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#権藤真由
highvoltg · 3 months
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機動武闘伝Gガンダム第45話「さらば師匠!マスター・アジア、暁に死す」がいかに素晴らしいかを事細かに説明したい(前編)
あらすじ・・・兄の犠牲の末、デビルガンダム(この話のラスボス)を撃破したドモン。かつてはドモンと師弟関係であったが今は対立している東方不敗マスター・アジアは、デビルガンダムを利用してある目的を果たそうとしていた。デビルガンダムが破壊されてしまったことにより絶望し、ドモンに激怒する。マスターがなぜデビルガンダムを必要としたのか。その理由が二人の拳による対話で語られる。
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このシーンではドモンは向かって右側、東方不敗は左側を向いている。人間の視線は左から右に動くので、左側を向いている人物はこちら側に対して何かを語る役割であることが多い。今まで行動の真意が見えなかった東方不敗が語るのだということを意識させる構図。
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いきなりバトルシーンを描くのではなく、遠景から、そしてドモンの仲間の視線を通してカメラが寄っていく。このへんも単にバトルを描くのが目的ではなく、視聴者も含めて東方不敗という人物に近づいていく(フォーカスをあてる)という意図が感じられる。非常に立体的。
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ガンダムファイトの裏側で、地球の荒廃した姿を見なかったのかとドモンに問い掛ける東方不敗。ガンダムファイトはそもそも地球を離れた人類の覇権争いのために定期的に開催される代理戦争でその舞台はかつての居住地である地球。地球はガンダムファイトの舞台にされ、大会があるたびに自然も建造物も破壊され、ダメージが蓄積していく。これは1話から描写されていたことなので、長い伏線がいま回収されようとしていることが分かる。
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荒廃した地球の姿を目にした東方不敗は、どんな手を使っても地球を元の姿に戻すという決意をする。ここでの東方不敗はロールとしては悪役なのだが、わかりやすい悪役のような表情はしていない。真面目に考えた末に今のロールを演じているということを真摯に描いている。
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デビルガンダムはもともとアルティメットガンダムという名前で、地球再生のために作られたものだったが、バグを起こした末に自律思考した結果、人類を抹殺するべきだという判断を下した(人間がいなければ地球は荒廃しないという論理)。それに呼応した東方不敗はデビルガンダムを使って人類を抹殺しようとしていたことが明らかになる。
さっきと同じ構図だが、「人類の抹殺」と口にしているマスターは影が濃くなっている。その狂気を受け止めきれないドモンの表情(半開きの口)の演技は細かい。
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ガンダムそのものにマスターの身体がオーバーラップする演出。ガンダムシリーズではパイロットがガンダムを「操作している」という演出が普通だが、Gガンダムでは「ファイターの身体の延長」という思想で描写がずっとされている。ここでのマスターは乗機であるマスターガンダムのスタイルもあって本当に大きく見える。
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デビルガンダムがいれば、人間は地球にいれなくなって地球はいずれ蘇る。だから「人類など滅びてしまえ」と高笑いする東方不敗。ここまでフォーカスすることで内面を描いてきたのに対して、横顔から背景に移動することで、表情が読めなくなり、ここにきて再度真意がわからなくなってしまう(話が通じる相手ではなく、狂っているのかもしれない、という演出)。
また、東方不敗はガンダムシリーズの「人類を滅ぼそうとする悪役」の中で本当に自分の信念で人類を滅ぼそうとしている珍しいキャラクターだと思う。シャアをはじめとした他の悪役は、大体の場合自身と他者との関係性の問題を正面から認めることができず、「自分を理解しない他人など消えてしまえ」という本音を利用できる大義名分にすり替えて人類抹殺を企てる。東方不敗の人類抹殺の動機にはそういう他人との葛藤みたいなものはなく、純粋に地球を荒らしてしまった罪悪感から行動している。 根本的に悪い人ではないので、人類を滅ぼすにあたってドモンと対立すると心が揺らいだりはしているのだが、そもそもの決心の部分に迷いがなかった(迷った末の決断ではなかった)というのがガンダムシリーズの中では新しかったように思う。そういう意味では、普段から自然を慈しんだりかつての地球を懐かしむような描写が本編中にあってもよかった気がするが・・・。
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ここは演出が細かい。ガンダムファイトが代理戦争であり、地球を捨てた人類のゲームだと批判するマスターに対してドモンは「むやみに人が死ぬよりはいい」と立ち向かうが、ドモンはガンダムのまま描かれ、マスターはガンダムと一体化した形で描かれる。ドモンは正論を言っているがあくまでそれはガンダムファイターとしてであって、マスターは一個の人間としてそれに反論している。主人公であるはずのドモンの正しさがゆらぐ。
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拳を交わす二人。そこでドモンはあることに気づく。
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(こ、これは!拳から深い哀しみが伝わってくる!東方不敗の拳が……拳が泣いてる!?) 「な、何故だ!」 「うるさい!」 (俺の心に、悲しみが響く…そうだ、己の拳は、己の魂を表現するものと教えてくれたのはこの人だ!ならばこれが東方不敗の魂の響きなのか!)
東方不敗の拳から感情を読み取るドモン。ドモンの視点を通して東方不敗という人物を描写している。視聴者もまたそこに感情移入してふたたび東方不敗にフォーカスがあたっていく。
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東方不敗は病に冒され、デビルガンダムのパイロットにはなれないことが明かされる。そんなことを言いつつかつての弟子と回転しながらぶつかり合っているのは意味がわからないが、これまでの流れがあるのでギャグシーンにはなっていない。シリアスなノリが続けられる限界を攻めていると思う。
長くなってきたので、続く。
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ken1ymd · 1 year
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「徴用工」に給料袋 適切報酬の証拠
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https://www.sankei.com/article/20230316-HF2KIMTFDVMPFJNEQPAUGYFNF4/photo/7XVOKMOWJRIKLBVZ3PN45DGNIQ/
<特報>「徴用工」に給料袋 適切報酬の証拠 遺族寄贈「歴史認���に活用を」2023/3/16
日本統治下の朝鮮半島から「内地」に渡った労働者が、勤務していた兵庫県内の造船所で受け取った給料袋などが見つかり、「産業遺産情報センター」(東京)が保管していた遺族から入手したことが16日、分かった。半島出身の労働者にも適切な報酬が支払われていたことを改めて示す一次資料を同センターが入手するのは初めてで、いわゆる「徴用工」問題を払拭する重要な証拠と位置づけている。
同センターが入手した給料袋などは、兵庫県相生市在住の元在日2世で令和元年に日本に帰化した清本清一さん(78)から託された。清本さんの父親が、相生市の播磨造船所に勤務していた昭和17年1月から終戦後の20年10月までに受け取った給料袋約40点をはじめ、当時書かれたメモや戦時中の造船所の労働者名簿など多数にのぼる。
清本さんの父親は大正6年、朝鮮半島南部の慶尚南道生まれ。自らの意志で昭和11年に渡航し、17年から播磨造船所で働き始めた。残された給料袋には、出勤工賃▽残業割増工賃▽夜勤手当▽精勤手当-などの賃金や、退職積立金▽国民貯金▽健康保険▽社宅▽年金保険-などの控除金の項目があり、手取り額は多い月で200円以上。20年当時のはがき1枚が5銭で現在1260倍の63円。単純計算だが、換算すると200円は約25万円になる。終戦を迎えた20年8月でも54円18銭が支払われ、同月に「徴用満期慰労金」も受け取っていたことがうかがえる。
清本さんは約50年前、転居のため自宅内を整理していた際、紙に包まれていた給料袋の束を発見。当時は存命だった父に資料の詳細について尋ねなかったが、韓国が「徴用工」を問題視した文在寅(ムンジェイン)政権となった頃からこの資料の価値を認識するようになった。
「戦後最悪」といわれるまで日韓関係をこじれさせたのは文氏に責任があると考える清本さん。「徴用工の問題は日韓間では解決済みで、韓国政府が自国内で努力すべきもの」としたうえで、「この資料が日韓両国が歴史認識を正しく持つために活用されるなら、大切に保管してきた父への親孝行になる」と話す。
こうした中、令和2年に内閣府が開設し、幕末以降の近代日本に関する産業遺産の資料収集・調査分析、公開を手掛けている同センター長の加藤康子氏が給料袋の存在を知り、今年2月下旬に清本さんと面会。資料の寄贈を受け、清本さんの証言も映像収録した。
「センターの収集資料に台湾出身者の給料袋はあるが、朝鮮半島出身者の物は未入手だった」と加藤氏。「このことが、『半島出身者には給料が出ていなかったのか』という誤解や批判を招いただけに今回の寄贈はありがたい。何が真実かは、こうした一次資料が物語ってくれる。日韓両国にとって貴重な財産。ぜひ展示したい」と話している。
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徴用令適用は大戦末期
1910(明治43)年の日韓併合後、朝鮮半島から就労目的で渡日する人は多かった。その後、昭和12年から始まった日中戦争の長期化に伴い、重要産業の労働力確保を目的として半島出身労働者は「募集」や「官斡旋(あっせん)」の名称で集められた。14年に制定され内地の全国民を対象とした「国民徴用令」が半島に適用されたのは先の大戦末期の19年9月からだった。「募集」や「官斡旋」は、基本的に自由意思による内地への渡航だった。
播磨造船所は戦時中、商船建造では国内4位のシェアを占め、これに艦艇建造も加わって活況を呈した。国民徴用令に基づく指定工場となり、全従業員が徴用に応じた「応徴士」扱いとなった。17年から勤務していた清本清一さんの父親も同様になったとみられる。
社史によると、同社が17年から終戦にかけて雇用した半島出身労働者は約2千人。終戦時に朝鮮半島への帰還を希望する従業員に対しては、旅費や徴用慰労金、15日分の食料、衣服、日用品を支給したという記録が残されている。
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kennak · 16 days
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2024年3月17日(開催まで392日) あべのハルカス近鉄本店「2025大阪・関西万博オフィシャルストア」の映像観覧スペースにて、アンバサダー紹介の動画が流れ、ダウンタウンの名前と映像が流れるのを目にして驚いた。 2023年12月27日、週刊文春の記事に、ダウンタウンの松本人志氏が女性に性的行為を強要したと報道され、松本氏は、2024年1月8日に芸能活動を休止。これにより当然アンバサダーとしての活動も休止していると思っていたからだ。 その場で、大阪・関西万博公式ホームページでアンバサダー紹介のページを開くと、ダウンタウンの紹介とメッセージが掲載されていたが、オフィシャルストアで流れていた動画と、ダウンタウンの動画は「この動画は非公開です」と表記され全く観ることができない(万博協会からsnsでの使用禁止とのことなので、スクショ全体は掲載できず一部のみ)ぼくは、活動休止にともない動画を非公開にしていると思った。なのに、なぜ、オフシャルストアでは堂々と流しているのか?疑問に思い、万博協会に問い合わせをした。 3/17 アンバサダー紹介ページで、メインとダウンタウンの動画が非公開だった 3月18日 日本国際万博協会コンタクトセンターに電話 ナビダイヤルでの音声ガイダンスが流れ、その他お問い合わせの 5 は、20秒に10円(通話料定額プラン対象外)の有料。コロナ感染(当時2類相当)し、大阪市のコロナ相談ダイヤルへの問い合わせも20秒に10円で、高熱でぐったりした状態での電話で散々待たされたあげく検査できる病院は自分で探してほしいと言われ泣いていた母を思い出す。 コンタクトセンター受付から広報課へ電話を繋げてもらう。 【質問内容】 ①万博アンバサダーの松本人志さんのアンバサダーとしても活動は休止しているか? ②芸能活動が再開後は、アンバサダーとしても活動も復帰するのか? ③相方の浜田雅功さんも、アンバサダーの活動は休止しているのか? ④大阪・関西万博公式ホームページのアンバサダー紹介のページのダウンタウンが削除されていないのはなぜか? ⑤アンバサダー紹介のメインの動画とダウンタウンの動画だけが非公開になっているのはなぜか? ⑥日本国際万博協会のその他問い合わせの通話が有料なのはなぜか? この質問をした後、アンバサダー紹介のページのメイン動画とダウンタウン動画が再生できるようになる。 数日後、数回に分けて回答をもらう 【日本国際博覧会広報課の回答】 ①②③松本人志さんに関して、今後のアンバサダーの活動は特に予定されていない。協会として、活動を休止されている間、休止期間に関してはこちらの方からアンバサダー活動を依頼する予定はない。 これ以上のことが、現在裁判の方をされている事案になりますので、これ以上の回答は、協会からは差し控えさせていただいている現状。 現在裁判中ですので、結果がどうなったら再開するなどというのは、たらればの話になってしまいますので係争中につき一旦回答を差し控えさせていただく。 ④⑤アンバサダーの動画だけでなく、協会のホームページで一部の動画が、非公開となる現象が起こってしまっていたことに指摘されたことで気づき、非公開になってしまっていた動画を一律修正した。原因としては、3月4日時点から動画の担当が操作を誤り、非公開になってしまっていた。 ⑥音声ガイダンスで案内をすることによってスムーズにお問い合わせに対応できるためということで、ナビダイヤルを導入している。ナビダイヤルという制度自体が有料だという理由は、こちらの方の理由ではない。有料であることに違和感があるというのはご意見として受け止めさせていただく。 アンバサダー | EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイト 2025年の万博、日本、大阪・関西で開催!テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。 www.expo2025.or.jp 問い合わせ翌日から動画が再生されるうようになった、大阪関西・万博公式ホームページ|アンバサダー紹介(リンク貼り付けは、日本国際博覧会協会の許可を得ています) 公の行事であるにも関わらず、問い合わせ相談ダイヤルが有料であることや、裁判中との理由でさなざまな回答を差し控えている万博協会は、ホームページのアンバサダー紹介に松本人志の名前を残し、動画の再生が可能であるということは、現在活動中!との位置付けになってしまうのではないかと疑問が残る。 【ダウンタウン松本人志氏と週刊文春の記事から裁判までの時系列】 2017年3月27日、「2025年日本万国博覧会誘致委員会」の大阪誘致を盛り上げるの「2025年日本国際博覧会アンバサダー」にダウンタウンが就任。 2020年2月14日、「大阪・関西万博」の顔として万博の魅力を伝える「2025年日本万国博覧会アンバサダー」にダウンタウンが就任。今後、関連イベントや様々な広報、プロモーション活動に協力し、万博を盛り上げていく。 2023年12月27日発売の週刊文春の記事に、松本氏が女性に性的行為を強要した内容を掲載。(26日に文春オンラインに一部掲載) 同日、吉本興業が公式サイト上で、一部週刊誌報道について「当該事実は一切なく、本件記事は本件タレントの社会的評価を著しく低下させ、その名誉を棄損するものです」といった文書を発表し、法的処置を示唆。 2024年12月末のテレビ番組で、アサヒビールとサントリー、消費者金融大手アコムは松本氏が出演したテレビ番組で、スポンサーとして社名の表示を取りやめた。アサヒビールの松山一雄社長は「人権に関するわれわれの基本方針に照らし、最も適切な対応を取らないといかない」と説明。 2024年1月5日、松本氏が局長を務める、朝日放送「探偵!ナイトスクープ」23:17〜(2023年12月8日収録)が放送された。 2024年1月8日、松本人志氏は「芸能活動を継続すれば、さらに多くの関係者に多大な迷惑と負担をかける一方で、裁判との同時並行ではお笑いに全力を傾けることができなくなってしまう」として当面の間、芸能活動を休止すると発表。 2024年1月9日、林芳正官房長官は、記者会見で松本氏が2025年大阪・関西万博のアンバサダーを務めていることについて「報道は承知しています。事実関係を確認の上、万博アンバサダーへの任命を行なった博覧会協会において、適切に対応されるものと考えておりまして、わたしくしからコメントすることは差し控えたいと思います。詳しくは経済産業省にお訊ねいただきたいと思っている」と述べた。 斎藤健経済産業大臣は、「突然の松本さんの発表でありますので、しっかり検討してお答えしたいなと思っております」と述べた。 吉村大阪府知事は、「事実無根で裁判で争う、裁判の期間中は芸能活動を休止されるということですから、その間はアンバサダーは当然、活動されない。休止になると思います」と自身の意見を述べた後、「博覧会協会等からは連絡は受けていない。博覧会協会と吉本興業との協議になるかと思う。博覧会協会からはまだ吉本とは話してませんという報告を受けていますので、正式に決まったものがあるわけではありません」と述べた。 2024年1月14日、フジテレビのバラエティー番組「ワイドナショー」に松本氏出演せず。 2024年1月18日、読売テレビよバラエティー番組「ダウンタウンDX」に松本氏出演せず。 2024年1月22日、松本氏が発行元の文藝春秋と編集長に対し、名誉毀損されたとして5億5000万円の損害賠償と訂正記事の掲載を求める訴訟を東京地裁に起こす 2024年1月24日、吉本興業は公式サイト上で、週刊誌報道等に対する当社の対応方針を発表。所属タレントらがかかわったとされる会合に参加された複数の女性が精神的苦痛を被っていたとされる旨の記事に接し、当社としては、真摯に対応するべき問題であると認識している。ガバナンス委員会から「当初の『当該事実は一切なく』との会社のコメントが世間の誤解を招き、何を指しているのか不明確で混乱を招いたように思う」との文書を発表。 2024年1月25日発売、週刊文春で元タレント女性の「実名・顔出しインタビュー」の記事を掲載。 2024年1月29日、2020年12月からアンバサダーとして「ダウンタウン」を起用していた回転ずしチェーンくら寿司が、活動中止を発表したことを受けた措置として別のCMに差し替え、ホームページ上からもアンバサダーとしての記載を削除したことが分かった。 2024年3月28日、ダウンタウンの松本人志氏が性的被害を受けた女性の証言を掲載した週刊文春の記事により、名誉を傷つけられたとして、損害賠償と記事の訂正を求めた起訴の第1回口頭弁論が東京地裁で行われた。文春側は請求棄却を求め、争う姿勢。松本人志氏は出廷しなかった。
大阪・関西万博 EXPO2025🔴🔵|日本中学生新聞
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xf-2 · 7 months
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自民党の谷垣禎一元総裁(78)の自宅を訪ね、岸田文雄内閣の支持率がなぜ上がらないのか、一杯やりながら率直に質問をぶつけてみた。岸田首相の外交面の成果は、知らぬ間に立ち消えになってはいませんか。
「確かにね。今回のウクライナ戦争で存在感が高まっているグローバルサウス(新興国・途上国)の取り込みなどは、日本の強みを生かしてよくやっている。彼らの一部には、西側の先進国に『あいつらは今も上から目線だ』と腹を立てている国が多い。事実上の『一強』となった米国や植民地支配の過去を抱える英仏に対し、『西側リベラリズムのおごり』と批判する国さえある。その中で、日本は独自のODA(政府開発援助)を駆使して努力を重ね、『欧州はうんざりするが、日本は違う』と評価も集めた。首相はここをうまくすくい、西側とつなぐ役割を果たしている」
ただ、今後はこの外交でも、首相にとって厳しい難局面が待つと説く。
「この戦争が終わったとき、どう新しい国際秩序を作っていくのかが焦点となる。そこでは、日本がすごく損な立場になるわけにはいかない。日本は必ず、それなりの地位を占めなければならない。国内では国民生活に目配りしながら、対外的にはこの難題に挑まなければならない。岸田さんに限らず、自分が首相になりたいと狙っている人にとっても、答えを出すのは簡単ではないはずだ」
テーブルには『野菜の揚げびたし』が登場した。パプリカとカボチャ、なすを素揚げして、甘辛いマリネ液にしっかりしみこませている。香ばしい夏野菜の香りと甘さが、冷えた久保田によく会う。
谷垣さんが「水内さんは産経新聞だからこっちが好きかな」といいながら、テーブルには白い陶器に「中華民国立法院」と書かれた蒸留酒「白酒(バイジュウ)がやってきた。テーブルには、「中華人民共和国」と書かれた「貴州芽台酒」も登場。「酒に国境はありませんよ」と酒巻俊介カメラマンが笑ったが、私はなんとなく中華民国を注ぐ。
食卓には、台湾からいただいたという白酒も登場した=東京都世田谷区の自宅(酒巻俊介撮影) 食卓には、台湾からいただいたという白酒も登場した=東京都世田谷区の自宅(酒巻俊介撮影) 谷垣さんに「一気に飲み干すんですよ」と言われたが、アルコール度数は50度! しかし、独特の香ばしい匂いがさわやかだ。昨年、谷垣さんのインタビュー連載を担当し、今回同席した豊田真由美記者は「食道の位置が分かる」とむせながら飲んでいる。
「この前、フランスのマクロン大統領がNATO(北大西洋条約機構)の東京事務所開設に反対したでしょ。私は心理がよくわかるんですよ」
谷垣さんが語りだした。 「海洋国家の道を選ぶか、大陸のつながりを大切にするか。各国が個別の事情を抱えていますよね。英国は海洋国家の道を選び、EU(欧州連合)から抜けた。残った独仏を中心とするEUはどうするか。陸続きの中国に経済などの利益を全部取られては大変だ。中国とうまく付き合いつつ、必然的に、カザフスタンなど中国の周辺国とも協力する。フランスがNATO日本事務所に反応した背景は、ここまで見なければならないと思うんです」
谷垣さんも白酒をなめる。
「日本もずっと、2つの選択を迫られていたでしょう。海洋国家としてアングロサクソンと組むか、大陸につながるところと組むか。日本では明治以降、右翼を中心に、中国や韓国と組んで欧州に踏みにじられない大義の旗を立てろという議論があった。しかし、当時は日英同盟を選び、今は日米同盟。アングロサクソンと組む流れを継いでいる」
「韓国も、似たような選択を迫られてきましたよね。北朝鮮との関係強化を図った文在寅(ムン・ジェイン)前大統領は、日本でいえば、沖縄県の米軍普天間飛行場の辺野古移設にブレーキをかけた鳩山由紀夫元首相の言動に近いと思っているんですよ。韓国では『北と南の連携を強くしていこう』という訴えが国民の喝采を浴びる面もあるでしょう。ただ、今の時代に文政権みたいな道をとるとあまりに支離滅裂になる。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が誕生したのは、日本にとっても本当によかった‥、ああ、すっかりいい気になってペラペラしゃべっているなあ」
谷垣さんが車いすを少し動かしながら話題を変えた。
「最近は新聞を読みながら、私と同世代の方の回顧録をよく読むんですよ。私たちの世代は一体何を残したか-と考えながらね」
谷垣さんは昭和20年生まれだ。
「例えば歌手の加藤登紀子さん。読売新聞で連載していたが、彼女は私の1歳年上で、東大の五月蔡でシャンソンの『赤い風船』を歌っているのを聞いたことがあります。彼女と政治的立場は大きく異なりますが、同じ時代の空気を吸ってきた。もう1人挙げれば、ピアニストの山下洋輔さん。彼は麻布高校の先輩で、文化祭でピアノを弾いていたのを覚えている。ジャズという日本でまだ珍しかったやり方に挑んでいた」
「もう1人、倉本聰さん。彼は喫茶店でアベックのすぐ横に座り、会話をじっくりと聞きながらシナリオを練ってきた。テレビをどう活用するのか、一生懸命考えてきたんですね。戦後日本の可能性を開くためさまざま頑張ってきた」
「逆にいえば、そうそうたる大会社に行き、少し前まで『半導体は日本だ』と頑張った友人がいた。しかし、今は見る影もない-。俺たちの世代は何をやってきたんだろう。私とすべてジャンルは異なるが、この年になって、じっくり考えるんですよ」
日本酒のグラスを手に語る自民党の谷垣禎一元総裁=東京都世田谷区の自宅(酒巻俊介撮影) 日本酒のグラスを手に語る自民党の谷垣禎一元総裁=東京都世田谷区の自宅(酒巻俊介撮影) 少し遠い目をする谷垣さん。自らも、政治の中枢で時代を動かしてきたじゃないですか。
「自分のやってきたことはこんな副作用を生んでいたのかと考えるものばかりですよ。自分の思った通りになったことは絶対ない。ほとんど、予期しないことが起きている。例えば難民の問題。私は議員になりたての頃、自民党法務部会の副部会長としてこの問題に取り組みました。当時は無制限に外国人を入れるととんでもないという議論があり、入国には『職業訓練』という形を取り入れたが、今から思えば、物の見方が足りなかったと自省することが多い。『こんなこと考えもしなかった』という問題が次々と起きてね」
もう一例として挙げたのが、女性の社会進出の遅れだ。
「私は昭和20年生まれだから、現行憲法の『男女同権』は素晴らしいと教わった。しかしその私が何をやってきたかといえば、政治家の傍らで、家事は全部女房に押しつけた。家事はやってみると結構大変ですよ。こんなこと言ったら、あの世の女房に怒られるかもしれないが、専業主婦じゃない人が家事に取り組むのは大変だ。今は働く女性が圧倒的に増えたでしょ。亭主と女房がどっちも働いているのに、家事は女房だというんじゃね。子育てしながら政治に携わる上川陽子外相や加藤鮎子こども担当相は相当優秀ですよ」
子供2人を育てる豊田記者が「家事をしない人と結婚できませんよ」と合いの手を入れる。
「でも、少子化対策って、政府の政策でこなせるものなんですかね」
シャッターを切っていた酒巻俊介カメラマンが尋ねた。(聞き手 水内茂幸)
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ryotarox · 2 months
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(「SHOGUN 将軍」女性の座り方をめぐる製作陣の葛藤、「立て膝」ではなく「正座」になった経緯とは? | THE RIVERから)
「SHOGUN 将軍」女性の座り方をめぐる製作陣の葛藤、「立て膝」ではなく「正座」になった経緯とは?
マークスは「座り方についてはたくさん議論しました」と米The Hollyood Reporterのインタビューで語っている。マークスら製作陣は、京都大��の教授を歴史の専門家として招き、同氏が持参した実際の資料をもとに、戦国期の女性には「立て膝」という片膝を立てた座り方が一般的だったことを学んだという。ドラマでも立て膝を再現するものかと思った矢先、プロデューサーの真田広之と宮川絵里子からある提案があった。 「(戦国期から)少し後の江戸時代で正座が一般的になったようですが、そしたら日本人のプロデューサーである広之と絵里子が、日本の視聴者にとっては正座が普通だと伝えてくださったんです。それが、侍映画や時代劇の風習なのだと。現代の人たちには、女性が立て膝で座るのはおかしく見えるようなんです。」 この提案により、「歴史的な正確さとジャンルの風習に対する視聴者の期待が衝突してしまった」とマークスは振り返る。葛藤の末、「文化的権限の限界」を超えていると感じたマークスは、判断を真田と���川に委ねたのだとか。「日本のプロデューサーにお任せして、正座でいくことになりました」。 ちなみに真田はプロデューサーとして、視聴者の世代ごとの嗜好を意識した作品作りに努めたことを明かしていた。「昔ながらの作りだと若者が見ない。若者向けに現代ナイズしていくと今度は本格派の時代劇ファンが見なくなる悪循環が起こります」。座り方をめぐっても、全体のバランスを考慮した上での究極の決断だったのだろう。
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エポックメーキングな時代劇として「立て膝」も見てみたかったかも。 今までの映画でそういう描写あったのかな。 と思ったらドラマでは既にそうだった。
戦国時代の武家の女性の座り方について田端泰子本学名誉教授がコメント - オフィシャル | 京都橘大学
戦国時代の武家の女性の座り方について田端泰子本学名誉教授がコメント 2020年6月13日  大河ドラマなどで見る武家の女性が座るシーンが、正座ではなく立て膝で座ることがSNSなどで話題になっている。日本中世史・女性史を研究している田端泰子本学名誉教授の共著『身体はだれのものか 比較史でみる装いとケア』(昭和堂、2018年)で、戦国から江戸時代の肖像画をたどり、立て膝が不作法でなかったことを裏付けている。室町時代や豊臣秀吉の時代は、床は板敷き。当時の身分の高い女性の肖像を見ると立て膝やあぐらで座っている。肖像画を描かせる時には畳が敷かれていたが、立て膝のままポーズを取っていることから、正式な座り方だったと推測される。女性の衣服も、小袖は丈が短くゆったりした作りで足が自由に動かせたことからも、時代考証的に正しいと田端教授は話した。 【2020年6月13日 読売新聞・夕刊に掲載】
身体はだれのものか - 株式会社昭和堂
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gobangiri-news · 17 days
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J_O CAFEで衣裳・小道具の展示、BISTRO J_O・J_O CAFEでコラボメニューが登場します!
このたび、映画『碁盤斬り』で実際に使用された、草彅剛さん演じる柳田格之進と清原果耶さん演じるお絹の衣裳、格之進の身を護った笠と刀、碁石をJ_O CAFEで展示することが決定しました。特に笠は、草彅さん自身が「自分ほど似合う人間はいない」と語ったほどの逸品です。そして、草彅剛さん・清原果耶さん・中川大志さん・奥野瑛太さん・音尾琢真さん・市村正親さん・立川談慶さん・斎藤工さん・小泉今日子さん・國村隼さんのサインが入った碁盤も展示します。映画より一足先に、あるいは映画鑑賞後に再度感動をかみしめるため、ぜひお立ち寄りいただければと思います。
さらに、BISTRO J_OとJ_O CAFEでは、映画『碁盤斬り』をイメージしたコラボメニューの提供が決定しました。碁石の白と黒をスタイリッシュに表現したお料理をBISTRO J_Oで、香り高いコーヒーとデザートはJ_O CAFEでご堪能ください。
【衣裳・小道具展示】 展示期間:5月8日(水)~5月31日(金)※定休日あり ・衣裳 (草彅剛着用 柳田格之進の衣裳、清原果耶着用 お絹の衣裳) ・小道具 (草彅剛着用 柳田格之進の笠と刀、碁石) ・サイン入り碁盤 (草彅剛、清原果耶、中川大志、奥野瑛太、音尾琢真、市村正親、立川談慶、斎藤工、小泉今日子、國村隼)
【BISTRO J_Oコラボメニュー】 提供期間:5月8日(水)~5月31日(金)※定休日あり ※数量限定メニューについてはなくなり次第終了となります
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メニュー名:GOBAN de ニョッキ~黒トリュフと白いチーズクリーム 碁石をイメージした白いニョッキ、濃厚なクリームソースに黒トリュフの香りにあふれた逸品です。竹炭でつくられたチュイールを笠に見立てました。数量限定のご提供となります。 料金:J_O LUNCH 4,000円(税込)    J_O DINNER 7,800円(税込) ※コース料金+300円でセレクト可能
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メニュー名:GOBAN de ごはん~伊勢海老 黒カレー BISTRO J_Oでは久々に登場のごはんメニュー。伊勢海老や新鮮なシーフードをふんだんに使用した贅沢ココナッツカレーです。イカ墨の旨味とスパイスの深いコクをご賞味下さい。 料金:3,800円(税込) ※ディナータイムのみ、アラカルト(単品料理)としてご提供
【J_O CAFEコラボメニュー】 提供期間:5月8日(水)~5月31日(金)※定休日あり ※数量限定メニューについてはなくなり次第終了となります
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メニュー名:GOBAN de プリン 豊かなゴマの風味が広がる、口どけなめらかな和風の「黒胡麻プリン」。甘すぎない大人の“白黒”デザート。コーヒーや紅茶にぴったりの味わい。 料金:600円(税込)
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メニュー名:GOBAN de ラテ(HOT/ICE) スーパーフードのひとつとして話題のチャコール(竹炭)。新登場の「GOBAN deラテ」は、いつものカフェラテに竹炭パウダーを加えた新感覚の「チャコールラテ」。真っ黒でクールな見た目ですがエスプレッソの風味はそのままに、濃厚なラテの味わいをお楽しみいただけます。 料金:650円(税込)
BISTRO J_O/J_O CAFEとは 2019年10月に“やんちゃでおてんば、遊び心を忘れないレストラン&カフェ”として、 稲垣吾郎さんがディレクターを務める「BISTRO J_O」と「J_O CAFE」が銀座にオープン。香取慎吾さんがディレクターを務める「JANTJE_ONTEMBAAR(J_O)」とはfriendshopでもあり、店内には新進気鋭アーティストたちのオリジナル作品が展開されています。「BISTRO J_O」はおひとりでも何人でも、そしてメニューも選べる自由さが大人気のビストロ。イタリアンをベースに旬な食材をふんだんに使用したお料理を提供しています。「J_O CAFE」はカフェアドバイザーにラテアート世界選手権優勝のバリスタ山口淳一さんを迎え、ラテアートはもちろん本格派コーヒーや各種オリジナルドリンクを開放感あふれるスペースでお楽しみいただけます BISTRO J_O/J_O CAFE公式サイト https://friendshop.tokyo/
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ari0921 · 6 months
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我が国の未来を見通す(92)
『強靭な国家』を造る(29)
「強靭な国家」を目指して何をすべきか(その19)
宗像久男(元陸将)
────────────────────
□はじめに
 久しぶりに私的なことを書かせていただきます。
4日の土曜日、神保町まで足を運び、開催中の「神
田古本まつり」で手当たり次第に古本を物色したと
ころ、いつものように“即決”を繰り返し、なんと
12冊もの書籍を一挙に購入してしまいました。
“秋の夜長”などと悠長なことは言っておれない日
々を送っているのですが、ジャンルも違い、著者も
発刊年次もばらばらな書籍をみて、改めて自分の
“好奇心の旺盛さ”に驚くほどでした。
実は書きたかったことは別にあります。どの書店を
訪れても、古書ではありますが、それぞれの分野の
“専門書”が小説や雑誌などに交じって“所狭し”
と陳列されていました。改めてそれぞれの分野の研
究に一生を捧げ、書籍のような形でその職責を残さ
れた専門家の皆様のご苦労とか責任とか愛情とかが
伝わってきて感慨深いものがありました。
そして、古本だけによけいに時代の流れとか歴史を
感じ、その積み重ねの延長に“現在社会”があるこ
とを再認識し、改めて自分の浅学菲才を恥じ、敬意
を表するばかりでした。
最近は、必要な古書はほとんどアマゾンで買ってし
まいますので、本当に久しぶりの神保町でしたが、
もう少し時間の余裕ができれば、足を運ぶ回数が増
えそうです。
5日の日曜日は、「ゴジラー1.0」の映画を観賞
しました。これから観られる人たちのためにあらす
じの紹介は省略しますが、終戦直後の東京にゴジラ
が上陸するというシーンでした。
ゴジラ自体はフィクションなのですが、ゴジラに立
ち向かった主人公をはじめ、関係者の勇敢さはみご
となものでした。しかし、それ以上に、製作者がこ
の映画を通じて訴えたかった、当時の「日本人の精
神」のようなものが手に取るようにわかり、「日本
もまだこのような映画が作れるのだから“捨てたも
のではない”」と安堵しつつ、本映画の製作自体に
感動して涙が流れました。この“捨てたものではな
い”の続きは、本論で取り上げましょう。
▼「国家意思」として目指したいこと
 さて前回の続きです。一般的な意味で「伝統」と
か「文化」などと言っても、具体的なことがわから
ないと実際に「誇り」を持つことなどできないでし
ょう。
しかし我が国は、実際には、他の国にはなく、日本
(人)独特の「良さ」とか「利点」とか「強み」な
ど表現される、いわば“本質的特性”のようなもの
がたくさんあります。それらが実際の「伝統」や
「文化」を形作っているのでしょうし、「誇り」の
対象にもなり、かつ個人の意思や精神の集大成とし
て「国家意思」のコア(核)として“目指す方向”
にも直結するものになると考えます。
戦後の“行き過ぎた教育”のせいもあって(その細
部はのちほど触れましょう)、多くの日本人の頭が
消え去ってしまっている、日本(人)の“本質的特
性”のようなものについて、有識者が紹介している
ものを列挙してみましょう。
まず、ケント・ギルバート氏は、「日本で左派思想
に惹かれる人々の中にも、実は驚くほど『伝統的な
価値観』なるものを持った人がいる」として、安倍
総理の『美しい国、ニッポン』に猛反発しても、日
本という国や郷土に対しては、何の嫌悪感を持たず、
むしろ絶対的な信頼と愛着を持っていることを強調
し、つまるところ、彼らも“純粋すぎる日本人”で
あると結論づけています(『ついに「愛国心」のタ
ブーから解き放される日本人』より)。
この指摘のように、巷には、(偏ってはいても)強
いプライドとシャイさが同居しているような“純粋
すぎる日本人”がたくさん存在することは事実です
ので、ケント氏のこの結論にこそ “彼らをしてその
気にさせる”大いなるヒントが含まれているのでは
ないでしょうか。
保守層がよくやっている、“上から目線でたたみか
ける”ような物言いでは彼らの反発を強くするだけ
で、心を動かすことは難しいと考えます。知的レベ
ルの高い人(特に高齢者)ほど自分自身(の考え方)
に自信を持ち、プライドも高く、信念も強いでしょ
うから、これを“軟化”するのは簡単でないことを
知る必要があるのです。
加瀬英明氏は、「日本は『和』の国である。日本の
『和』の心は他国には存在しない。日本の『和』は、
人々が合意することによって成り立っているもので
はなく、人々が意識することなく存在している」と
語ります(『新しい日本人論』〔加瀬英明、石平な
ど共著〕より)。
加瀬氏は、その「和」は“性善説”に基づいている
として、国内的には大きな強みだが、“性悪説”を
とっている他国には通ぜず、国外に対しては大きな
弱点になることも指摘しています。
これこそが、これまで再三述べてきた“孤立国・日
本”の限界でもあり、「和」の考え方が、人類社会
の理想に近いものであっても、これを世界の隅々ま
で普及させるのは永遠に不可能であると悟り、“で
はどうすればよいか”を詰めていく必要があると考
えます。
数学者の藤原正彦氏は、「この国は再生できる」と
して「美意識と武士道精神で、危機の時代を生き抜
く」、あるいは「『日本人の品格』だけが日本を守
る」ことを強調しています(『日本人の真価』より)。
その卑近な例として、このたびのコロナ禍において、
「人権に気を取られている民主主義より全体主義の
方が人の命を救う点で優れている」と主張しつつ
“強権”を最大限に活用した中国と違い、あるいは、
国民の自由に任せたところ、大パニックに陥って膨
大な犠牲者を出す結果になった欧米列国とも違い、
日本は、医療従事者の献身をはじめ、国民の高い公
衆衛生意識、規律や秩序など高い公の精神などの
“高い民度”を活用して、自粛要請という静かな決
意でコロナを抑え込んだことを取り上げています。
この事実は、世界的意義のあること結論づけます。
以前にも紹介しましたが、『「見えない資産」の大
国・日本』(大塚文雄、R・モース、日下公人共著)
は、中国やアメリカにはない強みとして、日本は、
「インタンジブルズ」の宝庫であると強調します。
つまり、「日本人には美を求める心や平和を尊ぶ心
や愛の心がたくさんある。また『道徳心』『好奇心』
『忠誠心』『愛国心』などが、どこの国にも見られ
ないほど豊かである」として、これら“無形のも
の”が、場面場面で「一生懸命」とか「工夫する」
とか、「約束を守る」「仕上げに凝る」「仲間を助
ける」などの“形になって現れる”と強調していま
す。
私が尊敬する奈須田敬氏は、東日本大震災の直後の
平成23年に『天下国家を論ず』と題して、30年
にわたって発刊し続づけた『ざっくばらん』巻頭言
20選を取りまとめた1冊を上梓しました。
本書の最後に「何百年に一度かの天変地異に見舞わ
れて、現実は見るとおりの悲惨さ、というほかはな
い。こうなっては総理大臣、一市民のちがいもない。
与党、野党のちがいもない。日本国民は肩をこすり
あわせていきのびていくほかあるまい。─そう腹を
決めたころから、新しい日本国民の芽生えを見出す
ことができそうだ。その芽は『ボランティア』とい
う形ですでにかいまみせている」として「90年の
生涯もけっして無駄ではなかった」と結んでいます。
ガザ地区などでも現に起きているように、他国なら
略奪が発生してもおかしくないような悲惨な状況の
中で、被災者は食べ物を分け合い、文句を言わず長
蛇の列に並び、そして多くのボランテイアが被災地
に入って、泥だらけになりながら様々な活動を続け
ました。奈須田氏は、そのような日本人の姿を“芽
生え”としてとらえ、安堵されたのでした。
保守の論客・中西輝政氏は、自書『強い日本を目指
す道』の中で、「グローバル化した世界だからこそ、
その中で日本はむしろ、つねに『フルセット自前主
義』の文明伝統に立ち返り、多極のなかで、『一極
として立つ』という気概を示さねばならない。多極
化世界でこそ、「自立の日本」を求められ、また可
能となるのである」と提言しています。
この続きは、読む人が読めば感動ものでしょう。
「この気概に気がつけは、再び日本が世界を引っ張
っていく存在になることは不可能なことではない」
として、「安定した時代の日本人は、皆『和魂(に
ぎみたま)』の持ち主で、『荒魂(あらみたま)』
は眠り込んでいる。『和魂』は『目的喪失』危険も
背中合わせなのである。だがひとたび危機の時代が
到来すると、必ずや『荒魂』が眠りから覚め、『目
を覚ませ日本!』と訴える。そして、世界の人々も、
その声に耳を傾ける」と訴えます。
そしてこうしたリズムを繰り返すのが日本文明の一
大特徴なのであり、「もはや途絶えた」と見えても
「地下水脈」として日本人の奥深くに流れている。
これこそが日本文明の核心たる「大和心」であり、
「日本の底力の源泉」であると結論づけています。
さらに、「このことのもつ、ただならぬ重要性に気
づいて、教育の場やマスコミでどんどん論じられる
ようになれば、日本人は急速に力を発揮する・・・
それは各時代の日本人が証明してきたことだ」と付
け加えます。中西氏もまた、日本は“豹変”する国
であることを分かっているのではないでしょうか。
▼「国家意思」を表明することがスタート
いかがでしょうか。これらはほんの一例に過ぎない
と考えますが、冒頭の「ゴジラー1.0」で述べた
ように、私が「日本はまだまだ捨てたものではない。
まだまだ明るい希望が持てる」との想いを強く持て
るのは、まさにここに紹介したようなところです。
しかし、“希望を現実のものにする”には大ナタを
振って荒治療する必要があることも事実でしょう。
顧みますと、戦後のわが国は、GHQの巧妙な「対
日戦略」に何ひとつ逆らうことなく国家を運営して
きました。講和直後の「吉田ドクトリン」などはそ
の典型と考えますが、それからしばらく経って、G
DPが戦前を上回った1956年頃から「もはや戦
後ではない」との言葉を一人歩きしました。また、
安倍元総理は、「戦後レジームから脱却」を掲げ、
「教育基本法」の改正にも着手しましたが、その成
果が上がっているとは言えないことはすでに取り上
げました。
これらを総括するに、戦後世代の最大の過失は、
「国家100年の計」といわれ、後に続く世代の
「教育」に特段の関心を持たないまま放置してきた
ことにあると言えるのではないでしょうか。
つまり、GHQによる強制的な“墨塗り”教科書の
内容を見直すことなく、70数年あまり、“行き過
ぎた教育”を継続してきました。その結果、ここに
紹介したような、日本の“本質的特性”を若者に教
え、多くの日本人に認識させることができないまま
時が流れました。
このような状況を創った最大の要因も終戦直後まで
さかのぼると考えます。少し補足しましょう。少し
前の調査結果によれば、「自衛隊は憲法違反だ」と
答える憲法学者は約6割を数えるそうですが、素人
の私などからみても、憲法第9条を正確に読めば、
この数字は法理論的には納得できない数字ではない
と考えます。問題はそれから先です。この6割の学
者のほとんどが「だから自衛隊を解体しろ」の方に
走ってしまい、「自衛隊抜きでは国防が成り立たな
い。これは一大事だ。憲法を改正しよう」と声を上
げている人は数えるほどしかいない状態が続いたの
でした。
言葉を代えれば、最も高い知性を有すべき法学者を
して、法理論の解釈を先行するあまり、「国防」と
か「国のあり方」などに疑問や関心を持たない程度
の“知的レベル”に留まってしまいました。
戦前の反省や軍への反発などについて理解できない
わけではないですが、極端な話をすれば、「こちら
から泥棒に入らなければ、我が家に入る泥棒はいな
い。よって、戸締りをする必要はない」と言ってい
るようなものなのです。そのようなことになぜ疑問を
持たないのか、私は長い間、理解不能でした。
そして、このような恩師(達)のもとで、同じよう
な思想や法理論を叩きこまれ、自らの知性や主義主
張になんら疑問を持たないまま拡大再生産された多
くの大人たちが、やがて法曹界、教育界、経済界、
さらには政治家、官僚、有識者、マスコミ人などそ
れぞれの分野を“牛耳る”ようになりました。最近、
政府の有識者懇談会による「日本学術会議に社会貢
献要求」との記事を見つけ、当会議はこれまで“社
会貢献すらしなかったのか”と呆れました。
このような状態では、「国家100年の計の教育を
見直そう」との雰囲気などできるわけがなく、70
数年余りの長きにわたり「教育」は放置されたまま
になってしまいました。私たち大人世代は、最近の
「Z世代」を批判する資格はないと言えるでしょう。
自分たちが「Z世代」を生んできたのですから。
さて、話を戻しましょう。周辺国が“日本をこのま
ま眠らせておき、覚醒しないように”と歴史問題な
どを蒸し返す狙いは、紹介したような日本(人)の
“本質的特定”に“こわさ”を感じているからなの
かも知れないのです。その考えが過剰防衛に走り、
軍事力の拡大路線を走らせている要因の一つになっ
ていると言えるでしょう。
私たち日本人は、認識しているか否かは別にして、
日本文明の「心」あるいは「コア(核)」とも言え
るような特性を依然として保持しています。保持し
ていることが日本人のアイデンティティそのもので
しょうから、これらを「誇り」として、今こそ、個
人の意思や精神の集大成として「国家意思」の“目
指す方向”に掲げることを求められていると考えま
す。
戦後の「教育」によって造成された価値観に凝り固
まっている人たちにとっては、“思いもよらない”
「国家意思」のたたき台を提示されても、にわかに
賛同することはないでしょうから、我が国の無形の
「資産」として後世に残すべき日本文明の「心」を
謳うことについては譲れないとしても、どのような
言葉や文章をもって表現すればよいか、などについ
ては最大限の工夫が必要でしょう。
そのような内容を包含する「国家意思」を表明する
ことがスタートであり、それを受けて、中西氏の言
うがごとく、政界や教育界やマスコミ界で活発な議
論を展開して頂きましょう。その結果、本質さえ変
わらなければ若干の修正は“良し”としましょう。
いずれにせよ、「国家意思」の表明がスタートであ
り、「国家戦略」とタッグを組むことによって、輝
かしい未来をつかみ取ることができると私は確信し
ています。今回はこのくらいにしておきます。
(つづく)
(むなかた・ひさお)
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chaukachawan · 5 months
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新人公演35期紹介?
どうも、アサギです。どうやら僕は最近の色々で感情の荒ぶりを抑えれないようです。その勢いのまま素敵な同期達を紹介しようかいとか思ってます、紹介という体をとって褒めるか、本音を書いてます。今回は真面目に書いてみます。コロネさんのセリフを添える役者紹介がすごく好きだったので僕も添えちゃいます。なぜそのセリフが好きなのかは聞いてくれれば教えてくれるかも知れません。
追記  途中から迷走しちゃいました
書き終えた私より
縦縞コリー
純真なピュアっピュアっ少年です。よく通る声を持ち、すごく分かりやすい性格(いい意味で)をしている可愛いやつです。あんまりにも真っ直ぐなもんでついついイジりたくなってしまいますね。彼と接している時は何だか同期というより後輩に接しているように思える時があります。逆に彼はどんな先輩になるのでしょうか…。このままでいて欲しい気持ちと精神的に成長していく彼を見ていたいという気持ちは半々です。幸せになれ。それいけ、衣装チーフ
「これで怪盗コーデはコンプリートだよ…名怪盗くん。」
         警部(怪盗とその考え方)
あろハム権左衛門
何だこの芸名選手権全日本一に輝いたとか輝いていないとか。よく僕は彼女をガキンチョとか言っていますが、どうでしょうか?分かりますかね?。精神的にと言うより無邪気に暴れ回るあの感じが幼少期の嵐のようなパワーのように思えるのです。今公演はそんな彼女の母親としての姿を見る度に心の中でガキンチョって言ってごめんなさいと3回唱えてしまうほどに彼女のキリッとした声色と演技がマッチして母のイデアを感じます。
あろハムよ、お前の声帯が欲しい  
「食べちゃったんだ、ウサギ」(検閲解除)
母(某人間)
海泥波波美
僕。カスっ!!
「….悪くなかったな」
       なおや(息を吸う、吐く)
苔丸
おばあちゃんから小学生。宇宙飛行士から学生気づいたらとんでもないぐらい役の幅が広くなってる、と思ったら裏方では幕、衣装、キャスパ、小道具とかなんか色々作ってる。千手観音の利き手とは言い得て妙である。誰よりもちゃうかが大好きで誰よりもちゃうかのためを思ってる。気づいた時には天地開闢でもしてるかもね。
「はじめ、はじめ、なあ、はじめ」
              文(香夜)
冊まいむ
お姉さんって感じの役が似合うと思ってた、思ってたんだ、思ってたんだよ。今回の役いいよね、いいよね?ってなるぐらいに彼女の声と演技が好きです。個人的にはちゃうかで1番演技が好きです。なのに、なのに、、、何でそんなに変な子なんでしょう……、順当に変な子です。彼女とはちゃうかに入る前に別のサークルで2回ほど会っているのですがそんな片鱗はありませんでした、なんならおとなしい子だなぁって思ってすらいました。そんな子に育てた覚えはありません…お母さんは悲しいです。
「怪我なんてどうだっていい!本質はそこじゃない!」
           霧島(愛があるかい)
衿君
僕は彼の名付け役です、パパです。ちなみにエレクトリックという単語から由来しております。普段の物静かな雰囲気からの彼の演技のギャップに脳をやられている人も多い事でしょう。今公演のこの役は彼でなければあそこまで良いキャラになってなかったでしょう、最高に面白いですね。彼ともっとお話ししたいのですが僕は彼とする不良ごっこが大好きで、気がついたらやってしまうので残念ながら会話になりません。
「痛いですよ、先生」 (検閲解除)
             遠藤(某人間)
ミル鍋
2人はチソキュアの片割れでありセンス抜群宣美チーフの京都人です、今日も元気いっぱい京都からはるばるちゃうかにきております。今回の舞台は彼女と一緒に考えました、なんだあれ?最高じゃん。僕の存在意義が揺らぎますね、最悪の場合は彼女からペンを取り上げることも辞さない覚悟です。演者としては人間を演じている回数より人外を演じている回数の方が圧倒的に多い彼女です、毎回ハマり役なんですよねー。京都人は人外という説、、、あると思います
「そうだね」     
            辻井(華幻の月)
大福小餅
オムニの仲良し同郷3人組の一員でありながらも地区が違いすぎて同郷の話で盛り上がれない事が多い子です、さみしいたけ。舞台監督を精一杯頑張る姿に負けてられないなとか思ったり思わなかったりています。最初彼女のラップを聞いた時可愛らしいなと思ってたら、いつの間にかめちゃくちゃカッコよくなっていました、どうやらめちゃくちゃ頑張ったらしいです。いつも気づいたら自主練をしている本当に努力の子です。
「大丈夫、きっと全て上手くいく」
魔女(息を吸う、吐く)
中森ダリア
1人わがままファッションガールズモードの人です。なのに、絶妙な所で趣味が合うのが面白い。公演中は彼女の歯に物着せぬ喋り元気づけられましたね、ありがとなす。彼女がいなければ無かったかも知れないあのシーンが僕は大好きです、彼女のラップはセンスが大爆発しております。またいつか違うのもやってみて欲しいなぁー、絶対カッコいいから。僕が好きな彼女のセリフは消えてしまったあのセリフです
「でも、大人だからぁーーーー」(検閲解除)
            助手2(某人間)
帝京魂   
暇そうだったからちゃうかに誘ってみたら本当に来たやつで唯一の同学部で同年代である意味僕の被害者ですね。一時期は「しゃあないの人」というとても名誉なあだ名で呼ばれていましたが秋公を経て、ちゃんとコンと呼ばれようになった姿に不思議と感動を覚えます、彼のどこか人を惹きつける雰囲気の賜物でしょう。それくれよ。今でもたまに見るシャアハラはどこか微笑ましいです。しゃあないよ、永遠なれ
「しゃあない、ばあちゃんもいろんなとこ顔出しとったし、親父の知り合いもいっぱいきとったんやろ」
              一 (香夜)
しょこら
同郷、同じ予備校出身であり、きっとちゃうかに入る前にもすれ違っているであろう僕ら。そんな僕らの運命が交錯したのはちゃうかに入ってからだった
〜〜〜〜[オープニング]〜〜〜〜
とか言うとりますけどもねぇ、そういえば彼も僕が名づけの親です。パパです。役者として他の人とは違う独特のリズムを持つ彼の今回の役はどうでしょうか?……はい、ピッタリですね。逆にこれしかないというぐらいにはハマっているのではないでしょうか?秋公で見せた某M氏とのアドリブは記憶に新しいですが、きっとあのインパクトを超えてきてくれるでしょう。もっともっとはっちゃけて楽しもうぜ!!!
行くぞ!!我らチャレンジn=1年生
「痛いですよ」(検閲済み)
ルロイ修道士(某人間)
黒井白子
今回の公演で否応無しに目を引くこの男ぉぉ!!!白子ぉぉぉ!!。彼も僕が銀杏祭で引っ張ってきたという話もご存知の方も多いでしょう、なんか「えびで鯛を釣るとはこの事かー」とか言う声が聞こえてきそうですが僕はヤドカリです。道化師という役は彼以外に演じる事は出来なかったでしょうね、彼の一挙手一投足がこの劇に彩りを与え、彼の演劇への愛が周りの演技力をメキメキメキシコと育て上げました。しかし、彼のフルパワーはきっとこんなものではないのでしょう……。いつか、彼の全身全霊が見える、そんな舞台を作ってみたいです……
「……感謝とか、謝罪とか……伝える前にお母さん行っちゃったんだぞ!?もうすぐ、月に行くんだぞ……」
翔太(華幻の月)
鴨兎春
おばs、いえいえ、2人はチソキュアの片割れにしてハイセンス関西人舞美チーフさんです。今回の読み聞かせの人の雰囲気は普段の彼女とはまた少し違ってて、なんかこうさ、良いよねーって感じ、オーラがあるよね。僕は彼女の反応が大好きで普段よくいじってしまいますが最近は水を得た魚の如く、いや、酒を得た肴の如くカウンターを決めてくるようになってきました、あええ。こんな風に軽口を叩いておりますが役職的には僕のものづくりの相棒でいつも圧巻のチラシや立て看板を作ってくれる彼女のセンスは本当に頼もしいです、絶対に口では言いませんがね。あれ?チソキュア2人で大道具と舞台美術成り立つくね?俺いらなくね?………はい、彼女から筆を取り上げましょう。
「雨が、冷たい、痛い、寒い。もはやこれが現実なのか夢なのかもわからなくなっていた。それが現実だとわかったのは、目の前に大きな光が現れたすぐあとだった」(検閲解除)
読み聞かせの人(某人間)
園堂香莉
超美声、炎の照明ファイターさん。わずか2ヶ月弱前というのに彼女の役者姿が恋しいですが舞台上で彼女の作る照明を見て「この辺で勘弁しといてやろう」とか思ってます。ところで、彼女の作る照明は言わずもがなですが彼女の文章ってらすごく美しいと思いませんか?僕は大好きなんですよ、透明感って言葉を体現してますよね。僕は文章には書く人の知性や人生経験、性格がかなり反映されるものだと常々思っているのですが彼女の文章に宿る透明感は何由来なのでしょうね?興味は尽きません。詩集を出す時は言ってくださいね、20冊買います。
「いいじゃん。猫探ししよっか!」
ゆき(息を吸う、吐く)
まろん
ちゃうかのオペ職人さんです。仕込み期間以外ではふらりと舞美作業に現れ、手伝ってくれます。あんまり喋らない同期と喋れるのはすごく嬉しいので来てくれるとすごく嬉しいです、つまりすごく嬉しいです。そういえば彼女はちゃうかとは違うサークルで楽器を弾いているようですね。いつか頼み込んで幕裏から弾いてもらおうかしら
テキストを入力
化け物映像職人。最初の方はちゃうかで見かける事はあんまり無くて喋れなかったけど最近は仲良くなれたと勝手に思ってる、嬉しい。彼が楽しそうにしてる姿はこっちもこっちでテンション上がります。ちゃうかを楽しんでくれているみたいで本当に嬉しい。彼の作る映像に外れはない。PV待ってます
紫仏瑠唯
どうやら僕とは対極の授業態度の人らしいですね。彼女とはオムニで話した以来、じっくりコトコト会話はできておりません。しかしまぁ、そのオムニでの我々の会話は酷いものでペルソナシリーズにおける至高の作品は何かという議題で戦争を起こしました。危うく日本全土を巻き込む所でした、ふぅ。また、戦おうじゃないか戦友("とも"と呼みます)よ。あ、あと久しぶりに役者する姿も見たいや。待ってます
「ふふっ。それじゃあ、ご飯食べようか。冷めちゃったけど」
真由美(オレンジ)
近未来みーら
同郷にして永遠の相方。僕と彼はびっくりするほど考え方が違うんですよ、なのに相方。だからこそなのかも知れません。なんなら相方って言ってるのは僕だけなのかも知れません。それはともかくとして、彼はどうやら自分に自信が全然無いようです。だから褒めます。多分彼の文才はみんなが褒めてくれると思うのでそれは二億光年先に置いときます。彼と会話をしているとマジで1分に1回の頻度で人を褒めています。僕は人の事をこんなに素直に褒めれる人に出会った事がありません。人の良い所を見つけられるのも、それを素直に口に出せるのも、誰しもがおいそれとはできるような事では無いです、断言します。それをさらっとできるのが何よりもの彼の美徳であり才能です、もっと自信を持って欲しいです。そんな彼だからこんな素敵な劇が作れたのだと思います
「ふざけんなそれだと1本足りねえだろ!!」
           B(怖い話でもしよう)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
文章であれ、会話であれ気持ちを言葉にするって難しいですよね。僕は正直かなり苦手です。というのも、書いていて、話していて、3割も伝わってないのだろうと心の中で思ってしまうからです。それをいつも笑って誤魔化してしまいます、なんならそのせいで誤解を生んだり、人を傷つける事もあります。
新人公演、大切な節目の時です。ふざけながらですが柄にも無く、ちゃんと伝える文章を書きました、久しぶりに書きました、精一杯書きました、筆が止まる事がなく書けました。少しでも伝わっていたら幸いです。
35期よ、健やかなれ
センチメンタルジャーニー  アサギ
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dropoutsurf · 6 months
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結論、ほぼデマ | パチンコ屋の倒産を応援するブログ
民主党,立憲民主党,鳩山,枝野,野田,首相,悪夢,リーマン,311,東日本大震災,人災,
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・国家公務員の天下りあっせんを全面禁止  ↓ 府省庁からの斡旋のあったものだけを天下りに数えるように変更して 94%の天下りをカウントから除外した���け。
さらに民主党政権は天下り・現役出向の拡大とかえって悪化させている。
評価:× 嘘
・子供手当支給  ↓ 2010年7月の参議院選挙前に配って票を得ようとして 麻生政権の景気対策補正予算を事業仕分けで無理矢理凍結して転用。 その後も結局半額支給に留まるなど政権発足前から財源がないことは 藤井裕久ら民主党幹部がすでに理解していた。
評価:△ 半分
・生活保護の母子加算復活 父子家庭に児童扶養手当  ↓ これは事実。
評価:○ ただし福祉ばかり手厚くするその財源は税金なんですけどね。
・記者会見オープン化  ↓ たしかに部分的にオープン化したが、 民主党に批判的な記事を書いた事を理由にした記者の排除や 民主党に批判的な社の記者は絶対に質問させないなどが行われた。
評価:△ オープンにした意味が無い
・公立高校生授業料無償化 私立高校へ助成金支給  ↓ 事実。ただし朝鮮学校へ支給するために1条校以外も対象にしようとするなどした。
評価:△ そもそも義務教育外のものを無償化する是非は?
・密約解明  ↓ おそらく沖縄返還の際に日米で密約があったという話の件。 岡田克也外務大臣が 「証拠はないけど密約はあったはずだ!だからあった」(要約) という乱暴な結論を出し、これを根拠に米国を批判したもので解明などとはほど遠い内容。
評価:× 証拠なしで決めつけただけ。 民主党と支持者に法治の精神がない事を示した上に米国との関係悪化だけでなく、あとから勝手に非公開のはずの話を公開されかない姿勢を各国に見せつけてしまい、各国が民主党政権をまともな外交相手として扱わなくなり日本の外交的地位を完全に地に落とした。 (実際に訪米では途上国と同じ扱いをされるまで日本外交の地位が低下した) のちの安倍政権で日本の外交を立て直すために前半数年を費やさなければならなくなった。
・社会保障費削減撤回  ↓ 評価:△ 事実、ただし代替案なしで負担増加分は現役世代へ。
・基礎自治体に事務事業の権限と財源を大幅に移譲  ↓ 権限を若干移譲したがそれ以上にNPOの主観を地方自治体に移すなど、現在問題となっている公金チューチューなどの温床となっている。 また、予算が欲しい団体は民主党幹事長室に言われた要求を満たさないとならないなど、結局の所は予算や権限を人質に民主党の横暴が加速する面もあった。
評価:△ 責任から逃げたい民主党の哲学もあってか責任の曖昧化が進むなどむしろ害の方が遙かに多いのでは?
・診療報酬引き上げ  ↓ 事実、若干上がった
評価:○ ただし社会保険料の上昇加速で現役世代への負担増。
・国と地方の協議の場を設置  ↓ 地方自治体は民主党幹事長室に何らかの見返りを用意しないと予算が追加されなかったり、民主党の議員が強い自治体だけ極端に補助金が優遇されるなど協議以前の問題だった。
評価:× 民主党幹事長室を通さないとならないという憲法違反をやっていた。 (請願の自由の侵害)
・全ての国直轄事業における負担金制度を廃止  ↓ 民主党政権中にさくっと復活
評価:× その後に元に戻った事を考えれば2010年7月の参院選向けのアピールでしかなかった。
・非正規労働者の雇用保険への適用条件緩和  ↓ 事実
評価:○
・原則として製造現場への派遣を禁止  ↓ そもそも派遣で働いていた人達の働き先を無くした後のことを考えておらず、 そのことをつっこまれて民主党政権は方針を変更して撤回したため公約破りとして批判されていた。
評価:× 実現していません。
・農家戸別所得補償制度実施  ↓ たしかに部分的実施は行ったが 農地改良や鳥獣害対策費などの予算を大幅カットしてこれを財源として実現。 また岡田克也の実家であるイオンが戸別所得補償制度を理由に 米農家を買いたたいていた事が国会で指摘されたり、 飼料用米を雑に作っていれば補償で儲かるという制度の建て付けにより、 他の農業者へ貸し出していた農地の貸し剥がしなども横行した。
評価:△ 朝三暮四な上に発生した問題の方が多かった。
・バリアフリー改修、省エネ改修工事補助  ↓ 事実、ただし麻生政権で実施したプランを引っ張った形。
評価:△ 鳩山内閣が特別に実施したものではない
・分娩の公的助成  ↓ 麻生政権で増額を決定したもの
評価:× 強いて言うのなら麻生政権の実績
・肝炎患者のインターフェロン治療の自己負担限度額引き上げ  ↓ 2009年民主党政権公約では「自己負担限度額を引き下げる」としていた。 引き上げたのなら公約と逆。
評価:× 公約と真逆
・自殺者が政権交代後に減少中  ↓ たしかに若干の減少は認められるものの 2007年に決定された自殺総合対策大綱を民主党政権は踏襲していただけ。 その後の第二次安倍政権では 1997年以降3万人台を下回った事の無かった自殺者数が2万人前後に低下。
評価:△ 事実ではあるがリーマンショック後の有利なタイミングで政権を取ってただけ。 民主党不況に陥れられていなければもっと減っていた可能性があるのでは?
その他。
野党側に審議時間すら認めない強行採決10連発など、 過去に類例の無い強引な国会運営だったが マスゴミがこれを批判しないようにして擁護していました。
民主党政権では長妻昭と山井和則コンビが 「長妻・山井プラン」などと自慢していた大量の派遣切りがありました。 特定26業種の多くで解釈によって一般の派遣と見なすという手口を使いました。 「派遣を継続的に雇えないようにすれば正社員が増えるはずだ」 という連合の生兵法をそのまま実施した形です。
それに加えて民主党政権が超円高誘導を行う事で 本来ならリーマンショック後の回復局面なのに 民主党不況を作り出して失業者を大量に生み出す結果となりました。
また、「(国家)公務員の総人件費削減」という民主党の公約を実現するという理由で 民主党政権は一時的に霞ヶ関の新卒採用を0にさせようとしました。 (さすがに非難囂々で渋々「若干名」を認めるに変更)
民主党政権は彼らの票田である「情弱高齢層」を向いたままの政治がより露骨で、 若者は切り捨てる傾向が非常に極端な政権だったと言えます。
アニメーターが労組を作った時に 各政党にも挨拶に回ったのですが、 民主党はアニメと聞いて選挙権がない子供じゃ意味が無いと考えて ろくに相手にしなかったなんて話があります。
日本の政治って結局の所は数の多かった団塊世代を中心に 高齢者層ばかりを向いた政治がこの30年以上続けられてきました。
若者を使い捨てにする氷河期世代を作ったのも そうした政治の怠慢と、数ばかり多い問題のある世代のわがままと経団連の合作 と言って良いのだろうと思います。
すでに手遅れ状態になっていますが、岸田総理は異次元の少子化対策などと言って 金を巻き上げて補助金として付け替える 財務省が喜びそうな間抜けな手口で社会保険料負担増を財源にする政策にしようとしています。
今の現役世代は30年間ほぼ給料が上がっていないのに 社会保険料がひたすら上がり続け、 可処分所得がガンガン削られてきた世代だと言えます。
若者の○○離れ、 などとマスゴミが非常に後ろ向きな文脈で使いますが、 使える金の余裕がなくなってるんですから、 お金を無駄に使うような事はできませんよ。
若者にもっと他のことに無駄にお金を使わせたいのなら、 若者の可処分所得を増やすために負担を減らすのが一番ですよ。
財務キャリアという日本国民の敵の言うような 「増税して金を毟って、それを天下りの利権の原資にしつつばらまく」 という方法では効果はほとん期待できないと思います。
日本のマスゴミの特にダメなところの一つに 「○○と比べて今の若者はxxにお金を使わない」 みたいにわざわざ比較して極めて否定的に扱うところがあります。
まぁ、マスゴミとしては 「若者は不幸なんだー!もう未来は真っ暗なんだー!」と、 世の中に不満がどんどんと蓄積していくようにしたいのでしょうけど。
マスゴミの上の方の人達は マルクス主義にかぶれたポンコツどもばかりで固められてますからね。
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kuribayashisachi · 1 year
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勉強メモ 野口良平『幕末的思考』 第2部「内戦」 第四章「未成の第二極」1~3 細かいメモ
野口良平『幕末的思考』みすず書房 第2部「内戦」第4章「未成の第二極」1~3 
きのう大まかに書いたことの、さらに書き留めておきたい細かいことどもをメモします。
【目次】
■中江兆民とルソー
■西郷に希望を託した若者たち
■会津藩士たち
■増田栄太郎と福沢諭吉
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■中江兆民とルソー
 中江兆民は、大久保に直談判して(司馬遼太郎『翔ぶが如く』で、中江青年が大久保の馬車を追いかけて、乗せてもらいながら売り込みをするシーン、印象的ですね。なんか、長い小説の中に、二回くらい、この同じシーンが出てきたような)岩倉使節団に随行する留学生としてフランスに学ぶ。
 ルソーの『社会契約論』に目を拓かれ、これを訳して日本に紹介するが……
まず、ルソーの思想とは。
ルソーの最初の著書『人間不平等起源論』では、「すべての人間が本来平等である」という。
我々をつないでいる身分制度の鎖を解き放て! と。
(高校生の時、これを聞いてときめいた。平等だったのか! しらんかった! 生まれつき高級な人と、わたしのようなどうしようもないのがいて、そういうことは運命的に決められているのだと思っていた! 民主主義の時代に生きてる私でさえそう思うのに、身分制度の時代に生まれてそんなことを考えたルソーって天才だ! と。うれしかった。平等なんだ!! わーいと思った)
だけど、どうだろう。どこまでも自由だとしたら、力が強かったり悪知恵が働いて良心のかけらもない人が、気の弱い人や体の弱い人を押しのけて、奴隷にしたり餌食にしたりするのも自由、ってことになる。そしたら弱い者には勝ち目のない地獄になる(今の日本のようですね)。
 この状態を、ホッブスは「自然状態」といって指摘した。
『人間不平等起源論』の七年後、ルソーはこれに答えるべく?『社会契約論』を書く。
強くて悪い者が好き放題する自由は、やっぱ困る。
で、こうまとめたそうだ。p176
《人間は、ルール(鎖)なしには自分を自由にする力を持たない。ルールには、正当化しうるもの(鎖)と、そうでないものとがある。》
その正当化しうる鎖とは、力ではなく約束。(じーん)
《正当化しうるルールの源泉とは、各人が自己保存と自己への顧慮を手放すことなしに、すべての人と利益を共有しうる結社の創設への合意(convention)すなわち「社会契約」である。》
しかし、難問が!
「えー。おれ強くて頭いいいから、好き放題してても困らない。ルールなんか従いたくないんだけど。自由がいい」という横暴な人たち(往々にして世の中の主流になる)を、どうやって約束の席につかせうるか。
ルソーは「立法者」というスーパーマンの存在を考え出して、この人になんとかさせようとしている。
中江も自分で考えた。
やっぱり答えは出ないけど、
徳が高くて強い立法者と、その補佐役がいたらいい!
とこのとき考えたそうだ。
そして、この立法者が西郷さんで、補佐役がオレ!
でも、中江の「フランスすばらしい!」は、航海中のベトナムでかげる。人権に目覚めたはずのフランス人が、ベトナム人に酷いあしらいをしている!
「人権を考え出したのはヨーロッパ人だが、実行するのはアジア人だ!」
しかしさあ、どうやって実現する? (むずい)
■西郷に希望を托した若者たち。
大久保たちの裏技を使ったやり方に敗れ、野に降った西郷。 (私としては、やめんでほしかった)
大久保たちのごり押し近代化(武士の禄を奪い、藩をなくし、誇りだった刀を強制的にやめさせ……)に異議申し立てせんという旧士族たちが、方々で叛乱を起こす。
(江藤新平のことももう少し知りたいなあ)
西郷は、慕ってきた子分たちと共に鹿児島で私学校を開いていた。
西郷自身は、ことを起こすことに対して慎重だったようだけど、 結局、大軍を率いて、東京へ押しかけ政府のやり方をあらためさせようと「挙兵」。
鹿児島を出発。
でも熊本で負けてしまい……。 明治10年9月、よくドラマに出てくる最期をとげる。
この節で、私が胸を衝かれたのは、
中江兆民世代の、ほんとに有望な人(小倉処平、宮崎八郎)、 迷える青年(増田栄太郎)らの戦死だ。
小倉処平は、 日向飫肥藩の仲間たちをひきいて西郷軍に参じた人望ある人。 かつては藩主に留学制度を進言し、選抜した青年たちを率いて長崎に学ぶ。のちロンドンにも留学。《英国仕込みの自由主義者であり、中央政府による急進的な近代化とは異なる、もう一つの近代化の可能性を探っていた人物だった。》p183 (滂沱)
宮崎八郎は、熊本荒尾村の庄屋の次男(実質長男)。 《人民の擁護者を任じる家風の中で育てられた》p179 (中岡慎太郎みたいね)
八郎は、はじめは、列強の理不尽への怒りや、政府の強引さへの不満から、征韓論に熱中し、征台義勇軍を組織するなど、物騒な感じだったが、中江訳『社会契約論』に目を拓かれる。
それがどうして、西郷の武装蜂起に参加?
→「キミの考えは西郷とは違うじゃないか、どうして西郷軍へ?」と聞かれて、 「西郷を助けて政府を倒してから、西郷を倒すんじゃ」 (西郷軍に身を投じた若者には、こういう人が多かったようだ)
けれどもどちらもならぬまま、戦死。
その克明な日記は、預かった人が川の徒渉に失敗して永遠に喪失してしまったと。 ……このシーン、小説のよう。 川の畔に立ち尽くしたような気持ちに。
■会津藩士たち
また、西郷軍を熊本で果敢に防いだ政府軍には、多くの有能な旧会津藩士が加わっていたことも記される。
極寒不毛の斗南藩へ送られたのち、一族を率いて新政府の警視庁に出仕した、元会津藩家老の佐川官兵衛は、阿蘇山麓で戦死。(呆然)
同じく元家老の山川浩は、西郷軍に囲まれた熊本城を後巻きして救出する。
いっぽうで、同じく会津藩士だった長岡久茂は、政府打倒を試みて、獄死していた。
両極に別れたように見える彼らの行動を 著者は、「同じ動機」によるものと記す。
《彼らが目指していたのは(略)──戊辰戦争が勝者のためだけに戦われたものではなかったことを自力で証明してみせることだった。》p179
■増田栄太郎と福沢諭吉
増田栄太郎は、福沢の又従兄弟にあたるという。
増田は遅れてきた攘夷青年。それだけに、「攘夷に落とし前をつけなくていいのか」という答えを求めていた。 殺してやろうと思っていた福沢から「敵である列強の良いところを学べ」といわれて、一時は慶応大学にはいるが、すぐに退学。郷里で結社を作ったり、新聞を発行したりする。 これらの手当たり次第のような闇雲なガッツは、《内心の葛藤の受け皿を手探りで構想する作業だった。》p186
(個人的には激しく共感;; むしろ出来ブツの小倉処平さんより。ああ、この人、もっと長く生きていればなあ、生き方は見つかったに違いないのに)
そんな「迷走」のさなか、増田栄太郎は、西郷軍が田原坂で敗退してから、わざわざ敗軍の鹿児島勢に加わる。
何を思って?
その死には諸説あるが、曙新聞は「不敵な笑いを浮かべて処刑された」と報じた。 最期に披瀝したといわれる増田の言葉は、「西郷先生バンザーイ」というかんじのもの。 探していた思想はどこへ……。(余計に悲しい)
西郷の死と、救えなかった増田の刑死報道に衝撃を受けた福沢諭吉は、『丁丑公論』を窃かに書く。 西郷の敗北ののち、世論がいっきに「西郷=賊」視したことへの激しい疑問から。
福沢は言う。
政府が専横になることは仕方ないことだが、あまり野放しにするととんでもないことに。これを防ぐためにも抵抗は必要だ。と。
かつて『文明論之概略』で、“難題を抱えていながらそれで乱れない(戦争したりしない)のが文明というものだ”と喝破した福沢だが、この文明論は、何の役にも立たなかった。
西郷の死は、福沢の思想に深みを与えたと、著者は言う。
これまでの『学問のすすめ』『文明論之概略』では、 眠りから覚めている自分が、眠りこけているみんな(愚民)へ呼びかけていた。
『丁丑公論』では、 眠りから覚めるのが「速かった人」と「遅い人」の差があるだけだと、福沢は気付く。
このことに福沢は
《おそらくサイゴンの中江篤介よりも、城山の増田栄太郎よりも、遅れて気づいたのである。》p189
心がどよめいた。
どうしてだろう。
すっきりしたような、著者の福沢評にようやく合点がいった、ような。
いやちがう。 利口者の福沢の真摯な“愕然"が胸を打ってくる。
利口で視野が広いがために、低い苦しみの地平からものがみえなかった。 凡百の利口者なら死ぬまでそれに気づかないだろう。
だがやっぱり福沢は本物だったのだ。
私はまことに直感的に、福沢は信用できなかった。 なんだってこう上から目線なのか。何を持って自分は上から見てるつもりになっているのか。と。
でも、福沢も、その不思議な「特権階級」にあぐらをかくような人ではなかったのだ。
西郷の死と、フラフラしているかに見えた若い増田の問い掛けを、心と頭脳を駆動して受けとめたのだ。
そこを(これまで福沢をすごくひいき?にしてるように見えた)著者にとかれて、
こういう利口者が、真摯にがっくり「膝を折った」音に、心を叩かれたのかもしれない。
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hakoniwa-h · 1 year
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10周年目のトモダチコレクション新生活
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 2013年4月18日に発売日を迎えた「トモダチコレクション新生活」ですが、なんとなんと10周年を迎えました。おめでとうございます。2013年の4月17日夜11時のワクワクを共有したくて、このブログも2023年4月17日夜11時に更新しました。  いつもいっしょで無くさないダウンロード版をおススメしていたのももうできなくなってしまいました……。  ブログをお引越ししてくる前、Seesaaブログと言う場所でトモダチコレクション新生活のあれやこれやを載せていたのですが、その時代からのお付き合いがある方は10年以上このブログを見ていたことになります。  ありがとうございます。10周年おめでとうございます!
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↑リクノコ島生まれの100人目の住民かんたも9歳になりました。
 トモダチコレクション新生活は2014年6月6日、『Tomodachi Life』という名前で、アメリカ、EU、オーストラリア、韓国‥で発売されました。発売前、「同性婚」に関する要素を任天堂が不具合として修正、これに対し、「修正しないで欲しい」という当事者からの要望に、「社会的主張は盛り込めない」と強気な態度に出た覚えがありますが、この態度に対してユーザー、人権団体から抗議を受け、謝罪に至ったという非常に残念な経緯があります。  当時、私もこの騒動について自分なりにまとめなければならないと、拙いながら騒動について纏めたのですが、ジェンダーやLGBTコミュニティに関する知識が薄く、「同性婚」や「同性愛」と書いて良いのかという惑い(Miiの恋愛に関しては何と言うか、「愛」なの? という意識が若干ありました)や宗教保守に対する忖度を抱いたことを覚えています。そのため「同性結婚」や「同性恋愛」という言葉を使っています。その拙いブログ記事はSeesaaから引っ越し、あまりにも「差別的な表現なのではないか」「ちょっとここ間違いなのではないか」と思う部分は時代時代、静かに修正を行ってきましたが、それでも当時の自分の雰囲気や思いの大筋はそのままで、削除することなく、今でもあります。
 当時、好きな作品と時代の移り変わり、自分の抱く「当たり前だと思っていた社会と闘うこと」についてまだ拙かった私がそこに存在しています。 【過去に書いたブログ】  トモコレ海外発売前の同性結婚騒動  https://hakoniwa-h.tumblr.com/post/151286653996/
【参考】 ・HUFFPOST - 伊藤大地 「任天堂は同性婚にNO」? ゲームの設定めぐり海外で波紋 https://www.huffingtonpost.jp/2014/05/08/nintendo-tomodachi_n_5292748.html ・CNET Japan – Nick Statt 任天堂が謝罪--「トモダチコレクション 新生活」欧米版で同性愛に対応せず https://japan.cnet.com/article/35047703/ ・CNET – Michelle Starr How to have same-sex relationships in Tomodachi Life https://www.cnet.com/tech/gaming/how-to-have-same-sex-relationships-in-tomodachi-life/
 今日はこの10年で思ったちょっと真剣な、トモダチコレクション新生活から考えられる、政治に関する話にお付き合いください。
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■Miiの活躍  批判から10年近く経ちました。この批判の後、『Miitopia』が発売され、Miiのスキは仲間のMiiなら性別関係なく(というかMiiの性別すらとても曖昧になった)、誰でもスキという新たな面白さを持つソフトとして3DSで生まれ、Switchでリメイクされてパワーアップして帰ってきました。
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↑Miitopia  また、Miiは2016年3月17日に配信を開始した『Miitomo』で任天堂のスマホ事業第一作目として華々しい活躍を見せました。現在、残念なことに『Miitomo』は終了してしまいましたが、『Pikmin Bloom』でピクミンたちと街にお花を植えています。Mii自体は頑張っていると思います。
■ゲームと政治  任天堂は「社員一人ひとりが力を発揮できる環境づくりに努めます。」(https://www.nintendo.co.jp/csr/report/employees/topics/index.html?active-topics=topics01)と人権の尊重を掲げ、パートナーシップ制度を2021年3月導入したと報道されました。  この多様性のある職場環境づくりには「女性活躍推進」の項目もあるのですが、任天堂(日本)は女性社員が30%なのは一般企業を思えば多い方かもしれませんが、未だ女性にチャンスが少ない状態は変わりなく、同時に女性社員が少ないことは、女性がパートナーシップ制度を受けるチャンスも少ないということでもあります。今日明日にいきなり5割などはさすがに無理だとは思いますが、徐々に増やして欲しいですね。  また、任天堂含めた日系エレクトロニクス企業は2020年新疆ウイグル自治区での強制労働に関与したのではないかと指摘を受け、「現代奴隷」に関してどう考えているのか報告書の提出を求められています。
【参考】 ・国際人権NGOヒューマン・ライツ・ナウ 【報告書】新疆ウイグル自治区に関連する強制労働と日本企業の関与について https://hrn.or.jp/activity_statement/18457/ ・任天堂株式会社 現代奴隷に関するステートメント(PDF) https://www.nintendo.co.jp/csr/pdf/ModernSlaveryTransparencyStatement_jp.pdf
また、ちょっと気になるニュースがありました。 ・CNN 「任天堂米国法人が女性社員を解雇、理由を巡り物議に」 https://www.cnn.co.jp/business/35080561.html ・Gigazine 「ニンテンドー・オブ・アメリカで受けたひどいセクハラや女性差別について元従業員が告白」 https://gigazine.net/news/20220819-nintendo-of-america-sexual-harassment/
■現実が足を引っ張っている状態  さて、私が、そして多分このブログを見てくれている人なら望んでいる『トモダチコレクション新生活』正当な続編なのですが、日本社会のLGBTQ+コミュニティに対する冷酷な対応がMiiたちの生存にも影響を及ぼしているという指摘を今しなければなりません。  Miiの恋愛や結婚を男性対女性の一つだけにしておくのか、もっと自由なものにするのか、そのあたりの政治の問題が開発や発売の足を引っ張っていると思わずにいられないのです。もう「一方の性別しか好きにならないMii」は恐らく作ることができません。「一方の性別しか好きにならないMii」を作ったら、9年前のTomodachi Life発売時に起きた騒動の約束が嘘になってしまいます。  世界規模に広がっているファンコミュニティ(正直、「任天堂法務部」とキャッキャしながらマイノリティを攻撃している一部コミュニティや、国際情勢や戦争に影響しかねない機密情報を晒し合うコミュニティはともかくとしてという思いがありますが)はバカではないからです。そして、トモダチコレクションのみならず、様々なゲームに影響が及びます。「ビジネスのために人権をないがしろにする」と判断されれば、上記の人権ステートメントにも更に厳しい目線が向けられることになるからです。  これらの問題をクリアできなければ、『トモダチコレクション新生活』の続編開発なんて指示しない(というかできない)でしょう。  開発の足を引っ張っているのは、この10年で悪化した日本の政治と、「人権教育のなさ」だと今なら思います。
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 『トモダチコレクション新生活』の発売を望むあなたに言えることは、まじめに日本の政治について考えることだと思います。できれば、人権やLGBTQ+コミュニティについて、Miiは架空のアバターですが、現実に生きる人をゲームの中に落とし込むことができる不思議な立ち位置は、現実と切っても切り離せない存在であり、現実に影響を及ぼすこともあるからです。  それに自覚的であること、自分の当たり前を見直し、差別をやめることが開発販売への一番の近道だと思います。  男女じゃなければ結婚できないのは当たり前ですか?  現実にはありえずとも、赤ちゃんが同性カップルに導かれてもよかったのでは?  家を手に入れる方法が夫婦に限られているのはなぜでしょう?  見直せることはたくさんあります。
 そんなまじめなことを、トモダチコレクション新生活発売後10年で言わなければいけないと思うほどに、「ちょっとこの国まずいぞ」と深刻に私が捉えているという意識を受け取っていただけないか。という小さなお願いです。  私は『トモダチコレクション新生活』の新しい島にSwitchが輸入されて、それでゼルダとか、リングフィットアドベンチャーとか、Miiに遊んで欲しいよ。3DSにWiiU遊んでるMiiも愛しいけど、「Switch輸出して~!」と言いたいです。
 たぶん、3DSやWiiの修理にダウンロードコンテンツも、もう少し景気が良かったら続けられることもたくさんあったのではないかなと思います。島に住むMiiのWiiや3DSが壊れたらどうするんだろう。なんて悲しいんだろうと思うと同時に、Miiなら直せそうな気もするとも思う……。
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■締め付け  昨年、2月24日ウクライナ侵攻に侵攻したロシアは ――13年に「非伝統的性的関係(同性愛)」について未成年に「宣伝」することを禁じる法律が成立した。17年にはDVを非犯罪化する法改正もあった――  (毎日新聞:「女の子」だから、抗議する プーチン政権下のロシアの女性たち より引用)  とあり、2022 年末、「LGBTを宣伝するゲーム」のリストアップが行われました。これは、上記の法律が成立していたことが所以です。 そのリストの中には『Miitopia』が確実に含まれているし、含まれていなくても報告があれば含まれるようになるだろうと思います。 『Miitopia』がR18発売になったことも大きな話題を呼んだのですが、これは、この“宣伝”の部分に引っかかってしまったためです。  『Tomodachi Life』も含まれているかもしれません。
【参考】 ・毎日新聞 – 菅野 蘭 「女の子」だから、抗議する プーチン政権下のロシアの女性たち https://mainichi.jp/articles/20230413/k00/00m/030/139000c ・AUTOMATON – Daiki Imazato ロシア下院議員が「LGBTを宣伝するゲーム」をリストアップ。『Fallout』や『Apex Legends』など有名ゲーム多数を危険視 https://automaton-media.com/articles/newsjp/20221115-226706/ ・AUTOMATON – Ayuo Kawase Nintendo Switch『ミートピア』はロシアでは“18禁”だとして話題にのぼる。同性愛描写が影響か https://automaton-media.com/articles/newsjp/20210219-152683/
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 他にも、昨年11月、神道政治連盟が、同性愛について「精神の障害」「依存症」と書かれた差別的な冊子を 自民党の国会議員懇談会の会合で 配布したことが問題になりました。ハッキリと申し上げて、日本はLGBTQ+に関しては上記で述べたロシアの状態にとても近いと私は感じています。日本に「同性愛プロパガンダ禁止法」を作られては、Miiに関するゲーム作品の発売に限らず、日本に輸入される他のゲームにも、作品にも制限がかかります。『トモダチコレクション新生活』、『Miitopia』の中古作品の流通停止という事態さえ最悪あり得ると頭の片隅で考えてしまう。そんな未来は嫌で嫌でたまりません。
【参考】 ・Yahoo個人 – 松岡宗嗣 「同性愛は依存症」「LGBTの自殺は本人のせい」自民党議連で配布 https://news.yahoo.co.jp/byline/matsuokasoshi/20220629-00303189 ・朝日新聞デジタル – 伊藤舞虹 議員ら会合でLGBTQ差別冊子、「加担怖い」 当事者の神職ら抗議(有料記事) https://www.asahi.com/articles/ASQCG74K2QBPOIPE00S.html ・東京新聞 日本除いた「G6」からLGBTQの人権守る法整備を促す書簡 首相宛てに駐日大使連名 サミット議長国へ厳しい目 https://www.tokyo-np.co.jp/article/238238 ・Wikipedia「自民党議員会合LGBT差別冊子配布問題」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E6%B0%91%E5%85%9A%E8%AD%B0%E5%93%A1%E4%BC%9A%E5%90%88LGBT%E5%B7%AE%E5%88%A5%E5%86%8A%E5%AD%90%E9%85%8D%E5%B8%83%E5%95%8F%E9%A1%8C
・BBC NEWS JAPAN 80秒で解説…米国防総省の機密情報流出、なぜ深刻なのか https://www.bbc.com/japanese/video-65284025 21歳の空軍州兵を逮捕、米国防総省の機密文書流出 https://www.bbc.com/japanese/65271731 (オンラインゲームチャットグループと言われていますが、SteamやDiscordと思いっきりゲームコミュニティで起きた事件です)
・Wezzy 多様性を目指すゲーム業界と、アンチ・ポリコレゲーマーの衝突/今井晋さんインタビュー 【前編】https://wezz-y.com/archives/63889 【後編】https://wezz-y.com/archives/63890
 日本のゲーム業界がどちらに行くのかは、ユーザーの雰囲気にも影響されると思います。
 好きなゲームが遊べるなら自分さえよければ良いという態度や姿勢を今まで取れてきたかもしれませんが、それはこの国に(比較的まだ)「お金」があると思われており、他人のことをおもんぱかることのない態度を取れる無神経な人々が多い国だったからだと私は思っています。そしてそれが、「東アジアの奇妙な風習の島国の人だから…」という人種的目こぼしがそこはかとなくあったとも思います。  しかし、今後はその言い訳は通用しませんし、その言い訳を通用させてきた裸の殿様ビジネスの在り方を情けなく思わないといけない時代に入ったと思います。だからこそ、私はせめて、Miiを愛し、このブログを読むあなたに今後の政治含めた未来について、まじめに考えて欲しいと切に願います。
 そして、それを踏まえた上で『トモダチコレクション新生活』の続編を開発してほしい。と堂々と願って欲しいと思うのです。
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 次の選挙は4月23日の統一地方選挙後半です。  今後、Miiがどう描かれて欲しいのか、そのキッカケの一つとして真剣に考えてみませんか。
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kennak · 8 months
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今月5日に代表取締役副社長を辞任  ジャニーズ事務所が7日に都内で会見を開き、5日付で藤島ジュリー景子氏の代表取締役辞任、俳優・東山紀之の新社長就任、白波瀬傑代表取締役副社長の辞任が発表された。白波瀬氏は41年にわたり、同事務所の宣伝担当でメディア側と関わってきたが、会見場にその姿はなかった。事務所の“2大権力”だった故ジャニー喜多川氏、故メリー喜多川氏を崇拝してきた「ジャニーズを最も知る人物」。表舞台には出ず、メディアコントロールを続けてきた。通信手段は電話のみ。記者は先日、白波瀬氏からあるクレームを受けた。それは受け入れがたいものだった。(取材・文=ENCOUNT編集長 柳田通斉) 「車は家族の一員」…人気女優の“クルマ愛”と華麗なる愛車遍歴(JAF Mate Onlineへ)  8月29日午後7時47分。私のスマートフォンに「白波瀬氏ジャニーズ」の表示が出た。「応答」を押すと、白波瀬氏は言った。 「発表してないことを書かないでよ。そっちにもコメントを送っているんだから」  クレームの理由は、その1時間前にENCOUNTが配信した記事で「ジャニーズ事務所の会見は9月上旬を予定」と記したことだった。当日、「外部専門家による再発防止特別チーム」が出した提言を受け、事務所が発表したコメントを基にした記事。それに“独自情報”を加えたことが気に入らなかったようだ。 「こういうことを出されると、ザワザワするのよ。やめてください」  おそらく、他媒体からの問い合わせが相次いだからだろう。約5分のやり取り後、私が受け入れないことを悟ると、白波瀬氏は「分かりました。任せますよ」とあきらめた。その後、私が「白波瀬さん、退任されますよね」とつかんでいた情報をぶつけると、「はっ、人の人生を勝手に決めないでよ」とはぐらかした。  白波瀬氏とは、私がスポーツ紙で駆け出し記者だった30年前からの付き合いだ。当時のジャニーズ事務所は今ほどのパワーはなく、こうしたコントロールの試みもなかった。白波瀬氏の記憶力は抜群で1度会った人物の顔と名前は忘れない。私は芸能担当を終えた後、スポーツ担当の道を長く歩んだが、2009年に芸能デスクとして再会すると、「久しぶり。柳田さん、またよろしくね」と声をかけてきた。  その頃はSMAPが全盛。ジャニーズブランドのパワーはすさまじいものになっていた。白波瀬氏はジャニーズで紙面スペースを食い合わないように「紙面に載るには1日1組」と決めていた。そして、テレビ、映画、舞台制作発表などの日程を“自社都合”でコントロール。主催者側はそれに従い、他事務所が調整に動く状態だった。  スポーツ紙を優遇していたのは、ジャニー氏、メリー氏の意向からだった。タレントが騒動を起こした際は、スポーツ紙の担当記者だけで囲み取材をし、テレビの情報番組がその紙面を紹介する構図もあった。タレントのインタビューも優先的にできた。紙面を決定するデスクとしてはありがたかった。そして、白波瀬氏は私に「この前、◯◯のインタビューを設定したんだから、今日の◯◯が出たイベントはラージ、ラージ(大きく)でね。よろしく」と言ってくる。そんな日々だった。  私はその後、別部署の管理職を経て、ローカルテレビ局に転職した。白波瀬氏とはキャスティングなどでやり取りを続けたが、21年9月に今の会社に転職し、ENCOUNTに関わり始めてからは距離ができた。理由は白波瀬氏がWEB媒体に「壁」を作っていたからだ。再会した際もいったんは目をそらされた。インタビュー、ライブ取材はできない環境になり、「時代は変わりました。WEB媒体も(テレビ、新聞と)同じ場に立たせてください」と言っても受け入れてくれなかった。  理由は白波瀬氏が、ジャニー氏、メリー氏のマインドをかたくなに守っていたからだったと感じている。事務所の2大権力はネットニュースが当たり前になった2010年代も、ネットでの写真使用を禁じていた。結果、主演でもジャニーズタレントが入っていないキャストの集合写真がネットに載っていた。理由は「肖像権の保全」だったが、新聞紙面では写真は使いたい放題で二次使用も可能。「紙」を大事にしている証しだった。その後、ジャニーズは「1イベントにつき、WEBで写真使用は3枚まで、二次使用は禁止」のルールを作った。  だが、こんな規制を敷く事務所はどこにもない。私はこのジャニーズルールについても「前時代的で、早く撤廃すべきです」と訴えてきたが、周囲は「白波瀬さんが……」と顔を曇らせた。そして、このルールは8日時点で変更されていない(白波瀬氏の退任を機に変更を再要求)。  事務所の不利益を避けるべく、白波瀬氏は性加害問題を「知らない。うわさ話」と認めてこなかった。5月20日、元フォーリーブス・おりも政夫が「ジャニーズの現役、OBを変な目で見ないでほしい」と訴えた記事がENCOUNTから配信されると、“距離”を取っていた私に連絡をしてきた。 「おりもさんのおっしゃる通りですし、同じように願っています。ワシも(性加害の)うわさは聞いていたけど、信じてはいなかった。本当に知らないんですよ」  2大権力の近くにいて、「知らない」だけでは納得できない。会見でも「白波瀬氏はなぜ、ここにいないのか」「説明責任があるはず」の質問が出たが、東山は「退任しているからです」と釈明し、「白波瀬さんは前の世代」「時代と共に進化していかなければ」と付け加えた。  退任した白波瀬氏は2度と現場に来ることもないだろう。だが、今、何を思っているのかは気になる。性被害に遭って、傷ついて、夢破れた少年たちへの思いはないのだろうか。都合の悪いメディアを“出禁”にし、利害関係のあるテレビ、スポーツ紙を優遇したことが、「マスメディアの沈黙」の一因になったことをどう思うのか。もし、悔いていることがあるのなら、今からでも会見して話してほしい。心からそう願っている。
ジャニーズを去った白波瀬傑氏 最後までメディアコントロールを試みた"クレーム"の内容 | ENCOUNT
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oka-akina · 1 year
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「イサド住み」について、あとがきのようなもの
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■本作はトランス男性のボーイズラブです。と、そのように小説を紹介するとき、少し勇気がいるような気がしています。わたし自身が何者であるのか、わたしのジェンダーアイデンティティはどういうものなのか、詳細に語らずにこの作品を発表するのは不誠実ではないのか……みたいなことを悩んでいる。あれっおかわだって何かあるんだっけと思った方もいるかもですが言いたくないことは言わないに決まってんじゃん、インターネット上でもリアルでも……。
このあたりの話はすごく微妙で、こういうものですと表明すること……ようするにカミングアウトは、言いたい人が言う、打ち明けたい人が打ち明けるものであって、ぜったいみんながやんなきゃいけないわけではないと思っています。
で、そういったことへの自分の態度もさだまっていなくて……。「言いたい人だけが言えばいいことなので全員があえて表明する必要はありません」と繰り返し発話することによって誰かの口をふさいじゃわないだろうかという恐れがあります。そして、発話は自分自身にも返ってくる。言わなくていいのだと繰り返し言うことですでに打ち明けている人たちとの溝をつくってしまうみたいな……なんか自分で自分に暗示をかけちゃうんじゃないか……?っていう。逆の立場でもそう。自分は打ち明けました、こういう理由で打ち明けましたとはっきり表明したとたんに、黙っている人たちのことが急に遠く、もしかしたら古びた考えのように見えてしまう。つい先日も、「ハートストッパー」の出演者がカムアウトを強いられてしまった出来事がありましたが、あまり安易にこうですと言うのは危ういよなあと思っています。
(ハートストッパーの件については、バイフォビアやバイセクシャルの存在の見えにくさということもあると思っています。これ何かの折に自分なりにでも語りたいんですが難しいね……。以前「バイ・ミー」という短い話を書いたときに(金継ぎアンソロジーを書いた時なので2018年か、けっこう前だな)、ほんとはもうちょっと、そういうことも言いたかった。作品というよりは作品の外で言及したかったんだけど、勇気がなかったですね)
何か表現するにあたり���自分は何者であるのか、必ずしも表明し��いといけないわけではないと思うんですが、自分のことになると、なんだかずるをしているような気がしてしまう。気にしすぎかもなんだけど。
各人がそれぞれよく考えればいいじゃないかというのはそれはそうなんですが、そんなことはわかっている。わかっていて葛藤している。そこに「各人がそれぞれよく考えればいい」と断ずるような、あまりにさっぱりした物言いを繰り返されると、なんか怖いなあと思う。理屈や原理原則をなぞっているだけに見え、それぞれの葛藤を見ていないように思う。冷淡だし幼い。いやまあ、自らを奮い立たせているのかもとも思うんだけどね……。
じゃあどうすればいいのか? 誰とも関わらずにずっと沈黙している方が、結局は傷つかないし得なのか? おそらく、そういう結論を急ぐ感じがあんまりよくないんじゃないかと思うので、たぶんSNSとはなじみが悪いんだろうな……。
わたし自身、それはどういう立場でどこから言ってる言葉なの? ということがしばしば気になってしまう。ツイッターのつぶやきなんかはとくに。表現が、とくにフィクションの作品が、作品だけでそこに立っている、作者や作者のパーソナリティとは離れて作品だけが存在しているというのは、ほんとに可能なのか。みたいなこともいつも思う。「ものによる」というのが現状のわたしのスタンスですが、しばしば考え込みます。
まあなんか、そういうわけで、葛藤している状態だよというのを表に出していくのもいいかもなーと思いました。葛藤には口籠もっている状態もあるし、言っていることがころころ変わる、場合によっては本当ではないことも言う、何かに擬態しようとする……といったことも含むのではないかと、言っときたいですね。わたしの態度は今後変わる可能性があるけども(変わったように見える、も含め)、あいつあのときああ言ってたじゃんみたいなことをいちいち指摘しないでくれ……、と同時に、裏切られたような気持ちになっちゃうのもわかるよ……という感じ。非常にぐちゃっとしていて、何も言っていないのと同じに聞こえるかも。でも言えることを言っている。
話がどんどん脱線していきますが、本作「イサド住み」でもそんなようなことを言っている気がします。
また脱線ついでですが、以前に書いた短編のいくつか、たとえば「パラシュートたち」のParkとMoonや、「指の下」のおれくん、「メリンガータくん」のおれくん(覚えてる人いるかな……)、この人たちは男の人でも女の人でもどっちでもいいです、決めてませんと言っていましたが、かれらをはっきりトランス男性として書きたかった気持ちもあった……ということは、ちょろっと伝えておきたいです。これこそ後出しジャンケンのような気もするんだけど、その場その場でなんでも言えるわけじゃないよなあと思います。こういうすごく小さいことではあっても。
何が言いたいのかよくわからないと思いますが、わたしはわたしなりの立場から作品を書き、発表していきたいと思っています。
■トランス男性の表象が出てくる小説を読むのが、もしかしたらこの作品が初めてという方もいらっしゃるのかなあと思うと、すごく緊張します。トランス男性の不可視化、存在の見えにくさ。それにはさまざまな背景があり、埋没を望む当事者が多いという事情もあります。SNSでは苛烈な差別が吹き荒れています。でもそれはSNSでの強い言葉が目につきやすいというだけで、以前から、どこであっても、ずっと、そうでしょう。そして差別的な言説を撒き散らしたいときだけ、トランス男性が持ち出されることもしばしばです。「不思議なんだけど、トランス男性は男子トイレに入りたいなんて言わないし、男湯に侵入したなんてニュース聞いたことがないよね」というような、素朴な疑問のふりをしたヘイト。
近頃のツイッターではこういうヘイトを匿名のアカウントだけでなく、名前も顔も仕事も明らかにしている、とても有名な人、長年文芸の批評をやっている人まで言い出すようになり、とてもうんざりした気持ちです。
(余談だけど、そういう人が文芸雑誌の新人賞で審査員をやるようですが、えっ大丈夫ですか? 有名な人だから差別的な発言を繰り返してもべつにいいんですか? 仕事は変わらず任せ続けるんですか? それも新人作家を選ぶ側の仕事を? 何かを書くこと・書けることはそれ自体が特権ですが、それに賞というお墨付きを与えて商業出版することの権威性を考えたら、おい、そういう立場の人が差別的な発言を堂々繰り返してんの、ヤバだろ。わたしはその雑誌も出版社も好きでいたいんですが、ぜんぜんだんまりなので、絶望的な気持ちです)(あとそういう文芸の批評家たちが次々わけわかんない差別的なツイートをし出したのを受けて、好きな作家や書店が、中立の立場ふうの意味わっかんねえツイートしてんのとかも、もうほんとにいやなんだわ。。。。。)(何か言わずにはおれない、痒いところを掻かずにはいられないみたいな、ツイートにはそういう生理的なものがあるとは思うんだけど、とはいえ作家が、現実に生きている人の差別に対して頓珍漢なこと言ってんのやっぱりがっかりはするな……)また脱線しました。何かを言おうとするといやなことがたくさんまとわりついてきます。
■うまく言えない代わりに、いくつかおすすめの書籍を紹介します。ツイッターのヘイトの嵐、素朴な疑問や思考実験のふりをした無礼な滅茶苦茶……からは決して見えてこないこと。実存のこと。
もしおかわだの小説を読んで、何かもっと知りたくなったら……というのもかなりおこがましいのですが、もしかしたらあまり関心はなかったけど(下手なことを言ったらと思うと怖くて触れられないというのも含め)、たまたまこの本を手にとったという方もいらっしゃるのかもなあと思うので(同人誌なのでそういうこともありそうで、それならばそういうなんとなくを幸運なものにしたくて)おすすめを挙げます。紹介文は版元からの引用です。
・「誰かの理想を生きられはしない: とり残された者のためのトランスジェンダー史」吉野靫 著(青土社)
「本当の」トランスジェンダーなんてない。「本当の」男女を追求する必要なんてない−。見えないようにされていたもの、見てこなかったものについて、真摯に、丁寧に、しぼりだすように紡ぎだされたトランスジェンダー史。
・「トランス男性によるトランスジェンダー男性学」周司あきら 著(大月書店)
性別移行後の実生活に根差して「男性」の範疇でトランス男性をとらえ直すとともに、トランス男性を含むマイノリティ男性の存在を想定していない「男性学」に対して、当事者の視点から新たな見方を提起する。
・「トランスジェンダー問題­——議論は正義のために」ショーン・フェイ 著 高井ゆと里 訳(明石書店)
トランス女性である著者が、トランス嫌悪的な社会で生きるトランスジェンダーの現実を幅広い調査や分析によって明らかにする。事実に基づき社会変革に向けて開かれた議論を展開する一冊。
・「Complex」no.////(よはく舎)
"女性"として生まれ、現在は"男性"として生活している"トランスジェンダー男性「FTM」"のコンプレックスに焦点を当てた、フォトエッセイ。また、コンプレックスだけではなく、"トランス男性「FTM」にしかない魅力"をご覧いただけますと幸いです。(クラウドファンディングを利用した自費出版の書籍ですが、いくつかの独立系書店さんで取り扱いがあります)
またこういったジェンダーやクィアにまつわる書籍の取り扱い書店としては、loneliness booksさん、マルジナリア書店さんが充実していますしおすすめです(オンラインストアもあります)。
■なんかもうちょっと言いたいことがある気もするんですが、言おうとすると忘れちゃいますね。本当は、こういうあとがきはもうちょっとしっかりまとめた文章で、本の中にちゃんと載せるべきとも思うんですが、イベント直前にバタバタ入稿したものでそういうことができませんでした。小説としても一冊の本としても足りないことばかりで、もっと書きたかったことがあったなあ、もっといいやり方ができたかなあと歯痒いのですが、ともかく打席に立つのだという気持ちで書いていました。
またトランス男性の語りとして、小説を読んでいる方にはもしかしたらあまりなじみのない語もあるかもしれないのですが、そこはあんまり説明しませんでした。用語解説的なこともしたくなかった。これは今くんの語りなので今くんが言いたくないこと、気が進まないことはぜったいに言わない話にしよう……と思って書いていて、それがボーイズラブの、ラブストーリーの形をとろうとしていることも含めて、小説としてうまくいったのかどうかはわかんないですが、なんかそういう気持ちを大事にしたいと思っています。やってるうちにうまくなればいいな……。
■なにかまた思い出したらtumblrにでも書きます。とはいえ、さっき言ったような葛藤の話だったりもっとつっこんだ話だったり、オンラインでするのもな〜という話はやはりあります。言えることを言える場でやる、そういうときに、紙の本というのはインディペンデントで安心できる場だと思っています。pixivもnoteもカクヨムもKindleも現状あんまり好きじゃなくて、プラットフォームに依存しないやり方というのを模索しています。だから同人誌だったりzineだったり作る人がおおぜいいるし、増えているんだろうなあというのも考えています。
そういう、ほかのどこでも言えないような話や、まだ意識としてのぼってこない、潜在的な言いたいことらしき何かがつまったような小説……を書いた紙の本をお手にとってくださり、本当にありがとうございます。とても幸運に思います。なにかしら楽しんでいただけましたら幸いです。
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11/20文学フリマ東京の新刊「イサド住み」について、あとがきのようないろいろです。何か態度のようなものは表明した上で発表すべき作品だよなとは思うので、本当だったら本の中に書いておきたかったんですけど、ドタバタ入稿でできず…。というわけでペーパーを作りまして、通販から挟み込みしています。文フリでお手にとってくださった方や、これから興味を持ってくださる方に届くといいなあと思いまして公開するものです。ペーパーのPDFはこちら
BASEでの通販もスタートしています。よかったら覗いてみてください〜 ▶︎ https://okwdznr.base.shop
試し読みはこちら
変な話、この小説大丈夫なやつか?っていうのが気になるんじゃないかなと思うんだよね。大丈夫かというのは、作品の巧拙とはまた別の…態度とかスタンスが大丈夫なのかどうかっていう…。わたしは自分が読者のときそういう警戒をする。ヘイターの作品にわざわざ近寄りたくないなと自分だったら思う。
作品だけで勝負すべきみたいな、作家や読者の自尊心のようなもの…はいったん置いておいてもいい気がして。現実にヘイトが吹き荒れている話題を扱っている以上、差別を許さない態度、連帯を表明することは大事かなあと思ったという話です。いや作品とかふだんのいろいろとかふだんから見てくださっている方にはなんとなく伝わっているだろうなあとは思うんだけども、なのでほんとにおそるおそるではあるんだけどね…。
大丈夫なのか?がまず気になるようなことになっちゃってる(とくにSNSではそれが目立つ)のは、なんでかって話でもあるよな…。
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lvdbbooks · 1 year
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2023年4月7日
【新入荷・新本】
『ex-dreams もうひとつのミッドセンチュリーアーキテクチャ』(ガデン出版、2023年)
編集・企画:福島加津也、冨永祥子、佐脇礼二郎 寄稿・インタビュー:権藤智之、ロイド・カーン、 ビクター・ニューラブ、セン・クアン、塚本由晴 デザイン:米山菜津子 印刷・製本:ライブアートブックス
A4判変形 300×216mm|272頁|日英併記|コデックス装
価格:5,280円(税込)
*郵便局のレターパックプラス(520円)で全国配送可能です。
『Holz Bau』から3年。ガデン出版の第2弾は、最も新しい建築素材であるアルミニウムに着目してアメリカ建築をリサーチした。アルミニウムを活用した住宅や高層ビルから徐々にアルミニウムの未来的イメージが独り歩きして、やがてグーギー建築と呼ばれるロードサイドのダイナーへ、さらにはポストモダン建築へと発展していく。モダンからポストモダンへの転換期にあたる19のアメリカ建築と4つの日本の事例を、写真と図面、イラスト、漫画によって紹介する。
こうした多様な建築の理解を深めるため、論考やインタビューも含まれている。建築生産、建築構法が専門の東京大学の権藤智之による論考。『シェルター』の著者であり『ホール・アース・カタログ』の編集者でもあったロイド・カーンへのインタビュー。グーギー建築を代表する建築家アーメー ・デイビズの現在のパートナーであるビクター・ニューラブへのインタビュー。建築史が専門の東京大学、ハーバード大学のセン・クアンとの座談。建築家の塚本由晴との座談。さまざまな人との対話を通して、この捉えづらい建築に迫ろうとしている。
《本書で取り上げる主な建築家とその作品》
◆ゴードン・バンシャフト(アメリカ/1909-1990) マニュファクチャーズ・トラスト・ビル ◆ラファエル・ソリアーノ(アメリカ/1904-1988) グロスマン邸、シュールマン邸 ◆ルイ・アーメー、エルドン・デイビス(アメリカ/1914-1981、1917-2011) ノームズ・ラ・シエネガ店、パンズ・コーヒーショップ ◆ジョン・ロートナー(アメリカ/1911-1994) ガルシア邸、フィッシャー邸 ◆ルイス・カーン(アメリカ/1901-1974) エシェリック邸 ◆ロバート・ヴェンチューリ(アメリカ/1925-2018) 母の家
《目次》
002 はじめに
アルミニウム 016 書籍「アルミニウム・イン・モダン・ アーキテクチャー」再録
企業の夢 034 フェアフィールド・ゴールデン・ドーム 040 カワニール社工場事務棟 044 アルコア・ケアフリー・ホーム 052 レイノルズ・メタル社デトロイト支社 060 アルコア本社ビル 064 マニュファクチャーズ・トラスト・ビル
個人の夢 074 グロスマン邸 082 シュールマン邸 090 ダイマキシオン・ハウス 094 大智寺本堂 098 ソリッドとサーフェス 権藤智之
プラスチック 112 レイナー・バンハムの愛したオルトモダン 冨永祥子 120 フトゥロ 124 セキスイハウスA型 128 ロイド・カーンとex-dreamsの時代 ロイド・カーン × 福島加津也、冨永祥子、佐脇礼二郎
グーギー 144 雑誌記事「グーギーアーキテクチャ」 再録 150 ノームズ・ラ・シエネガ店 154 パンズ・コーヒーショップ 160 ユニオン76 ガソリンスタンド 164 ダウニーのマクドナルド 170 ハングリータイガー保土ヶ谷店 174 近代の理想を実現すること ビクター・ニューラブ × 福島加津也、冨永祥子、佐脇礼二郎
オルトモダン 184 ガルシア邸 196 フィッシャー邸 200 アイクラー・ホーム 208 エシェリック邸 218 母の家
リフレクション 234 近代の理想の実現 セン・クアン × 福島加津也、冨永祥子、佐脇礼二郎 246 あり得たかもしれない建築について 塚本由晴 × 福島加津也、冨永祥子、佐脇礼二郎 260 夢のシルエット 福島加津也
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ari0921 · 6 months
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和五年(2023)11月11日(土曜日)
    通巻第7995号
 「プーチンの頭脳」と言われた、あのロシア思想家はいま
   NATOをフィンランド化、中国を分裂させ、日米同盟を離間させよ
*************************
ロシアの政治思想家アレキサンドル・ドゥーギンは、その後、どうしているか?
かれは「プーチンの頭脳」とまで言われた。娘のダリアが父親の車で走行中に爆殺され、身代わりになったと言われた。この狭隘なロシア民族主義を謳う思想家は、しばしなりを潜めていた。
 ドゥーギンの娘ダリアはギリシア思想史に詳しく学生時代には父親の思想とは距離を置いたが、しだいにロシア地政学と民族主義に接近し、ウクライナ侵攻作戦を支持する言論活動を展開していた。
 2022年8月20日に起きたダリア暗殺は、ウクライナのSBU(保安庁)��仕業と見られるが、犯人として手配されたのはアゾフ大隊の流れをくむ活動家だったともいう。享年29歳。
 ドゥーギンは明確なロシア至上主義を唱え、「プーチンのイデオローグ」と言われるのだが、最近の発言で「ロシアの真の同盟国はイラン、北朝鮮、ベラルーシといった『のけ者国家』だ」と自嘲気味な発言もしている。
彼は「現代のドストエフスキー」、「右翼のトロツキー」、「正教会の修道士」、「第二のラスプーチン」、或いは「もう一人のトルストイ」などと毀誉褒貶が激しい。
 ひと頃のドゥーギンンはパラノイア的な地政学を主唱し、「カリニングラードをドイツに返還し、NATO諸国をフィンランド化し、日本に千島列島を返還し、日米同盟を亀裂させて日本をロシアの同盟国とせよ。中国は分裂させるべきだ」などと唱え、その神秘主義あるいはオカルト的妄言は、パラノイア民族主義、あるいはウルトラナショナリストとも見られた。
だが、ドゥーギンはプーチンの側近でもなく、クレムリンとの絆は殆どなく、「プーチンの頭脳」というのは宣伝でしかない。
ネットのインフルエンサーとして、むしろ娘のダリアの影響力のほうが強かった。暗殺標的はドゥーギンではなく、テロリストは最初からドゥーギンの娘をターゲットとしていたとは佐藤優氏の分析だ。
 ▼オカルト的な神秘主義をプーチンが好むだろうか?
かれは多言語に精通し博学で社会理論、難解な文学、規範哲学に精通している。
ハンティントンの文明主義からアレイスター・クロウリーの悪魔主義、極左サンディカリズムから極右伝統主義と多彩なアプローチに対応してきた。モスクワ大学で教授を務めたほど博学だった。
ドゥーギンは基本的にはニヒリズムに立脚し、反自由主義革命を公然と呼びかけ、国際秩序の終焉を予言し、西側に対する完全な嫌悪感を示してきた。だからロシア人の愛国者でもドゥーギンの思想に戸惑いを感じた。
ドゥーギンの哲学的発言や政治的思想は、古典的な地政学、伝統主義、オカルティズム、フランスのポストモダニズム、ヨーロッパのニューライトなどの受け売り部分が濃厚にあって、もしプーチン大統領との共鳴部分があるとすれば、「新ユーラシア理論」である。
新ユーラシア主義を主唱するドゥーギンの考え方は、ロシアが「モンゴル帝国」のような伝統主義的なユーラシアの宗主となって、近隣諸国を包摂し統合することを理想とする。
この新ユーラシア主義がプーチンの外交政策立案に直接的影響を持ったことはない。
けれどもロシアに対する西側の長年の敵意、伝統的な陸上大国と海洋大国の間の避けられない戦い、邪悪な外国勢力によるロシア社会の転覆などとするドゥーギンの被害妄想的な地政学的分析が、プーチン政権の基本的な西洋観、歴史観と類似性があることは事実だろう。
ドゥーギンは2023年2月24日、珍しく日本のTBSのインタビューに応じ、「ロシアが勝つか、人類が滅びるかであり、ロシアが勝てば世界は平和になる」と神秘主義的預言をしている。
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foucault · 2 years
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『民藝』6月号が発刊しています(最近、郵便自体が遅い上に第三種郵便の配送が軽んじられているのか、到着がますます遅くなっています。5/31に駒場で出して、6/6に福岡に着く…)。特集は日本民藝館での展示会に合わせ「復帰50年記念 沖縄の美」です。澤地久枝さんに執筆いただけたことも嬉しいですし、その文章も、復帰とは誰にとって、どこへの復帰なのかを地に立って問うもので、ありがたかったです。他執筆陣も充実ですし、坂本万七・白崎俊次による写真など、入れたかったものをだいたい詰め込めた嬉しい特集です。ご笑覧ください。 また昨日、赤木明登さんから冊子『禅と工藝』をお送りいただきました。まだ全てに目を通していませんが、原田住職による、「空」とはZEROである、「空」は存在しないが、欠けた存在であるが故にそれを基点として創造がはじまる、というお話がとてもよかったです。ゼロ記号として「空」は存在し、「安心」という「空」が「決定」という運動性を呼び込んでくる。「空」とは何か、を規定することは「空のZERO性」を毀損するだけでしかない。同じ意味において「民藝」もまたゼロ記号なのだと僕は考えています。柳がこう書いたように。 > (道元)禅師が支那から帰朝された最初の説法に「空手にして郷に還る」といわれたという。ある注釈書を見たら、伝教、弘法その他の宗祖は、皆万巻の経文や仏像等を携えて帰られた。しかるに道元禅師は、そんなものは後廻しにして、空手で帰って来られたのだという。こういう解釈にも、ある程度の意味はあろうが、おそらく真意はそんな外形的な事ではあるまい。「空手」を「如心」の意味にとる方が更によくはないか。ある人が禅師に、支那で何を学んで帰られたかと尋ねたら、「柔軟心」を学んで来たといわれたという。柔軟心は「やわらかい心」の意である。この「柔軟心」と「空手」とは、互に通じる内容があろう。それを易しく「素直な心」といってもよい。我執に囚われて、弾力性を失った「こわばる心」となっては、仏を見失い、法を見誤る。空手にしてのみ仏からの贈物がそのまま受けられる。「空手還郷」の言葉に続いて、「故に仏法なし」といわれたという。ここが素晴らしい見方で、同じく民藝を見つめて、「民藝なし」とまでいい切る程にならねばならぬ。(「改めて民藝について」) また、matohuの堀畑さんによる、ヴィトゲンシュタインの「私の言語の限界は、私の世界の限界を意味する」をひっくり返して、「私の言語をひとつひとつ掘り下げて行けば、世界はまだまだ拡がる」と捉えるお話しも腑に落ちるものでした。それをヴェイユは「わたしたちは、知性でとらえられないものの方が、知性でとらえられるものよりもずっと実在的であることを、知性のおかげで知っている」「信仰とは、知性が愛の光を受けるという体験である。ただ、知性は、知性に固有の手段を通じて、すなわち、確認し証明することによって、愛の優越を認めなければならない。知性は、その理由を、のこりなく確実に、明瞭に知った上で、はじめて服従しなければならない。そうでないと、知性の服従は誤りということになるし、その服従しているものも、どんなレッテルが貼られていようと、超自然的な愛とはちがうものである。たとえば、社会的な影響といったものである(『重力と恩寵』ちくま学芸文庫版)」という形で記したのだとも思います。 だからこそ僕は、「美しいというのは人それぞれじゃないですか」なんていう言葉がいつまでも信用できないんだな、とつくづく考えました。「美」を定義すること自体は確かに不可能でしょう。それは「ゼロ記号」であり、まさに河井寬次郎が言った通り「追えば逃げる美」なので。絶対的な美があるとも思わない。けれど、個別の事象については、それが手の届かない美、不可知なものであるかどうかは、徹底して吟味するべきだと僕は考えます。3手先も読めない人が、将棋を解り尽くすことはできないよね、と言うのと、藤井n冠が同じ言葉を使うのではだいぶ意味が違う。 柳宗悦にしても、例えば「美の標準」と題した文章を記した時に企図していたのは、これが美のスタンダードなんだ、これ以外は認めない、民藝ではない、といった意図ではなく、個別の品々を「美術的」と「工藝的」に分析することによって、当時主流であったものの見方が含んでいる、ヴェイユ言うところの「社会的な影響」、つまりは当時「美」とされたものが抱えている権力構造を明らかにする、ということであって、オルタナティブ(と、その二項対立の不毛さ)の提示だったはずです。そして、その当時、柳の言説は実に鮮やかなメス捌きであったし、有効性を持っていた。そこには、身を賭した決意表明があった。そういった身を捨てるような覚悟、自分自身の価値観の転換なしに、「肌が合う」程度の話を「美」なる概念、「民藝」なる用語にまで持ち込むこともないな、と思うのです。好きなものだけの王国に自分を閉じ込めてしまうのは、あまりにも幼いし、もったいないし、かえって「美」や「民藝」を軽んじてるよな、とも。民藝多子無し、ですよ。 いずれにしても、甘さの少ない、真摯な対話に接することができてとても嬉しかったです(生活工芸への言及は他が良かっただけに蛇足かなと思いましたが)。ありがとうございます。 (at 工藝風向) https://www.instagram.com/p/Ceh4Hc6v3_9/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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