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#将来はアフガニスタンも加盟国へ
ari0921 · 3 months
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和六年(2024)1月27日(土曜日)
   通巻第8107号  <前日発行>
 ミャンマー国軍のクーデターは「西郷なき西郷軍」?
  軍と仏教高僧との融合統治が機能不全に陥ったのではないか
*************************
ミャンマーで「本当は」何が起きているのか?
 大手メディアは投票箱民主主義至上史観だから、本質的なことが見えてこない。
 2021年2月、ミャンマー国軍はクーデターに打って出た。ところが、ミャンマーの民衆が想定外に強く反発し、「民主主義を蹂躙した」として大規模な抗議集会が開かれた。抗議デモに軍が出動、多くの死傷者がでたため国際社会から批判に晒された。
 欧米の傀儡といわれたアウン・サン・スー・チーを支持する人たちは外国のメディアが同情的に報道したので、鮮明に反政府の旗を掲げた。こうなると正義はどちらにあるのか、よく分からない政権運営が続いた。因みに2021年のミャンマー経済はGDPがマイナス18%、通貨は暴落し、庶民は生活苦に喘ぐ。
 クーデターから三年が経った。欧米のメディアの複写機である日本は「国軍=悪」vs「民主主義団体=善」のスタンスを依然として維持している。スーチー政権のときにロヒンギャ70万をバングラデシュへ追い出すと、欧米メディアは一斉にスーチーを「人種差別主義」「ノーベル賞を返還せよ」と猛烈な批判に転じたが、日本はそのまま、ミャンマー国軍批判である。
 この価値基準は「イスラエル=悪」vs「ハマス=善」、「ゼレンスキー=善」vs「プーチン=悪」と、リベラルな西側政治家やメディアが作り上げたフェイク図式に酷似している。ミャンマー国軍ははたして悪魔なのか?
ミャンマーの社会構造は宗教を抜きに語れない。
仏教徒が90%をしめ、しかも上座部(小乗仏教)である。僧侶が800万人もいる。
軍隊は徴兵制で43万人(実態は15万に激減)。
つまりこの国は軍と仏教世界との融合で成り立つ。軍は元来、エリート集団とされ、国民からの信頼は篤かったのだ。それが次第にモラルを低下させ、徴兵ゆえに軍事訓練は十分ではなく、そもそも戦意が希薄である。愛国心に乏しい。
 軍クーデターは伝統破壊の西欧化に反対した政治的動機に基づく。単なる権力奪取ではない。つまり「西郷軍が勝って、近代化をストップした」ような政治図式となるのだが、現在のミャンマー軍(ミン・アウン・フライン司令官)はと言えば、「西郷隆盛なき西郷軍」である。権力は握ったものの何をして良いのか分からないような錯乱状態にあると言える。
 軍人は経済政策が不得手。コロナ対策で致命的な遅れをとり、猛烈インフレに襲われても、適切な対応が出来ず、外資が去り、自国通貨は紙くずに近く、闇ドルが跋扈している。
国民は外国で反政府活動を活発に展開する。国内各地には武装組織が蠢動を始めた。
 ▼まるで「西郷のいない西南戦争」でクーデターが成功した
 西南戦争は『道義国家』をめざし、挫折した。戦略を間違えた。というより勝利を計算に入れずに憤然と立ち上がったのだ。
佐賀の乱、神風連、秋月の乱、萩の乱から思案橋事件が前哨戦だった。城山で西郷は戦死、直前に木戸が病没、大久保暗殺がおこり、明治新政府は「斬新」な政策を実行に移した。しかし行き過ぎた西洋化、近代化。その象徴となった「鹿鳴館」に反対して国学派が復興した。
 ミャンマーの仏教鎮護国家の復活が国軍指導者の目的だった。
しかし彼らは広報という宣伝戦で負けた。都会は西洋民主主義、グローバリズムに汚染され、若者は民族衣装を捨てていた。西洋化は、あの敬虔なる仏教との国ミャンマーにおいてすら進んでいた。
 となりのインドでは巨大なモスクを破壊し、その跡地に大きなヒンズー寺院建立した。竣工式にはモディ首相自らが出席した。
 ミャンマー国軍に思想的指導者は不在のようだ。だからこそ、国軍は仏教の高僧を味方にしようとしてきた。しかし国内的に厄介な問題は同胞意識の欠如である。そのうえ山岳地帯から国境付近には少数民族各派の武装組織(その背後には中国)が盤踞している。中国はミャンマー国軍政府と「友好関係」を維持しているが、背後では武装勢力に武器を供給している。
 主体のビルマ族は70%だが、嘗て国をまとめた君主はいない。カチン、カレン、モン、シャン、カヤ族と、それぞれ少数の武装組織が国軍と銃撃戦を展開しているものの、反政府で連立は稀である。カチン、カレン、モン族は博くラオス、カンボジアにも分散しており、ラオスでのモン族は米軍について共産主義と闘った。敗戦後、17万人のモン族は米国へ亡命した。
 2023年10月27日、ミャンマーの反政府武装組織が初めて三派共闘し、シャン州北部で「国軍」と戦闘、驚くべし国軍が敗走した。国軍兵士数百が投稿した。
 中国の秘密裏の仲介で停戦状態となったが(24年1月26日現在)、ミャンマー民族民主同盟軍(MNDAA)、タアン民族解放軍(TNLA)、西部ラカインのアラカン軍(AA)の「三派」の共闘はこれから「連立」となるか、どうか。
この三派以外にも不明の武装組織(なかにはギャング団、麻薬シンジケートも武装している)。なにしろミャンマーは五つの国と国境を接し、130の少数民族がいるとされる。 
 
国境問題の複雑さが問題をさらに複雑にする。ミャンマーが国境を接する国々とは、インド、中国、ラオス、タイ、バングラである。地域によっては少数民族が多数派となる。
西海岸の古都シットウエイはインドとの海路の拠点であり古代遺跡があるため外国人観光客が多い。
チャウピューは中国へのパイプラインがミャンマーを斜めに横切り雲南省へと繋がっている拠点、ここには中国企業が進出し、工業団地を建設中で、ロヒンギャとの暴動になった場所、行ってみる、と放火されたモスクの無残な残骸があった。やや東側の中部、マンダレーは雲南華僑の街である。
旧首都のヤンゴンと新首都ネピドーはアクセスが悪い。マンダレーは国際空港こそ立派だが、翡翠やルビーの商いはほぼ華僑が握る。そうした三都三様の物語が付帯する。
 ▼麻薬王
ラオス、タイ国境に拡がるのが統治の及ばない「黄金の三角地帯」である。
アフガニスタンにつぐ麻薬産出地域で、ギャング団と武装組織と博打場である。治安の安定はあり得ないだろう。
黄金の三角地帯の形成と発展、その後の衰退は国民党残党という闇とCIAの奇妙な援助があり、やがて彼らへの弾圧、そしてミャンマーとタイとの絶妙な駆け引きをぬきにしては語らない深い闇である。
国共内戦に蒋介石は敗れて台湾に逃れたが、南アジアで戦闘を継続したのが国民党の第27集団隷下の93軍団だった。およそ一万もの兵隊が残留し、シャン州をなかば独立国然とした。モン・タイ軍(MTA)は『シャン州独立』を目指した軍事組織で、ビルマ共産党軍が主要敵だった。
国民党残党の軍人とシャン族の女性のあいだに産まれたのがクンサ(昆沙)。
のちに『麻薬王』と呼ばれる。中国名は張奇天で、一時はモン・タイ軍の2万5000名を率いた。軍資金は麻薬だった。
CIAが背後で支援した。アルカィーダを育て、やがて裏切られたように、ムジャヒデン(タリバンの前身)を育てたのもCIAだったように、やがて米国はクンサに200万ドルの懸賞金をかけた。
『麻薬王』と言われたクンサは紆余曲折の後、麻薬で得た巨費で財閥に転じ、晩年はヤンゴンにくらした。2007年に74歳で死亡した。米国の身柄引き渡し要求にミャンマー政府は最後まで応じなかった。
もうひとつの有力部族=ワ族はモン・クメール語を喋る少数民族で、いまワ族の武装組織は中国の軍事支援がある。
 ▼ミャンマー進出の日本企業は、いま
さて安倍首相が二度に亘って訪問し、日本が投じたティワナ工業団地はどうなったか。
ヤンゴンの南郊外に位置し、コンテナターミナルを日本が援助した。しかし国軍クーデター以後、西側が制裁を課し、日本政府が同調したため、日本企業の10%がミャンマーから撤退した。住友商事、KDDIなどが残留しているとは言え、投資のトップはシンガポール、中国、そして台湾、韓国が続く。
日米印の企業投資は実質的にぼゼロ状態だ。
拍車をかけているのが外交的孤立である。ミャンマー軍事政権を支持するのは中国である。背後では、ロシアが接近している。
 仏教界は分裂している。将軍たちと協力し、仏教とビルマ文化の両方を外部の影響から守る必要があるという軍の理念に共鳴した高僧もおれば、「ラカイン州で地元の仏教徒とイスラム教徒のロヒンギャ族の間で暴力的な衝突が起きると、『過激派僧侶』といわれるウィラトゥ師は、「ビルマ仏教はイスラム教徒によって一掃される危険にさらされている」とし、「イスラム教徒経営の企業のボイコット」を奨励した。
 軍事クーデターに反対するデモに参加した僧侶たちも目立った。シャン州北部の主要都市ラショーでは国軍の統治が崩壊した。
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psalm80-lilies-iii · 1 year
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帝国主義論、あるいはウクライナはアメリカの代理戦争なのか
レーニンの『帝国主義論』を「光文社古典新訳文庫」で読む。
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「帝国主義とは、資本主義の独占段階のことである。」資本主義において競争が独占へと変容するのは生産においてそうであるように金融においてもそうであり、金融独占資本はより効率のよい投資先を求めて後進国へと流れる。そのことによって世界は列強の金融資本によって分割され尽くすが、生産力の発展や資本蓄積の現状が金融資本にとっての植民地あるいは「勢力圏」と食い違う場合、その食い違いを解消して世界を「再分割」する方法は戦争しかない。列強が平和的な合議によって世界を机上で分割するという「国際帝国主義」あるいは「超帝国主義」は、幻想と言って悪ければ戦争と戦争との間の休止期間に過ぎない。
だいたいこういう内容である。言っていることは間違っていないとぼくは思うし、いまぼくたちが見ている現状と食い違っているとも思わない。2度の世界大戦はまさしくこのようなものとして起こり、日本はアメリカに敗れヨーロッパは自滅し、帝国主義戦争としてはアメリカが独り勝ちした。そのことは、ベトナムやイラクやアフガニスタンでのアメリカの敗北(それはアメリカのみならずすべての先進国において「戦争のコスト」を引き上げた)にもかかわらず、揺るがなかったのである。現代は「国際帝国主義」あるいは「超帝国主義」の時代ではない。金融資本の独占という状況から見れば、いまはあくまでアメリカが独り勝ちした状態であり、ほかのどのような先進国にも世界を「再分割」する力はないのである(将来的に中国がどう振る舞うかをともかくとすれば)。
*
それはそれとして、考えてみたいことがある。いまウクライナで起こっていることは、レーニンのいう「帝国主義戦争」ですべてが語り尽くせるものだろうか。
「ウクライナ戦争はロシアとアメリカの代理戦争だ」と主張する人々がいる。ウクライナは物心ともにNATOの支援を受け自らもNATO加盟を希望しているし、かりに戦争がロシア勝利ではない結果に終わればウクライナと関係を持つのは非ロシア系の独占資本あるいは欧米の「ひも付き援助」だろう。だから、いまウクライナで繰り広げられているのが「かつてソビエトの勢力圏だったウクライナを戦争を通して欧米資本の勢力圏に組み入れる『再分割』だ」というのはまぎれもなく事実の一側面である。
だが、今回の戦争を始めたのはロシアの方である。「セバストポリはロシアのものだ」という古典的な地政学的意識によってロシアはほぼ無抵抗にクリミア半島を制圧することに成功してしまった。でもロシア本土とクリミア半島は地続きではないので、それを何とかしよう、今度もうまく行くだろう、と思って10万人の大軍をウクライナ国境に展開して一気にウクライナ全土を蹂躙しようとした。これも動機としては、ロシア資本によるウクライナ支配というより、古典的な地政学的意識、あるいはもっと文化的な愛着、「ウクライナはロシアの文化的・歴史的故郷」という意識によるものである(ソ連の軍艦を知っている人は「キエフ」と「ミンスク」が「モスクワ」より大きな船だったことを覚えている。そういうものだと、ロシア人は考え続けてきたのだ)。いずれにせよ「自分たちがクリミアあるいはウクライナを欲しければそれを制圧する過程でいま現にウクライナに住んでいる人々はどうなってもいい、自分たちの手で殺してもいい」とロシア少なくともプーチンは考えているが、ウクライナ人からすればそういうロシア少なくともプーチンは「侵略者」だろう。ぼくはそう理解するし、そう理解するのがふつうだとぼくは思う。
ウクライナの人たちは自分たちの安全と尊厳のために「侵略者」であるロシアとたたかっている。ロシアにどんな理由があろうとも、その目的のために学校や集合住宅を平気で無差別攻撃するような隣国と自分からは友好的な関係を結ぶことはできないと思っている。それがこの戦争の第一義的な姿だ。さっきも言ったように、かりにロシアが撤退する形で戦争が終結すれば、ウクライナ人はロシア資本を二度と歓迎しないだろうし、代わりに流れ込むのは西欧の資本だろう。だがそれは、たとえ欧米の独占資本がこの戦争の前からウクライナ進出の機会を狙い続けてきたとしても、今回の戦争においてはやはり「結果論」と言うべきである。
「ロシアの侵略と欧米資本の進出」という因果関係のどっちが原因でどっちが結果なのは理解できない人は、共産主義的な教条主義に囚われ過ぎているか(後述するがその教条的認識は結局何らの現実的対抗手段も導き出せなかった)、「ロシアの隣国は日本も含めてつねに侵略の危険にさらされている」という現実認識や当事者性が欠如しているかのどちらかなのだろう(「その現実認識や当事者性そのものがアメリカによって捏造されたものだ」という人がいるなら、それはもう陰謀論の犠牲者と言うべきだ)。
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『帝国主義論』を読むと、共産主義者が「反戦・平和」にこだわるのは彼らのイデオロギーの根幹に関わることなのだと気づかされる。「最終的には一部の金利生活者が利益を得るだけの帝国主義戦争のためにオレたちプロレタリアートがむざむざ殺されてたまるか!」という「階級的自覚」が、共産主義者の反戦・平和の根底にはあるのだ(それ自体は決して不当ではない)。だが、だからこそ逆に思わないだろうか、「プーチンと一部の取り巻き連中がおいしい思いをするだけの戦争のために兄弟姉妹がむざむざ殺されていくのを黙って見てられるか!」と。それは、「帝国主義戦争」という言い方をすれば、米露2国(で支配的な金融独占資本)による世界「再分割」の一環だと理解できなくはないけれど、「ウクライナ人が死の危険に直面しているのは直接的にはいったい誰のせいなのか」と考えれば、この戦争の端的な本質はやっぱりロシア少なくともプーチンの侵略とそれに対する抵抗である。そう考えると、「帝国主義戦争」という言い方は現状の理解をややこしくするだけだ。ウクライナ戦争が「帝国主義戦争」として理解できるとしても、それはあくまで結果論に過ぎない(そういう結果を招いたプーチンが拙劣だったということだ)。
ちなみに、帝国主義の進展とその過程で世界大戦が不可避であるという状況に対してプロレタリアートが何をなし得るとレーニンが考えていたかというと、「光文社古典新訳文庫」の『帝国主義論』には「バーゼルにおける国際社会主義者臨時大会の宣言」(インターナショナルのアピール)が付録についていて、そこでは「反戦デモをせよ」ぐらいのことしか書いていない。ひどい竜頭蛇尾というか「牛刀をもって鶏を割く」というか、である。どのような理論的洞察にもかかわらず、共産主義者たちは目の前の現実に対し何らの本質的対抗策を打つことができなかったのだ。ぼくはそのことを、ひとりのプロレタリアとして素直に残念に思う。
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xf-2 · 3 years
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アフガニスタンで進攻を続ける反政府組織タリバンが15日夜、首都カブールに入った。それに先立ち、アシュラフ・ガニ大統領は隣国へ出国した。タリバンはカブールを攻撃して制圧するつもりはなく、平和的な権力移譲を目指すとしている。タリバンは同日夜には、首都の外で待機していた戦闘員に、市内に入るよう指示。大統領府を掌握したとしている。
アフガニスタン国家和解高等評議会のアブドラ・アブドラ議長は15日夜、ガニ大統領が出国したと確認した。フェイスブックに投稿した動画でアブドラ氏は、ガニ氏を「前大統領」と呼び、「国をこのような状態で置き去りにした」ガニ氏について「神が責任を問うし、国も審判を下す」と述べた。
これに先立ちタリバンは15日午後、首都に武力で入るつもりはないとして、権力の平和的移譲へ向けた協議が続いていると述べていた。政府内相は、閣僚が「平和的権力移譲」を準備していると述べた。タリバン報道官はBBCに、「全てのアフガニスタン人が含まれるイスラム首長国のイスラム政府」は「国民と国に奉仕する」と言い、懸念されている女性の権利についても教育や就労の権利を認めると話した。
大統領はタジキスタンへ
画像提供,REUTERS
ガニ大統領は15日午後に出国した
ガニ大統領については、地元トロ・テレビなど複数メディアが政府幹部の話として、その出国を伝えていた。タジキスタンへ向かったという。アムルラ・サレ副大統領も出国したという。同日午後には、ガニ大統領が、米政府のザルマイ・カリルザド特使をはじめ、他の北大西洋条約機構(NATO)幹部と緊急協議をしているとの情報もあった。
タリバンは15日夜、首都の入り口で待機させていた戦闘員に、市内に入るよう指示した。「略奪を防ぐため」だと、ザビフラ・ムジャヒド広報官は説明した。アフガニスタン治安部隊がすでに市内の持ち場や検問所を離れているため、タリバンが混乱と略奪を防ぐために市内に入るのだと説明した。
同日夜には、大統領府を掌握したと主張した。
タリバン広報官は声明で、市民に戦闘員を恐れないよう呼びかけた。
アフガニスタンにおけるアメリカの外交トップ、ロス・ウィルソン代理大使は15日夜、大使館を離れてカブール国際空港に避難した。米当局者によると、大使館に掲げられていた星条旗も空港へ運ばれた。
カブール空港で発砲があったという情報もある。
「平和的権力移譲」を
アフガニスタン政府のアブドル・サッタル・ミルザクワル内相代行は同日午後、地元トロ・テレビが放送した動画で、暫定政府への「平和的権権力移譲」が行われると述べた。カブールが攻撃を受けることはないとも話した。
タリバンはさらに声明で、国民に国内にとどまるよう呼びかけ、「あらゆる経歴の人たちに、将来的なイスラム制度の中に自分がいる様子を思い浮かべてほしい。新しいイスラム制度では、責任ある政府が奉仕し、全員に受け入れられるようになる」と強調した。
カタールの首都ドーハでアフガニスタン政府とタリバンが続けていた和平交渉の場に、アフガニスタン各地の部族長たちが参加し、政権移譲の形を協議することになったという情報もある。
タリバンは15日午後、戦闘員には首都の入り口で待機するよう指示していた。さらに、首都と市民の安全はアフガニスタン政府次第だとして、権力の平和的移譲へ向けた協議が続いていると述べた。
タリバン関係者は、戦闘員には祝砲の発砲を禁止したと述べた。アフガニスタン政府軍の兵士たちには、帰宅を認める方針という。関係者はさらに、空港と病院は運営を続け、緊急援助物資の搬入を阻止することもないと話した。
外国人は、出国を希望する人には出国を認めるほか、滞在を希望する場合はタリバン当局に申告するように言われている。
タリバンはさらに、カブール北郊にあるバグラム空軍基地と刑務所を掌握したと発表した。バグラム空軍基地は2001年10月に始まったアフガニスタン空爆から今年7月2日まで、タリバンやアルカイダと戦う米軍など外国駐留部隊にとって最大の作戦拠点だった。
空港へ渋滞 銀行では行列
こうした状況で、15日には多くの市民がカブールから脱出しようとして、交通渋滞が発生した。カブールで取材するBBC記者によると、多くの店舗や市場は閉店し、一部の政府庁舎も閉じた。持ち場を離れる兵士や警官もいたという。
パキスタンは、国境沿いの地域をタリバンが制圧したため、越境地点のトルカム検問所を閉鎖したとされる。このため、アフガニスタンからの出国ルートはカブール国際空港発の空路のみになった。
空港への道路が渋滞する中、「鍵を車内に残して空港へ歩き始めた人もいる」と、住民の1人はロイター通信に話した。
カブールではさらに住民たちが、預金を引き出そうと銀行で長蛇の列を作っている。現金が足りなくなった支店もあるという。
米軍を中心とした外国駐留軍が20年の軍事作戦を経て撤退すると、タリバンは一気に国内で進撃を続けて、勢力範囲を拡大した。一連の戦闘で数十万人��避難民となり、その多くが安全を求めて首都カブールに避難していた。
アメリカはドナルド・トランプ前政権が昨年2月の時点で、今年5月までに米軍を撤退させるとタリバンと合意していた。ジョー・バイデン大統領は今年4月、米同時多発テロから20年を迎える9月11日までにアフガニスタンの駐留米軍を完全撤退させると表明した。
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タリバンが首都に迫ったと知らされ帰宅を急ぐ人たち(15日、カブール)
女性の権利は
カタールの首都ドーハでアフガニスタン政府と和平交渉を続けるタリバンのスハイル・シャヒーン広報官は同日、BBCニュースのキャスターとして生放送中のヤルダ・ハキーム記者に電話をかけ、アフガニスタンの人たちに「報復はしない」と話した。
「アフガニスタンの人たち、とりわけカブールの人たちには、あなたたちの財産や生命は安全だと、約束する。誰にも報復はしない」とシャヒーン氏は述べた。
「タリバン指導部は兵士に、カブールの入り口で待機し、市内に入らないよう指示した。私たちは平和的な権力移譲を待っている」とシャヒーン氏は話した。
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アフガニスタン再支配を目指すタリバン 過酷な刑罰復活か
欧米の外交スタッフの避難加速、タリバンは首都カブールに近づく
「平和と寛容」の政府になると繰り返したシャヒーン氏は、タリバンのイスラム政府には、タリバンに所属しない人も含め、すべてのアフガニスタン人が参加できるとも述べた。「全てのアフガニスタン人が含まれる」「アフガニスタン・イスラム首長国のイスラム政府」は「国民と国に奉仕する」と強調した。
さらに、アフガニスタン内外で懸念されている女性の扱いについては、女子が教育を受ける権利や女性が家の外で働く権利を認め、女性は頭髪を隠すヘジャブを着ければ外出は認められると述べた。タリバンが制圧した地域ではすでに、戦闘員が女子の登校を禁止したという情報があると指摘されると、それは指導部の方針と異なり、タリバンの名誉を傷つけようとする風説だと述べた。
タリバンが掌握した地域ではすでに、女性が全身を覆うブルカの着用を強制されたり、男性の付き添いなしでの外出が禁止されたりしているという。また、タリバンが強制する行動規範に違反した人たちを殴ったりむちで打ったりしているという報告もある。
「女性に対する戦争を世界は静観している」 アフガニスタンの現状を語る
アメリカの対応は
こうした中、欧米諸国はアフガニスタンに在留している外交スタッフや市民の出国を急いでいる。
バイデン米大統領は、「アメリカや同盟諸国の人員が、秩序だって安全に出国できるよう、駐留中に我々を助けてくれたアフガニスタン人や、とりわけタリバンの脅威にさらされている人たちが、秩序だって安全に避難できるよう」、米兵約5000人を現地に派遣した。
イギリス市民の出国を支援するため、英兵約600人もカブールに派遣された。この英兵たちは、イギリス軍を支援し、タリバンから報復される危険のあるアフガニスタン人の移住も支援する。
他の欧米諸国も自国民を出国させている。大使館を閉鎖する国もある。
バイデン大統領は7月2日深夜に米軍の大半を撤退させたことについて、「よその国の内戦のただなかにアメリカが果てしなくい続ける」ことは正当化できないと述べていた。バイデン氏は7月8日、タリバンがアフガニスタン全土で勝利する可能性は「非常にあり得ない」とも発言していた。
アントニー・ブリンケン米国務長官は日本時間15日夜、米CNNに出演。「どうしてバイデン大統領はこの件についてこれほど間違ったのか」と質問するジェイク・タッパー司会者に対して、「まず文脈をはっきりさせよう。アメリカがアフガニスタンにいた一番の目的は、9/11に我々を攻撃した連中に対抗するためだった」として、オサマ・ビンラディン容疑者を裁き、テロ組織アルカイダの能力を後退させるという目的は果たしたと述べた。
「そもそもアフガニスタンへ行った理由については、我々は目的達成に成功した」とブリンケン氏は言い、「我々が部隊を(アフガニスタンに)残しておけば、現状がずっと維持できたはずだという考え方は、ひたすら間違っていると思う」と続けた。
ブリンケン長官は米ABCニュースに対しても、アフガニスタンでの任務は「成功」だったと強調し、ヴェトナム戦争でアメリカが支援した南ヴェトナム軍の敗北が決定的となった、1975年の「サイゴン陥落」と現状は異なるとの見解を示した。
「これはサイゴンじゃない」と、ブリンケン長官は述べた。
東部ジャララバードは無抵抗
カブール接近の前には、タリバンは14日から15日にかけて、北部バルフ州の州都マザーリシャリーフと東部の主要都市ジャララバードを制圧した。
東部ナンガルハル州の州都ジャララバードでは15日朝、タリバンが一発も発砲することなく、無抵抗の市内を席捲(せっけん)したとされる。
地元政府関係者はロイター通信に「ジャララバードでは何の衝突も起きていない。知事がタリバンに降伏したからだ。市民の命を守るのは、タリバンの入市を認めるしかなかった」と話した。
ジャーナリストのタリク・ガズニワル氏は、州知事がタリバンに行政権を移譲する様子だという写真をツイートした。
Twitter の投稿を飛ばす, 1
Twitter の投稿の終わり, 1
ジャララバードを押さえたことで、タリバンはアフガニスタンをパキスタンとつなぐ道路を確保したことになる。
マザーリシャリーフ制圧
ジャララバードに先立ち、14日には北部の要衝マザーリシャ���ーフがタリバンの支配下に入った。伝統的に反タリバン派だったマザーリシャリーフの陥落は、タリバンにとって大きな戦果となる。ほんの数日前には、ガニ大統領が政府軍の視察に訪れたばかりだった。現地の公務員によると、アフガニスタン第4の都市マザーリシャリーフは、ほとんど戦闘のないまま制圧された。
マザーリシャリーフのあるバルフ州のアバス・エブラヒムザダ議員はAP通信の取材に対し、政府軍がまず降伏し、それに親政府派の武装組織が続いたと語った。
マザーリシャリーフはウズベキスタンとタジキスタン国境に位置する経済の中心地。タリバンが1990年代までこの地域を占領していた。
ウズベキ系軍閥のアブドル・ラシド・ドストゥム司令官とタジク系指導者アッタ・モハンマド・ヌール司令官は、マザーリシャリーフのあるバルフ州を脱出したとの情報もある。
ソーシャルメディアで共有された動画には、無人となったドストゥム氏の家にタリバン戦闘員が入っている様子が映っている。
これに先立ち11日にガニ大統領と協議した際には、ドストゥム氏は「タリバンは何度か北へやってきたが、いつも包囲された」と威勢よく話していた。
ヌール氏は14日、フェイスブック投稿で、自分とドストゥム氏は「安全な場所」にいると書き、マザーリシャリーフでの敗退は政府軍のせいだと非難した。政府軍の兵士たちは自ら武器や装備をタリバンに手渡していたと、ヌール氏は書いた。
マザーリシャリーフの住民はBBCに対して、市内に入るタリバンについて「一軒、一軒、ドアをたたいている。私たちは家にいて、残念ながら何もできない。とても怖い。子供たちはとても怖がっていて、妻は泣いている。明日どうすればいいんだ」と話した。
14日にはこのほか、パクティカ州とクナール州の州都もタリバン支配下に入った。
クナール州アサダバードで撮影された未確認映像では、タリバンの旗を振って道を歩く人たちが映っていた。
カブールでは、タリバンを逃れて避難してきた人たちが、公園などで野宿を余儀なくされている。タリバンが制圧した地域では司令官が、戦闘員の妻にするため未婚の女性を手渡すよう住民に要求しているという話もある。
姉妹2人とパルワンからカブールへ逃れてきたムズダさん(35)は、タリバンに結婚を無理強いさせられるくらいなら、自殺すると話した。ムズダさんはAFP通信に「昼も夜もずっと泣いている」と話した。
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タリバンの攻撃から避難して首都カブールで野宿する人たち(10日、カブール)
アフガニスタン政府は何を
14日にはガニ大統領の録画演説がテレビ放送された。住民がこれ以上を家を追われ、各地で破壊が続くことを防ぐため、アフガニスタン軍の勢力を再結集することが何より最優先されると、大統領は述べた。
ガニ大統領は、国民に「押し付けられた」戦争がこれ以上、命を奪うのは許さないとして、アフガニスタン治安部隊の「勇気」をたたえた。
国連はアフガニスタンの近隣諸国に対して、避難民の安全確保のため、国境を閉じないよう呼びかけた。アントニオ・グテーレス国連事務総長は、状況は制御不可能な状態に陥りつつあると懸念を示していた。
アフガニスタン情勢の変化:アメリカの作戦展開とタリバンの進攻
2001年10月: 9月11日の米同時多発テロを受け、アメリカ主導によるアフガニスタン空爆開始
2009年2月: アメリカはさらに兵士1万7000人の増派を決定。NATO加盟国もアフガニスタンへの増派などを約束
2009年12月: バラク・オバマ米大統領(当時)は、アフガニスタン駐留軍を3万人増員し、計10万人に拡大すると決定。一方で、2011年までに撤退を開始すると表明
2014年10月: アメリカとイギリスが、アフガニスタンでの戦闘作戦を終了
2015年3月: オバマ大統領が、駐留軍の撤退延期を発表。アフガニスタンのアシュラフ・ガニ大統領の要請を受けたもの
2015年10月: オバマ大統領が、2016年末までは兵士9800人をアフガニスタンに残すと述べた。これ以前は、1000人を残し全軍を撤退させると約束していた
2016年7月: オバマ大統領は「安全保障上の不安定な状態」を理由に、2017年には米兵8400人が駐留すると発表。NATOも駐留を継続することに合意したほか、2020年までアフガニスタン政府軍への資金援助を続けると強調した
2017年8月: ドナルド・トランプ大統領(当時)が、タリバンの勢力拡大を受けた増派表明
2019年9月: アメリカとタリバンの和平交渉が決裂
2020年2月: 数カ月におよぶ交渉の末、アメリカとタリバンがドーハで合意に至る。アメリカは駐留軍撤退を約束
2021年4月: ジョー・バイデン大統領、9月11日までに駐留米軍を完全撤退させると表明
5月: 米軍とNATO各国軍の撤退開始
5月: タリバン、南部ヘルマンド州でアフガニスタン軍へ大攻勢開始
6月: タリバン、伝統的な地盤の南部ではなく、北部で攻撃開始
7月2日: カブール北郊にあるバグラム空軍基地から、米軍やNATO加盟各国軍の駐留部隊の撤収完了
7月21日: タリバンが半数の州を制圧と米軍幹部
8月6日: 南部ザランジの州都をタリバン制圧。タリバンが新たに州都を奪還するのは1年ぶり
8月13日: 第2の都市カンダハールを含め4州都がタリバン支配下に
8月14日: タリバン、北部の要衝マザーリシャリーフを制圧
8月15日: タリバン、東部の要衝ジャララバードを無抵抗で制圧。首都カブールに入る
(英語記事 Afghanistan on the brink of Taliban takeover / Taliban take government's last northern stronghold)
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yskwkt · 2 years
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「驚くほど偽善的」欧米のウクライナ対応、中東からは怒りの声
Apr 11 2022
📷Nasser Shiyoukhi / AP Photo
欧米諸国はロシアのウクライナ侵攻から数日以内に国際法を行使し、ロシアに厳しい制裁を課した一方でウクライナの難民を手厚く受け入れ、その武装抵抗に喝采の声をあげた。ところが、こうした対応は中東の人々の怒りを買っている。国際紛争に対する欧米諸国の反応が明らかなダブルスタンダード(二重基準)だというのだ。パレスチナ暫定自治政府のマリキ外相は3月初旬、トルコで開かれた安全保障フォーラムの場で「70年以上も実現不可能と言われていたあらゆることが、1週間足らずで日の目を見た」とした上で「欧米の動きは驚くほど偽善的だ」と述べている。2003年3月に勃発したアメリカ主導によるイラク戦争については、特定の国が他国に違法に侵略したという見方があった。だが、アメリカに立ち向かったイラク人はテロリストの烙印を押され、西側に逃れた難民は安全保障上の脅威になり得るという理由で追い返されることもあった。バイデン政権は先月23日、ロシア軍がウクライナで戦争犯罪を犯したと宣言し、侵略者を裁判にかけるために他国と協力していくと発表した。だが、アメリカは国際刑事裁判所に加盟しておらず、自国や同盟国であるイスラエルを対象とする国際的な調査には断固反対の立場を取っている。2015年にロシアがアサド大統領側に立ってシリアの内戦に介入し、政府軍による都市への攻撃で住民を飢餓に陥れる動きを支援したとき、世界で怒りの声があがったものの具体的な行動はみられなかった。ヨーロッパに逃れようとしたシリア難民は命がけの航海で命を落としたり、西側文化への脅威というレッテルを貼られて追い返されたりした。イエメンでは、サウジアラビアが主導する連合軍とイランが支援するフーシ派の反政府勢力との数年にわたる過酷な戦争により、1300万の人々が飢餓の危機にさらされた。ところが、幼児が餓死するという痛ましい報告がなされても世界の関心は持続しなかった。かつてCIAと国家安全保障会議での勤務経験があり、現在はブルッキングス研究所のシニアフェローを務めるブルース・リーデル氏は、中東の人々が欧米をダブルスタンダードと見ていることを「もっともなこと」とした上で「アメリカとイギリスは、イエメンでの7年にわたるサウジの戦争を支援し、ここ数十年で世界最悪の人道的大惨事をもたらした」と述べている。パレスチナ人が将来の国家建設を求める土地をイスラエルが占領して60年が経過した現在、数百万人ものパレスチナ人が軍事支配下に置かれた先行き不透明な生活を送っている。パレスチナ人が中心となるボイコット運動を制限することを目的とした法律をアメリカ、イスラエル、ドイツは制定しているのに、マクドナルド、エクソンモービル、アップルなどの大企業がロシアでの事業を停止すると賞賛を浴びている。ウクライナの人々が火炎瓶を貯め込み、武器を取ってロシア軍と戦う姿に対し、世界中のSNSで賞賛の声があがっている。ところがパレスチナ人やイラク人がこれと同じことをするとテロリストとみなされ、正当な標的となってしまう。2003~11年にイラク反乱軍の一員としてアメリカ軍と戦ったシェイク・ジャバー・アル・ルバイ氏(51)は「当時同盟軍だったウクライナを含め世界中がアメリカの味方をしていたときも、我々は占領者に抵抗した。世界はアメリカ側に立っていたので、我々は賞賛を浴びることもなければ愛国的なレジスタンスとも呼ばれなかった」と話す。代わりに、反乱軍が持つ宗教的な側面が強調されたことについて「これはもちろん、私たちが劣った存在であるかのような印象を与えるダブルスタンダードだ」と言う。バグダッドで配送員をしているアブドゥラミーア・カリード氏(41)は、イラクとウクライナの抵抗運動には「違いがない」とみている。同氏は「強いて言うなら、アメリカが何千キロも移動してこの国に来たことを考えれば、イラクにおけるアメリカへの抵抗は正当化できよう。一方、ロシアの場合は、近隣地域で起きたとされる脅威に対処しようとするものだ」と話す。確かに、国連加盟国がほかの加盟国を侵略したウクライナ戦争と、内戦やイスラム過激派が関係することの多い中東の紛争とは大きく異なる点がある。カーネギー国際平和基金のシニアフェローで、共和・民主両党の政権で中東顧問を務めたこともあるアーロン・デビッド・ミラー氏は「一般的に、中東紛争は極めて複雑だ。決して中世ヨーロッパで演じられていた寓話的な演劇のように、単純な話ではない」と語る。同氏によると、ロシアが隣国に攻撃的かつ破壊的な戦争を仕掛けたと広く見られているウクライナ紛争は、道徳的な判断が容易にできるという点で極めてユニークであるという。中東で近い例を挙げると、1990年のイラクによるクウェート侵攻がある。当時アメリカがアラブ諸国を含む軍事同盟を結成し、イラク軍を追撃した。それでもミラー氏は、アメリカの外交政策が「異常であり、一貫性がなく、矛盾、さらには偽善に満ちている」ことを認めている。アメリカがアフガニスタンに侵攻したのは、現地のタリバンにかくまわれていたオサマ・ビンラディンが計画したとされる9.11テロへの対抗措置のためだった。イラクが大量破壊兵器を保有しているという誤った判断でアメリカは戦争を正当化したものの、この侵略によって、国際法を無視し人道に対する罪を犯した残忍な独裁者を打ちのめした。だが、多くのイラク人やほかのアラブ人からすると、アメリカの侵攻はその後数年にもわたる宗派間の抗争と血みどろの悲劇につながる理不尽な災難であった。外交問題評議会のシニアフェローで、アメリカのイラク侵攻時にホワイトハウスの顧問を務めていたエリオット・エイブラムス氏は、ロシアの侵略に立ち向かうウクライナ人と、アメリカ人と戦ったイラク反乱軍は同じではないとしている。イスラム国(IS)集団を引き合いに出しつつ「イランやISのためにアメリカ軍と戦ったイラク人は、自由の闘士ではない。このように道徳的な意味での区別をするのは偽善的ではない」と述べている。イスラエルとパレスチナの間で起きた紛争の歴史は、イスラエルが東エルサレム、ヨルダン川西岸、ガザ地区を占領した1967年の第三次中東戦争より1世紀以上も前にさかのぼる。世界の多くはこれらの地域をパレスチナ領とみており、イスラエルが進める入植地建設は国際法に違反する行為であるとされた。イスラエルはこの紛争を領土問題と位置づけ、パレスチナ人がユダヤ人国家の生存権を認めないところに問題があると非難している。エルサレム・ポスト紙は先月1日付の社説に「イスラエルの防衛戦争をロシアの隣国侵攻に例えるのは、文脈を理解できない人がすることだ」と記している。ロシアのシリア介入は、ISを含む複数の分派が残虐行為に手を染めた複雑な内戦の一部の動きにすぎない。ISがシリアとイラクの大部分を占領したとき、押し寄せてくる難民の波に紛れて過激派がヨーロッパに流入する事態を多くの人が恐れた。だが、中東の人々は、アラブ人やイスラム教徒の移民が冷遇されるのを目の当たりにしてきた。これは、普遍的な権利や価値を信奉していると主張しているにもかかわらず、依然として文化的な偏見を欧米諸国が抱いていることを示す証拠であるという。中東はいつも暴力にまみれているという考え方が広く浸透しているため、彼らの苦しみが軽視されていると感じている人は多い。多くの困難な紛争を作り出し、それが永続する責任を西側が負っていることは意識されない。パレスチナ外交研究所でアドボカシー・ディレクターを務めるイネス・アブデル・ラゼック氏は「植民地主義の産物に、私たちが殺害され、家族を悲しませることがあっても、西側と比べるとごくありふれた光景だという考え方がある」と述べている。
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txtmatango · 4 years
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『黄禍論とは何か』松岡正剛1423夜
 まるで今日にも通じそうな話だが、黄禍論はそのころのアジアの力が急激に増大してきたことへの過剰な警戒から生まれた。それは中国や日本からすれば黄禍ではなくて「白禍」(ホワイトペリル)というものだった。  どんなふうに黄禍論が沸き上がっていったのか、重要なのはその異常発生の背景なので、そのアタマのところを紹介しておこう。
 日清戦争が勃発した1894年、ジョージ・ナサニエル・カーゾンというイギリスの政治家が『極東の諸問題』という本を世に問うた。イギリスこそが世界制覇をめざすというジョンブル魂ムキムキの本で、斯界ではこの手の一級史料になっている。  カーゾンは、イギリスがこれからは世界政策上でロシアと対立するだろうから、その激突の最前線になる極東アジアについての政治的判断を早くするべきだと主張して、それには中国の勢力をなんとかして減じておくことが必要だと説いた。対策は奇怪だが周到なもので、ロシアを抑えるには中国を先に手籠めにしておくべきで、それには日本を“東洋のイギリス”にして、その日本と中国を戦わせるほうにもっていけば、きっと日本が中国に勝つだろうというものだった。「タイムズ」の編集長のバレンタイン・チロルも『極東問題』を書いて、この路線に乗った。  カーゾンやチロルの期待と予想は当たった。なんと日清戦争で日本が勝ったのだ。  しかし、これで問題が広がった。ひょっとしたら中国だけではなく、日本こそが世界の脅威になるのではないか。いや、日本は御しやすい。むしろ中国が戦争に負けたからといって中国の経済力が衰えることはないのではないか。さまざまな憶測が広まるなかでの1895年、イギリスの銀行家トーマス・ホワイトヘッドは『アジア貿易におけるイギリスの危機的状況』という講演をロンドンでぶちあげ、中国の銀本位制にイギリスの金本位制がたじたじになっていることをこそ解決すべきだと訴えた。
 一方、こうした極東状況を横目で見ていた二人の皇帝が、まことに勝手なことに、突然にある邪悪な符牒を示し合わせた。  有名な話だが、“カイゼル”ことドイツ皇帝ヴィルヘルム2世がロシア皇帝ニコライ2世に手紙を書いて、そこで「黄禍」という言葉を使い、ポンチ絵で黄色人種を揶揄ってみせたのだ。「黄色い連中を二人で叩きのめそうよ」というポンチ絵だった。  これが「黄禍」という言葉の誕生の現場だが、むろんこの言葉だけが一人歩きしたのではなかった。実際にも、まずは日本にちょっかいを出して、牽制することにした。ドイツとロシアがフランスを誘って三国干渉に乗り出したのである。  翌年、ベルリンの雑誌「クリティーク」は「黄色人種の脅威におびえる白色人種」という特集を組んだ。2年後には東アジアの経済事情を調査するドイツ委員会が結成され、むしろ伸長する日本の経済力をうまく巻き込んで利用すべきだという報告がなされた。
 ここで事態はアメリカに飛び火する。イギリスに始まった優生学がアメリカに飛び火して断種政策の拡張になっていったのと同様に、アメリカはしばしばこのように、最後尾から登場してまずは自国の情勢をまとめあげ、ついではあっというまに事態を全世界化してみせるのだ。  すでにアメリカは移民問題に悩んでいた。アメリカがサラダボウルの国で、どんな移民も受け入れる“自由の国ユナイテッドステート・オブ・アメリカ”だというのは、今も昔も半分でたらめで、アメリカほど移民問題をたくみに国際情勢の天秤目盛として活用してきた国はない。この時代もすでに中国移民のコントロールが問題になっていて、カリフォルニアでは中国移民制限と中国人排斥の気運が高まっていた。  そもそも帝国主義大好きの大統領セオドア・ルーズベルトが、中国人追放には手放しで賛成している始末だったのだ。  そこへジャパン・パワーの噂が次々に届いてきた。折しも多くの日本人たちがカリフォルニアに次々に移住もしていた。問題はイエロージャップらしいという声が高まってきた。とりあえずルート国務長官と高平駐米公使のあいだで日本人のアメリカ入植を自発的に縮小することにしたのだが、コトはそれではおさまらない。1900年、カリフォルニア州で日本人排除法が提案された。  加えて名門兄弟のヘンリー・アダムズとブルックス・アダムズが『文明と没落の法則』と『アメリカ経済の優位』をそれぞれ刊行して、次のようなロジックを提供した。  ①文明化するとはすべてを集権化することだ。②集権化とはすべてを合理化することだ。③集権化と合理化を進めれば欧米の品物よりもアジアの品物のほうが安くなる。④世界は集権化と合理化に向かっている。⑤だからアジアが生き残り、これに気が付かないヨーロッパは滅びるにちがいない。⑥アメリカはここから脱出しなければならない。
 アダムズ兄弟のロジックは明解で、強力だった。すでに『海上権力史論』を世に問うて、アメリカ中で万余の喝采をもって迎えられていたアルフレッド・マハン提督は、⑥の「アメリカはここから脱出しなければならない」を達成するための、新たな方針を打ち出した。  中国を門戸開放させ、その管理を列強が示しあわせてコントロールするべきだと言い、今後のパワーポリティックスは「北緯30度から40度のあいだ」に集中するだろうから、トルコ・ペルシア・アフガニスタン・チベット・揚子江流域の中国・朝鮮半島・日本、および南米のとくにアマゾン河流域のブラジルに注意しなければならないと力説したのだ。けっこう当たっている。  ところが、そこへおこったのが、またまた世界中を驚かせた日本による日露戦争勝利だったのである。驚きばかりではない。イギリスがちゃっかり日英同盟を結んでいたことは、アメリカには癪のタネとなった。
 1905年にカリフォルニアに反日暴動がおこり、アメリカはロシアに勝った日本と反日の対象となった日本とをどうあつかうかという二面工作を迫られた。その工作がポーツマス条約に対するアメリカの斡旋というかっこうをとらせた。  しかしむろんのこと、アメリカはこのまま日本をほうっておくつもりはない。血気さかんな将軍ホーマー・リーはさっそく悪名高い『日米必戦論』と『アングロサクソンの時代』を書き、これからはロシアはきっと中国と手を結ぶだろうから、アングロサクソン連合としては中国と同盟を結び、将来における日米決戦に備えておかなくてはならないと“予言”した。  当時、京都大学で比較宗教学を講していた親日派のシドニー・ギューリックはさすがにこの“予言”に呆れて、急遽『極東における白禍』を執筆したが、もは���焼け石に水だった。このあとアメリカの排日主義はますます強固に、ますます拡大のほうに向かっていった。
日露戦争に破れたロシアでは、かなり複雑な反応がおこっている。この国はもともと徳川日本に関心をもっていて、プチャーチンをはじめ何度も日本沿岸に出没し、折りあらば交易や開港を迫るつもりだったのだが、それをペリーとハリスのアメリカに先を越されたわけだった。  つまりロシアには「ロシアのアジア主義」ともいうべきものがあったのである。けれども、その外交政策がなかなか軌道にのってこない(今なお北方領土問題がくすぶっている)。  そういうロシアにとって、それを邪魔するのは仮想敵国のイギリスだった。それゆえ19世紀末、ブルンホーファーやウフトムスキーといった言論派は、たえず「ロシア・アジアの統合」というお題を掲げ、ときにはなんと、「仏教世界制覇の計画が日中韓の連合によって進むことがありうるかもしれないから、ロシアはそれに遅れをとってはならない」というような、やや誇大妄想なアジア対策を練ったりもしていた。  それがニコライ2世のころから「黄禍」に走り、そうこうしているうちに日露戦争で辛酸を嘗めた。ほれほれ、だからロシアン・アジアを早く確立すべきだったじゃないかと言ったのは、ウラジーミル・ソロヴィヨフの『汎モンゴル主義』だった。
 ドイツはどうか。アーリア神話や優生学や断種政策でもそうだったように、おっちょこちょいのカイゼル(ヴィルヘルム2世)こそ黄禍のお囃子の先頭を切ったものの、国全体としてはあいかわらず微妙な立場にいた。  三国干渉、膠州湾占領、義和団事件への出兵までは、まだ日本をからかっていればよかった。だからドイツ財界の重鎮で社会進化論者でもあったアレクサンダー・ティレは1901年の『黄禍』では、黄色人種によって「ドイツの労働市場が水びたしになることはないだろう」とタカをくくっていた。しかし日露戦争以降、どうも雲行きがあやしくなっていく。  アウグスト・ベーベルは中国に莫大な地下資源が眠っている以上、ドイツはこれを取りに行く列強との競争で遅れをとってはならないと警告し、フランツ・メーリングは中国や日本の脅威を防ぐには、もはやかれらの資本主義の力を社会主義に転じさせるしかないだろうと弱音を吐いた。  しかしドイツの黄禍論が他の列強と異なっていたのは、やはりそこに反ユダヤ主義がまじっていったことだった。ドイツの黄禍論はしだいに民族マキャベリズムの様相を強くしていった。
ざっとは、こんなふうに列強世界を黄禍論が走ったのだ。  では、ここまであれこれのイジメを受けた日本はどうだったのかというと、黄禍論は当然、明治の日本にも衝撃を与えた。ただし、当時の日本人は黙っているわけではなかった。たとえば象徴的には鴎外(758夜)、天心(75夜)、漱石(583夜)が反論していた。  鴎外については、明治36年11月の早稲田大学課外講義『黄禍論梗概』の記録がのこっている。そのなかで鴎外は、黄禍論は「西洋人が道徳の根幹を誤って社会問題を生じて、商業・工業の上で競争ができないようになりそうだと、不安がっているにすぎない」と断じ、「西洋人は日本と角力を取りながら、大きな支那人の影法師を横目で睨んで恐れて居るのでございます」「所詮黄禍論というものはひとつの臆病論なのです」と言った。鴎外はジョセフ・ゴビノーの人種差別論にもかなりの批判を展開した。  天心は『日本の目覚め』の第5章を「白禍」とし���「東洋民族が全面的に西洋を受け入れたのは問題だった。帝国主義の餌食になった」と述べ、「かれらの渇望の犠牲になってはならない」と強く訴えた。  漱石が『それから』の代助に言わせたセリフは、まさに黄禍と白禍の問題の本質をついていた。こういうものだ。最近のニートやフリーターにも聞かせたい。  「なぜ働かないって、そりゃ僕が悪いんじゃない。日本対西洋の関係がダメだから働かないんだ。第一、日本ほど借金をかかえて貧乏震いをしている国はありゃしない。この借金が君、いつになったら返せると思うか。そりゃ外債くらいは返せるだろう。そればかりが借金じゃありゃしない。日本は西洋から借金でもしなければ、到底たちいかない国なんだ。それでいて一等国を以て任じている。無理にでも一等国の仲間入りをしようとする。だから、あらゆる方面に向かって奥行を削って、一等国だけの間口を張っちまった。なまじ張れるから、なお悲惨なんだ」。
 田口卯吉のように黄禍に対抗するあまり、敵のロジックをむりに日本にあてはめた例もある。田口は『日本人種論』『破黄禍論』において、なんと「日本人=アーリア人」説を説いたのだ。  これが『日本開化小史』を書いて、福沢諭吉や天野為之と並び称された自由主義経済学の導入者とは、とうてい思えない。そこには「史海」の発行者であって、『国史大系』『群書類従』の編纂に当たった田口のほうの顔が強く出ていた。  もっとも、このように日本人を優秀化するためにアーリア人やユダヤ人をその流れに牽強付会させようというめちゃくちゃな論陣は、この時期は田口だけでなく、黒岩涙香(431夜)、竹越与三郎、木村鷹太郎、小谷部全一郎などにも共通していて、かつて長山靖生の『偽史冒険世界』(511夜)を紹介したときにもふれておいたように、それ自体が黄禍に対する過剰防衛になってしまっていた。小谷部は、例の「義経=ジンギスカン」説の発案者である。  いずれにしても、当時の日本人にもたらした黄禍論の影響は、かなり面倒なものとも、危険なものともなっていったと言わざるをえない。  橋川文三は、日本に「国体」論が浮上し、天皇唯一主義が受け入れやすくなったのも、また孫文に代表される大アジア主義が流行して日本の国粋主義者がこれに大同団結しようとしたのも、どこかで黄禍論に対する反発がはたらいていたにちがいないと見た。この見方、いまこそ肝に銘じておくべき見方であろう。
 黄禍論。  まことに厄介な代物だった。それは今日のアメリカのWASP主義、中国や韓国の反日感情、インドとパキスタンの憎悪劇などの厄介さを思えば、想定がつくだろう。  しかし、ほんとうに厄介なのは、アーリア神話、ゲルマン主義、優生学、断種政策、黄禍論が、すべて一緒くたに20世紀の劈頭を荒らしまわっていたということだ。  ぼくはこのあと、ユーラシアにおける民族の交代劇をその制覇と没落を通して案内していくつもりだが、そしてそこにイスラム主義やモンゴル主義やトルコ主義がどのような光と影をもたらしていったかを、できるだけわかりやすく、できれば順よく案内し、そこから東アジアの盟主となった中国という国がどんな民族ネクサスを演じてきたかを書くつもりだが、それにあたって、スキタイから派生したアーリアン・コメディの長期にわたった脚色劇が20世紀にまで続行していたことを、あらかじめ伝えておきたかったのである。
メモ
ヴィルヘルム2世とロシア皇帝ニコライ2世
https://kusanomido.com/study/history/western/30129/
黄禍論と日本人差別
https://history.ceburyugaku.jp/88054/
GWF(Great White Fleet)
https://ja.wikipedia.org/wiki/グレート・ホワイト・フリート
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thetaizuru · 5 years
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一. 米中貿易戦争 - 米中サイバー戦争
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 2018年12月20日 米司法省は20日、中国政府とつながりのあるハッカー2人を起訴したことを発表した。日本を含む12か国の45の企業・政府機関を標的にサイバー攻撃を仕掛けた疑いがあるという。米当局は2015年のサイバー攻撃停止の取り決めを中国が順守していない様子を示すものと批判している。
 ロッド・ローゼンスタイン司法副長官は今回の起訴について、欧州・アジアの同盟国と連携している活動で「中国の経済的攻撃」を阻止する目的があると説明した。
 司法省によると、ハッカーの両被告は中国国家安全省が支援するとされるハッカー集団「APT10」に所属し、天津市国家安全局に勤めていた。
(米、中国政府のハッカー2人を起訴 日本含む12か国でサイバー攻撃 2018年12月21日 AFP https://www.afpbb.com/articles/-/3203517)
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 中国のサイバー攻撃は かなり異色で、専門家は別のカテゴリーに分類することが多い。
 2010年、サイバーセキュリティ企業Mandiant 社は下記のように中国のサイバー攻撃を区別している。「これらの違法侵入は、十分な資金に支えられた組織化されたアタッカーのグループによるものとみられる。いわゆるハッカーではなく、APT(Advanced Persistent Threat: 高度な持続的脅威)と呼ぶ。動機、技能、執拗さが違う。彼らはプロであり、成功率の高さは抜きん出ている」
 「調査してきたAPT侵入のほぼ全ては、中国内の時事と直接関連づけられる」ことも特記している。
 攻撃の背後にある組織
 産業情報の窃盗のためのサイバー攻撃の場合は、そのほとんどが人民解放軍総参謀第三部によるものだ。この部門は中共のシギントSIGINT:signals intelligence(傍受を利用した諜報活動)を運営する。
 この第三部に並び、 従来の人間を媒介とする諜報活動、ヒューミントHUMINT:Human intelligenceの第二部、そして電子情報(ELINT:Electronic intelligence)の第四部がある。
 中国の諜報活動には重複する部分が多くある。 企業のコンピューターに「誤って」感染させる助けを人間のスパイが行う場合がある。また中共のハッカーが、サイバー攻撃を開始し、内部諜報員でなく、サイ バー攻撃によって情報が盗み取られたとみせかけ、内部にいる諜報員が追跡されないよう助けることもある。
 中共の諜報活動のかなりの部分を軍のもとでこれらの部門が取り扱い、活動も大規模なスケールで行われている。シンクタンクProject 2049 Instituteは、2011年11月、第三部の雇用者数を13万人と推定。『ウォールストリート・ジャーナル』は、第三部 は、ハッカー、言語に堪能な者、アナリストを抱え、その職員数は10万人と推定している。
 上記の推定は、第三部は12局から構成されると記述されているところから、初期のものとされる。現在の第三部は少なくとも20局と知られている。
 三層に分かれたサイバースパイ組織
 人民解放軍を研究する機関が発表した『軍事戦略の科学』2013年版による���、中共のサイバースパイは三層に分かれている。この年の3月に情報研究分析センターのリサーチアナリスト、ジョー・マクレノルズが詳細を解説している。
 中共のサイバースパイの第一層は、ネットワーク上の攻撃と防御を行うために配備された軍事ユニット。第二層は官庁を含む市民機関のスペシャリストから構成され、ネットワーク戦争の戦略を実行する権限を軍から与えられている。第三層は官庁・軍部以外のグループで、ネットワーク戦争の戦略実行のために 組織化、動員が可能。
 中国の軍部はさらに、これらの戦略を助けるための企業を運営する。FBI防諜部隊の前副部長によると、窃盗を業務とする軍のダミー会社を中国政権は米国で3200社以上営んでいると、米国2010年のアメリカ国防脅威削減局(DTRA:Defence Threat Reduction Agency)が2010年に報告している。
 ...
 産業情報の窃盗を指揮する主要なプログラムのひとつにプロジェクト863がある。米国の国家防諜部(NCIX:National Counterintelligence Executive)の報告書によると、プロジェクト863は、米国の技術と機密に関わる経済情報を内密に取得するための資金とガイダンスを提供するもの で、中共の同プロジェクトへの力の入れ方は「象徴的」であるとする。
 これらの制度や政策は全て、中国経済を豊かにするために、米国やその他のイノベーション諸国から窃盗するという共通した目的で統合されている。
 「米中の経済と安全を見直す委員会」による報告書では、中国は、「『イノベーションの営利主義』制度の一部として、産業スパイや強制的な技術譲渡、国外技術の著作権侵害と偽造に依存している」と 明記されている。
 「不法に必要なものを取得することで、基本的な研究や独自製品の開発におけるコストや難しさを避けることを中共は可能にしている」と同報告書は加えている。
(中国のサイバースパイの背後にあるもの 2016/01/08 大紀元  https://www.epochtimes.jp/2016/01/25035-p.html)
(注: プロジェクト863; 「863計画」または国家高技術研究発展計画は、中国の技術高度化計画のことである。改革開放政策が盛んに行われていたころの1986年3月に発表されたことから「863」の名前があり、20年以上を経た今でもよく使われる言葉である。 https://ja.wikipedia.org/wiki/863%E8%A8%88%E7%94%BB)
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伝えられるところによると、中国ファーウェイ(華為科技、HUAWEI)は早くて19年前から、通信技術を中東のテロ組織に売り渡し、活動を支援していた。
通信機器の世界最大手ファーウェイは中国軍と密接なつながりを持つ民間企業。安全保障上のリスクを理由に米国、英国、豪州、日本、ニュージーランドなどは政府、軍事、民間の次世代ネットワーク5G事業からの排除を決めている。
米NPO組織によると、中東拠点の過激派組織タリバンの指導者オサマ・ビンラディンに対する支援は2000年に始まった。
1999年以降、タリバンが国連制裁措置リストにアップされた。このため、世界中の通信事業者や通信機器メーカーがタリバンに販売することは禁じられた。しかし、複数の間接的な証拠から、ファーウェイは数十年間、タリバンに通信システムを提供し続けていることが分かった。
米国の対テロ戦争を妨害する中国共産党政権
米バージニア州拠点のNPO組織・人口調査研究所は2001年9月、中国共産党政権とサプライヤーは、オサマ・ビンラディンの対米戦争に重要な役割を果たしたと報告した。
タリバンは、過去20年にわたり中国共産党との緊密な関係を維持している。2000年12月、国連安全保障理事会はタリバンへの武器売却を禁じると票決した。このためタリバンはアフガニスタンでの訓練キャンプの閉鎖に至った。当時、中国は投票を棄権した。
この数カ月後、ファーウェイはタリバンと取引し、アフガニスタン全土に広がる軍事通信システムを構築した。ロイター通信の報道によれば、共産党政権はタリバンの武装も技術も支援した。
SNS微博のアカウント「手機中国聯盟」の投稿によると、2014年10月26日、ファーウェイは社内メールで、タリバン所属の顧客からのクレーム について報告した。この顧客は、「インターネットが非常に遅いか、まったく機能していない」と状況を述べ、一週間以内に修理しなければ基地局を焼き払うと告げたという。この内容は中国官製英字紙チャイナ・デイリー、観察者網などにも取り上げられた。
ファーウェイ、2社のペーパーカンパニーを通じて制裁対象国と取引
ファーウェイは、電気通信システムを過激派テロ組織タリバンに販売するのみならず、米国が取引を禁止しているイランとシリアにも商品を輸出していることが明らかになった。
ロイター通信は1月8日、ファーウェイは、対イランとシリア禁輸制裁を回避するために2つの実体のないペーパーカンパニーを経由して取引したと報じた。1社は香港拠点のスカイコム・テック、もう1社はモーリシャスのカニクラ・ホールディングス。
2018年12月、米国の要請を受けカナダはイラン制裁違反の容疑でファーウェイ財務最高責任者(CFO)孟晩舟氏を逮捕した。米当局によると、孟容疑者が独立運営と主張する2社は、実際はファーウェイがイランとシリアとの取引のため、国際金融機関を欺いてパイプ役を担っていたという。
表面上、ファーウェイと2社は関連がないが、ロイター通信は、スカイコムイラン支店の責任者はファーウェイの幹部でソフトウェア商業部代表Shi Yaohong氏であるとの文書などの証拠を入手した。2012年6月、Shi氏はファーウェイ中東担当代表に就任した。
また、華為とスカイコムがイランで開設した銀行口座は、共通する中国名の個人3人が署名権を持っている。さらにロイターの取材で中東の弁護士は、華為がシリアでカニクラを通じて事業を運営していたと話した。
米国はファーウェイに対して厳しい措置を打ち出している。ウォール・ストリート・ジャーナル1月10日付によると、シリコンバレーを拠点とする同社子会社が開発する技術の一部を中国に輸出できなくなっていると報じた。米商務省が安全保障上の懸念から許可しなかったためだ。同社は市場開拓向けの新技術 開発と、中国技術輸出および特許申請を行っていた。
(ファーウェイ、テロ組織タリバンに通信技術を支援 早くて19年前から 2019年01月16日 大紀元  https://www.epochtimes.jp/2019/01/39254.html)
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 中国にとって通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)は、世界一の「製造強国」を目指す産業政策「中国製造2025」を推進する上で、最も重要な企業と言える。トランプ米政権が「ファーウェイつぶし」を本格化させれば、中国の製造強国入りの計画は根幹に狂いが生じる。水面下で米国と難しい交渉を迫られそうだ。
 ファーウェイは孟副会長の父親である任正非・最高経営責任者(CEO)が1987年に創業。従業員は18万人に上る。スマートフォンにとどまらず、幅広い通信関連機器の開発、製造を手掛ける。世界のスマートフォン出荷台数は米アップルを抜き2位に成長した。
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 中国は軍民一体でハイテク技術などの向上に取り組んでいる。任氏は元軍人であり、「ファーウェイの成功は軍の支援があったからこそ」(業界関係者)とささやかれている。逮捕された孟副会長は、いずれ経営トップに就くとみられていた。  米中貿易摩擦が激化する中、中国は米国からの先端技術導入が難しくなりつつあり、中国製造2025を遂行するためには、ファーウェイの開発力に頼らざるを得ない状況に置かれている。
(中国、産業政策に狂いも=ファーウェイ幹部逮捕で 2018年12月07日時事 https://www.jiji.com/jc/article?k=2018120700780&g=int)
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複数の関係筋によると、トランプ米大統領は国内企業に対し、中国の華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)が製造した通信機器の利用を禁止する大統領令を来年に発令することを検討している。
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文面は最終決定していないという。国際緊急経済権限法を発動するもので、大統領が非常事態を宣言し、商取引を規制する。    
米国は、両社が中国政府の指示を受けているとみており、米国人に対する諜報活動に両社の製品が利用される可能性があると主張している。
(華為・ZTE製機器の利用禁止、米大統領が命令検討=関係筋 2018年12月27日 ロイター https://jp.reuters.com/article/huawei-zte-trump-idJPKCN1OQ0BP)
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二. 情報戦争 - ミームウォー - 心の戦争
 Epoch Timesからいくつかの記事を抄訳して以下引用する。全てJoshua Philipp記者による。
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 ブルームバーグニュースは4月20日に「私たちは中国に私たちをスパイさせるべきだ」という一風変わった見出しで記事を出しました。重要な点は公正です:CIAの情報の80%近くはオープンソースの情報から来ていて、過去、冷戦時代のように、スパイからの情報は米国が本格的な戦争に飛び込むのを未然に防いできました。
 それでも、ブルームバーグの記事はいくつかの重要な点を見逃しています。 具体的には、統一戦線工作部や中国人学生学者協会(中国留学生学友会)などを通じた中国のスパイ作戦の活動を把握しているようには見えず、代わりにこれらを情報収集に関連付けるというマイナーな視点を試みています。
 それはまた、それが言及している監視および諜報活動に関与している中国のハッカーの活動、およびこれらが地上で活動している中国のスパイとどのように結びついているかについても理解していません。
 ブルームバーグの記事の根拠は、中国のスパイがアメリカのスパイと同じように活動し、主に情報収集に焦点を当てていることを前提としています。 米国のスパイは、対象となる国または人物がどのように運営されているのか、どのように理解し、主要な問題にどのように対処し、どのようなプロセスを経るのかを理解することに目を向けています。 オープンソースのインテリジェンスはこのような情報に非常に役立ちます。
 しかし、そのような作戦はUnited Front Department(統一戦線工作部)からのスパイが焦点を当てているものではありません。 統一戦線の焦点は、イデオロギーの破壊、フロント組織の設立、海外の中国人のコミュニティの統制、密輸および犯罪ネットワークの運営、個人の侵害、そして中国共産党(CCP)への草の根的支持をつくりだすことです。
 冷戦中でさえ、ほとんどのソビエトスパイはジェームズボンドスタイルのスパイ作戦にフォーカスしていませんでした。 彼らは、ディスインフォメーションを広めるための非営利団体を設立し、ソビエトの理念を支援するための活動家運動を組織し、報道機関に解説を与えるための「専門家」を送り、そして米国を機能させる機関の主要人物を危険にさらしました。
 統一戦線工作部のスパイのような多くのスパイは、標的とされた国でCCPのための統一された「戦線」を作ることを模索しています。 戦争の際に混乱や暴力の行為を実行するために使用される可能性のあるスリーパーエージェントの使用は言うまでもありません。これは、従来のスパイ操作によって行われる情報収集のような穏やかな操作とは根本的に異なります。
(Actually, We Probably Shouldn’t Let China Spy On Us,. April 24, 2019 The Epoch Times https://www.theepochtimes.com/actually-we-probably-shouldnt-let-china-spy-on-us_2891506.html)
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 ディスインフォメーションはミスインフォメーションやプロパガンダとよく混同されますが、3つの概念はかなり異なります。 ミスインフォメーションは、完全な虚偽の情報を使用することであり、プロパガンダは事実に関係なく感情的または潜在意識的な反応を引き出すように設計されています。
 ディスインフォメーションとは、対象となる社会において、信頼されている信頼できるチャネル、つまり、米国の主要新聞などのような合法的なチャンネル を通じて、誤った情報を少しの真実と一緒に広めることです。
 ソビエト連邦の下では、ディスインフォメーション作戦はしばしば、管理された報道機関の複合的なシステム、偽の非営利団体、送り込まれた専門家を使っていました。これらは、議論のための虚偽の注釈を作成したり、虚偽の出来事を起こしたりするために使用されたことでしょう。そしてそれにより政治的な物語を組み立てることができるのです。
 今日の中国の政権下では、しかし、彼らがする必要があるのは少し現金を出すことだけであり、そしてアメリカの情報のゲートキーパーは喜んで彼らのディスインフォメーションを刊行するでしょう。
(It’s Time to Address Paid Chinese Disinformation in US Newspapers,. March 28, 2019 The Epoch Times https://www.theepochtimes.com/its-time-to-address-paid-chinese-disinformation-in-american-newspapers_2857599.html)
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 ミスインフォメーションは、不正確な情報の記述であり、単純な誤りから、国営のニュースアウトレットによって公表された虚偽のものまで、 何でもあり得ます。 ディスインフォメーションは、もっともっとdevious (巧妙な、詐欺的な、不正な、正道を踏み外した、欺くもの)です。
 ディスインフォメーションの目的は、しばしば段階的なインシデントを作成することによって、誤った認識を作り出し、これらを有効な議論と思われるものの基礎として使用することです。 国営の情報源から出版されることというよりむしろ、目的は、標的とされた国の信頼できるニュース配信を通してディスインフォメーションを広めることです。 アウトレット(放送局)がストーリーを流すと、反対者はそれをパブリックステートメントを作成するために引用することができます - そしてこれらのステートメントはおそらく、議論を検証するのに役立つものとして、さらに多くのニュース報道を受けるでしょう。
 最終的に、ディスインフォメーションは一人歩きして手に負えなくなり、そして、それぞれの追加された(盛られた)ストーリーは、認知された真実のベールの下に嘘をより深く埋め込みます。
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 ディスインフォメーションの起源は帝政ロシアですが、ソビエト連邦で広く使われました。 それは戦略的な詐欺についての共産主義のイデオロギーとうまく融合しました。 冷戦が始まる頃、1955年から1970年までソビエトの元将軍であり、KGBの対外諜報機関長を務めたAleksandr Michael Sakharovskyは、新しいタイプの戦争のための武器としてそれを見ました。
 彼は可能性として、第三次世界大戦を「武器のない戦争 - ソビエト連邦が一発の弾丸を発射することなしに勝つであろう戦争」と考えました。 それはアイデアの戦争でした。 それはdezinformatsiyaと呼ばれる強力な新しい武器で巧みに動かされた諜報戦争でした。西に逃亡した最高ランクのソビエト役人、ルーマニアの秘密警察セクリターテの3つ星の将軍だったIon Mihai Pacepaと共同執筆した「Disinformation」という本で述べています。
 dezinformatsiyaの役割、または彼が書いた「Disinformation」とは、「中傷者が他の人たちに目標ターゲットが本当に悪であると納得させるような信頼できる軽蔑的な情報を広めること」でした。
 ミスインフォメーションをさらに数歩押し進める戦術をとりました。 「尊敬され、信頼できる西洋の情報源」を通して、そして「真実の核心」を持ったディスインフォメーションを広める必要があるという要件を追加することによって、その声明は部分的に真実に見え、それに対する調査を終わらせる原因となります。 時にはそれはまた、「左翼シンパのエージェント」を活用して、作られたストーリーを刊行するのを助けます。
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 ディスインフォメーションは心理戦の基礎を築きます。それは現実と出来事に対する人の認識を変えることを意図した宣伝方法(プロパガンダメソッド)です。心理戦キャンペーンの犠牲になった人は、攻撃者によって設計されたレンズを通して無意識のうちに出来事を知覚するでしょう。
 心理戦は、ソ連が「demoralization(士気喪失)」と呼ぶプロセスに適合します。標的の国の人々はソビエトが政治的目的を達成するのを、無意識のうちに助けてしまうでしょう。
 これらの戦術の使用は終わることはなく、今日ではさらに洗練された形で見ることができます。2003年に中央軍事委員会が情報戦の基盤として承認した中国共産党の“Three Warfares” strategy(「三戦」戦略)があります。
 「三戦」には、敵対者が情報を解釈する方法を変えるための心理戦、知覚される妥当性を構築するための法律を作成または操作する法的戦争、報道に影響を与えたり管理するためのメディア戦、が含まれています。
 中国の政権は、「三戦」のもとでのディスインフォメーションを大規模に利用しています - 南シナ海の支配、ハリウッドの侵略的支配、「sensitive topics(敏感なトピック)」に関する国による検閲の海外へのプッシュ、そして政治的および宗教的反対者のフレーミング(framing)を含みます。
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 もちろん、ディスインフォメーションがいまだに量産されているのは中国だけではありません。
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 言葉が何を意味するのかを忘れた場合、そして特に政治的な議論をする上で誤った(偽った)意味で述べられた場合、元の用語を認識する能力も簡単に失ってしまいます。20世紀初頭以降、ディスインフォメーションは、ホロコースト、テロリストのプロパガンダ、そしてほぼすべての共産主義者が行ってきた残虐行為の中で使用されてきたすべての政治的武器の中で最も有害なものの一つです。
 そしてその基本的意味さえ忘れてしまえば、将来の残虐行為での使用も容易にしてしまうでしょう。
(The Misinformation on Disinformation: A communications tactic born in Russia has given birth to atrocities,. December 25, 2016 The Epoch Times https://www.theepochtimes.com/the-misinformation-on-disinformation-2_2199798.html)
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 特別利益団体、政治活動家、さらには主要な報道機関など、他のいくつかの団体が、社会における絶え間ない混乱と不安定さという絵を生み出す、誤った認識のメカニズムを増大させる情報を供給しています。
 カオスの目的は、社会を破壊し、社会の調和を破り、人々を互いに対立させることです。 混沌とした状態から、新しい政策を創り出し、権力を他の人の手に変えることができ、そして極端なアジェンダを持つ様々なグループが彼らの野心を前進させるためにこれらのツールを使うことができます。  この概念を理解するために、私は影響作戦と心理戦の性質についてのジェームス スコットとの議論を続けました。スコットは、このトピックに関して議会や情報機関に助言し、重要インフラ技術研究所のサイバー影響オペレーション研究センターの構築を支援したサイバーセキュリティおよび情報戦の専門家です。
 スコットは、現在米国で行われている戦略について、“chaos is the op.”「混沌は策だ」と述べています。
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 「...そして、混沌を掻き回す関心を持つ特別な利益団体の形で悪意のあるインサイダーという脅威を抱えています。 」
 「カラー革命」モデルは億万長者で民主党出資者のジョージ ソロスの戦術と結びついています。 モデルは「上下」戦略を使用します。 「下」の部分では、過激な抗議団体や変革を主張する団体への資金援助が行われ、「上」の部分では、システムにリンクする政治家が新しい政策を提案するためのmanufactured dissent(でっち上げの反対派)を作るために使います。
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 これはまた、単一の旗の下に擁護運動、学生組織、フロント企業、および統制された政治家を統一するように設計された共産主義の「統一戦線」戦術からも引き出されます。 多くの場合、組織のリーダーだけがより広範な戦略を認識する必要がありますが、残りはレーニンが無意識のうちにより大きな目的を支援する「役に立つ馬鹿」として説明したものです。
 もちろん、社会における現在の問題は、「右」と「左」、あるいは共和党と民主党の従来の認識では見ることができません。 一方では、製造されたインフレと債務の経済、外国の破壊工作、そしてスコットが「消費者フェティシズム」と表現したものを煽るためのエドワード バーネイズのプロパガンダ戦略があります。
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 多くの活動家や「コミュニティオーガナイザー」は、ソウル アリンスキーの著書「Rules for Radicals」から彼らの戦術や方法を引き出しています。これも共産主義システムの、破壊と詐欺の戦術を反映しています。
 他にも、マルクス主義のレンズを通して歴史を再定義する「critical theory (批判的理論)」のような破壊的な概念を導入し、それが多くの急進的な社会運動の基礎となっているフランクフルト学派の文化マルクス主義の戦術からも引き出されています。
 いくつかの戦術は国家レベルで運営されています。 ロシアはこれを行う国の一つとして最もよく知られていますが、イランと中国共産党(CCP)もこの面で非常に活発です。
 例えば、CCPの人民解放軍は、心理戦(情報の見方を変える)、メディア戦(メディアの物語を統制する)、法戦(国際法を操作する)の戦略に基づいた「三戦」の原則を持っています。  中国の2人の大佐は、「Unrestricted Warfare無制限の戦争」という本を出版しました。これは、道徳のない戦争のシステムを概説し、「文化戦争」、「麻薬戦争」、「経済援助戦争」などを含む多くの非軍事戦術を使用します。
 スコットによると、より深いプロパガンダ戦略の1つは「ミーム」の使用です。ミーム(memetics ミーム学)の概念は、アイデアが社会にどのように導入されるか、それらのアイデアが時間の経過とともにどのように発展し、ついには文化にどのように影響を与えるかを見ることです。 さまざまなグループがミームを武器にしようとしています。
 「意味のあるものなら何でも武器にすることができます」スコットは言います。 「「ミーム」は情報の初期段階です。 それは配布される情報のマイクロパケットです、そしてそれは武器になります。 それは影響作戦、情報戦、デジタル化された心理戦における強力な要素です。 私たちはこの分野で多くの潜在力を見ています。」
 スコットはthe Center for Cyber-Influence Operations Studies(サイバー影響オペレーション研究センター)での彼自身の仕事は、「それを使って民主主義を広める方法、銃を持ち上げることなくそれを使って海外に影響を与える方法をインテリジェンスコミュニティに教える」ことだと言いました。
 物事がどのように発展しているか、そして今日の世界の現状のより大きな全体像を考えると、彼は言いました、「私は心が新しい戦争空間だと思います」。
(Chaos Operations Are Being Used for Ideological Subversion of the United States: A continuing discussion with James Scott on influence operations and psychological warfare,. June 26, 2018 The Epoch Times https://www.theepochtimes.com/chaos-operations-are-being-used-for-ideological-subversion-of-the-united-states_2574589.html)
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二a. (言葉の説明;)「三戦」、「フレーミング」、「役に立つ馬鹿」
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三戦とは
 三戦は2003年、中国共産党(以下「共産党」という。)中央委員会および中央軍事委員会(以下「中央軍委」という。)において採択され、中国人民解放軍政治工作条例に「輿論(よろん)戦、心理戦、法律戦を実施し、瓦解工作、反心理・反策反工作、軍事司法および法律服務工作を展開する。」と記載された(「瓦解工作」とは「組織崩壊活動」、「反心理工作」とは「心理的攻撃への対抗措置」、「反策反工作」とは「敵の内部に入り込み密かに行う寝返り工作活動への対抗措置」、「法律服務工作」とは「法律に関する業務」をいう。)。三戦は相互に密接な関係があり、明瞭な区分は不可能である。例えば輿論戦は心理戦と法律戦に効果のある国内外の與論を提供し、法律戦は輿論戦と心理戦に法律的な根拠を与える。三戦は中国の得意とする宣伝を用いて敵の弱体化を目指すことから、非対称戦の一部とも考えることができる。三戦それぞれの定義を次に示す。
(1)輿論戦
 自軍の敢闘精神の鼓舞、敵戦闘意欲の減退を目的とする内外與論の醸成をいう。新聞、書籍、ラジオ、テレビ、インターネット、電子メールなどのメディアと情報資源が総合的に運用される。常用戦法には「重点打撃(敵指導層等の決断に影響を与える。)」、「情報管理(有利な情報は流布する一方、不利な情報は制限する。)」等がある。
(2)心理戦
 敵の抵抗意志の破砕を目的とする。常用戦法には「宣伝(テレビ、インターネット、印刷物散布等により敵の思考、態度等を変化させる。)」、「威嚇(軍事演習、有利な戦略態勢、先進兵器の誇示により敵の認識、意志に影響を及ぼす。)」、「欺騙(ぎへん)(真実を偽装して敵の決定と行動を誤らせる。)」、「離間(指導者と国民、指揮官と部下の間に猜疑心等を生ぜしめ、自軍が乗じる隙を作為する。)」、「心理防護(士気低下の予防、督励、カウンセリング、治療により、自軍に対する敵の心理戦活動を抑制・排除する。)」がある。
(3)法律戦
 自軍の武力行使、作戦行動の合法性を確保し、敵の違法性を暴き、第三国の干渉を阻止することで自軍を主動、敵を受動の立場に置くことを目的とする。軍事作戦の補助手段として用いられる。なお、三戦は共産党の政治経済を統括する中央委員会で採択されたことから、単に軍のみではなく、国家を挙げて三戦を遂行することが決定されたものと推測される。
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 共産党の正統性は経済発展による生活水準および中国の国際的地位の向上にあり、これが実現しない場合には国民からの支持が失われる可能性がある。よって、共産党の執政には経済発展の維持を目指す資源、市場および輸送路の確保、さらには国民から外交姿勢への批判が出ないようにすることが不可欠である。資源等の確保を目的とした島嶼(とうしょ)の領有権に関する南シナ海、東シナ海での中国公船、官用機の活動はその一端を示す好例と考えられる。現在、この正統性に負の影響を与える、経済格差拡大、環境破壊、共産党・政府幹部の汚職、少数民族の独立運動などの問題が国内に山積し、これらに不満を持つ国民が起こした暴動(群体事件)の件数は2005年に8万7千件であったが、2010年には18万件にも達した。中でも共産党員の汚職に関しては共産党自身も重大な危機と認識しており、第18回共産党大会(2012年)直後には習国家主席が「虎もハエも(地位が高い者も低い者も)取り締まる。」と表明し、実際の取り調べはこれまでにない高位の者(中央委員会最上位の政治局常務委員:周永康)にまで及んでいる。
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 三戦に関する考え方、意義、実例を見るに、三戦とは中国にとって有利な環境、条件を作り出すことを目的として行われる武力を用いない非対称戦と考える。これは孫子の不戦屈敵の思想にのっとったものともいえる。
(防衛省・自衛隊 戦略研究グループ 幹部学校研究メモ3中国による三戦の定義等およびエア・パワーに関する三戦の事例 https://www.mod.go.jp/asdf/meguro/center/AirPower2nd/113memo3.pdf)
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「フレーミング(framing)」
 「縁取り」の意。写真では、撮影する際に構図を決めるために画面内に入る被写体を整理する作業を指す場合が多い。撮影の際にファインダーを通して見える撮影範囲。また、撮影範囲と構図をファインダーを通して決定すること。 構想。
 フレーミング効果(Framing Effect)とは、複数の選択肢から意志決定や判断をする際に、絶対的評価ではなく、そのときの心的構成(フレーミング)や質問提示のされ方によって、意志決定が異なる現象のこと。  例えば、著名なバイオリニストがコンサートホールで演奏すれば高価なチケットでも完売して人はみな耳を傾けるが、そのバイオリニストがこっそりストリートで演奏しても誰も振り向かずに通り過ぎてしまう、というものが該当する。  他にも、同じワインであることを伏せて、1杯ずつ異なる値段を付けて提供した場合、高い値段ほど人はワインを堪能しようとし、おいしいと感じてしまうという例がある。
(フレーミング(framing)コトバンク https://kotobank.jp/word/%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0-687400  フレーミング効果 シマウマ用語集 https://makitani.net/shimauma/framing-effect)
 「フレーミング(framing)」は、個人または対象となるグループに対する一般の認識を戦略的に変えるためのディスインフォメーションの典型的な使用例である。
 似た言葉(framing / flaming: rとlの違い)で、フレーミング(Flaming)という言葉がある。炎上(Flame、炎)目的で書かれた文書を指すネット用語。
 フレーミング(Flaming)とは、相手を激高させたり侮辱したりすることを目的に発信するインターネット上に書き込む文書のこと。
(フレーミング (ネット用語) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0_(%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E7%94%A8%E8%AA%9E))
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役に立つ馬鹿(useful idiot)は、政治用語で、良い活動をしていると無邪気に信じて実際にはそれと気付かずに悪事に荷担している者、プロパガンダに利用されている者をさす言葉。軽蔑表現。
この用語は元々、西側諸国に存在するソビエト連邦(または東側諸国)のシンパを指す言葉として用いられた。意味としては、本人は自分自身を東側の協力者と思っていないが、実際には都合良く東側の宣伝などに利用されていて東側から軽蔑し冷笑されていた西側諸国にいる左翼知識人(進歩的文化人・リベラル・良心的勢力、等々)を指す。
類似用語の 役に立つ愚者(useful innocents)は、オーストリア系アメリカ人(ユダヤ系)経済学者のルートヴィヒ・フォン・ミーゼスが著書 『計画された混沌』 で用いている。この用語はミーゼスにより「混乱して誤った方向に導かれた共鳴者(confused and misguided sympathizers)」と定義される、リベラルな共産主義者に対して用いている。
「役に立つ馬鹿」は、善を促進する力になるというばか正直な考えで知らず知らずのうちに悪意ある企てに協力している人たちに対する軽蔑語(悪口)としてしばしば使用される。例として、イスラーム過激派(テロリスト)は宥和主義に基づく好意的なアプローチによって効果的に援助されていると信じるようなコメンテーターが、人々を軽蔑的に描写した際に用いている。アンソニー・ブラウンはイギリスのタイムズ紙にこう書いた: 
イギリスのエスタブリシュメント内の一部の分子は、ヒトラーに共感していたことで悪名高い。今日のイスラミストも同じような支援を楽しんでいる。エドワード8世の時代である1930年代、上流階級やデイリー・メール紙、この時、彼らは左翼活動家だったが、ガーディアン紙やBBCの一部もそうだった。その彼らはグローバルな神権政治こそ望んでいなかったかもしれないが、ソビエト連邦のための西側のアポロジスト(「弁証家」「護教家」。この文脈では「ソ連の正しさを弁護しようとする者」という皮肉として用いられている。)であり、「役に立つ馬鹿」の同類だったのだ。
(役に立つ馬鹿 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BD%B9%E3%81%AB%E7%AB%8B%E3%81%A4%E9%A6%AC%E9%B9%BF)
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三. Q - そこから得た視点、私見
 「QAnon」について議論したり、考えを持ち寄ったりといったムーブメントまたは現象は、それを「ムーブメント」や「現象」という言葉で表現できるものよりももっと大きなものになっていると思う。これが何なのか、ここから得られた情報/視点/考えだとそれぞれの人たちが思うものも多様で、懐疑的な意見もあるし、主流メディアからは批判しかない。批判的なものだけじゃなく賛同すると宣言した上での話の中にも、全く関係ないものとの混同や、全くの嘘/間違い、全く読んだことないんじゃないかというような‘解説’まである。自分の解釈で作り上げたストーリーを基に、何かの予測を立てて、その通りにならなかったから批判するってパターンも延々と繰り返される。検索をかけてすぐ見つかるものや、‘わかりやすいもの’にはそういうものが多い。
 Qの投稿はこれらの抽出サイトで読める: https://qanon.pub/, https://qposts.online/, https://qmap.pub/
 あくまで私見として、これは「メディア バイパス」だ。現在のメディアの戦略/戦術は「影響作戦」「心理戦」という表現が妥当なほど洗練され、かつ特定のアジェンダや方向性、政治的意図を持っている。  気付かないうちに影響され、ものの見方や気分、行動様式まで植え付けられてしまう。  そこから抜け出した上で、且つ、狭い範囲や自分だけの空間だけで考えたり判断せずに世界に目を向ける方法、色んな情報や考えを見聞きした上で自分の考えや感覚を失わないための訓練みたいなもの。メディアが事実や解説に何かを混ぜて描くストーリーをバイパスして事実を探すためのヒントみたいなものだと思う。  自分自身を失わないということの重要性を確認した上で、事実の追求に邪魔な自意識を切り落としていく過程のようにも見える。事実だけを追求する上では俺らは誰でもないし、特定の場合を除いて誰が言ったことかとか、人気のあるなしとかも関係ない。自意識の肥大は多くの場合、恐怖に由来している。恐怖や不安を克服していく過程のようにも見えた。
 この「Q」のファンたちは、主流メディアから「陰謀論」「カルト」として攻撃され、そしてそういうのが好きな人たちも多く集まる話題であるのも事実である一方で、今まで人気だった「陰謀論」も、事実(資料や経過)に照らした上で、ディスインフォメーションや「制御された反対派 Controlled Opposition」であった可能性を追求したり、一般的なポップカルチャーなどに潜むカルト的要素とその政治的な意図だとか、過去に存在したカルトでも、現在のメディア戦術と共通する手法が使われてたんじゃないかということを考察したりといった動きも少し拡大しているように見える。つまり「反 陰謀論」「反 カルト」の動きも内包している。  そのような視点は、自分自身の考えや「Qムーブメント」と呼ばれるものの内部、これらの議論自体にも向けられていて、つまり、これらの動きを通して別の目的への誘導/動員や、個人の利益、人気取りといったものに利用するために入り込んでいた人たちも多くいた/いるんじゃないかということにも注意が向けられている。ブログやツイッターのアカウントの‘中の人’が別人になったんじゃないかというほど、態度や意見が突然変わってしまった人も何人かいて、フォロワー数の多い人気アカウントなどでそういう変化が起こるとちょっとした混乱も広まる。  ディスインフォメーションなどで分断されるのは社会とか‘自分の外側’だけじゃなくて、あっちからの情報とこっちからの情報を関連のあるものとして繋げて考えたり、細かく見比べたりすることができなくなるというような感じで、自分の思考の内部までも分断されてしまう。フレーミングを外すのは難しくて、外したと思っても別のフレームが掛かってたりする。
 俺が意外だと思ったことの一つは、‘宗教的’あるいは信仰心を持った人というのがとても論理的で、理性的というか、ちょっとしたことで動じない冷静さがあるというか、情報の整理も上手く、視野の広い人が多かったことだ。もちろん色んな人がいて、宗派とかのこととか宗教自体よくわかんないし、宗教や信仰心と言っても、家族や地元とかから受け継いだ風習や文化を大切にしているというような広い意味のことだ。道徳って言った方が近いかもしれない。プロフ欄にそう書いてあるとか、発言や文章の中にちょっとした宗教っぽい単語とか喩えとか言い回しとかが出てくることを、過剰に気にしすぎていたのかもしれない。ってか、それっぽい人まとめて‘宗教的’って俺もどこかで勝手に思ってた。  Qの投稿の中に聖書からの引用があることで、自分と価値観が違うとか、カルトだとかユダヤの陰謀だとかって急にぶっ飛ぶ人もいて、ごく稀に面白い話もあるんだけ���、ほとんどは偏狭に見えた。  単語レベルで何言ってるか分かんないゴリゴリ系の人とか、宗教的であることをセルフPRに使っているような人とかのことはよくわかんないし、税金対策とかの胡散臭い団体もよくあるらしいし、まじのカルトの犯罪も報道された。気をつけなきゃなんない罠みたいなのはいっぱいあるし、いきなり信仰心が芽生えたりもしないけど、なんとなくフレームが外れたような気がした。カテゴライズされたキャラクターとして人を見て、個人としての声に耳を傾けてなかったのかもしれない。  何か表面的なものを優先して、道徳とか共感とかをないがしろにしすぎていたのかもしれない。
 「Q」の投稿内容とは全然関係ない話になっちゃったし、ありきたりな話だけど、認識の変化と共に気持ちが変わったり、気分が変わることで見えてきたり、認識できるようになったこともあった気がする。
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 何年か前、「システムD」という言葉が紹介されていた時期がある。 (例えば; WIRED Vol.3 https://wired.jp/tag/vol-3/ 世界を不況から救う(かもしれない)10兆ドルの経済圏「システムD」とは?『WIRED』VOL. 3  2012.04.17 TUE https://wired.jp/2012/04/17/system-d/ 記事はリンクが切れている)
 システムDは、アフリカやカリブ海のフランス語圏の言葉からひねり出された俗語だ。とりわけ要領がよくて、やる気に満ちた人々のことを、フランス人はしばしば「デブルイヤール」と呼ぶ。ある人が「デブルイヤール」(女性ならば「デブルイヤールド」)だといえば、その人は機略に富む器用な人物だということになる。  経済協力開発機構(OECD)は、世界の労働者の半数(18億人近く)がシステムDで働いていると結論づけた。つまり、記録に残らず、登記も規制もされていない、現金払いで、おおかた所得税を逃れているような職に就いているのである。
(ブログ: 紙魚「見えない」巨大経済圏 システムD.. ブログ: 紙魚 https://gnxshop.blog.so-net.ne.jp/_pages/user/m/article?name=2013-05-12)
 『パリ・ロンドンどん底生活』で、ジョージ・オーウェルは「débrouillard (デブルイヤール)」という言葉を、plongeurs(皿洗い)などの最低レベルのキッチンワーカーが、何であれ仕事をやりきる人として、そう呼ばれることを望んでいた言葉だと書いている。
(System D https://en.wikipedia.org/wiki/System_D)
 税金や規制を逃れ、国境を越えて広がる非公式な経済/マーケットのことを「システムD」と呼び、そこで何であれ、機転を利かせて生きる人たちのことを「デブルイヤール」と呼ぶ、ということらしい。
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 以下に引用するコラムも中国の問題に焦点を当てたものだが、できるだけ国名などのフレーミングを外して読んでみてほしい。
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 この文章は5年前、日本に15年以上滞在する知日家の中国人男性が大紀元に寄せたものです。...
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 1949年、中国共産党(以下中共と略称)が中華人民共和国を建て、西洋からマルクス主義を輸入し、中国伝統文化を封建迷信として批判した。中共は自分 の政権を維持するために絶えず政治運動を引き起こしたが、その一部の政治運動は直接中国伝統文化を破壊することになった。最も典型的な運動は三つある。  第1回目は1957年の「反右派運動」。「反右派運動」は、実は知識分子を迫害する運動だが、昔の知識分子は今と違って科学知識を身に付けているのでは なく、中国伝統文化と伝統思想を身に付けており、いわゆる中国伝統文化の継承人とも言われる人たちである。彼らを批判することは、実は、中国伝統文化と伝統思想に反対することに過ぎない。  第2回目は、1966年の「文化大革命」。「文化大革命」が反対するのは中国伝統思想だけでなく、寺院や道観などの文物も破壊し、和尚や尼僧、居士など も殺してしまった。しかも、宗教は非常に怖いものであり、精神をコントロールする迷信だとレッテルを付けて批判した。そのため、私は来日するまで、ずっと宗教は怖いものだと認識していた。実は、現在中国国内の人はほとんど宗教は怖いものだと認識しているだろう。  第3回目は、1999年の「法輪功迫害」。中共は「法輪功」を弾圧する為に、たくさんの罪名を付けた。実は、「法輪功」は悠久の歴史を持つ中国伝統修煉 方法。その修煉基準は「真、善、忍」である。修煉法なのだが、知らない人から見れば宗教のように見える。中共は一方的に「法輪功」のことを宗教だと言っている。
 何故かというと、「文化大革命」を経験した中国人は、宗教と言われると、すぐに恐怖感を覚え、それに近づかなくなる。仮にそれが宗教でなくでも、いったん触れると中共に迫害される恐れがあるため、中国人なら誰でも自動的に遠ざかるのである。
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 いかなる国、あるいは民族でも、文化がないということはないだろう。実は、中国伝統文化が中共に破壊されて消えていく過程は、新しい文化が形成される過程でもある。その新しい文化をわれわれ中国人は「党文化」と呼んでいる。
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...多くの日本人は中国人が日本社会に掛ける「迷惑」を、文化の差異によるものだと言う。実は文化差異と言っても間違ってはないが、ただし、それは中国伝統文化ではなく、「党文化」なのである。
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 中共は唯心主義思想をひたすら批判しているが、実は世の中には唯心主義という理論が全く存在せず、これは中共が作り出したものである。また、中共は、共産主義は人類社会における最高の社会で、人間世界の天国であると主張し、中国人に共産主義国家を建てると言ったが、いまだに建ててくれず、結局共産主義は実現できない嘘だった。
 実は、「共産主義」は中共の信仰であり、社会主義は共産主義の初期段階であると中共も言っており、社会主義も実は信仰のものに過ぎない。多くの日本人は 社会主義も良いものではないかと思っているが、実はそれは本の中に書いてある嘘のもので、実際の社会主義はそれとは全然違う。日本に来てから���かるようになったが、資本主義は共産主義より何���も進歩している。
 ...
...毛沢東が亡くなってトウ小平が立ち上がった。日本人もご存知かも知れないが、トウ小平には一つの名言がある。それは「黒猫であれ白猫であれ、ネズミさえ獲ればいい猫だ」である。
 その意味は何かと言うと、誰でもお金さえ取れれば良い人間だという意味である。この話は間違いがないように聞えるだろう。確かにネズミを獲るに黒猫白猫など関係ないだろう。しかし、人間は猫ではなく、人間がお金を取るには手段を講じなければならない。合法的手段で、正しくお金を得るべきである。現在の中国ではお金がなければ本当に困る。機関、学校、病院などどこでも賄賂しなければならない。
 ...
 現在、来日外国人のうち、中国人の犯罪率が一番高いが、これは毛沢東とトウ小平が彼らにこのようにするよう教え込んだのだ。現在の趨勢で行けば、間もなく日本人も中国人に汚染されてしまうだろう。人が良くなるのはとても難しいが、悪くなるのは簡単である。
 ...
 中国国民を信じてほしい、真実さえ分かれば正義感が出てくるということを。...
(コラム:なぜ中国人の道徳レベルは低いのか 2017年05月03日 大紀元 https://www.epochtimes.jp/jp/2012/06/html/d96446.html)
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読ん. でくれてありがと
 上に引用した記事はどれも中国について書かれたものだが、世界の多くの国が共通して抱えている問題だと思う。支配と操作の技術が悲劇を生むような規模ですでに使われたのが中国などの共産圏で、先行研究としてこれらの記事が参考になると思った。大国として中国、そしてチャイナマネーは大きな影響力を持っているが、中国が大国になる前から、ほとんどの国が自らすすんで選んできた道でもある。グローバリズムは世界中が共通の夢を見ないと成り立たないようなシステムだ。機転を利かせて何であれやっていかなきゃなんないから、バキバキにアンテナ張って、自意識を肥大させて、弱みとか好きなものとか何かを隠したり嘘をつかなかきゃイワされるような、表面だけノームコアで誰も肩パッドつけてない北斗の拳の世界みたいな20XXだ。
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『道徳情操論』(The Theory of Moral Sentiments)は、1759年に出版されたアダム・スミスの著作。『道徳感情論』とも。
主に近代市民社会における、個体として独立している個人が、「共感(sympathy)」をある種の原理として、まとまっていることを述べている。 具体的に言えば、人間は、利己的であり、他人に同調する。
道徳的適切さを指摘した上で、第三者である「公平な観察者」が「同感(sympathy)」でき、当事者は「内なる人」として内面化する。そして、常識(良心)とは、第三者の目で見るということで、「自己規制」しつつ相互行為するものである。そして、これにより、内なる道徳を持つ「フェアプレー」の世界である社会が形成されると主張する。
(道徳情操論 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%93%E5%BE%B3%E6%83%85%E6%93%8D%E8%AB%96)
今日のような秩序だった社会において人々は法の下で安心して安全な生活を送ることができるが、その根幹には人間のどのような本性があるのだろうか。『道徳感情論』において、スミスはこの問題に応えようと試みた。スミスの師であるフランシス・ハッチソンがこうした社会秩序が人間のひとつの特殊な感情に起因すると考えたのに対し、スミスは社会秩序が人間のさまざまな感情が作用し合った結果として形成されると考えていた。『道徳感情論』の原題The Theory of Moral SentimentsのSentimentsが単数形ではなく複数形であるのも、こうしたスミスの思想が反影されている。
『道徳感情論』においてスミスが社会秩序の要因と考えた感情とは、端的に言えば同感(sympathy)である。スミスが重要視した同感とは、他人の感情および行為の適切性(property)を評価する能力であり、...
スミスは、同感を通じて人々が自身の感情や行為が評価されていることを意識し、是認されることを望み否認されることを嫌っていると考えた。しかし、現実社会にはしばしば他人の間にも利害対立があるから、人々が自身の感情や行為の適切性を測るためには利害対立から独立した中立的な基準が必要である。スミスはこの基準を公平な観察者(impartial spectator)と呼び、人々が具体的な誰かの視線ではなく胸中の公平な観察者の視線を意識しながら行動していると考えた。
ただし、偶然(fortune)の下では、公平な観察者の評価と世間の評価とが異なる場合がある。スミスはこのような不規則性(irregularity)が社会的に重要な意味があると考え、... 人間は自己統制(self-command)によって胸中の公平な観察者の声に従おうとするが、激しい情念の下では自己欺瞞によって公平な観察者の声を無視しようとする矛盾した存在である。
(アダム・スミス#道徳感情論 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%80%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%9F%E3%82%B9#%E9%81%93%E5%BE%B3%E6%84%9F%E6%83%85%E8%AB%96)
アダム・スミスは、1773年には『国富論』のおおよそを書き上げていたが、その仕上げにさらに3年ほどを費やした。これは、『国富論』でもかなりの分量になるアメリカ植民地問題の進展に対応するものだった。スミスはなおもアメリカ情勢を見守ろうとしていたが、生前の刊行を望んだ親友デイヴィッド・ヒュームの願いを聞き入れて、出版に踏み切った。
『国富論』初版は1776年3月、アメリカ独立宣言は同年7月、ヒュームの死は同年8月のことであった。
(国富論 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E5%AF%8C%E8%AB%96)
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tl;dr: 色々あるけど、がんばろうぜ。愛をとりもどせ!    Make The World Great Again!!
2019年5月朔日。ほほえみを添えて。
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maconn · 7 years
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@gamayauber01 アメリカは北朝鮮の開戦はペンスのアジア歴訪直後の数日間(26日から月末)になるだろう、という予測が複数でているね。 THAAD配備が完了する6月末まで幅を持たせている分析もあるけど、今月末という分析がここに来て増えた https://t.co/NwPZsroqDu こういう分析は諸刃の剣、ちゅうか、北朝鮮の情報部も当然読んでいるわけで、裏の読み合いになるが、裏の読み合いが始まると肝腎の「戦争を回避する」集中力はなくなってしまう。 最終段階に入ってしまったのかもしれないね https://t.co/teOi2gRLHi さっき例に挙げた記事もそうだが、日本の人にとって嫌なのは、どうやら軍事専門家は前に皆でTLで話したとおり、韓国の戦力破壊には通常兵器を日本に対しては核と生物科学兵器を割り当てていると見込んでいることでアメリカの先制攻撃プランは、その予測に基づいている。 シリアとアフガニスタン攻撃は北朝鮮攻撃の予行演習を兼ねていたが、首都と核開発施設は、ああいう破壊計画だとして、ほぼ明瞭に「うちもらす施設」(例:移動発射台)は、「仕方がない」になってしまっているところで読んでいて「そんな無責任な」と思わなくもない。 https://t.co/SGxyHbtVTK さっきのLouis A. Del Monteの小文が最も判りやすく書いてあって、あちこちのメディア(例:https://t.co/wjY5nT9Xx5)に掲載されているので、生き延びる為にも(←おおげさでなくなってしまったのがショック)最後まで、行間を含めて読むのがよいと思う https://t.co/teOi2gRLHi で、こういう記事を読むときには「書いた人のバックグラウンド」「政府の意向を反映しているのではないか」「北朝鮮側は必ず読むが、読んでどう考えるか」 「北朝鮮が読んで取ると予測される行動をアメリカはどう読んでいるか」 「中国は何を考えるか」というふうに読んでいくのが肝腎です。 https://t.co/xVRVQNC1gP 自分のサバイバルが自分の頭脳にかかっている事態になってしまったので、揚げ足をとったり、タカをくくったりしている場合ではない。 これだけ広汎に分析が流れたことの意味と背景を考えて、マジメに対処しないと、えらいことになりまする。 全力をつくさないと https://t.co/zUlQtNTMW2 でも26日て来週の水曜日なんちゃう? 「恐怖心を煽るな」から態度を豹変させてなぜか突然あらわれた日本の政府広報といい、嫌な感じですのい。 わしが北朝鮮ならアメリカの先制攻撃を伸ばさせる工夫するけどね https://t.co/ZVVrRltxkh ところで、ここに来て、どの記事にも日本への攻撃弾頭に核に加えて生物化学兵器を並記するようになったのは安倍首相のスピーチ以来ですのい。 アメリカは同盟国の首相のお墨付きで先制攻撃がやりやすくなったことになる。 やーね https://t.co/xVRVQNC1gP というわけでアメリカの先制攻撃による早期開戦に観測は傾いているわけで現実にいつになるかは読み合いの結果だが、ひとつだけわし頭にはっきりしているのは早期のいまの布陣だと北朝鮮の日本攻撃能力を破壊できないので「おいおい、日本はどうでもいいのかよ」と考えました。 どういうことだろう? しかし、到頭こんな普通に記事が配信されるようになるなんて、信じられないというか、「悪い夢みたいだ」と言うが、ほんとにそういう感じ。 戦争は跫音が聞こえ始めれば、あっというまに戸口に立つものだ、とミドリさんに書いたのは2年前で、そのときはこんなに早く現実になるとは思っていなかった。 韓国大統領選挙、THAAD、攻撃艦隊到着、政府広報、.... どんどん符丁があってきて、いやあーな感じですのい。 https://t.co/X6x4hk7PUz もし、この記事の布陣で北朝鮮の息の根を止められると軍事専門家が考えているとすると、どの段階かでの核攻撃を考えていることになるが、それは日本への北朝鮮の核による反撃を「やむをえない」と仮定していることになる。 ムチャクチャやん。 同盟国やて、さんざん持ち上げといて、ただの陣地扱い https://t.co/teOi2gRLHi それも小型核ミサイルの応酬とかに発展したら眼も当てられない。 アメリカ人が死ぬのは嫌だ、ということだろうが、地上戦でないと、下手をすると日本人が至るところで死ぬことになる。 無責任なおっさんが考えることはすごいな。 ボードゲームを考えるように戦争を考えているね https://t.co/md5D1gOzAR 昨日、阪大物理のオダキン先生のところを久しぶりに見に行ったら、家族を心配して、官邸にミサイルが落ちた場合の家への影響のシミュレーションをやっていた。 またオダキンの科学者頭を頼りにするときが来てしまった(←前回は福島事故)のかあーと考えました。 日本は「核運」が悪いのお ツーペアつくろうとおもったらフルハウスが出来てしまっただけなんちゃう? 案外、あの下品な無責任おっさんたちのことなのでワシントンDCで「ラッキー!」と祝杯をあげているかもしれない。 動きを見ていると「北朝鮮にアメリカ本土を攻撃する能力はない」と見切っているみたいだからね https://t.co/BKTvZbpWGA 一番可能性の高い説明は「最近の米軍は自己戦力を過大評価して北朝鮮の戦力を過小に見積もる傾向にある」ちゅう米軍自己肥大説かも知れねっすな。 米軍は、北朝鮮軍がゲリラ戦に長けた伝統を持っていて殆どの戦力が分散していることがちゃんと念頭に入ってないのかも知れない。 https://t.co/XkFYyC0UAG で、そうだとするとぼく自身が提案した「米軍家族の動向を知る」というのはそれほど良い観察点ではないことになる。いつのまにか韓国も家族と赴任するようになっているのを知って、「北朝鮮は手も足もでない」という考えに馴染んでしまっているのだな、と感じました。 危険な考え方です https://t.co/W6iTh8UEzx 人種的なことよりも米軍も軍隊なので「軍人家族」というときには軍属と兵隊は勘定に入ってません。あくまで尉官以上が軍人で、それ以下は兵器と扱いがたいして変わらない。将校住宅地には伍長以下は治安維持のため入れない。郵便もたしか伍長以上でないと配達できなかったと思いまする https://t.co/uTUO6CVsBT アメリカは特に第二次大戦で大勝して以来、相手を侮っては大敗する(例:長津貯水湖)を繰り返しているのですよね。第一次湾岸戦争で、うまく行っちゃったので、また持病がぶり返している。でも北朝鮮はゲリラ戦に特化した国家なので、ミサイルの発射移動台まで分厚い待避壕のなかにあるんだけど https://t.co/FRLJL25B5h ええ。そうです。兵隊の動きを見ても安全については何も判りません。 将校の家族が動き出したら、それは「面としての空からの攻撃」(例:核による該当地区直撃)か、地上戦が迫っていることを表している。 わしなら、とっとと逃げます https://t.co/SyWoRsH0mI 言おうかなあー、どうしようかなあーと思っていたけど、Louis A. Del Monteのようなポジショニングの人が、日にちを区切って、しかも僅か数日後のことを明言するのは言わないで黙っている情報を握っているときなのね。差し迫っているときです。 情報が間違ってる事を祈りましょう アメリカの北朝鮮への対応は、軍事パレードのICBMの格納容器(ミサイルに見えますがただのコンテナです)を見て明らかに変わりました。 アメリカにとどくICBMを作る能力をつけるまで後一歩なのを容器から見てとった。多段式関連の技術トラブルを北朝鮮が解決する前に攻撃するつもりでしょう https://t.co/NeIanXpcoB だから疑心に暗鬼を飼うと、日本政府の唐突な「自己責任で核ミサイルに気を付けてね」広報も、ひょっとしてLouis A. Del Monteと同じ情報に基づいているんじゃないかなあーと思えて、そうだとすると出元はアメリカ政府/軍その人しかありえないので、ますます嫌な気分になる https://t.co/X7zAh0hLOL 英語フォーラムで「戦争になって空爆で早期解決しない場合は、移民/難民数の予想される膨大さから考えて、いまでも移民がおおすぎるという社会の反応を見ても欧州・英語国が受けいれるのは無理なので日本人と韓国人による地上軍を編成して北に侵攻することになるだろう」、と述べている人がいる🤔 まあ、いいや。 寝るび。 さっきの記事の情報が間違っていて、月末になっても何も起きないことを祈りましょう。 (その場合は、次の節目は6月終わりだのい) ペンスが日本に来たのはアメリカの先制攻撃の予告のためだったとしたら、そのときに「やめてください」て言えばよかったのに。 考えてみたら、「やめれ」といちばん効果的に言いうるのは日本で、ちゅうか日本しか言えないことなのに、言わないで「核攻撃に気を付けましょう」の政府広報だしたのかw
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ari0921 · 2 years
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)11月29日(月曜日)
通巻第7138号
 トルコ主導のチュルク協議会は「チュルク系諸国機構」と改称
  トルクメニスタン初参加、将来はアフガニスタンも加盟国へ
*************************
 中央アジア情勢も政治、経済提携の國際機構が重複している。
組織によって目的も加盟国もことなり、ややこしいが、とりわけ理解に苦しむのがチュルク協議会(OTS)だった。
2021年11月16日からイスタンブールで開催された同会議は、チュルク系諸国機構と改称され、加盟国も増やしていくこと、中国とロシアへの依存はバランスを取ること、経済協力やコロナ対策支援などが討議されたが、ウイグル問題は議題とならなかった。
会場の外では東トルキスタン独立を叫ぶウイグル人組織の集会が開かれた。イスタンブールにはウィグルからの亡命者がコミュニティを形成している。
 チュルク系諸国機構の加盟国はトルコ語を喋る国々の集まりとされ、カザフスタン、キルギス、ウズベキスタンに提唱国のトルコ。オブザーバーにハンガリーとトルクメニスタンが加盟し、将来的にはウクライナとアフガニスタンの加盟を視野に入れている。タリバンの政府転覆がなければ、加盟寸前の段取りだったという。
 加盟を前向きに検討しているウクライナには少数のタタール人、ハンガリーは遊牧人突厥の末裔、アフガニスタンにもチュルク語語族がいる。ペルシア語のタジキスタンは最初から除かれている。
 これとは別にロシア主導の「中央アジア協力機構」は、旧ソ連中央アジア五ヶ国のうち、トルクメニスタンをのぞく四カ国に中国、ここのベラルーシ、アルメニア、ウクライナ、モルドバが加盟している。
 また中国主導の上海協力機構(SCO)は、中央アジア四ヶ国にインド、パキスタン、イランを加えて、おもにテロリズム対策である。
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xf-2 · 3 years
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<今年10月からのわずか2カ月あまりの間に、人権と安全保障をめぐる西側先進国による対中包囲網の構築が本格化した。地政学的な大変動が東アジアで起き始めている> 今年の10月初旬から12月中旬にかけて、この地球上では「中国」との関連で一連の目まぐるしい出来事が起きている。筆者の目からすればそれらは全て、今後の世界の対立構造を強く予感させるものだ。
まず10月1日、日本の茂木敏充外相が外遊先のフランスでルドリアン外相と会談。同日、ドイツのマース外相ともテレビ会議形式で協議した。この2つの会談を通じて日仏独3カ国の外相は東シナ海や南シナ海情勢について、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた連携強化で一致したという。
10月6日には日米豪印の外相が東京で一堂に集まり、第2回の4カ国外相会議を開いた。上述の日仏独外相会談と同様、この会議の中心テーマはやはり「自由で開かれたインド太平洋の実現」である。会談で4か国の外相は海洋進出を進める中国を念頭に、日本が提唱している「自由で開かれたインド太平洋」構想を推進し、より多くの国々へ連携を広げていくことが重要だとの認識で一致した。
このように、日本の主導で欧州の主要国であるフランスとドイツ、そして環太平洋地域の主要国であるアメリカとインドと豪州が団結し、中国の覇権主義的な海洋進出を封じ込めようとする姿勢を鮮明にした。誰が見ても「中国包囲網」の構築を意味するものだ。
中国の王毅外相は同13日、外遊先のマレーシアの記者会見で日米豪印外相会議に触れ、「インド太平洋版の新たなNATO(北大西洋条約機構)の構築を企てている」「東アジアの平和と発展の将来を損なう」と批判し警戒心を露わにした。日米豪印4カ国の戦略的意図を一番分かっているのはやはり中国自身で、自分たちが包囲されつつあることに危機感を募らせているのであろう。
ニューヨークで起きたもう1つの動き
前述の東京会議が開かれた当日の10月6日、太平洋を越えたニューヨークではもう1つ、中国に矛先を向ける重要な動きがあった。この日に開かれた人権を担当する国連総会第3委員会の会合で、ドイツのホイスゲン国連大使が日米英仏を含む39カ国を代表して中国の人権問題を批判する声明を発表したのだ。
声明は新疆ウイグル自治区における人権侵害の問題として、宗教に対する厳しい制限、広範で非人道的な監視システム、強制労働、非自発的な不妊手術を取り上げた。声明はまた、7月に中国共産党政権が香港で国家安全維持法を施行後、政治的抑圧が強まっていることも非難した。39カ国は、中国政府が香港住民の権利と自由を守るよう要求。チベットにおける人権侵害についても言及した。
この声明に賛同した国々は上述の日米英仏以外にも、イタリアやカナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどが名を連ねている。G7のメンバー国の全て、そしてEUの加盟国の大半がその中に入っている。つまり、少なくとも人権問題に関していえば今、世界の先進国全体が一致団結して中国を批判する立場をとり、そして中国と対立しているのである。
西側先進国vs「ならず者国家」の構図
一方の中国はどのように西側先進国に対抗しているのか。実は10月5日、同じ国連総会の第3委員会において、中国は一部の国々を束ねて西側に対する「先制攻撃」を仕掛けた。その日、中国の張軍・国連大使はアンゴラ、北朝鮮、イラン、キューバ、ジンバブエ、南スーダン含む26か国を代表して、アメリカと西側諸国による「人権侵害」を批判した。
中国自身を含めて、上述の国々に「人権」を語る資格があるのか疑問だが、それにしても世界の「問題児国家」「ならず者国家」あるいは化石のような独裁国家が中国の旗下に馳せ参じ、「反欧米」で結束したこの構図は実に興味深い。それはそのまま、「中国を基軸とした独裁国家群vs西側民主主義先進国群」という、新しい冷戦構造の成立を予兆するものではないか。
11月に入ってからも中国と西側諸国との「衝突」が絶えない。11月18日、イギリス、アメリカ、ニュージーランド、オーストラリア、カナダの外相は、中国が香港での批判的な声を封じ込めるために組織的活動を行い、国際的な義務に違反していると非難する共同声明を発表した。それに対し、中国外務省の趙立堅報道官は翌19日、「(5カ国は)気をつけないと、目玉を引き抜かれるだろう」と、外交儀礼上では普段あり得ないような暴言を吐いて5カ国を批判した。
オーストラリアに喧嘩を売った中国外交官
そして11月30日、今度は趙立堅報道官が5カ国の中のオーストラリアに喧嘩を仕掛けた。彼は豪兵士がアフガニスタン人の子どもの喉元にナイフを突きつけているように見える偽の合成画像をツイッターに投稿。豪州のモリソン首相は激怒して当日のうちに記者会見を開き、画像は偽造されたものだと指摘した上で、「非常に攻撃的だ。中国政府はこの投稿を恥じるべきだ」と批判。中国政府に謝罪と即時の削除を求めた。
もちろん中国政府はこうした削除と謝罪の要求にはいっさい応じない。趙報道官の投稿した映像は今でもツイッターにアップされたままであり、彼の上司にあたる華春瑩報道局長もオーストラリア政府に反論し、趙報道官の投稿を擁護した。
しかし中国側のこのような横暴な態度はさすがに先進国一部の怒りを買った。フランス外務省の報道官は同日30日、「投稿された画像は特にショッキングで、コメントは偏っており、侮辱的だ」「中国のような国の外交に期待される手法として不適当だ」と批判した。12月1日、ニュージーランドのアーダーン首相は記者団に対してこの一件に触れ、「事実として正しくない画像が使われた」と指摘した上で、中国に懸念を直接伝えたと明らかにした。
12月2日、今度はアメリカ国務省がこの件に関する態度を表明した。ブラウン報道官代理は「(中国共産党がオーストラリアに対して取った行動は)精査なしの誤情報流布と威圧的外交の一例」と厳しく批判。合成画像の投稿について「共産党であることを考えても、さらにレベルの低い行動だ」と、矛先を中国共産党に向けた。
このように、中国外務省の報道官がオーストラリアを攻撃するためにツイートした画像は、オートスラリアだけでなくその友好国からの反撃を招くこととなった。そしてこの一件はまた、中国と欧米世界との対立を浮き彫りにした。
西太平洋上に現れた新たなプレーヤー
12月5日、産経新聞のネット版である産経ニュースは、独自の報道として重大な意味を持つ動きの1つを伝えた。日本の自衛隊と米軍、フランス軍が来年5月、尖閣諸島(沖縄県石垣市)など離島の防衛・奪回作戦に通じる水陸両用の共同訓練を日本の離島で初めて実施することとなったというのである。
産経の記事は、「日米仏の艦艇と陸上部隊が結集し、南西方面の無人島で着上陸訓練を行う」と伝えた上で、「東シナ海と南シナ海で高圧的な海洋進出を強める中国の面前で牽制のメッセージを発信する訓練に欧州の仏軍も加わり、対中包囲網の強化と拡大を示す狙いがある」と解説した。
ここでもっとも重大な意味を持つのは、フランスがアメリカとともに参加することである。アメリカは日本の同盟国だから、日米合同で尖閣防備の軍事訓練を行うのは当たり前だが、フランスの参加は意外だ。フランスはすでに意を決して、自分たちの国益とは直接に関係のない東シナ海の紛争に首を突っ込み、中国と対抗する日米同盟に加わろうとしているのだ。もちろん中国からすれば自国に対する敵対行為であるが、フランスは一向に構わない。
実は欧州のもう一つの大国イギリスもフランスと同じような計画を考えている。共同通信は12月5日、「英海軍、空母を日本近海に派遣へ 香港問題で中国けん制」という以下のニュース記事を配信した。
「英海軍が、最新鋭空母『クイーン・エリザベス』を中核とする空母打撃群を沖縄県などの南西諸島周辺を含む西太平洋に向けて来年初めにも派遣し、長期滞在させることが5日分かった。在日米軍の支援を受けるとみられる。三菱重工業の小牧南工場(愛知県)で艦載のF35Bステルス戦闘機を整備する構想も浮上している。複数の日本政府関係者が明らかにした」
英海軍が日本近海に現れる本当の狙い
1人の日本国民として中国の軍事的膨張を真剣に憂慮している筆者は、ネット上でこの記事に接した時には大きな感動を覚えた。大英帝国としてかつて世界の海を制覇したイギリスが、空母打撃群を派遣して日本周辺の海に長期滞在させるのである。「長期滞在」だから、パフォーマンスのためでもなければ単なる示威行動でもない。イギリスは日米同盟と連携してアジアの秩序維持に加わろうとしている。その矛先の向かうところは言うまでもなく中国である。
共同通信の記事は、空母打撃群派遣の狙いについて「香港問題で中国けん制」とも解説しているが、イギリスがいまさら武力を用いてかつての植民地の香港を奪還するようなことはありえない。ロンドンの戦略家たちの目線にあるのは当然、日本周辺の海域で軍事的紛争がもっとも起きやすい場所、尖閣や台湾海峡、そして南シナ海であろう。
もちろん、老練な外交大国・軍事強国のイギリスは、一時的な思いつきでこのような意思決定を行う国ではない。むしろ、深慮遠謀の上での長期戦略だと見ていい。かつての世界の覇主だったイギリスはどうやら中国を戦略的敵国だと認定し、この新覇権国家の膨張を封じ込める陣営に加わろうとしている。
そして、この原稿を書いている12月16日、大ニュースがまた飛んできた。産経新聞の報じたところによると、ドイツのクランプカレンバウアー国防相は15日、日本の岸信夫防衛相とのオンライン対談で、独連邦軍の艦船を来年、インド太平洋に派遣する方針を表明。南シナ海での中国の強引な権益拡大をけん制するため、「自由で開かれたインド太平洋」に協力する姿勢を明確にした。
戦後は軍の対外派遣に慎重だったドイツもつい重い腰を上げて、対中国包囲網の構築に参加することになった。来年、英仏独3カ国の海軍に米海軍と日本の海上自衛隊が加わり、世界トップクラスの海戦能力を持つ5カ国海軍が日本周辺の海、すなわち中国周辺の海に集まって中国封じ込めのための「海の長城」を築こうとしているのである。
人権と安全保障という「2つの戦線」
以上、今年10月初旬から12月中旬までの2カ月間あまりにおける世界の主要国の動きを概観したが、これらの動きをつなげて考えると、世界の主な民主主義国家は今、2つの戦線において対中国包囲戦を展開していることがよく分かる。
戦線の1つは人権問題の領域である。中国共産党政権が国内で行なっている人権侵害と民族弾圧に対し、欧米諸国はもはや黙っていない。中国に「NO」を突きつけそのやりたい放題と悪行をやめさせようとして、多くの国々がすでに立ち上がっている。ドイツの国連代表が国連総会の場で、39カ国を束ねて中国の人権抑圧を厳しく批判したのはその最たる例だが、民主主義国家のリーダー格のアメリカも、香港自治法やウイグル人権法などの国内法をつくって人権抑圧に関わった中国政府の高官に制裁を加えている。
人権問題の背後にあるのは当然、人権を大事にする民主主義的価値観と人権抑圧の全体主義的価値観の対立である。今の世界で人権問題を巡って起きている「先進国vs中国」の対立はまさにイデオロギーのぶつかり合い、そして価値観の戦いである。世界史を概観すれば分かるが、価値観の戦いあるいはイデオロギーの対立には妥協の余地はあまりない。双方が徹底的に戦うのが一般的である。
欧米諸国と中国が戦うもう1つの戦線はすなわち安全保障、とりわけアジアと「インド太平洋」地域の安全保障の領域である。東シナ海と南シナ海、そして尖閣周辺や台湾海峡などで軍事的拡張を進め、この広大な地域の安全保障と秩序を破壊しようとする中国に対し、アメリカと日本、イギリスとフランスドイツ、そしてオーストラリアとニュージーランド、さらにアジアの大国のインドまでが加わって、政治的・軍事的対中国包囲網を構築している。
逆に言えば、今の中国は人権・民主主義など普遍的な価値観の大敵、世界の平和秩序とりわけインド・太平洋地域の平和秩序の破壊者となっている。今や世界の民主主義陣営の主要国であり、世界のトップクラスの軍事強国である米・英・仏・独・日・印・豪が連携して、まさに文明世界の普遍的価値を守るために、そして世界とアジアの平和秩序を守るために立ち上がろうとしている。
世界の歴史がまさに今、動いている
しかし、2020年秋からの数カ月間で、上記2つの戦線において対中国包囲網が突如姿を現し迅速に形成されたのは一体なぜなのか。去年までは中国との経済連携に関心を集中させていたドイツやフランスは一体どうして、軍事力まで動員してはるかインド・太平洋地域に乗り込んで中国と対抗することにしたのか。そして、形が見え始めた西側諸国と中国との対立構造は、今後の世界に一体何をもたらすのか。
こういった大問題については稿を改めて論じてみたいが、2020年の秋、われわれの住むこの世界でとてつもなく大きな地殻変動が起きていることは確実であろう。歴史は今、まさに動いているのである。
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ari0921 · 4 years
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https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58940
台湾のヘリ墜落は中国の斬首作戦か
台湾総統選の裏で発生した“事故”とソレイマニ将軍暗殺
2020.1.15(水)
用田 和仁
1 イランと台湾
 イランの革命防衛隊コッズ部隊(対外工作部隊)司令官、ソレイマニ将軍への攻撃は米国の斬首攻撃だった。さぞや北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は肝を冷やしたことだろう。強烈な抑止力だ。
 一方、その陰で1月2日に台湾軍の参謀総長が乗ったヘリコプターが、北東部・宜蘭県の部隊を訪問するため台北市の松山空軍基地(軍民両用)を離陸した直後、山中に墜落し、乗っていた参謀総長をはじめ8人が死亡した。
 しかし、この「事故」があったことに、日本人は関心がないようだ。
 この2つに何か類似性はないのか、疑問に思うことはないのだろうか。そして、誰がこの2つの出来事を喜んでいるのかを考えることはないのだろうか。
 国際社会を揺るがす事件に直面しても軍事は他人事、国民皆評論家ではこの国の行く末は危ない。
2 中東の危機
米国とイランの本格的な対決は始まったばかり
 言うまでもなく、現代の中東の危機はイスラエルに起因していると言っても過言ではない。
 そして、米国の中東政策の大きな誤りは、イラクを2度の戦争で壊滅させ、力の空白を作ったことに起因している。
 湾岸戦争まで、イラクは少数のスンニー派が支配し、過酷な統治であったものの、中東における米国の盟友であった。
 過酷な統治が悪いというならば、アラブの国の統治はサウジアラビアなども例外でなく過酷であろう。
 イラクが壊滅し、力のないシーア派の政権になって以来、イランが浸透する土壌ができ、さらに、スンニー派の残党を中心とするイスラム国を米国が中心となり壊滅させたが、結果的に、米国がイランのイラクに対する浸透を手助けしただけだった。
 今イランは、核武装する可能性のある反イスラエルの最後の砦であり、米ドナルド・トランプ大統領がイスラエルに傾倒すればするほど、イラン壊滅に向かうだろう。
 今回の休戦は一時的であって、イランの後押しを受けた民兵組織などが、もし、イスラエルを攻撃したならば、米国は即、イランに対して大規模な攻撃を仕かけるだろう。
中東の危機は日本の危機
 米国が、イランに関与すればするほど喜んでいるのは中国・北朝鮮だ。
 しかし、米国は中国打倒を諦めたわけではない。イランを叩き、中東が不安定化すれば、中国は原油を輸入することが困難になってこよう。
 米国は、イラク、アフガニスタンの軍事作戦で圧倒的な破壊力を発揮したが、中東諸国の粘り強いゲリラ戦には手を焼いている。
 そこで、���後は、①経済制裁を主とし、粘り強くイランを屈服させる②短期決戦でイランを攻撃し決着をつけるという2つのオプションを持ちながらイラン対処に臨むだろう。いずれにしても核の放棄は妥協しないだろう。
 ②のイランを攻撃する場合は、限定的な「A2/AD」能力を持つイランに対する攻撃の様相は、ミサイルや空軍、空母からの対地攻撃、すなわち、太平洋正面では放棄した「エアシーバトル」で一挙にイランの重要なインフラや地上目標を破壊することになるだろう。
 当然、イランの核施設の完全破壊が主目的だ。
 核のないイランはイスラエルにとって、もはや脅威ではない。その後米国は、経済制裁を強化することによってイランを3流国にまで貶めることは可能だ。
 上手くいけば、もう一度イラン革命へ持っていけるかもしれない。
 一方、米国は、中東の石油はもはや米国にとって必要ないと明言した。
 今後、米国はゲリラ戦に巻き込まれる不毛な戦いには関与せず、中東から大きく距離を置く可能性が出てきたと見るべきだろう。
 そうなると、中東石油依存率約88%の日本は、遂にそのような事態になったかと生存の危機を感じないだろうか。
 米国にとっては、当面、イランと中国という2正面作戦で不利な態勢ではあるが、イラン問題が収束し中東に関与をしなくてよくなれば、その後は中国へ専念できる。従って米国にとっては
①万一、武力衝突に突入した場合、イランとの対決は海空主体の短期決戦に持ち込む。
 米国の軍事産業にとっては、対地用の旧い弾を撃ち尽くすことで、対中国用の新型弾道ミサイル、対艦ミサイルなどの増産へ移行ができ、結果、新旧交代で(言葉はよくないが)儲けることができる。
②今後の中東は、NATO(北大西洋条約機構)や関係国に任せる(日本も含まれる)。
③中国の石油については、中東のみならず、長いシーレーンを活用して海上封鎖網を構築し抑止体制を強化する。このため英仏印豪などとの連携は必須だ。
 日本は、これらの激変に指をくわえて見ているのか。即やるべきことはあるだろう。
①自らの国は自ら守り切る防衛力を至急構築、このため、防衛国債などを活用して防衛費を2~3倍に増加。
②イランやロシアが行う、サイバー攻撃や電磁波攻撃と連携した非正規軍(階級章はつけていなくても精強部隊)によるハイブリッド戦は、米国のみならず日本の「正規軍」では対処が難しい。
 さらに日本では、グレーゾーン事態に対処する法規もないために、自衛隊ではほとんど対応できない。
 1発も弾を撃たないで戦いが終わる可能性は極めて高い。結局、自衛隊が軍隊でなければならない理由はここにもある。
 至急、グレーゾーン事態においてサイバー・電磁波攻撃と連携する、海上民兵に先導された大量の「精強部隊」に対処できるよう、法律の制定も含め体制を整備すべきだ。陸自を削っている場合ではない。
③石油に頼る日本の体質を改善するため、本気で原発の再稼働、新原発の開発・増設、そして、気まぐれ発電の太陽、風に頼らない水素を中心とした新電源開発への転換を図る。
 さらに、食料の自給率の向上、閉鎖的な農業政策の抜本的改革の断行などやるべきことは沢山ある。
 野党は桜を見る会がどうしたと些末なことを言っている場合か。そして、これらの改革と実行に、これからの日本の繁栄と防衛がかかっている。
3 台湾の危機
 蔡英文総統は最高得票で再選され、民進党も議会の過半数を維持できたことは幸いだった。これで、少なくとも今後4年間は米国と共に、自由主義の盾となり続けるだろう。
 日本も祝意は示したものの、米国のマイク・ポンペオ国務長官はもっと踏み込んで「台湾が民主主義を求める国々の手本となる事を望む」「容赦のない圧力にもかかわらず、台湾海峡の安定に対する蔡英文総統の取り組みを称賛する」と語った。
 残念ながら、日本人は台湾が日本の運命共同体だということを理解していない。軍事的に見れば明白である。
 すなわち、台湾が中国のものになれば、中国は米国を西太平洋から排除し、かつ、中国の3つの経済的核心的地域である、
 北京・天津、上海、広州・珠海を守る外壁である第1列島線に出城を築くことができる。その破れた第1列島線から、中国の航空機、軍艦・潜水艦などが太平洋に自由に進出できる。
 一方、前方展開戦略を基本とする米国は、その中核の足場を奪われて戦略的破綻をきたし、グアム以東への退却を余儀なくされ、東アジアにおける覇権や権益を中国に明け渡すことになる。
 換言すれば、中国の「接近阻止・領域拒否(A2/AD)」戦略の完成を許し、米国は、中国の思惑通りハワイ以東に駆逐される。
 そして、中国軍の軍事的影響力は日本の太平洋側へも直接及ぶことになり、もはや、米軍も近づけず、日本は中国の軍門に下ることになろう。その意味をしっかりと心に刻み込む必要がある。
 一方で収まらないのが中国だ。
 香港で躓き、台湾でも躓いたことになる。日本だけが、相変わらず危機感もなく、習近平国家主席を国賓で招待することを進めている。
 中国は、日本は政治・経済的に籠絡することができると読んでいるのだろう。
一方、台湾は、総統選および立法委員(国会議員に相当)選において与党民進党が勝利したことで、中国は、武力統一を行わない限り、2020年の中国共産党創設100周年記念で台湾を中国のものとして、祝杯を挙げることができなくなってしまった。
 参謀総長が乗ったヘリコプター墜落事故に戻ると、あくまで推測の域を出ないが、中国が、台湾総統選挙で敗色濃い情勢に一矢を報いたいと思っても不思議ではなかった。
 墜落事故の原因は、今後の詳細な調査結果を待たねばならないが、下記のようなことが考えられる。
①ヘリコプターの整備不良、または、部品の損壊
②人為的な操縦ミス
③天候不良
④誰かが作為して墜落させた
 事故の第1報では、天候は良く機械の故障でもないようだ。また、「UH-60」というヘリコプターは、エンジンが2つある優れたヘリコプターで、そう簡単には墜落しない。
 一般的に言って、軍トップの参謀総長が乗るヘリコプターは、十分に整備されていると考えてもおかしくないだろう。
 そうなれば、今のところ証拠はないが、誰かが作為してヘリコプターを墜落させたという推論は、架空の議論ではないだろう。
 もっと言えば、台湾軍の80%は中国を支持する国民党員であることは台湾にとって懸念材料だ。
もし、中国が関与していたならば、その目的は
①台湾の軍トップでも蔡英文総統でも、中国は何時でも斬首攻撃ができるぞという脅し
②中国は台湾の統一はあきらめず、台湾の生殺与奪の権は中国が握っているというメッセージ
③習近平国家主席は、腰抜けではないというメッセージを中国共産党へ見せる
 などが挙げられよう。しかし、中国関与の証拠は示されないであろう。
 曖昧にしておく方が脅しは効くし、米国などの国際社会の非難を避けることができる。それでいて、得体のしれない恐怖を台湾に与えることができるからだ。
4 2020年は日本の鬼門
 日本は、夏のオリンピック、パラリンピックの成功に向けて、世界中からたくさんの来訪者を歓迎し何とか盛り上げようとしている。
 しかし、今春の習近平国家主席の訪日は別問題であり、外交関係者や経済界は、日本の生存という国益を顧みず、習近平国家主席を国賓で招くことに固執しているが、正月早々から、そんな状況ではないことが見えてきた。
 日本は、もう一度、与党も野党も些事に囚われることなく、この国の真の繁栄と生存を考え、即、実行に移さなければならない歴史の曲がり角に来たことを自覚するべきだろう。
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xf-2 · 5 years
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議長、副大統領、議員の皆さん、ファーストレディー、米国民の皆さん、我々は今夜、限りない可能性の瞬間に立ち会っている。新しい議会の始まりにあたり、私は全ての米国民のため、歴史的な大躍進を達成するため皆さんと協力する気持ちでここにいる。
 何百万もの米国民が今、この偉大なる議場に集まった我々を見ており、二つの政党としてではなく、一つの国家として統治することを望んでいる。
 私が今夜示す計画は、共和党の計画でも民主党の計画でもない。米国民の計画だ。
 我々の多くが中核となる同じ約束のために運動してきた。それは、米国の労働者のために米国の雇用を守り、公平な貿易を要求することだ。国のインフラ(社会基盤)を再建し、再活性化させることだ。保健医療と処方薬の価格を引き下げることだ。適法で近代的で安全な移民制度を作り上げることだ。米国の利益を第一にする外交政策を追求することだ。
 米国政治には新たな機会がある。それをつかみとる勇気さえあればいいのだ。勝利とは、自分の政党を勝たせることではない。国民のために勝つことだ。
 今年、米国の使命の荘厳さと米国人の誇りの力を確認する二つの大事な記念日を迎える。
 6月には、アイゼンハワー将軍が大いなる聖戦と呼んだ、連合国軍による欧州解放作戦の開始から75年を迎える。ノルマンディー上陸作戦の決行日の「Dデー」、つまり1944年6月6日、我々の文明を暴政から救うため1万5000人の米国の青年たちが空から、6万人以上が海から強襲した。
 そのときの信じられないほど素晴らしい英雄3人が今夜、我々と共にここにいる。ジョゼフ・レイリー1等兵、アービング・ロッカー2等軍曹、ハーマン・ゼイトチク軍曹だ。敬意を表したい。
 2019年に我々はまた、月面に米国旗を立てるため勇敢な若い飛行士たちが宇宙を約25万マイル飛んで以来50年となることを祝う。半世紀後(の今)、旗を立てたアポロ11号の宇宙飛行士の1人が(ここに)参加している。バズ・オルドリン氏だ。今年、米国の宇宙飛行士は米国のロケットで宇宙に戻る。
 米国は20世紀、自由を守り、中流階級のありようを一変させた。皆さんが本腰を入れれば、世界の中で米国と競争できるところはない。我々は今、大胆に勇気を持って米国の偉大な冒険の次の章に進まなくてはならない。21世紀にふさわしい新たな生活水準に一新しなければならない。すべての市民が素晴らしい生活の質をもう少しで手に入れられる。
 我々はかつてないほど地域を安全にし、家族を強固にし、文化を豊かにし、信仰を深めるとともに、中流階級をより大きく、より豊かにすることができる。
 そのために我々は復讐(ふくしゅう)や抵抗、報復の政治を拒絶し、協力と妥協、公益の限りない潜在力を追求するべきだ。
 我々は、何十年も続く政治的な行き詰まり状態を共に打開することができる。昔からの分断に橋をかけ、古い傷を癒やし、新しい連立を築き、素晴らしい米国の未来を切り開くことができる。決断は我々にかかっている。
 偉大さか停滞か、成果か抵抗か、未来か復讐か、途方もない進歩か無駄な破壊か、選ばなくてはならない。
 今夜、皆さんに偉大さを選択するよう求める。
 この2年間、私の政権は、何十年にもわたり両党の指導者が放置してきた問題に立ち向かうため、切迫感をもって歴史的なスピードで行動した。大統領選からたった2年余りで、我々は空前の好景気をもたらした。かつてないほどの好景気だ。530万の新規雇用を生み出した。製造業で60万の新規雇用を創ったのは特筆できる。誰もがそんなことはできないと言っていた。事実は、これはまだ始まりということだ。
 賃金はこの何十年で最速のペースで増え、私が身を挺(てい)して支援すると約束したブルーカラー労働者で一番伸びている。500万人近い米国人が低所得者向け食料品購入券「フードスタンプ」の支給対象から外れた。米国経済は私が就任した時に比べ、ほぼ2倍の速さで成長している。米国経済は、世界のどこと比べても圧倒的な差をつけて活況だといわれている。
 失業率は半世紀で最も低い。アフリカ系米国人、ヒスパニック系米国人、アジア系米国人の失業率も、史上最低水準だ。障害を持つ米国人の失業率も史上最も低い。歴史的に最多の1億5700万人が今、就労している。
 我々は就労世帯に大規模な減税を行い、児童扶養控除を倍にした。小規模の企業や牧場、家族経営の農場にかかる不動産税や相続税を実質的に廃止した。
 とても不人気だった医療保険制度オバマケアの加入義務違反に対する罰金を廃止した。重病患者が救命治療を受けられるようにした。未承認薬を使えるようにする法案を通過させた。
 私の政権はほかのどの政権が任期中に達成したよりも多くの規制撤廃を短期間で実現した。歴史的な減税と規制緩和の結果、多数の企業が米国に戻ってきている。
 米国でエネルギー革命を起こした。米国は今、世界一の石油と天然ガスの産出国だ。今や、約65年ぶりにエネルギーの純輸出国となる。
 24か月の急速な発展を経て、我々の経済は世界の羨望の的だ。軍は地球上で最強だ。米国は日々、勝利している。議員の皆さん、米国は強力である。我が国は活気にあふれ、経済はかつてないほど繁栄している。
 1日には、今年1月だけで雇用が30万4000人増えたとの発表があった。予想のほぼ2倍だった。米国で経済の奇跡が起きている。唯一それを止めるものがあるとしたら、おろかな戦争か政治、あるいは、ばかげた党派的な捜査だろう。
 平和と法律があるところには、戦争も捜査もあるはずがない。そんなことにはならないものだ。
 我々は国外の敵を打ち負かすため、国内で団結しなければならない。
 この新たな協力の時代は、連邦機関のポストにふさわしい高い能力を有する300人以上の候補者の指名承認で幕を開けられる。手続きは今も上院で止まっており、中には何年も待たされている者がいる。上院は行動を怠っており、これでは候補者だけでなく国に対して不公正だ。
 今こそ超党派の行動が求められる。信じるか信じないかわからないが、それが可能であることを我々はすでに証明している。
 前の議会で、両党は力を合わせ、鎮痛剤オピオイド乱用問題に対処するため前例のない法案を通過させた。包括的な新農業法案、退役軍人省の改革を通した。さらに40年否決され続けた、退役軍人省の説明責任法案を可決した。これにより、素晴らしい退役軍人に対するひどい扱いをようやくなくせる。
 そしてほんの数週間前、両党は画期的な刑事司法改革に向けて団結した。昨年、私は友人からアリス・ジョンソンの話を聞いた。私は深く心を動かされた。
 1997年、アリスは麻薬を巡る違法行為で終身刑を言い渡された。初犯で暴力に手を染めたわけでもなかったのにだ。
 その後20年以上、彼女は刑務所の牧師となり、他の受刑者により良い道を選ぶよう励ましてきた。刑務所の受刑者に大きな影響を与えた。影響はそこだけにとどまらなかった。
 アリスのケースは、判決の不平等や不公平を明確に示している。この不公正を是正する必要がある。彼女はほぼ22年間受刑し、残りの人生を刑務所で過ごすことになっていた。
 私は6月、アリスを減刑した。彼女は今夜ここにいる。アリス、ありがとう。我々にはいつだって自身の運命を決める力があることを思い出させてくれた。
 アリスのすてきな家族が刑務所の門で彼女を迎え、抱きしめ、キスを交わし、泣き、笑うのを見たとき、私は正しいことをしたと実感した。
 アリスのような話をきっかけに、私の政権はファースト・ステップ法の成立に向けて、両党の議員と緊密に連携した。この法は、アフリカ系米国人の権利を誤ったやり方で過剰に損なってきた刑法を改革するものだ。
 ファースト・ステップ法は、暴力を伴わない犯罪者が生産的で法を順守する市民として社会復帰する機会を与える。今、国中の州が続こうとしている。米国は罪が償えることを信じる国だ。
 今夜、ここにテネシー州からマシュー・チャールズも来ている。1996年、マシューは30歳のとき、違法薬物販売などの罪で35年の刑を言い渡された。その後20年にわたり、30以上の聖書の講義を修了し、法務書記となり、受刑者たちの良き助言者となった。彼は今、ファースト・ステップ法のもとで出所した最初の元受刑者となった。ありがとう、マシュー。
 今、共和党と民主党は、差し迫った国家の危機に立ち向かうために再び力を合わせなければならない。
 国土を守り、南部国境を厳重に警備する予算案を通すために、議会には10日の期間が残っている。
 今こそ、米国が不法移民をなくし、密入国を手引きする冷酷な一味や組織、麻薬密売人や人身売買組織を壊滅するために取り組んでいることを、議会は世界に示すときだ。
 今こう話している最中も、中米からの移民集団の大規模な隊列が米国を目指している。メキシコの複数の市当局が、不法移民を地域から排除するために、バスやトラックに彼らを乗せ、我が国の国境警備が手薄な場所に送り込んでいるそうだ。このとんでもない猛襲に対処するため、南部国境に3750人の部隊派遣を命じたところだ。
 これは倫理問題だ。南部国境の無法状態は、すべての米国民の安全、治安、金銭的安定に対する脅威だ。我々は、国民の暮らしと雇用を守る入国管理体制を作り出す義務がある。
 これには、規則を守り、法令を順守している、今ここに暮らす何百万人もの移民に対する我々の責任も含まれる。合法な移民は、様々な形で我が国を豊かにし、社会を強くする。私は我々の国に、かつてないほど多くの人々に来てほしい。しかし、それは合法的でなければならない。
 不法移民ほど我が国の政治的、階級的な分断を明示する問題はない。豊かな政治家や献金者は、壁と門と警備に守られながら、国境の開放を求めている。一方で、米国の労働者たちは、雇用の減少、低賃金、教育の負担、社会保障の衰退といった大規模な不法移民の代償を払っている。
 不法移民への寛容は思いやりではない。現実は非常にひどいものだ。(米国を目指し)北上する女性の3人に1人が性的暴行を受けている。密売人たちは、我々の法律を悪用し、我々の国に入国するために移民の子供を人質として利用する。
 人身売買業者たちは、何千人もの少女や成人女性を米国に密入国させ、彼女らを売春に従事させるため、我々の通関施設間の広い地域をたくみに利用している。
 何万人もの善良な人々が、我々の暮らす街に国境を越えて流入した覚醒剤、ヘロイン、コカインなどの危険な薬物によって死んでいる。
 悪質なギャング組織「MS―13」が少なくとも20州で活動している。彼らのほとんどは南部国境を越えて入ってくる。ちょうど昨日、メンバーの一人がニューヨークの地下鉄ホームでの射殺容疑で拘束された。我々はこのようなギャングのメンバーを排除しているが、国境の安全が保証されるまで、彼らは逆流し続ける。
 年を追うごとに、犯罪的な不法外国人によって殺害される米国人は数え切れない。
 私は多くの素晴らしい「天使の母たち、父たち、家族ら」を知るようになった。誰も、彼らが耐えなければならなかったようなひどい心痛に苦しむべきではない。
 今夜ここに、デボラ・ビッセルが来ている。3週間前、デボラの両親ジェラルドとシャロンはネバダ州リノの自宅で強盗に入った不法な外国人に撃たれて亡くなった。2人は80歳代で、4人の子供と11人の孫、20人のひ孫がいた。ここには、その孫娘のヘザーとひ孫のマディソンも来ている。
 ほとんどの人はあなたたちの痛みを理解できない。ありがとう、ここにいてくれてありがとう。本当にありがとう。私は決して忘れないし、ジェラルドとシャロンのために、このようなことが二度と起こらないように闘う。
 危険な国境の管理を怠り、もうこれ以上、米国人の生命が奪われることがあってはならない。
 米移民・関税執行局(ICE)は、この2年間で、26万6000人の不法な外国人を拘束した。この中には、性犯罪にかかわった3万人や、殺人事件に関与した4000人が含まれる。
 こうした法執行の英雄の一人がここに来ている。ICE特別捜査官のエルビン・ヘルナンデスだ。エルビンと彼の家族はドミニカ共和国から合法的に米国に移住してきた。8歳の時、エルビンは父親に捜査官になりたいと言った。彼は今、国際的な性的人身売買を取り締まる捜査を指揮している。エルビンは言う。「もしこれらの若い少女たちが���実に正義を得られるならば、私は本当に自分の仕事をしたことになる」。彼と彼の同僚のおかげで、昨年、300人以上の女性らが恐怖から救われ、1500人以上の残虐な人身売買業者らが投獄された。
 我々はいつも、法執行に関わる勇敢な男女を支持する。私は今夜、ICEの英雄を滅ぼすことはないと誓おう。ありがとう。
 我が政権は、南部国境の危機を終わらせるため、良識ある提案を議会にしてきた。それは、人道支援や更なる法執行、入国時の薬物探知、子供���人身売買を可能にする抜け穴を封じること、国境の物理的な壁を含む。過去には、ここにいるほとんどの人が壁に賛成票を投じたが、壁は適切に建設されていない。私はそれを建設する。
 これはスマートで戦略的で向こうが見通せる鋼鉄の障壁であり、ただのコンクリート壁ではない。これは、国境警備隊によって必要性があると確認された場所に設置されるだろう。壁がつくられたところでは不法入国は激減すると国境警備隊は言うはずだ。
 サンディエゴ(カリフォルニア州)は、米国で最も多くの不法入国があった。サンディエゴ住民や政治指導者の要求に応じて、頑丈な壁が導入された。この頑丈な壁は不法入国をほぼ完全に収束させた。
 メキシコとの国境都市であるテキサス州エルパソは、かつて、米国内で凶悪犯罪率が最も高い都市の一つで、最も危険な都市の一つと考えられていた。今は強力な壁のおかげで、エルパソは最も安全な都市の一つになっている。端的に言えば、壁は機能し、壁は人命を救う。
 だから、協力し、歩み寄り、真に米国を安全にする取引を成立させよう。
 我々は国民の安全を守るために働いている。経済の回復を速いペースで進めなければならない。
 昨年に創出された新規雇用の58%を占めた女性たちほど、私たちの発展する経済から恩恵を受けた人々はいない。すべての国民は、これまで以上に多くの女性が働けることを誇りに思うだろう。女性に参政権を与える憲法修正が議会で可決されてからちょうど1世紀、これまでで最も多くの女性が議会で活躍している。素晴らしい。おめでとう。
 あらゆる場面で女性の活躍する機会を改善する取り組みの一環として、我々は途上国の女性の経済的自立に焦点を絞った政府初の事業も始める。
 驚異的な経済の成功を築くためには、最優先事項として、数十年にわたる悲惨な貿易政策を転換させることだ。
 我々は中国に対し、長年にわたって米国の産業を狙い、知的財産を盗んできた今、雇用と富を盗み取るのはもう終わりだと明確にしておきたい。
 我が国は最近、約2500億ドル(約27兆4000億円)の中国製品に関税を課した。財務省は今、中国から何十億ドルも受け取っている。しかし、我々を利用したと、中国を非難するつもりはない。私は、この茶番を許した我が国の過去の指導者と議員たちを非難する。私は習シー(近平ジンピン)国家主席をとても尊敬している。
 我々は今、中国との新しい貿易協定に取り組んでいる。しかしその新たな協定には、不公正な貿易慣行を終わらせ、慢性的な貿易赤字を減らし、米国の雇用を守るために、実質的で構造的な改革が含まれなければならない。
 もう一つの歴史的な貿易の大失敗は、北米自由貿易協定(NAFTA)として知られる大惨事だ。
 私はNAFTAによって夢を砕かれたミシガンやオハイオ、ペンシルベニア、インディアナ、ニューハンプシャー、さらに多くの州で男女に会った。何年もの間、政治家はより良い協定を交渉すると公約してきた。しかし、今まで誰も実行を試みなかった。
 我々の新しい「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」は、NAFTAに取って代わり、米国の労働者のために役割を果たすだろう。それによって、米国の製造業に雇用を取り戻し、米国の農業を拡大させ、知的財産を保護し、より多くの車に「メイド・イン・ザ・USA」の美しい四つの単語を誇らしげに刻印することを保証できる。
 私は今夜、相互貿易法を議会で通過させることを求めたい。他国が不当な関税を米国の製品に課したら、我々も彼らが売りたい同様の製品に全く同じ関税を課せるようにするためだ。
 両党は、米国のボロボロのインフラ再建という偉大な仕事のため団結できるはずだ。
 私は、議会がインフラ整備法案を通すことに意欲を持っているのを知っている。私は、未来の最先端産業のための投資を含めた、新しくて重要なインフラ投資を実行するための法整備で、あなたたちと一緒に働きたくてたまらない。これは選択の問題ではない。必要不可欠なものだ。
 私だけでなく、私たち全員にとって次の大きな優先事項は、医療と処方薬の費用を減らし、既往症のある患者を守ることだ。
 私の政権の努力の結果として、既に薬の価格は2018年に、46年間で最大の下げ幅を経験した。
 しかし、我々はもっとやらなければならない。米国人が、たいてい全く同じ場所で作られている全く同じ薬のために、他国の人より非常に高い金額を支払わされるのを受け入れることはできない。こんなことは間違っており不公平だ。力を合わせ速やかにやめさせたい。
 私は、医薬品開発費の負担が世界的に不公正になっている問題にようやく取り組み、米国の患者にとって公平性と価格の透明性を提供する法律を通すことを求めている。製薬会社や保険会社、病院に対し、競争を促し、価格を下げるために実際の価格を開示することも要求すべきだ。
 歴史上、米国の自由ほどの力を持って、人々の境遇を進歩させたものはほかにない。ここ数年で我々は、HIV(エイズウイルス)との闘いで目を見張る進展を遂げた。科学の飛躍的進歩は、遠い夢を手の届く距離に引き寄せた。私は、10年以内に米国でHIVの流行を確実になくすために必要な予算を民主党と共和党に求めたい。一緒に米国のエイズに打ち勝とう。
 今夜、私は全ての米国人が支持できる別の闘いに参加することも求めている。それは小児がんとの闘いだ。
 観客の中で今晩メラニアと一緒にいるのは、とても勇敢な10歳の女の子、グレイス・イラインだ。やあグレイス。彼女は4歳の時から誕生日のたびに、セントジュード小児研究病院への寄付を友人に呼びかけていた。彼女は自身が、患者になる日が来るとは思わなかった。それが起こった。昨年、グレイスは脳のがんと診断された。すぐに彼女は放射線治療を始めた。同時に地域に呼びかけ、がんとの闘いのために4万ドル以上を集めた。彼女が昨秋、治療を終えた際、「化学療法の最終日」というポスターを掲げると、彼女の医師や看護師が目に涙をためて喜んだ。ありがとうグレイス、あなたはこの部屋にいる全員の励みだ。
 多くの小児がんは新しい治療法が見つかっていない。私は、命を救う重要な研究のため5億ドルの予算を議会に求めている。
 共働きの親を助けるため、米国の子供たちのための公立学校選択制を通す時が来た。私は、有給の家族休暇を全国的に導入する計画を予算案に含める最初の大統領となることを誇りに思う。親がみな、生まれたばかりの子供と親密な絆を結べるようにするためだ。
 母親が幼児を抱く美しい映像と比べ、我々の国で最近流れた身も凍るような映像ほど、大きなコントラストを示すものはない。
 ニューヨークの議員は、生まれる寸前の赤ちゃんを中絶できるようにする法案の通過を喜んだ。こうした赤ちゃんは、生きていて感覚を備える美しい存在なのに、この世の愛も夢も決して触れられない。バージニア州の知事に至っては、その発言で、出産後に赤ちゃんを処刑する意図まで示した。
 全ての人の尊厳を守るため、私は、母親の胎内で子供が痛みを感じることができる妊娠後期の中絶を禁止する法案を通過させるよう求めている。
 無垢(むく)の生命を大事にする文化を共に築こう。根本の真実を再確認しよう。生まれた子もこれから生まれる子も、神の神聖な御姿をかたどったものだ。
 私の計画の最後は米国の安全保障についてだ。
 ここ2年以上、昨年は7000億ドル、今年は7160億ドルをかけて、我々は米軍を全面的に立て直すことに着手してきた。我々は他の国々に対して公平な分担をさせている。やっとだ。長年の間、米国は、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国である友好国から非常に不公平に扱われてきた。しかし、この2、3年でNATOの同盟国による1000億ドルを超える防衛支出の増額を確保した。彼らができないと言っていたものだ。
 軍増強の一環として、米国は最新式のミサイル防衛システムを開発している。
 私の政権下では、米国の利益を促進したことを巡って我々が謝ることは決してない。
 例えば、数十年前、米国はロシアとミサイル能力を制限し、縮小する条約を締結した。我々が合意とルールを誠実に守る一方、ロシアは長年、繰り返し取り決めを破ってきた。それが、私が中距離核戦力(INF)全廃条約から正式に離脱することを発表した理由だ。それ以外に選択肢がない。
 おそらく我々は中国やその他を加えて異なる合意を交渉できる。もしできなければ、我々は、ほかのどの国もはるかにしのぐ費用をかけて技術革新を行い優位に立つ。
 大胆で新しい外交の一環として、我々は朝鮮半島での平和のために歴史的な努力を続けている。我々の人質は帰国した。核実験は止まった。ミサイル発射は15か月間、行われてこなかった。私が米国の大統領に選ばれていなかったら、私の考えでは、今まさに、北朝鮮と大規模戦争になっていただろう。多くの仕事が残っているが、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と私の関係はよいものだ。金委員長と私は2月27、28日にベトナムで再び会う。
 2週間前、米国は正統なベネズエラ政府および新しい大統領、フアン・グアイド氏を正式に承認した。ベネズエラの人々の高貴な自由の追求を支持する。マドゥロ政権の残忍性を非難する。彼らの社会主義政策は、南米で最も裕福だった国を、みじめな貧困と絶望の国に転落させたた。
 ここ米国で、我々の国に社会主義を採用しようという新たな要求を警戒している。米国は、政府の強制でも支配でも統制でもなく、自由と独立の上に築かれた。我々は生まれながらに自由で、自由であり続ける。今夜、米国が決して社会主義国にならないという決意を再確認する。
 我々が長年にわたって直面する試練の中でもとりわけ複雑なものの一つは、中東にある。
 我々の取り組みは、原則にのっとる現実主義に基づいている。何十年も進展がなかった信用できない理論ではない。だからこそ我々の政権は、イスラエルの真の首都を認め、誇りを持ってエルサレムに大使館を開いた。
 我々の勇敢な兵士は今、ほぼ19年間にわたって中東で戦ってきた。アフガニスタンとイラクでは7000人近い米国人の英雄が命をささげた。5万2000人以上の米国人が重傷を負った。我々は7兆ドル以上を中東での戦闘で費やしてきた。
 大統領候補として、私は新しい取り組みを声高に約束した。偉大な国は、終わりなき戦争はしない。
 私が就任した時、イスラム過激派組織「イスラム国」はイラクとシリアの2万平方マイル以上を支配していた。今日、血に飢えた怪物の支配から、我々は実質的に全領土を解放した。
 「イスラム国」の残党を壊滅するため、同盟国と連携して取り組んでいる今、我々のシリアにいる勇敢な戦士に温かい「お帰りなさい」を贈る時だ。
 私はまた、アフガニスタンで政治的解決を、可能なら実現させるための交渉を加速させてきた。敵対勢力もまた、交渉が行われていることをとてもうれしく思っている。我々の軍は比類なき勇猛さで戦ってきた。そして、彼らの勇気のおかげで、我々は今、この長く血を見るような紛争の政治的解決となりうることに取り組むことができる。
 アフガニスタンで私の政権は、(旧支配勢力)タリバンを含む数多くの勢力と建設的な対話を行っている。これらの交渉が進展すれば、我々の軍の駐留部隊を減らし、テロ対策に集中することができるだろう。我々は実際にテロ対策に集中する。(和平)合意を実現できるかどうかはわからない。しかし、20年に及ぶ戦争を経て、少なくとも和平達成に向けて努力する時が来たことを我々はわかっている。相手も同じことをしたいと思っている。その時だ。
 敵味方の区別なく何より重要なのは、国民を守ろうとするこの国の力と意思を疑ってはならないことだ。18年前、テロリストたちは米駆逐艦「コール」を襲撃した。そして先月、米軍はこの襲撃の首謀者の一人を殺害した。
 我々は今夜、トム・ウィバリーが参加してくれたことを光栄に思う。彼の息子で海軍上等兵のクレイグ・ウィバリーは、我々が悲劇的に失った17人の乗組員の1人だった。トム、我々はいつでも、駆逐艦コールの英雄たちを記憶にとどめると誓う。ありがとう、トム。
 私の政権は、世界で有���のテロ支援国家であるイランの急進的な政権に立ち向かうため、断固とした態度で行動してきた。急進的な政権だ。彼らは本当に悪いことをする。
 この邪悪な独裁政権が核兵器を決して保有しないことを確実にするため、私は破滅的なイラン核合意から米国を撤退させた。そして我々は昨年秋、米国が一国に科すものとしては最も厳しい制裁を発動させた。
 我々は、米国に対して死を唱え、ユダヤの人々に対して集団虐殺を行うと脅す政権から目をそらさない。反ユダヤ主義という卑劣な害毒、その悪意に満ちた信念を広める人々を、決して無視してはならない。我々は一致団結し、こうした憎しみがいかなる場所で生じたとしても、立ち向かわなければならない。
 わずか数か月前のことだが、(東部)ピッツバーグのシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)「生命の木」で、ユダヤ系米国人11人が反ユダヤ主義の襲撃によって残忍な形で殺害された。SWAT(警察特殊部隊)のティモシー・マットソン隊員は銃撃のさなかに突入し、7回撃たれながらも犯人を追跡した。そして非常に成功した。ティモシーは12回目の手術を受けたばかりで、さらに多くの手術を受ける。しかし、今夜、我々と共にここにいるために駆けつけた。マットソン隊員、ありがとう。我々は、永遠に感謝する。本当にありがとう。
 今夜、ピッツバーグの事件の生存者ジュダ・サメットも参加している。彼は、虐殺が始まった時にシナゴーグに到着した。しかし、彼は昨秋、死を免れただけではない。70年以上前、ナチスの強制収容所でも辛うじて生き残ったのだ。今日はジュダの81歳の誕生日だ(拍手。誕生日を祝う歌が歌われる)。彼らは私のためにそうしてくれないよ、ジュダ。ジュダは、約75年前、強制収容所で10か月間過ごした後、家族と列車に乗せられ、別の収容所に行くと言われたまさにその時を、今でも思い出すことができると言う。突然、列車がキーッと音を立てて止まった。1人の兵士が現れた。ジュダの家族は最悪の事態を覚悟した。そのとき、彼の父親は大きな喜びの声を上げた。「米国人だ、米国人だ」と。
 今夜ここにいる、ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)を生き抜いた2人目の人物のジョシュア・カウフマンは、ダッハウ強制収容所の捕虜だった。彼は、家畜運搬車の壁の穴をのぞき、米兵が戦車で続々とやって来るのを見たことを覚えている。ジョシュアは「私にとって、米兵は神が存在するという証しであり、彼らは空から下りてきた。彼らは天国から下りてきた」と回想する。
 今晩、私はまず、第2次世界大戦中の「Dデー」(ノルマンディー上陸作戦の決行日)に戦った兵士3人を称賛することから始めた。そのうちの1人がハーマン・ゼイトチクだった。
 だが、ハーマンの物語はもっとある。ハーマンはノルマンディー海岸を急襲した1年後、ダッハウ(強制収容所)の解放を手助けした米兵の1人だった。彼は、この世の地獄からジョシュアの救出を支援した米国人の1人だった。75年近くがたち、ハーマンとジョシュアは今夜、ギャラリーの中に共にいる。米国の自由発祥の地であるこの場に、隣り合って座っている。ハーマンとジョシュア。あなたたちが今晩ここにいることにとても感謝している。
 1944年、Dデーの早い時間帯、英仏海峡の暗い空の下で米兵が作戦に着手した時、彼らは18、19歳のただの若者だった。不安定な上陸用舟艇で、戦争の歴史の中で最も重要な戦闘へと突き進んでいったのだ。
 彼らは、その時を生き残れるのかわからなかった。年を重ねられるのかもわからなかった。しかし彼らは、米国が優勢でなければならないことはわかっていた。この国家、そして、まだ生まれていない世代(のために戦うこと)が彼らの大義だった。
 なぜ彼らはそうしたのか。米国のため、私たちのためにそうしたのだ。
 共産主義への勝利、科学と発見の大いなる飛躍、他の追随を許さない平等と正義への前進――。全てが、先人の血と涙と勇気、先見の明のおかげなのだ。
 この議事堂に思いをはせよう。あなたたちより前に(ここにいた)議員たちが、奴隷制に終止符を打ち、鉄道や高速道路を建設し、ファシズムを打ち倒し、公民権を獲得し、悪の帝国を屈服させるために投票を行った、まさにこの議場に思いをはせよう。
 今夜ここには、この壮大な共和国の各地から来た議員たちがいる。メーン州の岩石の多い海岸やハワイ州の火山の峰々から。ウィスコンシン州の雪深い森やアリゾナ州の赤い砂漠から。ケンタッキー州の青々とした農地やカリフォルニア州の黄金の砂浜から。我々は共に、歴史上最も類いまれな国家の議員を務めている。
 我々はこの瞬間、何をしようとしているのだろうか。我々はどのように記憶に残るのだろうか。私はこの議会の男女に求める。目の前にある機会を見よ! 最も感動させる偉業が、まだこの先にある。最も刺激的な旅が、まだこの先に待ち受けている。我々の最大の勝利はまだ先のことだ。我々の夢はまだ始まっていない。
 我々は、不一致によって規定されてしまうのか、勇気を持って違いを乗り越えていくのか、選ばなくてはならない。
 我々は、受け継いできたものを無駄遣いするつもりなのか、あるいは、米国人だと誇らしげに宣言するつもりなのかを選ばなければならない。我々は信じられないようなことをする。我々は不可能なことに��む。我々は未知なるものに打ち勝つ。
 今こそ米国の想像力を再び燃え上がらせる時だ。最も高い頂を目指し、何よりも輝く星を目指して目標を設定する時だ。我々を市民として、隣人として、愛国者として結びつける愛と忠誠、そして記憶の絆をよみがえらせる時だ。
 これが我々の未来であり、運命であり、選ぶ道だ。私はあなたたちに偉大さを選ぶよう求めている。
 どんな困難に直面しようと、どんな難問が降りかかってこようと、我々は共に前進しなければならない。
 我々は、心の中に「米国第一」を掲げなければならない。魂の中に自由を息づかせなければならない。そして、神のみもとにある一つの国として世界各国の希望であり、期待であり、光であり、名誉であるべきだ――という米国の運命にいつでも信念を持ち続けなければならない。
 ありがとう。みなさんに、そして米国に神のご加護がありますように。そして、おやすみなさい。
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xf-2 · 5 years
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南シナ海で軍事拠点化を進める中国に対し、米軍が対中政策により力を入れ始めている。
 3月19日、ハワイのフォート・シャフター陸軍基地で開かれた会議で、米太平洋軍司令官のロバート・ブラウン陸軍大将が中国に対抗するため、本土から数千から万単位の兵士をアジアに配備する用意があると述べたのだ。
 「南シナ海で問題(有事)が起きた時には陸海空および海兵隊の兵力が協力し合って対処していくことになります」
 この発言が海軍大将ではなく陸軍大将から出たところに注目したい。
 中国が南シナ海で人工島を造成し、軍事基地化を進めている中で、ブラウン大将は陸軍の出動も念頭に入れているということだ。
 米軍準機関紙『星条旗新聞』によると、実際の有事になった時にはハワイ州、ワシントン州、アラスカ州などから陸軍兵士を短期間、アジアに配備することになるという。
 同大将は具体的な兵数を口にしていないが、準備を整えている。
 「誰も紛争を望んでいません。我々も望みませんが、有事の際にはどんなシナリオにも対応できる体制を整える必要があります」
海洋でも最終的には陸軍の出動が必要になるとの見方だ。さらにブラウン大将は同会議で「最優先は中国です」と明言した。
 これは過去20年ほど、米軍が第一義として精力を注いできた中東でのテロリズムとの戦いから、対中政策へと戦略がシフトしてきたということでもある。
 特にイラクとアフガニスタンに派遣していた兵力を世界の別地域に向かわせる中で、中国がプライオリティーになったのだ。
 今月に入ってから、米軍は南シナ海上空に「B52」戦略爆撃機を3回も飛行させている。
 「定例訓練」であるが、米軍はわざわざ公表する義務がない。しかし3回とも公式発表している。
 最初は3月4日で、2機が米領グアムのアンダーセン空軍基地を飛び立ち、1機は南シナ海上空を「定例訓練」し、もう1機は航空自衛隊と共同訓練をして帰還した。
 14日にも2機のB52戦略爆撃機が、さらに19日にも同様に2機を飛ばしている。
 米太平洋軍報道官は「米航空機は同盟国や友好国、さらに自由で開かれたインド・太平洋地域を守るために恒常的に同地域で作戦行動を行う」と述べて、南シナ海での中国の行動をけん制した。
さらに米第7艦隊は11日、イージス駆逐艦「スプルーアンス」と「プレブル」を南シナ海に派遣。これは「航行の自由」作戦の一環で、今後も定期的に行っていく予定である。
 作戦の目的は中国が南沙(スプラトリー)諸島で過度な海洋進出をしていることへの「異議申し立てと国際法に準拠した航路を維持するため」だ。
 今月の米軍によるこうした動きを見ると、前述したブラウン大将の「陸海空および海兵隊の兵力が協力し合って対処する」プランは着実に前に進んでいるかにみえる。
 米軍のこうした行動に中国はすぐに反発。
 外務省報道官は米イージス駆逐艦の派遣直後、「米軍艦が中国の許可なく海域に進入したことは中国の主権���侵す行為」と嫌悪感を露わにした。
 さらに「米国は南シナ海で挑発し、緊張を生み出し、平和と安定を脅かしている」と挑発した。
 しかし中国こそが挑発を繰り返す平和と安定の破壊者であるとの見方は、米国では広く支持されている。
 首都ワシントンにある新アメリカ安全保障センターのイーリー・ラトナー副所長は、米国が南シナ海を含めたインド太平洋地域で効果的な防衛体制を維持することは中国の拡張をけん制する意味で重要であると説く。
「米国の抑止力が同地域でなくなったら、台湾をはじめとする所地域に政治的不安定がもたらされることになる」
 いますぐに南シナ海で有事が勃発する可能性は低いが、文字どおり万難を排して準備しておく必要性は高い。
 ただやっかいなことは、中国は南沙諸島の人工島を軍事基地だけでなく非軍事基地としても使用する意図がある点だ。
 民生基地としての併用であれば、米軍は民間人をむやみに殺傷できないとの思惑がある。
 南シナ海は地政学的に重要な場所であると同時に、海洋資源の宝庫であることは広く知られている。
 中国の貿易額の64%の貨物は南シナ海を通過しているし、南シナ海経由の原油のうち23%は日本にも来ている。
 海洋資源という点に目を向けると、原油と天然ガスの埋蔵量が豊富である。
 米エネルギー情報局(EIA)の調査によると、原油の未発見埋蔵量は112億バレル。ところが中国政府が見積もる埋蔵量はさらに多い。
中国海洋石油総公司が算出した埋蔵量は、EIAの10倍以上にあたる1250億バレルに達する。
 また天然ガスの埋蔵量はEIAの調査では190兆立方フィート。一方の中国海洋石油総公司の見積もりは500兆立方フィートで、やはり中国の方が2倍以上も多い。
 埋蔵量を正確に算出することは難しいが、大量の天然資源が埋もれているとことは間違いない。
 世界の他地域と比較しても、原油と天然ガスは中東、ロシアの埋蔵量にはかなわないが、天然資源の宝庫と呼んで差し支えない。
 中国政府がそれを狙わないわけがない。地政学的、資源的、軍事的に南シナ海を内海したいとの野心は強まる一方なのだ。
 米専門家からは、南シナ海が「中国のクリミア半島」になりつつあると危惧が聞こえてくる。
 ロシアが2014年、力ずくでクリミア半島を併合した手法を中国は手本にしているとの見方だ。
 中国による明らかな国際法違反を、米国だけでなく関係国がともに異議として唱えると同時に、圧力を加えていく必要がある。
 前出のブラウン陸軍大将は「すべての領域でいいポジショニングを得るために、陸軍が果たす役割もある」と、米軍はすでに普段から南シナ海を眺め、陸海空および海兵隊が総合的に対中国戦略を練っていることを示唆した。
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xf-2 · 6 years
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歴史は、北朝鮮が核兵器を放棄しないと伝えている
核兵器は武器を放棄することはほとんどない。私たちはそれを期待してはいけません。その洞察は、今後の米国の戦略を導くはずです。
ジェームズ・ホームズ
北朝鮮の金正日(キム・ジョンウン)大統領は、ドナルド・トランプ大統領との交渉で核兵器を放棄するのだろうか?マジック8ボールは言う:
Outlookはあまり良くありません。
あなたの危険でMagic 8 Ballに異議を申し立てる!歴史と戦略は、北朝鮮が核を放棄するのを助ける。
原子時代の始まり以来、ベラルーシ、ウクライナ、カザフスタン、そしてアパルトヘイト南アフリカのみが作業兵器を解体した。そして 南アフリカは、原子外交でおどけたケースでした。アパルトヘイト政権は、1970年代にいくつかの戦術的核兵器の目録を秘密裏に開発した。表向きの目的は、プレトリアが南アフリカ人民組織とアフリカ民族会議(ANC)の一部でゲリラ活動にぶつかったり、近隣のアンゴラで、キューバ軍が展開した非伝統的兵器を使用することを脅かす権限を与えること。
しかし、南アフリカの兵器の主な目的は、同盟国を脅迫することでした。アパルトヘイト政権が破壊に直面すれば、プレトリアは核の存在を3段階で明らかにする予定であった。第1段階では、核兵器の存在を確認したり拒否したりすることを拒否しながら、核兵器の曖昧さの姿勢を取る。フェーズ2では、南アフリカが侵略などの圧倒的な脅威に直面した場合、プレトリアは兵器の存在をワシントンと同盟の西側首都に秘密裏に明らかにするだろう。
そうすることで、西アフリカは、南アフリカが共産主義に陥ることなく、プレトリアと闘うことになるだろう。そして、第3段階では、本格的な侵略が繰り広げられれば、連邦国家は地下核実験を「最後のステップ」として脅かすだろう。要するに、連邦政府は、米国が強制的にそれを後退させようとした自殺して、南アフリカの大部分をその国に連れて行きます。人質を握ることは大変なことであり、偉大なシェリフ・バートにふさわしい戦略 です。
金正日(キム・ジョンウン)の隠れ家王国は、南アフリカの指導者��追い抜くほど狂っているかもしれないが、それに賭けてはならない。
ウクライナ は、ブダペスト覚書として知られる国際協定の下、冷戦後に武装解除された 。キエフは、モスクワ、ワシントン、ロンドンからの誓約と引き換えに、ソ連の戦略的核兵器2,650〜4,200隻、ソ連大陸間弾道ミサイル176隻、戦略爆撃機44銘柄の武器を失うことに同意したウクライナの主権と既存の国境 "とその旧ソ連の共和国に対する"脅威や力の使用を控える "ことを強調した。
ウクライナは1996年に非核化した。疑いもなく、核抑止の贅沢なしに、近年ロシアの武装侵略に立ち向かい、その決定を取り戻すことは間違いないだろう。その経験はおそらく平壌ではほとんど魅力がない。キム政権が描くべき教訓は、今日の武装解除、明日の略奪的な隣人への自分自身の暴露である。
ベラルーシとカザフスタンを去る。モスクワとミンスクは、 1999年に「ベラルーシとロシアの連合国」を作りました。あなたがそれで居心地が良いときは、傲慢なロシアを抑止する必要はほとんどありません。カザフスタンは冷戦後のソ連の戦略核弾頭1,410本を土壌から撤去することに同意し、非公開の数の戦術核を廃止した。アスタナはミンスクとモスクワで2015年にユーラシア経済連合を構成するために加盟しました。それはロシアとの関係において快適であり、ミンスクと同様に旧ソビ​​エトの支配者に向かう必要はほとんどありません。
冷戦後の歴史からどのような指針を引き出すべきか?ロシアがあなたの領土に歴史的な主張をしていない場合、武装解除することは安全で有益でさえあるということ。実際、キム政権は、ロシアや中国の侵略に対する憂慮をほとんど感じていないようだ。米国とアジアの同盟国に対する恐ろしい恐れを抱えている。おそらく、北朝鮮はベラルーシとカザフスタンの訴訟を争っており、それは他の類推の中でウクライナの一部であると考えられる。
言い換えれば、北朝鮮は、国境を越えた侵略と分裂を阻止するには抑止力が必要だと考えている。だから歴史は軍縮にたいして一方的に積み重ねられてきた。キムが原子史に仲間入りするとき、彼は1つの外れ値(南アフリカ)、2つの適用できない事例(ベラルーシとカザフスタン)、そして1つの事件(ウクライナ)を見て、政府がそれを武装解除し、それを後悔させた。歴史を読むことは彼の意志を意味し、彼の個人的な長寿の観点から、彼の核を保つべきである。
また、戦略的な計算が歴史の潮流に打ち勝つことはありません。金さんの立場から見てください。広義には、米国の敵対者には核と従来の2つの選択肢がある。ワシントンからの核の脅威には大きな重荷が伴うのだろうか?はいといいえ。はい、アメリカやその同盟国に核攻撃を行う者は誰でも、翌日の翌日のように核兵器を打ち返すことになります。確実なセカンドストライク能力は抑止の重要な要素となる。
しかし、核兵器の最初の使用はまったく別の問題です。ワシントンは、冷戦時に最初に打ち上げを決めることは決してなかった。しかし、もし米国の同盟国が、おそらくソビエトが西ヨーロッパに侵攻した場合や、ソビエト核の強制や実際の攻撃に直面した場合にのみ、米国の同盟国が死亡した場合に限り、そのようにしただろう。言い換えれば、ワルシャワ条約からの最初の取り調べに返答しています。
しかし、力の使用を開始する?それは別の質問です。ヘンリー・キッシンジャー(Henry Kissinger)が「選択の必要性(The Necessity for Choice)」で定義したように、抑止力は能力の産物であり、特定の状況下でその能力を使用することを決意し、敵の能力と解決を信じている。北朝鮮の核兵器保有兵器に対する最初のストライキを実行する米国の決議は、米国の戦略的伝統にはあまりにも異質であるため、依然として疑わしい。金正日(キム・ジョンウン)がワシントンから発する脅威を信用するかどうかは、その歴史に照らして疑わしい。
結局のところ、トルーマン政権は、朝鮮戦争時に国連軍の指揮をとった大将の一人であるダグラス・マッカーサー将軍を却下した。マッカーサーは戦術核を使って中国の朝鮮半島への介入を終結させることを約束した。ハリー・トルーマン大統領は、原子交換の見通しで白っぽくなった。したがって、金ジョンウン(Kim Jong-Un)はドナルド・トランプ大統領が同じことを正当に行うことを期待するかもしれない。
従来のオプションはどうですか?韓国戦争を計量として使う。1950年に北朝鮮が南に侵攻したとき、トルーマンは急いで国連軍を襲撃���た。戦闘員が停戦協定に合意した1953年までに、アメリカは38番目の国の南側の主権を回復するために約3万7000人の軍事費を費やした。米軍が1950年代に支払ったよりも安い価格で今日どのように強制的に北朝鮮を武装解除できるか見ることは難しい。
米国は9/11以来、イスラムのテロを鎮圧するために約7,000の軍事的死を負っている。アメリカ人は、テロとの戦いの間に彼らが支払った額の5倍以上を支払うために十分に北朝鮮を武装解除したいのですか?もしそうなら、ポーリングデータを読むことは明らかではありません。最近のギャラップの世論調査によると、アメリカ人 は北朝鮮を米国最大の敵と見ている。回答者の約51%が北朝鮮を主要敵と指定している。中国、ロシア、イランは、残りの47%を占めている。
しかし、それについて考えてみてください。わずか2年前、北朝鮮を2016年に最大の敵と認識したのはわずか16%だった。これは、人気のある気分が最新の見出しで変動することを示唆しています。最近の核危機とともに、平壌(ピョンヤン)を襲う情熱が急激に高まり、突然崩壊する可能性がある。アフガニスタン、イラク、シリアで5倍の費用がかかったり、数十年前に韓国を自由にするために支払った金額と同じくらいの努力をするために、大統領や顧問が民衆を集めることは大したことではない。
このような状況の下、北朝鮮の暴力は、トランプ政権、アメリカ人、米軍の前にオプションを行使するアメリカの意志を非難することを許される可能性がある。核兵器は武器を放棄することはほとんどない。私たちはそれを期待してはいけません。その洞察は、今後の米国の戦略を導くはずです。
そのようなものは、弱者が自分たちの核を持っている第二核時代の性質であり、強い者には反対することができます。
ジェームス・ホームズは海軍戦争大学の海事戦略のJCワイリー(JC Wylie)議長であり、第2次原子力時代の戦略の共同編集者でもあります(Georgetown、2012)。ここで発言された意見は彼だけです。
画像:2013年7月27日、平壌の金日成広場で行われた1950-1953朝鮮戦争の停戦合意60周年を記念して、パレード中のミサイルを搭載した軍用車で北朝鮮軍が敬礼した。ジェイソンリー
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ari0921 · 6 years
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なぜノーベル平和賞の受賞者は、その後に世界の「失望」を招くのか 祝福してくれた支持者の多くを落胆に導いたノーベル平和賞受賞者の長いリストに、ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問が新たにその名を連ねた。恐らく彼女が最後ではないだろうという点が、10月6日にも発表される今年の同賞受賞者に向けた苦い教訓だ。 スー・チー氏に対しては、同じくノーベル平和賞受賞者である南アフリカのデズモンド・ツツ元大主教を含め、国際的に多くの批判が寄せられている。 国連がミャンマーのラカイン州で発生していると主張する大量虐殺、レイプ、集落放火を阻止するために十分な行動に欠けているためだ。こうした暴力によって、42万人を超えるムスリム系少数民族ロヒンギャ難民が隣国バングラデシュに逃げ込んでいる。 ノルウェー・ノーベル委員会が1991年、スー・チー氏に平和賞を授与し、彼女の「民主主義と人権を求める非暴力の戦い」を讃えた当時と比べると、大きな変化だ。とはいえ、一度与えられた賞が取り消されることはない。 「受賞者が批判を受けるという事態は過去に何度も起きている」と語るのは、1990年から2014年までノルウェー・ノーベル委員会の事務局長を務めたゲイル・ルンデスタッド教授だ。 一部の受賞者がその理念にそぐわなくなったとしても、賞はいつまでも有効だ、とルンデスタッド元事務局長は言う。「アウン・サン・スー・チー氏は、ビルマとアジアの多くの地域における人権にとって、非常に重要な代弁者だった。その事実を彼女から奪うことはできない」 ノーベル賞は、ダイナマイトの発明者アルフレッド・ノーベルによって創設されたが、彼の資産の一部は武器の製造や販売によって築かれたものだ。900万スウェーデン・クローナ(1億2400万円)の賞金が与えられるノーベル平和賞は10月6日に発表され、単数もしくは複数の個人・団体に与えられる。 だが、これまで平和賞受賞者の多くが戦争を開始したり、それをエスカレートさせたりした例が相次いでいる。 1978年、当時のイスラエル首相だったメナヘム・ベギン氏は、キャンプデービッド和平合意を評価され、エジプトのサダト大統領とともにノーベル平和賞を受賞したが、その4年後の1982年、レバノン侵攻を命じた。サダト大統領は1981年にイスラム主義の軍将校により暗殺された。 1994年には当時のパレスチナのアラファト議長は、オスロ合意を評価され、イスラエルのラビン首相、ペレス外相とともに1994年の平和賞を受賞したが、この合意はアラブ・イスラエル間の紛争に関する永続的な解決をもたらさなかった。 ラビン氏は1995年に極右ナショナリストに暗殺され、その8カ月後にペレス氏も選挙に敗れて政権を失ってしまう。アラファト氏はその後、イスラエルによる占領に対する暴力的な蜂起である第2次インティファーダの期間中、パレスチナ自治政府を率いていた。 旧ソ連の指導者だったミハイル・ゴルバチョフ氏は、冷戦を平和的に終結させたことに対して1990年に平和賞を受けているが、1991年にはバルト諸国の独立を阻止するために戦車部隊を派遣している。ただし彼はその後、バルト諸国の独立を認めた。 1973年には、当時のキッシンジャー米国務長官は、結局は失敗に終わったベトナム戦争終結への取り組みを理由に、北ベトナムのレ・ドゥク・ト氏とともに平和賞を与えられた。米国政府が和平協定に違反していると批判したト氏は、史上初めて、平和賞を辞退した。ベトナム戦争は1975年、北ベトナム軍によるサイゴン陥落で終結した。 2009年に当時のオバマ米大統領が就任数カ月で平和賞を受賞した際には、オバマ氏自身も驚いたと語っていた。オバマ氏がその年の暮れ、授賞式のためにオスロを訪れたときには、すでにアフガニスタンの米軍駐留部隊を3倍に増強する命令を下していた。 「皆さんの寛大な決定が相当な議論を呼び起こしたことに私が気づいていないとすれば、私は怠慢だということになるだろう」とオバマ氏は授賞式でのスピーチで語っている。「遠隔の地で戦うために何千人もの米国の若者を派遣している責任が私にはある。殺す者もいるだろうし、殺される者もいるだろう。だから私は、武力紛争による犠牲を痛切に感じつつ、このオスロを訪れている」 あまりに高い代償 スー・チー氏を厳しく批判している1人が、ツツ氏だ。「親愛なる妹」と呼ぶスー・チー氏に宛てた9月7日付けの書簡で、同氏は「ミャンマーにおける最高権力者に登りつめたことの政治的な代償が、あなたの沈黙だとすれば、その代償はあまりにも大きい」と記した。 9月19日、スー・チー氏はラカイン州における人権侵害を非難し、違反者は処罰されると述べた。このメッセージの語調は西側諸国の外交・援助当局者から歓迎されたが、国際的な批判をかわせるだけの十分な行動が伴っているのかを疑う声もある。 ストックホルム国際平和研究所のダン・スミス所長は、この1991年のノーベル平和賞がロヒンギャ族に害をもたらしている可能性さえあると話している。 「彼女にはある種のオーラがある」と同所長はスー・チー氏について語った。国際社会での輝かしい名声が、ロヒンギャに対する多年にわたる迫害の「真のおぞましさを隠蔽しているのではないか」と言う。 「ロヒンギャ問題に関する質問に対して、彼女が『どうして他の問題ではなく、その問題にだけ関心を注ぐのか』と答えると、人々はつい、好意的に解釈してしまう」 スー・チー氏は、南アフリカのネルソン・マンデラ氏と同様、政治犯から国家指導者へと登りつめた、めったにない成功者である。マンデラ氏は5年にわたって南アフリカ初の黒人大統領を務めた後、その名声にほぼ傷を負わないまま引退した。だが、アパルトヘイト時代の解放運動における彼の同志たちのなかには、公職にあるあいだにスキャンダルに直面した者もいる。 「(名声が損なわれるのは)恐らく、人権と一般市民の擁護者という大胆で英雄的なイメージから離れ、���協に満ちた、もっと汚い政治の世界に入っていく際の避けがたい動きなのだろう」と所長は言う。 聖人と罪人 聖人でさえ批判を免れない。1979年のノーベル平和賞を受賞した修道女のマザー・テレサは昨年、ローマ法王フランシスコによってカトリックの「聖人」の列に加えられた。だが1994年には、彼女の運営するコルカタのホスピスが、死期の近い患者の診察をせず、強力な鎮痛剤も与えていないとして、英国の医学専門誌「ランセット」に批判されている。 2012年に欧州連合(EU)に平和賞を与えるという決定も、当時から批判を浴びている。当時、EU本部は加盟国ギリシャに対して苛酷な財政支援条件を課していたが、多くのエコノミストは、こうした条件がギリシャ国民の生活を破壊したと指摘。またツツ氏らを中心に、EUは軍事力を行使する組織であるとの批判もあった。 ノーベル平和賞の歴史を研究するAsle Sveen氏によれば、受賞者に対する失望リスクの原因は、ノーベル委員会が候補者を選ぶときの基準が、彼らがもたらしている希望や近年の業績であって、キャリア全体を見ているわけではないからだと指摘する。 「誰かを推すことは常にリスクが伴う。政治に関わることになるからだ」とSveen氏は語った。「将来何が起きるか知ることはできない」 「だからこそノーベル平和賞は、他のあらゆる平和賞とは別物なのだ」と彼は言う。「さもなければ、非常に高齢の人にたいして、彼らが亡くなる直前に賞を贈ることになるだろう」 今年有力視されている受賞候補は、2015年のイラン核開発合意の関係者がいる。イランのザリフ外相、EUのフェデリカ・モゲリーニ外交安全保障上級代表、米国のケリー元国務長官などだ。 イランが国際的な制裁の解除と引き換えに核開発プログラムを自粛した合意は、イランと米国双方の政界の強硬派から批判されてきた。トランプ米大統領は、今月の国連における演説で、イラン核開発合意を「米国にとって頭痛の種」として、米国政府が合意を破棄する可能性を示唆している。 ノーベル平和賞に詳しい専門家らによれば、この合意は対立勢力間の画期的なものであり、ノーベル委員会はそうした合意を評価する傾向があるという。 「(国連憲章)第7章の対象国について平和的な解決に至ったのは、この合意が初めてだ」。オスロ国際平和研究所のヘンリック・アーダル所長はそう述べ、イランの核開発プログラムが、国連安全保障理事会においてもはや脅威と見なされなくなった経緯を指摘する。 「EUとイランに重点を置くことで、イラン核開発合意が幅広い支持を得ているというシグナルを米国に与えることにもなるだろう」とアーダル所長は語った。 他の候補者には、法王フランシスコ、シリアの民間防衛隊「ホワイト・ヘルメット」、国連の難民支援機関であるUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)とフィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官が挙げられる。UNHCRは過去に2度の受賞歴がある。 昨年のノーベル平和賞は、コロンビアのサントス大統領に贈られた。25万人もの死者を出した半世紀にわたる内戦を終結させるための取り組みを評価したものである。 https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/10/post-8578_1.php
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ari0921 · 6 years
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 平成30年(2018)1月19日(金曜日)          ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  南アジアは中国とインドの角逐、猛烈なほど深刻な状況に   スリランカについでモルディブも中国の軍事基地になってしまうのか ********************************  911テロ直後、ブッシュ・ジュニア大統領は「対テロ戦争が始まる。この闘いは長く続くことになるだろう」と言った。 アフガニスタンのタリバン攻撃の拠点とするため、米国は突如、パキスタンへの制裁をやめ、巨額のドルをイスラマバード(パキスタン政府)に渡し、替わりに空軍基地を四つ借用した。  米国は数百億ドルを投下し、パキスタンに軍事支援を展開し、日本も「付き合い」で、その時点だけで、4600億円の援助を表明した。ワシントンからの強い要請だった。当時の田中真紀子外相は「あんな汚い国へは行きたくない」と暴言を吐いた。  そして十七年後、パキスタンはすっかり中国の衛星圏に取り込まれてしまった。アメリカは疲れ果て、漁夫の利を得て軍事力を飛躍させたのは北京だった。アメリカにとって、もっとも望まなかったシナリオが実現した。  パキスタンは、アフタニスタン戦争で最大の米軍兵站基地としての役割を終えてしまうのだろうか? 米軍の懸念は、トランプ政権が渋々アフガニスタンへ4500名の増員が決めたところで、またまた情勢が変化している。 第一にシリアで壊滅させたはずのIS兵士の残党が、大挙してパキスタンを経由し、アフガニスタンへ潜入したという情報がある。 第二にシリア問題でロシアが主要プレーヤーとなって、米軍との主役交代があるが、米国が支援した「ヌスラ戦線」をロシアが殲滅を宣言していること。つまり米国の立場は丸つぶれとなった。 第三にそのうえロシアはアメリカが制裁を課しているイランに公然と近付き、面妖な動きをみせていることだ。 ISは、イラン経由でもアフガニスタンへ潜入できるように、地政学を考慮すればイランはアフガンの隣国であり、イランの南東部はパキスタンのパロジスタン州と繋がっている。テロルの回路が確保されている。 これは米国に面従腹背のパキスタン軍情報部が背後で画策したと考えられる。  IS兵士のうち「一万人がアフガニスタンに潜入した」というロシア情報を裏付けたのは、カルザイ元大統領がフランスのメディアとのインタビューで、「アフガニスタンで新しい武装集団があちこちに展開しているが、これはIS兵士とみられる。なぜならアラビックの暗号が解読されたからだ」との発言だった。 そのうえでカルザイはこう付け足している。「アメリカ軍はそれを知悉しているが、なんの軍事行動もとっていない」。  ▼「南シナ海」は「中国海」になってしまった  ロシアはIS残党がパキスタンとアフガニスタンに潜入し、一部がバロチスタンにも潜り込んで次のテロ、すなわち「中国の一対一路プロジェクトの周辺国に集中している」とした。 ロシアはこれを米国の陰謀と捉えた。すでに2017年夏、パキスタンのバロチスタンの州都クエッタで中国人ふたりが殺害されたように、バロチスタン地方では「パキスタンからの分離独立運動」が盛んである。 ISが潜入できるルートと言えば、ここだけである。したがってアフガニスタン、パキスタンの治安はまたも乱れ、地域の安全保障が深刻化する。中東の攪乱が南アジアへ移転したことになる。  アメリカを筆頭に自由世界が気を揉むのはインド洋における中国の大躍進、シーレーンを脅かす中国海軍の脅威であろう。  ジブチに中国は初の海外基地をつくった。パキスタンのグアダル港、スリランカのハンバントタ、そしてミャンマーのラカイン州の港湾開発。その先、マラッカ海峡を抜けると「南シナ海」はいまでは「中国の海」だ。   中国が建設している「グアダル港」(パキスタン)の全容は想像を超える規模のものと判明した。なにしろ新空港に病院、単科大学も建設しているのだ。  グアダル港はパキスタンの西端に位置する地政学上の要衝であり、中国は港湾を整備するばかりか、付近に貿易特区、ガスと原油のパイプラインを新彊ウィグル自治区まで輸送するパイプラインの起点設備。付帯して高速道路、鉄道、光ファイバー網の建設を急いでいる。  ▼パキスタンはそれほどまでにチャイナマネーが欲しいのか?  総額は560億ドル、習近平の「一帯一路」の目玉プロジェクトであり、総称してCPEC(中国パキスタン経済回廊)と呼ばれる。グアダル港は深海であり、潜水艦寄港が可能であり、将来は中国軍の軍港として活用されるだろう。  コンテナ・ヤードが完成すれば貨物取扱量は2018年に120トン、2022年には1300トンの貨物を集荷し、仕向地向けに輸送するターミナルとなると青写真を提示した。中国が港の管理運営権を握り、向こう40年間。収益の91%が中国の懐に入る。つまり、巨大な投資は、これが担保だという。  グアダル港の周辺にはコンテナ・ヤードのほか、新空港建設に2億3000万ドル(エアバスの民間利用に加え、中国空軍も利用することになるだろう)、病院建設に2億ドルを投じ、230病床を確保する。加えて単科大学を創設し、パロジスタン住民の子供達の将来を考慮したいとしているが、地元住民はまったく納得していない。   さはさりながらグアダル港はアラビア海に面しており、地下水の層が薄く、海水淡化プラントの建設が遅れており、飲み水に決定的に不足している。飲み水がなければ人間は生活できず、グアダル港新都心の水道設備はどうなっているのか、住民説明会はまだ開かれていないという。 将来、立ち退かせた住民の漁業補償や、住宅建設後の受け入れも視野にいれていると中国側は説明しているが、住民優先という発想がない。そのうえ、保障の考え方に欠陥があり、最大の飲み水の問題が解決していない事態は深刻である。  ところが中国は、このグアダルより、さらに西に目を付けた。パキスタンの西端に中国軍にとって海外弐番目の基地を建設しようとしているからだ。 もっと西側で、イラン寄りのジワニ港。アラビア海を扼する要衝がその標的である。  深刻な危機感を抱き、軍事的緊張感を強いられるのはインドだ。 南アジアの盟主を自認してきたインドにとって明確な敵性国家はパキスタンである。このパキスタンを挟み込む戦略の一環として、インドはイランのチャバハール港近代化に協力し、コンテナ基地のキャパシティが拡大、輸送が開始された。   このイランのチャバハール港とパキスタンのグアダル港の中間、もちろんパキスタン領だが、最も西寄りイランのとなりがジワニ港である。 中国はこのジワニに軍事基地を目論見、ジブチに次いで第二の海外基地を目指していることが分かった(「ザ・タイムズ・オブ・インディア」、1月6日)。  すでにスリランカのハンバントラ港は99年の租借に成功している。この港はスリランカ政府の認識の甘さにより、担保として咀嚼を許可せざるを得ないため、中国軍の軍事基地に化けるのは時間の問題だ。  ▼トランプ政権、パキスタンへの援助凍結  このタイミングでトランプ大統領はパキスタンへの援助を凍結した。 すると中国は直後のタイミングを選んで、秘密にしてきたジワニ港開発を打ち上げたのである。  実際のCPECプロジェクトの現場では、工事の遅れが顕著である。  まずパキスタン国内のハイウェイ、三箇所の現場で工事中止したことが判明した。イスラマバード(パキスタン政府)が困惑の体で発表した(2017年12月5日)。  中国が560億ドルの巨費を投じるCPECはグアダル港から新彊ウィグル自治区まで鉄道、高速道路、そして光ファイバー網とパイプラインを同時に敷設する複合プロジェクトである。途中には工業団地、プラント、火力発電所などが突貫工事で進捗している。  高速道路に関して言えば、パキスタン政府が道路建設を開始していたが、2016年の習近平パキスタン訪問時に、「中国シルクロード構想」(一帯一路)の傘下に入り、相乗りというかたちで高速道路建築プロセスが修正されていた。その高禄道路建設現場の三箇所で工事が中断していることが判明したのだ。  中国の資金供与が中断されたのが原因で「汚職が凄まじく、続行が困難」との理由が説明された。   もともとパキスタンも、中国と同様に政治高官の汚職がはびこる社会。そのパキスタンと中国が軍事同盟なのだから、一部には『汚職同盟』という声もあった。 しかしCPECは習近平が政治生命を賭けての一大プロジェクトであり、南アジアでは、560億ドルを投じる世紀の大イベントでもあり、死にものぐるいでも完成しようとするであろう。  ▼コロンボ沖合の埋め立て、60%が完成と中国    ラジャパクサ前大統領が親中路線を突っ走って決めた。コロンボ沖に広大な人口島を建設し、そこをシンガポールと並ぶ「国際金融都市」とする。スリランカの南に位置するハンバントタ港を国際流通ルートのハブとする。  ちょっと立ち止まって考えればわかることである。 他人の領海に人口島をつくって、当該国の経済発展に寄与する? エゴイズム丸出しの国家が何のためにそれほどの犠牲的精神を発揮するのか。きっと別の思惑があるに違いないと思いきやハンバントタ港には、はやくも中国の潜水艦が出没し、軍港として活用する中国の本音が露呈した。  シリセナ新大統領となって、いったんはすべての中国プロジェクトの見直しが発表された。ところが、契約内容から中国のクレームが続き、もしプロジェクト中断となるとスリランカに膨大な返済義務が生じることが判明した。まさに麻生財務相が「AIIBはサラ金」と比喩したように、高金利が追いかけて��る、身ぐるみはがれる仕組みとなっていた。  不承不承、シリセナ政権は工事の再開を認可し、スリランカ南部に位置するハンバントタ港は熾烈な「反中暴動」が燃え広がったにも関わらず、99年の租借を認可した。同港にはすでに中国海軍潜水艦が寄港しており、近未来にインド洋を扼す地政学的な要衝となるだろう。インドがただならぬ警戒態勢を敷くのも無理はない。  コロンボ沖合の埋め立て工事は、『ザ・タイムズ・オブ・インディア』(2018年1月4日号)によれば、2018年1月時点で60%が完了し、計画通り、2019年度中には完成するという。  これは東京ドーム80個分、おおよそ269ヘクタールの人口島を14億ドルかけて造成するプロジェクトで、さら当該島を「シンガポール、香港にならぶ国際的な金融都市にする」そうな。 そのために中国は60階建て高層ビルを三棟建設するとした。後者の予算は10億ドル。三、四年前に筆者はこの現場で、まだ影も形もない沖合を見た。夕日のきれいな場所で海岸沿いには大統領迎賓館、その裏側が近代的なビルの立ち並ぶ一角であり、海岸線沿いにはシャングリアホテルなどが建設中だった。局所的とはいえ、スリランカの発展も迅速である。  ところで土木工事の常識からみても、海を埋め立てる工事は地盤固めが重要であり、シートパイルの打ち込み、セメントなどの流し込みほかの難題。日本は関空、中部、羽田沖埋め立て工事でおなじみだが、かなりの歳月がかかる。  中国の工期が早すぎるため将来の人口島の陥没、あるいは沈没が予想されないのか?  それはともかく海に浮かぶ蜃気楼、例えばドバイは次々と人口の島を作り、モノレールを通してつなぎ、七つ星のホテルも建てて、繁栄の幻に酔ったが、加熱した不動産バブルは一度破産した。最大の投機集団は中国のユダヤと言われる温州集団だった。   ▼新婚旅行のメッカ、モルディブも中国に狙われた  さらに中国、パキスタンがインド包囲網作戦として狙うのが、モルディブである。  この南インド洋の小さな、小さな島嶼国家を、わざわざ習近平が訪問し、膨大な経済援助をぶち挙げた。懸案となっていた空港と市内を結ぶモノレール工事も着工するという。  モルディブは人口30万人で、就労人口の14%が観光業に所属し、外国人観光客が落とすカネがGDPの14%を占めるが、トップは中国人(年間40万弱、日本人は三万弱)。ひとりあたりのGDPは7000ドル近いとされるが、観光業のほかには漁業しかなく、統計は正確とはいえないだろう。  河野外相は、最初の訪問地にこのモルディブとスリランカを選んだ。日本としても、南インド洋の島嶼国家が、このままずるずると中国の影響下に入ることを拱手傍観できなくなったからで、インフラ建設への協力を謳った。  米国の長期的戦略は、世界秩序の塗り替えを図っている中国との対決である。 この仮定を前提とすれば、南アジア��勢の悪化は中国のシルクロート建設に甚大な悪影響を及ぼすだろう。
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xf-2 · 6 years
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ディエゴ・ガルシアがアメリカとインドの関係において果たす役割
ワシントンは、インド海軍にディエゴ・ガルシアへの港湾訪問を呼びかけ、島に物流事務所を開設することさえ検討するべきである。
インディアンアイランドのディエゴガルシア島(DGAR)の小さな島は、米国メディアが知っているか話している場所ではありませんが、それは間違いなくDODの戦略的兵器の中で最も重要な不動産の一つです。それはインド洋の真中で隔離されており、その隔離は、その活動に挑戦する監視者や外国海軍の安全を確保することを可能にする。DGARは外部の人たちには閉鎖されており、それは米軍に軍事機器を前置きさせ、それを軍事作戦のステージングエリアとして使用する大きな自由を与えている。トムフリードマン氏は頻繁に言っているように、世界はますます暑くて混雑しており、これらの分離された小さな不動産はDODによって複製できません。それを考えると、米国の政策立案者は米国の継続的な課題に目を覚ます必要がある英国との長期リース契約。それは1966年に開始され、2016年に失効した。英国は、2016年まで2016年にDGAR施設に米国のリースを延長した。
技術的には環礁、DGARはシャゴス諸島の一部であり、イギリスの管理下にある。それは、インド洋のインドの列島南を形成する約60の非常に小さな島(約65平方マイル)の中で最大のものです。ディエゴ・ガルシア(Diego Garcia)は、インドの1,100マイル南、アフリカ東海岸の約2,200マイルです。12,000フィートの滑走路は長距離飛行機に対応できます。B-52、B-1、B-2の爆撃機があり、アフガニスタンや南シナ海、台湾と比べると北北部や北東部でも操縦できる。DGARは、米国の海上事前配備船、戦闘支援船、通信施設、燃料店のホストであり、大型船舶または戦闘機を収容するための港湾および空港施設を有する。DGARは英国の領土であるため、米国の法的管轄を超えていますテロリストの収容所。最も重要なのは、DGARは中国の海岸と南シナ海の人工島から十分離れており、おそらく中国のHQ-9 地対空ミサイルやYJ-12超音速対艦ミサイルアジア太平洋地域で運航する米国の船舶および航空機を脅かす。
重要な歴史的事実
ディエゴ・ガルシアは、淡水と豊富な魚が利用できるため、何世紀にも渡って船員に避難してきました。第二次世界大戦以来、貴重な軍事施設として利用されてきました。リチャード・エディスの説明によると 、フランスは、1812年に英国が領土を捕らえてモーリシャスと改称するまで、イル・ド・フランスとの依存関係として列島を管理しました。約40年後、東インド会社は1770年代後半にディエゴ・ガルシアに補給拠点を設立することにしました。フランスは1814年に英国への権利を譲渡し、それをモーリシャスの依存として管理した。
1807年に大英帝国で奴隷制が廃止されたにもかかわらず、DGARのモザンビークまたはマダガスカルの小さな居住地が放棄された1830年代半ばまで、ディエゴ・ガルシアとモーリシャスを含む帝国の遠隔地にスレーブ貿易の痕跡が残った解放された。残っている者は、3つの私有のココナッツオイルプランテーションで働き、港湾訪問した船舶の補給に役立った。全体の人口は350〜550人であり、島の人々は豊富な漁業と道具や薬品などを購入する能力があるため、ココナッツオイルの収入があるため、かなり快適に(平和的に)住んでいました。島で生産された。
第二次世界大戦では、ディエゴ・ガルシアと他のインド洋基地がイギリス人にとって重要性を増し、DGARは海上監視に使用されていたカタリナ海上飛行場の小さな飛行隊を主催した。1950年代から1960年代初めまで、DGARの軍事活動は沈静化し、低出生率のためにココナッツプランテーションの操業に関連する実際の労働人口は減少した。
DODがディエゴ・ガルシアの基地建設に関心を示した後、チャゴス諸島は1965年に英領インド洋領土(BIOT)を形成するためにモーリシャスの英国植民地依存から切り離されました。翌年、米国と英国は2016年まで50年間の基本合意に調印しました。ココナッツプランテーションは、ベースが創設されたときに英国政府によって購入(閉鎖)されました。無意識のうちに法的に正当化されたのは、誰も不動産を所有していないということでした。すべてココナッツプランテーションの所有者と契約労働者だった。残りの労働者は、Edisによれば、Agalega、Seychelles、Mauritius、または北部のChagos諸島の2つのワーキングプランテーションに住む場所に関する「限定的な」程度の選択肢が提供された。追い出された人の実際の数は様々です。483人の男性、女性、子供。現在、元住民の子孫と呼ばれる約1500-1800人がいる。
環境問題
ディエゴ・ガルシアは、インド洋の他の島々と同じ運命を辿っています。海の酸性化/温暖化によるリーフの喪失が急速に加速しています。Edisによると、Diego Garciaの海上礁の95%以上が海水温度の上昇により死亡しています。これは即座の操作上の影響をもたらしませんが、DGARの長期的な能力に大きな影響を与えます。
おそらく海面上昇の問題はもっと深刻です。確かに、2008年のイギリスの家が環礁の再定住がノースウエストショアの沿岸侵食ではないと考えた理由の1つです。平均して、DGARは海抜約4フィート(ほとんどの地域は6.5フィートを超えない)であり、乾燥した土地10平方マイルを含んでいます。初期の問題は、淡水資源への塩水の侵入、嵐の急激な変化、断続的な潮間帯の氾濫であり、すべて重大度が変化する。米海軍は現在、海からの更なる侵食を防ぐために、輸入された岩石を設置する40人の建設分離を行っている。
米国と英国の場合、これは2つの合併症を引き起こす。第一に、浸水の危険性は、重要な基礎構造物を保護するための防波堤や障壁などのシステムを組み立てなければならないエンジニアにとって問題となります。これらのシステムは、すべての材料を輸入する必要があり、DODは不確実な政治的未来を持つリース不動産の改善費用を上回る運用上の利益を得る必要があるため、かなり高価になります。
第2の問題は、巨大なラグーンで農業や養殖活動に携わることができるようにチャゴシア人の帰国権をいくつか付与したい場合に、米国と英国が将来の交渉チップを奪うことである。DGARのラグーンの豊かな漁業は、ある人々が帰国したいと望むなら、実行可能な経済活動の約束を保持しています。同様に、ベースオペレーションを支え、地元の果物や野菜を供給するために労働者として労働者を雇用することは、フィリピンを中心とした輸入請負業者に依存してベースサービスを提供することを考える価値がある。DODは75年以上にわたり、現地のサプライヤーとホスト国の労働を利用しているため、海外でも成功を収めてきました。このような地元の労働者の選好は、DODとホスト国との関係を固める助けになります。この場合には、「帰還者」は必要な支援業務を遂行できるか、訓練可能である必要があります。
訴訟
DGARに対する英国の義務の正当性と、英国が1971年にシャゴス島民の撤去を管理した方法について、国内および国際的に重要な訴訟が起こっています。
元住民と子孫による行動
2011年から2012年にかけて、イギリスに住む1,786人のシャゴスの子孫が、欧州人権裁判所(ECHR)において、DGARからの「恥ずべきと恥ずかしさ」の排除のために人権を拒否されたと主張し、 。要するに、裁判所は2012年に、島民の子孫が適度な報酬を受け取って書面で主張を放棄したため、その主張は認められなかったと判決した。
その後、英国裁判所では1971年に元住民を撤去し、米国拠点になるための法的挑戦が行われました。彼らは最初に家の家に請願しました。その申立ては失敗しました。主人は、上記のように、この地域は大きな人口を維持できないと感じており、元住民は公正に扱われていたからです。大統領の判決は、英国最高裁判所に上訴され、2016年に3-2の控除で控訴を棄却した。少なくとも、英国政府がそれ自体の法律/手続きを遵守していたかどうかの国内法的問題は確認されている。しかし、3-2の決定は、将来の課題が実装されないという自信を促します。
モーリシャスと国連による新しい国際法的挑戦
UNCLOSパネルによって海上保護区が無効にされた。
シャゴスの英国(そして米国の延長としての)所有に対する第2の攻撃の道はモーリシャスから来ている。著者の2017年9月の法的評価モーリシャスは、2015年に海軍保護区(MPA)となるチャゴス諸島の大規模な領土に関する英国の宣言を脇に置くUNCLOS国際仲裁裁判所で行動を追求した。モーリシャスの争点は、モーリシャスの依存からの英国のMPA分離が、モーリシャスの漁業権をチャゴスに与え、MPAがこれらの権利を侵害することができなかったことであった。BIOTがモーリシャスから分離された時点で、譲渡書類(Lancaster House Undertakings)はモーリシャスに対し、チャオスの漁業およびその他の目的のための資源に対する優遇措置を約束した。英国がその行為を通じてランカスター・ハウス・プロジェクトを��り返し批准したことを考えると、裁判所は 満場一致で裁定した モーリシャスは、事前協議なしにMPAを確立することによって、英国がモーリシャスの漁業権を一方的に制限することはできないとしている。
国連総会(UNGA)は、世界裁判所に対し、
最も最近の、そしておそらく最も重要な訴訟の開発は、UNGAが国際司法裁判所(ICJ)からの諮問意見を求めて、2017年6月に開始された措置と関係がある 植民地モーリシャスの シャゴスがモーリシャスに残っていれば、DGARは1968年に独立したモーリシャスに同化されていたであろう。当初の移転に際して、チャゴス諸島の真の所有者は誰か、拡張、ディエゴ・ガルシア。
メリットには、英国が克服するのが難しいこのケースの側面があります。シャゴス諸島の1965年の離脱は、英国国務長官と植民地時代のモーリシャス首相との間の暫定的な理解の中で、ランカスター邸宅理解として知られる上記一連の文書で成文化された。英国がシャゴスを切り離し、モーリシャスへの補償で3百万ポンドを再定住費用以上にすることに合意した。英国はまた、元住民の移転費用を支払うことが期待されている。
- 米国との良好なオフィスを使用して、モーリシャスの島々の建設作業に労働とマテリアルを使用するモーリシャスの要請をサポートする:
- 島の施設の必要がなくなった場合(防衛目的)(後の書簡の交換で文書化されている)
- モーリシャスへの石油または鉱物権を吸収する。そして
- 米国政府との良好な事務所を利用して、シャゴスの次の施設がモーリシャスに可能な限り残されていることを確保する。(a)航行および気象施設。(b)漁業権 (c)飛行機の給油のための緊急着陸のための滑走路の使用。
- モーリシャスが1968年に独立した時、モーリシャス大臣会合は、Landcasterの理解を批准したが、国連総会はチャゴスの3回の別々の離脱に反対した 。
英国の基本的な論点は、それが1965年にモーリシャ植民地政権にランドキャスター理解の中で行った約束のすべての側面に従っていることである。それはモーリシャスに3百万ポンドを支払ったが、モーリシャスは、もは​​や防衛目的では必要なくなったときにモーリシャス島に戻ってくることを約束している。英国はモーリシャスと旧住民による総額のすべてを支払ったと主張する。シャゴス、特にDGARは本質的な防衛設備であると主張する。
モーリシャスは、チャゴス諸島がモーリシャスの不可欠な部分であり、解体できず、モーリシャスに留まるべきであると主張する。当時と現在。彼らは、いわゆる「1965年のランカスター・ハウス・アンテイキング」を主張 し、英国は「強要と強制の条件の下で入手された」と主張し、英国政府と英国政府との間の合意には至っていない。モーリシャスはまた、「防衛目的」の言葉は、米国ではなく英国に利益をもたらすように設計されていると主張するかもしれない。
提示された質問
このケースでは、ICJが国連総会(UNGA)からアドバイザリー・オピニオンを要求することが含まれてい ます。この問題は、2017年6月にモーリシャスによって開始され、94の棄権と65の棄権、そして15の反対があった。インドは決議案に賛成票を投じた。UNGAは1968年、UNGAがチャゴスを自立する前から「解体しない」ように3回要請したことを再び思い出して、UNGAはICJが2つの質問に関する勧告的意見を出した。
第一に、「モーリシャスがモーリシャスから分離された後、1968年にモーリシャスが独立を認められ、国際法を考慮して合法化されたモーリシャスの脱植民地化プロセスは?
第二に、英国による継続的な行政から生じる国際法上の結果はどうであろうか。。。モーリシャスが「チャゴス諸島の移民のためのプログラムを実施することができないこと」を含む
国連の機関に勧告的意見を与えるICJの権限は、ICJ Statue 第65条(1)に基づいて認められており、裁判所はいかなる身体の要求によっても法的問題について勧告的意見を与えることができる国連総会を含めることができます。諮問意見は州間の紛争を解決するようには設計されていないが(両者は一般的に同意する必要があるため)、ここでは最終的な法的助言を提供することができる国連の機関に送ってください。英国はモーリシャスと英国がこの紛争の真の当事者であると主張し、総会の関与は両国間の同意が必要であることを迂回する。1960年代に英国がUNOTAによってBIOTの撤去を3回訴えられ、モーリシャスとのMPA指定に関してモーリシャスの恥知らずの扱いについてUNCLOS裁判所から勧告されたことは、 UNGAと国連は一般的に、自治区以外の地域の人々のために主張することを前提として、ICJが却下することを想像しにくい。
米国と英国の政策立案者に対する次の質問は、有害な「勧告」意見が州に拘束力を持たないため、実質的な違いが生じるかどうかである。しかし、国連機関には、国際司法裁判所の助言に従う義務があります。したがって、ICGAは、UNGAが非自治区の現住民および旧住民に対して一定の措置(第73条に基づく)を講じていると指示した場合、UNGAはシャゴスの権利が保護されていることを確保するために相当な裁量権を有する手配 これは、米国と英国の両方にとって政治的に乱雑である。特にそのような判決の目的は植民地化の悪影響を改善することであるからである。
少なくとも1人の法学者は、ケースが重要な規範か大きな疑問が含まモーリシャスは、その注文が3回(1965年から1967年)を無視されたため、国連総会が利益に本当の当事者であることを、この訴訟を提起する国連総会を持つように請願していてもと主張している 自己を-決定イギリス、モーリシャス、そしておそらく旧チャゴス居住者の権利を守るための行動を取らなかったUNGAによって侵害された。例えば、国連憲章第73条(3)を参照)は、DGARの居住者を引き続き維持するための「防衛目的」の根拠が英国によって誠実に行われなかったことを示唆している国連事務所に、セキュリティ要件によって元住民の返還が阻止されたことを知らせてください。最後に、この同じ学者は、土地所有者の家の理解は、捨てられた個人の自決権を奪ったり、英国とモーリシャスの継続的な義務を排除する立場に欠けていたことを示唆しています。
国連憲章第73条では、非自治領の人々が法的な立場に立たされており、多くの子孫が欲しいと疑われるため、UNGAがその原因を取り上げるのは不思議ですインド洋の真中のDGARに住んでいます。しかし、それは、UNGAが英国、そしてたぶん米国と強力な法的・政治的立場をとることになったと思われることから、この点以外にもあります。
インドはキーです
インドは途上国の中でG-77で国連でリーダーシップを発揮し、 モーリシャスとの実質的な倫理的・経済的関係を築いている。インドはチャガの問題をICJに紹介するUNGA決議を支持した。この全体的な問題は、一方では脱植民地化プロセスを支援したい一方で、他方はインド洋における現在の安全保障のバランスを崩したり、アメリカをディエゴ・ガルシアから追放したりしたくないインド国内での激しい議論を促した。インド洋における米国のプレゼンスを揺るがすものではないというこの見方は、インド洋の全ての外国船やDGARへの港湾訪問に以前から反対していたため、インドの思考の変化を表してい ます。
インドは、中国の南アジアへの拡大にますます関心を持ち、米国との関係をより緊密に しています。米国とインドは最近、3回目の安全保障対話を終結させた。また、米国とインドの軍事長官間の二国間会合、「マラバル」の3国間パートナーシップの枠組みの下での米国、日本、インド間の定期的な練習もある。インドとの軍事協力分野では、米国との新たな防衛システムの購入や新たな合意に調印した。インドは急速に動いていない。一般的に米国とインドの防衛協力は拡大している。
結論
UNGAとICJがシャゴス紛争の一部となった今、米国は積極的にその問題を解消する方法を見つけることを義務づけている。その中には、ディエゴ・ガルシアの元住民の問題に取り組むことも含まれており、その中にはモーリシャス政府との連絡も含まれています。米国がDGARのテナントであるにもかかわらず、米国がモーリシャスと理想的には英国とインドとのオープンなパートナーシップで働くことができれば、以前のモーリシャン・シャゴス居住者の雇用機会を見つけ、漁業への安全なアクセスを確立するためのLandcaster契約の精神を満たすことができれば、 政治的懸念の一部を救済し信頼を築くための長い道のりです。
インドの軍隊が米国の同盟国とより緊密な関係を築くことを望むのと同じくらい、インド政府内にはおそらく議会があり、より拘束されたアプローチを促す他の力がある。中国の資金が引き続き南アジアに流入し、南シナ海の人工島が引き続き軍事的になるにつれて、インドはフェンスにもっと長く滞在する贅沢があるかどうかを自問する必要があります。DGARへの米国のプレゼンスを維持するために、インドとのパートナーシップを強化するために、米国はインド海軍にDGARへの港湾訪問を呼びかけ、DGARに物流事務所を設立することを検討すべきである。同様に、米国は、DGARが南アジアの防衛に不可欠であり、この努力における支援は、望まれるだけでなく不可欠であることをインドとは非常に明確にする必要がある。
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