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#エドゥアルド・ノリエガ
roomofsdc · 3 years
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SDC映画の部屋「バンテージ・ポイント(2008)」
スペインのサラマンカ、市街中心部の広場では大勢の人が集まって,テロ撲滅サミットの共同宣言のセレモニーを待っている.アメリカ大統領アシュトン(ウィリアム・ハート)の登壇を控えて,テレビ局のプロデューサー(シガニー・ウィーバー),レポートの女性アナウンサー(ゾーイ・サルダナ),アメリカからの観光客(フォレスト・ウィテカー),地元警察の私服刑事(エドゥアルド・ノリエガ)らはそれぞれの理由で落ち着きがない.シークレットサービスのバーンズ(デニス・クエイド)は休職明けの初仕事で特に緊張しているが,嫌な直感に押されるようにステージに近づいていく瞬間,壇上の大統領が狙撃される,パニックになる群集だが,その直後にステージで爆発が起こり広場は大混乱に陥る...
この映画の面白いところは,爆発の瞬間にフィルムを巻き戻すように時間が遡り,事件よりも前の,別の人間の視点での物語が始まることだ.少しずつ異なる時間,少しずつ異なる視点,同じ事件を見ているはずなのに少しずつ異なる様相となり,主人公(この場合は最後の主観者となるバーンズ)とともに観客は一歩一歩真実に近づいていくことになる.公開当時の宣伝では「羅生門スタイル」と呼んでいたが,「羅生門」のように各々の主観に基づいて全く異なるストーリーを物語るのではなく,本作品はあくまで一つの時系列にともなう異なるビューポイントの提示なので,全くジャンルは異なるが「運命じゃない人(2004)」と同じ構成と言ってよいだろう.
破綻なく練り上げられた脚本もさることながら,この映画はアクションシーンのキレの良さも水準以上.映画の後半にノンストップ(巻き戻されることなく)で展開するカーアクションの連続からのクライマックスは,それだけでもお腹いっぱいになるクオリティ.キャストもとびきりのアクションスターが出てくるというわけでもないが,適材適所で物語の流れを妨げることが一度もなかった.これは演出の巧みであろう.
残念ながら大ヒットというほどの当たりはなかったが,肩肘張らない(けれども本格的な)サスペンスアクションをお求めの向きにはちょうどよい,隠れた佳作.
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abulingzi · 4 years
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【備忘録】 2019年5月に観た映画 『ラストスタンド』 キム・ジウン監督を 追っかけ始めたきっかけ映画です シュワちゃん アメリカの田舎町 ずっこけ同僚 のんきな町の住人たち アクション映画なのに 町の描写は ハートフルコメディちっく いやいやしかし シュワちゃんは きっちり方つけますよ #ラストスタンド #アーノルド・シュワルツェネッガー #フォレスト・ウィテカー #ジョニー・ノックスビル #ピーター・ストーメア #ルイス・ガスマン #エドゥアルド・ノリエガ #キム・ジウン https://www.instagram.com/p/B6kSI56FTEH/?igshid=1pg9gzs12fhrc
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roomofsdc · 3 years
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SDC映画の部屋「オープン・ユア・アイズ(1998)」
セレブでハンサムな独身貴族として人生を謳歌するセザール(エドゥアルド・ノリエガ)は恋愛についてもドライで、一度寝た女性とは二度と逢わないという主義で享楽的な毎日を過ごしていたが、誕生パーティで偶然出会ったソフィア(ペネロペ・クロス)を運命のひとと直感し付き合い始める。それを知った元カノのヌリア(ナイワ・ノムリ)は思い詰めてセザールとともに無理心中を図り、セザールは辛うじて一命を取り留めたものの顔面に修復困難な大きな障害を負い、ソフィアも離れてしまったことで彼の人生は一転する。絶望して自暴自棄になるセザールだったが、ある朝目を覚ますと、怪我が治っておりソフィアとの親密な日々が戻ってくる。幸福な毎日に喜ぶセザールだが、毎晩のように悪夢を見るようになり、やがてそれは現実をも侵食し始める…
1998年の東京映画祭でグランプリを獲得したスペイン映画。監督・脚本・音楽はアレハンドロ・アメナーバルが手がけ、共演のペネロペ・クルスともどもハリウッドのトム・クルーズが再映画化権を取得、カヴァーとなる「バニラ・スカイ(2001)」はトムの節操のないスキャンダルで大ヒット。そのおかげでこの映画も再び脚光を浴びるようになったが、作品の創造性にゆるぎはなく、アメナーバル監督は「アザーズ(2001)」や「海を飛ぶ夢(2004)」などの作品で高い評価を受けている。 ネタバレにならない程度に内容を語るとすれば、「夢」と「現実」をテーマとしたストレートなSF作品と言えるが、これにいろいろなギミックを取りこんで良く練りあげた脚本、新鮮なカメラワークと巧みな編集、そして共演のペネロペ・クルスの魅力。これらがこの作品を一段上に押し上げている。意味ありげな小道具も効果的。 最初、本作品を観た時に、おなじ構成を持った映画として「ジェイコブズ・ラダー(1990)」を連想した。あの映画に描かれている悪夢は、まさに悪夢そのものだったが、こちらの映画では「夢」そのものはとても美しい故に、それを喪った(もしくは否応なく手放した)瞬間に一気に悪夢に変わってしまう、とても残酷な物語だ。それでもラスト、屋上の青空の下で「運命の女性」を抱きしめるシーンは、(主人公にどっぷりと感情移入できる観客であれば)この上なく胸を締め付けてくるだろう。おそらくは主人公はその後も「夢」と「現実」の境界を歩み続けなければならないと分かっていても、あの永遠のような一瞬が必要だったのだ。「映画」が「夢」であることをよく知る映画マニアの監督ならではの出世作である。
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