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#布団の安眠楽天市場店
futon-anmin · 1 year
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📣あなただけのオリジナル出産内祝い。赤ちゃんと同じ重さのお米にメッセージカードを添えてお贈りください。 赤ちゃんと同じ重さのお米で幸せのお裾分け。 お赤ちゃんの写真付きのオリジナルメッセージカード付きです。 #布団の安眠楽天市場店 でお買い求めいただけます。 #赤ちゃんお祝い #赤ちゃんお祝いギフト #出産祝い #出産祝いギフト #体重米 #メッセージカード付き #新米ママ #布団の安眠 #布団の安眠楽天市場店 #寝具 #布団カバー #寝具カバー #ベッドカバー #寝室 #寝室インテリア #ベッドルーム #おうちじかん #暮らしを楽しむ #楽天 #楽天市場で購入 https://www.instagram.com/p/CqKrr7rLkIN/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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jitterbugs-mhyk · 2 years
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パーティならチキンを焼いて my favorite things.
 
 満たされたばら色の人生にも、遣る瀬無い夜は訪れる。そういうときは誰にだって、ささやかな楽しみや、希望にあふれた展望が、必要になるのだった。必ずしもすべて、未来の約束じゃあ、ない、胸の奥にそっと灯ったわずかのともしびのように、幾度となく取りだしては大事に眺めた過去の日々のことであったり、はっきりとは思い出せない、夢のなかの景色であったりしたもの。
 なにもかもを忽ちに。打ち上げた花火のように、あるいは激しく打ち鳴らす銅鑼のように、景気よく、気前よく、解決する手段はない。自分たちにはふしぎの力があったけれども、短く唱える呪文、たったひとつ、長い長い魔法使いの人生にあって、幾度となく、あるいは自身の名前より、多く繰り返すことになるであろう言葉は、かならずしも万能ではなかった。こうあってほしい。願ったかたちと、色と、匂いと。思い描いたものをそのままに生み出すのは、魔法であっても容易くはない。そりゃあ、世界でいちばんの魔法使い、かつて魔王と恐れられ、また、その人自身もそう呼ばれることに何の疑問もなければ、快感にすら考えていたらしいオズであるなら、違っていたかもしれないが。少なくとも、排他的で、魔法使いに限らずとも、ひととひととの独特な距離と、稀薄な関係、微妙な均衡のうえに成り立つ東の国で、息を潜めるようにして暮らす歳月の、長くなったネロには難しいことだった。
 かれらは人をたまらなく愛するくせ、ジレンマのハリネズミ、いつだって近寄りすぎれば互いに傷つけあうことを恐れている。本質的に優しく、どうしようもなく寂しいが、おなじだけ気位が高く、自らを偏屈と嘯いてはばからない。もとよりそういったきらいのあったゆえに、東の国の水によく馴染んだとも言えたし、あちこちを転々としつつも店を営み続けた日々が、ネロを東の国の魔法使いにしたとも言える。彼は大いに変わったし、何ひとつ変わらない。繊細なくせに豪胆で、穏やかなようでいて燃えたぎる焔をその身のうちに飼っている。敵と見るや容赦はないが、いちど懐に入れた者にはあまりに情が深すぎた。
 磨きぬかれたカトラリー、整理整頓されたスパイスラック、年代順に並べられたワインのボトル、ひとつひとつを丁寧に、確実に。積み重ねる仕事は地道で堅実、つまらないといえばつまらないが、魔法使いらしくない勤勉さは、思えば初めからネロのものだった。掃き清められた床、皺だらけでも染みはない寝具たち、行き場のないガラクタが散乱してはいても埃ひとつなく、空気は入れ替えられていつでも新鮮だったし、窓にガラスは嵌まっておらずとも、雨漏りのする屋根はない。無責任で、自堕落、怠け者のふるまいをしてはいても、彼はきちんとしたひとだった。もっとも、照れくさいのか隠したがったが。
 いつだって誰よりも早く起きて、オーブンに火を入れる。薪ひとつ、打ち合わせる火打ちのひとつにさえ、ネロは魔法を使わない。それはポリシーというよりも、ルールというよりも、信仰にも似た、祈りのようなルーティーンのなかにある。菜園の朝採りの野菜は瑞々しく、そのまま齧ってもゆたかな水と太陽の味がする。弱くないくせに深酒をきらい、ひそやかな談笑と、駆け引きのカードの卓にはつかないネロが、とっておきのバーに顔を出すことは滅多にない。いつだったか、一度か、二度か、酔いつぶれた男たち、いつだって酩酊しているようなくだけた魂のムルにカードでこてんぱんにされ、酔うほどに冴えるシャイロックのダーツ、上機嫌に賭け金を吊り上げてゆくレイズを、ブラッドリーは何度口にしただろう、浴びるほどに呑んでなおも眠ることかなわないミスラの憂鬱、それら綯い交ぜの男たちが、夜中の菜園でトマトやグリーンフラワーをちょいと拝借したときの、ネロの怒りの形相はいまだに語り種になっている。怒りに我を忘れたネロは、あろうことか序列第二位のミスラまでまとめて首根っこを引っ掴んで中庭の噴水にぶん投げてのけた。怒りの過ぎ去ったあとから勿論真っ青になっていたが、彼の大切なものを蔑ろにした人間たちを、東の魔法使いたちがそれこそ射殺すような視線で侮蔑したのでますます小さくなっていた。彼らは陰険で、執念深く、そうして何より、自らのように他人を遇することのできる人格を持ち合わせている。引っ込み思案ではあるが普段は礼儀正しく朗らかなヒースクリフや、横暴なようでいて真摯、育ちのよい振る舞いをするではなくとも主人を立てる忠義のシノ、呪い屋などと名乗りながら、不幸そのものを被せるのでなく、ひとの幸運を少しばかりくじいてみせるファウストさえも、まごうかたなき東の男、彼らのあいだの、触れ合わないながらもけして離れることのない紐帯は、かたく結ばれたノットのようだ。知っていれば容易くほどけるのに、力任せには外せない。
 あいかわらず甘い男だな、と揶揄されて、かつてであれば傷つくか、さもなければ猛烈に腹を立てていただろう。思うに自分は若すぎたし、感傷的にすぎた。そんなに良いものでもなかったのに、いつだって、��恋の甘酸っぱさをひきずっている処女のような、散った花の香りを惜しんではらはらと涙をこぼす生娘の心ばえを持ち合わせていた。そんなに良いものであるはずもなかったのに! あの頃慕った男は破天荒、傍若無人は十八番、焦がれるままに背を追って、まともな教育ひとつない、宝石の目利き、あらゆる鍵のこじ開けかた、それから、うつくしく高潔な暴力、彼から学んだことのすべて。師と慕うにはあまりにも、絶対のカリスマでありすぎたし、かといって、率いる盗賊団の下っ端とだって気安く肩を組み、売り捌けば相当の値がつくであろう年代もののワインを惜しまずに振る舞った。ブラッドリーはそういう男だと、痛いほどによく、分かっていた。彼が均等に分け与えないのはマナ石くらいのもので、魔法使いたちにとっては、宝石よりも、贅の限りを尽くしたご馳走や、黄金に輝くシャンパンの泡、誰にも邪魔をされずに午すぎまで惰眠を餮ることのできるベッド、それらのすべてより、いくらも価値のあったもの。けれど、さほどの不満はなかった。マナ石をボスが喰うのなら、彼の庇護下にあるものたちは、結果として強さを手に入れたのと同義であったし、ブラッドリーは北の魔法使いらしからぬ、義に篤い男であり、同じだけ誰より北の魔法使いらしい、傲慢で、不遜で、気まぐれを持ち合わせていたものだ。
 すれ違う紳士淑女の懐からちょいと財布をくすねるやりかたは、残念ながらろくでもない子どもの時分に覚えた。北の国では良くあることで、家のなかには、兄だか、姉だか、父だか、母だか分からない年長者たちが溢れていたが、少なくともネロは、自分がろくでもない家の、よくない子どもであることに十分に自覚的だった。意識して、悪を悪と知りながら為すことは、なんの免罪符にもならないが、成し遂げるための知恵と、技術と、度胸があること、他人から盗みとる他にはなにひとつ持たない子どもにもゆるされる財産だった。ひとりきり、自分だけを守り、慈しみ、愛してやる、それすらも厳しいのが北の国のならいであって、山ほど部下をかかえたり、誰からみても足手まといになりかねない男を相棒と呼んで憚らなかったブラッドリーが奇特なのだ。ちびで、やせぎすで、いつだって腹を空かせている子どもたち、北の国では路地裏に、彼らの明日は転がっていない。夜はあまりに深く、暗く、長いもの、朝を迎える前に仲良く骸になれるなら、孤独もいくらか浮かばれる。死は必ずしも幸福の対��にない。
 北の大盗賊ブラッドリー・ベイン。彼は間違いなく悪党であり、与えるものでも、施すものでもありえなかった。彼は多くを持ち合わせたが、しかし、価値あるものは適切に、渡るべき手へ流れていった。きっとネロ・ターナーも、そのうちのひとつであっただろう。うつくしい宝石のような、この世にふたつとない宝剣のような価値が己にあると自惚れたことはなかったが、ほんとうに素晴らしいものは、いつだってブラッドリーのもとにとどまりはしない。彼が望んでそうしたものかもしれないし、ブラッドリー・ベインという男の、避けえざる、けして覆ることのない運命のうえに、定められたものかもしれなかった。彼自身から語られないまま、断絶された数百年、いまだに牢に繋がれて、似合いもしない献身と奉仕の日々、忌々しいと吐き捨てながら、楽しんでいるようにさえ思えるのは、願望ばかりでないだろう。彼に美徳があるとは認めがたいが、日々の困難をさえ笑いとばせる豪胆さは、同じく北の国に生まれ育っても、ネロにはついぞ、備わらなかった。
 とくべつでない特別な日に、任務や、修行や、仕事やらで、へとへとになった子どもたちに、なにを食わせてやろうと考えるのが好きだった。市場で仕入れてきたばかりの新鮮な食材、昨夜のうちに絞めておいた鳥、近ごろ使っていない気がするスパイス。まともに飯を食いもせず酒の肴を摘まむばかりの大人たちには、炒ったナッツでも出して黙らせておきたい。夜を裂いてゆく一条の光は銃弾、なんで分からないかな、ネロは一度だって魔法でチキンを揚げたことはなかったし、ましてや子どもたちは、焼いたチキンをご所望なので。
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herbiemikeadamski · 2 years
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. (^o^)/おはよー(^▽^)ゴザイマース(^_-)-☆. . . 6月10日(金) #仏滅(甲午) 旧暦 5/12 月齢 10.6 年始から161日目(閏年では162日目)にあたり、年末まであと204日です。 . . 朝は希望に起き⤴️昼は努力に生き💪 夜を感謝に眠ろう😪💤夜が来ない 朝はありませんし、朝が来ない夜 はない💦睡眠は明日を迎える為の ☀️未来へのスタートです🏃‍♂💦 でお馴染みのRascalでございます😅. . 今週は、ずっとペース崩され放しで 朝は出遅れてましたが、やっとこさ ペース戻って来たかと思ったら、もう ラストスパート金曜日じゃないですか😅💦 今朝は2本早いのに乗れたのですが お隣の駅で急行を待ってますが7分 も待たなきゃならんという焦ったい 待つのが嫌いで、どちらかと云うと 「急き勝ち」な方なので😅💦人に 云われると腹立ちますけど🤣😆🤣 池袋で一本早いのに乗れた🚉🏄🏽‍♂️🏇 お陰で予定より30分も早く着きそw . 今日一日どなた様も💁‍お体ご自愛 なさって❤️お過ごし下さいませ🙋‍ モウ!頑張るしか✋はない! ガンバリマショウ\(^O^)/ ワーイ! ✨本日もご安全に参りましょう✌️ . . ■今日は何の日■. #時の記念日.  東京天文台と生活改善同盟会が1920(大正9)年に、「時間をきちんと守り、欧米並みに生活の改善・合理化を図ろう」と制定。  「漏刻を新しき台に置く。始めて候時を打つ。鐘鼓を動す。」とあることから。  日本で初めて時計(「漏刻」と呼ばれる水時計)による時の知らせが行われたことを記念して制定された。  記念日ではあるが、国民の祝日に関する法律に規定された国民の祝日ではない。  日本では6月に国民の祝日がないため、時の記念日を6月の国民の祝日にすべきとの意見も多いが、実現には至っていない。 . #仏滅(ブツメツ).  六曜における大凶日。  仏滅は万事に凶であるとされる。  この日は六曜の中で最も凶の日とされ、婚礼などの祝儀を忌む習慣がある。  この日に結婚式を挙げる人は少ない。そのため仏滅には料金の割引を行う結婚式場もある。他の六曜は読みが複数あるが、仏滅は「ぶつめつ」としか読まれない。  「何事も遠慮する日、病めば長引く、仏事はよろしい」ともいわれる。 . #一粒万倍日(イチリュウマンバイビ).  選日の1つであり、単に万倍とも言われます。  一粒万倍日は何事を始めるにも良い日とされ、特に仕事始め、開店、種まき、お金を出すことに吉であるとされる。  但し、借金をしたり人から物を借りたりすることは苦労の種が万倍になるので凶とされる。 . #天赦日(テンシャニチ).  日本の暦の上で最上の吉日とされており、新しい何かをスタートさせたり躊躇していたことに挑戦するにはもってこいの日。 . #ロケ弁当の日. . #天赦日は開運財布の日. . #労働契約を考える日. . #時報奉仕開始. . #ペットに無添加良品の日 . #ロトくじを楽しむ日. . #蔵出し!Tシャツデー. . #うどんと和菓子をいっしょに食べる日. . #梅酒の日. . #リボンシトロンの日. . #傘の日. . #ミルクキャラメルの日. . #ところてんの日. . #路面電車の日. . #無糖茶飲料の日. . #ローストビーフの日. . #夢の日. . #無添加の日. . #てっぱん団ら���の日. . ●Doleスムージーの日. . ●無添加住宅の日. . ●酸化防止剤無添加ワインの日. . ●ロートの日. . ●ドリーム号の日. . ●谷津干潟の日. . ●緑豆の日. . ●商工会の日. . ●歩行者天国の日. . ●社会教育法施行記念日. . ●糖化の日(毎月10日). . ●アメリカンフライドポテトの日(毎月10日). . ●コッペパンの日(毎月10日). . ●バイナリーオプションの日(毎月10日). . ●Windows10の日(毎月10日). . ●スカイプロポーズの日(毎月10日). . ●パンケーキの日(毎月10日). . ●ポルトガルの日. . ●コンゴ国民最高会議記念日. . ●キャッシュレスの日(毎月ゼロの付く日). . . ■本日の語句■. #時は得難くして失い易し(トキハエガタクシテウシナイヤスシ). 【意味】 好機はめったに巡って来ないし、油断すると直ぐに去ってしまうと云う事。 また、時は二度と巡って来ないので、僅かな時間も大切に過ごすべきであると云う戒め。 . . 1977(昭和52)年6月10日(金)先負. #高谷裕之 (#たかやひろゆき) 【総合格闘家】 〔千葉県習志野市〕 . . (南千住駅) https://www.instagram.com/p/CemZin_Bp-497e0ISblrll7Gpex32WMdQvFnFQ0/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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yukinko22 · 5 years
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怪しいインビテーション・フロム彼方  夏休みに、知らない人に誘われて、知らない人たち5人と、知らない国の知らない場所を旅することになった。twitterで、今まで全く交流がなかった人から突然誘われたのだ。なぜ誘われたのかもわからないし、なぜ、自分がその誘いに応じたのかもわからない。  当時の私は、激務で有名な会社の、最も激務と噂される部署で働いていた。会社の机で眠り、近くのジムでシャワーを浴び、充血した目でエクセルを叩く。正月もゴールデンウィークもなかった。ウイグル旅行の誘いが届いたのは、そんな折だった。  メッセージが目に入るやいなや、発作的に行きたいと返事をしてしまったが、後になって疑念が湧いてきた。メッセージの主は、いったいどんな人なんだろう。私は当時、人と絡まない孤高のスタイルでtwitterをしていたのでDMがきたこと自体初めてだった。  とにかく、行くと言ってしまったのだから、休みをとらなければならない。その時点で夏休みを取得する予定はなかった。取得できるのかもわかっていなかった。 どうしてウイグルなんかに行くんですか  休暇取得を申し出る私に対し、職場のみんなはやさしかった。みんな忙しいのに、「仕事は引き取るから」「ゆっくり休んで」と言ってくれた。しかし、旅行の詳細を聞くと、同僚たちの善良な笑顔はさっと曇った。  彼らは問う。 「どうして、ハワイでもセブ島でもなく、ウイグルなのか」 「どうして、親しい友人や家族と行かないのか」  もっともな疑問だ。私は、どうして、気が合うかわからない人々と、楽しいかわからない場所に行こうとしているのだろう。自分にもわからない。どちらかといえば、こちらが問い返したいくらいだ。 「どうして私は、知らない人とウイグルに行くのでしょう?」  私は、夏休みまでに仕上げなければいけない書類の山を見つめた。 羽田からウルムチへ  早朝の羽田空港国際ターミナルで、私は疲れ果てていた。休暇を目前にひかえる中で押し寄せる仕事の波に飲み込まれ、家に帰れない日々が続いていたからだ。最終日も仕事が終わらず、徹夜で職場から直接空港に向かう羽目になった。  今回の旅行メンバーは、男性3人・女性3人。私以外は、大学時代のサークルを中心としたつながりのようだった。それだけ聞くと、「あいのり」や「テラスハウス」のような、青���の匂いただよう若い男女の旅行なのだが、グループからはそれをかき消す不穏なバイブスが満ち満ちていた。  なかでも完全におかしいのは、グループの中に「尊師」と「レーニン」を称する人物がいることだ。通常、「尊師」というのは、オウム真理教教祖の麻原彰晃(本名・松本智津夫)を意味し、「レーニン」というのは、ロシア社会民主労働党の指導者であり、ソビエト連邦を建国した人物であるウラジミール・イリイチ・レーニンを意味する。  テロ、あるいは革命という形で、国家体制の転覆をめざした宗教的・政治的指導者が、なぜ一同に会しているのだろう。空港前で集合しているだけで、破���活動防止法(通称・破防法)の適用対象団体となってしまいそうだ。  ともあれ、この時点で、今回の旅行が恋と友情の甘酸っぱい青春旅行になる可能性は限りなくゼロだ。麻原彰晃とウラジミール・レーニンが旅を通じて友情を深め、それがいつしか愛に変わる……。そんな突飛な話は、両者の思想的相違点を考慮すればおよそ考えられないだろう。  私は、国家転覆を試みる宗教家でもなければ、社会主義の革命的指導者でもない。どうしてこの旅に誘われたのだろう。ぷくぷくとふくらむ疑問と不安を乗せて、飛行機は羽田を旅立とうとしていた。 尊師とレーニン  羽田からウルムチへの長い移動中に分かったことがある。尊師は、工学の修士号を持つ知識人であり、特定の宗教とのつながりはないということだ。「尊師」というのは、極めて不謹慎なあだ名にすぎない。  では、旅の同行者にふさわしい安全な人物かというと、そんなことは決してなかった。尊師は、無邪気な下ネタをガンガン投下してくるという反社会的な性質を有していた。  例えば、北京の空港でのことだ。 「マーン・コーヒーだ!見てください!マーン・コーヒーですよ」  尊師は、北京空港内のオシャレなカフェチェーンを指差し、目をキラキラ輝かせて写真を撮りはじめた。そのとき、私は「どこにでもあるチェーン店になぜ興奮しているのだろう」と不思議だったのだが、後になって、それが低レベルすぎる下ネタであることに気がついた。もっと早く気づいてしかるべきだったのだが、工学の修士号を持つ知識人が、そんな知性ひかえめのジョークを言うとは思わなかったのだ。  他の同行者もまた、尊師の被害を受けていた。 尊師 「ちんマ!? ちんマ!?」 同行者「ちんマってなんですか?」 尊師 「ちんマというのは、ちんちんマッサージのことです」 同行者「……」  それ以来、その人は、尊師には何も質問しないと決めたという。  尊師が、大きな身体のうるさいお兄さんである一方、レーニンは、小柄でツインテール姿の、無口でちょっぴりエッチな美少女だった。  ちなみに、ちょっぴりエッチというのは、彼女が尊師の下ネタをときどき拾ってあげていたのを私が面白おかしく書き立てているだけだ。実際には、彼女は、渾身の下ネタをたびたびスルーされ、ときにはうるさいと一喝される尊師を気遣っていたのだと思う。  なので、正確には「レーニンは、小柄でツインテール姿の、無口で心優しい美少女」ということになる。それでいてソ連のコミンテルンを率いる革命的指導者であり思想家だなんて、今すぐアニメの主人公になれそうだ。  それにしても、尊師もレーニンも、私の凡庸な日常生活には絶対にあらわれないタイプのキャラクターだ。二人とも、普段は善良な労働者として社会に潜伏しているらしいので、本当は自分のまわりにもいるのかもしれないが、それを知るすべはない。 「ずいぶん遠いところにきちゃったなあ……」  あまりの非日常感にめまいがした。まだ、目的地にさえついていない。 謎の秘密結社・うどん部   新疆ウイグル自治区は、中国の最西部に位置しており、国境を接して南にはインドがあり、西にはカザフスタン・キルギス・タジキスタン・パキスタンが連なる。古くからシルクロードの要衝として栄え、ウイグル人・カザフ人などの多民族が住む、ムスリムが多い中央アジア文化圏だ。  今回の旅程は、新疆ウイグル自治区の玄関口であるウルムチを経由し、前半は電車でトルファン、カシュガルを巡り、後半は車でパキスタンとの国境であるタシュクルガンまで足を伸ばすというものだ。  羽田からウルムチまでの移動にまる一日かかるため、実質的な旅のスタートは二日めのトルファンからになる。隣の国のはずなのに、移動の体感的にはヨーロッパと同じくらい遠い。  私たちがトルファンに到着して最初に向かったのは、ウイグル料理店だった。 「やはり我々うどん部としては、まずはラグメンの調査からですよね」  旅行の主催者である女性は、ニコニコしながらそう言った。ラグメンとは、中央アジア全域で食べられている麺類で、うどんのような麺に、トマト味のソースがかかった食べ物だ。  なんでも、今回の旅行は「某大うどん部」という、大学のうどん愛好家サークルの卒業生を中心としたメンバーで構成されているらしい。旅の目的のひとつも、ラグメンを食べることで古代中国で生まれたうどんの起源を探ることにあるのだという。 「うどん部……?」  私は思わず考え込んでしまった。特にうどん好きというわけでもない自分が誘われた理由がわからないと感じたこともあるが、一番の理由は、今回のメンバーが「うどん部」という言葉がもつ牧歌的かつ平和的な響きからはおよそかけ離れた集団のように思えたからだ。  先程言及した「尊師」と「レーニン」が名前からして不穏なのはもちろんだが、他のメンバーたちの話題もとにかく不穏だった。 「前進チャンネル」の話 中核派Youtuberが、警視庁公安部のキャンピングカーを紹介したり、不当逮捕された同志の奪還を訴えたりしている番組の話。 北朝鮮脱北ノウハウの話 中国と北朝鮮の国境地帯に住んでいたことがあるうどん部員による、脱北ノウハウの話。北朝鮮脱北者が、国境近辺に住む中国人民を襲い、金品と身分証を奪いとることで中国人として生きようとするが、中国語が話せないことからバレてしまい、強制送還されるという救いのない事件が多発しているらしい。 スターリンに乾杯した話 「ヨシ」という名前のうどん部員が、スターリンの故郷であるジョージアを訪ねたところ、「ヨシ」は同志スターリンの名前だと歓迎され、「ヨシフ・スターリンに乾杯」と密造酒をすすめられた話。  一言でいうと、うどんは関係ない。  うどんは関係ない上に、思想的にかたよっている。うどんを愛する心に右も左もないと思うのだが、一体どういうサークル勧誘をすればこんなことになるのだろう。世界がもし100人のうどん愛好家の村だったら、中核派は0名、教祖も0名、スターリンの故郷を訪ねた人も0名になるのが普通だ。  今回の旅行メンバーはたった6人なのに、公安にマークされそうな発言をする人しかいない。思想・良心の自由が限りなく認められたコミュニティであるともいえるが、うどんを隠れ蓑とした何らかの過激な団体である可能性も捨てきれない。謎の秘密結社・うどん部だ。 「こうした旅行は、よく企画されるんですか?」  私は、うどん部の背景を探るべく、おそるおそる尋ねた。 「主催者さんは、旧ソ連圏に関する仕事をしているんです。その関係で、旧ソ連の珍しいエリアへの旅行をよく企画しますよ」 「でも、どういうわけか、たまに、その旅行に行った人たちが仕事や学校を辞めてしまうんですよ」 「この前の旅行では、社会主義国家によくある、労働を賛えるモニュメントをめぐっていたら、一緒に旅行していた学生の友人が『労働意欲が湧いてきた。学校はやめるぞ』と言って、突然中退してしまったんです」 「僕も仕事を辞めたしね」  社会主義国家を旅することで、反社会性が養われてしまうとは……。 「旧ソ連圏への旅行は、うどんとは関係あるんですか?」 「うどんとは関係ありません。ただ、うどん部員には、真っ赤な血が流れているんです」  これまでの話をまとめると、「うどん部」とは、うどんの絆で連帯し、ときに資本主義社会から人をドロップアウトさせる赤い集団ということになる。なにがなんだか、全くわからない。  主催者の女性は、旧ソ連圏に関する仕事をしているだけあって、中央アジア文化に詳しかった。彼女は、うどん部員らしい話題として、シルクロードにおける麺の広がりについて話をしてくれた。 「トルクメン人も、カザフ人も、ウズベク人も、友人たちは口を揃えてラグメンはウイグルが一番美味しいというんですよ」  全中央アジアの人民が認めるウイグルラグメンは、たしかにおいしかった。もちもちした手延べ麺の感触と、オイリーなソースに絡まるたっぷり野菜のバランスがよく、濃い味なのにいくらでも食べられてしまう。  特に、ニンニクでパンチを効かせたラグメンは癖になるおいしさで、そのジャンクかつ中毒性が高い味わいから、勝手に「ウイグルの二郎」と命名されていた。  内装も異国情緒が爆発していた。天井から階段までいたるところがタイルやステンドグラスで彩られている。細やかな幾何学模様を見ていると、確かに中央アジア文化圏に来たのだということを実感する。  中央アジアを旅行するたびに思うのだけれど、彼らの、あらゆる場所を「美」で埋め尽くそうとする情熱はすごい。衣服やクッションの細かな刺繍、木彫りのアラベスク、色とりどりのランタン……。よくみると、料理に使うボウルまで鮮やかな矢絣模様がついている。  私は、ステンドグラスが貼られた天井を見つめた。 「遠い場所に場所にきたんだ」  そう思ったが、どういうわけか実感がなかった。足元だけが、なんだかふわふわしている気がした。 砂漠は空中浮遊する尊師の夢をみるか  午後から本格的な観光がスタートした。最初に訪れたのは、交河城址という遺跡だ。紀元前2世紀頃に作られ、14世紀まで実際に街として使われてい要塞都市だ。地平線が見えそうなほど広い。  地面の上にレンガを重ねるのではなく地面を掘って街を作ったところに特徴があるらしいのだが、これだけの土地を彫り抜くなんて、想像もつかない労力だ。中国の圧倒的なマンパワーを感じる。  遺跡が広すぎる一方で観光客があまりいないため、とても静かだ。どこまでも続く風化した街並みを歩き、静謐な空気に触れ、かつては賑わっていたであろう都市の姿を想う……そんな触れ込みの場所なのだけれど、正直言って、そうしたロマンチックな思い出は一切残っていない。  なぜなら、悠久の大地を包む静寂を切り裂くように、尊師がマシンガントークを繰り広げていたからだ。麻原彰晃がおしゃべりだったのかは知らないが、少なくともウイグルの尊師は非常におしゃべりで、一人で優に5、6人分は話していた。観光中、常にニコニコ動画の弾幕が飛んでいるような状況であり、センチメンタルな旅情の入り込む隙はない。  尊師の話は、基本的にどれも「興味深いがどうでも良く、とにかく怪しい」内容で統一されている。 ・中国の深センで売られている「Android搭載のiPhone」の話 ・中国貴州省の山奥に住むラブドール仙人の話 ・中国の内陸部では旅行カバンの代わりに尿素袋が使われているという話 ・中國の伪日本製品に書かれている怪レい日本语が好きだという話……。  気がつくと、夕暮れ時になっていた。  乾いた大地は茜色に染められて、民族音楽の弾き語りが響く。旅行者としてのセンチメンタリズムが刺激され、私はこの地の長い歴史に思いを馳せる。しかし、次の瞬間には、そんなセンチメンタリズムを切り裂くように尊師の怪しい話が炸裂し、安易な旅情に回復不可能な一撃を加える。  たちまち、私の心の中で放映されていた「NHK特集 シルクロード」の映像は乱れ、テーマソングを奏でる喜多郎は、へなへなと地面にへたり込む。   砂漠で果敢にも空中浮遊を試み転落する尊師、唐突に尊師マーチを歌い始める尊師、中国の怪しいガジェット情報に詳しい尊師……。  トルファンでの私の思い出は、尊師色に染め上げられていった。 遊牧民が住む砂漠の街で不慮のノマドワーカーになる  まさかウイグルで徹夜をすることになるとは思わなかった。  観光を終えてホテルに戻った私を待っていたのは、職場から送られてくる容赦ないメールの数々だった。 「夏休み中恐縮ですが、添付の資料につき18時までにご確認お願いします」 「確認が終わるのは何時頃になるでしょうか」 「こちらも限界です、連絡ください」  休暇を申し出たときの「ゆっくり休んでください」はなんだったのか。そもそも、今日、日本は日曜だし明日は月曜で祝日のはずだ。私が旅行にでかけたのは土曜日なので、まだ夏休みは始まってさえいない。どうしてこんな惨状になっているのだろう。  ひとつ断っておきたいのは、私の職場の同僚たちは、基本的に優しく善良な人たちであるということだ。本当に仕事が回らなくなり、やむを得ずメールをしてきたのだろう。  今回の夏休みは「正月がなかったのはあまりにも気の毒だから」と上司が、わざわざチームに根回しをしてくれてようやく取得に至ったものだ。上司のただひとつの誤算は「現場に人が足りていない」という根本的な問題は、根回しでは決して解決しないということだ。  私はその夜、ホテル近くの雑貨店でレッドブルとコーヒーを買い込み、目を真っ赤にしてキーボードを叩き続けた。  空が白み、まばゆい朝日がきらきらと射しこむ時間になっても、私の仕事は終わらなかった。他の人々には私を置いて観光に行ってもらい、一人で仕事を続けた。そんな私を気遣って、尊師が食事を買ってきてくれた。  ようやく仕事が終わったのは、太陽が高くのぼり、熱された大地が蜃気楼で揺れるころだった。 鳥の声しかしない場所  午後、観光に出ていた他のメンバーと合流し、タクシーで訪れたトルファン郊外はのどかな場所だった。乾いた土地に葡萄溝やバラ園が広がっていて、木陰で商売をするスイカ売りやぶどう売りが、こちらにおいでと手招きをする。  ぶどうはいつも無料だった。一房分を買おうとするのだが、安すぎてお金を受け取ってもらえないのだ。口に含むと、雨の降らない土地で育つ果物特有の凝縮された甘みを感じる。  観光名所とされている遺跡にはだれもおらず、車の音も人の声もしない。絶え間なく響く鳥の声を聞き、強い光が地面に落とす影を見ていると、数時間前まで仕事に追われていたのが、遠い昔の記憶のように思えてくる。  静かな場所だった。太陽が眩しくて、あたまがぼんやりした。  ふと見ると、道端でビニール袋に入れられた羊の頭蓋骨が風化していた。その後も、私たちは、農地の側溝や休憩所のトイレ等、そこかしこで羊の頭蓋骨を見つけることとなる。この土地で暮らす人々には、お弁当がわりに羊の頭を持ってくる風習があるのだろうか。  私は、以前、イランのホームステイ先で「イランでは朝ごはんに羊の脳みそのスープを飲む」「日本でいうと、みそ汁的な存在」と言われたことを思い出した。「羊の頭がみそ汁の具として扱わている地域があるなら、お弁当がわりに羊の頭をぶらさげる人々がいても不思議はない」と思う。  私は、強い日差しから逃れ、木陰に座ってこの土地で暮らしてきた人々のことを思った。日本にはまだ神話の神様さえいなかった遠い昔に、砂漠のオアシスで暮らし、羊を飼い、ときには西瓜で喉を潤していたかもしれない人々のこと。彼らの聞いていた鳥の声と、私たちが聞いている鳥の声は同じだろうか。  夏の光にまみれてきらきらする西瓜の皮と、そばに落ちる暗い影を眺めていると無気力が押し寄せてきて、労働の意義も経済成長の意味もわからなくなった。  私はふと、今回の旅行について話したときの、同僚たちの反応を思い出した。 「どうしてウイグルなんかに行くんですか」  彼らの疑問は、要するに「その夏休みの使い方に、確かな価値はあるのか」という点に集約できる。たまの休みなのだから、確実に楽しく、気分良く過ごせる場所に行くべきだ。彼らはそういっていたのだろう。  同僚たちの疑問に対し、そのとき私は答えることができなかった。  職場の同僚たちは「この先、生き延びるにはどうすればいいか」という話をよくしていた。真夜中から始まる飲み会で、明け方の6時や7時まで話す人もいた。生き延びるとはなんだろう。  生産性が自分の人生を覆い尽くし、人間性がわかりやすい価値で塗りつぶされていくのを受け入れること。「使える」人とだけつるみ、評価されること。夏休みはハワイに行くこと。  生き延びるとは、きっとそういうことだった。  忙しいことには慣れていた。仕事に慣れてしばらくたったあるとき、もう必要がないからという理由で、少しずつ集めていたアンティークの食器や学生時代に好きだった小説を捨てた。重要なのは、「役割」を果たすことであり、社会の共通言語で話すことだと考えた。  でも、私は突然、久しぶりの夏休みを、確実に楽しい場所ではなく、楽しいかよくわからない場所で過ごして��たくなったのだ。知らない人に誘われて、どういうわけか、そういう気持ちになったのだ。  農家のおばさんからもらって持て余していたぶどうを一粒、口に含んだ。日本のものとは全く違う、知らない味がした。 星降る夜行列車に乗って  疲れからか、やたらと物憂げな気持ちになっていたところに、尊師の「バ〜ニラ、バニラ高収入〜!」という歌声が響いてきて、現実にひきもどされた。そろそろ、この街を離れる時間だ。  それにしても、すっかり考え込んでしまった。私は、「うどん部の旅行に参加した人は社会からドロップアウトしがちである」という話を思い出した。  葡萄溝の木陰で、やたらとメランコリックな気持ちになったのも、この旅行の危険な効果だろうか。このままでは、謎の秘密結社・うどん部の陰謀の思う壺だ。  夜行列車で過ごした夜は、楽しかった。  トルファンのぶどうで作った珍しい白酒をたくさん飲んで、加熱する仕掛けが施されたインスタントの火鍋をつついた。  普段は飲まない強いお酒にはしゃぎすぎて寝てしまい、気がつくと真夜中だった。  夜行列車の窓から空を見上げると、満天の星空だった。肌寒い寝台で、毛布をだきしめながら、流れていく星空を見つめた。まばたきも、呼吸もできなかった。体中の神経が粟立ち、スパークした。  私は、冷凍されていた自分の人生が、急激に自分の身体に戻ってくるのを感じた。  もしかして、私は、生き延びることから遠ざかっているのだろうか。  このときの私はまだ、自分がその数カ月後、仕事を辞める運命にあることを知らなった。 (カシュガル編につづく) 補足とおしらせ  ウイグル旅行記は、長くなってしまったので数回に分けて書きます。今後の予定はこんな感じです。 ・ カシュガルで公安警察から"重点旅客"として熱烈歓迎されてしまった話 ・ ウイグルの果てでゾロアスター教の遺跡を探し、廃墟の温泉に入った話 ・ 突如の軍事パレード開始により限界帰国チャレンジを強いられた話 旅の写真は、twitter(@eli_elilema)にもあげているので、よかったら見てみてください。 ※ 尊師はとても良い人でした。
https://note.mu/elielilema/n/nb8baf42077cd
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mark311text · 5 years
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mark=311
私は宮城県名取市閖上(ゆりあげ)出身です。
今日は2011年から7年。2018年3月11日、午後2時46分から1分間の黙祷を終えたところです。
2011年3月11日
私は中学2年生で、卒業式の予行練習で午前授業だった。お昼過ぎには家に帰って、両親の部屋でテレビを見ていた。高校生だった兄も帰宅していて、家には私と兄と猫の太郎がいた。
こたつに入って横になっていると、突然、「ゴーーーー」というものすごい音がした。長かった。びっくりして固まっていると、次は激しい地震がおこった。体がゆさぶられるような揺れだった。太郎は驚いてこたつの中にとびこんだ。見ていたテレビが倒れ、画面が割れ、ここにいては危ないと思った私は、ベッドの上にあがり、上になにもない部屋のすみに避難した。クローゼットの扉は全開になり、中の荷物が全て床に落ちた。お母さんが使っていた、普段はうごかせないほど重いドレッサーも、揺れに合わせて生き物のようにズ、ズ、と前に動いていた。ガタガタと揺れる音や、ガシャーンと1階の台所からか食器の割れるような音が聞こえ、すごく怖かった。揺れはなかなか収まらず、もしかしてこのままずっと揺れているんじゃないかと怖くなり、耳をふさぎながら「あーあー!」と大きな声で叫んでやりすごした。
しばらくして揺れがおさまったので、自分の部屋に戻ろうとすると、ふた間続きになっている手前の兄の部屋は、タンスの引き出しや勉強机の上にあったものが全て落ち、足の踏み場がなくなっていた。地層みたいだった。物を踏みながら奥の自分の部屋に行くと、そこも同じように物の海になっていた。
兄に「とりあえずお父さんのところに行こう( お父さんは家の近くの公民館職員)。」と言われ、部活で使っていたエナメルバッグに持ち出せそうなものを入れ、ラックの上にひっかかっていた薄手の黒いジャンパーを着た。
もしかしたら役に立つかもしれないとお母さんドレッサーの引き出しに入っていた、カード会社や保険会社からの郵便物もカバンに入れた。無意識だったけど、もう家に戻ってこられないかもしれないと思ったのかもしれない。
兄が「避難所では猫の食べるようなものはもらえないと思う」と言うので太郎のご飯が入ったタッパーも鞄に入れた。太郎が怖がってこたつの中から出てこなかったので、兄に頼んで無理やり引っ張り出してもらった。このとき、兄は膝を悪くしていて、無理をすると膝の皿がずれてしまう状態だった。太郎を無理にだしたので膝が痛んだようで、少し休憩してから家をでた。その間も何回か揺れがきていて、家の壁には亀裂が入っていた。
外にでると、道路はでこぼこになっていて、マンホールからは水が溢れていた。家や電柱は傾いて、いつもの景色がゆがんでいるようだった。私たちと同じように、みんな近くの避難所へ移動しようとしている様子で、公民館に向かった。公民館のグラウンドでは小さい子たちが楽しそうに遊んでいた。状況がよくわかっておらず、興奮しているようだった。
公民館の中で誘導をしていたお父さんに会いに行くと、「津波がくるそうだ。公民館は津波の指定避難所ではないから( 公民館は二階建てで低い建物) 小学校か中学校に誘導するよう連絡がきたから、お前たちもそっちに早く避難しろ。」と言われた。
お父さんに話しかけるまで舞台の上で座っているときに、自分の膝から血が出ていたことに初めて気づいた。どこかにこすったようだったけど、不思議と痛くなかったことを覚えている。
お父さんから、津波がくると言われたけど、いつも津波がきても何センチかで結局大したことなかったので、今回もそんなもんだろうと思っていた。いつだったかのチリ地震の際もそうだったからだ。同じようなことを話している人もたくさんいた。私たちは2キロ先の小学校に向かった。
小学校に向かう途中、生協の前でNちゃんに会った。お兄ちゃんとはぐれたらしく、家に一回戻ると言っていた。私は津波が来るらしいから戻らないほうがいいと言ったが、大丈夫だからとNちゃんは戻ってしまった。
Nちゃんは津波にのまれて死んでしまった。
もっと強く引き止めていればよかった。
消防車が走って避難を呼びかけていた。
いつも何かあると鳴る、町のサイレンはこの日、鳴らなかった。
中学校の前で兄の膝が痛み出したので、予定を変更して中学校に避難することにした。中に入ると誰かが「3階か屋上へ!」と叫んでいた。兄と私は上へと向かった。外階段から中へ入られるドアをガンガン叩く音が聞こえ、見ると女の人が必死にドアを叩いていた。ドアの前に机が置いてあり、開かないようだった。でも、みんな自分の避難に必死で誰もどかそうとはしなかった。兄と机をどかし、ドアを開けた。「津波だ!」と、窓の外を見た。黒い水がじわじわと学校の駐車場に流れてくるのが見え、おじいちゃんが一人、まだ外にいるのを見つけた。「逃げて!」と叫んだけど、そのおじいちゃんが助かったかはわからない。
少し遠くを見ると。ず……、と、景色がそのままゆっくりゆっくりと動いた。町の中に船が見えた。船が家にぶつかり、家はぼろぼろになって崩れていった。あちこちに水の上なのに火が見えた。町全体が濃い灰色だった。兄と三階の教室から、水没したグラウンドを見た。水でいっぱいで、まるで映画を見ているようだった。夜になるにつれてどんどん暗くなり、懐中電灯を教室の真ん中あたりに置き、壁や周りにアルミホイルを貼って反射させて明かりを作った。持ってきたラジオからは、「絶対に水辺には近寄らないでください。被害の状況は­———」というような声が繰り返し聞こえていた。私は湿った教室の床に横になり、太郎を抱いていた。何も食べていないはずなのにお腹は空いていなかったし、眠気も全く来なかった。気づいたら朝になっていた。
朝になると水は引いていた。町を見たくて屋上にいった。それと、太郎がトイレをするかなと思って。屋上から見た景色に、町はもうなかった。グラウンドには車や船や瓦礫のようなものがぐちゃぐちゃになっていた。目の前にあった生協もなかった。今度は町が茶色だった。
あのときのトイレは今でも思い出すと吐きそうになる。人の用を足したものが積み重なり、ひどい臭いだった。吐きそうになりながら用をたした。学校には知ってる人がたくさんいて、Sちゃんに会った。Sちゃんは学校のジャージで、お腹から下は泥まみれだった。津波に少し飲まれたらしい。Sちゃんはお母さんとまだ合流できてない、小学校の方にいるかなあと言っていた。あとから知ったが、Sちゃんのお母さんは津波で死んでしまっていた。
お昼前ぐらいに兄が自宅の様子を見に行くと言って、少しして戻って来た。うちがあった場所には、うちの二階の屋根があっただけだったようだ。まだ実感がなく、そうなんだうちはもうないのか、と冷静に思った。
そのうちに大人の人たちが崩れてしまったお店から、食べ物や飲み物を持ち出してきた。避難した時に食料を持ち出すことのできた人たちから少しだけお裾分けをもらった。でも全員分はもちろんないので、たしか私はベビーチーズのようなものを一口分食べた。太郎にはお水を少しだけもらえたのでそれをあげた。
安全な内陸の避難所に全員移動することになったが、中学校の出入り口やバスが迎えに来てくれるおおきな道路にでるまでの道には、船や車や瓦礫などがたくさんあって、大勢の人が移動できるような状況ではなかった。なので自衛隊が道を作ってくれるまで待機するように言われた。
暗くなる前に作業は終わり、みんなでバスのところまで歩いた。海水のようなにおいと、ものが燃えたこげたにおいとガソリンのようなにおいがした。いたるところに車や船があって、きっと中には人がいたかもしれない。水は引いていたけど泥がすごくて、靴はすぐにぐしゃぐしゃになった。靴にビニールをかぶせていた人もいたけど、結局みんなどろどろになって歩いていた。
私と兄と太郎は、内陸の小学校の体育館に避難することになった。着くとすでに近隣の地域の人も避難していて、人がいっぱいいた。入り口でおにぎり一つと使い捨ておしぼりを一つずつ配られた。どこか寝る場所を確保しようとしたけど全然場所がなくて、体育館の中のゴミ回収のスペースの前が少し空いていたのでそこに落ち着いた。おにぎりを食べて、おしぼりで足を拭いた。毛布やシートも物資で配られたりしたようだったけどわたしたちがついた頃にはもうなかったので、余っている段ボールをもらって、段ボールを床に敷いて横になった。近くから避難してきた人たちは、自分の家から持ってきた毛布や服などであたたかそうで、わたしたちみたいな海から逃げてきた人たちとはギャップを感じた。目も怖かった。太郎も不安なのか、私のジャンパーの中から出てこようとしなかった。でもそのおかげで、すごく寒かったけど、お腹はあったかかった。中学の先生が状況把握のため点呼をとっていて、太郎をお腹に抱えた様子をちょっと��われた。
夜、暗い中で何回か余震があって、そのたびに体育館の照明が大きく揺れて、ざわざわした夜だった。
朝になると支援物資が届いた。飲み物はコップがないともらえないと言われて、考えて、ひとり一個もらえるパンの中からサンドイッチ用のパンを選んで、その空き容器で飲み物をもらうことにした。兄はマヨネーズ入りのカロリーの高いロールパンを選んで、とにかく栄養を確保するように2人で食べた。トイレは、プールの水をバケツでくんで流せたので困らなかった。古着も物資で届いたので、パーカーなどの着られそうなものをもらった。わたしたちの隣にいた老夫婦が小さな犬を連れて避難していて、太郎は犬に懐かれていて面白かった。
兄と座っていると、名前を呼ばれた。お母さんとお姉ちゃんが走ってこちらに向かって来ていた。
生きててよかったと抱きしめられた。みんなで号泣した。
お母さんは仕事で内陸にいて、お姉ちゃんもバイトで海からは少し離れたコンビニにいて、津波が来る前に東部道路に避難して助かっていた。2 人は違う小学校で合流できていたようで、わたしたちの地域の人たちが避難している場所を探していてくれたようだった。お母さんが働いていた保育所の休憩室を間借りしていいといわれたらしく、そこに移動することにした。車できたからそれでいこうと外にでると、血の繋がっている方の父がいた( 私の両親は離婚していて、お母さんは再婚して、新しいお父さんがいます)。私は父のことを嫌っていたし、何年も会ってなかったけど、そのときはなぜだかとっても安心して、頭を撫でられて肩を抱かれると泣いてしまった。非常事態だったので、お母さんも連絡をとって食料や布団などをわけてもらったらしい。
車に乗り、保育所に向かう途中、太郎が安心しておしっこをもらした。避難所では粗相をしなかったので、太郎もがんばっていたのだなと思った。
保育所の休憩室は、5畳ないくらいのスペースで小上がりの畳になっていた。畳の上に段ボールを敷いて、布団を敷いて、家族で川の字になって眠った。やっぱり寒くてなかなか寝付けなかったけど、お母さんが抱きしめてくれたおかげで、よく眠れた。
次はお父さんと合流しようと、情報を求めて市役所に向かった。市役所の中に入ると、壁いっぱいに「◯◯に避難しています◯◯みたらここに連絡をください」といったような内容の紙がびっしりと貼られていた。その中には知っている名前も幾つかあって、ああ無事だったのだなと安心したこともあった。お父さんの名前を見つけたけど、けがをしている、というようなことが書いてあったので焦った。とりあえずお父さんがいるという避難所へ向かうと、お父さんは元気そうに出入り口近くの椅子に座っていた。安心したお母さんはへなへなになって笑った。あのときは情報が錯綜していたので、間違ってそう書かれてしまったらしい。すぐに同じ場所にお父さんも移動したかったけど、お父さんは公務員なので被災者の誘導等の仕事があったのですぐには保育所に一緒に戻れなかった。
保育所での生活は体育館にいるときよりずっと過ごしやすかった。狭かったけど、家族がみんないて、人の目を気にしなくていいのはすごく救われた。電気はまだ復旧していなかったけど、水道が使えて嬉しかった。ごはんも、お母さんの仕事仲間の人が炊き出してくれたりして、あたたかいものを食べられた。ずっとお風呂に入れてなかったので気持ち悪くなって一度、水で頭だけ洗ったけど、寒すぎて凍えた。被災してから一週間たたないくらいに、電気が復旧し始めて、近くの家に住んでいたお母さんの職場の人の好意でお風呂に入らせてもらった。久しぶりのお湯はあったかくてきもちよかった。
お店もすこしずつものを売られるようになって、学校もない私と兄と姉はそれぞれ生活に必要なものを行ける範囲で探し回った。持ち出せたお小遣いをもって、とにかくいろんなお店でなにか買えないか歩き回った。個数制限で、ひとり3個までしかものが買えなかったり、なにも残ってなかったり、3時間以上並んだりした。
あるとき、ひとりでお店の列に並んでいると、知らないおじいちゃんに話しかけられた。どこからきたのかなんでひとりなのか聞かれ、答えると「大変だったね」と自分が買ったバナナを分けてくれた。少し泣いてしまった。いろいろなところで食べ物などを買えてうれしかったけど、そのころは物資不足で窃盗や空き巣が多発していたので、ビクビクしながら保育所に帰る道を早歩きでいつも帰っていた。
銀行でお金をおろせるようになり、保育所も再開するので長くはいられないと、アパートを借りることになった。お父さんががんばって見つけてくれた。引越して、いろんな人の好意で家電や家具をもらって、なんとか避難所生活はひとまず終わった。
アパートで炊飯器をつかって炊いた、炊きたてごはんをたべたときはすごくすごくおいしくて、おかずは缶詰の鯖だったけど、何杯もおかわりをした。あのとき食べたごはん以上に美味しいと感じたものは今もない。
アパートで暮らし始めて少しして、携帯の電話番号を覚えていた友達に電話をかけてみた。その子は飼っていたペットたちは犠牲になってしまったけど無事だった。ただ、その子との電話で「Aちゃん残念だったね。」と言われた。Aちゃんは私のすごく仲良しの女の子で、どういうことなのか理解できなかった。
Aちゃんの妹の名前と避難先の書かれたメモを市役所でみていたので、Aちゃんもきっと無事だろうと思っていた。「新聞の犠牲者の欄に名前が載っていた」そう言われて、後の会話は覚えていない。電話の後に新聞を読み返して犠牲者の欄を探したら、Aちゃんの名前を見つけてしまった。新聞に名前が載っている,という証拠のようなものをつきつけられて、一気に怖くなり、悔しくて信じられなくてまた泣いてしまった。
兄もその欄に仲の良か��た友達の名前を見つけてしまったようで、リビングのテーブルに突っ伏して、「なんでだよ」とつぶやきながらテーブルを叩いていた。
4月のある日の夜、また大きな地震が起こった。また津波が来るのではないかと家族全員で車に乗り、指定避難所に急いだ。幸い、なにもなかったが、その日の夜は怖くて車から降りられず、朝まで起きていた。
通っていた中学校から一度学生も職員も集まるよう連絡が来た。当日は市の文化会館に集合し、そこからバスで市内の小学校に移動した。久しぶりに同級生と再会して、今どこに住んでいるのか家族は無事だったのかたくさん喋った。そしてみんなが集まった前で先生が、犠牲になった同級生の名前を読み上げた。Aちゃんの名前も呼ばれた。先生の声は震えていて、最後は泣きながら私たちに向かって話していた。7人の友達が死んでしまった。学校全体では、14人の生徒が犠牲になった。
私はすごく後悔していることがある。遺体安置所に行かなかったことだ。市内のボーリング場が安置所になっていて、そこにAちゃんがいることもわかっていたが、怖気づいていけなかった。私とAちゃんともう一人とで三人で仲良くしていて、そのもうひとりの子は会いに行っていた。顔中があざだらけでむくんでいた、と言っていた。お化粧をしてあげたよと聞いた。私も会いに行けば良かった。
学校は市内の小学校の旧校舎を間借りして再開した。歩いて行ける距離ではなく、駅から毎日臨時のスクールバスが出ていたので、私はそこから毎日学校に通った。文房具や教材は支援物資が届いて、しばらくは制服もなかったので私服登校だった。何週間も字を書いてなかったので、文字が下手くそになっていた。遠くに避難して、転校してしまった子もいたけど毎日家族以外の人とも会えるのは嬉しかった。でも、間借りしていることは肩身が狭かった。間借り先の小学校の子とは話した記憶がない。支援物資や有名人がきた時は「ずるい」、「 そっちばっかり」と言われるようなこともあった。自分は生徒会役員だったため、お礼状や物資管理を手伝っていたけど、千羽鶴や「頑張って!」、「絆」などのメッセージを見るたびに複雑な気持ちになった。無理やり前向きになれと言われているようだった。
学校も落ち着いた頃、同級生の一人のお葬式に参加した。小学校の頃から係活動で仲良くなった子だった。その子はお母さんも亡くなって、その子のお父さんから良かったらきてほしいと連絡があった。とても天気のいい暑い日で、田舎の方の緑がたくさんあるところでお葬式が行われた。久しぶりに会ったKちゃんは小さな箱になっていた。焼かれて骨になって骨壷に入ったKちゃんは、軽くて白かった。お墓にお箸で骨を一つ入れさせてもらった。「ああ、Kちゃんはもういないんだ」と、「こんなに小さくなってるなんて」と、脱力した。
私は夢を見るようになっていた。夢の中で津波から逃げたり、友達と会ったりしていた。その中でも強烈だったのが二つ
ある。一つは、どこかのホテルに友達と泊まりに来ていて、ホテルのベッドで飛び跳ねて遊んでいた。途中までは私も遊んでいたけど、何か変だと感じて、だんだん飛び跳ねている音がうるさくなってきて、「ねえもうやめようよ」と声をかけた。するとその音は「ゴーーーー」という地鳴りの音に変わって、私は耳を塞いでしゃがみこみ、叫んだところで目が覚めた。自分の叫び声で起きた。
もう一つは、なぜか私は小学生で、小学校の帰り道をAちゃんと何人かの友達と歩いていた。夢の中では納得していたけど、不思議なことにみんなでAちゃんのお葬式に行こうとしていた。道の途中で、2本に分かれているけど少し行くとまた繋がる道があり、そこで私はAちゃんをびっくりさせようと「また後でね!」と違う方の道を走って待ち伏せしていた。でも、だんだん不安になって、泣きながらAちゃんを探した。立ち止まっているAちゃんを見つけて、「 行かないで!」と抱きついた、Aちゃんは静かに「なんで私のお葬式があるの?」と、聞いてきた。
そこで目が覚めた。しばらく体は動かず、寝ながら泣いていたようで、頬が涙でカピカピになっていた。
冬になって、12月11日の早朝、お母さんとお姉ちゃんの声で起きた。どうしたのかとリビングに行くと、2人が「お父さん!」と声をかけて、体を揺すっていた。後から聞いた話によると、朝、お姉ちゃんがバイトの支度をしているときに、お父さんから寝息が聞こえず、お母さんに「変じゃない?」と言って、2 人で起こそうとしたようだった。私も声をかけたが起きず、お母さんは「かなこ!( お姉ちゃんの名前) 救急車!」と叫んで、心臓マッサージを始めた。バキバキと骨の折れる音が聞こえた。お父さんの胸はベコベコにされていたが、起きない。私も交代でマッサージをして、救急車を待った。救急車が到着して運ばれる直前、そっとお父さんの足を触った、氷のように冷たくて硬かった。救急車を後ろからお母さんの車で追いかけ、病院についた。ドラマで見たような部屋に運ばれ���看護師に心臓マッサージをされていた。心電図はまっすぐで、「ピー」という音がなっていた。何分間かどれくらい経ったか、マッサージが止まり、瞳孔を見られていた。「すいません」と看護師の方が言い、「ご臨終です」と、初めて聞く言葉を耳にした。病室には「ピー」という音とが響いていた。
みんな無言で家に戻り、お母さんがリビングに座ったところで、「どうして!」と泣き叫んだ。お母さんがそんなに泣いているところを初めて見た。お父さんのことはまだショックでよくわかっていなかったけど、その姿がどうしようもなく悲しくて、お姉ちゃんと抱き合って泣いた。
中学校には、お母さんが色々な手続きで忙しそうだったので、自分で電話をした。担任の先生に繋がり、ほぼ文章になっていなかったけど泣きながら事情を説明した。先生はゆっくり聞いてくれて、学校のことは心配しなくていいよと言ってくれた。
お葬式までの間、斎場でお父さんと過ごした、ドライアイスで冷やされて、冷たかったけど、箱の中にはずっといて、怖くもなかったし、もしかしたら起きるんじゃないかなんて思ったりもした。まあ、当たり前にそんなことはなく、火葬の日がきた。
お父さんが焼かれる場所へ、親族一同で向かった。炉の中へ入れられるとき、もう体さえもなくなってしまうんだと、お父さんに会えなくなるんだと理解した私は一気に悲しくなり、「お父さん」とつぶやいた。涙が止まらなくなり、「行かないでよ」とつぶやいた。お母さんが私の背中をさすった。兄が私の頭に手を添えた。
お父さんは焼かれた。ちゃんとお骨を拾い、壺の中にお父さんは収まった。
お父さんは公民館職員で、そして糖尿病を患っていた。震災の日、公民館は建物が低いので、違う避難場所に誘導している途中で津波が来た。目の前で他の職員が流されるのを見たそうだ。公民館にいた人はギリギリ二階に登り助かったものの、船が建物にぶつかって半壊し、もう少しでみんな死んでしまうところだった。でも、避難途中で犠牲になった人の遺族からすれば、いたら助かったじゃないか! とひどく責められていたらしい。
避難場所でも、公務員はずるい優遇されていると同じ被災者なのに責められ、ストレスで体がおかしくなっていた。持病の糖尿病が悪化し、20キロ体重が増えていた。お母さんから後から聞いた話によると、毎晩のように公民館のグラウンドいっぱいに遺体が並び、こっちに来いと呼ばれる夢を見ていたそうだ。死因は無呼吸からの心肺停止だった。
お父さんは震災に殺された。
お父さんの死と、自分の受験のシーズンが重なり、私は少しおかしくなっていた。受験している場合なのかと悩んで、身が入らなくなっていた。トイレで隠れて手首を切るようなこともあった。今思えば、なにも考えたくなかったからそういうことをしてしまったのかもしれない。様子がおかしいと思われたのか、スクールカウンセラーの先生に、週1回、カウンセリングを受けることになった。行きたくなくてサボった日もあるけど、先生は怒らなかった。優しくいろんな話をしてくれた。友達にも支えられて、なんとかいつも通りに過ごせるようになった。
高校受験もおわり、合格発表の日、私は1人で受験した高校に結果を見に来ていた。無事番号を見つけてお母さんに連絡すると、すぐにメールで返事が帰ってきた。メールが2通届いて、確認してみると、もう1通はお父さんの携帯からだった。「合格おめでとう!」と、本当にお父さんからきたかと思って嬉しかった。すぐにお母さんがお父さんの携帯で送ってくれたのだろうと気づいたけどとっても嬉しかった。
高校では美術科に在籍していたため、常にコンペに向けて制作をしていた。一度だけ、Aちゃんを描いたことがあったけど、周りには誰ということはなにも言わずにただ描いた。それっきり震災関連で制作をすることはなかった。
高校生活の中で辛かった授業がある。保健体育の授業だ。心肺蘇生の心臓マッサージを学ぶ授業の時は、お父さんの感触を思い出して辛かった。避難について学ぶ授業では、ふざけた男子生徒が、避難のシミュレーションを発表するときに「津波だー!」とヘラヘラしながら津波のモノマネをしていて腹がたった。そういう授業があった日は、その日1日は震災のことなどで頭がいっぱいになり、帰ってからいつもお母さんやお姉ちゃんに慰めてもらった。
そして何度か震災復興のためのアートプロジェクトに参加した。被災者として何かしなければと義務感に駆られて、割と積極的に参加した。でも、いつも心の隅には、こんなことをしてなにになるのだと皮肉な自分もいた。震災の時のことを公演してくれ、文章にしてくれ、という依頼は全て断った。語ったりはしたくなかった。
高校の卒業制作展で、ゲストを迎えたパネルディスカッションを行った。ゲストは有名な大学の先生で、私は卒展の実行委員長としてトークをした。その中で、「地域復興」の話題を担当し、いろいろなことを話したけど、「私もゆくゆくは自分の地域をなにかしら盛り上げたい」と口にした後は「本当にそう思っているのか?」と、苦しい気持ちになった。立派なことを言わなければ、というプレッシャーがあった。
いつも3月11日は家で家族と過ごすようにしていたけど、2015年のその日は、震災以来初めて閖上にいた。
京都に引っ越す前にみんなに挨拶がしたいと思ったからだ。お花を持って友達と待ち合わせをして、久しぶりに来た日和山は、前はみんなで鬼ごっこをして遊んだ場所だったけど、今は慰霊の場所になっていて、上から街を見渡すと、何にもなかった。まっさらでたまに草が伸びている、そんな景色だった。
中学校に移動して、2時46分を待った。鳩の形の風船が配られて、メッセージを書いた。「行って来ます。」と。そして2時46分、みんなで風船を飛ばした。
でもその瞬間はひどいものだった。多くの人がスマホを構えて、風船を飛ばす瞬間を撮っていた。カメラの音がたくさん聞こえて悲しくなった。なんのためにやっていることなのか、気持ち悪かった。一緒に来ていた友達も怒っていた。イベントじゃないんだ、と叫びたかった。
京造に進学してからは、震災の話題に触れることは少なくなった。し、自分でも避けるようになった。
宮城出身です、というと大体「震災大変だったでしょ?」と言われた。「そうですね」と正直に言うと、気まずそうな申し訳なさそうな対応をされた。それが嫌で、出身は言いづらくなって、「震災大変だったでしょ?」と言われても、「大丈夫でしたよ」と言うようにした。一回生の授業である先生が、どんな内容で言ったのかは忘れてしまったけど、「津波はあっけなく人を殺すからね〜。」と、さらっと言ったことがあった。私はショックで涙がとまらなくなった。俯いて、寝てるふりをした。周りの子にはバレていたかもしれない。その日はずっと気分が上がらず、帰ってからお母さんに電話をした。当時一緒に住んでいたルームメイトに抱きしめてもらった。
二回生の時は、授業中に阪神淡路大震災の映像が流されて、震災の時の記憶がフラッシュバックしたこともあった。イヤホンをつけて目をつぶってやり過ごして、大階段を登ってすぐ横の芝生のベンチで家族に片っ端から電話をかけた。午前中でなかなか繋がらず、体育すわりをしながらずっと待っていた。お姉ちゃんとつながって、落ち着かせてもらって、その日は授業があったけど、一度家に帰った。夜は眠れなかった。
7年経った今でも、津波の映像や写真は見ることができない。彷彿とさせるようなものも苦手だ。3月はいつものように睡眠を取ることもできなくなる。11 日は家族と実家で過ごすようにしている。閖上の方向を向いて必ず黙祷をして、黙祷している時は、��しい、悔しい、いろんな感情が混ざったように涙が出る。
私はずっと震災に潰されている。それが、とても嫌だ。
——
でも、このままでいるのはもっと嫌だ!
だから私は向き合うことにした。
制作をはじめると同時にひまわりの種を植えた。ひまわりは、お父さんの1番好きな花だったから。
だけど、ひまわりは咲かずに途中で枯れてしまった。
私にはもう少し、時間が必要なようだ。
もうすぐ、8年目の3月11日がくる。
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広東省台山市にある「下川島」という島をご存知だろうか? 香港や深圳から南西に直線距離で約150キロ、面積は山手線の内側面積の約1.5倍の100平方キロメートル弱という、そこそこ大きな島である。マカオに隣接する珠海からバスで2~3時間かけて対岸の山咀碼頭に移動、そこから更にフェリーに乗った先・・・という、なかなかアクセスが大変な場所だ。
 下川島は周囲の複数の島嶼とともに川島群島を形成しており、東隣りにある上川島はフランシスコ・ザビエルの終焉の地として知られている(晩年のザビエルは中国布教を望んだものの、大陸に上陸できずに寄港先の島で亡くなった)。
下川島の位置(Googleマップ)
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 だが、下川島が有名なのはそうした理由からではない。人口2万人程度のこの島は往年、性産業に従事する女性を2000人以上も擁する、中国有数の売春島として名を馳せていたのである。当初は台湾人のおっさんたちにより「開拓」されたため、台湾メディアでは「荒淫の島」の異名で呼ばれていた。
 ただし、2013年の習近平政権の成立からしばらくして、下川島の性産業はほぼ壊滅している。今回の記事では中国側の文献や報道から島の歴史を振り返りつつ、「荒淫の島」が興亡したバックグラウンドについて考察してみたい。
アナーキーだった90年代広東省
 現地の文献『台山下川島志』(1997年、広東人民出版社)によると、下川島の存在が中国の地理書にはじめて登場したのは元王朝時代の1304年のことだという。
 やがて明の時代から徐々に人が暮らしはじめ、その後は海賊(倭寇)の根拠地になったり、清や中華民国の兵隊が駐屯したり日本軍に侵略されたり、人民公社が設立されて文化大革命が荒れ狂ったりと、中国南部の田舎の島にありがちな歴史を重ねていった。
 それが大きく変わるのは、鄧小平のもとで改革開放政策がスタートしてからだ。1985年に島内南部の王府洲にリゾート開発計画が持ち上がり、これが1991年ごろから本格化してホテルや別荘が建ちはじめるようになる。
 中国全体がまだ貧しくてアナーキーだった当時、最初は島をマカオのようなカジノリゾートにする計画もあったようだが、さすがに社会主義国家の中国でそれはマズいということで頓挫。結局、いつしか売春産業が発達していき、島では性的なサービスをおこなうサウナやカラオケ店、置屋などが多数開業しはじめる。大部分のホテルでも施設内で公然と女性を抱えているという、ものすごい島が出来上がってしまった。
 広東省はゼロ年代前半ごろまで北京の中央政府による統制がゆるく、「先進地域」である香港や台湾、海外華僑らをターゲットにした賭博や売春で外貨を稼ぐ産業が花盛りだった。いわんや、中央政府どころか広東省政府の目すら届きにくい辺境の下川島では、それが特に極端におこなわれたようなのである。
台湾のスケベおっさんのパラダイス
 1990年代終わりごろから、下川島は台湾人のおっさんたちによって「開拓」されていった。すなわち、企業家や駐在員など中国大陸に一時居住している人だけではなく、女性を目的にわざわざ台湾から島にやってくる人が出はじめたのだ。
 以下、2001年に台湾の週刊誌『壹週刊』第10号が巻頭で特集した、「大陸直擊台湾男人蜂擁荒淫島」という物凄いタイトルの記事の一部を翻訳して紹介しよう。
 王府洲度假区(休暇村)内のビーチでは、ビール腹を突き出して少女の手を引いて歩いている中年男性をどこでも見ることができる。なかには白髪頭の「祖父と孫」のような組み合わせも少なくなく、特に人目を引く。  (記者と)同じツアー団の簡さんはすでに御年68歳、顔と手には老人斑が浮かぶ。彼は20歳ほどの四川省出身の女性の手を引いてビーチをゆっくり歩き「若いのはいいぞ」と、前歯がすべて抜けた口を開けて上機嫌で大笑いした。  簡さんが言うには「ここの女性は純朴で騙してこないよ。数百元をあげれば何でもできるし、ときには2~3人を全部連れ出して、一緒に食事をして眠っても、1000元もかからないんだ」
2001年当時、ホテルの前で客を待っていた下川島の女性たち。『壹週刊』がウェブに再掲した当時の記事より
 記事中には、国共内戦の生き残りである中華民国陸軍の元将校の80代の老人が17歳の中国人少女の手を引いて歩いていた──、といったエゲつない話もある。想像するとグロテスクな光景だが、現在から17年前の話であり、当事者たちもすでに逝去している可能性が高いので、過去のひと��のエピソードとして読むべきだろう
 なお『壹週刊』によると、2001年当時の下川島で働いていた女性たちの約7割は湖南省出身で、次が四川省出身と、中国内陸部の貧しい地域の出身者たちが多くを占めていた。当時の台湾国内には下川島ツアーを専門に取り扱う旅行会社が30社以上も存在し、毎日300人以上の台湾人男性が下川島に上陸。彼らの遊び代は「イッパツ」が200元(現在のレートでは約3200円)、女性と24時間一緒にいて400元だったとのことである。
日本人客も大量に行っていた!
 その後、下川島はゼロ年代後半から日本でも一部で有名になり、日本人客も少なからず来島したらしい。2010年8月21日付の香港紙『東方日報』は、同年秋の広州アジア大会を控えた広東省中心部の売買春摘発政策を受けて、広州・東莞・深圳あたりで性産業に従事していた女性が下川島に流れ込んでいると報じるなかで、現地の様子をこのように書いている。
 台山の上川島・下川島はかねてからずっと台湾と日本のセックスツーリストの天国であり、毎日島にやってくる台湾や日本の旅行客は100人を下らず、フェリーから下船するやすぐにグループを作ってお楽しみを探しに出かける。  現地で性産業に従事する女性いわく「女性を目的に島に来るのは中年の台湾人男性が最も多く、それに日本人客が次ぎ、香港人はここしばらく減っている。ただ、いちばんスケベなのは日本人客だ」という。  言葉が通じないことから、日本人客は気に入った女性がいるとすぐにたどたどしい中国語で「ヅオアイ、ヅオアイ」(注:性行為を意味する中国語)と話し、それから会話帳を取り出して専門用語を指差し、料金の条件を交渉するという、非常に手慣れた行動をおこなう。
 こちらの記事によると、公安が捜査に来たときはフェリーに乗る時点で分かるので、下川島の女性たちや性産業経営者たちはガサ入れがあっても誰も摘発されないのだという。地元島民は紙上で「島全体がこれ(=性産業)でメシを食っている。警察は島民全員を捕まえるなんて無理だろう」ともコメントしていた。
その後、2013年には台湾の女性社会学者・陳美華氏が上陸して島内でフィールドワークを実施。島を訪れる中高年の台湾人男性たちの動機が単純な性行為ではなく、疑似恋愛を求めるものであったと分析している。
裏にあったのは人民解放軍利権か?
・・・とまあ、もはや20年近くも続く伝統産業と化していた下川島の性産業だが、2015~17年くらいにかけて一気に衰退し、現在はすでに壊滅に近い状態にある。島は近隣地域の中国人が子連れで海水浴に訪れるような、健全なファミリーリゾートに変貌したという。
2017年、下川島の旅行記を掲載する中国の旅行サイト『携程網』の記事。すっかりさわやかな島に変わってしまった
 そのワケは、過去の下川島が「荒淫の島」として発展した理由と表裏一体だ。下川島はもともと全域が人民解放軍の管理下に置かれていたほど軍の影響が強い場所であり、巷説によると現地の性産業は軍の利権だったとされる。
 事実、台湾などで公開された軍事情報を確認すると、下川島には中国人民解放軍海軍・南海艦隊の潜水艦第52支隊(91024部隊傘下)の基地が置かれ、隣接する上川島にも第26ミサイル快速艇大隊が配備されている。
 人民解放軍はもともと陸軍が主体の軍隊であり、往年は海防にまったくヤル気がなかった。ことに中国がまだ貧しかった1990年代には、人民解放軍は深刻な資金難に悩み、党から資金調達策としてさまざまな副業を認められていた。当時の下川島のリゾート開発もその一端だったかと思われる。
 だが、中国の国力が増大して南シナ海への支配を強めるようになったゼロ年代からは海軍へのテコ入れが進み、2013年ごろからは下川島の第52支隊が急速に拡大されだした。下川島は南シナ海への入り口にあり、台湾にも近いため、台湾への武力侵攻を検討する上では地政学的に重要な島だ。1990年代とは違い、ちっともユル場所ではなくなったのである。
利権消滅で「荒淫の島」は終焉へ
 加えて2013年に国家主席に就任した習近平は、汚職摘発や党の統制強化に力を入れる指導者であり、江沢民・胡錦濤時代まで野放しだった中国国内のダーティーな産業利権がどんどん崩壊した(下川島と同じく広東省の性産業の街として知られた東莞が2014年3月に「壊滅」したのも同様の理由だ)。
 軍の掌握を目指す習政権のもとで、従来の制服組のトップだった徐才厚や郭伯雄も汚職容疑で失脚し、聖域視されていた軍の利権構造にもメスが入った。その過程では将校クラスの幹部が20人以上も自殺し、なかでも海軍関係者の自殺は、海��政治委員の馬発祥中将や南海艦隊装備部部長の姜中華少将など高官が目立った。
 近年、下川島の性産業が「壊滅」したのは、過去にこの島を治外法権たらしめていた利権構造が習近平の手によって崩壊したことと、島の軍事的重要性が向上して管理を強める必要が出たことが、主たる理由だと見ていいだろう。
 かつての下川島の繁栄を支えたものは、台湾・日本と当時の中国大陸との巨大な経済格差や、中国の人権概念の薄さ、それに食らいついて利益を得ようとする利権関係者の地下のネットワークだった。
 だが、近年は中国が豊かになり「発展途上国」ではなくなったことで、海外客を相手にした性産業を問題視する意識が高まった。日台との経済格差も縮小し、人件費も上がり、若者の間では人権意識も強まってきた(あまり知られていないが、当局への反抗につながらない分野についての中国人の人権意識は近年大幅に向上している)。仮に習近平が登場しなかったとしても、下川島の性産業の衰退はある程度は必然だったと言えるだろう。
 中国が非常にアナーキーだった1990年代の広東省の南の海で、人民解放軍の腐敗が生み出した邪悪な大人のリゾート島は、このようにして滅び去ったのであった。
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geniusbeach · 5 years
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冷たい市街
 意図的に自分を見失うため、何も考えずに神戸に行った。住む街と違う場所であれば、目的地はどこでも良かった。ただ最近読んだ本のなかに出てきたその街が、私が今までに持った印象とは真逆のかなり魅力的なものだったためそこに決めた次第だ。だが結局、旅を終えてみてもその印象が覆ることはなく、街は外来者に冷たいままだった。後で友人からの慰めとして受け取った言葉を借りれば、誠に運が悪かった、それとしか言いようがない。以下はそのネガティヴな記録である。なお、神戸が好きな人や暗い気持ちになりたくない人には読まないことをお勧めする。
 電車で1時間あまりの旅。十三を経由し、昼過ぎに三宮に到着した。かつてその中にある服屋の店員になぜか試着を拒否された、個人的に嫌な思い出しかない高架下の商店街を歩き、元町方面へ。朝とは打って変わって爽やかな天気だ。こざっぱりとした表通りの先、極彩色の門を構えた南京町は観光客でごった返していた。朝から何も食べておらず腹が減っていたが、何か口に入れる前に少し散策をすることにした。
 裏道で見かけた中古カメラ屋に入る。店番のおばさんが眠りこけていた。ひどく雑然とした店内。扉を閉める音に気づき、むくりと起き上がった彼女が口を開く。私は留守番なんです、何かお探しですか? ――いえ、特に。主人を呼びましょうか? ――大丈夫です。古いカメラの数々がおよそ1万円以上の値で売られている。しばらく棚を見ていると、口ひげを蓄えてでっぷりと太った店主が現れた。呼びましたので、私はここで交代...。フィルムカメラを探していると言うと、私がそれを一台も持っていない前提で話が進み、デジタルを否定しアナログを賛美する旧弊な饒舌に予期せず30分以上も耐えることとなった。俺がイロハを教えてやると言わんばかりの口調。終わる気配がないのでほとほと参った。もう行きます、と言うか言わないかのところで次の話が始まる。店主が黙ったかと思えば、彼の目の先30cmのところでこちらに背を向けて鎮座するテレビから、吉本新喜劇の大げさなリアクションが大音量で放たれる。仕方なく質問をすると、ライカを買えと言う。ライカは私の求める写りを実現してくれないことを知っているので、興味があるふりをしてお茶を濁した。10万超えのガラクタを買うつもりはない。そうして散らかった店内の真ん中でちょこんと座る店主を見ていると、汚い部屋で原稿を前にしてカメラを睨みつける坂口安吾の写真を思い出した。やられっぱなしで悔しかったので、店内の写真を撮っていいかと聞くと、断固として拒否された。面白いのに、何もわかっていやしない。そして聞いてもいない理由をべらべらと喋り出したので、途中で出ようと思ったが、なんとか堪えて最後まで相手をした。私は良い子だ。話の通じない店主含め、店全体がアナログのジャンク品のようだった。しかし、どうして「若者は苦労してナンボ」論者は、関わりの薄い他人にさえも不要な苦労を強いることができるのだろう。何よりも貴重な若さを費やすだけ費やして結果が実る保証などはどこにもないというのに。自称苦労人の彼に至って言えば、初見の若者に対してそのように重大な責任を持つことができるというのか。確かに人は、自分の経験を以てのみ説得力を持って話すことができる。だが、売れないカメラ屋を道楽経営しているという事実が説得力とは真逆の方向に働き、「フィルムは金払って失敗して上手くなるんや、それがデジタルならタダやろ? 一枚一枚を大事にせえへんねん」という主張の内容をさらに空虚なものにしていた。デジタルの恩恵を拒絶して懐古主義に浸るのも人によってはアリだが、それを他人にまで強要すべきではない。若者は、を枕詞に据えて話し始める、ストレート・アウタ・ショーワ(昭和)の親父たちは、その話さえも若者にとっては無駄な時間であるという観念など大抵持ち合わせていないため、遭遇した時には素早く距離を取ろう。
 さて、出鼻を挫かれて向かったのは「ぎょうざ大学」、その名の通り餃子の専門店だ。5人ほどの待ちができていた。行列の伸びる方向とは別の方向に誤って並んでいた男が、こっちが最後ですか? と言いながら舌打ちをして私の後ろに付いた。ここでもいきなりやられてしまい、笑うしかなかった。店員に注文を聞かれ、餃子は2人前以上が注文必須だったので2人前、飲み物は水で、と言うも返事がない。誰に対してもそのような感じだったが、忙しいようなので仕方がない。南京町の餃子は、なぜか酢醤油に甘味噌を混ぜたタレで食べる。ほどなくして提供された焼きたての餃子は、皮はパリパリ、中はジューシーでかなり美味かった。店を後にし、続けざまに台湾タンパオにて小籠包をテイクアウト。皮からアツアツのスープがほとばしり、口内を優しく暴れ回る。これは美味い。分かち合える相手がいないのが残念だ。最後に近くの精肉店で巨大な唐揚げ串を買って食べた。ジューシーで、定食一人前ほどの食べ応えがある。おかげで腹がパンパンになった。ようやく食欲が落ち着いたのでコーヒーを飲みつつ文章を書く。このあたりは観光客が多すぎて店員は皆疲弊しているようだ。金持ちが相手だとしても愛想は悪い。しかし私は何よりも、ここが関西とは思えないほど関西弁が冷たく聞こえることに驚いた。むしろ優しいのは日本人より中国系だとも思えてくる。ゆく人の会話からも物質的な内容ばかり聞こえてくる。例えばこうして喫茶店で座っている横でも、おそらくだが上司と部下が仕事の話をしていて、しきりに集金集金と繰り返している。すっきりとした街並み同様、あまりにも血が通っていない人々。彼らは容姿の美醜に拘らず着ているものは一流であり、入念に施された外見、つまりは見栄の下、三宮からこのコールド・ヴェインを通り抜け、再び神戸という街の心臓に絶え間なく注ぎ込んでいるのだ。それでは、この心臓を動かす酸素の供給源はどこにあるのか? その答えを、私は旅の終わりに知ることとなる。
 歩いて異人館方面へ向かう途中、「縁結びの生田さん」こと生田神社に立ち寄った。元陣内夫妻が結婚式を挙げた場所である。朱塗りの大きな鳥居と神殿に、多数の参拝客。境内の端で史蹟「生田の森」という看板を見かけたので、裏手にある鎮守の森を覗いた。数本の神木の下を人工的に固められた遊歩道と申し訳程度の小川が這っており、辺りには石碑が散在している。ここに限らず、全国どこでも史蹟というものは似たような様相を呈している。かつてあったという事実がそこに残ってさえいれば、形はどうでもいいのである。ここは雰囲気こそ薄暗く神聖な感じで、昔は広大な広葉樹林が社を囲んでいたものと思われるが、京都下鴨の糺の森がもはや森とは呼べないほど縮小しているのと同じで、空の光があちこち透けて見える程度の木立と化している。本当の意味での自然などどこにもないこの現代、かつてあったものの威光は一体この先をどこまで照らすのか。もの寂しさだけを覚えて私はそこを去った。
 山手へ向かう長い坂を登り、神戸北部の一角にある北野異人館街に到着した。ここは旧外国人居留地で、瀟洒な洋館が立ち並んでいる。その中のいくつかは一般公開されており、入館料を払えば中に入ることができる。「公開異人館」や「一般公開異人の家」などという看板が目につくが、決してタダという訳ではなく、入口では安くない入館料が請求されるため注意しなければならない。通りにある有名なスタバを含め、なんとなく全てがハリ��テであるかのような印象を受けた。北野という地名については、京都の北野天満宮を勧請したことに由来するそうだ。上り坂を終えた後に現れる長い石段の先には北野天満神社があり、その境内からは神戸市内が一望できる。私はそれらに用がなかったので、広場の猿回しの芸者と数名の観客を横目に足早に通り過ぎた。うろこの家裏手の細い横道から山へと入ると展望台があった。街を眺めやると、近くに聳えるひときわ高いビルが目についた。ジークレフ新神戸タワーというマンションだ。葉陰からにょきっと飛び出た大建造物という構図が面白く、数枚のモノクロ写真を撮った。道中、先日の台風の影響か崖崩れが起こっていたが、崩れた土砂の上に道が作ってあった。そのまま山道を突き進んでいると、ヨーロッパから来たと思しきカップルとすれ違った。このような観光地から外れた自然の中を歩いていると、地元の人の他になぜか欧米人と出くわすことが多い。その一方で、アジア系の旅行者を見ることは少ない。これら二者は旅に求めるものの傾向が異なるようだ。私はどこにいても緑を欲するタイプなので、山や森へと続く道を見かけるとするする入ってしまう。そのせいでフランスに行った時などは、ブーローニュの森であわや迷子になるところであったが、それもまた良い思い出だ。布引ハーブ園へと延びるロープウェイの下を通り、北野から1.5kmほど歩いて辿り着いたのは落差43mを誇る布引の滝である。この雄滝と少し下流にある雌滝を合わせて夫婦滝と称する。神瀑の名に相応しい威容で、水の流れ落ちる様子はまさに白布が垂れているかようだった。モノクロ写真を数枚撮った。良い画が撮れたと思う。カメラ屋のおっさんに見せてやりたいと思った。日が暮れかかっていたため、そこにいたのはハイカーが10〜20名ほどと少なかった。が、階段を下りてくる年配の彼らは皆酒臭く、それは山中に茶屋があるためであった。古びた茶屋を少し冷やかした後、再び滝を見上げた。滝壺はたっぷりとした水量があり、翡翠色の水が綺麗だった。傍に立っていた説明看板を見ると、観光客への配慮で、滝の水が一定になるよう上流のダムからの放流量を調節しているという。一時の来訪者としてはありがたいが、やはりここも人の手が加わった「自然」であるのかと思うとまた少し虚しくなった。
 麓まで引き返してきたあたりで、ふと三宮駅からポートライナーに乗ろうと思った。それはこの旅の中で最良の選択だった。吉田篤弘が『神様がいる街』で、神戸港につくられた人工島を一周して戻ってくるこの無人運転の電車のことを、「横に回る観覧車」だと言っていたのである。私はそれがどのようなものなのか興味をそそられていた。以来、神戸に行ったら乗ってみようと思っていたのである。三宮で切符を買ってホームへ。空港行きと埠頭行きがある。電車は時間通りに客を吐き出し、かつ吸い込み、淡々と運行している。埠頭行きの一番前の席を陣取って足を投げ出すと、自分が歩き疲れていることに気づいた。車両は音もなく発車した。そうして至極のろまなジェットコースターにのったような気分で、目の前で次々に繰り広げられる光景をぼーっと眺めた。もう夜になっていた。埠頭、海、ポートターミナル、公園、団地、学校。レールの下に浮かんでは消えた。いくつかの駅を経て、電車はもと来た方向へと戻る。船舶、イケア、流通基地、駐車場、ビル。最後に、海にかかる橋から言いようもなく綺麗な市街の夜景が見えた。それは今日、唯一の感動であった。神戸よ、煌びやかな街を黙々と動かし続けているのは、これらの埠頭や空港から送り出される人や物なのではないか。街路が血液の体循環を象徴しているとすれば、きっとポートライナーが結ぶラインは肺循環であり、海をぐるりと一周し、街と一時的な自然状態とを往還することで神戸のダイナモを支えているのだ。車両に乗り込んだ人々は、ぼんやりと景色を眺めたり、おしゃべりしたり、仕事や学校に向かったり、または家路に着いたりと、目的はバラバラであろうが、普通の夜の電車にありがちな雰囲気とは違った、何か独特な、人をわくわくさせる期待に満ちた空間が夜を滑って行くかのように思えた。海で仕入れた清新な大気とともに貿易センター駅で降り、三宮駅まで歩いて戻る時にこの仕組みが分かって納得した次第だ。あまりに疲れていたのでそれ以降は何も考えられなくなり、駅前でうどんを啜って帰った。京都に着いた時、友人から連絡があり、元田中の中華料理屋「上海バンド」で落ち合った。そういえば、海から見えた神戸市街も、以前にネットで見た上海外灘(バンド)の夜景に似ていたな、などとぼんやり思いながら麻婆白子やら羊のクミン炒めやらをつつくうち、ついつい飲み過ぎ、結果として予想とは違った方向で自分を見失う夜となった。
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#044 ボーイ
 日本国千葉県市川市塩浜二丁目にある市川塩浜というなにもかもが中途半端な駅の安っぽいベンチに、その男の子は座っていた。毎日いた。毎晩いた。日がな一日そこにいた。あるときは、菓子パンを頬張っていた。あるときは、ペットボトルを握っていた。あるときは、電車のドアが閉まるタイミングに合わせてフエラムネを鳴らしていた。あるときは、ぶんぶんゴマを回転させていた。どこで湯を調達したのか、カップヌードルに蓋をして、三分、じっと待っていることもあった。だいたいは小ぶりのリュックサックを背負っていたが、コンビニのビニール袋だけを持っているときもあった。紙袋を横に置いているときもあった。いつも、何も持っていないような顔をして、そこにいた。  市川塩浜駅の利用客は、周辺の工場や倉庫に努めている会社員や契約社員やアルバイトがほとんどだった。あとは、周辺の工場や倉庫に視察にきた本社の人間。男の子はそのことを知らない。なんだかみんな、一様に、具合の悪そうな顔で電車から出てくるな。男の子はそう思っていた。  ごくまれに、駅のホームで電車を待っている人が、男の子に話しかけてきた。ぼく、どうしたの? 学校は? お母さんは? 話しかけてくる人は、なぜかほとんどが女性だった。小さなツヤツヤしたバックを肩から下げ、パンプスかヒールを履いているような。視察の人間。男の子はそのたび、相手をじっと見つめ、意味ありげなジェスチャーと、意味ありげな口パクをした。自分の耳の辺りを指したり、言葉にならないうめきのような声をかすかに出した。そうすると、だいたいの人は黙り込んだ。困った顔もした。そしてそのあと、大抵の人が慌てた様子でカバンから紙とペンを、あるいはスマホを取り出した。男の子はそれを受け取り、毎回、こう書いた。 「ひとを まっています だいじょうぶです ありがとう さよなら」  相手は安心と困惑とバツの悪さが入り混じった顔をして、手を降って男の子から離れる。だいたいそんな感じだった。  男の子は考える。どうして話しかけてくるとき、最初にぼくが付くんだろう。なんだか、名前みたいだ。マイネームイズボク。男の子は不思議だった。僕はただここにいるだけなのに、話しかけてくる人は、どうしてみんな学校のことや親のこと(それも、なぜか必ず、お父さんじゃなくて、お母さんのこと)を聞いてくるんだろう。どうしたの? と言われても、答えようがなかった。そっちこそ、どうしたの? と、逆に聞いてみたかった。みんな、どういう答えを求めているのだろう。  男の子はその日、小さな巾着袋を持っていた。中にはパインアメが袋いっぱいに詰まっていた。男の子はパインアメを舐める。眼からじわじわと湧き出る涙で、男の子はこの駅にも春がやってきたことを知った。男の子は、花粉症だった。 「最近悪夢ばっか」  男の子のとなりに男が座っていた。男の子は男がしゃべりだすまで、男が近づいてきたことにも、となりに座ったことにも気がつかなかった。男の子は横目で電車の発着を告げる電光掲示板を見て、自分がほんの少しの間、眠っていたことを知った。 「この前見たのは、嵐の二宮とピアノコンサートをする夢。ステージ上にヤマハのグランドピアノが二台置いてあって、客席から見て俺は右、ニノは左のピアノの前に座って、演奏したんだ。俺はその楽譜を、そのとき初めて見た。知らない曲だった。当然、弾けない。それでも俺は頑張った。でもダメだった。コンサートは大失敗だった。俺は曲の途中でステージ上から逃げ出して、ペットショップで犬用のトイレを買った。それからあとは、覚えていない」  男は、男の子の方を見ながら、オーバーな表情と身振りで話し続けた。 「そのさらに前は、映画を撮る夢を見た。俺は寂れた小学校みたいなところで寝泊まりしていて、隣の部屋で寝泊まりしていたカメラマンみたいな奴にカメラを渡されるんだ。で、こう言われる。『俺の代わりに映画を撮ってくれないか』俺はカメラを渡される。録画機能のない、古いタイプのデジタル一眼レフカメラだった。俺は写真を撮りまくった。写真を撮るっていう行為が、つまりは映画を撮るってことだった。それから色々あって、俺は幼なじみと二人で、サバンナみたいな場所を、大量のチューバを担いで、幼なじみは引きずって、歩いていた。それからあとは、やっぱり覚えていない」  男は缶コーヒーを持っていた。プルトップは開いていない。熱くてまだ飲めないのだ。男は、猫舌だった。 「昨日は、ヤクザになった友達から逃げ続ける夢を見た」  男は、あらかじめ決められていたかのように背中を曲げて、男の子の顔をのぞきこんだ 「なあどう思う?」  男の子は男の方を向き、あらかじめ決められているジェスチャーと口パクをした。耳の辺りを人差し指でトントンと叩き、うめき声をあげた。男は眼を少しだけ見開いて、笑いを堪えるように口を尖らせた。それから、缶コーヒーのプルトップを開けて恐る恐るコーヒーを口に入れた。 「ふうん」  缶コーヒーの中身は男の舌でも味がわかるくらいぬるくなっていた。男は缶コーヒーを、今度はさっきより勢いをつけて飲み、男の子の耳元に顔を寄せた。 「つくば山に、喰いつくばあさん」  男はささやいてから、吹き出すのをこらえるような顔をして、缶コーヒーに口をつけた。男の子はそれが、駄洒落だということに遅れて気づく。男の子の脳裏に、つくば山を食い荒らす巨大な婆さんの画が浮かんだ。男の子は、自分の顔が歪むのをなんとか堪えた。 「あの、人を、待ってるから」  男の子は、口を開いた。なんだかもう、嘘をついてもどうしようもないような気がした。 「係長がさあ」男は男の子の言葉を無視して言った。 「係長が、俺に言うんだよ。『社員にならないか』って。冗談じゃねえって話だよな。部長だか支店長だか知らないけど、とにかく係長より偉いおっちゃんもそれに賛成しているふうでさ。たまったもんじゃないよな」  男は缶コーヒーを飲み干した。 「どうしたもんかしらね。やんなっちゃう」  男は立ち上がり、缶コーヒーをホームの白線の上に置いて、助走をつけて思い切り蹴飛ばした。缶コーヒーは向かいのホームの壁に当たり、地面に落ちてころころと転がった。向かいのホームにも、男の子と男がいるホームにも、男の子と男以外に人はいなかった。向かいのホームの電光掲示板とスピーカーが、電車がまもなく到着することを簡潔に伝えていた。 「みんなさ、忘れてるんだよ。俺、ちゃんと言ったんだよ。面接のときに『半年で辞めます』って、ちゃんと。忘れてるんだよな。半年。頑張ってると思うわ」  男はジーパンの尻ポケットからぱんぱんに膨らんだ長財布を取り出した。 「なんか飲む?」 「いらない」 「あ、そう」男は立ち上がり、自販機に向かった。「てか耳、聴こえてんじゃん」  男はさっきと同じ銘柄の缶コーヒーを買って、男の子のとなりに戻ってきた。男は男の子に爽健美茶のペットボトルを渡した。男の子は、それを左手で受け取った。  向かいのホームに電車が止まり、しばらくして、また動き出した。電車に乗る人も、降りる人もいなかった。男は缶コーヒーを右手から左手に、左手から右手に、何度も持ち替えながら、缶コーヒーが冷めるのを待っていた。最初からつめた〜いの方を押せばいいのに、男はそうしなかった。男は、ぬるい缶コーヒーが好きだった。 「どうしたもんかしらね……。やんなっちゃう」  男の子は、それが男の口癖なのだと知った。 「だから、なーんか今日、起きたときから行く気、しなくって。こんなところにいるわ」  男はジーパンのポケットからiPhoneを取り出し、男の子に見せた。 「ほらこれ、係長、しつこいんだから」  男はiPhoneを男の子のほうに向けながら、指で画面を下にスライドさせた。 「こんなに。連絡しない俺も俺だけど。どんな病気がいいかなあ。風邪って言えばじゅうぶんかな? どういう咳ならそれっぽいかな?」 「なんの仕事」 「いつの時代も、流行り病は仮病だよ。係長、困っちゃってんだよ。俺がいないと仕事、回んないから。大幅にペースダウンよ。結局、ペースダウンするだけよ。代わりなんていくらでもいるって。やんなっちゃう。いいんだけど」男は言った。「仕事? 倉庫だよ��庫」 「どこの倉庫」男の子は言った。 「どこだっていいよ」男は言った。「あっちのほう。海の近く」 「海沿いなのに潮の匂いがしないって、やんなっちゃうよな。この駅もそうだよ。もっと漂ってきてもいいだろって。いいけどさ。山派だし」 「耳が悪いのは、ほんとだよ」男の子は言った。 「仮病?」男は缶コーヒーを振った。缶コーヒーは、着々と温度が下がってきていた。 「ちがう」 「いやでも、あの演技はなかなか。将来有望なんじゃないの」 「ちがう」男の子は言った。「きいて」 「やなこった」男は缶コーヒーのプルトップを開けた。「さっきの駄洒落、最高じゃない?」 「もっといいの、知ってる」 「ほーん」男は恐る恐るコーヒーを口に入れた。「言ってみ」 「ブラジル人のミラクルビラ配り」 「それは早口言葉だ」男は言った。「ブラジル人のミラクルビラ配り! しかも、あんまり難しく、ない!」 「おやすみなさいを言いに行くと、ママ、いつも戦争してる」  男の子と男がいるホームの電光掲示板とスピーカーが、電車がまもなく到着することを簡潔に伝えていた。その電車は、東京まで行くらしかった。男の子は、眼をこすった。主に眼にくるタイプの花粉症だった。 「去年の大晦日はひどかったな。普段は五、六個の駅も二〇とか三〇だし、舞浜なんてただでさえいつも出荷数が断トツで多いのに、一五八だぜ。一五八。やんなっちゃったよ。ほんと。シールの束がこんな量、あんの。あれは戦争だった」男は缶コーヒーをぐびぐび飲んだ。 「それで、だんだん、耳がおかしくなった」男の子は言った。「戦争って、うるさいから」 「俺も俺の周りのバイトもひーこら言いながらカゴにひたすらダンボール積んだよ。いや、言ってないけど。実際は黙々としてたよ。静かなもんだったよ。うるさいのは係長とそのとりまきの契約社員どもだけ」  男の子と男がいるホームに電車が止まり、しばらくして、また動き出した。電車に乗る人も、降りる人もいなかった。電車は二〇分ほどで東京に着く。東京駅には、電車に乗る人も、降りる人も、たくさんいた。 「今思えばあれはバケツリレーみたいだった。あんまり数が多いもんだから、みんなカゴ持っておんなじ場所に集まっちゃうんだよ。とてつもない流れ作業で、なんとか普段通りの時間に帰ることができたけど。でももう、無理だね」男はタバコが吸いたかった。「無理だね、もう」  男の子は、巾着袋からパインアメを取り出し、口に入れた。 「あ、ずる」男は言った。「ちょうだい」  男の子は、男にパインアメを一つあげた。  男は、それを口に入れた。  パインアメが溶けてなくなるまで、男の子と男はほとんど口を開かなかった。男の子と男は、それぞれ違うものを見つめていた。男の子は向かいのホームに転がっている缶コーヒーを、男は男の子のうなじを見つめていた。男の子の髪は陽を浴びて、輪っか状に光っていた。天使の輪っか、と男は思い、そんなことを考えてしまう自分が気持ち悪いとも思った。駅のホームには男の子と男以外誰もいなかった。男の子と男以外、みんなみんな、工場で、倉庫で、コンビニで、それぞれの場所で働いていた。係長はいつものように奇声を発しながら嬉しそうにフォークリフトでパレットを移動させている。バイトや契約社員はカゴ台車で、あるいはローリフトにパレットを挿して、駅構内の売店へ出荷するための飲料水が詰まったダンボールを駅別の仕分けシールを見ながらどんどん積み上げている。シールの束を口に加えて全速力で倉庫の中を端から端まで走り抜けている。そのことを男は知っていた。男の子は知らない。  男の子と男がいるホームを快速列車が通過したとき、男の子と男の口からパインアメはなくなっていた。男は空になった缶コーヒーを両手でもてあそんでいた。男の子は右手で両眼の涙を拭った。男は、花粉症ではなかった。 「将来の夢は?」男は言った。缶コーヒーをマイクに見立て、男の子の前に差し出す。 「ふつう」 「ふつう、て」男は缶コーヒーを下げた。「どうしたもんかしらね」 「たのしいよ」 「うそつけ。ママの戦争でも終わらせてから言いな」  男は立ち上がり、伸びをした。 「んーあ」 「ママ、神様が死んじゃったことに気づいちゃった」 「へえーえ」あくび混じりの声で男は言った。「そいつはすげー。もはやママが神様なんじゃないの」 「ある意味、そう」男の子はパインアメを舐め始めた。「ママ、なんでもできるよ」 「ある意味?」男はまたベンチに座った。 「うん。……うん」  男の子は、神様が死んだときのことを思い出していた。つい最近のことだ。男の子が家に帰ると、神様はリビングのホットカーペットの上で、あお向けの状態で小刻みに震えていた。男の子は震える神様を両手でうやうやしくすくいとり、テーブルの上にティッシュを二枚重ねて、その上に神様をそっと寝かせた。朱色だった身体は見る間に灰色に変わっていき、柔らかな尾ひれは押し花のようにしわしわに乾燥していった。男の子は神様の前で手を合わせ、しばらく眼を閉じてから、ティッシュで神様をくるんで持ち上げ、近所の公園の隅に小さな穴を掘って埋葬した。線香が無かったので、台所の引き出しから煙草を一本抜き出し、それに火をつけて、埋めたばかりでまだ柔らかい土にそっと差し込んだ。男の子は、もう一度神様に手を合わせた。 「僕が勝手に埋葬したから、怒ってるんだと思う」  向かいのホームに箒とちりとりを持った駅員がやってきて、掃除を始めた。男と男の子は、それを黙って見つめていた。ここからでは何かが落ちているようにも、汚れがあるようにも見えないけれど、きっといろんなものが落ちているのだろう。男は思った。駅員はこっちのホームにも来るのだろうか。何かが落ちているようには見えないけれど、きっとやって来るのだろう。駅員は階段のそばの点字ブロック付近を執拗に箒でなぞるように掃いていた。  男は、自分がまだ男の子だったころのことを思い出していた。朝が苦手で、ドッチボールと給食の牛乳が好きで、放課後はランドセルを武器にして誰かとしょっちゅう戦っていた。まあだいたい、今とさして変わんないな。男は兄のことを思い出した。 「兄妹は?」男はもう一度缶コーヒーを男の子の前に差し出した。 「いない」男の子は言った。 「一人っ子ぉ〜」男は言った。「ま、俺もそんな感じだけど」  男がまだランドセルで戦っていたころ、男の兄は家からいなくなった。車の免許を取ったあと、親の財布から抜き出したお金を使って北海道まで飛び、ネットで知り合った人の家や車を転々としながら徐々に南下し、今は沖縄本島の小さな民宿で、観光客に広東語やフランス語を教えてもらったりしながら住み込みで働いている。お金が無くなったら自殺するつもりで家を出たんだ。一年ほど前、カメラ通話で外国人みたいな肌の色をした兄が笑ってそう言うのを、男は白けた気分で聞いていた。 「行かなくていいの」男の子はパインアメを舌で転がしながら言った。 「ん? 何?」缶コーヒーが男の子の前に差し出された。「仕事?」 「そう」 「何をいまさら」男はふふんと笑う。「そのセリフ、そっくりそのままお前にお返しするわ」 「僕は人を待っているから」 「いつまで?」 「いつまでも」 「そうですか」男は缶コーヒーをベンチの下に置いた。「やんなっちゃう」 「帰らないの」 「帰ってもいいよ。でも」男はベンチの上であぐらをかいた。「でもお前が待ってた人って、実は俺のことなんじゃないの」 「……」 「あ、それ、わかるよ。絶句、ってやつだ」男は男の子を指さして笑った。 「人を待っているから」男の子は繰り返した。溶けて薄くなったパインアメを歯でガリガリと砕く音が、男の子の耳にだけ響いた。 「ああ、ほらこれ、係長からラブコール」男は震え続けているiPhoneを取り出し、男の子に見せた。「係長も、どうやら人を待ってるらしい」  やがてiPhoneの震えは止まり、男はiPhoneをジーパンの尻ポケットに押しこむようにしまった。  男と男の子は、喋りながらまったく別々のことを考え続けていた。男は兄と、兄がいたころの自分を。男の子は、神様について。思い出し、考えていた。ほんとうはどうするべきだったのか。何か間違ったことをしたのだろうか。何か決定的な間違いをおかしてしまったのだろうか。男と男の子は、それぞれが何を思って、考えているのかを知らない。ふたりは知らない。  ふたりのホームに鳩がやってきて、数歩ごとにアスファルトをついばみながらベンチの前を横切った。鳩の片足には短いビニール紐のようなものが絡まっていて、鳩が歩くたびにカサカサと微かに音が鳴った。 「帰ろうかなあ」男は男の子の左手にある未開封の爽健美茶のペットボトルを見た。「次の電車で帰るわ」 「これ」男の子は爽健美茶を男の鼻先に掲げた。「いらない」 「パパにでもあげな」男は言った。「最後の質問。お名前は?」 「ボク」 「は」気だるそうに立ち上がりながら男は短く笑った。「ママの戦争が終わるといいね」 「待ってる人が来れば、終わるよ」 「うそ。お前次第だろ」男は腰に手を当てて線路を見た。腰の形に沿ってシワができたTシャツを見て、この人ちゃんと食べているんだろうか、と男の子は思った。 「あーあ、俺も行きてえ〜、南の島」  男はあくびを噛み殺しながら、線路を見つめ続けていた。
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 男の子は、日が暮れて夜になっても、市川塩浜駅のホームのベンチにずっと座っていた。帰宅ラッシュでホームが人で溢れ、ベンチがすべて埋まっても、男の子は座ったままだった。ラッシュも終わり、駅のホームがふたたび廃墟のような寂れた静けさを取り戻したころ、男の子は立ち上がった。巾着袋をベンチに置き、ベンチの下にある缶コーヒーを拾ってゴミ箱へ捨てた。左手に爽健美茶のペットボトルを、右手に巾着袋を持って、男の子は二三時五六分発の東所沢行きに乗った。  人の少ない電車の中で、男の子は少しだけ眠り、少しだけ夢を見た。夢の中で、男の子は大学生だった。数人の友人と数人の先輩に囲まれて、お酒を飲んだり煙草を吸ったり、笑ったり泣いたり、怒ったり喜んだり、走ったりうずくまったりしていた。それは夢にしてはあまりにもありふれた、だけどどこか切実な、現実の延長線上にあるような夢だった。  目が覚めた男の子は、停車駅の看板を見てまだ電車が二駅分しか移動していないことを知る。男の子は夢を見たことすら覚えていなかった。男の子は発車ベルを聞きながら、眠っている間に床に落ちてしまった爽健美茶を拾った。  男の子は想像する。駅のホームを行き来する電車のこと、その電車に乗る人のこと、駅員のこと、そして今この電車に乗っている人のこと。みんなの家のことを。その神様のことを。そして自分の家を思う。新しい神様を見つけないといけないのかもしれない。母親を戦場から引っ張り出すには、それしかない気がした。男の子は頭を窓にくっつけて、眼を閉じた。今度は、夢を見なかった。
 ○
 男の兄は、何かと繊細なやつだった。人混みや集団行動が苦手で、電車に乗ったり、ひどい時は家から外に出ただけで歩き出せなくなるほどだった。ネット上には大勢の友人がいた。変なところが凝り性で、パソコンのマインスイーパーやタイピングゲーム、パズルゲームをひたすらやりこんでいた。肉が駄目で、馬のように草ばかり食べていた。首筋と腕の関節部分にアトピーのような肌荒れがあり、四六時中かきむしってフケのような皮膚のかけらをあたりにばらまいていた。男が兄について知っていることは、それくらいだった。  男はアパートに帰ってから、敷きっぱなしの布団の上でしばらくボーッとしていた。係長はもう、男に電話をかけてこなかった。誰も男に電話をかけてこなかった。それでいいと男は思った。 「ブラジル人のミラクルビラ配り」  男はあお向けに寝転び、眼を閉じて呪文のように何度もつぶやいた。簡単すぎるな、そう思った。つぶやき続けているうちに男の口はしだいに動かなくなり、静かに���を吐いて、眠りはじめた。  日付が変わる少し前、男は起き上がった。頭をかきながらしばらく時計と窓を交互に見つめ、水を飲み、トイレに行ったあと、兄に電話をかけた。自分から兄に電話をかけるのは初めてだな、と男は電話のコール音が鳴ってから気づいた。 「おお」 「よお」 「もしもし?」 「うん。もしもし」 「急にどうしたの。めずらしい」兄の声は穏やかだった。 「沖縄は今、何℃だ」 「えっと……えーっとね」兄の声がくぐもって聞こえる。iPhoneを顔から離して、天気情報を見ているのだろう。「22℃っす〜」 「元気か」 「まあ元気」 「焼けてんのか」 「そりゃもう。こんがり」 「野菜ちゃんと食ってんのか」 「それ俺に言う?」 「もう死なんのか」 「そうだね」兄は間髪入れずにそう言った。「まあなんとか、生きてみようと思ってるよ。今んとこ」 「つまんね」 「なんだそれ」兄は笑った。「そっちはどう?」 「何が」 「元気か」今度は兄がインタビュアーだ。 「ノーコメント」 「家賃とかちゃんと払ってんのか」 「ノーコメント」 「野菜ちゃんと食ってんのか」 「ノーコメント」 「話にならねー」兄はまた笑った。「両親は元気か」 ���しらん」男は間髪入れずにそう言った。「知ってたとしても、お前には教えないね」 「そりゃそうか。ま、いいや。とりあえず生きてるでしょ、たぶん」  男と兄はしばらく黙った。通話口からは、よくわからない言葉で笑い合う人の声が聞こえた。沖縄語も外国語も、同じようなもんだな。そして兄の言葉も。男の部屋は、静かだった。隣の部屋の生活音も聞こえない。 「電話出て大丈夫だったのか」 「いまさら。大丈夫。宿泊客と酒盛りしてただけだから」 「タノシソウデナニヨリデスネ」 「なんだよ。もしかして酔ってる?」 「ノーコメント」 「めんどくさいなー」笑いながら兄は言った。 「来週の日曜日、ヒマか」 「ヒマかどうかはわかんないけど、まあ、この島にはいるよ」 「そうか」 「何?」 「俺、お前んとこ、行くよ」 「あ、ほんとに?」 「お前をぶっ殺しに行くわ」 「わ、殺害予告」 「通報でもなんでもすりゃいいよ」 「しないよ。ワターシノアイスルブラーザーデスカラ」 「つくづくお前はつまんねえ」 「知ってるよ、そんなこと」 「逃げるなよ」 「逃げないよ」兄の声は優しかった。兄が家にいたとき、こんな声で話したことがあっただろうか。男は思い出せなかった。「まあ、おいでよ。待ってるよ」 「ファック」  男は電話を切り、電源も切ってからiPhoneを放り投げた。男は本気だった。部屋を出て、コンビニへ行き、ATMで残高を確認した男は、これから自分がやるべきことを考えながら、昼間と同じ缶コーヒーを買った。まずは、包丁。
 ○
 男の子がグランハイツ東所沢の四〇五号室の玄関扉を開けたのは、日付が変わってからおよそ一時間半後のことだった。男の子はリビングのテーブルの前に爽健美茶のペットボトルを置いた。床に散らばっていた不動産のチラシを一枚手に取り、テーブルの上に無造作に転がっていた赤ボールペンでチラシの裏に大きく「パパへ」と書いて、爽健美茶のペットボトルの下に挟んだ。  男の子はキッチンでお茶碗に炊きたてのご飯をよそい、フライパンの中からサンマの照り焼きを小皿によそい、リビングのテーブルの上にそれらを置いて、立ったまま食べた。男の子は、少食だった。それから男の子はお茶碗と小皿を簡単に洗い、自分の部屋から着替えを取って風呂に入った。男の子は、風呂が嫌いだった。浴槽に浸からずシャワーだけ浴び、男の子は風呂を出た。それから洗面台の前で入念に歯を磨き、綿棒二本と竹の耳かきで両耳を入念に掃除した。男の子は、きれい好きだった。それから男の子は、風呂場と洗面台と、リビングとキッチンの電気を消し、玄関へと続く狭い廊下の途中にある白い扉の前に立った。部屋の中からは、銃撃、爆撃、悲鳴、ファンファーレなどの音が絶えずとてつもない大きさで聴こえていた。男の子は、扉をノックした。それから、返事を待たずに扉を開けた。男の子は部屋の中に入る。 「おやすみなさい」  男の子は、この言葉が好きだ。
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futon-anmin · 1 year
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🌸お子様の想い出をご両親・ご家族へ世界でたったひとつの『入学祝い・誕生日プレゼント』の思い出クリスタル。 ✅表と裏の両面からの印刷で奥行き感が出る特別な仕上がり、どの角度からみても美しいクリスタルオーナメントです。 ✅キューブ型クリスタルに思い出写真を閉じ込めたオーナメントは大切なひとへのプレゼントに最適です。 ✅誕生日、入学祝い、入園祝い、両親への記念品などに人気です。 #クリスタル #ガラス記念品 #クリスタル記念品 #誕生日 #入学祝い #入園祝い #卒業祝い #卒園祝い #記念品 #フォトスタンド #布団の安眠 #布団の安眠楽天市場店 #おうちじかん #暮らしを楽しむ #楽天 #楽天市場 https://www.instagram.com/p/CqAaUrIrpdh/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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124770353 · 4 years
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20201027
えいむ@eimu_asuma
19:54
@ojro_men 実家帰れて良かったですねヽ(*´∀`)ノ のんびりされましたか? 啓介くんとのツーショット、本当に本当にありがとうございました 今日も夜勤ですが、頑張れますw
remio fan@H0DNOQYrc968BzB
19:51
@ojro_men オサ、ツーショット写真ありがとう〜 二人の笑顔本当に最高〜
ibukko@ibukko1
19:45
@ojro_men @midorichan05221 お忙しい中、ありがとうございます ほんとまめさに感動しちゃいます( ´艸`) また素敵な演奏たのしみにしてますね
hiroちゃん@iro_one_iro
19:40
@ojro_men 実家に寄れたんですね良かった良かった。今年初なんてこの一年大変でした帰りはお気をつけて~
itsuki*@RRnachos
19:36
@ojro_men インスタ見ました〜お疲れ様です!前田社長との2ショットめちゃめちゃ嬉しいです
さとみ@remisato
19:35
@ojro_men 気をつけて帰ってね〜('・_・`)
さくらこ@chmichil
19:33
@ojro_men 日帰りで帰るんですねぇ 一拍ぐらいしてゆっくり帰ればいいのにぃ 可愛い息子が久しぶりに帰ってきて、オサのお母さんも喜んでるやろうなぁ
。。。@akkiki39
19:30
@ojro_men いいね。 今年はブレンドGET予定。。 買えるかわからないけど。。 搾りたて一度味わってみたいわ。。 粒、大きくそだったのかなぁ。。 いつもより大きい気がする。。 帰らないと帰れないは違う気がするよ。。ゆっくりできればよかったね。 お気をつけて
えいむ@eimu_asuma
19:30
@ojro_men うわあ、うわあああ 泣きそうになるくらい嬉しいです あ、あ、ありがとうございますー! やあもう嬉しすぎる…
micu@micu0309ver2
19:21
@ojro_men 久しぶりの神宮司布団店ですね~ 次のプレミアライブでは、ぜひ歌って欲しいので、ぜひお父様に許可をもらってから帰宅してくださーい♪
琥珀@c90fd72c0f0341f
19:19
@ojro_men あらお泊まりしないんですね。 お帰りお気を付けて
ぐれ@mwgtgr
19:18
@ojro_men めちゃくちゃ嬉しい写真をありがとうございます
空雲 日晴@GoodDay_RMO
19:18
@ojro_men よかったです、よかったですね 僕はトンイでまったりなうです
まき@H8_maki19
19:17
@ojro_men あら〜、今年初だったんですね 久しぶりの帰郷だから、日帰りじゃなくてゆっくりできたら良かったのに…
みーにゃん@minyan_3939
19:15
@ojro_men 今日はお泊まりではなかったんですね〜! お腹いっぱいになるとアレなので…ゆっくりお帰りください
haru@haru90363436
19:14
@ojro_men ご実家行くことができて良かったですね~ 泊まってゆっくりかと思ったら、もう帰られるんですね
すまいりん@FT_smiline
19:11
@ojro_men 初?だったんですね〜 私も、お正月以来いけてませーん
くみくみ@Hy72pMJ5kvxmmJW
19:10
@ojro_men 山梨、ご実家コロナでなかなかいけませんでしたからね ご飯食べて休んだら、帰るの嫌になりますね
エミリー@emiemi6101kchan
19:10
@ojro_men 素敵な写真のアップありがとうございますお陰で疲れが吹き飛びました
ibukko@ibukko1
19:09
@ojro_men お久しぶりのお二人での写真 素敵でしたね( ´艸`) こちらまで、なんだか嬉しい気持ちになりました ありがとうございます
やじさんk@yajik919
19:08
@ojro_men 久しぶりに寄れてよかったですねぇ 実家の味はどうですか  やっぱり田舎は最高でしょ
カコ@plumeria3012
19:08
@ojro_men 久々の実家 お泊まりしないんですか? ゆっくりして下さいね
ちぃ@nachiromen
19:07
@ojro_men お二人が一緒にいる写真を見ることができて、幸せです
RI-nem@rijooki
19:06
@ojro_men 久しぶりにお肌プルプルのオサさんと会えて御家族も喜んでいらっしゃるでしょうね♪
ibukko@ibukko1
19:05
@ojro_men お疲れさまです ご実家ゆっくりできましたか?? 帰り道お気をつけて下さいね
パンナコッタ@cham7786
19:05
@ojro_men 実家に帰ることができたようで良かったです 泊まらないんですか ゆっくりしてきてほしいです。 お気をつけて
カリコリ@KARI_KORI
19:05
@ojro_men ご家族の顔が見れてよかったですね 気温も下がっているし、道中お気をつけて
ルナゴ@sanjirose0930
19:04
@ojro_men お二人とも素敵な笑顔 搾りたてを味わえるのは最高ですね
momo@momochi039
19:03
@ojro_men 実家ご飯いいですね 帰り...お気をつけて(*ˊ˘ˋ*)。♪:*°
midorichan0522@midorichan05221
19:02
@ojro_men 久々のお袋の味を満喫出来ますねお腹一杯の帰り道は居眠りしちゃわない様に気をつけて帰って来てね
ルナゴ@sanjirose0930
19:02
@ojro_men 久々のご実家 しばし団欒を楽しんで気をつけてお帰りくださいね♪(*^^)o∀*∀o(^^*)♪
☆じゅんじゅん☆@junjun56o1
19:02
@ojro_men 日帰りなのですね 気をつけて~
エレサ@Tamo2Y1018
19:01
@ojro_men 今日の疲れが吹っ飛んだー!
Alice@Maria04251
19:01
@ojro_men 今日帰らなくても…。 帰り道、お気をつけて‼︎
まろんTierraViento@maron_BROS_3
19:01
@ojro_men あらせっかくなのに日帰りなのですね
ちゃんまい@chanmaiyo08
19:01
@ojro_men 前田さーん オリーブキレイですね
akko@akkoro_men
19:01
@ojro_men \(^o^)/ ごゆっくり~
もえ@moero_men
19:00
@ojro_men しっかり満喫してくださいね
もえ@moero_men
18:59
@ojro_men おさー!最高すぎです
あられ@0416_haha
18:55
@ojro_men 良い笑顔 良い写真ですね
haru@haru90363436
18:52
@ojro_men 素敵な写真、嬉しいですありがとうございますオリーブオイルも美しい
みーにゃん@minyan_3939
18:41
@ojro_men ステキなツーショットすぎます〜 さすがマスターソムリエとしては見とかないとですねー
めいぶ(くま)@R_meibu
18:36
@ojro_men みんながツーショットツーショット!と言ってるのでなんだろう?と思ったらうおぉーー!!前田さん!!! 2時間残業がんばったかいがありました 搾りたてのオリーブオイルもおいしそうです
kohamama@koha73
18:29
@ojro_men ステキすぎ
まなママ♪ 10/4 芝浜と粉雪 人見記念講堂@manamum
18:24
@ojro_men おふたりの素敵な笑顔。 心がとても温かくなりました。 ありがとうございます 搾りたてのオリーブオイルのお味はいかがでしたか? 販売を楽しみにしています。 今年こそ手に入れられるとよいのですが。
me☆ミ@102star5_me
18:18
@ojro_men お二人お揃いのところ見れて、こちらも嬉しくなりました。 写真のUPありがとうございます! オリーブの実も大きくて立派ですね
JUJU@JUJUchan620JUJU
18:12
@ojro_men 治くん。ありがとうございます!
★iezaru☆⊂((・x・))⊃@iezaru
18:11
@ojro_men 色々えーっ!!ってなりました
ガーベラ@ga_bera28
18:07
@ojro_men 啓介くんも元気そうで2人の素敵な笑顔写真ありがとう10年ぶりとかじゃないですか!?
yacoco@yacodean
18:07
@ojro_men わぁーい\(^o^)/
micu@micu0309ver2
18:04
@ojro_men 最高のツーショットですねー お二人の笑顔が素敵すぎて、幸せな気持ちになります ソムリエとして、テイスティングしてきちゃいましたか? 前田屋さんの今年のオリーブオイルどーでしたか ブレンドが私は好みです
みえ@mie_jiky
17:55
@ojro_men お2人共笑顔が素敵です 搾りたてのオリーブオイルが飲めるなんて贅沢すぎる 羨ましい〜♫
まろん@blue_navyblue
17:55
@ojro_men それで山梨に行っていたのですね 嬉しいツーショットありがとうございます感動です
midorichan0522@midorichan05221
17:54
@ojro_men 素敵なツーショットありがとうございます搾りたてのOliveoilも魅力的私も飲んでみたいなぁ
琥珀@c90fd72c0f0341f
17:51
@ojro_men 搾りたていいなぁ 綺麗な色ですね お二人の笑顔もキラキラ
みゅー(♪☆海☆☆♪)@midriumsunmonrm
17:50
@ojro_men 素敵なツーショットです お二人の笑顔が眩しいです (ちょっぴり照れくさそう?…) コメントせずにはいられない程素敵な写真です
琥珀@c90fd72c0f0341f
17:49
@ojro_men 久しぶりにご実家へ️
さとみ@remisato
17:48
@ojro_men なんか嬉しい( *´꒳`* ) 良い笑顔だ(=^▽^=)
えみ♬*゚@e_m_i0305_5296
17:47
@ojro_men 素敵な写真ですね(ノ)*´꒳`*(ヾ)
コスモビレージ@12Loveforever34
17:41
@ojro_men うわああああああああああありがとうございます!!!! 元気そうで何よりです!
ももくるひめ@momokurumihime
17:39
@ojro_men ステキな写真をありがとうございます
☆ゆっち☆@yucchi_romen
17:39
@fumiremi @ojro_men こういう写真が見れて、幸せです
くみくみ@Hy72pMJ5kvxmmJW
17:38
@ojro_men 搾りたてのオリーブオイルはやっぱり美味しいんだ~素敵なツーショットです
hiroちゃん@iro_one_iro
17:37
@ojro_men わぉこんな素敵なことで山梨に行っていたなんて前田くんとのツーショット嬉しすぎて泣きそうですテイスティングにも力が入りますね嬉しすぎます
☆erin☆@wowbang5
17:31
@ojro_men きゃーインスタ見て絶叫しました 嬉しいツーショット お二人ならオリーブオイル繋がりでも何かできますかね?! 素敵な報告ありがとうございます
れもんちゃん@lemilemon8
17:29
@ojro_men しっかりインスタチェックしてきました兄貴めっちゃかっこよかったー!! 素晴らしいオリーブオイルできてよかったです
nekosan@nyasan_55
17:29
@ojro_men とっても素敵な写真ありがとうございますオリーブオイルの出来上がり楽しみですね♪
すぎかな@kana_oromen
17:28
@ojro_men インスタ開いた瞬間、治さんと前田さんのツーショットがドーン!と目に入って無意識のうちに「やばっ!!!」と声が出てました(笑)言った後に言ったことに気が付きました(笑) 本当に素敵な写真をありがとうございます感動です 治さんシンプルコーデが似合いますね
椛島彩伽@ayakaoshikata
17:27
@ojro_men 2ショットが見れて幸せこっちまで笑顔になりました!
ちぃ☆@naochisa
17:27
@ojro_men 久しぶりの2ショットありがとうございます
とりこ丸@yumeko_22
17:26
@ojro_men 声出ちゃいましたー!!お変わりなく!!
10th@since2010Nov
17:26
@ojro_men なぬっ!嬉しすぎるツーショット!!!(≧∇≦)b
空雲 日晴@GoodDay_RMO
17:26
@ojro_men えええー!!って声に出ちゃいました 最高すぎますよかったですねえ
ぶん♪@fumiremi
17:24
@ojro_men いい笑顔 素敵な写真のアップありがとうございます
パンナコッタ@cham7786
17:22
@ojro_men ちょうど脳内で春夏秋冬を流してたときでした♪元気そうで良かったです 面白い仲良しですね
すみ子@thomas_ponta24
17:21
@ojro_men 啓介君の笑顔が見れて…最高のツーショットです。
なみ@namiiii10061
17:19
@ojro_men 山梨行ってみたい
Nao♡*・@milk_tre114
17:19
@ojro_men 今回もお返事ありがとうございました
カコ@plumeria3012
17:17
@ojro_men お疲れ様ー 搾りたてのオリーブオイル どんな味なんだろー とても香りが良くて滑らかなのかなー 食べた~い
やじさんk@yajik919
17:16
@ojro_men お二人の笑顔こちらもハッピーにさせていただきました いいですねぇ仲間同士ステキですねぇ 私もオリーブオイルの搾油作業見たかったです 無事にお帰り下さい
葵@re0305
17:15
@ojro_men ツーショット嬉しすぎます ありがとうございます
Nao♡*・@milk_tre114
17:12
@ojro_men わー啓介くんーー2人一緒なの嬉しいありがとうございます
strawberry.music819@819musiclove
17:12
@ojro_men ステキな写真です!
カリコリ@KARI_KORI
17:12
@ojro_men あまりにもいい写真すぎて、ファーってよくわからん声出てしまいました いいですね
☆じゅんじゅん☆@junjun56o1
17:11
@ojro_men 良い写真素敵な笑顔 それで山梨に行ってたのですね️ありがとうございます
たわさん@miiell4
17:11
@ojro_men ふたりの笑顔眩しい♡ そしてふたりが見れて嬉しいです(*ˊᵕˋ* )
まき@H8_maki19
17:11
@ojro_men 素敵な笑顔ですね〜 オリーブオイルも、美味しそう
ぺこ◎2020年は嵐とともに@hanaeromen_35
17:11
@ojro_men 兄貴が元気そうで(´;ω;`) 涙出ます(´;ω;`)
すまいりん@FT_smiline
17:09
@ojro_men いい写真ですね〜。。 いいな〜、その工程見てみたい
Alice@Maria04251
17:09
@ojro_men おぉ〜 楽しそう〜♪ いい写真ですね
あすりる( ¨̮ ol )@asu_ril
17:08
@ojro_men わー!すごい!!!!!!!
akko@akkoro_men
17:08
@ojro_men 最高の写真ありがとう\(^o^)/
ちはるん♪@chiharu509
16:56
@ojro_men あズルイ 私も連れてって欲しかった~(笑) 私も近々ドライブ行くもん この時期のオススメ教えて
ルナゴ@sanjirose0930
16:53
@ojro_men 何時間くらいかかるのかなあ… 道中、お気をつけて〜
Alice@Maria04251
16:40
@ojro_men 道中、お気をつけて…。 リフレッシュして下さい。
うっちょ@uccyo_DQW
16:34
@yajik919 @ojro_men あざますぅー!!!
ルナ@GYPYnnIvD4P6c2V
16:25
@ojro_men わお、そうなんですね! 安全運転で気を付けて行ってきてください。 ちょいと、って感じで行ける山梨っていいですよね♪
itsuki*@RRnachos
16:22
@ojro_men あら、どちらまで!
やじさんk@yajik919
16:21
@uccyo_DQW @ojro_men ちゃうの! てっきり漁師かと思いました ホンマ釣れるとえぇね 明日気をつけて楽しんでね
桃菜@remio_heart
16:11
@ojro_men いいですね~ 気をつけて来てね
うっちょ@uccyo_DQW
15:59
@yajik919 @ojro_men 漁師じゃないっすー!(笑) 職場の人が船舶免許持ってて船出してくれるんです タイラバはタイ用のルアーフィッシングなんです♪釣れるとえぇなぁ!!
うっちょ@uccyo_DQW
15:58
@ojro_men 気ぃつけて!!
ゆ���@yuko2525_
15:57
@ojro_men お気をつけて〜
midorichan0522@midorichan05221
15:54
@ojro_men 道中、お気をつけて~
パンナコッタ@cham7786
15:44
@ojro_men お気をつけて〜 啓介さんにも会ってきてほしいなぁ
hiroちゃん@iro_one_iro
15:39
@ojro_men 山梨行きですか楽しみですねぇ実家には寄れるのかな
RI-nem@rijooki
15:36
@ojro_men 美味しいモノ食べてきて下さ~い
strawberry.music819@819musiclove
15:30
@ojro_men お気をつけて〜
堕天使れいにゃん@hydrangea_rt
15:23
@ojro_men いいな〜 気をつけてね
☆じゅんじゅん☆@junjun56o1
15:23
@ojro_men 行ってらっしゃい((
ゆき@remifun45
15:23
@ojro_men 実家ですかー?(笑)
くみくみ@Hy72pMJ5kvxmmJW
15:20
@ojro_men お気を付けて、いってらっしゃい山梨
miho@_miho0504_
15:20
@ojro_men こちら、とても天気がいいですよ(*Ü*)ノ" 気をつけてお帰りください!pic.twitter.com/ieBUsohYu5
まき@H8_maki19
15:19
@ojro_men おっ、いいですね〜 お気をつけて、いってらっしゃいませ〜
すまいりん@FT_smiline
15:17
@ojro_men お気をつけて〜
嵐@humotomaru
15:15
@ojro_men お気をつけて
梅崎美智子*藤巻っこ@umezakisakura
15:15
@ojro_men 一緒に行きたい〜
tomochan@tomotomo_412
15:14
@ojro_men いってらっしゃい お気をつけて
nekosan@nyasan_55
15:13
@ojro_men 良いですね~。 山梨に行きたいです お気をつけて
すみ子@thomas_ponta24
15:13
@ojro_men 天気が良くていいドライブになりそうですね 行ってらっしゃいませ。
micu@micu0309ver2
15:12
@ojro_men 行ってらっしゃい♪
チーズハピ♡@CheeseHappy_
15:06
@ojro_men 行ってらっしゃい〜?
さとみ@remisato
15:06
@ojro_men 行ってらっしゃい(*´▽`)ノノ 気を付けてね~( ^ω^)
やじさんk@yajik919
15:05
@ojro_men これからですか? お気をつけて行ってらっしゃい
あすりる( ¨̮ ol )@asu_ril
15:04
@ojro_men 行ってらっしゃいませ〜! 天気が良くて良かったです お気を付けて〜!
haru@haru90363436
15:04
@ojro_men お気を付けて~山梨の秋を楽しんできてください
ルナ@GYPYnnIvD4P6c2V
15:03
@ojro_men よく眠れましたか?今日も穏やかな陽気ですね。 今から早めの夕飯準備しまーす☆ 「花鳥風月」聴きながら
れもんちゃん@lemilemon8
15:03
@ojro_men こんにちわ甲斐市に行くのですかー?
akko@akkoro_men
15:03
@ojro_men いいな~お気を付けて~(*´°`*)
やじさんk@yajik919
14:49
@uccyo_DQW @ojro_men うっちょさん、船出すって漁師の方ですか? タイラバってなんですか?
うっちょ@uccyo_DQW
14:40
@ojro_men おはようございますー! 広島は晴天明日は船を出して釣りにいってきますよ!タイラバ初チャレンジ
堕天使れいにゃん@hydrangea_rt
12:22
@ojro_men おはようございます! 静岡は晴天です〜
めいぶ(くま)@R_meibu
12:16
@ojro_men おはようございます☀︎ 今日も暖かいですね晴れてきましたー!
もえ@moero_men
12:11
@ojro_men おはようございます!
カコ@plumeria3012
12:08
@ojro_men おはようございます 今日は早かったんですね 通勤中で電車の中で 気がつかなかった眠ってた 今日はこちらは天気いいです
midorichan0522@midorichan05221
10:54
@ojro_men おはようございます こちらは今日も爽やかな秋晴れです少し空気が冷たいです でも気持ちの良い陽気です
まろん@blue_navyblue
10:33
@ojro_men おはようございます なぜ早起きなんですかっ
megmeg@megmeg07824
10:26
@ojro_men おはよおさん  はやっ  今日はお出かけでもするのかな〜
すぎかな@kana_oromen
10:23
@ojro_men おはようございます 早い何があったんですか?笑笑
パンナコッタ@cham7786
10:17
@ojro_men おはようございま〜す! 昨日はパワーがみなぎってたのに、幸福感でPM9時には寝てました これから晴れてくると良いですね
itsuki*@RRnachos
10:05
@ojro_men こっちは快晴です!おはようございます
チーズハピ♡@CheeseHappy_
9:58
@ojro_men おはようございます。 さっきまで青空だったのに… 雲が出てきましたね。 やっぱり… 秋の空ですね。 今日も一日ご安全に。
tomochan@tomotomo_412
9:36
@ojro_men おはようございます 曇りですねぇ 今日は早いですね♪
さくらこ@chmichil
9:34
@ojro_men おはようございます、オサ 今日は早いですねぇ
えいむ@eimu_asuma
9:31
@ojro_men はやーw 本当におはようございますですね。 大阪は良い天気です
ちはるん♪@chiharu509
9:27
@ojro_men 早い ↑ みんなに言われてますね おはようございます
みーにゃん@minyan_3939
9:12
@ojro_men おはようございます! 早くてビックリ〜 こちらは晴れてきました〜
やじさんk@yajik919
8:58
@ojro_men 朝早くのツイートにうれしかったです 夫が起きてくるまで、フェスに向けてスプラのギアについて勉強?してました その後、おささんのドラム演奏を聞きながら家事を始めようとすると、ツイートがきたので1日頑張れます
asami0112@asami01122
8:57
@ojro_men おはようございます
ゆう@yuko2525_
8:57
@ojro_men おはようございます お早いですね!
さき★'`)+゚@saki_rr1206
8:38
@ojro_men おはようございます〜朝早い… 朝晩冷えてきてるので体調気をつけてください
くみくみ@Hy72pMJ5kvxmmJW
8:37
@ojro_men おはようございます だけどきましたよ~午前中だけみたい…
hiroちゃん@iro_one_iro
8:34
@ojro_men おはようございます曇ってますなー。きょうの治さんは早起きさん
micu@micu0309ver2
8:34
@ojro_men おはようございます 昨夜は早寝したんですかー? 今日は役員のお仕事で、これから学校行ってきます
あられ@0416_haha
8:30
@ojro_men おはようございます 今日も、頑張ります
まき@H8_maki19
8:29
@ojro_men おはようございます めっちゃ早い
ibukko@ibukko1
8:28
@ojro_men おはようございます 今日も素敵な1日を過ごしてくださいね
RI-nem@rijooki
8:28
@ojro_men おはようございます……( º_º ) アタクシは完全寝坊して「お腹が痛い遅刻する」と連絡してからタバコを吸って途方に暮れてます
やじさんk@yajik919
8:28
@ojro_men おはようございます ビックリです!! 今日のお目覚め早いですねぇ
☆じゅんじゅん☆@junjun56o1
8:27
@ojro_men おはようございます 早いですね
琥珀@c90fd72c0f0341f
8:27
@ojro_men おはようございます 早い どうしたんですか(笑)
空雲 日晴@GoodDay_RMO
8:27
@ojro_men めちゃ早ですね〜! おはようございます!
sora*@monokuro_sora
8:26
@ojro_men おはようございます今日もお仕事ですか?早いとついついビックリしてしまいます(失礼)今日も良き一日になりますように
Alice@Maria04251
8:26
@ojro_men おはようございます! 寒くて、起きてしまいましたか?
さとみ@remisato
8:25
@ojro_men おはようございます(*´▽`)ノノ 早い〜( º_º ) 私ゎ今から仕事です('・_・`)
haru@haru90363436
8:25
@ojro_men おぉー、お早ーいおはようございます
カリコリ@KARI_KORI
8:25
@ojro_men おはようございます最近早いですね〜こちらは晴天です。
ルナゴ@sanjirose0930
8:25
@ojro_men おはようございます! こちらは晴れて気持ちの良い朝です 今日も充実した時間をお過ごしください
すまいりん@FT_smiline
8:25
@ojro_men こちら、晴れてまっせー おはようございます。。
ももくるひめ@momokurumihime
8:24
@ojro_men おはようございます こちらは晴天、洗濯日和です!
はるいろ@hruiro6
8:24
@ojro_men おはようございます はやいですね!
akko@akkoro_men
8:24
@ojro_men おはようございます! 関西は青空でーす\(^o^)/
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hh1987zhonguo · 4 years
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苦難の硬座夜行列車
これも旅に限らずだが、様々な場面で「事前の情報収集」は大切。 「何とかなるだろう」という「何とか」は期待すべきではない、特に中国のような見知らぬ国では。。。
8月10日(月) 5日目
洛陽の駅前の階段で僕は1時間近くも座り込んでいた。 疲れ、めまい、ザックを担いで歩くような気分ではなかった。楽しみにしていた北京から洛陽への約13時間の夜行列車の旅、初めての海外での鉄道は、一言で言えば「苦行」であった。 理由は、暑さ、臭さ、眠れない、この3つに尽きる。 当初「一番安い硬座の席でいいだろう」と学生の貧乏旅行でもあるので、何の疑いもなくこのカテゴリーを選んだ。切符を買ってきてくれたのは自転車の楊さん。北京~洛陽は当時の夜行特急で13時間、800キロの距離を、料金はわずか16.4元(約730円)で行けるカテゴリーの席。もちろん快適さは求めなかった。ちなみに800キロは東京~広島の距離である。驚愕の価格! 北京駅を21時26分に出発した121次直快の硬座車両は、いかにも大陸を走る長距離列車の客車らしく、幅も高さも充分あるが、冷房などある訳はなく、数メートル間隔に小さな扇風機がクルクル回るだけで、あとは解放された窓からの風で涼を取っていた。 座席はほとんどが向かい合わせのボックスシートで、片側が4人、もう片側が6人掛けだったと記憶している。僕の座席ボックスは客車内の進行方向に一番近い、つまり隅にあり、そして座席は4人掛けの通路側の進行方向逆向き、つまり、窓からの風が当たらない席だった。で、既に満席。 北京駅を出発して間もなく、流れゆく異国の夜の眺めを車窓から堪能していたけれど、だんだんに暑さが気になりだした。北京は湿度が低く、日本のような蒸し暑さは無いのに、車内はそこそこの乗車率もあってか空気がこもり、暑い。。。そして、人民の体臭なのか、相席の他の三人の乗客(みんなオッサン)の臭さが気になりだすともう回復できない。乗車中、こちらが日本人だと分かると、筆談で質問攻めにあい、下手な中国語で会話らしきものもしたが、歯に味噌っかすのような汚れがついている人民がまぁまぁいるのは驚いた。それが臭さを助長していたとも思う。 そして喫煙者の多いこと。。。タバコは市販の中国製もあれば、自前で巻いて吸う、巻きタバコの愛煙家も多い。この巻きタバコは自前のビニール袋に入ったタバコの乾燥葉を、専用紙の上に均等に並べ、上手にクルクル巻いて、最後はのりしろ部分をハモニカを吹くように横にペロッと舌で舐めて仕上げる。なので、当然、フィルターなど無く、市販のものより満喫度は高いんだろう(こちらは吸わないんで良く分からないが)。一度、別の列車乗車中に、隣の乗客のタバコの煙が、冗談ではなく目に刺さったように痛く、イスから落ちそうになった。恐るべし中国巻きタバコ。 そんな状況の日付が変わりかけた夜中の車内。僕は旅情を楽しむ余裕などまったく無く、汗をかきながら暑さに辟易としていた。その様子に気づいた向かいの人民乗客オジサンが、身振り手振りで「席を変わってあげよう」と親切なことを言ってくれた。 この大変ありがたい申し出をすぐ受けて、席を変わってもらうと、そこは別世界のように風が快適だった。僕はオジサンに謝々謝々と何度もお礼を言って、これで洛陽までの残り10時間をやり過ごせるな、と安堵して目を閉じた。 しかし、旅も人生同様、そう甘くはない。トントンと膝を叩かれ目を開けると、オジサンは顔に汗かきながら、「はいオシマイ、元の席に戻りなさい」という身振り手振りであった。 その後、いくつかの駅に停車したが、席は空かず、結局、僕は朝10時過ぎの洛陽到着まで、汗をかきながら、満足に眠ることもできず、列車に揺られるという苦難の時を過ごした。 今回の旅の出発前、ダイヤモンド・ビッグ社の旅行代理店主催の「中国個人旅行説明会」が新宿で開催されたので、僕も一度参加した。内容は一般的な旅の注意事項や両替、移動、宿泊手配などの内容が、中国旅行経験豊富なスタッフから説明され、最後に質疑応答があった。 その質疑応答で、執拗に長距離列車の座席カテゴリーの乗りご心地の違いについて質問する参加者がいた。当時の中国の長距離列車のそれは価格の安い順に以下となる。 硬座 文字通り硬いイス席(今回これを利用) 軟座 リクライニング機能付きのイス席(だと思う) 硬臥 三段ベッドの寝台 軟臥 コンパートメントの寝台(1室4名まで) その質問者の男は特に硬座と軟座の乗り心地の違いについて執拗に尋ね、あまりにも度重なる質問に会場では失笑が漏れるほどであった。僕も、随分しつこい奴だなぁ、程度に思ったが、彼は正しかった! 長距離列車は誤った選択をすると過酷な試練が待っていたのだ! ちなみに、乗り心地の違いは「硬座」と 「軟臥」は「天地の差」と言える。洛陽から次の目的地、シルクロードの要衝、蘭州まで 軟臥を利用したが、二段ベッドになるイス席でコンパートメントなのだから極楽。ちなみに距離と料金で比較すると以下になる。 硬座 北京~洛陽 800km 16.4元(約730円) 軟臥 洛陽~蘭州 985km 125元(約5,625円) 距離換算で約6倍の値段差であるが、コスパは十分高い!というのが私見。
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↑途中駅の鄭州で買い求めた時刻表。奥付に20万部発行とある(0.6元、約27円) 列車は10時15分に洛陽に到着した。 僕は心身ともにくたびれて、下車した時には思わず万歳~~と叫んでいたと思う。列車の旅がこんなにも苦痛だったのは後にも先にも無い。
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↑洛陽駅ホームに到着の121次・直快 ちなみにこの列車はチベットの入り口、西寧行き
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↑洛陽駅の車内持込禁止品目に関する革命劇画タッチのポスター 駅前の階段で1時間ほど座り込んだ僕は、何とか気力体力回復し、目星を付けていた宿、洛陽友誼賓館へタクシーで向かった(運賃7.5元、約338円)。今思うと、タクシー代は北京~洛陽の硬座切符の半額弱(^^♪ 洛陽友誼賓館は施設のしっかりした中級ホテルと言う感じで、僕は4人部屋のドミトリーに昼前にチェックインした(1泊10元、約450円)。睡眠不足で部屋のベッドにそのまま倒れるように寝込み、目が覚めたのは午後4時だった。 僕は夢を見ていた。ここ洛陽を舞台にした芥川の小説「杜子春」のような夢であれば、乙でもあるが、何故か純子ちゃんという友達の妹が白いドレスを着て現れ、これまた何故か白いタキシードを着た僕の父親と軽やかに踊りながら出てくるという謎の夢だった。。。こんなどうでもいい夢を今でも現実のように覚えているのだから人間は不思議なものである。 目を覚ますと相部屋の宿泊者が揃っていた。二人はオランダ人のカップル。もう一人は同志社大の久保君。みな、旅人であった。 僕は寝起きに室内にあったと記憶するシャワーを浴びた。シャワーと言っても水で、しかも鉄砲水が頭上から落ちてくる代物だった。それでも久しぶりのシャワーは気持ちよく、汗が乾いた塩とホコリにまみれた体が解放されていくのはたまらない。 さっぱりした後はホテル内のレストランで夕飯!気が付けば夜行車内では水とアイスバーを食べただけで、その後は飲まず食わずだったので、ビールも中華も腹ペコの胃袋に沁みた。日記には食したメニューとして「豚の胡椒炒め」「麻婆豆腐」「茄子と肉のから揚げ」と書いてある。レストランは広く、円卓には綺麗に洗われ、ノリの効いた白布がかかって清潔。服務する小姐たちもにこやかキビキビ、親切で完璧だった。 食後に散歩と思いホテルの玄関を出た。7時過ぎていたが外はまだ陽の光で明るく、北京と同じくカラッとして気分のいい夕暮れ時だった。 暮れなずむ見知らぬ異国の夕焼けを楽しむ、、、と思ってもここは中国、ホテルの前には多数の人民がいた。グループで固まる集団もあり、仲間内での夕涼みかと思いきや、その集団の中には西洋人が数人いて、人民と会話している。??と思っているとたどたどしい日本語で「日本人ですか?」とニヤニヤ顔で若者人民が僕に近寄ってくる。手には日中辞典やノートを持っている。そう、彼らは 洛陽友誼賓館に宿泊する外国人客を捉まえて、語学学習をしているのである。近くのグループでは英語、或いはフランス語のような響きも聞こえる。僕はあっという間に三人の日本語学習人民に囲まれ、日本語会話のシュミレターとなったのである。 確かにこれは実践的で有効な学習手段である。しかも無料(^^♪ さすが、中国人民と唸らされた。 ホテルに戻り、外部へ電話をする必要があったのでフロントに足を運ぶと、そこに素敵な出会いが待っていた。 とても親切な小姐が対応してくれたのだが、ちょっと胸キュン・レベルの可愛さであった(^^♪ 名前は洪さん、日本語も勉強中で、こちらの質問に一生懸命、日本語で答えてくれた。 「写真撮ってもいいですか?」 と尋ねると、恥ずかしそうにOKしてくれた。 写真を帰国後郵送するという素敵な言い訳を理由に住所を聞き出すことにも成功し、僕の中で洛陽は瞬時に素敵な都となった。 帰国後、僕は洪さんに写真とともにお礼の手紙をしたため、その後、数回の手紙のやり取りを通じ、二人は日本と中国を行き来し、やがて愛は結ばれた。 というのは、勿論、嘘である(^^♪
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↑洪さん その晩、僕は幸せな気分で4人部屋ドミトリーのベッドで眠りについた。夜行列車は苦行だったが、洛陽はいいところだ。明日はどんな楽しいことが待っているんだろう?そんな楽しみに胸躍りながら眠るのも旅の楽しさである。 しかしその晩、僕の夢の中には母親が出てきた、昼の父親に続いてだ。場所は日本のどこか。 夜中に目が覚めると、見知らぬ天井が真上にある。 「どこだここは?」 一瞬わからなかったが、 「そうか、ここは洛陽、中国だ。。。」 そう気づいて僕は再び眠りに堕ちた。
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420-190209-05 · 4 years
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2020年04月15日
昨晩は友人とゲームの通信をし、2時間ほどで耐えきれず「眠い」といって終わり、彼氏と1時間ほど通話をし、その後再びどうぶつの森をはじめてしまい、結局眠ったのは夜中の0時くらいだったと思う。あまりの空腹でおせんべいを2枚食べてしまった。
コロナで就職が本当に不安だ。引っ越してきたのもよくなければ、わたしは不登校児で留年しておりおまけに過去にうつ病のケがある。この大変な時期にこんな私を雇ってくれる会社などあるのだろうかと不安になる。でも弱気でいてはだめだ。けど弱気…をくりかえしている。
8:00~携帯のアラームで起床。今日は久しぶりのウェブ面接とのことでうっかり昼まで眠って慌ててはいけないと思い8時にアラームをかけた。面接が嫌で嫌でなかなか起きれずに8:30頃布団から出た。布団にいる最中はtwitterをし、趣味アカウントやら裏垢やらリアルアカウントやら、いちいち分けてそれしか呟けないのはひどく辛いので趣味アカウントを趣味限定にしないことにした。
朝食…白ごはんに豚汁、カニカマと小ねぎのオムレツに青菜の山葵醬油あえだったきがする。面接したくないようと父のボヤくと、まずは体を動かしてきなさい。散歩してこい。と言われる。確かにこのまま部屋にこもりっきりでは良くないので1週間ぶりくらいに散歩に出るかと決心する。
11時頃まで踏ん切りがつかずうだうだとどうぶつの森とtwitterを行き来する。今日は新しく商店が改装オープンした。品物が多くて嬉しい。けど今日面接があると考えるとどうも楽しめない。
以前連絡をくれた企業にメールを入れなくてはと思い永遠と連絡をいれてないのが気になりつつも11時ごろに散歩に出発。コンタクトを入れ化粧をし、母と作った手作りの可愛くて肌触りの良いマスクを身につけ一番お気に入りの豆色のトレーナーを着て出かけた。
本当はチューリップの可愛い春ワンピースが着たかったのだが、田舎だし周りの目もある。24歳無職の女が奇抜な服で住宅街をうろついたら不快に思う人間もいるだろうと思い、せめてお気に入りのトレーナーにしようと我慢した。昔はあんなに派手な服が好きで平気で田舎のスーパーに着ていき、家族を困らせたのに。
昨日寒く、どこかで雪でも降ったと聞いた。山の頭は白くなっており、青と白とのコントラストがかっこいい。桜はほぼ満開で、山と空の青・白、桜のピンク色がなんとも美しかった。毎日同じルートを歩いているが、山も花も草木も1日たりとも同じ様子がなく、美しい。こんなに景色が良い場所に住んでいたのかと改めて感動した。写真も何枚か撮った。
11:30ごろに帰宅し、少し気持ちも晴れ昼食。今日は焼きそばだった。市販の少し高いやつ。わさびマヨネーズが美味しかった。新生姜の甘酢漬けと、ナスとキュウリの浅漬けも食べた。
昼過ぎ、ウェブ面接。久々に家族や彼氏、友人以外と言葉を交わすので本当に不安だった。ザ、面接な感じで、30分質疑応答をくりかえす。
不登校で留年していて以前うつ病を経験している私にはつらい質問がいくつかなげかけられた。相手は普通に聞いているだけだろう。理解しているが、私にはラベルが多すぎる。なんとなくで説明するのがしんどい。でも仕方ない。こういうときは深刻そうに話してはだめだ。けろっとした様子で笑顔を絶やさず明るく話し通さなくてはならない。
でも結局「あなたの明るさ見ていると治ったってわかりますねえ」と言われた。明るさだけが取り柄だと思っているので明るい雰囲気と笑顔だけは崩さなかった。それから「他の子より2歳年上なのかあ、どうりで落ち着いているはずだね。」とも言われた。2歳年上というハードルは良い面もある。顔の皮が分厚くなるのだ。歳だけ重ねている幼稚な人間ではないと証明できたかな。
久々に目上?の方と話すので本当に何を話しているかわからない30分間だった。30分間だけでは私の人生語れませんよう人事部。不完全燃焼で面接終了。
最後に「元気が取り柄です!色々不安な点(流んrんやうつ病)はありますがどうぞよろしくお願いします!」とわけのわからないことを言ったら「明るさは充分に伝わりましたよ」と苦笑いされてしまった。ああ。
その後15分ほど性格診断の結果を共有してくださった。割と悪い結果で笑えて着た。コミュニケーション能力は高いが、向上心や自信がなく、問題を回避する人間。おまけに天邪鬼らしい。ひどすぎて笑うしかなかった。人事のお兄さんは優しく、「でもこういう風にとらえられるよ」と教えてくれた。やたらと「すいません…」と謝る方だった。私と似ている。
1週間から10日後に連絡が来るらしい。
不安な気持ちで母に1時間ほど喋りまくった。母は体調不良だったらしいが私と話していたら体調が戻ったらしい。結果、よかった。
そういえば面接前にタバコを少し吸った。2週間ぶりのタバコ。具合悪くなるかな?と思ったが美味しくてサイコーだった。しばらくタバコをまずく感じていたので、ある種元気になって着たサインかな。
面接終わってからは少々興奮気味で過ごした。コンタクトを取るとガクッと疲れが現れ、眠たくなった。夕飯はエビチリにナスの炒め物、その他漬物があったと思う…が忘れてしまった。それと豚汁に白ごはんである。お腹が思いの外すいて、お代わりを少々と、父と一緒にマーガリンバターロールなるものをはちみつをつけて食べた。夕飯前にも小豆バターコッペパンを3分の1もらい食べた。カロリー消費したのだろう、よく食べた。
夕飯後、彼氏と通話。19時ごろだったか。興奮気味で今日のことを話した。不登校の件をつつかれたことをtwitterでボヤいたら「その質問には悪意があるね」と友人から言われ、少しむっとしてしまった。悪意にとるかとらないかは私次第だし、一番最初に「話しづらかったらいいんですが…」という前置きがあったため、単に聞いたのかもしれない。でも実際不登校児というのはメンタルが弱く、雇う側したらリスクがおおきいから見極めたいというのもわかる。私がサバサバ明るく過ごして入れば「案外不登校児も明るいじゃん」と思われたら良いと、そう思った。そのことを彼氏に話し、少々お互い興奮気味で色々話した。
彼氏は新社会人なため慣れない環境に四苦八苦しているんだとおもう。仕事から帰ってきたらだいたい甘えん坊になっている。
彼氏、そのうち寝てしまい、私も気にせずいたら父から電話がかかってきた。そうしたら彼氏の電話が切れてしまい、まあいいか、と放置。父に何かようかと聞くと、どうやら新しく買い換えたスマートフォンの最大音量はこれだけかと聞いてきた。「どんな時に使うの?」と聞くと父は友人と演奏セッションをしたいらしく、私が昔ダンスのために買ったBluetoothスピーカーをわたした。すると「これはいい!」とニコニコしながら演奏しはじめた。子供みたいだった。でも長い間使ってなかったの��、役に立ててよかった。
その後お風呂に入る前に彼氏が「このまま寝て、会社に遅刻したら大変だ」と思い電話を入れたが繋がらない。そのまま風呂に入り、出て再び電話。すると一瞬繋がるがすぐ切れてしまう。「あれ?」というメッセージが来たがそれから音沙汰がないのでもう知らないと思い放置。
母が寝ている客間で腰痛が少しでも減るようにとストレッチをしながらニュースを見た、外国人の方々が雇用切りになっているらしい。生まれたばかりの赤ちゃんを抱え、「旦那の20万がなくなる、とても困る」と一生懸命話していた声が震えていた。辛い気持ちになった。そういえば、高校の頃であった違う国籍の子たちは元気だろうか。。
その後占い番組になり、結構面白くずっと見ていた。いろんな事情を抱えた人たちの悩みが占いで暴露され、感動のあまり涙したシーンもあった。それで感情が高ぶったからか、感受性が高ぶり、ツイッターで大学の学費のつぶやきを見てその高さに改めてなんて自分はダメな人間なのだろうと思い、上の兄弟を恨み。両親の健気な愛に涙し、コロナで就活にも不安があり…、私は布団の上でしばらくオンオン泣いていた。彼氏に連絡しちゃダメだと思いつつ一言だけ「ごめんなさい、辛くてすごく泣いている」と連絡したが、今朝まで音沙汰がない…
今は私が彼氏を支えなくてはいけないのに。自分はかなり弱いなあと、またすこし悲しくなる。
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mashiroyami · 4 years
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Page 114 : 月影を追いかけて
 静かな空間では、時に、些細な音も雷鳴のごとく響く。ポケギアが鳴り、アランの表情は瞬時に緊迫した。  たった一人登録された、限られた人物からだと画面で確かめ、すぐに回線を繋ぐ。 「もしもし」 『手がかりがありました』  前置きも無く、開口一番端的に告げられたため、アランは一瞬耳を疑ったが、聞き違いではない。息を詰め、耳を傾ける。  次のように続く。  クヴルールの伝を使い町のいたる地点に設置された防犯カメラを確認したところ、キリの中心市街地にて何度か光の輪の残像が発見された。夜間照明に照らされた黒い肢体はまさにブラッキーのものであったという。とはいえ、町をあげた祭ともあり前日から外部から多数の観光客が足を運んでいるため、かのブラッキーであるという確証は無い。しかしそもそも希少価値の高い種族であり、誰も彼もトレーナーの傍を離れて夜の町を疾走しているとは考えづらい。野生である可能性も低い。となれば、あのブラッキーである可能性は自然と高くなる。  問題は現在地である。 『現在作動しているカメラにはどこにも姿が見えません。記録を元に足取りを追うと可能性が高いのは中心街付近となりますが』 「昨日もその辺りは行ったんですが」 『歓楽街の方面は?』  アランは口を噤んだ。  日が沈んで代わりに起き上がる場所、夜の店で煌めき、ネオン色が明滅し、色香が漂い酔い狂う歓楽街はキリにも存在する。特に昨夜は祭の前日ともありとりわけ人通りが多かった。エーフィを従えていたとはいえど、土地勘が無く気圧されたアランは踏み込めなかった。鮮やかな嬌声の纏わり付く賑やかな場所にブラッキーが潜り込むとも考え��らかったということもあっただろう。回り込んで他の場所をあたっていた。  しかし、夜の街は朝に眠る。夜が明けた今ならば、人通りはあっても夜間に比べれば安全だろう。エクトルが傍らに居れば尚更である。 『その付近に居た形跡も残っています。とはいえ、遠く移動している可能性も否定できません』 「勝手な予想ですけど、そう遠くまでは行っていない……行けないと思います」 『何故?』 「むしろ、動き回る姿の方が想像できません、最近の元気の無さを思い返すと。今は例外なんですけど」  エクトルは沈黙した。 「考えが甘いですかね」 『いえ。……いや、甘いといえばそうかもしれませんが、ブラッキーを一番理解しているのは、貴方でしょう』 「そんなことは、ないです」  一つ一つの音に力を込めて弾き出すように、語気を強くした。 『……とにかく、行ってみる価値はあるかと。ネイティオには引き続き未来予知で探らせます』 「分かりました」  まだ部屋にいることを伝え回線を切断すると、アランは身支度をする。身支度といっても、改まってするといえば、うなじを完全に覆うように伸びた髪を小さな尻尾のように括るだけだ。  エーフィと共に部屋を出る。急ぎ足で外へ向かうと、部屋に居ては気付けなかった町の賑わいに足を止めた。  雲一つ無い爽快な空から降り注ぐ白い朝日が町を照らし、白壁は眩しく反射する。大通りの方面から薄らと明るい笑声や音楽が流れてきて、陽光と混じって白壁を反射し町へ浸透している。早朝は誰一人見かけなかったホテル前も、ずらずらと人波が出来ていた。道行く人々は揃って湖へと向かっている。それぞれの傍で種類豊富な羽ばたきが行き交った。もうじき祭の目玉の一つであるポッポレースが開催される。  エーフィに気が付いた人はさり気なく若紫の柔らかな肢体に目配せする。注目自体は既に幾度も経験している。首都の人口密度に比べてしまえば空いているものの、好奇を寄せられる数が、明らかに多い。アランは小さな両の拳を固く握った。 「ブラッキーを、早く見つけなきゃ」  焦燥は滲んでいない。締まった顔つきで呟くと、エーフィも肯いた。  栗色の視線が上がる。エクトルは道路を挟んで向こう側、建物の屋根の下にいた。 「エクトルさん」  器用に立ったままノートパソコンを操作しているエクトルに声をかけると、彼は画面から目を離した。 「ああ。少しは休まれましたか」 「はい、ちょっとだけ」  病的なまでに青白かった頬は僅かに血色を取り戻し、声にも張りがある。頷いたエクトルは、パソコンをひっくり返し、アランに画面を見せる。  画質は悪いが防犯カメラの映像が敷き詰められており、それぞれ蠢く人影がリアルタイムで映し出されていた。アランは目を丸くする。 「こんなの、ここで見ていいんですか」 「さて」  濁した横で絶句するアランをよそに、欠片も悪気を感じていないようにエクトルは淡々と操作し、無数にあるうちの一つの映像を拡大する。 「この時間帯に」  昨晩、二十時十一分。  電灯に設置されているものか、僅かに上空から映した道路を一瞬、黒と黄色の残像が横切って、すぐに停止する。時間を調節して、まさに横切ろうとした瞬間で止めると、その姿形は街灯の下に明らかとなる。  探し求めている姿を画面越しに発見し、アランは息を止めた。 「……良かった」  ぽつんと零して、エクトルは彼女を見た。  顔が綻ぶと思いきや、安堵を示す言葉とは裏腹に緊張は保たれている。 「少しは、安心されましたか」 「はい」アランは言う。「どこかで動けなくなってるんじゃないかとか、誰かに捕まっていないかとか、そういうことにはなっていなさそうで、良かったです」  エクトルは小さく頷く。  確かに、ブラッキーは稀少なポケモンであるが故、野生と勘違いされれば、血気盛んなポケモントレーナーの前に現れれば捕獲に傾くのも可能性としてはある。小規模とはいえ、ポケモンバトルの大会もイベントとして行われるのだから、腕自慢のトレーナーがいてもおかしくはない。だが、捕獲用のボールに入れられ「おや」が認証されているポケモンは、基本的には捕獲できない。ポケモンについて少しでも知識を囓っていれば誰もが知る常識事項である。  一方、例外もある。  トレーナーのいるポケモンが犯罪行為に及んでいる際、現場を抑え込むために特殊なボールを使って強制的に「おや」を上書きし捕獲に踏み込む場合がある。倫理規定の側面からすれば黒寄りのグレーゾーンだが、小さくはない抑止力を持つ。一歩間違えれば犯罪に使われかねないため、普段は首都アレイシアリス・ヴェリントン中央区にある警察庁にて厳重に管理されているとエクトルは噂に聞いている。必要時にはテレポートで各地に飛んでいけるだろうが、今回のような片田舎のたった一匹の脱走劇に使用されるとは考えにくい。  制止し難い行為、たとえば、無差別な殺戮さえしなければ。最も、そのような事態に至れば捕獲というレベルに収まらない場合もある。  幸い、ブラッキーが攻撃行為に及んでいる話は流れてきていない。恐らくは、彼はただ逃げて、どこかに身を隠している。既に理性を取り戻していれば、ひとまずは穏便にアランの元へ帰ってこられるだろう。だが、ブラッキーに会わなければ話は進まない。 「比較的人通りの少ない細い道を選んでいるように見えますね。稀少なポケモンですから、近辺に聞き込みをすれば、目撃情報も得られるかもしれません」  エクトルはパソコンを操作し、今度は画面に地図を広げる。色素の薄い画像はキリの中心街を示しており、目を引きつける赤のマーキングが点々とつけられている。ブラッキーの姿を確認した地点である。彼の辿った道筋が浮き上がってくる。  まっすぐ道を疾走しているのではなく、迷うように右往左往としていた。同じ場所を数回通過している様子が窺えるが、二十二時頃を境に足取りが忽然と消えている。既に半日近く経過している。遠方に逃げ去っている可能性も捨てきれないが、中心街を彷徨っている様を汲み取れば、まだ希望は捨てきれない。 「隠れているんでしょうか」 「その可能性もあります」 「行きましょう」  アランが即座に言う。エクトルは頷いた。  場所としては遠くない。徒歩で中心街の方面へ向かう。  大通りに出て彼女達の視界を埋め尽くすのは、朝から活力を漲らせている祭の光景であった。  各地から町を繋ぐ駅を要し活発に人が行き交うそこは、湖畔とは別に、花々の飾り付けは勿論のこと、食事や雑貨の並ぶ出店が立ち並び、香ばしい匂いが漂う。大道芸人が道端でパフォーマンスを披露して歓声が飛び、青空に相応しい金管楽器の華やかな音声が突き抜ける。クラシックギターを使った弾き語りに観衆が聴き入っている横で、人慣れしているのであろうピジョットのような大きな体格の鳥ポケモンが注目を浴びていた。上空の旗には小型の鳥ポケモンが並んで毛繕いに勤しんでいる。駅前から湖畔へ伸びる大通りは朝から歩行者天国となっており、浮かれた子供達が走り回る声に、忙しなく湖畔へ足を向ける町民や観光客の期待を込めた声に、彩色豊かにごった返していた。  仮にあのフカマルがいれば、喧噪に煽られ盛り上がる姿が見られたことだろう。もしかしたらザナトアと共に今頃湖畔で楽しんでいるかもしれない。  晴天の吉日、白い輝きに満ちた町は、アラン達との温度差を明確にする。  活気を膨らませた空気に馴染むことなくアランは周囲を見渡す。首都に負けるとも劣らない熱気ある人混みの中では、ブラッキーの姿は当然のように無い。エーフィに目を配るが、彼女も首を横に振った。  途中、以前エクトルと共に訪れた、アシザワの経営する喫茶店の前を通った。扉には閉店を示す看板がかけられている。赤いレインコートで雨中を踊っていた少年と赤毛の上品な女性を引き連れて、どこかに出かけているのだろうか。  場所を変える。  エクトルに連れられ、アラン達は出店の並ぶ大通りを外れて歓楽街の方面へ足を向ける。人の少ない路地を進み、奥まった建物の入り口や看板の足下、屋根の方までそれぞれ目配せする。壁の隅で蹲り顔を伏せている男の前を通り抜ける。表だった華やかな空気は少しずつ変容する。  夜こそスポットライトが盛大に当てられ多くの人間で賑わう歓楽街は、朝を迎えてしまうと夢であったように静かになる。闇夜に輝くライトは全て消灯し、競うようにひしめきあっている看板はいずれも沈黙している。昨夜は大いに盛り上がったのか、空いた酒の瓶や踏みつぶされた花飾りが道路の端に転がり、ところ構わずといったような吐瀉物を見つけて思わずアランは眉を顰めた。  閉めた店ばかりだが、独特の残滓が漂っている。それは、薄らぎながらも、濃厚な空気感だった。人通りが全く無いわけではないが、通り道に使うのみだったり、帰り際であったり、気怠げに壁に寄りかかって煙草の煙を燻らせている男女がいたり、まばらに気配は佇んでいる。頭上を飛ぶポッポは、巷の賑わいに一役買っていた姿とは裏腹に、閑古鳥の役割を担っていた。  途中、シャッターを閉めかけた夜の店の前、道を陣取るように止まっているトラックの横で二人の男性が話し込んでいる。扉が開けられた荷台には段ボールや瓶のような物体が窺える。店で使う酒を仕入れている最中のようだった。 「失礼」  目を付けたエクトルが、二人の間に割って入る。不審な視線が彼にぶつかったところで、胸ポケットからカードを取り出した。 「クヴルールの者ですが、お聞きしたいことがあります。お時間いただいても構いませんか」  差し出された身分証に目を通して、少ししてから、店員とおぼしき男性の方が顔色を変えたのを、アランの目も捉えた。 「この辺でなんかあったんすか」 「いえ。ただ、何か変わったことが無かったか確認している所です。本日は秋季祭ですので」  はあ、と怪訝に返しながら、男性は出しかけていた煙草をしまう。エクトルも身分証を戻した。 「昨晩、この周辺で不審なポケモンを見かけませんでしたか」 「不審なポケモン?」 「コラッタならいくらでも居ますよ。店の裏でゴミ食って、邪魔なんすよね。なんとかなりませんか、ああいうの」  店の責任でやってくれ、と返したくなるところを抑え、無視する。 「コラッタ以外では?」 「あとはヤミカラスも困ったもんすけど。他は、でも鳥ポケモンは夜は大体いませんし」視線を横に移す。「そんな変わったことあったか」 「知らんよ」  店員に話を振られた傍らの男性はむすっと首を振る。無理も無いが、警戒心を顕わにして隠そうとしていない。 「ま、夕べは祭の前日ですし、見慣れないお客さんも他から来るから、外部のトレーナーが自慢げにポケモン見せるってことはありますよ」 「たとえば、ブラッキーは?」  背後にいるアランがさり気なく視線をエクトルの背に向ける。 「ブラッキー?」  男は眉を潜める。  見覚えが無いというよりも、種族名自体を知らないのだろう。ぴんとも引っかからない表情を浮かべ、隣を見やるが、視線を受けた方も微妙な顔つきをしていた。 「イーブイの進化形ですが」 「イーブイなら解るけどなあ」  稀少ではあるが、愛くるしい外見から愛玩用としてたびたびメディアでも取り上げられる。その進化形も他のポケモンと比較すれば知名度の高い部類に入るが、彼等は興味を持っていないのか、曖昧な返答である。  エクトルは溜息を呑み込み、手に提げていた黒革の鞄から一枚の写真を取り出す。アランのブラッキーかどうかは定かではないが、くっきりと全身が写された画像が印刷されている。  差し出されたものを確認して、二人して声をあげた。 「見覚えがありますか?」 「あ、いや」慌てて店員は首を振る。「こいつがブラッキーかって思っただけで。これならテレビで見た覚えがある」 「俺も。……こんな場所で見るか? 結構珍しいんでしょ」  記憶には引っかからないようだ。エクトルは早々に諦め、二人に礼を告げて別れた。下手に詮索して勘付かれては困る。 「……なんか、おっかなかったな」  遠のいていく背中が、声の届かない範囲まで歩いて行った頃を見計らい、運転手は肩の力を抜いてぽつりと呟いた。 「クヴルールサマってやつだよ。余計なことを言ったら締められる」 「なんだそれ」  真面目な顔で言う店の男をせせら笑ったが、冗談ではないようで、笑うに笑えないような居心地の悪い空気が漂った。 「あの大男もそうだけど、俺はあの後ろの子供もなんか変な感じがして、厭だったな」 「ああ」  図体が大きく、佇まいのみで威圧するエクトルの背後。  大人同士のやりとりを、一歩下がってアランは静かに睨むように見つめていた。殆ど瞬きもせずに、顔の皺の動き一つすら逃さずに記憶に留めておこうとするような小さな迫力があった。ただの子供だというのに、見張られている感覚には、大の男であっても脅迫的なイメージすら持たせた。 「というか、何、知らないのか」 「何が」 「何がって。あのカード見てなんも思わなかったわけ」 「そんな大層な輩だったのか?」 「大層というか」  面倒臭げに頭を掻いてから、店の男は苦い顔で呟いた。 「自警団ってやつ? クヴルール家に害ありと判断したら、誰であろうと容赦無くこう、らしい」  と言って、片手で首を横に���る仕草をしてみせた。
 エクトル自身ははなから大した期待はしていなかったが、初発は空振りに終わった。その後も注意深く周囲を確認しながら、ブラッキーが映っていた防犯カメラの付近に向かう。どれほど理性的に行動しているか不明な相手に対して、地道に足取りを辿る行為に意味があるかは解らないが、現場の確認はしておくに越したことはない。 「ここですね」  エクトルはそう言って、立ち止まる。三叉路にあたり、左右に分岐する地点に向けて防犯カメラが電柱に設置されている。アランは現場に立ち、ブラッキーが一瞬映った場所に立つ。彼は突き当たりとなっている部分を左側へと走って、画面外へ消えた。  雪道でも泥道でもないのだから、足跡は残っていない。僅かな痕跡を探るように、エーフィは周囲を嗅ぎ回る。  左へ曲がって道を辿ると、両脇を雑居ビルが立ち並び、細い隙間のような路地が通っている。朝の日差しを浴びながらも、昨日の水溜まりが乾ききらない、閉塞感を抱かせる湿り気がある。 「ああいう外付けの階段とか、簡単に昇れそうですよね」  アランはビルの壁に沿うように設置された階段を見ながら呟く。 「屋上の可能性ですか」  エクトルが上空を仰ぐと、アランは肯く。 「上の方も探していないので。ブラッキーの身軽さだったら、屋上を跳んで渡るのもできそうな気がします」 「このくらいの距離なら、可能でしょうね」  隣接したビルならば遠くてもせいぜい二、三メートルの距離だ。建物の間を繋いでいるケーブルや、旗の紐を足場にすればより容易なように見える。 「ただ、ビルの高低差がありますから。ブラッキーの体調が万全でないのならそう簡単なことでもないかもしれません」  と、彼方から小さな花火の音が聞こえてきた。  ぽん、ぽん、と、軽快な響きに、アランは自然と音のした方に顔を向けた。 「ポッポレースが始まりますね」  腕時計を確認しながら、エクトルは呟く。 「ポッポレース……」 「出場する予定でしたか?」  すぐにアランは首を振る。ザナトアが出場することは噤んだ。 「エクトルさんは、大丈夫でしたか」 「何が、でしょうか」  彼にとっては何気ない一言だったが、些細な言動にどこか棘のあるような色が含まれる。尋ね返されて、アランは一度閉口した。 「その、お祭りに、行かなくて」  エクトルは僅かに目を丸くした。苦笑いを浮かべる気にもなれず、静かに首を振る。 「祭に浮かれるような人間ではありません」 「お祭りの仕事もありませんか」 「今は休んでると言ったでしょう。やることも無いんです。お気になさらず」  人の様子を必死に嗅ぎ取ろうとしている、とエクトルは思う。ただ顔色を覗うだけではなく、その奥にある真意も探ろうとしているような目つき。  アランが探りを入れても、エクトルにとって祭に対する思い入れは薄い。  祭もポッポレースも、エクトルに参加した記憶があるのはかすかな少年期のみだった。クラリスに仕えるようになってからは、祭日は屋敷から出ずに、クラリスと共に、窓から遠景に見える鳥ポケモン達の羽ばたきや、花火を眺めるぐらいのものだった。普段は立ち入ることのできないクヴルール家の屋敷の面した湖畔だが、祭日は例外で、かなり接近することができる。それは外敵の侵入を比較的容易にする時間帯でもある。クヴルールはキリで随一の権力を持つが敵も多い。のんびりと目を輝かせているクラリスの傍で、彼女とは異なる意味で目を光らせていた。癖は簡単に抜けるものでも無く、エクトルには秋季祭も気を張り詰める日である認識が強い。その役割が終わってもなお、結局祭の賑わいからは縁遠い立ち位置にいるとは、笑い話にもならない。 「ブラッキーに集中しましょう」  逸れた気を戻すようエクトルが促す。自らに言い聞かせる言葉でもあった。  暫く道なりに進めば、やがてブラッキーが最後に防犯カメラに映った地点に近付いていく。歩いてみれば、先ほどの地点からそう遠くはない。迷うように道を行き来していたのか、休息をとりながら移動していたように予想される。  その途中、ふとアランは足を止めて、左手の方へ視線を向けた。  薄汚れた白壁が立ち並んでいた中、石造の、他より幾分古びた建物が現れる。町の中に追い込まれたようだが、しかし屋根の高い建造物。天に向けて高く伸びていた。緑青色の屋根は長く酸化し続けて変容させてきたような、独特の色合いをしている。 「教会ですね」  見とれていたアランの隣で、エクトルが言う。 「水神様の、ですか」 「はい」  祭日を祝ってであろうか、町に並んでいるような花を模したカンテラが巨大な扉を挟むようにこじんまりと飾られ、硝子に囲まれた炎がちらちらと揺らいでいる。その下には吊り下げられるように青い花が飾られていた。  祭日とはいえ、人は湖畔や大通り沿いの方面に偏っているためだろう、人気は無かった。 「……中に入ってみてもいいですか?」  アランが尋ねると、エクトルは目を瞬かせた。 「ブラッキーが中にいるかもしれない、と?」 「はい……居なくても、何か手がかりがあるかもしれません」  エクトルは小さな教会を改めて見やる。少なくとも、昨夜、この周辺にいたのは間違いない。深夜帯以外は自由に出入りが出来るようになっているが、逆に夜間に隠れるには絶好の場所になる。目の付け所としては悪くないか。水神を信仰する教会は基本的にクヴルールの管轄であり、エクトルの顔も効きやすい。彼は頷いた。  開かれた小さな門を潜り、入り口を隠すような形になっている壁の横をすり抜ければ、すぐに中へと続く玄関がある。冷えた印象を持たせる灰色の床を踏み抜いて、中へ入ると、高い屋根の印象を裏切らない空間が目前に広がった。  古びているとはいえどちらかといえば白の印象を持たせる外観だったが、天井には群青をベースに、人や、鳥ポケモンや湖のポケモンと見受けられる生き物達が躍動的に描かれていた。両脇の巨大な磨り硝子は無色だが、正面のステンドグラスは薄い青の硝子を張っており、入り口から見ると白い陽光と青い陽光が混ざり合うようだった。  建物を支える柱には翼を持つ獣や人の巨大な石造が並び、天井まで意匠は凝らされている。  地上にはいくつもの石造のベンチが整然と並べられ、一番奥は一段高くなっている。目を引くのはその中央を陣取る、獣とも、人間ともとれるような、不思議な石造だった。天を仰ぐ右腕は人のもの、左腕は獣のもので、布を纏った身体には鱗のような模様も窺える。その周囲を鳥ポケモンの石造が豊かに舞い、今にも動き出しそうな実に躍動的な姿が彫られていた。  入り口に立ったまま動かないアランをエクトルは急かそうとはしなかった。軽く内部を視線で探ってみるが、ブラッキーはひとまず見当たらない。 「……水底にいるみたい」  ぽつんと呟いたアランを、エクトルは横目で見やる。 「……昔、水神様と人間は、同じ空間で生活を共にしていたと言われています」  アランは隣に立つエクトルを見上げた。 「しかし、嘗て町を沈めるほどの巨大な豪雨が訪れました。水神様は人間とポケモン達を助けるため、彼等に遠くへ逃げるよう指示し、町を深く巨大な穴のように沈め、そこに大量の雨が流れるように仕向けました。そうして雨水は全て穴に流れ込み、現在の湖になり、水神様はかつての町と共に水底に沈まれたと伝えられています」 「……」 「以来、水神様はいずれやってくる大きな災害を予兆し、民の生活を救おうとされている……そのために、水底から町の未来を視て、地上の民に伝える。その伝達を担うのが、人間と水神様を繋ぐ、噺人」 「それが、クラリス」 「ええ」  アランは、正面の奥に佇む、半獣半人の石造を見つめる。 「あれは……水神様ではなく、噺人を模しているんでしょうか」 「真正面の石造ですか」 「はい」 「水神様ではなく?」  言うまでも無く、信仰対象は水神であり、噺人ではない。 「はい。……水神様は、ポケモンだと、クラリスが言っていました」  するりと出てきた言葉にエクトルは眉を潜め、反射的に周囲に目配せしたが、近くに人は居ない。しかし人が居ないが故に声は通りやすい。 「言葉には気をつけてください」  わざと語調を強めると、アランは俯いた。 「すいません」強制的に話を終わらせるように、アランは不器用に微笑みを浮かべた。「ブラッキーを探しましょう」  微妙な距離感を保ち、二人は奥へと進む。石の床を叩く足音が上へと抜けていく。  エーフィは軽快な身のこなしで動き回り、長椅子に跳び乗ってそれぞれ確認する。  最奥にある一段高い敷居の手前には腰の高さの鉄製の柵が設置されている。明確な区画だが、ブラッキーにとってはあってないような柵だろう。巨大な半獣の石造を中心として、柵の向こうはゆとりのある空間がとられている。アランは青い逆光に照らされている石造を再度見上げてから、柵の前に立ち、装飾の隙間に彼の影が無いか目を凝らすが音も気配も感じ取れない。冷たく整然としていて、虫一匹紛れ込む隙の無いような雰囲気すらある。  ここにもいないのだと、彼等の間を諦念が流れ出す。  と、背後、入り口の方から足音がした。氷のように冴えた沈黙では、音の一つ一つが響く。  弾かれアラン達が振り返ると、月の獣ではなく、漆黒のコートのような、足下まで裾が伸びた服を身につけて玄関口に立つ女性がいた。ザナトアほど老いてはいないが、エクトルよりも年齢は上に見える。深くなろうとしている皺に柔らかな印象を持たせながら、彼女はゆっくりと会釈した。その手には白い綿を実らせている芒のような植物をたっぷりと生けた花瓶を抱いていた。  奥の石造へまっすぐ繋がる群青のカーペットを通らずに、壁に沿って奥までやってきて、柵の手前、端に鎮座する台にその花瓶を置いた。表通りを彩る花々よりも随分と質素だが、静粛な空間に似つかわしい趣深さがある。 「……何か、ご入り用ですか?」  観察するように眺めていたアランに彼女は声をかける。優しく撫でる声をしていて、表情も同じように柔らかい。  それから、既によく知っているのか、エクトルに向けて深々と礼をした。それは目上の者に向けて礼儀を以て対応する姿であった。しかし、頭を下げられたエクトルも深く一礼し、口を開く。 「少し、探しものを。勝手に入り、荒らして申し訳ございません」 「とんでもない。ここは誰にでも門戸を開いていますから。私の目には、何か隈無く目を配っているようにしか見えませんでしたよ」  女性はゆったりと微笑んだ。  彼女はこの教会に常在している司祭であり、サリア・クヴルールと名乗った。秋季祭の間もここに携わり、祈りを捧げているという話だった。床にぎりぎり届かない長さの黒い服装は彼女達の正装なのだろう。  つられるようにアランとエクトルもそれぞれ名乗れば、彼女はエクトルの名はやはり知っている様子であり、存じ上げております、とただ一言穏やかに言った。 「しかし、秋季祭だというのに、湖畔ではなく何故ここに。お手伝いできることであれば、私もお探し致しますよ」  アランとエクトルは一瞬視線を交わし、アランの方から歩み出た。 「ブラッキーを……ポケモンの、ブラッキーを探しているんです。夕べ、この辺りにいたことは解っているんです。もしかして、見かけていませんか」 「ブラッキー……?」  サリアは口許に手を当て、蒼く透いた瞳を丸くした。  手応えを感じ、アランは思わず身を乗り出した。 「知っているんですか?」 「その……はい。皆様が探しているブラッキーかどうかまでは解りませんが、確かに昨晩、ここにおりました」  アランはエクトルを振り返る。エクトルは驚きを顔には出さなかったが、促すようにアランを見て頷いた。  ここにいた、ということは、今はここにいない、という裏返しでもある。しかし、確かな証拠を明らかにすれば、彼へ至る道筋が一つ見えてくる。 「詳しく聞かせてもらっていいですか」  エクトルが言うと、サリアはすぐに了承した。
「秋季祭の前日ということもあり、昨日はこの場所も一日中頻繁に人が出入りしておりました。水神様への感謝と祈りを込め、昨晩は小さなコンサートを催しておりました。キリの皆様は勿論、他所からの方々も来られ、音色に耳を傾けておりました」  弦楽四重奏に独唱を重ねた、こじんまりとした演奏ではあったが、教会全体のすみずみまで音が沁みていく素晴らしい時間であったという。  人々がそれぞれ長椅子に腰掛け、サリアは教会の入り口近くの壁に控えて、演奏を傾聴していた。定期的にこの場に呼ぶ顔なじみの演奏者達が幾重と重ねる音の層は、聴く者を癒やし、そしてどこか哀しみも湛えながら、自然と心に浸透していく。  そうして演奏をしている最中、小さなお客が教会の入り口に立った。誰もが演奏に集中している中、音も無く入ってきたという、美しい身体の獣。  それが、ブラッキーだった。 「はじめは声をあげそうになりました。しかし演奏中でしたので、物音一つ立てるのも憚られて」 「……ブラッキーは、どんな様子でしたか」  アランは尋ねる。 「特に、何もする様子はありませんでしたよ。引き寄せられてきたようにここに入ってきて、……あの辺りですね、私の居た場所の、反対側の、��番端にある柱の物陰に座り込んで、それからは暫く音楽を聴いているように見えました」  サリアは教会の最後方、今アラン達の立つ奥の位置から見て、左側を指した。壁に沿うような柱がいくつか立っており、鳥ポケモンを模したような石造が彫られているが、そのうち、建物のほとんど角にあたる部分にブラッキーは居たのだと言う。  演奏中は奏者の付近のみが照らされ、客席の後ろに向かうほど暗闇は濃くなる。隠れているようで、ブラッキーの放つ小さな光は、よく映えたと言い、些細な動きもよく解ったらしい。しかし、彼は殆ど身じろぎすることなく、静かに長座した。サリアは、きっとあの獣も音楽を聴いているのだと思った。  演奏が終わり教会内全体が点灯すると、ずらずらと人々は教会を後にし始めた。興奮の色濃い中で、隅で黙って蹲る獣に気付く者は誰もいなかった。サリア自身も、教会を訪れた人々に声をかけられたり、演奏者にお礼をしに行っている間は、すっかりブラッキーのことを忘れていた。  演奏者を見送り、教会から人がさっぱり消えて、演奏に震えた心地良さの最中でほっと肩の荷が下りたところ、さてそろそろ教会を閉めようかと見回して、はっと気付いた。あのブラッキーは、どうなったのだろう。 「慌てて見に行ったら、まだ同じところに居たんです」  床に身体を倒し、寛いでいるようにも見えた。眠っているかと思ったが、近付くと、赤い目が動いてサリアを捉えた。無意識に足を止めるような強い視線だった。  その場には、サリアとブラッキーしかおらず、沈黙が続いた。  ブラッキーが野生なのか、人のポケモンなのかは解らない。しかし、サリアは追い出すことも、声をかけることもせず、そっとしておくことにした。どんな獣であれ、ポケモンを労ることは、水神様に祈りを捧げる者として迷いのない行為であった。サリアは裏手に戻り、キリの住民から分け与えられた木の実を持って、ブラッキーから少し離れた地点に置いた。もしかしたら寄ってくるかもしれないと希望を抱いたが、彼はちらと視線を寄越しただけで、やはり動かなかった。  誰も寄せ付けようとせず、ひたすらにその場から動かずにいる姿は、身体を休めているというよりも誰かを待っているかのように見えたと言う。 「ブラッキーは、貴方を待っていたのかもしれません」  おやであるアランを見て、ぽつりとサリアは言った。  アランは甘い言葉に揺れることなく、顔を俯かせ、静かに首を振った。 「解りません。……自信はありません」  その理由を彼女は続けなかったし、サリアやエクトルも深く掘り下げようとはしなかった。アランの言葉に滲む、強い拒絶のような意志を静かに感じ取ったからだった。 「でも、結局その後、ブラッキーはどこかに行ったんですね」 「はい。普段、夜中は閉めるんですが、昨晩は結局一晩中開けていました。夜明け近くになって見に行ってみたら、既に姿は無く」  でも、と続ける。 「置いていた木の実を、一つ食べてましたよ」  サリアは嬉しそうに笑んだ。 「……そうですか」  アランは、優しげな声でただ一言ぽつんと呟いた。  ヤミカラスを襲撃してから、他のポケモンや人を襲うこともなく、完全な拒絶をすることもなく、彼は彷徨っている。たった一匹、慣れぬ土地を渡り、この教会は彼にとってひとときの微睡みの空間となったのかもしれない。  エクトルは沈黙するアランを横目にしながら、考える。仮にサリアの言うように、ブラッキーもアランを求めているのだとすれば、今は擦れ違いを起こしているに過ぎない。会うことさえできれば、元の鞘に収まり、何故今回のような衝動的な事件を起こしたのか、その疑問への追求に集中できるだろう。だが、浮かび上がる懸念事項への警戒を続けるに越したことはない。 「ただ、その後どこに行ったかは解りません。お役に立てず、申し訳ございません」 「そんなことないです。ありがとうございます」  慌てて頭を下げるアランに、サリアは微笑ましさを覚えたようで、にこやかに笑う。 「私はポケモンに詳しくありませんが、草臥れたような様子だったので、時間が経っているとはいえまだこの辺りにいる可能性はあるかと思います。見つかるといいですね」 「はい」  サリアに礼を言い、彼等は教会を後にしたところで、エクトルは不意に呼び止められた。 「……何か?」 「一つだけ。……クラリス様は、ご健勝でいらっしゃいますか」  エクトルは表情を変えず、暫し言葉を選ぶように沈黙してから、顔を上げる。 「元気でいらっしゃいます。先日成人の儀をつつがなく終え、噺人としての責務を全うされておられます」 「ああ、そうですか。安心致しました」  サリアはぱっと喜びを素直に顔に出した。  彼女はエクトルがクラリスの付き人であることを知っているのだ。クラリスの現状を知る者は、クヴルールの中でも限られている。教会を預かる身であるサリアも、大きな枠からすれば末端の身なのだろう。  水神様のご加護を、と手を合わせた彼女の別れの挨拶を受け、外に出れば、天頂に迫ろうとする太陽の光が目を突いた。 「クラリスが、噺人として生きていく。それで、本当に良かったのか、私には解らないんです」  玄関から数歩離れ、サリアを含め周囲に人の気配が無くなったところで、アランは呟いた。独り言のように小さな声だが、エクトルへ向けた言葉でもあった。エクトルはゆっくりとアランを振り返る。 「キリの外に出ることを願っていて、自由を求めていて……最後、クラリスは手紙で、受け入れているように書いていましたけど、それは本当のクラリスの思いだったんでしょうか。私にはそう思えなくて」 「……良い悪いではありません。お嬢様の意志も関係ありません。噺人として水神様に選ばれた、そうと判明した時から、全ては決まっていました」 「でも、何も閉じ込めなくたって。一番大切なのが季節の変わり目なら、それは一年に四回。その間くらい、自由にさせてあげたって、いいじゃないですか」 「噺人は、時と心を水神様に捧げます」  アランはエクトルを見上げる。 「時と心?」 「ええ。生きているその時間。心は、清純でなければ水神様をお言葉を頂くどころか、水神様に辿り着くことすらできないと言われています。だから、噺人は日がな一日、水神様に祈りを捧げ、心を手向ける。そこに余計な感情は要らない、と」 「余計な感情……クラリスが自由を望んだことが、ですか。他の町へ行ったり、誰かを好きになったり、友達を作ったり、キャンプをしたり、ああいうなんでないことを望むのは、余計なんでしょうか」  エクトルの内心にそっと棘が立つ。 「あくまでも、噺人としては、です」 「でも、クラリスにその自由を望ませたのは、エクトルさんじゃないんですか」  エクトルの表情が僅かに歪んだ。 「私が?」  鈍い低音に気圧されるように、アランの目が揺らいだ。 「……はい。クラリスは、外の世界に強い憧れを持っていた。旅の話をよく聞きたがった。旅の話を聞くのが、好きだって。それは、エクトルさんの旅の話を聞いていたから、でしょう?」  流石に強い威圧に怖じ気づいたのか、慎重に言葉を吐いた。対し、エクトルは厳しい視線をアランに刺す。  彼女はエクトルの過去を知っている。ザナトアから聞いたのだろう。どの程度か彼には不明だが、少なくとも、嘗てアーレイスをポケモントレーナーとして旅をしていた事実を知っている。エクトルにとってはとうに遙か昔に追いやって薄ぼやけた記憶。キリに籠っていては感じられない他地方の空気、町、人々、文化。自ら足を運んで見聞が広がる喜び、育成の楽しさ、勝利の達成感、どうしても勝てない苦しみ。縁を切ったはずの家に連れ戻され、顔を突き合わせた、腐敗した狭小な世界に閉じ込められる運命にある憐れで美しい少女。 「エクトルさんだって、できるだけ、クラリスの好きなようにいさせてあげようと」 「クレアライト様」  早口で制す。敢えて呼んだのは、彼女のまことの名だった。アランは眉間を歪める。 「憶測だけで物事をはかるのはおやめください。……お嬢様に旅の話を聞かせたとは、仰る通りです。しかし、私に語るものがそれしかなかっただけ。悩まれた末、お嬢様は自らクヴルール家に戻ることを選ばれました。そうする他なかった」  努めて静閑たる語調ながら、一言一句が刃であった。息を呑むアランの前で、大きな息を吐く。 「それだけが事実です」  ぽつりと、突き放した。  アランは何か言いたげに口を開いたが、すんでで留めた。二の句を告がせるだけの余裕すら潰すエクトルの重圧に、圧し負けた。  と、エクトルは微細な振動を感じ、上着の裾を上げた。ふっと緊張の糸が緩む。モンスターボールを装着できるように設計されたベルトの、最も一番手前に位置したモンスターボールを取り出す。小刻みに震える捕獲器を開放すると、中からネイティオが姿を現した。 「視えたか」  静かに尋ねると、ネイティオは頷いた。 「ネイティオがブラッキーの出現地を視たようです。今は、こちらに集中を」  アランを振り返って言うと、彼女は驚くわけでも喜ぶわけでもなく、覚悟を固めるように首肯した。  常に閉じられた翼が突如開き、ネイティオがゆったりとした動きで飛び上がる。予知した地点へ誘おうというのだろう。天を仰いだところで、アランは目を大きく見開いた。  一陣の冷たい風が吹く。 「待ってください」  向かおうとした一同を制する。驚愕を秘めた栗色の瞳の向いた先に視線が集まる。  上空、正面の屋根の付近を飛んで現れた鳥ポケモンの群れ。白壁に朱色が鮮やかな、ヒノヤコマがぱっと気が付いたように甲高い声を上げ、下降してくる。連れ立つのはピジョンやムックルといった同じ鳥ポケモンで、既に彼女にとっては見慣れた姿であった。ヒノヤコマの背には、なんとフカマルが跨がって手を振っている。則ち、ザナトアの育て屋に集うポケモン達である。 「どうして」  アランの声は明らかに動揺していた。既にポッポレースは始まっているはずだ。レース本番に挑んでいれば、今頃湖畔の上空を疾走しているはずである。特に、ヒノヤコマやピジョンといった進化組はチームを統率する要にあたる。はなから彼等が欠けた状態で出場しているのか、なんらかのアクシデントがあったのか、この場では判別がつかない。  一同がアラン達の正面に集まり、スイッチが入ったかのようにその場は賑やかになる。緊張は嘘だったかのようだ。羽音や鳴き声が彼女達を鼓舞する。エーフィは柔らかく笑んで、アランを見た。  喉がこくりと動き、彼女は唾を呑む。 「手伝ってくれるの?」  信じられないでいるのか、まず問いかけたが、はじめ反応しなかった。しかし、エーフィが通訳をしたように鳴き声を発すると、一様に頷き、頼もしい歓声をあげた。  フカマルがアランの前に出る。ぎゃ、といつもの声を上げて、手を上げた。無邪気な彼を凝視している脇の視線には気付かないで、アランは毒気を抜かれたように微笑んだ。しゃがみこんで小さな青い手を握り、両手で優しく包む。細かな竜の鱗が肌に食い込んでも構わないように、握る手に力が籠る。そして聞き慣れた賑わいを見回した。 「ありがとう、皆」  噛み締めた言葉を絞り出し、アランは立ち上がった。 「行こう。ブラッキーを迎えに」  一斉に翼が広がった。今も行われているであろう、無数の翼を持つ者達が発つ湖畔でのレースに比べればずっと小規模だが、力強い羽ばたきは太陽に向けアラン達を先導する。引力に導かれるまま、彼等は走り出した。 < index >
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scenaritrpg · 7 years
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SW2.0シナリオ 『レプリカ=ループ』
シナリオ名 :「レプリカ=ループ」 推奨人数  :3人 推奨レベル :6-7 ジャンル  :ノンストップエンディングアドベンチャー 難易度   :★★★☆☆
製作者    :しょーぐん
 ●概要  テラスティア大陸北部。ザルツ地方の北に位置する、城塞都市バーレスにある冒険者の店にてPC達が依頼を受ける事で物語は始まります。  約90年前から現在にかけて、段々と目立つようになってきた一つの事件。 それは、"ナイトメアの誘拐事件"である。しかし、産まれながらにして差別の対象となり、迫害され、親に見捨てられるナイトメアを保護する必要が無くなった各国は、その事件を有難く思い、笑みを浮かべながら目を瞑っているのだ。 故に、その事件は永遠に解決されない。表面上では調査を行う国はあるかもしれない。 しかし、その調査結果は語るまでもない――。 そんななか、君達は誘拐された依頼人の娘を救い出すべく、その奇妙な事件へと足を踏み入れて行く事となる――。
 ●導入  PC達の関係性はご自由に。朝9時に、PC達が城塞都市バーレスにある冒険者の店にいる事を前提に始めていきましょう。  テラスティア大陸北部。ザルツ地方の北に位置する、城塞都市バーレスより物語りは始まります。  春のそよ風が君達の頬を撫でる。暖かな日差しは眠気を誘い、澄んだ空気が体全体に染み渡り心地よい。  そんなことを感じながら君達は武具やポーション類を補充する、冒険者たちで賑わいを見せる市場を抜け、冒険者である君達は、その街にある冒険者の店に訪れることだろう。  同時に街では、朝9時をさす協会の鐘の音が鳴り響いた。  君達が店の中でしばらく滞在していると、店の扉が開かれ、一人の緑髪のエルフの青年が数十枚の紙を抱えながら店内へとやってきては、店主である人物にその紙を手渡し、なにやら話をしている。 聞き耳判定(6)  「はいこれ、今月の被害者達ね。うーん被害者ってのは間違っているかな? まっいっか。あっそれからこんなものも渡されたよ」  そう言って青年は上質な一枚の紙を店主に手渡し、再び口を開ける。  「こっちは依頼書ね。まったく悪い冗談だよねー。ほっとけば良いのにさー。まぁ僕はこれを貴方に渡してって頼まれただけだし? 関係ないんだけどさ。これ見てよ!報酬金すごくない!? でもナイトメアにこんな大金をはたくなんて相当な金持ち――」  そこまで青年が言うと、ずっと口を閉じていた店主が机を勢いよく叩きつけ、その青年を酷く睨みつけながら小さく、端的に呟く  「帰りな、クソガキが」  その言葉を聞き終えた青年は汗をダラダラと流しながら逃げるように冒険者の店を飛び出していきました。
 店主は額に手を当て「はぁ」と深くため息を吐きながら店内を見渡し、カツカツと足音を立てながらPC1に近づき、声を掛けてきました。 【依頼を受ける様に促して下さい。PC1が了承すれば、同じようにPC2にも声を掛けてあげて下さい。】
 そうして〇人を集めた店主はカウンターへと戻り、ふぅと一度深呼吸をした後に口を開ける。  「これから話す依頼は、その、まぁ、あれだ。今ザルツをちょっこし騒がせている例の事件だ。あんたらも冒険者なら知ってんだろ?」 【ここで見識判定を降らせても、降らせなくても構いません。失敗しても店主が説明してあげて下さい。達成値は(8)です。】 『例の事件』について ・約90年前から少しづつ現在にかけて、段々と目立つようになってきた一つの事件。 ・簡単に概要をまとめると、ナイトメアが誘拐される事件である。 ・誘拐されるナイトメアの年齢層は生まれたての者も居れば、少年と呼ばれるまでに成長した者。青年と様々である。 ・しかし、産まれながらにして差別の対象となり、迫害され、親に見捨てられるナイトメアを保護する必要がなくなった各国は、その事件を有難く思い、笑みを浮かべながら、目を瞑っている。 ・故に、その事件の解決は永遠にされない。表面上では調査を行う国はあるかもしれない。しかし、その現状は――語るまでもない。  一通り説明を終えた後に、店主はまた新たに一枚の紙を取り出し、君達に見せる。それは依頼書でした。
~依頼書~
条件 ・誘拐された子供。ケラソス=エスペランサの救出。 目的地 ・エテルニータの村
依頼主 ・ベディヴィア=ケラソス
内容 娘が誘拐されてしまいました。お願いします。娘を取り戻してください。
 「少し大きな仕事にはなるが、そのぶん報酬も沢山でる。しかし一つ条件があってだなぁ。その依頼は極秘裏に遂行してほしいんだ。国になに言われるか、わかんねーからな。どうだ?危険だけど莫大な報酬が出る依頼。受けてみる気はないか?」  ここで依頼を引き受ける様に促して下さい。  「エテルニータの村。ここが奴等の本拠地だ。気を付けてくれよ。その村にナイトメア以外の種族は入れさせないって噂を聞く。潜入するときはくれぐれも慎重にな」 「あとそれから、これを持っていくと良い。エテルニータまでの地図だ。ライダーギルドの人に見せるなりなんなりしてくれ。」 「さてと、これで俺の仕事はお終いだ。報酬金の受け渡しやお子さんを連れて帰る場所はここじゃなく、依頼人ご本人さんとやってくれ。それが依頼人さんのご希望らしいからな。ほら、その依頼書の裏に依頼人の家の地図が載ってるだろ?それを頼りな。まぁ挨拶ぐらいはしといたらどうだ?」  「それじゃあな。頼りにしてるぜ冒険者さん達。」
 ●ケラソス邸  君達は地図を頼りにケラソス邸にまで足を運ぶ。  そこは高さ約9メートル、横は約11メ―トル。そして家を囲むようにして建設されている外壁は2メートルほどで、その真ん中には正門がある西洋風の家が建てられてあります。  そして、君達は正門を潜らずとも、それに目が付くでしょう。  その家の庭には西洋風の家には、あまり似合わないピンク色の花を満開に咲かせている大きな木が一つ植えられており、春風が吹くたびに、ピンク色の葉が、空に舞っています。
 君達が正門を潜り、扉をノックすると、中から一人の女性が出てきました。  その女性は酷くやつれており、虚ろな目で君達を見て尋ねます。  「はい、なにかしら...?」 「〇〇〇です」  君達がそう答えると、女性は目に輝きを取り戻し  「あぁ!貴方達が!そう、引き受けてくれたのね・・・!! ありがとう・・ありがとう・・!!お茶を用意するわ!上がって頂戴!」  そう誘われ、君達は玄関を潜り、家の中へと入っていきます。  入って左に進んでいくと、暖炉や椅子などが用意された大き目の部屋があり、「そこらへんの適当な椅子に腰かけて待っていて。すぐにお茶を用意してくるわ」女性はそう言ってその場から離れました。  しばらくすると、優雅な臭いと、甘い匂いを漂わせながら、女性が戻ってきました。  その手にはふわふわと湯気がたつハーブティーと、ほのかにオレンジ色をしたクッキーを両手に持っていました。  「おまたせしてしまって、ごめんなさい。」  女性はそう言いながら君達にお茶とお菓子を配り、腰かけます。  「申し遅れてごめんなさい。私の名前はケラソス=ベディヴィアよ。よろしくね」
・ケラソス=エスペランサについて 君達がそのことに触れると、ベディヴィアの顔は暗く沈みました。そして小さく「なにについて聞きたいのかしら?」と尋ねます。 ※ケラソス=エスペランサ 14歳のナイトメアの女性。 明るい性格で、とても優しい。 ピンク色の髪を持つ。 ・父親は・・・? 「父は私がエスペランサを産んだのを憎み、ナイトメアの赤子を産みやがって!と吐き捨てられ、そのままどこかへ行ってしまいました。だからこそ私はこの子を守らなきゃと思ったのです。それなのに・・・。それなのに・・・。」 ・庭の木について 「あれは私とエスペランサで植えたものなんです。桜と呼ばれる木でして、今の時期になると、ああやってピンク色の花を咲かせるのです。それでエスペランサは私の髪の毛と同じだと毎年喜んでくれました。それがとても嬉しくて・・・」
 ●エテルニータの村へ向かう ・エテルニータへは徒歩で16時間 馬車で4時間  君たちが馬車を借りるべく、ライダーギルドへと足を運ぶと、緑色の鮮やかな鱗が目立つガタイが大きなリルドラケンが出迎えてくれます。  「おう、らっしゃい。」 エテルニータまで行きたいんだけど・・・。  「エテルニータ…ねぇ…。あそこの村に入る為には、村から発行される許可証を持った荷台しか入れねぇんだよ。だから連れて行けるのは村の近くまでだな。そこからは30分程は歩いてもらうが構わないか?」 「それじゃあすぐ用意するから、街の正門でちょい待っといてくれ。」
 君達が馬車に乗り込むと、鞭をうつ音が鳴り響き、動き出す。  街を抜け、平地の草原を抜け、木製の端を渡り、馬車は深い森へと入っていく。  人工的に造られた大きな一本道を進み続けること約15分。馬車は減速していき、そして停車する。 「俺が連れて行けるのはここまでだ。ここからは歩いて行ってもらうぜ」 待っていてくれるかな?  「あぁ?仕方ねーな。今晩まで待っといてやるよ。」 これ以上は進める?  「バーレスを出る際にも行ったが、そいつはできねぇ。わりぃな」
ここから先は歩くよ。 「おう、くれぐれも気をつけてな。」
 君達が、大樹に囲まれた大きな一本道を歩くこと約25分後。  視線の先に見えてきたのは、木造でできた高さ約5m近くある大きな柵だった。  しかし、この一本道の最終地点にその柵は立てられてはおらず、変わりに幅約4m程の開けた場所があるだけだった。
・進む  君達が更に歩みを進めていくと、幅約4mの開けた場所は正門であり、同時にその正門の両端には、腰に剣を掲げている者が一人ずつ立っている事に君達は目がいくだろう。
・隠れて進む  君達は一本道から外れ、大樹に身を潜めながら、その場所へと歩を進めていく。  すると幅約4mの開けた場所は正門であり、同時にその正門の両端には、腰に剣を掲げている者が一人ずつ立っている事にも君達は目がいくだろう。
・門番に声をかける  「何者だ」 冒険者なのですが・・・  「冒険者がこの村になんの様がある。立ち去れ」 【ナイトメア以外の種族には厳しいです。しつこく迫られた場合はダークナイト*2と戦闘にしちゃいましょう】
・しばらく様子を伺う  君達が大樹に身を潜めながら、様子を伺っていると、鞭の音を鳴らしながら一台の荷馬車が君達を横切り、正門で停車する。そして何やら門番と会話をしているようです。
聞き耳判定(9) 君達が聞き耳を立てると、どうやらこんな会話をしているようでした。 「許可証は?」  「はい、これをどうぞ」 「荷台の中身はなんだ?」  「主にポーション類だ」 「なるほど。わかった。通ってよし」 「数分後に、武具を乗っけた荷馬車がもう一台来るから、そのときもよろしくなー」 と言って、荷馬車の運転手は正門を潜り、中へと入って行きました。
※この聞き耳に成功している場合、下記のイベントが発生。
・そのまま身を潜め続ける。  君達が更に木蔭で身を潜めていると、先ほどの運転手が言っていた通り、荷馬車がやってきては、数回、門番と会話をした後に、また中へと入っていきました。
・もう一台の荷馬車に乗り込む ○○の理由があって、荷馬車に乗せてくれませんか?  「どういう理由があるかはしらねぇが、乗車代さえ頂けりゃ、別にかまわんよ」 ※ここで正直に依頼を話せば金次第で協力し、降車する際に頭を隠す帽子を貸し与えてくれる。 一人100G 値切り不可  ※金を出せば友好的に接する。
 君達が荷馬車に乗り込んだ事を見届けると、鞭をうつ音が森に鳴り響き、ごとごとと揺れながら動き出す。  数分後、その揺れは無くなり、声が聞こえてきます。 「許可証は?」  「はい、これをどうぞ」 「荷台の中身はなんだ?」  「武具類だ」 「なるほど。わかった。通ってよし」  その言葉を聞き終えると同時に、鞭を打つ音と共に荷馬車は動き出す、先ほどに比べて揺れが激しくなり、数分後、荷馬車は停車した。  「ほら、着いたぜ。荷降ろしの邪魔になる、さっさと降りな。」 依頼内容を正直に話していた場合下記のイベント発生。 「あ、それからこの村じゃナイトメア以外の種族は歓迎されない。これを持っていきな」 と言い、フード付きのローブを貸し与えてくれる。 「ほらほら、それを被ったら人目が無い今の内にさっさと降りな」
 ●エテルニータの村。  君達が荷馬車を降りると、そこは石畳の上であった。辺りを見渡すと、木造の家が多くあり、爽やかな春の風が君達の頬を撫でる。  君達は確かにエテルニータの村に忍び込むことに成功したのだった。 ※ここでハンドアウトの公開 ・宿 ・広場 ・武器屋 ・道具屋 ・料亭/酒場 ・村長の家 【宿】  君達が宿に入ると、その扉が開く音を聞いてか、奥から「なんだ、なんだ、珍しく客人か?」と言いながら、カウンターの方にナイトメアの男性がやってきました。
 「なんだあんたら?泊りに来たのか?」  「――まぁ、こっちも商売だ。深入りはしないさ。ほら、このカギを持ってきな。部屋は左にある階段を上った場所にあるよ。それじゃあな」  ナイトメアの男性はそう言って、また奥のほうへと消えていきました。
【広場】  君達が広場に向かうと、そこには陽気な音楽を引きならす者や、追いかけっこ等をして遊ぶ子供たちの姿を見る事ができます。
【武器屋】  君達が武器屋にまで足を運ぶと、そこに扉などはなく、カウンターの前に立つ受付の女性と、その奥には多種多様の武器が見えるようにして陳列されていました。
【道具屋】  君達が道具屋にまで足を運ぶと、そこも武器屋と同じく扉などは無く、カウンターの奥に果物やポーション類が見えるようにして陳列されています。
【料亭/酒場】  君達が酒場の方へと向かうと、中から賑やかな声が外にまで響いています。 少し上を見上げると、木造の看板が取付けられており、そこには【飯屋】と掘られていました。
 扉を開け中に入ると、それはまぁ賑やかな場所でした。  酒を飲みあかし語り合う者達や、陽気な雰囲気に飲まれて歌いだす者など、そこにいる者が思い思いの時間を過ごしています。
【村長の家:外】  君達は村長の家に向かうべく、歩を進める。
 君達が木製の扉をノックするも中から返事は聞こえてきません。 ※スケジュール的に荷馬車の納品業務に出ているため。
・ドアノブをひねる  君達はドアノブをひねってみますが、どうやら鍵がかけられている様で、開きません。
・辺りをぐるっと一周する。  君達が辺りをぐるりと一周すると、一つだけ開けっぱなしにされている窓があることに気が付くでしょう。  人間一人ぐらいは余裕で入れそうな窓です。 【村長の家:内部】  君達が村長の家の中に入ると、外観の大きなの割には、そこが吹き抜けのワンルームであることに気が付きます。  そこには書類が沢山積まれている机や、人間二人が入れるような大きさのベッド。いくつもの本が綺麗に整頓されている本棚。見るからにふかふかのソファ等があります。
《 机 》  君が机に近づいてみると、机の真ん中。書類が詰まれていない場所に《今日のスケジュール》と記載されている紙が置かれていることに気が付きます。
【今日のスケジュール】 ※共有メモ 9時00分 朝の見回り 〇時〇分 荷馬車の荷降ろし ※ここを軸に時間調整 〇時〇分 昼の見回り 〇時〇分 奴隷地下区の見回り ※このメモをも見た辺りの時間に設定。対面を回避。 〇時〇分 夕の見回り 18時00分 帰宅 ※これを見たら(奴隷地下区の情報を得たら)、ハンドアウトに奴隷地下区の情報を追加。
《 ベッド 》  そのベッドは中々に大きく、かけ布団等も綺麗に敷かれています。 良い匂い。
《 本棚 》  その本棚には、冒険譚や哲学本、絵本など、様々な本がきっちりと種類別に整頓されて置かれてあります。 探索判定(4)  君が本棚を探索すると、綺麗に整頓された本棚から微かに前にはみ出ている本を見つけることが出来ます。 【取る】  それはごく一般的な本です。※この本に意味はない。 【直す】  君が手に取った本を直そうとすると、その奥にもう一冊、まるで隠すように直されてある本を見つける事が出来ます。 【見る】  その本のタイトルには【永久幸福革命譚】と記されており、その下に小さく【著者:ルヴァンシュ】と記されています。
永久幸福革命譚 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 多くの悲しみを見た。多くの嘆きを耳にした。 数え切れぬ屍を見続けた。数え切れぬ終わりを見続けた。 永遠に癒えぬナニかを背負いながら、私は――七百八四年目の桜を見た。 私はそこそこ裕福な家に産まれ、そして、すぐに父に捨てられた。理由なんてただ一つ。それは私がナイトメアだからである。多種多様な生命が生きるこの世界では、其々が長所と短所と特��を持っている。それは互いが認め��い、共に手を取り合えば素晴らしく真価を発揮するもの…だったのだと思う。しかし神は、人間に運命に愛された種族などとばかげた特徴を与え、更につけ加えるとこの世界で最も繁栄を果たした生命体となったソレは、この世界の天秤の針を大きく傾かせた。運命に愛されただと?馬鹿を言うな。何かに長けている訳でもなく、寿命も七十年やそこらしかないあの愚かな種族が?人間はこの世界で最も愚かな生命体であり、そして。この世界で一番の神の失敗作だ。 永遠の命を持つ究極生命体、ナイトメアこそ最高傑作。一寸の狂いなんてなし。なのに、それなのに――。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 時に我々は、伝染病の元凶とされ 時に我々は、国民の不満のはけ口にされ、 時に我々は――。
実に百六十年。私はその苦痛に耐え続けた。
なぜより良い世界を目指そうとしないのか。 文明の発展を、種族特徴の研究を、道徳の進展を。 我々は、背負っていける。 何年、何十年、何百年、何千年。否、永遠に語り継いで行ける。 なのに、それなのに――!! ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 終着点が定められている限りある命など無駄でしかない。 命の終わりは悲しい。 命の終わりは恐ろしい。 なぜ神は、我々以外に生命活動の終着点を与えたのだ・・・。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 命に終わりが無いのは嬉しい。 命に終わりが無いのは喜ばしい。 我々は恵まれている。どんな種族よりも、どんな生命よりも。 それ故に許せない。 なぜ永遠に、迫害され続けなければならない。 なぜ永遠に、癒えぬ傷を背負わなくてはならない。 それはおかしい。 それは間違っている。 我々ナイトメアだって――他の生命が感じているような幸福や幸せが欲しい。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 永遠の苦痛などうんざりだ。 永遠の悲しみなど狂っている。 永遠の恐怖なんてものは必要ない。 私は、ただ欲しいだけなんだ。 笑いあって、喜び合える、永遠の幸福が――。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 我々、ナイトメア以外の種族はみな、死に別れる。 それは、実に悲しい。 それは、実に愚かだ。 それは、実に無駄なこと。 ならば、誰かが作るしかない。 永久に”死”の概念が存在しない楽園を。 誰も悲しみ、嘆くことのない理想郷を。 誰が、誰が――。
――私が今ここに、革命の狼煙を上げよう。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 我々はもう迫害される恐れは無く 我々はもう死に怯えることも無い。 我々は誰もが平等であり 我々は誰もが幸福である。 我々が、我々のみで統一された この世界でただ一つの楽園。
永久の理想郷:エテルニータ。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――
 《 ソファ 》  ふかふかです。
【奴隷地下区まで】  君達は奴隷地下区まで向かうため大道理を歩く。しかし奇妙なことに、その大通りを進めば、進んでいくほど人の気配はなくなっていき、数分歩くと、いよいよ人の気配は全く感じられなくなった。そんな奇妙な場所に、その奇妙な建物はあった。それはコンクリートのみで築き上げられた、大きさは約5メートルほどの、あまりにも綺麗な正方形の建築物であった。
・ドアノブをひねる  君達はドアノブをひねってみますが、どうやら鍵がかけられている様で、開きません。
 しばらくすると、遠いところから微かに足音と金属音らしき物音が君達は聞えてくるだろう。  それは段々とこちらに向かってきている様だ。
聞き耳判定(9) 地下区の業務は楽できるから最高だぜー。なぁ?」 「あぁ、ストレス発散にもなるしな」 「ちがいねぇ」「がははは」「がははは」 と言う会話が聞こえてきます。
【隠れる】  君達が物陰に身を潜めていると、その足音と金属音は段々と大きくなり、そして。  その奇妙な建築物の前で足を止める。 「おい、周りに異状が無いか確認しておけよー」 「大丈夫大丈夫、どうせ誰も居ないって」 「まぁそりゃそうか」  その会話が終わると、かちゃりと言う音と共に、再び足音と金属音が鳴らしながら、その音は消えていきました。
【戦う】 「おいおい。なんだあんたらこんなところに」 「見ない顔だな・・・」 「ここは安易に坊ちゃん達が来ちゃいけない場所ってことぐらい知ってんだろー?さっさと立ち去りな」
【エネミー】 ダークナイト*2
戦利品判定orスリ判定で、奴隷地下区の鍵を入手。  君達が入手した鍵を、鍵穴に差し込むと、かちゃりと音をたてました。扉を開けると、中とても暗く、下へと続く階段だけが伸びており、4段目より先は、暗視を持っていない者は見ることが出来ません。君達が階段を下り進めていくこと約1分。段差はなくなり、先へと続く道がまっすぐに伸びていました。その道を更に進むと、その奥には重々しい雰囲気を漂わせる鉄扉が一つ。取り付けられています。
・ドアノブをひねる  君達はドアノブをひねってみますが、どうやら鍵がかけられている様で、開きません。
・地下奴隷区の鍵を使用する。 先程入手した鍵を使用すると、かちゃりと音をたてました。 聞き耳判定(8)  君はその冷たい鉄の扉に耳を当て、聞き耳を立てる。  そんな君に聞こえてきたのは、うめき声や嘆き声。罵声と怒号。そして。鞭のようなものが打たれる音であった。
・扉を開ける。  君達がその扉を開けると、そこには奇妙な光景が広がっていた。  簡潔に言うと、ソレは巨大な空洞であった。自然で作られたものなどではない、明らかに人の手によって作られたものだ。  もちろんのこと太陽の光などは差し込んではおらず、代わりに松明の炎がメラメラと淡い光を灯しているのみである。  大きなピッケルを担ぐ人族の男性や石炭や魔晶石を運ぶ人族の子供たち。  そして、木製の木の板に永久繁栄労働者と彫られたプレートを首から下げ、葉巻やエール等を飲み散らかす女性たち。  なによりその空間で一番恐ろしいこと。それは。  蛮族と少数のナイトメアがソレらを監視していることである。
※君達が今いる場所から、大体を見渡せるため、地図を更新します。
Tumblr media
【GM情報】 PC達は左下にいます。右橋の長方形は鉄格子の檻。主に人族が収容。 上四つの正方形は魔晶石や鉱石を補完する場所です。 上四つ、右上端の空白部分は奴隷が堀り進めている穴です。 【地下奴隷区:内部】
・少し様子を見る  君達が少し様子を見続けていると、魔晶石を運び続けていた一人の少年がふらふらとよろめき、そして。倒れる。  起き上がる気配はなく、ただその場で地に伏せ続けている。  しばらくすると辺りはざわめきだし、その様子を見てかナイトメアが二人その場に歩み寄り、口を開く。  「生命活動、残りわずか。処分一名。」  端的に、そして機械的にその言葉を口にすると、そのナイトメアは腰にぶら下げていた鞘から剣を抜刀する。  「お前は魔晶石を永遠に運ぶだけの家畜だ。それすらもできねえ生命体は――ただのゴミだ」  そう吐き捨てると同時に、少年の首元に剣先を向け、そして――。 【何も行動を起こさない】  無情にも、その剣は少年を貫いた。 【行動を起こす】  「ん?なんだ!?侵入者か!?」
【エネミー】 ダークナイト*2 前衛 オーガ* 後衛 コボルドシューター*2 後衛
 君達が戦闘に勝利すると、辺りがざわめきだす。  「どうなってる・・・。」  「なにが起きたんだ・・・。」  その声は段々と大きくなっていき、奴隷地下区の者たちは君達に迫りより、説明を求めてきます。
君達を開放する。  「だけど、ここを出ることは重罪だ。死刑にされちまう・・・。」  「外の世界に出ると俺達、人間は迫害されちまう」  「人間は産まれながらにして穢れてんだ。外に出ても居場所なんか――」 ※この人間たちの正体は産まれながらにしてここで育ち、労働を強いられ、洗脳された者達です。
ケラソス=エスペランサを探しに来た。  「ケラソスなら、あそこだよ」  と言って、檻の中を指さす。するとそこには綺麗なピンク色の髪をした女の子が膝を抱え座り込んでいました。
●ケラソス=エスペランサ 君を開放しに来た。  「私を――? おうちに帰れるの?」
●クライマックスフェイズへ  「ねぇ待って、冒険者さんたち」  「これから、どうするの?」 君を家に送り届ける  「ありがとう・・・。でもね冒険者さん。助けてあげて欲しい人がいるの」  「私がここに収容された理由は他の人とは少し違うの」  「私は、この村の勉強をする為にここに入れられた」  「この村の在り方を、私たちナイトメアはどう生きなければならないのか。とかね」  「私ね、少し思ってしまったんです。村長の理想は間違えていないと。でも、こうしてナイトメア以外の種族が苦しむのは間違えている。だから、止めて欲しいんです。お国の騎士はきっと耳を傾けてはくれない。でも私たちを救ってくれた冒険者さん達なら!きっと」  それ以上の言葉を発することはなく、唇をかみしめ、エスペランサは俯く。 村長を止めに行く。  「やっぱり、そうなんですね・・・。」  「実は私、ここに収容された理由は他に人とは少し違うの」  「私は、この村の勉強をする為にここに入れられた」  「この村の在り方を、私たちナイトメアはどう生きなければならないのか。とかね」  「私ね、少し思ってしまったんです。村長の理想は間違えていないと。でも、こうしてナイトメア以外の種族が苦しむのは間違えている。だから冒険者さんがそう言ってくれて私は嬉しい。でも、一つだけ。お願いを聞いてくれませんか?」  「私も連れて行ってください。絶対に足は引っ張りません。お願いします!」
【村長の自宅へ】  君達は村長の家に向かうため、走り出すこと、約数分。君達は二度目である村長の家に着くことが出来る。 ・ノックする  君達が木製の扉をノックするも中から返事は聞こえてきません。
・ドアノブをひねる  君達はドアノブをひねってると、かちゃりと音をたてました。 どうやら空いているようです。
・辺りをぐるっと一周する。  君達が辺りをぐるりと一周すると、一つだけ開けっぱなしにされている窓は開けたままなことに気が付くでしょう。
【村長の家:内部】  君達が村長の家の中に入ると、その異様な光景がまず目に行くだろう。  綺麗に整頓されていた本達、机の上に積まれていた書類などは全て床に散らばっており、机の上には、ナイフが突き刺された一冊の本と、一枚の紙が置かれています。
《 机 》  君が机に向かうと、その上には、ナイフが突き刺された一冊の本と、一枚の紙がある。
 ナイフが突き刺さったその本には【永久幸福革命譚】と記されています。
 一枚の紙には、ただ一言「広場で待つ」とだけ、まるで殴り書きの様に書き記されていました。
【広場に向かう】  血のように赤かった夕日は沈み、君達は街の街頭だけを頼りに広場まで向かう。  目標地点に近づいていくにつれて、空間が汚れていくような感覚に陥る。  そして見えてきたのは、広場の中心に立つ二体の影。  そうして君達が広場に辿り着くと同時に、その声は村に木霊する。  「そう。貴方達なのね。この理想郷をこそこそと嗅ぎまわっていた奴等ってのは」  「充分に満喫できたかしら?ここは素敵なところだったでしょ?」  「でも、この村はもっと凄くなるのよ」  「迫害されているナイトメアを保護し、産まれると同時に捨てられるナイトメアを保護し、そして、この理想郷の人間には、永久に哀れな生を産み続けてもらい、ナイトメア以外の生命は処分する。そうして傾いた天秤を修復させていくと同時に、この村は街となり、国となるの。永遠の命を持つナイトメアのみで統一された、不老不死の王国!この世界でただ一つの理想郷を建国させるのよ!」
【お前は間違っている!】  「間違っている・・・。ねぇ。確かに。選択肢は何万通りもある。それでも選べるものはただ一つ。何万通りもある選択肢を全て試すには――貴方達の生命は短すぎる。」  「でも私は違う。私は永遠の命を持っている!もし仮に、今の方法が間違っていたとしても!それを正せる時間が、私には無限にある!永遠の命をもつナイトメアこそがこの世界を正しく導ける!より優れた種族が、そうでない者たちを管理せねばならない!」
 「私が掲げた理想は!正義は!決して!間違いなどではないっ!」
 そう高らかに宣言した、永遠の理想郷の不死王マリー=ルヴァンシュは鞘から剣を勢いよく抜刀し、君達に剣先を向ける。  同時に後方から響くのは鼓膜を破るかのような大地をも揺るがす強烈な咆哮。戦闘です。 【エネミー】 マリー=ルヴァンシュ*1 前衛 ミノタウロスキャスター*1 後衛 真悟魔法&神聖魔法
【勝利】 「――ウッ・・・。またこの結末なのか・・・。」  折れかけの剣を杖代わりに未だ立ち上がろうとするルヴァンシュは虚ろな目で君達を見ながら小さく掠れた声で続ける。  「私は、私は・・・。間違っていたのだろうか・・・?」
 その言葉を最後にルヴァンシュはゆっくりと瞼を閉じ、杖代わりにしていた剣を捨てるようにして、何百年と蓄積させた思いと共に、その体を大地に預ける。
 そんなルヴァンシュに近づく一人の影。それは同じく永遠の命を持つナイトメアの少女。ケラソス=エスペランサの姿だった。  その少女は倒れこむ女性に手を差し伸べ、口を開けた。  「私は悲しかった。生まれながらにして、穢れを持ち。差別の対象となり。この世界の、どこにも居場所なんて無い。どこにいっても私は一人だった。寂しかった。辛かった。だから、私は美しいと思いました。私達ナイトメアが幸福で、幸せで、笑いあえる場所を。それはきっと理想郷に違いありません。でも、それでもね。きっといるはずなんです。私達ナイトメアにも手を差し伸べてくれる方が――きっと。」  「それぞれの種族が、それぞれの長所と短所を認め合い、共に手を取り合って、共にに大地を踏みしめて、最後は自分の力で一日一日を一生懸命に、精一杯、生きることができれば、その場所は。いいえ、この世界は。――みんなの理想郷になる。」  エスペランサは、目を輝かせながら、そんな理想を語った。  ルヴァンシュは、目を曇らせながら、そんな幻想を遮った。  「そんなものは夢物語だ。何百年、何千年生き続けたこの私こそが証人だよ」  そう、悲しげに語るルヴァンシュに対し、エスペランサは再び彼女の手をギュっと握りしめ、口を開いた。  「なんだって実現するまでは夢物語だよ!ルキスラの飛行船も、マギテック協会の錬金術だって!昔は夢物語でした。だからこそ私は信じ続けたい。いつか、いつの日か。みんなが笑いあえる世界になることを――。ずっと、いつまでも、見届けたい。」
 それはまるで、古い鏡を見ているような気分だった。  ルヴァンシュが遠い過去に忘れてきたものを、目の前の彼女は全て持っていたのだ。  不思議と口角が緩む。  こんな結末もあったのだなと・・・。心の奥底で小さく呟き、そして。
 「あぁ、そうだな。そうだったよ。」  「君の後ろにいる冒険者が、君の夢物語を実現させる何よりの証人と言うわけか。」  「悔しいが、負けを認めよう。」  「優れた者などどこにも居なかったのだな。間違えずに生きられる生命など、どこにも居ない。だからこそ、生命は、共に――」  そうしてルヴァンシュは最後の言葉を口にすることは無く、するりと少女の手を離れ、軽くなったその体を大地に預けた。  永遠の理想郷を創り上げようとしたした、その女性の最後の寝顔は、とても。とても。幸せそうに眠っていた。
 「〇〇さん。この村は無くなってしまうのですかね...?」 無くなるね。/無くならないよ。/わからない・・・。  そうですよね・・・。それでは私は皆さんを開放してきます。冒険者さん達はこれからどうされるのですか?」 君を送り届けるよ  「本当ですか!?ありがとうございます!」  「良かった。これでちゃんと、はっきりと自信を持つことが出来ました」  「皆さんのような、優しい人がいれば、きっと!絶対!叶いますよね!夢物語!」
 君達冒険者とエスペランサの活躍により、奴隷地下区の者たちは無事に解放され、それぞれが帰るべき場所へと戻っていった。  肝心のナイトメアだが、彼等には帰る場所などない。  「なぁ冒険者さんよう。この村こそが俺達にとっちゃ帰る場所なんだ。アンタらに言うのはお門違いかもしらねえけどよう。この報告は必ずバーレスにする。だからあと数日だけ、ここに居ても構わねえか?」 構わないさ。/好きにしろ。  「あぁ、、、あぁ!!ありがとう!ありがとう!」
 「よし!これで全部終わりですね!」  「私も帰らないとなー」  「そこそこ歩くことになりますけど、冒険者さん達が付いていてくれれば安心です!」
 ●クライマックス  君達はエスペランサと共に何気ない会話や、やり取りを交わしながら、帰るべき場所へと確実に一歩ずつ踏みしめて歩いていく。  そうして長く、永遠にも思えるその道の辿り着く先に、その家はあった。  突如、少し強めの春風が君達の頬を撫で、雲一つない青空には、その春風にのせられるようにして、沢山の桜の花びらが空を舞う。  暖かな日差しは君達の眠気を誘い、澄んだ空気が体全体に染み渡って心地よい。  大きく立派に咲き誇る満開の桜を横切り、君達はエスペランサに連れられ正門を潜り、そして。  コンコンコンと茶色く塗装された扉をノックする。  ゆっくりと開かれた扉と���に、少女は満面の笑みで扉を開けた者に勢いよく抱き着き、そして。その言葉を噛みしめるようにして口にした。 「ただいま!」と――。
 ●エピローグ ――春風に乗せられ、雲一つない青空に、その春風にのせられるようにして、沢山の桜の花びらが空を舞う。
失ってはいけない悲しみと引き換えに 一体どれだけの絆を失ったのだろう。
認めてはならない結末と引き換えに 一体どれだけの感情を失ったのだろう。
もう、何をなくしたのかさえも分からない。
――ただ、私は知っている。 最後に差し伸べられた、あの光を。 あれは紛れもなく遠い過去に忘れてきたものだった。
つまるところ 武器を向けていた標的は、自分だったと言う訳だ。 まったく...哀れな話だ。
だからこそ、どうか最後に願おう。 あの少女は、私のようにならないようにと。 どうか、私の過ちが繰り返されぬようにと。 私が正しいと感じていたオリジナルは、今ここに終わりを告げる。 これから始まるのは――。
「ルヴァンシュの霊体は完全に無と化していく。そして、全てが終わる最後の時。突如、少し強めの春風が吹く。」
「ルヴァンシュは、ゆっくりと瞼を閉じ、その春風に乗せられて、最後の言葉の続きを、小さく、蒼天に舞う桜の花びらと共に呟いた」
レプリカ=ループ。
  ●GM情報 ・PC達がナイトメア以外の人族と話す機会があれば、みなナイトメアに対して嫌悪感を抱いている演出を入れてください。 例:「ナイトメアなんて生きてる価値ないんだよ」「ナイトメアの村・・・。想像しただけでも吐気がするぜ」 ・エテルニータの村に住むナイトメアはみな《思想教育》と言う名目の洗脳教育を受けています。永久幸福革命譚のような内容を最初に叩き込まれます。 故に、エテルニータの村民ほとんどが人族に対して嫌悪感を抱いています。これを序盤の演出と反転させればgood。 ・エテルニータの村の村民は70名程度。奴隷地下区の人数は15名程度。 ・奴隷地下区について そこで産まれ、偽りの知識を植え付けられた人間たちで統一された場所。 男性は永久に鉱石や魔晶石を掘り進めることを強いられ、女性は永久に繁殖を強いられる。 使い物にならなくなった者は、殺されるか奴隷商人に売られるかの二択である。ナイトメア曰く、ゴミに薬を与えるだけ無駄。とのこと。
●NPCデータ ・マリー=ルヴァンシュ(1286歳)♀ この世に生を授かったと同時に、差別や迫害を受け続けたナイトメア。 家族や友人と呼べる者は存在せず、平凡な幸せさえもろくに与えられぬまま、ただ孤独に生き続けた。 ――ナイトメアに産まれたからには"仕方がない"と。その人生を受け入れようともした。だがしかし。彼女は耐えることができなかった。 同時に、長く生きた彼女は気づいてしまったのだ。 人間は、同じ過ちを繰り返すと――。 正してやりたい。でもどうやって? 導いてやりたい。でもどうすれば? 人並みの幸福を得ることもなく、人並みの交流を持つことが無かった、彼女には、人の気持ちがわからない。非人間である。 模索した、苦悩した、過ちを正せるように頑張り続けた。 だけど、いつも結末は決まっている。 そう。彼女は――ナイトメアなのだ。 余談ではあるが、"ルヴァンシュ"はフランス語で"復讐"の意味を持つ。 ・ケラソス=エスペランサ(14歳)♀ エスペランサもまた、ルヴァンシュと同じくナイトメアである。 だがエスペランサには家族が居た。 自分を育て、自分を愛してくれるたった一人の人間が――。 故に彼女は知っている。 人並みではないかもしれない。 それは人にとって当たり前のことかもしれない。 けれども、確かに知っている。 共にご飯を食べれる喜びを 共に言葉を交わしあう幸せを。 季節が廻り、再び花を咲かせた時の感情を。 差別や迫害をうけることは悲しくて、辛いこと。 でもそれは私がナイトメアで産まれたからには"仕方がない"こと。 その人生を受け入れるしかない。 それでも私は知っている ナイトメアの私を愛してくれた人を。私を助けてくれた人を。 私は――夢を追いかけて生きていける。 余談ではあるが、"ケラソス"はラテン語で"桜"。"エスペランサ"はスペイン語で"希望"の意味を持つ。
没エピローグ 永遠に廻り続ける、この小さな世界。 果てしなく遠い君の近くで、落ちた種をもう一度、育ててみようと思う。 違う場所で君が気づいてくれることを、ただ信じて――。 永遠に廻り続ける、この小さな世界。 それは景色を変えていく。私が愛した花が、また咲き誇ること信じてみよう。 ――いま、小さな種は植えられた。 その日の空は雲一つなく、爽やかな春風が幾つもの桜の花びらを旅立たせたのだった。
 ●最後に このシナリオのタイトル「レプリカ=ループ」の意味は様々です。 正解などはありません。気に入った解釈をしていただければ幸いです。 ここまで長々と読んでいただき、ありがとうございました。
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geniusbeach · 6 years
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香川旅行記
 ゴールデンウィーク後半を使って香川を旅行した。計画したのは出発前日の夜中で、今回のテーマはうどん巡りと温泉だ。私は昨年末に二泊三日で高松、琴平、直島、豊島を巡り、うどん7杯を食べて大満足で帰ったのだが、以来香川のことが忘れられず、また行きたいと思っていたところだった。
 1日目(5月2日)
 午前4時という、朝がひどく苦手な私にとっては信じがたい時刻に友人の車で出発。9時ごろ善通寺に到着し、食べログ一位のうどん屋、長田 in 香の香へ。巨大な駐車場と50mにも及ぶ行列を目の前にして一軒目ながら若干ひるむ。待ち時間を使って宿探しをするも、さすがGWだけあってどこも満室。無計画な私たちも悪いが、10軒ほど電話して空いていたのは一室のみだった。しかし結局宿泊料があまりにも高かったため断念し、並んでいた他のお客さんに健康ランドに泊まれることを教えてもらったので、最悪の場合そこにすることに。一時間弱待った後入店し、釜揚げ大と冷やし大を一杯ずつ注文。各1.5玉で350円だ。つゆはいりことかつおのダシがよく利いており、もちもちの麺からは小麦の香りが強く感じられたいそう美味かった。皆うどんだけ食べてさっさと出るおかげで回転率がかなり良く、11時ごろには食べ終えることができた。
 続いて二軒目のはなや食堂へ。地元に愛されるおばあちゃんのお店といった印象。冷やしとタコ天を注文。うどんは200円、天ぷらは300円と安い。小ぶりなタコを丸々一匹揚げた天ぷらは衣が黄色くふわふわの食感。うどんも無論美味い。食後に宿探しを再開し、栗林公園近くのところに電話するとあっさりOKが出た。電話口の主人の対応が少し気になったが、一人一泊2600円、ガッツポーズだ。せんべい布団でも座布団でも部屋でゆっくり寝られるだけありがたいので、即座に予約した。
 腹ごなしがてら金蔵寺(こんぞうじ)を覗く。お遍路さんが多くおり、皆お堂の前で一心に真言を唱えていた。友人曰く「水曜どうでしょう」に出ていた寺とのことで、ファンである彼の記念写真を撮った。ここに至るまでの道端の電柱には、八十八か所巡りの巡礼者を図案化した標識があった。小さなところにご当地感があってほんわかした。
 次はこんぴらさんにお参りすることに。 暖かくなったのと休暇も重なったことで人がごった返している。登り口にあるアカボシコーヒーで一服してからほぼ休みなしで駆け上がる。中腹では神馬2頭を見た。その隣には大型船のスクリュー(直径6m)とアフリカ象の像があった。前者は94年に今治造船が奉納したそう(今治造船HPより)で、当社が海の神を祀っていることやお座敷遊びのこんぴらふねふねでお馴染みの金比羅船に因むことが予想できたが、後者の意図はわからず、奉納品であれば何でも良いのかと思った。関連するとすれば、この山の名が象頭山であることぐらいか。
 程なくして本宮へ到着し、参拝の列に並ぶ。普段神社で手を合わせる時は何も祈らないようにしているが、今年に入ってからずっと精神が低調なままので、久しぶりに願をかけてみた。神様はこういう時の心のよりどころなのでありがたい。どうか届きますように。今回は、前回その存在を知らなかった奥社まで行こうとしていたが、道が閉鎖されていたためあえなく断念、またまた次回への持ち越しとなった。さて、全785段の石段往復は少々足に応え、途中で石段籠を見かけた時には思わず乗せてくれと言いそうになるくらいだったが、良い運動になったと思えば悪くはない。籠は参拝客の会話によれば片道3000円程だそうだ。乗っていたのはお婆さん、担いでいたのはお爺さんだった。
 麓に下りてから、こんぴらうどん参道店でとり天ぶっかけを食べる。一杯690円だ。二人とも腹が限界で、なぜここまでしてうどんを食べているのかわからなくなっていた。最早それはこの旅のテーマとして設定したうどん巡りの義務感からでしかなかったと言える。満腹中枢が刺激される前に片付けねばならないと、タケル・コバヤシ(※フードファイター)並みの速度でかき込んだ。とり天はジューシーで、麺にはコシがあって美味かったが、胃の圧迫で心臓が止まりそうになり、「うどん死(デス)」という言葉が頭をよぎった。
 疲労が甚だしかったため、喫茶店でまたも一服。琴平駅周辺には、「カキ三(さん)コーヒー使用」を看板に掲げた店が多くあり、前回の旅行でもそのオタフクソースのパッケージのようなオレンジと黒の色合いに親近感を覚えつつずっと気になっていた。おそらくそのカキ三を使ったであろうアイスコーヒーで意識を保ちながら、風呂にでも入ってリフレッシュしようということに話がまとまり、近くにあったこんぴら温泉湯元八千代へ。屋上に市街が一望できる露天風呂があるのだ。塀が低く、少しでも浴場のへりに近づけば周囲からは丸見えとなる(といっても建物より標高が高い所からだけだが)ため、内心ヒヤヒヤしていたが、やはり最高に気持ち良かった。受付で混浴と聞いて下品な期待もしていたが、二人組の女の子が少し覗いて引き返していったくらいで、終始客は私たちだけであった。なお、内風呂はごく普通の湯船がひとつあるだけだった。
 体力をわずかばかり回復し、瀬戸内の眺望を求めて五色台を目指す。16時半頃、大崎山の展望台に到着し、青空から海へと沈む夕日を眺めた。なんとも雄大なパノラマだ。遠くを見やると、薄水色の瀬戸大橋があやとりの糸のような慎ましさで陸地を繋いでいる。カメラで何枚も写真を撮った。ふと、ここ数日間で覚えた個人的な悲しみに対して、目の前に開けた海は、その豊満な胸で以て私を迎え、倒れ掛かる身体を圧倒的な光景によって生に押し戻してくれているような気がした。そうして下を見れば、山と山に挟まれた湾内の湿地に、草の生い茂る田んぼのようなものが広がっていた。これは木沢塩田跡地といい、秋頃にはアッケシソウという好塩性植物が紅葉することで一帯が赤く染まるそうだ(大崎山園地の説明看板より)。一度そんな不思議な絵を見てみたいと思った。この日は風が非常に強かったため、目だけでなく全身で自然を感じられて嬉しかったが、そのせいで体が冷えたのと日没直前に雲がかかったため、18時半頃に引き上げた。
 高松市内中心部に車で乗り入れ、今宵の宿へ。見るからに怪しげな建物に三友荘という傾いた看板がかかっている。隣の広東料理屋の前に中華系とみられる男が3、4人たむろしており雰囲気が悪い。中に入ると、フロントというよりは雑然と物が置かれた生活スペースが大きく広がっており、その山の中から主人が顔を覗かせて、一言いらっしゃいと言った。それから、かなり雑な態度で駐車場を案内され、やべーところに来てしまった、と思う間もなく会計を済ませて鍵を受け取り3階へ。廊下は廊下で床がはがれていたり、アメニティが散乱していたりとさながらお化け屋敷に入ったような気分になる。部屋に入ると、これまた昭和から時間が止まっていると思われるほど古くカビ臭い和室で、その異様さに一瞬たじろいだ。とにかく寝られれば良いのだと割り切ることにして、外へ風呂に入りに行った。
 車を20分ほど走らせて向かったのは、市内中部にある仏生山温泉だ。前回も訪れて、その泉質と洗練された建築様式が気に入っていた。町の歴史が古いため、ここも昔からあるのかと思いきや、2005年開業と比較的新しい温泉らしい(仏生山温泉FBより)。入浴施設とは思えない白い箱のような建物入り口の外観が特徴だ。中に入ると、ドーンと奥行きのあるシンプルな休憩スペースがお出迎え。端には小洒落た物産品が並んでおり、また壁伝いには文庫本の古本が並べられている。客がひっきりなしに出入りし、脱衣場と浴場はまさに芋の子を洗うような状態であった。なんとか湯船の空いたスペースに身体を沈め、一日で溜まったとは思えないほどの疲れを癒す。とろりとした湯で肌がツルツルになり気持ちが良い。露天風呂のある広い空間は現代的な中庭といった印象で、入浴体験を一段上のものへ引き上げてくれる。インスタレーション的な、「空間そのものに浸かる」といった感じだろうか。内部はそのように隅まで配慮が行き届いており、とても面白く楽しめた。
 さっぱりした後、宿に車を停め、土地の名物である骨付鳥を食べるために歩いて片原町近くの居酒屋蘭丸へ。本当は一鶴という店に行きたかったのだが、長蛇の列を目の前にして断念、ここに並ぶこととした。小一時間ほど待って入店し、とりあえずビールと親鳥・若鳥、それから鰆のタタキ、造り4種盛り、サラダを注文、香川の味覚に舌鼓を打った。特に親鳥は肉がぶりんぶりんの食感で旨味が凝縮されている。スパイシーな和風ローストチキンといった感じで、下戸なのに否が応でもビールが進む。皿にはたっぷりと鶏油が溜まっているが、それにキャベツをつけて食べるとまた美味いのだ。この骨付鳥の他にうどんと言い今日の行程と言い、なかなか歯応えのある旅だと思った。最後に親鳥をもう一皿と焼酎水割り、注いだ先から凍る日本酒を追加し、11時半頃ほろ酔いで宿に戻った。部屋では撮った写真を整理した後、もう一杯酒を飲んでから眠りについた。夜通し風がごうごうと窓を揺らしていた。
2日目(5月3日)
 7時半、なぜか小学校の廊下でスーフィーの集団と象に追われるという夢を見て飛び起きた。昨日神馬の横で象の像を見たせいか。しかしスーフィーは全くわからない。2か月ほど前に蠱惑的なズィクル(※スーフィズムの修行)の動画を見たからなのか。とにかく旅にはふさわしくない目覚め方だ。最近何かに追われる夢をよく見るのだが、おそらく疲れているのだろう。今日もよく眠れなかったようだ。他の理由としては強風もそうだが、宿が高架下にあるため電車が通るたび振動で部屋が揺れるのだ。夜中と朝方に何度か覚醒した気がする。昨日20時間近く活動した身体は、子供騙しのような睡眠では回復しきれなかったようだ。
 さて、今日は9時出発の船に乗り、犬島へ渡る予定だ。重い身体を叩き起こし、さっさと準備を済ませて高松築港へ。船の時間が近づいている。車を停めてから本気ダッシュで駅のそばにあるうどん屋味庄へと向かうも定休日だったため、近くにあったさぬきうどんめりけんやに入る。待ち時間にやきもきしながら冷肉ぶっかけ小を注文。430円だ。しっかり美味い。ここでも前日のごとくモリモリ腹に押し込み約3分で退店。ひょろい男の異常な食いっぷりに他の客は少なからず引いていたことだろうが、そんなことには構っていられない。再度、悪心を催すほどの全力疾走でフェリーの切符売り場へ。出航3分前、なんとか間に合うことができた。やる時はやる男なのだ、私たちは。などという安堵感も束の間、ここで無情にも定員オーバーが告げられる。肩で息をしながら愕然とする私たち。あーやってもうた、としか言えず、無意識に抑え込んでいたであろう胃の中で暴れるうどんに気付き普通に吐きそうになる。ただ次の便でも行けることが判明したことで難を逃れた。そうでなければ危うく待合所の床にBUKKAKEするところであった(読者よごめん)。そんなこんなで泣く泣く次便のチケットを買い、待つ間しばしの休憩タイムとなった。負け惜しみを言わせてもらえば、朝の海を見ながら飲んだコーヒーと吸ったタバコは格別に美味かった。これも良い思い出だ。
 10時過ぎの便に乗り込み、豊島の唐櫃港に到着。レンタルサイクルを借り、次便の出航する家浦港まで急ぐ。豊島美術館に寄ろうとしたが、1時間待ちと聞きパスした。せっかくの機会にもかかわらず無念だ。前回は誰も客がいなかったというのに、やはりGWは恐ろしい。立ち漕ぎで先を急ぐ。山のてっぺんまではギアなしの自転車と寝不足のエンジンにはかなりきつい坂が続いたが、なんとか越えることができた。途中、唐櫃聖水という空海伝説もある井戸に沸く、不思議なほど青々とした水を拝んでから家浦へ。初便に乗ることができていればこのように複雑な乗り継ぎも必要なかったが、私の性格上致し方ない。人生はエクササイズだと考えれば万事ハッピーだ。そうして無事チケットを買い、物産品店を冷かす。豊島の民謡集に熱を感じ、買おうか迷って結局やめた。そしてしばらくして船に乗った。
 13時前に犬島着。昼飯に港すぐの在本商店にて犬島丼なるものを食べた。白飯に甘辛く煮た大根や人参とともに舌平目のミンチを乗せ、甘めの汁をかけた瀬戸内の家庭料理だ。これに舌平目のフライと犬島産テングサを使用したコーヒーゼリーが付いたセットで1000円。どれも田舎風の優しい味わいで満たされた。出てから他の店も覗いてみたが、どこもコーヒーゼリーを出していた。単にさっきの店のデザートというわけではなく、これもご当地グルメのひとつのようだ。
 そしてようやく楽しみにしていた犬島精練所美術館へ。ここはかつて銅の精錬を行っていた跡地で、美術館内部は入り口から出口まで一定方向に自然の風が流れるように設計されているという。詳細は省くが、三島由紀夫の作品がモチーフになっており、意表を突くような仕掛けが多く、かなり強烈な印象を受けた。しかしその中でも悔しかったのが、便器の枯山水と銅製の文字が文章となってぶら下がる部屋があったことだ。この二つは自分の内に展示のアイデアとして全くと言っていいほど同じものを密かに温めていたのに、こんなにも堂々かつ易々と先を越されていた。やはり所詮は人が考えること、どんなにオリジナリティを確信していたとしても結局は似てしまうのだ。しかしちゃんと形にした人はすごいし、その点素直にあっぱれと言いたい。やや興奮した状態のまま外に出て周辺を散策する。レンガ造りの廃墟にノスタルジーを感じ、その歴史を想像した。少し歩いて砂浜へ行き、海を眺める。風が強いので瀬戸内の海といえど波が高く荒れていた。夏に来て本来の穏やかさを取り戻した海を一度泳いでみたい。その後、定紋石や家プロジェクトという名のギャラリー数軒を見て回る。F邸にあった名和晃平「Biota (Fauna/Flora)」が個人的にグッと来た。発生は常に見えない、と私は詩に書いたことがあるが、言いたいことがそのまま形になっていた。2つの小部屋にはそれぞれ植物相と動物相のバイオモーフィックなモニュメントが数点あった。シンプルな発想ながらそこから湧き出す観念とイメージ喚起力の豊かさに驚かされた。創作において見習いたい点だ。
 船の時間が迫っていたため、港まで早歩きで向かった。全体的に時間の流れがゆるやかで静かな島であった。ここからは直島を経由して高松まで戻る。船内では景色も見ずに二人で眠りこけていた。直島に着くぞ、との声で飛び起き、本村港のチケット売り場へ猛然と走る。乗り継ぎ便が10分後に出るためだ。しかしここでも昨日と同じく定員オーバー、30分後に出る次便を待つこととなった。大型フェリーの前にはゆうに200mを超える列ができており、この島の人気の高さが伺える。そうして、ふと並んでいる時に自分のカバンが思ったより軽いことに気が付いた。はてなと思い中を探るとカメラがない。目の前��真っ白になった。置いてきたのは犬島か、船の中か、それとも盗られたか。考える間もなく、カメラ忘れた! と友人に叫びながら乗ってきた高速船乗り場へとダッシュした。出航していたらどうしようかと思ったが、一条の光が見えた。まだ停泊したままだったのだ。息も絶え絶えに駆け寄る私を見た人民服風の上下を着た船員が、カメラの忘れ物ですかあと声を上げる。良かった。あったのだ。すみませんでしたあ! と謝って相棒を受け取る。ほっと胸をなでおろした。どうやら寝ぼけて置き去りにしていたようだ。私は普段あまりものをなくさないので、こういう時必死に探して見つからなければひどく狼狽してしまう。特にカメラのような高価なものだとその後の旅に影響が出るほどだったのではないかと思う。今回は本当にラッキーだった。友人に詫びてから並び直し、島を後に。航行中は展望デッキからモノクロで日を撮った。夜のような昼の写真が撮れた。
 16時頃高松に着いた。後は帰るのみだ。最後にご飯を食べようということで、屋島を過ぎたところにあるうどん本陣山田屋本店へ。大きな屋敷を改築した店構えは壮観だ。本陣と名付くのは屋島の合戦ゆえか。前回の旅で、仏生山で終電を亡くした時に乗ったタクシーの運転手が、うどんならここらが本場だと言っていたため期待度が高まる。ざるぶっかけと上天丼を注文。うどんは570円、丼は720円だ。麺はもちもちとしており、良い塩梅にダシの利いたつゆと絡んですこぶる美味い。天丼にはサクサクの天ぷらがこれでもかと乗っており、ご飯が足りないほどだ。今流行りのロカボの逆を行く、ハイカーボダイエットにより思考が停止するほどの満腹感が得られた。これでコシの強いうどんともお別れかと思うと寂しい。京都の柔いうどんも薄味のダシがしみて美味いのだが、やはり一度讃岐のものを食べると物足りなく感じる。またすぐにでも来よう。次はざっくりと計画を立てて。それでは、さようなら香川。
 高速道路は予想通りところどころで渋滞が起こっていた。運転は最初から最後まで友人に任せっぱなしだったため大変な苦労を掛けた。ここに感謝したい。約5時間かけて京都に到着。0時半頃に岡崎で蛸安の��こ焼きを食べた。京都の味だ。ようやくカーボ地獄から抜け出すことができたと二人して喜んでいたが、よく考えなくともたこ焼きは炭水化物であった。うどんのオーバードーズのせいで腹だけでなく思考能力さえもやられてしまったようだ。喫茶店はなふさでマンデリンを飲み、旅費の精算をして解散となった。
 今回の旅も、弾丸(もはや散弾)にしてはうまくいった方ではないだろうか。休みに行ったのか疲れに行ったのかわからないが、気を紛らわすには最適な強行軍であった。うどんは5杯も食べられたし、その他のグルメも満喫できた。全ては偶然尽くしだったが、無計画だからこそ楽しめたものもある。私の場合は、ある程度見たいところを決めるだけで、そこに行っても行かなくても良いのだ。というよりはその方が楽だから、皆そうすればいいのにと思う。そこには予想もしない出会いがきっと多くあるはずだ。ただ、GWの人出を完全に舐めていたため、宿に関してだけは事前予約の必要性を痛感した。あと、食べ過ぎは単純に苦しいのであまりおすすめない。今回の旅でもうしばらくうどんは結構だ。などと思いつつ、翌日の昼には冷凍うどんを食べていた。どうやら脳までうどんになっていたようだ。しかし季節はそろそろ梅雨(つゆ)に入るので、ある意味おあつらえ向きなのかもしれない。
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