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#明日に架ける橋
m12gatsu · 2 months
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無題
早帰りして、家人が帰ってくる前に、まだ明るいうちに外へ走りに出た。病み上がりの体は不自然なほど軽く、却って膝が抜けるようで力のうまく入らない。いつも走る河川敷は日の翳りも早く、特にこの時期のこの時間は蚊柱がおびただしく立つので、近くの大きな橋梁の方へ行った。虫の発生する水辺からも遠く、落日の見晴らしも良い。最果てで東京湾に結ぶ一級河川が、夕日に照らされて黄金色にキラキラ輝いておった。そろそろ家人の乗った電車が向こうの高架を通るという頃、こっちを見ていてくれ、と連絡をした。現れた電車と同じ方向に駆けてみたけれどとても敵うものではなくて、家人からも、まったく見えなかった! と返事が来て笑った。日が沈んだら、あっという間に肌寒くなった。
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shunya-wisteria · 10 months
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初夏に旅する上越・北信濃 - 長野・松代
初夏の長野 善光寺と松代を散策してみた。
上越妙高で一泊した翌日は、えちごトキめき鉄道 妙高はねうまライン、しなの鉄道 北しなの線を乗り継ぎ長野へ。
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長野に来たら善光寺、と言いつつ今回 初めての参拝。観光客でにぎわう参道を抜けて本堂へ。東日本最大級の国宝木造建築の壮大さに感服。本堂脇には昨年の御開帳の際にも話題となった回向柱と年月を重ね朽ち始めた歴代の回向柱を見学。巨大な本堂前に設置されている映像のイメージしかなかったもので、実際にそのものを見ると想像以上に大きいものなのだなと認識しました。
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長野駅に戻り、バスを乗り換え目指すは松代。真田氏の治めた松代の城下には、松代城址をはじめ藩校 文武学校、真田邸等が雰囲気のよく集まるエリア。 まずは松代城址。真田昌幸の長男であり、信繁(幸村)の兄として知られる初代 藩主 真田信之が大坂の陣ののちに移封、明治維新まで居城とした城の跡。 二の丸から本丸にかかる太鼓門前橋が有名なのですが。。。現在 橋��架け替え工事中でした。相変わらずタイミングのよくない私でした。お天気だけには恵まれ、快晴のもと北信濃の山々に囲まれた城郭を写真に収めてみる。
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お城の脇を抜け、松代藩の藩校 文武学校へ。比較的 江戸時代末期に建築された藩校、明治維新後も学校として利用されていたということで、当時の建築物がそのまま残っている貴重な遺構。広い敷地内、歴史を刻んだ木の床を踏みしめながら歩を進める。隣接する真田邸と合わせて趣のある建物と庭園に心和ます。既に夏日でしたが、昔ながらの風通りの良い作りの室内は心地の良い温度感。
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長野駅と松代の間は大体30分に1本程度のバスが運行。ちょっと時間が空くので、竹風堂の店舗に併設されたお茶屋さんでクリーム栗あんみつをいただきながら小休止。火照ったからだに冷たいあんみつで冷まし、温かいお茶とあわせてほっと一息、美味でした。
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elle-p · 3 months
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Famitsu PS2 vol.210 Persona 3 section pictures and transcription.
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『ペルソナ』は新世代へ
主人公
月光館学園の転入生。転入直後に謎の怪物"シャドウ"の襲撃を受け、ペルソナ能力を覚醒させる。自由にペルソナをつけ替えられる特殊な能力を持つ。
初期ペルソナ
オルフェウス
絆が僕らを強くする-
長い沈黙を経て動き出した『ペルソナ3』の第1報。橋野氏&副島氏のコメントも必見!
"召喚器"でペルソナを召喚
主人公たちが帯びた使命は、"シャドウ"を討伐すること。分身たるペルソナを"召喚器"によって召喚し、敵となる"シャドウ"たちと戦うのだ。
召喚器とは、ぺルソナを召喚するときに用いる小型の補助装置のこと。その多くは銃の形をしており、自分に向けて撃つことで、ぺルソナを召喚する。
ムービーも美しく
ペルソナ3
第一報
P3
PERSONA3
PS2
DVD-ROM
開発状況
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アトラス 7月13日発売予定 価格未定
学園 RPG 容量未定
1人
審査予定
ディレクター : 橋野桂
キャラクターデザイン&アートディレクター : 副島成記
『ペルソナ2罪・罰』から5年。ついに『ペルソナ3』が始動! 本作ではキャラクターとシナリオを一新。架空都市港区を舞台に、自分自身の別人格"ぺルソナ"を召喚できる力を持った者たちが、"シャドウ"と呼ばれる怪物と戦っていく物語が描かれるぞ。まずは、主要人物とペルソナを紹介。見たことのない『ペルソナ』が、始まる。
©ATLUS CO., LTD. 1996 2006. ALL RIGHTS RESERVED. ※画面は開発中のものです。
STORY
1日と1日の狭間には影時間が日在する
私立月光館学園に転校生した主人公は、怪物の急襲を受けたことでペルソナ能力が覚醒。1日と1日の狭間に"影時間"という隠された時間が存在することを知る。そこには"シャドウ"と呼ばれる怪物が棲んでおり、人の精神を食らっていた。その被害から人々を守るべく、主人公はペルソナ能力者が集まった特別課外活動部の一員となり、"シャドウ"と戦うことを決意するのだった。
ペルソナ
ヘルメス
いおり じゅんべい
伊織順平
CV : 鳥海浩輔
主人公の同級生。転校生である主人公に真っ先に話しかけてきたお調子者。ペルソナ能力に目覚め、主人公とともに戦いに参加する。
たけば
岳羽ゆかり
CV : 豊口めぐみ
主人公の同級生。同じ寮に住んでいる。ペルソナ"イオ"を召喚する能力を持ち、主人公とともにシャドウ討伐を行う。明るく前向きで、皆から好かれている。
ペルソナ
イオ
アートディレクター
そえ じま しげ のり
副島成記
独特のビジュアルで、多くのユーザーから高い支持を得ている。代表作は『ペルソナ2罪・罰』。
今回、完全新作となる『ペルソナ3』の絵を創るにあたって、いま一度『ぺルソナ』の魅力について考えるところから始めました。シリーズを通しての最大の特徴、それは本当の意味での"現代劇"であると考え至り、その部分をさらに掘り下げて作り込んでいます。等身大のキャラクター、日常感にあふれた街並を再現した背景、そしてゲーム操作画面に至るまで"現代"を意識したデザイン。さらに、ムービーパートを筆頭に、物語の展開に合わせてキャラクタ一の希望や不安といった内面世界までも絵にすることにより、魅力的でリアルな世界観を構築しています。つねに"いま"を表現し続けることにより新しい作品となった『ペルソナ』最新作の魅力を堪能していただければと思います。
→バトルでは、マンガのような演出も見られる。
朝、昼、夜一そして影時間
本作では、1日が朝、午前、お昼、午後、放課後と夜に分かれ、それぞれで行動していく"リアルスクールライフ"システムを採用。これにより主人公は、朝になると登校して、放課後には自由な時間を過ごす、というごくふつうの生活を送ることになる。しかし、午前0時になると影時間が訪れる。影時間に自由に動けるのは、シャドウとペルソナ能力を持つ者のみ。主人公はここで、仲間たちとともにシャドウに戦いを挑むのだ。戦うことにより、主人公は新たなぺルソナを手に入れる。入手したぺルソナは、"コミュニティ"システムでパワーアップさせられるぞ。また、ペルソナどうしを合体させて強化することも可能だ。ここではシステムの詳細を見ていこう。
舞台となるのは架空都市"港区"と私立月光館学園
港区は、古くからの港街"巌戸台"と新興の人工島"辰巳ポートアイランド"がある海沿いの都市。ポートアイランドの中心に、主人公たちが通う小中高一貫の名門校、私立月光館学園がある。
高校生としての日常を過ごす
スクールライフ
School Life
主人公は、定められた時間帯の中では自由に行動できる。朝から午後までは学校で過ごすことになるが、放課後は校内外を探索できるし、寮に帰れば寮内も見て回れる。さらに夜は、街を徘徊することもできるのだ。
→同級生のゆかりと会話。朝、昇降口でのひとコマだ。
もちろん授業も
↑校門前で順平に遭遇。たわいもない会話が交わせるのも魅力的だ。
↑夜、寮のラウンジにて。特別課外活動部員は、全員同じ寮に住んでいるのだ。
ショップも利用夜には街でお買い物
Shop
夜または自由時間であれば、街の中にあるショップも利用可能。ここのアクセサリー屋では、どうやらアクセサリーを売買するだけでなく、店員と話すこともできるようだ。
←色彩豊かでグラフィカルなインターフェースにもご注目。
深夜0時校門前にて
←同じ寮に住む仲間とともに校門前へ。これから何が起こるのか?
すべてが変わり影時間が始まる
→雰囲気が一転。いよいよ影時間の始まりだ。これから"シャドウ"が活動する。
怪物
"シャドウ"
影時間
Darkness
影時間になると、ふつうの人間はみなオブジェ化する(棺になる)。だが、オブジェにならなかった人間はシャドウによって精神を喰われ、口も聞けないほどの無気力状態に陥ってしまう。そうした人間を増やさないために、主人公たちは影時間になると活動を開始し、ペルソナを使ってシャドウを倒していくことになるのだ。
EVENT イベント
影時間中は、ゆかりや順平ら特別課外活動部の仲間とともに行動するのだ。行動中はさまざまなイベントが発生するようだ。はたしてどんな事件が待っているのか⋯⋯?
いったい何が?
↑影時間になると現れる謎の塔、タルタロスを横に見ながら疾走。
BATTLE
バトル
"シャドウ"に出会ったら戦闘。 ペルソナの持つスキルを駆使し でシャドウを倒していこう。
↓初期ペルソナのオルフェウスで攻撃。ぺルソナを使わずに武器のみで戦うことも可能だ。
→戦いに勝つとペルソナカードが手に入るぞ。どんどん集めていこう。
ペルソナカードをゲット!
←主人公は、カードに記載されている悪魔をぺルソナとして使えるのだ。
影時間の訪れと共に現れる謎の塔⋯⋯"タルタロス"
影時間とは⋯⋯?
午前0時に現れる謎の時間。始まると、 ふつうの人間は棺に似た形のオブジェに 変わるが、そのあいだのことは記憶に残 らないため、存在に気づいていない。
"コミュニティ"でペルソナをパワーアップ!
学校や街中にいる人物と会話して仲よくなったり、部活動に参加することで、コミュニティを発現できる。コミュニティは、所属する人物との関係を深めることによってレベルがアップするぞ。レベルが上がれば、ペルソナが強くなるのだ。
コミュニティの種類は多彩
→クラス、部活動など、20種類以上のコミュニティがある。
→命発現したコミュニティのレベルをチェック。
←人物と会話したことでコミュニティが発現。
友との絆が強さに直結する
↑コミュニティにはそれぞれアルカナ属性があ る。コミュニティがレベルアップすると、アルカ ナ属性に該当するペルソナもパワーアップする。
ペルソナ合体システム
謎の場所"ベルベットルーム"では、2枚以上のぺルソナカードを合体させることでより強力なペルソナを作り出すことができる。数多くのカードを入手して、より強力なペルソナを作り出していこう。
イゴール登場
→おなじみのペルソナ合体。何ができるかな?
→コミュのレベルに応じて経験値もつくぞ。
コンゴトモ��ロしク{?}
ディレクター
はし の かつら
橋野桂
『真・女神転生⋯if』よりシリーズの開発に携わる。代表作は『真・女神転生Ⅲ-ノクターン』など。
前作で物語が完結してから5年、ついに、新たな舞台と物語を得た、まったく新しい『ペルソナ』を、シリーズ3作目として発表させていただききました。学園ジュブナイルという若い世代の思いや悩みを等身大で描く中で、ペルソナ召喚や合体システムなどのご好評いただいたゲームシステムを継承しつつ、さまざまな新要素を存分に加えて、十分なボリューム(プレイ時間は50時間以上)でやり込み度満点のRPGを、もうすぐお届けできると思います。とくにこだわったのは"日常"の表現。実際の人間社会にあるようなコミュニティの形成を『ペルソナ』の成長システムに大胆に絡め、まったく新しいシステムとして構築しました。日常のさまざまな人間関係のリアリティーを、365日という学園生活の中で、壮大な物語とともに存分に楽しんでいただけたらと思っています。シリーズのファンの方はもちろん、新しく興味を持っていただいた方にも、「本当におもしろかった!」と思っていただけるゲームにしたいと思っておりますので、ぜひご期待ください。
記事担当チェック!!
待望の新作。『ペルソナ2罪・罰』はあれで完結ということで、完全新シリーズです。注目はやはり"コミュニティシステム"。仲よくなることで強くなっていくなんて、ステキではないですか。もちろんペルソナ合体も健在。今度はピクシー出てるといいな! (ライター : 荒井弘子)
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kennak · 27 days
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ボルティモアのフランシス・スコット・キー橋が崩落した事故は、老朽化した橋を維持する資金と動機が不足しているという米国のインフラの難題を浮き彫りにしたと専門家は考えている。  ボルティモアの橋は「古くて信頼性の高いインフラであり、ほぼすべての状況下で、あと20〜30年は持ちこたえるはずでした」と米ノースウェスタン大学マコーミック工学院のジョセフ・L・ショーファー社会環境工学名誉教授は話す。「ただし、主要な橋脚を引き抜いたら、橋を救う方法はありません」  ショーファー氏によれば、ボルティモアの崩落に過失が関与していると考える根拠はないものの、過失がインフラ事故の引き金になることもあるという。その1例として、2022年1月にピッツバーグで起きたファーン・ホロー橋の崩落事故をショーファー氏は挙げた。腐食した鋼鉄製の橋脚を修理すべきだという報告と勧告が無視された結果、長さ約135メートルの橋が崩落し、バス1台と車4台が下の公園に転落したと、米国家運輸安全委員会は結論づけている。  列車の脱線、高速道路や橋の崩落、ダムの決壊が全米で起きており、専門家は不穏な傾向だと考えている。では、インフラ災害が最も差し迫っているのはどこで、私たちに何ができるのだろうか。(参考記事:「「世界一危険なダム」、決壊なら死者は150万人にも、イラク」) 橋の10分の1が損傷、多くが時間切れの状態  毎日3万台以上の車が利用するフランシス・スコット・キー橋は連邦資金で再建される。 「ここからどうするかという意味では、橋が崩落したら、おそらく再建したいと思うでしょう。では、どのような選択肢があるのでしょう?」とショーファー氏は問い掛ける。 「今後、このような事故の可能性を極めて小さくするか、完全に排除できる興味深い設計がいくつかあります。そして、おそらくそうした新しい設計になると思います」  しかし全米には、あまり注目されていない重要な構造物がいくつもある。 「あちこちに教訓があります」と語るのは、米国土木学会(ASCE)の会長と米国家インフラ諮問委員会の副委員長を務めるマリア・リーマン氏だ。「全米のすべての郡に、資金があれば明日にでも架けかえたい橋があります」
ボルティモアの橋の崩落が浮き彫りにする「米国のアキレス腱」 | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト
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ichinichi-okure · 3 months
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2024.2.2thu_tokyo
朝5時頃、アラームの音でぼんやりと目が覚める。眠いし、外はまだ真っ暗。なのだが、しゃーねえ起きるかという感じで身を起こす。布団をザッと畳むと気分だけは映画「PERFECT DAYS」のそれである。妻やお子らがグースカと寝ているのを「ヨシ」という具合に指差し確認し、身支度をしてランニングへ出かける。そのための早起き。 走り出す頃になってもまだ空は暗いのだけれど、濃紺色くらいにはなっている。身を切るような寒さの中、それでも走り始めるとだんだんと体が温まってくる。足並みを揃えるように空もだんだん明るくなる。これが好きです。走るのはもちろん苦しいのだけれど、毎度どこか浄化されるような感覚がある。走っている最中はなるたけ足や膝を痛めないフォームのことを考える。そうすると自然と背が伸びる。雑事から逃れているような感覚にもなる。 途中、千住汐入大橋。という橋を渡る。足立区側から荒川区側へ渡るときの景色がいいんだ。ゆったりと黒く流れる隅田川を借景にしながら、高速道路の高架上をトラックのヘッドライトが流れていく。これは都市の蛍やね、などと恥ずかしいことを考えたりもする。スカイツリーもまだくるくると回るようなライトが灯っていて、水面では点のような鳥たちが群れて移ろっている(寝ている)。空はすでに陽が登りかけて薄明るいのだけれど、まだ太陽は見えない。防災団地(白鬚東アパート)も逆光で眠たげ。そして土手。いや~土手っすね~、としか言いようのない見晴らしのいい隅田右岸の土手。本音としては、ここに差し掛かったタイミングで「ピッカーン」と音がしそうなぐらいに太陽が顔を出すのが理想なのだけれど、今日も合わなかった。ちょっと早かったみたいです。とまれ、このような景色を見、冬の朝の澄んだ空気を吸いながらチンタラ走っていると、「ま、なんとかなるっしょ人生」という気持ちになってくるから不思議だ。
帰宅して朝食を済ませ、お子らを保育園に送っていく。自転車の前に下の子、後ろに上の子。という一機三人乗りにもすっかり慣れて子も私ももはや余裕です。 毎朝、自転車を漕ぎ始めるときにこちらが「レッツ?」と問いかけると、ふたりが揃って「ゴー!」と返し、それで出立するのが恒例なのだが、なぜかこの日はガン無視。別に不機嫌というわけでもなさそうだし、考え事でもしていたのだろうか。自転車にまたがったまま「レッツ?」「(無視)」「レッツ!?」「(無視)」「レッツ!!??」「(無視)」と、ひとり延々と「レッツ」を虚空に向かって連呼する怪しい中年がレッツ出来。事案になってなければいいけど。
その後はひとり家で仕事。誰とも喋らず、黙々と。静かです。それもまた良し。夕方になれば仕事を終えた妻がお子らを引き連れて帰ってきて、一気に騒がしくなるんだろう。ランニングの疲れが出たのか、ちょっと昼寝したかもしれない。
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-プロフィール- 関田浩平 40歳 東京 グラフィックデザイナー フリーランス。インスタグラムで「月刊カレンダー」というものを毎月配信しています。 https://www.instagram.com/kohei_sekida/
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highants · 8 months
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今日の映像の世紀の冒頭に、OAでも引用されていた自由の女神の足元に記されたエマ・ラザルスの詩が紹介されていておっとなった。丁度いい機会なので、以前ついったに起こしたものをこちらに転載しておく。
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ここ 汐に洗われ夕日に映える門に 松明を掲げる力強い女性がそびえる その炎は封じ込められた稲妻 彼女の名は亡命者の母 松明は世界への歓迎を広く照らし 穏やかな眼差しは 双子の街に架けられた 橋のある港からこう見据える 古き国々はその虚栄の歴史を保てと そして寡黙な唇はこう叫ぶ 汝らの疲れた 貧しい  自由に焦れた者たちを寄こし給え 豊かな岸辺で拒まれた 哀れなる者たちを 嵐にもまれ 寄る辺なき者たちを私の元へ 私は黄金の扉の前で松明を掲げる
The OA - Netflix S1-2より
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itokawa-noe · 7 months
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「叫び」を執筆した経緯について
私の書いたSF掌編「叫び」が、第3回かぐやSFコンテストにて審査員特別賞を受賞しました。
私にとって、かぐやSFコンテストで最終候補に残ること、もしくはKaguya Planetに作品が掲載されることは、ひとつの大きな目標でした。それを上回る結果に驚きつつ、喜びを噛みしめています。
大賞を受賞された暴力と破滅の運び手さん(「マジック・ボール」推し作品でした!)、読者賞を受賞された牧野大寧さん、おめでとうございます。
他の候補作も素晴らしいものばかりで、この10作で最終レースを走れて幸せでした。『新月2』でまたご一緒できることが、光栄で、恐ろしいです。
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以下の文章は、「叫び」を執筆した経緯について書いたものです。
いったん送り出した作品については、あまりコメントしないようにしています。作品の陰から糸川という人間が顔を出したところで、ノイズになることはあっても、プラスに作用することはない、余計なことはしゃべらず黙っとこ、という考えです。
今回、例外的にやってみようかな、という気になったのは、過去の二度のかぐやSFコンテストの際に、最終候補作の著者の幾人かが思考の過程をブログなどで明かしてくださったことを思いだしたからでした。それらの文章に、その向こうに覗く生身の人間のすがたに、技術面においても精神面においても、大いに助けられてきた。その一つひとつをふりかえっていたら、自分もなにか書いておきたくなりました。
長くなりますが、よろしければお付き合いください。
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・テーマ「未来のスポーツ」への率直な感想:
お題発表を受けての率直な感想は「むり」でした。
スポーツは苦手です。興味も、あるかないかで言えば、ありません。
なんとか書けるかもしれないのは、経験のある水泳、持久走、バスケットボール?
あるいは(ここ数年の自分の関心事項のひとつが「人間以外の生き物との共生」なので)動物が関わる流鏑馬、乗馬、競馬、ドッグレースあたりならば、興味が持てるかもしれない。
そんなところからネタ出しをはじめたのですが、良い案が浮かばず、足踏み状態がつづきました。
ちなみに、オリジナルの競技を作ることについては、考えもしませんでした。4,000字の尺のなかにルール説明から競技シーンまでを収めるのは技術的に不可能だと思ったからです。この難題に果敢に挑んだ作品のひとつ「城南小学校運動会午後の部『マルチバース借り物競走』」の読者賞受賞は、嬉しく、気持ちのよいものでした。
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・「かぐやSFコンテスト」という場をふまえて:
「私たちは、”世界の人々に読まれる”という前提でSF小説を書いてもらうこと(略)で、日本のSFを更に前進させていきたいと考えています。」
コンテストのステートメントにあったこの言葉を、私は以下のように解釈しました。
「もしも世界中のひとと対話ができるなら、なにについて話したい?」
わくわくする問いかけです。遠くを見ようとすることで視野が広がり、ふだんの自分には書けないものが書けるような気がしてきます。
伝えたい、とか、訴えたい、とかではなくて、意見を交換し、語りに耳を傾けあい、それぞれの日常に戻ってからも考えつづけたい。そんな、私たちみんなにとって大切な話題ってなんだろう?
ただ、これに拘りすぎると、おそらく作品が押しつけがましくなってしまいます。
あまり意識せず、だけどふんわりと頭の片隅に漂わせておく。そのていどに留め、モチーフやテーマを探しつづけました。
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・はじめに書こうとした話:
デザインド・アスリート(競技をするために遺伝子操作で作り出された強化人間の意。造語)の女子短距離走選手が、事故によって心身に傷を負う。乗馬療法を受けるために訪れた牧場で、彼女は、今は存在しない競馬という競技のために作られた、サラブレッドという種の馬と出会う。役目を失い絶滅危惧種となったサラブレッドと交流するなかで、その姿に自分自身を重ねるようになり……
という話を考えていました。
ざっと書き、捨てました。
これじゃ、馬が人間を描くための道具になっている。
ーーー
・馬を描くなら馬の話を:
人間を描くための道具として、馬を使いたくない。そう思ったのは、私が日頃から人間中心主義を居心地悪く感じているからです。馬を出すならば馬の話を書こう。そう決めて、最初の案はボツにしました。
でも「今は存在しない競馬という競技」という切り口は、悪くないかも。その世界の競馬は、どうしてなくなったのだろう?
答えを探しつつ調べものをしてゆくうちに、徐々に「叫び」の原型が定まってゆきました。
人間を描くための道具として馬を使いたくないと書きましたが、馬を描いたことで人間の話にもなるのは、大いにありです。
結果的にはそういう話が書けたのではないかと思っており、また、感想のなかにもその部分を汲み取ってくださったものをみかけ、ありがたいなあ……と頭を下げました。
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・馬をどう描くか:
おおまかな形が定まってからも、考えることは尽きませんでした。
もっとも大きく、かつ根本的な悩みは、「馬と人間の関係」や「馬(をはじめとする動物)の倫理」というテーマの難しさでした。
この複雑で繊細な問題を、資料から得た知識しか持たない自分に扱えるだろうか。馬の関わる産業と文化を、覚悟をもったうえで馬とともに生きている人たちを、ただ雑に批判することになってしまわないだろうか。
また、語るための言葉をもたない相手の声を都合よく捏造して「代弁」するのは、暴力的な行為でもあります。
馬という、おそらく人間とはまったく異なる形をした心をもつ存在を、人間に寄せた形で描くことが、このテーマを扱う上で最適な方法だとも思われない。
にも関わらず書かずにいられなかったのは、改めて資料にあたればあたるほど、前々から気になっていた馬と人間の関係の不均衡性から、いよいよ目を逸らすことができなくなっていったからです。
人間とともに走ることを愛し、競走馬として生きることに幸福を感じる馬も、もちろんいるでしょう。
けれど、かれらの陰ではデビューに至らなかった馬や引退した馬がモノのように処分されている。その数は、日本だけでも年間七千頭と言われています。競走馬として脚光を浴びた馬であっても、レース中や調教中の怪我が原因で安楽死させられるケースは跡を絶ちません。過酷な日々を通じて身体に蓄積してゆく負担の大きさゆえに、寿命も短くなる傾向にある。
この状況を「そういうもの」として見過ごしていいのか?
私には、そうは思えませんでした。
馬と言語によるコミュニケーションをとることが現実的に不可能である以上、その「声」は想像することしかできません。それは代弁と紙一重の危うい行為であり、どこまでいってもエゴの域を越えられない。それでもなお、そういった試みがまったく存在しないよりは、マシなのではないか。少なくとも私自身は、一度作中で扱った問題に対して無関心でいられなくなる。ひとりの人間を変えることができるのであれば、その物語は、書くに値する。
こういった思考のすえ、「叫び」を書くことに決めました。
「叫び」は、馬と人間の対話の、単にひとつの可能性にすぎません。まだまだ、もっともっと、他の可能性も見てみたいです。作品としても、作品の外でも。この掌編がそのための呼び水となるのであれば、本望です。
ーーー
以上が、私が「叫び」を書くに至った経緯です。
「未来のスポーツ」というお題と真っ向から向きあったというよりは、テーマを足がかりに自分の書きたいものを書いた。それが率直な実感です。
このお題がなければ書けなかったものが書けたし、今の自分にできることを全力でやりきった。その点では満足していました。
でも、これじゃ受賞は無理だな、とも思いました。大賞や読者賞にふさわしいのは、もっと正面から未来のスポーツを描いた作品です。
だったら、「最終候補入り」は?
それならば、ひょっとしたら、あり得るかもしれない。
ふたを開けてみるまではわかりませんが、なんとなく、応募作には人間の競技者を主人公とするものが多いのではないかな、という気がしていました。
もしも最終候補に残った作品がぜんぶ人間の話だったら?
それよりも、9人の人間にまじって馬が1頭走ってる眺めのほうが、なんかよくない?
そんな光景が見たくない?
最終候補作が発表される前の数日は、そんなことをぶつぶつ言って、自分を奮い立たせていました。
が、いざ「叫び」が選ばれたと知ると、やってきたのは驚きでした。
ひとしきり騒いだあとで、じーんとしました。
あれを? 選んでくださったのですか? 未来のスポーツというテーマで? 本当に?
審査員方々の懐の深さに打たれ、清々しい敗北を喫したような、おかしな気分になりました。
それだけで十分に嬉しく、ありがたかったのに。まさか審査員特別賞という賞までいただけるだなんて。
審査員を務められた磯上竜也さん、井上彼方さん、岸谷薄荷さん、佐伯真洋さんは、いずれも作品や活動を通じて一方的に存じ上げている方でした。読み手としてだけではなく、人としても信頼できる方々。優しく誠実であろうとするがゆえの、シビアな目をお持ちの方々。そのようにお見受けしていたため、この4人に作品を読んでもらうのか……と思うと、わくわくするのと同じぐらい、胃が痛くなったものです。
選評を読む際は、緊張しました。
すべて読み終えてから、手紙みたいだ、と思いました。全力で書いた手紙に、全力のお返事をいただいた。そんな感覚です。
尽くしてくださった言葉から、「未来?」と戸惑い「スポーツ?」と疑問符を浮かべつつも、作品の声に耳を澄ませるようにして読んでくださったことが窺い知れ、「叫び」の肩をたたいてやりたくなりました。よかったねえ、こんなに真剣に、大切に読んでもらえて、お前は幸せものだねえ、と。
また、期間中の感想にはレギュレーション違反を避けるために反応できませんでしたが、みつけられたものはすべてスクショを撮り、何度も何度も読み返しています。
審査員のみなさん、読者のみなさん、読んでくださり、感想を言葉にしてくださって、本当にありがとうございました。
受賞はこのうえなく幸せなことです。
が、終わってしまえば、これもまた、ひとつの通過点にすぎません。
『新月』では何を書こうかと、今はそれで頭がいっぱいで、すでに胃がキリキリしはじめています。
ーーー
最後に。
冒頭にも書いたとおり、私にとって、かぐやSFコンテストで最終選考に残ること、もしくはKaguya Planetに作品が掲載されることは、ひとつの大きな目標でした。
Kaguyaにこだわる理由はたくさんあります。
そのうちのひとつが、Kaguyaは物語の力に対して自覚的な人たちが集まる場所だから、です。
SFには未来を引っぱってくる力がある。そのSFのための場を作る人たちと、そこに集う人たちの多くが「誰の足も踏まない」という意識を共有していることに、大きな希望を感じています。
その一員でありつづけられるよう、いっそう精進いたします。間違えることだらけの未熟な人間ですが、これからも見守っていただけますと嬉しいです。
ーーー
〈補足〉
作中にマヌエラという人物が登場します。説明不足で伝わらない部分があったようですが、私は彼女を女性として書きました。(「マヌエラ」は、女性に多くみられる名前だと認識しています)マヌエラとエバは、レズビアンのカップルです。
SFを書く際は、現実の社会にふつうに存在しているのに透明化されがちな人たちを「なんの必然性もなく」登場させるよう心がけています。善良でもなければ悲運を背負わされるわけでもない、ただふつうに生活していてふつうに恋愛をしてふつうに破局したのであろうふつうのカップルとして、二人を描きました。
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ari0921 · 8 months
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和五年(2023)8月16日(水曜日)
  通巻第7864号 <前日発行>
 中国の豪雨。天安門広場も冠水、死者行方不明は桁外れに多いのでは?
   北京中枢と雄安都市をまもるためダムを放水、水の流れを変えたようだ
************************
 七月下旬から中国各地をおそった豪雨は各地に甚大な被害をもたらした。土砂崩れ、河川のはん濫、道路の陥没、濁流は農耕地も冠水させた。
じつに140年ぶりの豪雨といわれ、天安門広場までが冠水した。下水、排水溝などのインフラに問題があることが浮き彫りとなった。雨の度に幹線道路が冠水するジャカルタと変わらない。
河北省の保定(蒋介石の軍人学校があった)で死者行方不明が28人。北京で10名が死亡。吉林省の舒蘭では15名が死亡もしくは行方不明となった。七月の台風五号では福建省で145万人が被災した。四川省から重慶、陝西省、浙江省にも被害が及んだ。
ユーチューブに投稿された現地の写真や映像をみると、車がつぎつぎと流され、なかには大型のコンテナも流れているではないか。北京を囲繞する河北省の農地はおそらく農耕ができない被害と想定される。
現実に食品の値上げ、鶏卵、豚肉からコメにいたっては15年ぶりの高値をつけた。上海の農業改良ラボでは人工肉が開発���究されてきたが、まもなく食卓に登場するだろうとRT紙(8月13日号)が書いている。
 被害の分析をみると河北省から天津にかけて被災地が集中しており、郊外の盧溝橋の隣に架橋された新橋も流された。また北京空港も冠水し、さらに西側の海淀区などでも道路陥没などの被害が目立った。海淀区は北京中央からバスで一時間ほどの郊外であり、田舎の印象がある。
 水流の専門家が流れを追って「これはダムを予告なく放水して濁流の流れを変えていた」と分析した。
つまり北京中枢部と雄安都市を守るために、他の地区の被災を致し方なく犠牲としたという意味になる。雄安都市は新都心として習近平がすすめる鳴り物入りのプロジェクトであるからには水没させるわけにはいかないのだ。
天安門広場が冠水した写真や映像は多くの投稿があったので知ることころだが、故旧も床上浸水だった。
となると共産党幹部の陣取る中南海にも被害が及んでいるはずである。
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oniwastagram · 2 years
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📸西陣くらしの美術館 冨田屋 / Tondaya Residence Garden, Nishijin, Kyoto 京都・西陣の『西陣くらしの美術館 冨田屋』の庭園が素敵…! 京都・西陣で江戸時代から栄えた繊維問屋街“千両ヶ辻”を代表する大きな商家建築…明治時代/昭和初期に建築された京町家は数寄屋風・洋風が入り混じる近代和風建築で国登録有形文化財&京都市景観重要建造物。6つの坪庭も!【要事前予約】 . 京都・西陣くらしの美術館 冨田屋の紹介は☟ https://oniwa.garden/kyoto-nishijin-tondaya/ ...... 「冨田屋」は京都・西陣の老舗呉服商👘明治時代以降に建てられた京町家・商家建築が国登録有形文化財/京都市景観重要建造物/京都市民の選ぶ“京都を彩る建物や庭園”などに指定・選定。 『西陣くらしの美術館 冨田屋』として事前予約制で公開されています。 . 西陣織の街として栄えた京都・西陣エリア。 そのおおよそ南東部、今出川通りから大宮通り🏘(大宮今出川〜大宮中立売)は織物問屋街として特に栄え、江戸時代以降“千両ヶ辻”と呼ばれました。(1日に千両もの経済が動いたということに由来) . その千両ヶ辻で例年秋分の日(9月23日)に行われているのが『西陣・伝統文化祭「千両ヶ辻」』。…と言いつつ今年まで知らなかったのですが、この日に限り公開される京町家もあるということで…2022年の「千両ヶ辻」へ! . その千両ヶ辻で最も大きな商家の一つが「冨田屋」。通常は事前予約制での公開ですが、この9月23日は予約無しでも見学可能でした。 . 江戸時代中期、当初は京都・伏見で両替商💴として創業した冨田屋。 豪商としての地位を築きますが、幕末〜明治維新期の「鳥羽伏見の戦い」の戦災で全焼…🔥そのことを機に西陣に転居し織物問屋を営みはじめました。 . 10代当主・田中藤兵衛が現在の商家を建てたのが1885年(明治18年)。間口の広い商家+大きな表蔵が相まって“豪商”に相応しいたたずまい。主屋/表蔵/中蔵/宝蔵/離れの5棟が国登録有形文化財。 . 「西陣くらしの美術館」としては、ただ京町家の建築をぐるっと見学するだけではなく、しつらえや書画、京都・西陣の文化/風習になどについても解説を受けながらの見学。 . 例えばスルーしそうな小堀遠州の筆🖌によるお軸や橋本関雪の絵画なども解説を受けながらだから気づけたり…。 . この富田屋には6つもの坪庭があります。そのうち、主庭と言えそうなのが主屋の座敷と廊下に挟まれた庭園で、京都の銘石と苔むした姿が美しい🌿 この日は現代アート風のライトアップ用の照明が架けられていたのだけれど、町家の庭のこういう雰囲気もすごく良い! 続く。 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 【存続のためのお願い】 庭園情報メディア「おにわさん」存続のため、新オーナー(組織)を募集しています。詳しくは「おにわさん」で検索し、ウェブサイトよりご覧ください。 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● #庭園 #日本庭園 #京都庭園 #庭院 #庭园 #建築デザイン #日本建築 #近代和風建築 #坪庭 #西陣 #千両ヶ辻 #京都旅行 #京都観光 #nishijin #japanesearchitecture #japanarchitecture #japanarchitect #japanesegarden #japanesegardens #kyotogarden #zengarden #beautifulkyoto #beautifuljapan #japandesign #jardinjaponais #jardinjapones #japanischergarten #jardimjapones #tsuboniwa #おにわさん (冨田屋) https://www.instagram.com/p/CjuG54Vvnw1/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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kachoushi · 1 year
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各地句会報
花鳥誌 令和5年5月号
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坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和5年2月2日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
厨女も慣れたる手付き雪掻す 由季子 闇夜中裏声しきり猫の恋 喜代子 節分や内なる鬼にひそむ角 さとみ 如月の雨に煙りし寺の塔 都 風花やこの晴天の何処より 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月4日 零の会 坊城俊樹選 特選句
暗闇坂のチャペルの春は明日あたり きみよ 長すぎるエスカレーター早春へ 久 立春の市の算盤振つてみる 要 冬帝と暗闇坂にすれ違ふ きみよ 伊達者のくさめ名残りや南部坂 眞理子 慶應の先生眠る山笑ふ いづみ 豆源の窓より立春の煙 和子 供華白く女優へ二月礼者かな 小鳥 古雛の見てゐる骨董市の空 順子 古雛のあの子の部屋へ貰はれし 久
岡田順子選 特選句
暗闇坂のチャペルの春は明日あたり きみよ 冬帝と暗闇坂にすれ違ふ 同 大銀杏八百回の立春へ 俊樹 豆源の春の売子が忽と消え 同 コート脱ぐ八咫鏡に参る美女 きみよ おはん来よ暗闇坂の春を舞ひ 俊樹 雲逝くや芽ばり柳を繰りながら 光子 立春の蓬髪となる大銀杏 俊樹 立春の皺の手に売るくわりんたう 同 公孫樹寒まだ去らずとのたまへり 軽象
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月4日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
敬􄼲な信徒にあらず寒椿 美穂 梅ふふむ野面積む端に摩天楼 睦子 黄泉比良坂毬唄とほく谺して 同 下萌や大志ふくらむ黒鞄 朝子 觔斗雲睦月の空に呼ばれたる 美穂 鼻歌に二つ目を割り寒卵 かおり 三􄼹路のマネキン春を手招きて 同 黄金の国ジパングの寒卵 愛 潮流の狂ひや鯨吼ゆる夜は 睦子 お多福の上目づかひや春の空 成子 心底の鬼知りつつの追儺かな 勝利
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月6日・7日 花鳥さざれ会 坊城俊樹選 特選句
潮騒を春呼ぶ音と聞いてをり かづを 水仙の香り背負うて海女帰る 同 海荒るるとも水仙の香の高し 同 坪庭の十尺灯篭日脚伸ぶ 清女 春光の中神島も丹の橋も 同 待春の心深雪に埋もりて 和子 扁額の文字読めずして春の宿 同 砂浜に貝を拾ふや雪のひま 千加江 村の春小舟ふはりと揺れてをり 同 白息に朝の公園横切れり 匠 風花や何を告げんと頰に触る 笑子 枝川やさざ波に陽の冴返る 啓子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月8日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
雪を踏む音を友とし道一人 あけみ 蠟梅の咲き鈍色の雲去りぬ みえこ 除雪車を見守る警備真夜の笛 同 雪掻きの我にエールや鳥の声 紀子 握り飯ぱりりと海苔の香を立て 裕子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月10日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
東風に振る竿は灯台より高く 美智子 月冴ゆる其処此処軋む母の家 都 幽やかな烏鷺の石音冴ゆる夜 宇太郎 老いの手に音立て笑ふ浅蜊かな 悦子 鎧着る母のコートを着る度に 佐代子 老いし身や明日なき如く雪を掻く すみ子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月11日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
朝光や寺苑に生るる蕗の薹 幸風 大屋根の雪解雫のリズム良�� 秋尚 春菊の箱で積まれて旬となる 恭子 今朝晴れて丹沢颪の雪解風 亜栄子 眩しさを散らし公魚宙を舞ふ 幸子 流れゆくおもひで重く雪解川 ゆう子 年尾句碑句帳に挟む雪解音 三無 クロッカス影を短く咲き揃ふ 秋尚 あちらにも野焼く漢の影法師 白陶 公魚や釣り糸細く夜蒼し ゆう子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月13日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
犬ふぐり大地に笑みをこぼしけり 三無 春浅しワンマン列車軋む音 のりこ 蝋梅の香りに溺れ車椅子 三無 寒の海夕赤々漁終る ことこ 陽が風を連れ耀ける春の宮 貴薫 青空へ枝混み合へる濃紅梅 秋尚 土塊に春日からめて庭手入 三無 夕東風や友の消息届きけり 迪子 ひと雨のひと粒ごとに余寒あり 貴薫
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月13日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
浅春の眠りのうつつ出湯泊り 時江 老いたれば屈託もあり毛糸編む 昭子 落としたる画鋲を探す寒灯下 ミチ子 春の雪相聞歌碑の黙続く 時江 顔剃りて少し別嬪初詣 さよ子 日脚伸ぶ下校チャイムののんびりと みす枝 雪解急竹はね返る音響く 同 寒さにも噂にも耐へこれ衆生 さよ子 蕗の薹刻めば厨野の香り みす枝
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月14日 萩花鳥会
水甕の薄氷やぶり野草の芽 祐子 わが身共老いたる鬼をなほ追儺 健雄 嗚呼自由冬晴れ青く空広く 俊文 春の園散り散り走る孫四人 ゆかり 集まりて薄氷つつき子ら遊ぶ 恒雄 山々の眠り起こせし野焼きかな 明子 鬼やらひじやんけんで勝つ福の面 美惠子
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令和5年2月15日 福井花鳥会 坊城俊樹選 特選句
吹雪く日の杣道隠す道標 世詩明 恋猫の闇もろともに戦かな 千加江 鷺一羽曲線残し飛び立てり 同 はたと止む今日の吹雪の潔し 昭子 アルバムに中子師の笑み冬の蝶 淳子 寒鯉の橋下にゆらり緋を流す 笑子 雪景色途切れて暗し三国線 和子 はよしねまがつこにおくれる冬の朝 隆司 耳目塗り潰せし如く冬籠 雪 卍字ケ辻に迷ひはせぬか雪女 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月16日 伊藤柏翠記念館句会 坊城俊樹選 特選句
指先に一つ剥ぎたる蜜柑の香 雪 大寒に入りたる水を諾ひぬ 同 金色の南無観世音大冬木 同 産土に響くかしは手春寒し かづを 春の雷森羅万象𠮟咤して 同 玻璃越しに九頭竜よりの隙間風 同 気まぐれな風花降つてすぐ止みて やす香 寒紅や見目安らかに不帰の人 嘉和 波音が好きで飛沫好き崖水仙 みす枝 音待てるポストに寒の戻りかな 清女 女正月昔藪入り嫁の里 世詩明
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月17日 さきたま花鳥会 坊城俊樹選 特選句
奥つ城に冬の遺書めく斑雪 月惑 顔隠す一夜限りの雪女郎 八草 民衆の叫びに似たる辛夷の芽 ふじほ 猫の恋昼は静かに睨み合ひ みのり 薄氷に餓鬼大将の指の穴 月惑 無人駅青女の俘虜とされしまま 良江 怒号上げ村に討ち入る雪解川 とし江 凍土を突く走り根の筋張りて 紀花 焼藷屋鎮守の森の定位置に 八草 爺の膝捨てて疾駆の恋の猫 良江
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月19日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
古玻璃の奥に設ふ古雛 久 笏も扇も失せし雛の澄まし顔 眞理子 日矢さして金縷梅の縒りほどけさう 芙佐子 梅東風やあやつり人形眠る箱 千種 春風に槻は空へ細くほそく ます江 山茱萸の花透く雲の疾さかな 要 貝殻の雛の片目閉ぢてをり 久 古雛髪のほつれも雅なる 三無 ぽつねんと裸電球雛調度 要
栗林圭魚選 特選句
紅梅の枝垂れ白髪乱さるる 炳子 梅園の幹玄々と下萌ゆる 要 濃紅梅妖しきばかりかの子の忌 眞理子 貝殻の雛の片目閉ぢてをり 久 古雛髪のほつれも雅なる 三無 老梅忌枝ぶり確と臥龍梅 眞理子 山茱萸の空の広さにほどけゆく 月惑 八橋に水恋うてをり猫柳 芙佐子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月21日 鯖江花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
師を背負ひ走りし人も雪籠 雪 裏庭開く枝折戸冬桜 同 天帝の性こもごもの二月かな 同 適当に返事してゐる日向ぼこ 一涓 継体の慈愛の御ん目雪の果 同 風花のはげしく風に遊ぶ日よ 洋子 薄氷を踏めば大空割れにけり みす枝 春一番古色の帽子飛ばしけり 昭上嶋子 鉤穴の古墳の型の凍てゆるむ 世詩明 人の来て障子の内に隠しけり 同 春炬燵素足の人に触れざりし 同 女正月集ふ妻らを嫁と呼ぶ 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月26日 月例会 坊城俊樹選 特選句
能舞台昏きに満ちて花を待つ 光子 バス停にシスターとゐてあたたかし 要 空に雲なくて白梅すきとほる 和子 忘れられさうな径の梅紅し 順子 靖国の残る寒さを踏む長靴 和子 孕み猫ゆつくり進む憲兵碑 幸風 石鹸玉ゆく靖国の青き空 緋路 蒼天へ春のぼりゆく大鳥居 はるか
岡田順子選 特選句
能舞台昏きに満ちて春を待つ 光子 直立の衛士へ梅が香及びけり 同 さへづりや鉄のひかりの十字架へ 同 春の日を溜め人を待つベンチかな 秋尚 春風や鳥居の中の鳥居へと 月惑 料峭や薄刃も入らぬ城の門 昌文 梅香る昼三日月のあえかなり 眞理子 春陽とは街の色して乙女らへ 俊樹
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月 九州花鳥会 坊城俊樹選 特選句
ポケットの余寒に指を揉んでをり 勝利 黒真珠肌にふれたる余寒かな 美穂 角のなき石にかくれて猫の恋 朝子 恋仲を知らん顔して猫柳 勝利 杖の手に地球の鼓動下萌ゆる 朝子 シャラシャラとタンバリン佐保姫の衣ずれ ひとみ 蛇穴を出て今生の闇を知る 喜和 鷗外のラテン語冴ゆる自伝かな 睦古賀子 砲二門転がる砦凍返る 勝利 小突かれて鳥と屋や に採りし日寒卵 志津子 春一番歳時記の序を捲らしむ 愛
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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774 · 1 year
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もともと元禄年間ごろから続いていた「御厩の渡し」のあった場所である。 1872年(明治5年)に花見客の人出でこの渡し舟が転覆する事故があった。以前から転覆事故が多く「三途の渡し」と揶揄されていたこともあり、民間の手により架橋されることとなる。 1874年(明治7年)10月6日完成。長さ511尺(約150 m)、幅20尺(約6 m)の木橋が架けられたと伝えられる。現在よりも約100 m ほど下流の位置にあった。 この橋は老朽化のために東京府によってプラットトラス形式で長さ86間(約154 m)鉄橋に架け替えられた。1893年(明治26年)5月6日に完成した。 鉄橋の建設に伴って1890年(明治23年)には現在の春日通りの建設計画が持ち上がった。当時の厩橋近辺は湿地帯で沼地が多く広い道がなかったため、本所方面から上野広小路へ、東西に直接接続しようと図ったものである。しかしながら土地買収が難航し、開通は1895年(明治28年)になってからである。後に関東大震災で被災し、その復興計画により架橋されたのが現在の橋である。 付近地下に都営地下鉄大江戸線が通っているが、厩橋の橋脚・橋台を迂回するよう、2本のシールドトンネルが凸レンズ状の曲線(曲率半径200 m)を描く線形となっており、建設時には重要構造物に対する計測を行いつつ慎重な掘削管理が行われた。
厩橋 - Wikipedia
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poddyshobbies · 1 year
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コンプできるか?深すぎる篠栗霊場(12-4)12番・境内2
第12番札所 千鶴寺(せんかくじ・ふくろう寺)
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本堂の奥にある滝場に通じる道です。
千鶴寺の由来は江戸時代(黒田藩)の剣客であった三宅千鶴(ちづる)がここの滝に打たれて修練を積んだことから、地元の人々が千鶴ヶ滝と呼ぶようになったことが始まりだそうです。
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滝から流れる渓流に架かる橋の上
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右手 ~ 川下・参道方向
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しあわせの如意宝珠
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祈願石
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三面大黒天 ~「う~ん、めずらしい。」
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参道の坂道 ~ 大きなカエル像の横に出ます。
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お滝場方向
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淡路宮
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十三仏 ~ 右から順に、不動明王(ふどうみょうおう)釈迦如来(しゃかにょらい)文殊菩薩(もんじゅぼさつ)普賢菩薩(ふけんぼさつ)地蔵菩薩(じぞうぼさつ)弥勒菩薩(みろくぼさつ)薬師如来(やくしにょらい)観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)勢至菩薩(せいしぼさつ)阿弥陀如来(あみだにょらい)阿閦如来(あしゅくにょらい)大日如来(だいにちにょらい)虚空蔵菩薩(こうくうぞうぼさつ)と、毘沙門天(びしゃもんてん)で十四仏。
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十三仏と大師堂に挟まれて、
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大師堂
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大師堂の前から振り返って見た。
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2023.4.7 ~ つづく
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poetohno · 1 year
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春夏秋冬 夏 Ⅶ
光を探して 星を追いかけてきた
川を流されて必死に渡りきり 草原に彷徨い同じ場所を延々と巡り 峰の向こうに目指すべき地平を見つけ 降り立った大地に見失った夢を紡いできた
この想いが 心が 手足が 呼吸が 鼓動一つ一つが 過ぎゆく一秒が この意志が 日々の歩みを定めてきた
一歩ごとの足跡が軌跡となり 他の誰でもない 自分にしか歩めない道は まるで自分自身のようだった
続けてきたそれが 明日への架け橋となったから 終わらせずにすんだのかもしれなくて
心に灯したそれが光となったから 同じ眩しさを見つけるための 旅だったのかもしれない
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oka-akina · 1 year
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1222-29らへんに考えたこと
 日記でもないんだけど朝読み返したら5000字くらいあって、こういうのはいつも書くだけ書いてtumblrには載せないんだけど、こういうのがメモ帳にいっ…ぱい溜まっているのでたまには載せておこうかなあと思った。夜書いた段階ではなんか暗いなと思ったけど朝読んだらそうでもない気もした。わたしの気分というのはとてもあやふやで、そんなもんだろうと思った。
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 ブックセラピーの企画にお誘いいただいた。ブックセラピーとは悩みに本を”処方”するというものだそうで、渋谷○○書店のスタッフ・リレキショウタさんがBOOPY(ブッピィ)というサイトをやっているとのこと。サイトに寄せられた悩み事についてそれならばこんな本がおすすめですよと選書し、本の紹介記事を書くのだそう。  わたしは性格が歪んでおり非常に意地悪なので、わたしのような者に悩みを相談してはいけないと思います…、そもそも文章を書くのが上手いわけではないので小説ではない文章を書ける気がしません…(じゃあ小説は書けてんのかっていうとわかんないんだけど、べつに文章上手くなくても小説は小説になりうる(なっちゃう)し、そもそもわたしの小説はわたしが勝手に書いているものなので文章の巧拙とはべつのところにある)。何度かお話を伺うたび、わたしはそのようにお断りしていたんだけども、12/22にお店番をしていた際、なんか話の流れでとりあえず年末までにひとつ(ふたつ?)記事を書くことになった。  ぜったいに向いてないと思います、とても無理です、書けません、ライター仕事は承っていませんとはっきりきっぱり言いすぎてたぶん冗談みたいに聞こえたんだと思う。そして○○書店でかなりお世話になっている方なので文章を書いてくれと言われるとなんかこう書こうかなあという気になってしまった…のか?  これは小説だとほんとにそうで、同人誌のアンソロだと、主催の方をよく知らなかったりアンソロのコンセプトがよくわからなかったりでも、依頼されるとうれしくて書いちゃう。何か作品を読んでくださった方から小説を書いてくれと依頼されると、ほんとにとてもうれしい。二つ返事で書く。わたしは性格が歪んでおり非常に意地悪だけどとてもちょろいのだ…。そしてそれが無責任だし軽薄な態度だとも思う。でもほんとに、小説書いてって言われるとパーッとうれしくなってしまう。で、今回のこれは小説ではない。
 今回、わたしは記事をひとつ書くのかふたつ書くのか? わからない。口約束なのではっきりしなかった。とりあえずひとつ書いた。書いた後は自分のtumblrだったりペーパーだったり自由にしてよいということで了承いただいた。けっこういろいろ譲歩してもらっている。けれどもなお、ほんとに書くのかという気分だったし、非常に苦しんで書いた。  小説ではないからか? わからない。どうしてわたしに依頼してくださったのかもよくわからない。悩み相談というのはちゃんとそういう訓練を受けた人、資格を持っている人がやった方がいいんではないのか。あえてそうではないところに価値や意義を見出す企画であることは説明され、言わんとしていることはなんとなくわかったものの、わかったものの…。悩み相談を受けた人がかえってダメージを受けてしまうってことはありそうだよなあと思った。またこういうブックセラピーというものが、皆保険制度のない国から始まったものとのことで、そのあたりも考えたいことがたくさんあるなと思った(保険制度を話題に出すならわたしは慎重になる)。  そしてこの「悩み」というのが、ほんとにこういう悩みの人がいるのかどうかわからないというのがわたしにとって蜘蛛の糸のようにつきまとい、たぶんここに苦しんだ。「悩み」はBOOPYのサイトで募集しているが、それをそのまま載せるとは限らず(さっきの「悩み相談を受けた人がかえってダメージを受けてしまう」というあたりに配慮していると思われる)、サイトが始まったばかりということもあり、架空の悩みである場合もあるらしい。  架空の悩みって言い方はよくないか。よくある悩み事的なものをインターネットでサーチしたというようなことを言っていたので、そのような悩みを抱えている人はいることはいるのだろう。でもその人が何か本を紹介してほしいと思っているわけではないだろう。同じような悩みを抱えている人が記事を読んだときに何かしらふうんとはなるのかもしれない(そういう悩みのシェア、その意義についても伺った)。でももしかして今書いているこれは独り相撲なのかもと思うとやや虚しい気持ちにはなった。  いやまあこういうのは本の紹介がメインであって、悩み自体はお題的な建前かもしれない。サイトの趣旨をお話いただいたとき、本好きが活躍できる未来をつくりたいとおっしゃっていたから。  いやわたしは「本好き」なのか? 小説を読んだり書いたりを日々やっていて、たぶん好きだと思うけど、本好きかっていうとどうだろう…。好きな本は小説に限らずたくさんあり、それなりに買ってる方なのかなと思うけど(自分の収入とのバランス、ほかの支出と比べるとそれなりに好んで買っている方だとは思う…という話。でも蔵書量や積読を誇るタイプではないな〜)、それをもってして「本好き」か? 本ってだけだと何を指しているかよくわかんないよなあといろいろ屈託があり、「本好き」とカテゴライズされることに抵抗がある。  いやほんと、そういうのも含めてわたしがマジレスしちゃっているだけかもしれない。サンプル的に何か書けば何かしら何かになるのかもしれない。誰も読まなくてもわたしが文章を書く練習にはなる。それはそう。まあ文章を書く練習なら毎日小説を書いているんですけども…。ほんと、そんなにいろいろ気にかかることがあるんならやんなきゃいいでしょって感じかもしれないんですが、いやわたしはできねえって何度も言っていて、でも話の流れで書くことになっている。不思議なことに。  そしてこのように書いてみるとものすごく愚痴みたいに見えるので我ながら驚いているんだけど、わたしは苦しんで文章を書くのがそんなにイヤではなくて…。記事自体は非常に楽しんで書いている。苦しんでいるとの楽しんでいるのとは同時に起き得る。これ長いことわたしの小説とかtumblrを読んでくださっている方には伝わると思うんだけど…。
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 サイトをひととおり読み、記事を書いてみた。そもそものところで「こういう気分のときにこういう本」というのがあんまりよくわからないので難しかった。毎日なにかしら読んでいるけども、それって自分の気持ちに合わせて本を選んでいるわけではないよなと思った。  たとえばわたしは呉明益の『自転車泥棒』という小説をおととし読んで、すごく好きだと思った。日本橋の誠品書店を初めて覗いて、せっかくだからと台湾の作家コーナーを眺めていて、なんとなく手に取った本。帯の、「この小説は「なつかしい」という感傷のためではなく、自分が経験していない時代とやり直しのできぬ人生への敬意によって書かれた」という文言に惹かれた。あと手持ちのお金が少なくて文庫本を中心に眺めていたというのもある…。  じゃあ、本を手に取ったとき自分の気分がどうだったかというのはあんまり関係ないように思う。面白そうだな、読みたいなと思うとき、わたしは白紙になっている…というのもちょっとちがうか…。「私」がないことはない、あることはあるけども、「私」を中心に据えて何か読もうとはしていない。あとこの『自転車泥棒』ってそこそこ分厚いので、一気に読むものではなく、日々のいろんな気分を御しながら読んでいたと思う。元気な日もあったしイライラしている日もあった。わたしの日々の波風が、「ぼく」の家族の歴史は「盗まれた自転車」に始まるという長い物語——まずは「ぼく」の祖父が生まれた年まで遡り、自転車をめぐって台湾の中華商場から戦時中のビルマ、日本、ウンベルト・エーコの創作論…とさまざまな旅をする——と一緒にあるということ。自分の生活に長い物語が入り込むようでもあるし、生活から離れたところにある物語の中にフッとワープするようでもあるし。どうとでもいえちゃいそうでもある。  文芸だけでなくいわゆる人文書でもそうだと思う。何か知りたいことや調べたいことがあるから本を手に取るとも限らず、なんとなくこのテーマに関心があるとか、ふと目を惹かれたとかで、思わぬ興味が広がったり学びを得たりする。『動くものはすべて殺せ アメリカ兵はベトナムで何をしたか』を読んだわたしの動機はなんだったっけ。  またこれはどちらかというと随筆の部類だと思うけど、古い岩波新書の『釣りの科学』を手に取ったのがなんでなのかこれもぜんぜん思い出せないが、好きな本で何度も読み返している。大学の教授を退いた筆者が科学的視点で語る釣りの話。魚の生態や釣りの仕掛け、釣り方など。わたしはまったく釣りをしないし1969年に書かれたものなのでこの本でわかる新事実のようなものはあんまりない気がするけども、語りの端正さや優しい感じに落ち着く。釣りそのものではなく、何か態度のようなものを学んだ気がしている。「釣り」とか「海洋生物」とか「生き物」とか「科学」といったタグづけとはおそらくべつのところに、わたしの気分や得たものがある。  じゃあ気分にあわせて本を選ぶというのが嘘だと訴えたいのかというと、べつにそういうわけではなくて…。企画を否定したいわけではない。気分から本を選ぶこともあることはあるし、そしておそらくは人に伝える切り口としてそれがわかりやすいというのはあるんだろうなあと思うし。ブックセラピーに限らず、書店のPOPとかでも見かける。「〜〜なあなたにおすすめ」とか。ちょっとマッチングアプリっぽいのかな。なんとなくお膳立てされてる気がするのかな。「人に伝える切り口としてそれがわかりやすい」、そういうある種の茶番がありそれにのるということ。これには気分やコンディションが大いに影響しそうだ。
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 ともかくだ、「4年付き合っていた彼と別れて立ち直れない、結婚まで考えていたのに、、、/30代・女性/会社員」という悩みを与えられ、わたしは本を選んだ。  最初パッと思いついたのは『海をあげる』(上間陽子 著)。なんでだよって感じだけど(『海をあげる』は沖縄に横たわる暴力の話だ)、冒頭の「美味しいごはん」という話が、著者が前夫に不倫されたときの話で、著者の友人たちの励ましのことなどを思い出したので…。読んだ人はわかると思うんだけど。そしてわたしは最初にこれを読んだとき、自分にはこういう友人っていないな〜!と思った。卑屈になっているわけではないんだけど、いないな〜!と思った…のを思い出し、やめといた。  この「30代・女性/会社員」という方がほんとにいるのかわからない。もし恋人との別れという内容で「30代・女性/会社員」という属性を作り出したのだとしたら、そこに偏見はないかというのも気になった。わたしはとても疑り深い…し、どうせ茶番なのだとしたら「あるある」をやる姿勢みたいなのは、そりゃまあ気になる。これは小説を書いているときもすごく思う。じゃあ小説にしようと思った。何か好きな小説、今年読んでああ好きだと思った小説からひとつ選ぼうと思った。  12/29の店番で原稿を提出した。これがそのまま使われるのか直しが入るのかなんだかわからないけども、ともかく1400字くらい書いて出した。1月半ばくらいにサイトをリニューアルするとこのことだった。たぶんそれより前に、このtumblrに載せるとかフリーペーパーとかにしようかなあと思っている。  前回の日記にも書いたけど、赤澤玉奈さんの展示で、悩みを語りそれを石にドローイングしてもらうというのがあった。それをやってもらったときにこの記事のことはもうあった。わたしが本を紹介するよりこっちのほうがいいよなと思った。そして、わたしの話を聞いてくださったときの赤澤さんの感じ、受け止めてくれたという感じが、わたしには無理そうだなあと改めて思った。  ややこしい性格をしているのは自覚している。わたしのような者が文章を書くことが、なにかしらいいことになるように、サイトに掲載することでわたしの活動や作品にもつながるように、いろいろ気��遣ってくださっているのはほんとにもうよくわかった。けども…と言いたいことがいろいろあって、もうちょっと考えます。どうしてわたしはこの善意にパッとのれないんだろう。  ついでにもいっこ書いておくけど、こないだ神保町のシェア型書店で買い物したとき、運営の方とちょっとお話したのね。わたしは渋谷○○書店で棚をやっていますと名乗って、お店によってだいぶ雰囲気がちがいますねみたいな話をしたの。そしたら話の流れで「渋谷のあそこはキラキラしてますもんね」って言われ…。あ〜〜やっぱ出版って権威どまんなかよな…こういうところで元気いっぱいなのはやっぱアカデミックな男の人なんだよな…と思った。ってかわたしがその店に参加してるっつってんのに面と向かって「キラキラ」って形容すんのは、さすがに喧嘩売ってねえか?   いやわかるよ、たしかにまあこのとおりわたしは「本好き」みたいな語にものすごく屈託があり、そういったところから始めようとしているこういうブックセラピーのような企画にもかなり疑問をもっているけども…。でもそこに何かつっこみを入れようとするときに、なんかこうすごく権威的な感じになっちゃうのはやっぱイヤなんだよな…。と思った。ほんとにわたしはどうしたいんだろう。こういうことをtumblrに長々書いてしまうのもほんとにどうなんだとは思うけど、わたしの日記を読む人はそんなにいない(これは謙遜ではなくほんとにそんなにおおぜいいない)ので、書き残しておく。こういう、実際どれくらい影響力があるのかってことをなんとなく判断した上でまあほぼないっしょとやる…というのは日々いろいろあって、おそらくブックセラピーのサイトについてもそういう判断がなされており、わたしは杓子定規的、儀礼的に予防線をはりまくる感じよりはこっちのほうがいいと思うので、結局は懸念にすぎないかも…とかも思う。  いまこの長い日記(?)を書きながら、独り相撲的ということと、本を選び、読むことについて、あっと思ったことがあった…んだけどすぐ消えてしまった。なんだっけな。たぶんもうちょっと考えたら何かわかりそうな気がする。
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kennak · 1 year
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2021年に過度の飲酒によるアルコール性肝疾患で死亡した人は6016人で、1996年の2・5倍に増えたことが厚生労働省の調査でわかった。コロナ禍で酒量が増えた人もおり、健康リスクは高まっている。厚労省は、過度な飲酒を防ぐため、性別や年齢、体質に応じた飲酒ガイドライン(指針)作りに乗り出した。(都梅真梨子) コロナ禍で孤独感  「嫌なことを忘れるため毎日、酒に頼っていた」。6日早朝、アルコール依存症の患者らのオンライン交流会「回復の架け橋」で、中国地方に住む50歳代の会社員女性はこう打ち明けた。  女性は、子どもの進学で悩み、台所で飲酒を繰り返す「キッチンドリンカー」になった。コロナ禍でリモート勤務になると、酒量の歯止めが利かなくなり、入退院を3回繰り返した。ただ、今年初めに交流会に参加して以降は、断酒を続けられているという。女性は「こうして誰かに悩みを聞いてもらうことが何より重要なのです」と語った。
酒の「ほどほど」厚労省が指針作りへ…性別や年齢に応じ | ヨミドクター(読売新聞)
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myonbl · 2 years
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2022年9月22日(木)
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私の職場(私立女子大学)では、昨日から後期授業がスタートしたばかりなのに、さっそく椿事が出来した。1年次必修科目をお願いしている非常勤講師が、体調不良のために担当できなくなったのだ。授業は週明けの月曜日、いまから代替講師を探すことなど不可能、ということで私にお鉢が回ってきた。同じ内容のものを別クラスで担当しており、コマ位置も空いているのでもちろん承諾した。何よりも、学生の不利益を最小限にしなければならない。老体にむち打って、もう一踏ん張りと決意を新たにしたのであった。
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5時起床。
日誌書く。
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かき揚げ天そば+そば湯+ヨーグルト。
プラごみ、30L*1&45L*1。
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弁当2人分用意、ツレアイは夜の予定があるために自転車で出勤。
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順調に到着。
換気、ラジオ体操第1、お茶。
木曜日1限は「共生社会と人権(人権論)」の第1回目、今年の1年次からカリキュラム変更のためにこのように表記しているのだが、受講者は2年次以上なので今後は「人権論」で統一しよう。
第1週は履修変更可能なので、授業概要・目標・予定・評価について説持ちし、最後にキー概念となる<ステレオタイプ>を取り上げ、参考映像を見せて感想を書いて貰った。
ステレオタイプにさようなら~宝物の見つけ方~ | Miwa Essaadi Takagi | TEDxShizuokashi
https://www.youtube.com/watch?v=XneUAUD2Zy4
日本で生まれ、アメリカに渡り、そこでの出会いから学んだ「大切なもの」。 気づかぬうちに身についた見た目や偏見は、自分の目を曇らせてしまいます。本当に大切なものを見極めるためには、まず自分の心のあり方こそが大切です。 
 静岡ムスリム協会 事務局長 i.SOLUTIONSアイ・ソリューションズ 代表 静岡県ふじのくに観光振興アドバイザー(ムスリム分野) 
 大阪外国語大学卒(現・大阪大学外国語学部)米国ポートランド州立大学大学院公共行政学修士(2000)米国留学中にイスラムと出会い単身で入信。モロッコ人の夫と共にムスリムの生活・子育てをしながら、静岡ムスリム協会を設立・運営し、イスラム文化と日本の架け橋となる「静岡イスラム文化センター」の建設を目指している。2013年にイスラムに関するコンサルティング��必要性を見出し起業、主に観光・食・多文化共生の分野で、イスラム理解や文化紹介のための講演及び教育支援に広く従事している。 
 教学センター長が来室、昨晩メールで連絡のあった非常勤講師の担当科目を引き受けることを了承する。統一シラバスなので、何もあわてることはない。
ランチを食べ、来週の「人権論」の授業内容を検討、レジュメの下書きをつくる。
早めに退出。
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セントラルスクエア花屋町店で買物、3割引のグジ、ネギ、酒。
続いて、ファミリーマートで12/3の柳家三三独演会のチケットを引き取り、セブンイレブンでnanacoの残りポイントを使って AppleGiftCard を5,000円分購入する。
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息子たちの夕飯は肉豆腐+リンゴ+味噌汁。
仕事後、太鼓のワークショップに参加したツレアイは遅い帰宅、明日は午後からの勤務なのでグジの塩焼きと酒・ワインで慰労する。
酒が効いてすぐにウトウト、熟睡一歩手前で風呂に入る。
昨日までは起床時に体重を測っていたが、寒くなってきたので風呂上がりの測定に変更する。
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3つのリング完成、水分も2,000ml達成。。
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