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#えんじぇるないと ~闇夜を翔ける天使たちの物語~
cyberneticboy · 4 months
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trinityt2j · 3 years
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ダ-ティ・松本 不健全マンガ家歴30年[-α]史 ●はじめに  この文章は同人誌「FUCK OFF!7」において書かれたものをベースにして逐次増補改定を加えていき、いずれ歴史の証言として、[というほど大袈裟なものでは無いが…]一冊の本にまとめたいという意図のもと、近年どんどん脳が劣化していくダ-松の覚え書きとしても使用の予定。事実関係は間違いに気付き次第 訂正。同人誌発表時のものも今回自粛配慮して、実名、エピソード等を削除した箇所有り。有り難い事に某出版社よりすでに出版打診があったがまだまだその時期ではない、マンガを描く事が苦痛になったら活字の方も気分転換にいいかも…。 /*マークは今後書き加える予定のメモと心得たし。 ●前史/修行時代・1970 さいとうプロの短くて濃い日々……  1968年に上京。数カ月後東京は戦場に。熱い季節の始まりだった。 2年後親元を飛び出し友人のアパートに転がり込む。場所は渋谷から井の頭線で駒場東大駅下車、徒歩5分。地図で見ると現在の駒場公園あたり。昼間でも裸電球を付けなければ真っ暗という馬小屋のような部屋。数メートル先には当時の建設大臣の豪邸が…。前を通りかかるだびに警備のおまわりがじろり。  いつまでも友人に迷惑もかけられないのでとりあえずアシスタントでも…と手元にあったマンガ誌をひっくり返し募集を探す。幸いさいとうプロと横山まさみち氏のところでアシ募集があり両方応募。どっちか一つ通れば…と思っていたら何と両方受かってしまい、双方に条件を聞く。当時高円寺 のアパート、風呂無し4畳半の部屋で相場12000円の時代。前者一ケ月の給料10000円、後者20000円との事。給料の方がボロアパートの家賃より安いとは…!どう考えても前者は食う方法がないと判断し、後者さいとうプロへ入社。  ここに居たのはたったの半年に過ぎないけれど今思えばこれだけで本が一冊描ける位の濃い半年だった。しかしこのあと2X年分も書かねばならないことを思えば今回はいくつかのエピソードを書くだけに留めよう。  ダー松が入った時は小池一夫氏[クビ?]、神田たけ志氏や神江里見氏、きしもとのり氏[現・松文館社長]等と入れ替わりの時で、きし氏の女遊びの凄さと神江氏の絵のうまさは伝説になっていた。現在「亀有」「ゴルゴ」が歴代単行本の巻数の多いベスト1、2位だが[ともに100巻を越えた]、3位は神江氏の「弐十手物語」[70巻以上]だという事は知ってる人は少ないだろう。  当時の制作部は、さいとうたかを[以下ゴリ]をトップに石川班[ゴルゴ13、影狩り]、甲良班[バロム1]、竹本班[シュガー、どぶ等]の3つに分かれ、それぞれのキャップにサブ・チーフが一人づついて、ヒラが2~6人いるというシステムで総16名。独立し現在も活躍中の叶精作、小山ゆう、やまさき拓味の3名がそれぞれの班のサブ・チーフ。ダー松は石川班で左右1メートル以内に叶氏とゴリにはさまれ、のんびり出来ない状態で、はなはだ窮屈。叶氏はほとんどマンガ家になりたいとも思った事のなかった人で、設計事務所みたいなところで図面を引いていた人がなぜマンガプロダクションに来たのか不思議だった。格別マンガ好きというわけでもなかったせいか現在まで全ての作品が原作もので、オリジナルは一本もないのはそのせい?祭りなどの人がうじゃうじゃ出てくる群集場面が得意。 やまさき氏は大の競馬好き、現在競馬マンガを多く描くのは当時からの趣味が生きたというべきか。もう一つの趣味である風俗についてはここでは書くのは差し控えよう。小山氏は後日ここの事務の女性と結婚するが、当時はつき合っているとは誰も知らず、スタッフの一人がやめる時その女性に交際を申し込んだら、茶店に呼び出されて小山氏からと凄まれたと聞いたが嘘か本当かは不明。  ここでの生活は新入り[ダー松を含めて3名]は朝の9時前に会社���行き、タイムカードを押し、前日のごみをひとまとめして外に出し、トイレ掃除をして、16人分のお茶を2Fで入れて制作部のある3Fへの狭い階段をふらふら昇り、机ごとに置いて歩き、終れば、一息ついて買っておいたパンと牛乳を3分で食べて、やっとそれから仕事。しかし新入りの3名の内1人折茂は常に遅刻なのでいつも佐藤と2人でやっていた。佐藤も遅れる時はダー松1人で。辞めてから10年位、16人分のお茶を持って階段をふらふら歩きお盆をひっくり返す夢をよく見たものだが、実際ひっくり返したのは折茂と佐藤の2人で、よく茶碗を割っていた。 たまには夕方6時には帰れるが、普通は夜10時までで、アパートに帰って銭湯に行けばもう明日にそなえて寝る時刻、このくり返しの日々。週1日は徹夜で明け方に帰り、その時は当日の昼12時出勤。休日は日曜日のみで忙しい時はそれも取り消し。つまり休みは月3日。[これで給料2万円!]そんな日々の繰り返し。  夕方までは皆和気あいあいと仕事していたが、ゴリが夕方6時頃に「おはようさん」と現れると、全員無駄口がたたけなくなり、仕事場はシーンと静まり返り、以下その日が終わるまでは疲れる時間がただひたすら流れるのみ。 当時石川班は「ゴルゴ13」と「影狩り」を描いていたがゴリは主人公の顔と擬音のみ。マジックで最後に入れる擬音はさすがに入れる位置がうまいと感心。ゴルゴの顔はアルバムに大小取り混ぜてコピーがとってあり、忙しい時は叶氏がピンセットで身体に合わせて「これが合うかな~」といった感じで貼り付けていた。  その頃すでに「ゴルゴ」は近々終わると噂されていたが、現在もまだ続いているとは感嘆ものだ。 ゴリと石川氏が「ゴルゴ」の最終回の終わり方を話しているのを聞いたら、何ともつまらない終わり方。しかしあれから20年以上も経つ事だし、きっともっといい終わり方を考えてあるだろうなと思っていたら、先日TVで本人が最初から考えてある終わり方だと言うのを聞き、がっくり。企業秘密だろうから書かないが、作品の最初の方に伏線が数度出ているのでわかる人にはすぐわかる筈。  辞めた小池一夫氏とさいとうプロに何があったかは知らないが、漏れ聞く話では結構もめ事があったみたいだ。 「子連れ狼」で「ゴルゴ13」と同じ設定の回があった時、「小池のガキャー訴えたるー!」とゴリが吠えていたものだが、結局たち消え。さいとうプロ作品で脚本を書いた本人が辞めた後、他の作品で同趣向の作品を書いても著作権は脚本を書いた原作者のものだと思うがどんなものだろう。その回のタイトルは忘れたが、ある場所に居合わせた人々が武器を持った集団の人質となり、その中に素人だと思われていた主人公、実は殺しのプロフェッショナルがいて、次々とその集団を殺していく、といったプロットで、ミッキー・スピレーンの短編に同じような作品があり、本当に訴えていたら恥をかいたと思うが・・・。  そういえば事務の方には山本又一郎という男がいたが、後年映画プロデューサーとして 「ベル薔薇」や「太陽を盗んだ男」等を創る事になるが、この野郎が生意気な男で当時皆に対して10歳は年上、といった感じの振る舞いだったが後日俺と一つしか年が離れてなかった事を知り、そんな若造だったとは、と皆怒ったものだ。以来奴の事を「マタさん」から「クソマタ」と呼ぶようになる。  さて半年後に先輩たちが積もり積もった不満を爆発させる反乱事件が勃発し、2年は居るつもりでいたここでの生活も、辞めるか残るかの選択を迫られる。残ればさいとうプロの現体制を認める事となるので、ダー松も退社。 しかし反乱グループとは別行動をとって一人だけの肉体労働のアルバイター生活へ突入。超ヘビーな労働の製氷工場、人使いの荒い印刷所、命綱もない高所の足場で働く建設現場等々。トラックの助手をしていた時は運ちゃんが「本宮ひろしって知ってるか?うちの息子の友達でさぁ、昔、おっちゃんメシ食わしてくれーなんて言ってきたもんだが、今は偉くなっちゃってさー、自分のビル建てたらしいよ。赤木圭一郎みたいにいい男なんだ。」とうれしそうに話してくれたが、運ちゃんには悪いがそいつは今も昔も一番嫌いなマンガ家なんだ。あの権力志向はどうにかならんか。天下を取る話ばかりだもんなぁ。  ところで後日、単行本の解説で高取英が「さいとうたかをのヤローぶっ殺してやる!」とダー松が言ったなどと書いているが、小生はそんな危ない事言った覚えはないのでここできっちり訂正しておきます。 「会社に火ィつけてやる!」位は言ったかも・・・[嘘] 。 悪口は言っても別に怨みなど無い。ところでアシスタントとしてのダー松は無遅刻、無欠勤以外は無能なアシだったと反省しきり。理想的なアシスタントとはどんなものか、それはまた別の機会に。 *入社試験はどんな事を? *さいとうプロには当時ほとんどろくな資料は無かった? *ハイジャックの回の飛行機内部の絵は、映画「大空港」を社内カメラマンが映画館で写してきたものをもとに描く。 *当時のトーンは印刷が裏面にしてあり上からカッターでけずったり出来ない。 *トーンの種類は網トーンが数種、それ以外はほんの3、4種類位しかなかった。 *仕事中のB.G.M.はアシの一人が加山雄三ばかりかけるので大ひんしゅく。好評だったのは広沢虎造の浪曲「次郎長三国志」、初代桂春団次の落語。眠気もふっとぶ位笑えた。 ダ-松が岡林信康の「見る前に跳べ」をかけてるとゴリは「何じゃー!この歌は!」と怒る。名曲「私たちの望むものは」はこの男には理解不能。 ●1 9 7 1 ~ 1 9 7 4  持 ち 込 み & 実 話 雑 誌 時 代    当時は青年劇画誌全盛時代で、もともと望月三起也氏や園田光慶氏のファンで活劇志向が強く、 主にアクションもののマンガを描いて持ち込みに行っていた。今のようにマンガ雑誌が溢れかえって、山のようにマンガ出版社がある時代ではなく、数社廻るともう行くところがない、という状態で大手では「ビッグコミック」があっただけで 「モーニング」も「スピリッツ」も「ヤン・ジャン」も当然まだない。テーマを盛り込んだ作品を持って行くと編集から「君ィ、うちは商売でやっているんだからねぇ」と言われ、アクションに徹した作品を持って行くと「君ぃ、ただおもしろいだけじゃあねぇ」と言われ 「おい、おっさん!どっちなんだ?」とむかつく事多し。この辺の事は山のように書く事があるが、有りすぎるのでパス。 *そのうち書く事にする。  ただ金属バットで頭をカチ割って脳みそをぶちまけてやりたいような奴が何人もいたのは事実。今年[’97]「モーニング」に持ち込みに行って、断られた奴が何万回もいやがらせの電話をかけて逮捕された事件があったが、そのうちトカレフを持って殴り込みに行く奴が出てくるとおもしろい。出版社も武装して大銃撃戦だぁ!などと馬鹿な事書いてどうする!とにかく持ち込みにはいい思い出が何もない。そんな中、数本だけ載った作品は渡哲也の映画「無頼」シリーズの人斬り五郎みたいな主人公がドスで斬り合う現代やくざもの[この頃の渡哲也は最高!]、ドン・シーゲルの「殺人者たち」みたいな二人組の殺し屋を主人公にした『汚れたジャングル』、陽水の「傘がない」が好きだという編集さんの出したテーマで車泥棒とブラックパンサーの闘士とのロード・ムービー風『グッバイ・ブラザー』、拳銃セールスマンを主人公にした『ザ・セールスマン』、等々10本ちょい位。  さてその頃並行してまだエロマンガ専門誌といえるようなものがなかったような時代で、実話雑誌という写真と記事ページからなる雑誌に4~10ページ位を雑誌の味付けとして描かせてもらう。当時、お手本になるようなエロマンガなど皆無で、エロ写真雑誌を古本屋で買ってきてからみのポーズを模写。マンガで裸を描く事はほとんど初めてで、これがなかなか難しいのだがエロシーンを描くのは結構楽しい。当時出版社に原稿持って行き帰りにグラフ誌をどっともらって帰るのが楽しみだった。SM雑誌の写真ページも参考になる。なお当時のペンネームは編集部が適当につけた池田達彦、上高地源太[この名前はいけてます。また使いたい]等。その数年後、逆にマンガが主で記事が味付けというエロマンガ誌が続々と創刊される。 *さいとうプロをやめたあと編集や知人に頼まれて数人のマンガ家の所へ手伝いに行く。秋田書店「漫画ホット」で『ジェノサイド』を連載中の峰岸とおる氏の所へ行き、仕事が終わったあとまだ売れてない頃の榊まさる氏も交え酒を飲む/川崎のぼる大先生のところへ数日だけ/3000円たこ部屋/小山ゆうオリオンププロ *当時のアルバイトは記憶によると時給150~200円位/大日本印刷市ヶ谷駐屯地/坂/ *一食100円/どんなに貧しい漫画家もみかん箱の上で書くやつはいない/TV萩原サムデイ *ろくでなし編集者 ●1 9 7 5 ~ エ ロ マ ン  ガ 誌 時 代 に 突 入   実話誌は意外とエロは抑え目で描くように口すっぱく言われていたのだが、以前活劇っぽい作品を描かせてもらってたが潰れてしまった出版社にいた児島さんが編集する「漫画ダイナマイト」で打合せも何にもなしに好きに描かせてもらい、ここでエロマンガ家としての才能[?]が開花する。描いてて実に楽しく眠る時間がもったいない位で、人に睡眠時間が必要な事を恨んだ程。出来る事なら一日中休まず描いていたい気分で完全にはまってしまう。  初の連載作品「屠殺人シリーズ」はこの頃から/『漫画ポポ』。中島史雄氏は大学時代にこの作品を見ていたとの事で、トレンチコートにドクター・ペッパー模様のサイレンサーつきマグナム銃で遊戯人・竜崎一也が犯しまくり殺しまくり、サディスト、マゾヒスト、殺人狂、まともな奴が一人も出てこない性と暴力の祭典。ちなみにタイトルページは描かないでいい、との事でどうするのかと思っていたら編集部が中のワンカットを拡大してタイトルページを創り、1ページぶんの原稿料をけちるというせこいやり方だった。けちるといえば、原稿の1/3にCMを入れる際、原稿料を1/3削った会社もあり。 ●1 9 7 6 ~   後に発禁仲間となる高取英と出逢い、『長編コミック劇場』で「ウルフガイ」みたいのをやろうと、怒りに震えると黒豹に変身してしまう異常体質の主人公を設定し、獣姦のイメージで「性猟鬼」なるエロマンガをスタート!しかしその号で雑誌が潰れる。この路線は今でもいけそうな気がするがどんなものだろう。  この頃の珍品に「快楽痴態公園」がある。タイガースに11-0とワンサイドで打ちまくられ、怒ったジャイアンツファンのおっさんが公園でデート中の女をずこずこに犯りまくり、その間にジャイアンツは9回裏に12-11とゲームをひっくり返してしまうのである!その時のジャイアンツの監督はもちろんミスター長嶋、先発堀内、打者は柴田、土井、高田、王、張本等々がいる。タイガース監督は吉田、ピッチャー江本、キャッチャーフライを落球する田淵、そしてあの川藤もいる。解説は牧野…… ●1 9 7 7 ~   上記2作品を含む初の単行本「肉の奴隷人形」が久保書店より発行。後にリングスの会場で逢った佐竹雅昭氏はこの本が一番好きとの事だった。  「闇の淫虐師」もこの年スタート。一話完結でバレリーナ、バトンガール等々、毎回いろんな女たちをダッチワイフのごとくいたぶりまくるフェチマンガとして1979年まで続け、単行本は「堕天使女王」「裂かれた花嫁」「エロスの狂宴」「陶酔への誘い」「終りなき闇の宴」の全5巻。ちなみに今年「闇の淫虐師’97」を『コミック・ピクシィ』にて発表。いつか『闇の淫虐師・ベスト選集』でも出したいところ。 [’98に実現、’99には続刊が出る] ●1 9 7 8 ~   久保書店より第2弾の単行本「狂った微惑人形」。収録作品の「犯された白鳥」は持ち込み時代に描いた初のバレリーナもの。結構気に入っていた作品なのに、後年再録の際、印刷所の掃除のおばさんが捨ててしまい、この世にもはや存在しない不幸な子となる。[’99に宝島スピード・ブックに本より直接スキャンして収録]  エロ、グロ、ナンセンスの会心作「恍惚下着専科」を発表。サン出版より同名の単行本発行。また同出版より「コミック・ペット/堕天使画集」として今までの作品を続々単行本化。全10巻位。これは今でも古本屋で流通しているとの事で、まだまだ世間様のお役にたっているらしい。  この年、「堕天使たちの狂宴」を描いていた『漫画エロジェニカ』が発禁処分、来年でもう20年目となる事だし、当時の人たちと集まってその大放談を収録し「発禁20周年特集号」でも創ってみようかと計画中。さて当時の秘話としてもう時効だろうから書いてみるけど、前述の『堕天使画集』に「堕天使たちの狂宴」は収録される事となり、当然修正をガンガン入れて出版されるものと覚悟していたら、米国から帰国後出来上がった本を見ると発禁になった状態のまま再録されている!以下桜木編集長との会話 ダ/いや~、いい度胸してますね。 編/だって修正してあるじゃない。 ダ/その修正状態で発禁になったんですよ 編/・・・・・ ダ/・・・・ 以下どんな会話が続いたのか失念…… それにしてもサドの「悪徳の栄え」の翻訳本は発禁後20年以上して復刻されたけれど、「堕天使たちの狂宴」は半年もしない内に単行本になっていたとはエロ本業界とは何といいかげんな世界!しかし作品そのものは、今見るとリメイクする気にもならないどうという事もない可愛い作品で、結局あれもあの時代の姑息な政治のひとかけらに過ぎなかったのだろう。いい点��あるとしたら一つだけ、それまでのエロマンガになかった瞳パッチリの少女マンガ的ヒロインを登場させた事位か。今の美少女エロマンガは本家の少女マンガもかくや!という位眼が大きいが当時としては画期的だったかも。 ●1 9 7 9 ~   この年の「淫花蝶の舞踏」は「堕天使たちの狂宴」よりずっといい/『漫画ソフト』。今年出た「別冊宝島/日本一のマンガを探せ!」でベスト2000のマンガがセレクトされているが、ダー松の作品の中ではこの作品が選ばれている。教師と生徒、二人の女たちが様々な男たちの手によってに次々ともてあそばれ、闇の世界を転々として再び巡り会う時、女たちは蝶と化し水平線の彼方に飛び去り、男たちは殺し合い血の海の中で屍と化す。ダー松作品にはこのように男根が女陰の海に飲み込まれてに負けるパターンが多い。[性狩人、遊戯の森の妖精、美少女たちの宴、人魚のたわむれ・・等々]  この年からスタートの「性狩人たち」シリーズ[劇画悦楽号]はバレエ、バイオレンス、SEXの三要素がうまくからみあい、それぞれが頂点まで達する幸福な神話的作品だ。ここから派生した路線も多く、美少年路線は’83の「聖少女黙示録」へ。身体障害者路線は’80の「遊戯の森の妖精」、’84からの「美姉妹肉煉獄」へと繋がる。’81の最終話「ハルマゲドンの戦い」ではせりふなしで24ページ全てが大殺戮シーンという回もあり、中でも一度やりたかった見開きで銃撃戦の擬音のみという事も実現。こんな事がエロマンガ誌で許される時代だった。ちなみにこの回は[OKコラルの決闘・100周年記念]だが、何の意味もない。単行本は最初サン出版より、その後久保書店より「白鳥の飛翔」「少女飼育篇」「ヘラクレスを撃て!」「眼球愛」「海の女神」の全5刊。現在入手出来るのは後の3刊のみ。[「海の女神」も最近在庫切れ]  この年出た「人魚のたわむれ」の表題作は性器に{たこ}を挿入するカットを見た編集長が「・・・[沈黙]・・・頭おかしいんじゃ・・ブツブツ��・気違い・・・ブツブツ・・・」と呆れてつぶやいていたのを記憶している。たこソーニューは今年出た「夜顔武闘伝」で久しぶりに再現。なおこの作品は’83にマンガと実写を噛み合せたビデオの珍品となる。水中スローモーションファックがなかなかよい。 ●1 9 8 0 ~   なぜか「JUNE」の増刊として作品集「美少女たちの宴」がサン出版より出版され、その短編集をもとに脚本化し日活で映画が創られる事となる。[「花の応援団」を当てたこの映画の企画者・成田氏は日活退社後「桜の園」等を創る。]その際、初めて映画撮影所を見学し、せこいセットがスクリーン上ではきちんとした絵になってるのを見て映画のマジックに感心。タイトルはなぜか「性狩人」で、’96にビデオ化された。監督・池田敏春のデビュー第2作となり現在までコンスタントに作品を発表しているが、出来のいい作品も多いのになぜか代表作がない。初期の「人魚伝説」が一番いいか。  この映画に合わせて「美少女たちの宴」を2~3回のつもりで「漫画ラブラブ」で描き出すがどんどん話がふくらみ、おまけに描いてる出版社が潰れたり、雑誌が潰れたりで雑誌を転々とし条例による警告の嵐がきた「漫画大飯店」を経て、「漫画ハンター」誌上で完結したのは’83になる。この作品でクリトリスを手術してペニスのように巨大化させるという人体改造ものを初めて描く。  この年の「遊戯の森の妖精」は身体障害者いじめ鬼畜路線の第2弾!森の中の別荘に乱入したろくでなしの二人組が精薄の少女の両親達を虐殺し、暴行の限りをつくすむちゃくちゃな作品で、雷鳴の中、少女の性器に男達のペニスが2本同時に挿入されるシーンは圧巻!しかしこのとんでもない男達も少女の性のエネルギーに飲み込まれ、朽ち果てていく・・・。 ●1 9 8 1 ~   美少女マンガ誌のはしり「レモン・ピープル」誌創刊。そこで描いたのが「白鳥の湖」。虚構の世界のヒロインを犯すというコンセプトは、アニメやゲームのヒロインをずこずこにするという今の同人誌のコンセプトと同じかも。バレエ「白鳥の湖」において悪魔に捕われたオデット姫が白鳥の姿に変えられる前に何にもされてない筈がないというモチーフにより生まれたこの作品は、悪魔に男根を植えつけられたヒロインが命じられるままに次々と妖精を犯して歩き悪魔の娘となるまでを描くが、あまり成功したとは言えない。ただ人形サイズの妖精をしゃぶりまくり淫核で犯すアイデアは他に「少女破壊幻想」で一回やっただけなのでそろそろもう一度やってみたいところ。「ダーティ松本の白雪姫」はその逆をいき、犯す方を小さくした作品で7人の小人が白雪姫の性器の中にはいり、しゃぶったり、処女膜を食べたり、と乱暴狼藉![ちなみに両者をでかくしたのが同人誌「FUCK YOU!3」の「ゴジラVSジュピター」]この童話シリーズは意外と好評で続いて「ダーティ松本の赤い靴」を上記の単行本に描き下ろして収録。童話は結構残酷なものが多く、この作品も切られた足だけが荒野を踊りながら去って行くラストは原作通り。 *近年童話ブームだがこの頃もっと描いておけば「こんなに危ない童話」として刊行出来たのにとくやまれる。 「2001年快楽の旅」もこの本に収録。快楽マシーンを逆にレイプしてしまう、珍しく映画「2001年宇宙の旅」風のSF作品。  掲載誌を決めずに出来る限り多くのマンガ誌で描こうというコンセプトで始めたのがこの年スタートした「怪人サドラン博士」シリーズ。「不死蝶」シリーズや「美少女たちの宴」シリーズの中にも乱入し、「漫画ハンター」最終号では地球をぶっ壊して[その際地球は絶頂の喘ぎ声をあげ昇天する!]他の惑星へ行ってしまう。今のところ10誌位に登場。いつかこのサドラン・シリーズだけ集めて単行本化したいところ。ちなみに「サド」と「乱歩」を足して「サドラン博士」と命名。作者の分身と言っていい。 [後年、「魔界の怪人」として全作品を収録して刊行、04年現在品切れ中]  この年描いて’82の単行本『妖精たちの宴』に収録の「とけていく・・」はレズの女たちが愛戯の果てに、肉体が溶けて一匹の軟体動物と化す、タイトルも内容も奇妙な作品。作者の頭もとけていた? ●1 9 8 2 ~ 1 9 8 3   ’83年に「美少女たちの宴」が完結。全てが無に帰すラストのページは真っ白のままで、このページの原稿料はいりません、と言ったにもかかわらず払ってくれた久保書店、偉い![明文社やCM頁の稿料を削った出版社=某少年画報社なら払わなかっただろうな……と思われる……]この作品以外は短編が多く、加速度をつけてのっていく描き方が得意のダー松としてはのりの悪い時期に突入。また10年近く走ってきてだれてきた頃でもあり第一次落ち込み期と言っていい。マンガがスタンプを押すように描けないものか、などとふとどきな考えまで湧いてくる。思えば一本の作品には、いったい何本の線を引いて出来上がっているものなのか。数えた馬鹿はいないだろうが数千本は引いている筈。一ヵ月に何万本とペンで線を引く日々・・うんざりする筈です。  この頃のめぼしい短編をいくつか書くと、少女マンガ家の家に税務調査にきた税務署員が過小申告をネタにねちねちいたぶるが、アシスタントに発見された署員は撲殺される。そして板橋税務署は焼き討ちにあう、といった作品「[タイトル失念]xx税務調査」。[後日読者よりこのタイトルを「色欲ダニ野郎」と教えていただく。ひどいタイトル *編集者のつけるタイトルはその人のセンスが実によくわかる。しかしサイテ-の題だなこりゃ…。 果てるまで「おまんこして!」と言わせながら処女をやりまくる「美処女/犯す!」はラスト、狂った少女が歩行者天国の通行人を撃ちまくり血の海にする。「嬲る!」はパンチドランカーとなった矢吹ジョーが白木葉子をサンドバッグに縛りつけ、殴って、殴って、殴りまくる。段平おっちゃんの最後のセリフ「・・ブスブスくすぶっちゃいるが・・・」「打てッ!打つんだ!ジョー!」「お前はまだ燃えつきちゃいねえ!」とはエロ・ドランカーの自分自身に向けて発した言葉だったのかも。トビー・フーパーばりの「淫魔のはらわた」は電気ドリルでアナルを広げてのファック!とどめにチェーンソーで尻を切断!いまだに単行本に収録出来ず。[’98の「絶頂伝説」にやっと収録]「からみあい」は夫の愛人の性器を噛みちぎる。「危険な関係」はアルコール浣腸をして火をつけ尻から火を吹かせる。この手は『FUCK YOU!2』の「セーラー・ハルマゲドン」で復元。そういえばこの作品の序章と終章だけ描いて、間の100章位をとばすやりかたはこの頃の「禁断の性獣」より。女性器にとりつき、男性器に変身するエイリアンの侵略により地球は女性器を失い滅亡する、といったストーリーで当時聞いた話では谷山浩子のD.J.でこの作品がリスナーの投書でとりあげられ、ダー松の名はダーティ・杉本と読まれたそうな。ヒロインの少女がひろ子という名前なのでこのハガキが選ばれたのかもしれないが、作者は薬師丸ひろ子からとったつもりだったのだが・・。[別にファンではない。] 「女教師狩り」は映画館で観客に犯される女教師とスクリーン上の同名のエロ映画の二本が同時進行し、一本で二本分楽しめるお得な作品。 ’83は’80に「漫画エロス」にて描いた「エロスの乱反射」の最終回の原稿が紛失したため単行本が出せないでいたのを、またまた「仏の久保さん」に頼んでラスト近くをふくらませて「漫画ハンター」に3回程描かせてもらい、やっと’85に出版。見られる事に快感を覚えるファッション・モデルが調教される内に、次第に露出狂となっていき、街中で突然裸になって交通事故を起こさせたり、最後はビルの屋上でストリップショー。そしてカメラのフラッシュの中に飛び降りていき、ラスト1ページはその性器のアップでエンド!  本格美少年・ゲイ・マンガ「聖少女黙示録」も’83。レズの姉たちの手によって女装に目覚めた少年がホモのダンサーたちに縛られなぶられ初のポコチンこすり合いの射精シーン。そして性転換して女となった主いるが、その中の’84の「白い肌の湖」はタイトルで解る通りのバレリーナものだがポコチンを焼かれた男が、一緒に暮ら人公が手術で男になった少女と暮らすハッピーエンド。この作品は単行本「美少女ハンター」に収録されてす二人の女と一人の男に復讐するエンディングがすごい!まず男の性器を切り取り、片方の女の性器にねじ込んだあと、その女の性器ごとえぐり取る。そしてその二つの性器をつかんだまま、もう一人の女の性器にフィストファック!のあげく、その二つの性器を入れたままの女性器をナイフでまた切って、ほとんどビックマック状態でまだヒクヒクうごめく血まみれの三つの性器を握りしめるとんでもない終り方!全くダー松はこんな事ばかりやっていたのかとあきれかえる。もう鬼畜としか言い様がない!しかし「ウィンナー」を二枚の「ハム」で包むなんて・・GOODなアイデアだ、又やってみよう。 ●1 9 8 4 ~   「漫画ハンター」で「闇の宴」前後篇を描き、後日これをビデオ化。雪に包まれた六本木のスタジオで痔に苦しみながらの撮影。特別出演として中島史雄氏が絶妙の指使い、東デの学生時代の萩原一至が二役、取材に来たJITAN氏もスタジオに入ってきた瞬間、即出演で生玉子1000個の海で大乱交。カメラマンが凝り性で照明が気に入るまでカメラを廻さず、たった二日の撮影はやりたい事の半分も出来ず。撮影が終ると痔はすぐに完治。どうもプレッシャーからくる神経性だったみたいでこれに懲りてビデオは一本のみ。 この年の「肉の漂流」は親子丼もので、近所の書店のオヤジからこの本はよく売れたと聞いたが、一時よく描いたこのパターンは最近では「FUCK YOU!3」の「母娘シャワー」のみ。熟女と少女の両方が描けるところが利点。「血の舞踏」は久しぶりの吸血鬼もの。股間を針で刺し、噛んで血を吸うシーン等々いい場面はあるが、うまくストーリーが転がらず3回で止める。短編「果てるまで・・」は核戦争後のシェルターの中で、父が娘とタイトル通り果てるまでやりまくる話。被爆していた父が死んだ後、娘はSEXの相手を捜して黒い雨の中をさまよう。  またリサ・ライオンの写真集を見て筋肉美に目覚め、マッチョ女ものをこの頃から描き出す。しかしなかなか筋肉をエロティックに描くのは難しい。 ●1 9 8 5 ~   くたびれ果ててすっかりダレてきたこの頃、8年間働いてくれたアシスタント女史に代わってパワーのかたまり萩原一至、鶴田洋久等が東京デザイナー学院卒業後加わってダーティ・マーケットも第2期に突入!新旧取り混ぜておもしろいマンガをいろいろ教えて貰って読みまくる。「バリバリ伝説」「ビーバップハイスクール」「ペリカンロード」「めぞん一刻」「わたしは真悟」「Be Free!」「緑山高校」「日出処の天子」「吉祥天女」「純情クレイジー・フルーツ」「アクター」「北斗の拳」「炎の転校生」「アイドルをさがせ」「綿の国星」「いつもポケットにショパン」「バツ&テリー」「六三���の剣」永井豪の絶頂期の作品「バイオレンス・ジャック」「凄之王」「デビルマン」等々100冊以上とても書ききれない位で、う~ん・・マンガってこんなにおもしろかったのか、と感動! そこで眠狂四郎を学園にほうり込んで、今まであまり描かなかった学園マンガをエロマンガに、というコンセプトで始めたのが「斬姦狂死郎」。「六三四の剣」ばりに単行本20巻を目指すものの、少年マンガのノリは今では当たり前だが、当時はまだエロマンガとして評価されず、ほんの少し時代が早すぎたかも。’86に中断、今年’97に「ホリディ・コミック」にて復活!果たしていつまで続けられるか? →後に「斬姦狂死郎・制服狩り」、「斬姦狂死郎・美教師狩り」として刊行完結  前年末から始めた「美姉妹肉煉獄」は身障者いじめの鬼畜路線。盲目の姉とその妹を調教して性風俗店等で働かせ、娼婦に堕していく不健全・不道徳な作品で、肉の快楽にひたっていく盲目の姉に対し妹も「春琴抄」の如く己の眼を突き、自らも暗黒の快楽の世界にはいり、快楽の光に目覚めるラスト。 また、これからは女王様物だ!となぜか突然ひらめき「筋肉女」シリーズの延長としてフィットネス・スタジオを舞台に「メタル・クイーン」シリーズも開始。これは単行本2冊分描いたが、連載途中でヒロインの髪型を歌手ステファニーのヘア・スタイルにチェンジしたり、レオタードもたっぷり描けてわりと気に入っている。  10年近く描いた「美蝶」先生シリーズもこの年スタート!こうしてみるとマンガを描く喜びに満ちた大充実の年だったかも。 ●1 9 8 6 ~   この年は前年からの連載ものがほとんどだが、「エレクト・ボーイ」は空中でファックするシーンが描いてみたくて始めた初の超能力エロマンガ。コメディ的要素がうまくいかず2回で止める。この路線は翌年の「堕天使輪舞」で開花。  「夜の彷徨人」は自分の育てた新体操選手が怪我で選手生命を失ったため、その女を馬肉のごとく娼婦として夜の世界に売り渡した主人公という設定。しかし腕を折られ、女にも逆に捨てられ、そして事故によってその女を失ったあげく不能となってしまう。失った快楽を取り戻すため無くした片腕にバイブレーターを取りつけ、夜の街をさすらい次々と女たちをレイプしていくというストーリー。がっちり設定したキャラだったのにまったく話がはずまず、男のポコチンは勃起しないままに作品も不発のまま終る。  「斬姦狂死郎」が不本意のまま終わったため学園エロス・シリーズは「放課後の媚娼女」へと引き継がれる。当時見ていた南野陽子のTV「スケバン刑事・」とS・レオーネの「ウエスタン」風に料理。ラストの「男といっしょじゃ歩けないんだ」のセリフは一番好きな映画、鈴木清順の「東京流れ者」からのもじり。単行本は最初司書房から出て、数年後ミリオン出版から再販、そして’97久保書店より再々販ながら結構売れて今年また再版。この作品は親を助けてくれる有難い孝行息子といったところ。 ●1 9 8 7 ~   さいとうプロOBで那珂川尚という名のマンガ家だった友人の津田が「漫画ダイナマイト」の編集者になっていて、実に久しぶりに同誌で「堕天使輪舞」を描く。超能力エロマンガの第2弾。今回はエロと超能力合戦とがうまくミックスされ一応成功といっていい。この路線は「エレクト・ボーイ」とこの作品、そして’96の「夜顔武闘伝」も含めてもいいかも。一時、この手の作品は数多くあったが最近はめったに見かけない。しかし、まだまだこの路線には鉱脈が眠っているとにらんでいるがどんなものだろう。 ●1 9 8 8 ~   「放課後の媚娼女」に続いて抜かずの凶一無頼控え「放課後の熱い祭り」を2年がかりで描く。’89に完結し司書房より単行本化。そして今年’97に改定してめでたく完全版として復刊!この頃が一番劇画っぽい絵で、たった2~3人のスタッフでよくこれだけ描き込めたなと改めて感心!エロシーンがちょっと少なめながら中島史雄氏がダー松作品でこの作品が一番好き、とお褒めの言葉を頂戴する。  TVで三流アマゾネス映画を見ている内、むくむくとイメージがふくらみ、昔から描きたかった西部劇と時代劇がこれで描けると、この年スタートさせたのが「不死蝶伝説」なるアマゾネス路線。昔々青年誌の創世期にあのケン月影氏がマカロニ・ウエスタンを描いていたことを知る人は少ないだろう。俺もあの頃デビューしていたらウエスタンが描けたのに、と思う事もあったが、このシリーズでほんの少しだけその願望がかなう。  この頃、アシスタントやってくれてた格闘技マニアの鶴田洋久に誘われ、近所の空手道場通いの日々。若い頃修行のため新宿でやくざに喧嘩を売って歩いたという寺内師範は、もう鬼のような人で、行けば地獄が待っていると判っててなぜ行く?と不思議な位休まず通う。体育会系はマゾの世界と知る。組手は寸止めではなく顔面以外は当てて可だったので身体中打撲のあざだらけ、ビデオで研究したという鶴田の体重をかけたムエタイ式の蹴りをくらい、右手が饅頭のように腫れ上がる。先輩たちの組手の試合も蹴りがもろにはいってあばら骨が折れたりで、なぜこんなヘビーな事をする?と思うが、闘う事によって身体の奥から何か沸き上がってくるものがある。スリランカの元コマンドと組手をやった時、格闘家の気持ちが少しだけ判るようになった。 ●1 9 8 9 ~   ’94まで続く「美蝶」シリーズでこの年は『ノスフェラトウ篇』を描き、シリーズ中これが一番のお気に入り。同人誌の「王夢」はこれが原点。  短編では「悪夢の中へ」はスプラッタ・エロマンガで久しぶりにチェーンソゥでお尻のぶった切り!はらわた引きずり出し、人肉食いちぎり!顔面叩き割り等々でラストに「ホラービデオの規制をするバカは俺が許さん!」などと書いているので、この年が宮崎事件の年か?世間は彼が日野日出志・作のホラービデオ「ギニーピッグ」を見てあの犯罪をおかした、としてさんざんホラービデオの規制をやっといて、結局見てもいなかったとわかったあとは誰一人日野日出志氏��もホラービデオさんにも謝らす゛知��んぷり。残ったのは規制だけで、馬鹿のやる事には全く困ったもんである。先日の「酒鬼薔薇・14才」の時も犯罪おたくの心理学者が、「これはマンガやビデオの影響です。」などと相も変わらずたわけた寝言をぬかしていたが、馬鹿はいつまでたっても馬鹿のまま。少しは進歩しろよ!お前だよ、お前!短絡的で幼稚な坊や、小田晋!よぅく首を洗っとけ!コラ!  「獣人たちの儀式」は退学者や少年院送りになつた生徒、暴走族、ヤクザ達が集まって酒盛りしながら女教師たちをずこずこにしてOB会をひらく不健全作品。編集長が「また危ない作品を・・・」とこぼしたものだが、岡野さん、田舎で元気にお過しでしょうか。この頃の「漫画エロス」には「ケンペーくん」だとか「アリスのお茶会」だとかおもしろい作品が載っていたものです。「爆走遊戯」は伝説のストーカー・ろくでなしマンガ家の早見純が一番好きな作品と言ってくれたが、なぜだかわからない。人の好みはいろいろです。以上3本は単行本「熱き唇の女神」に収録。 「ふしだらな女獣たち」はフェミニストの女二人が美少年をいじめる話。これは「氷の部屋の女」に収録。 ●1 9 9 0 ~   この年の「美蝶」シリーズは『ダンシング・クイーン篇』。マネキン工場跡でJ・ブラウンの「セックス・マシーン」にのせて5人プレイをするシーンや文化祭でのダンスシーン等々結構好きな場面多し。暗くて硬い作品が多いので、この「美蝶」シリーズは肩肘張らずに、かなり軽いノリでキャラクターの動きに任せて、ストーリーも、そして次のコマさえも先の事は何にも考えず、ほとんどアドリブで描いた時もある。  「不死蝶伝説」に続いてシリーズ第2弾「不死蝶」は2誌にまたがって2年位続ける。これも結構お気に入りの一遍。 ●1 9 9 1 ~ 1 9 9 3   「性狩人たち」の近未来版、といった感じの「夜戦士」は学園物が多くなったので、マグナム銃で脳天をぶっとばすようなものが又描きたくなって始めたミニシリーズ。全5話位。松文館より単行本「黒い夜と夢魔の闇」に収録。  この年から知り合いの編集者がレディス・コミックを始める人が多く、依頼されてどうしたものかと思ったが、エロなら何でもやってみよう精神と何か新しい世界が開けるかも、という事から’94位までやってみたものの結果的に不毛の時代に終わる。与えられた素材が体験告白物という事で、非現実的なものは描けないという事は得意技を封印して戦うようなもので苦戦を強いられ、これって内山亜紀氏がやまさき十三原作の人情話を描いたようなミス・マッチングで不発だったかな。今後、もしやることがあれば美少年SMのレディス・コミックのみ。そんな雑誌が出来れば、の話だが。  いくつかやったレディコミの編集の一人「アイリス」の鈴木さんは同じさいとうプロOBで、マンガ・アシスタント、マンガ家、マンガ誌の編集、そして今はマンガ学校の講師、とこれだけ多くのマンガに関わる仕事をしてきた人はあまりいないだろう。これでマンガ評論でもやれば全て制覇だが・・・。  この頃はいつもと同じ位の30~40本の作品を毎年描いていたが、レディコミは一本30~40枚とページが多く結構身体にガタがきた頃で、右手のひじが腱傷炎になり1年以上苦痛が続く。医者通いではさっぱり痛みがひかず、電気針で針灸治療を半年位続けてやっと完治。その後、住んでいたマンションの理事長を押しつけられ、マンション戦争の渦中に巻き込まれひどい目にあう。攻撃するのは楽だが、話をまとめるなどというのは社会生活不適格のダー松には大の苦手で「お前等!わがままばかり言うのはいいかげんにしろー!」と頭をカチ割りたくなるような事ばかりで、ひたすら我慢の日々で血圧がガンガン上がり、病院通いの日々。確実に寿命が5年は縮まる。あの時はマジで人に殺意を抱いたものだが、今でも金属バット持って押しかけて奴等の脳みそをクラッシュしたい気分になる時もある。いつかこの時の事をマンガにしようと思っていて、まだ誰も描いてない「マンション・マンガ」というジャンル、タイトルは「我が闘争」。え?誰も読みたくない?  この間に出た単行本は「血を吸う夜」、「赤い月の化身」「熱き唇の女神」[以上・久保書店] /「牝猫の花園」「真夜中の人魚たち」[以上久保書店]、「美蝶/放課後篇」「美蝶/ダンシング・クイーン篇」「不死蝶/鋼鉄の女王篇・上巻」[以上ミリオン出版]。 ●1 9 9 4 ~ 1 9 9 5   ろくでもない事が続くのは厄払いをしなかったせいか、このままここにいたら頭がおかしくなる、と15年以上いたマンションから引っ越し。板橋から巣鴨へ移動し気分一新!以前からうちもやりましょうよ、と言われていた同人誌創りをそのうち、そのうちと伸ばしてきたものの遂に申し込んでしまい、創らざるをえなくなる。しかもそれが引っ越しの時期と重なってしまい大いに後悔する。しかしいろんな人にお願いして何とか一冊でっちあげ、ムシ風呂のような夏コミに初参加。これが運命の分岐点。レディコミもこの年で切り上げ、以下同人街道をまっしぐら。現在まで「FUCK OFF!」が9まで、「FUCK YOU!」が4まで計10+&冊創る。  ’95からダーティ松本の名前にも飽きてきたしJr,Sam名でも描き始める。 レディコミ時代は松本美蝶。あと2つ位違うペンネームも考案中。  この間の単行本「氷の部屋の女」「双子座の戯れ」[久保書店]、「黒い夜と夢魔の闇」[松文館]、「危険な女教師/美蝶」[ミリオン] ●1 9 9 6 ~   美少女路線の絵柄もこの年の「夜顔武闘伝」あたりでほぼ完成、今後また少し変化させる予定。しかしこの作品は超能力、アマゾネス、忍法エロマンガとでも呼ぶべきか。「グラップラー刃牙」みたいに闘技場での勝ち抜き性武道合戦までいきたかったけれど、残念ながらたどり着けず。  「冬の堕天使」は久しぶりの吸血鬼もの。都営住宅で生活保護をうけている吸血鬼母子のイメージが浮かび、そこから漫画家協会・加藤芳郎を撃つ有害図書騒動のマンガへ。吸血鬼少年が光の世界との戦いに旅立つまでを描き、「闇に潜みし者」は時空を越えて近未来での戦い。その間を描く作品を今後創らなければ。  「FUCK CITY 2006」はクソ溜めと化した近未来のTOKYOを舞台に久しぶりにダーティ・バイオレンスが炸裂!ハード・エロ劇画と同人誌風・美少女路線の合体は果たしてうまくいったかどうか?30ページほど描き足して、’97、9月にフランス書院のコミック文庫にて発売。[「少女水中花」]  「放課後の媚娼女」と「人形愛」刊行。[いずれも久保書店刊]前者は以前、上下巻だったのを一冊にまとめて。後者は近作を集めた同人時代を経ての初単行本で、同人誌を知らなかった読者はショックを受ける。メタルフアンから以下のようなお手紙を受け取る。「これはジューダス・プリーストの『ターボ』だ。ラストの『眠れる森の少女』は『レックレス』にあたる。しかしジューダスもその後『ラム・イット・ダウン』や『ペイン・キラー』���いう傑作を世に出した事だし、今後を期待したい」という意のダー松のようなメタルファン以外は意味不明の激励をうける。 ●1 9 9 7   同人誌「エロス大百科シリーズ」スタート!いろんな項目別に年2刊づつ計100ページ位を別刊シリーズとして出し続ければ10年で1000ページになり、以前「谷岡ヤスジ1000ページ」という枕に最適の本があったが、これも一冊にまとめて枕にして寝れば、目覚める頃は3回夢精しているなんて事に・・・などとまだたった40ページの段階で言っても何の説得力もないか。飽きたら2~3号でSTOPするだろうし・・。[推測通り「毛剃り」「美少年SM」「女装」3号でストップ中]冬にはやおい系にも進出の予定。  今年出した単行本は厚くて濃いエロマンガを集めた久保書店MAXシリーズ第2弾!「放課後の熱い祭り/完全版」と「夜顔武闘伝」オークラ出版。ともに大幅描き足して25周年記念出版として刊行。ティーツー出版よりJr,Sam名で「昼下がりの少女」、9月にはフランス書院より「少女水中花」の文庫本が出る予定で現在、この同人誌と並行して描き足し中。「斬姦狂死郎」第2部も「ホリディ・COMIC」誌にて6月よりスタート!年内創刊予定の『腐肉クラブ』なる死体姦専門のマンガ誌にも執筆予定。  さてさて25年間、旅行の時を除いて、現在まで2日続けてマンガを描かなかった事はほとんどない。これはその昔、伊東元気氏というマンガ家とお会いしたとき「今月何ページ描いた?」との問いに、「今月仕事ないんでぜんぜん描いてません」と答えたら、「そんな事じゃ駄目だ。仕事があろうがなかろうが、毎月100頁は描かなきゃ。」と言われ、以後その教えを守り[描けるページ数は減ったが]、マンガは仕事ではなくなり、朝起きたら顔を洗うのと同じで生活そのものとなり現在に至る。  今は何でも描けそうなハイな状態で、以前はたまには外出しないと煮詰まってしまうので週いち位ガス抜きをしていたものだが、最近はせいぜい月いち休めば十分の「純エロマンガ体」。[純粋にエロマンガを描くためだけの肉体、の意。ダー松の造語]  こうしてふり返ると、この路線はまだえぐり足りない、これはあと数回描くべし、なぜこれを一度しか描かない!等々、残り時間にやるべき事、やりたい事の何と多い事! 爆裂昇天のその日まで・・・      燃 え よ ペ ン !  なお続きは 1997年後期 1998年 INDEX
http://www.rx.sakura.ne.jp/~dirty/gurafty.html
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groyanderson · 3 years
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ひとみに映る影シーズン2 第三話「招霊上等仏恥義理」
☆プロトタイプ版☆ こちらは無料公開のプロトタイプ版となります。 最低限の確認作業しかしていないため、 誤字脱字誤植誤用等々あしからずご了承下さい。 尚、正式書籍版はシーズン2終了時にリリース予定です。
(シーズン2あらすじ) 私はファッションモデルの紅一美。 旅番組ロケで訪れた島は怪物だらけ!? 霊能者達の除霊コンペとバッティングしちゃった! 実は私も霊感あるけど、知られたくないなあ…… なんて言っている場合じゃない。 諸悪の根源は恩師の仇、金剛有明団だったんだ! 憤怒の化身ワヤン不動が、今度はリゾートで炸裂する!!
pixiv版 (※内容は一緒です。)
☆キャラソン企画第三弾 加賀繍へし子「我等、五寸釘愚連隊」はこちら!☆
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 その夜、私は激しい雷雨の音で目が覚めた。雷が鳴る度に地面が微かに振動し、天井から垂れ下がる人天蓋も揺れているようだ。ベッドから起き上がり、着崩れた僧衣を軽く直して様子を見に行く。重たくなった引き戸をこじ開けると、水没した橋のようになった露台から雨水が雪崩込んできた。目の前に見える安達太良山は山頂付近が重い雲で覆われ、普段露台で寛いでいると挨拶をしてくれるトンビやカラスも、当然今日は飛んでいない。妙だ。石筵観音寺(いしむしろかんのんじ)で、天気がこんな風に荒れるのは初めてだ。私は美しい木彫りの観世音菩薩像の御前で印相を組み、真言を唱える。 「オム・マニ・パドメ・フム……オム・マニ・パドメ・フム……」  すると仏像に蛍火のような淡い光が灯り、既に御仏になられた私の恩師、ここ石筵観音寺の和尚様が金剛観世音菩薩として顕現された。 『外で何が起きているのですか』  声ではない波動で、和尚様の言葉を感じる。私は雨が降りしきる露台の方を向き答えた。 「まだわかりません。ですが昨日、散減という怪物と���遇しました」 『チルベリ』  それはこういう怪物でしたか? と聞かんばかりに、和尚様の手から霞のようなエネルギーが立ち上り散減の姿を象った。飛行機の機内では気がつかなかったけど、散減は毛虫状の体の両端に顔がついていて、どちらも頭になっているようだ。右の顔はまるでミルクを飲む赤ちゃんのように口をすぼめて和尚様の霞を吸い、左の顔はまだらに濁った茶色い液体をゲロゲロと吐き出している。和尚様はそれをグシャッと握り潰した。彼の御顔は穏やかな観世音菩薩から、憤怒相をたたえる馬頭観音に変わっていた。 『行くのです、一美。偽りの金剛を斬るのです』
དང་པོ་
 午前〇時半、ホテル千里アイランドリゾート宴会場。川の字に並べられた中央の布団で、私は目を覚ました。どうやら観音寺の夢を見ていたようだ。外は夢と同じ雷雨。とても嫌な予感がする。様子を見に行きたい。けど、佳奈さんの枕元からスマホの光が漏れている……まだ起きているみたいだ。さてどうしたものか、と考えていると、私の背中側に誰かがコロンと寝転んだ。 <こんばんは! お邪魔していい?>  私の影にテレパシーが伝わってくる。万狸ちゃんだ。 <一美ちゃん、ムニャムニャ寝言言ってたけど大丈夫?> <うん、ありがとう万狸ちゃん。……お願いがあるのだけど>  私は夢や嫌な予感の事を万狸ちゃんに伝えた。そして、私の代わりに少し外を見てきてほしいと。 <散減……一美ちゃんは、お昼の怪物の事知ってるの?> <ほんの少しだけね。昔戦った悪霊の仲間なんだって> <じゃあ、一美ちゃんがパトロールに行った方がいいかな。私がこの体回しておくから、行ってきていいよ!> <頼んじゃっていいの? じゃあ、十分ぐらいお願いしようかな> <オーケー。あ、ちょっと待ってて>  万狸ちゃんは襖をすり抜け、男性側の寝室に入っていった。『体を回す』。つまり霊能者が幽体離脱をする時に心臓や呼吸が止まらないよう、誰か他の霊に体を預けておくことを意味する専門用語だ。普通は親戚とか、余程信頼できる霊にしか頼まないものだけど、彼女はプロ霊能者である後女津斉一さんの娘だ。安心して体を預けられる。  程なくして万狸ちゃんは、斉三さんを連れて戻ってきた。護衛につけてくれるそうだ。私は万狸ちゃんに肉体を預けた後、肉体から念力で影だけを集め、幽体離脱した霊魂に纏う。こうする事によって、影法師使いは影と念力でできた体を持つ強力な霊体になれる。世間では未確認生物シャドーパーソンとも呼ばれる、まさに『影法師』という形態だ。準備ができた私と斉三さんは、ホテルの中庭方面へ見回りに向かった。 「こんな時間にお付き合いさせてしまってすみません」 「構いませんよ。むしろこの島では、一人で出歩かれる方が困る」 「……あの、万狸ちゃんから伺ったんですが、あなたは……斉一さんの、ドッペルゲンガーだとか」  歩いていた斉三さんがピタリと立ち止まる。 「……十年以上前の話です。台風による津波から避難するため、斉一は身重の妻を乗せて運転していた。すると山が崩れ、彼らは土砂で生き埋めになりました」 「土砂災害……!」 「三人は救出されましたが、斉一が次に目覚めた時、妻は酸欠の後遺症で植物状態に。子供も流れていました。それを聞いた斉一の精神は三つに分裂して、そのうち一つが僕……」  斉三さんはゆっくりと振り向きながら、狸から人間の姿に変身した。 「事故当時のまま、時が止まってしまった側面です」  それは十数歳ほど若い頃の斉一さんだった。右半身が血と細かいガラス片でキラキラと輝いていて、右腕は折れているのか肘から下がだらりと垂れている。嫌でも凄惨な事故現場を想起してしまう、痛ましい説得力のある姿だ。 「すいません、そんな過去とは知らずに……」 「お気になさらないで下さい。今の僕達には、万狸がいますから」  後女津万狸ちゃん。流産してしまった水子の魂が妖怪になったのか。十数年前に赤ちゃんだった彼女は今、中学生ぐらいだ。恐らくは、生きている子供と何ら変わらない愛情を注ぎ込まれて育っているんだろう……。何があっても、この島で彼らの縁は守らなければならない。そう思った丁度その時だった。 「きゃああっ!」  ホテル棟とやや離れた中庭奥、業者用駐車場方面から悲鳴が上がった。私達は一瞬顔を見合わせ、声の方向に駆け寄る。斉三さんは小さな化け狸姿に戻ってコンクリート壁をすり抜け、私は壁沿いに灯る照明の光をつたって影体を這わせた。
གཉིས་པ་
 駐車場にいたのは加賀繍さんを取り巻いていたおばさま軍団だ。よく見ると中央のおばさまがナイフを掲げている! 「不思議よねぇ……。今日までずっと一緒に活動してきたのに、なーんかストンと醒めちゃったわ。加賀繍へし子なんかペテン師よ、ペテン師……イヒヒ……」 「な……何を言ってるの!? こんな夜中に急に呼びつけて……ともかくそのナイフを下ろして!」  別のおばさまがナイフを持ったおばさまを宥めている。ナイフのおばさまは口角から茶色い液体を垂れ流し、目も焦点が定まっていない。それを見た瞬間、私の中で二つの手がかりが繋がった。 『右の顔はまるでミルクを飲む赤ちゃんのように口をすぼめて和尚様の霞を吸い、左の顔はまだらに濁った茶色い液体をゲロゲロと吐き出している』 『母乳を奪えば子は親の因果を失い、他人の母乳を飲ませれば、子とその相手は縁で結ばれる』 「そうか、あの液体が縁の母乳なんだ!」 「縁の母乳?」 「はい。どういう仕組みかはわからないですけど、散減は人の縁をミルクみたいな液体にするんです。あの人のは茶色く濁ってるから、散減に縁を奪われて、代わ���に悪縁を植え付けられたんだと思います」 「母乳か……エーテル法具と呼ばれる物の類だろう。それじゃあ、散減は何処に……?」  斉三さんが周囲を見渡す。確かに大雨で視界が悪いせいでか、散減本体が見当たらない。おばさまはナイフを舌なめずりし始めた。 「一体どれだけの人間が、あの強欲バブアァァーに毟り取られたのかしら。成敗しなきゃ……共犯者の私達が責任取らなきゃでしょぉ? 暗殺ゥ、あなた達も協力しなさいよォォ……!」  フシャアァァァ! おばさまの口から穢れた母乳が霧状に吹き出す。霧は雨風に飛ばされる事なく、他のおばさま方の方に流れ……すかさず斉三さんが飛び出した! 「そうか、気枯地(けがれち)だ! まずい!」 「気枯地?」 「説明は後!」  斉三さんの尻尾が回転しだす。たちまちそれは極彩色に輝く糸車になった! そこから数本の糸が放たれ、伸長しながらおばさま方を繭状に包み込む。すると繭に触れた穢れ母乳霧は空気清浄機を介したように消滅! 「ふぅ……。気枯地、パワースポットの逆、厄や災いを招く地。木々は曲がりくねって伸び、水が歪んで流れ、磁場も気圧も狂っている。この島に来た時からずっと嫌な感じがしていた。地相学的に言えば、この島全体が大きな悪霊なんです」  斉三さんは極彩色の尻尾を引っ込めた。 「それじゃあ、あの人は……千里が島そのものに取り憑かれているんですか!?」  言われてみると、確かに私も島に来てから体に不快感を覚えていた。しかも今、母乳霧は雨を貫通して漂った。これは明らかに異常だ! 「どうして? どうして仲間になってくれないの! 断ち切ってやる……お前達のその縁、断ち切ってやるゥーーーッ!!」  ナイフのおばさまがおばさま方に襲いかかる! 「きゃあああ!!」 「危ない!」  私は咄嗟に飛び出し、ナイフのおばさまの影を踏みつけた。するとおばさまはスカートの裾を踏まれたようにその場から進めなくなり、べしゃりと転倒した。 「ギャッ!」  影法師の『影踏み』という技術。でも夜は暗く、しかも大雨で影が朧になっているから力が出せない。私にとって最悪のコンディションだ。 「ヒヒヒィーッ……悪霊だあぁぁ! 悪霊が私を押さえつけていて動けない! 誰かあぁーーーっ助けてぇーーー!!!」  おばさまが大声で喚き散らしながら暴れる。私も彼女に必死にしがみつくけど、長くは押さえつけていられない。 「斉三さん!」  叫ぶより前に、斉三さんはおばさまからナイフを奪い取ってくれていた。アンダースローでナイフが投げられたと同時に、私の念力も限界を迎えて影体がおばさまから弾け飛んでしまった。一瞬気が遠くなるような浮遊感を覚えた後、魂が雨に流されないよう何とか街灯の光で影体を繕う。 「今よ、エイッ!」   ナイフがなくなった隙におばさま軍団が暴れるおばさまを取り押さえた。これでひとまず一安心か…… 「……! みんなその人から離れろ!!」  突然斉三さんが叫んだ。しかしカラキシであろうおばさま方には聞こえていない。すると先程まで暴れていたおばさまがビクンと大きく痙攣し、ボキボキ脱臼音を立てて仰け反っていく! 「ゴッ……ゴボッ……ホバアアァァーーーーッ!!!!」  バキミチッ、パァン!! おばさまの体が背中側に折りたたまれ、さながら昔の二つ折り携帯電話を無理やり逆向きに閉じた時のように背骨が砕ける音がした。皮膚伸縮の限界を迎えた胸は裂け、彼岸花状に開いた肋骨が剥き出しになる! そこから天高く鮮血を吹き上げながら、次第に右第二肋骨が膨張しだし……いや、おばさまの魂や血、生命力を吸収しだし、グロテスクな芋虫状の怪物に姿を変えていく! 「きゃああーーーっ!」「誰か、誰かあぁーーーっ!」  おばさま方は蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。雨で足元が覚束ず、何人かは転倒する。 「ボココッ……ポコッ……ンマアアアァァーッビャアアァーーー!!!」  おぞましい咆哮! 細長い芋虫状の体にまばらに毛が生えだした怪物……散減は、逃げ遅れたおばさまの一人に狙いをつけた。 「いぎゃあああ! 何かがいる、何かが私に触ってるのぉーーっ!」  散減は飛行機内で見た物と比べれば遥かに小さい。ただ、それでも全長一メートル程はある。片方の口に二つ折りおばさまを咥えているからリーチは短いけど、足がもつれたおばさまに組み付こうとビタビタ暴れ回っている。 「やめろ!」  斉三さんは咄嗟に二つ折りのおばさまに憑依した。苦痛に歪んだ表情のまま散減を掴むと、力任せに放り投げる! 「ン厶ァッ!」  地面に叩きつけられた散減は陸に打ち上げられた鯉のようにのたうち回る。斉三さんは血反吐を吐きながら脱臼した肉体の姿勢を整え、尻尾の糸で傷口を塞いでいった。 「大丈夫ですか!?」 「はあ、はあ、言ったろ……僕は、止まっている側面……死にかけた人間を未練がましく延命させるのが得意なんだ……妻の、時……」  掠れた最後の一言は雨音にかき消されて、『妻の時』とだけ聞き取れた。しかしそれを考察する間もなく、身軽になった散減が猛烈な勢いで逃げ遅れのおばさまに迫っていた! 「オゲエェェ、ヴォエエエェェェ!」 「ぎゃああああ! くっさあああぁああ!?」  散減が口から大量の穢れ母乳を吐瀉! おばさまを悪縁汚染させようと試みる。 「させるか!」  私はまだ復旧が不完全な影体を振り絞って、おばさまの周囲の影を編みドーム状バリアを張る。行き場を失った光線がメロン格子状に輝き、念力と光エネルギーで多少は霊体からの攻撃を防げるんだ。でも相手が怪物では、数秒しか持たない! 「ンマウウゥゥゥ!」 「う、くぅ……!」  散減がバリアに体を何度も叩きつける! 想像の何十倍もの衝撃に、まるで息が出来なくなるような鈍い激痛が私を襲った。ジリ貧だ。せめて明るい昼間だったら。せめて雨が止んでさえいれば。せめて自分の本体とプルパさえ近くにあれば力を出せるのに! もう、ダメなのか……? 魂の消滅をも覚悟した、その時だった。
གསུམ་པ་
 ブアァァン、ギャギャギャギャギャ!! 張り詰めた状況を突然切り裂くエンジン音。昨日昼に見たイケメンライダーズのバイクが、中庭にドリフトしながら現れた! 爆音に驚いた散減は攻撃を止める。停車したバイクから降りたライダーは、ダマスク柄のフルフェイスヘルメットを脱ぎながら念仏を唱え始めた。 「鬼冥武魎呪女霊……亡武噴火死戯荒……」  それはお経にしては余りにも禍々しく、殺意に満ちた響きだ。ヘルメットの下からライダーの素顔が見えかけた瞬間、ビシャァァーン! バイクの背後に雷が落ち、そのライダーを……特攻服に身を包んだ占い師、加賀繍へし子のシルエットを強烈な後光が照らした! 「加賀繍さん!?」  加賀繍さんは昼間と同じぬか床の壺を地面に置いて開く。そして猛禽のような目つきで散減(がいると思しきアサッテの方向)を睨みつけると、 「救急車を呼びに行け」 「はい!」  逃げ遅れのおばさまを逃がした。そして散減(が実際はいない方向)を睨みつけ、壺からヌラリと光る金属製の何かを取り出す。あれは、五寸釘……? ぬか漬けの色を良くするために入れていたんだろうか。 「よくも私の可愛い仲間を乗っ取ってくれたね……ご先祖様の怒りを知れ!」  更に加賀繍さんはぬか床からナスビやキュウリ等を取り出すと、そこに五寸釘をプスプスと刺していく。まさか、あの形は…… 「精霊牛と精霊馬!?」  そうだ。あれはどう見ても、お盆にご先祖様を送迎するのに使う野菜の牛馬だ! けど脚を丑の刻参りじみた五寸釘で作る事で、何やらとんでもなく罰当たりで禍々しい物体になっている! 「鬼冥武魎呪女霊……亡武噴火死戯荒……」  殺意に満ちた念仏に連動して、ナスビとキュウリはフルフルと震えだす……ブォン……ブォン……バッバッバッバッバッ! するうちまるでエンジン音のような唸り声を上げ、眩いエクトプラズム光を発した! 次の瞬間そこにいたのは……精霊牛馬ならぬ、精霊大型改造バイクに跨る二人のレディース怨霊暴走族だ。 「五寸釘愚連隊(ごすんくぎぐれんたい)総長、悪死蟇魔耶(おじま まや)! 夜露死苦(ヨロシク)!」 「五寸釘愚連隊総長妹、悪死蟇禍耶(おじま かや)! 喧嘩上等!」  レディース二人は目に殺気をたたえ、燃え盛る二本の蝋燭を『五寸釘愚連隊』と極太毛筆フォントで書かれたハチマキで額に巻いている。更にスレッジハンマーを背負い、胸からは藁人形を彷彿とさせる巨大な釘の頭が飛び出している。総長魔耶さんは牡丹が刺繍された特攻服を纏い、針山のようなマスクをつけた薄幸そうな女性だ。一方妹の禍耶さんは薔薇が刺繍された特攻服を纏い、『ナメるな危険』と書かれたスプレー缶を腰に携えた高飛車そうな女性だ。 「ああ、嫌な夜だわ。とっても嫌な夜。それで、今日は誰を祟り殺せばいいのかしら?」  物騒な事を言いながら、バイク上で禍耶さんが色っぽく脚を組んで私を睨む。 「ち、ち、違います! 敵はあっち!」  殺されては困るから、私は慌てて散減を指さした。 「ヤダ、何あの毛虫!? 気持ち悪~い。あっち殺そっと!」  助かった! しかしなんて横暴な即断だろう。そうと決まれば禍耶さんはブォンブォンとエンジンを吹かせ、加賀繍さんが作る他の精霊漬物からどんどん凶悪そうなレディース暴走族を顕現していく。呆気に取られていると、魔耶さんが申し訳なさそうに耳打ちしてきた。 「ごめんね、ごめんなさいね。最近へしちゃんが呼んでくれないから、今日の禍耶は不機嫌なの。手出ししなければ殺さないから安心して」  へしちゃん……って、やっぱり加賀繍さんの事だろうか。手出ししたら殺されるんだから何一つ安心できないけど、いずれにせよ満身創痍な私はただウンウンと頷くだけしか出来なかった。気がつくとぬか漬け野菜は全て立派なレディース暴走族になっている。しかしそこに散減が破竹の勢いで突撃! 「ンマアアァァァ!」 「あらいけない。ちょっと待っててね」  魔耶さんが精霊牛バイクを急発進、散減の横腹に闘牛めいて突撃した! 「ムバァッ!」  バコォン! 散減は五メートル先の自販機まで吹き飛び、機体を大きくへこませた。ガコンガコン、ピヨヨヨヨヨ!! 故障した自販機から缶ジュースが飛び出し、けたたましく非常警報音が鳴る! 「ああ、惨たらしい。私ったらなんて惨い事をするのかしら……」  魔耶さんが恍惚とした表情で呟いた。そこに先程顕現した愚連隊員も寄って集って散減を罵倒し始める。 「ダセェ音出してんじゃねーぞクソ虫が!」「五寸釘愚連隊なめんな夜露死苦!」  ブォン、ブォン! 五寸釘愚連隊はエンジン威嚇音をたてながら散減の周囲を旋回する。一方散減は間抜けにも、頭にりんごジュース缶を乗せたままヒクヒクと痙攣している。 「そうだわ。みんなでジャンプして、あの缶だけを轢けるか勝負しましょ。ねえしましょうよ!」 「「「押忍!」」」  禍耶さんの鶴の一声で五寸釘愚連隊は総員散減目掛けてジャンプ! 集団ウィリアム・テル・チャレンジだ! 「ゴッ……コハッ! ンママ……マバーーッ!」  全員失敗! 缶ジュースもろとも連続轢殺! 「トドメよ、お姐さん!」 「ええ、見せてやりましょ禍耶。目にもの見せてやる!」  魔耶さんと禍耶さんは互いのバイクを横付けして、エンジンを空吹か��ながらスレッジハンマーを振り回し始めた。鬼冥武魎呪女霊、亡武噴火死戯荒……ブォン、ブォン、ブゥン……鳳��墓殺陰意地、罪攻死罪汚物消……ブァブァブァブァ、パラリラパラリラ……殺気に満ちたツッパリ念仏が、空吹かしのエンジン音が、隊員達の掲げる五寸釘愚連隊チーム旗が、総長姉妹を禍々しく高めていく! 「「怒悪羅阿阿阿阿阿阿阿阿阿阿(ドォラアアアアアアアアアアア)!!!!」」  ブァオォォン! 精霊牛馬発進! 勢いをつけた総長姉妹がフルスイングでスレッジハンマーを振るい、散減を吹き飛す! 「マバアァアーーーッ!!」   更に愚連隊総員が一斉に猪突猛進! 散減に追突! 衝突!! 激突ゥゥ!!! 「「「翔進激憑張怨覇霊怒(ショウシンゲツッパリオンパレード)ォォォ!!!」」」  ドガアァァアン……! くぐもった爆発音と共に散減は分解霧散し、あっけなく灰燼と化した。あるいはそれは遠くで鳴った雷の音だったんだろうか。ともかく安心した私は影体を闇に還して幽体離脱した。散減を生み出したおばさまは斉三さんの糸で護られたまま、到着した救急車に搬送される。ふと加賀繍さんを見ると、彼女はまだ念仏を唱えていた。 「いっけなぁい。終わったわよ、へしちゃん。終わったわよーーっ!」  ブォンブォン! パラリラパラリラ!! 魔耶さんが五寸釘愚連隊を率いて、加賀繍さんを取り囲み今日一番の爆音を鳴らした。 「ン……」  そこで初めて霊の存在に気付いた加賀繍さんは、先程作った精霊達から釘を回収し壺に収めた。残った漬物は手近な生垣の土に埋め、悪鬼除滅水をばら撒く。私はそれがお清めの水だったのだと今更理解した。
བཞི་པ་
 それから数時間後、私は宴会場の布団の上で目が覚めた。傍らには万狸ちゃんが寝ていて、玲蘭ちゃんと佳奈さんも布団の中。外はうっすらと明るくなっている。洗面所に向かうと、途中ロビーの���ーブルで誰かが話していた。近づくと、魔耶さんと禍耶さん、それに斉一さんだった。 「おはようございます、紅さん。ご無事でなによりです」 「おはようございます。あの、皆さん、昨夜は本当にありがとうございました」 「『皆さん』? あなた見えてるの?」  禍耶さんと目が合った。 「あ、私が昨夜の影法師です」 「あら、あの命知らず! よくもまあ、あんな夜に影の体で出歩こうと思ったわね」 「そんな言い方無いじゃない、禍耶。この人達がいなきゃ、へしちゃんのお弟子さん今頃は死んでたんだから」  今頃は? という事は…… 「魔耶さん、あのおばさま助かったんですか?」 「ええ、そうよ! そうなの。おかげさまで一命は取り留めたわ。あなたと、この狸ちゃんのお陰でね」  魔耶さんの視線を追うと、斉一さんの膝の上で斉三さんが横たわっていた。尻尾は竹串みたいに細くなって、モフモフだった毛並みも養鶏場の鶏みたいに所々禿げてしまっている。 「だ、大丈夫ですか!?」 「……峠は越えました。依然重体だが命に別状はない」 「いやお前の事心配して下さってるんだよ」  斉一さんが白いパワーストーンの指圧棒で斉三さんをマッサージしながらツッコむ。禍耶さんも乗じて斉三さんのお腹をムニムニつまみ始めた。 「あなた達ってとんだお人好しね。そんなボロボロになるまで、敵の私達を助けるなんて。理解できない。全然理解できないわぁ」 「あはは、私達コンペには興味ないので。そう言う禍耶さんと魔耶さんはその、加賀繍さんのご先祖様……なんですか?」 「やだぁ、違うわ! 違うわよ。私達がそんなに大昔の人間に見えるってーの?」 「いえいえそんな! でも加賀繍さんが」 「あの子は一人だけ助かっちゃったのよ」 「え?」  魔耶さんが意味深な事を言う。 「天険断崖(てんけんだんがい)でチキンレースしてね……いえ、あれはもう殆ど集団自決だったわ……きっかけは何だったかしら。確か皆で同じ男を奪い合って、殺し合って……ああ懐かしい、懐かしいなぁ……」 「わわ、わかりました! もういいですありがとうございます!!」  これ以上聞いていると、魔耶さんの醸し出す殺気で斉三さんがもっと禿げそうだ。 「ま、いくらへしちゃんでも守護霊が私達だって事ぐらい気付いてるわよ。さすがに昔の族仲間だって言うのは世間体が悪すぎるから、ご先祖様って言ってるだけでさ」 「そうなんですねぇ……」  禍耶さんがついに加賀繍さんを『元レディース』だと明言した。なんだか今後加賀繍さんを見る目が変わってしまいそうだ。 「では、私達はこれで」  斉一さんが席を立つ。壁時計によると、朝食の時間まであと三十分ぐらいか。私も五寸釘の総長姉妹に一旦の別れを告げ、洗面所へ。途中でふと外を見ると、水たまりの上でザトウムシが一匹死んでいた。
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azure358 · 4 years
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--深海人形-- 南極の凍てつく海のヒトガタ
※…マダイキテイルノカ…サッサト、ムゲンノホウマツニキエテイケ!…
※…若さと情熱に溢れた私の死は、貴方方への警告である。
※Twitterの自アカウントより引用(※…一部例外として書き下ろしあり。そして、一部修正、大幅加筆改変ところによりもあり)。
※…死にネタ、軽率コラボネタ注意(※何時も通り)。
※…其の女、歴史と戦史学、西洋中華の古典に通じ、幽玄を愛し、イエス・キリストを神とし、天皇を敬仰せり。
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ZONEくん「…人の寿命は、全能の神が決められる事です(キリッ)」インチキ「…駄目だこりゃ……(あきれ)」
…徒手空拳で戦うアリティア王子と言うネタを受信した(※俺の趣味)。
アリティア王子「…こんな物、もう要らない!(竜の牙を鍛えて造る神器の剣を其処等辺に投げ捨てる)」数えるのが面倒臭い群衆のように多い皆「…えっ〜????!!!!??!!!?!!!!!!!(……むしろ、ゴリラグズ向きじゃん!!)」
…ウェイン兄弟は体術苦手だろうね(※…当然の如く捻じ込まれる、ウェイン兄弟ネタ)。
…剣術より、体術フェチの、皆!(※同志求ムモード)
…あきれる程平和ボケしてる風の可愛い顔して、其の根本は、間違い無く、我が目前に立ちはだかる邪魔な敵共は、全て我が手で屠るみたいな修羅なのが良いんですよ(※ピンク玉 ※世紀末)。
…鬼滅は、何処から如何見ても、剣劇漫画だから仕方無いですけど、矢張り、可哀想です猗窩座(※鬼滅は体術派には凄く冷たい漫画 ※そう言う方面でも可哀想と言う)、
…呪術は、体術派に優しい漫画だから(※…武器使い派も、それの兼任も、多いけどな)。
…つーか、…鬼滅は隊側にも鬼側にも素手格闘専門が猗窩座殿と素流道場師範くらいしか全然居ないから、此処迄、絶対零度の冷たさを誇ってるくらい冷遇されてるのでは…猗窩座殿……(※童磨並感)。
…体術とかパラソルとかで戦うけど、純粋な武器系で戦おうとしないピンク玉(※最高に良い)。
…ユギオのは、良い加減、銀英伝と(他芳樹作品 みたいに、どいつも本当に死ねば良い(※…と言いつつ、ちゃんとしっかり拙作で殺すけど笑)。
…そうだね、拙作で殺せば良いの?(タイツマンは殺した 黒咲兄妹も殺した 蟹も殺した カイザーは微妙 まだ増えるよ笑)。
…ワイが拙作を描けば描く(※増産)程、死人が増える(※=キルスコアが伸びて行く)んですよ(※ゲス顔)。
…ジャックとかはしっかり殺し損ねるかもねぇ、ポプラン、ビッテンみたいにはさせねぇよ(謎のやる気満々)。
…今描いてる奴で、コーディーは、…死んでたな(※何気に拙作で殺されてた)。
…描きかけの奴で…コーディー適当に殺されてる(※…しかも、葬式シーン迄ある)……死ぬ必要はあったんですかね……?(※確実にあります)。
…拙作死人多過ぎ(※定期 ※的に殺してる)。
…ワイの死にネタに対するスタンスから感じ取れる、「…ヤン提督が死んだから、逆に、そんなの当たり前!(皇帝やっこさんもオーベルも目星い奴から皆死んでる! 」…と言う無敵の莫迦オーラ(※…余談だけど、鬼滅と呪術もそんな感じ)
…ロクに出番も与えず、活躍もさせず、こいつ様の登場人物キルスコアだけが伸びて行く(※普通に最低 ※頭無惨より酷い ※例外はある)。
…此処迄、酷く、自らの健康を害してしまうとは、思っても見なかったよ。もう終わりも至極近いと感じる、
…たださえ無い頭で複雑に莫迦みたいに考えんじゃねぇ、拍節の良さだけは遵守して、大事な事だけ描いとけ(※上目線アドバイス ※>自分で書いた小説を客観視出来無いオタクへ)。
…「…御前みたいな莫迦は読まなくて良いから(帰れ)。」…って、スタンスで丁度良いと思う(※…物描きとして最底辺の発言)。
…拙作のガレ小説なんて、ガレを汚しただけで終わったよね(※是非殺してください)。
…『死にたい』じゃなくて『死ぬ』だよ。其んな事も分からんのか?莫迦か?(※蟹かタイツマンにドスを刺すつもりで壁打ち ※これぞ本当の鉄砲玉)
…蟹とタイツマンの違いが分からない(相変わらず白痴)。
…ガレとユギオ他を汚す事しか出来無いこいつ様なんて死ねば良いのに(※御安心ください ※有難い事にもう直ぐくたばります ※素直に喜んで欲しい)
…オラ、こいつ様はユギオ大好きなガキ共にとっての長老だぞ敬えや(※海軍根性注入棒で相手が自殺に追い込まれる迄楽しく修正しながら)、
…某氏は、死んでも、IVの事をずっと闇の中で見て居るに違いない(※言わずもがな暗い夜まで)。
#V兄様に国境はいらない n番煎じ(※予言)
…ガレは良いよね…(※ウェイン兄弟を死に追いやりながら)。
…セキュリティ謹製のマーカーだけで無く、無☆職☆王の首輪にもGPS機能付けといたら?彼奴すぐどっか行って迷子になるだろ(※ペット扱い)。
…セキュ霊割と可也の好評じゃんww良かったな作者ww(※凄まじく失礼過ぎる態度)、
…セキュ霊ティの世界観なら、純狐みたいな神霊がベンチに座ってて「…嫦娥〜〜!(※何時もの)」…してても違和感無い(※…強さ的に言っても、公園で五条悟がタピってるのと変わらんし ←※??)。
…某国民的ロールなんとかゲームみたいにオメガとか神竜みたいな神霊級の亡霊がミタマたちの近所に居ても何ら可笑しくないじゃないですか、セキュ霊ティ(※…と言うより、出して ※…今のセキュ霊にはシャケおじさんなど目じゃ無いくらいのカリスマ霊が必要です……作者の精神に直接語り掛けてるつもりです…)。
…蟹とザリガニ(※タイツマン)みたいな霊が欲しい(※ポスト鮭枠で)。…無論、元ネタと同じでカリスマ性があって、有能で莫迦だ(※傍迷惑な外来種)。
…セキュ霊は、カリスマ性があって、信頼か信仰される、『徳高き霊(※神霊)』…って、概念が必要だと思う(※俺の性癖)。
…『徴天(※天人天女版徴兵 だが実質志願兵である)』の為、『不動チーフ』を(※通例通り)『天命通り』死なせて引き抜いた。…そして、文官として(※タイツマンと同じ部所)仕官させた(※久々だよね?天人天女パロ)。
…安心しろ!人生自体が虚無だ!(※IV口調並)
…其処で、中国人が疫病を広げ、感染させると見抜いたワイですよ(←※テメェは死ね)、
…遊星は長生き出来ない。これは確定的である。それは無☆職☆王もだろう。それと、インチキBFデッキ使いが、それかどうかは如何でも良い(※酷い)。
…やっぱり、ワイは洋ゲーのノリ嫌いだ。和ゲーも大概なヤツは多いが、それ等全て含めても、まだ、マシだ。特亜製ならもっとだ。全体的に見ても、まともなゲームは、(※究極的には)『日本人にしか作れない(※他の分野でも言えるのかも?)気がして来た(※ネトウヨ)。
…モーメント機関を開発した不動親子も、其の開発した機関が戦争に使われ、兵器転用されていれば、ガレの某兄弟みたいになっていたかもしれない(…報復の為に殺戮を厭わず、国家を殺さんとする親子)。
…首無き決闘者〜Beheaded Duelists.
ワイ「…何?!納骨堂は英語で言えばRepositoryでは無いのか?!(※勝鬨並 ※ZUNglish)」
…矢張り、漫画にも、カリスマボスが必要ですね(※…シューティング、シミュレーション、格ゲー辺りには幾らでも居ます)。
…ユギオにしろ、FEにしろ、ガレにしろ、鬼滅にしろ、『魂を引き裂くような悲しみ(悲哀)』を描ききったからこそ、『名作』だと思います(※…逆に、それが出来無い作品は、安易に、名作認定してはいけないと考えて居る)。
…ユギオの海外���情について情報取集するだけでも、随分勉強になる(※壇さんのような莫迦共には、決して、出来無いであろう)。
…スマブラDXの没ステージ案に、『アカネイア大陸(※名前だけ)』があったって、つい先日知った(※ワイは詳しく無いぞ)。
…『フジツボ』を『フジキド』と見間違いするくらいには、忍殺にミーム汚染されてる(※…同じようなヤツおりゅ?)。
…女は格好良い男の人よりも、概して、可愛い男の人が好きだってはっきりわかんだね(※迫真)。
…機械最高だぜ(※お前らしいツイートをしろ)。
…セキュ霊面白いぞ(※宣伝)。
…蟹とタイツマンが(※拙作での及び原作での ウェイン兄弟みたいな性格だったら良かったのに(※某アリティア王子か格好良いただのモブみたいな性格)……、
…あんな、ウェイン兄弟みたいな性格から生成されるAIとか、まごう事無く、地球と人類をあっさり滅ぼしちまうな(笑)。
…あの面で「…僕の勝ちだね(爽やかにグリーンリバー並)」…と言われる(※ウェイン兄弟に)と、確かに(※ムカつく)。ウェイン兄弟「…一人十体撃破なら行けるか(※ガレはこう言うゲームです)。」
…ウェイン兄弟は、公式設定の時点で、一人称:僕だから(※…ライジング大神はスゲーよ?)。
…ミタマが、ウェイン兄弟みたいな性格でも良かった気がする(※ワイ恒例)。
…つーか、拙作にしろ、原作にしろ、ウェイン兄弟自体が『ガレと言うゲームの再現(※作品の内容とゲーム性擬人化)』でしか無いからね?(※…ですが、本来は皆一人残らずそうあるべきなんですよ!!)
ウェイン兄弟「…科学者は先ず好奇心!そうだよね?(※…伝説って?)」蟹「…ああ!(※…科学者は先ず好奇心と言う台詞は、地球の静止する日からだな!)」
翔一「…遊作!新しい仲間だ!(※wktkしながら)」ウェイン兄弟「…ショウイチ君には、色々、サイバー科学について、教えて貰ってるんで?(※…それに君と同じ弟の兄なんで??)」タイツマン「…帰れ!(※黙れ!のノリで)」蕎麦(…軒先を取った次に母屋を取る気満々だ… …早く駆除しないと…)
…こんな様のウェイン兄弟、次元侵入罪で射殺して可です(※推奨)。
…基地ガイ「…拙者の青春〜!(※此の歳で青春)。」 元ヤン「…ガイが可笑しくなった(※…つーかアレはパクリじゃ……)」師匠「…いつもの事じゃ(※悟り)。」
…鬼滅原作で、忍鬼を実装して欲しかったのにな(※…鬼いちゃんは、忍っぽいだけで派手柱一家みたいな元専業とは違うし)。
…基地ガイにしろ、決闘者(デュエリスト)にしろ、ああ言う有能な人材を鬼にして行くと、高ランク上弦達みたいに、鬼である事に耐えられずに、最期の最後に、『自決(※謎の自害)』を選ぶかもねぇ…(※…そうなれば、もう、ドプケラのような生物と機械の融合体みたいに、鬼と機械の混合物作るしか無ぇ!)。
…FEのジェネラル(※…日光にも耐える特殊な西洋騎士鎧)みたいな重装騎士鬼が出て来たら、鬼殺隊は如何すんの?(※世界観の飛躍)。
…実力的にも、百年以上は軽く持つ上弦を少しずつ丁寧に『建造(大型艦建造扱い)』して行くより、下弦クラスを大量増産した方が良かったのではないか?(※戦艦大和を建造する余裕があったら、陽炎型駆逐艦をあと20隻作れ!並のアレ)。
Q.頭無惨「…出来るなら、上弦並の鬼を量産したいのだが…(※アメリカ帝国感覚で)、」A.…戦車(タンク)とか潜水艦とか空母みたいな役割を持った、新しい種類の鬼を作ればええんや!(※英国面と言う名の日本面)。
…欧米諸国にとって、艦種の起源を語る上で忌まわしい艦船一覧 若宮(※世界初の水上機母艦かでよく議論)鳳翔(※世界初の設計空母)あきつ丸&神州丸(※両船とも世界初の強襲揚陸艦)
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ストラーラとディオレの対立に緘黙をつらぬいていたバルナバーシュは、心奥においてそのすべてが気に食わないでいた……。決戦の地へいたる苦楽の旅路の裏で、いくばくかでもあの少女と、少女の魂に巣食うありとある人々の無念が糸を引いていたこと。そして、ディオレ――いや、幸星の民が、自分たちとフェリクスらによる侵されたくはない戦いを、ある意味では目的完遂のために利用していたこと……。ルドとともに果たしてきた何もかもが、まるで瑞穂を刈るように、神々の遊戯の収穫としてみるみる奪われていくようだった。いましも展開された道理と正義は、理性が制する頭では分かっている。だが、やるせない心はやがて静かな怒りに変わって沸きたち、銀剣は瞋恚をうつして深い闇色に沈みながら、その刀身に複雑な層をなす魔術回路を青く脈動させた。彼はいま、わずかにうつむきながらも、ぎりと歯噛みし、フェリクスと同じ苛烈な視線をこの状況に向けていた。復讐、もだしがたい復讐心――元来、あまりに自責的であったがゆえに、ナナヤに裏切られても、また故国で無二の友、ウィローを殺され、乱世に翻弄され、愛する女性が絶望におちいってさえも、ついぞ興されはしなかった激情――そしてイクトルフの門で戦ったハインの言葉が、耳もとで囁くかによみがえる。「運命に刃向かうなら、その糸を繰る奴を倒すしかない」と。
幸星の民の約束について、ディオレがいま語っただけではない、さらなる秘匿がまだあるように思えた。だが問いただすいとまはない。破れた空のかなた、完全真空の冷たく暗い世界から流れ込む虚無の力は、さきほどの黄金と赤黒い大気のうねり――夢の化身と魔王が溶岩のごとく相争う、混沌とした力とは対極をなすかに見える。あの引き裂かれた空は、超常の扉〈イムド・エガト〉だという。イススィールのことばで、中間の門……つまりあれは天空と地上の境界、神々とヒトをつなぐ関門なのだ。夢の化身も、魔王も、そしてこの虚無も、はるかなる果てより来たりし意思に違いない。そしていま、分かるのはただひとつ、最後に望まれた闘争とは、超常の意思と我々の可能性をかけた大いなる戦いだということだ。
三人のフェレスの戦士は、それぞれの自我を武器に込めて、中天に浮いて立つストラーラと対峙する。神々しい後光のなかで少女の姿は肥大とともに変容し、綺羅をまとう正気を奪うほどに美しい乙女となり、乳酪色の両翼が生え、いっさいの面影をうしなった巨大な神像――女神の似姿へと進展を遂げた。大いなるものの霊気をほとばしらせながら、右手には神罰をくだす白き剣を、左手には永遠をことほぐ均衡の天秤をかかげ、神にまつろわぬ者らを絶対の帰順に縛するべくひらめかす。イムド・エガトより虚無はさらに広がりつづけ、アストラの天地もまた漆黒の深宇宙と同一化し、ストラーラが取り込みつづけたフェレスの欠片たちが神像の胸元より爆ぜて解き放たれると、那由多の星々となって散り飛び、彼らの頭上と足下に夢幻的な銀河を生み出した。
「バルナバーシュさん、これは……!」 「このビジョンはまぼろしではない。だが臆するな、ルド! 私たちに真の宿命があるとすれば、夢と現実の織りなす強大な混沌の波、さらには宇宙に根ざすこの無辺の虚無にも打ち勝ち――運命と可能性を、今を生きるヒトの手に取りもどすことだ。私たちは天上にまつろう奴隷ではない。虜囚でもない……たとえヒトもまた、虚無より生まれ、混沌の一部として生き、みずからもやがて虚無となって還る存在なのだとしても。夢を支えたミューヴィ・エレクトラ、魔王の使徒グッドマン・レイ、そして女神ユテァリーテ……彼らの伝説は、私たち自身でもあった。そしてストラーラもまた――彼女はいま、ヒトの心を切り捨てている。ゆえに、戦うんだ。私たちこそが彼女から失われた心の化身となって。ともにはるかなる果てへ至るために!」
フェリクスとの決闘で多くを知り抜いたバルナバーシュは思う。もしあの時、フェリクスではなく自分が敗北していたなら、己れの無念に飽和したフェレスは咆哮し、アストラをあの赤黒い空ではなく夢に酔う黄金の色彩で満たして、欲望が爛熟して混じりあった極光が滅びをもたらしていたのだろうと。ルドに命を守られていなければ、心を喪失していたのは自分であったかもしれない。
胸元に熱い昂ぶりを感じて、フェレス――懐中時計を取り出すと、青白い光に激しく脈打っており、何かに導かれるままにバルナバーシュはそれを虚無の宇宙へとかかげた。ディオレもまた、光を放つ世界樹のメダルを突き出し、二すじの光線がフェレスの銀河へ飛翔して隕石のごとくぶつかった。天上のフェレスもまた、ひとりひとりの燃ゆる心であり、星々は七つのパワースポットを巡る彼らの思い出を受けて奮い立つと、永遠無限の光を降りそそぐ流星群と変えて地上へと返した。すべての過去から未来へと連なる尋常ではない力が、バルナバーシュとディオレに――さらにはルドの胸奥にも送り込まれ、イススィールの力に躍動する!
ディオレが七色の石から鏃を研いだかがやく矢をつがえ、虚構の偶像を狙い定めて言った。
「かれらは世界に生まれつくのではない。世界を作り出さねばならないのだ。地上に新たな歴史がはじまるとき、アストラにいたるすべての戦いは序曲としてみな忘れさられるだろう……かつて閉じられて灰と帰した、まことのイススィールのように。しかしかならず、あとに続いてゆくものがある。その希望を守ってみせる――それが私の願いだ!」
矢を放つよりまえに、神像が揺らぐ天秤を持ち上げ、新たなるダーマを告げる荘厳な鐘の音を星々に轟かせた。西へ大きく傾いた天秤より、神の法を犯す者たちへの昏き怒りが邪悪な影の大群をなし、重くせりあがる津波のごとく三人へ押し寄せてくる。ディオレはこの時を待って、限界まで引き絞った弓弦を解き放った。瞬間、すさまじい光を放ちながら矢は飛び、群れの中心に呑み込まれるや、ありとあらゆるまばゆい色を放って影たちを一人残らず消し飛ばした。
だがその衝撃に風が猛り、突如として降りそそいだ雨が咽ぶ。とどめがたい情を映した闇沙漠のそれとは異質の、凶々しくもうつろに暴る豪雨にうたれるなか、見る間に暗雲が宇宙に立ちこめ、フェレスの星々を隠して、足元には荒廃した大地が、遠空には苦悶にのたうつ巨獣となって荒れ狂う紫黒色の嵐が広がった。だがルドは負けじと濡れる顔を上げ、神像の閑かな異相を見据えてさけぶ。
「僕は、ストラーラ、君が願った永遠とそれを願ったわけを、なかったことになんかしたくない……でも、そのためにこそ今は戦わなきゃいけない。思い出してほしいんだ。ずっと拾い集めてきたたくさんのフェレスの欠片に、いつか埋もれて、縛られて、忘れかけてしまった君自身の心、そして終わりの解放を。希望を示すという君がこれまでしてきた救いを、今度は僕たちが君に与えてみせる!」
神の像の右腕がもたげられる。ひとふりのとほうもない、白い炎をまとったネメシスの剣が雲と何万もの次元を切り裂き、力を吸い取りながら打ち下ろされ、生命が死に絶えていく音とともに三人へ刃が落ちかかってくる。その所業への悲憤にかられたルドが、残された左腕に銀空剣を握りしめ、走りつつ、銀のかけらをふりこぼしながら、果敢にも打ち返すべくその刀身を振るった。少年の絶叫とともに割れた胸甲から青白い光が放たれる! 神とヒト――差は歴然と思われたルドの一撃は、限界を超えたポテンシャルをありたけのせて何十倍とある質量の女神の剣を大きく撥ねとばし、さらには宇宙から奪われたエネルギーの多くを刃を通じて取りもどして、銀空剣をふりまわすと、神に切り裂かれて凍てついた次元のあるべきところへまき散らしながら返すことができた。多元世界のよみがえる気配に、銀空剣に宿る精霊と魂たちが歓喜の楽音をひびかせる。
切り裂かれた雲より脈打つ光が神像を照らしながら、その背後で今もってふくれあがる暗雲が、内部より雷電に明滅し、幾千の稲光を奔らせた。女神の号令で無数の次元から呼び集められた雷精ユンデルスのしもべらが、神の意思の伝い手となって遥か上空を駆けめぐっているのだ。そのすべてが女神の頭上で縒りあわさり、一本の長大な雷槍へと変じるのが見え、バルナバーシュは危惧を押し殺しながら銀剣アルドゥールの切っ先を差し上げる。心を内に向け、奥深くに眠る闇――みずからの来歴を越えてヒトの血に連綿と継がれゆく暗部と淀みに、己れの個性をも沈めてひとつと交わりあった。そして喉もとに得体の知れぬ虫のさざめきがこみあげ、かたちをなし、古くいまわしい呪文となってつぶやかれたとき、銀剣から黒い霧が不定形の生物のように身を広げて噴出し、巨大な魔法の楯となってはだかった。だが、多勢からなる稲妻をひとりでは防ぎきれぬとかれは悟った――黄金に爆ぜる槍が飛来する!
「おぉッ……!」
剛槍が眼前に迫ったその時、決死にうなる男の声がした。バルナバーシュではない――見澄ますと、長斧から紫電をほとばしらせながら槍をふせぐフェリクスの姿があった。ルベライトの三つ目を見開き、歯を食いしばり、旅路で幾度となく振るわれた雷の技で黒い霧の楯とともに雷槍の勢いを殺し、ついにこれを槍先からまっぷたつに断ち切った。フェリクスもまた、フェレスから強大な力を受けて駆けつけ、神にあらがう気概に溢れているようだった。
「フェリクス!」 「貴殿は力量をわきまえろ。何度も言わせるな! ……このふざけた偶像こそが我々の運命をいたぶる元凶だというなら、引導を渡さねばならんな。それも、ヒトの手によってだ。だからいまは力を貸してやる。ともに闘おう」 「ついそこで愛した女の前でめそめそと泣いていた男がなにを偉そうに。だが、いいだろう。破壊者たるを目指した者の因子もまた、私たちの世には必要だ」
二人の魔術師は双肩となり、ふたたび女神の頭上に集った雷精たちの剛槍を見やった。槍は一本ではなく八本が並び――ひとしなみにそそいで四人を塵に変えるかに思われた。二人はルドとディオレを守るように立ちはだかり、フェリクスがやにわに振り向いて何かを差し出した。
「ルド、これを君の胸の中へ入れろ!――私たちの力になることが彼女の最後の願いだ」
それはカゲロウを閉じこめた琥珀――イブのフェレスだった。ルドは剣を地に置いて受け取ると、刹那の迷いのあと、意を決して割れた胸甲の奥に押し込んだ。自らの心臓部近くに触れると、鼓動の高まりとともに全身に熱が走り、血たる燃料が沸騰するかのようだった。その時、八条の貫く稲妻が彼らに襲いかかる!
バルナバーシュとフェリクスは、ともに青い魔術回路を波打たせながら銀剣と魔斧をかかげ、持てるすべての魔力を賭して半球状の堅牢な障壁を生みだした。雷槍の八本のうち半数が半透明の青白い切子面の壁に激突し、凄烈な威力と圧倒をもってひびいらせるなか、二人の魔術師は身を焦がし、激痛に顔を歪め、体の節々から血を流しながらも、強靭な意志でもって触媒を突き出しつつ立ち尽くした。稲妻はがむしゃらに地を揺るがし、うねりあがってくつがえる岩々のあいだを浄化の炎が焼き払う。黒煙のなかで、障壁は持ちこたえていた。だが神像から発せられる絶対の波動が、彼らの身魂を刻一刻とむしばみ、魔術師たちはいよいよ瀕死にまで追い詰められつつあった。あえぎながら、バルナバーシュが肩越しに振りかえる。
「ルド、君がやるんだ。君が私たち――ハイン、フェリクス、ナナヤ、ディオレ、イブ、この私――そしてストラーラの願いをも叶えるはずだ。行け! 私たちを超えて……!」
この言葉にルドは戸惑った。七人の願い――その来歴と重み、かけがえのない思い出の全容――が心にのしかかり、左手に握りこんだ銀空剣は目覚めながら静かにうなりをあげる。だがルドは、ついに道を決してうなずき、そのかたわらでディオレが片膝をついて手を組み合わせると、澄みわたる湖水のような声音で祈りの句を織りはじめた。
「闇沙漠に眠れる死者たちを常しえに慰めつづける、天使のはらから、聖なるアクレッツたちよ……今こそ彼らを光へ導く弔いのとき。いざ集え、かの者の背に。飛ぶ鳥の翼となりて運命の使者たらしめたまえ!」
ディオレの世界樹のメダルがひときわ大きくかがやき、白い光の粒子が放たれる。その力はディオレが葬送者たらんと思いを馳せる、闇沙漠に散らばる砂のなみだを源にし、ルドの背に送られると、生物とも機械ともつかぬ――また双方の交わりとも見える未知の銀翼をなした。つかのまの飛行能力、はるかなる果てに属する奇跡だったが、宿命を果たすためにはわずかなれど充分な可能性だった。胸奥にともにあるイブのフェレスが赤熱し、ルドはとぶように地を蹴った。魔術師たちの障壁を踊りこえ、神罰に燃えさかる宇宙を翔け、隻腕に持つ銀空剣クァルルスを、神像の胸へと差し向ける――暴風をまとう刀身がたけび、雷鳴と嵐は晴れ、雲間から目もくらむ薄明の光芒が差し入った。まばゆく照りかえす切っ先が、女神の心臓へ突き入れられる!
(そして、天は許す。神々のうつせみたるあなたたちの戦い、そして愛を)
ルドの眼前で、神像が微笑んだように見えた。だが、それもまぼろしにすぎなかったかもしれない――無音、そして震撼、爆発的膨張が、神像を中心にかれらとイススィール、さらにイススィールをとりまく多元宇宙を跡形もなく吹き飛ばし、遠大な虚無の光のなかへつつみこんだ。ありとある肉体と精神、存在と時空のことごとくは意味や価値をもたない粒子の群れと散り、運命の糸がとぎれた一瞬のでたらめな宇宙の全方位へと飛翔していった。ときにぶつかり、ときに打ち消し合い、またあたらしい惑星を生みながら……それは完全なる死、真実の死、業と宿命のまっとうの果てにひとつのしるべ無き不死にピリオドを打ち、そのくびきの夜が終わる悲しみと、夜明けへのわずかばかりの希望……名もなき力の奔流がめぐり、行き来し、たがいを引き寄せて、偶然たる必然のパワーバランスがしたたかな草木のようにからみあいながらひとりでに成長していく。
諸世界のるつぼのなかで、かすかなルーツが導きのように呼びかけていた。世紀の網を、全存在が泳ぎ抜けていく。突き刺す吹雪が痛みをもたらし、やがて夜とも朝ともつかぬ始原の海に万有が流れつくと、海はあろうとする者たちの鳴動に暗く荒れ、マナの幹と枝葉がまたたく間に生い繁って、海淵に深く根を張り、天空を樹冠で覆いながら、果てしない一本の木を生み出していった。それはあらゆる事象の象徴、超越をもたらすもの、秘め隠されながら、多元宇宙を支える完璧な超自然の御柱だった。海は宇宙のはじまりから涯へと永遠に回帰していた。つねに時空のどこかにこだまをかえし、希望の歌を響かせる約束の場所として。しかし、この新たな宇宙はいまもって灰のなかにあった……鮮烈な終焉の痕に残された、虚無の灰の沈黙のなかに。
ルド、バルナバーシュ、ディオレ、フェリクスの四人の魂もまた、再誕の海を索然とたゆとい、新たな自己存在が、新たなロジックのなかで組成されていくのを感じながら、思いとはなにか、信念とは、感情とはなにかをみずからに問うた。それらはヒトがいだくに値するのか。なにもかも無価値であり、我々はいまこのときも、神々や、さらにその上方にある絶対的な存在のあやつり人形にすぎず、この努力もむなしく、永遠に運命は、ヒトが手にすることのかなわないものではないのか。この戦いは、ヒトの歴史は、世界は……あらゆる闘争は、均衡の天秤の意思のもとで永劫に繰り返されるのではないか。この旅路の先になにかがあると信じて進むことに、いったいなんの意味があるのだろう。いや、意味などないのだ。継承という名を冠する、呪われし道には。
だが、それでも、とバルナバーシュが思ったとき、自身がふいに実体をもって波の打ち寄せる岸辺に立ち、灰色の虚無の世界のむこうに、三つの仄白い人影がおぼろに浮かんでいるのに気付いた。ひとりは神秘的な女性、ひとりは甲冑姿の屈強な戦士の男性、もうひとりは機械とおぼしき未来的な鎧に身をつつむ男性に見える。自分のとなりにはルドが立っていて、彼もまた懊悩と期待がないまざる複雑なまなざしをもって影に見入っているようだった。
女性が進み出ると、影は――ロマルフ城で邂逅した、ミューヴィ・エレクトラの姿をとる。だがストラーラの生みだした過去の幻影とも思われない、確かな実像を持っており、希望を担うかすかな旭光を放ち、彼女は語りかけてきた。
「私たちはもうガイドしない。絶望の時代は終わるでしょう。再び世界が闇に迷うとき、あなた達のフェレスが、新しい『エターナルデザイアー』として人々の希望となるでしょう」
屈強な戦士が続いて歩み出る。廟塔のビジョンで出会ったレイ一族の末裔――グッドマンだった。豪放に笑い、覇気を張らせてにっと歯を見せる。破壊をあらわす赤黒いオーラは、いっぽうでヒトの血そのものでもあり、いまは親しみと郷愁を二人に想起させるものだった。
「夢は誰かにかなえてもらうモンじゃあねぇ。目の前の一つ一つの障害を乗り越えてそこに達することが、そいつにとって本当に目的を果たしたことになるンだ。挫折したってかまわねぇ。目指した過程は残って、未来へ踏み出す糧になっていくだろう。ンで近づいていくンだよ。そいつが本当に求めるモンにな」
そして最後に、未来的な鎧の男があらわとなる。機械人らしき頬当てに隠されながら、左眼に細長い傷が縦に走り、骨ばっていかつい人間の顔をもつ見知らぬ男だった。不動の星の光を胸元に灯し、佇立して威風堂々と男は声を発した。
「お前たちはわずかなれど『はるか���る果て』を見た。神の次元、奇跡ともいえる力を。それは抗いうる、達しえぬものではない……奇跡のパワー、それはあらゆる想像を実現する。想像できることに実現できぬモノなどないのだ」
そうして三人の姿と輪郭は、より遠い次元へ立ち去っていくように全ての色がゆったりと溶け合うなかへ消えていき、代わるように今度は、白き剣を佩いた一人の青年が現れた。魔法使いの旅装に身を包んで悠然とある姿は、イススィールの冒険のすえにエターナルデザイアーを見いだした伝説の人物――先駆者たるクレスオール、その人だった。
「私は、ヒトをこの次元に導くことが、最たる幸福だと信じていた。だがここはあまりにも完全で、ゆらぎない。他人の都合でつれてこられるような場所ではないんだ……ヒトはこれからも争うだろう。新しいものを生み出していくだろう。ヒトはまだ至らないが、しかしいつか"気付く"。それは犠牲かもしれない。栄光かもしれない。かけがえのない過程の果てに、『はるかなる果て』はある。君たちの戦いは伝説となり、後世に語り継がれていくだろう。それはヒトに勇気や希望を与え、彼らを高め導いていく。私たちは待っているよ。人々が"気付き"、『はるかなる果て』にたどりつく日を」
彼のかたわらには光輪をいただく女性がついていた。女性は誰も知らない者――しかし誰もが知る原始的な故郷を匂わせており、隠秘的で、ユテァリーテにもどこか似ていたが……この者は天上の神のひとりではなく、太古より我々にもたらされてそなわる感覚と記憶そのものであり、ヒトの心のより深部にあの大樹さながらに根ざして、遍在する時空をかえがたい絆の架け橋につなぎ、世界を統べているイマージュの化身なのかもしれない。バルナバーシュはそう幽かながらに思った。論理や人知の枠組みをはるかに凌駕した次元への憧憬、あるいは茫洋として、とりとめのない信仰のように。このような理解しがたい想像自体が、みずからのどこから来たのかさえも、なにひとつ確かではなかった。彼女は微笑んで、若い芽吹きを思わせる唇が、「私もまた、あなたたちを待っている」とだけ言葉をかたどった。そうして消えていく。世界をへめぐり、そのディテールと思い出を目の奥に秘めながら生きた、魔法使いクレスオールとともに。
「君たちが胸に抱き、旅の支えとなった偉大な夢は、イススィールを去る時に叶えられるだろう。フェレスに誓って約束する――」
灰だけがただよう虚無の世界にとてつもない重力がはたらいた。勇気、栄光、正義、希望、聡明、博愛、犠牲――そして混沌の芽ばえが星辰を結んで太古のエネルギーを分かち、虹色に波打つ大気を生んで、宇宙の無辺へと広がっていく。時空を駆ける波を追うように、七と一からなるあらゆる色彩はよみがえり、記憶は覚まされ、ながれこむ膨大な知識と五感によって存在の証が打ち立てられた地上が、まだ終わる時ではないのだと、ルドたちをとらえ、すさまじい勢いで引き寄せていく。急激に遠ざかるイムド・エガトに、ルドとバルナバーシュはあらん限りに手を伸ばすも、扉は小さくなり、見る間に閉じられていく――。同時に二人の意識もまた、次元を大きく越境する力とそこに感じとった無窮の安堵に満たされて、眠るように薄く遠のいていった。
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