Kyoka Suzuki Model Actress in Japan Photography in KIMONO on MARCH 2022
18 MAY 2023 Thursday
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映画『81/2』と『サイドウエイズ』
『オンリーユー、または物語を探す二人の役者』の公演が3月19日から26日まであり、公演後はすっかり抜け殻になっているので、ずっとブログをサボっていましたが、この間映画を2本みました。
フェデリコ・フェリーニ監督の『81/2』(1963)とチェリン・グラック監督の『サイドウエイズ』(2009)です。
フェリーニの『81/2』は言わずと知れた映画史に残る名作。久しぶりに見たけれど、やっぱりいいなあと思いました。
フェリーニ自身を思わせる映画監督がイタリアの湯治場で映画を撮ろうとしているというだけで、あらすじらしいあらすじはなく、現在と過去、現実と夢が交錯していく私好みのタイプの映画です。
ただ一つのめり込めない部分があるとすれば、それはマルチェロ・マストロヤンニ演じる主人公が有名な映画監督で女にモテるところでしょうか。
確かに主人公が創作においても私生活においても行き詰まっているのはわかります。でも、結局のところどんなに行き詰まっても「強者」であるわけで、「弱者」であるワタシ、「弱者」を描いた物語をこよなく愛すワタシには受け入れ難いところがあります。
とはいえ主人公が突然彼なりのハーレムを夢見る部分(マストロヤンニが帽子をかぶったまま風呂に入る有名なシーンがあるのはここです)では大笑いしました。
結末をつけるのに困ったらとにかく踊るというのは映画や演劇の常套手段(?)で私は嫌いですが、あの展開なら出演者全員が手を取り合って輪になって踊るラストもアリだと思います(というかそういう終わり方があるということを世に知らしめたのは、この『81/2』かもしれません)。
『サイドウエイズ』は、小日向文世、生瀬勝久、鈴木京香、菊地凛子出演の映画。監督が外国人名で舞台がアメリカなのでアメリカ映画だと思いましたが日本映画。監督のチェリン・グラックは和歌山生まれのアメリカ人だそうです。
2009年ですから14年前の映画ーー14年前なんてついこの間だと私は思ってしまいますが、小日向文世が若い。生瀬勝久も若い。菊地凛子も若い。なぜか鈴木京香だけは今と変わりません。
主人公の小日向は売れないシナリオライター。ロサンジェルスで日本料理店(本人が言うにはフレンチ・ジャポネスク・レストラン)を経営している友人の生瀬が結婚するというので、20年ぶりにロスを訪れます。
生瀬は独身最後の思い出に女の子と遊びたい、一方ワイン好きの小日向はナパバレーというワインの産地に行きたいということで、二人は車で1週間の小旅行に出かけます。
途中、二人は偶然レストランで鈴木と菊池と出逢います。小日向はかつてまだ高校生だった鈴木の家庭教師をしており、どうやら鈴木のことを好きだったようです。
いいなあ、この設定。かつて恋人同士だった二人が、あるいはかつて淡い思いを抱いていた二人が、時を経て再会するというのは、私が好きな設定です。だから私は小日向演じる主人公に完全に感情移入してしまいました。
切ない映画です。5年前かつての夫と注文したワインを受け取りに行く鈴木(彼女はバツイチなのです)に同行し、こんなワインもういらないという鈴木に小日向が「そんなこと言わないでみんなで飲もうよ」と言ってホームパーティを開き、帰り際鈴木が小日向に抱きつきキスをする場面なんぞ、似たような状況を私自身も経験があるような気がして、「女ってそういうことするんだよなあ。だから男は困ってしまうんだ」と妙に納得しました。
鈴木はワイン製造会社で働いていて、会社から日本支店を出すから責任者として日本に行ってくれないかと言われています。小日向は鈴木に「日本に帰ってこないか。僕が成田に迎えに行くから」と言いますが、鈴木は「私はアメリカで頑張りたい」と言います。
一方、生瀬は菊池と恋に落ちます。最初は結婚前に自由を謳歌するためだったようですが、どうやら本気で恋をしている様子。
私はそのあたりで、どちらのカップルも結ばれない、結ばれてはならないと思いました。
何も起こらないし、何も変わらない。しかし、この1週間は彼らにとって忘れられない時間となるーーそれが私の考える展開でした。
でも、この映画は違います。
生瀬と菊池は結ばれません(あ、ごめんなさい、ネタバレです)。生瀬は予定通り富豪の娘と結婚します。
でも、小日向と鈴木は……(ここはネタバレしません)。
個人的にはこのラストは感心しませんが、それでも私の好きな設定、私の好きな展開で、映画を見ながら何度もこみ上げてくるものがありました。
地味な映画ですが、ある種の人の心には確実に響く映画だと思います。
追記:
ネットで調べると『サイドウエイズ』は『サイドウエイ』という2004年のアメリカ映画のリメイクだそうです。そっちも見てみようかな。
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