Tumgik
#二十四節気晴明
onishihitsuji84 · 6 days
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『ガラスの街』
 五月は読書の月だ。僕は本を読んだ。数多の本を。  最初、それは次の小説のアイデアを得るためだった。頭上の樹々からワインのための葡萄をもぎ取るような、循環を続けるにあたっての摂取だった。いきおい堕落しつつある現実から少しでも意識を逸らすためでもあった。  普段の僕は、本を読んで時間を過ごすことは少ない。長い時間ひとつの文章に集中することができないのだ。  それに読むことよりは書くことのほうがずっと大切だと僕は思っている。読む行為は、現実という制限された枠組みのなかではせいぜい膝丈ほどの優先度しかなかった。  しかし五月ではあらゆるものが落下した。熟れ過ぎた果実が枝との繋がり終え、足元に開いた坩堝に呑み込まれていった。読む行為もそうだ。落ち、煮え滾る器の中で混合した。  いまでは僕の「読む」は混沌としている。それはいまでは長身の僕、その僕以上にのっそりとそびえる一本の巨大な柱となっている。物言わぬ花崗岩の柱。五月、僕はそんな柱を中心にぐるぐると回り続けている。手は文庫本に添えられ、目は9.25ポイントの文字に注がれている。足は僕の意識から離れて交互に動いている。ひたすら歩き、ひたすら読んでいる。柱から少し離れた誰彼にどう見られているかどう言われているかなんてことお構いなしに。
 いや。そんな話自体がどうでもいい。関係ない。  きょう、僕は自分自身が”うすのろ”だということを語りにきたのだ。
***
 五月。  僕はどんなものを読んだのだろうか。   金ができて僕がまずやったことは大学生協の本屋に行くことだった。カウンターで二枚つづりの注文用紙を手に取り、もう何年も使い続けている青のボールペンで書いた。 "9784002012759"  週明け、僕は地下の生協で注文の品を受け取った。『失われた時を求めて』全十四冊。いまは第一巻を読んでいる。僕がふと目をあげると、あの遠い窓の奥で、大叔母が目を爛々と輝かせているというイメージが浮かぶ。泳ぐような精神の移ろいもまた。
 シェイクスピアの『夏の夜の夢』も読んだ。 『MONKEY』のvol.31の三篇、ケン・リュウ「夏の読書」、イーディス・ウォートン「ジングー」、ボルヘス「バベルの図書館」も読んだ。  仕方なく後回しにされていた本を買って読んだのだ。  金銭の自由は、精神という鈍い壁に茂っていた蔓植物のような不足を一太刀で解決した。
『春の庭』も読んだ。『九年前の祈り』も。  ウルフの『波』も読み始めている。  僕の貪欲は、過去に読んだことがあるかどうかなんてものでは選ばなかった。カーヴァーの『象』、春樹の「タイ・ランド」、マンローの「イラクサ」、ヴォネガットの『スローターハウス5』。マラマッドの「悼む人」も読んだ。
 一度の時に、僕はこれらの本を読んだのだった。  こんなに大量のフィクションを仕入れて、いったい何をしようとしているのか?  紛争でも起こそうとしているのか?
 何のためか。それは僕自身にもわからなかった。  僕は特定の目的をもって読んだわけではなかったようだった。五月の読書は「文章の上達」や、「ストーリーテリングの技法」といったそれまでの興味とは別物だった。振り返ればそうだとわかる。
 五月の読書は、それまでの自分を抑制しようとする、極めて機械的な態度とは違っていたのだ。  言えば、それは無垢に機械的な読書だった。  これまでの僕は断じて読書好きではなかった。どんな傑作でも一時間もしないうちに音を上げて投げ出した。ドストエフスキーやメルヴィルと出会ったときでさえ、メインストリームは”書くこと”、そして”生きること”で変わらなかった。この五月に僕は初めてむさぼるように読んだのだ。頭を空っぽにして。堆い小説の亡骸の山に坐すかのようにして。
 それで、僕は何かしら成長したか。  いや。成長なんて一つもなかった。  そこには変化さえなかった。二週間前と、すべては同じだった。僕が着るのは依然深いグレーのブルゾンだった。コミュニケーションもぎこちないままだった。  だからそこで起きたことはシンプルだ。つまり、僕はポール・オースターの『ガラスの街』を読み、ある一つの事実に行き当たった。 「僕はなんという低能なのだ」という事実に。
***
 一昨日から僕はポール・オースターの『ガラスの街』を読み始める。  『MONKEY』でオースターのエッセイを読んで彼のことを思い出し、その夜に丸善に立ち寄った僕は彼の本を久々に手に取った。  三日で読んだ。 「三日で読む」というのは僕にとってほとんどあり得ないことだった。僕のリュックサックには必ず四、五冊の本があった。読むときにはまずそのとき一番惹かれる本を手に取った。そして十数ページが過ぎ、抱いていた軽度の好奇心が満たされてしまうと、浮気性の蜜蜂のようにまた別の小説の甘いのを求めるのだった。  だから、一日目、二日目と時を経るごとに加速度的にその好奇心が勢いを増し、三日目には150ページを一つの瞬間に通貫して読んでしまったのだ。僕の読書体験において、異例中の異例だった。
『ガラスの街』を読んで、僕はうちのめされた。徹底的に。 ”面白さ”、そして”新鮮さ”の二つが、やはり事の中心だった。読書においておきまりのその二つが今回も僕を虐め抜いたというわけだ。 『ガラスの街』を読み終えた瞬間、僕の生きる世界のどこかが確実に変化した。
「祈っている。」  僕がこの最後の一文を読んだとき、曇り空の下にいた。その一節がこちらに流れ込んできたあと、僕は立ち上がった。テーブルがごとりと揺れるほどぶっきらぼうに立った。取り乱していたのだった。僕はそのままであてもなく歩き始めた。 「これ以上座っていることはできない」 「このまま座っていると、僕は頭の先から崩れ落ちてしまう不可逆的に」  そうした、僕という精神を一切合切覆してしまうほどの強烈な予感のために。  僕は予感に乗っ取られないよう、何も考えないと努めていた。何も感じまい、何も見まい、と。  リラックスを意識し、肩から力を抜く。腕をぐんと伸ばし、指をぽきぽきと鳴らした。イヤホンを耳にした。『ベリーエイク』を再生する。いつか足元をくすぐった波のように心地よい、ビリーアイリッシュの声に心をしっとり傾けた。  もちろん、そんなことは無駄だった。とりあえずの形など、何の助けにもならなかった。以前との比較から始まる違和感たちは強権的に僕の感情の戸をこじ開けた。  歩く中、透明の空気が奇妙に凪いでいた。風景からは特定の色が抜け落ちていた。向こうで笑う声、衣擦れの音、靴底の摩擦。音という音がワンテンポずれて聞こえた。  変化は女王だった。彼女は支配的だった。  僕は小説による変化を受け入れ、恭順のように認めたわけではなかった。むしろ、変化は僕にどうしようもなく訪れていた。言わば、言い渡しのようにして。  女王を僕は素晴らしい小説を読んだ後の”ゆらぎ”の中に閉じ込めたのだった。何もかもが、僕に合わない形に作り替えられていた。建物を構成する直線はいまやでたらめで恐怖がつのった。頭上の青はこのように汚い灰色では絶対なかった。
――そして、当然、この点についての文章はかたちだけに過ぎない。これらは省略した文章。書く必要がないということ。  なぜなら、あなたたちもかつて同じ経験を経ているからだ。小説を読み終えたあとに来る世界の変質を。  加えて、忘れるなんてことを女王が許すわけもない。これについても言わずもがなだろう。
 そして、重要なのは変化のよろめきではない。   そうなんだ。きょうしたいのは女王の話とは実は違うのだ。ここであなたに伝える言葉は破壊だ。  破壊。  それは”面白さ”と”新鮮さ”のコンビがやったわけではなかった。変化の体験に曝されたゆえのサイコ・ショックでもない。  木々を打ち砕く手斧となり、人体を壊す剣となり、バベルの塔をゼロにする雷となったのは、オースターの書きっぷりだった。
 オースターは、考え抜いていた。  そこで”感じ”は排除されていた。  感覚による言い表しがまるで無かったのだ。僅かにイメージに依拠するものがあっても、それは必ず共感の姿勢だった。テーブルに身を乗り出し、相手の声に耳を澄ませる態度。
『ガラスの街』では、本当に一切妥協はなかった。僕はとても信じられず、街を隅から隅までしつこく歩き回った。しかし、本当に妥協はどこにも無かった。
 オースターは僕とコミュニケートすることを選んでいた。そのへんの宙に感覚という水彩画を描いて「ほらご覧」とする、ごく個人的で他者には見せつけるだけという表現は徹底的にしなかった。チャンドラーを始め、私立探偵ものに由来する例の論理的な高慢さはあった。しかし、確実にオースターは読者と対峙していた。彼は殴る、殴られる痛みを完全に了解した上でリングに立っていた。  彼の据わった眼が僕を揺るがしたのだった。彼は完全の脆弱性を知りながら、完全に書いていた。  それだから、彼を読んだとき、僕は……
 向こうから厚底ブーツの女が歩いてくる。  女は痩せている。薄い、流線形の黒一枚に身を包んでいる。背が高く、ありったけに若い。二十歳前後に見える。二つの瞳はキャップに隠れている。すれ違いざまに見える耳にさえ、カナル型のイヤホンで黒が差されている。マニキュアはあまりにも美しい銀色に染まっており、高まりを誘う。  センスがいい。綺麗だ。  彼女はなんて豊かなんだ。  僕はそう思う。  ほとんど同時に、ガラス一枚を隔てた向こうで本を読む人を見つける。  また女だったが、今回性別は重要ではなかった。その読む人は区切られたブースで、文庫に目を落としていた。化粧や唯一のファッションなどもなく、やはり装飾は重要でなかった。というのも、いまにも涎が垂れてきそうなほどに口をあんぐりと開けて読んでいた間抜けなその放心が、僕の記憶に楔として打ち込まれていたからだ。
 これらのスケッチが、何かを直截に意味することはない。二つの風景は隠喩ではない。  正直に、上記は僕が受けた印象の再放送だ。  この日記は『不思議の国のアリス』ではない。二つは作為的な意味を持たない。  書いたのは「意味を持たない」ということを明らかにするためだ。  その内容でなく、外側、僕のスタイルという基本的な骨組みを露わにするためだ。
 そう。だから、つまり……僕は痛みから逃げている。オースターとは違って。  きょう、読んで、事実は突きつけられる。
***
”言葉”はもう一度響く。
「大西さんの小説は、けっきょく古典から表現を引用しているだけ」
「僕は彼にもう興味がないんだ。かつて、彼は賢い人だと思っていた。書くものに何かしらの意味があると思っていた。でも、そうじゃないと知った」
「あなたの課題は、独自の世界観を提示できるかということです。海外の小説、そして村上春樹でなく」
***
 そして、このように敗北してもなお、僕は決定的な何かについて述べることはなかった。張りつめた表情で、まやかし、それ自体に必死に祈る。もうそのような生き方しかできないと信じ込んでいるのだ。
「この大地にあるものはすべて、消え去るのだ。そして、今の実体のない見世物が消えたように、あとには雲ひとつ残らない。私たちは、夢を織り成す糸のようなものだ。そのささやかな人生は、眠りによって締めくくられる」
 祈りの文句を何度も何度も口にした。  僕の声はいつも通りにすごく軽くで響いた。  そして一度響いてしまったものは泡沫のようにたちまち消え去った。
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ndmnemosyne · 9 months
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2023.8.11
わたしのヒースクリフ、休暇も今日で終わり。わたしが修道女になりたかった頃の話を少しするから、適当に聞いて欲しい。
最も修道女になりたい熱が高まり、それが冷えて固まった頃のこと。まだわたしがずいぶん若く、仕事を辞めてぼんやり京都市で暮らしていた頃、北海道の、父方の法事に足寄まで母と父で赴いた。父が故郷に帰る最後の機会になるだろうことはぼんやりと聞いていた。確か季節は十月ごろのことで、セーターを持っていくか行かないかで迷ったはずだ。飛行機で帯広に着くと、父の弟が迎えにきてくれていて、一晩泊まった。次の日が法事なので帯広から足寄まで父の弟(この人にはほとんど会った事がないので、叔父というイメージがない)がわたしたちと一緒に車で連れて行ってくれた。法事が終わると足寄の親戚がパックにたくさんの混ぜご飯とおかずを詰めてくれて送り出してくれた。父はずいぶん名残惜しそうで、こっちで働ける場所はないのか、と父の兄に聞いていたが、その答えは意図して耳に入れなかった。
鉄道で函館へ向かう。函館はこの旅行のついでとして設定されていたが、ずいぶん長い距離を電車の中で過ごしたと思う。いつもの京都行きの電車ならもうとっくに京都に着いているだろう時間乗っていても、まったく函館に着かない。わたしは北海道が広いことを知らなかったので、そう感じるのだろうけれど。函館では修道院を見学するつもりだった。もちろん一観光客として。その頃わたしはまだ教会の勉強会にも通っておらず、カトリックとの細い繋がりは、よくしてくださったシスターを介してだった。あんなふうにいられたらどんなにいいだろう。それがそのシスターだったから、ふんわりとわたしは修道女に憧れていたのだ。
修道院では確か、大きな大天使ミカエル像がわたしたちを迎えてくれたと思う。それから慈しみのマリア像。広くて、緑が豊かで、時間の流れ方がずいぶん違うようだった。ミカエル像はまだ写真が残っているかもしれない。土産屋で母はシスターに扮したリカちゃんのキーホルダーを二つほど買い求めたと思う。わたしはなんだっただろう。今もまだ持っているのは、「修道女の生活」という小冊子。そして多分もう一つは『天使の聖母 トラピスチヌ修道院』(野呂希一/青菁社)という写真集。写真集は後から通販などで買ったのかもしれないが、もうわからない。小冊子には修道会に入会を希望される方向けの簡単な説明がある。わたしはそこをだいぶ熱心に読み、何度も読んで、そして諦めたのだった。まず第一に、当時すぐ洗礼を受けても熱心なキリスト教者であることを示すために三年は掛かる。そうすると修道院が受け入れられる年齢の女子ではなくなってしまう(多少の事情は汲むとのことだが)。教会の推薦もなく、親の承諾はまず取れない。そして一番重要だと思われる、身体的・精神的に健康であること。これだけは絶対にクリアできないからだ。性格的に熱心に献身するだけであればそれもできないこともなかったろうが、健康だけはわたしには持ち合わせがなかった。それで、無理なのだと知った。当時はひどい希死念慮と自殺願望があり、ほとんどの物事を見下していて、不摂生極まりない生活をしていたから、今さらなにをするにしてももう、遅かった。わたしのふんわりとした憧れは終わりにする事になった。でもねえヒースクリフ、わたしは、あのシスターに会えたことで本当に今やっと思うのだけれど、あのシスターこそ、わたしに、わたしのみに遣わされた人だったのだということ。そして過去になってはじめてその深い恵みや愛を知ったのよ。あのシスターは当時それなりに高齢だったから、今もまだお元気かはわからない。心残りはあるけれど、わたしたちは姉妹になったので、いずれここではないところに集う事になる。それってとっても素敵でしょう。でも、夜の祈祷に蝋燭を捧げ持って集まりたかったわ、とも思う。
昨日から冷たい飲み物やカフェインの摂りすぎでお腹の調子が悪かったが、今日は網戸を洗った。砂埃などでサッシもひどく汚れていたので気になっていたからだ。去年は連休がなかったから洗わずにほっておいたから、えらい汚れで閉口したけれど、ブラシで擦ったからだいぶ汚れが落ちたと思う。ついでにシェードを下ろしてない方の窓も洗ったらそれも綺麗になって、透き通るような青空が見えた。それは網戸をはめてなかったからなのだけど、晴れた空も案外綺麗なものだな、と思った。少しずつカフェインを摂り始めているが、いったん減らしてみると眠くてたまらない。今日の午後はほとんど寝て過ごしたので、ずいぶん楽になった気もする。でもそれも今日で終わり。明日からはまた一日に七時間四十五分働く事になる……(この十五分の意味を知りたい人は検索してみて。馬鹿げてるから)。大体八時間も働くのは人間には無理なのだ。昼寝でもしないと身体が保たないようになっているというのに、この社会は野蛮だ。
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longgoodbye1992 · 1 year
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久々の旅 初日
この三連休、旅をした。
母と二人旅だった。
旅人をやめて半年余り。
ここにも久しぶりに旅の記録を書きたくなったので置いていこうと思う。
二泊三日で東北を有料道路を使わずにほぼ一周するというもので、宿泊先は行き当たりばったりで決めるという旅。
気になった場所で観光し、気が済んだら進む。
母と俺の適当な性格がこれでもかというくらい出ているルール。
だけど上手くいくだろうという自信はあった。
初日は6時半に家を出て八戸へ向かった。
八戸は無料で使える三陸道の北のスタート地点。
昼前に乗り、少しして昼ごはんのために下りる。
地元民に愛されてるだろうラーメン店で味噌ラーメンを食べた。
三陸道を使って更に進む。
思いつきでドラマ「あまちゃん」のロケ地に行きたくなり久慈で下りる。
「あまちゃん」は大学時代に最もハマったドラマ。
いつかロケ地にと思っていたが、この日思い切って行くことにした。
久慈市にある小袖海岸という場所がそれ。細い海岸通りを進んで着いた先で真っ先に目に入ったのは、ドラマで象徴的に使われる灯台だった。
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その他にも記念碑や劇中で初めてウニを捕るシーンの撮影場所などを見て後にした。
ちなみにウニはまだ時期でないらしい。
その後はリアス式海岸をひたすら下っていく。
途中道の駅でソフトクリームを食べながら母と運転を交代しつつ進む。
石巻を走っているときに宿を探しだした。
仙台から更に南に行った街で取ろうとなり、あちらこちらのビジネスホテルに電話をして、奇跡的に空いていたシングルルームを二つとった。
その街に向かう途中で夕焼けを見た。高台の県道をを走りながら見たそれはとても美しくて情緒的だった。
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宿に着いたのは19時前。
古き良きビジネスホテルといった所。
繁華街の中にあり、口コミを調べて美味しそうだった居酒屋へ。生ビールがサッポロビールというのが決め手だった。
串焼きをメインにしたお店であれやこれやとオーダーする。
サッポロビールで母と乾杯。
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アジのタタキとレモンサワーである程度酔った。
焼いたニンニクに味噌をつけて食べるのもよかった。
聞けば居酒屋のマスターは二十代でお店を始めて今年で四十五年だという。
愛され続けるには人柄と料理の味のどちらかが欠けてもいけない。
その点このお店はマスターや奥さんの人柄や確かな職人の腕が光る素晴らしいお店だった。
ホテルに戻り母の部屋で缶チューハイを飲んだ。
母には苦労をかけっぱなしだった。
そんな話をしていると母は眠ってしまった。
部屋に戻って窓の外を見る。
ふらりと歩きたくなった。
ホテルを出て気ままに歩いてみる。
繁華街らしくネオンがちらちらとあるが、営業していないと思われるほど音がなかった。その中でカラオケの音が聞こえてきた営業しているスナックを見つけ入ることにした。
中には三人組の常連らしき客や一人で飲んでいる人が二人いた。
カウンターに座る。ママはどうやら外国の方らしく、見た目がエキゾチックだった。
チーママは日本人で優しそうな人だった。
薄めに作ってもらったハイボールを片手に、常連客のカラオケを聞く。
チーママに誘われて常連客の輪に入らせてもらうことになった。
警察官のおじさんと力士のような人���そして酒屋さんだというお兄さんの三人だ。
一緒にカラオケを楽しむ。
一曲目に沢田研二の「サムライ」を歌った。中々ウケが良かった。片手にピストルと歌い出すと警察官のおじさんが「俺も持ってる」といい周りが笑いに包まれた。
ためになる話や難しい話などこんな場でする必要なんてない。ただ楽しく飲んで歌えばそれで仲間になれるのだ。
「銃爪」や「浪花節だよ人生は」を歌い、リクエストで「夏の終わりのハーモニー」を最後に歌った。
チーママは感動したらしく涙ぐんでいた。
満足してホテルへ帰る。
明日は6時起き。
更に南へ下る。
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kachoushi · 1 year
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各地句会報
花鳥誌 令和5年5月号
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坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和5年2月2日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
厨女も慣れたる手付き雪掻す 由季子 闇夜中裏声しきり猫の恋 喜代子 節分や内なる鬼にひそむ角 さとみ 如月の雨に煙りし寺の塔 都 風花やこの晴天の何処より 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月4日 零の会 坊城俊樹選 特選句
暗闇坂のチャペルの春は明日あたり きみよ 長すぎるエスカレーター早春へ 久 立春の市の算盤振つてみる 要 冬帝と暗闇坂にすれ違ふ きみよ 伊達者のくさめ名残りや南部坂 眞理子 慶應の先生眠る山笑ふ いづみ 豆源の窓より立春の煙 和子 供華白く女優へ二月礼者かな 小鳥 古雛の見てゐる骨董市の空 順子 古雛のあの子の部屋へ貰はれし 久
岡田順子選 特選句
暗闇坂のチャペルの春は明日あたり きみよ 冬帝と暗闇坂にすれ違ふ 同 大銀杏八百回の立春へ 俊樹 豆源の春の売子が忽と消え 同 コート脱ぐ八咫鏡に参る美女 きみよ おはん来よ暗闇坂の春を舞ひ 俊樹 雲逝くや芽ばり柳を繰りながら 光子 立春の蓬髪となる大銀杏 俊樹 立春の皺の手に売るくわりんたう 同 公孫樹寒まだ去らずとのたまへり 軽象
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月4日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
敬􄼲な信徒にあらず寒椿 美穂 梅ふふむ野面積む端に摩天楼 睦子 黄泉比良坂毬唄とほく谺して 同 下萌や大志ふくらむ黒鞄 朝子 觔斗雲睦月の空に呼ばれたる 美穂 鼻歌に二つ目を割り寒卵 かおり 三􄼹路のマネキン春を手招きて 同 黄金の国ジパングの寒卵 愛 潮流の狂ひや鯨吼ゆる夜は 睦子 お多福の上目づかひや春の空 成子 心底の鬼知りつつの追儺かな 勝利
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月6日・7日 花鳥さざれ会 坊城俊樹選 特選句
潮騒を春呼ぶ音と聞いてをり かづを 水仙の香り背負うて海女帰る 同 海荒るるとも水仙の香の高し 同 坪庭の十尺灯篭日脚伸ぶ 清女 春光の中神島も丹の橋も 同 待春の心深雪に埋もりて 和子 扁額の文字読めずして春の宿 同 砂浜に貝を拾ふや雪のひま 千加江 村の春小舟ふはりと揺れてをり 同 白息に朝の公園横切れり 匠 風花や何を告げんと頰に触る 笑子 枝川やさざ波に陽の冴返る 啓子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月8日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
雪を踏む音を友とし道一人 あけみ 蠟梅の咲き鈍色の雲去りぬ みえこ 除雪車を見守る警備真夜の笛 同 雪掻きの我にエールや鳥の声 紀子 握り飯ぱりりと海苔の香を立て 裕子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月10日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
東風に振る竿は灯台より高く 美智子 月冴ゆる其処此処軋む母の家 都 幽やかな烏鷺の石音冴ゆる夜 宇太郎 老いの手に音立て笑ふ浅蜊かな 悦子 鎧着る母のコートを着る度に 佐代子 老いし身や明日なき如く雪を掻く すみ子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月11日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
朝光や寺苑に生るる蕗の薹 幸風 大屋根の雪解雫のリズム良き 秋尚 春菊の箱で積まれて旬となる 恭子 今朝晴れて丹沢颪の雪解風 亜栄子 眩しさを散らし公魚宙を舞ふ 幸子 流れゆくおもひで重く雪解川 ゆう子 年尾句碑句帳に挟む雪解音 三無 クロッカス影を短く咲き揃ふ 秋尚 あちらにも野焼く漢の影法師 白陶 公魚や釣り糸細く夜蒼し ゆう子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月13日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
犬ふぐり大地に笑みをこぼしけり 三無 春浅しワンマン列車軋む音 のりこ 蝋梅の香りに溺れ車椅子 三無 寒の海夕赤々漁終る ことこ 陽が風を連れ耀ける春の宮 貴薫 青空へ枝混み合へる濃紅梅 秋尚 土塊に春日からめて庭手入 三無 夕東風や友の消息届きけり 迪子 ひと雨のひと粒ごとに余寒あり 貴薫
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月13日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
浅春の眠りのうつつ出湯泊り 時江 老いたれば屈託もあり毛糸編む 昭子 落としたる画鋲を探す寒灯下 ミチ子 春の雪相聞歌碑の黙続く 時江 顔剃りて少し別嬪初詣 さよ子 日脚伸ぶ下校チャイムののんびりと みす枝 雪解急竹はね返る音響く 同 寒さにも噂にも耐へこれ衆生 さよ子 蕗の薹刻めば厨野の香り みす枝
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月14日 萩花鳥会
水甕の薄氷やぶり野草の芽 祐子 わが身共老いたる鬼をなほ追儺 健雄 嗚呼自由冬晴れ青く空広く 俊文 春の園散り散り走る孫四人 ゆかり 集まりて薄氷つつき子ら遊ぶ 恒雄 山々の眠り起こせし野焼きかな 明子 鬼やらひじやんけんで勝つ福の面 美惠子
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令和5年2月15日 福井花鳥会 坊城俊樹選 特選句
吹雪く日の杣道隠す道標 世詩明 恋猫の闇もろともに戦かな 千加江 鷺一羽曲線残し飛び立てり 同 はたと止む今日の吹雪の潔し 昭子 アルバムに中子師の笑み冬の蝶 淳子 寒鯉の橋下にゆらり緋を流す 笑子 雪景色途切れて暗し三国線 和子 はよしねまがつこにおくれる冬の朝 隆司 耳目塗り潰せし如く冬籠 雪 卍字ケ辻に迷ひはせぬか雪女 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月16日 伊藤柏翠記念館句会 坊城俊樹選 特選句
指先に一つ剥ぎたる蜜柑の香 雪 大寒に入りたる水を諾ひぬ 同 金色の南無観世音大冬木 同 産土に響くかしは手春寒し かづを 春の雷森羅万象𠮟咤して 同 玻璃越しに九頭竜よりの隙間風 同 気まぐれな風花降つてすぐ止みて やす香 寒紅や見目安らかに不帰の人 嘉和 波音が好きで飛沫好き崖水仙 みす枝 音待てるポストに寒の戻りかな 清女 女正月昔藪入り嫁の里 世詩明
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月17日 さきたま花鳥会 坊城俊樹選 特選句
奥つ城に冬の遺書めく斑雪 月惑 顔隠す一夜限りの雪女郎 八草 民衆の叫びに似たる辛夷の芽 ふじほ 猫の恋昼は静かに睨み合ひ みのり 薄氷に餓鬼大将の指の穴 月惑 無人駅青女の俘虜とされしまま 良江 怒号上げ村に討ち入る雪解川 とし江 凍土を突く走り根の筋張りて 紀花 焼藷屋鎮守の森の定位置に 八草 爺の膝捨てて疾駆の恋の猫 良江
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月19日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
古玻璃の奥に設ふ古雛 久 笏も扇も失せし雛の澄まし顔 眞理子 日矢さして金縷梅の縒りほどけさう 芙佐子 梅東風やあやつり人形眠る箱 千種 春風に槻は空へ細くほそく ます江 山茱萸の花透く雲の疾さかな 要 貝殻の雛の片目閉ぢてをり 久 古雛髪のほつれも雅なる 三無 ぽつねんと裸電球雛調度 要
栗林圭魚選 特選句
紅梅の枝垂れ白髪乱さるる 炳子 梅園の幹玄々と下萌ゆる 要 濃紅梅妖しきばかりかの子の忌 眞理子 貝殻の雛の片目閉ぢてをり 久 古雛髪のほつれも雅なる 三無 老梅忌枝ぶり確と臥龍梅 眞理子 山茱萸の空の広さにほどけゆく 月惑 八橋に水恋うてをり猫柳 芙佐子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月21日 鯖江花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
師を背負ひ走りし人も雪籠 雪 裏庭開く枝折戸冬桜 同 天帝の性こもごもの二月かな 同 適当に返事してゐる日向ぼこ 一涓 継体の慈愛の御ん目雪の果 同 風花のはげしく風に遊ぶ日よ 洋子 薄氷を踏めば大空割れにけり みす枝 春一番古色の帽子飛ばしけり 昭上嶋子 鉤穴の古墳の型の凍てゆるむ 世詩明 人の来て障子の内に隠しけり 同 春炬燵素足の人に触れざりし 同 女正月集ふ妻らを嫁と呼ぶ 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月26日 月例会 坊城俊樹選 特選句
能舞台昏きに満ちて花を待つ 光子 バス停にシスターとゐてあたたかし 要 空に雲なくて白梅すきとほる 和子 忘れられさうな径の梅紅し 順子 靖国の残る寒さを踏む長靴 和子 孕み猫ゆつくり進む憲兵碑 幸風 石鹸玉ゆく靖国の青き空 緋路 蒼天へ春のぼりゆく大鳥居 はるか
岡田順子選 特選句
能舞台昏きに満ちて春を待つ 光子 直立の衛士へ梅が香及びけり 同 さへづりや鉄のひかりの十字架へ 同 春の日を溜め人を待つベンチかな 秋尚 春風や鳥居の中の鳥居へと 月惑 料峭や薄刃も入らぬ城の門 昌文 梅香る昼三日月のあえかなり 眞理子 春陽とは街の色して乙女らへ 俊樹
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月 九州花鳥会 坊城俊樹選 特選句
ポケットの余寒に指を揉んでをり 勝利 黒真珠肌にふれたる余寒かな 美穂 角のなき石にかくれて猫の恋 朝子 恋仲を知らん顔して猫柳 勝利 杖の手に地球の鼓動下萌ゆる 朝子 シャラシャラとタンバリン佐保姫の衣ずれ ひとみ 蛇穴を出て今生の闇を知る 喜和 鷗外のラテン語冴ゆる自伝かな 睦古賀子 砲二門転がる砦凍返る 勝利 小突かれて鳥と屋や に採りし日寒卵 志津子 春一番歳時記の序を捲らしむ 愛
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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8748ch · 2 years
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鳥肌実
廃人演説
��朝、私、目を覚ましますと、枕元に夏みかんが4つ置いてありました。
おやおやもうそんな季節かと思い、夏みかんを4つ食べ終えると、思いきってお布団の外に飛び出してみました。
42歳、厄年。
モッズ系猛禽類。
自称、鳥の調教師。
フルーツ好きの日本共産党員でございます。
朝の8時から朝の8時までパン工場に勤務しておる傍ら、休憩時間にアムウェイの勧誘を欠かさず行っております。
月に一度の休日は、創価学会員と激しく殴り合っております。
日本ブーメラン協会会長。
鳥肌実42歳、厄年。
公団住宅在住。
流れ作業に着いて行けない、黒夢のファンでございます。
ワイキキを歩くのが似合うんです。
ラッパのマークしか認めません。
ヤマザキパン、アメリカンフットボール部キャプテン。
鳥肌実42歳、厄年。
イルカセラピー歴5年。
カプセルで育った未熟児でございます。
ホームステイを受け入れたいんです。
現在、生活保護を受けております。
近頃、大勢の前で堂々と話す力が身に付きました。
日本話し方教室在籍。
鳥肌実42歳、厄年。
訴えたいことが無いんです。
メッセージの無い演説家でございます。
自己紹介は得意でございます。
好感度を上げたいんです。
トップブリーダー推奨。
鳥肌実42歳、厄年。
鳥目のクウォーターバックでございます。
尊敬しておるアーティストは池田大作でございます。
好きな女優は松坂慶子と松尾嘉代でございます。
好きなことわざは「焼け石に水」でございます。
トランポリンしてると目眩がするんです。
(株)ヤマザキパン 高井戸工場 サンドイッチ班班長。
ピクルス担当。
ああ、単純作業のおでましだ。
キュウリは2枚だって言ってるだろ。
巨大なジャムパンが攻めてくる。
苦手なパンは無いんだよ。
俺はなぁ、契約社員なんだよ。
アルバイトじゃ無いんだよ。
年下のくせに顎で使いやがって。
ただ今より現場復帰いたします。
終章
長い空想から覚めて、愕然とした。
全ては存在しなかった。
欲望が一人歩きした世界だった。
空想に入る前、かすかにあった向上心。忍耐力。
そんなものが一切無くなっていた。
性欲は、少し増えていた。
会社は辞めないとだめだった。
廃人でも出来る事を探した。
なかった。
タイミングを必ず逃します。
首の骨が一つズレてるんです。
今は時々、舞台に上がって身の上話をしています。
健太と私 其ノ一
10歳になる、健太が私に言いました。
「お父さん、オオクワガタが欲しいんだ」
「おおそうか、よし買ってやる」と、それはそれは勇ましく、私は健太に言いました。
明朝一番、私はスーパーの昆虫売り場へ出向きました。
「すいません、オオクワガタはありますか」
「ございますよ」
鼻毛を出した店員は、自慢げに言いました。
私は抜いてやりたい気持ちを押さえて「かっこいいですね」と言いました。
すると鼻毛を出した店員は「毎週土曜日はデスコに通ってるんです」と言って、意味不明のステップを踏んでおるので、さすがの私も憤慨して「おい、俺は麻布十番マハラジャのVIPだぞ」と、ボーギングを決めてやると、鼻毛を出した店員はキラッキラッした目で私を見つめ、「オオクワガタはこちらです」と。
「おぉぉぉぉぉ、これはこれは素晴らしい。おいくらですか」
「15万円です」と。
「安いじゃないか。だけど、俺の給料はもっと安いからな。もっともっと安いのは」
「メスなら安いですよ」
「おいくらですか」
「3万円です」と。
「なるほど安いじゃないか。しかし、メスを3万円で買うというのもトルコ風呂みたいで嫌だな。さらにさらに安いのは」
「ご予算はおいくらですか」
「3000円です。いや、メロンパンとストロベリー味のジョアを買ったから2800円です」
「お引取り下さい」と。
「ちょっと待ってください」と。
「私が欲しいのは、オオクワガタという名の親父の威厳なんだ」と。
「なんとかなりませんか」とすがりつくと、鼻毛を出した店員はじっとりした目で私を見下して、「ミヤマクワガタはどうですか」と。
「おいくらですか」
「1000円です」
「それ下さい」と。
私はその日、ミヤマクワガタを持って誇らしげに家に帰りました。
「健太、オオクワガタはここにいるぞう!」と。
その晩私は、家内の夏江に飯を抜かれました。
空腹に耐えかねた私は、愛犬ペスの犬小屋に走りました。
ペディグリーチャムを奪う為に。
夏江
人間には、3つの「欲」が御座いますなぁ。
「食欲」、「性欲」、「海水浴」と。
夏江と初めて知り合ったのは、3年前の夏、カムチャッツカ半島へ海水浴に行った時の事です。
忘れもしませんよ。彼女は波打ち際でゆっくりとクリトリスを洗っておりました。
その手つきはまるで私を誘うかのように。
一念勃起いたしました私は、ニワトリ+ペンギン歩きで意気揚々と彼女に歩み寄り、その眼前に立ちはだかり
「結婚して下さい」
「お引き取りください」と。
チッ。俺だってな、貯金ぐらいあるんだよ。
健太と私 其ノ二
10歳になる、健太が私に言いました。
「お父さん、敬語でセックスするのは止めてくれないか」
「おおそうか、タメ口でやってやる」と、それはそれは勇ましく、私は健太に言いました。
その晩私は家内の夏江に猛然と襲い掛かりました。
「この雌豚、菊の門にぶち込んでやる」と。
ところがいざプレイが始まると、どう言う訳か私は夏江の指揮の元四つん這いになって、
「どうですか、ここはいかがなもんでしょう。感じませんか。んー、ブルブルいたしましょう。ブルッ、ブルッ、ブルブルッ。じっとりして参りました。それでは挿入いたしましょう。ウーッ、イッてもよろしいですか?いやもう既に出てました」と言ったボッサリ具合であんぐり口を開けてザーメンを垂らしておると、健太がティッシュを持って歩みより、
「です、ます、しましょ、敬語でセックス。春、夏、秋、冬、敬語でセックス」と、イヤミたっぷりに行進していくので私は、
「コラーッ!のぼせ上がったボーイスカウトみたいなことやるんじゃないよ。いいか健太、セックスと言うのは"奉"って"納"めると書いて"奉納"の精神なんだよ。それに、敬語を使うのはビジネスマンとして最低のマナーじゃないか」
憤慨して言ってやると、健太は何食わぬ顔で
「東、西、南、北、敬語でセックス。南無、阿弥、陀仏、敬語でセックス」と、やっておるので流石の私も一気に沸点に達して
「大人の世界に首を突っ込むんじゃない!ビシビシビシビシビシビシビシッ!ブスッ。」
制裁を加えてやりますと、どう言う訳か次の瞬間私の首が夏江の股座に突っ込まれ、頭蓋骨セックスを強要されました。
翌日私は、気分転換に黒夢のコンサートに出向きました。
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itocaci · 16 days
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online shop "立夏" update - 薫風を装いに
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こんばんは。
さて、まずは明日からの営業予定のお知らせだ。
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【5/6(月)〜5/12(日) 営業予定】
5/6 (月) 13:00〜20:00
5/7 (火) 13:00〜20:00
5/8 (水) お休み
5/9 (木) 13:00〜20:00
5/10 (金) 13:00〜20:00
5/11 (土) 13:00〜20:00
5/12 (日)13:00〜20:00
※ 5/11(土)はコットンの種蒔きのためオープンが15時頃となりますが、場合によって営業時間が変わることがございます。その場合SNSを通じて変更のご案内をさせて頂きます。
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本日、暦で”立夏”を迎え、いよいよ夏が始まった。
まあ、先日もblogでちらっとお話をさせてもらったのだけど、僕は夏がとにかく苦手だ。
とはいえ、この5月の初夏。
お出かけするにも気持ちの良い季節で、今日みたいに晴れた日などは過ごしやすい。
街の木々は新緑に染まり、爽やかな風が吹き抜ける。
まあ、今日はちょっと風がかなり強かったかもしれないけど、冬の風と違って、爽やかな風は心地よいものだ。
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この時期に吹く風のことを「薫風」と呼ぶそうだ。
なんとも素敵な風ではないか。
新緑の木々を縫うように吹き抜ける風は、そんな爽やかな初夏の薫りすらを帯びているのだ。
冬の冷たい冷気でもなく、夏の熱波を含んだ風でもなく。
爽やかで心地の良い風。
風に旬というものを与えるのであればこの初夏の時期ではないかなんて思ってしまう。
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風の旬。
なので、今回はそんな風を感じられるようなアイテムをピックしてみた。
シースルーのインナーであったり、そんなアイテムを活かすようなアイテムであったり、風を取り込み、美しいシルエットを生み出すアイテムであったり。
そんな素敵なアイテムを纏って、ぜひこの初夏のお出かけを楽しんでもらえればなんて思っている。
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初夏の風「薫風」を装いに取り入れる。
この時期にしか楽しむことのできない、贅沢な装いだ。
もし良かったら、そんなコーディネートをみなさんも考えてみてはいかがだろうか。
きっと、その日のお出かけがいつもよりちょっとだけ特別な瞬間に変わるはずだ。
風に旬を与えるならば、初夏。
風を楽しむような装いをぜひ。
なおオンラインショップは下記からご覧いただける。
それでは次回もお楽しみに。
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fukuyama-zoen · 1 month
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2024/4/14
二十四節気は 「晴明」
七十二候は晴明の末候 「虹始見」(にじはじめてあらわる)
春が深まり、空気が潤うため雨上がりにきれいな虹が見られるころ。虹は虫偏ですが、これは空にかかる虹を大きな蛇と見たてたためとされています。これから夏にかけて、夕立の後などによく見られます。※暦生活より
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4月も半ばになりました。
子供達は、新しい学校、新しい学年に進み新生活を楽しんでいます。
写真は最近の夕方散歩で見た彩雲。
鯉のぼり🎏が良い感じに風の中を泳いでいました。
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shin-kackey · 2 months
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二十四節気の「春分」
昨日から冬将軍戻って来てます。❄️
時々強い風が吹いて嵐みたいになったり、いっとき晴れ間が出て穏やかになったり忙しい空模様でした。
先週とても良い日和が続いたので、寒さが堪えます。💦💦💦
明日から少しずつお昼時間が長くなりますね。😊☘️
#春分 #降雪 #snow #雪景色 #lighitroom #フィルター加工あり #Panasonic #lumixtz95 #lumix #tz95 #landscapephotography
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johnelic · 3 months
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Wikipedia書き抜き(更新中)
異歯性は顕著であり、頭蓋骨は後頭部でオーバーハングしている。二次口蓋は、咀嚼と同時に呼吸が出来た事を示している。大量の酸素を必要としていた彼らは恒温性を獲得しつつあった。身体を丸め、眠った姿のまま化石化した。
夜はボクシングジムで鍛練を重ねる裏の顔を持ち、部長の愛人を麻薬とセックスで籠絡する。1億円強奪殺人事件で奪った1億円を安全なヘロインに換えるため、市会議員の磯川とも接触。刺客たちも難なく始末した。
「しまったー! 99800円のパソコンなんてどう考えても安くしすぎだ! うっかり、してました」という特徴的なコーラスでインパクトを与えたが、「��ソテック」や「総鉄屑」「粗ーテック」「糞ーテック」といったあだ名(インターネットスラング)が登場するなど、同社は著しく株を落とした。
2019年に特化則非該当の「サラセーヌAZ」へとさらなる進化を遂げ、「サラセーヌ堅鎧(タフガイ)システム」が実現した。
その影響はこれ以外にもジバンの機械的な動作や、各種メカニックの描写などにも大きく現れており、このようなロボット戦士路線は宇宙刑事シリーズのような正統派ヒーロー路線への回帰が意図されたものとなった。また、当初は主人公とヒーローが同一であるような演出をしない効果的にアナクロニズムを生かした手法や、主人公と深く繋がる少女である五十嵐まゆみの登場など1950年代の特撮ヒーローを彷彿させる設定となっている。
再び首と身体が一緒になるのではないかと恐れて、頭と身体を二つの岩の頂上に置いて、その岩の裂け目の中に石像をおき、それぞれの寺院を建立した。二つの寺院の間は、以前は4ヨージャナあったが、今は1クローシャしかないと言われている。 わたしの師匠が見たとき、寺院は岩壁がくっついて入り口がなく、窓から見ると、両方とも台座の上に石像の破片のようなものがそれぞれ置いてあったと言う。
土間基礎のコンクリートを打設しました。仕上げに『ヘラコプター』を使用しています。 業界入りたての頃、先輩に出力を2倍にすると空に飛べると教えられ、しばらく信じていた事を思い出しました。
サマラの「蜘蛛歩き」と呼ばれる四つん這いで、手(肩)よりも足が前に出る股関節が外れたような人間では考えられないような不気味な動きはCGではなく、実際にサマラを演じたボニー・モーガンが行なっている。
水素の音は漫画だけではなく、多くの関連イラストも作成され話題になりました。多くの人が水素の音の通販動画の虜になり、作成されたのでしょう。ただ再現するだけのイラストだけではなくストーリー性を持つものも多くあったのです。 それもまた面白く、水素の音が長くトレンドに残った要因の一つでしょう。人の想像力は本当に素晴らしく、多くの関連イラストを見ているだけで時間をつぶすことができるでしょう。AA(アスキーアート)でも水素の音が作成されました。AAとは文字や記号を組み合わせて作られる絵のことです。ずれが生じたりするため、それを作ることは容易ではありません。 水素の音のAAは、もちろん「あぁ~!水素の音ぉ~!」という場面です。ほかにもある可能性がありますが、やはり話題になるのはこの場面でしょう。 イラストやMAD動画、ノムリッシュ版に漫画、そしてAAなど様々な場面で作り変えられるほど水素水が話題になったことがよくわかりました。
素晴らしい時間の過ごし方だと思います。将来私のために勉強することができて嬉しいです。 私は自分のPTSDと複数の外傷性脳傷害で正社員として働けなくなりました。 精神的にも身体的にも社会人として生活することは難しいけど、将来につながる勉強と大麻が今の私の希望です。
エチゼンクラゲが地球で果たしている役割が明らかになっている。エチゼンクラゲは体がベタベタしており、弱って泳げなくなると体の表面に細かいごみがまとわりつき、重くなって沈んでしまう。このような形で、地球の生物地球化学的循環(生物循環)に寄与している。 ズワイガニもエチゼンクラゲを捕食している。 細かくしてアイスクリームに入れ、エチゼンクラゲアイスとして販売されることもある。 2009年は大発生して日本各地で漁業に大きな被害を与えたが、2010年度はその千分の一に激減した。
広く好まれた見世物であり、熊や猿を連れた旅芸人が犬をけしかけたり、観衆に石を投げさせて娯楽とした。狂人の観察などと並ぶ人気の興行であり、芝居見物などと等しいごく普通の習慣だった。
シーモンキー(アルテミア)は普通の塩とエサではうまく育ちません。孵化は容易ですが、その後の育成は難しいです。シー藻はシーモンキー飼育に最適な藻。シー藻を入れると良質なバクテリアが繁殖し、それをアルテミアが食べるので餌やりが全く不要になります。死んだシーモンキーや糞はシー藻の養分となって水槽内で循環します。併せてシー藻が酸素を出すため酸欠が起きず水も腐りません。過去に失敗された方にもおすすめです。小さな容器では水温や水質が安定しないため、なかなかうまく育ちません。大きな容器で飼うほどに失敗が激減します。孵化率の低い中古の飼育セットも出回っているようです。アルテミアは生き物です、おもちゃではありません。小さな生物だからこそ最上の環境で育ててあげてください。お子様の教育にもお役に立ちます。
マディディティティはオレンジ色から茶色の体毛で、頭に特徴的な金色の王冠のような模様を持つ。尾は白く、手足は赤褐色である。自然保護の基金を作るために命名権を競売に出し、オンラインカジノ会社のゴールデンパレスが65万ドルで落札した。そのため、ゴールデンパレスドットコムモンキー(http://GoldenPalace.com monkey)とも呼ばれる。
26世紀の愛のピアノ音楽。Limb 1st。辺境の惑星でいま二人のピアニストの魂が出会う。どうしてわかりあえるのにこんなに時間がかかってしまったのか。さる東欧のX地区でソ連解体以前、アンダーグラウンドピアノレジスタンスがロケット基地を占拠した。ピアノを演奏する事により推進力を得るピアノエンジンが積まれたロケットに乗り、宇宙に脱出するレジスタンスの演奏記録。ヴァルカンピアノ砲照射、大気圏脱出後の強烈な光が。ピアノが宇宙に行くとどうなるんでしょうか。
最弱童貞の俺、非モテ女子に告ってイチャイチャライフを送ることにしました。~今更羨ましいと言ってももう遅い~
また、オリジナルデザインにしたらもっと良い物ができたのではないかという質問に対しては「デザインは全くのオリジナル。至る所に新しい機軸を取り入れている」と、このデザインはあくまでもオリジナルだという事を主張した。 今後の方向性としては、カラーバリエーションは考えず、トランスルーセントではないバージョンやPentium IIIなどを搭載した高速化を考えているという。 ゲストとして招かれていたインテル株式会社の傳田代表取締役社長は、「今までパソコンはデザインが良くなかった。このe-oneでリンゴのマークの人たちがこちらに来てくれる事を期待している」と語り、会場の笑いを誘った。
生きているロゴマークは、ずっと「変わりたい」と願っていました。ある時、清い水と出会ったことで、色々な形に姿を変えることが出来る様になりました。その時から、ロゴマークはこのキャラクターと、ひとつになりました。ロゴマークは「なりたい自分になる」そう願いながら日々、より善き姿を求めて変化しています。
リング状に成型して焼き上げたいちご味のもちもち生地を、いちごチョコでコーティングしました。リング状に成型して焼き上げたいちご味のもちもち生地を、いちごチョコでコーティングしました。ファミマのいちごモッチうますぎて、口に入れた瞬間女の子座りして泣いちゃいました。
HONUMIスーパーナチュラルシステム 海の作り方発明しました。 水換え不要の凄い生簀・活魚水槽の特長 従来の生簀と当社の凄い生簀の比較
車が炎上、爆発。全身にヤケドを負い、病院で息を引き取るが、亡くなったのは替え玉で、本人は生きていた。亡くなった替え玉も、死んでも死にきれず、真棹を絞殺しようとした。しかし真棹を殺せず、それが事件にとって最大の誤算を生み出したため、洞窟で真棹を殺そうとした。
パンダは大量に竹を食べ、快速に排出する食べ方で、自分の体の需要を満足しています。一日の食糧は大体:筍23~40㌔、笹は104~18㌔、竹の枝は17㌔です。 パンダは垂直移動する習性があります。夏には高山へ筍を取り、秋と冬には雪のない中低山の地区へ移動します。 多量な竹が開花し、枯死することはほかの植物の更新を促進する役目があるから、生物種と生物系統の多様性を保持するには必要な過程です。一種の竹が開花しても、まだほかの食べられる竹があるから、竹の開花はパンダの生存を脅かすことにはならないはずです。しかし、現在パンダの生息地がごくわずかしかないし、分断化されているから、この「小島」での唯一の竹が一旦開花したら、パンダも食物に困る状況に迫られるのです。
クロムウェル夫人は、自分が設立した町が北京の裏側にあると思っていたため、町を「ペキン」と名付けたと言われています。(1700年代後半から1800年代初頭にかけて、中国と米国は地球の正反対の側にあると考えられ、町はしばしば中国の場所にちなんで名付けられました。別の例はオハイオ州カントンです。
藤原さんの主たる活動は北見の基地にて隊員(何十人という、最大時は84人と聞いています。元自衛隊員が多かったと聞いています。)と共に、地下に潜り火山の爆発と地震を止める仕事をしていました。
最初に迷乱する因は、3つの無明である 。 自己を認知しないという局面は、所取と能取としては生じていないので、実際上は「不迷乱」であるが、それが迷乱になる。たとえば「無名」が名前になるようなものである。これが①「同一性の無明」である。 「それを認知しない境界」という対象化、それが②「倶生の無明」であって、「輪廻と涅槃の両者」という顕現として生じる。 対象としての顕現を、知によって単なる二元的顕現に分割分離し、名称の指示対象を実体として概念構想する局面に至っては③「遍計の無明」と呼ばれる。
世界で唯一のアルビノゴリラ・スノーフレークは、かつてスペインの植民地だったアフリカの赤道ギニア共和国で捕獲された。群れの仲間は皆ハンターに殺され、スノーフレークだけが1966年にバルセロナ動物園に連れてこられた。2003年に皮膚がんで死ぬまで同動物園で暮らした。
4人は進級し、堂郷和太郎の協力を得て楓は写真部を創部する。そこに声をかけたのは憧憬の路で楓の写真を撮り、賞をとった三谷かなえだった。写真部は楓とかなえ、そして楓を支援する3人が集まる「ぽって部」を合わせた5人で活動する。楓は、父の訪れた場所を訪ね、父の残した足跡を辿る。 また5人とかおるの姉の塙さよみは横須賀に行き、ちひろとその友人のともちゃんに会う。しかしかなえは受験のため、私たち展を最後に部活を引退する。その後かなえは大学に合格し、高校を卒業した。
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doloose · 3 months
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おはようございます。2/19 月曜日の大阪、8時過ぎの空は、小雨降る空です。午前中は止み間も近畿全域雨の1日に。夕方以降雨脚強まり雷雨も。二十四節気の雨水。今朝は11.4℃と4月の中旬並、最高は17℃予報と電車では蒸し暑く。春一番吹く…?明日は晴れ間も今週は雨…今日もよい1日を。 #ohayo #sora
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ichinichi-okure · 5 months
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2023.12.27wed_tokyo 寒めの晴れ
7:00 起きてまず、矯正歯科初診の問診票を書きました。朝は全身の関節がバキバキな(一度折らないと動かない)ので、寝ながら書きました。全然歯に関係ないことも聞いてきて、長かったです。「自分の笑顔が好きですか」という質問には迷いましたが、「はい」と答えておきました。
9:00 矯正歯科で歯並びの検査と撮影をしてもらいました。
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問診票に書いたほかの体調不良について突っ込んで質問されて、説明したら、「それはうちではどうにもできないのでね!」と食い気味に言われたのがじわじわきて、顔を撮影したときにニヤついてしまいました。
9:30 次にそのままカウンセリングを受けました。 歯並びは綺麗で直す必要がないよ〜と言われ、ちょっと嬉しかったです。 ただ顔が10段階中の6ぐらい歪んでるから、保険で顎の再形成をして、その手術に合わせて前後で3年間ぐらい矯正したらいいと思うよ! とも言われました。あとエラが張っていて咬筋が強いから、いまは噛み合わせが大丈夫でも、十年後二十年後になると歯を自分で噛み砕いてしまう? 可能性が高いそうです。その予防にはエラボドックスとかも結構いいそうです。 自分のなかで今綺麗なものが近い将来、朽ちていくという状況をあまりイメージしたことがなかったので、なるほどねと思いました。 「人間の体は消耗品だから、結局は残り時間をどう修理してごまかしながら過ごすかなんだよね?」という先生の言葉が印象に残りました。結構な顔の悪口を言われているのに、全然嫌な感じじゃなくてとてもよかったです。プロはすごいなと思いました。
11:00 昼になっても全身のバキバキが収まらなかったので、遠出をやめ、母と野菜を買いに行きました。実家住みでよかったです。ここ2ヶ月ぐらい慢性的な体調不良が続くなか、最近よく、家族と住んでるというのは「毎周インできるピットがある感じの状態」だな、ということを思います。気づかない間にサポートしてくれる人がいてこそ、不調でも生活を成り立たせられていて、それは私の力ではないし、相当恵まれているということを意味するんだと思います。この話はこの間友達にした話のリサイクルです。ゆきの、話を使いまわしてごめんなさい。
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白菜がスーパーの袋に入った状態でたくさん並んでいて、かわいかったです。 また、里芋の説明のポップのミスもとてもかわいかったです。自分も急になにかを手書きしろ!!!と言われるとよく同じミスをするので、感情移入して里芋を買いました。
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このお店はポップがいつも詳しくてきれいで、野菜への愛を感じるので、たくさん買います。
焼き芋も買って、母と半分こにして食べました。ねっとりしていて乾燥した部分がなく、とても美味しかったです。下北のオオゼキで買った芋とならんで、今年のツートップに入りました。銘柄は「紅ゆうか」でした。名前の「悠花」をよく「ゆうか」と呼び間違えられてきたので、「有名な紅はるかよりも、実は紅ゆうかのほうが美味しい」というのは個人的に少しアレだなと思いました。でも、今後は二つあったら紅ゆうかのほうを買おうと思いました。
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14:00 背中が痛かったので家に帰って、一度寝ました。 目が覚めたときに思い出して、年明けにあるイヨンジちゃんの来日公演の当落を確認しました。落ちていたので、悲しい気持ちになりました。
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買い物に行った母が「いるものある?」というラインを入れてくれていたので、新しく応募したバイトの面接用に履歴書をお願いしました。
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「横が長辺、真ん中に折り目のついたタイプ」をイメージしていたのですが、寝起きで頭が働いていなかったので「びよーんって長いやつ」と説明しました。偶然「びよーんはB4」としてうまく伝わったのが地味に面白かったので、元気がでました。その勢いでメールを開き、面接の約束を取り付けました。
22:00 詩誌『透けやすい』同人の栁川くんが送ってくれていた資料に目を通しました。
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3号に向けて、「一緒にきく」をテーマに2つのチームに分かれて、共同で詩を書く企画を準備しています。年内に目処をたてないといけないので、2号も読み返してみたりして必死に考えました。ただ詩に関しては、どっちみち「必死に考えなくても思い浮かぶとき」にしか書けない派なので、そのまま一旦保留になりました。
煮詰まったので、17日に合評してもらった詩を取り出してきて、もらった意見をもとに推敲しました。大学のときの先生が、定期的に、授業で詩を書いていた人同士がラインやズームで批評・意見交換できる場を作ってくれていて、そこに持っていったものです。
いつも同じノートに図っぽい形式で下書きやコメントを書き、本文はワードで編集して提出します。(写真は四月に書いた分)
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最後の文が「キャッチコピー的」と言われて気になっていたので、修正しました。ズームでは、コピーを書くときの「思い通りに読んでもらいたい」気持ちで詩を書くのはどうなのか? 暴力的なんじゃないか? という話も出たのですが、自分はそうなりがちなので、推敲中もずっと自分のアプローチが間違っていないか考えてしまいました。
今回の詩は、昨年のSMTOWNで出た曲「KAI, SEULGI, JENO & KARINA - 온도차 (Hot & Cold) 」を出発点にして書いたので、また同じ曲をリピート再生しながら書き直していたら、寝落ちしていました。おわり。
原曲(EXO カイ, Red Velvet スルギ, NCT DREAM ジェノ, aespa カリナ) https://youtu.be/lOX73kBRyWs?si=PCBC5l6MmBu5rP9d
カバーステージ(aespa カリナ・ウィンター, RIIZE ウォンビン・ショウタロウ) https://youtu.be/p0tr-0h6YBM?si=Zc9Pg9jbNYPCA18P
🇵🇸 イスラエルによるパレスチナ人虐殺に関して、私は反対の立場を支持します。いまはこのリストの岡真理さんの本を読んでいます。この件に限らず、日本で自動的に教わる「歴史」「世界史」だけでは圧倒的に情報量が足りないと思います。特に私は勉強不足な人なので、まずは「自分の」意見を持つために、もっと知りにいく必要があると考えています。 🇵🇸 https://twitter.com/kousurubunkacaa/status/1740141255374615038?s=46 🇵🇸 https://www.cultureagainstapartheid.jp
-プロフィール- 佐藤悠花 22歳 神奈川 ザイン? ig https://www.instagram.com/harukazato/ https://www.instagram.com/zinesein/
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itomedetashi · 6 months
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汀の氷など見やりて、白き衣どものなよよかなるあまた着て、眺めゐたる(源氏物語・薄雲) . 空が晴れていても時折ちらつく雪を風花というように、花のない冬景色の中にも氷や雪に美しさを見出し、私たちはそれをめでてきました。そろそろ、そんな日もあるかもしれません。二十四節季では「大雪」に入りました。雪の襲(かさね)を着て池の氷を見つめる明石の君のように、気持ちも凛として。 . <お知らせ> ・菊芋(食用、種芋)、ほど芋(アピオス)(種芋)を掘りはじめました。ご用意でき次第発送致します。まさに掘りたて、一番新鮮なこの時期。ご予約お待ちしております。お求めやすい小口商品もご用意しております。ヤフー支店ならカード、コンビニ決済、PayPayもOKです。 . ・自然薯の種芋(3月下旬~発送)、行者にんにく春苗(4月末~5月上旬発送)を予約受中です。初めての方におススメの自然薯栽培セット。小さな畑やお庭で4mの畝が1本立てられればOKです。これまでに栽培された方の更新用種芋も栽培セット付属のといと同数、10個単位からご用意しております。 . ・来春蒔きの綿の種(和綿、茶綿、緑綿、赤綿、アップランド綿)、染めの草木(小鮒草)の種を販売中です。藍の種は今月末~1月の予定で追いかけ準備中です。身近に綿の実や草木染めをお楽しみください。 . ・彼岸花(曼珠沙華)の球根はすぐに発送できます。きちんとお彼岸に合わせて咲いてくれる在来のものをぜひお選びください。 . ・枸杞の実、綿の実ともまだ摘めます。メデタシ種苗(茨城県筑西市)にぜひ一度遊びにいらしてください。詳細は先日の投稿(枸杞の実の写真)をご覧ください。
. メデタシ種苗本店 https://www.tane4u.com/ メデタシ種苗ヤフー店 https://store.shopping.yahoo.co.jp/itomedetashi/ . どうぞよろしくお願いいたします。 .
大雪 #二十四節�� #源氏物語 #初氷
メデタシ種苗 #ていねいな暮らし #家庭菜園 #種 #苗 #種芋 #伝統品種
自然薯栽培セット #自然薯の種芋 #自然薯のむかご #菊芋 #生菊芋 #菊芋の種芋 #アピオスの種芋 #行者にんにくの苗 #彼岸花の球根 #曼珠沙華の球根 #綿の種 #和綿 #茶綿 #緑綿 #赤綿 #藍の種 #小鮒草の種 #綿の実摘み #枸杞の実摘み
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satoumasa · 8 months
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#服部ビユウト2023 参加曲について
服部ビユウト 参加曲、「空につないで」のネタバレをします。
服部ビユウト が何かについては、特設サイト等をご覧ください。
特設サイト http://mmoon.soragoto.net/yuture/
トレーラー(YouTube) https://www.youtube.com/watch?v=eafseMpO4D8
通販(Booth) https://mmoon.booth.pm/items/5068286
前々作・服部ビユウト2016『U&I』、前作・服部ビユウト2017『TINY Universe』に続いて、6年ぶりの新作・服部ビユウト2023『youthful future』にお誘い頂き、今回も参加させて頂きました。 主催者のお二人、カガミツキさんとたけくもさんを除くと、唯一の皆勤賞。 いいのかなぁ…?と思いつつも、ホイホイ参加しました。 本当にありがとうございます。
6年ぶりという事で、色々な環境や状況が変わりました。 そんなこんなを書き出して、セルフライナーノーツと言いますか、制作メモと言いますか。 とにもかくにもアレやらコレやらを書いていこうと思います。
諸々のネタバレをしていくので、まだ服部ビユウト2023『youthful future』を得ていない方は読み進めないよう、ご注意ください。
また、今回は「空につないで」だけに触れていきます。 もう一つの収録曲「アカルイミライ」については、こちらで https://www.tumblr.com/satoumasa/171626201889/%E3%82%A2%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%83%9F%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6?source=share 既に触れておりますので、よろしければご覧ください。 超長怪文書注意です。
〈製作環境の変化〉
まず大きな変化として、今作の製作にあたっては、参加者全員が情報を共有出来るようにdiscordのサーバーが立てられました。 ここでは、全体の確認事項の連絡や、進捗を報告しあってお互いの熱量を高め合ったりと、色々なやりとりが為されました。 前作までは、全員が一度にやり取り出来るような場所が無かったので、とても新鮮な環境でした。 特にアツかったのは進捗報告。 リアルタイムな完成度合が見られたり、曲にしてもイラストにしても「自身が直接関わる人」だけでなく、「他のペア」のラフイメージに触れられたりして、めちゃめちゃテンション上がりました。 あと焦りも。 ま、負けられねぇ~~~…!!って感じで、切磋琢磨の場としても機能している場があり、ずっと良いモチベーションと緊張感でもって製作を出来たな~という気がします。
〈曲について〉
主催者のカガミツキさんから、「今回の服部ビユウトは、かなりロックバンド色が強くなると思います」と事前に伺っていました。 自分はこれまでもバンドっぽい曲で参加してきたので、ちょっと安心感がありました。 が、蓋を開けてみれば、とんでもなく“強い”参加者だらけで、安心してる場合じゃあありませんでした。 絶対に全力で楽曲でぶん殴りにかかるしかねぇ…!! 決意も新たに製作に臨みました。
とは言え、どういう曲にしようかなー…とぼんやり考えていると、出来たばかりのdiscordサーバーに爆速でデモを上げる参加者がいたり、歌詞をガシガシ書き進めてる報告が上がってきたりで、 「こいつぁウダウダ悩んでる場合じゃあねぇ!!」 「どうせいつも自分はノリと勢いで作っとるやないかい!!」 っつって、オケのデモを作りました。
今回の「空につないで」については、「シンプルにイイ曲作りてぇな…」と言う気持ちがあったので、限りなくメロディーに力を入れる方向で作りました。 これまでの参加曲、基本的に全編四つ打ちダンス系ロックナンバー「star dancer」、ドストレートなギターロックナンバー「wonderland」とも違う、でも自分が好きな歌メロが良いギターロックバンドの曲。 ということで、 ・(自分が)とにかくグッとくる歌メロ。 ・ちょっと変則リズムなAメロBメロ。 ・からの、今や王道の四つ打ちサビ。 ・静かな刻みと歌だけのパート。 ・ラストのキー上げ。 と言った辺りをキーワードに仕上げました。 まずは仮っ仮の仮オケに歌詞もない仮メロディーを乗せて、デモを製作。 その後、別に歌詞を書いて、進捗報告はここまでを提出。
当初の裏イメージとしては、 「服部ユウちゃんが作家名義でTVのバラエティ番組の企画バンドに提供した楽曲」 みたいなことを考えてました。 なんなら 「それをセルフカバーした楽曲」 「の、カバー」 くらいのイメージでした。 伝わるか???それ。 「アルバムに収録されるかどうかギリギリ」、「シングルのカップリングに収録されてちょっとしたレア曲扱いになる」みたいな感じ。 と思ってたら、まさかの今作のトリに指名されて、滅茶苦茶びっくりしました。 ヒェ。
今回は折角なので、具体的にこの曲がモデル、みたいなのも上げてみようかな、と。
〇結束バンド「星座になれたら」 ・全体イメージとして、サウンド面、リズム面のモデル。 ・その時の流行りに影響されやすい性質なので…。 ・イントロや静パートはモロにこれの影響。 ・自分が思う「イイ曲」っていうのも。 〇DIRTY OLD MEN(当時。現MAGIC OF LiFE)「煌めくのに」 ・全体イメージその2。 ・メロディー面、構成面でのモデル。 ・Aメロ、Bメロ辺りに影響。 ・自分が思う「イイ曲」でもある。 〇the stereotone「twinklize sound」 ・まさかの自分の曲。 ・アウトロのフレーズのモデル。 ・部分的な引用みたいな気持ち。
こうして並べてみると、 「最新の自分が好きなもの」 「かつて自分が好きになったもの」 「自分が作った好きなもの」 という感じで、ちょっと面白いですね。 むずがゆくもあるけれど。
構成は最後までほぼ変えず、各種演奏を整えて完成となりました。
〈歌詞について〉
滅ッッッッ茶苦茶考えました。 僕自身としては、これまでに自身が持てる熱量の全てでもって「服部ユウちゃんの楽曲の歌詞」を出し切ってきました。 服部ビユウトもそうですし、何よりも、主催者のカガミツキさんの漫画シリーズに寄せた楽曲「明るい未来-prototype-」「アカルイミライ」は、それはもう全身全霊を掛けたくらいの心持ちでした。 この上いったい何を歌にすればいいんだ…?と。
この点について、モデルにした曲はオケのみでなく、歌のイメージもだいぶ影響を受けたと思います。 ・一人で光ること、二人で輝くこと。 ・一人の願い、二人の誓い。 ・星→空へのイメージ。 ・アイカツ!10周年の節目を越えて。 ・これまでを想う歌と、これからを願う歌。 ・積み上げてきた経験、力、思い出。 ・居心地の良い場所や、憧れるだけの自分からの決別。 ・先へ進む事への決意と願いと誓い。 ・これからも積み上げていくものたち。 ・自分自身がこれまで作ってきたユウちゃんの楽曲への答え。 ・集大成としての服部ビユウト。 おおよそ、こんなことを考えて歌詞を書いていきました。 メモを見る限り、サビから作ってC→A→Bみたいな順に構築したっぽい。 結構、切って貼ってをしたので、あんまりアテにならないけれども。
初めは同じ「アイドル」として輝くことを目指しながら、やがて道は少しずつ分かれて、同じように同じものを目指すことが難しくなり、成功も挫折も抱えて、それでも「輝き」を求めることを止めずに歩き続けるその先で、いつか同じ場所で手を取り合えるように、という願い。 一人ではきっと止めてしまった歩みのその先に、きっと先を走る君がいて、追いついてみせるから、という誓い。 僕なりに、「これまで」と、「これから」と、「その先」とを描いていきました。 なんというか、服部ユウちゃん一人を追うというよりも、もっと広く誰にも届くように、共通の想いを思い描けるように、メタを入れてでも自分が思う「服部ユウちゃんとアイカツ!」を言葉にしていった気がします。 「十年先の その先にも」は、入れようかどうかさすがに迷いました。 でも、ここで入れられなかったら、もうどこでも言葉にしないだろうと思い、入れることにしました。 僕なりの愛を込めて。
なんかいい感じに言ったけど、出会いと別れのセンチメンタルや、服部ユウちゃんひいてはアイカツ!好きな人を絶対刺すマンとしての狙いや、自分に重ね合わせた感情や、そういう諸々を自分勝手好き放題に詰め込んだっていうのが、まぁだいぶ正直な話です。 台無しか。
Aメロは早口めに言葉を詰め込みつつ、ちょっとした韻を踏ませてリズミカルに。 Bメロ、サビ、Cメロはとにかくメロディーを強く強くしていくために、歌詞を乗せました。 おおよそ全編を書き上げて、仮歌詞として提出したと思います。
その後、イラストと楽曲の組み合わせが発表され、自分の曲はカガミツキさんがイラストを担当することに。 「マジ??!!?!?!?」となったのは、しょうがないと思います。 強火の感情で焼いてくるどころか、業火の激情で燃やし尽くしにくるやん…と、嬉しくも恐ろしくもありました。
そして届いたイラストラフ。 夜空を舞台に、とびきりの笑顔で、晴れ色の傘と踊るユウちゃんの姿…。 傘が広がる先には虹色に瞬く星々が。 「星降る夜の青空アンブレラに虹色星が輝く」のヤバくない? ラフ貰った時にまんま伝えたよね。 イラスト描いてもらってる時点では、歌詞はあったけど、どう歌に乗るかは形にしてなくて、結構イメージしにくかったハズなんだけど、カガミツキさんのイメージ力すごすぎた…。 特定の衣装が無いのも攻めてるな…と。 悪天候の野外フェスのような恰好のイメージ、との事で。 僕は勝手に、「何者でもなさの象徴」「夜の闇ではまだ隠れているけれど…」「虹色に光る七つの星と並んだ、八つ目に輝く星にユウちゃんがいる!」「やがて��える青く晴れやかな朝」を諸々イメージしていました。 あまりにもエモ…。 イラスト要素を歌詞にどうにか反映させたくて、Cメロ後半(ギターソロ前)の歌詞を変えました。 歌詞のメモを見ると、変えた箇所はたぶん一番最初に歌詞を決めた所でした。 いの一番に作った歌詞を、イラストからの影響で変える辺りに、カガミツキさんのイラストの強さと、単純に僕がカガミツキさんの絵のフアンすぎるところが出てますね。 結果として、ギターソロ前の、恐らく曲中で一番テンション上がる所に、上手いこと端的に入れ込む事が出来ました。 …出来てたらいいな。
歌詞中には、「文字に起こした歌詞」と「実際に歌われている歌詞」で異なっている箇所があります。 これは誤植ではなく、そのように表記して提出しました。 僕はそういう「書き方と読み方のズレ」みたいな、言葉遊びが好きなので、そのようにしました。 そうしてイラストを見ると、ユウちゃんの笑顔にちょっとした悪戯心も混じっているように見えてきませんか? 僕には見えます(錯覚) 一筋縄ではいかせないぞ、というユウちゃんのオルタナ精神の現れです。
〈終わりに〉
散々書いてきた楽曲のセルフ解説でしたが、最終的には聴いた人が聴こえたように聴いてくれるのが一番いいなと思います。 「俺の解釈はこう!お前は???」という気持ちで楽曲を作っているので、ぜひ「これってこうじゃね?」という感想があれば、送ってください。 ニコニコしながら読ませていただきます。
前回の服部ビユウト感想を見ると、自分だけ男性ボーカルだったことに結構ビクビクしてましたが。 今回は自分以外にも男性ボーカルがいて、それがはちゃめちゃに格好良くて、違う意味でビクビクしてました。 というか、皆の楽曲ぜんぶつえぇ~…。 圧倒されっぱなしではありましたが、僕は僕なりに目一杯の感情を詰め込みました。 製作から完成まで、悩むこともありましたが、ずっと楽しい期間でした。 本当に本当に、ありがとうございました。 沢山聴いてくれたら嬉しいです。
〈余談〉
全曲並べるとよく分かるんですが、僕の曲だけ異様に長ぇ~…。 2枠貰って、2トラックとも5分くらいある。 他の方の曲、全部4分以内なのに。 曲の長さ見た時に、さすがに笑っちゃいましたね。 もっとコンパクトに曲をまとめられるようになりたいところ。 完全な余談でした。 ありがとうございました。
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satoshiimamura · 9 months
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序、
 太陽が近かった。近すぎるが故に、光が熱を帯びて機体を容赦なく焼き尽くす光景が広がる。それでも太陽から逃れる選択肢は、二人にはなかった。
 最期に男は笑った。何かを女に言ったようだった。
 最期に女は微笑んだ。何かを男に返したようだった。
 その何かは誰にも伝わることなく、二人が乗った「イカロス」は、もう誰も覚えていない神話の通りに、地に墜ちたのだった。
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第1話「卒(ゆりかご)業」
 約150年前に、宇宙から飛来してきた謎の存在「ペティノス」。そのペティノスは地上を焼き尽くし、そこに住む多くの命を奪った。それまで数多くの戦争をしてきた人類は、共通の敵が現れたことでようやく団結することに成功。そして彼らは、多大な犠牲を払うことでペティノスを撤退させたのだった。
 しかし、そのために払った代償は重度の地上汚染。人類は地上で暮らすことができなくなり、地下への移住を余儀なくされた。
 それが、この地下都市「クーニャ」で教えられた歴史だった。
 獅子夜ゆらぎ(ししや ゆらぎ)は、卒業証書代わりのピンバッジを指で弾きながらも、散々試験で覚えた歴史を思い出す。
 重度の地上汚染を正常化することが、人類の最大の目的だ。常にその人材は足りず、地上に出ることは、すなわちエリートの証でもあった。
「ゆらぎ!」
 これから地上へと向かう、年に1度だけ動かされる直通列車の駅のホームで、ゆらぎを呼ぶ声が響く。声がした方に顔を向ければ、そこにいたのはダボついた男ものの服を着た、目つきの悪い女がいた。彼女の胸元にも、ゆらぎと同じピンバッジが輝いていた。
「佑介、来てくれたのか」
 ゆらぎが女の名前を呼ぶ。
 乾佑介(いぬい ゆうすけ)。彼女ーーと表記するのは、本当は間違っている。彼は男の自覚があるし、本当は男の体になるべきだった。けれど、厄介な体質だったために、本来の性にする手術が受けられなかったのだーーは、ニカッと笑ってゆらぎの肩をバシバシと大袈裟に叩いた。
「あったりまえだろ。地上進路の中でも、エリート中のエリートコースに進む親友を見送らずにいられるか」
「佑介だって、地上に出る進路だろ。地上汚染の浄化は、大切な仕事だし、おじさんやおばさんも佑介の進路に喜んでたじゃないか」
「町で唯一の航空部隊に選ばれたお前に言われても、嫌味にしか聞こえねーって。……うん、でもお前に嫌味の自覚ねーし、そういうやつだもんな。なんだよ、あの進路適正結果。ほとんどの職種で最高ランク叩き出してんじゃねーか」
「おれの両親、喜ぶよりも先に絶句してたなぁ」
「気持ちはわかる」
 うんうんと頷く佑介の姿に、ゆらぎは「おれは、そんなすごいやつじゃない」と言い返す。
「何寝ぼけたこと言ってんだ。お前はすごいんだよ! 俺の体質聞いても驚かなかったし、俺のこと男としてちゃんと扱ってくれたし。お前は、本当にすごいやつだ」
 続けて「まぁ実際は神経が図太いか、感性が死んでるのかもしれねーけど」と茶化すように佑介が口にすれば、「何だと」とゆらぎは大袈裟に腕を振り上げる。そのやりとりは、子犬同士がじゃれているようなものだった。
 その時、列車到着のアナウンスがホームに流れる。
「アナウンスが流れたな。俺も自分のに乗らなきゃ」
「もう、そんな時間か」
 そこで2人はお互いに少し照れ臭そうな表情を浮かべて、硬く握手を交わした。
「俺さ、お前と親友でよかったよ。航空部隊での活躍、楽しみにしてるぜ」
「おれだって、佑介と親友でよかったさ。お互いに違うコロニーだけど、頑張ろうな」
 じゃあな、と互いに互いへ激励を向けて、ゆらぎと佑介は別れる。そのままゆらぎは、やってきた列車に身一つで乗った。
 出発した列車内にいたのは、ゆらぎと同じく航空部隊への入隊が決まっている面々だった。誰もが緊張した面持ちで指定された席に座っている。出発する駅のホームには、誰もいない。誰も彼らを見送らない。それが不自然であるとは、誰も思わなかった。
 クーニャを出るときは独りで、卒業のピンバッジ以外は何も持たずに。それが常識だ。その常識に逆らって、佑介と最後の挨拶ができたのは、ゆらぎにとって幸いだった。
 地下から地上へ向かう列車の中は、緊張をほぐすような音楽が流れている。そうして、地上到着までのカウントダウンが座席の裏側に取り付けられた、列車内モニターに映し出されていた。
 隣り合う人間が、小声で挨拶や自己紹介をしている。時には知り合いや同郷の者もいたようで、歓声にも似た音が届いたりした。
 ゆらぎは、誰かと挨拶することなく列車の窓から外を眺める。
 真っ黒な暗闇が続くそこは様相を変えず、窓ガラスの反射で列車内を写すだけだった。
 どれほどの時刻が過ぎたのか、モニターのカウントが五分を切ったところで、誰もがそわそわとしてきた。そして音楽は途切れ、列車の駆動音ばかりが耳にまとわりつく。
 カウントが一分を切った。三十秒、十秒、カウントダウンが始まる。そして、ゼロとなったとき、窓から差し込んだのは、青色だった。
 誰もが視線を窓に向ける。遥か上からゆらめく青色と、地平線とは違う果てまで続く瓦礫の山々。そして、かろうじて視認できる巨大な生物が宙を浮いている。
「これは……海、というやつなんだろうか」
「海の中ってことか?」
 図書館に保存された記録映像で、海を見ていた面々が呟く。その言葉が広がり、誰もが海の中を走っているのだ、と知った矢先に、モニターから随分と場違いな音楽が流れ始めた。
 ポップで軽快な音楽と、キラキラとしたピンクに画面が染まる。そして映し出されたのは、鮮やかなピンクの長い髪をツインテールにし、同じくどぎつい紫の垂れ目を際立たせるようなメイクをした少女だった。
「はぁーい、みなさーん。ちゅ・う・も・くぅ」
 可愛らしい声で、可愛いと自分が分かっている人間の動作をした彼女は、ふりふりのレースをあしらったのブラウスから短いスカートを翻すまでをカメラに写し、ビシッと決めポーズをした。
「はっじめましてぇ、めろり・ハートだよん。めろりちゃん、て呼んでねぇ」
 甘ったるい声で、自己紹介を始める彼女に誰もが呆然とする。
「まずは、クーニャからの卒業おめでとうございまーす。これで、みんな晴れて一人前となりました」
 おめでとう、おめでとう、イエーイ、とテンションを高くして、拍手音とともに、めろりは飛び跳ねる。彼女が映るモニター内で、幾つものクラッカーが鳴り響き、突如現れたくす玉が割れて花吹雪が舞い散った。が、落ち着いためろり・ハートがパチンと指を鳴らしたところで、それらは一斉に消えた。どうも彼女の周囲は全てバーチャルで構成されており、おそらく彼女もまたアバターなのだろう。これまでゆらぎが見てきた中で、随分と人間らしく、現実と遜色のないほどに高性能な動きであったが。
「それじゃあ、一人前になった君たちに、この世界の真実を教えたいと思います」
 甘い声は、毒を含んでいるにも関わらず心地よい。そのまま耳障りな言葉を流しそうになったが、それもできないほどの事実が彼女の口から溢れ出る。
「150年前に人類は、ペティノスを撃退したと教えられたと思いますが、それは真っ赤な嘘でーす。今も、人類はペティノスと戦争状態なのです」
 そして、とニンマリ笑っためろりは、さらに爆弾発言を続ける。
「航空部隊に選ばれたみんなは、このペティノス戦での重要な戦力です。つまり、人類存続のために戦争に参加してもらうことになります」
 ざわりと、車内でどよめきがあがった。
「ペティノスの目的は人類滅亡。敵も人類が地下深くへ潜っていることは把握済み。なので、年に1度戦力である人間が補給されるこの列車は、敵にとっても重要な殲滅対象なんだよね。まあ、だからこそ君たちを囮にして、他のコロニーに向かう子たちを安全に輸送できるんだけど!」
 きゃらきゃらと何がおかしいのか笑い続ける彼女に、誰もが蒼白な顔で言葉を紡げないでいた。
「さぁ、世界の真実はここまでにして、これから海面を走るよ。そしたら、ペティノスからの攻撃でこの列車も大分揺れるから、しっかり目の前にある手すりに掴まってね!」
 そこまでの説明で、薄暗い青に染まっていた車内が一気に光で満ちた。誰もが眩しさで目を閉じるが、数秒後には爆発音が届き始める。
 ゆらぎは薄く目を開けて、窓から外を確認した。そして、窓の外から見える青々とした快晴の中、これまで見たことのない何かが無数に浮いていることに気付いた。
 それらの形を何と表現すればいいのか。人型に近いものから、四つ足の動物染みたもの、節足動物のような多量の足を器用に動かしているもの、どちらかといえば球体に鳥の羽を突き刺したようなもの......と、形だけでも様々だ。ただ全てに共通しているのは、太陽光を爛々と反射する金属光沢に覆われた身、無機質で何の感情も浮かべていない面のような人間の顔、そして毒々しい緑から赤にかけて彩る蛍光色の光が絶え間なく行き来する管だった。
 それらは真っすぐにゆらぎたちが乗る列車へ、群れをなしてやって来る。
 一体が光弾を発射した。幸いにも列車には当たらなかったが、海面に派手な水柱が噴き上がる。空気を伝ってやってきた振動が列車を揺らした。あれが当たったら命がないのは、一目瞭然であった。それを理解した途端に、先程めろりが言った重要な殲滅対象の意味が腑に落ちる。びっしょりと背中に冷や汗が流れ始めた。
 続けて、複数の個体から光弾が放たれる。揺れが断続的に彼らを襲った。
「はぁい、今窓側にいる人は確認出来ると思いますがぁ、あれがペティノスでーす」
 再び、場違いに明るい少女の言葉が車内に響いた。
「ここからは、みんなはとにかく手すりに掴まって、怪我をしないようにしてくださーい。でないと命の保証ができないんで」
 ゆらぎの隣に座っていた少女が、ヒッと短い悲鳴をあげた。その向こうにいる少年は真っ青な顔で、座席に取り付けられた手すりを握り込んでいる。彼の手は血の気が失せるほどに力が込められており、かすかに震えていた。車内にいる誰も彼もが似たような状態だった。パニックは起こしていないが、それは現状を飲み込みきれていないからだ。
 それらをモニター越しで確認しているのか、彼女は可愛らしく人差し指を唇にあてて、小首を傾げる。
「あれあれ、もしかして怖いのかなぁ? だったら少しは安心できるお話もしよっか。ペティノスの殲滅は、みんなの先輩たちがするからね!」
 めろりの説明と同時進行で、ペティノスとは違う何かが高音と共に近づいてきた。
 それらはペティノスとは違うものだった。人型だがペティノスとは違い、随分と大きい。黒や白、赤といった特徴的な色に染まった機体は、肩の部分にブレードや巨大な主砲を背負い、ジェットを用いて空を飛び続ける。三体の人型の機器は、そのまま列車の真上やってくると、並走し始めた。
「みんなの上空にいるのが、対ペティノス戦においての重要な兵器、機体「イカロス」でーす。今回は、ナンバーズの七番、六番、四番が来てくれたようですねぇ」
 パッとモニターに映る映像が変わった。右下にめろりが写り続けているが、背景になっているのはイカロスと呼ばれた機体だ。どうも、列車の外にカメラがあるらしい。その三体は、互いに何かをやりとりしたのか、一体を除いてペティノスの群れに突撃し始めた。
 列車と並走しているイカロスの機体の色は、赤い。それは、肩に担いだ銃のようなものを構えると、三発の光弾を放った。光弾は、群れに向かっていくイカロスたちへ近づいていたペティノスたちを貫いていく。遠距離型のようであった。列車に当たりそうになった、ペティノスたちの攻撃すら、その射撃で弾道を反らしていく。
 対し、二体のイカロスの機体の色は黒と白。黒は複数のブレードを持って、ペティノスが密集している場所に突っ込んでは、敵を切り刻み、屠り続けている。白もブレードを持っているがその数は一本しかなく、どちらかといえば黒の機体の援護をしているようだった。
「あれが、イカロス」
 ゆらぎは、呆然としながらも呟いた。いつの間にか、恐怖で震えるだけだった面々に安堵が広がっている。
「安心したかな? じゃあ、そろそろ陸地に着くから……ここからが本番だよ?」
 めろりの声色が一気に真面目なものに変わった。
 誰かが窓に顔を貼り付けて「陸だ!」と叫ぶ。数秒後には、外の風景が乾燥した大地に変化した。先程までの比ではないほどに、車内が揺れる。悲鳴がいくつか上がり、誰もが手すりどころではなく、座席にしがみついた。
「海上戦は前哨戦。みんなを守り続けながらのファロス機関本部への移送が最上級任務。けれど、あのペティノスたちの群れを拠点まで連れて行ったら大問題。もちろん本部の防衛は、ナンバーズの三番と二番が担っているけれど、それでも間に合わないと判断されたなら、君たちには尊い犠牲になってもらうんだ」
 パッとイカロスたちが映るモニターの左上に、タイマーが現れた。そこに記された時間が、尊い犠牲になるまでのカウントダウンなのは、誰もが理解できる。
「さぁ、祈ろうか。君たちの先輩たちが勝つことを」
 厳かな言い回し、急に真面目な口調になったアバター。ペティノスの群は少しずつ削られてはいる。どうも画面には映っていないが、援護射撃をしているイカロスが増えているようだ。あちらこちら、列車から遠い場所で機体が立ち構えているのが、窓から見える。だが、ペティノスたちも防戦一方ではなく、援護射撃をしているイカロスたちを撃破している。
 明らかに数だけは、イカロスたちが不利であった。
 乗車しているゆらぎたちに祈ること以外は、何もできないでいる。
先程まで騒がしかっためろりも、何も言わずに佇んでいた。いや、イカロスが撃破されるたびに、僅かに顔を顰めている。
 その時、画面が揺れた。
 めろりやイカロスの姿、そしてタイマーすら消えて現れたのは、褐色肌の筋肉質な男だった。琥珀色の目で、愛嬌いっぱいにウィンクをする。
「やぁやぁ、初めまして。ここは自己紹介をすべきところなんだけど、時間がないから省略させてもらうよ。オレが用があるのは、獅子夜ゆらぎくん。いるんだろう? すぐさま先頭車両に来て欲しい」
 突然出た自身の名前に、ゆらぎは動きを止めた。男の視線は、画面越しだというのに、しっかりとゆらぎを見据えている。
「ここの列車を守り切るためだ。誰だって、死にたくはないだろう。なぁ、獅子夜くん」
 逃げるな、という圧を感じ取ったゆらぎはゆっくりと席を立った。その動きで、皆がゆらぎを認識する。しがみついて、道を塞いでいた人々も、ゆっくりとではあるが彼の進む道を開けて行った。
「急げ! 先頭車両の扉は、君のピンバッジをパスとして設定した」
 男の急かす声に乗せられて、ゆらぎは揺れる車内の中を走り出す。
 車両を移動するたびに、誰も彼もがゆらぎを凝視した。
 そして、次が先頭車両になったときに、画面に映る男が消えて、今度は焦った表情を浮かべためろりが戻ってくる。
「獅子夜ゆらぎくん! 君は元の座席に戻りなさい。エイト・エイトの言葉は一旦忘れるんだ。ああ、もう! あいつ完全にセキュリティを改竄して、めろりの権限乗っ取った���」
 それでも、ゆらぎは止まれなかった。ロックの掛かった先頭車両への扉は、パス読み取りの端末にピンバッジを翳すだけであっさりと開く。
 そこは無人だった。自動制御による運転席に誰かがいるわけがない。ただ全面に広々と嵌められた窓の先に、先程まで見なかったイカロスが飛んでいた。
 そのイカロスの機体の色は青。ゆらぎがまだ見たことのない、けれど地上でとても見たいと願っていた、記録映像だけに残された夜空の色。その機体の背に持つ武器は無数の銃器。
『獅子夜ゆらぎ君、だね?』
 初めてイカロスから人間の声がした。丁寧な言い回し。けれど、どこか焦った声色。ゆらぎは頷く。
『エイト・エイト! 頼んだ』
 その声かけで、先頭車両の天井が開き始めた。止まっていないのだから、風が吹き込み、砂が入ってくる。乾燥した空気の匂いは、ゆらぎがこれまで嗅いだことのないものであった。
 その場で立っているのが精一杯のゆらぎは、抵抗など一切できずに、青色のイカロスによって先頭車両から連れ去られたのだった。
 イカロスと共に空を飛んだのは、おそらく三十秒にも満たない短い時間だった。気がついたら、イカロスの腹部にあった謎の球体の中に押し込められていて、ゆらぎはどこを見ても白い靄が続く謎の空間にいた。
「……ここは」
 その中で、突如衝撃が訪れる。脳内に直接やってきた数多の情報に、ゆらぎは吐き気がする。それは、このイカロスの操縦に関することであり、そしてゆらぎの役割が明確になった瞬間でもあった。
 右手を横に薙ぎ払う。その瞬間、靄は消え去り、イカロスの周囲全てが見渡せた。
「ダイブ直後で、この感度。君は本当に才能がありますね」
 突如ゆらぎの前に男が現れる。さまざまな配線が繋がった座席に座った彼は、色白の痩せ型で、黒髪の合間から除く蜜柑色の目がギラギラと輝いていた。見たことのない服装であったが着崩した印象はなく、だが両手の全ての指に銀色のリングが嵌められていることがちぐはぐな印象を持たせる。
「あなたは」
「時間がないので、話は後。まずはペティノスたちを殲滅させます。エイト・エイト、獅子夜くんのフォローを」
「はいはい、右近の仰せのままに」
 先程の褐色肌の男が、ホログラムとしてゆらぎの背後に現れる。
「さぁ、獅子夜くん。まずは、このイカロスの説明だ。かなり超特急で情報を渡すから、あとはこのお兄さんを手本にして、ペティノスたちを分析するぞ」
 再びやってくる情報の波。だが、先程のものよりも圧倒的にスムーズに覚えていく。そしてエイト・エイトと呼ばれた男が指示した通りの手順で、ペティノスたちを分析し始めた。
 数多のペティノスたちの分析結果、動き、パターンが蓄積されていく。それに伴い、その情報を右近と呼ばれた男に示してい���ば、どんどんと攻撃軌道が展開されていく。
「行きますよ!」
 と右近は声を挙げて、ペティノスたちの群れに突っ込んでいった。
 無数のペティノスたちは、展開された光線によって貫かれ、撃墜していく。突如現れたイカロスに、敵は動揺している素振りはなく、けれど対応もできずに撃ち落とされていった。
『よーう、右近。お前、オレたちだけじゃ不安に思って、エイト・エイトと一緒に心中でもしにきたの?』
 突如入った通信。その送り主は、最初にペティノスたちの群れの中で暴れていた黒のイカロスからだった。
「そんなわけないだろ。今はオペレーター込みだ」
『えぇー? お前、散々他のオペレーターたちと喧嘩したじゃん。あのルーですら喧嘩になったじゃん。どこの誰よ、新しいお前のオペレーター』
「獅子夜ゆらぎ。たった今、オペレーターになった新人」
『新人!? ちょっと待って、めろり教官の監視は? は、ヤバ』
「無駄口叩いてる場合か?」
 そこまでの言い合いをしながらも、確実にペティノスたちを撃ち落としていく。黒のイカロスもまた同様に、いや、先程よりもより高速になって敵を切り捨てて行った。
 一気にペティノスたちの群が小さくなっていく。が、遠目に巨大な都市も視認できるようになっていた。あれが、対ペティノスの拠点であり、ファロス機関とやらがある場所なのだろう。
「リミットまで残り十分。ナーフさん、一旦離脱して兎成姉妹の援護をお願いします。残りは俺と左近で一掃します。いいな、左近」
『ナーフ・レジオ、了解』
『はいはーい。久しぶりだからって、ミスするなよ? 右近』
「お前こそ、ミスって撃ち落とされるなよ」
 そこまで軽口は続き、通信は途切れる。
「そういうわけです」
「どういうわけですか」
 先程までの悪ガキ感満載のやりとりから、落ち着いた声色に戻った右近に対し、ゆらぎは思わず言い返してしまった。
「左近は超接近型ですので、あいつを核にして、俺たちはペティノスたちの群れをとにかく小さくしていきます。内はあいつに、外は俺たちで」
 それがいつものやり方なんで、と好戦的な笑みを浮かべた右近に、聞く耳はなさそうだと思ったゆらぎは、諦めて弾道計算をしていく。感知できる敵の位置と、黒のイカロスの位置を確認。その過程で、いつの間にか離脱している白のイカロスは赤のイカロスと並んで列車を守るように待機していた。
「さぁ、行きますよ」
 右近の予告と共に、イカロスが一気に動き出す。黒のイカロスもまた、一緒に動き始めた。
 撃って、撃って、撃って、切って、切って、切って、と攻撃をしかけるのと同時に、敵からの攻撃を瞬時に解析し、回避か相殺を狭い空間でし続ける。それらをし続けるだけで、脳への負荷は積み重なり続けるが、同時に快感もあった。
 弾道の予測と攻撃の感知と撃墜の修正を繰り返す。
 撃って、撃って、撃って、測って、調べて、軌道を描き、また撃って、撃って、撃って……敵の数が一体、また一体と減っていき、見るみると群れが小さくなっていく。
「これで最後だ!」
 右近の歓声と共に、最後の一体が撃墜された。
 ゆらぎは列車を確認する。と、ペティノスたちがいなくなったことから他のイカロスたちも撤退しているのか。列車だけが淡々と地上を走り、遠くに見える都市へと吸い込まれるよう消えていった。
「……よかった」
 ほっとした息を吐いたところで、ゆらぎは力を抜き、そしてそのまましゃがみ込み、後ろに倒れ込んでいく。倒れながら見た空は随分と明るく淡い青で、これが夜になるとどうして暗くなるのだろうという細やかな疑問を抱きつつ、彼は瞼を閉じたのだった。
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kachoushi · 20 days
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虚子自選揮毫『虚子百句』を読む Ⅴ
花鳥誌2024年5月号より転載
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日本文学研究者
井上 泰至
8 さしくれし春雨傘を受取し
 『五百句』には「大正十三年」と注記され、初出は翌大正十四年八月の『ホトトギス』で、「近詠」とのみ題されている。『年代順虚子俳句全集』第三巻の大正十三年の項には、「四月(日不明。)小樽高商を卒へたる長男年尾を伴ひ京阪地方に遊ぶ。その時の句?」とあって、『虚子百句』では次の九番目に挙げられる「天日のうつりて暗し蝌蚪の水」の後に掲出されている。成立は前後していたか。
 しかし、『虚子百句』では、この句の方を先に挙げた。その理由は、単純に『五百句』の掲載順に拠ったとも考え得るが、加うるにこの句の前の七番の句が「雨の中に立春大吉の光あり」なので、「雨」の句で一組としたか。この後九番は「天日」で晴、十番は「思ひ川渡れば又も春の雨」と雨の句となる。単調さを避け、季節の進行に晴雨の交代を入れ込んだ編集の妙でもあったか。
 この句の問題は、「春雨や」と持ってこず、「春雨傘」と中七に造語としてわざわざ置いたのは何故かという点にある。ここから考えてみよう。
 「さしくれし」の「し」は、一般に「過去」の意味の助動詞「き」の連体形だと言われるが、室町時代末期から、現在もその動作が続いている「完了」の意味を持つようにもなってきていた(井上・堀切克洋『俳句がよくわかる文法講座』第2章)。有名な、
  糸瓜咲て痰のつまりし佛かな 正岡子規
 の「し」も、「つまってしまった(そして、現につまっている)」の意味でないとおかしい。ただ過去の動作が終わったとか、あるいは過去の動作の影響が終わってしまったということなら、子規は死んでしまっていることになるが、この句は自分の最期の姿を「佛」と客観視して詠んだのであって、「今まさにちょうど」という意味でなければならない。やはりよく知られる島崎藤村の「まだあげ初めし前髪の/ 林檎のもとに見えし時」という『若菜集』「初恋」の一節も、現前する女性のうなじを詠んでいるのだから、「し」は「あげたばかりの」という意味でなければならない。
 掲句も、上���の「さしくれし」を受けて「受取りし」と応じた、この呼吸が一句の眼目なのである。繰り返される「し」は、過去でなく完了の意味でなければならない。そこで中七の「春雨傘」の造語が使われることになったものだろう。
 そこに気づいてみると、おそらくは女性が手渡してくれた傘を阿吽の呼吸で、虚子か、あるいは虚子が見ていた人物が受け取った動きのある一場面に焦点を当てたことがわかる。
 「春雨」は本来京都独特の、鴨川の水面を観て雨を知るような細やかで繊細なそれであるから、この一瞬の「艶」なる場面をつなぐ重要な小道具の属性を知らせるのに、十二分の役割を果たしているのである。当然『喜寿艶』にはこの句は掲載されている。
 なお、京都の三業(料亭・待合茶屋・置屋)の女性の品を様々に詠むのは、虚子句の一傾向であるが、
  美人手を貸せばひかれて老涼し 昭和二七年
  夕立に傘傾けてはつ子来ぬ   昭和三〇年
 など京都の女性の「手」や「傘」を材にした同傾向の句を確認すると、虚子にとって「傘」と女の「手」のしなやかさや姿態は、発想の起点であったことが確認できる。
9 天日のうつりて暗し蝌蚪の水
 『五百句』には「大正十三年」とのみ注記。『年代順虚子俳句全集』には、前の句の解説で示したように、小樽高商を卒業した高濱年尾を伴い、関西を訪ねた四月の句か、としている。『ホトトギス』大正十三年六月号の「消息」欄で年尾は、滞在十八日、京都・大阪・神戸・堺・大和を回り、特に京都の嵯峨・御室・東山、さらに琵琶湖から比叡山・大原を回り、京都の風光の良さを特記している。
 掲句は、二つの解釈が一応想定できる。太陽が位置を傾け、それまで日が当たっていた場所が暗くなり、そんな中をお玉杓子が泳いでいる、というもの。
 今一つの解釈は、「沢山のお玉杓子が孵ると水一面が黒くなるほどで」「日の光が水に当っても暗いような感じがする」という『虚子百句』の高濱年尾のような受け取り方である。清崎敏郎も「玉藻研究座談会」で同様の解釈を披露している。
 大野林火もまた後者の意味に捉え、「くろずんた蝌蚪」と「水面の日輪」とが重なり、「不思議に重々しい空気を伝えてくる」としている(『虚子秀句鑑賞』)。
 こう考えてくると、一句の解釈の分岐点は「うつりて」が「移りて」なのか、はたまた「映りて」なのかというとこにあることが見えてくる。
 まず、この句が詠まれていた時、年尾が同伴していたということであれば、後者の解釈に軍配を挙げる客観的証言である可能性は頭に置いておく必要があろう。
 さらに、「うつりて」を「移りて」と解釈してしまっては、太陽の移動を説明しただけのことになってしまい、何が何してどうなった式の句として、値打ちが下がる。やはり「映りて」と受け取って、太陽の姿と光は池に映ってはいるものと理解して初めて、句に情趣が生じる。
 そもそも「て」は、単純な接続ばかりでなく、「ではあるが」という逆接の含意を俳句では持たせることがままある(井上『俳句のマナー、俳句のスタイル』)。
  面白てやがて悲しき鵜ぶね哉 芭蕉
  糸瓜咲いて痰のつまりし佛かな 子規
  蝌蚪生れて未だ覚めざる彼岸かな 松本たかし
 この句も、「太陽の光とその姿は池に映ってはいるものの」と屈折した意味を読み取るべきであろう。
 深見けん二は、やはり「玉藻研究座談会」で、「天日」の語の選択について、「何かそこからずうつと広がって行く大きな宇宙なり世界といふものが感じられる」と発言し、敏郎とのやりとりの中で、「太陽」よりも「天日」の語を選ぶことで、客観的な状況が単純化され、それに伴って、個々の細かい現象より、もっと大きな世界を把握し表現することが可能になったと確認しあい、生前虚子は「単純化していくとそこに個性が出て来ますよ」と語っていたことを引用している。
 この句に虚子の「個性」を読み取るならば、「金亀虫擲つ闇の深さかな」「蜘蛛に生れ網をかけねばならぬかな」「大寒の埃の如く人死ぬる」のような闇の世界を見つめ、それすら客観視しようとする世界に通じると言えば言えようか。
 最晩年の「この池の生々流転蝌蚪の紐」(昭和三十一年)も、細部にこだわった客観写生から出発して、掲句のような「単純化」を経て、たどり着いた表現と境地と見ることも可能だろう。「天日」という世界観を含んだ語の実験が、晩年の自在を生んだと考えたい。
 なお、虚子の揮毫は『虚子百句』全体に、かすれた墨痕で、視力が弱くなった老年の筆を感じさせるが、掲句に限っては鮮やかな筆づかいとなっている。意図的なものなのかどうかは、本書全体から見直してみる必要があり、機会を改めたい。ただし「我心或時軽し芥子の花」など明らかに、居住まいとただした書きぶりも認められる句が少ないながらあることは、単純な墨継ぎの問題で収まるのか否か注意を要することは、心覚えに書きとどめておきたい。
『虚子百句』より虚子揮毫
9 天日のうつりて暗し蝌蚪の水
10 思ひ川渡れば又も花の雨
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国立国会図書館デジタルコレクションより
___________________________
井上 泰至(いのうえ・やすし)   1961年京都市生まれ 日本伝統俳句協会常務理事・防衛大学校教授。 専攻、江戸文学・近代俳句
著書に 『子規の内なる江戸』(角川学芸出版) 『近代俳句の誕生』 (日本伝統俳句協会) 『改訂雨月物語』 (角川ソフィア文庫) 『恋愛小説の誕生』 (笠間書院)など 多数
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kasayoichi · 1 year
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珠玉の友①
老いを是とせず
死を退け
希求するは涯なき生
古より万人は仙薬を追い求めて蓬莱を探し、ときに現世の果てへ消えていった―――
一、
 西に傾く陽の光が弱まり、人がまばらになった市中には濃く長い影が落ちはじめている。伸びた影の先には、天蓋を差し、白衣装に身を窶した一行と、そのうしろから運ばれる真っ赤な龕があった。鳴り続ける鉦鼓と弔いの哭泣を引き連れて干潮の浜へとむかっていく葬列を、静かに見送った。
 大清康熙暦二十一年、冬。
 冬至も過ぎたこの頃、雪こそ降らないこの国だが、陸を吹き抜ける乾いた海風はさすがに身に染みる冷たさにかわっていた。昨年までいた福州に比べればなんとも生易しい気候ではあるが、それでも四肢の末端はすっかり冷え切り、足袋が欠かせない。いつもより厚手の羽織を重ね着て悴んだ指を𠮟咤して筆を動かし、子弟たちを指導しながら漢文の組み立てなどをしていると、あっという間に昼八つ時を大きく過ぎていた。
「今度は丁越市(テイエツシ)だそうです……絶対おかしいですよ」
「まあ、多少気味は悪いが」
 夜詰めをほかの講師に引き受けてもらった己煥は、久米の大門付近で聡伴と落ち合い、ふたりで城下へむけて浮道を歩いていた。このあと城下の近くで朝明と合流し、今夜は漢籍の会読をする予定だ。 数町ほど歩けば座り仕事で冷え切った身体も暖まるだろうと思っていたが、逆に冷え切った夜風が容赦なく吹きつけ歯を鳴らしそうになる。己煥は重ね着をした袖のなかで組んだ己の腕で、辛うじて暖を取っていた。 寒空のもと、ふたりが歩く路肩の松並木のあいだ、その遠く向こうに死者を乗せた朱塗りのそれが目に入ったのはその途中のことである。
 夏以来、 城下とその先へ下った四町や港では、先の旅役にかかわった者たちには災厄が降りかかるという噂が巡っていた。来る年に清からの冊封使節を迎え入れる準備に追われる王府は完全に無視を決め込んでいたが、尾ひれがつき這うように官吏たちのあいだで話が広がる様はなんとなく不気味なものである。
「はじめはちょっとした偶然だと思ったんですけど」
 偶然、先の旅役に同行した某氏が原因不明の病に臥せった。
 偶然、先の旅役で才府を務めた者の室がお産で命を落とした。
 偶然、先の旅役で加子(水夫)務めた者が薩州へ向かう途中、大風で流された。
 そして昨晩、偶然、先の旅役で五主を務めた丁越市が知人と争った末に死亡した―――
「偶然じゃないか?」
「四人が偶然なわけないじゃないですか!四人なんて片手で数えていられるのもあと少しですよ?己煥様は他人事のようにおっしゃいますけど、私たち一緒に船に乗りましたからね!」
「葬式なんて最低でも月一はどこかの村で出ることだろう」
 聡伴は一生懸命恐怖を訴えて喚いてみたが、己煥の反応は今ひとつである。生まれた時分からたびたび生死をさまよっていたと聞くこの御仁にとっては、すべからく平等に訪れるものに対して、何をいまさら、という感じなのだろうか。
「私は帰国以来大きく体を壊したこともないし、朝明は……相変わらずだ。よほど痴情のもつれにでも巻き込まれない限り死にはしないだろう」
「そういう前振りが余計に怖いんですって!」
「―――左様、これから年の瀬にむけて冷え込みますゆえ……調子が良いなど大層なことをおっしゃっておられるとあとが怖いですよ、短命二才様?」
 九町ほど歩いた、寺の門前に続く橋の前、唐突に背後から投げかけられた言葉に、聡伴は顔をしかめて勢いよく首をうしろに回した。
 ―――短命二才、この渾名で己煥を呼ぶ者で碌な奴はいない。
「どこの者だ?」
 うっとおしく思った己煥は、ゆっくりと声のほうへ体を向きなおす。すると、己煥らよりも五、六は歳が上のようにみえる、赤帕を巻いて煙管を吹かしている男と、その脇に付き人らしき振袖の若衆がおり、こちらへ近づいてくる。少し体を横に傾けると、隣の聡伴が、赤冠の青年は某氏某家の子息・茂部之子だと耳打ちしてくれた。その家名は三十六姓のうちのひとつで、己煥にも聞き覚えがある―――同籍の士だ。
 王府に仕える士は、その出自と住まいから籍を四つに分けられている。
 朝明のような王族に縁ある家柄の者が住まうが城下、そこを下った先一帯に広がる四町には聡伴のような中級の士、さらに北側の港町には下級の士、そして四町と北の港のあいだが、己煥らが籍を置いている唐栄の村である。
「貴方より名声は劣りますが、この私も唐栄の出であり進貢使節の一員だったというのに寂しいことをおっしゃいますなぁ」
 吐き出された煙草の煙が、この男の周りを取り囲むように漂っている。
 己煥は深く息を吸い込ぬよう着物の袖で口元を抑えていたが、次第にあたりの空気も燻されたように乾き、咳き込みそうになる。
「なぁにが”使節の一員”ですか。あなたが心汚く縁を頼って船に乗り込んだことくらい周知の事実ですよ?用があろうがなかろうが失礼させていただきます」
 こんなやつと話す必要はありません、と聡伴は己煥をうながして右へ回ろうとした。
「なにか良い薬でもお召しになりましたか?」
「どういうことだ?」
 唐突な問いに、立ち去ろうとしていた己煥と聡伴はうっかり足を止めた。
 道行く人々がこちらの様子を窺いながら通り過ぎていく。士族の子弟らしき若者が路上で剣呑な雰囲気で言い合いをしているのだ。目立たないはずがない。茂部之子の傍で控えている若衆も困り顔で黙り込んでいる。
「いやぁ、不思議なこともあるものですなぁ。あれほど御身体が弱く上天妃の宮で教鞭を執られるのも稀といわれていた貴方が、今年は講解師に任じられたうえ冠船の諸事まで手伝っているというではないですか」
 来年は清から冊封使節が訪れるため王府のありとあらゆる役所がすでに大忙しであるが、海の向こうとの窓口になっている己煥ら三十六氏の官吏はいっとう多忙を極めていた。
「そこの推参な小童は私の縁故を心汚いと宣ったが、短命二才様が口にされたのはとてつもない良薬であらせられるようだ」
 なるほど、と己煥は静かにため息をつく。結局はいつものくだらない突っかかりである。一人のときは適当に口を閉ざしてその場をやり過ごすのが常だった。煙たさが治まってきた己煥は、口元から袖を離す。 この先で待たせているであろう朝明のことを思案して腕を組み直した。
「あなたにもそのうち素晴らしい効能を持った薬が見つかりますよ、多歳赤冠殿?」
「このッ……」
 ふたりを睨みながらも、無理に口の端を釣り上げ表情を取り繕う様は、なんとも品がなくみえる。あれほど分厚くとぐろを巻いていた紫煙は、今や線香ほどのか細い煙のすじとなって漂いながら、大人しく煙管に納まろうとしていた。
 年長の者をためらいなく挑発する聡伴に感心していると、なかなかあらわれない己煥たちに待ちくたびれたのか、朝明が橋を渡りこちらへ下ってくるのがみえる。己煥と聡伴が己のうしろを見やっていることに気がついた茂部之子も、つられてうしろを向いた。
「そうだそうだ。薬なら四町の市のほうが取り揃えが良い。さっさと下って行っちまえ」
 軽快な笑みを浮かべた朝明は、手首で軽く追い払うしぐさを見せる。若年にもかかわらず己より官位が高い聡伴や朝明に逆捩じを食らわされる恰好となった茂部之子は、あからさまに唇を噛みしめ吐き捨てる言葉を探していた。側に控えていた若衆は、これ以上この主人の口を開かせまいと、彼に去り際であることを小声で訴えている。
 茂部之子が動くよりも先に、朝明は己煥の上腕を軽く掴んで橋のほうへ上がるように導く。思ったより力を入れて組んでいた袖下の両腕を解くのに手間取りながら、己煥は朝明に従った。
「……災いは平等だ」
 茂部之子は取り繕ったしたり顔で言い放つ。
「家柄の良い才府も、優秀な五主も、不幸には抗えない。五本目の指を数えるのが貴方がたのうち誰か一人でなければ幸いですな」
「あなたはご自分の心配をなさったほうがよろしいですよ!そろそろ寒さが堪える御老体であらせられますしね!では失礼!」
 聡伴は���度こそ足を止めまいと、慌てて朝明と己煥を追いかける。
 橋を下った先では、大股で容赦なくひたすら前を歩く朝明に引っ張られて、足をもつれさせた己煥が待ったをかけていた。寺の門前を過ぎたあたりには馬を待たせてくれているのだろう。ここから城下へ少し上がったところに、朝明の別邸がある。
「朝明様!」
 ふたりに追いついた聡伴は、時間を取らせてしまったことを朝明に詫びるが、馬に乗りながら垂れ流すのは先程の愚痴であった。
「なんですかあいつ!己煥様が口利きで職位をもらったかのような言い方」
「それなりの位に就けば、私でなくとも下の者からの妬みや嫉妬は誰だってかっている」
 身体が弱く、これまでたいして仕事を抱えてこなかった己の名が聞こえるのが面白くない下級官吏が多いのは致し方ないことだろうと己煥は思っている。
「それでも言わせすぎだ。少しは周りを黙らせる努力をしろ」
「なんだお前まで」
「せっかく才能と実績は折り紙付きなんですから、御身体崩されてたときのことなんて気にしなくていいんですよ」
「この調子じゃあ小賢しい出世の競り合いで潰されちまうぞ。とくにお前んところは」
 同籍同士の出世争いが著しい唐栄に生まれながらも、己煥はどうも控えめで気が柔い。己と立場が逆であったほうが過ごしやすかったのではないかとすら朝明は思ってしまう。
「己の沈黙は是の証で」
「他の妄言こそが真とされるんだぞ」
 お前の将来に係ることなんだから、と朝明は念を押す。
  官吏という職は、謹厳実直に仕事をこなすだけでは立身の道は拓けないし、従順で馬鹿正直では勤めをまっとうすることはかなわない。頭だけではなく、気と口もよく回さなければ生き残れないのだ。己煥とてそれがわからないわけではないのだが。
 強く言い聞かせてくるふたりに気圧された己煥は、結局のところ、朝明しかわからない程度に頬を膨らませてふたりから目を逸らし、相変わらず黙っておくことしかできなかった。
 
「ところで朝明様、あの噂は……」
「いいか聡伴、進貢船の員数は二百余名だ。それが全員死んだら龕は出ずっぱりだぜ?」
 荼毘のさいに遺体を納めて運ぶ龕は、各村にひとつずつしかない大切な共有物だ。月に何度も葬式を出されてはたまったものではない。
「そりゃあ、まぁそうですけど……あ、お刺身美味しかったです」
 すっかり陽が落ちたころに到着した朝明の別邸でふたりに散々窘められ、供される料理に鼓を打っていても、聡伴はどうにも噂が気にかかって仕方がない。腹に流し込んだ汁物の温かさが、少しだけ気を軽くさせた。
「船旅は死に近い。船をおりてもそれの気配はなかなか離れぬだろう」
 そして、その心懸かりは吐き出されるにつれて尾ひれを纏い、村を流れ、町へ飛び、やがて大きな噂となる。
 屋敷の使用人に獲らせてきたのだという玄翁に、 己煥もありがたく一切れ、箸をつけた。 血色の良い白身は厚めに切りおろされ、ほんの少し加えた酢が身そのものの淡い味を引き立てている。
  見目のためにうっすらと残された皮がおびる青い濃淡は、薄明りのなかで鈍く光り、とても美しかった。
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