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cardanogosp644 · 2 years
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NFTとは何であり、なぜ今注目を集めているのか?
2021年を通じて、NFT に関するニュースが日本中で話題となり、英辞典『Collins』による2021年の「Word of the Year(今年の単語)」にも NFT が選ばれた。2021年に販売された NFT は、第3四半期で107億ドルとなっており、第1四半期の12億ドルおよび第2四半期の13億ドルから急増している。
狂騒の中心にいる NFT には「デジタル消費主義について何か深い示唆を与える文化的プロダクトなのか、馬鹿げた金額を稼ぐための皮肉な何かなのか」という相反する目線が向けられている。一体、NFT とは何なのだろうか?
NFTとは何か
NFT とは「非代替性トークン(Non-Fungible token)」のことを指し、ブロックチェーン技術を用いて発行されたトークンのことだ。そのトークンに紐付けられたデジタルアートやデジタルコンテンツなどを含めて NFT と呼ぶこともあるが、両者は正確に言えば別物だ。
まず「非代替性」および「トークン」について、それぞれ見ていこう。
非代替性(Non-Fungibility)と代替可能性(Fungibility)
非代替性(Non-Fungibility)とは、代替可能性(Fungibility)の対義語だ。
「非代替性を持つ資産」とは、経済的な文脈においてそれぞれが唯一無二の価値を持つ資産や貨幣を指しており、たとえばピカソによる絵画作品が挙げられる。どれほど精巧な模写やレプリカであっても、ピカソ本人によって描かれた作品を代替することは出来ない。またピカソによる絵画作品であっても、時代背景や来歴(所有者の履歴)、作品サイズや保存状態によって作品ごとに経済的価値は異なる。このように絵画をはじめとするアート作品は、非代替性を持つ資産の代表例だ。
また、不動産も非代替性を持つ資産の1つだ。不動産の経済的価値は建物の形状だけでなく、周囲の騒音や治安、経年劣化、設計者の評価など様々な要素によって評価される。そのため1つとして同じ資産は存在せず、非代替性を持っている。
一方、1万円札などの貨幣は代替可能性を持つ資産だ。誰が持っている1万円札であっても、経済的価値が同等であることが前提とされ、そのため簡単に交換・取引することが可能となっており、貨幣の重要な要件となっている。また株式や貴金属についても同様に、同じ単位の資産であれば代替可能性を前提として、交換することができる。
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非代替性を持つ資産、代替可能性を持つ資産非代替性を持つ資産代替可能性を持つ資産絵画・彫刻
ピカソ《泣く女》など
法定通貨・貨幣
1ドル札、1万円など
不動産仮想通貨
Bitcoin など
NFT原油 貴金属
金・パラジウムなど
このように資産には、非代替性を持つものと代替可能性を持つものがある。
ただし、ある特定の資産であっても、非代替性を持つ場合と代替可能性を持つ場合がある。たとえば、Aさんが所有する自動車をBさんに貸したとする。その場合、Bさんは別の自動車を手に入れて、返却することは出来ない。もちろんそのような契約も理論上は可能だが、一般的にはAさんから借りた自動車を返却する必要がある。この場合、Aさんの自動車は非代替性を持っているが、大量生産されている自動車そのものは代替可能であるため、対照的な性質を有している。
同じ様に、石油は一般的に代替可能性を持つ資産と見做されるが、輸送の制限や安全保障上の制限、OPEC(石油輸出国機構)の政治性などから非代替性を持つ資産だという指摘もある。
このように資産の代替可能性は、決して自明のものではない。たとえば1万円札も、実際にはアルファベットと数字から成る「記番号」が記載されているため、それぞれの紙幣は区別可能だ。その上で、古い紙幣や特殊な「記番号」が付く紙幣は高値で売買されることもあり、その場合は非代替性を持っているとも言える。(*1)
また、流動性のある資産はすべて代替可能性を持つが、代替可能性を持つ資産の全てが流動性を持つとは限らないこともポイントだ。代替可能性のある資産は、同じ価値を持つアイテムと交換することができるが、それが市場で簡単に売買できるとは限らない。
(*1)この議論について、資産の代替可能性と非代替性を決定するのは「使用価値」であり「技術的特徴」ではないという指摘がある。
トークン
トークンとは、ブロックチェーンを用いて発行された暗号資産(*2)であり、中でも特定の発行者・管理者が存在するものを指す。(ただしトークンの定義は曖昧であり、管理者・発行者が存在しない Bitcoin などを含めるケースもあるが、ここでは狭義の意味で扱う)
ブロックチェーン技術を用いて取引される暗号資産には Bitcoin(ビットコイン)があるが、Bitcoin が特定の発行者を持たないことに対して、トークンは個人や法人などの発行者がいる。トークンは、あるサービスや組織において報酬のように用いられる場合もあれば、運営に参加するための株式のように用いられる場合もある。またトークンを交換することで、利益を得ることもある。
つまりトークンとは、特定の価値を持っている資産としての性質を有したデジタルデータだと言える。
その上で、このトークンに非代替性を持たせたものが NFT だ。わざわざ「非代替性」と付けるのは「代替可能性トークン(Fungible token)」が存在するためだ。
たとえば、スマート・コントラクトを構築するためのプラットフォームであるイーサリアム内で用いられる仮想通貨である「Ether(イーサ)」は一種のトークンだ。また異なるブロックチェーンの相互運用を目指すプロジェクトであるPolkadot(ポルカドット)の「DOT」や、大手取引所 仮想通貨 儲かる Binance が発行する「Binance Coin」もトークンだが、これらはいずれも「代替性を持つトークン」だ。
「代替性トークン」は取引所で交換することができ、たとえば誰が持っている1ETH(Ether の単位、現在は1ETH が約37万円)であっても価値が同等とみなされ、交換することが可能だ。代替性を持つからこそ法定通貨のように扱うことができ、「仮想通貨」と呼ばれることがある。
これに対して「非代替性トークン」は、絵画や不動産のように1つ1つのトークンが唯一無二の価値を持っている。仮想通貨のように同じ価値同士のトークンを交換できる「代替可能性トークン」と区別して、ピカソの絵画作品のように、1つとして価値のものが存在しないからこそ、直接的に交換できないトークンを「非代替性トークン」と呼ぶのだ。
ただし、ここまでの概念的���説明を聞いてもピンとこない人が大半だろう。NFT
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