ガステーブル給電方法の変更
山の中暮らしをしているので、薪を薪ストーブだけでなく風呂や調理の熱源にも利用出来れば、自給自足の理に適うし経済的でもある。ただ現実的には専用のカマドや風呂釜が必要となるし、それに必要な量の薪を集め常に保持するのは口で言うほど簡単ではない。冬場の薪��トーブ用だけでも薪狩りは重労働なのに、独り暮らしで自給農もしながらそれを行うなら時間や体力をさらに酷使することになる。毎日そういう暮らしでも苦にならない人はやったらいいと思うけど、短時間での湯沸かしや温調制御の利いた温水シャワーの便利さ、快適さを知ってしまった身としては、それを放棄してまで熱源の自給には拘れないと言うのが正直なところだ。
そんなわけで、うちでは熱源としてガスも使っている。さすがに都市ガスは来ないが、LPGはこんな僻地でも供給される。
キッチンのガステーブルは移住時に中古品を入手し、各所劣化しながらもだましだまし使ってきたのだけど、先日片側のコンロが燃焼維持できなくなった。状況からみて原因は中央部にあるSiセンサー部の故障と見られる。内部構造を確認するとコネクターで繋がっているだけなので、部品さえ手に入れば自分で容易に交換できるのだが、五徳なんかと違いこの部品は一般向けに販売されない。安全機能に関わる部分だからと言うのが建前なのだろうけど、メーカーに送って部品交換して貰えばそれだけで何万円と掛かってしまうので現実的でない。コンロが一箇所だけだとかなり不便だし、全体的な劣化も相当進んでいるので丸ごと買い換えを決断した。
とは言え、ガステーブルは安い物ではないので、今回もオークションサイトやフリマサイトで中古品を探すが、そうすぐには都合の良い物は出品されない。じっくり腰を据えて長期戦で臨めばいずれ妥当な物が手に入るだろうけど、それまで不便な状態が続くのが許容できないので、断腸の思いで新品入手することになった(痛)。
家庭用のガステーブルは2008年からSiセンサー搭載が義務づけられていて、天ぷら油の過加熱や消し忘れが原因の火災防止には大きく貢献しているようだが、調理の種類によっては邪魔な機能だったり、今回のようにセンサーが壊れればまったく燃焼させることが出来なくなってしまうというデメリットがある。
またこのセンサーは電気で機能させているのでコンロ使用時には常に給電する必要がある。今まで使っていたガステーブルは単1乾電池×2個で給電するタイプだったが、センサーの消費電力が大きいためか割と頻繁に電池交換が必要だった。そして届いた新品のガステーブルは、何と単3乾電池×2個使用タイプ。センサーの消費電力が同等ならこれまでよりさらに頻繁に電池交換するハメになるだろう(怒)。乾電池って再利用も出来ないし、簡単に捨てられないし、液漏れとかするから嫌いなんだよね。
これまでも何とかしたいと思いつつ先送りしていたが、今回ガステーブルを交換したのは良い機会なので、この給電方法を変更してやることにした。具体的には昔秋葉原で買ったスイッチング電源モジュールを発掘したので、これを使いAC100Vを乾電池と同等の直流電圧に変換して供給する。ちなみにこのモジュール、袋に300円の値札が付いていた。安かったからとりあえず買っておいたのだろうね(忘)。
電気的絶縁性の高いポリプロピレン製のタッパー容器を筐体にし、3mmのボルトナットを使ってモジュール基盤を少し浮かせた状態でその中に固定する。入力側は壁のACコンセントからケーブルを引いてくるが、プラグ抜き差しによるON-OFFがやりにくい位置にあるので、トグルスイッチ経由で基盤に配線する(ハンダづけ)。出力側端子は独特の形状だったが、たまたま上手く填る脚付き端子台があったのでそれを利用して被覆電線を接続した。部品を一通り接続したらビスを使って筐体を壁に固定する。もろもろ邪魔にならないよう床から1.8mの位置とした。
出力電圧をチェックすると開路状態で約3.4V。最大開路電圧の規定はアルカリ乾電池で1.68V(2本直列で3.36V)、マンガン乾電池で1.73V(2本直列で3.46V)なので問題無しと判断。
スイッチング電源は電力変換効率が高いので発熱は多くないと思うが、念のため筐体蓋に放熱用の穴を開けておく。ホコリや虫などが入ると不具合の原因になる為、穴径は小さめで。
仕様の順電圧値が丁度良い感じの緑色LEDがあったので出力端子間に挟んでみた。筐体蓋を取り付けた状態でもその光は透過し、通電状態が確認出来る。
電源については順当に用意できたが、肝となるのはこの先。ガステーブル自体には手を加えずに製作した電源から給電してやりたいのよ。いろいろ模索したが、最終的には電源から配線したダミー電池をガステーブルの電池ボックスに填める方法で行くことにした。
ダミー電池は、一段小さな規格の乾電池を流用する為の「電池スペーサー」を利用して作成する。これにもいろいろなタイプがあるが、金属の電極板が付いている物を使うと便利だ。電源と繋がる電線をそれぞれ極に対応する電極板に接続する。ハンダづけしても良いが、電極板の材質によっては付かない場合もあるのでその場合はひと工夫必要となる。私が入手した電池スペーサーは電極板を外側からはめ込んでいるタイプだったので、その穴に電線端を噛ましてはめ込み直したら圧着端子のようにしっかりと固定できたのでそれで良しとした。
電池ボックスの構造をよく観察し、直列乾電池の両端になる接点にそれぞれ対応する極性の電極板が当たるようにダミー電池をはめ込む。向きを間違えると華麗にショートするので要注意である(後日対策済/後述の追記参照)。電線は電池ボックスの内側から下方に引き抜く。ガステーブルの下面はガラ空きで蓋などないので取り回しは容易だ。ただ調理で使っているうちに油や汁が飛んで電線を汚しそうなので、ガスレンジに近い場所は保護の為樹脂製の可とう電線管を通すことにした。
掃除等でガステーブルを移動することもあるだろうから、電線は途中で差込型端子を使って接続し、着脱容易にした。全てが繋がった状態になったので着火・燃焼を試すが問題無し。新品のガステーブルは数十年ぶりに購入したが、やっぱり気持ちが良いね!。懐は痛いけど。
ちなみに停電時はスイッチング電源から給電されなくなるが、ダミー電池を一時的に外し、乾電池を電池ボックスに填めればガステーブルは使用できる。一方、ガス給湯器は停電時には動作不可なので風呂や温水シャワーは使えなくなってしまうが、そんな時でもガステーブルで湯を沸かしたり調理することが出来るのは意義が大きい。まあ停電なんてこの国では滅多に起きないが、以前この場所で3日程停電した時はなかなか大変だったからね~。
2024/02/04 追記:
後日、片方のダミー電池の両極にスイッチング電源からの配線を接続し、もう片方のダミー電池は両極を内部でバイパスするよ���に変更した。これによりダミー電池の左右を入れ替えても動作するし、填める向きを間違えてもショートする危険性は無くなった(逆極性となり動作しないだけ)。初めからこうすればクールだったに(悔)。
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お泊まり会。
Sleepover.
引き続き、ドイツからお越しのお客様を岩手の孝精君とガイドしています。昨日、今日とで今回のツアーの目玉である、小屋泊ツアー行ってまいりました!
I continue to guide guests from Germany with Mr. Kohsei from Iwate. Yesterday and today we went on a hut overnight tour, the highlight of this tour!
出発の朝。そんじゃあ、元気に行ってみよー!それにしても、右のガイドの人、顔、くれ〜すね。
The morning of departure. Well then, let's get going! By the way, the guide on the right has a black face.
山の上は荒れてそうですが、下の方は日も射していて歩くのが気持ちいいです。
It looks rough on top of the mountain, but the sun is shining at the bottom and it is pleasant to walk.
フォトジェニックな橋を通過。
Passing a photogenic bridge.
あ!いけない!難しいところで転んでるお客さんがいる!助けに行かなきゃ!
Oh, no! There's a customer falling down in a difficult spot! I have to go help!
助ける前に一枚。すんませんねえ、こういうやつなんです俺は。
One picture before I help you. I'm sorry, I'm just this kind of guy.
小屋に近づくにつれ、雪はどんどん強くなっていきました。
As we approached the hut, the snow was getting heavier and heavier.
遂に小屋に到着!!
Finally, we arrived at the hut!
小屋の中は綺麗で広々していて最高です!
実は彼らが今回、トリップに岩手を選んだのは小屋泊のツアーができるからなのです。最初、俺のところに小屋泊のツアーがしたいと依頼が来たのですが、白馬ではなかなかこういう避難小屋を利用したツアーができるところが思いつかなかったので、以前、孝精君とやった小屋泊のツアーのことを思いついて岩手を提案しました。彼らも人のいない静かな場所でのツアーを望んでいたので、その点でも岩手はちょうどいいと思ったのです。
The huts are clean, spacious, and great!
In fact, the reason they chose Iwate for their trip this time is because they can offer hut tours. At first, they wanted to do a hut tour, but I couldn't think of a place in Hakuba where they could do such a tour using a shelter hut, so I thought of the hut tour I had done with Kohsei before and suggested Iwate. They also wanted a tour in a quiet place with no people, so I thought Iwate would be perfect in that point.
更に小屋には薪ストーブがあり、雪の無い間に孝精君が薪を運んできてくれたおかげで暖かく過ごせます。感謝!
Furthermore, there is a wood stove in the hut, and thanks to Kohsei who brought in the wood while there was no snow, we can stay warm. gratitude!
日暮れまでまだ時間があるので近くに滑りにいきましょう。
There is still time to ski nearby before nightfall.
なかなかな雪と風です。
It is quite snowy and windy.
そんな風ニモ負ケズ、ピークハント!!
Don't let the winds get we down, Peak Hunt!
滑りは視界があまり良くないながらも、JAPOWならではのどん深で楽しめました!
The skiing was enjoyable with JAPOW's unique depth, although visibility was not very good!
夜は高橋シェフによるカレーとスープと薪ストーブであったまりました。美味かった〜!
In the evening, we warmed up with curry and soup by Chef Takahashi and a wood-burning stove. It was delicious!
夜はブルートゥーススピーカーでロック好きのお客さんのDJで盛り上がりました。全然聞いたことの無い、いい曲がいっぱいで楽しかったです。
結構、お酒持っていったけど、9時頃には全部空いてしまい、やることねえから屁こいて寝ました。
The evening was filled with DJs who were rock-loving customers with bluetooth speakers. There was a lot of great music that I had never heard before, so it was a lot of fun.
We brought a lot of drinks with us, but by 9:00 pm We had consumed all of them, so We farted and went to bed.
翌朝、孝精シェフのスープでお目覚め。あったまる〜。
The next morning, We woke up with Chef Kohsei's soup. It warms us up.
今日も張り切っていきましょう。
Let's keep up the good work today.
昨日より視界良好。
Visibility better than yesterday.
日も射していい感じです。
The sun is shining and it is nice.
世界で最も美しい立ちション。
The most beautiful standing urine in the world.
なかなかな距離を歩いています。しかし、歩くのが好きという皆さん、いいペースで距離を稼いでいきます。
It is quite a distance to walk. However, everyone who likes to walk is making good distance at a good pace.
いよいよ滑走!
Finally, Ski down!
まずは高橋君が味見。風の影響の無い、いい雪ありました。
First, Mr. Kohsei took a taste. There was good snow with no wind effect.
ヒャッホーーーー!!
Hyahoooo!
深くて軽い、いい雪です。
Nice deep and light snow.
今回のトリップで一番いい雪だったとのお言葉をいただきました。よし!
We were told that this was the best snow of the trip. Good!
帰りの林はちょっと雪は重くなったけど悪くありませんでした。
The snow was a little heavier in the woods on the way back, but not bad.
そんなこんなで無事下山!
今日も温泉で回復!いやあ、山から降りていい湯があるのもこのエリアの魅力ですね。
And so we descended the mountain safely!
Today, too, we recovered at a Onsen! Well, the charm of this area is that there are good Onsen off the mountain.
帰り道、岩手に来て五日目にして遂に岩手山がその麗しの姿を見せてくれました!綺麗ですね!
さて、明日はいよいよ最終日!
最後まで楽しいツアーを提供できるように頑張ります!
本日もお疲れ山でした!&おしょっ様でしたー!!
On the way home, on there fifth day in Iwate, Mt. Iwate finally showed its beautiful appearance! It's beautiful!
Tomorrow is the last day of the tour!
We will do our best to provide an enjoyable tour until the end!
Thank you again for your hard work today!
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痛感!身体が資本「林業転職1年目のリアル」
おつかれさまですー!
やっぱり今年もアドベントカレンダーに参加したくて、WEBフリーランスから、色んな意味で真逆な林業に転職した1年目のリアルを書き残しておくことにしました。
仕事内容はいたって普通の林業です。なのでそれを書くより、毎日の生活で感じたことがメイン内容です。
ちなみに去年はこんなnoteを書きました。
https://note.com/works35135/n/n2517df1c4beb
(こんなことも言ってたな〜)
仕事も生活もガラッと変わって、ほとんど記憶がないくらいあっという間に8ヶ月が過ぎていた。。。!
初年度だから少しずつ慣れていけたらいいな、くらいに考えていたけど全然違いました、いい意味で。
とにかく山に関わることは何でもやる。
もはや藪刈りに近い、電線の下をひたすら進み続ける草刈り(イメージは進撃の巨人の地ならし)、
チェンソーを使った間伐作業、ロープを駆使した特殊伐採など、初年度からいきなり現場に出る1年目でした。
とにかく経験を積みたい人にとっては恵まれた職場である。。。
ITからの野良仕事
まず痛感したのは、脳みそだけじゃなく頭から爪先まで自分の「身体」全体がとにかく資本で、コイツが調子よく動くことが何よりも大切だということ。
とにかく日常生活の中で準備項目が多いこと。朝型の生活リズムに慣れるまでもツラかった。
動かせない基本ベースとして「6時間以上の睡眠」「朝飯and弁当の用意」そして「朝7時までの出社」
この時点で気付いた「制約多くない??」(遅)
フリーランスでwebの仕事をしていた頃は、とにかく脳が働いて指先が動けばよかった。飲み過ぎで寝不足でも多少OK、自炊が面倒なら外食してればよかった。そんな生活でもとりあえず仕事は回る。
だけど林業は、身体の調子が生産性に直結し、悪ければ全く使い物にならないし怪我もする。単純に仕事の前後に準備することが多い。平日は金曜日以外は呑めない。。。( i _ i )
ただ、これは生活、暮らしの大切さを身をもって知るいい機会ではないか。
食費を抑えつつ量を食べるにはどうしたらいいか?お米や野菜をできるだけ地域のつながりの中で自給できないか、鹿肉をゲットできるつながり、あるじゃん!とか。
あとワークマンに頻繁に通っていると本当に現場で役に立つ隠れアイテムがあることに気づく(笑)
もはや家の暖房を薪ストーブにすることは、機能面、コスト面でどう考えても導入すべきやん。。。とか。衣食住足りてなんとやらではないが、衣食住足りて初めて出社できる感覚。
↑※アカマツ林で見つけた「ファットウッド」。天然の油を含んだ木は着火剤として超優秀。
弁当忘れが一番怖いよ。キャンプ場ではないガチ山の怖さ
少し話は変わるけど、キャンプ場の楽しさは「日常生活の延長の先に、森の中という非日常な空間を味わえる」ところにあると思う。
テントが張れるよう区画は平らに整地され、炊事場やトイレもある。管理棟に行けば焚き火の薪やちょっとした道具も買える(管理人さんだっている)。
だけど林業の現場には当たり前だけどそれがなく、実際に肌で感じるのは「恐怖」である。
なんだろう、人間様ではなく、イチ生物としてそこに放り出された感じ。
歩いている足元の土砂が崩れるかもしれない、熊やハチに遭遇するかもしれない。腐った太い枝がいきなり頭に落ちてくるかもしれない。伐倒方向を間違えることはできない。
一人で作業をして大怪我をしてしまったら、そのまま動けず暗い森に取り残されて終了、である。
普段は当たり前に生活しているが、それは気づかないほど無数に整備された環境によって成り立っている。
車はアスファルトの上を走り、お腹が空けばコンビニがあり、寒ければ暖かいカフェにでも入って一休みできる。自然に潜れば潜るほどそれはなくなり、山では何もなくなる。
体調を万全にし、山で休憩できるように弁当を持参し、冬は昼寝用の寝袋を準備をし、木と戦う武器であるチェンソーや道具を万全の状態に整えて初めて、人間が山で「仕事」ができる状態になる。そんな感覚。たびたび進撃の巨人ネタになるが、立体起動装置がないと人が巨人に勝つの難しいですもんね。
そして道具の世界の奥深さよ。道具がなければ人間は木一つ切れず、丸太一つだって運べない。
自分よりスケールの大きな相手に物理的に対抗するために、機会が登場する。そしてより大きな力を効率よく力を出すため、「油圧」「滑車の原理」「テコの原理」「ロープワーク」などなど駆使していく。日々の生活のこと、自分の身体のこと、道具や技のこと。考えるネタの数と深さ、どっちもある林業はもはや「道」なのかもしれない。
フリーランスから会社員
最後にちょっとまた話は変わるけど、フリーランスから会社員になった目線で感じたのは、チームワーク、めちゃくちゃ大事やな!」ということ。
個人競技のテニスからサッカーに変わった感じで、チームで成果をあげることがとにかく大事。
フリーランス時代はITツールを駆使してとにかく効率化できるところは効率化、個人としてのパフォーマンスを最大化する、そんな意識だったけど、林業で言えば、自分を含めてそのITツール一つ一つが感情を持った人間であり、それぞれ考えや目的も微妙に違う集団で一つの成果を目指す。ゲームのルールが違う。
最後に。会社員をしながら、これまでのwebのフリーランスの仕事や、リバースウッドの活動も並行してしていました。が!ほとんどできなかったです。。。!すみません。。。
来年は少しずつこちらも広げつつ、最終的に自分がなりたい姿に向かって進んでいけたらと、頑張り中です!
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