Tumgik
#ラブロフ外相が訪中へ
ari0921 · 22 days
Text
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和六年(2024)4月10日(水曜日)
   通巻第8209号 <前日発行>
 イエーレン訪中が意味することは何か?
  過剰生産の警告は、すなわち『習近平の経済路線は間違いですよ』の暗喩
*************************
 ジャネット・イエーレン米財務長官は4月3日にワシントンを立ち、4日に広東省に到着した。何立鋒副首相等と会談し、はやくも中国の過剰生産問題に言及した。世界貿易秩序の波乱要因として懸念を表明した。
 ところが中国のメディアは、イエーレンが前回訪中時にビールを飲んで、奇妙なキノコを食べていた写真を配信し、今度は何を食べたか等とへんな記事を配信していた。
 訪中前の講演でもイエーレンは「世界の価格と生産パターンを歪め、米国ばかりか世界中の企業と労働者に打撃を与える」と発言している(3月27日、ジョージア州での講演)。
 王文濤・商務部長は、三日後にはパリでBYD展示会にのぞみ、イエーレンの主張に対しては、「補助金の所為ではなく、中国のイノベーションの賜物であり、過剰生産と言われるのは市場メカニズムの結果である」と米側の主張に反駁した。
 すでに米国は中国製EVに25%の報復関税をかけており、トランプ前大統領は、これを60%とすると唱え、またメキシコ製の中国車には100%関税をかけると訴えている。
ジョシュ・ホーリー上院議員は125%、おなじくマルコ・ルビオ上院議員は「中国車一台あたり2万ドルの追加関税をもとめる法案」をすでに議会に提出した。
 この動きに応じたのか、中国のEVメーカーはタイに進出し、値下げと補助金で攻勢をかけ、日本が圧勝してきた市場を蚕食し始めた。
中国EVのタイ進出はBYDに加えて長城汽車、長安汽車、浙江吉利など、低価格帯EVや大幅値引きでタイのシェアを増やしている。
 過剰生産への懸念か。なるほどマンションの過剰生産(建てすぎ)は人の住まないマンションが30億人分もある。どう処理するのだろうか?
辺境で乗客のいない新幹線も、高僧道路も造りすぎ、テーマパークもあちこちに建てて、いまはペンペン草が生えている。海外にも過剰生産の付け足しのようにBRIプロジェクトで各地にゴーストタウンを造った。
 中国経済の構造的欠陥はGDPに占める個人消費がすくないため(37%、米国は65%、日本は60%)、外需に依存し、さらに海外マーケットを獲得するためにダンピングと補助金をつける歪んだ体質である。これは不公正な慣行だと米国側はみるが、米国に限らずWTO違反は明らか。日本も中国製太陽光パネルなどに100%の関税をかけてしかるべきだろう。
 ▼それでも「ウィンウィンでいける」と李強首相
 「過剰生産」をイエーレンは重大な懸念だと繰り返し述べたが、中国側は聞く耳がなかった。北京では李強首相、劉鶴 ・前副首相らがイエーレンと会談した。中国側は米中対決というタイミングゆえに、むしろ異例の厚遇ぶりを示した。
李強首相は決められた台詞。「敵対関係ではなくパートナーであるべきだ」と歯の浮くような発言を繰り出した。
 直前に中国政府は鉄鋼の減産方針を全国に通知し、過剰生産対応のジェスチャーを示したが、鉄鋼、造船、風力発電、太陽光パネル、そしてEVと、その廉価というよりダンピング輸出は世界市場を潰乱させた。
風力発電の世界シェアは中国メーカーがトップ5を独占し、「金風科技(Goldwind)」「遠景能源(Envision Energy)」「明陽智能(MingYang Smart Energy)」「運達股分(Windey)」「三一重能(Sany Heavy Energy)」の順となっている。メーカー乱立で収益は殆どないというのが業界の評判だ。
 中国製太陽光パネルはトリナ・ソーラー、カナディアン・ソーラー、ジンコソーラーホールディング、JAソーラーが譲位を独占しており、世界の太陽光パネル出荷量の上位四位を寡占した。じつに世界出荷量のうち71%が中国系企業が独占した。日本列島各地を埋め尽くしたが、不評ばかり。おまけに土砂災害を引き起こした。
ついで中国製EVがEU市場を攪乱し始めたため、EU委員会は重い腰を上げて規制に乗り出す。かくしてイエーレンの警告は世界市場すべての問題なのである。
 ようするに不動産関連で墜落した中国経済の補完を、EVを筆頭にクリーンエネルギー関連、バイオなどに転化しGDP成長率を堅持しようとしているのだ。
 ▼毛沢東の亡霊、ノルマという強迫観念が国有企業に取り憑いている
 習近平の経済の理解は社会主義時代のノルマであり、強迫観念のように国有企業の宿痾、中国人の体質なのである。だから馬雲やテンセントなど欧米並みの起業家が育っても、民間企業はかならず規制され、あるいは潰される。起業家精神は大きく削がれる。だから若者は国を棄てることになる。
 4月8日、訪中最終日に記者会見に応じたイエーレン財務長官は「中国政府による特定産業への補助金などの支援が原因だ」し、「米国や世界の労働者や企業に大きなリスクをもたらす」と改めて強調した。
 入れ違いにセルゲイ・ラブロフ・露西亜外相が北京に到着した。ロシアは中国との戦略的パートナーシップをさらに強化するため、とラブロフは語った。
 ラブロフ訪中はプーチン訪中の地ならしと言われる。
 またイエーレンは習近平とは会わなかったが、おりしも訪中している馬英九・台湾元総統が4月10日に北京で習近平と会談する段取り、日米首脳会談に日程を意図的にぶつけてきた。
 イエーレンは北京で潘功勝・中央銀王総裁とも会っているが、嘗てFRB議長の経験があるからだ。結局、中国は米国側に歩み寄る姿勢を示しつつ、一方でバイデン政権の半導体輸出規制にはつよく反発し、「米国の対中経済・貿易制限措置に深刻な懸念がある」とした。「米国は自由競争という資本主義原理に基づいて行動すべきである」と耳を疑うような発言もあった。
 半導体は技術窃取や台湾、韓国からのエンジニアのスカウト、米国における「千人計画」などで、すでに7ナノ半導体生産の技術を獲得したと、米国のシンクタンクが報告している。
 米国はこのため3ナノ、2ナノ生産工場をアリゾナ州に誘致し、台湾のTSMCに1兆円もの政府支援を行って、工場をいちどに三つ建設中である。
しかしTSMCは14ナノならびに1ナノの研究と開発ラボを台湾に集中させているため、米国は次世代半導体技術の中国への漏洩を警戒している。TSMCの熊本工場は28ナノで家電、スマホ向け需要に対応するためであり、予定されている熊本第二工場とて、7ナノにとどめる。
日本がIBM支援のもと、官民挙げていどむラピダスは、北海道千歳で2027年に2ナノ半導体生産を予定している。
 ▼中国の大手不動産会社、デフォルト続く
 さて不動産デベロッパーが倒産しているのに倒産しないという「ゾンビ軍団」はその後、どうなっているのか。
地方銀行、中小銀行の不良債権を肥大化させ、こんどは銀行の経営危機を招来させている。哈爾浜銀行は不良債権率が44%増えた。遼寧省の地銀、錦州銀行は上場廃止、江西省九江銀行は不良債権が三倍ちかくに膨らんだ。甘粛銀行は2・7倍、貴州銀行は五割近く不良債権を増やしていた。
準大手以下の27行の不良債権合計は2兆2300億円と今のところ軽いレベルだと言い張っているが、不動産大手のデフォルト処理が進んでおらず、とくに外貨建て債券が軒並みパンク、不動産不況の実態は、24兆円が不良債権だろうと推計される(それでも少なすぎるが、いずれ別稿で触れたい)。
 
中国最大のデベロッパー「碧桂園」も、ついに23年10月にドル建て債権99億ドルをデフォルト、第二位だった恒大集団の破産はいうに及ばず、世茂集団は二年前の米ドル債10億ドルのデフォルト、ドイツ銀行などが香港高等裁判所に法手続きを申請した。
このほか、大手の万科、華潤、融創、遠洋などが業績不振に陥っている。それぞまさしく供給過剰(生産過剰)の悪例ではないのか。
2 notes · View notes
kennak · 9 months
Quote
2012年末に発足した第二次安倍政権が、最も精力的に取り組んだ外交課題のひとつが、ロシアとの間で長年の懸案事項となってきた北方領土問題、平和条約問題であった。安倍首相(当時、以下に同じ)は在任中、ロシアのプーチン大統領との間で27回もの首脳会談を行い、首相の訪露は11回を数えた。なお、対するプーチン氏のこの間の訪日は2回���とどまる。 時に「前のめり」などと評されることもあったが、この困難な問題にこれほどの熱意をもって正面から取り組んだ日本の首相は、かつていなかったといってよい。しかし、結局、安倍首相の在任期間中に北方領土問題、平和条約問題解決への具体的な端緒が開かれることはなかった。 2020年9月、安倍首相は、連続在任2822日の最長記録を残して退任し、その後は菅首相に引き継がれたが、わが国の今後の対露外交の在り方を考える上で、安倍政権時代に交渉が進展を見なかった原因はどこにあるのか、その検証を行うことが重要と思われる。筆者は、日本のこの間の対露外交の背景には、ロシアに対する3つの幻想が存在したと考えている。 本稿では、近年の日露交渉の過程を簡単に振り返ったのち、ロシアへの幻想、特にわが国の安全保障とも直接かかわりのある中国とロシアの関係を中心に、安倍政権下の対露外交について考察してみたい。 日露間に広がるギャップ 就任後の早い段階で、安倍首相は日本の首脳による10年ぶりの公式訪露を果たし(2013年4月)、2014年2月にはソチ冬季五輪の開会式に出席するなど、積極的にロシアとの関係改善を目指してきた。同年3月以降は、ロシアによるクリミア併合を受け、欧米諸国とロシアとの関係が急激に悪化の一途を辿ったが、日本は北方領土問題、平和条約問題の解決へと邁進した。 安倍政権下での対露交渉において、最初の大きな転機となったのは、2016年5月の安倍首相の訪露である。当時のオバマ米政権の強い反対を押し切る形で、安倍首相は再びソチを訪問、ロシアに「8項目の経済協力プラン」を提示し、北方領土問題、平和条約問題に関して「新しいアプローチ」で交渉を進めていく方針を打ち出した。ソチでの会談後、安倍首相は「突破口を開く手ごたえを得た」と述べたが、同年12月にプーチン大統領が訪日して開かれた長門会談は、成果らしい成果を生むことなく終わった。 日露の平和条約交渉において次の大きな転機となったのは、2018年11月のシンガポールでの首脳会談だ。北方四島のうち、歯舞群島および色丹島の二島の日本への引き渡しが明記された「1956年日ソ共同宣言」を基礎に、平和条約交渉を加速させることでロシアと合意したのである。 これまで日本は、ロシアとの間で「北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する」ことを交渉の基本方針としてきたが、シンガポール合意は、日本が「(最大で)二島」へと大きく舵を切った瞬間とも言え、その意味で日本の一大方針転換であった。 しかし、日本側の大きな決断にも関わらず、その後も交渉は難航。昨年7月には、領土割譲禁止条項が新たに加えられた改正憲法がロシア国内で成立し、今後の交渉の見通しがますますつかなくなるなか、安倍政権は退陣した。 一方で、この間に明らかになったのは、日本との北方領土問題、平和条約交渉に対するロシア側の非常に硬いスタンスである。ロシアのこの問題に対する主張は、ロシア国内での報道や、日本側で交渉に直接関与した谷内正太郎・前国家安全保障局長の証言(注1)、これまでのプーチン大統領自身およびラブロフ外相の発言などから、おおよそ次の二点に集約し得る。 第一は、日本との間で平和条約を締結するとしても、それは島の引き渡し等に関する条件なしに、つまり、領土問題とは無関係に締結するというものだ。 しかし、平和条約を締結してしまえば、当然、その後領土問題を協議していくためのロシア側の動機は、今よりさらに失われることになる。プーチン大統領自身が、「日本との間に領土問題は存在しない」と繰り返し述べている現状を勘案すれば、平和条約を締結した後に、ロシア側が真摯に日本との領土問題に向き合うとは考えにくい。当然、日本として受け入れられるものではない。 第二は、平和条約締結の条件として、日本が第二次大戦の結果、南クリル(北方領土のロシア側の呼称)が正式にロシア領になったと認め、かつ、島に在日米軍基地を展開させないという日本側の保障が不可欠とするもの。 これについて、あるロシアの有力メディアは、ロシア側政府関係筋の話として、そもそも日本へ島を引き渡す計画などないが、直接交渉を拒否することは“外交的配慮”から控え、代わりに日本側が到底受け入れられない条件を提示しているのだと伝えた(注2)。にわかには信じがたいほどの強弁だが、ロシア側の報道によると、プーチン大統領自身、実際にこの条件を安倍首相に提示したことを強く示唆する発言を行っている(注3)。 いずれにせよ、1956年日ソ共同宣言を足掛かりに、領土問題解決、平和条約締結へと突き進もうとした日本との温度差は、相当なものだ。だが、実は北方領土問題、平和条約交渉に対する温度差は、これほどまでに顕在化するずっと以前より、日露間に存在してきた。安倍政権はその温度差を見誤った可能性がある。そして先に述べた通り、筆者はその背景には、ロシアに対する3つの幻想が存在してきたと考えている。 ロシアに対する3つの幻想 日本が安倍政権下でロシアに対して抱いてきたと思われる3つの幻想の第一は、プーチン大統領は北方領土問題に熱心だという幻想だ。 確かにプーチン大統領は2000年代前半には、「1956年宣言」の有効性を認め、その履行はロシアの義務だと発言するなど、北方領土問題に前向きととれる姿勢を示したことがあった。しかし、2004~05年を境にその発言内容は一変、以降は「南クリルが第二次大戦の結果正式にロシア領になったことは、国際法で認められており、これについて一切議論するつもりはない」、あるいは「1956年宣言には、島を引き渡すとしても、どこの国の主権が及ぶかは書かれていない」、「日本との間に領土問題は存在しない」などという、日本としては理解しがたいレトリックを繰り返し、一貫して強硬な姿勢を示してきた(注4)。 特にここ数年のプーチン大統領の発言は、どれも2000年代前半の時分とはかけ離れたものだ。それにもかかわらず、安倍政権は当時のプーチン氏の発言に引きずられてきた可能性が高い。シンガポール合意で、日本が1956年宣言まで下りる決断をしたのも、まさにプーチン氏が当時、1956年宣言の履行はロシアの義務と認めたという一点に、望みをつないだ結果だったと考えられる(注5)。 第二は、プーチン政権は盤石だという幻想である。 1990年代、新生ロシアを率いたエリツィン大統領は、議会をはじめ国内での政治基盤が極めて脆弱だったため、同大統領との間で平和条約交渉を進めることができなかったという苦い経験が日本にはある。その点、プーチン政権は安定しており、プーチンは領土問題で決断し得る指導者だという幻想は、広く日本に存在してきた。 実際に、日本の政界やメディアの一部からは、「プーチン大統領が在任中の今が、北方領土問題を解決する最後のチャンス」という見解が度々聞かれた。日本がロシアとの関係を、プーチン大統領と安倍首相との個人的な関係を軸に動かそうとしたのも、その表れであろう。 しかし、ロシアの政治は、実はそれほど単純な構図で動いているわけではない。近年、欧米のロシア専門家やロシアの政治学者、あるいは独立系のジャーナリストらが指摘しているのは、プーチン大統領の力は、国内でも、国外でも、誇大に評価されているという点だ。 プーチン治世において、確かに政治・経済の隅々まで「権力の垂直化」が図られてきたことは事実である。しかし、石油や天然ガスといったエネルギー資源、あるいは巨大化した国営企業に依拠した垂直型の経済システムは、既に10年ほど前からほころびを見せ始めており(注6)、2014年以降は、そこに原油価格の低迷と欧米諸国からの経済制裁も加わった。プーチン政権下のロシアを、ソ連末期の「停滞の時代」とまで比喩する論が、ロシア国内でも散見されるようになっている。 経済が停滞すれば、経済的な利権構造を基盤に築かれたロシアの政治システムそのものも、同時にほころびを見せ始める。エネルギー資源や国営企業に依拠する経済の構造改革が、大統領の掛け声に反して遅々として進まないのも、それらが政治の利権の温床になってきたからだ。 経済の低迷が続くなか、2018年のロシアの統一地方選挙で、いくつかの地域で与党が敗北したことは、政治システムのほころびを示すひとつの象徴であった。近年相次ぐ有名政治家や著名人らの逮捕、またプーチン氏自身に関する健康不安説やスキャンダルがメディアに流れ始めた背景にも、プーチン大統領のレームダック化、あるいは政権内の権力闘争の激化が存在しているとの指摘が、ロシア国内の専門家らから多々示されている。 こうしたなか、国民の間に漂う閉塞感のはけ口として、あるいは政治システムにおける利権に代わる接着剤として、プーチン政権はこれまでも、大国主義とナショナリズムを利用してきた。近年では、これに加えて、第二次世界大戦におけるロシア(ソ連)の「歴史の正当化」というテーマも積極的に活用されるようになっている。 2014年にロシアで成立した第二次大戦の記憶に関する法律も、プーチン大統領自身が2020年6月に発表した論文「偉大な勝利75周年~歴史と未来への責任」も、同大戦におけるロシアの正当性を強く主張するものだ。 もちろん、プーチン大統領がロシアの最高権力者であることは事実である。また、多少の困難な問題を解決するだけの力は依然として保持しているとする考えも、完全に否定することはできない。だが、第二次大戦におけるロシアの「歴史の正当化」を、大統領自らが旗振り役となって推進するさなか、まさに同大戦によって引き起こされた日本との北方領土問題を協議することが、いかに困難かは、想像に難くない。 対中牽制としての日露接近の幻想 第三の幻想は、日露の接近は、日本とロシアがそれぞれ中国に対する「カード」となり得るという日本側の認識であり、さらに言えば、その認識を日露が共有しているという幻想である。こうした幻想を生む背景となったのは、プーチン・ロシアが進めてきたロシアの「東方シフト」政策がある。 プーチン大統領は2000年の就任以降、ロシアの国土の大半はアジアに属すという点をことあるごとに強調し、ロシアのアジア太平洋地域への統合を目標に掲げ、その拠点となるべきロシア極東地域の振興を、「21世紀を通じた国家優先事項」に据えてきた。 プーチン大統領の意識のなかにあったのは、経済的に大幅に立ち遅れたロシア極東地域からの著しい人口流出への危機感と、国境を接する中国からの人口的・経済的浸食、つまりは同地域の「中国化」への強い警戒感があったとされる。 だがそれだけではない。同時に、エネルギー資源等の欧州に代わる貿易パートナーとしてのアジアへの期待、さらには米国を中心とした世界秩序からの脱却・アジアを中心とした新しい世界構造への移行という政治・安全保障上の期待もあった(注7)。 特に2012年は、ロシアは極東の街ウラジオストクでAPECを開催したほか、極東発展省という極東の開発を専門とする政府機関を新たに創設するなど、ロシアの「東方シフト」が目に見える形で具体化され始めた年となった。以降も、ロシア極東への投資誘致に向けた経済特区制度が整備され、ウラジオストクでは、プーチン大統領自らが参加する大規模な「東方経済フォーラム」が毎年開催されるようになる。 日本としても、ロシアの「東方シフト」は歓迎する動きであった。安倍首相は、「中露が緊密に手を組む事態だけは避けなければならない」と周囲に語ったとされるが(注8)、ロシアの東方シフトの動きは、強大化する中国とどう向き合っていくかという安全保障上の観点から、日本にとっても好都合と映ったことが伺える。日本がロシアに提示した「8項目の経済協力プラン」には極東振興の項目が入れられ、安倍首相自らもプーチン大統領に対し、極東における両国の協力を「格好の共同作業の場」と表現してみせた。 これに関連して、自民党の河井克行総裁外交特別補佐(当時)は、2019年1月にワシントンでスピーチを行った際、日本のロシアへの接近は中国の脅威に日露が共同で対処するためとの説明まで行っている。なお、河井氏のこの時のスピーチは、ロシア側から猛反発を受けたことは後で少し触れる。 ロシア国内でも、ロシアの「東方シフト」を日本と結びつける議論もあった。例えば、カーネギー・モスクワセンターのドミトリー・トレーニン所長は、「ロシアと台頭するアジア」(2013年11月)というレポートのなかで、ロシアのドイツとの良好な関係を引き合いに、日本を「東方のドイツ」にすることはロシアにとって意味があるとし、今後の露日関係の発展に期待を寄せている。 トレーニンは、露���関係の肯定的な側面を評価しつつも、ロシアと中国の間には様々な矛盾があることを指摘し、ロシアは、強大化した中国との関係をより効果的に構築するためにも、日本をはじめとする他のアジア諸国との関係も同時に強化すべきだと考えていたのである。 トレーニンが「ロシアと台頭するアジア」のなかで指摘したように、中露関係は、首脳同士による「蜜月」の演出とは裏腹に、当時からさまざまな矛盾を抱えていた。ロシアと中国の経済力の差は拡大する一方であり、両国間の貿易構造の不均衡は、ロシアが中国の産業発展に寄与する資源供給国の地位に落ちたことを意味した。経済的な面だけではない。ロシアが自国の勢力圏と目する中央アジアや北極圏においても、中国との利害がいつ本格的に対立するか分からない状況が当時から指摘されてきた。 特に中国と直接国境を接するロシア極東地域の住民の間では、中国の不法移民の問題が、「(中国の)静かなる拡張」と呼ばれ、時折沸き起こる「中国脅威論」の動機となってきた。また、ロシア領内での中国人農家による収奪的な農法や森林の違法伐採など環境問題ともリンクし、一部極東の市民らの間では、中国に対する一種のアレルギー反応が引き起こされることもあった(注9)。 ただし、そうしたなかでも、トレーニンの「日本を東方のドイツに」という考えは、ロシアではごく限られた少数意見であり、多くのモスクワの政治エリートや専門家らの見方は、あくまでロシアのアジアにおけるパートナーは中国であり、日本はアジアにおける「複数の選択肢のうちのひとつ」に過ぎないという認識が大半であったことは、注意しておく必要がある。 そのうえ、ロシアの中国偏重の比重はその後ますます高まっていくこととなる。2014年のロシアによるクリミア半島の併合とそれに続く欧米諸国との対立が、ロシアの「東方シフト」の性格そのものを一変させたのである。 中国との軍事同盟も排除しない ロシアの中国専門家アレクサンドル・ガブエフによると、21世紀のロシアと中国の関係は、三つの支柱によって支えられてきた。第一に長大な国境ゆえに安全の保障が不可欠という両国の認識の一致、第二に経済的な相互補完性、第三に政治体制の類似性である(注10)。 第一については、2004年に両国間で最終的に国境が画定したことが大きな役割を果たした。第二は、裏返せば貿易構造の不均衡を意味するが、それでも欧州に代わる資源の販売先として、ロシアにとって中国の存在は大きい。第三は人権や言論統制など、欧米諸国の民主主義の理想と大きく乖離する両国は、いずれも欧米とは異なり互いに内政不干渉の立場だ。 そうしたなかで起こった2014年のクリミア併合後のロシアの孤立、特に米国との間の激しい対立と経済制裁は、ロシアの「東方シフト」を「中国シフト」へと向かわせ、結果的に日本という選択肢をさらに縮小させる結果へと導いた。 例えば、ロシアの対外貿易に占める中国の割合は、2013年の10.5%から、2019年には16.6%まで伸びている。経済制裁で輸入が減った欧州からの機械設備に取って代わったのも、主に中国からの輸入である。金額で見ても、2018年には両国間の貿易高は1,000憶ドルという大台に乗り、2024年までに2,000憶ドルを目指すことで合意している。 対する日本は、2013年にはロシアとの貿易高は350憶ドル近くまで増加したものの、その後減少、2019年も200憶ドル程度にとどまり、その比重も3.7%から3.1%へと縮小している。 ロシア極東地域を中心とした「中国脅威論」にも、変化の兆しが見られる。2014年にロシアの通貨ルーブルの価値が半減して以降、中国からの出稼ぎ労働者の数は激減した。代わって極東に多く見られるようになったのは、中国人観光客の存在だ。2019年、ウラジオストクなどの街がある沿海地方を訪れた外国人観光客は、そのおよそ半分が中国人であった。 ただし、ロシア極東を訪れる中国人観光客らは、中国資本のホテルやレストランを利用するため、地元経済へのインバウンド効果を疑問視する声もある。だがそうした点を考慮しても、2014年の前と後とでは、状況は様変わりした。 中国とロシアの安全保障面での連携も、ますます活発化している。中露海軍は2012年以降、毎年合同演習を実施してきたが、2016年には南シナ海、2017年にはクリミア危機後、特に緊張が高まるバルト海でそれぞれ初めての合同演習を行った。2018年には、ロシアの領内での大規模軍事演習「東方2018」に、初めて中国人民解放軍が参加し大きな話題となったが、その後も同様の合同演習は場所を変えロシア領内で毎年実施されている。 数年前までは、ロシアでは中国よるロシア製兵器のコピーといった問題が指摘されてきたが、ロシアは昨今、中国に対しSu-35戦闘機やS-400地対空ミサイルシステムといった最新鋭兵器の売却を再開させ、さらに中国におけるミサイル攻撃早期警戒システム構築に向けた協力も行っているとされる。 中露の軍事的な接近は、日本にとって当然他人事ではない。2019年7月には、ロシアと中国の空軍機が初めてアジア太平洋地域で共同巡回飛行を行い、そのうちロシア軍2機が竹島上空の領空を侵犯するという出来事があった。この時は韓国軍が警告射撃を行い、日本の自衛隊も緊急発進している。また、2020年12月にも、中露の軍用機が合同で日本海と東シナ海の上空を巡回し、韓国軍の発表によると、相次いで韓国の防空識別圏に侵入するなどした。 そうしたなか、2020年10月に行われた国際会議の場で、プーチン大統領が露中の軍事同盟結成について肯定的な発言を行い、世界中の注目を集めた。具体的には、露中の軍事同盟は「両国はそれが必要ないほどの信頼レベルに達している」という認識を示したうえで、それでも露中軍事同盟は「理論的には十分想像可能」であり「排除はしない」と述べたのである。 では実際に、ロシアと中国は軍事同盟に向かうのだろうか。同盟の実現については、実はロシアの中国専門家や安全保障の専門家らは、現時点ではほとんどが懐疑的な見方を示している。プーチン大統領があえて同盟に言及したのは、米国への牽制の狙いがあったとする解釈が大半だ。 というのも、中露は世界の多くの問題で実は利害が一致しておらず、それを互いが冷静に認識してきたからこそ、現在の関係が保たれてきたからである。ロシアはこれまで、中国の南シナ海をめぐる主張に同調することは控え、中国の領土問題についても基本的には中立を保ってきた。また、ロシアは中国と領土紛争を抱えるインドに対しても高性能な武器を売却するなど、あくまで自律的な姿勢を崩そうとはしていない。 一方の中国のほうでも、ロシアが独立を認めたジョージアのアプハジアや南オセチアを認めておらず、クリミアもロシア領とは認めていない。 両国とも、自国の利害が少ない地域で、不要な対立に巻き込まれるリスクは極力避けたいというのが本音なのである。また、同盟を組めば、どちらがリーダーかという競争が、改めて顕在化するリスクもある。 今後の行方 いずれにせよ、プーチン大統領が推し進めてきた「東方シフト」は、2014年以降、経済・安全保障のいずれにおいても、ロシアの「中国シフト」を加速させた。そのなかで、今のロシアの懸念は、中国はロシアにとって近年ますます重要で他に代えがたいパートナーになった一方で、中国にとってのロシアはそこまでの特別な存在にはなり得ていないという点にある。 中国の貿易総額におけるロシアの割合は、この10年間ほぼ2~3%で横這いだ。ロシア製兵器の供与は、今の中国にとっては重要だが、今後中国の技術の発展次第でその価値を下げるだろう。エネルギー資源に関しても、欧州が2050年までに二酸化炭素の排出実質ゼロを目指す方針を打ち出すなど、販売先として期待が持てないなか、中国へのパイプラインで手足を縛られたロシアは、価格交渉でこれまで以上に中国に強い立場を握られる可能性もある。 それでもロシアには今、中国接近以外の選択肢はない。前述の自民党の河井総裁外交特別補佐のスピーチに、ロシア側が過剰に反発したのはそのためだ(注11)。日本が期待した「対中牽制で日露接近」という幻想は、ロシアと共有されることはなかった。 では、ロシアのこうした中国偏重は、今後変わることはないのだろうか。 おそらく、短期的には大きく変わることはないだろう。米国で2021年にバイデン政権が発足する見通しだが、ロシアでは、トランプ大統領より民主主義や人権問題に厳しい同政権の発足で、米国はさらにロシアへの態度を硬化させるとの悲観的な予測が一般的だ。そうなれば、ロシアはますます中国との連携へと傾くほかない。 しかし10年先、15年先はどうか。中国とロシアのGDPは既に8~9倍の開きがあり、今後その差は拡大していくことが予想される。経済面、軍事面での自信をつけた中国が、中央アジアや北極圏での利害をめぐり、あるいはエネルギー資源価格等で、ロシアに対し何らかの圧力をかけてくる可能性もあり得る。あるいは中国と米国の関係が改善されることになれば、中国のロシア離れを引き起こす可能性も否定できない。 なお、短期的に大きく変わる見通しは低いと述べたが、ただし2024年がひとつの転換点となる可能性は残されている。プーチン大統領は2020年に、現在の任期が終了する2024年の後も、大統領として残ることを可能とする憲法改正を行った。しかし、プーチン氏が2024年に引退、あるいは院政へと移行する可能性が完全になくなったわけではない。筆者はむしろ、プーチン氏にとって都合の良い後継者が見つかれば、大統領を交代する可能性もあると考えている。 また、2024年は米国の次回大統領選挙の年でもある。バイデン氏は年齢的に二期目に出馬しないとの見方も多く、そうなると2024年から25年にかけて、新たな指導者が米露両国に誕生する可能性がある。その時には、米露対立と中露協商という現在の構図に、何らかの変化が生じることもあり得るだろう。 いずれにせよ、日本が今行うべきは、ロシアに幻想を抱くことなく、成果を焦ることなく、今一度、北方領土問題、平和条約交渉のわが国としての基軸をしっかりと立て直すことである。そのうえで、経済やエネルギー、人的・文化交流など、可能な協力については前向きに行っていき、いずれ訪れる可能性のある好機に備えるしかあるまい。 (注1)谷内前国家安全保障局長の証言については、2019年1月24日のBSフジの番組内での発言を参照。 (注2)”В Кремле не рассматривают возможность передачи Курил Японии. Чтобы не отказывать сразу, Москва начала с Токио дипломатическую игру”, РВК, 12 мар 2019 (注3)”Несбыточное давление”, Коммерсантъ,15 мар 2019 (注4)2012年3月1日の外国の主要メディア編集長らとの会見で、プーチン首相(当時)が日本との「ヒキワケ」について発言したことは、日本の一部報道では領土問題に対する前向きな姿勢と受け止められた。だが、その際もプーチン氏は続けて、「1956年宣言には、引き渡した島にどこの主権が及ぶかは書かれていない」とお決まりのフレーズを繰り返している。 (注5)プーチンの発言内容の変遷については、拙稿「進まぬ日ロ平和条約交渉」『インテリジェンス・レポート』2019年6月 (注6)2011-14年までは原油価格が100ドル前後と高止まりしていたにも関わらず、ロシアのGDP成長率はこの時期下降を始めており、エネルギーに依拠する経済システムが既に限界を見せ始めていた。国民の実質可処分所得も2014-17年の間に4年連続で下落し、2019年の時点でなお、6年前の水準に戻っていない。 (注7)2013年に改訂されたロシアの「外交概念」では、「世界経済・政治の重心がアジア太平洋地域に移動しつつある」との認識が示され、「(同地域に)透明性のある対等な安全保障と協力のアーキテクチャーを創設すること」へのプーチン政権の関心を示している。 (注8)「安倍首相が目指す日露新時代とは」、産経新聞、2019年1月23日 (注9)例えば、ザバイカル地方の広大な農地を中国企業に貸し出す契約や、バイカル湖に中国資本のミネラルウォーター工場が建設されるプロジェクトが明るみに出ると、地元住民らによる抗議活動などが起こった。 (注10)Александр Габуев, “Союзническая демонстрация. Зачем Путин заговорил о военном альянсе с Китаем”, Московский Центр Карнеги, 30 ноя 2020 (注11)ロシアのラブロフ外相は、「露日間の平和条約が、中国封じ込めのブロック強化につながるとの河井氏のスピーチは、言語道断の言い分だ」と強い言葉で批判した。
北方領土交渉はなぜ進まなかったのか――安倍政権の安保政策を振り返る(2) | キヤノングローバル戦略研究所
2 notes · View notes
newsvoice420 · 11 months
Text
中国特別代表 ロシア外相とウクライナ情勢協議 懐疑的な見方も - nhk.or.jp #最新ニュース
中国特別代表 ロシア外相とウクライナ情勢協議 懐疑的な見方も – nhk.or.jp 中国特別代表 ロシア外相とウクライナ情勢協議 懐疑的な見方も  nhk.or.jp 「中国、領土放棄型の停戦を提案」ウクライナ情勢で米紙報道(産経新聞) – Yahoo!ニュース  Yahoo!ニュース ウクライナ侵攻解決へ仲介外交、第三極が競う  日本経済新聞 中国の李輝特別代表、欧州歴訪の最後にロシア外相と会談 「仲介外交」は長期化の見通し:東京新聞 TOKYO Web  東京新聞 中国・李輝特別代表「ウクライナ危機の解決に向け具体的に努力する」ロシア・ラブロフ外相との会談で(TBS NEWS DIG Powered by JNN) – Yahoo!ニュース  Yahoo!ニュース Google ニュースですべての記事を見る 現職と野党候補、再び接戦 鍵握る「極右票」は分散か…
View On WordPress
0 notes
aria0921 · 4 years
Text
Tumblr media
日ロ外相、平和条約協議加速を確認 プーチン氏は日米同盟懸念
政治 ヨーロッパ
2019/12/20 0:08日本経済新聞 
【モスクワ=加藤晶也】茂木敏充外相は19日、ロシアのラブロフ外相と会談し、北方領土問題を含む平和条約締結交渉を加速させると確認した。一方、プーチン大統領は同日の年次記者会見で北方領土を引き渡した場合に米軍が駐留する懸念に言及した。日本は経済協力をテコにロシアとの信頼醸成を目指す方針だが、日米同盟が交渉進展の壁になる。
茂木氏は会談後の共同記者発表で「解決策を見いだすべく協議項目を整理し、議論を重ね、進展につなげたい」と述べた。ラブロフ氏は「両国の利益に合致し、両国民や議会に支持され、受け入れられるような合意を目指す」と語った。茂木氏はその後、記者団に2020年2月にドイツで開く国際会議に合わせて次回の外相会談を調整すると明らかにした。
9月に茂木氏が外相に就いてからラブロフ氏と会談するのは3回目でロシア訪問は初めてだ。これまではいずれも国際会議に合わせた会談で1時間以内だった。19日の会談は約2時間半と予定より1時間長かった。その後のワーキングランチを合わせると5時間に及んだ。茂木氏は会談後、18日も非公式に3時間協議したと明らかにした。
両氏は1956年の日ソ共同宣言を基礎に、平和条約を巡る交渉を加速させる方針を改めて申し合わせた。ラブロフ氏は「経済、投資、安保、人道などの分野で日ロ関係を包括的に発展させていくべきだ」と強調した。「かなり長期的で地道な作業を行う用意がある」とも語った。
北方領土での共同経済活動の進捗も確認し、20年1月に局長級の作業部会を開くことで一致した。ラブロフ氏はロシアの国内法との整合性が課題になると指摘した。
ロシアが懸念を示しているのは日米同盟との関係だ。日米安全保障条約は米軍の駐留と日本国内の施設などの使用を認め、日本の施政下の領域での共同対処を定める。北方領土はロシアからみるとオホーツク海から太平洋に抜ける要衝にある。
プーチン氏は19日の年次記者会見で「これらの島(北方領土)に米軍の攻撃兵器が配備されないという保証はない」と表明した。米国が日本の領土に中距離ミサイルを配備することで日本側と合意しつつあるとの情報があると指摘し、ロシアの脅威になると語った。
プーチン氏は日ロの平和条約交渉に関して解決策は「まだない」と述べた。一方で「過去に一度言ったように『引き分け』でなければならない」とも語り、日本の柔道用語の「引き分け」という言葉を使って、日ロ双方が受け入れ可能な解決策を探る考えを示した。
2月には米国が中距離核戦力(INF)廃棄条約の破棄を通告した。日本が配備を予定する米国製の陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」について、ロシア側は懸念する。
ラブロフ氏も19日の共同記者発表で「日本も参加している米国のミサイル防衛の問題にも触れないわけにはいかなかった」と述べた。ロシア外務省は会談に先立ち「アジア太平洋地域での米国によるミサイル防衛システムの展開に関する評価を日本側に提示する」とのコメントを発表していた。
ロシアは日米同盟への揺さぶりを強める。7月に中国・ロシア両軍機が韓国の防空識別圏に入り、ロシア軍機は韓国が実効支配する島根県の竹島空域にも侵入した。日米韓にくさびを打つ狙いとみられる。歴史認識でも日ロの溝は深い。ラブロフ氏は北方領土について第2次世界大戦の正当な結果としてロシア領になったと主張する。
茂木氏は18日には自ら共同議長を務める貿易経済に関する日ロ政府間委員会に出席し、オレシキン経済発展相と会談した。8項目の経済協力について事業の具体化を進める方針を確認した。
両政府は安倍晋三首相とプーチン氏の首脳会談の日程も調整している。11月にチリで開く予定だったアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で顔を合わせる想定だったが、会議自体が中止となり日ロ首脳会談は実現しなかった。
茂木氏は9月の内閣改造で外相に就任した。対ロ外交を重視すると訴える一方で、ロシア訪問を臨時国会の閉会後にしたのはロシア側と落ち着いた環境で会談するためだ。18日はオレシキン氏との一連の協議に計4時間超を費やした。
前外相の河野太郎防衛相は国会中も外国訪問を重ねていた。ただ国会審議で不測の事態が生じれば訪問を中止せざるを得ず、相手国の心証を悪くするおそれもある。
8 notes · View notes
xf-2 · 4 years
Link
ロシアのプーチン政権には北方領土を返還する意志がないことが、改めて浮き彫りになった。ロシア側からはまたもや日本を愚弄するような認識が示されたのである。到底容認できない。
 プーチン大統領が19日の記者会見で、日本との平和条約交渉について「引き分けを目指す」と語った。柔道家として知られるプーチン氏が「引き分け」という日本語をあえて使うことで、日本に期待感だけ抱かせてごまかそうという狙いなのだろう。
 プーチン氏が2012年にこの言葉を初めて使って以来、北方領土交渉は何ら進展していない。日本をなめるにも程がある。
 就任後初めて訪露した茂木敏充外相が18、19の両日、ラブロフ外相と会談した。両外相は非公式協議を含む計8時間の話し合いで、平和条約交渉に関する協議項目を整理したという。
 安倍晋三首相はプーチン氏と27回も会談を重ねてきた。今ごろ協議項目の整理とはあまりに悠長な話ではないか。返還につながる進展はなかったということだ。
 ラブロフ氏は会談後の記者会見で、領土問題の解決には日露関係が包括的に発展することが必要だと主張した。これは日本から経済的果実だけを得ようというプーチン政権の常套(じょうとう)句だ。
 安倍首相は16年に「新しいアプローチ」による平和条約交渉を打ち出し、対露経済協力を領土問題解決に結びつけようとしてきた。北方領土での共同経済活動の話し合いも進めている。
 ロシアの術中に自らはまったに等しい。ロシアの狙いは領土交渉を引き延ばし、日本から技術協力や極東への投資を引き出すことなのである。
 ロシアは日本固有の領土である北方四島を不法占拠している。返還が必要なのであり、「引き分け」などあってはならない。
 北方四島の返還だけが日露関係を劇的に発展させ、ロシアの望む経済協力にも道を開く。安倍首相はこのように訴え、対露外交を仕切り直してもらいたい。
 今回の外相会談に先立ち、ロシアの国境警備当局が北方領土の歯舞群島付近で日本漁船5隻を拿捕(だほ)し、乗組員を拘束した。茂木外相が早期の解放を要求したのは当然だが、ロシアは応じていない。人質をとるようなロシアの挑発行為にはあきれるばかりである。
1 note · View note
shintani22 · 2 years
Text
2022年4月20日
Tumblr media
本日(4月20日)は 野上結貴 選手の31歳の誕生日
Tumblr media
ウクライナ侵攻「新たな段階」に ロシア外相(AFPBB News)
【AFP=時事】ロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相は19日、同国によるウクライナ侵攻が「新たな段階」に入ったと述べた。
ラブロフ氏は、インドの大手誌インディア・トゥデイ(India Today)に対し、「本作戦の新たな段階が始まり、特別作戦全体において重要な瞬間になると確信している」と語った。ウクライナ東部ドンバス(Donbas)地方では戦闘が激化しており、ラブロフ氏の発言はロシア軍による大規模な攻勢開始に言及したものとみられる。
国連(UN)のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長は同日、ロシア軍の攻勢を非難。集中的な攻撃により「この戦いは必然的に、より暴力的で、残虐で、破壊的なものになる」と述べ、東方正教会の聖週間(Holy Week)に当たる21~24日の4日間に「人道的停戦」を実施するよう呼び掛けた。
Tumblr media
チャイコフスキーコンクールを除名 ウクライナ侵攻で、世界連盟(時事通信)
「国際音楽コンクール世界連盟」(本部ジュネーブ)は19日付の声明で、ロシアのウクライナ侵攻を非難し、世界的に権威のあるロシアのチャイコフスキー国際コンクールを除名すると発表した。同連盟は、音楽コンクールの世界的ネットワーク構築を目的とし、110以上のコンクールなどが加盟する。
声明によると、13日に臨時総会で投票が行われ、賛成多数で即時除名を決定した。連盟は「ロシア政府の資金提供を受け、宣伝道具であるコンクールを支援したり、メンバーにしたりすることはできない」と強調した。一方で「全てのロシア人への全面制裁や、国籍を理由にしたアーティストへの差別に反対」する姿勢も示した。
チャイコフスキー国際コンクールは若手の登竜門で、世界最高峰のコンクールの一つ。旧ソ連が1958年に創設し、4年に1度モスクワで開催される。日本人では過去にバイオリン部門で諏訪内晶子さんらが優勝。2019年には藤田真央さんがピアノ部門で2位を獲得した。
Tumblr media
福井・小浜の海岸にダイオウイカ 生きたまま打ち上げられる(毎日新聞)
福井県小浜市宇久の海岸で20日午前10時ごろ、ダイオウイカが打ち上げられているのが発見された。同市によると、体長は約3メートル。近くに住む漁師が発見した。
発見時はまだ生きており、生きたまま打ち上げられるのは珍しいという。今後、越前松島水族館(同県坂井市)に運ばれる予定。【高橋隆輔】
公立鳥取環境大学 小林朋道
体長18m以上の記録もある大きなイカであるが、600-900mの深海で活動し、夜間は400-500まで浮上するのではないかといった断片的な調査結果が得られている。捕食するものは、これまで各地の海岸などに打ち上げられた個体の解剖から、深海の小型のイカや魚類であることも分かっている。深海で自由に行動し、仕掛けた餌を襲うダイオウイカの映像も取られるようになり少しずつ生態が分かりつつある。
海岸などへの漂着は世界各地で見られることから(深海動物の漂着はアクシデントとして昔から起こっておりに特別に珍しいことではない)、生息地は広範囲にわたり現時点では絶滅の可能性は低いと考えられている。
ダイオウイカの捕食者の一つにマッコウクジラがいること示す調査結果も得られており、深海での野生生物たちの世界が今後より詳しくわかっていくことが楽しみである。我々としては、海の汚染により一層、意識を高めていきたいものである。
Tumblr media
【本日 (4/20)の広島県内の感染状況】(広島県)
広島県で1091人感染1人死亡 3日ぶり1000人超も前週を50人下回る(RCCニュース)
広島県内では20日、広島市で510人、福山市で242人、呉市で69人など合わせて1091人の感染確認が発表されています。3日ぶりに1000人を上回りましたが、前の週よりも50人下回りました。また、患者1人の死亡も発表されました。
直近1週間の10万人あたりの新規感染者は、19日時点で251.94人です。
19日、広島県の湯崎英彦知事は、県内の感染状況についての分析を示しています。
これからゴールデンウィークを迎えて接触機会が増えるので、感染拡大の警戒する必要がある。
重症化を防ぐためにも連休前にワクチン接種をしてほしい。
ただ、現在の状況では、来月の初めには行動制限の目安となる医療機関の病床使用率が50%に達するおそれがあるということです。
19日時点で、県内の患者数は1万482人です。このうち重症の患者は3人、中等症の患者は26人です。医療機関の確保病床の使用率は29.5%(確保610床・入院180人)となっています。宿泊療養者用ホテルの部屋の使用率は33.0%(確保1934室・利用639人)です。患者のうち医療機関に入院などせず、入所している福祉施設などで療養されている人は286人です。自宅療養・待機の人は9377人となっています。
【国内感染】新型コロナ 49人死亡 4万7899人感染(20日18:00)(NHKニュース)
東京都 コロナ 5人死亡 6776人感染確認 先週より約1500人減(NHKニュース)
群馬県 新型コロナ 新たに541人感染確認(NHKニュース)
大阪府 新型コロナ 9人死亡 新たに3935人感染確認(NHKニュース)
岡山県 新型コロナ 新たに735人感染確認(NHKニュース)
鹿児島県 新型コロナ 新たに806人感染確認 過去最多(NHKニュース)
磯崎官房副長官「大型連休 行動制限が必要な状況にはない」(NHKニュース)
新型コロナ対策をめぐり磯崎官房副長官は、現時点では大型連休に都道府県をまたぐ移動などの行動制限が必要な状況にはないという認識を示す一方、感染拡大を防止するため、若い人を含めたワクチンの3回目の接種推進などに協力を求めました。
磯崎官房副長官は記者会見で、大型連休の新型コロナ対応をめぐり「現時点で、各都道府県からまん延防止等重点措置などの要請は出ておらず、直ちに都道府県をまたぐ移動などの行動制限が必要な状況にあるとは考えていない」と述べました。
一方で、人の移動が活発になることが予想され、感染拡大防止に引き続き取り組む必要があるとして、若い人を含めたワクチンの3回目の接種推進や、検査キットの積極的な活用、それにマスクの着用や換気といった基本的な感染対策の徹底などに協力を求めました。
また、記者団から観光やイベントなどの需要喚起策の扱いを問われたのに対し、磯崎副長官は「期間の取り扱いについて、担当省庁で最終的な調整を行っている」と説明しました。
Tumblr media
滴滴:日本でフード宅配サービス終了へ、タクシー配車に専念 (20日)(ブルームバーグ)
ソフトバンクG出資の滴滴グローバル、日本の料理宅配から撤退へ
ソフトバンクグループが出資する中国配車アプリ大手の滴滴グローバルは、日本のフードデリバリー事業から撤退する。
DiDiフードジャパンが20日、自社のウェブサイトで明らかにした。掲載した発表文によると、「今般の日本市場の変化に際し、今後の事業継続を検討した結果、同サービスを終了することを決定」したという。最終日は5月25日。
同社は2020年に日本でのフードデリバリーサービスを開始し、大阪や福岡、兵庫、広島、京都、愛知、沖縄、宮城、奈良で事業展開していた。撤退後は、首都圏をはじめとしたタクシーの配車サービス事業に専念する。
スマートフォンで受けた注文を自転車やバイクで運ぶフードデリバリーは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で需要が増え、国内競争は激化している。ソフトバンクG傘下のZホールディングスが株式を保有する出前館、楽天グループやフィンランドのウォルトは全国展開しており、米ドアダッシュや韓国のクーパンも参入。独フードパンダは1月に日本市場から撤退した。
一方、ソフトバンクGが出資する米ウーバー・テクノロジーズは18日、楽天Gとフードデリバリーにおける決済サービスの利用で連携すると発表した。
滴滴グローバルは21年6月に米国市場で株式上場し、米預託証券(ADR)は8割以上下落している。
0 notes
jazieta-blog · 5 years
Photo
Tumblr media
遠のく北方領土…平和条約交渉「打ち切り合意」の衝撃情報 日刊ゲンダイ https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/255178  北方領土返還を巡るロシアとの平和条約締結交渉は遅々として進まない。河野外相とラブロフ外相が31日、平和条約締結に向けた交渉責任者として4回目の会談に臨んだが、成果なし。共同記者発表で河野は「乗り越えるべき課題の輪郭はだいぶ明確になってきている」と強調したが、平和条約交渉の打ち切りで合意したという衝撃情報が流れている。  外相会談は当初予定していなかった一対一の会談を約40分間行った後、全体会合が実施された。合意したのは、北方領土での共同経済活動の早期具体化に向け、今月11日に局長級の作業部会実施。海産物の養殖、温室野菜の栽培、観光ツアー開発、風力発電の導入、ごみ減らし対策――の5項目の実現を目指すという。北方4島を事実上管轄するサハリン州と北海道の間で短期滞在のための査証(ビザ)を相互免除する案も議題になった。大阪でG20首脳会議が開催されるタイミングの29日に26回目の日ロ首脳会談が予定されている。  筑波大教授の中村逸郎氏(ロシア政治)はこう言う。 「安倍首相は北方領土返還をどうやらあきらめたようですね。ロシア大手紙のイズベスチヤ(5月27日付)のスクープ記事に沿って日ロ交渉は展開しているようです。ロシア外務省高官の話として、平和条約交渉の打ち切りで日ロは合意済みだと報じていました。4月中旬に安倍政権は対ロ政策を抜本的に変えていたのです」  伏線は4月23日に公表された2019年版の外交青書だ。18年版にはあった「北方四島は日本に帰属する」との表現が削除された。それ以前から安倍政権は腰が引け始め、昨年11月の日ロ首脳会談以降はロシアを刺激しないように「帰属の問題」「ロシアによる不法占拠」といった従来の言葉を国会答弁などで避けるようになった。2月の「北方領土の日」に開催された「北方領土返還要求全国大会」に出席した安倍首相は「我が国固有の領土」という表現を使わなかった。  記者発表での河野も同様で、主権や歴史認識など北方領土を巡って日ロが対立する点について「明確に日本の立場を明らかにした」とする一方、「日本固有の領土」「不法占拠」というワードは一切使わなかった。 「ビザの相互免除はサハリンと北海道とされていますが、両国の全土適用が検討されているようです。実現すればロシアが事実上支配する北方4島への自由な訪問が可能になる。ただし、日本のパスポート持参で、です。つまり、北方領土がロシア領であると認めることになる。安倍政権は今月の日ロ首脳会談で両国全土でのビザ相互免除で合意し、G20の大きな目玉にしようとしています。これが現実になれば北方領土返還交渉はオシマイです」(中村逸郎氏)  安倍首相は当初、G20に合わせた平和条約締結の大筋合意を狙っていたが、それが無理となると姑息な“成果”のすり替え。「われわれの世代で解決する」というのは、こういう意味だったのか。 日刊ゲンダイ https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/255178
0 notes
jaguarmen99 · 6 years
Quote
英国で発生したロシア人の元二重スパイに対する毒殺未遂事件に関し、テリーザ・メイ(Theresa May)英首相は14日、英政府はロシア政府に事件の「責任がある」と判断したと述べ、同国外交官23人を国外退去処分とすると表明した。また、サッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会への王族や閣僚の出席を含め、高官級でのロシア側との接触を停止する意向も示した。  事件は英イングランド南西部ソールズベリー(Salisbury)で4日に発生し、セルゲイ・スクリパリ(Sergei Skripal)氏と娘のユリアさんが神経剤で襲われた。ロシア側は事件への一切の関与を否定。同国外務省は、メイ氏の声明は「挑発」だと述べ、「対抗措置」を取ると表明した。  メイ首相は議会に対し、ソ連製の神経剤「ノビチョク(Novichok)」が事件で使われた経緯を説明するよう求めた自身の要求に、ロシア側は応じなかったと指摘。事件を受けて14日中に米ニューヨークで開かれる国連安全保障理事会(UN Security Council)の会合で、「国際社会の強固な対応」を求めると述べた。  メイ氏はまた、密かに情報活動に従事しているとされるロシア外交官23人は1週間以内に英国を離れなければいけないと表明。セルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)ロシア外相に対する訪英の招請を含め、計画されている高官級の接触をすべて停止し、6月に開幕するW杯ロシア大会へも英国の王族や閣僚が出席しないことを明言した。一方で、ロシアと全��的に断交したいわけではないとも述べている。
英国、ロシア外交官23人を追放へ 元スパイ襲撃で 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News
0 notes
ryohei5 · 6 years
Text
米ロ首脳、第三国で会談へ=プーチン大統領と合意-ボルトン米補佐官
 【モスクワ時事】ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は27日、ロシアのプーチン大統領とモスクワで会談し、トランプ大統領とプーチン氏の首脳会談開催で合意した。タス通信によると、ロシアのウシャコフ大統領補佐官は首脳会談は第三国で開かれ、場所と日程は28日に発表されると明らかにした。  ボルトン氏との会談でプーチン氏は「残念ながらロ米関係は良好ではない。米国内の政争の結果だ」と強調。ボルトン氏は「関係改善に向けた議論を期待している」と応じた。ボルトン氏はラブロフ外相とも約2時間会談した。  トランプ氏は来月11、12の両日にブリュッセルで開かれる北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席後、英国を訪問するとされ、欧州歴訪中にプーチン氏と会談するという観測が浮上している。ロイター通信は26日、米高官の話としてフィンランドの首都ヘルシンキでの開催が検討されていると報じた。 【時事通信社】 Sou…
View On WordPress
0 notes
露外相、米国による日韓へのミサイル防衛システム配備「容認できない」―中国メディア
ロシアのラブロフ外相は24日、モスクワを訪問中の河野太郎外相との会談後の共同記者会見で、北朝鮮問題を根拠に米国が日本と韓国にミサイル防衛システムを配備することは容認できないと述べた。資料写真。 2017年11月25日、中国中央テレビのニュースサイトによると、ロシアのラブロフ外相は24日、モスクワを訪問中の河野太郎外相との会談後の共同記者会見で、北朝鮮問題を根拠に米国が日本と韓国にミサイル防衛システ Source: 中国・韓国・アジアのニュースまとめ
View On WordPress
0 notes
thefunkychicken · 7 years
Quote
[ワシントン 15日 ロイター] - トランプ米大統領は先週、ホワイトハウスを訪問したロシアのラブロフ外相とキスリャク駐米大使に、過激派組織「イスラム国」に関する機密情報を漏らした。事情に詳しい米当局者2人が15日に明らかにした。 当局者らによると、トランプ大統領は、情報共有合意に基づき同盟国から提供された機密情報を開示同意を得ずに提供した。今後、イスラム国掃討を巡り、同盟国との連携に影響が出る可能性がある。 機密情報の提供については先に米紙ワシントン・ポストが報じた。ホワイトハウスは報道を否定している。 同紙によると、大統領は、ラブロフ外相とキスリャク駐米大使との会談で、予定されていた内容から離れ、機内持ち込みのノートパソコンを使ったイスラム国の攻撃に関する情報の説明を始めたという。 1人の当局者が同紙に語ったところによると、トランプ氏はこの会談で「毎日素晴らしい情報」についてブリーフを受けていると述べ、差し迫る脅威を把握していることを自慢しているようだったという。 政府高官の1人は、情報はトップシークレット扱いで、一部の諜報機関職員しかアクセスできない安全な場所に管理されていると明らかにした。大統領が情報をロシア側に提供したことを受け、政府高官は直ぐに中央情報局(CIA)と国家安全保障局にこの件を伝えたという。 一方、会談に同席したマクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)は「報道された内容は誤り」と強調。大統領とロシア外相は、航空分野への脅威など、テロ組織による共通の脅威について協議したと述べ、公表されていない軍事作戦などの情報が提供されたことはないと主張した。 また、ティラーソン米国務長官は、トランプ氏とラブロフ外相との会談では、テロ対策での共通の取り組みや脅威など広範囲にわたる問題についての議論があったとの声明を発表。大統領の国家安全保障担当次席補佐官、ディナ・パウエル氏もポスト紙の報道は誤りとする声明を出した。 報道を受けて、上院民主党ナンバー2のリチャード・ダービン議員は、トランプ氏の行動は「危険で無謀」と批判。共和党のボブ・コーカー上院外交委員会委員長は、報道が正しければ「極めて懸念すべき」とした。 米当局者らはこれまでロイターに対し、高度な機密情報を大統領に提供することについて懸念を示していた。1人の当局者は匿名を条件に先月、「大統領にはフィルターがない。耳に入ればすぐ口から出る」と語っていた。
http://jp.mobile.reuters.com/article/idJPKCN18B2RB
0 notes
ari0921 · 7 months
Text
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和五年(2023)9月20日(水曜日)
    通巻第7918号
 中露の外交、何かに追われたような焦りがでてきた
  世界を飛び回る王毅とラブロフ
*************************
サリバン米大統領補佐官がマルタへ飛んで王毅外相と12時間の話し合いを行った。
中国の王毅外相は、その足でモスクワへ飛んだ。安全保障協議のため4日間のロシア訪問だが、習近平・プーチン会談の地ならしと見られる。
王毅はロシア安全保障会議書記のニコライ・パトルシェフの招待で安全保障協議を開催するというが、外相不在となった政治局員兼国務委員の王毅が中国外務省ばかりか、安全保障会議だから国防相の役目も担うことになる。大丈夫か?
9月18日に、モスクワ入りした王毅はすぐさまラブロフ外相と会談し「国際舞台での協力強化に注力する」と述べた。失脚した李尚福国防相は八月にロシアとベラルーシを訪問し、軍事協力の緊密化を呼びかけたばかりだった。
両外相は「米国の反露・反中的な行動に対する両国の立場の近さ」を確認。ロシアの侵略が続くウクライナ情勢についても、「ロシアの利益を考慮せずに情勢を正常化しようとする試みは無意味だ」とする認識で一致したとか。
10月に北京で開催される「一帯一路国際会議」にはプーチン露大統領も出席し、中国の習近平国家主席と会談する見通し。
ラブロフは、12日から約1週間にわたった北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記の訪露の結果を報告し、また王外相は訪露に先立って地中海のマルタで行ったサリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)との会談の内容をラブロフに伝達したという。
 プーチン大統領は「東方経済フォーラム」においても、中国の張国清副首相に対し、ロシアと中国の関係は「まったく前例のない歴史的なレベルに達している」と述べた。
一方、NYの国連総会、ゼレンスキーの演説にメディア報道が集中しているが、中国は韓正副首相を派遣し、ブリンケン国務長官と会談した。王毅は国連には行かなかった。欧米諸国の批判は韓正が受けてくれば良いという態度だ。
こうみてくると、ロシアと中国はなにか焦りに似た外交を展開しているのではないか。
 珍事はドイツ外相の発言だった。女性のアナレーナ・ベーアボックは「緑の党」党首だ。
 そのベーアボック独外相がFOXテレビのインタビューで習近平を「独裁者」と呼び(バイデンもそう呼び、プーチンを人殺しと言ったが)中国から猛反発を受けた。
 中国は「強烈な不満と断固とした反対」を表明した。外交ルートを通じてドイツ側に抗議した。
「ドイツ側の言論は極めてでたらめで、中国の政治的な尊厳を重大に侵犯している」と批判し「公然の政治的な挑発だ」と強く反発した。 
ドイツは左翼政権だが、メルケルまでは親中派の代表格だった。それが豹変したことに慌てたのかもしれない。
ところでメルケルの白像が自壊した。欧州では不吉な出来事と評判になっている。
3 notes · View notes
benediktine · 7 years
Photo
Tumblr media
【日ロ首脳会談 ロシア側は経済協力の具体化に重点か】 - NHKニュース : http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170427/k10010962691000.html { 2017年 } 4月27日 4時55分
ロシア大統領府は、25日今回の会談で、日ロ両首脳が、去年12月にプーチン大統領が訪日した際に合意した事項の実現に向けて協議すると発表し、両国間で覚書が交わされた経済協力の具体化に重点を置くものと見られます。
日ロの最大の懸案である北方領土問題を巡って、プーチン大統領は、去年12月の東京での共同会見で日米安全保障条約について取り上げ、「日本は、ロシア側の懸念を配慮してほしい」と述べ、ロシアと対立を深めるアメリカが北方領土周辺で軍事的な存在感を強めることがないよう暗に求めました。
プーチン大統領は、領土交渉を進めていくうえで、日米安保条約がどう影響するのか避けて通れないと問題提起したわけですが、アメリカのトランプ政権との間で米ソ冷戦後最悪といわれる関係を改善させる道筋が見えないなかでいま領土交渉に踏み込むのは得策ではないと分析しているものと見られます。
また、来年3月に予定されている大統領選挙に向けて、「内政の季節」を迎えるなかで、再選を目指すと見られるプーチン大統領が、領土問題で日本に譲歩したとロシア国内で受け止められるような姿勢を見せることはできないという事情もあります。
このため、今回の首脳会談では、日本との8項目の協力プランに基づいて都市の環境整備や医療などロシア国民の生活に直結する分野を中心に、具体化させることを優先するものと見られています。
さらに、北方領土での共同経済活動と元島民の往来を巡っては、ロシアの法律と矛盾せず、島の住民の利益につながることを前提に、医療分野での協力や、島への航空機の運航などの実現に向けて、協議を前進させる姿勢を示すものと見られます。
■《北朝鮮巡るロシアの立場は》
ロシアは、北朝鮮の弾道ミサイル発射や核実験に対しては、「国連安全保障理事会の決議違反だ」と強く非難する一方、北朝鮮への圧力を強めて武力行使も排除しない姿勢を示すアメリカをけん制し、日本や韓国に対しても、「最大限の自制を呼びかける」として、冷静な対応を求めています。
ラブロフ外相は、今月17日、「北朝鮮の危険極まる行動は容認できないが、国際法に違反し、武力を行使できるということではない。シリアで最近目撃したようなことが繰り返されないことを強く願う」と述べました。
ロシアは、アメリカが北朝鮮の脅威を理由に、日本や韓国と協力して、東アジアでミサイル防衛システム計画を進めることについて、「世界と地域の安定を著しく低下させる」として反発しています。
アメリカが、ロシアをはさんで東アジアとヨーロッパで進めるミサイル防衛システムが、ロシアの核戦力の無力化を狙ったものだと強く警戒しているためです。
一方、ロシアは、友好国・北朝鮮との経済協力を進め、北朝鮮に対する一定の影響力を保持しようとしています。来月上旬には、ロシア極東と北朝鮮を結ぶ定期航路が開設され、北朝鮮の貨客船マンギョンボン号が(万景峰)就航することが明らかになっています。
この航路の開設で、両国間の物資の輸送が増え、外貨獲得のためロシアに派遣される北朝鮮の労働者の利用も見込まれています。ロシアで労働許可を得ている北朝鮮の人たちは、去年末の時点で2万9000人に上り、5年前に比べて50%増加していて、中国と北朝鮮との関係がぎくしゃくする中で、ロシアによる北朝鮮への関与は相対的に強まる形となっています。
0 notes
newsvoice420 · 2 years
Text
【速報】中ロ外相会談「ロシアへの違法な制裁は逆効果」(TBS系(JNN)) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース #最新ニュース
【速報】中ロ外相会談「ロシアへの違法な制裁は逆効果」(TBS系(JNN)) – Yahoo!ニュース – Yahoo!ニュース #最新ニュース
【速報】中ロ外相会談「ロシアへの違法な制裁は逆効果」(TBS系(JNN)) – Yahoo!ニュース – Yahoo!ニュース 【速報】中ロ外相会談「ロシアへの違法な制裁は逆効果」(TBS系(JNN)) – Yahoo!ニュース  Yahoo!ニュース 「正しい方向に前進」ラブロフ外相 中国訪問の狙い(2022年3月30日)  ANNnewsCH 中国、孤立回避へ積極外交 ロシアとの協調を確認(写真=ロイター)  日本経済新聞 ロシア外相が中国到着 ウクライナ侵攻の支援を求める可能性(ABEMA TIMES) – Yahoo!ニュース  Yahoo!ニュース 【速報】中ロ外相会談「ロシアへの違法な制裁は逆効果」  TBS NEWS Google ニュースですべての記事を見る 北ミサイル「火星17」は発射直後に爆発、8日後に新型と偽り「火星15」打ち上げか…韓国国防省 –…
View On WordPress
0 notes
ari0921 · 7 months
Text
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和五年(2023)10月17日(火曜日)弐
    通巻第7962号
 プーチン大統領、北朝鮮を電撃訪問か?!
  きょう、北京入りし、一帯一路フォーラム出席、19日は?
*************************
 北京市内は厳戒態勢にある。
 習近平肝いりの一帯一路フォーラムが開催され、18日には習近平演説につづいて、プーチンが重要な演説を行うという。また中国と歩調をあわせ、ロシアは日本からの水産物輸入を制限すると発表した(とは言ってもマグロ、カキなどで水産物全輸出額の0・1%程度)。
 プーチン訪中の前後の予定を緻密にながめると、プーチンの前にラブロフ外相が18日から北朝鮮へ入る。これは先乗りかもしれない。九月に金正恩はロシアを訪問した。以後、北朝鮮はすでにコンテナ1000個以上の武器をロシアへ輸送した。これは砲弾換算で数十万発に相当する。
 ロシアは北朝鮮兵士の派遣も打診しているといわれるが、もしプーチンが19日に電撃的に平壌へはいれば、軍事協力で突っ込んだ話し合いがもたれることになる。
 ところで「一帯一路国際協力フォーラム」は中国の提唱から10周年に合わせるイベントで、とくに中南米やアフリカを中心に130ヶ国が参加する。2017年と19年に開かれた過去2回のフォーラムにもプーチン大統領は出席し、習と会談した。
国際刑事裁判所(ICC、本部オランダ・ハーグ)がプーチンに逮捕状を出しているが(このため南アBRICSは欠席した)キルギスも中国もICCに加盟していない。
 一帯一路からはイタリアが抜けた。
インドは冷笑的で「(中国主導の)ネパールのポカラ国際空港プロジェクトは『第二のグアダール』になるだろう」と論評した(『ザ・タイムズ・オブ・インディア』、2023年10月17日)
2 notes · View notes
ari0921 · 1 year
Text
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和四年(2022)11月15日(火曜日)
     通巻第7523号
 バイデンは「カンボジア」を「コロンビア」と言い間違えたが
  リアム海軍基地工事を中国が建設支援している事態に懸念を表明
************************
 ASEAN会議は11月13日にカンボジアで開催され、加盟国10ケ国に日米豪、中露に韓国とNZが参加した。各代表は7~8分の演説、中国の李克強首相だけは、15分もマイクを握って会議の雰囲気が反中ムードだったことに反撥し水をさした。
 注目は東チモールのASEAN参加を認めたことである。
 ホスト国カンボジアで、バイデン大統領は「コロンビア」と間違え、すぐに訂正したことをマスコミが大きく取り上げたが、耄碌したわけでもなく、前日12日のフンセン首相との首脳会談で、大事なことを言っている。
すなわち中国が建設支援しているカンボジアのリアム海軍基地に対しての懸念である。表看板は「一帯一路」。実態は中国の海軍基地化である。
 中国は「見える侵略」としてフィリピンのスカボロー礁、南沙諸島を抑え、スリランカのハンバントタ港から東アフリカのジブチへと到る航路を確立し、いずれ軍事基地化を狙っているのは明瞭である。
 ステルスのように「見えない侵略」が、バングラデシュのチッタゴン、ミャンマーのチャウピュー、パキスタンの��アダール、モルディブの無人島、そしマラッカ海峡をバイバスするクラ運河建設構想、マレーシアの東西横断鉄道などのプロジェクトで、密かに海軍基地化を狙ってきた。
 これら「ステルス・プロジェクト」は建設途次、もしくは中断している。就中、習近平が目玉プロジェクトとしたパキスタンのグアダール建設はとうとう頓挫、カラチへ移転した。
マレーシアの東西横断新幹線は大幅に縮小し、クラ運河は「壮大な風呂敷」として終わりつつある。モルディブとスリランカでは反中暴動により親中政権が退陣した。
 11月13日、ASEAN出席もそこそこに、バイデンはG20出席のためインドネシアのバリ島へ向かい、14日には習近平と三時間12分に及ぶ米中首脳会談をおこなった。台湾問題で平行線、成果はゼロ。会談の継続だけが合意された。
米中会談の場所は海に臨む豪華ホテル「ムリア・リゾート・バリ」で、七つのプールなどバリ島最大のリゾート。小部屋でも一泊五万円。習近平一行はこのホテルを借り切っていた。
▲世界のメディアがバリ島のG20に注目している隙に
バイデン大統領は米中関係を論じ、「競争を衝突に変えるべきではない。責任を持って競争を管理し、意思疎通の手段を維持しなければいけない」と月並みな台詞。しかし台湾に関して、「米国は『一つの中国』政策に変更はないが、いかなる現状変更にも反対する」と述べ、中国の台湾威圧に反対を表明した。
習主席は「台湾は中国の『核心的利益』のなかでも核心だ」と強調し、「中米関係の越えてはならないレッドラインだ」として絶対に譲歩しない姿勢を示した。これもまた予想通りの台詞をオウムのようにくり返したに過ぎない。北朝鮮の核・ミサイル開発への対応や気候変動対策などは「協議継続」とし、2023年早々にブリンケン国務長官が訪中することになった。
米中会談の成果はないが、中国の『環球時報』(11月14日)は、「建設的で有意義だった」と書いた。
ところで習近平は中国が進めているジャカルタ~バンドン間の新幹線開通式に出席を予定していた。なにしろ2019年完成予定だった新幹線はまだ工事半ば、G20にあわせての開通を目論んでいたものの間に合わず、晴れ舞台が消えた。 
 G20にメディアが報道を集中させ、ラブロフ露外相の入院騒ぎがあった。
同日、トルコのアンカラで、秘密会談が開催されていた。ロシアのCIAに相当するSVRのセルゲイ・ナリシキン長官と、米CIAのビル・バーンズ長官が密かにアンから入りしていたのだ。両国はともに会談を否定しているが。。。。
3 notes · View notes