年間、多士多才のメンバーをもっ
て様々な角度から研究に没頭したのです。
研究成果の細部は省略しますが、本研究班が導いた
開戦に至るシミュレーションについては、当時、東
條英機首相や杉山元参謀総長などとも共有しており、
その研究成果は、昭和16年11月15日に開催さ
れた大本営政府連絡会議で「対米英蘭蒋戦争終末促
進に関する腹案」(「腹案」と呼称)として決定さ
れたのでした。
私自身は、この「腹案」のような戦いを遂行してお
れば大東亜戦争はまた違った結果になったと考えて
いますが、「腹案」と実際の戦いはかなり違ってし
まいました。その原因も分かっていますが、ここで
は省略しましょう。
ここで問いかけたいのは、今の日本に、「国家戦略」
のような重要案件を策定するために、「秋丸機関」
のようなシンクタンクを作り、少壮の官僚、学者、
自衛官、民間企業人などの精鋭を一堂に会して時間
をかけて研究させるようなダイナミズムがあるだろ
うかということです。
私は、ここにあえて政治家を加えませんでしたが、
国の重要なテーマについて、いつも“専門家や官僚
に丸投げして足れり”として自ら問題意識も持たず、
必要性も感じず、学ぼうとしないような人たちは
“最初から戦力にならない”と思って外しただけで、
適任者がおられたら、当然、シンクタンクのリーダ
ー格になっていただくことを拒むものではありませ
ん。
一つだけ注文を付けるとすれば、「秋丸機関」の設
立に尽力した岩畔大佐のごとく、力のある政治家な
どでこのようなシンクタンクを作る必要性を唱える
人(たち)は、シンクタンク設立のために奔走し、
必要な基盤や経費は提供しても、当初から口を出す
のは厳に慎み、「若い世代に託す」ことが重要と考
えます。官民を含む各界には、若くても優秀でかつ
柔軟性があり、物事の本質を的確に見極めることが
できる優秀な人たちがたくさんおられると確信しま
す。
なお、前回紹介した『日本戦略論』(鎌田徹著)で
は、「戦略国家になるための人づくり」を提唱して
いますが、だいぶ時が経ったこともあり、残念なが
ら、今はそのような“時間的余裕”はないと考えま
す。仮に多少の問題はあっても、“今ある人材”を
最大限に活用するしかないと思うのです。
次いでながらもう少し補足しておきましょう。前に
も引用したように、『国民安全保障国家論』(船橋
洋一著)の冒頭には、コロナ禍やウクライナ戦争を
経験した結果として、「自分たちでみんなを守るこ
とができない社会は生き残れない」「自分の国を自
分たちで守れない国は生き残れない」「天(世界)
は自ら助くる者を助く」ということがわかったと紹
介されています。
著者は、それでも「国家」ではなく「国民」という
言葉にこだわっていますが、“利益の受容者である
「国民」目線を重視すべき”ことを強く意識してい
ると考えられ、本書に書かれているのは「“国家”
のあり様(形)」であることが理解できます。
私などの立場からすると、(元朝日新聞記者の)著
者のような立場の人が「ようやくここに気がついて
くれたか」と安堵する一方で、内外情勢の急激な変
化や「国力」が下降期にある“現時点”こそ、将来
のため、国家としての「打ち手」を真剣に議論する
時が来たことを国のリーダーたちに早く気づいてほ
しいと願うばかりです。だれかが問題意識と勇気を
もって、重い腰を上げて、“旗振り役”を演ずるこ
とを切に願っております。
繰り返しますが、「手遅れになる前に」です。様々
な思惑から場当たり的な所信表明演説とそれに対す
る質疑応答などで論戦を交わしている余裕はないと
思うのですが・・・。
▼「国家戦略」の指針の一案
 
さて、私も高齢世代です。「若い世代に託すべし」
と言った手前、過度な物言いは邪魔になると自覚し
つつも、本メルマガをここまで書き続けてきた以上、
「国家戦略」の指針のようなものの一案ぐらいは提
示しなければならないとの責任感にもかられます。
しかし、“指針のようなもの”といえども、そこに
含むべき内容の広さと深さを考えると、正直、いか
にまとめ上げるか、途方にくれます。
またしても、『日本の大戦略』のお力を借りて、ほ
ぼ一致している点を紹介しつつ、10年の歳月の変
化やアプローチの相違点などからの修正を加えて一
案としたいと考えます。なお紹介する順番などは私
の一存で本書を修正してあります。
まず本書が、平成23年の時点でこのような大胆な
「国家戦略」の指針なるものを考察し、提供してい
ることに対して改めて敬意を表したいと思います。
その第1には、「歴史的大変動に立ち向か覚悟を決
める」としていますが、当時より今の方が“歴史的
大変動”が顕著になっている国際社会そして我が国
ですから、ここに「立ち向か覚悟」が、国家として
も国民としても求められていると考えます。
本書は、具体的な「国家目標」などを考える前に、
このような「覚悟」をもって、「内向き志向、現状
維持志向を克服し、「『頼りがいのある日本』を目
指して国家アイデンティティを再構築する」ことを
提唱していますが、全く同意するものです。
「我が国がどのような未来を構築するか」、あるい
は「どこに向かっていくか」を明らかにするという
点でも全く同意です。なお本書では、目指す方向と
して「先進国安定化勢力日本」と呼称していますが、
そのような呼称を含めて議論が必要でしょう。
私は、この「歴史的大変動」の中には、「国力」が
下降期に入っている“我が国の国内事情”も含むと
考えていますので、具体的な指針の中には、「『国
力』の維持・増進のために国を挙げて立ち向かう」
旨の文言も挿入されるべきと考えます。
第2には、「安全」の国家目標として、「複層的な
課題に対応できる、実効性の高い安全保障政策を展
開する」ことです。
まさに、変動する国際社会の中で、我が国が「安定
化勢力」としての役割を果せるかどうか正念場でし
ょう。そのような視点をもって、現状から一歩踏み
込んで「安全保障政策を再構築する」ことが求めら
れており、具体的には、本書の「自国防衛/危機管
理の能力を強化する」「日米同盟の相互防衛的性格
を強め、同盟協力を総合化する」「グローバル・コ
モンズの安定化を図る」「同盟外の安全保障協力を
推進する」などの提唱は的を射ており、さらに強化
する必要があるでしょう。
実際に昨年末、「国家安全保障戦略」が策定されま
した。「安全保障」に絞れば、また表現こそ若干違
いますが、本書が提唱したような内容とおおむね一
致していると考えます。
しかし、すでに指摘したように、東アジア地域の
「核状況」が様変わりしつつあることから、日米両
国間の「核の傘」の信頼性の向上に加え、我が国独
自の核保有の議論を推進すべきと考えます。
また、「自国防衛/危機管理の能力を強化する」に
ついては、将来にわたって我が国迫って来る可能性
がある“脅威”については、短絡的に「南西正面」
などと決めつけないことも重要でしょう���将来戦は
「ハイブリッド戦」であることは間違いないとして
も、対象国が取り得る手段は多様であり、それらを
漏れなくすべて読み切った(見積もった)上で“一
寸の隙を見せない態勢”の構築が求められていると
考えます。
第3には、「富」を国家目標として、「先進的な経
済社会システムを構築する」ことを本書は紹介して
います。ここに「国力」の「ハード・パワー」の要
素のかなりの部分が含まれていますが、第2の「安
全」とも関連し、それぞれの分野の専門家の最適解
をもって国家施策にするようなことは厳に戒めるべ
きで、そのような弊害を排除するためにこそ、「国
家戦略」を策定していることを理解する必要がある
のです。
何度も例示したように、「太陽光発電所の建設のた
めの外国資本の導入に特段のチェックがなく、国防
上重要な施設の近傍を含め、広島県ほどの面積の国
土がすでに外国資本に渡っている」ような“現状”
を即刻是正する必要があります。そのための法律改
正などは急務でしょう。
その上で、必要な要素を総合的に考察して、我が国
として新しい「繁栄の形」をどのように具体化する
かが焦点となると考えます。その中には、国家を次
世代に託すためにも、若者世代が「将来の夢と希望」
を抱くことができるような施策を含むべきことは申
すまでもありません。
とはいえ、少子高齢化の進展から社会保障給付費な
どが大幅に膨れ上がることを予測し、過度な“バラ
マキ”は厳に戒め、「国民一人一人の夢や希望の実
現」と「国家(社会)として『富』の蓄積」の両目
標の同時達成に向けて、“個人の努力の必要性を促
し、努力の中に生きがいを見い出せる”ようなバラ
ンスのとれた「配分」を主眼とする「福祉の再定義」
も必要となることでしょう。
第4には、「変動する国際社会のもとでの日本の対
外構想を確立する」ことです。「安全」はもちろん、
食料やエネルギーなどのほぼ海外に依存している
「富」の分野においても、我が国は、将来にわたっ
て「国家として存立するための対外構想」には高い
優先順位を掲げて計画・実行する必要があります。
「頼りがいのある日本」をめざし(“孤立国・日
本”の存在感を発揮し)、本書でいう「大国間の協
調形成に尽力すること」「グローバルな課題に結果
を出す貢献をすること」「アジア諸国と深く交わり、
その不安定要因を抑制すること」などの提唱に異存
はありません。
前回述べたように、“自ら原則を立て、それに基づ
いて行動し、他国や他のアクターとも協力してい
く”という「自律」の重要性を理解した上で、「日
米同盟」をはじめ、」「クアッド」「自由で開かれ
たインド太平洋」などようやく“産声”を上げた枠
組みを一層深化する覚悟と「自律」の細部をしっか
り議論する必要があるでしょう。
第5に、「新しい『統治のかたち』をつくる」ため
の議論を推進することです。本書では、そのために
「安定した政権基盤を確立する」「官邸における外
交・安全保障戦略の司令塔を創出する」「戦略形成
の前提となるインテリジェンス機能を強化する」
「対外的な情報発信を刷新する」、そして最後に
「政治不信を克服し、有権者のオーナーシップ意識
を高める」として、国民の参加意識を高めるために、
NPOやシンクタンクなど政治と国民をつなぐ中間
組織の役割も重要であると結んでいます。
「戦略は統治を超えられない」という言葉も紹介し
ましたが、「国家戦略」を議論し、策定し、実行し
ようとすれば、現在の我が国の「統治のかたち」が
そこに“立ちはだかる障害”となる可能性は否定で
きないでしょう。
紹介しました『国民安全保障国家論』も、その終章
で「日本には『国家安全保障』という『国の形』が
ない。そして、その『国の形』をつくるのを阻んで
きた『戦後の形』がある」として、「『戦後の形』
のままでは日本は新しい時代の挑戦対応できない」
と訴え、新たに「国の形」を作る必要性を強調して
います。
私は、5つの指針の中で第5の「統治のかたち」の
議論が最も難しいと考えます。一方で、戦前戦後を
通じて一内閣の寿命が平均1.4年に満たないよう
な“現状”では、一貫した中長期的な「国家戦略」
の策定はおろか、導き出された国家目標に向かって
(たとえ、苦しくても)各種政策を推進し続けるこ
とは困難であることは明白でしょう。
「では、どうすべきか」については大議論を呼ぶこと
でしょう。しかし、ぜひともこのテーマまで踏み込
んで議論してほしいと願っています。
「国の形」についてはのちほど再び触れることにし
て、次回、「国家戦略」を総括し、その後に「ソフ
ト・パワー」のもう一つの要素である「国家意思」
を取り上げます。
(つづく)
(むなかた・ひさお)
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ari0921 · 6 months
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我が国の未来を見通す(90)
『強靭な国家』を造る(27)
「強靭な国家」を目指して何をすべきか(その17)
宗像久男(元陸将)
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□はじめに
 
 パレスチナ情勢については、10月22日、日本
を除くG7の6カ国からイスラエルの自衛権を支持
する一方でガザの民間人の人道支援を求める共同声
明が出されるなど、人道支援要求の世論、それにイ
スラエル国内の人質解放優先世論の力、それに欧米
首脳などの説得工作などが功を奏して、イスラエル
の本格的な地上攻撃開始は、当初計画よりかなり遅
れているようです。
イスラエルの歴史からすると珍しい決断だったと考
えますが、それだけ、今回のガザ地区への地上攻撃
の持つ意味がこれまでとは違ってきている証拠でも
あるのでしょう。極めつけが、24日、国連安保理
の場で、米国ブリンケン国務長官の「人道目的の一
時停戦が検討されなくてはならない」との発言でし
た。
一方、グテーレス国連事務総長がイスラエルのパレ
スチナ占領を批判する発言をしたり、いつもながら、
国連安保理が決議案を否決しあう形で“機能不全”
に陥っているなど、イスラエルの国連不信が限界に
達しているように見えます。イランを含むアラブ諸
国自体も反イスラエルという立場で必ずしも一枚板
ではないようなので、今後も、状況は刻々変わって
くることから、安易な予測は禁物でしょう。
その上で想像するに、イスラエルは、いかに人質解
放をするか、そして500キロに及ぼうとする地下
トンネルをいかに(できれば民間人に被害を与えな
い方法で)攻略するか、その作戦を練って、その上
で一部限定的な作戦を遂行しているのでしょう。
また、地上攻撃の代わりなのか、連日激しい空爆が
繰り返されていますが、それによる民間人犠牲者の
6割は、避難先であるガザ地区南部だったとの報道
もあります。国連事務総長のような発言もイスラエ
ルを追い込むだけで逆効果だと思いますが、無差別
に近い空爆もイスラエルが自らの首を絞める結果と
なって、やがて自制心のタガが外れ、“後に引けな
くなる”ことが懸念されます。
数年前、ベトナムを旅行した際、ベトナム戦争時に
使用されたサイゴン(現ホーチミン)市西側に広が
る巨大な地下施設「クチトンネル」を見学し、その
巧妙な造りに驚いたことがあります。アメリカは、
空から枯葉剤を含む絨毯(じゅうたん)爆撃を繰り
��しても攻略できず、ついには南ベトナムから撤退
する結果になったのでした。
「クチトンネル」は総延長約250キロといわれて
いましたが、その倍ほどの長さに及び、映像を見る
限り、長い時間をかけて極めて堅固に建造されてい
る地下トンネルを実際に攻略しようとすれば、多大
な時間を要し、犠牲者も半端でないことでしょう。
イスラエルが保有する最新の軍事技術をどのように
駆使するのかを含め、(不謹慎ではありますが)注
目しています。
ところで、今回のG6声明から外された我が国は、
文字通り“孤立国”に��ってしまいました。23日
の岸田首相の所信表明演説において、「経済」を連
呼する中での「人間の尊厳」とか「核兵器のない世
界」などの発言は、もちろん、理想であり、間違っ
てはいないとは思いますが、いかにも“空虚”に聞
こえるのは私だけでしょうか。
▼「国家戦略」をだれが作るか
 
いよいよ「国家戦略」指針の私案を提示したいと考
えますが、その前に、「国家戦略」を誰がつくるの
か、について一案を提言したいと考えます。
戦前の歴史を勉強しない人、あるいは軍国主義など
といって昭和の軍人たちにその責任を負わせること
のみを追求している歴史家たちには到底信じられな
いことだろうと思いますが、歴史をつぶさに学べば、
戦前の我が国の方が、現在よりはるかにダイナミッ
クで柔軟な国家運営をしていたことがわかります。
その典型的な組織が「陸軍省戦争経済研究班」(通
称「秋丸機関」と呼称)でした。少し補足しますと、
第1次世界大戦の頃から、戦争は単に軍事力だけで
はなく、経済、産業、教育、宣伝など「国力」のす
べてをもって遂行される「国家総力戦」の様相を呈
し、当時、欧州において身をもってその体験をした
永田鉄山あたりはその必要性を声高に唱えていまし
た(永田は陸軍の抗争の犠牲となって殺害されまし
た)。
この流れをうけて、我が国の経済力がないことを知
っていた陸軍は、日本における総力戦の実態と戦争
遂行の可能性などを研究するため、昭和14年春、
当時の我が国の最高頭脳を集めた本格的なシンクタ
ン「陸軍省戦争経済研究班」をスタートさせたので
す。
設立を提唱したのは、当時の政府や陸軍の首脳では
なく、「陸軍中野学校」の設立者、戦後は京都産業
大学の設立者として名を馳せた岩畔豪雄(いわくろ・
ひでお)大佐でした。このあたりにも目を見張る
ものがありますが、岩畔は、そのトップに、(軍政
とか作戦畑ではなく)経理畑の俊才、当時まだ41
歳の秋丸次朗中佐を指名し、組織造りを含めて全権
を委任しました。
秋丸は、実質的な研究リーダーとして、治安維持法
違反で検挙され保釈中の身であった東大経済学部助
教授のマルクス経済学者・有沢広巳を招きました。
それ以外に大学教授、企画院・外務省・農林省・文
部省などの少壮官僚、さらには民間企業・業界団体・
金融機関・民間調査機関・研究所などの精鋭たち
を集めて総勢200名程度の組織を作り上げて、昭
和16年まで約2年間、多士多才のメンバーをもっ
て様々な角度から研究に没頭したのです。
研究成果の細部は省略しますが、本研究班が導いた
開戦に至るシミュレーションについては、当時、東
條英機首相や杉山元参謀総長などとも共有しており、
その研究成果は、昭和16年11月15日に開催さ
れた大本営政府連絡会議で「対米英蘭蒋戦争終末促
進に関する腹案」(「腹案」と呼称)として決定さ
れたのでした。
私自身は、この「腹案」のような戦いを遂行してお
れば大東亜戦争はまた違った結果になったと考えて
いますが、「腹案」と実際の戦いはかなり違ってし
まいました。その原因も分かっていますが、ここで
は省略しましょう。
ここで問いかけたいのは、今の日本に、「国家戦略」
のような重要案件を策定するために、「秋丸機関」
のようなシンクタンクを作り、少壮の官僚、学者、
自衛官、民間企業人などの精鋭を一堂に会して時間
をかけて研究させるようなダイナミズムがあるだろ
うかということです。
私は、ここにあえて政治家を加えませんでしたが、
国の重要なテーマについて、いつも“専門家や官僚
に丸投げして足れり”として自ら問題意識も持たず、
必要性も感じず、学ぼうとしないような人たちは
“最初から戦力にならない”と思って外しただけで、
適任者がおられたら、当然、シンクタンクのリーダ
ー格になっていただくことを拒むものではありませ
ん。
一つだけ注文を付けるとすれば、「秋丸機関」の設
立に尽力した岩畔大佐のごとく、力のある政治家な
どでこのようなシンクタンクを作る必要性を唱える
人(たち)は、シンクタンク設立のために奔走し、
必要な基盤や経費は提供しても、当初から口を出す
のは厳に慎み、「若い世代に託す」ことが重要と考
えます。官民を含む各界には、若くても優秀でかつ
柔軟性があり、物事の本質を的確に見極めることが
できる優秀な人たちがたくさんおられると確信しま
す。
なお、前回紹介した『日本戦略論』(鎌田徹著)で
は、「戦略国家になるための人づくり」を提唱して
いますが、だいぶ時が経ったこともあり、残念なが
ら、今はそのような“時間的余裕”はないと考えま
す。仮に多少の問題はあっても、“今ある人材”を
最大限に活用するしかないと思うのです。
次いでながらもう少し補足しておきましょう。前に
も引用したように、『国民安全保障国家論』(船橋
洋一著)の冒頭には、コロナ禍やウクライナ戦争を
経験した結果として、「自分たちでみんなを守るこ
とができない社会は生き残れない」「自分の国を自
分たちで守れない国は生き残れない」「天(世界)
は自ら助くる者を助く」ということがわかったと紹
介されています。
著者は、それでも「国家」ではなく「国民」という
言葉にこだわっていますが、“利益の受容者である
「国民」目線を重視すべき”ことを強く意識してい
ると考えられ、本書に書かれているのは「“国家”
のあり様(形)」であることが理解できます。
私などの立場からすると、(元朝日新聞記者の)著
者のような立場の人が「ようやくここに気がついて
くれたか」と安堵する一方で、内外情勢の急激な変
化や「国力」が下降期にある“現時点”こそ、将来
のため、国家としての「打ち手」を真剣に議論する
時が来たことを国のリーダーたちに早く気づいてほ
しいと願うばかりです。だれかが問題意識と勇気を
もって、重い腰を上げて、“旗振り役”を演ずるこ
とを切に願っております。
繰り返しますが、「手遅れになる前に」です。様々
な思惑から場当たり的な所信表明演説とそれに対す
る質疑応答などで論戦を交わしている余裕はないと
思うのですが・・・。
▼「国家戦略」の指針の一案
 
さて、私も高齢世代です。「若い世代に託すべし」
と言った手前、過度な物言いは邪魔になると自覚し
つつも、本メルマガをここまで書き続けてきた以上、
「国家戦略」の指針のようなものの一案ぐらいは提
示しなければならないとの責任感にもかられます。
しかし、“指針のようなもの”といえども、そこに
含むべき内容の広さと深さを考えると、正直、いか
にまとめ上げるか、途方にくれます。
またしても、『日本の大戦略』のお力を借りて、ほ
ぼ一致している点を紹介しつつ、10年の歳月の変
化やアプローチの相違点などからの修正を加えて一
案としたいと考えます。なお紹介する順番などは私
の一存で本書を修正してあります。
まず本書が、平成23年の時点でこのような大胆な
「国家戦略」の指針なるものを考察し、提供してい
ることに対して改めて敬意を表したいと思います。
その第1には、「歴史的大変動に立ち向か覚悟を決
める」としていますが、当時より今の方が“歴史的
大変動”が顕著になっている国際社会そして我が国
ですから、ここに「立ち向か覚悟」が、国家として
も国民としても求められていると考えます。
本書は、具体的な「国家目標」などを考える前に、
このような「覚悟」をもって、「内向き志向、現状
維持志向を克服し、「『頼りがいのある日本』を目
指して国家アイデンティティを再構築する」ことを
提唱していますが、全く同意するものです。
「我が国がどのような未来を構築するか」、あるい
は「どこに向かっていくか」を明らかにするという
点でも全く同意です。なお本書では、目指す方向と
して「先進国安定化勢力日本」と呼称していますが、
そのような呼称を含めて議論が必要でしょう。
私は、この「歴史的大変動」の中には、「国力」が
下降期に入っている“我が国の国内事情”も含むと
考えていますので、具体的な指針の中には、「『国
力』の維持・増進のために国を挙げて立ち向かう」
旨の文言も挿入されるべきと考えます。
第2には、「安全」の国家目標として、「複層的な
課題に対応できる、実効性の高い安全保障政策を展
開する」ことです。
まさに、変動する国際社会の中で、我が国が「安定
化勢力」としての役割を果せるかどうか正念場でし
ょう。そのような視点をもって、現状から一歩踏み
込んで「安全保障政策を再構築する」ことが求めら
れており、具体的には、本書の「自国防衛/危機管
理の能力を強化する」「日米同盟の相互防衛的性格
を��め、同盟協力を総合化する」「グローバル・コ
モンズの安定化を図る」「同盟外の安全保障協力を
推進する」などの提唱は的を射ており、さらに強化
する必要があるでしょう。
実際に昨年末、「国家安全保障戦略」が策定されま
した。「安全保障」に絞れば、また表現こそ若干違
いますが、本書が提唱したような内容とおおむね一
致していると考えます。
しかし、すでに指摘したように、東アジア地域の
「核状況」が様変わりしつつあることから、日米両
国間の「核の傘」の信頼性の向上に加え、我が国独
自の核保有の議論を推進すべきと考えます。
また、「自国防衛/危機管理の能力を強化する」に
ついては、将来にわたって我が国迫って来る可能性
がある“脅威”については、短絡的に「南西正面」
などと決めつけないことも重要でしょう。将来戦は
「ハイブリッド戦」であることは間違いないとして
も、対象国が取り得る手段は多様であり、それらを
漏れなくすべて読み切った(見積もった)上で“一
寸の隙を見せない態勢”の構築が求められていると
考えます。
第3には、「富」を国家目標として、「先進的な経
済社会システムを構築する」ことを本書は紹介して
います。ここに「国力」の「ハード・パワー」の要
素のかなりの部分が含まれていますが、第2の「安
全」とも関連し、それぞれの分野の専門家の最適解
をもって国家施策にするようなことは厳に戒めるべ
きで、そのような弊害を排除するためにこそ、「国
家戦略」を策定していることを理解する必要がある
のです。
何度も例示したように、「太陽光発電所の建設のた
めの外国資本の導入に特段のチェックがなく、国防
上重要な施設の近傍を含め、広島県ほどの面積の国
土がすでに外国資本に渡っている」ような“現状”
を即刻是正する必要があります。そのための法律改
正などは急務でしょう。
その上で、必要な要素を総合的に考察して、我が国
として新しい「繁栄の形」をどのように具体化する
かが焦点となると考えます。その中には、国家を次
世代に託すためにも、若者世代が「将来の夢と希望」
を抱くことができるような施策を含むべきことは申
すまでもありません。
とはいえ、少子高齢化の進展から社会保障給付費な
どが大幅に膨れ上がることを予測し、過度な“バラ
マキ”は厳に戒め、「国民一人一人の夢や希望の実
現」と「国家(社会)として『富』の蓄積」の両目
標の同時達成に向けて、“個人の努力の必要性を促
し、努力の中に生きがいを見い出せる”ようなバラ
ンスのとれた「配分」を主眼とする「福祉の再定義」
も必要となることでしょう。
第4には、「変動する国際社会のもとでの日本の対
外構想を確立する」ことです。「安全」はもちろん、
食料やエネルギーなどのほぼ海外に依存している
「富」の分野においても、我が国は、将来にわたっ
て「国家として存立するための対外構想」には高い
優先順位を掲げて計画・実行する必要があります。
「頼りがいのある日本」をめざし(“孤立国・日
本”の存在感を発揮し)、本書でいう「大国間の協
調形成に尽力すること」「グローバルな課題に結果
を出す貢献をすること」「アジア諸国と深く交わり、
その不安定要因を抑制すること」などの提唱に異存
はありません。
前回述べたように、“自ら原則を立て、それに基づ
いて行動し、他国や他のアクターとも協力してい
く”という「自律」の重要性を理解した上で、「日
米同盟」をはじめ、」「クアッド」「自由で開かれ
たインド太平洋」などようやく“産声”を上げた枠
組みを一層深化する覚悟と「自律」の細部をしっか
り議論する必要があるでしょう。
第5に、「新しい『統治のかたち』をつくる」ため
の議論を推進することです。本書では、そのために
「安定した政権基盤を確立する」「官邸における外
交・安全保障戦略の司令塔を創出する」「戦略形成
の前提となるインテリジェンス機能を強化する」
「対外的な情報発信を刷新する」、そして最後に
「政治不信を克服し、有権者のオーナーシップ意識
を高める」として、国民の参加意識を高めるために、
NPOやシンクタンクなど政治と国民をつなぐ中間
組織の役割も重要であると結んでいます。
「戦略は統治を超えられない」という言葉も紹介し
ましたが、「国家戦略」を議論し、策定し、実行し
ようとすれば、現在の我が国の「統治のかたち」が
そこに“立ちはだかる障害”となる可能性は否定で
きないでしょう。
紹介しました『国民安全保障国家論』も、その終章
で「日本には『国家安全保障』という『国の形』が
ない。そして、その『国の形』をつくるのを阻んで
きた『戦後の形』がある」として、「『戦後の形』
のままでは日本は新しい時代の挑戦対応できない」
と訴え、新たに「国の形」を作る必要性を強調して
います。
私は、5つの指針の中で第5の「統治のかたち」の
議論が最も難しいと考えます。一方で、戦前戦後を
通じて一内閣の寿命が平均1.4年に満たないよう
な“現状”では、一貫した中長期的な「国家戦略」
の策定はおろか、導き出された国家目標に向かって
(たとえ、苦しくても)各種政策を推進し続けるこ
とは困難であることは明白でしょう。
「では、どうすべきか」については大議論を呼ぶこと
でしょう。しかし、ぜひともこのテーマまで踏み込
んで議論してほしいと願っています。
「国の形」についてはのちほど再び触れることにし
て、次回、「国家戦略」を総括し、その後に「ソフ
ト・パワー」のもう一つの要素である「国家意思」
を取り上げます。
(つづく)
(むなかた・ひさお)
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ari0921 · 2 years
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)12月2日(木曜日)
通巻第7143号   
 イスラエルのイラン核施設空爆が射程に入った?
   欧米はイランと核合意見直しの協議に入ったが。。。。
*************************
 「悪い合意だ」とイスラエルのネタニヤフ首相(当時)はオバマの米国がイランと交わした「核合意」を強く批判した。トランプ前大統領は、「米イラン合意」を白紙に戻すとした。
 バイデン政権になって、ようやくイランとの協議が再開された。イランの原子炉は、核武装に向けた前段階であることは明らかだ。
 このためイスラエルは諜報組織を駆使して、イランの核物理学者暗殺を行い、さらには原子炉を管理するコンピュータシステムにウイルスを送り込んで、計画を数年遅延させた。それでもイランは不退転の決意で、核武装実現に邁進する。
イスラエルは攻撃に出るだろう。なぜなら国家の生存がかかっているからだ。
 イスラエル外務省は、イラン協議において米英仏に政治的影響力を行使するため絶え間なくロビィ活動を展開しているが、ガンツ国防相は「ウラン濃縮疑惑の解明だけでなく、テヘランの弾道ミサイル計画とその地域問題にも交渉の議題となる筈だ」と述べた。欧米に揺さぶりをかけた。反応を試しているのである。
 その一方、最近のイスラエルの軍事訓練シュミレーションが何かを示唆している。
イスラエル軍の軍事演習は前年比30%増、22年度は今年度比較50%増になるという。ヒズボラ、ハマスのようなゲリラ的武装組織への対応策ではない。ずばりイランの核開発を阻止するための軍事攻撃能力を試しているのだ。
 し���も米海兵隊との共同訓練(名目は地域の安全保障だが)に加えて注目すべきは、UAE、バーレーンが、この共同訓練に加わっていることである。
 
 海軍の軍事演習はイスラエル海軍と米第5艦隊で、「海洋協力は、地域の安全と安定に不可欠な航行の自由と貿易の自由な流れを守るのに役立つ」と米軍幹部は語っている。
 
空軍はどうか。
イスラエルのジェット機はB-1B戦略爆撃機とKC-10給油機を護衛した。エジプト、ヨルダン、バーレーン、サウジアラビアからのジェット機も、イスラエル空軍がときに護衛すると情報筋はみている。
 イスラエルのブルーフラッグ航空訓練は、ドイツ(ユーロファイター6機、イタリア5機F-35ジェット機5機、G550型機5機)、イギリス(6機のユーロファイター)、フランス(4機のラポールジェット機)、インド(5機のミラージュジェット機)、ギリシャ(F-16ジェット機4機)、米国(F-16 CJジェット6機)が参加した。
空中戦ばかりか地対空破壊訓練も加えた。
 ▼あのオシラク原子炉空爆破壊を思い出さないか
1981年6月17日だった。
イスラエル南方の基地から飛び立ったイスラエル空軍機はF16が8機、F15が6機。スパイが割り出した情報からサウジ領空の死角(レーダー探知から漏れる)空域を跳び、イラク上空へ達した。これは「バビロン作戦」と呼称された。
イスラエルはイラクの原子炉を木っ端微塵に破壊した。
 前述の中東に於ける軍事訓練などの動きを見ていると、イラクのオシラク原子炉爆撃のときより条件が鮮明に異なる。
イスラエル空軍機はサウジ、ヨルダンのレーダーに引っかからないように妨害電波や電磁パルスなど撒き散らしながら、イラク上空に達した。
 今度はUAE、バーレンが協力的であり、しかもイラク原子炉破壊をサウジも湾岸諸国も臨んでいることである。アラブ諸国はエジプトを筆頭に、ユダヤ人国家殲滅などとは言わなくなったという政治環境の変化がある。
日本は? 
イスラエルのように国家の生存がかかっているというのに自衛隊には北朝鮮の核ミサイル基地を空爆する考え方さえないのである。ほんま、日本は国家と言えるのか
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ari0921 · 2 years
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和四年(2022) 3月9日(水曜日)
   通巻第7251号
(承前)
 西側がロシア制裁で団結し、ウクライナを熱烈支援した(その3)
  日本の安全確保、自衛力強化とエネルギー、食糧確保が先決になる
************************
 
 バイデン大統領は3月8日、ロシアからの石油とガスの輸入を禁止すると発表した。
 「輸入制限」や「一時停止」ではない。「禁輸」である。英国はそこまでいかず「一時停止」と発表した。
 またエクソン、シェルなど欧米エネルギー企業は一斉にロシアから手を引くとしている。秀吉の三木城、鳥取城干し殺し作戦を思い出した。
 ウクライナモデルで幾つかのシミュレーションを試みてきたが、もし中台戦争が勃発した場合、日本にとっての生命線は、エネルギーと食糧である。もちろん国家安全保障の国防議論をベースに考察を続ける。
 台湾は石油輸入国であり、死活的な問題はシーレーンの確保である。中国海軍は南シナ海で海上封鎖能力があり、これを防ぐために、米英仏独豪が艦船をつぎつぎと派遣している。台湾の海軍力は弱い。
 日本は99%の原油とガス輸入国である。かつては豊かな石炭があったが、いま国内に炭鉱はひとつもない。石炭もすべて輸入している。豊かな国産エネルギーは「水」、すなわち水力ダムだけ。原発は稼働しているのが一つか二つ。つまり原油、ガス、石炭が輸入されなくなれば、電気が停まる。秋田県と新潟県に僅かにガス田と石油リグが稼働している。
 原油はガソリン、航空機燃料にもなり、エンジン系統のクルマもトラックも、保冷車も動かなくなる。引っ越しも出来なくなる。火力発電が稼働しないと発電量が減り、となると電気を使うEVは動かない。
 原油を中東の産油国に過度に輸入依存すると、ホルムズ海峡が封鎖されると危殆に瀕することは以前から何度も言われ供給源の多元化が叫ばれた。
かろうじて日本は危機に備えた備蓄をしてきたが、昨今、この国家備蓄を取り崩しはじめた。ガソリン値上げに対応するためである。備蓄タンクは錦江湾など、数カ所に巨大なタンク群が並んでいる。
 ガスはLNGタンカーでカタール、インドネシア、ブルネイなどから輸入しているが、10%がロシアからだ。ロシアのウクライナ侵攻で、真っ先にエクソンが「サハリン1」からの撤退を表明した。「サハリン1」はエクソンとインド石油が半分、ロシア企業ロスネフチが20%、そして「サハリン石油天然ガス開発」(日本の通産、伊藤忠、石油資源開発、丸紅などが出資)という出資構成で、ガスばかりか石油も生産している。
 円安と原油代金暴騰によって日本の貿易収支は、なんと赤字転落。それも22年1月速報では過去弐番目の1兆1887億円の経常赤字を記録した。貿易立国、つねに経常黒字だった日本の転落!
 日本企業が大きく絡むのは「サハリン2」である。ガスパイプ欄を樺太に北から南へ敷設し、ユジノサハリンスクあたりで液化し、タンカーに積め込んで日本へ。60%(年間1000万トン)が日本のシェアである。
 株構成はロシアのガスプロムが51%、残りの22・5%を三井物産と三菱商事がもち、多国籍企業のシェルが27・5%だった。シェルが撤退を表明した。
 欧米企業のサハリン資源からの撤退は、日本を窮地に陥れるだろう。エクソンもシェルも欧米が足並み揃えてのロシア制裁の一環ではあるが、急に撤退といっても、株式は誰が買うのか。綺麗事のアナウンスだけで、「操業を徐々に停止して合弁から手を引く」と撤退時期の明示はしていない。
 ▼パラジウムはロシアが世界生産の40%、ニッケルは2・5倍に暴騰
 
 ロシアからの撤退若しくは縮小を表明した西側の企業は3月8日までに230社。マック、スタバ、ユニクロは事業継続を表明している。欧州企業は関連が深いため、いきなりの撤退には踏み切れないでいる。
 ハイテク企業はロシアのウクライナ侵攻による西側の制裁に加えて、ロシア自身の報復制裁、さらには海運の停滞により原材料確保が難しくなった分野がある。
 とくに排ガスの触媒に用いられるパラジウムはロシアが世界生産の40%を占める。
 ガス系のネオン、クリプトンなどは半導体製造のレーザー光源で、ウクライナが世界生産の70%を占める。ウクライナの精製工場が停止され、これに直撃を受けたのは台湾だった。
 いずれもスポット��格が高騰し、代替生産が可能な南アフリカは増産不能、パラジウム在庫は日本も台湾も数ヶ月しかない。半導体不足で自動車生産が減速し、トイレまで影響をうけたばかりだが、パラジウム不足は半導体の製造そのものを直撃することになる。
 ニッケルはステンレス仕様に強い需要があり、ウクライナ危機で國際価格は2・5倍となり、取引停止となった。ステンレス業界、悲鳴を挙げる。
 中国の場合、いうまでのなくレアアースで、日本企業はすでに中国産レアアース供給中断という痛い目にあった。一部は中国へ工場を移転し、また供給元の多元化のため、カザフスタン開発がスタートした。
 レアアース最大の埋蔵は米国だが、環境問題と汚染が甚だしい精錬プロセスがあるため、中国に依存してきた。中国政策の転換により、米国は国内レアアース鉱山の再開発を決めたが、稼働までに数年はかかるとされる。
 半導体世界一の台湾、このレアアース輸入の代替はあるのか。
 ▼ウクライナ難民はまもなく300万人になる
 3月8日現在、ウクライナ難民は200万人を突破した。
 ポーランド、ハンガリー、ルーマニア、スロバキア、モルドバが難民先の五傑。戦争が長期化すると、この難民問題が欧州政治を深刻に悩ませることになる。援助疲れが、はやくも見えてきた。
 ドイツはシリア難民を大量に引き取り、国内治安が一気に悪化した。そのシリアから過激派テロリストが、ロシアへ義勇軍で加わっている。
英国は香港からの移民(実態は経済難民)に加えてポーランドからの労働移民を認め、以前から住み着いたインド、ナイジェリアなどの旧植民地から夥しい人口流入があって、英国の気風とか伝統は稀釈された。
 
フランスも同じで、ベトナムからアルジェリアから、外国人流入による治安悪化は、ナショナリスト政党が躍進する結果を産んだ。マクロン再選は危ういだろう。
 ウクライナ難民はポーランドへすでに百万人以上が向かった。ここに腰掛け、最終的にはドイツへ向かう。
ルーマニアも数十万人を暖かく迎え、ホテルの宴会場���どを宿舎としているが、じつは難民の半分が子供、それもミルクが必要な赤ちゃんが相当数あって、医療支援が不足している。
 モルドバへオデッサから徒歩で向かった難民の多くはユダヤ系で、ここから連日数百がイスラエルへ向かっている。航空料金はイスラエルの移民推進団体が支払い、当面の滞在宿舎や生活費もイスラエルの慈善団体がまかなっている。
 さて台湾が侵攻をうけた場合、難民は何処へ向かうか?
 航空機脱出組は疑いもなくアメリカである。華僑の散らばるASEAN諸国にも向かうだろうが、船しか手段がなくなった場合、百万以上が日本に向かうことになるだろう。
 まさに台湾有事は日本有事。
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ari0921 · 2 years
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和四年(2022)2月15日(火曜日)弐
    通巻7220号
 イスラエルがイラン核施設を空爆したと仮定して
  サウジ、イラン、湾岸諸国、そして米露中はいかに反応するか
*************************
 世界のメディアはウクライナに注目している。
偵察衛星はロシア軍の動き、配置などを把握し、侵攻が近いと予測しているが、ウクライナ国内で侵攻するロシアのハイブリッド作戦は目に見えないから、報道がない。
すでにハッカー攻撃、フェイクニュースなどロシアのハイブリッド作戦は進行中だ。
そのうえ、ロシアの第五列はすでに首都キエフや第二の都市=オデッサへ潜入し、開戦となればインフラの破壊工作を始める。ガス、水道、電気のインフラが止まれば、社会は痲痺する。
 他方、ウィーンではイランとの核合意交渉が大詰めにきた。
まもなく最終合意に到るという観測が欧州の外交筋であがっている。イスラエルは会議のゆくえを注視している。
 合意がなされた場合、イスラエルがイラン核施設を空爆するシナリオは遠のくだろう。
しかし交渉が決裂すれば、イスラエルの空爆は可能性がたかまるし、イスラエル国防軍は「いつでも出撃できる態勢にある」としている。
 ウィキストラントというシミュレーション専門コンサルタントは、世界13ヶ国、31人の専門家を集めて、オンライン会談を行い次のシナリオを提示した(エルサレムポスト、2022年2月14日)。
(1) 空爆が成功した場合、サウジアラビア、湾岸諸国はイスラエルとの外交関係を強化する方向に歩むだろう。とくにサウジは国交回復も射程にいれている。
また報復を考えるイランは北朝鮮のように秘密裡の核開発を潜行させることになるだろう。
(2)空爆が失敗に終わった場合、サウジアラビアなどはイスラエルとの関係を冷却化させ、とくにサウジは独自の核武装計画を進めることになるだろう。
 米国議会はイスラエル支援の立場を変えないがEU諸国は複雑に反応し、またロシアはイスラエルとの軍事協力を強化する可能性がある。
 すでにサウジにもイスラエルにも武器を売買し、イランとも密接な軍事協力をしてきした中国が、つぎにいかなる鵺的な行動にでるか。
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ari0921 · 6 years
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【野口裕之の軍事情勢】 文在寅政権が描く朝鮮戦争シナリオ 中国接近→韓国極左化→在韓米軍排除→北と同化  朝鮮戦争再開を食い止めるには、北朝鮮・朝鮮労働党の金正恩・委員長が核・ミサイル開発を放棄する他はない。しかし、金氏にその意志は全くない。金氏が核・ミサイル放棄を実行しない限り、筆者は朝鮮戦争再開は不可避だと、2016年秋から主張し続けてきた。折しも、韓国を訪問した米国のドナルド・トランプ大統領は11月7日、在韓米軍基地を訪問し、在韓米軍司令官のヴィンセント・ブルックス陸軍大将のブリーフィングを受けたが、日韓軍事筋は筆者に「軍事オプションの説明だった」と明かした。2000名もの在沖縄海兵隊員も既に韓国に展開済みで、朝鮮半島情勢は刻刻とキナ臭くなっている。 2000名の在沖縄海兵隊増強が示唆するマティス国防長官の軍事思想  筆者は、在韓米軍隷下の陸軍戦闘部隊に加え、2000名の在沖縄海兵隊が増強された陣立てに、ジェームズ・マティス国防長官の強烈な信念を垣間見る。ブルックス司令官もトランプ大統領に、マティス長官の軍事思想に基づいた軍事オプションを解説したに違いあるまい。 まずは、朝鮮戦争が再開となった際の、作戦の推移をお復習いしてみる。  米軍の対北先制攻撃作戦の緒戦における基本パターンは《北朝鮮・朝鮮人民軍の各司令部など軍事中枢+レーダーなど軍事施設+ミサイル・砲兵部隊…に対する数派にわたる大規模・猛烈な各種ミサイル・爆弾攻撃》→《有人・無人の航空戦力による朝鮮労働党の金正恩・委員長を頂点とする党や軍の首脳に対する精密誘導(ピンポイント)攻撃》を念頭に置く。  攻撃前や攻撃中にサイバー攻撃や電子妨害で、朝鮮人民軍の《C4ISR》、すなわち指揮・統制・通信・情報・監視・偵察機能を遮断する作戦の併用は言をまたない。各種ミサイル・爆弾の中に、地下の要塞・坑道を破壊する《大型バンカー・バスター》や爆風で敵を殲滅する《気化爆弾》も投入されるだろう。   当然ながら、《各種ミサイル・爆弾攻撃》も《精密誘導攻撃》も《サイバー攻撃》も《電子妨害》も、北朝鮮の核・ミサイル関連施設の破壊・機能不全が最重要任務になる。   戦争後半を例外とすれば、地上軍は要人の暗殺・拉致任務を帯びる大規模な各種特殊作戦部隊の潜入に限られる公算が大きい。 けれども、ミサイルや航空戦力と最低限の地上兵力で、雌雄を決する戦果は得られない。米軍には苦い経験がある。  小欄を書くにあたり、米国のマティス国防長官が統合戦力軍司令官(海兵隊大将)だった時分に記した論文を読み返した。   マティス氏は論文などで、《効果に基づく作戦=Effects-Based Operations=EBO》を完全否定した。EBOはミサイルや航空戦力を主力に迅速・効率的な作戦目標完遂を目指し、地上兵力を軽視する。マティス氏は、EBOでは作戦目標の完遂は無理だと断じ、ミサイル・航空戦力に十分な地上兵力投入を組み合わせ、情報収集→火力の誘導→敵の撃破→拠点制圧を網羅する統合作戦を主唱した。  マティス論文では、《砂漠の嵐作戦=1991年》や《コソボ作戦=19���9年》、それに《イラク戦争=2003~11年》など、米軍が絡むEBOが失敗の連続だった戦訓も引き出している。  イスラエル軍も然り。イスラエル軍は2006年、レバノン南部に潜伏していたイスラム教シーア派武装組織ヒズボラに対し、EBOに偏重した、激烈な空爆を実施した。イスラエル軍警備小隊がヒズボラに急襲され、8名が戦死し2名が拉致された被害への報復であった。 米軍は3日間続いた空爆を総括し、《ヒズボラの軍事施設破壊は7%で、指揮系統にも痛打を与えなかった。航空戦力への過信が根源に存在し、全く効果がなかった》と分析。イスラエルの情報機関も《激烈な空爆と小規模の地上軍のみでは、拉致された2名も奪還できず、ヒズボラのロケット攻撃も漸減させられなかった》と結論付け、イスラエル政府高官に上申している。  「北朝鮮の核保有」を認め始めた文在寅政権  国防長官に就任したマティス氏は今なお、EBOに極めて懐疑的で、北朝鮮攻撃でも地上軍の投入時機を絶対にはずさない。   米軍最高司令官たるトランプ大統領も、自らが軍事の素人だと自覚しており、名将マティス氏の軍事合理性に徹した助言を素直に受けいれている。この点、官僚が作戦レベルに政治介入して泥沼化を誘発したベトナム戦争やイラク戦争での誤りを、トランプ大統領は繰り返さないと思う。  むしろ筆者は、朝鮮戦争再開に臨み、韓国の文在寅政権が米軍の作戦行動を妨害する挙に出る利敵行為を懸念する。 6月の米韓首脳会談直前だけ切り取って分析しても、妨害工作の芽は如実に現れている。  「北朝鮮が核・ミサイル開発を中断するなら、韓米合同軍事演習と米軍の戦略兵器を縮小できる。これは文在寅・大統領の考えだ」  「北朝鮮が非核化に応じなければ対話をしないとの米国の考えには反対だ」  トンデモない内容だが、北朝鮮側の発言ではない。発出元は文在寅政権の統一・外交・安全保障担当大統領特別補佐官の文正仁氏。「北朝鮮を事実上の核保有国と認めよう」と平然と話す文正仁氏は文在寅・大統領の本音の代弁者ともいわれる。  韓国は中国の「関係改善の3条件=3つのノー」要求をほぼ無条件で呑み、ほぼ満額回答で応えた。  (1)米国のミサイル防衛システムに加入しない。  (2)日米韓の安全保障協力は軍事同盟に発展しない。  (3)北朝鮮・朝鮮人民軍の核・ミサイル攻撃などから韓国を守る米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)システムの���加配備をしない。  「3つのノー」を丸呑みしたのも、文在寅・大統領と文正仁・特別補佐官の共通方針だ。 既に(2)は実行に移された。朝鮮戦争再開前夜の危機的状況の中、11月14日まで日本海で行われた日米(韓)共同演習の直前、韓国は参加を拒否。日米と米韓の分離演習を成功させたのだ。  もっとも、米国防総省では、文在寅政権発足の5月以降、韓国軍への情報統制を強化。むしろ、文正仁・特別補佐官や筋金入りの親北活動家、任鍾晢・大統領室長らが北朝鮮側に米韓軍情報を通報するとみて、ニセ情報すら流し始めた、という。  在韓米軍でも、韓国軍最高司令官の文在寅・大統領が朝鮮戦争再開時、韓国軍の作戦行動を鈍化させ、半ば静観する事態に備えている。11月9日、中国の習近平・国家主席と会談したトランプ大統領は「問題解決の時間はなくなりつつあり、『全ての選択肢』が依然、テーブルの上にある」と伝えたが、『全ての選択肢』に、韓国大統領命令で「洞ヶ峠を決め込む」韓国軍への対抗作戦が加わったのだ。米軍は、韓国に対して《彼我(敵・味方)の識別》を開始したのである。  文在寅政権は、米韓同盟解消と同盟解消に伴う在韓米軍撤退を確実に狙っている。 文正仁・特別補佐官も「多くの人が『韓米同盟が崩壊しても戦争はいけない』と言っている。同盟が戦争をする仕組みになっているのなら、同盟に賛成する人はあまりいない」「南北関係がうまく解決すれば、韓米同盟にはこだわらない」との放言、否、文在寅政権の戦略を明言した。 北朝鮮との同化を狙う文在寅政権  実のところ、在韓米軍撤退は過去に《戦時作戦統制権の返還》を隠れ蓑に、実行寸前まで謀られた。  戦時作戦統制権とは、戦時に軍の作戦を指揮する権限。現在の米韓連合司令部では、在韓米軍司令官(大将)が連合軍司令官を兼務して戦時作戦統制権を行使し、連合軍副司令官は韓国軍の大将が就いている。言い換えれば、韓国軍は戦時、米軍の指揮下で軍事行動し、単独で自軍を動かせない。  戦時作戦統制権の淵源は、朝鮮戦争(1950~53年休戦)にまでさかのぼる。爾後、従北サヨク政権の出現の度、戦時作戦統制権が米韓の駆け引きのテーブル上に並び、保守政権で延期を繰り返した。 従北サヨクの盧武鉉政権は米国に向かい戦時作戦統制権の返還を求めた。要求を受け、2006年の米韓首脳会談で米国は戦時作戦統制権の返還に合意する。2007年には返還期限「2012年4月」が設定された(後に保守政権で延期)。  ところが、盧武鉉・大統領(1946~2009年)の隠された狙いは戦時作戦統制権の返還ではなかった。盧氏は返還要求前、恐ろしい極秘命令を韓国軍合同参謀本部に下していた。  「在韓米軍撤退と撤退に伴う対策の研究をせよ」  自軍戦力の限界を悟る韓国軍合同参謀本部は、のけ反った。  そこで、盧氏の研究命令を「戦時作戦統制権の返還」に巧みにすり替えたのだった。   韓国の従北サヨク政権の陰謀が在韓米軍撤退にあると察知した米国は以来、戦闘部隊を含む各部隊を南北軍事境界線(38度線)はもとより、ソウルの後方へと逐次後退させている。  盧武鉉・大統領を大統領選挙中も支え、盧武鉉政権では大統領秘書室長を務めるなど「盧武鉉の影法師」と呼ばれ最側近だった文在寅・大統領も、自らの大統領選挙で戦時作戦統制権の任期内返還を公約。盧武鉉政権にならい、またも戦時作戦統制権の返還話を持ち出した。 しかも、師であった盧氏の失敗に学んだ弟子の文氏は、「在韓米軍撤退と撤退に伴う対策の研究」を命令し、慌てた韓国軍合同参謀本部が「戦時作戦統制権の返還」へと盧武鉉政権時と同様、再び巧みにすり替え、上申しようとも、百パーセント看破し上申を却下。在韓米軍撤退へのカジを固定する。  文在寅政権はまさに、北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞の論説と同じ路線を歩んでいる。いわく-  《米国は米韓連合司令部を速やかに解体し、直ちに撤退すべきだ》    かくして、韓国は既述した「3つのノー」にも象徴されるが、在韓米軍撤退に向け「韓中協商」を樹立し、静かに極左化を始めている。が、在韓米軍撤退も筋書きの途中経過に過ぎない。では、最終到達点は奈辺にあるのだろうか? 筆者が安全保障関係者と実施したシミュレーションでは、次のシナリオが結果の一つとして浮上した。  《韓国を可能な限り極左化し、中国の支援を受け、北朝鮮と同化していく謀略》  「朝鮮半島で、韓国の『事前』同意のない軍事的行動はあり得ない」と、文在寅・大統領が国会などで繰り返した演説にも、北朝鮮との「同化謀略」への準備を臭わせる。実際、米国の対北攻撃態勢を『事前』に掌握し、中国や北朝鮮に通報するハラだと、シミュレーションの一つは映し出していた。 ただし、これまでの韓国のように中国に利用されていると考えるのも早計だ。   極めて深刻かつ不気味なのは、トランプ大統領の訪韓中、ニコニコ顔を作り続けた文在寅・大統領に透けて見えるが、韓国が米国にも良い顔をし、その陰で中国と誼(よしみ)を通じる背景に、韓国の歴代政権とは異なり《事大主義》の臭気が感じられぬ点だ。  事大主義とは《小が自らの信念を封じ、大=支配的勢力に事(つか)え、自己保身・生存へと流されていく外交姿勢》などを意味する。  文在寅・大統領は大国たる中国へと流されているのではない。むしろ、積極的に中国に近付き→韓国の極左化を加速させ→在韓米軍を追い払い→北朝鮮との同化を目指している。 http://www.sankei.com/premium/news/171127/prm1711270005-n1.html
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