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ayakoizumi-works · 2 months
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2023/2024
重なることについて 
2023/12/15ー25・2024/1/5ー15 obi gallery(藤沢)
世界の成り立ちやその仕組みについて観察し、思いを巡らせるのが好きで、例えば子供が玩具や手近な物を、その手触りや重さやかたちや機能について堪能したのち、そこから逸脱して新たな景色を立ち上げるような出来事に倣おうと考えています。見えている/在る(と思っている)ものを、視覚的、構造的、機能的な類似性(重なり)を見つけて、異なる在り方にうつしかえ、確認してみるような制作です。
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●個々の作品について 「重なる箱(overlapping boxes)」  本を開くとその中に世界が広がっている様子と同じような作品をつくろうと思ったことが、私の箱をテーマにした制作のはじまりです。過去には開閉式の箱の内側に世界の模型を入れようとしていましたが、いくつも箱をつくるうちに、板の厚みこそが世界を司どるものだと思い至り、今は入れ子の箱について考えるようになりました。  まず正方形の枡型の箱からはじめるという、自分の中で決めたルールがあります。  今回の新作は、壁に掛けるシリーズです。 「monad」  ブロックは普通、何か具体的な対象(乗り物や建物や動物など)の再現を目指して用いられます。再現性を高めるためには 解像度を上げる方向へ、つまり大量のパーツを用いたほうが良いことになります。または、少ないパーツでも「見立て」によって何かを象徴することが出来ます。しかしこのシリーズは、何かを再現するという目的を持たずに、ブロックのパーツそのもののかたちの美しさや機能に自然な姿勢で従って制作されました。  母家の方の「monad」は、友人から子供時代に使っていたダイヤブロックを借りて今回のために制作しました。色のことが加わっています。 《紐の彫刻》  紐は通路のように視線を誘導しますが、太さがある塊だと気づいてから、彫刻として彫り出すことをはじめました。  板から紐を彫る作業は、通常の文脈的なアプローチでことを為すのとは違って、道すじのないところから、異なる層にある方法で回路が開けていく様子に似ていると思っています。 「物語の量と在処」  本を読んでいる時には本自体を見ていない、物語はどこに在るのか?という不思議を問い詰めたくて、物語のページを細かく切り刻み、量を保つために全て使って、支持体なしにほんの少し糊代として重ねながら貼りつなげていく制作をしています。  体を切り刻んでも、これが命だというものを指し示すことが出来ない事象と重ねてこの制作をはじめました。  《言葉のかご》はホフマンスタールの『チャンドス卿の手紙』という、この世界を全て体系化して言葉で記述できると企図していた青年が、急に失語症になって筆を折ると決心したことを告白する手紙の物語を用いています。  《こま》と、《使者と小さな寓話》は、カフカのとても短い短編でできています。それぞれ、2頁=1紙片の物語と、1頁の裏表による1紙片の物語です。 《一瞬見えるように》  サティの楽譜には奇妙な特徴があり、五線譜の上の所に短い言葉が添えられています。それをタイトルにした作品をいくつか作ったうちの一つです。「冷たい小品」の中の「ゆがんだ踊り」というピアノ曲の楽譜に記されています。 「重ね描き」  イメージを重ねることを考えていて、そういえば、本を読んでいるときにそこから関連する別の事が想起されて脱線することが多々 あると思い当たり、それを律儀に拾ってみることからはじめました。類語辞典は言葉の体系化を実現した書物で、ホフマンスタールの『チャンドス卿の手紙』は世界の言葉による体系化に取り組むも急にそれが不可能になってしまった者の独白という対照的なもの。言葉の誕生と消滅と再起について、身体的な感覚や認知機能についても興味が広がってしまうままに任せて書い てみました。 「ヒルマ・アフ・クリントが見ていたもの」  抽象絵画を世界で最初に描いたのはスウェーデンの女性画家、ヒルマ・アフ・クリント(1862 - 1944)だったという。彼女は当時隆盛だった神秘主義、特に人智学のシュタイナーに傾倒していました。今からそれを思うとオカルト的な雰囲気を強く感じますが、当時は電磁波の存在証明や、X線が発明されて見えないものへの科学的なアプローチが熱い時代だったことが、彼女に強く影響しただろうといわれています。彼女は100年程前に日々森に入り、植物を「エーテル面」から観察し、人類の大いなる進化のために得たメッセージと抽象的な図像をノートに残しました。どんな植物を見てそれをしたのか、記載されている名前を頼りに画像検索してまとめてみました。日付を頼りに画集の複写と見比べながら見てみてください。 「結び目(輪の彫刻とドローイング)」  紐を木彫しているうちに、数学に「結び目理論」というトポロジーの分野があることを知り、その分類表を元に構造を借りてスケッチ(ドローイング)をし、板からそのかたちを彫り出しています。
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ayakoizumi-works · 2 months
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2023
本の似姿二〇二三
2023/6/18ー19 FRAGILE BOOKS Open Day(東京) ↓Fragile Booksの記事が読めます。 https://www.fragile-books.com/blogs/read/open-day-report-2
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ayakoizumi-works · 1 year
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2022
かさなりとかたまり
 2022/9/23−10/3 医学町画廊1F /楓画廊企画(新潟市)
 《重なる箱》は2016年からはじめたシリーズです。  箱に世界の様相を入れ込む制作をつづけて来て、箱の板の厚みこそが世界をつくっているものだと考えるようになり、異形の入れ子の箱を制作しています。
 おりがみは子どもの頃から好きで、自分の子と一緒に遊ぶのをきっかけに、その後も時々折っていました。何かしら自分の制作と関わりのあるものだと思っていたのです。  長岡に工房このすくができて版画のプレス機が身近になり、丁度その時折ってあった紫陽花*にインクを乗せて刷ってみたら、《重なる箱》と似ているところがあることに気がついて、今回一緒に展示してみます。
 ルールや記譜、時空間を内包する塊です。
 《portrate》のシリーズは、2018年に装丁家の桂川潤さんから誘われて、古典四重奏団のショスタコーヴィチ弦楽四重奏曲全集のCDBOXのアートワークを制作した時の派生作品です。多面的で陰影の強い人の肖像のイメージがきっかけになっています。
*紫陽花は『あじさい折りおりがみ』プロジェクトF・誠文堂新光社2017を参照して折りました。
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ayakoizumi-works · 1 year
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Overlapping Boxes _6 (12 boxes combined) 2019 176×169×94mm plywood 「重なる箱_6」
コイズミアヤ展「かさなりとかたまり」 2022/9/23−10/3 医学町画廊1F /楓画廊企画(新潟市)
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ayakoizumi-works · 1 year
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Overlapping Boxes_7 (11 boxes combined) 2019 210×202×95mm plywood 「重なる箱_7」


コイズミアヤ展「かさなりとかたまり」 2022/9/23−10/3 医学町画廊1F /楓画廊企画(新潟市)
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“Overlapping Boxes _9” (5 boxes combined) 2021 159×155×h70mm plywood 
「重なる箱_9」
コイズミアヤ展「かさなりとかたまり」 2022/9/23−10/3 医学町画廊1F /楓画廊企画(新潟市)
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“Overlapping Boxes _10” (6 boxes combined) 2021 265×201×h90mm plywood 「重なる箱 10」
コイズミアヤ展「かさなりとかたまり」 2022/9/23−10/3 医学町画廊1F /楓画廊企画(新潟市)
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“Overlapping Boxes _11” (8 boxes combined) 2021 190×198×h83mm plywood 「重なる箱 11」
コイズミアヤ展「かさなりとかたまり」 2022/9/23−10/3 医学町画廊1F /楓画廊企画(新潟市)
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“Overlapping Boxes _12” (5 boxes combined) 2022 202×178×h84mm plywood 「重なる箱 12」
コイズミアヤ展「かさなりとかたまり」 2022/9/23−10/3 医学町画廊1F /楓画廊企画(新潟市)
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ayakoizumi-works · 1 year
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「おりがみ1(紫陽花)」2022/おりがみと版画 「おりがみ2(紫陽花)」2022/おりがみと版画 「おりがみ3」2022/モノタイプ(シートのみ) 「おりがみ4」2022/モノタイプ(シートのみ)
コイズミアヤ展「かさなりとかたまり」 2022/9/23−10/3 医学町画廊1F /楓画廊企画(新潟市)
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ayakoizumi-works · 1 year
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「 藍色と黄色いシャルトリューズ 」2019/w120×h120×d25mm/シナ合板・ラミン棒・色鉛筆 「 暗いオリーブ色と翡翠とスミレの色 」2019/w120×h120×d25mm/シナ合板・ラミン棒・色鉛筆 「portrait_2」2019/木・アクリル板
コイズミアヤ展「かさなりとかたまり」 2022/9/23−10/3 医学町画廊1F /楓画廊企画(新潟市)
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ayakoizumi-works · 1 year
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2022
うつしかえと結び目のはなし
5/7-21 GALLERY TSUBAKI GT2(東京)
うつしかえ (2015−2016)
 ものを異なる表れに換える作業について考えていた。楽譜を見ながらピアノで演奏することも、こうして私の興味をテキストに書き起こすことも、「うつしかえ」と考えることができる。  ものを異なる表れに換えるために、異なる方法を用いることは、違う制約や価値を持つ場所に移転することのように思える。決して核心に近づいていくことではなく、ズレを新たに生成していくような行為かもしれない。でもその中に、今まで見ていなかった景色をみつけ、驚くことがある。
 「5本の指と手首×2つの手」のやりとりの中で行き来する紐がつくるかたちは独特な構造体で、出来上がったかたちを手から外して机上に置き、もう1本の輪の状態のあやとり紐で同じ構造を目視によって実現しようとしてもできなかった。指の動きから引き離すことのできないかたちなのだなと思った。そのかたちの構造を見ようとすると、自分が1本の通路を辿っていることに気がついた。紐を1本の通路として捉えることは、指の動きから離れることだった。あやとり紐の経路について制作した。
制作の工程 1.手指のない状態でのあやとり紐をスケッチで確認 2.紐の経路を通路に見立てて作る 「かめのこ」のあやとりの行程を図面にする。傾斜の角度についてや、紐が上下に交差するところでは一定以上の高低差を確保するようにルールを決めて、「かめのこ」の構造をうつしとり、その通路の距離(あやとりにとっては紐の長さ)が保たれるように計画し、模型を制作した。紐(通路)の長さにこだわったのは、紐はかたちを変えるけれども、一つの世界、システムとして自律している必要があると考えたため。
結び目のはなし (紐の木彫は2017−、結び目は2020−)
 板から紐を彫ることは急に思いついた。あやとりとの関わりもあったけれど、「重なる箱」をはじめとする箱のシリーズだけの新潟個展の時に、「この場には紐が必要だ」と急に思い立ち、追加で1点用意したのがはじめだった。塊と空間という通奏低音的な私の制作のテーマの中で、箱が内外を分けるかたちだという意味合いよりも、箱をかたちづくっている板厚に重きが生まれ、箱の開閉よりも箱の重なりが重要になって、詩的な時間よりもっと具体的な時間を内包するようになっていった。紐についての制作はその変化と連関するように現れた。促されて歩きはじめてしまうような方向と運動やそれに伴う時間をもつ通路としての性質を持つ線的な紐は、太さという実体のある塊でもあり、彫ることによって、線のはたらきとは違うアプローチで出現できることが私には面白かった。その後、トポロジーの結び目理論のことを知り、構造を借りてかたちをつくっている。
 「結び目理論 knot theory とは、紐の結び目を数学的に表現し研究する学問で、低次元位相幾何学(トポロジー)の1種である。」(Wikipediaから)
 Wikipediaの「交点数(結び目理論)」に掲載されている図で、31、75、とあるのは、3つの交点のある結び目の1つ目、7つの交点のある結び目の5つ目という意味。3、4は1種類しかない。11交点から凄くたくさんの種類をもつようになる。
 あやとり紐は複雑な構造体をかたち作ったとしても、ほどくとシンプルな輪になることから、結び目のないかたち(Unknot)とされる。結び目理論ではほどけない構造をもった結び目の状態について、まずは二次元写像にして交点の重なりや線の向きからいくつかの不変量を見出し、数学的に取り扱われているという。
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ayakoizumi-works · 1 year
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コイズミアヤ展「うつしかえと結び目のはなし」
2022/5/7-21 GALLERY TSUBAKI GT2(東京)
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2021
やわらかな座標 2021/7/17 − 8/9 ギャラリーみつけ(新潟県見附市)
 「座標」とは「点の位置を示す数ないしは数の組。」と辞書*1にあります。  少し難しいですが数学の本*2を読んでいて、ある曲面において「座標変換の式」があれば「区分的な座標」を色々な仕方で導入できる自由があること、違う仕方の座標を採用しても本来は同じことだと担保できること、さらには、座標のとり方に自由度が増していくと、元の曲面の決まった形というものがそれほど重要な意味を持たなくなってくるということについて書かれています。数値で完全に固定されてしまうような1つの定量的な世界ではないことが展開されていて驚きます。  「座標」について比喩的に「何らかの基準に対する物事の位置づけ。」とも辞書に書いてあります。今回、その「基準」を「やわらかな」ものにすると考えてみました。  事物の配置や関係を見たり、似たものを考えたり、イメージを重ねてみたりすることについて展示してみようと思います。
*1:『精選版 日本国語大辞典』(小学館) *2:『現代数学への招待』志賀浩二 著(ちくま学芸文庫)図はp.78
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ayakoizumi-works · 1 year
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展示風景(2つの隣接した展示室)
コイズミアヤ展「やわらかな座標」 2021/7/17 − 8/9 ギャラリーみつけ(新潟県見附市)
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ayakoizumi-works · 1 year
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1.《充満と空虚》とその空間を観察して描いたドローイング  りったいとえはちがうけれどにている 《聖なる山》2005/400×400×h346mm/木  2005年に制作された「充満と空虚」という信仰の物語についてのシリーズから2作品を、10年後の2015年に描いたドローイングと共に展示します。9つの順番のある連作のうち、5つ目の《聖なる山》と9つ目の《入る》、それぞれについてのドローイングを並べてあります。このドローイングは立体作品をつくる準備のために描く図面とは順序が逆で、できた作品から確認されたことを描いています。
コイズミアヤ展「やわらかな座標」 2021/7/17 − 8/9 ギャラリーみつけ(新潟県見附市)
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2.(『角川類語国語辞典』の序)及び事物の羅列 ぜんぶをみたり、ぶぶんをみたり、なにかをさがしたり  似た言葉を探すためにあると思っていた類語辞典の序に思いがけない感銘を受け、今回掲示することにしました。    言葉の選択やはたらきに関わる内容は、そのまま事物に対するものにも拡張して言えるように思います。  私の作品は本来はひとつひとつ展示され、それ自体及びそれから想起されるものを見て貰うことが通常ですが、今回は布置に読み解くべく意図を持たせることもせずに大きな台に羅列します。見ることが出来るように見て貰えたらと思います。
(この辞書は全語彙を意味によって分類して群をつくるように編纂してあります。言葉を俯瞰的に体系化するようでいて、具体的には相互の関係なので細かい無数の相対的な軸が世界を繋いでいるようなボトムアップな景色も見ることができるような辞書です。)
コイズミアヤ展「やわらかな座標」 2021/7/17 − 8/9 ギャラリーみつけ(新潟県見附市)
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