Tumgik
s-tlo-blog · 9 years
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脳脊髄液漏出症と債務不存在確認訴訟
最新号の自保ジャーナル(1935号)に脳脊髄液漏出症関係事件2件の判決が掲載されていた。いずれも加害者が被害者に対して(一部)債務不存在確認請求訴訟を提起したことにより訴訟手続が開始されたもののようだ。
  通常,交通事故の場合,被害者側が加害者側に対して訴訟(損害賠償請求訴訟)を提起することが多い。
  しかし,脳脊髄液漏出症の発症等について争われる事件については,事故発生時から被害者側が自己の症状が固定したと納得するまでの期間が長くなりがちな上に,被害者側・加害者側間の金額の乖離が大きいため訴訟前の交渉が難航・長期化することが多いことから,事故発生時から数年間経ても賠償問題が解決していないといった事態が生ずることも少なくない。
  このように長期化した場合には,加害者側が,更なる長期化を防ぐために,被害者による提訴を待つことなく,自ら訴訟を提起することがある。今回の自保ジャーナル掲載事件もおそらく,このような背景があったのだろう(1件は事故発生時から加害者提訴時まで9年,もう1件は6年要しているようだ)。
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s-tlo-blog · 9 years
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子の責任の自認と拘束力
【判決情報】 
神戸地裁平成26年9月19日判決(判例時報2241号掲載)
  【事案の概要】
・被告は11歳の小学生(被告子)とその母親(被告母)。  
・被告子が運転する自転車が,歩行中の原告に衝突。
・原告は,被告子及び被告母に対し,損害賠償請求訴訟提起
 被告子の責任原因としては民法709条主張,また,被告母の責任原因については,民法709条または民法714条を主張
・訴訟係属中,被告側は,被告子が不法行為責任を負うことを自認。
  【争点】
  1 11歳の被告子に責任能力は認められるか?
  2 被告子の賠償責任の自認に裁判所は拘束されるか?
  【裁判所の判断】
1 責任能力否定(「被告子は,本件事故当時11歳の小学生であったから,未だ責任能力がなかったといえ,民法709条による責任を負わない」)。
2 裁判所は自認に拘束されない(「被告らは,被告この責任を自認しているが,法的評価についての自白は成立しない」)。
  【簡単な解説等】
1 民法712条は,責任弁識能力を欠く未成年者は不法行為責任を負わない旨規定している。つまり,未成年者については,責任弁識能力の有無により,不法行為責任を負うか否かの結論が分かれることになる。
では,この結論が分かれる年齢は何歳なのかというと,過去の裁判例を見ると,ほぼ12歳くらいが一応の基準と考えられている(山﨑敏彦「債権法各論法講義」78頁)。もっとも,この点については,年齢のみによって決まるものではなく,「個人ごとに,当該行為の種類・性質によって判断される」ことになる(山﨑敏彦「債権法各論講義」77,78頁)。上記裁判例は,結論として事故当時11歳であった被告子の不法行為責任を否定している。これは,過去の裁判例の基準に沿ったものといえるだろう。
2 訴訟当事者が自己に不利益な事実を自認した場合,「裁判上の自白」が成立し,裁判所はその自認事実に拘束され,その事実を前提とした判決を下さなければならない(細かいことを言うと,この自白の対象となる事実の範囲が主要事実に限られるのか否かについて,学説上争いがある)。上記訴訟では被告側は被告子が不法行為責任を負うことを自認している。この責任自認の点についても裁判所は拘束されるのだろうか? 自認に拘束されるとの前提をとった場合には,被告子が民法709条責任を負い,被告母は民法714条責任は負わないことになる(ただし,母親も民法709条責任を負う可能性はある)。これに対し,自認に拘束されないとの前提をとった場合には,被告母が民法714条責任を負う可能性が残ることになる。本件判決は,子が賠償責任を負うということは法的評価にすぎないこと(つまり,事実には該当しないということ)を理由として,拘束力の発生を否定して,被告側の自認行為に反して,被告子の責任能力を否定している。被告側が自ら賠償責任を認めるという一見すると自分に不利益な行為を行った理由については,ひょっとすると被告母への責任追及の回避(被告子に民法709条責任が成立した場合には,被告母には民法714条責任は成立しない。被告子に対して民法709条を追及しても現実の回収は困難)のためかもしれないが,判決文からは詳細は不明である。
  【余談】
  この訴訟は平成22年に提起されたものだから,訴訟提起から判決言渡しに至るまで少なくとも3年は経過していることになる(なお,控訴があったとのことであるから,この判決があっても事件は解決していない)。自転車事故の場合,通常の自動車事故とは異なり,自賠責保険の制度が存在せず,自賠責調査事務所による後遺障害等級認定手続を利用できないことから,重度の後遺障害の存否,事故と障害との間の因果関係の有無等が争われるケースでは,等級認定結果を前提とした審理の進行の整理が行えず,自動車事故の場合よりも訴訟が長期化しがちな印象がある。
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s-tlo-blog · 9 years
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犯罪被害に対する慰謝料
 現在,『季刊刑事弁護』という専門誌で,安西二郎判事による「犯罪被害に対する慰謝料 裁判例の分析を中心として」という論文が連載されている。 この論文では,殺人・傷害致死,傷害,性犯罪に関する近時の裁判例の慰謝料額についての分析が行うということであり,色々と興味深い内容となっている。 最新号の連載では殺人・傷害致死事案における慰謝料額が取り上げられており,そこで目を引いたのは「被害者が一家の支柱であるかそれ以外の者であるかは,認定額に影響していないことがわかった」との指摘だった。 交通事故のケースでの慰謝料では一家の支柱であるか否かが慰謝料額に影響を及ぼすのに対し,殺人・傷害致死のケースで影響がないという理由について,安西判事も一応推論は述べているが,明白な結論はでていないようだ。
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s-tlo-blog · 9 years
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【交通事故】最高裁昭和49年4月13日判決民集28巻3号385頁
【事案の概要】
交通事故で損傷した車両の所有者が,その損傷車両を下取りに出した上で新車を購入した。その後,所有者が提訴し,損傷車両の価額(購入時の代金から減価償却したもの)と下取価額の差額を請求した。
【裁判所の判断】
1 事故当時の被害車両の価格とその売却代金の差額を請求しうる場合は, ➀被害車両が事故によって物理的……に修理不能と認められる状態, ➁被害車両が事故によって……経済的に修理不能と認められる状態になったときのほか,➂被害車両の所有者においてその買替えをすることが社会通念上相当と認められるときも含む。
2 車両の事故当時における取引価格は,原則として,これと同一の車種・年式・型,同程度の使用状態・走行距離等の自動車を中古車市場において取得しうるに要する価額によって定めるべきである。
3 車両の事故当時における取引価格を課税又は企業会計上の減価償却の方法である定率法又は定額法によって定めることは,加害者及び被害者がこれによることに異議がない等の特段の事情のないかぎり,許されない。
【コメント】
いわゆる買替差額損害を請求することができる場合を明示。また,買換差額損害を請求する場合を事故当時の被害車両の価格の算定方法につき判断
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s-tlo-blog · 9 years
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山下淳司『共同相続における財産権帰属の判例法理』(金融法務事情2009号)
金融法務事情の最新号(2009号)に山下淳司教授の『共同相続における財産権帰属の判例法理』という論考が掲載されていた。この論考では,昨年最高裁が出した2つの判決(平成26年2月25日判決,平成26年12月12日判決)をもとに共同相続における財産の分割,非分割について論じられている, 山下教授は,上記の2つの最高裁判決によって➀株式,個人向け国債,投資信託受益権といった財産権が共同相続された場合,このような財産権は相続開始と同時に相続人間に当然に分割して帰属するわけではないこと,➁このような財産権の一部を構成する金銭給付を受ける権利については,遺産分割前に各相続人が単独で権利行使することが許されないということが明らかになったとしている。 そして,「相続人数人ある場合において、相続財産中に金銭の他の可分債権あるときは、その債権は法律上当然分割され各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継する」という最高裁昭和29年4月8日判決について,山下教授は,この昭和29年判決の「金銭その他の可分債権」に該当する財産権は「相当に限定されるということがわかってきた」と位置づけている。
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s-tlo-blog · 9 years
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DNA型鑑定と親子関係
法学セミナーの2015年2月号を読んだところ,『最高裁判決2014ー弁護士が語る』という特集が掲載されていた。この特集は,昨年下された最高裁判決のうちのいくつかについて,それぞれの事件を担当した弁護士が提訴に至る経緯,訴訟係属中のエピソード,判決に対する評価等を記載していた。 この特集の中で,最高裁平成26年7月17日判決(同日に親子関係不存在確認請求事件につき複数の判決が下されているが,そのうちの平成24年(受)1402号事件)について,小林史人弁護士によるレポートが掲載されていた。 この事件は,母親が,子の法定代理人として,出産時に夫であった男性に対して,子と男性の親子関係の不存在の確認を求めたもので,最高裁による判決言渡し当時,マスコミでも大きく取り上げられていた。最高裁はこの事件で夫と子との間に父子関係が認められないことが科学的証拠により明らかなケースであっても,父子関係の存否を争うことはできないと判断した。 小林弁護士のレポートによると,親子関係不存在の訴えの提訴によりいったん停止していた面会交流調停が最高裁判決後に再開されたが,母親は男性を子に面会させない意向で頑なであり,審判となれば最高裁まで争われる可能性が高いとのことであった。 たとえ最高裁の判決が下っても根本的な解決につながるとは限らないという点で司法の限界を再認識させるレポートだった。
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s-tlo-blog · 9 years
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千葉地裁平成26年7月16日判決(自保ジャーナル1931号掲載)
交通事故に基づく損害賠償請求において,損害保険料率算出機構が後遺障害認定しているにもかかわらず裁判所が相当因果関係の存在を認めなかった事例 判決文によると,原告は損害保険料率算出機構から第12級6号(1上肢の3第関節の機能に障害を残すもの)に該当する旨の認定を受けていたとのことであるが,裁判所は,原告の可動域は順調に回復していたにもかかわらず症状固定日の診察時において可動域が著しく低下していたことについて不自然であると指摘した上で,この診断を前提とした後遺障害等級認定は採用することができないとしている。 なお,休業日数の一部について原告が「資料がないので,仮定して求めた」とした部分について,裁判所は「何ら根拠を有しないものであり採用しない」と一刀両断している。
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s-tlo-blog · 9 years
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車両損害と走行距離
不正防止策を逆手 中古車のメーター巻き戻しに新手口(朝日新聞DIGITAL) 上記記事によると,
中古車の走行距離を少なく見せかけるメーター改ざん。その不正防止策を逆手に取り、車検証上の走行距離を脱法的な手続きで「リセット」する手口が出始めた。
とあります。 交通事故において車両が損傷した場合,修理が相当なときには車両等所有者は相手方運転者等に対して適正な修理費相当額を請求することができます。 ただ,物理的に修理が不可能なケースや,物理的には修理が可能であっても修理費が事故当時の車両価格及び買換諸費用の合計額を上回る場合は,請求可能な賠償額は事故当時の車両価格に限られるというのが裁判実務です。 この「事故当時の車両価格」をもう少し詳しく言うと,同一の車種・年式・型,同程度の使用状態・走行距離等の車両を中古車市場において取得するに要する価格ということになります。 このように「走行距離」も「事故当時の車両価格」に影響することから,走行距離のメーターの改竄を放置すると,不当に高額の賠償を得る目的でメーターを改竄するという事態が横行するおそれがあるので,国交省の対策を期待したいところです。
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s-tlo-blog · 10 years
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物損の消滅時効
 大阪地裁平成26年3月18日(自保ジャーナル1927号)が,物損の損害賠償請求権につき短期消滅時効の完成による消滅を認めていた。
 交通事故等により人身損害・物的損害の双方が発生した場合のうち,特に後遺障害事案で症状固定までに長期間を要したケースでは,症状固定をまって損害賠償請求を行おうとすると,人身損害の消滅時効は完成していないが物損の消滅時効は既に完成してしまっているという恐ろしい事態がある(物損の消滅時効の起算点は人身損害のそれとは異なり,症状固定時期に影響されることなく,事故発生時と判断されるケースが多い)ので注意が必要。
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s-tlo-blog · 10 years
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東京地裁平成26年4月22日判決
 最新号の自保ジャーナル(1927号)掲載の東京地裁平成26年4月22日判決。約2億円の損害賠償を請求したところ,裁判所が認容した額は約45万円のみにとどまった(確定)。
 
 この請求額だと訴訟提起時に裁判所に納める印紙代だけでも約60万円必要になるから,原告にとっては完全に「赤字」という結果になったことになる。
 原告の代理人弁護士とは別件で2回ほど相手方としてあたったことがあるが,いずれも手堅い訴訟活動をしていた。この件でも医師の意見書の提出等,きちんとした立証活動を行っていたようだから,この結果は代理人弁護士にとっても残念だっただろう。
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s-tlo-blog · 10 years
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関連判例の見落とし
 『金融・商事判例』の最新号(1449号)に加藤新太郎判事の『競業避止義務関係訴訟における関連判例の見落とし」というコラムが掲載されていた。
 このコラムを読んだ後,試しに「競業避止義務」で判決を検索してみたところ,「判例秘書」という検索ソフトでは400件以上の判決がヒットした。
 これだけの数がヒットすると,漫然と検索結果一覧画面を見ているだけではうっかり重要判決を見逃してしまうこともありうるのだろう(ただし,上記のコラムの件で見落としが生じた原因は不明である)。気をつけねば。
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s-tlo-blog · 10 years
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国税不服審判所
 『自由と正義』2014年8月号の山本洋一郎(日弁連税制委員会委員長)「国税通則法改正について』によると,国税不服審判所における裁決について「現状は,合議体の議決がなされるはるか以前の段階から霞が関の財務省庁舎4階の国税不服審判所本部からの介入が始まるのが常態である。かかる介入については,国税に関する争訟を手掛ける者にとっては公知の事実である」とのこと。
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s-tlo-blog · 10 years
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交通事故とうつ病
 最新号の判例時報(2226号)で「追突事故により負傷した被害者がうつ病と低髄液圧症候群に罹患した上,自殺した場合に,自殺に関しては10パーセントの寄与度が認められた事例」として徳島地裁平成24年4月16日判決が照会されていた。
 判決文を読むと,たしかに「うつ病発症に伴う損害」に対する寄与の割合について10パーセントと判断しているのだが,追突事故と自殺との間の因果関係は否定されている(なお,この判決文では,”後遺障害”による逸失利益,「後遺障害」慰謝料が算定されていることから,「うつ病発症に伴う損害」に自殺に基づく損害が含まれていないことは明白)。判決文で自殺との因果関係が否定されている以上,「自殺に関しては10パーセントの寄与度が認められた事例」とのタイトルをつけるのは適切ではないと思う。
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s-tlo-blog · 10 years
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飛び石事故と車両保険
 最新号の自保ジャーナル(1924号)に,飛び石による損傷についての車両保険金請求が棄却された判決(第一審:東京地裁平成25年10月17日判決,控訴審:東京高裁平成26年3月20日判決)が掲載されていた。
 車両保険金請求が認められるためには事故の「偶然」性が必要となるが,この点について,第一審では「そもそも,自動車保険を締結する自動車は,公道を走行することを予定して保険契約を締結しているところ,路面の状態が天候,設置場所,整備・保存状態等によって左右されることや,道路上に微細な砂や小石等が存在することは避けがたいから,そのような自動車の通常の走行に支障が無い程度の道路上の砂や小石等がタイヤに巻き上げられるなどして車体に衝突した結果として被保険者の車体に生成される微細な損傷については,本件保険契約第1締結時に当然に被保険車に生じることが予定されている損害というべきであり,本件保険契約1の第1条に定められた「偶然な事故によってご契約のお車に生じた損害」とは認められないと判断している。控訴審も「飛び石による損傷があったとしても,本件保険契約1所定の「偶然の事故」によって生じたとは認めることができないことは,原判決(11頁22行目)も説示するとおりである」として,第一審と同様の判断をしている。
 たしかに飛び石による損傷についても車両保険金が支払われるとすれば,モラルリスク請求が増加するおそれがあることから,モラルリスク請求防止の観点からもこの第一審・控訴審の判断は支持できるだろう。
 実際,この件の保険会社はこの件をモラルリスク事案と判断して,裁判所の判断を求めるために訴訟を提起したものと思われる(もともとこの訴訟は保険会社が原告となって訴訟(債務不存在確認請求訴訟)を提起し,その後,保険金請求者が保険金を請求する反訴を提起している)。
 第一審判決によると保険金請求者やその代表者等が1年半という比較的短い期間の内に13件の飛び石事故の発生を申告して保険金を請求しているとされていることや,控訴審において保険金請求者の代表者の供述について客観的事実との不整合,重要な点の変遷が指摘されていることからすれば,保険会社が訴訟提起に踏み切ったのも理解できるところではある。
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s-tlo-blog · 10 years
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過失相殺と素因減額の競合
  交通事故の発生につき被害者に落度があり(過失相殺の問題),かつ,その被害者がもともと疾患を抱えその疾患により損害が拡大した(素因減額の問題)ような場合には,過失相殺(による減額)と素因減額が競合することになる。
  このような競合が生じた場合の処理方法について,小賀野晶一・栗宇一樹・古笛恵子編『交通事故における素因減額問題』(保健毎日新聞社)では,「かけ算方式(順次減額方式)」として「過失相殺について○%,素因減額は△%とそれぞれの減額割合を明示の上,(○×△)%を減額する方法」を紹介して,「実際にもこのように処理している裁判例が圧倒的に多い」と記載している。
  「(○×△)%を減額する」というのは,おそらく,全損害額からまず○%を減額し,その後,減額された損害額の△%をさらに減額する意味であるのだろう(全損害額が1000万円,過失相殺による減額割合40%。素因減額による減額割合20%だと,まず過失相殺による減額後の残額は600万円となり(10,000,000×(1-0.4)=6,000,000),その後,更に素因減額を行った後の金額は480万円となる(6,000,000-(1-0.2)=4,800,000)。なお,最新号の自保ジャーナル(1923号)掲載の松山地裁今治支部平成26年3月25日判決は,素因減額を行った上で,過失相殺による減額を行っているが,順次減額方式では過失相殺減額,素因減額はどちらが先であっても結論は変わらない)。
  ただ,個人的な好みの問題だけれども,このような計算を「(○×△)%を減額する」という記載のみで表現するのは,ちょっと不親切な気がする(そもそも「×」という乗算記号を使うときに「○」とか「△」を用いると,「×」がバツ印のように見えるのでその意味でも表現が今ひとつだと感じる)。
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s-tlo-blog · 10 years
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東京家裁における”非嫡出子が相続人である場合”の取扱い
  最新号の法曹時報(66巻8号)に,髙橋伸幸裁判官による東京家裁家事第5部(遺産分割専門部)の遺産分割調停・審判事件の審理に関する実情を紹介する記事が掲載されていた。
  これによると,東京家裁では,非嫡出子相続分につき,昨年の違憲決定(最決平成25年9月4日)及び民法改正後の扱いについて,
    ➀平成12年9月までに開始した相続…旧規定を前提
    ②平成12年10月から平成13年6月までに開始した相続…旧規定の合憲性を個別に判断
    ③平成13年7月から平成25年9月4日までに開始した相続…嫡出子・非嫡出子の相続分を平等なものとして扱う
    ④平成25年9月5日以後に開始した相続…新規定を前提
としているとのことだった。
  また,③平成13年7月から平成25年9月4日までに開始した相続につき,旧規定を前提とする遺産分割の審判がされ,確定している場合や,遺産分割の協議・調停が何の瑕疵もなく成立している場合には,当該被相続人の遺産につき最終的な帰属が確定し,「解決済み」といえるから,上記最高裁決定の効力は及ばず,遺産分割の効力は維持されると扱っているそうだ。
  当たり前と言えば当たり前の話だけれども,公刊物に掲載されているということに意味があるかと思い,一応メモしておく。
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s-tlo-blog · 10 years
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自転車が加害者となった事故
 法曹時報66巻7号71頁掲載の白石史子(東京地裁民事27部部総括判事)『東京地方裁判所民事第27部(交通部)における事件の概況』によると,平成25年4月以降の自転車が加害者となった事故(自転車対自転車の事故,自転車対歩行者の事故)についての新受件数は59件であるとのことだった。
 民事27部の新受件数が1842件(ただし,これは平成25年4月以降の件数のみならず,平成25年1月1日から平成25年3月31日までの件数も含まれている)であることを比較すると,東京地裁では自転車が加害者となった事故が訴訟となる件数はごく少数にとどまっている。
 その原因としては,➀自転車が加害者となる事故により生じる損害が低額であるため,訴訟を提起することは経済的に見合わない,②損害が低額であるため,簡裁に提起されている件数が多い,③重大な損害が発生した場合でも,加害者の資力が不十分である(自転車事故は自賠法による保障の対象外であり,任意保険の普及状況も十分ではない)ため,被害者が提訴を断念せざるをえない,④自転車が加害者,自動車・単車が被害者という事故が統計から除外されている,といったところだろうか。
 自転車が加害者となった事故の統計を取り始めたのは今回がはじめてということなので,今後の数値の変動に注目したい。
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