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#尾身クロン
yasuboy · 2 years
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コロナワクチン 嘘だったんだって 続きはスライドしてみてね。 東洋医学健康アドバイザー 松本康男 #ワクチン危険 白血病 #心筋炎 心臓痛い 心膜炎 #コロナ茶番 コロナ茶番劇 南アフリカ オミクロン #尾身クロン #オミクローン ねえねえ尾身さん #マスク脳 マスク マスク拒否 マスクを外そう マスク不要 マスク不要論 ノーマスク ノーマスク運動 マスク外そう ねえねえ尾身さん 尾身茂 尾身会長 分科会 コロナ専門家有志の会 こびナビ ★スペシャルサンクス★ 相互紹介 ♪ グループC @gengroup_follow GEN GROUP 真の健康 健康美容 @nomask_no_n 日本人を守ろう!ノーマスクのN @hiromu_investor 紘夢 健康オーガニック 次世代を守る @enjoyuko.1 自律神経ケア小顔スクール代表 東京 @yukineisan1985 ゆき姐 ワクチン水道民営化反対! @ryota__178 りょうた 新型コロナ情報アップ @waku567waku 陰謀とコロナワクチンの害 @alny1719 日常に戻ろう!情報鵜呑みにせず疑う! 関連ワード #ワクチンパスポート #ワクチン拒否 #デマ太郎 #河野太郎 アメリカ ビルゲイツ コロナワクチン接種後 #コロナはただの風邪 #コロナは茶番 #コロナは嘘 #ワクチン危険 #ワクチン拒否 #ワクチン副作用 #ワクチン副反応 #インスタ医療団 #インスタ医療団_予防接種 #コロナワクチン接種 mRNAワクチン #遺伝子ワクチン #コロナ脳 家畜 家畜化 陰謀 #陰謀論 内海聡 #コロナワクチン #ワクチン #ワクチン接種 ワクチン不要 ワクチン不要論 血栓症 不正出血 #人口削減計画 #人口削減 薬害 反ワクチン #ノーワクチン 自然派 自然派ママ #近藤誠 https://www.instagram.com/p/CYS0N1dP_1l/?utm_medium=tumblr
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mitsuosurfer · 2 years
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尾身クロンさん降臨 ‪東京都世田谷区南烏山5-1-13 03-5384-4173 #千歳烏山 #世田谷 #東京 #サーフィン #サーフショップ #イエローマーケット #yellowmatrket #楽天 #ヤフオク #京王線 #久我山 #芦花公園 #アマゾン #仙川 #クリエイチャー‬ (イエローマーケット) https://www.instagram.com/p/CX2xoMNPGho/?utm_medium=tumblr
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 やっと見つけた。
 少年は緊張と興奮で弾んだ息を整えながら歩調を緩めた。街の中央、噴水広場の一角にある豪奢な石造りの邸宅。あの男は口からでまかせなどではなく本当に有力で財力のある人物なのだろう。今からお前が馬鹿にしたこの魔具(マグ)で自慢の家が木端微塵になるのを見て自分の愚かさを思い知るがいい。土下座させて店から巻き上げた金を返させてさらに迷惑料ももらおうか。
 手の震えをおさえつつ布袋から金属のコップを取り出す。一見すると装飾の一切無いシンプルな日用品だがこれは正真正銘父の工房でつくられた19+の魔具だ。向きをあわせて後は力をこめるだけ……。
「はいストーップ」
 突然スーツの男が出現しさっと魔具を取り上げた。そしてもう一人、メガネの男がバインダーにはさまれた紙をめくって読み上げる。
「魔具NO.2253『缶砲台』の使用には兵士資格が必要です。無資格使用は魔具法80条に則り……」
「おい返せよそれ!」
「無資格のまま所持している魔具については発見次第こちら、魔具管理所にて一時預かりとの規定が……」
「なーなーおーいアンペル」
 魔具をとった方の男が困惑といった感じで少年を下から見下ろしながら口を挟んだ。
「これ資格以前の話っ」
「ああ、そういえばこの魔具は19+だな。キミまだ12ぐらいだろう」
「15だ。返せ」
「年齢違反には違いない。魔力(マーリー)不足が観測されていないことには疑問が残るが……。まあいい、大人しく署まで……」
 そこでやっと黒いバインダーから顔を上げて少年と目が合う。点になった目で少年を眺め回してから気まずそうな表情の相棒と顔を見合わせる。スキあり、とばかりに缶砲台に手をのばすと意外にも身軽なシルクハットの足さばきでひょいと避けられ足払いをかけるとタイミングよくジャンプされ失敗に終わった。
「金髪黒目に浅黒い肌……。キミ、流者(ルシャ)だよな?」
「なーなーおいアンペル!流者(ルシャ)って魔具をつくれるけど使えないんじゃなかったっけっ」
 上からと下からとそれぞれ眺めまわされて不愉快に思いつつ少年は自分も相手の片方――魔具を取り上げた男を眺めまわしていた。ぴしっと体にフィットしたスーツを着ているのも、高級そうな革靴を履いているのも、かっちりしたシルクハットも、いかにも街(バージス)の貴族といった感じで魔具管理署という職業にふさわしいと思うのだが問題はそれが逆さまだということだ。つまり、シルクハットから黒く細い脚らしきものが生えて体を支えていて、本来の足はというと天に向かってV字開脚。なんだこいつ。
 一方アンペルと呼ばれたメガネの男も書類と目の前の実物に困惑していた。本来魔力(マーリー)を持たないはずの部族の子供が魔具についてよく知らないまま並みの術師以上の大魔力を使う……なんだこいつ。
  「氏名、アス・フェン。歳は15。流者(ルシャ)。無資格使用未遂の魔具は『缶砲台』。間違いないか」
 口をとがらせてうなずき、アスは差し出されたカップを手にとった。同時に空の陶器の表面にオレンジの光紋が広がり底から湯気をたてるコーヒーが湧き出る。
「お? 驚かないのかーい?」
「父さんが魔具師だから。こういうのは見慣れてる」
 父、魔具師と書類に書き込むアンペル。一応魔具使用違反の取り調べだ。うっかり答えたアスは上目づかいにアンペルをにらんでカップを置いた。
「魔具法って、何だよ。街(バージス)にはそんな法律があるのか」
「お前、魔具師の子なのに知らねえのかっ。なーなーアンペル説明してやって」
 テーブルにシルクハットで立ち至近距離で唾をとばす逆さま男(さっきヴォルターと名乗った)をうっとうしげに追い払いアンペルは例えば、とポケットから水道の蛇口を取り出した。ハンドルをひねるとアンペルのコップにとぷとぷと水が注がれた。
「これは5歳から使えて資格も要らない魔具だ。誰が使っても問題ない。だがキミが使おうとした缶砲台は19歳以上、さらに兵士資格が必要だ。これは内戦を防ぐため。わかるな?」
「19+って魔具の強さの目安じゃないのか」
「年齢制限表示だ。どんな魔具でも一定以上の魔力(マーリー)を必要とする。個人差はあるが魔力(マーリー)は年を取るとともに強くなるものだから、年齢で規制されている」
 アンペルが自分のメガネを指さすとふちが端から一気に青く光り、レンズがキラリと不透明になった。そのままあちこちを見回してまたスッと透明に戻す。
「これは23+の千里眼鏡(テレスコープ)。キミの家の夕食は羊肉の包み焼きだな。豪華な夕食じゃないか」
 千里眼鏡(テレスコープ)で何を見てきたのかまた書類に何か書き込むアンペル。覗き込もうとするとバインダーの端が突然伸びて危うく額に刺さりかけた。これも魔具か。
「魔力(マーリー)が十分ねーのに魔具を使おうとするとな、こーなる!」
 書棚で何か探していたヴォルターがシルクハットでぴょんと器用に脚立から飛び降りてくるっと回る。顔面すれすれを通過する靴を避けつつヴォルターのシルクハットが魔具なのだと理解する。
「いやーガキの頃両親が空間転移魔具(テレポーター)でほいほいあちこち出かけるのがうらやましくってさっ。オレも行くーってろくに知識もないまま力をそそいでボーン、だ」
 ぎょろっとした目でシルクハットを見上げて(見下げて?)にやりと歯を見せる。頭は完全にそれと融合してしまい、さらに足が生えて代わりに自前の足は動かなくなったらしい。暗い話を陽気にしつつ、でも便利だぞこれーっとぴょんぴょん跳びはねまくってみせる。その手にはカラフルな袋。
「あっ! ……ヴォルター、それは私の大事なスイーツだ! 返せ」
「職場に自分用スイーツとは感心しないなあアンペルさんっ」
「頭を使う職業柄スイーツは必要不可欠!」
「ほらほらまだ取り調べ中だろっ! これは食っといてやるからさっさと済ませて取りに来-い」
「おまこらまて」
 ぴょんぴょんとおちょくるようにテーブルの周囲をぐるっと回って腰から先を振りながら出て行った。アンペルは肩をいからせてそれを見送り、突然スイッチでも切り替えたように真顔で椅子に戻った。
「で、ろくに知識もないままキミが噴水広場でこの魔具を使おうとした目的は何だ」
「……」
「手短に話してほしい。早くあれを奪還しなければ私のアフタヌーンティーが糖質ゼロになってしまう」
 前言撤回全然切り替わってなかった。
「……あの野郎が、うちの魔具はどれも何の役にも立たないガラクタだ、って馬鹿にしやがったんだ。とっとと店閉めちまえって」
「ただの悪口だろう。相手にせず放っておくのが一番だ」
「それだけじゃねえんだよ。あの野郎裏で手ぇ回してて、あいつが来た翌日から銀行屋は金おろさせてくれねえし身に覚えの無い借金をとりたてに金貸しが来るし、その金貸しの連中は店の品物に手ぇ出すし。街中じゃあうちの悪評をばらまきにばらまいて、おかげで昨日もまともに商売できやしねえ」
 アンペルはわずかにまゆをひそめた。
 流者(ルシャ)は魔具をつかえないことを理由にたびたび街者(バジャ)から差別を受けている。しかし街者(バジャ)は街者(バジャ)で自分たちが使う魔具を自分ではつくれないため流者(ルシャ)は大事にされる傾向にあり、流者(ルシャ)が実際に迫害をうけたという報告は今までにも無いはずだ。銀行屋が絡むとなれば相手は財力がある。財力のあるものが流者(ルシャ)差別に動いたのか。人は金に弱い。その財力に操られて流者(ルシャ)差別が進めば最悪……
「おいアンペルさん。取り調べしてるのに上の空かよ」
「ああ、すまない。……“あの野郎”の名はわかるか?」
「セレスト・クロンだよ。高名な魔導師なんだってな。そいつがうちに来て、今まで色々な魔具を使ってきたがこんなにひどい魔具は初めて見たとかぬかしやがったんだ」
  「帰ったよ」
 アスが自分のテントに戻った頃にはもう夕暮れ時になっていた。お帰り、と玄関布の向こうから声だけ聞こえてふわっと暖かい香りがする。いつものスープのにおいだ。
「夕食、もうすぐできるから店の人呼んできてもらえるかしら」
 店のテントはもう少し街(バージス)に近い通りにある。夕食の買い込みでにぎわう露店の通りを抜けて、営業を終えテントが仮畳みされた道具街(バージス)へ出た。
 “流者(ルシャ)”というのはその呼び名通り流れ者で、それぞれ決まった季節に街(バージス)に立ち寄り露店を開いて生活している。例えば干物商なら冬直前期に保存食の買い込みを狙ってやって来るし、織物商もこの時期は毛皮商人がほとんどを占める。アスたちの一族は夏に北の山で魔具の材料となる石や金属などを採り、山が雪で閉ざされる冬にこの街にやってきて魔具を制作しながら売る。今年は良質の石がとれたから良い魔具ができて繁盛しているはず……なのだが。
 急ぎの注文でも請けたのだろうか、テントを畳まずたいまつの下で剣を鍛えなおしている鍛冶屋の向かいに、肩をおとして品物を片付ける集団を見つけた。
「おーい、お疲れ」
「ああ、アスか。何してたんだ今まで。もう閉店だぞ」
「悪い悪い。ちょいと野暮用が。夕食、できたってさ」
 おお、と男たちの疲れた顔が少し緩んだ。その中に唇をかんで箱に魔具をしまう父の姿を見つけた。今日も奴らは来たのだろうか。店の男たちの表情からするに、噂のせいでろくに売れなかったのだろう。父の頬に今朝は見なかったうすい傷があるのが見える。刃物で脅されたのだろうか。話しかけようと近くへ行ったが言葉が見つからず黙々と片付け作業を手伝う。許せない。あの野郎。今度会ったらぶっとばしてやる。
「あー……。まだいいか。もう閉店時間か」
 振り返ればスイーツメガネ男。
「げ」
ごつっ
 条件反射で出した声の直後に頭上から拳襲来、その場で悶絶。
「痛って���な兄貴!何すんだ」
「『げ』は無えだろ。失礼だ」
 失礼もくそもあるか散々個人情報引き出した後三時間もの焼き菓子トークにつき合せやがって。また会ったな、とひらひら振る手にこの魔具の先っぽ刺してやりたい。
「何しに来たんだよ……」
「何って、魔具を返しにだ。そちらが店主か。私は魔具管理署調査官のジム・アンペルと申します。本日昼過ぎ、噴水広場にてアス・フェンさんがこちらの魔具を使用しようとされました。資格違反、年齢違反ということで魔具法に則り署で一時預かりとさせていただきました」
 黒いバインダーにはさんだプリントを淡々と読み上げて缶砲台を手渡す。早口でまくしたてられた文言に父は目を白黒させてそれから軽くアスをにらんだ。他の男たちの目も集まって気まずくなり肩をすくめてそっぽを向く。
「ところで、つかぬ事をきくが……。お子様の親戚に街者はいるか?」
「? いや、ワシの知る限り一族はみな流者(ルシャ)だ。……何か?」
「彼、魔力(マーリー)があるようだが」
「……」
「……」
 しばらくの沈黙の後父とその他大半の目が不審者を見る目に変わった。気圧されたアンペルが慌てて持っていた小箱をアスに投げてよこす。使って見せろ、と言われたがどう見ても拳大のただの箱で開かないし使い方もわからない。見たことの無い魔具だ。
「うちは武器系専門の魔具屋だから武器以外の魔具はよく知らない」
「それはランプだ。貸せ。ほら、ここを開いてここに魔力(マーリー)を」
 立方体の箱の金具をいくつかいじると箱の角の一つが欠けるように開き、アンペルが魔力(マーリー)をこめるとその中央部分があわく光った。渡されたそれを眺めまわしてからアスもそれを適当に手の中で転がし、トントン、と箱の中央部を指でつついてみる。
 パン
 乾いた金属音とともに指さした部分がはじけとんだ。金属片が首筋をかすめてアンペルも冷や汗をたらす。半信半疑どころか全疑に近かった父と店員たちは目を丸くして破裂した箱を凝視した。
「……アス君、力こめすぎだ」
「使い方知らねえって言っただろ。見よう見まねでやったらこうなっただけだ」
 父がアスの手から今や残骸となったランプをひったくるように奪い取り、しげしげと眺めまわす。信管や火薬の類が入るようなスペースはもちろんそこには無い。
「ええと、アピールさん、じゃったかな?これはどういう……」
「アンペル。ご覧のとおり、息子さんには魔力(マーリー)がある。それも同い年の街者(バジャ)ならわずかに明るくするのがやっとのレベルの魔具を、破壊してしまうほどの」
「……」
「これほどの魔力(マーリー)だ。コントロールする術を学ばないとうっかり魔具を暴走させかねんし、魔導師資格の方に師事されることをおすすめする」
 残骸を受け取り、ポケットにしまいながらメガネを直して笑う。
「すぐにとは言わない。ゆっくり考えて、心が決まったら魔具管理署まで来てほしい」
 言い終わると同時にカチッと音がしてアンペルの姿が掻き消えた。呆然と虚空をながめて立ち尽くす父の前でアスは握った手に目を落とす。
――バージス、クリオロ通り北361番地リント国魔法省魔具管理署調査官、ジム・アンペル
 渡された紙切れにはそう書かれていた。
   夕食後(腹立たしいことに羊肉の包み焼きだった)、父に呼ばれてテントを抜け出し露店街へ向かった。もうすぐ深夜という時間だが酒場の多い通りはまだまだにぎわっていた。
「アス。こっちだ」
 飲屋(クワス)から父が手招きするのに気がついて中に入る。カラカラン、と入店を知らせるベルが店内の話し声にすいこまれていった。仕事を終えた魔具師や露天商が思い思いのベンチやソファに腰かけて近くに座った他の客と語り合う、そんな感じの店だった。見れば街者(バジャ)も数人話の輪に混じっている。広間の奥のステージで見世物が始まったらしく客がそちらへ集まっていく。店員と二言三言軽口を交わして父は果実酒を手に戻ってきた。
 多くの客とは反対側、ステージから離れるように丸太に腰かけて渡されたコップをすする。ほわりと甘い香りがのどから体にひろがる。まだ冬は序の口とはいえ最近かなり冷えてきている。温かい飲み物は指先をあたためるのにうってつけだった。
「あのクロンとかいう野郎、まだ店に来てんのか」
 グラスを手に飲みもせずうつむいたままの父に耐えかねて話を振る。父はああ、と一言うなずいてやっと一口酒を口にふくんで背筋をのばした。
「今日は借金の利子だと言って自在剣をとって行きおった」
 あの店の隅に置いてあったシンプルな短剣のことだな、と脳裏に店内図を描く。装飾は少ないものの剣先の湾曲が美しく、気に入っていたのでそんな奴の手に落ちたのが非常に腑に落ちない。それを使おうとして魔力(マーリー)不足でリバウンドでも起こせばいいのに。腕が剣と融合してうまく食器を持てない“あの野郎”を想像してみたが剣がもったいないのでやめた。家を爆破してさっさと取り戻してしまいたい。
「アス、お前を今晩ここに呼んだのはその話ではない。魔力(マーリー)の話だ」
「わかってる。魔力(マーリー)が、どうしたんだよ」
「魔力(マーリー)を持つ者は魔具をつくれない。これは知っておるな」
「いや知らない」
 言葉を続けようとしていた父、絶句。親戚に魔力(マーリー)を持つ者は居ないし一族と街者(バジャ)の交流もそんなに深くはないがしかしどこかで耳にする話のはず、というか数年前に説明したぞ息子よ。
 父に軽くにらまれてアスは目をそらす。いちいち覚えてねえよそんなこと。
「……理由はわかっておらんが、魔力(マーリー)持ちは魔具をつくれない。つまりお前は魔具師にはなれぬということだ」
「その台詞前にもきいた。父さんが教えてくれた通りに作っても魔具にならなくて」
「そ・れ・が・お前が魔力(マーリー)を持っとるせいだと言っとるんだ!」
 つい声が大きくなり、ステージの方には届かなかったがカウンターの店員の白い目が刺さる。父は肩をすくめて平謝りし、腹いせとばかりにアスの頭をこづく。
「……アス、お前は店を継げない。今までいつかお前も魔具をつくれるようになると信じて魔具づくりを教えてきたが、お前にはその素質がない」
「いーよ、別に。店を継ぐとか魔具師になるとか、そんな深く考えてなかったし」
 物覚えが妙に悪いと思っていたら案の定だった。このバカ息子、父は心中で罵倒しておく。
「オレは魔術師になればいいんだろ? 明日アンペルさんの所に行って魔導師資格の人紹介してもらう」
 父は降らすの酒をぐいっと一気飲みしてから勢いよくアスの頭にチョップをくらわせた。頭悪くなるじゃねえか、と頭をおさえて文句を言うアスの頬を今度は軽くはたく。
「自分の将来を甘く見るな。お前が思っているよりずっと大きなことなんだぞこれは。真面目に考えておるのかお前は!」
「な……んだよ考えてるに決まってんだろ。魔具師にはなれないけど魔術師にはなれるってきいて今ちょっとほっとしてんだよ」
 いつのまにか双方立ち上がってにらみ合う形になり、いつ手放したのか二人のグラスは中身を床にぶちまけて転がっていた。まだかなりの身長差のある父を見上げる。いつもはどこか穏やかな光のあるその目がいつになく鋭く厳しいものになっているのに気が付いて若干ひるんだ。
「アス。魔術を選ぶなら一族を抜けなさい」
 表情とはかけ離れた穏やかな言葉が父の口から紡がれる。しかし内容は鋭く耳に突き刺さった。
「魔術の先生のところへ行ったら、もう二度と一族の元へ戻ってはならん」
 語尾がふるえ、続けかけた言葉を一旦飲み込む。どういうことだよ、と開きかけたアスの口を片手でふさいで後は畳み掛けるように早口になる。
「魔術を使うお前はもう家族ではない。ワシはもうお前の父親ではないし、お前はもうワシの子を名乗ることはできん。よいな」
「……、何言ってんだよ……どういう意味だよ、父さん」
「……」
 父は何も言わ��に立ち上がり、グラスを拾い上げてしかめ面の店員に返しにいく。アスが追いすがるとうっとうしげに振り払い、たたらを踏んで尻もちをついたアスを蹴飛ばして床に転がした。グラス返却のついでに酒代とチップの支払いを終えて足早に出口に向かう。
「待って、父さん」
「もう二度と父と呼ぶな」
 早口が最後一言返ってきて直後に父の姿が消え、アスはあわてて出口周辺に群がる客を押しのけて店を飛び出した。
 ほとんどの店が明かりを落とし、街路灯も一部消えた酒場街。どこを曲がって行ったのか、人通りの少ない道に父の姿はもう見当たらなかった。
   翌朝、目を覚ましたアスは自分の寝具を直してからあくびをかみころしつつ食堂を兼ねているテントへ向かった。寝違えたらしく首が痛くて左を向けない。ふああ、と今度はかみ殺し損ねてあくびがもれる。もう他の店員たちや女たちは食事を終えて出かけて行ったのかテントには誰も居らず、部屋の真ん中に空の鍋だけが残されていた。食器を手にあれオレの分、と頭をかいて舌打ち。誰だ朝っぱらから食い意地張ってる奴。他人の分まで食ってんじゃねえ。
「アス」
 テントの玄関布をわずかにめくって母が覗き込んでいた。その手にはスープの入った食器。
「はやく食べちゃって。お父さんやお店の人に見つかったら、お母さんが怒られるから。ほら早く」
「どういうことだよ」
「……私からは言えない。はやくして。人が来る」
 渡されたスープを行儀悪くかきこんで飲み込む。とっくに冷めて冷たく、あまりおいしくなかった。母はアスが平らげるのを見届けるなりテントを出ろと急かし、外を気にするそぶりを見せる。何を急いでいるのかわからないままに玄関布に手をかけると母がその手を握りしめ入れ替わるように中に入った。
「行きなさい。戻らないで。でも忘れないで。父さんも、母さんも、本当はあなたを愛している」
 すれ違いざまに耳元でささやき声がきこえドンッと背中を突き飛ばされつんのめるようにテントを追い出される。ちょうどテントの前を通りがかった通行人にぶつかってしまい、慌ててあとずさって平謝りした。いつもなら見ず知らずの人間でも気をつけろよ、ぐらいで済むのだが今日は違った。ぶつかった相手は父の店で昔から働く者で、顔見知りだったのでほっとした直後その男は予想だにしない言葉を吐いた。
「触んじゃねえ穢らわしい!」
 さらにその場で印を結び、とっとと出て行けの一言を置き土産に去って行く。何だっけあの印。山で採掘初めの儀式で見たような。……悪霊払いの印だ。
「ちょっとおい、待てよ」
 追いかけようとすると道ゆく人々が顔をしかめて過剰に広く道をあけた。なんだよ、と顔を向けると目を伏せて決して合わせないようにする。一歩近づくと二歩下がる。露店の通りにさしかかった所では生卵や腐った野菜が飛んできて上着や髪を汚した。
「何するんだ! いたずらじゃすまねえぞおい!」
 声を張り上げると近くにいる人がみな耳を塞ぎ悪霊払いのまじないが合唱される。一歩進めば商いの場を穢すなと罵声がとぶ。
 ようやく道具街に入り、父の店に着いた。露店街の連中が追って来ていないのを確認してほっと胸をなでおろす。
 今朝はずいぶんと冷えている。手がかじかんだのか袋から魔具を取り出す兄の手つきが緩慢で頼りなく、小型魔銃を取り落としそうになった。アスは横からさっと手をだして受け止め、手伝う、と他の袋を手に取った。
「触るな泥棒!」
 ドッ
 一瞬聞こえた衝撃音がどこで聞こえたのかわからなかった。とにかくえぐられるような痛みが腹部にじりじりと走り始め地面に転がったまま背を丸める。もう一発同じ場所に一撃。ようや��それが自分に突き込む音だと理解した。身をよじって次の一撃を避けようとすると今度は背中に痛みが走った。
「やめろ、オレだ、アスだ!」
「誰だそれは! 街者(バジャ)が勝手に商品を触るんじゃねえ!」
「オレは流者(ルシャ)だ! 髪と肌見りゃわかるだろ!」
「流者(ルシャ)になりすますあくどい街者(バジャ)め……! その口にどとしゃべれねえようにしてやる!」
「みんな来てくれ!この穢らわしい餓鬼がうちの商品に手を出しおった!」
 父の声に反射的に顔を上げる。そこを蹴り飛ばされ、吹っ飛んで別のテントに衝突する。陳列棚を崩された鍛冶屋の店主は怒りの声をあげて手に持っていた何かをアスの腕に押し当てた。
「−−−−っ!!!」
 熱い。痛い。熱い。熱い熱い痛い痛いいたいいたいいたいあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛
   戸口で音がした気がしてアンペルは読みふけっていた資料から顔をあげた。ヴォルターが調査を済ませて戻ってきたのだろうか、と考えてからすぐに打ち消す。彼ならノック以前に部屋の中に直接ドロンするに決まっている。
 コンコンコン
 今度ははっきり聞こえた。呼び鈴ではなく戸をたたいているということは訪問者は流者(ルシャ)か。今日流者(ルシャ)と会う約束はあっただろうか。
 ばんばんばんばんばん
 いい加減うるさくなってきたのでとりあえず思考停止で玄関に向かう。ドアを開けると体当たりしようとしていた少年が勢い余って転がり込んできた。
「アス君?」
「アン……ペル……さん……」
 見上げてきた目に一瞬息をのむ。つい昨日見たやんちゃそうな強い光はその瞳には無く、見開いた目は焦点が定まらないまま右往左往していた。見れば服はズタズタ、体のあちこちにあざが浮き浅い切り傷が走っている。さらに左腕はひどい水ぶくれで腫れ上がっていた。
「入れ。すぐに手当てする」
 半ばひきずりこむようにアスを招き入れて棚から治療道具を出す。あざには湿布、切り傷には絆創膏で半日もすれば元通りになるが火傷についてはそうもいかない。スプレー式の消炎魔具はヴォルターがやかんをひっくりかえした時に使い切ってしまって手持ちがなかった。とりあえず状態を見ようと腕をつかむとぐにゃりと嫌な感触。折れている。
 さっきからやたらと背をまるめて腹部をおさえる仕草も気になる。少し迷ってから内視眼鏡(エンドスコープ)にかけかえて確認し、薬をのませて処置した。かなりの大魔力なので魔力監視に引っかからなければいいが。
「……何があった?」
 服を着替えさせて落ち着いたのを見計らって声をかける。アスはそれに答えず目をふせてしまう。食べ物で釣ってみようとラスクと紅茶を出すと飛びつくようにかぶりついた。
「うまいか」
「うん。……このラスクが特に」
「わかるか?それはこの前教えた店のラスクでな。全粒粉の白パンをよく焼いて……」
「あーはいはい」
 バターのこだわりから砂糖の産地までまだまだいくらでも伝えるべき魅力が詰まっているのだが昨日も最後まで聞いてもらえなかったので断念する。次はチョコレートの話にでも変えてみるべきかもしれない。
「……流者(ルシャ)の街から追い出された」
 菓子袋をあさる手が止まった。
「流者(ルシャ)のふりした街者(バジャ)だって、父さんが周りの人をあおって、みんな穢らわしいとか言って悪霊扱いして」
 アスはうつむいてソファの上で膝をかかえた。アンペルはそれを見つめて唇をかんだ。事態は予想以上に早く進行しているようだ。こちらも早く手を打たなければ。
 ポケットから円盤(ハンドル)を取り出す。それと菓子袋をお供にアスが座るソファに座った。振動に驚いたアスが顔を上げると同時にソファが床から浮き上がる。
「わっわっわっ……」
「動くな。これはバランスをくずしやすい」
 円盤表面のボタンをいくつか押すとソファは器用に部屋の調度品をよけて階段へ移動して二階へ上がり、開いた窓から横向きに外に出た。それから自動操縦に切り替えるとゆっくりと前へ加速していく。
「これも魔具かよ!」
「東部の民間伝承を魔具に応用してみたそうだ。もっともあれは絨毯だが」
 空中は地上よりも寒く、しばらくすると手がかじかんできた。あいにく手袋を忘れてきたので息をふきかけ、さすってほぐす。
「やっほアンペルっ!」
 キッ
 いきなり眼前にヴォルターが現れて思わず緊急停止ボタンを強打してしまった。運転手であるアンペルはソファとリンクしている操縦盤のおかげで落下をまぬがれたが、アスは慣性の法則に従いそのまますごい声をあげながらふっ飛んでいく。
「……何だ、ヴォルター。調査は終わったのか」
「……先に同乗者回収っ!」
 ソファを急発進させ落ちていくアスを追う。最終的には屋根の上に墜落する直前にヴォルターが持っていた容疑者捕獲網でなんとか回収。
「てめおま何いきなり死ぬかと思ったぞおい!」
 さっきの落ち込みはどこへ行ったやら眉をつりあげてぎゃんぎゃんわめくアスの相手をお前のせいだと押し付けておいてヴォルターが持ってきた資料に目を通す。
「アス君。セレスト・クロンという男が最初に来た時の店主とのやりとりを知っているか?」
「あ? ああ。あの野郎、何かごっつい魔具を買おうとしてて、父さんは証明証が無いと駄目だと言ったんだ。そこからもめて」
 やはりそうか。
 眼下に広がっていた街がとぎれ、代わりに水が広がる。アスがこれが海か!と興奮して叫んでいるが残念、湖だ。湖のほぼ中央に城がにょっきり生えており、アンペルはそれめがけてハンドルを切った。
「アス君。キミが会ったセレスト・クロンは偽物だ」
「は?」
「本名ロード・スレイバー。首都(キャピタル)で有名な富豪だ。魔導師資格を持っていないから欲しい魔具が買えず業を煮やしたんだろう」
「魔導師資格?」
「魔力(マーリー)の大きさには個人差があるっ!魔力(マーリー)の特別強い奴だけがゲットできる資格っ!魔導師資格があれば自分の歳より上の魔具を買ったり使ったりできるのさっ!」
 城の中庭にゆっくりと着地し、円盤にロックをかける。長方形の建物にカラフルなキノコがにょきにょき生えたような奇妙なこの建物は魔具管理署の入る魔法省本庁舎だ。
「魔具管理署調査員ジム・アンペル、ただいま戻りました」
 呼び鈴に話しかけて緑の木戸を開ける。アスとヴォルターを招き入れ、会議室へ向かう。
「ああ、アンペルか。ちょうどいいところに」
 会議室はちょうど会議中で並べてくっつけられたテーブルの中央に資料を山と積んでスーツの署員たちが何やら議論していた。資料の上には画面が浮かんでいて資料の一つと見られる魔具を映し出してゆっくり回転していた。
「うちの魔具だ!」
 思わず出した声に署員の目がいっせいにアスに集まる。ヴォルターにアスを捕まえさせておいて席につき、配布資料にざっと目を通す。
 今回の事件の発端は隣国で使用者未登録の資格必須魔具が押収されたことだ。南にあるその国と北方を行き来する魔具師系流者(ルシャ)との交易は乏しいのでこの国の人間が魔具を横流ししている可能性が高い。資格の無い者が魔具を購入・使用することはもちろん違法だ。それでここ数週間にわたり調査を続けてきたがようやく首謀者とその協力者を絞り込めたようだった。
「犯人らの目星はつきましたが、どうしますか。泳がせておいて購入現場で現行犯逮捕しますか」
「いえ、違法入手のために流者(ルシャ)差別を行って流者(ルシャ)を奴隷化しようとする動きがあります。すぐにでも手を打つべきだと思います」
 会議は犯人逮捕の計画へと進み、アスとヴォルターは退出となった。
   食堂でパンとスープの簡単な夕食をもらってからアスは庁舎の仮眠室に通された。固いベッドに毛布と簡素な寝床だ。自分は流者(ルシャ)のテントを追い出された身、寝床が確保できたのは幸運だった。贅沢を言えば枕が欲しいところだ。
 ため息をついてアンペルからもらったミニ扇風機を手の中で転がす。暇なら魔力(マーリー)のコントロールの練習でもしておけと渡されたもので、網の中に回転羽が入った赤子用玩具のガラガラのような形をしている。最初は案の定大魔力(マーリー)をぶち込んで室内で竜巻を起こしてしまいひっくり返った簡易ベッドやテーブルをすべて直すはめになったが大分慣れてきた今ではテーブルの上に畳んで置いた服が吹っ飛ぶ程度でおさえられている。この数時間の成果としては上出来なんじゃないだろうか。
 つまるところ眠れないのだった。窓の外は真っ暗で何も見えず壁時計はとっくに深夜をまわりもうすぐ早朝という時刻だ。
 部屋の外が急に騒がしくなったのはそれから数分後だった。ばたばたと慌ただしい開閉音に、ようやくうとうとしかけていたアスは寝ぼけ眼をこすりながら起きあがり、仮眠室の外に顔を出した。
「おや、アス君。すまない、起こしてしまったかな」
「起きてた。魔具持ってみんなどうしたんだ?」
「容疑者ロード・スレイバーを発見した。今から逮捕に向かう」
 署員たちがそれぞれ思い思いの装備を身につける中アンペルも魔銃や捕獲網など必要になりそうな魔具を身につける。もちろん空間転移(テレポーター)であるシルクハットも忘れずに。
「オレも行く」
「アス君はヴォルターと一緒に留守番しててくれ」
 言うと思った。軽くにらむとヴォルターがひょーいと肩に乗ってきて意味ありげに超至近距離でウインクしまくってきた。うぜえ。あと重い。
「……あー……。わかったよ。大人しくしてる」
 白々しく目をそらしながら言うとアンペルも
「じゃあ留守の間頼む。くれぐれもヴォルターの目を盗んで勝手に外にでることのないように」
 物わかりの良い少年ですな、と他の署員が感心したようにつぶやき、シルクハットをかぶって消える。他の署員に続いてアンペルも空間転移(テレポート)した。全員が出発してしまうと日の出前の中庭は急に静かになる。
「……」
「……」
「さてアス君っ。準備準備っ」
 ぴっと投げられた物を受け取ると見覚えのあるラスクだった。ヴォルターの手にはカラフルな袋。またスったのか。ありがたく頂いてから部屋着の上に支給されたコートを羽織る。
 アンペルに言われたのはヴォルターの目を盗んで勝手に出るな、これだけだ。一緒に出てしまうことには全く問題ない。
 空飛ぶソファはヴォルターにとっては魔力(マーリー)不足で使えなかったのでボートで湖を越えて馬車で出立した。ヴォルターはその形態上、馬を御せないので手綱はアスが握っている。
「お前の魔力(マーリー)は何のためにあるんだよ……」
「えーと、空間転移(テレポート)っ?」
 ヴォルターの道案内を頼りに右へ左へ暗い森を縫うように走って行く。暗すぎてアスには何も見えないがヴォルターは双眼鏡を目にあてて的確に指示を出す。それも魔具か。森を抜けて田舎道に出た頃にはもう空が白み始めていた。もうすぐ日の出だ。
「ロード・スレイバーだっけ、あの野郎どこに居るんだって?」
「街(バージス)の北部、鐘楼付近」
 そっちがあの野郎の家か。噴水広場の邸宅は他人の家だったわけだ。無関係どころか名前を騙られたという点で被害者に当たる人間の家を危うく木っ端みじんにするところだったのだと思うとアンペルたちに感謝の気持ちがちょっとわかないでもなかった。
「あ、移動したっ。そこ左に曲がって、あ、右行って」
「どっちだ!直進するぞ!」
「容疑者が空間転移(テレポート)したっ。……俺だけなら空間転移(テレポート)でついていけるのになーっ」
「……」
 街に入り、噴水広場に着く。ロード・スレイバーが街じゅうを空間転移(テレポート)しまくっていて方角が定まらずそこで停車。
「……っていうか空間転移(テレポート)するんじゃ捕まえても逃げられちまうだろ」
「錨(アンカー)っていう魔具があるのさっ。さっきの網もそれっ」
 言いながら積んできた荷物から弓を取り出して矢をつがえる。噴水の真上に狙いを定めて弦を引く。
 ズドン
 突然突き上げるような衝撃があって馬車から放り出された。驚いて逃げ出した馬に気をとられてから噴水の方をふりかえるとさっきまでちょうどヴォルターが狙っていたあたりに黒服の男が出現していた。ロード・スレイバーだ。すぐさま体勢を立て直してヴォルターは弓を引こうとする。
「危ねえっ!」
 馬車が爆発して炎に包まれ、爆風で数メートル飛ばされる。
「おいヴォルター!貴様何をやっているんだ!」
 どうやら最初からここに誘い込んでヴォルターが錨を撃ち込む作戦だったらしく、複数の署員がロード・スレイバーを取り囲むように現れる。しかしそれは相手にはお見通しだったようで彼ら目がけて噴水広場のあちこちから迎撃の矢が火を吹いた。矢にあたり墜落しつつ署員の一人が放った魔銃がロード・スレイバーの手をかすった。それに気をとられたところを別の署員がシルクハットに狙撃してふきとばす。
「ヴォルター、やれ!」
 言われるより先にヴォルターは矢を放っていて、それは火矢ひょいひょい避けながらありえない距離を飛んでシルクハットを貫いた。その間に署員たちは次々に火矢に射落とされて着地する。どうやら火矢は浮遊魔法を無効化するものらしい。地上に何人協力者が居るのか噴水広場周辺の建物の影から水や風の塊もさっきからひゅんひゅん飛んできている。
「なーなーアンペルはっ」
 飛んできた水の塊が直撃してずぶぬれになりながら近くの署員にきくと他の署員が放った錨にあたって陸路で向かっているとの返答があった。相変わらずのドジっ子め。ドジっ子は向こうも同じだったようでロード・スレイバーも協力者が放った火矢にあたって墜落しているが。
「容疑者確保っ!」
 署員が声をあげて一斉に飛びかかり網を放つ。
 ズッ ゴオォォォオン
 大きな音をたてて噴水が爆発した。飛びかかった署員たちがふきとばされて水をかぶる。
「ははっ。ははははははははっ」
 爆発の中央、噴水のあった所に男が立っていた。さりとて特徴のない、強いて言うなら高級そうな服を着ている事が特徴の男は間違いなく父の店の品物にケチをつけ強奪していったあの野郎だった。
「見ろ。やはりあの店主の言葉は嘘だったのだ。資格がなんだ���数値がなんだ。使えるじゃないか、僕にも」
 男が持っているのは陶器製のつぼ。もちろんただのつぼではなく魔具の一種で、アスが使おうとした缶砲台の上位互換、40+の『壷砲台』だ。男の年齢は外見からして30代前半といったところだから男の魔力(マーリー)は平均より少しは上といったところなのだろう。男はさらに広場の一角にある露店の並びを次の標的に定めて魔力(マーリー)を込める。
「馬鹿やめろ!」
 止めようと飛び込もうとしたヴォルターをスーツのすそをひっぱって引き戻し、一拍遅れて発射された空気の塊がうなりをあげて飛来し着弾する。避難した露店商の代わりに露店に潜んでいた署員らが崩落する店からあたふたと逃げ出すところに水砲が襲いかかる。
「何っ!止めんなよっ」
「あの魔具は着弾点で大爆発をおこすタイプなんだよ!直撃したら怪我じゃ済まねえぞ!」
「何売ってんだお前の店っ!危なすぎっ!」
「元々は穴堀り工事の魔具なんだよ!工程について文句はあるけどとりあえず何とかしろあれ」
 ピキッ
 固い音がしてヴォルターが不自然につんのめり、その場に鋭い氷を残して空間転移(テレポート)した。周りを見ればさっき水をかぶっていた署員たちが氷でその場に縫い付けられて身動きできなくなっている。
「一人逃したか……。彼は火矢にあたっていなかったんだな。まあいい、これで邪魔はなくなった。さあみんな、僕らに魔具を売らない流者(ルシャ)たちを潰しに行こう。次はテント街だ。魔具師を採りに行くぞ!」
 おおおおお、と広場に面した建物の窓という窓から鬨の声があがる。
「彼らに罰を!我らには魔具の自由を!」
 それぞれ低級の砲撃魔具を手にした服装もバラバラな一般街者(バジャ)たちの歓声に包まれて、タイミングを見計らったように魔動車が広場に滑り込んでくる。待っていたとばかりに男はつぼを肩に担ぎあげ、
 ゴン
 にぶい音がして飛んできた鉄塊でつぼが粉々に砕けた。自分の肩口を見つめて呆然とする男目がけて車は突進する。
「アンペルっ!遅いっ」
 魔動車に乗っているのはアンペルだった。運転士を魔銃で脅しつつもう一方の銃でロード・スレイバーに狙いを定める。
「アンペル危ねえ!」
 直後車がスレイバーの協力者の集中砲撃に遭い、あっという間に煙に包まれた。駆け寄った所に空気砲をつっこまれ逸れたそれが建物にあたってバラバラと壁材が降ってくる。なんとか近づいてひしゃげた魔動車のドアに手をのばす。これは開かないかもしれないと思っているとすぐ真横にヴォルターが現れて車の一部を切り崩した。気絶している運転士をひきずりだしてさらに中をのぞくがアンペルの姿が見当たらない。
「おい、アンペル!返事しろ!」
 呼びかけたが答えは無く、声に反応して飛んできた水砲が背後で破裂してずぶぬれになる。
「……相変わらず無茶苦茶っアンペルっ……!」
 砂けむりの向こうに目をこらしたヴォルターがあきれたようにため息をついた。あの砲撃をどう避けたのかロード・スレイバーに肉迫し喉元に魔銃を突きつけていた。アンペルがにやりと口角を引き上げ、スレイバーはバッと飛び退る。
「お、お前なんかに……」
 往生際悪くベルトに挿していた金属を構える。『自在剣』だ。剣先に灯った火で剣が鈍く光る。それをふりかざし、
「よせっ!」
 叫んだのはヴォルターだった。地面に氷で繋がれたシルクハットを外そうとじたばたするがびくともしない。スレイバーは全く気に留めずそのままアンペルに飛びかかる。
 ゴォッ
 スレイバーが一気に火に包まれた。盛大に炎を吹き出し燃え上がる剣がぬめぬめと形態を変え使用者であるスレイバーに襲いかかる。スレイバーは慌てて剣を捨てようとするが引っ付くどころか触れている所からじわじわと浸食していく。リバウンドだ。
 さっきまで署員たちを狙っていた水砲がスレイバーに集中し署員たちも噴水があった所から湧き出る水で消火にあたる。しかし自在剣の炎は使用者を包むだけでは飽き足らず水砲の魔力(マーリー)をたどって広場に面した家々へ燃え移っていく。スレイバーの協力者たちが次々に逃げ出して消火作業が止まり、火は一気に勢いを増した。熱で氷が溶けて動けるようになった署員も火や煙に巻かれて立ち往生する。
「アスっ!ぼさっとすんなっ!消火っ!」
 ヴォルターがバケツに汲んだ水を手近な火にばしゃばしゃかけ始めて、はっと我に返る。だからお前の魔力(マーリー)はなんのためにあるんだ。まあ自分も他人のこと言えないけど。手の中にある魔具に目を落としてちょっとため息をつく。
「……」
 ひらめいた。
「ヴォルター、ちょっとそれ貸せ」
   昼前に街(バージス)の噴水広場で大規模な爆発と竜巻があり広場周辺の建物が浸水&半壊したというニュースをラジオで聞きながらアスはホットケーキを口に運んだ。噴水に爆発物でも仕掛けられたのかしら、怖いわねえとの店員の世間話を聞き流してシロップに手を伸ばす。
「美味いか?」
「美味いっていうか物珍しい。初めて食べる味だ」
 アンペルの行きつけだという菓子屋、ハーミルンではホットケーキ等軽食も出していて、アスたちは昼食代わりにホットケーキを食べながら休息をとっていた。浸水被害は極局地的なもので、噴水広場に面した建物だけで済んでいたので広場からちょっと離れたこの店には全く影響はみられない。店員も客もどこか遠くで起こった超常現象のように聞き流し次に入った、街(バージス)の大富豪が逮捕されたというニュースに耳を傾ける。
「時にアス君。魔導師資格者に師事する心構えはできたか」
「……独学でも結構コントロールできるようになったし何も師事しなくても」
「どこがコントロールできてるんだっ!」
 すかさずヴォルターの魔具が降ってきてゴーン、と衝撃が頭に響く。床に落ちたそれを拾ってみると木製の腕だった。何に必要と思ってこんな魔具持ち歩いてるんだ……。ご丁寧にも指を揃えてチョップの形に仕上げてある。
「……アス君。わかっているとは思うがこれはその……竜巻を起こすような魔具じゃない」
 テーブルの上に置いたミニ扇風機をつつきながらアンペルが額をおさえてため息をつく。正しくは竜巻を起こせるような魔具じゃない。扇風機というからには風があたって涼しい程度に中の羽が回転するものだ。
 さっきからラジオで流れている噴水広場浸水事件は実はアスが主な原因だった。広がる火事を一瞬で終わらせようと水の入ったバケツにミニ扇風機を突っ込んで思いっきり魔力(マーリー)をぶち込み洗濯器よろしく広場に巨大な水竜巻を発生させ豪快に水浸しにしたのだ。スレイバーの一味と魔具管理署署員の魔具戦を見た周辺住民が避難済みだったから良かったものの、今後何かあるたびに今回のような大掛かりなことをされてはたまらない。魔具管理署会議室では今まさに噴水広場周辺住民への手当金や建物の修復代金の予算組みが行われている最中なのだ。
「あれはさすがにやり過ぎたと思ってる。本当はこれくらい抑えられる」
 と言うがそっと魔力(マーリー)を注がれたミニ扇風機は羽を高速回転させて近くにあった焼き菓子の箱をあっさり吹き飛ばした。アンペルが即座に腕を伸ばして捕まえたので店員からにらまれることは無かったが。代わりにアンペルがアスをにらみつけると不満そうに口を尖らせて目をそらせた。
「……その、魔導師資格の奴って、誰だよ」
「……私だ」
 細い目でアンペルを見上げる。そういえばアンペルの家は魔具だらけだったしそのほとんどがヴォルターには扱えないほど大きな魔力(マーリー)を必要とする物だった気がするが。
「セレスト・クロンは知っているな?」
「知ってるさ。ロード・スレイバーが名前を騙った、国有数の魔導師だろ。あの野郎のことを指してるのかもしんねえけど最近は首都じゃなく街(バージス)に来てるって……」
 言いながらアンペルを二度見する。まさかそんなはずは。資料はやる気無さげに棒読みしてだいたい偉そうでスイーツ好きの男が大魔導師って、……嘘だろ。だいたい魔力(マーリー)が年齢とともに強くなるものなら目の前に居るこの男は見た目まだ30にもなってないじゃないか。
「呼び方は変わらずアンペルでいい。その名前は有名すぎるのでな」
「……アンペルっ。もう隠しても無駄っ。多分」
 カラン、と客の来店を知らせるベルが響き白いスーツ姿の男たちが入ってくる。店員のいらっしゃいませの言葉を無視してリーダー格らしいずんぐりとした背の低い男を先頭にまっすぐアスたちのテーブルにやって来る。
「セレスト・クロン氏。お迎えにあがりました。至急首都(キャピタル)にお戻りくださいませ」
 アンペルはさっきより盛大にため息をついて頭をかいた。やっぱり内視眼鏡(エンドスコープ)なんて大魔力を使うんじゃなかった。あれを感知されたに違いない。
「首都(キャピタル)に戻られましたらひきつづき現在進行中の事業へ御尽力頂きますが、その前に魔法省からも呼び出しがございます。今回の公共建造物破壊の件、納得のいく説明を期待しておりますとのことです」
「……」
「……」
 一同沈黙の後アスに視線が集まった。
 何でオレなんだよと騒いで抵抗するアスをひきずってアンペルが退出し、店内に静けさが戻る。
「……また来るかねえ、アンペルさん」
「来るさっ。もう一人魔導師をつれてねっ!」
   そして数年後。
 大魔導師セレスト・クロンに並んでアス・フェンの名がリント国に知れ渡ることになるが、これはまた別の話。
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