#たべもの #ランチ #CROCE season2
若葉の季節と紅葉の季節はとにかく山に向かってドライブしたくなります。というわけで、前の職場の同僚と、東白川のクローチェさんに再訪。今回はランチ時間を目指して向かいました。
紅葉の時期だからか、平日の昼間でも待ちが何組か出ていました。驚いたのが、結構な広さのある待合室ができていて、順番が来るまではその部屋で待つことができます。なんかバーの作りかけみたいな部屋だったので、今後何かに使われる部屋なんでしょうか……?
あと、外のテラス席は追加料金が要るようでした。まあ、都会から来た人には山の木々を見ながらランチで気分転換になるのでしょうが、田舎の民は今更山を見ても特に何も(以下略)なので、テラス席はスルーで追加料金なしの店内の席を選びました。針葉樹林の山なので、紅葉の時期でも特に色は変わらないんですよね……。
ぱっと見ワインですが、運転手なのでぶどうジュースです。ワイングラスで来るとは思っていませんでした。
窓際のカウンター席だったので、色づいた木々を眺めながらまったり。
お店の前のモミジがちょうど見頃でした。
ところでお店の前にどこでもドアが置いてあったんですが、どう遊んでどう撮ったら良いか分からず微妙な写真に……。どう撮っても駐車場の車が映り込んでしまう……。平日昼間のカフェの駐車場は、ほぼ軽orミニバンという二択になっていて面白かったです。
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『ガラスの街』
五月は読書の月だ。僕は本を読んだ。数多の本を。
最初、それは次の小説のアイデアを得るためだった。頭上の樹々からワインのための葡萄をもぎ取るような、循環を続けるにあたっての摂取だった。いきおい堕落しつつある現実から少しでも意識を逸らすためでもあった。
普段の僕は、本を読んで時間を過ごすことは少ない。長い時間ひとつの文章に集中することができないのだ。
それに読むことよりは書くことのほうがずっと大切だと僕は思っている。読む行為は、現実という制限された枠組みのなかではせいぜい膝丈ほどの優先度しかなかった。
しかし五月ではあらゆるものが落下した。熟れ過ぎた果実が枝との繋がり終え、足元に開いた坩堝に呑み込まれていった。読む行為もそうだ。落ち、煮え滾る器の中で混合した。
いまでは僕の「読む」は混沌としている。それはいまでは長身の僕、その僕以上にのっそりとそびえる一本の巨大な柱となっている。物言わぬ花崗岩の柱。五月、僕はそんな柱を中心にぐるぐると回り続けている。手は文庫本に添えられ、目は9.25ポイントの文字に注がれている。足は僕の意識から離れて交互に動いている。ひたすら歩き、ひたすら読んでいる。柱から少し離れた誰彼にどう見られているかどう言われているかなんてことお構いなしに。
いや。そんな話自体がどうでもいい。関係ない。
きょう、僕は自分自身が”うすのろ”だということを語りにきたのだ。
***
五月。
僕はどんなものを読んだのだろうか。
金ができて僕がまずやったことは大学生協の本屋に行くことだった。カウンターで二枚つづりの注文用紙を手に取り、もう何年も使い続けている青のボールペンで書いた。
"9784002012759"
週明け、僕は地下の生協で注文の品を受け取った。『失われた時を求めて』全十四冊。いまは第一巻を読んでいる。僕がふと目をあげると、あの遠い窓の奥で、大叔母が目を爛々と輝かせているというイメージが浮かぶ。泳ぐような精神の移ろいもまた。
シェイクスピアの『夏の夜の夢』も読んだ。
『MONKEY』のvol.31の三篇、ケン・リュウ「夏の読書」、イーディス・ウォートン「ジングー」、ボルヘス「バベルの図書館」も読んだ。
仕方なく後回しにされていた本を買って読んだのだ。
金銭の自由は、精神という鈍い壁に茂っていた蔓植物のような不足を一太刀で解決した。
『春の庭』も読んだ。『九年前の祈り』も。
ウルフの『波』も読み始めている。
僕の貪欲は、過去に読んだことがあるかどうかなんてものでは選ばなかった。カーヴァーの『象』、春樹の「タイ・ランド」、マンローの「イラクサ」、ヴォネガットの『スローターハウス5』。マラマッドの「悼む人」も読んだ。
一度の時に、僕はこれらの本を読んだのだった。
こんなに大量のフィクションを仕入れて、いったい何をしようとしているのか?
紛争でも起こそうとしているのか?
���のためか。それは僕自身にもわからなかった。
僕は特定の目的をもって読んだわけではなかったようだった。五月の読書は「文章の上達」や、「ストーリーテリングの技法」といったそれまでの興味とは別物だった。振り返ればそうだとわかる。
五月の読書は、それまでの自分を抑制しようとする、極めて機械的な態度とは違っていたのだ。
言えば、それは無垢に機械的な読書だった。
これまでの僕は断じて読書好きではなかった。どんな傑作でも一時間もしないうちに音を上げて投げ出した。ドストエフスキーやメルヴィルと出会ったときでさえ、メインストリームは”書くこと”、そして”生きること”で変わらなかった。この五月に僕は初めてむさぼるように読んだのだ。頭を空っぽにして。堆い小説の亡骸の山に坐すかのようにして。
それで、僕は何かしら成長したか。
いや。成長なんて一つもなかった。
そこには変化さえなかった。二週間前と、すべては同じだった。僕が着るのは依然深いグレーのブルゾンだった。コミュニケーションもぎこちないままだった。
だからそこで起きたことはシンプルだ。つまり、僕はポール・オースターの『ガラスの街』を読み、ある一つの事実に行き当たった。
「僕はなんという低能なのだ」という事実に。
***
一昨日から僕はポール・オースターの『ガラスの街』を読み始める。
『MONKEY』でオースターのエッセイを読んで彼のことを思い出し、その夜に丸善に立ち寄った僕は彼の本を久々に手に取った。
三日で読んだ。
「三日で読む」というのは僕にとってほとんどあり得ないことだった。僕のリュックサックには必ず四、五冊の本があった。読むときにはまずそのとき一番惹かれる本を手に取った。そして十数ページが過ぎ、抱いていた軽度の好奇心が満たされてしまうと、浮気性の蜜蜂のようにまた別の小説の甘いのを求めるのだった。
だから、一日目、二日目と時を経るごとに加速度的にその好奇心が勢いを増し、三日目には150ページを一つの瞬間に通貫して読んでしまったのだ。僕の読書体験において、異例中の異例だった。
『ガラスの街』を読んで、僕はうちのめされた。徹底的に。
”面白さ”、そして”新鮮さ”の二つが、やはり事の中心だった。読書においておきまりのその二つが今回も僕を虐め抜いたというわけだ。
『ガラスの街』を読み終えた瞬間、僕の生きる世界のどこかが確実に変化した。
「祈っている。」
僕がこの最後の一文を読んだとき、曇り空の下にいた。その一節がこちらに流れ込んできたあと、僕は立ち上がった。テーブルがごとりと揺れるほどぶっきらぼうに立った。取り乱していたのだった。僕はそのままであてもなく歩き始めた。
「これ以上座っていることはできない」
「このまま座っていると、僕は頭の先から崩れ落ちてしまう不可逆的に」
そうした、僕という精神を一切合切覆してしまうほどの強烈な予感のために。
僕は予感に乗っ取られないよう、何も考えないと努めていた。何も感じまい、何も見まい、と。
リラックスを意識し、肩から力を抜く。腕をぐんと伸ばし、指をぽきぽきと鳴らした。イヤホンを耳にした。『ベリーエイク』を再生する。いつか足元をくすぐった波のように心地よい、ビリーアイリッシュの声に心をしっとり傾けた。
もちろん、そんなことは無駄だった。とりあえずの形など、何の助けにもならなかった。以前との比較から始まる違和感たちは強権的に僕の感情の戸をこじ開けた。
歩く中、透明の空気が奇妙に凪いでいた。風景からは特定の色が抜け落ちていた。向こうで笑う声、衣擦れの音、靴底の摩擦。音という音がワンテンポずれて聞こえた。
変化は女王だった。彼女は支配的だった。
僕は小説による変化を受け入れ、恭順のように認めたわけではなかった。むしろ、変化は僕にどうしようもなく訪れていた。言わば、言い渡しのようにして。
女王を僕は素晴らしい小説を読んだ後の”ゆらぎ”の中に閉じ込めたのだった。何もかもが、僕に合わない形に作り替えられていた。建物を構成する直線はいまやでたらめで恐怖がつのった。頭上の青はこのように汚い灰色では絶対なかった。
――そして、当然、この点についての文章はかたちだけに過ぎない。これらは省略した文章。書く必要がないということ。
なぜなら、あなたたちもかつて同じ経験を経ているからだ。小説を読み終えたあとに来る世界の変質を。
加えて、忘れるなんてことを女王が許すわけもない。これについても言わずもがなだろう。
そして、重要なのは変化のよろめきではない。
そうなんだ。きょうしたいのは女王の話とは実は違うのだ。ここであなたに伝える言葉は破壊だ。
破壊。
それは”面白さ”と”新鮮さ”のコンビがやったわけではなかった。変化の体験に曝されたゆえのサイコ・ショックでもない。
木々を打ち砕く手斧となり、人体を壊す剣となり、バベルの塔をゼロにする雷となったのは、オースターの書きっぷりだった。
オースターは、考え抜いていた。
そこで”感じ”は排除されていた。
感覚による言い表しがまるで無かったのだ。僅かにイメージに依拠するものがあっても、それは必ず共感の姿勢だった。テーブルに身を乗り出し、相手の声に耳を澄ませる態度。
『ガラスの街』では、本当に一切妥協はなかった。僕はとても信じられず、街を隅から隅までしつこく歩き回った。しかし、本当に妥協はどこにも無かった。
オースターは僕とコミュニケートすることを選んでいた。そのへんの宙に感覚という水彩画を描いて「ほらご覧」とする、ごく個人的で他者には見せつけるだけという表現は徹底的にしなかった。チャンドラーを始め、私立探偵ものに由来する例の論理的な高慢さはあった。しかし、確実にオースターは読者と対峙していた。彼は殴る、殴られる痛みを完全に了解した上でリングに立っていた。
彼の据わった眼が僕を揺るがしたのだった。彼は完全の脆弱性を知りながら、完全に書いていた。
それだから、彼を読んだとき、僕は……
向こうから厚底ブーツの女が歩いてくる。
女は痩せている。薄い、流線形の黒一枚に身を包んでいる。背が高く、ありったけに若い。二十歳前後に見える。二つの瞳はキャップに隠れている。すれ違いざまに見える耳にさえ、カナル型のイヤホンで黒が差されている。マニキュアはあまりにも美しい銀色に染まっており、高まりを誘う。
センスがいい。綺麗だ。
彼女はなんて豊かなんだ。
僕はそう思う。
ほとんど同時に、ガラス一枚を隔てた向こうで本を読む人を見つける。
また女だったが、今回性別は重要ではなかった。その読む人は区切られたブースで、文庫に目を落としていた。化粧や唯一のファッションなどもなく、やはり装飾は重要でなかった。というのも、いまにも涎が垂れてきそうなほどに口をあんぐりと開けて読んでいた間抜けなその放心が、僕の記憶に楔として打ち込まれていたからだ。
これらのスケッチが、何かを直截に意味することはない。二つの風景は隠喩ではない。
正直に、上記は僕が受けた印象の再放送だ。
この日記は『不思議の国のアリス』ではない。二つは作為的な意味を持たない。
書いたのは「意味を持たない」ということを明らかにするためだ。
その内容でなく、外側、僕のスタイルという基本的な骨組みを露わにするためだ。
そう。だから、つまり……僕は痛みから逃げている。オースターとは違って。
きょう、読んで、事実は突きつけられる。
***
”言葉”はもう一度響く。
「大西さんの小説は、けっきょく古典から表現を引用しているだけ」
「僕は彼にもう興味がないんだ。かつて、彼は賢い人だと思っていた。書くものに何かしらの意味があると思っていた。でも、そうじゃないと知った」
「あなたの課題は、独自の世界観を提示できるかということです。海外の小説、そして村上春樹でなく」
***
そして、このように敗北してもなお、僕は決定的な何かについて述べることはなかった。張りつめた表情で、まやかし、それ自体に必死に祈る。もうそのような生き方しかできないと信じ込んでいるのだ。
「この大地にあるものはすべて、消え去るのだ。そして、今の実体のない見世物が消えたように、あとには雲ひとつ残らない。私たちは、夢を織り成す糸のようなものだ。そのささやかな人生は、眠りによって締めくくられる」
祈りの文句を何度も何度も口にした。
僕の声はいつも通りにすごく軽くで響いた。
そして一度響いてしまったものは泡沫のようにたちまち消え去った。
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✿ 普洱茶 | Pu’er Tea
・普洱茶(プーアル茶)。中国の雲南省原産のお茶の一種です。地名から付けられた呼び名で、漢字では「普洱茶」と書かれます。プーアール茶と呼ばれることもあります。プーアル茶も緑茶と紅茶、烏龍茶などと同じ「チャノキ」の葉から作られるお茶です。
・中国のお茶は大きく分けると緑茶・青茶(烏龍茶)・黒茶・紅茶・白茶・黄茶の6種類に分けられますが、プーアル茶は黒茶の一種。 蒸してから茶葉を揉み、積み上げて微生物によって発酵させ、再び揉んで乾燥させるという作り方で、独特の風味を引き出します。紅茶も発酵茶と呼ばれますが、実際には紅茶の「発酵」には菌は関与していません。一方で一般的なプーアル茶の「発酵」を担っているのは麹菌。高温多湿状態で積み上げておくことにより、空気中の麹菌を茶葉に棲みつかせて作るのだそうです。こうして熟成させたプーアル茶は「熟茶」と呼ばれています。麹菌を使わずに熟成させた「生茶」と呼ばれるプーアル茶も存在しますが、日本で飲まれているのはほとんどが熟茶です。
・おいしいプーアル茶は透明な濃い赤色で、芳醇な味わいと後味の甘さがあります。 烏龍茶や緑茶は花やフルーツの香りに例えられることが多いですが、プーアル茶の香りはより落ち着きのある、大地を思わせるような香りです。貯蔵はすればするほど香りがよくなるといわれ、ワインのように30~40年もかけてじっくり発酵させたものが極上品なのだそう。ちなみにまろやかな甘みのある味わいの「熟茶」に対して、「生茶」は緑茶に近いさっぱりとした味わいです。
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Special BEANS from our partner roaster B'R.U,T COFFEE @brut.coffee .
新しくコロンビアのスペシャルビーンズがラインナップしました。フルーツマセレーションシリーズ ラストはパッションフルーツ✋
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◼︎ COLOMBIA Finca Santa Mónica - Castillo Honey(Passionfruit/ Wine yeast fermentation)
FLAVOR NOTE: Mango, Passionfruit, Lafrance, Black tea, Syrupy
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VARIETY: Castillo
PROCESS: Honey(Passionfruit/ Wine yeast fermentation)
REGION: Armenia, Quindio
PRODUCER: Jairo Arcila
ALTITUDE: 1400 - 1450 m
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このコーヒーは コロンビア中西部 QuindioにあるSanta Monica農園からのロットです。
オーナーのJairo Arcilaは第三世代のコーヒー生産者であり、Cofinetの共同創設者であるCarlos と Felipe Arcilaの父親です。彼はコロンビアで2番目に大きいエクスポーターであるRacafeでミルマネージャーを 退職する2019年まで40年以上勤めながら、自らもコーヒー農園を購入し 生産に当たってきました。 業界の動向に伴い、他の作物生産に切り替えた時期もありましたが スペシャルティコーヒーが台頭してからは再びコーヒー産業に力を入れて取り組んでいます。
彼らが取り組む最新のフルーツマセレーションコーヒーシリーズ。"Lulo", "Lychee", "Peach" に続く今回 ラストは "Passionfruit" です。 厳選されたコーヒーチェリーをパルピングする前に 72時間 嫌気性発酵を施します。この際、発酵を促し また風味を高めるために 地元で栽培されたパッションフルーツとワイン酵母を追加しています。
シリーズの中でも異なる印象を受ける今回の "Passionfruit" ですが(同様のプロセスでの果実による味わいへの影響の違いが面白かったです)、落ち着いた中でもトロピカルな印象のアロマに 熟したマンゴーやパッションフルーツ、洋梨のような多様な果実味に 品種由来(Castillo)のハーバルな風味と質感がブラックティーのように感じられる とてもユニークなコーヒーとなっています。次々と新しい試みが実施されるコロンビアの先端コーヒーを 今回もお楽しみください!
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☕️ Single Origin Coffee Line-up
[Single O]
C) RESERVOIR - Daily blend
T) KENYA Maganjo factory - Washed ←残りわずか
N) SUMATRA Koerintji Barokah Bersama - Anaerobic Natural
[Headlands Coffee]
C) NORTH HEAD - Seasonal blend
C) DEADLY DECAF - Mexico Mountain water process
[B'R.U,T]
S) COLOMBIA Finca Santa Mónica - Castillo Honey(Passionfruit/ Wine yeast fermentation)
[FLOWER COFFEE / BREW BAR]
焙煎調整中
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Categories
T) The Specialty ...Terroir
C) Conceptual ...Sorting, Technology transfer
N) New Wave ...Innovative approach
S)) Special ...Winning lot, Top specialty
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FLOWER COFFEE / BREW BAR
Weekday 10:00 - 18:00
Weekend/ Holiday 9:00 - 17:00
店舗休: 12月 5, 6, 13, 27日 ※17日の週 調整中
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※ 小さなお店ですので 団体利用には向きません(3名以上でのご来店の場合 状況に応じてテイクアウト対応とさせていただきます)
※ 安全面を考慮し 警戒レベル3以上の悪天候が見込まれる場合には予報に沿って営業スケジュールを調整します(なるべく早く店頭張り紙、SNS、Googleにて情報発信します)
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神奈川県茅ヶ崎市東海岸北1-7-23 雄三通り
🚃 JR茅ヶ崎駅 歩8分
🚲 駐輪可 3台まで [バイクだと頑張って2台まで]
🚗 駐停車不可(近隣駐車場をご利用ください、参考: 三井リパーク ¥200-/h)
🦠 周囲に配慮あるご利用をお願いいたします
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#thanxalways #specialbeans #brutcoffee #colombia #fincasantamonica #castillo #honey #fruitmaceration #passionfruit
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#specialtycoffee #singleorigin #coffee #singleo #headlandscoffee #hario #takahiro #mahlkonig #lamarzocco #pesado #kinto #sttoke #flowercoffeebb #everydaybeautiful #shonan #chigasaki #yuzostreet
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230311 青白い山の輪郭、ひかりだす空、前方には欠けゆく白い月、ミラーに映る大きな太陽。佐賀県の東脊振で高速を降りる。濃霧が立ちこめる田園の真ん中の道抜けて、山へ入ってゆく。長崎市へ。路面電車に乗る。美的感覚に欠けるよくない老舗に入ってしまって落ち込む。よりよりを喰らい街を歩く。兵庫と2拠点生活をするカトリック信者のおばさまと五島の教会の話。信号ですれ違った少年が抱えた大きな苺のパック。彼が通ったであろう道を辿って見つけた八百屋で同じものを買う。小さな苺がたくさん詰まったそれを持って、急坂に立ち並ぶ墓地街を抜けて高台の公園へ出る。苺を食べながら、空を舞う鳥と、夕陽で光満ちた海と街を眺める。街へ再び降りで夕食を探すが良い店が見つからず諦めたところに現れたネオン感の光る古い中華屋、常連1人と居間にいるように柔らかく居座るおばあさんとその子供らしい夫婦。皿うどんを頼むと甘くて驚く。酢をかけてちょうどよい。すっかり暗くなった道を一時間走って雲仙へ向かう。キレの良い温泉に入ってゲストハウスでそれぞれに眠る。久しぶりに1人で布団に入る夜。
/12 朝早くから普賢岳に登る。仁田峠から妙見山を通って普賢岳へ。足腰よりも呼吸器が追いつかずゆっくり進む。代謝が悪いのか、身体の熱が放出されずに中にこもって顔が熱くなる。Kは自分のペースで進んで、途中に腰掛けて本を読んでいた。昼前に下山して、海辺で定食屋が開くのを待つがなかなか開かない。移動して別な店で天ぷらをを食べる。天ぷらがあるとつい頼んでしまうが、決まっておいしく食べられるのは最初の6口ほどで、焼き魚にすればよかったと後悔する。タネトや地元の店で食材を買い込む。今日の宿は蒸し場が付いている。小浜温泉を散歩していて見つけた綿を育て、糸を紡ぎ、布を織っている人のお店で、Kがふんどしを買った。いつか店を始められたらお知らせしますと言って別れる。酒屋で五島の白ワインを買い、湧き水を汲んで宿に帰ろうとしていたら、さっきの店で何かの打ち合わせをしていた男の人とまた会って、話しながら歩く。30歳半ばになって削ぎ落とされてやりたいことがわかってきた、と言う。坂口恭平の話をする。宿に帰って魚や野菜を蒸して夕飯にする。
/13 朝ごはんに近所の魚屋で刺身を買う。野菜や餅を蒸す。宿にインターンに来ている人から味噌汁を分けてもらう。熊本でもそうだったけれど、このあたりは白味噌らしく、馴染みのない甘い味噌汁に少し戸惑う。車で南下して島原半島を一周する。南島原の原城跡、本丸から望む有明海の向こうに天草の街。数週間前には向こうからこちらを見ていた。島原で雲仙岳災害記念館を見学した。からくり装置紙芝居のような見せ物などよく出来ていて楽しめた。昨日登ったときに見た景色との実感を併せて、改めて山並みを眺める。夕暮れに諫早湾を渡って帰路に着く。
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2022.9.1-9.15
↑これはロンドンで現像した赤羽の写真。
以下ほぼ写真日記。備忘録。
2022.9.1
Darhamの宿を出発。朝のパブ。
スーツケースで朝ごはん。
なんかヨーグルトに入れるオーツみたいなのの中にスプーン雑に入ってた。日本だったら絶対にスプーンでもう1包装あると思う。私は雑に入ってるのが好き。
今度こそ窓側取れた。
雲が低くて空がものすごく青い。丘が綺麗。
だけどやっぱり後ろ向きに進む。
座席の方向転換が出来ない仕様なのであれば、日本ならきっと上りの方向が前になると思う。しかしこちらはいずれもロンドン方面(進行方向)が背面だった。不思議だけど、まあそういうもんか、と順応し始める。
途中で原子力発電所みたいなのが見えたけどどこかはわからなかった。
シンプソンズで見たことある形。
ロンドンついたけど人多いのとスーツケース重くて疲れすぎてスーパーの寿司の写真しかない。
ゲストハウスに宿泊。
同室に日本人の名前を見つけたけど帰ってくる前に寝落ちした。
英語版『日常』5巻を読み始めた。
2022.9.2
エジンバラで撮ったフィルムが終わったので写真屋さんで現像に出す。
Googleマップを見ると近くに大英博物館があるようだったので、散策しながら向かった。
日本で絶滅したAeroを途中で見つけたのだけど、散策してる最中に全部溶けた。
めちゃいいつま先
モアイの体 cute
日本ブース(?)に三島由紀夫いた。
広すぎてまたしても諦めた。
朝から来れる日にまた来ます。
スーパーで夜ご飯を買って帰る。
生ハムが食べたかったけど、どれが生で食べられるのかわからなくてやめた。前日に見た寿司を買ってみた。Mini Tokyo salmon Set
部屋に戻ろうと思ったらベッドに鍵置きっぱなしだった。
「鍵を部屋に忘れました」の英語を覚えた。
明日、���ンドンに住んでる大学院の頃の同期の卒業��演を見に行くことになった。
2022.9.3
本当に家にする才能がある。
同期の卒業公演のプレビューを見せてもらった。
観客と俳優が交流をするタイプの上演形態で、ああ日本でしばらく見てない光景だ、とおそらく私1人だけ違うベクトルで胸がいっぱいになっていた。
上演作品自体もすごくよかった。”私たちにしか出来ない演劇”というものに立ち会うために非常に有効な劇場と人数だったと思う。
入り口のセキュリティーにビビりながら入ったお店で食べたアーリオオーリオ。パスタの種類わからなすぎて普通の頼んだつもりがきしめんだった。これがロンドンの普通麺なのか?
おいしかったけど脂っこすぎておしまいになった。
帰宅してから共同スペースで作業してたらパーティが始まって困惑した。
金曜日の夜。
完全に残り体力が減っている。
2022.9.4
パッキングがクソ大変だった。朝から汗だく。
もう既にキャリーに入りきらなかったんだけどまじでなんでなの?エジンバラでバグパイプ買ったから?
チェックアウトして TATE Britain に向かう。宿から徒歩圏内だということに前日に気がついた。
Cornelia Parkerの展示が良すぎて、朝のパッキングで既に溢れてたのに作品集を買ってしまった。
常設展示の方は一本道ではなく一部屋に4つ通路があって、ゼルダの伝説 時オカ版の迷いの森かと思った。サリアの歌が大きくなる通路がなかったので迷いました。
私が唯一自信を持ってできるモノマネ、ジャコメッティの彫刻があった。
めちゃいい。
ずっと実物を見たかった”Hope”。
想像以上に大きかった。
とてもいい場所に堂々と展示されていた。
描いた絵が展示になる部屋。迫り来る猫を描いた。
またマフィン食べた。
いよいよホームステイ先に移動。
緊張しながらバスに乗ろうとしたら、乗りたかったのがバス停に止まらない。イギリスでは手を上げないとバスは止まらないらしい。学んだ。
荷物も重すぎるしこれは楽しろということだな、と思い近くの駅からタクシーで向かう。
ホストファミリーがものすごく暖かく迎え入れてくれた。
大きい黒のラブラドールレトリバーもフガフガ私の匂いを嗅いでいた。
人生で good boy をリアルに言う日が来るとは思わなかった。
私の部屋は屋根裏部屋だった。憧れの天窓!
夕ご飯をホストファミリーとルームメイトと一緒に食べる。
ルームメイトのNarrimanはブラジル出身で、私の一つ下だった。「明日一緒に学校に行くから安心してね」「困ったことあったらなんでも聞いてね」とにこにこ優しくしてくれた。ありがたすぎる。
まじで不安だ…と思いながらみりんの安否を確認して就寝。
2022.9.5
初日。
ガイダンスを受けて午後から授業に参加。
チャイム鳴っても誰も来ない。何のチャイム?
学校終わり、ルームメイトがpubに誘ってくれた。
イギリス初飲酒はguinnessでした。
2022.9.6
Good boy の Billy
どうして階段のすぐ下にベッドがあるんだ…?これは土足で跨いでいいのか…?と思いながら毎回通ってる。
キットカットがめちゃくちゃでかいし、チョコの味が全然違う。
果物が安い。
相変わらずチャイム鳴っても誰もこない。何のチャイムなの本当に誰か教えて。
放課後、Narriと近所のpubへ。
夕飯前にでかいハンバーガー食べながら2時間恋バナした。
あとリアルのBless youを初めて聞いた。
2022.9.7
クラスメートがジャム挟んだクラッカーくれた。
ドイツ語とスペイン語の「さようなら」を覚えた。
放課後はMAMMA MIA!を見にロンドン市街地へ。
時間までNariとBig Ben周辺を散策。
ピーターパンだーーーー
ロンドンの空、ターナーが描く空に本当にそっくりでいちいち感動する。
彼はこの空を描いてたのか。
城?
城じゃん。
石造の建物はいいな。
歴史ある建築でここに来ること自体でテンションが上がる。
MAMMA MIA! は最高すぎて一場から爆泣きした。
カーテンコールでも爆泣きしてたらクラスメート達に抱きしめられた。
お芝居がよかったのは当然だけど、お客さんの観劇姿勢に感無量だった。客席の反応がすごく大きくて、舞台上と客席との交歓を感じて胸がいっぱいになってしまった。演劇を見ている��という感じがしたし、演劇のこういうところが好きだった、と思い出した。
2022.9.8
疲れすぎて何も写真がない。
普通に授業を受けて速攻帰宅して夕ご飯まで寝た。
夜中に現像した写真のデータが届いた。
色味が途中から変だった。
おそらく、日本から持ってきたので、空港のX線の影響だと思う。すごく綺麗だったエジンバラの空がうまく残せなかったのは残念だけど、これもその時を残してるのは一緒か、と思うことにした。
エリザベス女王が亡くなった。
「黒い服を着た方がいいですか?」と英語で聞くことになると思わなかった。これから10日間イギリスは喪に服すらしい。
2022.9.9
観劇しに市街地へ。
地下鉄や街中のモニター、お店の看板など、変えられるところはみなエリザベス女王に代わっていた。
けれど、それ以外は普通だった。喪に服すって、交通が止まったりお店が閉まったりするのかなと想像していたけれど、そうかあ、社会はそのまま回し続けるしかないよな、と思った。
観劇前に以前から気になっていたUZUMAKIというラーメン屋に寄ってみた。
どちらかというと全体的にAKATSUKIだった。
ラーメンは普通に美味しかった。
著作権どうなってる?と思う箇所が多々あったけど、これって著作権どうなってる?
見たのは”The Seagull” in ハロルドピンター劇場
客席の反応が日本と違いすぎて(再び)びっくりした。かなり終盤までみんな笑っていて、まじで…⁉︎という感じだった。私としては、マーシャとか可哀想すぎて全然笑えないのだけど、喜劇と悲劇は紙一重を真に感じた観劇体験だった。
ラストシーンが邪悪すぎて最高に素晴らしかった。
一体私は人生であと何回『かもめ』を見るんだろうか…。
2022.9.10
この日も観劇しに市街地へ。
バイオハザードの地下鉄?
この日は”FROZEN”
めっちゃ真横の席だったし見切れてたけどとてもよかった。
小さいエルサがたくさんいて可愛かった。心なしか客席も全体的に水色だった気がするし、私も水色のニットを着てた。
古そうな天井に穴開けて吊ってる
ピンスポ
オケピ
こういうとこばかり見てしまう…。
休憩中、客席でアイスを売っていた。
飛ぶように売れていたしすぐ隣で売っていたので思わず買ってしまった写真。ブレすぎ。
ロンドンの大きな劇場の多くにBARが入っていて、お客さんはワイン瓶とグラスを片手に鑑賞している。歌舞伎スタイル。
観劇体験としてはめちゃくちゃ最高なのだけど、終演後の客席は映画館でも見たことないくらい食べ飲みのゴミが散らばっていてかなりの衝撃を受けている。この掃除だけでどのくらい手間と時間がかかるのか…と想像して怯える。
ドバイ→エジンバラの飛行機を降りる時も田舎のお祭りかと思うくらい荒れてて笑ったのを思い出した。
観劇後、ネガを受け取りにカメラ屋さんへ。
新しいフィルムを買いたかったのだけど、「今���薄で売ってなくて、来る前に電話してもらった方がいいかも。」と言われた。電話のハードルよ…。
夜は大学院の同期とご飯。
久々に対面で日本語を喋った。
タイ料理屋さんと日本食屋さんに行った。
2022.9.11
月曜日。
2人ともギリギリに起きてパンを食べながら登校。
放課後は、今週のお弁当の具材を買うために、普段行かない大きなスーパーに行った。
白いままのフィギュアがついていて、自分で着色するタイプの付録。
行ってみたスーパーに写真屋さんが入っていて、普通にフィルムを売っていた。
2022.9.12
何の写真もなかった。
サラミとほうれん草みたいな草とチーズをオリーブオイルと塩だけで食べるお弁当を編み出した。うまい。
2022.9.13
何の写真もなかった。2
Narriのカバンから無限に物が出てきたので、ドラえもんの「あれでもないこれでもない…」を見せた。私だー!と言っていた。
DORAEMONっていうのは未来から来た猫型ロボットで…という説明で既に面白そうなのすごすぎる。
2022.9.14
「劇場で出来ないことは何ですか?」と聞かれたのだけど、劇場で出来ないことなんてないのでは…?と宇宙猫になった末に出した苦肉の答え→「ペットの販売」
もしかしたら何かの基準をクリアしたら出来るのかもしれない。わからない。
フランス語ネイティブのChocolatを聞いてテンション上がる。
日本の夜ご飯タコス(?)とイギリスの昼ごはんin庭
放課後はライオンキングを見に行く予定だったので、再びNariと市街地の観光。
ロンドン塔を見て、Five guys へ。
新しい街と300年前の建物が共存している。
石造の建物と地震がない国、本当に素晴らしいな。
ロンドン市街地は、エリザベス女王の棺が到着したようで、物々しい警戒体制だった。大きい銃を持っている警官、やっぱりびっくりする。韓国の空港で見た時もカルチャーショックだった。
飛行機雲がいつもよりたくさん出ていた気がするけど、中継などで多く飛んでたのだろうか。
ライオンキングの最寄りの地下鉄、ホームまで階段で降りたら200段くらい永遠に螺旋階段で目が回った。
写真は疲れてる私を尻目に元気よく降りていくNariman
家に帰ったら、シーツを変えてくれたホストファミリーの手によって身代わり人形が堂々としてた。
2022.9.15
フランス語ネイティブのChamps-Élyséesを聞いてテンション上がる。
サラミとほうれん草みたいな草とチーズで作ったサラダ、毎日液漏れしてる。
タッパーとジッパーをくぐり抜けて必ず液漏れしてくる。
液体強すぎる。
ガムを捨てるために破ったノートの余りをファイルに入れたらONE PIECEのビブルカードみたいになった。
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おわり
また気が向いたら書く
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2022年6月21日(火)
女性2人から「父の日」のプレゼントを頂いた。非常勤講師のOさん(娘というよりは年の離れた妹)と学生のIさん(娘というよりはほぼ孫)からである。ゆっくりと風呂につかってから升酒で晩酌、つまみは好物の手巻納豆という趣向だ。いやぁ嬉しい、ご厚意に甘えて今夜は<平日日本酒禁止プロジェクト>はお休みすることにしよう。いいよね・・・?
今日は夏至。
5時起床。
日誌書く。
おぼろそば+そば湯+ヨーグルト。
可燃ゴミ、30L*1&45L*1。
ツレアイ(訪問看護師)は訪問予定が変わって急きょ休みになったとか。
自分の弁当だけを用意し、O姉と一緒に出勤する。
締切を知らず、あわてて作成/提出した「研究倫理審査」の結果が戻ってきた。いろいろ修正点があって再審査、早急に対応せねばならない。しかし、締切後の提出を受け入れていただいた担当職員と、丁寧なコメントを付けていただいた審査員には感謝しかない。
火曜日は、3限・4限「スタディスキルズ(看護学科)」、今日の作業はレポートの仕上げ。ポイントは「自分の意見と他人の意見を分ける」こと、引用の使い方をしっかりと身につけることが肝要である。
夕方帰宅すると、びーんず亭から珈琲・奥川ファームから臨時便が届く。
夕飯は昨日から仕込んでいた無水鹿肉カレー、ツレアイがサラダなど準備してくれた助かった。お気に入りの南アのワインで乾杯する。
いま音楽にできること 桑田佳祐66歳 “同級生”と平和を歌う
初回放送日: 2022年6月21日
桑田佳祐さんと同級生の大物ミュージシャンたちによるチャリティソング「時代遅れのRock’n’Roll Band」が大きな話題を呼んでいる。桑田さんと世良公則さんの親交をきっかけに始まったプロジェクト。ウクライナ情勢や長引くコロナ禍の中で、音楽に何ができるのか。桑田さんと同級生たちへの独占インタビューで迫る。さらにボブ・ディランの名曲「風に吹かれて」の弾き語りも。桑田さんが自ら訳した歌詞にも注目。
テレビをライブで見る、同級生プロジェクト、面白い。
露の新治さんから着信、以前の落語会でのくすぐりについての問合せ、過去記���を探して返信する。当該の記事は<第17回露新軽口噺(2019年9月7日)>。
入浴・片付け、布団に入って柳家小ゑんを聴く、今夜は「鉄千早」。今夜も途中で夢の中へ。
今日も雨だったので仕方なし、水分は1,400ml。
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材料 (2人分)
オリーブオイル 大さじ2
ニンニク 3片
マッシュルーム 1パック 100g
玉ねぎ 1/5個
鷹の爪 1本
キャベツ 3枚位
白ワイン 大さじ2
ブイヨン 1個
プチトマト 6個
バジル 3枚
アンチョビ 3切れ
パスタ 180g
フライパンにオリーブオイルとニンニクを入れて香りを出します。
マッシュルームを一気に投入!強火で炒めてください。
玉ねぎのみじん切りも一緒に入れます。
良い色がついてきたら、鷹の爪を一個入れて炒めます。
すぐにキャベツの千切りも入れて炒めてください。
2分くらい炒めたら、白ワイン、ブイヨンを入れてザッと全体を混ぜます。
すぐにトマトとバジルを投入して、さっと混ぜます。
火を止めてから、アンチョビを入れて一旦待機!
パスタを茹でます。茹で時間より1分早めに引き上げてください。
マッシュルームの鍋を再び火にかけ、パスタを入れて混ぜ合わせます。
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序にかえて パート直人
~序にかえて~ office krsna代表 Take-D=0
2018年初春に作者から、この作品を見せていただいた。絵に無案内な私であったが、色彩や構図の美しさと添えられた文に身体が揺さぶられた。一度世に出してみてはどうかと勧めたが、作者はまるで無関心であった。作者は次々に新たな制作に取り組んでおり、この作品はただの過去(=「死」)の排出物でしかないようであった。騙し騙し排出物を持ってきていただき、作者に解説して戴いた。私の排出物の蒐集・解剖癖にうんざりしながらも、次第に作者は面白がるようになり、ようやくこの作品を世に出すことを了承して下さった。
私のような素人が誤解しないように、そしてもう少しわかるように解説および注釈を入れるという暴力的な提案を作者にした。案の定、「それはナンセンス」と却下された。そこで、私が作者から教えてもらったことを私の主観として読者に示すことではどうかとお願いした。「あなたの主観で切りとったものであるなら、自分の作品とはあまり関係ないかな」と半ば呆れ承諾して下さった。
この作品で私が強調したいのは、まず一見コラージュのように散りばめられた絵の断片一つ一つが、作者の模写あるいはデッサンしたものを縮小したものであり、コピーではないことである。次に切りはりされつなぎ合わされた文字は、作者のお気に入りの本から切り取ってつなぎ合わせたものであるということだ。コラージュのように散りばめられ縮小された絵を原寸で見せていただいたが、その一枚一枚それだけでも私からみると立派な作品であった。わざわざ見えるか見えないか程にまで縮小しなくてもと思ったが、作者は作品全体の構成である「視点(まなざす)人物」の意識に上がっているものの一部に過ぎないという趣旨からすると縮小して散りばめることが妥当であるという。こだわりを持った文字は、一つ一つがかつてキネステーゼ・ゼロの作者の身体を触発した構成素であり、そこから歴史が堆積してゆき、さらに生成・破壊・創発・再組織化を繰り返し、「文字と文字の間」「私と私の間」「私たちの間」「私と世界の間」に多元的な時空間のオートポイエーシス・システムの作動を可能にする。そしてまた我々を相互に疎外しつつもあらゆるものにカップリングさせてゆく。
作品は1~24(ストーリー)と25(クレジット)および26からなる。構成は作者による。以下、私が作者にインタビューし主観的に解釈した登場人物像とストーリーの概要を載せた。作者によると言葉化できないことが多すぎるため、私が主観的に解釈した解説を載せることは、多くの読者に対する暴力的なノエシスであり、下品極まりないことである。しかし、読者や作品に暴力を振るうことになろうが、この作品の存在の意味を広く伝えたい衝動は抑えがたい。以下に作者から私が聴き取ったことを記す。暴力を免れたい読者は、どうか読まずに作品だけをみていただきたい。
Ⅰ・インタビュー:「画家」について。
この作品および続編が描かれるであろう「ある画家の手記」全編を通して「画家」と呼ばれる登場人物は、一般的にいう「絵を売って生計を立てている人」や「絵を描く活動をしている人」とは異なる。ここでの「画家」の定義は「他者や世界、あるいは自分に対しての暴力性にどこまで自覚的であれるか」といった定義である。
絵にする、描くということは、自分の視覚情報や感覚に従順になることで、ひいては目の前にある「そのもの」の存在を尊重せず無視して「自分が」捉えてしまう、そしてさらに「画家」はそれを自らの手と意識で描き出して形に残してしまう。絵は暴力の痕跡である。
「ある画家の手記」に登場する人物(画家)たちは、それぞれの方法でこの暴力性を自覚するなり折り合いをつけるなりして生きている。そして「画家」は誰しもが暴力的であるという事態に対して、一部の「画家」たちには共通認識がある。特に強い共通認識を有するのは、この作品の『視点(まなざ��)人物』である名廊直人と次回作の『視点(まなざす)人物』になるであろう行屋虚彦の二人である。それぞれ40歳と15歳である。この二人はお互いの年齢を気に留めず対等に画家として接しあい、まるで共犯意識のようなものをどこかで抱いている。パート1(本作)の『視点人物』である名廊直人は頑なに静物を描き続ける。なぜなら、「人間や生物はその加害性に耐えられないから」である。静物というモチーフに愛着があって描いているわけではなく、もっとも容赦なく自分の感覚そのままに描くことかを許されるという錯覚を抱ける対象は静物であった。それが名廊直人にできる唯一のことであるとも自分にしかできないことだとも本人は思っていない。自分に能力があるか否か、はては絵に向いているかどうかすらどうでもよく、ひたすら誠実さを求める。このことは人間関係にもあらわれ、他人に対しても能力ではなく誠実さを求める傾向がある。彼の誠実さはどこまでいっても「描き表すことで踏みにじられる」類のもので根本に捩れがあったが、本人が絵以外の道を思い浮かべることができず突き詰めてしまう。彼を救うには彼から絵を無理やり取りあげる必要があったが、誰もその発想を抱けないほどには彼の静物画には人を黙らせる力があった。彼の人生は静物画というものに半ば乗っ取られて終わる。彼は弱いから人間を描くことを恐れている。作中に登場する人物で、個人が判別できるくらい特にしっかりと顔まで描かれているのは、同罪者である行屋虚彦と、自分の暴力性を過去に許してくれた元恋人の冷泉慧鶴、自分の暴力を受けとめる名廊情香、そして自分に描く道を示した隆木義清(先生)の四人である。名廊直人の画家としての手段は「誠実であること」ひとつだった。パート1の名廊直人においては、「画家」像の限界が「死」という形で実を結ぶ。しかし次回作パート2で行屋虚彦が「画家」像の限界に「隷属」を手段として挑むであろう。
Ⅱ・インタビュー:『視点(まなざし)人物』の名廊直人について。
頑なに静物を描きつづける画家である名廊直人は、物腰は穏やか、誰に対しても柔和に接し、たいへんな正直者であり、嘘をつけず騙されやすい。189センチの長身でいびつに大きな手が目立ち、学生時代に「フランケンシュタインの怪物」と揶揄されていた。目眩に襲われてよくふらつき、全体的に覇気がない。口下手であり、なかなか思考が言葉にならず、言葉を落とすように喋る。
直人は自分の身体「目」で隔てられた自分の外側を世界のすべてとし、自らの内側と存在そのものに違和感と疎外感を抱きつつも、画家として「まなざし」描くことで世界と関係を結びながら生きてきた。しかし、絵として描き出すということは、絶えず変化する世界をそのまま捉えようと懸命に誠実さを尽くす直人をいつも最終的に踏み躙った。
直人の 認識は静物と生物は同じラインで捉える。直人が誰かを呼ぶとき、親しさと関係なく相手を名前で呼び捨てやすいのは「ワイン瓶、頭蓋骨、林檎、××」というふうに「ただそこに在る」ことを認めている以上の意味合いがないからである。 この認識の仕方を仮に【静物画的視点】と呼称する。 彼は、相手への人間的な共感能力や社会性や同調性に欠けるが、相手を目の前のものそのものとして尊重し、存在を認めたものに存在にあたうかぎりの誠実さを尽くす。それゆえに短期的な浅い人間関係においては歪さは目立ちにくい。このような理由から二人称を使って会話することは滅多にないが、数少ない親しい人間に対して「きみ」「お前」といった二人称を使うことがあり、そのような相手とは静物画的視点を超えたなんらかの人間関係を築けている。 直人には社会的な約束事が通用せぬようにみえる。なぜなら、上記事情ゆえに「まなざし」で捉えうる現前する相手とただ関係をもつため、複数人との年齢性別を問わない肉体的な関係を実に真摯にそして淡白にもつことが周囲の理解の枠を超えるからである。「美しい」と感じたものを美しいままに許容して見つめることができず、強い陵辱の衝動を起こす。具体的には突然暴力を振るったり相手をレイプするなど反社会的な行動として出た。その衝動は静物画的視点から見た適切な距離感を一気に飛びこえるもので、その衝撃と強い嫌悪感から「目眩」を起こして倒れる癖は生涯に渡って彼の心身を蝕んだ。直人は「目眩が起きるのは仕方ない」と言い、普段は降参してそれと共生するような態度をとった。目眩に負けて倒れることは相手を凌辱しないための無意識に働く安全装置であり、彼はそこは理解して納得している彼が目眩を起こす対象は「美しいもの」であり、そこには生の生々しい脈動がある。目眩=美しいものへの結論が「描くこと」であり、彼を画家たらしめている故に、彼は目眩のない世界で生きるつもりはない。それは40歳での「死」という形で結実する。 これらの直人を苛むものが彼の幼少期の生育環境とトラウマに起因するかは誰にも証明できず、少なくとも直人はその説明では納得できないほどの苦しみを抱えていたためどんな理解も退け続けた。他者から見て明らかな心的外傷の影響を示唆するものとして、虫を極端に怖がる、数字を見分けることが苦手である、強迫的な除菌癖、指先の第一関節より先に軽度の麻痺がある、重度の鬱症状として色覚の彩度が低い、相手を思いやるセックスが困難で暴力的になる、などがあった。本人はそれを病的なものだとは自覚していないし、それらが先天的なものである可能性が捨てきれない以上、誰が彼を病的だと言えるだろうか。それは彼に具体的に踏み躙られ人権を犯された人間にのみ糾弾する術として許されるだけであろう。直人の生涯においては妻の名廊情香をはじめとする幾人かに糾弾され、あるいは諦められて人間関係を結んでいた。まったく異なるケースに「完全な庇護対象=子ども」と、同業者の行屋虚彦、歌う白痴の耀屋七、画の天才である行屋疾彦、狂気の綾瀬香澄などとの人間関係があった。
Ⅲ・インタビュー:本作品 <ある画家の手記>について。
40歳の3月30日未明、直人はしっかり身支度を整えて身辺整理をし、アトリエのある建物から投身自殺する。契機になる出来事はなかった。生来の頑丈な体に救われて未遂に終わるが、後遺症で直近の過去を思い出すのが苦手な記憶障害を抱えることになった。 退院後、間をおかずに元サナトリウムの療養所へ入った。ここから6月23日の「死」までの約三ヶ月間の彼の手による手記が<ある画家の手記>本編になる。名廊直人は、精神的吃音(実際に吃りはしないが何か語ろうとするときに一度どうしても心の中で引っかかってしまう不自由さ)があり、そのことを表現するためにすべての文字を既存の媒体を一度通しての角度の歪んだコラージュにした。彼の社会的なもの(一度製本されたり印刷された)への姿勢や目線と一致させている(疎外感)。画面に散るノイズのようなものは文字をコラージュする際に完全に消すことを控えた余白部分である。そのような社会的に認められた大手を振って存在するものに彼の人生は阻害され、疎外され続けた。それでも彼はスタンプの文字であったり新聞や本の印字された文字だったりを借りてなんとか自分について語る。そもそも言葉にすることができないものを多く抱えているが故に彼の人生の形は画家である。彼は徹底して自分の目で見ることにこだわるため、作中に彼自身の姿は具体的には登場しない。この本の内容はだいたい彼の「まなざし」そのものである。ラストは視点人物の死だが、本の序盤ではイラストレーション的な、視点人物の手による現実の再解釈が強くなされた表現をしている。ラストに近づくにつれて表現はだんだんと写実的で細密な、視覚に殉じただけの描写へ移り変わっていく。それは視点人物の「死」が近づいていることの黙示である。ここでいう「死」は、いうまでもなく括弧つきの死である。
Ⅳ・インタビュー:パート1~26までの解説。
1、彼はひとつの水槽の中に一匹だけ飼えるベタ(魚の品種名)を好んで飼っていた。彼にとって魚は社会に生きる人の象徴。魚を飼うのは、彼自身が失念しやすい社会や他人の目線を、彼の日常で目の届く場所に、自分が管理しないと保たない形で置くことで、画家という孤立しやすい生活でも社会をうっかり忘れないためであった。彼は海辺の療養所に入った。飼っていた魚もつ れていこうとしたが、全部はつれてこられず、数匹を仕方なく焼いて食べた。bett%.7というスタンプは彼が食べた魚の数である。もうひとつ彼にとって社会的なものの象徴に「言葉」と「文字・記号」がある。 記号の書かれたマスキングテープに四角く囲まれる構図は、彼が野放しにされずに施設に収容されることの暗喩である。
2、綺麗に合いそうにない不器用でガタガタの歯車のシルエット。これがきっちりと噛み合った正円の美しい歯車になり、歯車が合ってしまうことは、辻褄が合うこととなり、すなわちそれは彼の「死」を意味する。
3、彼は静物画を主に描く。ジャン・シメオン・シャルダンは静物画の元祖と 言われることの多い画家である。まばらに散らばった果物などはすべてシャルダンの絵の部分模写である。
4、「世界は僕の外側にある」と彼は言う。窓を閉め切った室内は彼とほぼ一体になった彼そのもののような空間だが、窓を開けると勝手に虫が入る。コ ントロールできぬものだから、彼は虫を恐れて部屋から締め出そうとする。部屋に漂白剤をかけるのも似たような理屈で、前の住人やカビや細菌などコントロールできないものを自分の世界から消し去ろうとしている(「死」)。 二つに分断された虫たちは、デミアン・ハーストの立体作品から着想を得た。嫌いなものを分断して殺してしまうことは、結局それらがたしかに生きていたことを受け容れ引き受けることになる(画家の暗喩)。
5、スタンプのNo.501とは、彼の入った施設の部屋番号。
6、彼は時計を持たず、制作に没頭するとよく昼夜も寝食も忘れる。カーテンのあいた窓ガラスにうつった自分の姿を、いるはずのない母の人影と一瞬見間違えた。彼は、怖くなってその日からカーテンを閉めてしまった。 結果、部屋がずっと暗くなり、朝や昼が何度もすぎて日が経ったことに数日間も気づけなかった。眠るときは画面に散った大量の睡眠薬で眠る。彼の体内時計はずっと以前から狂っていた。
7、彼は数日間が勝手に過ぎ去ったことを職員から聞いてやっと知る。それではいけなかろうと思い、職員から時計を一つ借りる。壁掛け式の正円のローマ数字の時計。彼には少しの識字障害があった。ローマ数字を知らない彼には時計の針がどこにあっても今が何時なのかはわからない。さらに壁掛け式だったが部屋の壁に時計をかけられるような突起もなかったため、床に立てかけてみたが、正円の時計は勝手に回転してしまった。仕方なく彼は時計を床に寝かせてみた。すると自分が部屋を歩き回るたびに時間が変わってしまい、彼は途方にくれ、職員に時計を返却した。 数字ではなく自分の見えるよう自分の都合のいいように時計を無意識に改変して見てしまうエピソードから、絵のために実際の在りようとは違う描き方をしたキュビズム表現の父であるポール・セザンヌの静物画の模写を添えた。
8、ル・コルヴィジェは画家ではなく建築家だが、私生活では好んで絵も描いていた。絵で高い評価は特に得られていない。コルヴィジェの最期は水難事故だった。なお補足だが、ル・トルネ大聖堂のスケッチを添えたのは、メルロ・ポンテイが「目と精神」を書いたのがトルネであり、セザンヌの出生地がプロバンスであるためだ。 直人にはかつて入水自殺して失った友人(青峰)がいた。いつも大きなラブラドールレトリーバー(バスターキートンという名前。キレのある動きと体型と目つきから)をつれていた友人は、直人と出会う前にも何度も自殺を試 みていた。数回目の入水自殺が失敗に終わったとき、その人は海の上に浮かんで一晩中低体温で震えながら夜空を見ていた。月の位置が変わり、流れ星が流れるのも見た。電灯や街の灯からは遠い海の真ん中、深夜にもかかわらず、海から見た地上はぼんやりと薄く光っていた。それを友人は、月や星が輝いているように「この地球も光っていたのをこの目で見た」と直人に語った。直人はその言葉を大事に覚えていた。 友人を思い出した直人はようやく施設に入って初めて外出しようと思い立った。
9、しかし、外出届を出しても自分には行きたい場所がなかったことを思い出した。 どこかへ行きたい気持ちだけある、宙ぶらりんになった状態。ファン・ゴッ ホの「向日葵」の中でもまだ花瓶にいけられていない絵の模写を添えた。
10、11、彼の中での友人たちのイメージ、ロバート・ラウシェンバーグやアンセルム・キーファー、グランドピアノ、モルフォ蝶、モネ、ユトリロ、バスキア、ブラック、ジャコメッティ、檸檬などが登場する。小さな男の姿 は、ギュスターブ・カイユボットの絵の中に佇む、都市化していくパリで置き去りにされて所在無げにしている労働者階級の男の模写である。 補足だがメルロ=ポンティのloeil et lesprit (「眼と精神」)からインスパイアされて彼(直人)のキャラクター像が生成された。このページと次のページはセットで赤と緑の色調。彼は赤緑色弱でありこの二つをうまく見分けて描いてはいなかったであろう。
11、絵の先生の話。 大学の恩師で、唯一直人の絵の師と呼べる人の死の経緯について。先生��術後に病室のベッ��の上でも点滴をつけながら頑としてタバコを吸った。先生の描く絵は緻密な水彩画で、先生のありようは桜の大樹に似ていた。
12、佐伯祐三とファン・ゴッホの自室の絵の模写。このゴッホの絵は視点が低いように見える、まるで小さな子供が世界を見ているようだ。 それは5歳で精神的には止まってしまった直人と似た、悲しくなるような稚拙さを画面いっぱいに滲ませている。先生の死の事実を思い返して苦しくなった彼はめちゃくちゃな線を描く。普段の彼は濃淡や面で絵を描くが、寂しさや苦しさが極度になると意味のない 線だけを描くようになる。 線の上に被さったものは、まだしっかりと合わないものの2より作りが精密になってきている歯車である。画面全体にも小さく描き込んだ歯車がまだバラバラだが散っている。
13、大学の頃の旧友がこのピンチに駆けつけてくれた。友人の名前は冷泉慧鶴。大学で美術講師をしている。彼が教えるのは、主に静物画という絵画ジ ャンルが生まれるより以前の時代(ルネサンスから印象派以前くらいまで) の絵画史などで、画面に散らばる模写はすべてその時代の間に生まれた名画たち。静物画を描く直人にとってはメタファーとして過去のものになる、そのためすべてセピア色に褪せている。左端の矢印のついた絵は、「レフカス のサッフォー」、自殺の瞬間の名画である。
14、夢。どこかの街を歩く犬のようなもの。 全面にスタンプを押した犬の姿はジャコメッティの犬の彫刻がモデル。意識は夢の中で旅をする。テオ・ヤンセンのストランド・ビーストのように、それは直人の意思とはまったく別のものの軌道を描いて移動する。
15、ブラックアウトして夢から醒めた意識。うずくまる男の姿はジャン・オーギュスト・ドミニク・アングル「オシアンの夢」に描かれたオシアンの模写。オシアンは覚めたくないような幸せな夢を見ていた。直人はこれまでを思い返して「みんなほくにやさしかった」という言 葉に纏めようとする。直人にはその優しさがずっと辛く、この一文には「それでもぼくは死んでしまうのだ」というような情態勢がつきまとう。ここでも線だけの絵が出ている。
16、画家のつてで知り合いの高校生(杉崎景一)が、突然直人の部屋に訪ね てくる。 彼は相貌失認と醜形恐怖を抱えており、額に生えた小さなツノのような突起を意識して見てしまうとそれら二つの関連した発作を起こす。そこまでの道中降っていた雨の中、水たまりにうつった顔がひっきりなしにうつりかわるのを景一は見ていた。揺れる水たまりの波紋のデッサンと景一の顔を抱え込んだ後ろ姿。景一の空白はフェリックス・ゴンザレス・トレスのキャンディのインスタレーションと似ている。背中に被せたヴァイオリンはマン・レイの有名な作品からの模写。音といえばマルク・シャガールだ。音楽をする人間はシャガールの絵を見るとよく音楽が聞こえるという感想を言うらしい。ここでしっかりした歯車の輪郭線だけが出ている。
17、「純粋形相」の文字がうっすらと見える。「行屋虚彦がきた。」 行屋虚彦は現在15歳でプロの画家だ。この行屋虚彦が名廊直人の死後に、次作の「ある画家の手記」のパートを引き継ぐ視点人物となるだろう。この虚彦の母親は、後のページに出てくる「七ちゃん」である。 虚彦の生き方や描き方は身投げに等しいもので、頭も腕も捥がれてなお直立して風を受けるサモトラケのニケを連想する。 それを最終的に救うのは母「七」で、子供を守る姿はケーテ・コルヴィッツの絵を思わせる。一方、虚彦の絵はジョン・シンガー・サージェントの厳しい色彩選びを彷彿させる。
18、行屋虚彦が、「直人さん」と「発言」する。この本で唯一発言が出てくる人物。彼はいつも描くことだらけで埋まった頭で、共感覚と神経過敏な体質にイライラしていた。彼は何を見るときも何色の油絵の具で描くかを頭の片隅に置いている。頭に油絵の具の顔料の名前が勝手にズラリと並ぶ。このページだけ唯一発言者が行屋虚彦なので、ページ全体の色調も虚彦の色彩感覚に支配されている。 画面端に僅かにうつるのはiPadの輪郭。直人と違って虚彦はそういう最先端の道具も使いこなす。 次作のパートではこのページの色調がメインになるだろう。 直人は一つ前のモノクロに近いおさえられた色調の世界で生きている。
19、妻(名廊情香)がきた。普段は暴力を振るってしまうために、直人は彼女と距離を置いていたのだが、やはりに彼女にまたしても暴力をふるってしまった。耐えられずにまた線が彼女の上を飛び交う。
20、すぐそこまで迫っている「死」の予感に、直人は6年前に自殺した自分の兄のことを思い出す。兄・名廊雅人は潔癖で強迫的で、都会的だった。徹底して自己コントロールのできるものだけを手元に置くような人間だった。愛車はロールスロス。味覚障害と重度の鬱病を患っていたものの、死ぬまでそれを誰にも悟らせない完璧な振る舞いを続けた。 そしてある日突然前触れもなく死んだ。 ひたすら絵を描く直人にとって「写真」は「死んでいるもの・殺されたも の」のように見える。このページでは、この本で唯一の写真(桜の枝)をわざと使った。そして絵の想起はひとつもない。
21、「七ちゃん」(行屋虚彦の実母て、直人の大学時代のクラスメイト)。彼女には障害があっていつもぼんやりしていた。たまに歌うように音を紡いだ。皆不気味がっていた。彼女の意味不明な吐息のような声を「歌」と呼んだのは直人だけだった。一人で泣けない直人は彼女のもとへ通って、彼女の歌を聴いてそっと涙を流していた。そんな二人の姿はカリエールの絵に出てくる寄り添う人と人のようだ。そして彼女の白痴と絶対の救済はパウル・クレーの天使を思わせる。
22、天使が迎えにきてしまったので、あとは「死」だけという感じ。もう何も想起できず、ただただ直人の描いた静物画が出てくる。 「なにもかく××がない」。なにがないのかすら本人にはもう分からない。
23、ぴったりとあってしまった正円の歯車。これまで散らばっていた小さな歯車がすべてこの中におさまっている。そして上から被さるように歯車と混 ざって癒着するように視神経の断面図のデッサン。 視覚に認識を頼りすぎた直人の歪さと、見えるものしか尊重できない姿勢が 自分自身にまで向いてしまう。自分は自分の目で見ることはできない。他のたくさんのもので知らなければならなかったそれを、彼は絵を描くうちにすっぽりと落としてしまった。
24、未完の静物画。半ばで直人の「死」。
25、クレジット。これまでぼんやりとしか直人には認識されなかった世界を直人の目で見る世界とは違う見方で人物たちを紹介した。 直人がよく忘れる名前という記号がそれぞれにアルファベットでしっかりと ふられ、絵には細い輪郭線がつけられている。記号と文字で顔が覆い隠されて恐ろしいものに見えていた人間たちは、実際はそんなに恐れなければいけないものでもなく、みんな朗らかに笑っていたのかもしれなかった。
26、それぞれのキャラクターを象徴するものを小さなイラストで散りばめた。
作者からインタビューして私が拾い上げたことを書いたが、いかがであろうか。作者と直人そして虚彦は包摂関係にあることは自明である。それゆえに「死」はカギ括弧つきなのである。そして、レヴィナスの「汝、殺すなかれ」が浮かび上がるのである。
2018年7月7日 大泣きする七夕の夜に。
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夢日記
書き溜めたやつの続き。2/2
4/20 月を小学校の先生に似た女性と一緒に追いかけた。月は思ったよりもよく動き、追いかけるのが大変だった。夢中で走っていると夜に沈んだ太陽も見えてきた。と思ったら体が浮き始めた。地球の重力圏からはみ出しそうになった。
6/25 友人と私の3人でとある目的地を目指していた。電車や新幹線を使うとお金がかかってしまうので徒歩で行った。しかし途中の中間地点の駅に向かおうとグーグルマップを活用するも砂嵐に巻き込まれたり蛇の洞窟に入ったり。息も絶え絶えに歩き続けたら元来た道に戻ってしまった。とある大きな勢力がループ構造にしたらしい。(恐らく鉄道会社を掌握しているグループだ)私はここまで散々な目に遭い結局鉄道会社に金に払う羽目になるのが嫌で目的地に行くのを諦めてしまった。
7/10 男性外国人にペットボトルか何かを投げつけられて、私はそれを蹴飛ばして歩いた。外国人はこちらを凝視しながら追跡してくる。怖くてコーヒーショップに駆け込みレジの黒人のお姉さんに「Help」と言った。レジの奥に男性が2人くらい見えた。お姉さんが無反応だったからもう一度でたらめな英語で助けを求めたが、奥の男性の1人が「分かっている」と言い追跡してきた外国人の方を見ていた。
8/7 ドアが壊れてしまった。虫がたくさん入ってしまう。途方に暮れているとある男がやってきて直すのを手伝ってくれた。この男はすらっとした体格で妖しい色気を持つ、まるで漫画の黒幕キャラのような男で、実際女性を騙しては殺していると専ら噂されている。
ドアが壊れる前、駅ビルにあるカラオケに行かないかと高校の同級生に誘われたが、それを乗り気じゃないのを用があると偽って断り、帰る準備をしていた時どこからともなくこの男が現れ優しい言葉をかけてきた。
私もいつかこの男に殺されると分かっていながら、でも心の片隅で自分は特別で殺されずに済むかもしれないという期待をしていた。
9/4 コンビニとケンタッキーと教室が一体化したような建物の部屋で泊まっていた。何かの旅行の最中だった。
机で寝て起きたら部屋の前の方にあるレジが開店の合図を出したので、喉が渇いたから爽健美茶の500mlと、レジでホットスナックを買おうと思った。他の宿泊客で混み始める。私が行ったレジはやたらカウンターが高くて大変だった。「ファフィ」なるチキンを頼む。店員と雑談をする。自動車免許を持っていないと言うと信じられないというような顔をされた。
お店を出るとそこは高架線の下にある原っぱだった。向こう側には川が見える。まだ朝だったので辺りは薄暗く霧がかかっていた。近くにバス停がある。あれに乗って次の場所に行く。私は二度と会えない人々と話をしてしまった事が少し悲しかった。
9/18 海岸沿いにある観光名所に大人しくて独特なリズムを持つ男の子と一緒に来ていた。バーやコーヒーを売っている所。ブラジルのコーヒー豆も売っていた。高級で期間限定のお店もあった。黒い外装にワインや肉が並んでいて、テラス席には大人たちがたくさん食事をしていた。屋台街を���けると海岸で、海の向こう側の岸に廃墟のような大きな岩でできた建造物があった。2人で見ていたがふと私はここに学校をサボるために通っていたことを思い出した。
10/10 盗賊の白人の老夫婦を車に乗せて盗みのターゲットである場所に行き敵対勢力との銃撃戦に巻き込まれた。私はただ台風を避けてさっさと家に帰ろうとしていただけだった。
10/27 火���へ人類史上初めて足を踏み入れる事になった。真夜中、数人の子供と研究者らしい大人数人とロケットに乗り地球を出発した。ツイッターでその事を呟く。ロケットは3部屋に分かれていた。ロケットはすごい回転をしてあっという間に大気圏を抜けて月を通過した。月からは私は眠っていた。寒かった。
火星に到着すると私たちはロケットから降り、火星の地を踏みしめた。夜だった。荒っぽい灰色の大地にロケットが駐車場のように白い線で区切られたスペースに停まっている。船員の内の誰かが発した「地球とそんなに変わらないな」という一言をきっと誰もが心の中で思ったに違いない。
2回目の火星訪問。ガラス張りの建物の6階から続く渡り廊下を抜けた先に小部屋があり、そこがロケットの搭乗口に繋がっている。前と違う所に降りたのか、今度は人工物がたくさんあるところだった。多分研究施設か、火星移住計画が完成した暁にはターミナルになる場所。遠くにテーマパークのようなものや海まであった。写真を撮ろうとしたら建物の隙間にスマホを落としてしまった。世話好きの女の子(どうやら私は世話の焼ける子として周知されているようだった)が取って来てくれた。
9/8 潜水艦に乗っていた。水没した東京の駅近く水没する前に残された未知のものがあると地図に記されていたため、それを調査しに行く調査団に同行した。船の中は薄暗くて寒い。船の燃料が尽きそうだった。狭い隙間(地下鉄の改札へ行く地下通路だった所だろう)を通り、ようやく水面に船が顔を出した。果たして地図上に書かれていた場所には開発途中で放棄された土地があった。何かの記念館を建てる予定だったのだろう。地面に枠組みの残骸と道路の標識看板だけが転がっていた。船員達、とくに船長はがっかりしていた。私も内心肩透かしを食らっていたが、前々から噂で東京の鉄道記念館が建つ予定だった土地だと聞いた事があり、その確認ができただけ収穫はあったと言える。私は標識看板を手に記念撮影をした。発見を喜ぶフリをした。次の冒険に繋がるものがここには何も無くて、それだけがつまらなかった。
6/22 トンボの翅を学校から受け取って、トンボになりきれる能力を得た。昆虫を食べる。特にカブトムシの幼虫が美味しかった。そのままトンボの一生を終え、再び人間に戻り、次は蛇を学校から受け取って蛇になりきった。妹も入学してきて同じように蛇を貰った。黄緑色の蛇だった。いつも通りエサの昆虫を食べるとあまり美味しく感じられず、虫を見ても食欲が湧かなかった。なりきりに失敗したのかもしれない。貰った蛇に左手の親指と人差し指の間を噛まれた。
7/14 祖父の車に乗って祖父母が住んでいる土地へ向かった。妹と母も一緒だった。団地に囲われた見慣れない一軒家に入り、その裏庭に生えた白くてつるつるした裸の木の側に置いてあった椅子に座り、談笑しながらトマトやぶどう、リンゴなどを食べた。知らない男性がトマトを渡してきた。少し汚れていていかにも自家栽培といった風情のトマトだった。
12/12 白い犬が道路に飛び出しどこかへ行こうとしている。その犬は生霊の様に透明で、その後ろにあった一軒家から同じ見た目の生きている犬とその飼い主らしき高齢の女性が出てきた。私は生霊の犬が何か強い意志を持ってどこかへ行こうとしているように見えたので、女性に声をかけようとしたが何て言えばいいのか分からず、結局そのまま声をかけられず仕舞いとなった。
2/22 母と2人で神社のような所にいた。色々な展示物を見ながら一方通行の道を進む。母が後ろを尾けてくるモノに気付いた。水色の鳥の仮面に黒いローブを纏っていて、気付くとこちらに向かって走り出してきた。大きな鷲のような羽も生えていた気がする。こちらも羽を出して飛んで逃げる。その様子に気付いた他の参拝客達がその水色のモノを取り押さえていた。そのモノは押さえられる際刃物で刺されたようで、抵抗する力がどんどん弱まっていくのを冷めた頭で見ていた。
4/28 知らない仕事内容の事を詰められて困った。とりあえずスプレッドシートの数字を参考にしながら半紙を切る。上司は焦っていた。
5/8 油絵を2枚描く夢を見た。1枚目はデジタルで描いたような絵。青や赤を置いて後から白で上塗りして良い感じにする算段だった。2枚目は傷口の絵を一旦描いて、その上から白で塗ったり被せたりして治癒する作品。傷口の段階はグロいので周りの人々への配慮で、描いている部分以外の箇所には布を掛けて隠しながら制作した。
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#たべもの #コーヒー
松本のコーヒーショップ、アルプスコーヒーラボさんのドリップコーヒーです。
コーヒー豆を色んなお酒に浸けたシリーズとのことで、ブランデーとかワインとかがあった中、ラムをチョイスしてみました。
普通のドリップコーヒーの形ではなく、ティーバッグタイプ。出し方か湯の温度がまずかったのか、結構薄い感じになってしまいました。
ただ、ほんとにコーヒーの香りの中にラムの甘い香りが混じっていて、変わり種としてはすごく面白い!ラムの香りはごくごく分からない程度かなと勝手に思っていたんですが、結構香りが前面に出てくるのでそれも面白いです。
調べてみると、わさびコーヒーとか七味コーヒーとか、ぱっと見ゲテモノかな?みたいなコーヒーも作られているようで。変わり種好きな私としてはめちゃくちゃ気になる!というか、この前松本に行ったばかりだったので、行っとけばよかったぁぁぁ!!と後悔しきりです。松本に再訪する理由ができたので、またどっか��訪れたいところです。
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互いの食欲(R18)
食事中、対面にいる彼になんとなく視線を合わせたときだ。
大きく口をひらき、焼いた豚の塊肉を食いちぎるハルシン。歯を立てる瞬間に目を閉じたのを見た。そのときの表情はタヴにとってどこか見覚えがあるようだった。
一度に頬張る量は多いが、次から次へと忙しなく掻き込むことはなく、ハルシンはゆっくりと顎を動かして咀嚼する。食べ物の味をよく味わっているのだろう。そのためハルシンの食事の動作はどこか優雅に見えた。それは貴族の優雅さというより、自分で仕留めた獲物を誰にも邪魔されず楽しむ獣の余裕といったところか。
それは、タヴが知っている彼のセックスそのままだった。
肉を何度か頬張った後、木のゴブレットに注いだ葡萄酒を飲む。ごく、と酒が喉を嚥下すると、逞しい喉仏が動いた。
瞬間、タヴは何も飲んでいない自分の喉が鳴るのがわかった。
「どうした? タヴ」
見つめられていることに気づいたハルシンは不思議そうに訊ねてくる。
タヴは自分が食べるのも忘れて、一連の仕草をぼうっと見つめていた。
彼の声に現実に引き戻されて、自分でもよくわからないままに慌てる。
「うっ、ううん何でもない……!」
素早く首を振って視線をそらす。
まさか、食事するところを見て、昼にふさわしくないものを連想したなんて言えない。
すでに何度も情を交わした仲とはいえ、食事する姿から彼のプライバシーな世界を覗き見しているようないけない気持ちになる。それに、周りには仲間もいるのに……。
「タヴ、食欲がないのか? せっかく多めに肉を焼いたのに」
胸の中がもやもやして食事どころではなくなったタヴに、今日の調理係のゲイルが心配そうに訊ねる。
その視線はちらりと大皿に向かう。頑丈なタヴの体調を気にしているというより、彼はたくさん焼いた肉の行く末を心配しているようだ。
「わ、私はもう十分食べたから。レイゼル、残りは食べて」
「なんで私が? 戦士に余分な脂肪は不要よ。残ったらカーラックかスクラッチにでもあげなさい」
「ちょっと、人を残飯処理みたいに言わないでくれる!? まあ食べるけどさ!」
「俺もまだ食べるぞ」
カーラックの後に続いてハルシンも言う。
その台詞にタヴはひとり頬を染めた。
まさか食事姿に発情されているとは、大ドルイドでも決して知るまい。
***
キスの合間、緩やかに滑り込んできた舌がタヴの舌を捉え、ゆっくりと絡めとった。
彼は自分からはあまり動かず、タヴが舌を動かすのを待っているようだ。おずおずとタヴが太い首に抱きつき、控えめに舌を這わせると、それに合わせるように彼が動いた。
ゆっくりと、恋人を味わうように。
顎の下からぽたぽたと唾液を垂らしながら、タヴはとろんと目を細める。
恋人の恍惚を感じ取ったのか、ハルシンは穏やかに笑い声を立て、抱いた彼女の腰をさすった。
その触れ方に、正面から抱き合って繋がった場所を意識させられて、タヴは思わず太腿をぴくんと震わせる。
「気持ちよさそうだ」
感じている顔をことさら長く見つめながら、ハルシンは低く嗄れた声でささやいた。
タヴは草の上に座ったハルシンの上に抱きかかえられている。ぎゅうと固く抱かれて密着すればするほど、彼を受け入れる胎内が甘く疼いた。
「だって……きもちいいから……」
そう言うほかないタヴの答えに、ハルシンはまた深いキスで応じる。
くちゅくちゅと濃密な水音を立てながら、舌と舌を絡め合わせる。繋がったままキスをするとこんなに満ち足りた気持ちになるのは彼で初めて知った。
350歳の恋人に大人のキスを仕込まれている最中のタヴは、自分が知っている動きをすべて使って彼を喜ばせようとする。
自分が動くと、ハルシンは嬉しそうにそれを歓迎する。
彼はふたりで昇り詰めていく感覚が好きなようだ。自分本位な動きは一切せず、若い恋人の快楽を一番大事にしている。
それはどこか、命を享受する食事という行為に対する、彼の考え方に似ている気がした。
獲物に敬意を示すように肉を深く味わう。さながら獲物の命と自分の命は対であるかのように。
(……なんか、すごくえっちだ……)
「動かすぞ」
タヴが物思いに耽っていると、ハルシンがそう言った。
「……いいか?」
「っ! う……うん……」
一拍遅れてタヴが返事をする。
「そうか」とうなずき、ハルシンは濡れた唇に軽くキスを落としてから、タヴの臀部を両手で掴んだ。
「っふわ、ぁ……」
ゆっくりと引き抜いて、また挿入する。
時間をかけて愛されたタヴの感覚は、その緩慢な動き��も深くため息をこぼした。
背筋を通り抜ける快感にタヴが首をそらすと、胸を目の前に突き出すようになって、ハルシンの唇にちょうど触れる。
避けるはずもなくハルシンは柔らかな肉にかぶりついた。
乳房をじゅるりと音を立てて吸い上げる強さに、タヴは耳が羞恥で焼け落ちるかと思った。
たべられている、という感覚がする。
丁寧に味わって、咀嚼されている。
そして腹の中で溶かされて、彼の一部になっていくのだ。
タヴは堪らず声をあげてハルシンの頭に抱きついた。
「っハルシン、すきぃ……っ」
突き上げられるたび、ぴちゃぴちゃと愛液が跳ねる。
「すきっ! すき……っ!」
熱に浮かされてあえぐようなタヴの告白に、顔に胸を押しつけられているハルシンは「俺も好きだぞ、タヴ」とこもった声で言った。
「お前を愛してる」
抱き寄せる腕に力がこもる。
彼とひとつになれてよかったと心から思った。
「タヴ、腹が減ってないか」
「えっ?」
彼の腕の中でまどろんでいると、急にハルシンが言った。
驚いているうちにハルシンが腰をあげて、近くに広げた荷物の中から食料を取り出す。
「昼間あまり食べていなかっただろう。夜もあらかじめ約束していたから満腹にはなっていないはずだ」
「ほら」と言ってタヴにパンとワインの入った容器を渡す。
目が点になったタヴは正座してそれを受け取る。
「お前に食欲がなくて心配していたんだ。動いたら腹が減っただろう、食べるといい」
「いや、あの……その、今はべつに、」
タヴが困惑していると、腹部からぎゅるると頼りなげな音が響く。
その音にタヴは表情をなくしたが、ハルシンはにっこりと口の端を引き上げて笑った。
交わった後で、裸のまま食事しているところを見られる恥ずかしさもあったが、彼の好意を拒むこともできず、タヴは頬を赤く染めながらパンにかじりつく。
悔しいけれど、たしかに腹は減っていたのだ。
「……見ていたらこっちも腹が減ってきたな」
タヴがもそもそとパンを食べていると、不意にハルシンが言った。
彼は荷物から自分の分の食料を取り出し、なんの違和感もなく食べ始める。
何その食欲、とタヴは半ば絶句してその食事風景を眺めていた。
セックスの後に継ぎ目なく食欲も満たすのが野性的な彼らしいというか、熊だな、としみじみ思った。
「もしかして、冬になると食欲が増したりする?」
「そうだな」
「まさかそのまま冬眠したりしない?」
「さすがにそこまではないが、他の季節より身体が鈍った感じはするな。あまり冬は長時間変身しないようにしている」
「もらうぞ」と言ってハルシンはタヴのワインの容器をとって少し含んだ。
彼から容器を返されると、タヴもそれに口をつける。
「だが今年は心配しなくていいかもしれないな」
「どうして」
「お前が温めてくれるだろう」
タヴは思わずワインを飲み干してしまった。
かーっと胃に熱いものが溜まる。
「……そうしてほしいならするけど……」
耳まで熱くなっていると、ふっと彼の息遣いを感じ、キスをされたとわかった。
酒の香りのするキスは刺激的で、いつもより息が荒くなる。
自然と昂るタヴの心臓とはよそに、突如子どもにするようにぽんぽんと頭を撫でられ、唇は離れていく。
「食事が終わったらもう少し一緒にいよう」
ハルシンはタヴの手を握るとそう言った。
自分を見つめてくるヘーゼル色の瞳は優しい。
その言葉を断れるわけがない。……ずるい。
そしてタヴは黙々と残りのパンを頬張り、この後は自分が再び食べられる側になることを想像しては、ひとり頬を赤く染めた。
彼はその間、ずっとタヴの手を握っていた。
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2024.2.11sun_tokyo
「お、おはよう・・」
わ、やばい、声が出ない。
ここ最近公演が続いてた上に、昨夜は友人と喋り過ぎた(飲み過ぎた)みたい・・
昨日は、7:00に起床。
洗面台へ行き、顔を洗う。シートマスクをしてる間にコンタクトをして、アーユルヴェーダの舌磨きをして、歯磨き。
その間にアラジンストーブに火をつけて、今日の服を決める。
口をゆすいだら、最近始めた白胡麻油うがい。
胡麻油を口に含んでクチュクチュ。
その間に服に着替える。
ウォーターサーバーの水を鍋にかけて白湯を作る。
その頃ちょうどおえっとなる。
ペッと紙に吐き出して、ゴミ箱へ。
白湯に自家製蜂蜜レモンを入れて、コップを持ってこたつへ。
そしてスキンケアを始める。
これが最近の、「偉い日の私」のモーニングルーティーン。
大体のスキンケアが終わったら車に乗り込み、メイクやヘアセットをしながら現場へ向かう。
この日は豊島区の施設で、午前午後2公演。
前日にセッティングをしていたので、
到着したらサウンドチェックとチューニングだけして、着替えて始まる。
1ステージ目が終わると、主催の皆さんとお昼ご飯を食べる。
食後はコーヒーを飲んで、歯磨きをして、
メイクを少し直して、バイオリンとマンドリンのチューニングをして、サウンドチェックをして再びスタンバイ。
終演後は舞台セット前で、お客さんと写真撮影の時間。
ホクホクしながら片付けをして、車に荷物を積んだらおしまい。
あー 今日も楽しかった。とあたたかい後味が体中を包む。
この後も、お楽しみが待ってる。
飲み友達のあおいちゃんと立川で待ち合わせ。
朝、うづも誘うと「行くー」とすぐ返事が来た。
立川に到着して、待ち合わせまで時間があったので、馨さんのご飯に付き合う。
わたしはビールとピータン、ザーサイ。
馨さんは刀削麺と餃子。
馨さんと別れて、お店へ向かう。
貝専門店。苦虫くんが内装の絵を描いたと聞いていて、貝好きなのもあって一度来てみたかったお店。
先に来ていたあおいちゃんとまったり、近況を話したりしてると、ドアが開いた瞬間からなんか賑やかを纏ったうづが登場。
そこからは、よく食べよく飲み、よく喋る。
笑って泣いてあっという間に終電の時間。
うづとバイバイしたあとは、あおいちゃんとビールを買って我が家へ。
こたつの中でまた喋る。
喋る。喋る。
で、わ、やばい、声出ない。の朝。
先に起きてたあおいちゃんに「おはよう」と言って愕然。喉やってしまった・・
こたつに残った、蓋が開いたボトル。グラスになみなみに注がれた白ワイン。
食べかけのポテトチップスの袋。
どうやって切り上げたか記憶がないけど、限界を迎えて寝たことはこれを見ればわかる。
一日中パジャマでダラダラうだうだボサボサ頭で、「偉い日の私」ルーティーンは一切やらないのが「偉くない日の私」。
5歳の友が私を描いたという、この絵が私すぎる。
-プロフィール-
松本野々歩
東京・立川
チリンとドロン、音楽家
https://www.instagram.com/nonohoms
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スペイン旅行記①
はじめての冬ボーナスをユーロに替えいざスペイン。まずはバルセロナから。
到着早々、空港からホステルへ向かう車内から見えたあるレストランにふと惹かれた。シックなグリーンの外観。テラスに集う気取らない人々、昼下がり。
荷物を置いて、そのレストランを目指した。
扉を開けるとスペイン語の、怒ってるのか賑わってるのかわからない早口な会話が飛び込んでくる。他愛もない現地語のBGMが最高で、メニューも少数精鋭でときめいた。
スズキのタルタルが、ビーツと菊芋のソースで新しい味。ベリーのように甘酸っぱく無い、チーズのように重たくない、…でもそんな要素を併せ持った素朴なマリアージュ。カポナータもひまわりシードやレーズンがきいて楽しい食感。
果たして2日後に再訪(笑)
店長らしき人に「来たことある?」と聞かれ、the day before yesterdayと言うと、おー!!と喜びの舞。
いくつかのワインをテイスティングさせてもらい、プリプリのキノコのソテーに舌鼓を打ち、白赤オレンジ…とグラスを傾けた。
このレストランは、特に野菜への愛がある。
旬の野菜を丁寧に面白く主役にできるお店だ。
結局デザートまで楽しんで、次の町に向かう列車にギリギリになってしまった(飛び乗ったのが合ってるかヒヤヒヤタイムを過ごした)けど、幸せな余韻を携えて列車に揺られる。
何度でも思い出すだろうな。
それはSOMAというレストランです。
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光るピンクと 青のチェック
綿布にアクリル、時々糸絵---
・
夏のとても好きな花と好きな青
ハンカチにも。
今日はまた夏のようなぴかぴかな陽射しの中🌞✨(でも暑くはない♡)
在廊とはせずに、ディレッタントカフェとワルツと散歩を楽しんだ日😆
朝、家を出て数分から、、
びっくりな偶然の出会い続きの日💡
毎度ながら…はぁー世界は狭く、
タイミングというのは物凄い絶妙だなと痛感する💨
・
在廊と言わずなのに、、
有り難い出会いが幾つもでした!
いらしてくださり、ありがとうございます✨
思いがけず、スカートのお似合いの姿も見せて頂けて…
やはり、履く人によって無限大の表情になるんだなあと、洋服の面白さを感じ楽しい♩
それぞれ、お似合いの方の所へ✨
・
源兵衛川のお散歩へも再び🌱
先日は出会えなかった鴨さんたちにたっぷり遭遇♡
いつまでも見てしまう😍
絶妙なフォルム!質感!動き!
サービスタイムかと思う、目の前で色んな動きを見せてくれて🦆
個人的に、座っている姿にトキメいてしまう♡😆
・
全然飽きるなんてことのない、美しく美味しいお料理。場所を変えてワルツでデザートの贅沢コース♡
いればいるほど、萌えポイントを発見していく日々✴︎
枝に絶妙に写真刺さってた💡
好みのワインのラベル♡
・
明日は、唯一本当に参上しません😆
最後2日間(土曜日は14時頃〜)、また楽しく在廊予定です🙆♀️
よろしくお願いいたします♩
・・・
“ monochrome
&
color
at
Waltz.
白黒 と 色色 “
@dilettantecafe_waltz
10/28土ー11/5日
11時ー17時
(10/30月・31火 休み)
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イスラエル出国 2023年6月3日
出国の流れです
Désole Japonais seulement
C’est la information de sortir d'Israël.
photo:pomme de sodome
写真:ソドムの林檎(実在すんのね、、、、)
なんとまー
入国に引き続き4時間前に空港に着いたのに
散々おどかされてたsecurity check(ちなみにcheck in前の)
一瞬でした
荷物は自分のんかと誰かから渡されたもんはないかと刃物類は入ってないかだけの質問
(刃物めっちゃ入ってたけどね)
ぜんぶLoて答えたらすぐにチェックインカウンターへ
イスラエルに来た理由とか行った場所とかなんも聞かれず
帰り用にもInvitation Letterとかネシアの展覧会のポスター用意してたのに、、、
空港内には煙草吸えるとこないので
チェックイン後一服したい場合は
一旦外に出てとのこと
チェックを受けてたら出入り自由みたい
後は出国前の手荷物検査と出国審査で搭乗待ち
手荷物検査
やはりマッチスルー
出国審査
機械にパスポートをピッてするだけ
入国した時に帰国まで絶対無���すなとゆわれたあの紙切れはなんやったんやろ
てことで大事発生せず秒速で出国
Photo:Panier de Acre.
写真:紀元前からの港町「アコー」の窓からぶらさがるカゴ これがあれば下まで物を受けとりに降りて行かんでヨシ!
搭乗口にて待つ
なんとなく可笑しいのんは
日本人がちらほら見えるんですが
お互いみーひんフリしてる感じがして
海外で日本人と話したくない日本人感がひしひし伝わってきたことでございました
注意が要るんは両替かなぁ
90シュケルが二千円と20シュケルのお釣りに手数料は12シュケル
どう考えてもお釣りの金額がおかしいしレシートには23シュケルのお釣りって書いてる
端数の3シュケル寄越せってゆったら3シュケルで買えるもんなんかないでって言いながらくれた
くれた!?
あ、アホかー
ゆわへんかったらちゃんと両替した金額渡さへんってここはほんまに先進国か!?
みなさんも両替の際はお気をつけください
出国して残りの23シュケルを消化しようとキヨスクへ缶ビール500ccを持ってレジに行くと27シュケル(約1080円))ってたりひんやん!
(ちなみに値札と商品が常に一緒のとこにあって尋ねへんくても欲しいもんの金額がわかる���はないから 欲しいもんレジに持ってってずばり金額聞きます)
後ろの方が4シュケル出してくださった、、、、
皆様に助けていただき
生かせていただいております
搭乗前のチェックもなんもなし
行きとはえらい違い
photo :Tout en flottant à la mer morte je fais du objet.
写真:死海にぷかぷか浮かびながらも竹でオブジェを創るとゆーおそらく人類史上初の試み 気温摂氏40度超え 局部に針を突き刺されまくる的な痛みに耐えつつ、、、、
機内の様子
まずは皆さま自分の席に着くなりシートから中腰になって両隣に誰もおらへん席を探しだす(エコノミーの中のファーストクラスシート)
その姿はまるでミーアキャット?(プレーリードッグ?やったっけ)のよう
シートベルト 手荷物足下に置いてあるかチェック一切ナシ CAさんは隙アラバケータイいじってる
なんか20年くらい前に格安航空券で海外ふらふらしてた時の機内を思い出しました
機内のアルコールはやっぱり赤ワインのみ
機内食に毎回カットしてない生野菜のセットがでてきたんが面白かったです
帰国
スーツケース受け取り後
鍵を確かめてみたら
まさかの開封チェックなし!
イスラエルに行く前に調べた情報は
2023年3月くらいのんが最新やったから
なんかの事情でユルくなったんかしら
イスラエルは国としては厳しいけど
人々は優しいというかフレンドリーで陽気(ちなみに一か月の滞在中一人で歩いてたら六回ナンパされる その内一回は車から声かけられて送ってくゼ と、、、、 絶対乗らへんわー!ぜんぶ男性からのお声掛け 念のため再確認ですがワタシはストレートでございます)
めっちゃおしゃべり(フランスの方を彷彿とさせる)
以上
ちょっと遅くなっちゃったけど
イスラエル出国の様子でございました
#bamboo #bambou #別府竹細工 #Israel #tikotin museum
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