Tumgik
#jbプレス
jajihealth · 2 years
Text
日本のエリザベス女王の国葬とゴルバチョフ香淳皇后の「葬儀」は延期された前例を考慮しない? (1/5) | JBプレス
日本のエリザベス女王の国葬とゴルバチョフ香淳皇后の「葬儀」は延期された前例を考慮しない? (1/5) | JBプレス
香淳皇后の「葬式」で見送った先例を考慮しないことにしますか。 つぶやき 故エリザベス女王が新首相にエリザベス・トラス氏を任命(9月6日、写真:代表写真/Reuters/Aflo) 最初の報道はイギリス時間の2022年9月8日午後3時7分でしたが、エリザベス女王が亡くなったと報じられました。 はじめに、心よりお悔やみ申し上げます。 1952年に25歳で即位して以来、96歳で71年間在位。亡くなる2日前の9月6日、リズ・トラス首相(47)に謁見した。実は彼の最後の公務であった保守党の党首であり、任命された。 最後まで王妃としての務めを果たし、立派に逝去されたと思います。…
Tumblr media
View On WordPress
0 notes
grapefruitfromusa · 2 years
Text
「独裁者は自己の発言を必ず実行するものだということを信じなかったために、民主主義諸国は膨大な代償を払わされた」ディーン・ラスク国務長官(ケネディ政権)
ロシアをさまよう「アンドロポフの亡霊」、今も生きるソ連時代の歪んだ理想 世界に理解されないプーチンの思想と論理https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/69937 JBプレス プーチンに影響を与えたアンドロポフ ハンガリー動乱を鎮圧「ブダペストの虐殺者」
0 notes
carguytimes · 6 years
Text
【スズキ・ジムニー試乗】教えて開発者さん!新型ジムニーの気になる点を色々質問してみた
プレス向けの試乗会では、試乗後にエンジニアやマーケティング担当など、関係者の方々と話をする機会があります。新型ジムニーの試乗会でもこうしたチャンスがあり、少しマニアックな質問も含めていろいろ伺いました。 ── 新型ジムニーはユーザーの声を聞いて開発したとのことですが、具体的に話を聞いたのはどのような方なのでしょうか? A:ディーラー及びプロの森林組合の方々や、日常使用しているエンドユーザーの方からお話しをお伺いしました。 ※ジムニーに限らず、ディーラー(販売会社)などを通じて集めたユーザーの声を開発に反映させた事例は珍しくありません。さらに、ジムニーのように用途がはっきりしたモデルに関しては、個別にインタビューなどを行なってオーナーなどのニーズを集めていく例もあります。 ── 用品開発についても、ユーザーからの意見を参考に開発されたのでしょうか? A:ユーザーだけでなく代理店や販売店からの意見も参考に、設定する項目を決定して用品開発をしました。 ── ジムニーのアプローチアングルが先代よりも4°マイナスになったのはなぜですか? シエラでは逆に1°改善していますが… A:万が一の際の歩行者の脚部保護性能確保および荷室長確保のバランスを取った結果です。 ※最近のクルマ作りでは、歩行者との衝突時の頭部保護・脚部保護性能が外観の設計に影響を与える例も多いようです。 ── アクセルペダルからヒップポイントを前後方向に30mm拡大しのは、ドライビングポジションの改善のためですか? A:背の高い方の運転姿勢を向上させるためと居住性向上のためです。 ※あわせて35mm上下するチルトステアリング機構が備わったことで、先代よりも運転姿勢の自由度は高まっています。 ── ヒーター性能は、スズキのほかのモデルと比較して強化されているとのことですが… A:クルマを使うユーザーの使用事例を考慮し、他車よりもヒーター性能が重要と考え、強化しています。 ※寒冷地などの厳しい環境でも活躍するジムニーらしい配慮といえそうです。 ── エアコンユニットのHVAC(Heating, Ventilation, and Air Conditioning)パネルは他車と共通ですか? A:クロスビーなどから一部を流用して新規開発しました。 ── シートフレームは、現行アルトなど、最新の軽自動車で共通化されたものと同じですか? A:一部の部品は共用していますが、ジムニー専用です。 ※現行のアルトでは、超高張力鋼板980MPaを使ったフロントシート用フレームが新開発されています。 ── リアシートがシングルフォールディングでフラットに畳めるようになりましたね。 A:操作性とレイアウトの改善を実現させました。 ※軽自動車に限らず、背もたれを前倒しするだけですむシングルフォールディングが現在の主流になっています。 ── エンジンはアルトと共通の「R06A」ですが、違いはありますか? A:アルトの「R06A」と基本的に同じですが、ジムニー専用にチューニングを行っています。さらに、ジムニーはエンジンが縦置きになるため、アルミオイルパンや吸排気システムを専用開発しています。また、オフロード走行に対応すべく、水や泥などへの対策として専用の補機ベルトシステムを開発しています。 ── 先代のJB23と比較するとスペックでは最大トルクがダウンしていますね A:「K6A」エンジンよりも低速域のトルクを重視し、燃費と走りのバランスを取った結果、スペック上はダウンとなりました。 ※新型ジムニーの最大トルクは96Nm/3500rpmで、先代は103Nm/3500rpm。最大トルクは下がっているものの、実際に乗ってみると低速域からトルクは十分に感じられます。小型のタービンを使ったターボや慣性モーメントの高いフライホイール、低速から高い駆動力を発揮するトランスミッションなどにより実用上のトルクは十分に確保されています。 ── 型式が「JB」のままなのは先代のブランドイメージを引き継ぐためですか? A:ジムニーに限らず、型式の社内規定についてはお答えしていません。 ※以前のスズキの車輌はモデルチェンジ毎に型式名が大きく変っていました。しかし最近では、今回のジムニーやアルト、ワゴンR、ソリオなど、新型に移行しても同じ型式(前半のアルファベットは同じで、後半の数字が大きくなる)を使う例はよくあるようです。 (文/塚田勝弘・写真/前田惠介) 【関連記事】 オフロード専用コースで確認できた新型の進化のポイントは? https://clicccar.com/2018/09/02/623816/ 強化されたボディ剛性と新採用のエンジンが洗練された乗り味を実現 https://clicccar.com/2018/08/27/622443/ あわせて読みたい * 「ピックアップ」や「カブリオレ」は��待できる!? スズキ・エスクード改良型への3つの提案 * 【ジムニー/ジムニーシエラ試乗】運転環境や居住性、乗降性などは先代からどう進化した? * 箱形ボディなど「歴代モチーフ」の理由とは? 新型ジムニーが目指したのは「機能のためのカタチ」の昇華 * 販売好調のスズキ・ジムニーに織り込まれた「ユーザー思い」な工夫とは? * 小型・軽量を活かす!アジアクロスカントリーラリーでもスズキ・ジムニーの活躍に期待 http://dlvr.it/QjVrTT
0 notes
stradarecords · 7 years
Photo
Tumblr media
THEO PARRISH / FIRST FLOOR PART 2 : PEACEFROG (2LP)  [[ repress !! ]] UKの名門Peacefrogから98年にリリースされたファースト・アルバムのPt2が待望の再プレス!ザラついた独特な質感や意図的に歪ませたキックやベースラインが醸し出す漆黒のグルーヴはビートダウン、デトロイト・ハウスを定義付けた記念碑的作品!このPART 2にはカントリー~スワンプっぽいモタついたグルーヴにピアノが絡む「Electric Alleycat」やタイトル通りJames Brownネタのロウファイ・ハウス「JB's Edit」、ヘヴィなキックと少ない音数による空気感がたまらないシリアスなディープ・ハウス「Heal Yourself And Move」等、全5曲を収録!中古市場では高騰していた盤だけにこの機会を見逃しなく! http://www.stradarecords.com/shop/item/17593/index.php #theoparrish #peacefrog  #repress #beatdown #soulmusic  #blackmusic #funk #rawhouse #discohouse #jazzyhouse #deephouse #housemusic #soundsignature  #disco #nudisco #moody #groovy #dj #turntable #record #vinyl #vinyljunkies #analog #stradarecords #recordshop #recordshops #recordstore (Strada Records)
1 note · View note
takuya-sasaki-japan · 5 years
Text
渋谷のバカハロウインの記事なのに川崎ハロウィンの記事を載せるバカげたJBプレス。
本当にこんなバカみたいなポータルビジネスサイトがいるから、渋谷のバカハロウインと池袋・川崎の真面目なハロウインが一緒にされる。 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54522
0 notes
jajihealth · 2 years
Text
『鎌倉殿の十三』で描かれた「参勤交代」の原型。 鎌倉時代から始まる、鎌倉殿(31)の時代 家臣の「参勤交代」 | JBプレス(JBプレス)
『鎌倉殿の十三』で描かれた「参勤交代」の原型。 鎌倉時代から始まる、鎌倉殿(31)の時代 家臣の「参勤交代」 | JBプレス(JBプレス)
鎌倉殿時代(31) 御家人の「参勤交代」 鎌倉遠景。 家臣たちは鎌倉に多くの兵士を駐留させておくことができませんでした。 ギャラリーページへ (城・戦国史研究家:西又宗生) 参勤交代は武家政権の基本理念 江戸時代、各国の大名は多数の家臣を率いて、国と江戸屋敷を定期的に往来する義務がありました。 これがいわゆる「代替交換」です。 この参勤交代は大名の財政力を消耗させるための措置であると言う人もいますが、それは全くの誤解です。 確かに参勤交代は各藩にとって大きな負担でした。 しかし、ある措置が結果的に負担になるということと、それが最初から負担になることを意図していたということは、まったく別の話です。 「参勤交代は大名の財力を吸い取る」という評価は、目的と結果を誤解した言説に過ぎない。…
Tumblr media
View On WordPress
0 notes
jajihealth · 2 years
Text
畠山重忠の居城と梶原景時の屋敷… 南北朝時代以前に築城伝承があったって本当?
鎌倉殿時代(35) 鎌倉武士と城 つぶやき 埼玉県嵐山町菅谷城址 撮影:西俣素生(以下同じ) ギャラリーページへ (城・戦国史研究家:西又宗生) 戦国時代の城としか思えないものがある… 今回は鎌倉武士と城について考えます。 全国の城を訪ねて、そこに立っている説明板を読むと、「鎌倉時代にこの地に最初の城が築かれたと言われている」と書かれているのをよく見かけます。 いいえ、看板だけでなく出版物にも同じことが書かれています。 例えば、東京近郊の城跡である神奈川県藤沢市の大場城は大場景親が築城し、同じく平塚市の岡崎城は岡崎義実が築城した。 また、埼玉県嵐山町の菅谷城は畠山重忠の築城と伝えられ、城址には重忠の像が立っています。 大場城跡に残る巨大な空濠(神奈川県藤沢市) ギャラリーページへ しかし、実際にこれらの城址を探索してみると、その規模や構造から戦国時代の城としか思えません。…
Tumblr media
View On WordPress
0 notes
jajihealth · 2 years
Text
9児の大家族を育てる「買い物の基準は、これがないと死ねない」 石田さんの大家族 石田智恵子さん (1/3) | JBプレス(JBプレス)
9児の大家族を育てる「買い物の基準は、これがないと死ねない」 石田さんの大家族 石田智恵子さん (1/3) | JBプレス(JBプレス)
石田さんの大家族 石田智恵子(前編)  子育ての理論や教育方法は数多く知られていますが、子育ては理想的なものではありません。 だからこそ、机上の空論だけでなく、実際に日々悩み、模索しながら子育てに向き合ってきた先輩方の生の声を聞きたい。 そんな思いで、子育て経験のあるシニアパパ・ママの「子育て論」に耳を傾けるシリーズです。 今回は大家族シリーズ「男7女大家族 石田さん」(日本テレビ)のお母さん、石田智恵子さんにお邪魔しました。 一人っ子でも行ったり来たりの子育て。 九つ子を育てる千恵子流を聞く。 編集・文:石渡浩子 写真:村松香典 石田智恵子7男2女の母として、日本テレビ系「岡族石田さんち」で紹介され、日本一の大家族の母親として知られる。 子育てが落ち着いた今は、介護施設で暮らす母の面倒をみながら、講演会やボランティア活動を行っている。 ギャラリーページへ 気がつけば大家族。…
Tumblr media
View On WordPress
0 notes
ari0921 · 2 years
Text
#jbpress 織田先生よりシェア
日本人を思考停止に追い込んだ非核三原則、見直しが急務
織田 邦男
ロシアによるウクライナ侵略戦争の出口が見えない。
 この戦争で明確になったことは、国連の常任理事国が、核の脅しを背景に、力による現状変更、つまり侵略戦争を始めれば誰も止められないということだ。
国連は無力な醜態を晒し、米国は早々に武力不行使を宣言した。
 ウラジーミル・プーチン露大統領は2014年のクリミア併合を巡るインタビューで、「核兵器を使う用意があった」と述べた。
 ジョー・バイデン米大統領が早々に米軍は派遣しないと宣言したのも、この発言が多分に影響を及ぼしている。
 戦略家エドワード・ルトワックは「核兵器は使われない限り有効」と喝破した。核はなるほど使い難い兵器になった。広島、長崎以降、核は使用されていない。
 では核は無駄かというと残念ながら現実はそうなっていない。核による威嚇、恫喝が極めて有効であり、外交力、国防力を格段に向上させることをロシアは世界に証明してみせた。
 日本にとって、これは他人事ではない。
 我が国の隣には、もう一つの「力の信奉者」である常任理事国、中国がいる。中国は台湾併合を国家目標と掲げ、武力併合を否定していない。
 中国が台湾武力併合に動いた時、習近平国家主席が「米国が参戦すれば、核の使用も辞さない」と言えば米国はどう動くのだろう。
 台湾有事は日本有事である。核をちらつかされても日本は台湾への支援を実施するのか。
 核に対しては核である。核を通常兵器で抑止することはできない。
 日本への「核の傘」は果たして有効なのか。ウクライナ戦争の現実をみて、不安を覚える国民が増えたようだ。
 NATO(北大西洋条約機構)の「核共有」の話題が降って湧いた。
 世論調査では、核共有について賛成が約2割、核共有については反対だが、核の議論はすべきが約6割あった。国民の約8割が核について議論すべきと考えている。
先日、安倍晋三元総理が核の議論を提起した。これだけで有力メディアはヒステリー気味になり、バッシングが起こり、言論封殺の空気が蔓延した。
 メディアは国民の感覚と相当ずれている。
 安全保障政策は国民の自由闊達な議論の末に決定されなければならない。それは核抑止政策についても同じはずだ。
 日本はこれまで「核」と言った途端、思考停止してきた。非核三原則に「考えない」「議論しない」を加えた非核五原則だとも言われてきた。
 そのせいか、核に対する国民の知識レベルは驚くほど低い。
 こちらの方がよほど恐ろしい。正しい知識をもって、自由闊達な議論が行えるようにしなければ国を誤ることにもなりかねない。
「核共有」(Nuclear Sharing)についても、政治家、メディアの知識レベルは低い。
 冷戦時、NATOの最大の課題はソ連の機甲部隊を阻止することであった。
 ソ連機甲部隊がウクライナからポーランドを経て欧州に進撃するのに、これを邪魔する山はない。
 幅約300キロ以上にわたる前線に、何千という戦車が一斉に雲霞のごとく押し寄せることが想定された。
 これを阻止するには、とてもNATOの通常戦力では足りない。そこで米国は戦闘機に戦術核を搭載し、これを空から阻止する作戦を立てた。
 だが、米軍の戦闘機を総動員しても手が足りない。そこで米軍以外のNATOの空軍にも支援を求めたのが「核共有」である。
 現在、核共有しているのは、ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギー、トルコの5カ国 、6カ所(イタリアが2カ所)であり、約150の核爆弾(B61)が保管されている。
冷戦の最盛期には最大約7000の戦術核がNATO加盟国に配備されていた。
 ソ連の防空網をかいくぐって戦術核を機甲部隊に落とすため、超低高度を高速で侵出し、目標手前で急激に引き起こし、上昇角度約45度で戦術核を切り離す。
 戦術核はそのまま上昇し放物線を描いて落下する。その間の時間を利用して爆発地点からできるだけ遠くに離脱し、核爆発で自機を損傷しないようにする。
 この爆撃方法を「トスボンビング」と呼んでいる。
 いわば敵と刺し違える危険な戦法なので、訓練でも事故が多発した。西ドイツはこのために超音速戦闘機「F104」を導入したが、事故の多さに「未亡人製造機」と揶揄された。
 冷戦終了後、ソ連が崩壊し、機甲部隊の大規模進撃想定も幻となった。核共有も役目を終え、約7000発の戦術核も徐々に削減されていった。
 だが2014年、ロシアによるクリミア半島併合が起きた。プーチン大統領の「核を使う用意」の発言があり、削減は凍結され、現在、5か国に約150発が残された。
 現在は機甲軍団の進撃阻止という戦術的目的ではなく、米国の「核の傘」の信頼性を向上させる、いわば「安心」の提供が目的となっている。
 核使用については、NATOが決心して米国と核共有国が実行する。その際、米国が拒否すれば核共有国も核使用はできない。
 逆に米国が同意しても、核共有国が拒否すれば共有した核は使用されない。
 だが、核共有国が拒否しても米国は単独で核使用ができるため、事実上、米国が決心すれば、核共有国も核使用は不可避となる。
 核共有は、いわば「レンタル予約」と表現した学者もいる。米国の核を予約しているだけで、米国がノーと言えば共有国が単独で使用することはできない。
核共有国のメリットは、核使用の協議や作戦計画策定に参画できることである。
 米国、英国、フランスという核保有国が勝手に核使用を決断するのではなく、非核国も核使用のプロセスに参画できるメリットは大きい。安心感が「共有」できる。
 日本で核を議論する場合、欧州の「核共有」は参考にならない。中国の戦車が雲霞のごとく海を渡って攻めてくるわけでない。船舶であれば核でなくても対処できる。
 結論から言うと、日本に今求められているのは、今後とも「非核三原則」を続けるか否かの議論である。
 中国は通常兵器のみならず、核兵器でも米国を凌駕しようとしている。
 ロイド・オースティン米国防長官は、中国は2030年までに核弾頭を約1000発に増勢し、核戦力の3本柱(地上配備、潜水艦発射、戦略爆撃機搭載)強化を目指していると述べた。
 戦略核も問題だが、日本にとっては、中距離核戦力が既に米中で著しく不均衡になっている問題が大きい。
 1970年代後半、ソ連は中距離核ミサイル(SS20)を配備した。核の不均衡が生じ、「核の傘」に疑念を抱いた欧州はSS20と同等の中距離核戦力(パーシング II、地上発射巡航ミサイル)の欧州配備を米国に迫った。
 核配備で均衡が実現するや、米ソ軍縮交渉が始まり、1987年、中距離核戦力は全廃された。
 軍拡によって軍縮を実現した成功例であるが、皮肉にもこの成功が米中の中距離核戦力の著しい不均衡を生んだ。
 条約の制約を受けない中国は、日本、グアムを射程に収める中距離ミサイルを着々と整備し、今や1250基が配備されている(米議会報告)。
 これに対して米国はゼロであり、著しい不均衡が生じた。憂慮したドナルド・トランプ政権はINF条約から離脱し、中距離核戦力を急ピッチで再構築中である。
「力の不均衡」はウクライナを見るまでもなく、戦争の可能性を高める。
「力の信奉者」である中国への抑止が崩れれば、東アジアの平和と安定は危うくなる。核による威嚇、恫喝を無効化し、日本に向けられた中距離核戦力をどう廃絶させるか。
 2021年3月、米インド太平洋軍司令官は議会に要望書を提出した。
 中国への抑止は崩れつつあり、完成した中距離ミサイルは第1列島線(九州から沖縄、台湾、フィリピン、南シナ海に至るライン)に配備すべしとの要望である。
 英国のマーガレット・サッチャー首相やドイツのヘルムート・シュミット首相(当時)が、反対世論を押し切って米国の中距離核戦力を持ち込み、均衡をとり戻して中距離核戦力を全廃したように、まずは「力の均衡」を取り戻し、米中の核軍縮交渉を開始させねばならない。
 日本は積極的に受け入れるべきである。
 中距離ミサイルは核弾頭も搭載可能である。米国は否定も肯定もしない(Neither confirm nor deny)戦略をとっている。
 日本に配備する場合、当然、非核三原則に抵触する。ことは日本および東アジアの安全保障である。そのために必要であれば、非核三原則も見直すべきだ。
 平和の確保が目的であり、非核三原則の継続自体が目的であってはならない。この議論が今求められている。
 自民党は3月16日の安全保障調査会で、「核共有」をはじめ核抑止に関して勉強会を開いた。
 だが「唯一の戦争被爆国として、世界平和に貢献する我が国の立場は絶対に崩すべきではない。『(非核三原則は)国是』とは大変適切な言葉だ」とさしたる議論もなく結論ありきで思考停止した。
この1回で検討は終了し、継続もしないという。まさに「アリバイ作り」で終わった。
「非核三原則」は我が国の安全のためになっているのかという国民の疑問に答えていない。もし「非核三原則」を続けることが日本の安全保障にマイナスであれば、見直すべきである。
 安全保障政策は感情に流されてはならない。日本の国民、領土領海を守るには、いかなる政策が必要なのか。政治家は現実を直視すべきである。
「あやまちを繰り返さないため」にも、「非核三原則」の継続が目的であってはならないし、金科玉条であってはならないのだ。
116 notes · View notes
ari0921 · 2 years
Text
人ロケット技術者が米国亡命、ベール脱ぐ極超音速ミサイル
渡部 悦和
 英国のタブロイド紙デイリー・エクスプレス(Daily Express)は1月23日、情報筋の話として、中国人ロケット科学者が米国に亡命したために、中国当局に衝撃が走っていると報道した。
 この亡命者は大物の科学者で、映画「007」で有名な英国の秘密情報部(MI6)が亡命の手助けをしたと報道されている。
 周知のとおり、MI6は英国の対外諜報機関で、国外の政治・経済などの秘密情報の収集・情報工作を任務としている。
 亡命した中国人は、有名な国営企業である中国航空工業集団(AVIC)に所属し、中国が誇る極超音速滑空兵器(HGV)である「DF-ZF」(「東風ZF」、NATOコードネームでは「WU-14」と呼ばれている、図1の写真でDF-17と書かれた部分)の開発に重要な役割を果たした科学者だった。
 DF-ZFは、弾頭として中距離弾道ミサイル「DF-17」に搭載され、マッハ5以上の高速で飛翔し、射程約1000~1500マイル(1600~2400キロ)の目標を攻撃する極超音速兵器になる。
 以下、DF-ZFを搭載したDF-17をDF-17極超音速滑空ミサイルと呼ぶ。
 極超音速滑空ミサイルについては、米中露などの主要国の間で熾烈な開発競争が行われているが、特に中国のDF-17極超音速滑空ミサイルの実験は頻繁に行われ、部隊配備されているとも言われていて、米国の専門家の間でも評価が高い。
 その情報は、中国にとって極秘中の極秘であり、他国への流出などあってはならないことだ。
 さらに亡命した科学者は、DF-ZFのみならず人工衛星の軌道を利用して米国を攻撃する極超音速ミサイル運搬システム「部分軌道爆撃システム(FOBS:Fractional Orbital Bombardment System)」の開発にも関係したという。
 つまり、亡命者を確保した米国は、中国の極超音速滑空兵器のみならず、FOBSに関する中国の極秘情報も入手することになる。
 これは中国と技術覇権争いを展開する米国にとっての画期的成果になる可能性がある。
 今回の亡命事件は日本の安全保障にも影響を与えることなので、簡単にまとめてみた。
▪️亡命の経緯
 2021年9月末、亡命した30歳代の中国人科学者は香港の英国情報機関に初めて接触し、中国の極超音速滑空兵器に関する詳細な情報を持っていることを明らかにした。
 科学者は、亡命計画が発覚すれば中国に死刑を宣告されることを承知の上で、妻子とともに亡命することを希望したという。
 その連絡を受けたMI6のロンドン本部は、情報部員2人と技術部員1人の3人で、香港に向かったが、その際にCIAにも連絡した。
 このため、MI6チームには、CIAの2人も加わったという。
 MI6とCIAは当初、この科学者が北京の工作員であることを懸念していたという。
 しかし、科学者の人物や資格を確認する過程で、この科学者が中国の最新の極超音速兵器開発について、詳細な情報を有していることを確認した。
 科学者から提供された技術情報のほとんどは彼の頭の中に入っていたが、技術データを密かに持ち出すことも可能であったという。
 亡命希望者は家族とともに英国旧植民地に渡航し、その後ドイツの米軍基地へ、そして英国経由で米国へ飛ぶ脱出計画が実行に移された。
 この30代の科学者が西側に逃亡した理由は、イデオロギー的な理由ではなく、中国での極超音速滑空兵器の開発で重要な役割を果たしたにもかかわらず、昇進を拒否されたことへの憤りであった。
 自分の才能を認め、もっと高く評価されるべきだという確固たる信念からだった。
 共産党一党独裁体制でも人の心をコントロールすることはできなかったのだ。
DF-17極超音速滑空ミサイルについて
 亡命者が開発に携わったDF-17極超音速滑空ミサイルについて簡単に紹介する。
 DF-17は、中国が世界に誇る極超音速滑空兵器DF-ZFを搭載可能な中国の固体燃料式・道路移動型・中距離弾道ミサイルである。
 DF-17 は、DF-ZFの予測不可能な軌道により、敵の弾道弾迎撃ミサイル(ABM)による迎撃を難しくしている。
 DF-17はDF-ZFとともに、2019年10月1日の国慶節軍事パレードで正式に披露された中国初の極超音速滑空ミサイルであり、世界で初めて完全初期運用に入ることになった。
 DF-ZFの軌道は低高度に抑制されるため、敵のABMにとって、通常の再突入体よりもはるかに迎撃が難しく、複雑なものになる。
 また、滑空することでDF-ZFの機動性が高まり、射程距離が伸びるとともに、潜在的なABMの迎撃を避けるため、さらに複雑なものとなっている。
 加えて、DF-17はDF-ZFではなく通常の再突入体(核・非核の弾頭)を搭載することも可能である。
 DF-17のプロトタイプの実験は2014年1月から2017年11月までの間に少なくとも9回の試験飛行が行われ、成果を出している。
 米国は、極超音速ミサイルの開発において、中国のDF-17に遅れていると認識していて、米国の極超音速ミサイルの開発を加速している。
 いずれにしろ、今回の中国科学者の亡命により米国に非常に貴重な情報がもたらされることになるだろう。
部分軌道爆撃システム(FOBS)について
 亡命者が関与したFOBSについても説明する。
 FOBSは、旧ソ連が1960年代に開発したが、1979年に調印された米ソ間の第2次戦略兵器制限交渉(SALT Ⅱ)で禁止されたものだ。
 図2を見てもらいたい。FOBSでは、発射したミサイルを一度、衛星軌道に乗せ、地球を一回りする前に飛翔体を降下させ目標に突入させるもので、衛星爆弾とも呼ばれる。
 FOBSは、米国の弾道ミサイル防衛の弱点を突くシステムであり、ICBMなどの弾道ミサイルよりも対処が難しいと考えられている。
 中国は2021年8月、FOBSらしき新型ミサイル実験を行った模様だ。
 2021年11月16日に公開された米テレビ局CBSによるインタビューで、ジョン・ハイテン米国統合参謀本部副議長は、「ミサイルは地球を一周し、そこから切り離された飛翔体は、中国国内の砂漠に設営された目標から40キロ離れた地点に着弾した」と話している。
 これは中国が2021年8月に実施した実験で、従来の弾道ミサイルに極超音速滑空兵器(HGV)を搭載するのではなく、衛星打ち上げロケット長征を使ってHGVを周回軌道に乗せて地球を一周し、HGVを切り離して目標を攻撃するものだ。
 つまり、新型ミサイルは、通常の弾道ミサイルとは違う軌道を採用した。
 中国から南に向けてミサイルを打ち上げ、大気圏から宇宙に入り、気象衛星と同じように、南極・北極を回る「極軌道」で地球を一周。再び中国上空に戻ると、そこからHGVを発射し、砂漠の目標近くに着弾させたという。
 これにより中国はロケット発射基地から地球全域に対し打撃する能力を持ち、打撃の前の警告時間も短くすることが可能になる。
 なお、FOBSは、北極回りの弾道ミサイルに備えた米国の弾道ミサイル防衛(BMD)の弱点である、南極周りの地球周回軌道を利用するケースが多い。
 さらに、中国のミサイルは単なるロシアのFOBSのコピーではなく、軌道上から地上へ向けて発射されたのは、最高速度がマッハ20にも及び不規則な軌道を描くHGVだったのだ。
▪️北朝鮮もFOBS技術保有の可能性
 FOBSについては、中国やロシアの専売特許ではなくて、北朝鮮もその技術を保有しているという情報がある。
 電磁パルス攻撃(EPM攻撃)の研究で有名な米国のピーター・プライ博士によると、北朝鮮はFOBSの実験を行い、その技術を持っている可能性があるという*1。
 北朝鮮は 2012年12月12日、衛星「光明星3号(KMS-3)」の発射と周回に成功した。
 そして、2016年2月7日には衛星「光明星4号(KMS-4)」の発射と周回に成功した。
 その衛星軌道は、ソ連が米国に対して高高度電磁パルス(HEMP:High-altitude EMP)攻撃を行うために開発した「部分軌道爆撃システム」の軌道と類似している。
 つまり、北朝鮮のロケットは、米国の方向(北方向)ではなく、南の方向に打ち上げられ、南極軌道上の衛星となりスーパーEMP弾を運んだ。
「スーパー EMP衛星」は、米国の対弾道ミサイル防衛体制の手薄な南方向から米国に接近し、全州をHEMP攻撃の影響圏に置く最適な高度を周回している。
 今や、北朝鮮は、スーパーEMP衛星で米国を含む地球上のすべての国を攻撃する能力を備えていることになる。
 以上のような分析は我々日本人には馴染みがないかもしれないが、注目すべき分析であることを強調しておく。
 そして、今回の中国人科学者の亡命事件は、北朝鮮のFOBSにまで焦点を当てる結果になった。
 北朝鮮は、FOBSのみならず、HGVに似たミサイルの発射実験を行っている。中国のみならず、北朝鮮の動向にも警戒が必要な理由がここにある。
*1=Peter Vincent Pry,“North Korea EMP Threat-North Korea’s Capabilities for EMP Attack |EMP Shield”
科学者亡命の影響
 科学者の亡命は、中国のみならず米国や日本にも大きな影響を与えるであろう。
 人民解放軍を研究してきた私にとって、今回の亡命事件で今まで分からなかったことが明らかになるだろうという期待感がある。亡命の影響を以下に列挙する。
①米中露を始めとして多くの国々が最先端兵器開発の焦点としている極超音速滑空兵器HGVについて、中国の技術レベルが明らかになるであろう。
 中国のHGVの技術が本当に米国の技術を超えたものなのか。HGVの命中精度はどの程度のものなのか。地上に存在する大きな固定目標に対してであれば命中するかもしれない。
 しかし、動いている艦艇(例えば米海軍の空母)が目標であるならば、本当に命中するのか。この点に関して私は懐疑的に見ている。
 たとえ停止中の艦艇が目標であったとしても、マッハ5以上の極超音速で不規則な飛行をしながら、目標に本当に命中するのか。中国の技術レベルを知る絶好のチャンスだ。
②米国や英国は、亡命科学者からもたらされた情報をもとに、HGVの開発を加速することができるかもしれない。
③FOBSやHGVは、中国やロシアのみならず北朝鮮も開発を行っており、その技術の一部を保有している可能性がある。
 日本の安全保障を考えた場合、中国、ロシア、北朝鮮の連携に対して、日米英の連携を深めるべきであろう。
④中国にとって科学者の亡命はショッキングな出来事である。
 流出するHGVなどの技術情報を無効にする措置を取るには最低2年はかかると言われている。この間に、日本もHGVの開発に目途をつけるべきであろう。
▪️おわりに
 今回の亡命事件は、米国にとっても日本にとっても良いチャンスである。
 特に日本は、このチャンスを最大限に利用して、人民解放軍をはじめとする中国情報の入手に努め、日本の防衛を強化するべきであろう
110 notes · View notes
ari0921 · 2 years
Text
織田先生よりシェア
準備は整った中国の台湾侵攻、日本も間違いなく戦場になる
習近平の決意は本物、もはや「対岸の火事」では済まされない
2021.11.25(木)
織田 邦男
する
 テレビのあるワイドショーで台湾に関するアンケート結果を公表していた。
 日本は「台湾有事に軍事的にかかわるべきか」という設問に対し、「関わるべき」が71%、「関わるべきでない」が18%、「どちらとも言えない」11%であった。
どこか他人事のメディア人
 筆者は大変驚いた。驚いたのはこの数字より、設問である。
「台湾有事」は好むと好まざるとにかかわらず、「日本有事」になる。軍事的常識があれば、沖縄、先島諸島は少なくとも戦場になることは分かるはずだ。
 フォークランド紛争、湾岸戦争、イラク戦争などからも容易に想像がつく。
 この設問を作った人は、台湾有事について日本が「軍事的にかかわらず」に済ませることができるとでも思っているのだろうか。
 コメンテーターが誰一人これを指摘しなかったことも問題だ。
 現代戦はサイバー戦、心理戦、世論戦などから始まるが、武力行使は制空権奪取から始まる。台湾から与那国島まで110キロしか離れておらず、戦闘機では7分もかからない。
 台湾で事が起きると、指呼の間にある日本の領土は否応なく戦場にならざるを得ない。
このアンケートを企画した人は、平均的日本人だと思う。だが、台湾有事を「ベトナム戦争」の感覚で観ていることに驚いてしまう。
 またぞろ米国の戦争への「巻き込まれ論」の再生である。
沖縄県民140万人をどう守るのか
 軍事を教えてこなかった戦後教育のつけが、こんな形で出てきたのかもしれない。もし日本の政治家が、この程度の認識であれば恐ろしいことになる。
 国民の71%が「かかわるべき」と応えているが、設問にはおかしいと感じつつも「かかわらざるを得ない」と考えたのだろう。
 一般国民の方がよほど常識的な感覚を示している。少しホッとする。
 台湾有事という危機は日本にとって2つの深刻さがある。一つは先述のとおり、日本の領土、少なくとも南西諸島が戦場になるということだ。
 沖縄県民140万人の命をどのように守るのか、先島諸島に住む約10万人の国民をどのように安全に避難させるかなど喫緊の課題は山盛りである。
 2つ目は台湾が中国の手に落ちた時の深刻さである。
 もし台湾が中国に屈服し、中国海軍、空軍が台湾に常駐するようになれば、日本のシーレーンは容易に中国に押さえられる。
貿易立国の日本、資源の大半を海外に依存する日本にとってシーレーンは生命線である。このシーレーンが押さえられれば、中国の属国に成り下がらざるを得なくなる。
 台湾有事は日本存亡の危機ともいえる。
習近平主席の本気度
 だからこそ、中国に対し台湾有事を起こさせないよう、外交はもとより、価値観を同じくする国が一致結束してハード、ソフトの「抑止力」を整えなければならないのだ。
 日本の最大の問題は、アンケートの設問にみられるように、台湾有事がどこか「対岸の火事」的感覚で捉えられていていることだ。
 危機に対する当事者意識が日本人にないこと、これが最大の危機である。
 2021年7月1日、中国共産党創建100年にあたり、習近平党総書記は「台湾問題を解決し、祖国の完全な統一を実現することは、党の歴史的な任務だ」と強調した。
 10月9日の辛亥革命110周年記念大会では、「祖国の完全な統一は必ず実現しなければならない歴史的任務であり、必ず実現できる」と述べた。
 11月16日(日本時間)に行われたオンライン米中首脳会談で、ジョー・バイデン大統領が「台湾海峡の平和と安定を損なう一方的な行動に反対」すると述べると、すかさず習近平氏は「台湾独立派がレッドラインを突破すれば、断固たる措置を取らざるを得ない」「火遊びする者は焼け死ぬ」と警告した。
 軍事的にみれば、この1~2年に台湾武力侵攻が可能なほど軍事力が十分整っているとは言い難い。
ただ米国の参戦がなければ、明日でも台湾の空中、海上封鎖は可能である。
 現在、中国海軍艦艇数は約350隻、米海軍は293隻であり、世界最大の海軍の座は既に中国に奪われている。
台湾侵攻への法整備は整った
 台湾侵攻のための中国国内の法整備は既に整った。
 2010年に国防動員法、2015年には国家安全法が施行され、2017年には国家情報法およびサイバー・セキュリティー法、そして2021年には、改正国防法と海警法が施行された。
 主権や領土の保全に加えて、海外権益などを軍事力で守る方針を明記しており、軍民の総動員は可能になった。
 台湾の武力統一は起こるか否かではなく、いつ起こるかという段階にきている。
 日本人は危機を直視し、危機の未然防止のために、あらゆる手立てを尽くさねばならない。
「危機を未然に防止する者は決して英雄になれない」といわれる。英雄はいらないのだ。
83 notes · View notes
ari0921 · 2 years
Text
JBプレスよりシェア
渡部悦和先生の論考です。
バイデン政権の「情報戦」に敗北したプーチン
ウクライナ侵略を予期し発足した「タイガー・チーム」の働き
2022.3.1(火)
渡部 悦和
 
 ロシアの大統領・ウラジーミル・プーチンは2月24日、ウクライナに対する大規模な攻撃を命じた。
 主権国家ウクライナに対するプーチンの暴挙は、明らかな国際法違反であり、ウクライナのみならず欧州および世界の安全保障体制を根本から揺るがしている。
 最近、私は情報戦(IW: Information Warfare)について書籍『日本はすでに戦時下にある』(ワニ・プラス)を書いたり、講演することが多くなってきた。
 情報戦は現代戦において最も重要で基本的な戦い(warfare)であり、「攻撃と防御の両方の作戦を含む、競争上の優位性を追求するための情報の使用と管理に関する戦略」と定義される。
 この情報戦は、ロシアがウクライナを併合した時に採用したとされるいわゆるハイブリッド戦(Hybrid Warfare)の重要な構成要素であり、特に中国やロシアは重視し採用している。
 情報戦は幅広い概念で、情報を使って相手のものの見方・考え方や行動をコントロールして目的を達成しようとする政治戦、影響工作(Influence Operation)、心理戦、認知戦などを含んでいる。
 中国などはさらに、サイバー戦、宇宙戦、電磁波戦など情報が関係するあらゆる戦い(Warfare)を情報戦の範疇に入れている。
 情報戦は、平時および戦時を通じて行われるが、特に戦争開始前の情報戦は非常に重要である。
 平時において情報戦が成功すると、孫子が言うところの「戦わずして勝つ」ことができる。
 ロシアや中国は情報戦大国である。
 しかし、プーチンのロシアは、今回のウクライナ侵攻前後の情報戦において、ジョー・バイデン大統領の米国に敗北した。これが私の結論である。
 本稿においては、なぜプーチンはバイデン政権との情報戦に敗北したのかについて説明する。
バイデン政権が実施した「開示による抑止」
 バイデン政権の政府高官らが、2月に入ってから積極的に会見やインタビューに応じ、ロシア軍の兵力数、部隊の配置状況、ウクライナに攻撃を開始するか否か、攻撃するとすればその時期、攻撃の要領(攻撃目標、攻撃方向、兵力)といった機密情報を次々と開示した。
 例えば、米国務省のネッド・プライス報道官は2月16日に「ロシア当局者がウクライナ侵攻の口実となるような偽情報を報道機関に広めており、多くの誤った主張が拡散している」と警告した。
 また、2月23日には「ロシア軍の80%が臨戦態勢に入っている。プーチン大統領はいつでもウクライナに侵攻できる状態にある」「ロシア軍はウクライナ国境において、北・南・東から攻撃する態勢を完了している」、24日には「大規模侵攻が48時間以内に迫っている」「事実上、いつでも攻撃可能である」などと情報を開示した。
 バイデン大統領みずからも「侵攻は数日中にもある」「プーチン大統領は侵攻を決断したと確信している」などと発言した。
 このように米国政府は機密情報をあえて積極的に開示する異例の戦略を取ってきたが、安全保障の専門家でもこのバイデン政権の情報開示に驚いた。
 NHKのWEB特集 によると、この戦略は「開示による抑止(Deterrence by disclosure)」と呼ばれるもので、相手側の機先を制し、行動を抑止するのが狙いだ。
「開示による抑止」の具体的な目的は以下の3点だ。
①ロシア側の行動の機先を制し、ロシア側の状況を把握していることを明らかにし、攻撃の中止などの行動の変化を促す。
②ロシア側の偽情報を早めに開示することにより、世界にロシアの嘘を明らかにし、ロシアの偽情報を根拠とする侵攻の正当化を防ぐ。
③ロシア側の手の内を明らかにすることで、同盟国や友好国との相互理解・連携を密にし、ロシア側の行動に先んじて対応策を講じる。
 当然ながら機密情報を開示することで、以下のような問題も発生する。
①情報源を危険にさらしたり、情報収集の方法を知られるおそれがある。
②侵攻が間近に迫っていると繰り返すことで、「オオカミ少年」の非難を受ける可能性がある。
③開示した情報どおりにならなければ、バイデン政権自身が信用を失うことになる。
バイデン政権が情報発信を強化した背景には2014年にロシアによるウクライナ領クリミア半島の併合を許した失敗の教訓がある。
 当時のバラク・オバマ政権は情報開示に消極的で、欧州の同盟国などにも情報を十分に伝えなかったという。
 オバマ政権の元高官は、「知っている情報を世界に発信すれば、我々の利益になると思ったことが何度もあった」と振り返っている。
 私は、バイデン政権が「開示による抑止(Deterrence by disclosure)」を採用したことは適切だったと思っている。
 バイデン政権が開示した多くの情報は正確であったことは大多数の識者が認めるところだ。
 確かに、「開示による抑止」によってプーチンのウクライナ攻撃を抑止できなかった。しかし、「開示による抑止」により、プーチンの主張の欺瞞性を世界に明らかにできた。
 また、米国と同盟国や友好国との相互理解は深まったし、機先を制する米国の情報開示にプーチンの対応が難しくなったことは確かであろう。
 結論として、プーチンの嘘(ロシアはウクライナ侵攻計画を持っていない、米国が戦争を煽っている、ロシア軍は撤退をしている、ウクライナがロシア人に対するジェノサイドを行っているなど)に基づく情報戦は、バイデン政権の「開示による抑止」に敗北したのだ。
「開示による抑止」を可能にしたのは、バイデン政権がロシアのウクライナ侵攻に対処するために編成した「タイガー・チーム」の存在が大きい。
タイガー・チームとは何か
 以下の記述は、2月14日付のワシントンポスト紙の記事(Inside the White House preparations for a Russian invasion)に基づく。
 タイガー・チームは2021年11月に正式に誕生した。
 国家安全保障担当のジェイク・サリバン大統領補佐官が国家安全保障会議(NSC)のアレックス・ビック戦略計画担当ディレクターに、複数の省庁にまたがる計画策定の指揮をとるよう依頼したことが始まりだ。
 ビック氏は、国防省、国務省、エネルギー省、財務省、国土安全保障省に加え、人道的危機を所掌する米国際開発庁を加入させた。
 また、情報機関も関与させ、ロシアが取り得る様々な行動方針、それに対するリスクと利点などを検討したという。
 シナリオには、サイバー攻撃、ウクライナの一部だけを占領する限定的な攻撃、ヴォロディミル・ゼレンスキー政権を崩壊させ、国土の大半または全部を占領しようとする全面的な侵攻まで幅広いシナリオを想定し、侵攻から2週間後までの対応策をまとめた「プレイブック」を作成した。
 この「プレイブック」を基に現在もロシアの侵攻に対処している。
 ロシアを抑止するために検討してきたテーマは、欧州などと協調した外交努力や経済制裁、米軍の展開、ウクライナへの兵器支援、大使館の警備体制など幅広い。
 以上のような取り組みは、起こりうる事態を予測するのに役立っただけでなく、ロシアの情報戦に先手を打ち、その意図を事前に暴露し、ロシアのプロパガンダ力を削ぐことであった。
プーチンを信じ彼を擁護し続けた日本人
 最後に、ロシアの情報戦を信じて「プーチンは悪くない。米国の陰謀だ」「すべて米欧が悪い」と思い込んでいる日本人について書きたい。
 タイガー・チームの編成と「開示による抑止」により、プーチンの主張の多くが嘘であることは世界に提示された。
 しかし、その嘘をいまだに信じる日本人が相当数いることには驚きを禁じ得ない。
 これは、ソーシャルメディアの誕生と密接な関係がある。 ソーシャルメディアがなかった一昔前には、プーチンやロシアを擁護する歪んだ意見を持つ人々が世界に発信するチャンネルがなかった。
 しかし、今や一般人がソーシャルメディアを通じて自らの主張をしつこく繰り返すようになっている憂慮すべき現状がある。
 実例を挙げよう。筑波大学の東野篤子准教授は、各種メディアにおいてウクライナ・ロシア情勢について立派な的を射た解説をされていた。
 ところが、彼女はツイッターで偽情報を信じる陰謀論者に攻撃されていることを以下のように訴えている。
「コメント欄がここしばらく荒れてきまして、定番の『すべて米国の陰謀』や私への罵倒だけではなく、明らかに誤った分析を事実であるかのように開陳してしまわれる方も増えてきました」
「人の命がかかっている状況で、弊アカウントがディスインフォメーションの拡散に間接的に加担することは避けたいので、大変恐縮ですが当面、私がフォローしている方以外がコメント出来ないよう設定させていただきます」
「自分が『正しい見方』を教えてやるからありがたく思え!という方、全部米欧のせいだと仰りたい方、色々いらっしゃると思いますし、色々な見方があってよいのですが、そのご披露はどうか私へのコメントではなく、ご自身のアカウントで自己完結させていただくようお願いします」
国際政治や安全保障を学んだ者の大部分は、「ロシアのウクライナ攻撃の責任はプーチンにある。プーチンが命じたウクライナへの攻撃は国際法違反である」と言っている。
「ロシア軍によるウクライナ侵攻反対」というデモがロシア国内でさえ起きている。
 プーチンこそが、今回のロシア軍によるウクライナ侵攻の責任を負うべきであることを強調する。
 そして、ソーシャルメディアを通じた情報戦にいかに対処するかという大きな課題があることを指摘したい。
おわりに
 ロシア軍のウクライナでの攻撃は続いているが、米欧諸国はロシアの一部銀行に対するSWIFT(国際銀行間の送金・決済システム)からの排除、ロシア中央銀行への制裁などの強い制裁を発動した。
 この制裁によりロシア国内の経済・金融は大混乱に陥るであろう。
 プーチンのウクライナ侵攻は、戦略的には明らかに失敗であり、その後始末に苦労するであろう。
 現代戦は、全領域戦(All-Domain Warfare)がその��質である。
 全領域戦とは陸・海・空戦、サイバー戦、宇宙戦、電磁波戦、情報戦、外交戦、経済制裁などの経済戦、法律戦などを含むあらゆる手段を駆使した戦いである。
 バイデン政権のタイガー・チームの編成は、全領域戦の実践であると私は思う。
33 notes · View notes
ari0921 · 2 years
Text
80年前の歴史的大失態と並べられるバイデン「宥和」外交の不安
古森 義久
 近代の外交政策で“歴史的な失態”という評価が定着した実例は、イギリスの首相ネヴィル・チェンバレンのナチス・ドイツ総統アドルフ・ヒトラーに対する宥和である。1938年のミュンヘン会議でチェンバレンはドイツによるチェコスロバキアの一部占拠を認めてヒトラーを増長させ、ポーランドへの侵攻を招き、第2次世界大戦を引き起こす結果となったとされる。
 このときのチェンバレン首相の対応はアピーズメント(Appeasement)と呼ばれた。日本語では「宥和」と訳される。相手の要求や行動が不当でも、当面の衝突を避けるために受け入れる譲歩である。この譲歩は危険な結果を招きかねない歩み寄りであり、単に相手と打ち解け、仲よくなる「融和」とは意味が異なる。
チェンバレンに重ねられたバイデン
 12月10日、そのチェンバレンという名がバイデン大統領の名前と並んでワシントン・ポストの記事の見出しに大きく掲載されていたのには驚いた。
「ウクライナに関してバイデンは自分の内部のチェンバレンを投射している」というのが記事の見出しだった。バイデン大統領のウクライナ問題でのロシアへの対応は、バイデン氏のチェンバレン的傾向を投射している、つまりバイデン氏の外交政策はチェンバレンの宥和政策に似ている、という仮借のない批判だった。
 記事の筆者はワシントン・ポストで国際問題をカバーするベテランコラムニスト、マーク・ティエッセン氏である。ティエッセン氏は、80年以上前にヒトラーの小さな侵略を許して大きな侵略を招いてしまったイギリスの首相と、現在の米国大統領を重ね合わせていた。バイデン外交の批判もついにここまできたか、というのが率直な感想だった。
外交における度重なる失敗
 確かにバイデン大統領の外交における失敗は否定できない。
 今年(2021年)の8月末には、アフガニスタンからの米軍の撤退で大失態を演じた。バイデン大統領は米軍首脳の助言を無視して、一気に短期かつ唐突な全面撤退に踏み切り、20年にわたり支援してきたアフガニスタン共和国政府の瞬時の崩壊を招いた。官民の米国人や米国に協力したアフガン人の救出にも失敗し、米軍将兵の多数が殺されるイスラム側のテロをも許した。
 また9月には、オーストラリアとイギリスとの新たな軍事協定AUKUSを唐突に発表した。米国のオーストラリアへの原子力潜水艦供与を突然公表した結果、それまで自国の潜水艦をオーストラリアに提供する契約を進めていたフランスが激怒し、駐米フランス大使の本国召還という抗議の措置までとった。北大西洋条約機構(NATO)の同盟国同士では前例のない強硬な反発だった。
 バイデン大統領はさらに10月から11月にかけて、台湾が中国の武力攻撃を受ければ、米国は台湾を防衛する義務があるという趣旨の間違った発言を繰り返した。そのたびにホワイトハウスや国防総省の担当高官が訂正するという始末だった。
 だからバイデン大統領が外交でのミスを非難されるのも当然とはいえる。とはいえ、ヒトラーへの宥和政策で知られるチェンバレンと重ねるというのはあまりに過激な糾弾である。
バイデンの弱さを見逃さないプーチン
 ティエッセン氏によるこの評論記事は、バイデン大統領のウクライナ問題でのロシアへの対応を取り上げていた。
 ティエッセン氏は、バイデン大統領がロシアのプーチン大統領のウクライナへの再度の軍事侵攻の構えに対して経済制裁以上の対抗措置を取らない方針を当初から言明したことや、ウクライナへの兵器供与もロシアが侵攻しない限りは実施しないと言明したことを批判し、これらの対応はかえってロシアの軍事攻勢を誘う「宥和」だと警告していた。
 また、プーチン大統領がウクライナ問題で強気に出るのは、バイデン大統領のアフガニスタン撤退での失態が弱さを露呈したと認識したからだ、とも述べていた。
 ティエッセン氏は、2014年のロシアのクリミア占拠も、当時のオバマ政権がシリアのアサド政権に弱さを見せたからだという。オバマ政権は、アサド政権が「レッドライン」を超えて化学兵器を使用した場合に強硬対応をとると宣言していた。しかし実際にはなんら強硬対応をとらなかったのである。このとき、バイデン氏は副大統領だった。
米国議会でも欧州でも
 実は、チェンバレン首相を引き合いに出したバイデン大統領への批判は米国議会でも見られた。
 12月中旬、ロシア軍の国境地帯集結で危機の迫るウクライナを現地視察した米国下院軍事委員会の超党派議員団の団長、マイク・ウォルツ議員(共和党)が、「米国はウクライナに緊急に軍事支援を実行すべきだ。それをしないバイデン政権の対応はチェンバレンの宥和政策と同じになる」と言明したのだ。
 同様の批判は、欧州でも出ていた。エストニア軍の元最高幹部で、米国でも知られる軍事評論家のレオ・クナス氏は、「バイデン大統領のロシアへの態度はミュンヘン会議を思わせる」と警告し、チェンバレンの名前も挙げていた。この見解はイギリスの主要紙などで報道された。
 さて、これほどの酷評を米国でも欧州でもぶつけられたバイデン大統領はこの汚名をどうすすぐのか。
 それでなくても中国への対応やメキシコ国境での違法入国者の急増、民主党内での経済やコロナウイルスへの対策をめぐる造反など、バイデン大統領が直面する難題は多い。そんな内憂外患のなかで、ウクライナ危機をどう治めるか、改めて注目されるところである。
15 notes · View notes
ari0921 · 3 years
Text
#jbプレス #織田邦男 先生の論考です
中国の尖閣諸島侵攻から始まる台湾有事
尖閣に地対空ミサイル「S-400」設置を狙う中国
2021.4.21(水)
織田 邦男
菅義偉内閣総理大臣は3月16日(日本時間17日)、ホワイトハウスでジョセフ・バイデン米国大統領と日米首脳会談を行い、共同声明を発出した。
 共同声明の重要なポイントは、覇権主義的な動向を強める中国に、共同して対抗する姿勢を強く打ち出したことである。
 中でも「台湾海峡の平和と安定の重要性」が明記されたことは時宜を得ている。台湾海峡有事は差し迫った危機なのである。
 3月9日、米インド太平洋軍のフィリップ・デービッドソン司令官は、上院軍事委員会公聴会で、今後6年以内に中国が台湾を侵攻する可能性があると証言した。
 23日には、次期米インド太平洋軍司令官に指名されたジョン・アキリーノ太平洋艦隊司令官は同じく公聴会で、中国による台湾侵攻の脅威は深刻であり、「大半の人が考えているよりもはるかに切迫している」と述べた。
 なぜ今、台湾海峡有事なのか。
本気の中国、他人事の日本
 これについては、拙稿「北京五輪後に台湾侵攻狙う中国、ソチ五輪後にクリミア併合の二の���を避けよ」(3月12日掲載、https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64426)に書いたのでここでは省略する。
 いずれにしろ共同声明で「威圧の行使を含む国際秩序に合致しない中国の行動について、懸念を共有した」と中国を名指し、「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」と明記した意味は大きい。
 中国は即座に反応した。
 共同声明に対し「強烈な不満と断固とした反対」を表明し、「中国の懸念に厳粛に対応し、直ちに中国内政への干渉をやめるよう求める」とする中国外務省報道官談話を発表した。
 加えて「あらゆる必要な措置を取り、国家主権、安全、発展の利益を断固として守る」と報復をも示唆している。
台湾海峡危機を未然に防止するには、バイデン政権が戦争をも辞さず台湾を守るという覚悟を示す必要があり、今後のバイデン政権の対中姿勢次第であると拙稿にも書いた。今回、日米で台湾海峡有事に言及し、中国に対し力強く牽制したことは、北東アジア情勢の安定にも寄与するに違いない。
 問題は、この共同声明に基づく今後の具体的行動である。日本の政界の反応、メディアの報道ぶりを見ると、台湾海峡有事に対し、どこか他人事のように感ずるのは筆者だけだろうか。
 ピントが外れ、リアリティーが欠如しているとしか思えない報道も多い。軍事的知識の欠如や想像力の貧弱さから来ているのかもしれないが、今後の対応が懸念される。
日本は巻き込まれるのではない
 台湾海峡有事に対する日本人の一般的認識は、中国が台湾に武力侵攻すれば、米軍が参戦し、日本が米軍を支援する。こういう単純な構図である。
 簡単に言えば、米軍の実施する戦争に日本がどう支援するかだと思っているようだ。
 従って、またぞろ日本が米国の戦争に「巻き込まれる」といったデジャブ的報道を垂れ流すメディアもみられる。
 良識的な新聞でも、「重要影響事態」「存立危機事態」など真剣に論評を加えるが、基本的には米軍が実施する戦争を日本が支援するという構図に変わりはない。
 だが、これは大きな誤りである。
 台湾海峡有事は、すなわち日本の有事である。それは米軍の参戦有無には関係がない。
 台湾侵攻作戦の戦闘エリアには、沖縄を含む日本の南西諸島が含まれる。否が応でも日本は戦争に巻き込まれる。
 作戦は尖閣奪取から始まり、日本の初動対応いかんによっては、沖縄の米軍が後方に下がる可能性がある。
台湾攻略に中国が最も留意することは、可能な限り米軍を参戦させないことである。
 米軍が本気になれば、今でも中国は敵わない。だが米軍が初動で参戦できない状況を作為する、つまり米軍が参戦する暇もなく既成事実を作ってしまえば、後からの参戦は非常に難しい。
 ロシアのクリミア半島併合を見れば分かる。
 他方、沖縄の米空軍戦力が存在している限り、台湾周辺の制空権獲得は難しい。制空権のない現代戦に勝利はない。
 逆に言えば、制空権がとれない限り、中国の台湾侵攻はないだろう。中国は何としても、初動で沖縄の米空軍戦力の無力化を図っておきたい。
尖閣に地対空ミサイル設置を狙う中国
 米軍とのガチンコ勝負を避け、可能な限り流血の事態を回避しつつ、台湾周辺の制空権をとる作戦はあるか。当然、中国はこれを模索しているはずである。
 考えられるシナリオは、平時の内に海警を使って、尖閣に地対空ミサイル「S-400」を搬入し、尖閣で稼働させるという作戦である。
 S-400は、ロシア連邦で開発された同時多目標交戦能力を持つ超長距離地対空ミサイルシステムである。
 空自が保有する地対空ミサイル「PAC3」の2倍の射程を有し、400キロ先の6つの目標に対する同時撃墜能力を有している。
 ステルス機に対する能力も高く、極超音速ミサイルや弾道ミサイルにも対処可能とされ、中国は2014年から導入を開始し、現在実戦配備されている。
 現存する最強の地対空ミサイルといえる。NATO(北大西洋条約機構)の一員でもあるトルコが導入を決め、米国のドナルド・トランプ前大統領が激怒して制裁を発動したのもこのミサイルシステムである。
尖閣から沖縄本島まで約400キロ、台湾までが約170キロである。尖閣の久場島はなだらかな丘陵地形であり、山もなく地対空ミサイル配備の好適地である。無人島であるから流血なく確保できる。
 久場島にS-400が配備され、いったん稼働されれば、台湾、沖縄はその射程圏内に入る。嘉手納基地、那覇基地からの軍用機の活動は大きく制約される。
 これを無力化しない限り、嘉手納の米空軍は三沢かグアムに後退せざるをえなくなる。
 台湾侵攻も始まっていない平時であれば、日本が対応しない限り、米軍はこれを破壊するのは困難であろう。
 だが台湾への侵攻作戦が始まった途端、S-400の威力が発揮され、米空軍は、尖閣、台湾に接近することさえ難しくなる。
「平時のうちに尖閣奪取」が号砲
 尖閣諸島は台湾侵攻のために欠かせない戦略的要地である。台湾侵攻の作戦準備として、平時の内に中国軍は尖閣を取りに来るだろう。
 尖閣と台湾は、政治的には切り離せても、安全保障上は切り離すことはできないのだ。
 平時に、海警を使って作戦準備を整えるというところが肝である。
 海警はコーストガードではあるが、中央軍事委員会に直属する武装警察の隷下にあり、海軍と同じ指揮系統で動ける第2の海軍である。2月1日の海警法改正により、自衛行動がとれ、武力行使もできるようになった。
 台湾侵攻の作戦準備活動として、平時に海警がS-400を搬入するのを日本は阻止できるのか。阻止できなければ日米同盟は地に堕ちる可能性がある。
海警が平時に作戦準備に使われる場合、日本の対応は非常に難しい。海警の行動が純粋な警察活動か、軍事活動か判断できない上に、仮にS-400の搬入だと分かったとしても、これを阻止する法的根拠(任務、権限)がないからだ。
 海保はいつものように領海侵犯として対応し、現在と同じように無線と電光掲示板による警告だけが関の山であろう。
 仮に海上自衛隊に海上警備行動が下令されても基本的には海保と法的権限は同じであり、海保以上のことはできない。S-400を破壊することはもちろん、没収も調査さえすることもできない。
 では「明白な危機が切迫している」として「武力攻撃事態」を認定し、防衛出動を下令して自衛隊にこれを破壊させればどうか。
国会で最優先に議論すべき内容
 法律的には可能であるが、今の日本では小田原評定が続き、「認定行為」自体が政治的に難しいことが予想される。
 中国が海軍を出動させていない段階で、そして物理的な武力攻撃を受けてもいない時点で、自衛隊に流血を伴う武力行使をさせる。政府にその腹はあるか――。
 今回の共同声明を受け、こういったことこそ、国会で堂々と議論してもらいたい。
 巷間言われているように、中国の台湾武力侵攻には、米軍が参戦し、日本は「重要影響事態」か「存立危機事態」を認定して、米軍を支援する。ことはこんな単純な話ではないのである。
「台湾有事が起これば、日本は集団的自衛権の行使も含めて対応を検討する。ただ、米軍が介入する本格的な戦争になれば、中国軍は在日米軍基地や南西諸島も標的にするとみられる。政府高官は『日本有事を意味するので武力攻撃事態と認定し防衛出動することになるだろう』と語る」と某保守メディアでもこうだ。
 こんなシナリオは軍事的にはあり得ない。
中国もバカではない。核戦争を覚悟してまで米軍とガチンコ勝負をする蓋然性は低いだろう。現実的、合理的、かつ蓋然性の高いシナリオで議論しなければ、有事に必要な処方箋は得られない。
 我が国としては、可能な限り、事態のエスカレートを避けるため、平時にあっては海警には海保が対応し、有事は、海軍には海自が対応するのが正しい。
海保のソフト・ハード強化が急務
 このシナリオで分かることは、作戦準備期間といったグレーゾーンにあって、海保のハード、ソフトの強化が急務であることだ。
 自民党国防議員連盟は、中国の海警法改正に危機感を抱き、海上保安庁法改正に、そして領域警備法制定に精力的に取り組んできた。
 だが結果的には、国土交通部会の反対で「必要があれば法整備も検討する」という腰砕けになった。
 大山鳴動して鼠一匹も出ないような結果となったのは、いかに台湾海峡危機が他人事であり、リアリティーと想像力が欠如している証左でもある。
 菅首相は日米首脳会談後の記者会見で「防衛力強化への決意」を表明した。これはある意味、対米公約である。
「防衛力強化」といえば、これまでは兵器購入というハードを中心とした強化であった。だが今回はそれだけであってはならない。
 戦闘機の購入を決めても、それを手にするのは4年後である、護衛艦を購入しても部隊に配備されるのは5年後である。
 前述のように、台湾侵攻は6年以内、いやそれよりも早く起きる可能性があり、今から兵器を購入しても間に合わない。
「防衛力強化」は台湾海峡有事を抑止するための強化でなければならない。米国が日本に求めているのは、今までのような「負担の分担」ではなく、「抑止力の分担」である。
 初動の対応が抑止の全局を左右する。その初動は日本の役割なのだ。
「防衛力強化」とは、明日にでも起こりうる台湾海峡有事に対し、日本が初動で主体的に対応できる強化でなければならない。
 それはグレーゾーンにおける、自衛隊、海保、警察の有機的な連携と有効な作戦活動を可能にしなければならない。そのためには、法整備と政府の覚悟、そして国民への説明が大きな比重を占める。
 危機管理の要諦は、起こりうる事態を「まさか」と捉えるのではなく、「もしかして」と捉え、最悪を想定して準備をしておくことだ。
 台湾海峡有事は、「重要影響事態」でもなければ、「存立危機事態」でもない。
 日本の有事そのものであり、グレーゾーンにおける日本の初動対応が戦争抑止の処方箋になり得ることを忘れてはならない。
26 notes · View notes