Tumgik
nusumigaki · 3 months
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奇妙なことに、話半分にしか聞いていないつもりだったことが、いつの間にか彼女の中にもしっかり根をおろしていた。
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nusumigaki · 3 months
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郵便船が荷を奪われることがあると、彼女は前に聞いたことがあった。海賊が人恋しさのあまり、誰かの家の匂いのするものなら何でも欲しくなって、そんなことをするのだという。
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nusumigaki · 3 months
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何週間も。何か月も。何年も。来た。去った。
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nusumigaki · 3 months
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お前のダメな部分がお前の敵ではないのだと僕に告げていた。
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nusumigaki · 4 months
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先が見えないという不安・先が見えたという絶望
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nusumigaki · 4 months
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世界がおれに提供できるものは何だというのだ
それもない、あれもない、ただ我慢しろ。
これが生きているあいだひっきりなしに
いやな声で歌われて、
誰の耳にもきこえてくる
永遠の歌だ。
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nusumigaki · 10 months
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みな死ぬまいとしている、と私は思った。幼虫やセコイア、エレ川からシロアリまで。私は死なない、私は死なない。私は死なないというのは、地球というこの星の唯一の真の叫びのようだった。
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nusumigaki · 10 months
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安全とは魔法の言葉だ。ごく基本的なロジックすら棚上げする呪いをかける。
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nusumigaki · 10 months
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論理は痛みを和らげないが、痛みを説明することはできる。
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nusumigaki · 10 months
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良識ある人間の狂気ほど危ういものはない。
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nusumigaki · 10 months
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それ以上たずねず、彼女は人差し指を伸ばして、指先で私の顔の汗をぬぐった。その時、その動作をアントニオにもしたのだろうという思いがよぎった。まったく同じ動作を。幾度となく。愛する相手ごとに新しい動作は作り出されず、同じ動作を続けるしかないことがせつなかった。
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nusumigaki · 10 months
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男の絶望は川に似ていた。何百万トンもの水と土砂を運ぶ巨大な塊が生み出すエネルギーのようだった。
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nusumigaki · 10 months
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子どもにとって世界は、大人という監視員のいるミュージアムのようなものだ。
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nusumigaki · 10 months
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結婚の本当の目的は、話すことにほかならないと私は思うようになった。結婚とほかの人間関係を違うものにするのも会話なら、なくなったときに恋しくなるのも会話だ。
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nusumigaki · 11 months
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彼らの笑い声を聞いていると、その声を生み出したというだけで世界に感謝したくなったものだ。しかし何を言っているかはさっぱりわからなかった。
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nusumigaki · 11 months
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天使にはほど遠い人物だったが、死ねば天使だ。
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nusumigaki · 11 months
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危険というには知性が足りないが、笑いとばせるほど無害でもない。「田舎者の悪知恵」とでも言うべきものを持ちあわせていた。
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