TEDにて
ハリー・クリフ:物理学は終焉に達したのか?
(詳しくご覧になりたい場合は上記リンクからどうぞ)
なぜ物は存在しているのでしょう?宇宙に面白いものがこうもたくさんあるのはどうしてなのでしょう?
CERNの大型ハドロン衝突型加速器を使って研究する素粒子物理学者であるハリー・クリフのメッセージは、そのような疑問への答えを求める人たちにとって悪い知らせかもしれません。
地上最大の装置と科学者達の最善の努力にもかかわらず、自然の持つ奇妙な性質を説明しきることは出来ないかもしれないのです。
これは物理学の終焉を意味するのでしょうか?
宇宙が秘める構造の研究状況を伝えるこの刺激的な講演に耳を傾けましょう。
一般相対性理論と量子力学について。
100年前の今月、36歳のアルベルト・アインシュタインは、ベルリンにあるプロイセン科学アカデミーで空間と時間と重力に関する画期的な理論を発表しました。一般相対性理論です。
一般相対性理論は、疑いなく、アインシュタインの最高傑作で大きなスケールでのユニバースの仕組みを明らかにし、1行の美しい方程式によって、リンゴが木から落ちる理由から時空間の始まりまで説明します。
1915年は物理学者にとって、エキサイティングな年だったに違いありません。2つの新しいアイデアが、世界の見方を一新しました。
1つは、アインシュタインの相対性理論で、もう1つは、さらに革命的とも言える量子力学です。頭がおかしくなりそうなくらい奇妙でありながら、原子や素粒子のなすミクロの世界が驚くほど、人間が理解できるよう、うまく精密に説明できます。
この1世紀の間に、この2つのアイデアは、ユニバースに関する私たちの理解をすっかり変えました。ユニバースが何でできていて、どのように始まり、どう進化しているのか?私たちが知っているのも相対性理論と量子力学のお陰です。
100年経った今、私たちは物理学における別の転換点に差し掛かっていますが、様相が異なっています。この先、数年で結果が 出るかもしれません。果たして、私たちは自然についての理解を広げ続けていくことができるのか?
それとも科学の歴史で初めて答えることの出来ない問に直面することになるのか?知恵や技術が足りないからではなく、物理法則がそれを認めないため!!にです。
問題の要点は、ユニバースが面白すぎるということです。
相対性理論と量子力学によれば、ユニバースはもっと退屈な場所であるはずなんです。暗く、命を寄せ付けない死んだ世界です。しかし、周りを見渡してみると私たちが生きているユニバースは、面白いものに溢れています。
満天の星々、惑星、木々、リス。疑問は、なぜこんな面白いものが存在しているのか?ということです。
なぜ?無ではなく、物の存在があるのか?この矛盾は、基礎物理学において最も差し迫った問題で私たちにこの問題を解くことができるのか?今後、数年で答えが出るかもしれません。
この問題の中心には2つの数値があります。
とても危険な数値です。
それはユニバースの性質を示す測定可能な値で危険だというのは、それがほんのわずかでも違っていたなら、我々の知るユニバースは存在しえないからです。2つの数値の1つは、この会場からすぐ近くにあるCERNで発見されたことに関係しています。
CERNには、この人類が作り上げた最大の科学装置があります。大型ハドロン衝突型加速器(LHC)です。この装置は、全周約27キロの輪の中で素粒子を光速に近いスピードまで加速し、巨大な粒子検知器の中でぶつかり合わせます。
2012年7月4日。CERNの物理学者がLHCによる猛烈な衝突により、新たな基本粒子が生成されたと発表しました。ヒッグス粒子です。
ヒッグス粒子とは、ピーター・ウェア・ヒッグス(Peter Ware Higgs)がイギリスの理論物理学者が提唱した粒子像で、これにより、つじつまがあう場の量子論ができるということ。計算上の証明は、トフーフトが厳密に証明しました。
この粒子は、単独で動き回る粒子ではなく、ひとつひとつではエネルギーを持たない動かない粒子が時空間に充満しているというもの。
この充満してるヒッグス粒子中を別の粒子が動くと、もともとは質量を持っていなくても、あたかも質量を持っているようにふるまう。
質量の根源とも言われます。神の素粒子とも・・・
当時、ニュースをチェックしていた人は、多くの物理学者がとても興奮していたのを見たことでしょう。新しい粒子が見つかるたびに、物理学者はあんなバカ騒ぎをするのか?と思ったかもしれません。
そういう面もありますが、ビッグス粒子はちょっと特別なんです。私たちが興奮したのは、ビッグス粒子の発見は、普遍的エネルギー場の存在を証明するからです。
エネルギー場と言われても分かりにくいかもしれませんが、誰もが体験しているものがあります。磁石を鉄に近づけると間を隔てて引き合う力を感じるはずですが、それは、場の効果を感じているんです。
ヒッグス場は、磁場に似ていますが、違うのは、値がどこでも一定だということです!!
今も、私たちの周りに存在しています。見ることも触れることもできませんが、もし、それがなかったなら私たちは存在していないのです。ヒッグス場は、私たちを形作る基本粒子に質量を与えます。
それがなければ、粒子は質量を持たず、原子が形成されることもなく我々も存在しないのです。
しかし、ヒッグス場には、ひどく不思議なところがあります。相対性理論と量子力学から計算によって導かれる結論は、それには電気のスイッチのように自然な2つの状態があることを示しています。
オフ状態で宇宙のどこでもゼロか。オン状態で膨大な値を持つかです。どちらの場合でも、原子は存在できず、私たちが、ユニバースで目にするあらゆる興味深いものもまた存在しません。
実際には、ヒッグス場は、かすかに、オンの状態でゼロではありませんが、完全にオンの状態より1京倍弱く、電気スイッチがオフの手前でほぼ引っかかっているような状態です。
この値は、とても重要です。わずかでも違っていたら宇宙に物理的構造が 存在しないからです。
これが、危険な値の1つ目。ヒッグス場の強さです。
理論物理学者は、なぜこのような妙な値になっているのか知ろうと何十年も努力を続け、様々な人間が認識できるような説明を考え出し「超対称性」とか?「大きな余剰次元」みたいなかっこいい名前をつけています。
ここで立ち入った説明はしませんが、鍵になるのは、これらのどれにせよヒッグス場の奇妙な値を説明できるならLHCでヒッグス粒子とともに生成される新たな粒子が観測されるはずだということです。これまでのところそのようなものの兆候は、見つかっていません。
実は、こういう危険な値が妙な値をしているというさらにまずい例があって、それは、スケール的に反対の両極端。遙か彼方の巨大なユニバースの研究から来ています。
アインシュタインの一般相対性理論の最も重要な帰結の1つは、ユニバースがビッグバンと呼ばれる138億年前の急激な時空の膨張で始まったと分かったことです。
初期のビッグバン理論では、ユニバースの膨張は、重力の力によって徐々に遅くなっていくと考えられていました。
しかし、1998年に天文学者が驚くべきことを発見しました。ユニバースの膨張は加速しているのです。ユニバースは、ますます速く、大きくなっていて、それを後押ししているのが、謎の反発力。ダークエネルギーです。
物理学で「ダーク」という言葉を聞いたときは疑ってかかってください!!
物理学者は、それが何かよく分かってないことを意味するからです!!
ダークエネルギーが何なのか分かりませんが、あえて言うなら、何もない空間の持つエネルギー。真空のエネルギーです。古典的な量子力学を使ってダークエネルギーの強さを計算すると、まったく驚くような結果になります。
ダークエネルギーは、天文学で観察される値よりも10の120乗倍。強いはずなのです。1の後に0が、120個付く、ということです。これはまったく目が回るような値で理解不能です。
大きな数字のことをよく「天文学的」と言いますが、それでさえ不足です。この値は、天文学におけるいかなる値よりも大きく、千の1兆倍の1兆倍の1兆倍。ユニバースにある原子の総数より大きいのです。
極めてまずい予測です。実際、これは物理学における最悪の予測だと言われてきました。
しかも、これは理論的な興味だけの話ではありません。もし、ダークエネルギーがそれほど強いのだとしたら、ユニバースはバラバラになり、銀河は形成されず、我々もここに存在しません。
これが、危険な数字の2つ目。ダークエネルギーの強さです。
これを説明するためには、ヒッグス場よりもさらに曲芸的な調整が必要になります。ヒッグス場とは異なり、この値を説明できるものは知られていません。
希望が持たれていたのは、大きなスケールのユニバースの理論であるアインシュタインの相対性理論と小さなスケールの宇宙の理論である量子力学の完璧な組み合わせによって解決できるかもしれない。ということでした。
統一理論の候補として、最も有望視されているのはストリング理論で、その基本的なアイデアは、世界を構成する基本粒子を拡大して見ていくとそれは粒子ではなく、小さな振動するエネルギーの弦で、振動周波数ごとに異なる粒子に対応していて、ギターの弦に対する音符のようなものだ。ということです。
これはエレガントで、ほとんど詩的とも言える世界の見方ですが、実は、救いがたい問題があります。ストリング理論というのは1つの理論ではなく大きな理論の集まりなのです。ストリング理論には、異なるバージョンが、10の500乗個あると見積もられています。
そのそれぞれが異なる物理法則を持った異なるユニバースを記述しているのです。そんなの科学とは言えない。という批判があります。この理論は反証し得ないと。
一方で、ストリング理論の破綻と見えることが実は、最大の利点かもしれないと見る人々もいます。
その10の500乗個の異なる可能なユニバースが、実際、多元ユニバースのどこかに存在しているとしたら?そうすると突然、あの2つの危険な数値が奇妙な値をしていることも理解できるようになります。
多元ユニバースのほとんどでは、ダークエネルギーが強すぎてユニバースがバラバラになってしまうか、ヒッグス場が弱すぎて原子が形成されないが、私たちは、たまたま2つの値が適切な値をしている場所に生きているということです。
つまり、ゴルディロックスのユニバースです
我々は極めて苛立たしい状況にあります。多元ユニバースなど存在しない。というのではありません。他にも惑星があり、恒星があり、銀河があるのだから、他のユニバースがあってもおかしくはないでしょう。
問題は、新たに構築しない限り、我々、人間が理解でき、認識できるような確証を得る手段は、現在のところはないだろうということです。
次元に関してはこの場合、数学的な次元を前提としています。
次元のコンパクト化の説明の前に、数学的な次元の重要性について、さて、一般相対性理論をカルツァは、電磁気力に応用していきます。
当時は、それが重力以外に考えられる唯一の力でした。つまり、電気や、磁石の引き付けなどを引き起こす力のことです。
ここで空間と時間が歪むこと以外に、もしも次元が歪むことで電磁気力が働くかもしれないことに気づきます。
1926年にオスカークラインも、知覚で見えない次元がある可能性を示します。5 次元化して電磁気力も幾何学として表せるようにしたカルツァ・クライン理論というものです。
カルツァが3次元ではなく、4次元の宇宙における歪みと曲がりを説明する方程式を書き出した時、彼はアインシュタインがすでに3次元で導き出していた方程式を見出しました。それらは、重力を説明するための方程式です。
でも、カルツァは次元がひとつ増えたことによるもうひとつの方程式も見つけました。その方程式を見てみるとそれは正に科学者たちが長年の間。電磁力を表すために使ってきた方程式でした。驚くべきことです。それが、こつぜんと計算結果に現れてきたのです。
こうして、数学的な次元は、空間の量子化を数値的に表現できるようになっていくキッカケになりました。
その後のカルツァ・クライン理論は、無限に存在する次元の形状の一部をカラビ・ヤウ多様体として表現できました。
例えば、手を振って大きな弧を描く時、手のひらは3つの広がった次元の中ではなく、巻き上げられた次元の中を突っ切っています。
もちろん、巻き上げられた次元はとても小さいので、体を動かす間に、こうした次元を1サイクルして出発点に戻ることが繰り返され、その回数は、膨大な数にのぼります。このように次元の広がりが小さいと言う事は、手のような大きな物体が動く余地があまりないと言うことです。
それは結局、平均化されてしまい腕を振った時でも、私たちは巻き上げられたこのような次元を横断し膨大に旅したことに全く気づいていません。
これは、結び目の不変量にも関連しています。
まず初めに、円周を3次元ユークリッド空間に埋め込んだものを「結び目」と定義していることから始まります。
結び目理論においては、変形して移り合う「結び目」は、同じ「結び目」とみなして「結び目」を研究する。
「結び目」を研究するひもの結び方はいろいろあるので、様々なタイプの「結び目」がある。では、「結び目」のタイプはどのようにして区別すれば良いのであろうか?
「結び目」に対して定められる値で、「結び目」を変形することに関して不変であるようなものを「不変量」と言う。結び目理論は、トポロジー(位相幾何学)の一分野である。
1980年代に、数理物理的手法が、低次元トポロジーに導入されて、3次元トポロジーにおいては「結び目」と3次元多様体の膨大な数の不変量(量子不変量)が発見された。
これによって、4次元トポロジーには、ゲージ理論がもたらされることになりました。これらからゲージ場の数学的根拠として、活用されることになっていきます。
ゲージ対称性、アイソスピン、クォーク理論、ヒッグス粒子など。
さらに、数理物理に由来する量子群や共形場理論、チャーンサイモンズ理論もあります。
そして、スーパーストリング理論や量子化学の「変分法」にも応用されている。
次元のコンパクト化の説明についても結び目理論が関連してきます。
(個人的なアイデア)
現在、明らかにされている事象から、ある仮説が2021年にインスピレーションとして突然ひらめいた。
それは、宇宙背景放射のデータ観測とヤンミルズ理論の偶然の一致。
どういうことか?
この物理的意味は、地球を含めたラニアケア全銀河が、単なるひとつの超巨大な粒子でしかなく、ヤンミルズ理論に似たふるまいをする可能性です。
この仮説が的を得ていれば、量子レベルならフェムト秒単位で光速近くまで速く動いてて内部を観測できなくても•••
光年単位で変化する銀河レベルなら現象を人間が認識できる時間で観測できて量子レベルの動きなどの比較データ検証ができるかもしれない。
さらに、スーパーストリング理論で予言されているように他ユニバースの超巨大粒子とも相互作用してたら?銀河最大のエネルギーでも銀河レベルの対称性は破れないことになる(計算上の結果です。現時点の人類には観測できない)
巨大レベルのフェルミバブルが、量子力学現象と偶然にも一致するなら他の可能性でも一致するかもしれません。
上記の概念の根拠は、遥か古代にも伝承されていることでもあり、仏教では、地球を含めた全宇宙は、ひとつの超巨大な粒子の中に収まりフラクタルに巨大になっていく話
他にも、チベット密教最高の教えにある「カーラ•チャクラ・タントラ」とヒンドゥー教の神話にも「人間の一年は神の一日に相当する」という表現をハイブリッドにしました。
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ジム・ホルト:宇宙はどうして存在するのか?
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― Jimmy Criff | Breakout ―
ジミー・クリフ | ブレイクアウト
今日の聴き始めの音楽はこのアルバム♪
I started listening to today's music with this album.
2022年10月31日 月曜日
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クリフの肩に乗っているやつ何~?
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ミリタリコートが好き。博士が着るとクリフみたいかな。
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ゴースト・ドッグ
フランス映画社
監督:ジム・ジャームッシュ/出演:フォレスト・ウィテカー、ジョン・トーメイ、クリフ・ゴーマン ほか
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『The Songs of Carole King』(Not Now Music)の全曲解説 Disc 1
イギリスのレーベル「Not Now Music」から出たキャロル・キングの作品集。彼女が作曲家としてアーティストに提供した楽曲、また地味な存在ながらも歌手としてリリースした自身の楽曲をコンパイルした3枚組で、いわゆる著作権切れCD。その関係で、収録曲のリリース年も1962年頃までとなっている。この「Now Now Music」のCDは輸入盤として日本の大きなCDショップでもよく置かれているので入手は簡単。値段もこのボリュームにしては格安。バラツキのある音質や、どういう基準でそうなったのかよくわからない曲順など、もちろん普通のCDに比べると難ありな代物だが、こうしたグレーゾーンなCDならではの適当さはとりあえず置いておいて、全曲の解説をしてみたい。ディスク2までほぼ書き終えていて、ディスク3はほぼ手つかず。いつ書き終わるかわからないので、とりあえずディスク1の分だけここに書き残しておく。
◎超有名曲/◆知っておきたい佳曲/☆レア曲
※作品は基本的にすべてジェリー・ゴフィンとの共作。それ以外の曲については個々に表記。
1-1
Carole King It Might As Well Rain Until September
◆キャロル・キングが60年代に歌手としてリリースしていた5、6枚ほどのシングルの中でもっとも成功した曲。「泣きたい気持ち」の邦題で日本でも発売されている。全米22位、全英3位という好成績ではあったが、これ以上のヒットが続かず、ひとまずは裏方として作曲家のキャリアを重ねていくことになる。
1-2
The Drifters Up On The Roof
◎黒人男性ヴォーカル・グループのドリフターズに書いたヒット曲。のちに彼女もシンガーソングライターとして仕切り直しとなった最初のアルバム『Writer』でセルフ・カヴァーしている。
1-3
Little Eva The Loco-Motion
◎作曲家時代のキャロル・キングの代表作といえる大ヒット曲。ゴフィン&キング夫妻のベビーシッターだったリトル・エヴァに歌わせた、という話はキャロルの半生を描いたミュージカル『ビューティフル』にも採用されたほど有名は逸話であるが、これはいわゆる伝説や神話のたぐいで、リリース当時、宣伝のために広められた作り話だと思われる。1970年代のグランド・ファンク・レイルロードによるカヴァーでも有名。
1-4
Bobby Vee Take Good Care Of My Baby
◎この時期のアメリカン・ポップスを代表するティーンポップ・アイドルのひとり、ボビー・ヴィーのヒット。他の男のもとに走った元カノを心配する切ない曲。ビートルズがデビュー前に受けたデッカ・レコードでのオーディションで、ジョージ・ハリスンのヴォーカルで披露したことでも知られている。当時の邦題は「サヨナラ・ベイビー」。
1-5
The Cookies Chains
◎リトル・エヴァと同じ、ディメンション・レコードのガール・グループであるクッキーズに書いた曲。これまたビートルズがジョージ・ハリスンのリード・ヴォーカルでカヴァーしており、ファースト・アルバムの『Please Please Me』に収録されている。
1-6
Steve Lawrence Go Away Little Girl
◎もともとはボビー・ヴィーのアルバム曲だったが、イーディー・ゴーメとの夫婦デュエットも有名なスティーヴ・ローレンスがカヴァーしたことで全米ナンバー1の大ヒット。ポップスよりもよりジャズに近いポピュラー/スタンダード歌手がとりあげたことは、作曲家としては他のポップス作家よりも1ランク上とみなされる栄誉だったのではないだろうか。1971年にはオズモンド・ブラザーズのドニー・オズモンドがリメイクし、こちらもヒット。その余波を受けてか、日本でも郷ひろみがデビュー・アルバム『男の子 女の子』でカヴァーしている。
1-7
Billy Fury Halfway To Paradise
◆クリフ・リチャードとともにビートルズ登場以前のイギリスでロック・アイドルとして君臨していたビリー・フューリーが歌う全英3位の大ヒット。この曲を歌った1961年の頃、心臓の弱い彼はロックを歌い続けることができなくなり、バラード歌手として路線変更をしたのだそう。しかし結局は心臓発作によって若くして亡くなってしまった(享年42)。
1-8
Jackie DeShannon Heaven Is Being With You
☆そのキャリアと功績の割にいまひとつ評価が低いような気がするアメリカの女性歌手ジャッキー・デシャノンの曲。1961年のシングル「Thinnk About You」(こちらは彼女の自作)のB面曲。ハスキーな彼女の歌声がよく生かされている。
※作詞はジェリー・ゴフィンに加え、彼らの良きライバル、良き友人であるシンシア・ワイルが手伝っている。
1-9
Ben E. King Show Me The Way
☆「スタンド・バイ・ミー」で有名なベン・E・キングによる歌唱。ドリフターズのリード・ヴォーカリストだった彼はグループを脱退し、独立。そのソロ第1弾シングルとして書かれたもので(「Brave Yourself」のB面に収録)、作風もドリフターズと似たようなドゥーワップ色の強い雰囲気である。
1-10
The Crystals No One Ever Tells You
◆大プロデューサー、フィル・スペクターのもとで「Da Doo Ron Ron」などの大ヒットを生んだガール・ポップグループ、クリスタルズへの提供曲。恐ろしいDV肯定ソング「He Hit Me」のB面に収録された、A面同様に浮遊間のあるメロディのバラード。A面共々このB面も埋もれることとなった。
※作者にはフィル・スペクターの名前もクレジットされているが、これはプロデューサーであるスペクターが印税を作曲家から横取りするために仕組んだもので、おそらく曲作りにはタッチしていない。
1-11
Gene Pitney Every Breath I Take
◆日本では「ルイジアナ・ママ」のオリジナル歌手として知られているジーン・ピットニーの初期のヒット曲。プロデュースはフィル・スペクターで、すでに尋常でなく壮大で重量感のあるサウンドを生み出している。
1-12
Carole King Nobody's Perfect
☆「It Might As Well Rain Until September」のB面曲で、オーソ��ックスなロッカ・バラード。
1-13
Paul Petersen Keep Your Love Locked (Deep In Your Heart)
◆アメリカでは俳優や作家などマルチに活躍しているらしい、ポール・ピーターセンへの提供曲。この時期はティーン歌手として人気を博していた模様。
1-14
Connie Stevens Why'd You Wanna Make Me Cry
◆女優で歌手でもあるコニー・スティーヴンスに提供した、1962年のシングル曲。全米50位程度のソコソコのヒットとなった。ハリのある歌声が印象的。
1-15
The Shirelles What A Sweet Thing That Was
☆バート・バカラックが書いた「Baby It‘s You」でも知られるセプター・レコードのガール・グループ、シレルズへの提供曲で「A Things of the Past」のB面に収録された。同じく彼女たちが歌ったゴフィン&キングによる名曲「Will You Love Me Tomorrow」の焼き直しのような気がしないでもない。
1-16
Curtis Lee Just Another Fool
☆フィル・スペクターのプロデュースで「Pretty Little Angel Eyes」をヒットさせたティーンポップス歌手への提供曲。牧歌的なサウンドが魅力的だが、少々平凡で全米110位に終わった。
1-17
Annette Dreamin' About You
☆初期ビーチ・ボーイズとの共演でも知られるアネットの1961年のシングル。ディズニーが制作した一連のティーン向けコメディ映画のヒロインでもあった彼女のレコードは、もちろんディズニー傘下のブエナ・ビスタ・レコードからリリースされていた。
1-18
Bobby Vee How Many Tears
◆彼の初期の代表曲「Rubber Ball」と先ほどの「Take Good Care of My Baby」と間に当たる時期にリリースされた1961年のシングル。ストリングスが印象的な忙しないリズムは翌年の大ヒット「The Night Has A Thousand Eyes」の予告編という感じで、これがリバティー・レーベルのサウンド。プロデュースはもちろんスナッフ・ギャレット。
1-19
Vinnie Monte Follow That Girl
☆Jubileeというちょっとマイナーなレーベルの歌手、ヴィニー・モンテが歌うコミカルな曲。その後、彼はジョニー・ソマーズの大ヒット曲「Johnny Gets Angry(内気なジョニー)」のアンサーソング「Joanie Don’t be Angry」(直訳:怒らないでジョニー)というを歌ったりもしていたが、割と最初からネタっぽい立ち位置だったのだろうか。1965年を最後に徐々にフェードアウトしていった。
1-20
Tony Orlando Happy Times (Are Here To Stay)
◆かなり後になってから「幸せの黄色いリボン」「ノックは3回」のヒットを飛ばすことになるトニー・オーランドの1961年のシングルで、キャロルの他にもバート・バカラックなど、その後にビッグネームになる作曲家の初期作品を歌っている重要なシンガーである。プロデュースはドン・カーシュナーとジャック・ケラー。アレンジにキャロル自身も携わった鉄壁の布陣である。
※作詞にはシンシア・ワイルが加わっている。
1-21
Andy Williams Help Me (Find The Way Back To Your Heart)
☆この時すでにベテランになりつつあったアンディ・ウィリアムスのシングル「The Wonderful World of the Young」のB面曲。すでに確立されていた彼のスタイルで朗々と歌い上げている。こちらも1ランク上のお仕事という感じで、大手レーベルの録音なのでサウンドが豪勢である。
※ゴフィン&キングとクレジットされているがこれは誤りで、シンシア・ワイルとの共作のようである。
1-22
Ann Margret I Was Only Kidding
◆エルヴィル・プレスリーと映画で共演するなど日本でも人気の高いアイドル女優、アン・マーグレットへの提供曲。彼女はやはり大手のRCAビクター所属で、「Jim Dandy」のB面とはいえ着実にステップを重ねていったようだ。キャロル・キングらしいちょっと粘っこいメロディが彼女のコケティッシュなヴォーカルによくマッチしている。当時同じカップリングで日本でもリリースされており、「ゆうべのはほんの冗談よ」という邦題で紹介されている。
1-23
Billy Fury I'd Never Find Another You
☆「Halfway to Paradaise」に続く、ビリー・フューリーのシングル。前作のイメージを引き継いだ堅実なサウンド。
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Craig Douglas When My Little Girl Is Smiling
☆引き続きイギリス勢からクレイグ・ダグラス。もともとはドリフターズに提供した曲で、イギリスでは彼(トップ・ランク・レコード)とジミー・ジャスティス(パイ・レコード)のバージョンが競作になったようである。
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Carole King Under The Stars
◆キャロルの2枚目のシングル「Baby Sittin’」のB面曲だが、ニール・セダカもよく使うおなじみのリズムでキャッチーに聴かせてくれるなかなかの楽曲。ABCパラマウントでのリリースはここまで。A面同様こちらも彼女の単独作曲。
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相変わらず精巧なフィギュアだ……。これってどういう原理?
ルーとふたりで!
再びふたり旅! 引き続き本編を進めたいところだけど、せっかくなのでちょいと寄り道。
プライベートルームから出ると、久々の光景が。ジョン、誰!?
って思ったけど、見るにクリフが率いていた隊の一人?部下?っぽいな。すごい気になるところで終わったけど……
ずっと気になってた雪山の中のハートマークって、もしかしてハートマン!?!?!?
(なぜか愛にあふれたプレッパーズの美女が暮らしていると勝手に思い込んでいた)
予報を見ると、10分後には付近一帯が晴れそうだった。これはつまり、あの依頼を受けるチャンス!
医者の指名なし依頼の一つに、登山家への大荷物の配送依頼があるのだが、トラックが必要な量である上にBTの座礁地帯を通ることがわかっていた。
攻略法はずばり! 晴れのタイミングに突っ切る!!
だったのだが、いざ依頼を受けて荷物を乗せたところで気付く。まだ10分も経ってない(`・ω・´)
仕方ないので医者の近くを探索。
看板が建ててあって、間違いかな?と思ったらすぐ近くにあった! ありがたい〜
ルーと久々に温泉でリラックスできて嬉しかった♨️
それと、初めて荷物カタパルトを使ってみて、面白い〜!となったものの、直後に予報通り雪山の方面が晴れの天候になっていて、飛ばした荷物はそのままに急いでトラックを走らせた。
赤ちゃん生まれてる!!
大変な依頼だったためか、一気に親密度MAXになったんだけど、キノコて!!
ついでについに、配達人グレードが『デリバラー』になった。
ここまで来たら、前回立ち寄れなかったファースト・プレッパーのところにも行っておきたい。
途中、嵐で吹き飛ばされた小屋の跡地でメモリーチップを見つけたりした。
ボロボロや……。
ファースト・プレッパーの依頼は事前準備が必要なものだった。雪が降り出す前にスピリチュアリストそばのセーフハウスへと向かい、スティッキーガンを作成。
おそるおそる崖下の荷物目がけて発射!キャッチ!! 訓練場以外で初めて使ったけど、便利だ……開放してて良かった。
しかし、ファースト・プレッパーはカイラル通信を繋いではくれなかった。さすが最古のプレッパーズの一族。まだ時間がかかりそうだ。
ひとまずマウンテン・ノットに戻ることにした。
ポーターの三人組と遭遇! もうすぐ雪が降るぞー
降り出す前に、小屋と共に吹き飛ばされたデッドマンの装備を拾ってきてほしいという指名依頼を受けた。さっきそのへん行ったな。
これもまあ大変難儀な場所にあって、まっすぐ崖を登ろうとしたら、登りきれずに転落。
ルーをあやしながら、ああこうするのも久々だなあとちょっとじんわり来た。
横から回り込んで、さっきのスティッキーガンがここでも活きる。ラッキー!
指名依頼だから何か開放されるかと思ったが、別にそんなことはなかった。
ひとやすみしたら、あらためてハートマンのところへ行くぞ!
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サクッと極上なせツアー。
本日はなせツアー。参加者全員関東の方だったのでこりゃあツアー中止もありえるなーと思っていましたが、全員無事に到着!流石ほうてい野郎供。
朝一お客さんと合流して一言。「あの〜レンタルのスノーシューとポールは…」
はぁっ!!😱
やっべえ〜完全に忘れてたー!!すぐさまローカルネットワークを発揮し近所に住むHACHIクルーのこいやのうなpから借りることに成功!!ヒュ〜あぶねえ〜。
本日のお客様、お一人だけ初バックカントリーですが、他の方々は結構、山に行ってる手練れ達。常に冒険を求めている訳ではない、しんどくないヤツを期待して集まった面々。
その初バックカントリーのゲストは手練れの一人の娘さんの婿殿。手練れさんは重度のほうてい野郎ぷりに家族から変態扱いされてるらしいので、今日は義理の息子を味方につけるために誘ったそうです。
一発目で晴天八方バックカントリーを引き当ててる時点で、もはや思う壺ですぞ。ぐふふ。
お美しい雲海です。
カメラマンのエンちゃん。写真ないけどルイキと吉野アサヒとシューティングだそうで。ルイキと話してて、「いや〜今日はジャクソンにちょっと行きたいラインがあるんだよね〜。2段クリフなんだけどさー。」なんて言っててさっき彼のインスタ見たら、バッチリ決めてました。ヤバが過ぎるよ、この子は。
加藤サヤカ嬢もいらっしゃいました。わたほてステッカーをあげたい一人です。
さてさて、ど定番のイージーな斜面は先取りされてしまったので手前から落としますか。
ウィンドスラブにはご用心。
スキーカットには反応せず。ほんじゃどうぞ〜!!
風と日射で最高ではないが悪くもない雪。
初BCの彼。壮大なフィールドを楽しんでいるご様子。義父様も嬉しそうです。
昨日の夕方思いつきで千葉からカッ飛んできた男。でかいターン!!
続くメロウな斜面もまあまあな感じ。いやね、一本めは景色拝みに来ただけっすから。
これからですぜ旦那!
壮大な景色楽しんでる〜?
スノーボード泣かせなトラバースにそれどころじゃねえ人達。
こっからがいい雪!はいどうぞ!!
イェェェェェェェェェ!!!!!
ヒョェェェェェェェェェ!!!
スノーボーダーズ、いいスプレーあげてますぞ!
続く斜面も極めて上!!
ここに新たなほうてい野郎が誕生した。
気持ちが良すぎてこまっちんぐマチコ先生。
雪が良すぎてこまっちんぐマチルダさん。
一同昇天!!!
いや〜いい雪でしたねー!手練れの皆さんはもうなせでいいんじゃねえのなんて言う始末。たまたま条件よかっただけですので!!
ともあれ、初BCのゲストは本当にいいタイミングを当てたのではないでしょうか。またのお越しをお待ちしてますよー!
本日もおしょっ様でした!お疲れ山でした!!
ツアー終了後、スノーシューとポールを返しがてらこいやに食べに来ました。ジンギスカン、蕎麦、うなぎ、みんな美味いですよ!!
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ポケモンGOの世界で暗躍する悪の組織・GOロケット団。 その中のロケット …
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1日数食日記
2/15(木)
昨日の仕事の失敗が気になって朝早く対応したあとは、結局映画漬けの一日。有給休暇の過ごし方なんてそんなものでいいんだろう。
映画
1. ルディ・レイ・ムーア / クレイグ・ブリュワー
似た映画に『ディザスター・アーティスト』が入っているが、自主映画製作モノという同じジャンルではある。ただ、この映画そのものがブラックプロイテーション・ムービー的醍醐味(オマージュだから当然か)も充分味わえる、という意味では大変おいしい一作と言えるだろう。
ところでルディ・レイ・ムーア、ディスコグラフィーの多くが配信で聴けるようだが、1959年からアルバムを作っていて、1970年より前の三作品は、バックの演奏が無い語りのみの実況録音盤だった(シングルでは歌モノのR&Bナンバー"Step It Up & Go"を出しているようだが)。ということは、やはりラップの元祖的なレコードで世に出るより前にもそれなりにコメディアンとしてのキャリアがあって、しかもタイトルだけ見ると結構お下品だから、芸風はあまり変わらずスタイルが固まって売れたんだな。最初ブロウフライみたいな人かと思って観てたけどだいぶ違った。映画的脚色は全然構わないけど、最初は歌手になりたい人だったのかな、と思うよねあれは。余談ですが。
最高のベッドシーンは実際にあのままだったんだ、と感動した。
2. シーズ・ガッタ・ハヴ・イット / スパイク・リー
『ドゥ・ザ・ライト・シング』は映画そのものがヒップホップという作品だと思ったが、こちらはジャズ・シングといった趣でかなりオシャレ(セゾンシネマというところがもう…)。また、話の筋(自分のパートナーを一人に絞りきれない若い女性の話)や構成からは黒いウディ・アレン的なテイストも感じる。ただ、そのような情報だけではこの作品の持つ異常性、性欲が怒りや憎悪の象徴にさえ見える感覚は分からない。デート映画として観たあとで棘が刺さっていることに気づく、という感じ。考えすぎだろうか。
3. 白い暴動 / ルビカ・シャー
どうしたってどこぞの国と重ねてしまう。若者たちとパンクバンドが英国を救ったという美しき真実は、たとえ陳腐な模倣創作物(20世紀ナントカとか)を生み出すことになったとしても、語り継ぎ勇気と正義を注入し続けてくれなければならない。それはともかく、Xレイ・スペックスが動いてる!
4. ハーダー・ゼイ・カム / ペリー・ヘンゼル
内容的には、アメリカン・ニュー・シネマをジャマイカでも撮ろうぜ!、な映画か。『バニシング・ポイント』をまず思い出した。不条理にも反キリスト教的にもご都合主義的にも見える展開は、そうであればあるほど良い、ジミー・クリフがアンチヒーローとしてクールに映れば良い、という哲学で一貫している。でも本当にそれでいいんだよな。途中アイヴァンが憎たらしくて仕方なくなったものだが、それこそこの映画の求める正しいリアクションなのだろうし、観る側(わたし)がいかに常識依存症なのかが炙り出される仕掛けとなっている。
そしてこの模倣的作品が亜流にならず時の試練に耐えているのは、やはり世界で最もスウィートなレベルミュージック達に依るところが大きかろう。ひょっとするとジャマイカ音楽の世界征服のために作られた映画だったのかもしれない。
5. こちらあみ子 / 森井勇佑 ★★
無垢で無抵抗、感情の機微が見えず、成長しない存在であればこそ、ペットは愛おしい、と飼い主は思う。だが彼らは無条件の愛を与えているようでいて、無意識に依存と支配の対象としているために、制御できなくなれば慌て、怒り、押さえつけてしまう。
あみ子の独りよがりに見える行動は、自分にとってプラスでないかぎり、理解不能な振る舞いとして扱われるのみで、決して理解しようとはされない。「おとうとの墓」と墓標を庭に立てたとき、「おばけなんてないさ」を怒鳴って歌う時、湿気たクッキーが元はチョコクッキーだと知ったとき、あみ子の気持ちに思いを馳せることはない。あみ子には自分と同じように感じる心はないと決めつけ、自分の感情だけを問題にする。そして不調和の原因をあみ子に押し付ける。自分の中に非があることを確認する前に、あみ子を責めて自分を守るのである。
あみ子は純粋無垢な存在でも、無神経な存在でもない。それでも、まるで犬や猫に対してと同じように「自分よりいたいけな、無知で無邪気で単純な存在」と思われ、自分より痛みに鈍感だと認識されてしまう。なぜか。
そこには表現の問題がある。
あみ子は何もかも取り上げられ、何もかも押し付けられ、それでも悲しみや苦しみや怒りを「表現」しない。でもそれは痛みを感じていないのでは決してない。人とは感情の表し方や伝達方法が異なっているだけなのだ(不器用、という言い方さえ適切ではないと思う)。それが周りの人間との不調和の原因だ。
もちろん、あみ子が表現方法を合わせていくことも必要かもしれない。成長するにしたがって次第に可能になるかもしれない。それでも、待っているうちにかけがえのない時間は過ぎてしまうし、発達や成長が緩やかな人だっている。だからこそやはり、たとえどれほど難しくても、自分から手を伸ばすべきである。
夜明け前の浜辺でおばけたちに手を振るとき、観る者はそれがあみ子の自己との対話だと知る。そこにあみ子の複雑な感情が表れていることを知る。でもそこには誰もいない。
痛みを感じない生き物などいない。表現が異なるだけなのだ。だからたとえ理解や共感はできなくとも、他者の痛みを想像しようすることはできる。『こちらあみ子』は共依存でも相互扶助でもない、想像力に基づく共生をテーマとした作品だと考える。
その他
1. Daisy World 2019.8.25回 (ラジオ→YouTube)
2. Daisy World 2019.9.1回 (ラジオ→YouTube)
3. ブギウギ 2/15回 (NHKプラス)
4. Daisy World 2019.9.8回 (ラジオ→YouTube)
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American Fiction
written and dir. by Code Jefferson
2024年2月12日 BFI NFT3
パーシヴァル・エヴェレットの2001年の小説『Erasure』(未読)の映画化。日本ではAmazon Prime Videoで2月27日から配信される。作家で大学の講師も務めているセロニアス・”モンク”・エリソン(ジェフリー・ライト)はギリシア悲劇の翻案などを手掛けているが、お世辞にも売れっ子とは言い難い。そんな中、新進女性作家(イッサ・レイ)がいかにもなアフリカン・アメリカンの 「ゲットー」 暮らしについての本を出版してベストセラーを出したことにヒントを得て、偽名で似たようなステロタイプに則った本を書くことにする。
父親もきょうだいも医者で、実家には住み込みの家事手伝いがいるようなアッパーミドルの作家と、そのアイデンティティの認識についての物語に、白人社会からの(不当な)期待と黒人社会の中の階級、モンク自身の実は機能不全の家族という仕掛けを使って彼が今まで直視を避けてきたものはなんだったのか、というテーマを軽いタッチで描いている。その仕掛けとして、姉を襲うアクシデントと認知症が進行しつつもプライドの高さを保っている母親を使うという点で女性キャラクターに不幸を負わせすぎにも見えなくもないし、ゲイの弟クリフ(スターリング・K・ブラウン)の描写もやや紋切り型である。家事手伝いのロレインを巡る話も階級に焦点を当てるにしてはやや甘い。それでもこの作品が大変に興味深いのは、軽妙さや洒脱さを失うことなく、観客に対して重さやプレッシャーをそこまで強いることなく人種とアイデンティティを巡る何層ものレイヤーを積み上げ、結果コメディとして成立させていることである。これを演説ではなく、ウィットに富んだ会話の積み重ねで行っていることがとてもよい。ステロタイプにはしゃぐ白人中心の出版業界や映画界はもちろん、中流のモンクもまた労働者階級の生活についての文化盗用をある意味で行っているということを見せ、その一方で非白人の中流家庭として守らなければいけなかった家庭のイメージというものの脆さを露呈させる。そして、突然メタになる終幕(またか!)で、結局市場原理に負けてしまう文壇の現状をまるごと皮肉ってしまう。
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映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」をモチーフにした料理レシピ『ハリウッド・ガーデンサラダ』|あらすじ・キャスト・原作の情報も
映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」のあらすじ
ロサンゼルス、1969年。変わり行くエンターテイメント業界に足掻きながらも、落ち目のテレビ西部劇スター、リック・ダルトンと彼の長年のスタントダブル、クリフ・ブースは生計を立てている。それぞれの運命が交錯する中、彼らの周りで実際のハリウッド史に残る悲劇が静かに迫っている。クエンティン・タランティーノ監督が描く、壮大なスケールの捏造されたハリウッド物語は、時代の終わりと新しい始まりを描いている。
今夜の映画レシピは「ハリウッド・ガーデンサラダ」
レシピの詳細
映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」に触発され、1960年代のハリウッドを彷彿させるガーデンサラダを作ります。フレッシュなグリーンにカラフルな野菜を組み合わせた、目にも鮮やかな一品です。
レシピの材料
– ロメインレタス 1株
– アボカド 1個
–…
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別に50年前には「引退したワシが若い奥さんにチヤホヤされながら悠々自適に暮らしているけど時々チート剣術で問題を解決、平穏な暮らしは遠いなぁ」って小説が流行ったんだし、いつの時代も需要はあるんだよ、そういう話は。
Xユーザーのクリフさん: 「別に50年前には「引退したワシが若い奥さんにチヤホヤされながら悠々自適に暮らしているけど時々チート剣術で問題を解決、平穏な暮らしは遠いなぁ」って小説が流行ったんだし、いつの時代も需要はあるんだよ、そういう話は。」 / Twitter
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TEDにて
ジェイムス・ギリース:ダーク・マター「目に見えない物質」
(詳しくご覧になりたい場合は上記リンクからどうぞ)
古代ギリシャ人は、宇宙は「土」「火」「空気」「水」から出来ているという、シンプルでエレガントな考えを持っていました。でも、次第にそれだけではないと証明されます。
それどころか目に見えるもの(古代ギリシャ以来、存在が確認された全ての物質)は、宇宙の4%でしかないようなのです。CERNの科学者、ジェイムス・ギリースが残りの96%が一体何か、また、それをどうやって見つけるのか説明します。
物理学で「ダーク」という言葉を聞いたときは疑ってかかってください!!
物理学者は、それが何かよく分かってないことを意味するからです!!
講師: ジェイムス・ギリース アニメーション: TED-Ed ※この教材のページ: http://ed.ted.com/lessons/dark-matter-the-matter-we-can-t-see-james-gillies
古代のギリシャ人には、素晴らしい考えがありました。彼らの宇宙は、シンプルで全てのものは、たった4つの元素から出来ていると考えました。
「土」「空気」「火」そして、「水」です。理論としては、美しく、シンプルでエレガントです。4つの元素をいろいろ組み合わせて4つの元素をいろいろ組み合わせて宇宙の素晴らしい多様性を作り出すのです。
例えば「土」と「火」は、乾いた物質を作り「空気」と「水」は、湿ったものを作るという具合です。
でも理論としては、問題がありました。この理論では測定できるものを予測できません。実験科学では測定することが、基本なのです。その上、理論は誤りでした。
でもギリシャには、偉大な哲学者がたくさんいました。紀元前5世紀になるとミレトスのレウキッポスが、その後、長いこと信じられることになる科学の概念を思いつきました。
目に見える全てのものは、小さくて目には見えない「原子」から出来ているという概念です。この理論はシンプルでエレガントな上、「土」「空気」「火」「水」の理論よりもずっと正しいものでした。
その後何世紀もの科学的探求や実験の結果、今日の元素である水素とか炭素、鉄も原子に分割できるとわかっています。レウキッポスの理論でも原子とはこれ以上、小さくしたら水素、炭素、鉄とは識別できない分割不可能な最小単位でした。
レウキッポスの考えに欠けていたのは、原子は更に小さいものに分割できるということ。また、彼に始まった原子の考え方では、この宇宙を作るごく一部のものしか説明できない事が分かったのです。
我々の考える宇宙にある通常の物質は、実は稀なもののようなのです。レウキッポスの原子やその原子が作るものは、宇宙全体にあるもののほんの5%程だとわかったのです。
物理学者は宇宙の残りの95%をダークユニバースと呼んでいます。ダークマターとダークエネルギーから出来ています。
なぜそんなことが解るのか?
私たち物理学者は、物事を観察し発見するのです。簡単に聞こえますが、実はとても意味が深いものです。原子からできているものは、目で見えます。光が跳ね返るので見えるのです。
宇宙に目を向けると星や銀河が見えます。私たちの住むような美しい銀河も優雅に渦巻きながら宇宙内を動いています。
1930年代に科学者が、銀河団の動く速度と銀河の含む物質の質量をはかりました。するとびっくりすることがわかったのです。観測できる全ての質量を合せても銀河団としてまとめるには足りないとわかったのです。
後にそれぞれの銀河の測定からも同じ結果が得られました。目に見えるものだけでは、銀河をまとめる重力がないのです。我々に見えるものだけならバラバラになってしまう。
でもそうはなりません。ということは、何か見えないものがあるはずです。そこで、それをダークマターと名づけました。
量子力学黎明期の「黒体(black body)」と同じ意味です。
ダークマター存在の最も重要な証拠は「宇宙マイクロ波背景放射」というものの観測から得られています。
このビッグバンの残光については、また別の機会にお話しましょう。
現在ある全ての証拠は、ダークマターの存在を証明しています。そして、それは夜空に輝く美しい渦巻き銀河のほとんどを占めるのです。
それが何を意味するのでしょう?
地球が宇宙の中心でない事は、ずっと昔からわかっています。我々の住むどこにでもあるような平凡な惑星は、平凡な星を回りその星は、平凡な銀河から伸びる一本の腕に属します。
ダークマターの発見は、我々をさらに物の中心でないと意識させます。我々を形作るものは、宇宙全体を形作るごく一部のものなのです。
でもまだあります、今世紀の始めに宇宙の彼方を研究する科学者が、あることを証明しました。
宇宙が膨張しているということは、高温、高密度のビッグバンから生まれた宇宙では想像できますが、その宇宙の膨張の速度が、加速されていることが証明されたのです。
何を意味しているのでしょう?
何か特別のエネルギーが、この加速を増大させているのかもしれません。車の加速に必要なエネルギーのようなものです。さもなければ重力の理解が間違っていた事になります。
科学者は大体、前者であると考えます、何か未知のエネルギーが、加速の原因になっている、そして、これをダークエネルギーと名づけました。
今日可能な限りの測定から宇宙の見えないものの割合が計算できます。ダークエネルギーが、宇宙全体の68%、ダークマターは27%だと予想されます。残りは5%。これには私達と見えるもの全てが含まれます。
ではこの見えない物とは何でしょう?
まだわかっていません。でもこの手がかりになる超対称性理論(Supersymmetry)というものがあります。略してSUSY(スージー)とも呼ばれる超対称性理論は、ダークマターを構成する新しい粒子の可能性を示唆します。
もし、SUSYが正しいと証明できたら我々の理解は宇宙の5%、つまり、目に見えるものだけから3分の1くらいに広がります。
すごいですね。ダークエネルギーはさらに複雑ですが、これにもいくつか有望な理論が存在します。中には、古代ギリシャのような理論もあります。
数分前に冒頭でお話しした宇宙はシンプルであるはずだというものです。この種の理論は、たった一つのものが、宇宙の素晴らしい多様性を生み出していると説明しているのです。
「振動するストリング」に例えられるものです。この理論によると今日我々の知る全ての粒子は、単にストリングの音色の違いです。残念な事にこのストリング理論は、まだ検証が不可能な段階です。
でも、宇宙の理解を深めるために期待が高まっています。こんな話を聞くと自分の小ささを感じます。その必要はありません。
反対にすごいと感じるべきです。我々の知る限り宇宙の謎を理解し始めている唯一の生き物なのです。そして、ちょうど理解が爆発的に進む時代に生きているのです。
ハーシェルは、世界で初めて遠い宇宙の観測に成功した人間です。夜空が「ゴースト」で満たされていることを発見した人間でもあります。はるか遠い星々の光が届いた頃には、その星はもう死んでいるのです。
私たちが見ているのは、そう言う「ゴースト」ということです。特殊相対性理論と光速度不変の原理により、現代ではデータで精密に計算できるようになっています。
光は見えるが星々はもう死んでいる。ずっとずっと前に。夜空を見ることは、誰も見たことのない遠い過去を見ていることになります。何百万年も時をさかのぼって・・・
天体望遠鏡は、バック・トゥー・ザ・フューチャーのように、時を超えるタイムマシンということもハーシェルは、知っていました!!
宇宙を見ることは、過去を見ることです。
宇宙の大規模構造とは ・・・
銀河系よりも広大な「ラニアケア」という超銀河団の中に、太陽系があるということが、2014年の段階でわかります。私たちの銀河系が、さらに大きな銀河団である「ラニアケア」という超銀河団に属しているという学説を発表してます。
大きさの尺度としては、直径は5億光年、中に存在する銀河の数は10万個とのことです。ラニアケアの質量は太陽1京個分あります。銀河系の中心には超大質量ブラックホールがあり、ラニアケアにはより巨大なブラックホールも存在します。
このようにして、天体望遠鏡とスーパーコンピューターのエクサフロップクラスの処理速度により、判明したデータから銀河と空洞で成り立つ宇宙の地図を「宇宙の大規模構造」と呼んでいます。
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スパイダーマン - トビー・マグワイア
『スパイダーマン』は、スタン・リーとスティーブ・ディッコが創作した同名のマーベル・コミックのキャラクターを基にした2002年のアメリカのスーパーヒーロー映画です。 デヴィッド・コープの脚本でサム・ライミが監督し、ライミのスパイダーマン三部作の第1弾であり、マーベル・エンタープライズおよびローラ・ジスキン・プロダクションズと協力してコロンビア・ピクチャーズが製作し、ソニー・ピクチャーズ・リリーシングが配給した。 この映画では、トビー・マグワイアがタイトルキャラクターとして主演し、ウィレム・デフォー、キルスティン・ダンスト、ジェームズ・フランコ、クリフ・ロバートソン、ローズマリー・ハリスと共演しています。 この映画は、スパイダーマンの誕生物語と初期のスーパーヒーローとしてのキャリアを記録しています。 内気なティーンエイジャーのピーター・パーカーは、遺伝子操作されたクモに噛まれた後、クモのような超人的な能力を開発し、仮面をかぶったスーパーヒーローとしてニューヨーク市の犯罪や不正と闘い、その過程で邪悪なグリーン・ゴブリンと対峙する。
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