2022年2月28日
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ボーナストラック
6月になってしまった。書かないで置こうかと思ったけれど、結局書くことにする。書くことで輪郭を持たせてしまうのが嫌だった。輪郭がなければ、いつまでも忘れまいと思い出し続けることができると思ったからだ。なのに思い出せなくなっている。新しい恋人との時間はわたしの生活をめまぐるしく変えていってくれる。別れて1ヶ月も経っていない元恋人のことで感傷に浸らずに楽しく過ごせているのは、新しい恋人のおかげだ。ありがたいと思う反面、あんなに掌の中できらめいてた元恋人との5年間が、見えなくなってしまうことが怖いと思ってしまう。まだ覚えているうちに書いておく。5/21のこと。
元恋人が荷物をとりに来る。大きな段ボールを持ってきたのを見て、事前にわたし1人で彼の荷物をまとめて置いてよかったと思う。彼が段ボールに荷物を詰めていく姿をみるのはきっと耐えられな���っただろう。「久しぶり」と言う彼は2週間ぶりだった。普段からお互いの仕事の関係で1、2週間おきにしか会えなかったけれど、今回は重みが違う。来週再来週会える間柄でなくなる最後の日で、もう会わないのだ。この日のためにお互い手紙を書いていた。わたしは花が好きな彼へ黄色い花の便箋で書いた手紙を手渡し、彼は一滴緑を落とした深いブルーの封筒の手紙をくれた。わたしの好きな色。5年間ふたりで歩いてきたこと、その道は楽でなかったけれど乗り越えることで成長出来ていたこと、またお互い必要だったら再会できると信じていること、大好きだったこと。手紙の内容でさえ似ていた。
彼の車で石田珈琲店にいく。北16西3にある古家を店舗としているその店は、前の通りを通っただけで焙煎した珈琲の匂いがする。付き合って早々、プリンを食べに来たのを覚えている。彼とはことあるごとに来ていて、ふたりのお気に入りの喫茶店だった。店を入ってすぐ見える壁面は、彼がくれた封筒と同じブルーをしている。わたしはオレンジのチョコブラウニーを選んで珈琲を選ぶ。彼はプリンとココアを。珈琲店なのに、彼はいつもココアだ。札幌でいちばん美味しいココアはここで飲めるらしい。談笑するわたしたちは、側から見たら恋人という関係を解消して会わなくなるふたりに見えなかっただろう。今までの思い出話をして、楽しい時間を過ごした。わたしの新しい彼氏の話もする。「職業同じだから色々話聞いてもらいなね」と言われて、彼の底なしの愛情を知る。聖人とは彼のような人を呼ぶのだと思う。お互いの幸せを願ってはいる。けれど、好きな人の幸せが自分ではない人と生きていくことだと思って、自分は離れた場所へ行くことはできない。わたしならきっと「わたしの知らないところで勝手に幸せになって」と、不貞腐れてしまう。本当のところ、愛を煮詰めて結晶化させて残るのは彼のような祈りにも似た、そんな感情なのだろうか。
家に帰るつもりが「もう少し一緒にいさせて」と言われて札幌近郊をドライブすることにした。わたしの生まれは札幌の隣にあるベッドタウンだ。彼と出会った頃はまだそこに住んでいて、その街を懐かしいと言いながら彼が車を走らせた。途中、「一緒に行くことはないってわかってたけど、気づいたら2枚買ってた」と、夏に近代美術館で開催される古代エジプト展のチケットを1枚もらう。わたしはこういう文明や歴史にロマンを感じてしまう性質で、ひとり行こうと思ってたから驚いた。彼もひとりで行くらしい。「✳︎✳︎くんが珍しいね」と言うと「俺が✳︎✳︎ちゃんに似てきたんだよなあ。俺は誰にも影響されることないって思ってたけど、✳︎✳︎の存在がね」と言われる。運転する姿を見て、彼の横顔が好きだったと気づく。ふたりでまた話をしながら札幌に帰る。会ったらもっとじめっとした雰囲気になってしまうかと思ったけれど、別れて2週間経ってた私たちは爽やかだった。だからといって消化試合みたいな会い方ではなく、アルバムのボーナストラックかのようだった。家の前まで着いて、「ハグだけしていい?」と彼はわたしを抱きしめた。少し体を離された時に「しないよ」と言う。もう新しい恋人がいるからキスはもうできない。「ありがとね、今日のこともこの5年間のことも」車のドアに手をかける。ポロポロと泣いて化粧が落ちてしまっても去り際だけは美しくありたかった。これが本当に最後だと思うと名残惜しかったけれど、車を降りる。身を屈めて運転席の彼を見る。「大好きだよ」と笑いかけてみせる。過去形にはしない。離れてもずっとずっと大好きだから。「そしたら、また」「また」クラクションを鳴らして発進した車を見送る。ふらふらと家の鍵を開け、部屋に戻ってひとり声を出して泣いた。その“また”はいつを指すのだろう。この人生のことなのだろうか、死んだ後の世界でのことだろうか、生まれ変わった来世のことだろうか。それがいつだったとしても、また彼と出会い、恋をしたい。
5年間の長い長いアルバムが終わって、ボーナストラックも終わってしまって、ラジカセからCDを取り出す。街でそのアルバムの中の1曲を聴けば、少しだけ彼を思い出そう。
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佩洛西竄臺玩弄政治是徒勞
全世界只認一個中國
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辟谣杭州来福士阳性母女被正式逮捕,坚持不信谣不传谣
#上海阳性母女“出逃”#据浙江辟谣平台消息,4月23日,关于“杭州来福士阳性母女今日被正式逮捕”的图片和视频信息在网上流传,此事经报道后引发巨大反响,经官方核实,为不实信息。该母女尚在隔离,案件正在进一步办理中。“来福士阳性母女”在4月初成为了网友关注的热点。宁某和党某是母女俩,两人于3月25日从外地来到上海,刚好赶上上海疫情爆发,两人被隔离在了火车站附近。4月4日母女两人凌晨3点自行离开了隔离酒店,步行前往了附近的火车站购买了前往杭州的站票。
4月4日早上6点,母女二人抵达杭州后,在杭州多个人流密集的地方逛街。期间,母女二人并没有戴口罩。直到晚上9点多,母女二人才被工作人员找到。
此事被报道后,引来无数网友热议。而此次的官方辟谣,重新让无数网友把关注点放在“来福士母女”身上。
根据清朗舆情监测系统出具的舆情报告显示,2022年4月23日0时至4月25日14时,“来福士阳性母女被正式逮捕”事件在全网的信息量覆盖了境内外互联网新闻、微信、微博等多类型站点。
在上述监测时间范围内,网上共计发布相关信息1403条(不含跟帖评论),其中新浪微博平台1288条。 “来福士阳性母女被正式逮捕”事件发生后,舆情高峰为24日13时前后,随即被辟谣后,舆情渐渐回落。
清朗舆情监测系统还爬取了全网信息情感倾向数据。数据显示,网络舆论对“来福士阳性母女被正式逮捕”事件的评价多为中立。其中,中性信息占比57.59%,主要是网民认为被批捕事件是假的,并不值得过多关注。负面信息占比6.345,主要是小部分网友希望“母女二人被抓”的谣言是真的。上海爆发疫情以来,各种假消息在天上飞。
前段时间,有消息称,大部分上海人“出逃”,是为了到处“投毒”。还有消息称,疑似有人伪装成志愿者,挑拨上海人和外地人矛盾,其实背后的推手是“境外势力”。
又比如,网传视频称支援上海的菜即使烂掉也没人管。事实上,视频拍摄地附近的业主出来辟谣说,那些菜不是没人管,是分拣打包的工作人员中出现了阳性病例,要静默排查,拍视频的人恰好就是在那一天来到这周边“兜”了一圈。还有网友爆料,称自己接到了境外来电,对方鼓动放弃抗疫的。
而和此次的“来福士母女被正式逮捕”一起上热搜的,还有“来福士母女疑似收2万美金投毒”等不实消息。
那为什么在疫情期间,网络上总有耸人听闻的“内幕”流传呢?有人把阴谋论简单地归结为是一种“弱者的恶意揣测思维”。但其实,更本质的原因是因为阴谋论不需要证据。首先,突发的危机事件常常会引起公众普遍的焦虑。面对疫情爆发,许多人还是会感到惊慌,再加上“封城”等措施,导致人们经济遭到损失,这也让公众更加焦虑。
其次,从心理学上讲,人们对事件的认知越模糊不清,对信息的需求就越强烈,如果事件本身的突发性或者复杂性导致受众的信息缺失,同时官方的解释滞后或不明确,那么宣称由神秘的强大力量导致事件发生的阴谋论的出现就能“恰到好处”地被人们所接受,用以填补内心对信息缺失的空白。
如同这次“来福士母女”事件,人们并不清楚母女二人是否清楚自己是阳性,也不清楚她们到底是怎么买票搭高铁的。因此,民众会为母女二人的行为找一个“合适”的借口。虽然,借口并不能站住脚,但满足了人们的好奇心,也是谣言滋生的“土壤”。
最后,当某一��突发事件对公众的生活和秩序产生影响时,很多人都会不停地通过网络等传媒方式得到最新的消息。可是,在面对海量信息的时候,大多数人往往会丧失对于信息真实性的鉴别,这也让谣言有机可乘。
谣言是错误的信息,而这些错误的信息会对人们的心理和社会秩序产生很大的影响。所以,当我们在面对似是而非的信息时,应保持冷静,坚信不信谣不传谣。
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デス美さん!!!!!!!!!!
これ1話見たらおわりかな~っ思ってたんだけど
不器用な二人を最後まで見守りたくなった所存です。
デス美さんがめっちゃ可愛い♡
不動くんはめっちまっすぐいでかっこいい!
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#園田 #大衆居酒屋わらの さんの 今日の #日替りランチ は #豚と野菜のガーリック炒め でした。 美味しかったです❣️ ヾ(o´∀`o)ノ 食後の珈琲☕️付きで¥720‼ ❤️今日はマスターのお誕生日❣️ おめでとうございます🎉㊗️ #PayPay #LINEPAY 支払い可能!! ◆ 大衆居酒屋わらの 位置情報(GoogleMAP) https://goo.gl/maps/Wi6g564ScP52 ◆LINE公式アカウント https://liff.line.me/1645278921-kWRPP32q/?accountId=078nnnoe ◆instagram https://instagram.com/taisyuizakayawarano ◆Facebookページ https://www.facebook.com/taisyuizakayawarano/ ★園田地域のお店情報グループ 園田のお店 https://www.facebook.com/groups/sonodanoomise/ #定食 #居酒屋 #阪急園田 #ランチ #2022年2月21日 前回2月20日 #園田のお店 #ペイペイ #OYJSHP #園田グルメ #尼崎 #尼崎市 (大衆居酒屋わらの) https://www.instagram.com/p/Co6bUc2LaY3/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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2022年2月27日
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#晴れ金曜 #2022年12月2日 #スペイン戦1対2 #1と2が並ぶ日 #フランスW杯から隔世の感 #ptalfred #12時開店 #20時閉店 https://www.instagram.com/p/ClpX7MFv7oy/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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日記にしなかった14
恋人はわたしの文章を読まない。
喜怒哀楽の喜楽しか共有しない関係で、どこまで行けるのだろうか。
終わりを知っているのと、知らないまま終わるのはどっちが良いのだろう。
ここには何もない。
✳︎✳︎くんは「好き」じゃなくて「愛おしいよ」と言う。
付き合ってすぐの時の話したら「元彼のこと忘れられてないのわかってたよ」「去年冬に別れる前も俺のこと好きじゃなくなってきたんだろうなって知ってた」と言われて、鈍感な人だと思ってたのに本当は思慮深くていつもずっとわたしがそっちを向くのを待っててくれたんだな。それなのに他に行ってしまったのはわたしの方なんだから、わたしはわたしで幸せにならないといけない。「✳︎✳︎ちゃんが幸せだったらそれでいいって思うんです」ってわたしの母に最後話していたらしい。その話を先日、母から聞いて少し泣いた。
晴耕雨読
沈みゆく太陽を見ていた。その朱色が見えなくなって初めて頭上の月に気づく。その月面は空の淡い水色を含ませている。もうそんなに上がっていたのか。いつもそこにいたのに、他が見えなくなってからその美しさを知るみたいなことがこの世には多すぎる。
男の人に絶望してしまうと、ひとりでバイクで洞爺湖に行ったり、サンダル引っ掛けて近所のラーメンを食べに行ったりしてしまう。男の人がいなくても、私はひとりでやっていけるのだぞと世の中に誇示している。反面、なんでもひとりでやっていける自分自身が露呈され、(わたしには誰も必要ないのかもしれない)と気を揉んでしまうまでがいつものセオリーだ。私より屈強な男の人と付き合えばいいのだろうけど、そんな人は森の野花みたいな女性と付き合っている。わたしがなり得なかった女性像。そうなりたいともらなれるとも思わないから最初から諦めている。そして、わたしに引き寄せられるのは強さに縋りたい男の人だったりする。上手くできているなと思う。そうやって神様は、世界が崩壊しないようバランスをとってくださっている。
恋人はわたしの文章を読まない。とここに送信する前に元恋人になってしまった君へ
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#041 @サンジェルマン
クロワッサンをたくさん食べたい願望を叶えるためにサンジェルマンの食べ放題へ。
このご時世だからかパンはすべて袋入り。
クロワッサンのパリパリはなくなってしまうけれど、手に取って食べやすくなるからあまり気にならなかった。
今回のヒットはイチジクとクリームチーズのパン。クリームチーズの酸味は堅めのパンに合うから好き。
ゆっくり噛んで味わえるパンは、あごは疲れるけれど落ち着く。
サンドイッチは甘い系に満足していたタイミングだったので、かぼちゃとチキンにした。
普段の食事でも好きな組み合わせだ。
しめにもう1つクロワッサンを食べて終了!クロワッサンたくさんの予定が結構変わったな。
普段は総菜パンよりも甘い系を好んで食べる方だが、今回は甘いパンは3つ。2回目のフルーツサンドで満足してしまった。
最近外で食べる甘いものにパンチの強さを感じてしまうこともあり。自分の甘いもの耐性が弱くなっているからか本当に以前よりも甘みが増しているからか…自分が思っているよりも甘党ではないのかもしれない。
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夏からの食べ放題体験欲もようやく終わり。
時間制限と量のバランスがいまいちつかめなくて落ち着かないという結論には至ったけれど、色々な種類のものを眺めて選べる楽しみは十分に味わえて満足だった。
今後も行くなら、時間制限のない不二家のケーキセットかな。
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趁回高雄,也跟三年不見的香港好友約在半島海人重聚 沒想這麽久才能再見面,我們回到最常訓練的潛點出水口,看梭魚們,看夕陽,還看到海龜⋯,老友相聚一起出海分外開心,也很珍惜難得的同游。 然後也在半島海人,開了個東加與鯨共游的分享會,未來也許會有合作的機會,But…在自己教練前分享其實很緊張,Harry是個細心嚴謹的教練,能夠在這裡分享真的榮幸,心情開心又有點複雜~希望半島團隊的大家喜歡我的小小分享! 另外眼茫的我,對半島這些優質教練們與管家,也終於有一點點認識了,我真是超怕生的人,但是因為是半島海人呀!希望以後可以多回來! “東加ava’u與鯨共游”八天七夜五天出海: 第一梯 2013/08/26-09/02 第二梯2023/09/02-09/09 ++加開第三梯2023/09/09-09/16 ++ 有意參與包船的朋友歡迎私訊! 來一起跟大翅鯨懸浮~ #海科館一起懸浮的片刻展覽 #2022年10月28到2023年2月28(在 半島海人) https://www.instagram.com/p/ClMFAGjhz2D/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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