Tumgik
#climatecrisisjp
benediktine · 1 year
Photo
Tumblr media
オイカワ丸 @oikawamaru - 午前11:55 ・ 2023年3月13日 : https://twitter.com/oikawamaru/status/1635112376994496513 : https://archive.md/HqkfA 確かにその場の人には景観は一円にもならないのかもしれない。しかしこの草原(と生物多様性)は景観だけではなくて、有明海の水産資源の安定供給にもつながっていると考えられるわけで、一円にもならないどころか巨万の富みの源でもある。保全することでみんなが不幸にならないような制度が必要・・ ============≫ 鈎 裕之 @ELECTRICDADDY - 午前11:43 ・ 2023年3月13日 : https://twitter.com/ELECTRICDADDY/status/1635109245858512897 : https://archive.md/GH9Ml 【西日本新聞】阿蘇にメガソーラー次々、狙われる草原 放牧廃れ…「景観では1円にもならない」 {{ https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1065445/ : https://archive.is/m3PPT : https://www.tumblr.com/benediktine/713172452155572224/ }} 熊本県の阿蘇山を背景に、草原に大規模太陽光発電所(メガソーラー)のパネルが延々と連なって
 {{ 画像 : nishinippon.co.jp : 阿蘇にメガソーラー次々、狙われる草原 放牧廃れ…「景観では1円にもならない」 }} ≪============ ≫――――――≪
ざざむし。の人 @nekton27 - 午後1:04 ・ 2023年3月13日 : https://twitter.com/nekton27/status/1635129642322649090 : https://archive.md/KyjhF 返信先: @oikawamaru 農地には場所によって転用できない仕組がありますし、似たような形で最新の知見に即した効果の高そうな仕組を作るのは難しいのでしょうか。 農地ですら転用できなくて困るので反発も想像はできますが。 ≫――――――≪
オイカワ丸 @oikawamaru - 午後5:31 ・ 2023年3月13日 : https://twitter.com/oikawamaru/status/1635196799484047361 : https://archive.md/n2XUo 返信先: @nekton27 できない制度というものはないと思いますが、やはり必要性が社会的に共有されなさすぎているのがいかんともし難いです。回転寿司なくなりますよ!と言ってもなくなったら仕方無い、という人が少なくないのだろうと思います。 ≫――――――≪
ざざむし。の人 @nekton27 - 午後5:44 ・ 2023年3月13日 : https://twitter.com/nekton27/status/1635200202918490112 : https://archive.md/p8hVM 返信先: @oikawamaru 山も農地も川も海も、即物的というか自分の目の前で効果が還ってくるものであれば理解もされやすいんでしょうけど、そうでないからこそ誰かだけが損するでない形の強制力が欲しいと思うのですが、となると制度を作る人も目先の損が大きいんだろうなとも思うので難しいですね。 ≫――――――≪
イミザン @KyeV4E2ufq699FI - 午後5:47 ・ 2023年3月13日 : https://twitter.com/KyeV4E2ufq699FI/status/1635200832219287555 : https://archive.md/uiVYy 返信先: @oikawamaru @nekton27 憲法を改正し、所有権に一定の制限を掛けられるようにして場所を指定して国有地化して環境保護できるようになればいいのですが。固定資産税という財政上の問題もありますが、国産魚を庶民が食べられなくなる未来が実現して欲しくないです。 ≫――――――≪
なまごも @kawaKAWA1129665 - 午後0:26 ・ 2023年3月13日 : https://twitter.com/kawaKAWA1129665/status/1635120117754523649 : https://archive.md/KfAdj 返信先: @oikawamaru なんと言いますか…行政の国全体を見たリーダーシップが欲しいです…。各業界の事業者が理解できないのは仕方がない事なのかもしれませんが、その点を補完するのが行政なはずなのに…と考えてしまいます。 ≫――――――≪
オイカワ丸 @oikawamaru - 午後0:30 ・ 2023年3月13日 : https://twitter.com/oikawamaru/status/1635121116888055808 : https://archive.md/MkUeH 返信先: @kawaKAWA1129665 国会議員のレベルを上げていくのも必要ですね。現状は、ウソをつかないとか真摯に議論するとかをまずは、みたいなレベルで悲しいですが。 ≫――――――≪
なまごも @kawaKAWA1129665 - 午後0:47 ・ 2023年3月13日 : https://twitter.com/kawaKAWA1129665/status/1635125302463700993 : https://archive.md/pPyRq 返信先: @oikawamaru おっしゃる通りかと思いました。 本当にそう思います。国会のやりとりを見ていると日本の良いところがどんどん消えていくようで…。 いつも様々な情報をありがとうございます。勉強させていただいております。 ≫――――――≪
家老にっしのぞき @joudaikarou - 午後2:04 ・ 2023年3月13日 : https://twitter.com/joudaikarou/status/1635144749014466561 : https://archive.md/t0cUc 返信先: @oikawamaru 阿蘇の景観や自然の恵は素晴らしいと思うので、1円にもならないと断じてしまうのは何だかなぁ…と
大局観というか合成の誤謬を理解している、偉い人が必要に思います。 (というか、そういう偉い人を選ぶ力量こそ我々に必要なのでしょうね) ≫――――――≪
crustacean_24 @mari0610n - 午前0:08 ・ 2023年3月14日 : https://twitter.com/mari0610n/status/1635296719079608323 : https://archive.md/8xwxC 返信先: @oikawamaru 脱炭素というならば植物にCO2を吸収してもらうのもありでしょう。草原や湿地、山林などを適切に管理する所有者には国からお金が出る制度があればよいのに。自分でやらなくとも業者に委託してそれでも十分手元に残るくらいのお金。 ≫――――――≪
crustacean_24 @mari0610n - 午前0:17 ・ 2023年3月14日 : https://twitter.com/mari0610n/status/1635298933328183296 : https://archive.md/dKPA5 返信先: @oikawamaru 島国日本の豊かな多様性は国の宝。国が買い取って国立自然公園みたいに管理できるのが理想ではないでしょうか。維持管理に雇用だって生まれる。そういう事業に税金が使われるなら惜しくはないです。 ≫――――――≪
7 notes · View notes
benediktine · 4 months
Text
Taiga YODO @TaigaYodo - 午後0:30 ・ 2023年12月28日 : https://twitter.com/TaigaYodo/status/1740213551422468152 : https://archive.md/2DlNr もうn回目だが,気候変動にしろ外来種にしろ「それも自然の摂理」みたいな言説をよく見かけるけれど,本来そういう事態が起こるのにかかる時間に対し,人為によってその何倍何百倍ものスピードで進むことが問題視されているのだと思う。 ≫――――――≪
れい(猫耳の専門家)  @rei_software - 午後1:18 ・ 2023年12月28日 : https://twitter.com/rei_software/status/1740225691541774766 : https://archive.md/6NZQd 速度だけじゃないんですよ。 我々は知能を持っているのでね。
「弱いやつは死ぬ」のは自然の摂理だが、人類は「弱いやつを生かす」ことで繁栄したように、
たとえそれが「自然の摂理」であっても、「自然の摂理」が正しいとは限らない。 というだけ。
変化の速度だけではない。 ============≫ Taiga YODO @TaigaYodo - 午後0:30 ・ 2023年12月28日 : https://twitter.com/TaigaYodo/status/1740213551422468152 : https://archive.md/2DlNr もうn回目だが,気候変動にしろ外来種にしろ「それも自然の摂理」みたいな言説をよく見かけるけれど,本来そういう事態が起こるのにかかる時間に対し,人為によってその何倍何百倍ものスピードで進むことが問題視されているのだと思う。 ≪============ ≫――――――≪
硝子迷宮回廊 @grassylabyrin - 午後1:32 ・ 2023年12月28日 : https://twitter.com/grassylabyrin/status/1740229198613270968 : https://archive.md/OtivI それもそうだし、「自然の摂理だから」で済ませず自らの生きる環境を最適化しよう、持続させようと頭を使って働きかけることが可能なのがヒトという生き物にとっての「自然の摂理」なんだと思ってる ============≫ Taiga YODO @TaigaYodo - 午後0:30 ・ 2023年12月28日 : https://twitter.com/TaigaYodo/status/1740213551422468152 : https://archive.md/2DlNr もうn回目だが,気候変動にしろ外来種にしろ「それも自然の摂理」みたいな言説をよく見かけるけれど,本来そういう事態が起こるのにかかる時間に対し,人為によってその何倍何百倍ものスピードで進むことが問題視されているのだと思う。 ≪============ ≫――――――≪
0 notes
benediktine · 4 months
Text
オイカワ丸 @oikawamaru - 午後10:59 ・ 2023年12月19日 : https://twitter.com/oikawamaru/status/1737110483432517899 : https://archive.md/1MwZU しかし最近できる郊外の道路は法面コンクリートで固めまくっているし、街路樹はないし、歩道もやたら広くアスファルトで固めている。気候変動対策というのはどこへ行ったのだろうかと思う。一方で、都市の道路は街路樹も植え込みも豊かでなんなら中央分離帯も植物がたくさん。色々な問題を感じます。 ≫――――――≪
0 notes
benediktine · 1 year
Photo
Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media
【阿蘇にメガソーラー次々、狙われる草原 放牧廃れ…「景観では1円にもならない」】 - 西日本新聞me : https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1065445/ : https://archive.is/m3PPT 2023/3/13 6:00 (2023/3/17 10:31 更新) #九州電力#エネルギー#農林漁業#環境#飯塚市#どうする 明日のエネルギー#あなたの特命取材班 水山 真人
 {{ 図版 1 : 阿蘇外輪山の元牧野に開発されたメガソーラー(手前)。奥は阿蘇山=2月28日、熊本県山都町(本社ヘリから、撮影・星野楽) }}  {{ 図版 2 : 阿蘇外輪山の元牧野に建設されたメガソーラー=2月28日、熊本県山都町(撮影・星野楽) }}  {{ 図版 3 : 阿蘇外輪山の元牧野に建設されたメガソーラー=2月28日、熊本県山都町(本社ヘリから、撮影・星野楽) }}  {{ 図版 4 : 阿蘇外輪山の元牧野に建設されたメガソーラー=2月28日、熊本県山都町(撮影・星野楽) }}  {{ 図版 5 : 阿蘇外輪山の元牧野に建設されたメガソーラー=2月28日、熊本県山都町(撮影・星野楽) }}  {{ 図版 6 : 阿蘇周辺のメガソーラー開発地点 }}  {{ 図版 7 : 牧野に連なる採草地だったという山頂付近で建設されるメガソーラー=2月2日、熊本県小国町 }}  {{ 図版 8 : メガソーラー建設に向け造成中の由布岳近くの草原=1月、大分県由布市 }}
 熊本県の阿蘇山を背景に、草原に大規模太陽光発電所(メガソーラー)のパネルが延々と連なっていた。
 阿蘇地域は国内最大級の草原地帯。外輪山南側の山都町で、約119ヘクタール(福岡ペイペイドーム17個分)に広がるパネル約20万枚に、太陽光が照り返る。九州最大級のメガソーラーで、2022年9月に稼働し、出力約8万キロワット。九州電力川内原発1基の約1割に匹敵する規模だ。もともとは隣接する高森町の住民約30人が共同所有し、牛を放牧する「牧野」だった。
→ {{ 阿蘇の草原、30年で4分の1減少 : https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1065449/ : https://archive.is/0ofbT }}
 「説明会が開かれ、売買は円満に進んだ」。共同所有者だった70代男性はこう振り返る。かつては農耕用として各戸が牛数頭を飼った。繁殖子牛を売った収入もあったが、農機具の機械化が進み、徐々に飼育されなくなった。草原を維持する野焼きも10年ほど前から行われていない。男性たちを含め合計三つの牧野組合が土地を売却した。
 {{ 図版 5 : 阿蘇外輪山の元牧野に建設されたメガソーラー=2月28日、熊本県山都町(撮影・星野楽) }}
 阿蘇周辺は、草原や火山を特徴とする「阿蘇くじゅう国立公園」に指定され、国が管理する。メガソーラー建設は本紙が確認しただけで5カ所に及ぶ。公園を避けるような近接地域や、国立公園内でも規制が緩いエリアで相次いでいた。
   ■    ■
 その一つ、外輪山の北側にある同県小国町。2月、牛がのんびりと休む牧野の斜面を登ると、山頂付近の草原で、約4万枚のパネル設置工事が進んでいた。国立公園内の「普通地域」ではあるが、届け出のみで建設できるエリアだ。
 牧野の組合員の男性によると、50年ほど前は約50世帯で計200~250頭の牛を飼育していたが、今は4世帯で50頭ほどに減った。建設地は私有の採草地だったが、既に使われなくなっていたという。
 {{ 図版 7 : 牧野に連なる採草地だったという山頂付近で建設されるメガソーラー=2月2日、熊本県小国町 }}
 「景観を守っても1円にもならない。所有者はお金が入る方になびいてしまう」。町役場を訪ねると、組合員でもある職員が関係者の心情を代弁した。
 同町では、別の草原1カ所でもメガソーラーが誕生。担当者は「阿蘇が世界遺産を目指すというが、明確なルールや支援策がなければ、草原維持は困難だ。メガソーラーが一般の人から見えにくい場所にあるのが救いだ…」と漏らした。
 外輪山の南側で、国立公園からわずかに外れる高森町でも2022年5月、約72ヘクタールのメガソーラーが稼働した。
 「また狙われる。そっとしていてほしい。(外輪山の内側の)カルデラ内の景観だけは守りたい」。高森町関係者は嘆く。
 背景には、使われなくなった牧野に目を付けた企業側のメリットが見える。草原は規制が厳しい「農地」ではなく「森林」扱いのため、要件が整えば森林法に基づく林地開発許可が出される。草原だと樹木伐採の手間が少なく効率的に開発しやすい事情もあるようだ。
■《大分・由布では反対運動も…迫る稼働》
 阿蘇から離れた大分県由布市。「大自然が真っ黒なパネルで覆われ、違和感ばかりだ」。貸別荘経営の気賀沢忠夫さん(79)はこう憤る。リゾート地の目の前に広がる草原地帯約20ヘクタールに、約2万4000枚のパネルが並ぶ。ここも、国立公園からわずかに外れる。
 由布岳を背景にした丘陵の牧草地で、市も景観を売りにしてきた。しかし、12年に入会権を持つ住民たちが権利を放棄し、所有権を持つ市に売却を要望。市が売却先を公募し、東京の投資会社が購入した。
牧野に連なる採草地だったという山頂付近で建設されるメガソーラー=2月2日、熊本県小国町  ただその後、地元で反対運動が起きた。市は売却撤回を試み、大分県は県民から異例の意見募集したが、計画は止められなかった。気賀沢さんら移住者や観光業者ら47人が運営会社を相手取り、運転差し止めを求める裁判を大分地裁に起こしている。
 一方で施設はほぼ完成し、3月下旬に稼働予定。反対運動の中での稼働について市の担当者は「コメントする立場にない」と話す。
 公益財団法人「阿蘇グリーンストック」(熊本県阿蘇市)の増井太樹常務理事は「観光資源にも利用される草原だが、野焼きなどの負担だけを住民が担い、利益は及ばない構造になっており、見直しが必要だ」と指摘する。(水山真人)
1 note · View note
benediktine · 2 years
Photo
Tumblr media
レポートの内容について、足立氏は、「単なる生き物や地球の窮状の報告ではない。このままでは人間が立ち行かなくなると受け止めてほしい」と危機感をあらわに。世界ではすでに金融ルールを巡って生物多様性に関する情報開示の波が押し寄せ、日本企業でも自然版TCFDとも言われるTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)への関心が高まっているが、「実はそれ以上に大変なルール変更が起きていることが、日本ではあまり知られていないのではないか」とするメッセージを日本企業に向けて発し、警鐘を鳴らした。
一例として、企業の経済活動が地球環境にとって持続可能であるかどうかを判定し、グリーンな投資を促すEU独自の金融ルールである「EUタクソノミー」に含まれる生物多様性に関するルールが来年にも動き始めることや、数年以内に国際的なサステナビリティ基準に基づいた会計基準が適用されるようになることを指摘。「今後は生物多様性に配慮していない企業には投融資が集まらなくなるだろう。会計報告の中でも自社の企業活動がどれだけ生物多様性に負荷をかけ、その負荷をなくすためにどのような努力をしているのか、それが財務にどう影響するのかを示すことが義務になる。これを知らないでいることは日本企業にとって大きなリスクだ」と注意を喚起している。
~~~~~~ ~~~~~~
【深刻化する生物多様性 過去50年で69%、淡水域では83%減少、「2030年までにネイチャー・ポジティブの確立を」――WWFが報告】 - サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan : https://www.sustainablebrands.jp/news/jp/detail/1211449_1501.html : https://archive.ph/FjbyC : https://benediktine.tumblr.com/post/698691076899373056/ : https://benediktine.tumblr.com/post/698695567722905600/ 2022.10.17
0 notes
benediktine · 2 years
Photo
Tumblr media Tumblr media
「変化の速度と規模」では、生物多様性の豊かさを図る指標であるLPI(Living Planet Index) の最新データを発表。それによると1970年から2018年の間に、調査対象となった5230種、約32000個体の野生の脊椎動物(哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類)の平均69%が減少していた。
~~~~~~
地域別では中南米・カリブ海の94%を筆頭に、アフリカが66%、アジア・太平洋は55%と減少率が大きく、北米も20%、ヨーロッパ・中央アジアも18%減少している。 さらに世界全体で見たとき、湖や川など淡水域に生息する生物への影響が深刻で、調査対象となった1398種6617の個体群の平均83%が減少。
~~~~~~
またLPIと対をなす形で、WWFは毎回、人間が生活や経済活動の中で消費し、廃棄する量などを通して地球にかけている負荷を測る「エコロジカル・フットプリント」を発表している。今回この指標については、地球の「バイオキャパシティ」に対して人間が地球の資源を「少なくとも75%過剰に使用している」、つまり人間が今の生活を維持するには地球1.75個分の自然資源が必要であると測定された。
~~~~~~
こうした生物多様性の損失や人間の過剰な生産と消費の状況などを踏まえ、最終章となる「ネイチャー・ポジティブな社会を実現するために」では、「システム全体の急速な変化の必要性」に言及。パラダイムや目標、価値といった技術や経済、社会のさまざまな要因にわたる根本的なシステム全体をつくり変えていけば、「自然の減少傾向を反転させるチャンスはまだある」とした上で、「私たちの選択が気候変動と生物多様性の結果を変える。金融システムや経済システムに自然のあり方を明確に組み込むことで、持続可能な行動へ向けた選択にシフトできる」などと提言している。
~~~~~~ ~~~~~~
【深刻化する生物多様性 過去50年で69%、淡水域では83%減少、「2030年までにネイチャー・ポジティブの確立を」――WWFが報告】 - サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan : https://www.sustainablebrands.jp/news/jp/detail/1211449_1501.html : https://archive.ph/FjbyC : https://benediktine.tumblr.com/post/698691076899373056/ 2022.10.17
0 notes
benediktine · 2 years
Photo
Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media
【若者が突き動かす「生物多様性サミット2022」 代表の大学院生に狙いを聞く】 - サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan : https://www.sustainablebrands.jp/article/sbj_interview/detail/1207201_2775.html : https://archive.ph/jdhAe 2022.02.18
 {{ 図版 1 }}
「次の10年」に向け、気候変動と表裏一体をなす危機として、生物多様性が重要視される。2030年を達成年とする「ポスト2020生物多様性枠組」はコロナ禍で採択が遅れているが、そんな今だからこそこの問題に対する人々の関心を高め、失われた生物多様性を回復させるための行動につなげようと、チャレンジを続ける若者たちがいる。生物多様性について街づくりやESG投資といった観点から理解を深め、明日から行動できるよう啓発する若者主体のオンラインイベント「生物多様性サミット2022」が19日に開かれるのを前に、主催する一般社団法人「Change Our Next Decade(COND)」代表の千葉大学大学院生、矢動丸琴子さんに話を聞いた。(廣末智子)
■《COP14など計8回、生物多様性の国際会議に参加して感じたこと》
「生物多様性が豊かだということは、権利の一つだと思います。その権利を何かしらの形で脅かしている人と、脅かされている人がいる。多くの場合、その脅かされている人は南半球の人だったり、先住民の人だったり、弱い立場の人たちであるのを強く感じています」
そう、言葉を選ぶように話す矢動丸さん。2020年11月にエジプト・シャルムエルシェイクであったCOP14をはじめ、通常2年に1度開かれる締約国会議の合間に行われる準備会合や作業部会にこれまでリアルで5回、オンラインで3回、日本のユースとして参加した。そうした場で目に焼き付いているのが、先住民や女性、そしてユースが自らの権利を強く主張する姿だという。
それを象徴する文言は、現時点までに国連が発表している「ポスト2020生物多様性枠組」の1次ドラフト(草案)にも示されている。劣化した生態系の20%を再生・復元し、外来生物の侵入率を半減させるなど21項目からなるターゲットの中に「生物多様性に関連する意思決定への衡平な参加、先住民族、女性、若者の権利確保」の文言が盛り込まれたのだ。
「公式文書に書きこまれたことで、国際社会はもう無視できない。プロモーション的に会議に呼んでおけばいいというのは通用しません。椅子があるからいいでしょ、というのは違う」
話に「椅子」が出てくるのは、矢動丸さんが象徴的だと感じるエピソードに基づく。生物多様性条約は気候変動枠組条約とともに1992年に誕生し、両者は「双子の条約」とされるが、2010年のCOP10を知るメンバーによると、生物多様性条約の国際会議には、早い段階から座席にある特徴があったのだという。
「オブザーバー席に、女性グループや教育機関、NGOにユースと、それぞれの札が付いていたそうなんです。座席に札がある=正式に発言ができる、ということ。そういう意味で包括的であり、みんなで一緒に作ろうね、という仕組みを勝ち取ってきたのが生物多様性条約だと思います。ポスト2020の草案ではそれが一歩進んだ形です」
初めて参加した2018年7月のカナダ・モントリオールでの「SBSTTA(通称サブスタ、Subsidiary Body on Scientific, Technical and Technological Advice=生物多様性条約科学技術助言補助機関会合)-22」では、さまざまな議題がある中、「若者として、この議題ではこれを勝ち取っていきたい」という世界のユースたちの熱量に驚かされ、ブラジルとドイツのメンバーが、2012年にインドのCOP11で設立されたGlobal Youth Biodiversity Network(GYBN、通称ギブン)の提案者だったことにも刺激を受けた。
国際社会に対して若者が声を上げたという面ではグレタ・トゥーンベリさんを先頭に世界に広がった気候危機を巡る運動が頭に浮かぶが、生物多様性の危機についても早い段階で若者たちが動いていたことを矢動丸さんが肌で感じたことが伝わる。
 {{ 図版 2 }}
■《日本の「行動を起こしたいユース」をサポート、団体立ち上げ政策提言》
矢動丸さんは現在、千葉大学の博士後期課程の学生で、環境健康学や人間植物関係学、環境教育学を専門とする。生物多様性条約の国際舞台に立つことになったのは、博士課程に進むと同時にIUCN-J(国際自然保護連合日本委員会)でのアルバイトを始めたのがきっかけで、最初は会議の進行プロセスに追いついていくのも大変だったのが、世界の若者の議論を目の当たりにするうちに「自分も含め、日本の若者たちはこんなにのほほんとしていていいのか」と強く思うようになったという。
行動に移したのは早かった。2019年8月には任意団体を立ち上げ、COP15に向け、日本全国の「行動を起こしたいユース」たちにこの10年の振り返りと次の 10年に向けた仕組みを検討してもらう「生物多様性ユースアンバサダー事業」をIUCN-Jとの協働で開始。矢動丸さんの役割はユースたちのサポートで、「ドクター(博士号)はまた取れるけど、2020年は一度しかない」という思いから大学院を休学して活動に専念した。
団体は当初、1年で解散する予定だったが、「体制を整えてもっと頑張ろう」と昨年8月に一般社団法人に。コロナ禍で活動が制限される中、法人化前から力を入れてきたことの一つに政策提言がある。CONDとして当時の小泉進次郎環境大臣と計4回意見交換を行ったり、直近では昨年12月に生物多様性国家戦略小委員会にも出席した。
ポスト2020の目標設定を巡る流れの中で、世界のユースは、Intergenerational Equity(世代間衡平=次世代のために健全な地球を確保する上で、すべての世代で共通だが差異ある責任を共有すること)とHuman Rights & the Rights of Nature(人権と自然の権利)、Transformative Education(変革的教育)の3つを優先事項とすることに言及。日本のユースとしても、上記の政策提言などの場で、「政策策定時には世代間衡平の視点を必ず組み込むこと」に加え、陸域に比べて調査が不十分であるとの指摘もされる海洋の保全、そして「自然を守るに当たっては、海も山も川も全部つながっていることを意識し、連結性を確保した上で取り組むべきだ」ということを主張し続けている。
もっとも活動を続ける中では、苛立ちを感じる場面も少なからずあるようで、「国際的にユースの席が用意されているといっても、日本ではまだまだだと感じることも多いです。最近は若者の声を聞くのが流行しているような節もありますが、まだ、パネリストにユースを入れておけばいいといった感覚でディスカッションに呼ばれることもあり、若者の代表としてグレタさんのように怒ってくれれば、何か疑問を呈してくれればいいから、と言われたこともあります。マスコットキャラのような扱いを受けるのはどうかと思いますね」と本音も語る。それでももちろん屈することなく、ユースとして、CONDとして「現在の発信方法のみで十分なのか、どうなのか」と自問を続け、今がある。
■《日本は経済発展を優先しているのではないか》
 {{ 図版 3 : COND }}
そんな矢動丸さんが「気候変動対策と生物多様性との両立」について訴える時、よく例に出すのが「ウェディングケーキモデル」として知られるSDGsの構造図だ。その土台は「生物圏」であり、目標14「海の豊かさを守ろう」と目標 15「陸の豊かさも守ろう」が、目標6「安全な水とトイレを」目標13「気候変動に具体的な対��を」とともに並ぶ。
「人間活動や社会経済活動は、環境を基盤にして成り立っている。環境が疎かになると、回り回って社会や経済もうまく回らなくなるということです。生物多様性は独立した問題としては語れないことをよく表していると思います」
そう考え、日本のSDGsの達成状況を振り返った時、日本は、SDGsの進捗状況に関する国際レポートの {{ 結果 : SDGs達成度ランキング、日本は18位:「行動の10年」世界は具体的な行動と投資の加速を 2021.06.16 : https://www.sustainablebrands.jp/article/story/detail/1203005_1534.html : https://archive.ph/MXnyj }} からも、特に目標14と15に課題が大きいと指摘されていることに思い当たるという。
「世界的にみると、意識の高い国がリードして意見をまとめていますが、翻って日本はどうなのか。経済発展や開発と、生物多様性や自然環境の保全をどう両立していくかという時に、日本は経済発展を優先しているのではないでしょうか。生物多様性は無くなってからでは遅いのに。経団連には『自然保護協議会』もあり、変わろうとしている企業は多いですが、政治家にも経済を回す上でもっと自然環境に配慮してほしいと思います」
最近では再生可能エネルギーの一つである「バイオマス燃料」として使用するために森林破壊が進むなど、世界的にも気候変動対策との矛盾が大きな問題になっており、日本でもメガソーラーの設置に伴う森林伐採が景観の悪化や土砂災害などを招いているという批判もある。
「脱炭素社会のために今はそうするのがいいと思ってのことでしょうが、10年、20年後に、あの時、森を伐ってしまったためにあの植物が生えなくなった、あの動物が、あの虫がいなくなった、としても、もうそれは戻ってこない。私たちや、もっと下の世代はその森の恩恵を受けられない。それは、世代間の権利が平等じゃないということです」
■《日本人の生物多様性に対する認知度、危機感の低さを危惧》
そんな強い思いに反して、例えば令和元年度の内閣府の調査で生物多様性について「聞いたこともなかった」とする割合が47.2%であったり、2021年の民間調査で、日本人が危機的だと感じる環境問題の1位は気候変動の44.6%であるのに対し、生物多様性はわずか1.9%に過ぎないなど、生物多様性についての認知度は低く、危機感が浸透していない実態を危惧。そのハードルの一つには「『生物多様性』という言葉が難しい、専門家が扱うもので自分には関係ないと考えている人が多いのではないか」と推察する。
矢動丸さん自身、生物多様性について深く理解したのは2018年に国際会議の舞台に立つようになってからのことだった。その経験からも今、力を入れるのが、人々がどのような状況にあるために生物多様性保全について行動を起こしていないのか、起こし方が分からないのか、「働きかけたい相手」の立場でアプローチを行うことに重きを置いた啓発だ。
その一環で、2月19日には一次産業や街づくり、ESG投資やグリーンインフラ、ナッジ(行動変容)など、「生物多様性を軸としつつ、それに関わる、ほかの入り口をたくさん用意」したイベント「 {{ 生物多様性サミット2022 : https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000093193.html : https://archive.ph/hN008 }} 」をオンラインで開催する。講師には、環境省のグリーンファイナンス検討会や金融庁のサステナブルファイナンス有識者会議などの座長を歴任する水口剛・高崎経済大学学長や、農林水産省の生物多様性戦略検討委員会と環境省の生物多様性民間参画ガイドライン改定検討会の委員も務める、りそなアセットマネジメント執行役員の松原稔氏ら錚々たる顔ぶれが並ぶ。
 {{ 図版 4 ~ 5 : 生物多様性サミット }}
「自然の魅力を伝えるだけで生物多様性の主流化が実現するのであれば、IPBES(生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム)でTransformative Change(革新的な転換)の必要性が言及されることもなかったと思います。さまざまな社会課題が複雑に絡み合っている現代において、自然を守ることは、人々の権利や社会基盤を守ることです。生物多様性と自分との関わりが分からないと思っている人に、あなたの生活は何で成り立っているの?それは生物多様性のところだよ、と。そのことをちゃんと理解してくれる人が増えてくれればと思います」
コロナ禍で中国・昆明でのCOP15の延期が続き(一部は昨年10月に開催)ポスト2020枠組の採択が遅れている今、2030年までの時間は刻々と減っている。それだけに、「これまでとは違う方法でのより一層の行動が求められます。起こすアクションの大きさは関係なく、継続することが何よりも重要」と強調。「ユースの最大の強みは失敗を恐れず果敢に挑戦できるところ。他のNGOや行政などさまざまなステークホルダーと協働し、対等な関係で行動を加速させていきたい」と日々決意を新たにしている。
◆廣末智子(ひろすえ・ともこ)   地方紙の記者として21年間、地域の生活に根差した取材活動を行う。2011年に退職し、フリーに。サステナビリティを通して、さまざまな現場の当事者の思いを発信中。
0 notes
benediktine · 2 years
Photo
Tumblr media
【ネイチャーポジティブはカーボンニュートラルに次ぐ世界目標に】 - サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan : https://www.sustainablebrands.jp/news/jp/detail/1209999_1501.html : https://archive.ph/wip/cEArI 2022.07.22
 {{ 図版 : 足立氏、高橋氏、近藤氏、丹羽氏 (左から時計まわり) }}
気候変動によって種の保存が危ぶまれ、種の保存が厳しい状況であれば、気候変動がさらに悪化する。昨今、気候変動と生物多様性の問題は密接につながっているとする見方が国際的に広がっている。2月に開かれたサステナブル・ブランド国際会議2022横浜では「気候変動×生物多様性、二つの車輪を同時に進めるわけ」と題したセッションが行われ、脱炭素など気候変動対策と、生態系を保護する両方の観点から取り組みを進める企業の事例が紹介された。(廣末智子)
======================== ●ファシリテーター: 足立直樹・サステナブル・ブランド国際会議 サステナビリティ・プロデューサー ●パネリスト: 近藤佳代子・アサヒグループホールディングス Head of Sustainability 高橋正勝・花王 ESG活動推進部 部長 丹羽弘善・デロイト トーマツコンサルティング CG&Eユニット 執行役員/パートナー 生物多様性に関する包括的戦略策定 サービス担当、モニターデロイト ========================
■《80年にわたって保有 「アサヒの森」の価値は?》
昨年11月に英国で開催されたCOP26(第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議)では、気候変動と生物多様性の二つの危機に対する同時対策の必要性が指摘され、生物多様性に関連する重要な取り決めが相次いでなされた。中でも注目されたのは、2030年までに森林破壊をなくすという目標に日本を含む100カ国以上の政府が合意し、その解決策として、生態系を活用して気候変動を緩和する、NbS(Nature-based Solutions)の概念が示されたことだ。
この動きについて、アサヒの近藤佳代子氏は、「まさにあらためて自然資本の価値が見直されたということではないか」と指摘。その上で同社の象徴的な自然資本であり、NbSを体現する取り組みとして、前身の大日本麦酒時代から80年以上にわたって保有する総面積2165ヘクタールの森林、「アサヒの森」についての紹介がなされた。
広島県庄原市と三次市に点在する「アサヒの森」は同社が1941年、ビール瓶の王冠の裏地として使用していた輸入のコルク不足に備え、ブナ科の落葉��木であるアベマキの樹皮を代用品として確保するために購入したのが始まり。以来、自然林を残しながらヒノキやスギを植林し、2001年にはFSC認証を取得するなど、持続可能な森林経営を行ってきた。その結果、森林のCO2吸収量を増加させ、「生態系を活用して気候変動の緩和に寄与し、それがまた生物多様性の保全に寄与するというサイクルを回してきた」という。
そこで「80年保有してきた森林の価値ってなんだろうといった時に、それを分かるように世の中に伝えることが大切」という考えから、アサヒの森の「自然資本としての価値」を外部の専門家によって定量化した結果、CO2吸収量が工場排出の6.2%に当たる1万2200トンなどの数値が弾き出された。さらにアサヒの森での水の涵養能力を高めて国内のビール工場での水の使用量をオフセットする「ウォーターニュートラル」の取り組みも進める。
■《実際に起こっている森林破壊をどう止めるか》
一方、2040年カーボンゼロ、2050年カーボンネガティブを掲げる花王は、生物多様性の保全に向けては河川における魚の環境RNA(リボ核酸)を指標とした生態調査を行うなど多様なアプローチを進める。その中で最も注力しているのが、同社がさまざまな商品の原料として使用しているパーム油のプランテーション開発などが直接的な要因とされるグローバルな森林破壊を食い止める観点からの取り組みだ。
具体的には、サプライチェーンをいちばん川上のパーム農園にまで遡り、彼らがRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)の認証が得られるような形での技術支援を昨年から10ヵ年計画で行っている。その理由について高橋正勝氏は、そのほとんどが家族経営でやっているような小規模農園であり、「どうしても収入が少なく不安定であることが森林破壊につながっている側面がある。実際問題、起こってしまっている森林破壊をどう止めるか。支援を彼らの安定収入につなげることでひいては森林破壊ゼロに向けての動きにしたい」と強調した。
さらに花王はパーム油を切り口に、本業である界面活性剤の開発における課題解決にも取り組む。現在、使用している原料はパームの実の中でも希少部分であることから、ここを技術的にクリアし、これまで使い道のなかった部分を原料とすることで、資源の枯渇に備えるだけでなく、洗浄力も高い商品を既に販売中だという。
■《「脱炭素+生物多様性+循環型経済」が世界の潮流》
次にセッションは、デロイト トーマツコンサルティングの丹羽弘善氏が登壇し、COP26の成果を踏まえた気候変動と生物多様性を取り巻く世界のトレンドについて改めて解説した。それによると、昨今は世界的に脱炭素と生物多様性、それに循環型経済(サーキュラーエコノミー)を加えた3つのアジェンダを統合する流れのもとに、サプライチェーン全体のCO2排出量を削減し、資源を大事に使う、生物多様性を含めて自然資本を大切にするというルールメイキングの動きが顕著に見られるという。
今後は、TNFD(自然関連財務開示タスクフォース)と、SBTs for Nature(自然に関する科学に基づく目標設定)という2つのフレームワークに沿った目標やKPI設定が求められる。TNFDはTCFDの自然資本版と言えるものだが、自然が組織の財務実績にどのような影響を与えるかというアウトサイドインの視点に加え、組織が否定的あるいは肯定的にどのような影響を自然に与えるかというインサイドインの視点に立った開示が推奨され、企業が自然環境や生態系に与えるインパクトが、企業価値を大きく左右する可能性もある。
■《欧州のルールメイキングに対抗する日本企業の強みとは》
カーボンニュートラルと生物多様性、サーキュラーエコノミーを巡るルール化は国連の組織をはじめとする国際NGOにとどまらず、欧州では企業がグループや単体で掲げる例も多い。イギリスでは数社が集まって、さらにはユニリーバやバーバリーが単体でネイチャーポジティブを宣言しており、そうした傾向について丹羽氏は、投資家の目線を意識すると同時に、消費者のエシカルな感度が上がっている中でより高い目標を打ち出すことによって差別化を図っているのではないかとする見方を披露した。
その見方について、ファシリテーターを務めた生物多様性経営の専門家でもある足立直樹氏は、「丹羽さんは少しオブラートに包まれたのだと思うが、私は競争戦略じゃないかと見ている」と補足を加えた。「きちんとした原材料を使ってビジネスをしていくことはもちろん非常に望ましいことだ。だが、そこにどんどん手をつけ、他がついていけないようになったところでルール化するという怖い企業戦略を感じる」。実際に2030年までに森林破壊をなくすという目標に向け、欧州のいくつかの国や地域では森林破壊を伴ってつくられた原材料を企業が使用することを禁止する厳しいルールが施行されようとしているのを受けての意見だ。
これに対し、丹羽氏は「おっしゃる通り、そういうルールメイキングは欧州が上手い。じゃあ日本企業はどうすべきかというところで、例えば生物多様性の定義はそもそもなんだろう、どのくらいの水準を守ればネイチャーポジティブだと言えるのかといった細かなルールづくりの部分で日本企業の強みが打ち出せるのではないか」と指摘。
さらに日本は山や川が多く、海洋資源も豊富であることから、「脱炭素において再エネのコストが高く、CO2をなかなか減らせないという課題に直面し、競争力が下がっている中で、生物多様性においては日本の企業が活性化されるチャンス。グリーンではなく、ブルーエコノミーという観点でうまくやっていけないか」と展望を語った。
■《カーボンニュートラルの次はネイチャーポジティブ》
生物多様性のリスク評価について、アサヒの近藤氏は「まだまだスタート地点にある」とした上で、2020年の調査では、大麦やホップの生産地である欧州の河川流域でリスクが高いといった結果が出ていることなどを報告。「それをどうやってフィードバックしていくか。社会と事業の持続性を考えた時、花王さんのように自らの大事な原料に対して自分達自身がそこに取り組んでいくことも大きな課題だ」と述べた。
今後はTNFDを事業に落とし込み、自然や生物多様性へのインパクトを可視化することによって対応策を講じる方針で、「有効なフレームワークを通じて組織に取り組みを根付かせ、拡大していく」考えだ。
また生物多様性×気候変動の取り組みを今後、どのように進めるかに関して、花王の高橋氏は「サプライチェーンの川上だけでなく、消費者も巻き込んで、この製品は気候変動にも、生物多様性にも配慮していますよということを伝えるような流れをつくっていきたい」と抱負。さらに自身が界面活性剤の研究に約30年打ち込んできた経験から、パームのこれまで使われなかった部分を原料にした活性剤を「おそらく50年に一回出るか出ないかの商品だと自信を持って言える」とした上で、「技術的にはパーム以外の油からも活性剤をつくれるポテンシャルもある。そういうところを一歩ずつ進め、胸を張って森林破壊ゼロに貢献できているということをデータとともに示していきたい」と語った。
最後に足立氏は、「ネイチャーポジティブは間違いなくカーボンニュートラルに次ぐ世界の目標になる。そこに向けて、いい意味での競争が始まるなかで、日本企業として生物多様性に関する資源や技術力を生かして乗り越えていってほしい」と総括し、セッションを終えた。
# SB2022Yokohama
◆廣末智子(ひろすえ・ともこ)  地方紙の記者として21年間、地域の生活に根差した取材活動を行う。2011年に退職し、フリーに。サステナビリティを通して、さまざまな現場の当事者の思いを発信中。
0 notes
benediktine · 2 years
Photo
Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media
【2030年までに世界の陸と海の30%を保全する“30by30” 国内の企業・金融の役割とは】 - サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan : https://www.sustainablebrands.jp/news/jp/detail/1209950_1501.html : https://archive.ph/mlgCj 2022.07.21
 {{ 図版 1 }}
2030年までに陸域と海域それぞれの30%以上を保全する国際目標「30by30(サーティ・バイ・サーティ)」。日本を含むG7各国は昨年、2030年までに自国の陸域、海域の少なくとも30%を自然環境エリアとして保全することを約束した。では、どうすればこの壮大な目標を達成していけるのか。サステナブル・ブランド国際会議2022横浜では、生物多様性経営の専門家である足立直樹氏がファシリテーターを務め、30by30達成に不可欠なアクターである金融機関や環境省の担当者らが議論を行った。
========================
●ファシリテーター 足立直樹・サステナブル・ブランド国際会議 サステナビリティ・プロデューサー ●パネリスト 田邉元・肥後銀行 地域振興部 理事 地域振興部長 羽井佐幸宏・環境省 自然環境局 自然環境計画課 調整官 (オンライン登壇) 原口真・MS&ADインターリスク総研 リスクマネジメント第三部 フェロー、MS&ADインシュアランスグループホールディングス TNFD専任SVP
========================
 {{ 図版 2 : 原口氏、羽井佐氏、足立氏、田邉氏 (左から時計まわり) }}
■《30by30達成に不可欠な OECM 来年度までに国内で100地域を認定へ》
30by30は、12月にカナダで開催されるCOP15(生物多様性条約第15回締約国会議)で採択が目指される新たな世界目標(ポスト2020生物多様性枠組)の一つだ。COP15に先立ち、G7各国は昨年のG7サミットで30by30の推進を約束。日本では環境省がその実現のための基本コンセプトとロードマップを公開している。
2020年までの世界目標だった愛知目標(20の個別目標)では陸域の17%、海域の10%とされていた保全・保護目標を、30by30では、2030年までにそれぞれ30%まで引き上げた。
愛知目標の成果について、環境省の羽井佐幸宏氏は「多くの目標でかなりの進捗が見られたが、完全に達成できたものはなかった。2050年に自然と共生する世界を実現するには、『今まで通り(business as usual)』から脱却し、社会変革を起こすことが求められている」と語った。
こうした流れの中で、世界が団結して生物多様性の回復(ネイチャーポジティブ)に取り組むために期待されている30by30。その実現に欠かせないのが、保護地域以外の場所で生物多様性保全に貢献する土地「OECM(Other Effective Area-based Conservation Measures)」の認定だ。
現在、日本では陸域の約20%、海域の約13%が国立公園などの法律に基づく保護地域として保護されているが、30by30達成には保護地域の拡大が必要となる。そのため、社寺林や企業有林、企業緑地、里地里山など、企業や団体、個人、自治体が所有する生物多様性の保全に貢献する土地をOECMとして認定する動きを進めている。政府は、2023年度には全国100地域以上をOECMとして認定する方針だ。
羽井佐氏は「OECM認定は、企業の保有資産がグローバルな課題解決に貢献することを明確に説明するためのものだ」と説明した。
■《自然を黒字にする経営にお金が流れ始めた》
「世界のお金の流れが、ネイチャーポジティブ、自然を増やすという方向に変わり始めている」と話すのはMS&ADインターリスク総研の原口真氏だ。自然資本に関する財務情報開示の枠組みを検討する「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」に日本から唯一参加する原口氏は、TNFDこそが自然を黒字にする経営にお金の流れを変えようとするものと話す。「生物多様性の損失を減らし、回復させる行動のポートフォリオ」を指しながら、こう例えた。
 {{ 図版 3 : 生物多様性の損失を減らし、回復させる行動のポートフォリオ(生物多様性条約事務局) }}
「今の地球の状態を一つの会社に例えると、自然の恵み以上に資源を使い、右肩下がりで毎年赤字を出して資本が減っている状態。このまま赤字を出し続けると債務超過になるため、いろいろな手を尽くして赤字を減らさないといけない。赤字経営の会社を黒字にするには、無駄をカットし、生産性を上げ、資本を増強する。同じようにして、消費を削減し、持続可能な生産をし、崩してはいけない自然資本をしっかり守ることが大事。30by30やOECMはそのためのものだ」
原口氏は、生物多様性保全の取り組みと気候変動の取り組みの違いについて、「温室効果ガスは排出した場所と影響を受ける場所が必ずしもつながっていない。しかし、自然関連の課題は必ず場所に紐づいている。その場所に行かなければ課題やリスクが分からず、排出算定(スコープ1+2+3)によってサプライチェーンを評価するような一律的なアプローチでは対応できない。これが企業や金融機関にとって大きな課題になる。場所の情報を読み解き(虫の目)、それをグローバルな目で整理、分析して(鳥の目)、情報開示に対応するグローカルな人材の育成が必要だ」と語った。
■《地銀が進める、生物多様性の保全に配慮した地域づくり》
次に、熊本・肥後銀行の田邉元氏が事例を紹介した。肥後銀行では、令和2年7月豪雨で氾濫により死者65人を出した球磨川流域地区において、熊本県と同行が幹事機関となり、熊本大学や東京大学、日立製作所などと協働する「緑の流域治水プロジェクト」を通して、同地区の治水を核とした大災害後も安全・安心に住み続けられる豊かな環境、若者が集まる持続可能な地域の実現に向けて取り組みを進めているという。
プロジェクトでは、ダムや河川改修などのハード技術を使った従来の治水技術を活用するだけでなく、田んぼダムや雨庭といった自然を活用して流域全体から流出する水の量を抑制するほか、IoTを活用した土壌浸透解析、氾濫流コントロールを連動させた取り組みを進める。同時に、地域資源を活用した産業創生も行う方針で、目指す姿の一つとして「地域が一体となって生物多様性を維持する地域」を掲げ、OECM湿地管理団体や地域小水力発電企業の設立を目指すなど、事業と生物多様性保全の両立を目指している。
■《30by30、OECMをどう推進するか》
ここからは、ファシリテーターの足立氏とパネリスト3者のディスカッションの内容を紹介する。
足立:これまで保護区を増やせてこなかった中、30by30は野心的な目標だ。日本がこれに参加表明をした背景は何か。勝算はあるのか。
羽井佐:国際的にさまざまな研究者が、どれくらいを保全していけば��当かを出している。どの論文も30―50%は保全しないといけないとしている。日本でもこうした研究が出てきており、保護されている地域を30%に拡大していくことで、既存の保護地域の連続性が高まり、絶滅危惧種の絶滅リスクが減るといった情報が徐々にオープンになってきている。
日本が早々に30by30への賛同を表明した背景には、日本の自然環境は人間が関わっている領域が大きいからだ。里地里山がそうだ。人間が手を加えることで、生物多様性が保たれる環境があるというのは日本・アジア地域特有のこと。守るべき地域があるということを世界に発信するためにも、日本は早々と手を挙げることが重要だった。
 {{ 図版 4 : 30by30実現後の地域イメージ ~自然を活用した課題解決~ : {{ 環境省「30by30ロードマップ」 : https://www.env.go.jp/content/900518835.pdf }} }}
足立:  具体的に、企業はどういう形でOECMや30%の保護地をつくることに貢献できるか。
原口:  気候変動による自然災害の激化が見込まれる、そのリスクを小さくする活動が必要だ。地域で自然の力を生かして、自然を読みとって被害を最小化させる取り組みが必要になる。「緑の流域治水プロジェクト」がまさにそれに当たる。洪水が増えるからといって、ダムや堤防をつくっていてはいくらお金があっても足りない。
企業がどうOECMを活用するかというと、事業を行っている場所、原材料が生産されている場所の自然がどうなっているかを読み解いて、保護または管理された自然が必要であれば、その場所のOECM認定を目指して投資をし、自然をマネジメントしていくということで、サプライチェーン上の工場が被災によって操業停止になることなどが避けられる。まずはその場所が本業とどう結びついているかを把握することだ。
足立:  自然の管理は、実際に何をやれば良いのか。
原口:  日本の自然は人の手が入ってこそ良い状態が保たれ、管理された状態になる。しかし、海外から資源を買った方が安いということで、自然に手が入れられなくなった。手を入れるためのお金が流れていないことが問題だ。社会貢献による寄付などではなく、経済の中で、地域の自然にお金がもう一度流れる仕組みをつくることが必要だ。ネガティブな状態からポジティブな状態に持っていくマネーフローをどうつくるかということと直結する。
ローカルなお金の流れをつくり出して、しっかり手が入るようにするために重要なプレーヤーとなるのが地域金融機関だ。OECMに取り組む時には、グローバルで活動している人とローカルの人の知恵を組み合わせてやっていかないと上手くいかない。一方で、OECMに認定されても放置されることもあり、自然の回復につながらない可能性もある。
肥後銀行は地域金融機関として、具体的にどんなことをしようとしているか?
田邉:  これまでの治水対策は、降った雨をいかにして海まで流すかというものだった。それを川にいかに流さないか、ゆっくり流すにはどうすればいいのかを研究していこうとしている。例えば、田んぼダム。田んぼに水門をつけて、それぞれの田んぼで水を貯めて、川に流さない。雨庭は、2―3メートル程度の幅を少し掘り、そこに石を並べて、雨樋からの雨水をそこに溜めておくと徐々に地中に浸透して下水に流れない。ほかには、湿地を守ることで、川に水を流すのではなく湿地が吸収する水を増やすことや、棚田を増やして水を張り、浸透させることにも取り組んでいく。小さなことを住民の皆さんと一緒にやって、できるだけ川に水が流れないようにして洪水を抑える取り組みをしている。
足立:  OECMは30by30という野心的な目標を達成するための戦略的な方法であることが分かった。ただ、それを持続していくためにはお金の流れをつくる、地域の新しい産業につなげていかねばならない。その目処は徐々に立ってきているのか。
田邉:  「緑の流域プロジェクト」については、今からつくっていくところだ。いかにして地域でお金が回る仕組みをつくるかーー。プロジェクトのなかで地域小水力発電企業の設立を目指しているが、(川に水が流れないようにするだけでなく)、川と付き合い、その水を利用して発電すれば良い。小さな水車のようなものをたくさんつくれば、地域で利用し、余れば売電し、地域にお金が入ってくる。そんな仕組みをつくっていけば、若者も戻ってきて産業も生まれるのではないか。
原口:  地域にSDGs関連、ESG関連のお金を流すという時、「小水力でこれだけ稼ぐ」「有機栽培の農産物でこれだけ稼ぐ」とかいうように、投資に対してどれくらいリターンがあるかという評価になってしまう。それ以外の目先のキャッシュにならない効果、災害を抑制しているとかいうところについての価値化が今のお金の流れの中ではできていない。その投資が地域の安定性や、地域の人の生活の安心・安全の満足度につながるということを価値化してそこに投資する。目に見えるキャッシュとそれ以外の価値、非財務的な価値を合わせて投資価値があると見なすところに持っていく流れの検討が始まっている。
例えば、ニューヨーク証券取引所は、Natural Asset Companies(NACs)と呼ばれる上場基準を設け、自然のフローを黒字にすることをメインにする会社が上場できる仕組みを作ろうとしている。
日本でOECMを考える時に、地域にお金を呼び込むには地域にとっての目に見えない価値を見える化することが大事だ。理想的なのは、地域の人が持っているお金をそこに投資できること。地域の人が、自分たちの幸せのために関連するプロジェクトにお金を出すという流れがOECMという道具を使ってできれば良い。
■《自然に守ってもらうことが、経済的に考えても合理的》
最後に、足立氏は「実は、自然に守ってもらう、自然に依存するということが、経済的に考えても合理的なんだという理解が急速に進んでいる。30by30、OECMを使いながら、自然をさらに豊かにし、生活をよりレジリエントにする流れが進んでいくだろう。そうした動きが広がり、どういう雇用を生み出し、お金の流れを生み出していくかというのは、これからの課題だ」と見解を示した。
パネリスト3者はこう締め括った。
「情報開示の流れで、経営者は連続黒字、増収増益すると褒められるかもしれない。しかし、これからはそれが自然を削って出したものだということがバレてしまう。これからの経営者は自然も黒字、会社も黒字を出して初めて褒められる世界がくるのではないか」(原口氏)
「金融機関として、これまでは経済活動を金融という部分で支援してきた。しかし、その経済活動が生物多様性に与える影響が非常に大きくなっている。金融機関として、使命感を持って経済活動をまわしていきたい」(田邉氏)
「OECMは、地域の方々が生物多様性の保全を目的にしてコツコツとやってきた活動も、企業の方々が生物多様性保全を目的にしていたわけではないが結果的に保全につながってきた取り組みも全て、国際的な生物多様性の危機の解決に直結しているということを明確に示すもの。その仕組みを提供しようとしているが、みなさまのお知恵を借りて、さらにいろんな付加価値を足していただけるよう進めていきたい」(羽井佐氏)
# SB2022Yokohama
0 notes
benediktine · 2 years
Photo
Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media
【57の温暖化対策「見える化」してみた】 - NHKニュース : https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210907/k10013238301000.html : https://archive.is/eEpPd 2021年9月7日 19時14分
 {{ 図版 1 }}
マイカーを電気自動車に 電球をLEDに替えよう
温暖化対策は数あれど、実際にどれくらいの効果があるのか、疑問に感じたことはありませんか?
最新の研究では、効果が数値化され、比較できるようになっています。
あなたの取り組みについて、確かめてみてください。
(社会部・岡本基良/国際部・田村銀河/ネットワーク報道部・藤島新也)
■《どれくらい効果あるの? 》
 {{ 図版 (省略) }}
「地球温暖化で極端な熱波や豪雨などが増加するおそれがある」
先日、温暖化を研究する世界中の専門家がまとめた報告書について、ニュースで報じました。しかし、ネット上では、
「大変なのは分かったけど、どうすれば良いの?」 「自分1人だけ頑張っても…」
といった声が。
 {{ 図版 (省略) }}
ふだんから地球温暖化について取材している私(岡本)は、自宅の電球をLEDに替えるなど温暖化対策を心がけていますが、確かに、どれだけ効果があるのか、よくわかっていないことに気づきました。
■《「数値化」された効果》
そんな中で発表されたのが、国立環境研究所などによる研究。
住宅や移動、食などに関する57の対策について、温室効果ガスをどのくらい減らす効果があるか、具体的な数値で示されています。
このうち、効果の大きい対策、上位20を並べたのが次のグラフです。
 {{ 図版 2 }}
======================== ※57の行動と効果の詳しい説明は記事の最後にあります ※数値は、その行動を日本人1人が1年間続けた場合に、平均的に削減できる温室効果ガスの排出量(二酸化炭素換算) ※ピンク=住宅 / 青=移動 / 緑=食 / グレー=その他 の対策 ========================
これを見ると、最も効果が大きいのはエネルギーを効率よく使える住宅への建て替え。
最大で2.1トンの温室効果ガスを減らす効果があります。
次いで、移動に関する対策が並び、「マイカーを電気自動車に(再生可能エネルギーで充電)」が0.47トン、電気自動車の充電を通常の電力で行う場合は約半分の0.24トンとなります。
また、肉類に代わって野菜などを中心にした食生活をする「ヴィーガン」「ベジタリアン」という対策も入っています。
■《記者の対策、調べてみた》
では、一体、私(岡本)はどれだけ温暖化対策ができているのか。
最近取り組んでいるものをこの中から選んでみました。
 {{ 図版 (省略) }}
コロナ禍の影響もあって、自宅でテレワークする機会が増えました。
通勤はもっぱら電車。
近場の移動は自転車を使います。
自宅の電力は、(家族に相談した上で)再生可能エネルギー由来に切り替えました。
 {{ 図版 (省略) }}
電球はLEDに替えていて、本は電子書籍を読んでいます。
こうした対策を選んで、単純に数字を足し上げると…結果は3.4トン。
これは十分なのでしょうか?
★★記事の最後にある57の対策の解説を参考に、みなさんも選んでみてください!★★
■《目標は1人3.9トン!》
研究を主導した国立環境研究所の小出瑠研究員に聞いてみると、日本人が生活の中で出す温室効果ガスの量は、1年間に1人あたり平均で7.1トンにのぼるそうです。
今、世界では、温暖化による気温の上昇を、19世紀後半と比べて1.5℃に抑えることが共通の目標になっています。
これを達成できないと、「最高気温50度近く」「スーパー台風」など私たちの命を脅かすような極端な現象が頻繁に起きるリスクが高まるからです。
 {{ 図版 (省略) }}
ただ、この目標を達成するには、9年後の2030年までに1年間に1人あたり3.9トン(!)を減らす必要があるということです。
ですから、今の私の対策では目標に届きません。
小出さんによると、それぞれの行動が影響しあうことで、実際には、各行動の削減量を単純に足し合わせるより効果が低くなることもあるそうです。
「目標を達成するのは簡単ではないな」というのが正直な感想です。
 {{ 図版 (省略) }}
============≫ 国立環境研究所・小出瑠 研究員 「個人の努力だけで温暖化を食い止めるのは、簡単ではありません。ただ、さまざまな対策から、自分の生活スタイルに合うものを取り入れていくことで、温暖化対策の商品やサービスの需要が広がり、社会全体が変わっていくことにもつながります」 ≪============
============≫ 「効果は大きいもののお金がかかるなどして簡単には選びにくい対策もありますが、今後、行政が補助したり、企業が商品やサービスを拡充したりすることで、消費者が選びやすい社会になっていくことが大切です」 ≪============
■《「必要以上に買わないで」 》
 {{ 図版 (省略) }}
57の対策の中で、気軽に始められて効果も高いと感じたのが、「衣類を長く着る(0.19トン削減)」です。
実は、服は素材に石油由来のものが使われていることも多く、焼却処分した際に温室効果ガスが出ることが問題となっています。 私(田村)が取材で訪れたのは東京・渋谷にあるアメリカのアウトドア用品大手「パタゴニア」の店舗。
店に入ると真っ先に目に入ったのは「必要ないモノは買わないで」というパネルです。
 {{ 図版 3 : 必要ないモノは買わないで。 }}
ずいぶん思い切ったキャッチコピーですが、この店の1階部分に並んでいるのは古着。
会社のスタッフから買い取ったおよそ1000着が並び、定価の半額程度で販売されていました。
パタゴニアは、これまでも環境対策に力を入れてきた企業ですが、8月から期間限定でこの店舗で古着の販売を始めています。
並んだ古着を見ると、元の持ち主からのメッセージが添えられていました。
 {{ 図版 (省略) }}
例えば、ある登山用のパンツには「白馬の天狗山荘でおいしい山小屋ゴハンを食べた時にはいてたなー!」という手書きの思い出が。
1着1着に愛着を持ってもらい、廃棄処分される服を減らすのが狙いで、私が訪れたのは平日でしたが多くのお客さんが来ていました。
 {{ 図版 (省略) }}
============≫ パタゴニア PR担当 ロジャース通子さん 「私が今着ているのも20年前に入社した時に買ったアロハシャツですよ(笑)日本でも環境のことを考えて、新しい暮らし方を考え始めている人が増えていると感じます。これまで新品しか買わなかったような人も、ここで商品を手に取って、中古品も良いと思ってもらえれば嬉しいです」 ≪============
■《服、30回着てますか?》
服を長く着る取り組みは、世界のファッションの中心地といわれるイタリアでも「Wear Me 30 Times(私を30回着て)」というキャンペーンとして広がり始めています。
 {{ 図版 4 : Wear Me 30 Times }}
服の購入者がタグにプリントされたQRコードから専用のサイトにアクセス。
服を着るたびに自撮り写真をアップロードします。
着た回数が30回に達すると、クーポン券などがもらえる仕組みです。
現在、この取り組みにはヨーロッパを中心に50以上のファッションブランドが参加し、アジアからもインドやインドネシアのブランドが加わっているということです。
■《電気自動車、きょうから乗れます》
「衣類を長く着る(0.19トン削減)」以上に、効果の高い対策が車に関するもの。 ============≫ 「マイカーを電気自動車に(再エネで充電)」…0.47トン削減 「カーシェアの利用」…0.21トン削減 ≪============ マイカーを持っている人が電気自動車に買い替えるのは、コスト面でハードルが高いように思えますが、気軽に始められる「電気自動車のカーシェア」が広がりつつあります。
 {{ 図版 (省略) }}
神奈川県小田原市の市役所の駐車場に止まっている2台の車。
実はこれ電気自動車です。
ベンチャー企業などが設置した電気自動車のステーションの1つで、平日の日中は市が公用車として使いますが、平日の夜と土日は市民も使うことができます。
こうしたステーションが、小田原市や周辺の箱根町などにはあわせて27か所あり、全部で47台の電気自動車が配置されています。
 {{ 図版 (省略) }}
乗りたい人は、会員登録をして、スマートフォンのアプリから予約すれば、15分あたり200~300円程度で乗ることができます。
充電に使われる電力の約7割は再生可能エネルギーで賄われ、それぞれの車の充電率や走行可能距離もアプリで事前に確認できます。
このサービスを利用している小田原市の会社員の男性に話を聞きました。
 {{ 図版 (省略) }}
============≫ カーシェアを利用する 望月学さん 「娘が高校を卒業して送迎の必要がなくなると、たまに買い物で使う程度だったので、思い切ってマイカーを売りました。月に2万円ほどだった車の維持費がなく���り、利用料は数千円程度です。自然豊かな箱根の観光業界で仕事をしているので、環境にも優しいということで満足しています」 ≪============
この事業を行っているベンチャー企業によると、カーシェアを利用した人たちの間で、電気自動車への関心が高まっているといいます。
 {{ 図版 (省略) }}
============≫ REXEV 藤井崇史取締役 「マイカーを買い替える際に電気自動車を選んだという話をカーシェアの利用者から何度も聞きました。電気自動車の良さを気軽にもらえていると感じます」 ≪============
■《温暖化対策は社会全体で》
今回取材した57の行動についての研究は、温暖化という地球規模の大きな課題を、私たち1人1人の生活に落とし込んで考える上で画期的だと思います。
「温暖化対策」というと、「我慢が必要」と思われがちですが、服を長く使うことで愛着が増し、身近な自然環境への関心が高まるなど、新たな価値にも気づきながら対策に取り組むことができると感じました。
しかし、中には住宅の建て替えなど大きなコストがかかったり、テレワークなど個人の判断だけでは選びにくかったりする行動もあります。
温暖化対策は個人の努力だけではなく、行政や企業などの行動とあわせて社会全体で考えていく必要があると思います。
************************
■《★★57の対策と効果★★》
57の「対策」と「削減効果」を詳しく紹介します。
画面をスクロールしながら、自分の生活に取り入れられる対策を選んで、その効果を確認してみましょう。
■《「住宅」の温室効果ガス削減量(15) 》
 {{ 図版 5 }}
============≫ ▼自宅を「ライフサイクルカーボンマイナス住宅」に 2.1 トン 自宅を、屋根の太陽光発電と高い省エネ性能によって、日常的なエネルギー消費を実質ゼロにし、建物の建設やメンテナンスによる温室効果ガスの排出量も打ち消す「ライフサイクルカーボンマイナス住宅」に移行した場合。
▼自宅を「ゼロエネルギー住宅」に 1.8 トン 自宅を、屋根の太陽光発電と高い省エネ性能によって、日常的なエネルギー消費を実質ゼロにする「ゼロエネルギー住宅」に移行した場合。
▼自宅を「準ゼロエネルギー住宅」に 1.4 トン 自宅を、屋根の太陽光発電と高い省エネ性能によって、日常的な外部からの電力供給を25%に抑える「準ゼロエネルギー住宅」に移行した場合。
▼太陽光パネルを導入(調理器をIHに) 1.4 トン 自宅の屋根に太陽光パネルを設置して消費電力と同じ量を発電し、調理器をIHにして調理用のガスの消費量をゼロにした場合。
▼太陽光パネルを導入 1.3 トン 自宅の屋根に太陽光パネルを設置して消費電力と同じ量を発電した場合。
▼自宅の電力を再エネに 1.2 トン 自宅の電力を再生可能エネルギー由来100%に切り替えた場合。
▼自宅をコンパクトに 0.24 トン 自宅の床面積を集合住宅の平均水準(約30平方メートル)までコンパクトにした場合。
▼太陽熱温水器を導入 0.18 トン 自宅に太陽熱温水器を導入してガスボイラーと併用し、給湯に必要なエネルギーの半分近くを太陽熱で賄って、給湯用のガスや灯油の消費量を削減した場合。
▼断熱リフォームを行う 0.14 トン 自宅をリフォームして「断熱等性能等級4」相当にした場合。
▼ヒートポンプ給湯器を導入 0.12 トン 自宅にヒートポンプ給湯器を導入して電力で給湯を行い、給湯用のガスや灯油の消費量をゼロにした場合。
▼自宅の暖房をエアコンだけに 0.12 トン 暖房にガスストーブや石油ストーブを使わず、代わりにエアコンを使った場合。
▼自宅でウォームビズ・クールビズ 0.11 トン 「断熱等性能等級2」相当以下の住宅で、ウォームビズやクールビズの服装をすることで、冷暖房のエネルギーを減らした場合。
▼自宅の電球をLEDに 0.09 トン 自宅の電球をすべてLEDに置き換えた場合。
▼ナッジによる省エネ 0.06 トン 行動経済学の観点から自発的に行動を変えてもらう「ナッジ」によって省エネが行われ、自宅でのエネルギー消費を3%削減した場合。
▼自宅の窓を二重窓に 0.05 トン 自宅の窓を断熱性能の高い二重窓に替えた場合。 ≪============
■《「移動」の温室効果ガス削減量(22) 》
 {{ 図版 6 }}  {{ 図版 7 }}
============≫ ▼ライドシェアの利用 0.51 トン マイカーやタクシーに4人が乗り合わせて移動する場合。
▼マイカーを電気自動車に(再エネで充電) 0.47 トン マイカーを電気自動車に買い替え、充電を再生可能エネルギー由来の電力で行った場合。
▼市内移動���公共交通機関で 0.41 トン 通勤・通学以外の目的で市内を移動する際に、マイカーを使わず、代わりにバス・電車・自転車を同じくらい利用した場合。
▼マイカーをPHEVに(再エネで充電) 0.38 トン マイカーをプラグインハイブリッド車(PHEV)に買い替え、充電を再生可能エネルギー由来の電力で行った場合。
▼テレワークの実施 0.28 トン 完全テレワークを実施し、通勤をゼロにした場合。
▼自宅と職場・学校の距離を近く 0.26 トン 通勤・通学の時間を1日あたり平均30分に短縮した場合。
▼マイカーをPHEVに 0.25 トン マイカーをプラグインハイブリッド車(PHEV)に買い替えた場合。
▼通勤・通学を公共交通機関で 0.24 トン 通勤・通学目的で移動する際に、マイカーを使わず、代わりにバス・電車・自転車を同じくらい利用した場合。
▼マイカーを電気自動車に 0.24 トン マイカーを電気自動車に買い替えた場合。
▼カーシェアの利用 0.21 トン マイカーを購入せずにカーシェアを利用した場合。
▼長距離移動を公共交通機関で 0.19 トン 県境をまたぐような長距離移動でマイカーを使わず、代わりにバス・電車を利用した場合。
▼コンパクトな街に住む 0.19 トン 買い物・通院・余暇活動などの移動時間が、1日あたり平均10分になるコンパクトな街に住んだ場合。
▼マイカーをハイブリッド車に 0.19 トン マイカーをハイブリッド車(プラグインハイブリッド車を除く)に買い替えた場合。
▼帰省をオンラインで 0.17 トン 帰省をオンラインで行い、家族を訪問するための移動距離をゼロにした場合。
▼休暇を近場で過ごす 0.15 トン 宿泊旅行の移動距離を90キロ以内にとどめ、旅行目的での飛行機の利用がなくなり、マイカーや公共交通機関などの移動距離も短くなった場合。
▼エコドライブを行う 0.15 トン マイカー(ガソリン車・ディーゼル車・ハイブリッド車)の燃費が20%向上するように運転した場合。
▼まとめ買いをする 0.15 トン 買い物に行く頻度を1週間あたり 1回に減らした場合。
▼マイカーを軽自動車に 0.13 トン マイカーを軽自動車に買い替えた場合。
▼休暇を国内で過ごす 0.10 トン 海外旅行の代わりに行う宿泊旅行の移動距離を、国内線の飛行機の移動距離の平均まで短くした場合。
▼週末を地元で過ごす 0.06 トン 週末を近場で過ごし、レジャー目的で列車・バス・マイカーを利用する距離を、自転車による移動距離の平均まで短くした場合。
▼国内線の飛行機移動を列車に 0.04 トン 国内線の飛行機を利用せず、代わりに長距離列車を利用した場合。
▼タクシー移動をバス・自転車に 0.02 トン タクシーを利用せず、代わりにバス・自転車を同じくらい利用した場合。 ≪============
■《「食」の温室効果ガス削減量(10) 》
 {{ 図版 8 }}
============≫ ▼食事を完全菜食(ヴィーガン)に 0.34トン 肉・魚・乳製品・卵を食べず、代わりに豆類・穀物・野菜などを食べる生活をした場合。
▼食事を菜食(ベジタリアン)に 0.22トン 肉・魚を食べず、代わりに乳製品・卵・豆類・穀物・野菜などを食べる生活をした場合。
▼食事の肉類を代替肉に 0.19トン 肉を食べず、代わりに大豆ミートなど豆類やその加工品を食べる生活をした場合。
▼菓子・アルコール・ジュースを減らす 0.13トン 菓子・スナック類・アルコール・清涼飲料水の消費量を、国が推奨する「食事バランスガイド」に基づいた健康的な食生活の水準まで減らした場合。
▼バランスの取れた食事に 0.12トン 食事全体を、国が推奨する「食事バランスガイド」に基づいた健康的な食生活のバランスに整えた場合。
▼食事の肉類を魚類に 0.07トン 肉を食べず、代わりに魚を食べる生活をした場合。
▼食事の肉類を鶏肉のみに 0.07トン 牛肉や豚肉などを食べず、代わりに鶏肉を食べる生活をした場合。
▼食品ロスをゼロに 0.05トン 食品ロスをなくし、その分だけ食料の購入量を減らした場合。
▼旬の野菜や果物を食べる 0.04トン 旬の野菜や果物を食べて、農業用ハウスで栽培されるものを食べない生活をした場合。
▼地元で採れた野菜や果物を食べる 0.01トン 地元で採れた野菜や果物だけを食べる生活をした場合。 ≪============
■《「その他」の温室効果ガス削減量(10) 》
 {{ 図版 9 }}
============≫ ▼レジャーをアウトドアや地域で 0.25 トン エネルギー消費が多い娯楽施設(遊園地・映画館など)でレジャーを行う代わりに、アウトドアやスポーツ、地域での文化活動などで過ごす場合。
▼衣類を長く着る 0.19 トン 服を長く着たり、古着を活用したりすることで、1年あたりの衣類の購入量を4分の1程度まで削減した場合。
▼アルコールとたばこを控える 0.16 トン アルコールとタバコの消費量をゼロにし、タバコが原因となる医療サービスが不要になった場合。
▼娯楽用品を長く使う 0.11 トン エンターテインメント・スポーツ・ガーデニングなど娯楽に関する製品を長く使うことで、1年あたりの購入量を4分の1まで削減した場合。
▼旅行サービスをエコに 0.09 トン 旅行先で、エネルギー消費の多い宿泊施設などを利用せず、代わりにアウトドア・キャンプなどで過ごした場合。
▼消耗品を節約する 0.09 トン 消耗品(化粧品・衛生用品・台所用品・文房具)を節約し、1年あたりの購入量を半分余り削減した場合。
▼小型家電を長く使う 0.05 トン 小型家電を長く使うことで、1年あたりの購入量を4分の1まで削減した場合。
▼装飾品を長く使う 0.03 トン バッグ・ジュエリーを長く使うことで、1年あたりの購入量を4分の1程度まで削減した場合。
▼家具を長く使う 0.03 トン 家具を長く使うことで、1年あたりの購入量を5分の1近くまで削減した場合。
▼電子書籍の利用 0.02 トン 印刷された本や雑誌を利用せず、代わりに電子書籍を利用した場合。 ≪============
出典: Koide et al (2021) Exploring Carbon Footprint Reduction Pathways through Urban Lifestyle Changes:A Practical Approach Applied to Japanese Cities. Environmental Research Letters. 16 084001
3 notes · View notes
benediktine · 2 years
Photo
Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media
【彼らがCOPに行く理由】 - NHKニュース : https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211201/k10013366121000.html : https://archive.is/TyIiI 2021年12月1日 19時52分
 {{ 図版 1 }}
気候変動によって自分の未来が奪われるとしたら…。 11月、イギリスで開かれた国連の気候変動対策の会議「COP26」には、そんな危機感を持った世界中の若者たちが集まり、対策を求めました。 その中には、日本から駆けつけた若者の姿も。コロナ禍で、なぜ現地に行き、何���得たのか。2人に聞きました。(COP取材班・岡本基良)
■《「気候変動に声を上げる意味」に気づいた高校生 》
 {{ 図版 (省略) : 原 有穂さん }}
「なぜ、私がここに来たのか、これから何をしなければならないのか、分かった」 COP26の開催地、イギリス・グラスゴーで、そう言って涙ぐんだのは、日本の高校2年生、原有穂さんです。
世界中から集まった数千人の若者たちとともに、気候変動対策を訴える中で、新たな気づきを得たといいます。
神奈川県に暮らす原さんは、子どものころに読んだマザー・テレサの伝記に影響を受け、発展途上国の貧困問題や国際貢献に関心がありました。
気候変動について強く意識し始めたのは、およそ半年前。 国際貢献に関心のある若者のつながりから、地元での石炭火力発電所の建設計画を知ったのです。
「2050年の脱炭素社会の実現」を宣言したばかりの日本で、なぜ温室効果ガスを大量に排出する石炭火力発電所を建設するのか。
原さんは、スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんをきっかけに広がった「未来のための金曜日」に加わり、建設に反対するデモに参加するようになりました。
============≫ 原 有穂さん 「自分が住んでいる地域で起きていることなのに、全く知りませんでした。『脱炭素』を宣言したのに新たな石炭の計画が進んでいることが許せなくて、声を上げないと、いてもたってもいられないと思って活動を始めました」 ≪============
 {{ 図版 (省略) : 地元でのデモ活動 }}
原さんはデモを続けてきましたが、道行く人たちから好意的な反応を受け取ることは、ほとんどありません。
どうすれば多くの人たちに気候変動問題の危機感を伝えることができるのか。原さんは活動のあり方を考えるようになりました。
そんな時に舞い込んだのが、COPへの参加の誘いでした。
環境保護団体などの支援を受けて、「未来のための金曜日」のメンバーから5人ほどが現地を訪問できる見通しになったのです。
============≫ 原 有穂さん 「参加するしかないと思いました。現地で最も取り組みたいのは、海外の同世代の人たちとの交流です。海外で、いろいろな表現方法で活動している人たちと交流することで、ただ声を上げるだけではない伝え方、広げ方を知りたいです」 ≪============
原さんは、両親、そして、自分が通う高校に相談しました。
原さんにとって初めての海外、しかもコロナ禍での渡航です。
イギリスの感染状況は悪化していました。参加した場合、帰国後の隔離期間も含めると1か月にわたって登校できなくなります。
 {{ 図版 2 : 母親と原さん }}
しかし、両親も、高校も、原さんが海外経験を積むことを前向きに捉えてくれたため、渡航が実現することになりました。
同世代の仲間たちとともに現地に渡った原さん。
ホームステイをして世界から集まった若者たちと交流しながら、ともに石炭火力発電の廃止などの気候変動対策を訴えました。
■《「声を上げる資格があるのか」》
原さんは、現地で交流や活動を続ける中で、徐々に悩みも感じるようになります。
出会った世界各地の若者たちの中には、水害や干ばつで住む場所を失うなど、自分とは切実さの度合いが異なる人たちが多くいました。
 {{ 図版 3 : ウガンダの若者 }}
============≫ ウガンダの若者 「ウガンダでは干ばつが続いたことで水源が枯れ、水を得るために長い距離を歩かなければならないんです。女性が水くみに従事させられ、長い距離を歩く姿を小さい頃から見てきました」 ≪============
 {{ 図版 4 : アルゼンチンの若者 }}
============≫ アルゼンチンの若者 「ラテンアメリカの人たちは気候の危機の被害を受けています。山火事が歴史的な規模に達しているんです」 ≪============
さらに、現地での活動に対して、SNS上で批判も見られるようになりました。
============≫ 「会場までどうやって行ったの?飛行機とか言わないよね?」 「今日から旧石器時代みたいな生活しろよな」 (いずれもTwitterより) ≪============
============≫ 原 有穂さん 「知り合った人の中には、気候変動によって日常生活の基盤が脅かされている人たちがいて、自分が恵まれた立場でCOPに来ていることに気づかされました。さらに、多くの人たちから白い目で見られ、果たして自分には声を上げる資格があるのかと、悩みました」 ≪============
■《それでも取り組む意味 》
 {{ 図版 5 : グラスゴーでのデモ }}
そんな気持ちを抱えながら、原さんは、11月5日の金曜日、グラスゴーの中心部で行われた世界中の若者たちによる数千人規模のデモに参加します。
原さんにとって、これだけ多くの人たちとともに気候変動対策を訴えたのは初めてのこと。
 {{ 図版 (省略) }}
そこで目にしたのは、性別、人種、国籍の異なる若者たちが、それぞれの立場に基づいてメッセージを掲げている光景でした。
干ばつの影響を受ける途上国で、水くみの役割を担わされる女性がいることなどを念頭に、ジェンダー差別の撲滅を呼びかける人たち。
格差が拡大し、有色人種が災害による被害を多く受けているなどとして、「BLM(Black Lives Matter)」を掲げる人たち。
貧困、差別、マイノリティー…さまざまな社会問題が気候変動とつながっている。
もともと途上国の貧困問題に取り組みたいと思っていた原さんは、自分の立場で感じた問題意識を大切にしながら、活動を続けていこうと思いを新たにしています。
 {{ 図版 6 : 原 有穂さん }}
============≫ 原 有穂さん 「これまで石炭について訴えてきましたが、石炭は問題の一部であって、気候変動問題の本質は、差別や貧困などより幅広い問題と深くつながっていることだと気づきました。自分がこれから先、何を学び、どうやって気候変動問題に取り組んでいくのか、今回の経験を元に進む方向を決めて行ければと考えています」 ≪============
■《若者めぐる世界との“差”感じた大学生 》
 {{ 図版 7 : 世界各国の若者たちと田中さん(左から4人目) }}
COP26での活動を通じて、若者をめぐる日本と世界の“差”を感じたという人もいます。福岡県の大学4年生、田中迅さんです。
田中さんは、気候変動対策の活動に熱心に取り組み、数多くの国際会議に若者の日本代表として参加しています。 COPの閉会式では、各国の閣僚などに続いてスピーチを行った世界の若者代表の1人となりました。
田中さんは、子どもの頃にぜんそくなどの持病があったこともあり、環境問題に関心を持ちました。
高校時代には研究機関と連携して環境への意識向上を図る活動に取り組み、大学でも環境工学を学んでいます。2年前からは特に気候変動対策に注力しています。
 {{ 図版 8 : 田中 迅さん }}
============≫ 田中 迅さん 「気候変動問題は、数ある環境問題の中で最もスケールが大きく、若い世代として議論に加わらなければならないと思って活動を始めました。しかし、そうした活動をしている日本の若者は多くなく、国際社会の中で日本の存在が埋もれているという危機感がありました。そこで、国際会議に積極的に参加し、そこで得た知見を国内の若者団体に還元する取り組みを始めました」 ≪============
田中さんは、COPの開催前、若者を対象とした気候変動のエッセーコンテストに応募し、優勝。
これで現地への渡航費と宿泊費を得て、COPに参加することになりました。
============≫ (田中さんが応募したエッセーより) I am convinced that we have the power to change the future with our will and actions. I will continue to contribute to this by acting and presenting my views not only on climate change,but also on water,oceans,agriculture,energy,finance,transportation,and all other areas. And I will not limit the opportunity to strengthen our solidarity and present new initiatives on climate change issues only to COP26 and COY16,but I will work to present similar opportunities to youth in more international conferences.
「私たちには、自分の意志と行動で未来を変える力があると確信しています。私は、気候変動だけでなく、水、海、農業、エネルギー、金融、交通などあらゆる分野で行動し、みずからの考えを表明することで、貢献していきたいです。そして、気候変動問題で私たちの連帯を強め、新たな行動を示していく機会を、COP26やCOY16に限らず、より多くの国際会議で設けられるよう努力していきたいと思います」
※COY16=COP26にあわせて開かれた若者による気候変動の国際会議。 ≪============
数々の国際会議に参加してきた田中さんですが、この2年間、会議はすべてオンラインでの開催。 対面での国際会議への出席はCOP26が初めてです。
 {{ 図版 9 : COPの公式サイドイベントで登壇する田中さん(右から2人目) }}
それでも、これまでの活動で培った経験や人脈から数多くのイベントに招かれ、スピーチに立ったのは、公式イベントを含め13回に上りました。
田中さんは、日本という島国の若者として、気候変動による海面上昇が起きる世界では、沿岸地域のインフラ整備の考え方を大きく変える必要があるなどと訴えました。
■《海外の若者と交流して感じた“心配”》
田中さんは、スピーチを行うだけでなく、海外の若者とも積極的に交流し、各国の政府関係者や企業との意見交換にも臨みました。
そこで実感したのは、世界の若者たちが気候変動を深く学んでいることと、若者を取り巻く状況に日本と世界では圧倒的な差があることでした。
今回、COPの会場を訪れた日本の若者は10人程度でしたが、中国や韓国、シンガポールなどアジアの国々からはいずれも20人ほどが参加。
しかも、各国の代表を務めるような若者は、企業や大学、政府などから、強力な支援を受けているケースが多いと感じたと言います。
============≫ 田中 迅さん 「過去の国連決議に関する知識や専門的・技術的な知見まで、本当に詳しい人たちが多くて驚きました。海外の企業や社会は、気候変動分野で能力を発揮できる次世代のリーダーを育成しようという強い意志があり、資金面のサポートもして、若者を国際的な場に送り出していました。日本ではそのような動きは非常に弱いと思います。今後、国際的な議論を主導していく人材が日本から出てくるのか心配です」 ≪============
 {{ 図版 10 : 田中さんが副代表を務めるClimate Youth Japanのメンバーと }}
一方、資源がない中でも高い技術力で経済大国となっている日本のポテンシャルに、世界からの期待も感じたという田中さん。
今後、COPでの経験を生かして、若い世代の人たちが世界で活躍していけるようなきっかけづくりにも取り組むつもりです。
============≫ 田中 迅さん 「日本には世界の多くの人たちが注目していましたし、その分、世界の気候変動対策の中で果たすべき役割も大きいと思います。国際的な議論に加わるには言葉の壁が大きいですが、英語を母国語としない若者たちは、自分も含めて、たくさん失敗しながら議論に積極的に参加していました。COPでつながった人たちとの関係を生かして、今後、自分より若い世代が国際舞台で議論に参加できるような支援をしていきたいと思います」 ≪============
■《若者たちの取材を通して記者が感じたこと》
地球のあり方を左右する気候変動の問題は、若い世代にとっては自分たちの未来に直結する大きなテーマです。
COPでは、「若者の日」も設けられ、公式な場で若者たちが発言する様子が何度も見られました。
日本でも、社会が後押しをして、多くの若者が気候変動について自由に議論し、そこで生まれた声を政策に反映するような仕組みを確立しなければならないのではないか。
COPに参加した若者たちの声を聞いて、そう感じています。
●社会部記者 岡本 基良  2009年入局 北九州局、大阪局を経て現所属。環境省を担当。
0 notes
benediktine · 2 years
Photo
Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media
【議長の涙のワケは COP26交渉の舞台裏】 - NHKニュース : https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211130/k10013366111000.html : https://archive.is/TgYGp 2021年11月30日 20時15分
 {{ 図版 1 }}
イギリス・グラスゴーで開かれた国連の気候変動対策の会議、「COP26」。コロナ禍にもかかわらず、多くの国から首脳や政策担当者が集まった。 会期を1日延長した末の合意の内容は「歴史的」なのか、「妥協の産物」だったのか。そして、議長の涙の理由とは。NHKの現地取材班が迫りました。
■《”歴史的な合意”の裏にあったドラマ》
今月13日、14日間にわたる議論を経て閉幕した「COP26」。
採択された成果文書「グラスゴー気候合意」には、「産業革命前に比べて平均気温の上昇を1.5度に抑える努力を追求することを決意する」と明記された。
6年前に採択された気候変動対策の国際的な枠組み「パリ協定」では、主な目標は「2度未満」とされ、「1.5度」は努力目標にすぎなかった。
しかし、気候変動への危機感の高まりなどを背景に、今回の会議では「1.5度」が事実上の共通目標へと前進。「歴史的」な合意だという評価が出ている。
 {{ 図版 (省略) }}
ただ、この合意、採択の5時間ほど前には、瓦解(がかい)の寸前にまで追い込まれていた。
なんとか採択にたどりついたが、その際に議長が浮かべた涙は、合意が「妥協の産物」であることも示唆するものだった。
■《注目度が高かった ことしの会議》
今回の「COP26」への注目度は、COP史上、まれにみるものだった。
コロナ禍にも関わらず、参加者は190を超える国々から過去最多となるおよそ4万人。首脳級の出席は120人以上に上った。
感染拡大の影響で2年越しの開催となり、この間に世界各地で異常気象が相次いだことへの危機感が広がっていた。
 {{ 図版 2 : COP26 シャルマ議長 }}
また、会議の成功には、議長国イギリスの威信も懸かっていた。 議長を務めたのは閣僚経験者のシャルマ氏。
「COP26は写真撮影会ではなく、責任はすべての国にある」と決意を示し、事前に数十か国を訪れて下地作りを進めてきた。
その成果は会期序盤から表れた。
アメリカのバイデン大統領は、交渉をリードする前向きな姿勢を強調。
インドのモディ首相は、2070年のカーボンニュートラルを初めて表明、ブラジルも2030年までの削減目標を50%に引き上げるという新たな対策を打ち出した。
日本も岸田総理大臣が滞在わずか半日足らずの強行日程で参加し、途上国の削減対策への資金支援を表明。
イギリスが最大の使命とした「1.5度」の合意に向け、機運が盛り上がっているように思えた。
■《各国のエネルギー政策に踏み込む 「石炭」への言及》
会議が進むにつれ、次はどうやって「1.5度」を実現するのかが議論の中心となった。
イギリスは、開催前から「石炭」「車」など4つの個別分野で合意を強く望むと公言してきた。
 {{ 図版 3 : 石炭火力発電所(イメージ) }}
この中で注目の的となったのは「石炭」。
会議が折り返しを過��た10日、シャルマ議長が示した成果文書の原案には、「石炭の段階的な廃止の加速を呼びかける」と記されていた。
各国の国内政策��あるエネルギー分野について、成果文書で言及するのは極めて異例。 世界中のメディアは、次々と速報で伝えた。
日本政府の関係者も、「想定よりはるかに高い要求を突きつけてきた。イギリスは本気で石炭火力に言及しようとしている」と驚きを隠せない。
一方で、反発も出た。
世界有数の産油国・サウジアラビアのエネルギー担当相は、「特定のエネルギー源に対する偏見を持つべきではない」と述べ、警戒感をあらわにした。
 {{ 図版 (省略) }}
2日後、修正された議長案では、「排出削減対策が取られていない石炭火力発電の段階的な廃止」と表現が弱まり、反発する国々への配慮が伺えた。
なんとか成果文書に「石炭」を残したい。シャルマ議長の強い意志を感じる一方、まだ難色を示す国もあると伝えられ、水面下での交渉は最終日まで続いた。
■《ゴール目前かと思いきや どんでん返しが》
会期が1日延長された13日朝。3度目の議長案が示された。
「排出削減対策が取られていない石炭火力発電の段階的な廃止のための努力を加速する」と「努力」という文言が入り、表現はさらに弱められた。
そしてシャルマ議長は、「本日午後には会議を終える」と言い切り、合意は間近かと思われた。
 {{ 図版 4 : インド ヤーダブ環境相 }}
午後、最後の意見集約のため、全参加国が集まった会議。
この場で、インドのヤーダブ環境相が「残念ながらコンセンサスは得られなかった」と発言。反発の対象は、「廃止」という文言だった。
インドは、「この会議は特定のセクターを対象にするべきではない。途上国には化石燃料の使用を続ける権利がある」と強く訴えた。
全会一致を原則とするCOP。 このまま合意できなければ、「1.5度」を含めた成果文書全体が破棄されてしまう。
 {{ 図版 (省略) }}
EUの代表は「まるでマラソンの最後でつまずきそうになっているかのようだ。頼むからこの瞬間をむだにしないでくれ」と声を荒げ、海面上昇の影響を強く受ける島しょ国も合意なしに国に帰ることはできないと訴えた。 一方、南アフリカなど、インドの主張に同調する国も出て、議場は混乱。 本来5か国ほどの発言で終わるはずだった会議は2時間以上に及んだ。
シャルマ議長はその場を収めるため、一度会議の仕切り直しを宣言。
「石炭」への強いこだわりが、「1.5度」をも瓦解させかねない。 その表情には動揺の色が浮かんでいた。
■《最終局面で巧みに立ち回ったのはあの国》
議場では、各国の代表が立ったままで交渉を続けていた。
調整役を担うのはシャルマ議長かと思われたが、ここで存在感を示したのはアメリカと中国だった。
 {{ 図版 5 : シャルマ議長(左)とケリー特使(右) }}
アメリカは、ケリー特使。「パリ協定」の交渉にも関わるなど、気候変動のスペシャリストだ。
議場を自由に歩き回り、時に各国の代表の肩を抱きながら話し合った。
シャルマ議長を呼びつけるような様子もあった。
 {{ 図版 6 : 中国 解振華氏 }}
一方の中国の代表は、解振華氏。 20年以上前の京都議定書が採択された頃から気候変動の国際交渉に関わっている。
解氏もケリー氏とともに、交渉の輪の中心に立っていた。 実は、この2人、会議の前にも個別に長時間話し込み、一緒に手元の紙をのぞき込む姿が目撃されていた。
そして、ケリー特使、解氏、シャルマ議長、それにインドとEUの代表が、一度議場を去って別室に。
 {{ 図版 7 : 別室から戻ってきたケリー特使と解氏 }}
40分ほどして戻ってくると、解氏の表情には笑顔も見られた。
その後、ようやく再開された会議で、インドは「段階的な廃止」を「段階的な削減」と変更することを提案。
これに対して、スイスが「変更には反対しないが大変失望した」、マーシャル諸島が「落胆とともにこの変更を受け入れる」と述べ、不満をにじませたが、最終的には容認した。
 {{ 図版 8 : おわびをするシャルマ議長 }}
終始「石炭」にこだわってきたシャルマ議長は、最終盤で表現をさらに弱めざるを得なかったことを受け「このような展開になってしまったことをおわびします。しかし、文書全体の合意を守ることが何よりも大事なことです」と述べた。
 {{ 図版 (省略) }}
シャルマ議長の目には涙が浮かんでいた。
マジメな人柄を自認し、“タフガイ”として知られていた彼が涙した姿に各国は拍手を送り、成果文書は採択されたのだった。
■《成果が欲しかった… イギリスの事情》
合意は「歴史的」か「妥協の産物」か。
シャルマ議長は、合意のあと「各国が互いの違いを乗り越えて共通の課題に立ち向かうために団結できることを世界に示した」と意義を強調。
しかし、一部の交渉関係者からは「シャルマ議長は『石炭の段階的な廃止』を死守できると賭けに出たが失敗した」といった声も聞かれた。
 {{ 図版 (省略) : シャルマ議長とジョンソン首相 }}
イギリスには、合意を優先せざるをえない事情もあった。
COP26は、イギリスがEUを離脱して初めて迎える最大規模の国際会議。 存在感を世界にアピールする絶好の機会だった。
そのため、これまでのCOPの成果を一段上回る「1.5度」を最大の使命とし、これまでの成果文書では入ることがなかったエネルギー分野の対策として「石炭」を盛り込むことを強く望んだのだった。
■《アメリカ、中国は何を考えていたのか? 》
 {{ 図版 (省略)  : マイケル・ジェイコブス教授 }}
一方、アメリカと中国の動きは何だったのか。
複数の交渉関係者とパイプをもつ、シェフィールド大学のマイケル・ジェイコブス教授は、「石炭」に関するインドの反発の影で、中国が動いていたと推測。
その理由として、インドの発言の直前の中国代表のスピーチを挙げた。
このとき中国の代表は、「いくつかの表現は、中国とアメリカの共同宣言に従ったものにしてもらえると良い」と述べていた。
共同宣言とは、COP26の会期中に、中国とアメリカが、突然発表し、世界を驚かせたもの。
ここに「中国は5か年計画にそって石炭の消費を段階的に削減し、その加速のために努力する」と石炭に触れた部分がある。
教授は、「両国はこの部分について非常に激しく交渉したのだろう。そして、COPの成果文書でも同じ言葉を使うことを望んだのでは」と分析した。
 {{ 図版 (省略) : オールデン・メイヤー氏 }}
それではアメリカは、なぜ調整役を買って出たのか。
長年アメリカ政府に気候変動政策を提言してきたオールデン・メイヤー氏は、COPの会期中にバイデン政権の看板政策となる法案を巡って、アメリカ国内で調整が行われていた事情に着目。
「法案には電力部門の脱炭素施策が盛り込まれているが、石炭産地から選出された議員との交渉も続いていて、石炭に関して踏み込みたくなかったのではないか」と話す。
利害が一致したアメリカと中国。
唐突とも思われたインドの提案どおりに合意が成立した裏には、2つの大国の思惑も見え隠れした。
■《どうなる地球の未来? 》
 {{ 図版 9 : グレタ・トゥーンベリさん }}
各国の事情が激しくぶつかりあった末、合意にたどり着いたCOP26。
環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんは、自身のツイッターに「COP26が終わりました。簡潔に言えば『ブラ・ブラ・ブラ』です」と投稿。
 {{ 図版 10 : グレタさんのツイート }}
「ブラ・ブラ・ブラ」は、重要でない部分を省略するときなどに使う英語の表現で、会議が形だけのものだったと批判したのだ。
確かに、石炭の交渉を見れば「妥協の産物」とも言えるが、それでも、「1.5度目標の追求」は「歴史的」とする見方は強い。
 {{ 図版 (省略) : 東京大学 高村ゆかり教授 }}
気候変動問題を長年研究する東京大学の高村ゆかり教授は、「各国が現在掲げている2030年に向けた温室効果ガスの削減目標と、『カーボンニュートラル』をすべて達成できた場合、気温上昇を2度程度に抑えられる可能性があるという研究機関の分析も出され、『1.5度』実現の可能性は高まっている。今後は、合意された内容をもとに、各国で着実に排出削減を進めることが大事ではないか」と指摘。
その上で、石炭については「各国が削減目標を実現するためには、エネルギー分野の取り組みは欠かせない。エネルギーの移行に伴って雇用の問題などが起きるので、国際社会が新興国や途上国を支援する必要がある」と話す。
 {{ 図版 (省略) : COP26会場 }}
瓦解の危機を乗り越えて合意された「気温上昇をなんとしても1.5度に抑える」こと。
これが、将来、「歴史的」だったとされるか、ただの「妥協の産物」とみなされるのか。 各国の今後の取り組みが問われることになる。
●福岡放送局記者 早川 俊太郎  2010年入局 横浜局、岐阜局、名古屋局を経て、経済部で経済産業省を担当。今月から現所属。 ●ロンドン支局 松崎 浩子  2012年入局 名古屋局、国際部を経て現所属。欧州経済やジェンダー、環境問題など取材 ●国際部記者 田村 銀河  2013年入局 津放送局、千葉放送局をへて、現所属。ヨーロッパや気候変動問題を担当 ●社会部記者 岡本 基良  2009年入局 北九州局、大阪局を経て現所属。環境省担当。
0 notes
benediktine · 2 years
Photo
Tumblr media
【豊田会長「COP26の前向きな議論 自動車業界として歓迎」】 - NHKニュース : https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211118/k10013352611000.html : https://archive.is/JMcSB 2021年11月18日 14時28分
イギリスで開かれた国連の気候変動対策の会議「COP26」について、日本自動車工業会の豊田章男会長は18日の記者会見で「大変、前向きな議論が行われたことを業界として歓迎している」と述べました。
日本自動車工業会の豊田会長はオンラインでの会見の中で、イギリスで開かれた「COP26」で、世界の平均気温の上昇を1.5度に抑える努力を追求するとした成果文書が採択されたことなどについて「2050年のカーボンニュートラルに向け大変、前向きな議論が行われたことを、自動車業界として歓迎している」と述べました。
そのうえで、2040年までに世界の新車販売をEV=電気自動車などの排出ガスを出さない車にするという目標に、日本やアメリカ・ドイツ・フランスそれに中国が参加を見送ったことについて「電源の脱炭素化への確約がない中で、こういった意見が一部の国にとどまったことは、現実的かつ持続可能な選択肢の道に一歩進めたと思っている」と評価しました。
一方、豊田会長は来年5月以降、日本自動車工業会としては異例となる3期目を務めることが決まり「カーボンニュートラルなど、一社単独でできることにはかぎりがあり、今はみんなで協調しながら前に進んでいくことが重要な時代だ」と述べました。
0 notes
benediktine · 2 years
Photo
Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media
【COP26閉幕 気温上昇1.5℃に抑制「努力追求」成果文書採択】 - NHKニュース : https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211114/k10013347341000.html : https://archive.is/z3boC 2021年11月14日 20時13分
イギリスで開かれていた国連の気候変動対策の会議「COP26」は世界の平均気温の上昇を1.5度に抑える努力を追求するとした成果文書を採択して閉幕しました。
専門家からは1.5度に抑えることが事実上、世界の新たな目標になったとして評価する声があがる一方で、石炭火力発電の扱いなどをめぐって意見の対立もあり、今後、国際社会が協調してより踏み込んだ対策を取れるかが問われることになります。
「COP26」は会期を1日延長して14日間にわたる交渉を終え、13日に成果文書を採択して閉幕しました。
成果文書では「世界の平均気温の上昇を1.5度に抑える努力を追求することを決意する」と明記され、そのためにこの10年間での行動を加速する必要があるとしました。
6年前に採択されたパリ協定では気温上昇を2度未満に保ち、1.5度は努力目標とされていましたが、専門家からは今回1.5度に抑えることが事実上、世界の新たな共通目標となったとして評価する声もあがっています。
また、目標を達成するため、2030年に向けた各国の削減目標を来年の年末までに必要に応じて検証し強化を要請することで合意し、さらなる削減目標の見直しを求める内容も盛り込まれました。
さらに発展途上国が行う対策への支援として先進国が約束している年間1000億ドルの拠出を2025年まで着実に維持し、気候変動による被害を軽減するための資金の拠出を2019年の水準から少なくとも2倍にするよう求めました。
一方、二酸化炭素を大量に排出する石炭火力発電については当初、段階的な「廃止」を加速するとした案が示されましたが、会議の最終盤で電力需要が高まるインドなどから反対意見があがり、段階的な「削減」に表現が弱められるなど各国の根強い意見の隔たりが浮き彫りになりました。
気候変動による災害が各地で相次ぎ、かつてなく危機感が高まる中、気温上昇を1.5度に抑えていくために今後、国際社会が協調してより踏み込んだ対策を取れるかが問われることになります。
■《石炭火力発電の表現をめぐり各国が激しい応酬》
13日の採択の直前には石炭火力発電の表現をめぐって、各国の激しい応酬がありました。
13日に示された3度目の議長案は、石炭火力発電について「排出削減対策が取られていない石炭火力発電の段階的な廃止のための努力を加速する」としていました。
しかし採択直前の土壇場になってインドの代表が「廃止」という文言を「削減」に変更することを提案すると、一部の国からは拍手が起こりました。
これに対してスイスの代表が「変更には反対しないが、最終版での変更には大変失望した。これで1.5度の目標の達成をさらに難しくする」と述べると、この発言にも拍手が起きました。
続いてEU=ヨーロッパ連合の代表も「私たちは歴史から石炭に未来がないことを知っている。だからこそ段階的に廃止すべきだ」と落胆を示しながらも文言の変更には反対しませんでした。
また気候変動の影響で海面が上昇し、水没の危機にあると訴えるマーシャル諸島の代表はインドの提案に反発しましたが「落胆とともにこの変更を受け入れる。今回の成果文書には私たちの島に住む人たちの命に関わる要素を含んでいるからだ」と述べ、成果文書の採択を優先する姿勢を示しました。
こうした発言を受けて、シャルマ議長は声を詰まらせながら「申し訳ない。だが最も大切なのは文書全体が守られることだ」と述べ、インドからの提案を受け入れました。
この結果、成果文書の最終的な表現は「排出削減対策が取られていない石炭火力発電の段階的な削減の努力を加速する」となりました。
■《シャルマ議長「各国が団結できることを世界に示した」 》
COP26のシャルマ議長はすべての採択が終わったあとのあいさつで「各国が互いの違いを乗り越えて共通の課題に立ち向かうために団結できることをともに世界に示した2週間だった。平均気温の上昇を1.5度に抑えられるようにするため努力を追求することは私たち全員の責任だ。ここグラスゴーに集まった人々は大きな挑戦に立ち向かう勇気を持っている」と述べ、目標達成のために行動に移そうと呼びかけました。
■《合意のポイントは》
【1.5度】
「COP26」の大きな焦点となったのは、世界の平均気温の上昇を1.5度に抑えることで各国が一致できるかでした。
成果文書では世界の平均気温の上昇を1.5度に抑える努力を追求することを決意するとしました。
6年前に採択された「パリ協定」では「気温上昇を2度未満に保つとともに、1.5度に抑えるよう努力する」とされていますが、最新の科学的知見や近年の気候変動への危機感の高まりもあり、今回の合意の表現は一歩踏み込んだものになっています。
そして、気温上昇を抑えるためにこの10年間での行動を加速する必要があると明記し、各国の2030年に向けた排出削減の目標について2022年の末までに必要に応じて検証し、さらに強化することを要請することで合意しました。
【資金】
発展途上国の気候変動対策を促すため、先進国が資金支援を強化することも盛り込まれました。
途上国の気候変動対策への支援として先進国が約束している年間1000億ドルの拠出を2025年まで着実に維持するとともに、あらゆる資金源から資金を集める必要があるとしています。
【石炭】
異例ともいえる個別の分野にも踏み込みました。
二酸化炭素を多く排出する石炭火力発電について段階的な削減が明記されました。
ただ、文書の内容をめぐっては議論が紛糾しました。
当初の議長案では「排出削減対策が取られていない石炭火力発電と化石燃料への補助金の段階的な廃止を加速する」とされていました。
最終的な議長案で「努力を加速する」と表現が弱められた上、採択の直前のインドなどの主張を受けて「段階的な廃止」が「段階的な削減」へとさらに弱められました。
【パリ協定ルール】
気候変動対策の国際的な枠組み「パリ協定」の着実な実施に向けたルールについても、各国が合意に至りました。
「パリ協定」の6条で定められた温室効果ガスの排出削減量を政府間や民間で取り引きできるルール作りは、これまでのCOPで繰り返し議論されてきたものの��意に至っておらず「最後のピース」とも呼ばれていました。
協議が難航していた理由の1つは、一部の途上国がかつての京都議定書のもとで認証されていた削減量を新たな枠組みであるパリ協定のもとでも活用できるよう主張したのに対し、先進国などが新たな削減につながらないとして難色を示していたことです。
また、削減量を支援した国と支援された国で二重に計上しないルールなどもさらなる検討が必要とされてきました。
今回の合意したルールでは、京都議定書に基づいて2013年以降に認証された削減量はパリ協定のもとでも2030年の各国の削減目標に算入できると認めたほか、取り引きに参加する国は削減量の透明性を確保し二重計上などを防いで排出量の増加につながらないようにすることなどが盛り込まれました。
このルールが合意されたことで、企業などが海外での排出削減につながる事業を行うメリットが大きくなって「脱炭素ビジネス」が活性化し、各国の経済成長と気候変動の抑制につながると期待されています。
環境省によりますと、この仕組みにより2030年までに世界全体の二酸化炭素の排出量をおよそ3割削減できるという試算もあるということです。
■《専門家「『1.5度に抑えること目指す』各国合意は歴史的なこと」 》
今回の成果文書について、気候変動の国際交渉に詳しい東京大学未来ビジョン研究センターの高村ゆかり教授は「気温の上昇を2度未満に抑えるとしたパリ協定では、1.5度は“努力義務”であったが、今回2度ではなく、1.5度に抑えることを目指すことに各国が合意したといえ、歴史的なことだと思う」として、成果文書の内容を評価しました。
そのうえで今後の排出削減については「発展途上国の削減を実現するためは、技術的にも資金的にも先進国が支援することが大事で、国際的に削減の取り組みを加速させる必要がある」と指摘し、気温の上昇を1.5度に抑えるためには、先進国と途上国が脱炭素分野での協力を進めることが欠かせないと話していました。
■《環境NGO関係者「2030年に向け各国の目標の上積みが必要」 》
気候変動対策の国際交渉に詳しい環境NGO「WWFジャパン」の小西雅子さんは「パリ協定では努力目標に過ぎなかった『1.5度』に気温上昇を抑えることが、世界の共通目標になったことが大きな成果だと受け止めている。パリ協定のころと比べると、気候変動への危機感が共有されてきていることや、企業などに対策を求める経済の動きの変化によって、『1.5度』を受け入れる余地ができたのではないか」と分析しています。
そのうえで「現在の各国の温室効果ガスの削減目標を達成したとしても『1.5度』は実現できないと分析されているので、2030年に向けた目標の上積みが必要となる。さらに今回焦点の1つとなった石炭の対策のように、各国には目標を実現するための具体的な対策の導入も求められていくことになる」と指摘しました。
■《国連事務総長 一定成果あったとするも「成果文書は妥協の産物」 》
国連のグテーレス事務総長は13日、ビデオメッセージを発表しました。
この中でグテーレス事務総長は「今回の文書は1.5度に抑える目標を再確認し、気候変動の被害に苦しむ国々への支援を強化する必要性を示した」などと述べ、一定の成果があったという考えを示しました。
一方で「これは歓迎すべき一歩だが十分とは言えない。成果文書は今の世界の利権や矛盾、それに政治的な意思を反映した妥協の産物だ」と指摘し「私は化石燃料への補助金を終わらせなければならないと確信している」などと述べて、今回の会議で目指した目標の一部は達成できなかったと指摘しました。
そしてグテーレス事務総長は「いまこそ緊急事態のモードに移るべき時だ。私たちはみずからの命のために闘っている。決して諦めたり、後戻りしたりせず前進しなければならない」と強調し、各国に対してより踏み込んだ対策を呼びかけました。
■《グレタ・トゥーンベリさん “会議は形だけのもの” 》
スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんは13日、自身のツイッターに「COP26が終わりました。簡潔に言えば『ブラ・ブラ・ブラ』です」と投稿しました。
「ブラ・ブラ・ブラ」は、重要でない部分を省略するときなどに使う英語の表現で、会議が形だけのものだったと批判した格好です。
そのうえで「本当の活動は議場の外で続いています。私たちは決して諦めません」とつづり、今後も活動を続けていく考えを示しました。
グレタさんは、今月1日にも「COP26」について「政治家や権力者たちが、気候変動の影響を受けている人がいるという現実を、深刻に受け止めているふりをしているだけだ」と指摘するなど、会議に参加した各国の首脳を批判していました。
■《JERA「石炭火力が必要な国々も存在 技術開発急ぎたい」》
国内最大の火力発電事業者のJERAは「脱炭素というゴールに向かう道筋はそれぞれの国や地域に合ったかたちで実現されるべきだ。電力の安定供給を果たしつつ、低コストかつスピーディーに脱炭素を進めていくには、石炭火力にアンモニアを混ぜるなど、既存の発電所を少しずつ脱炭素化していくことが重要だ」というコメントを出しました。
そのうえで「アジア諸国では、経済成長を支えるために石炭火力発電が必要な国々も多く存在することから、まずはアンモニアの利用技術を確立することで、諸外国でも活用可能な技術開発を急ぎたい」としています。
■《経団連 十倉会長「合意して一歩進めたのは大きな成果」》
経団連の十倉会長は「温室効果ガスの削減は1国ではできないので、地球上のあらゆる国が合意して文書を残せたことは非常に大きな成果だと思う。石炭火力発電の扱いをめぐって、各国のせめぎ合いがあり、議長の涙も印象的だったが、とにかく合意して一歩進めたという��は大きな成果だ」と述べ、成果文書の採択を評価する考えを示しました。
0 notes
benediktine · 2 years
Photo
Tumblr media
【COP26 3度目の議長案 途上国から反対意見 ぎりぎりの交渉続く】 - NHKニュース : https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211114/k10013347331000.html : https://archive.is/oxH2z 2021年11月14日 4時17分
イギリスで開かれている国連の気候変動対策の会議「COP26」。 3度目の議長案が示され、交渉が続いていますが、発展途上国からは資金支援などをめぐって反対の意見が出され、ぎりぎりの交渉が続いています。
「COP26」は会期を1日延長し、13日、3度目となる議長案が示され、交渉は最終局面を迎えています。
議長案では、「世界の平均気温の上昇を1.5度に抑える努力を追求する」とした内容となっています。
また、焦点のひとつとなっていた石炭火力発電については表現が弱められ、「排出削減対策が取られていない石炭火力発電の段階的な廃止のための努力を加速する」と「努力」の文言が入りました。
そして発展途上国への気候変動対策の支援として先進国が2020年までに約束している年間1000億ドルの資金拠出については、2025年までの間に早急に達成することを強く要請する内容となっています。
しかし、発展途上国からは石炭火力発電についての内容や気候変動によって受けた損失と被害に対応する資金への拠出について、反対の意見が出されています。
インドの代表は、「貧国の撲滅という課題に取り組まなければならず、石炭火力を利用する権利がある」と主張しました。
これに対し、アメリカのケリー特使は、「確かに、すべての国の最善の望みを満たさないものもある。しかし完璧にはならない。正しい方向への非常に重要な一歩だ」と述べて、議長案に同意するよう理解を求めました。
議長国���ギリスは13日中の決着を図る意欲を示していて、ぎりぎりの交渉が続けられています。
■《山口環境相「団結するときが来た」》
「COP26」の成果文書などの採択に向けた全体会合で、日本政府を代表して山口環境大臣が発言し、3度目となる現在の議長案を支持する立場を表明しました。
山口環境大臣は、「我々は結論を持たずにグラスゴーを後にするべきではない。特に、パリ協定のルールに関する文書を採択する必要がある。各国が合意に向けて妥協し、ホームワークを片づけようではないか。団結するときが来た」と各国に合意するよう理解を求めました。
0 notes
benediktine · 2 years
Photo
Tumblr media
【延長のCOP26 3度目の議長案 “石炭火力廃止”いくぶん弱まる】 - NHKニュース : https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211113/k10013347111000.html : https://archive.is/ZDy0c 2021年11月13日 23時47分
イギリスで開かれている国連の気候変動対策の会議「COP26」。交渉が難航していて、13日、3度目となる議長案が示されました。焦点のひとつ、石炭火力発電の廃止に関する文言がいくぶん弱められ交渉は最終局面を迎えています。
「COP26」は当初、12日に閉幕する予定でしたが、成果文書の取りまとめに向けた交渉が難航し、会期を1日延長しました。
13日、3度目となる議長案が新たに示され、「世界の気温の上昇を1.5度に抑える努力を追求する」とした内容は維持されました。
また、「各国の2030年に向けた排出削減の目標について、来年の末までに必要に応じて検証し、さらに強化することを要請する」としていた文言も盛り込まれました。
一方、焦点のひとつとなっていた石炭火力発電については表現がいくぶん弱められました。
3度目の議長案では、「排出削減対策が取られていない石炭火力発電の段階的な廃止のための努力を加速する」と「努力」の文言が入ったほか、「その移行のための支援の必要性を認識する」との文言が追加されました。
新興国など電力確保のために石炭火力を引き続き使わざるをえない国への配慮をにじませたものとみられます。
日本時間午後10時半すぎ、各国の交渉団を集めたイギリスのシャルマ議長は「きょうの午後にはCOPを終える」と発言し、13日中の決着をはかる意欲を示しました。
各国が立場の違いを乗り越えて合意できるのか、交渉は最終局面を迎えています。
■《日本のこれまでの立場は》
前日・12日に出されていた2度目の議長案について、日本政府の交渉団は前向きに受け止める立場を表明しています。
そのうえで文書で意見を提出し、世界の平均気温の上昇を1.5度に抑えることを特に強調して扱うべきだと主張したほか、石炭火力発電の段階的な廃止について特定のセクターを取り上げた例は過去にないと伝えています。
政府関係者は「議長の努力のおかげで、すべての締約国に行動を促す強いメッセージを発することのできる案文ができつつある」としています。
■《ロシア 化石燃料の言及に難色 交渉の行方に影響も》
ロシアの代表は報道陣の取材に対し「私たちはもう2週目に入っている。きょう会議を終え、家に帰れることを願っている」と答えました。
また、新たに示された議長案がロシアの求めに応じた内容になっているかという質問には「解決策はきっとある」と答えるにとどめ、態度を明確にはしませんでした。
今回の議長案には石炭火力発電の廃止に関する文言が盛り込まれていますが、ロシアはサウジアラビアやオーストラリアとともに化石燃料に関して言及することに難色を示していると欧米のメディアは伝えていて、交渉の行方にどのように影響するのか注目されています。
0 notes