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#アフガニスタン 占領
ari0921 · 6 months
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【詳報】日印国際シンポジウム「激動する世界の中の日米印関係」
国家基本問題研究所はインドから国際戦略研究の第一人者であるブラーマ・チェラニー名誉教授を招き、藤崎一郎元駐米大使、近藤正規ICU上級准教授と共に「激動する世界の中の日米印関係」をテーマに議論しました。チェラニー氏の講演をご紹介します。
中国の侵略はロシア型ではない
ブラーマ・チェラニー(Brahma Chellaney)
安倍首相のレガシー
今、世界は交差路にあります。将来どちらの方向に向かうのか不確実性があります。グローバル化は進みましたけれども世界の分断も進んでいます。例えば気候変動のような国際問題でも協力が難しい状況です。世界が機能しなくなる可能性があると国連事務総長が警告を発しています。これは現実のものになりそうです。
ウクライナでの戦争で今、国際的なフォーカスはヨーロッパに移ったわけですけれども、実際は一番大きな安全保障の課題はインド太平洋地域にあるのです。
「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」というコンセプトはみなさんご存じだと思います。これは、誰が作ったか。故・安倍晋三首相です。四日前に一周忌を迎えました。安倍さんの暗殺は分水嶺でした。日本の歴史の中でもです。ケネディ大統領はアメリカで一九六三年に暗殺されましたけれども、それがアメリカの歴史にとって分水嶺であったのと同様に、です。
ケネディ暗殺と同様に、安倍総理の暗殺によってまだ答えが見つかっていない問いが残っています。例えば、国の安全保障はどうなっているのか。彼はどうして守られることがなかったのか。彼は亡くなったにも拘わらず、安倍さんは生き続けています。つまり、彼はレガシーを残したのです。
この「自由で開かれたインド太平洋」という概念は、より重要になってきました。今日により関連性を持つようになってきたのです。アメリカの二つの政権が次々とこの「自由で開かれたインド太平洋」という概念を受け入れ、アメリカの戦略の中心に据えているのです。アメリカが、外国で作られた概念を受け入れるのは、これが唯一の例ではないでしょうか。それを自分たちの戦略の中心に据えるのは、過去に一度もありません。ですから、これは大変ユニークな安倍総理のレガシーと言えるでしょう。「自由で開かれたインド太平洋」という概念が今日もアメリカの政策の指針となり続けているわけです。
弱い国は守られない
インド太平洋にどういう課題があるのか。大事なのは、この世界では競争と対立は必ずあるものだということです。なぜならば、世界政府が存在しないからです。国際法を執行する世界政府はなく、より弱い国を守ってくれる組織が存在しないわけです。
例えば、ここ二十五年間の歴史を見てみましょう。大国が侵略を繰り返しています。より小さい国の侵略を続けている。同じパターンです。
一九九九年にはNATO(北大西洋条約機構)のユーゴスラビアでの空爆がありました。主権国家が大国によって侵攻を受けるということが繰り返されてきています。これから先の二十五年間も過去二十五年とそんなに大きくは違ってこないのではないでしょうか。
なぜならば一つ理由があります。国際法の厳しい現実です。国際法は力強いものです。しかし、国際法は弱いものに対しては力を持つけれども、強いものに対しては力を持たない。だから主権国家が侵攻され続けるという同じパターンが繰り返されているのです。今日もそうです。主権国家がロシアによって侵攻を受けました。今、国(ウクライナ)の中で戦争が続いているわけです。
ただ特筆したいのは、この侵攻が侵略者の計画通りに進むことはほとんどないということです。過去二十五年、侵略者の計画通りに進んだものは一度もなかったのではないでしょうか。もっと遡っても、非常に上手くいった侵略、侵攻などはないわけです。
イラクのサダム・フセインはクウェートに侵攻したときに力を失った。そして自分の命さえ失うことになってしまいました。
アメリカはアフガニスタンやイラクを侵攻しました。どうなったか。長く、コストの高い軍事の泥沼に入ってしまったわけです。アメリカは二十年間も戦争に足を突っ込むことになり、最終的にはアフガニスタンをタリバンに渡さなければなりませんでした。言い換えれば、アフガニスタンをテロリストの手に渡してしまったということです。アフガニスタンにはそもそもそれを止めるために介入したのにも拘わらず、です。
リビアで西側が介入した時にはどうだったでしょうか。リビアは依然として破綻国家で、全く機能不全に陥ってしまっています。イスラエルは南レバノンを侵攻した結果、十八年間にわたる占領時代に入りましたがそれは終わりを迎えました。イスラエルは全く戦略的な目的を達成しないうちに、撤退しなければならなかったということです。
ロシアがウクライナを侵略した結果がどうなるかは別として、一つ確実に言えることは、非常にその代償は高くつくということです。これは間違いない。そして、ロシアは自らの力を削がれてしまうことになるということです。
ウクライナは過去の侵略と同じように、その悲惨な状況が続いて不安定化してしまう。国内が分断されてしまうかもしれません。ウクライナの領土の二〇パーセントをロシアが占領しており、そこからロシアが引き上げることは考えにくいからです。
ウクライナ戦争の勝者
こういった背景の中で我々が自問自答しなければならないのは、「ウクライナの戦争から勝者は出てくるのか」ということです。ウクライナの戦争は、我々すべての人の生活に影響を及ぼしています。経済的、エネルギー的、政治的、地政学的にも、様々な影響を世界中に及ぼしています。ですからそれはロシアが勝つか、ウクライナが勝つかという意味での勝者ではありません。他にも当事者はいます。欧米が全体としてこの戦争に関わってしまっているからです。ですから「ウクライナ戦争から勝者は出てくるのか」とは、間接・直接を問わず「あらゆる当事者の中から勝者が出てくるのか」ということです。
色々な当事者が関わり、様々な影響を受けています。
ウクライナは最も大きな破壊に苦しんでいます。そして、控えめに見積もってもウクライナの将来は非常に暗いと言えるわけです。
ロシアはどうか。今回の侵略で最も重い制裁を受ける国になってしまいました。今の段階で終戦の見通しは少ないですが、仮に停戦になり、朝鮮戦争のように休戦協定が結ばれたとします。朝鮮戦争は終戦を見ておらず停戦状態がずっと続いています。今、朝鮮半島は紛争が凍結状態にありますが、それはウクライナでも起こりうるわけです。しかし、停戦というシナリオでも欧米の対ロシア制裁はなくならないでしょう。ロシアは予見可能な未来において非常に厳しい制裁を受け続けることになります。その結果、ロシアは経済的な出血が止まらない。また、ロシアは国際的な立場、ステータスも弱まっています。欧米がロシアの首を絞め、孤立化させているからです。
ヨーロッパは大きな影響を受けています。経済的にも、地政学的にも、ウクライナ戦争の影響を受けてしまっています。
アメリカはどうか。もちろん地理的には、戦地から遠い。しかし、アメリカはあまりにもこの戦争に間接的に深く関わっています。例えば、アメリカはウクライナに兵器を供給しています。バイデン大統領は三日前、日曜日にCNNのインタビューで、アメリカは砲弾などがなくなってきていると述べています。アメリカはロシアと直接戦ってるわけではなく、兵器や弾薬をウクライナに提供しています。それが段々と枯渇してきていると述べているわけです。
だからこそバイデン大統領は、他に選択肢がないからクラスター弾をウクライナに提供すると言っているわけです。過去に他の国、シリアやスーダンがクラスター弾を使ったとき、アメリカはそれを戦争犯罪だと非難しましたが、そのアメリカがウクライナにクラスター弾を提供すると言っているわけです。つまりこの紛争は非常に醜い紛争になってしまっているということが分かります。
二匹の猫と猿
アメリカの生産能力、つまり重要な兵器や弾薬の在庫を積み増す製造能力は、ロシアより劣っていることがこれによって詳らかになったわけです。今回の戦争が行われるまで、そんなことは誰も知りませんでした。ロシアの生産能力がアメリカを越えているなんて誰が考えたでしょうか。でもそれが現実になっているのです。
そして中国が力をつけてきているという背景があります。アメリカはウクライナを支えるために戦争のための重要な在庫が減ってきている。そのときに中国の影響力がどんどん大きくなってきている、という状況にあるわけです。ですからアメリカを勝者と言うこともできない。アメリカが今回の戦争の勝者になりうるとは考えられないわけです。
インドには二匹の猫と一匹の猿の児童向けの物語があります。二匹の猫がお菓子を奪い合っている。そこに猿がやってきてお菓子を横取りしてしまう。こんな話です。インドではこの物語で何を子供に教えようとしているのか。それは二匹の当事者が論争したり、戦ったりしていると、全く関係ない第三者が勝者として全部持っていってしまうことがありますよ、というメッセージです。
では現在、誰が二匹の猫なのか。ロシアと欧米です。ケーキを巡って争っているわけです。ケーキとは将来のウクライナです。では、そこに出てくる猿は誰なのか。猿は中国なのです。
今回の戦争は中国にとっては終わってほしくない戦争です。この戦争が長引けば長引くほど中国は力をつけ、アメリカは弱体化する。だから中国はこの戦争の終結を望んではいないわけです。
ではなぜ中国が勝者となるのか。これは日本の安全保障にもインドの安全保障にも直接的な影響があり、アジア、インド太平洋地域の全ての国にも影響があるため述べます。
欧米が科している対ロ制裁は、アメリカの政策当局が中国に差し出したこれまでで最大の贈り物なのです。世界で最も天然資源を豊富に持っているロシアを中国に差し上げてしまったということです。そして中国がロシアとの二国間関係を支配できるようになったのです。ロシアの機微な軍事技術も使えるようになった。中国はロシアのバンカー、銀行になったということなのです。欧米が制裁を科したがゆえにロシアはドルを使えません。ロシアは今、人民元で貿易決済を行っているという状��です。
インドとロシア原油
そして今回の戦争でエネルギーが大変なことになりました。
ヨーロッパは今回、ロシアのエネルギーからスイッチしました。安くてもロシアのエネルギーを買わず、より高いコストをかけてロシア以外からヨーロッパはエネルギーを調達しているわけです。そこで恩恵を受けているのは誰か。
それは中国なのです。中国にとっては二つの棚ぼたと言っても良いでしょう。
もちろんインドは恩恵を受けています。インドは主要なロシアの原油の買い手になってます。なぜならロシアの原油はアメリカ、欧米の制裁の対象となっておらず、石油の決裁にも制裁がかかっていないからです。
一方、イランからの原油はアメリカの制裁の対象となっています。トランプ大統領が色々な制裁をイランにかけ、石油の輸出にも制裁がかかりました。そのアメリカの制裁に応じてインドのイランからの石油輸入はゼロになりました。インドにとってイランは緊密な国だったので、割り引きもありイランが石油のナンバーワン供給国だったのですが、その石油は買えなくなりました。今インドは同じような状況に晒されたくないと考えています。
ですからインドはロシアの石油を買って取引をどんどん増やしています。イランの石油にアクセスできないことを埋め合わせているわけです。
もし、インドがロシアの石油を買わず、イラクやナイジェリアなどから買っていたとしましょう。そうすると世界の市場におけるエネルギーの価格変動はさらに大きくなったでしょう。なぜなら日本や欧米は今、中東からの石油への依存を高めているからです。インドがもしロシアから買わず中東に依存したら価格は高騰します。世界の景気後退を生んでしまうことになるでしょう。
実際、インドは石油の輸入国では三番目に大きく、石油化学製品の輸出では四番目です。ロシアから石油を輸入して生成したものをヨーロッパや他の市場に輸出をしているわけです。もちろんインドが自国の利益のために安い石油を買っているのは間違いありませんが、ある意味、間接的に世界経済の役に立っているのです。
中国の棚ぼた
では、中国にとっての二つの棚ぼたとは何か。
中国がどんどんロシアの石油とガスの輸入を増やしています。陸上輸送です。例えば、液化天然ガスを海上輸送で輸入する場合、封鎖にあう可能性があります。中東から中国に海上輸送する場合には、もし中国が台湾を攻撃した時にはアメリカ海軍が封鎖をすることができます。中国はそのような封鎖にあう可能性があります。
けれども今、中国は中核的なエネルギーをロシアから陸上ルートで輸入しているのです。そうするともう安全です。もし台湾を侵攻してもエネルギーの供給を途中で止めることはできない。封鎖はできません。中国を混乱させ、途絶させることはできないわけです。
中国はいわゆる「エネルギーのセーフティーネット」を作っているのだと言っています。エネルギーセーフティーネットを作れるのは西側のロシアに対する制裁があるおかげです。ヨーロッパが安いロシアのエネルギーに背を向けたから、それが可能になったわけです。中国がロシアの銀行家になり、ロシアの石油とガスの主要な買い手となったのです。
これが中国の大きな棚ぼたです。
中国にとって二つ目の棚ぼたはイランの石油です。他の国々はアメリカのイランに対する制裁を遵守しましたが中国は決して守らず、イランの石油を買い続けています。でもアメリカの制裁はかかっています。アメリカは中国には制裁をかけるのは怖いと思っているからです。その結果、中国が独占的にイランの石油を買ってる状態なのです。このシナリオの中では、中国に売る時にはイランはさらに価格を安くしなければなりません。中国の市場でイランはロシアと競争しているわけです。
これは、ウクライナでの戦争のおかげなのです。ですから中国は、明らかにより意を強くして大胆になってきています。この戦争は中国にとっては贈り物のようなものなのです。
中国の三戦略
そこで問題です。果たして台湾は次のウクライナになるのでしょうか。
もし、台湾が次のウクライナになるのであれば、直接的に影響を受けるのは日本の安全保障です。日本が軍事的に台湾紛争に巻き込まれる可能性があります。台湾は日本の安全保障の領域に入っているからです。これは日本、もしくはインドから遠くで行われる戦争ではなく、アジア諸国とその権益に大きな影響を与える紛争となるでしょう。
そして台湾が次の紛争地域になる可能性があります。習近平は今、良い時を見計らっている。台湾に攻撃をかけて、アメリカなどを不意打ちにしようとしています。
ロシアはウクライナに対して全面的に侵攻をかけています。でも中国の戦略は全く違うのです。一九七九年、中国はベトナムに対して、ロシアがウクライナに今日やっていることを行いました。つまり中国は全面的に仕掛けてベトナムに入っていきました。そこで中国は痛い目にあったのです。
中国があの一九七九年の失敗からどういう教訓を学んだかと言えば、全面的にやるのではなく、もっと高度な戦略を実行しなければいけないということです。あの失敗の結果、中国の侵略の戦略に大きな転換がありました。
七〇年代に中国は西沙諸島の占拠を行い、拡張主義をとって、南シナ海の地政学的な地図を書き換えました。太平洋とインド洋を繋ぐ重要な回廊ですけれども、中国は一発も銃弾を撃たずにそれを成し遂げたのです。これはものすごい拡張主義です。中国は国際的な対価を支払わず、それを達成しました。
どうやって行ったか。この戦略は少しずつ攻撃を高めるというものです。一つの攻撃を百に分けて行う。ちょっとずつやるわけです。
中国の戦略には一九七〇年代中盤から見られる三つの要素があります。これは中国が今まで行ってきた侵略行為の中で全て使われてます。
まず一つ目は「ステルス(隠密)」、二つ目が「デセプション(欺瞞)」、三つ目が「サプライズ(不意打ち)」です。ステルス、デセプション、サプライズ。中国はひっそり、騙しながら、サプライズをかけるのです。
インドへの侵略
この三要素は、日本に対する中国の戦略でも行われています。これで中国は尖閣問題を国際紛争に持ち込み、日本の空域、海域への侵入を増やしているわけです。
同じく三要素はヒマラヤでの中国の戦略にもあります。この三年以上、中印は軍事紛争を抱えています。十万人以上のインド人、そして十万人以上の中国の兵士が、ヒマラヤの最前線で睨み合っています。この睨み合いがなぜ始まったのか。インドの北部、ラダックにおいて、中国がひそかにインドの領土を少しずつ取っていたからなのです。
ヒマラヤの最前線地帯は、冬は物理的に兵士がそこにいるのさえ厳しい寒さです。その氷や雪のある厳冬に、中国がインドの重要な国境地帯を手中に収めてしまったのです。インドは、それに対して強く対応しました。中国軍に匹敵する軍隊、あるいはそれ以上の軍隊を送りました。そしてインドは絶対に折れないという姿勢を強く示したわけです。
この対立は国際的にはあまり注目されず話題になりませんでした。なぜなら皆ウクライナばかりに目がいっているからです。でも中印のこの対立は今後、最悪の場合は全面戦争になりかねない。少なくともさらに激しい衝突になり得るリスクを孕んでいます。中国の戦略の三要素はここでも揃っているわけです。
万が一、習近平が台湾に対して何か行動を起こすとすれば、間違いなく言えることが一つあります。それは、ロシア型の台湾攻撃にはならないということです。軍隊をフルに使った台湾への侵攻にはなりません。やるとしたら中国は真綿で首を絞めるような戦略を取るでしょう。これを「スロースクイーズ」と言いますが、徐々に、徐々に、台湾の息の根を止めていく。それが中国の戦略です。
茹でガエル戦略
中国はそれをどうやってやるのか。台湾海域での中国の実弾演習がそのやり方を示しています。つまり中国が台湾を侵略する場合には、まず台湾の海域と上空を封鎖する方法を取ることが実弾演習から見えます。
中国の侵略は先述のように複数の段階に分かれ、小刻みに行ってきます。
まず、最初の段階は完全な封鎖ではないかもしれません。海警や漁船などを使って台湾海峡を封鎖する。その封鎖の規模を少しずつ広げていく。そして台湾を三六〇度封鎖する。どこからも台湾にアクセスできないように、台湾がどこにもアクセスできないようにするのです。例えば台湾と他の国が繋がっているインターネットのケーブルを切断する。あるいは台湾へのエネルギー供給を止める。台湾は原油の備蓄が七日間分しかないと公式に述べています。中国がこのスロースクイーズ戦略を取ったとすれば台湾は屈服するしかない状況に追い込まれるわけです。
中国は誰の目にも明らかな侵略という形はとりません。まず文民、武装した漁民を使ったりして侵略をしていく。これは我々にとって大きなジレンマになり得るわけです。
ホワイトハウスはこの中国の戦略を「茹でガエル戦略」と呼んでいます。熱いお湯の中にカエルを入れるとすぐに飛び出てカエルは逃げます。でもカエルをお鍋の水の中に入れて少しずつその水の温度を上げていくと、カエルは水が熱くなってきていることに気が付かないのです。水温は少しずつ上がっていくけれどカエルはそれに慣れていく。最終的には沸騰して熱湯で命を奪われるまでカエルは気がつかないのです。中国の侵略もそれと同じです。「茹でガエル戦略」なんです。
インド太平洋地域が鍵
中国の拡張主義はすごくスピードが遅くて、少しずつ欧米や日本、インドのエリートなどを慣らせていくということです。そして、もうどうしようもない、中国の拡張を止めることはできないという状況を生み出していく。そして西側が一致団結するのを防ぐ。一致団結する前に「遅すぎる」という状況を生み出すのです。
バイデン大統領は記者会見で、中国が台湾を攻撃した場合にアメリカは台湾を防衛するのかと聞かれ、こう述べたと言われています。「イエス、過去にない攻撃があったら防衛する」と。でも台湾に対しては「過去にない攻撃」はないでしょう。「明らかな台湾に対する攻撃」も起こらないでしょう。
ではアメリカは、中国が台湾に行っていることが侵略だとどのタイミングで、どの段階で判断するのか。中国がスロースクイーズ戦略を取る場合、どのタイミングで、それが戦争行為であり台湾を守らなければならないとアメリカは腹をくくるのか。
これは台湾の今後の運命、アメリカの将来を左右することになります。もし台湾が中国の手中に落ちてしまったら、それはアメリカのグローバルな優位性の終わりを意味します。
インド太平洋地域は、経済的にも、地政学的にも非常に大きな世界の中心地、ハブとなりました。でもインド太平洋地域は大きな安全保障上の課題に直面しています。インド太平洋地域は広い海を抱えているため、海洋の課題にどう対処するのかが地域の秩序にとって非常に重要な意味を持っているのです。台湾の自治をどう保全していくのかがインド太平洋地域における最も喫緊の課題で、おそらく世界の最も喫緊の課題だと言えるでしょう。
欧米の批評家はよくロシアがウクライナに侵攻したことによって、世界秩序の根幹が揺らいだと言っています。でももし、中国が台湾を取ってしまったなら、それは単に世界秩序の根幹が揺らぐだけではなく、全くこれまでにない秩序が始まって��まうということです。これまでにない秩序が導入されると、この新秩序の下でアメリカの同盟国からなるシステムが破壊されてしまうということです。もし台湾が中国の手中に落ちてしまうことになったとき、日本は日米安保条約の下での安全保障を信頼することができるでしょうか。
インド太平洋地域の大きな課題とは「自由で開かれたインド太平洋」を維持することです。それは安倍さんが望んだことです。そのために必要なのは、地域の秩序を作ることです。
ルールベースの、威圧のない、自由が損なわれない、つまり航行の自由、上空飛行の自由を守るということです。世界の中心が今、インド太平洋に移ってきています。国際安全保障の鍵を握っているのはこの地域です。
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reportsofawartime · 12 days
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親愛なるジョージア国民の皆様、 20 世紀のほとんどの間、皆さんはソビエト連邦の一員として平和と繁栄を享受し、ロシアの隣国と調和して暮らしていました。 1991年、あなたは国家主義者に国家自殺の道へと導かれることを許し、時期尚早にソ連からの独立を宣言し、西側の繁栄という誤った追求の中でロシアとの関係正常化を放棄しました。 西側はあなたを無視しました。 1991年から1992年にかけて、民族主義者が南オセチアで内戦を引き起こし、国を分裂させ、内戦と民族浄化を引き起こしました。 ロシアは平和維持軍として介入した。 西側諸国はあなたを無視した。 1992年から1993年にかけて、民族主義者がアブハジアで内戦を引き起こし、その結果、同地域の喪失、数万人の死、そして25万人以上のジョージア人の民族浄化が起こりました。 ロシアはアブハジアを救うために介入することを申し出た。グルジア政府はロシアの申し出を非難した。 西側はあなたを無視しました。 1993 年に民族主義者が内戦を開始し、国家が分裂する恐れがありました。 ロシアはジョージアを救うために介入することを申し出た。 あなたはロシアの申し出を受け入れました。 ジョージアは救われた。 西側はあなたを無視しました。 2003年、西側諸国はEUとNATOへの加盟を約束してあなた方を誘惑し、政府を転覆するよう圧力をかけました。 2003年に西側諸国はイラクに軍隊を派遣しました。 2004年に西側諸国はアフガニスタンに軍隊を派遣しました。 ロシア人はあなたに何もしなかった。 2008年、ロシアはアブハジアと南オセチアの返還をめぐってジョージアと活発な交渉を行っていた。 西側諸国は貴国政府に交渉を中止し、代わりに西側諸国が支援して築いた軍隊を使って南オセチアを侵略するよう命じました。 君は侵攻し、眠っているロシアの平和維持軍を殺害した。 ロシアは反撃し、あなたの軍隊を壊滅させました。 ロシアはトビリシを占領できず、無防備なままとなった。 西側諸国はあなた方を助けるために何もしなかった。 2014年、西側諸国はウクライナでロシアとの戦争を引き起こした。 西側諸国はウクライナを永遠に支援することを約束した。 西側諸国はウクライナにEUとNATOへの加盟を約束した。 2022年にロシアが反撃した。 ウクライナは破壊されつつある。 EU加盟国ではない、 NATO加盟国ではない。 死と破壊だけがある。 2024年、西側諸国はロシアに対する第二戦線を開くためにジョージアの政治家を買収しようとしている。 西側諸国はEU加盟を提案している。 西側諸国はNATO加盟を提案している。 ロシアは平和と共栄を提供します。 ジョージア、選択はあなた次第です。 モスクワを通る平和と繁栄の道。 あるいは、ブリュッセルを通る戦争と完全な破壊の道。 覚えておいてください:ロシアはあなたを気にかけています。 西側諸国はあなたたちを、より大きな目的のために利用しているだけなのです。 ブリュッセルの道を選べば、あなたは死ぬでしょう。 モスクワの道を選べば、あなたは繁栄するだろう。 賢明に選択してください。
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xf-2 · 7 months
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https://note.com/tender_lotus58/n/nb1067d8efbb7
ロスチャイルド一族が所有・支配する銀行の全リスト
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Tamaho
2023年10月5日 00:47
国の中に中央銀行があることの意義と、なぜあなた自身やあなたの家族、同僚を心配させる必要があるのか? 中央銀行とは、ロスチャイルド銀行一族が所有する違法な民間銀行である ロスチャイルド一族は230年以上も前からこの地球上の各国に入り込み、あらゆる世界の指導者やその政府、内閣を物理的・経済的な死と破壊で脅してきた さらに悪いことに、ロスチャイルド家は各政府の策略をマクロレベルでコントロールしており、私たち個人の日々の生活の波には関心がない ただし、私たちが道を踏み外しすぎた場合は別だ 第一勢力圏の壮大な計画は、世界的なモノネーションを作り上げることだ これをグローバリゼーションと混同しないでほしい モノネーションとグローバリゼーションは、概念も範囲も目的もこれ以上ないほど異なる モノネーションはひとつの国家である 一つの政府を持つ すべての一般市民には1つの法律が適用され、エリートには法律は適用されない グローバリゼーションとは、別個の、異なる、独立した、主権を持つ国同士のコミュニケーション、取引、交流などを指す 第一勢力圏の壮大な計画は、世界的な独占を作り出すことです 連邦準備制度理事会(FRB)は、不法に設置された民間銀行であり、アメリカのすべての不況、不景気、ドルのインフレとデフレを作り出す直接的な責任がある FRBは自国通貨の印刷を管理し、アメリカ政府に利子を請求している 利子は年々増加し、政府が利子を支払うことは不可能ではないにせよ、難しくなっている どうやって利子を払うのか? アメリカの個人所得税だ この税金はロスチャイルド家に支払われる 【ロスチャイルド所有の世界の中央銀行】 🇦🇫アフガニスタン銀行 🇦🇱アルバニア銀行 🇩🇿アルジェリア銀行 🇦🇷アルゼンチン中央銀行 🇦🇲アルメニア中央銀行 🇦🇼アルバ中央銀行 🇦🇺オーストラリア準備銀行 🇦🇹オーストリア国立銀行 🇦🇿アゼルバイジャン共和国中央銀行 🇧🇸バハマ中央銀行 🇧🇭バーレーン中央銀行 🇧🇩バングラデシュ銀行 🇧🇧バルバドス中央銀行 🇧🇾ベラルーシ共和国国立銀行 🇧🇪ベルギー国立銀行 🇧🇿ベリーズ中央銀行 🇧🇯ベナン:西アフリカ諸国中央銀行(BCEAO) 🇧🇲バミューダ通貨庁 🇧🇹ブータン王国金融庁 🇧🇴ボリビア中央銀行 🇧🇦ボスニア・ヘルツェゴビナ中央銀行 🇧🇼ボツワナ銀行 🇧🇷ブラジル中央銀行 🇧🇬ブルガリア国立銀行 🇧🇫ブルキナファソ:西アフリカ諸国中央銀行 (BCEAO) 🇧🇮ブルンジ共和国銀行 🇰🇭カンボジア国立銀行 🇨🇲中央アフリカ諸国銀行 🇨🇦カナダ銀行 🇰🇾ケイマン諸島通貨庁 🇨🇫中央アフリカ諸国銀行 🇹🇩チャド:中央アフリカ銀行 🇨🇱チリ中央銀行 🇨🇳中国人民銀行 🇨🇴コロンビア共和国銀行 🇰🇲コモロ中央銀行 🇨🇩コンゴ:中央アフリカ諸国銀行 🇨🇷コスタリカ中央銀行 🇨🇮コートジボワール:西アフリカ諸国中央銀行(BCEAO) 🇭🇷クロアチア国立銀行 🇨🇺キューバ中央銀行 🇨🇾キプロス中央銀行 🇨🇿チェコ国立銀行 🇩🇰デンマーク国立銀行 🇩🇲ドミニカ共和国中央銀行 東カリブ地域:東カリブ中央銀行 🇪🇨エクアドル中央銀行 🇪🇬エジプト中央銀行 🇸🇻エルサルバドル中央準備銀行 🇬🇳赤道ギニア:中央アフリカ諸国銀行 🇪🇪エストニア銀行 🇪🇹エチオピア国立銀行 🇪🇺欧州連合:欧州中央銀行 🇫🇯フィジー準備銀行 🇫🇮フィンランド銀行 🇫🇷フランス銀行 🇬🇦ガボン:中央アフリカ諸国銀行 🇬🇲ガンビア中央銀行 🇬🇪グルジア国立銀行 🇩🇪ドイツ連邦銀行 🇬🇭ガーナ銀行 🇬🇷ギリシャ銀行 🇬🇹グアテマラ銀行 🇬🇼ギニアビサウ:西アフリカ諸国中央銀行 (BCEAO) 🇬🇾ガイアナ銀行 🇭🇹ハイチ中央銀行 🇭🇳ホンジュラス中央銀行 🇭🇰香港金融管理局 🇭🇺ハンガリー:マジャール・ネムゼティ銀行 🇮🇸アイスランド中央銀行 🇮🇳インド準備銀行 🇮🇩インドネシア銀行 🇮🇷イラン・イスラム共和国中央銀行 🇮🇶イラク中央銀行 🇮🇪アイルランド中央銀行および金融サービス機構 🇮🇱イスラエル銀行 🇮🇹イタリア銀行 🇯🇲ジャマイカ銀行 🇯🇵日本銀行 🇯🇴ヨルダン中央銀行 🇰🇿カザフスタン国立銀行 🇰🇪ケニア中央銀行 🇰🇷韓国銀行 🇰🇼クウェート中央銀行 🇰🇬キルギス共和国国立銀行 🇱🇻ラトビア銀行 🇱🇧レバノン中央銀行 🇱🇸レソト中央銀行 🇱🇾リビア中央銀行 🇱🇹リトアニア中央銀行 🇱🇺ルクセンブルク中央銀行 🇲🇴マカオ金融管理局 🇲🇰マケドニア共和国国立銀行 🇲🇬マダガスカル中央銀行 🇲🇼マラウイ準備銀行 🇲🇾マレーシア中央銀行 🇲🇱マリ:西アフリカ諸国中央銀行 (BCEAO) 🇲🇹マルタ中央銀行 🇲🇺モーリシャス銀行 🇲🇽メキシコ銀行 🇲🇩モルドバ国立銀行 🇲🇳モンゴル銀行 🇲🇪モンテネグロ中央銀行 🇲🇦モロッコ銀行 🇲🇿モザンビーク銀行 🇳🇦ナミビア銀行 🇳🇵ネパール中央銀行 🇳🇱オランダ銀行 オランダ領アンティル:オランダ領アンティル銀行 🇳🇿ニュージーランド準備銀行 🇳🇮ニカラグア中央銀行 🇳🇪ニジェール:西アフリカ諸国中央銀行(BCEAO) 🇳🇬ナイジェリア中央銀行 🇳🇴ノルウェー中央銀行 🇴🇲オマーン中央銀行 🇵🇰パキスタン国立銀行 🇵🇬パプアニューギニア銀行 🇵🇾パラグアイ中央銀行 🇵🇪ペルー中央準備銀行 🇵🇭フィリピン中央銀行 🇵🇱ポーランド国立銀行 🇵🇹ポルトガル銀行 🇶🇦カタール中央銀行 🇷🇴ルーマニア国立銀行 🇷🇺ロシア中央銀行 🇷🇼ルワンダ国立銀行 🇸🇲サンマリノ共和国中央銀行 🇼🇸サモア中央銀行 🇸🇦サウジアラビア通貨庁 🇸🇳セネガル:西アフリカ諸国中央銀行(BCEAO) 🇷🇸セルビア国立銀行 🇸🇨セーシェル中央銀行 🇸🇱シエラレオネ銀行 🇸🇬シンガポール通貨庁 🇸🇰スロバキア国立銀行 🇸🇮スロベニア銀行 🇸🇧ソロモン諸島中央銀行 🇿🇦南アフリカ準備銀行 🇪🇸スペイン銀行 🇱🇰スリランカ中央銀行 🇸🇩スーダン銀行 🇸🇷スリナム中央銀行 🇸🇿スワジランド中央銀行 🇸🇪スウェーデン・リクス銀行 🇨🇭スイス国立銀行 🇹🇯タジキスタン国立銀行 🇹🇿タンザニア銀行 🇹🇭タイ銀行 🇹🇬トーゴ:西アフリカ諸国中央銀行(BCEAO) 🇹🇴トンガ国立準備銀行 🇹🇹トリニダード・トバゴ中央銀行 🇹🇳チュニジア中央銀行 🇹🇷トルコ共和国中央銀行 🇺🇬ウガンダ銀行 🇺🇦ウクライナ国立銀行 🇦🇪アラブ首長国連邦中央銀行 🇬🇧イングランド銀行 🇺🇸FRB、ニューヨーク連邦準備銀行 🇺🇾ウルグアイ中央銀行 🇻🇺バヌアツ準備銀行 🇻🇪ベネズエラ中央銀行 🇻🇳ベトナム国家銀行 🇾🇪イエメン中央銀行 🇿🇲ザンビア銀行 🇿🇼ジンバブエ準備銀行
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taketea44 · 4 months
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毎日が記念日
12月22日は…
改正民法公布記念日
1947年12月22日、「民法」の第4編と第5編を全面改正する改正法が公布されました。家父長制の家族制度が廃止され、戸籍が夫婦単位となったのです。
面白いことに家長って、ブラジルの日系社会では、まだ、使っているよ。
【疑わしいAI-イチロウによる12月22日の出来事】
1808年 - フランス皇帝ナポレオン・ボナパルトがスペインでマドリードを占拠。
1944年 - 第二次世界大戦中、バルジの戦いが始まる。1989年 - ルーマニアの大統領ニコラエ・チャウシェスクが失脚し、後に処刑される。
2001年 - リチャード・リード将軍がアフガニスタンのターリバーン政権を崩壊させるために行われた作戦「アイリーン」が終了。
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tumnikkeimatome · 6 months
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現代のテロ組織と「人間の盾」:『ISIS』『ボコ・ハラム』『タリバン』
人間の盾と現代のコンフリクト 人間の盾とは、無害な市民を利用して、相手方の攻撃を阻止または遅延させる戦術です。現代のテロ組織や非国家武装組織は、この戦術を多用しており、国際的な関心を集めています。 中東の事例:ISISの戦術 ISIS(イスラム国)は、占領地域の市民を軍事施設や戦略的な場所に強制的に集め、連合軍や敵対的な勢力の空爆や攻撃から自らを守る「盾」として使用していました。これにより、多くの市民が無関係な戦闘で犠牲となりました。 アフリカの事例:ボコ・ハラム ボコ・ハラムは、ナイジェリアやその周辺国で活動する過激派組織です。彼らは、拉致した市民や子供たちを前線に立たせ、政府軍の攻撃を避けるための人間の盾として利用しています。特に、子供を戦闘員として利用することで、国際的な非難を浴びています。 アジアの事例:タリバン タリバンは、アフガニスタンでの長い戦争の中で、人間の…
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kurano · 1 year
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ウクライナも、4月23日公開「マクロン発言は『勇気ある』ものなのか、日本も米国の同盟国だが子分ではない」2ページ目「ノルドストリームと腐敗」で述べたように、腐敗国家ランキングではイランと同率に並ぶ。
また、「ゼレンスキー大統領が(欧米などによる制裁対象である)ロシアから安くディーゼル燃料を購入する一方、米国が燃料購入代金として送った数億ドルの支援を側近とともに着服している」こともスクープされている。これが事実であれば、南ベトナムで解放戦線に武器を売却したことに匹敵する背信行為だ。
ゼレンスキー大統領は、18~60歳の男性を出国禁止にした。その結果、父親・夫と引き離された子供や妻たちが、海外で孤独な難民生活を強いられている。さらに父親・夫を含む男性たちも、勝ち目の無い戦闘で命を散らしているのだ。
彼らの犠牲が、「愛する母国」を守るためのものではなく、ゼレンスキー大統領とその取り巻きやバイデン一家が私腹を肥やすためのものであったとしたらあまりにも悲しい。
もちろんもし停戦が実現したとしても、市民の心が離れたゼレンスキー大統領がウクライナを統治することは、イランやアフガン同様極めて困難である。
ウクライナが腐敗国家だというのはそうかもしれないが、ゼレンスキーが独裁者というのは違うと思う。また、腐敗の元凶がロシアであるとも聞く。イラクやアフガンと同列に並べるのは如何なものか。
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senjokisha2022 · 1 year
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須賀川拓の瞳が捉えた紛争地を映し出す場面写真&30秒映像解禁
圧倒的なリアル。紛争地を徹底的に取材する、彼の瞳が捉えた「対岸の火事ではない」世界の現実
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戦争が日常となってしまったウクライナの今 2022年、我々の記憶に新しく、今も最新の情報が日々届けられるロシアのウクライナ侵攻。戦争が続くウクライナで須賀川は、非人道的な兵器であるクラスター爆弾が降り注ぐ街や、そこに住む住人、またロシア軍の占拠で放射能汚染のリスクが激増したチョルノービリ原発の職員に現地取材。ロシアのプーチン大統領が「ネオナチからの解放作戦」と主張する“軍事作戦”が、紛れもない侵略・破壊行為であることを示す。 解禁された場面写真は、南部の要衝オデーサで街の様子が戦争によって一変しているさまを目のあたりにした瞬間の須賀川の表情のほか、前線から近いミコライウで巡航ミサイルによって攻撃されたとみられる建物に立ち尽くす姿や、ロシア軍が住宅街に撃ち込んだ非人道的兵器・クラスター爆弾のキャニスターを持ってくる兵士、また付近の道路に残るその子弾の痕跡なども含まれている。須賀川はこれらを詳細にレポートしながら「軍事的ターゲットではないことは明らかなんです」「人道的に使ってはならない兵器が撃ち込まれて人が亡くなっている」と、平和な日常が一瞬にして戦場と化す現実を我々に突きつけるのだ。
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アメリカ軍が撤退し、タリバンが支配するアフガニスタンの今 昨年に続き今年夏、須賀川はアフガニスタンへ赴き、タリバンの支配下で女性の人権が抑圧される実態のほか、深刻化する貧困と蔓延するドラッグが作り出した「橋の下の地獄」の取材を敢行した。 解禁された写真は、昨年11月に訪れた際にタリバンのパトロール車両にテロ警戒のためヘルメット・防弾ベスト姿で乗り込み同行する姿や、今年夏に訪れた際に取材した「橋の下の地獄」に足を踏み入れ取材する須賀川を見ることができる。「(橋の下に住む人たちは)ここでの生活から抜け出せなくなっている」「タリバンでさえも麻薬中毒者を見ても見ぬふり。社会から断絶されてしまっている」とレポートする須賀川の言葉が印象的で、日本という安全な国で暮らす私達には想像もできない悲惨な現状を垣間見ることができる。
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パレスチナ自治区ガザとイスラエルの終わりが見えない争いの被害者は―。
 須賀川がJNN中東支局長に着任して、初めて取材に向ったのがガザ地区。以降、何度もガザに入って取材をしてきた須賀川だが、本作でも、イスラエルによって閉ざされたこの人口200万の「天井のない監獄」で、4人の子供と妻を空爆で失った男性の静かな慟哭に耳を傾ける。一方のイスラエルでは、ガザから無差別に放たれるロケット弾と迎撃ミサイルが空を行き交う異様な光景を伝えた上で、それぞれの当局者に攻撃の正当性を問い質す。
解禁された写真は、アパートが跡形も無くなった空爆現場や、その周辺で発見された爆弾の破片などを念入りに取材する須賀川の様子を映し出す。この映画は、愛する家族や住む場所を失ったガザ住民の悲痛な心の叫びに寄り添い、その痛々しいほどの現状を我々に伝えてくれる。
  一体どれぐらいの日本人が現在、世界で進行中の紛争を身近にとらえているのだろうか。解禁された30秒映像では、「(一般住民が)戦争の狂気の受け皿になってしまっている」と語る須賀川の言葉から、無差別攻撃や民間人の巻き添え被害など「戦争犯罪」を非難する彼の強い姿勢を感じることができる。カメラがとらえた子供たちの姿も印象的で、その眼差しは日本に暮らす我々に、「戦争が日常化」しているという「非日常」をスクリーン越しに投げかけてくる。その圧倒的なリアルを体感できるドキュメンタリー映画『戦場記者』を、是非劇場でご覧いただき、今世界で起きている人道危機を自らの目で目撃してほしい。
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fwpjapan · 3 years
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「戦後思考」からの脱却が焦眉の急だ
   コロナ禍が世界で広がる中、国際政治を揺るがす新たな事態が勃発した。  アフガニスタンでイスラム原理主義勢力タリバンが全土を制圧し、親米ガニ政権が崩壊したことである。これによってアジア情勢が激変する可能性がある。  何よりも警戒すべきは、自由陣営の旗手として戦後の国際秩…
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ari0921 · 1 month
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和六年(2024)3月25日(月曜日)
    通巻第8189号
 モスクワの惨劇、IS─Kはタジキスタンの偽造パスポートで入国か
  犠牲者の大半は火事による窒息死。イランにおける一月の自爆テロと関連
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 クロカスシティ・ホールはコンサート会場、となりには五千人収容の劇場、数万収容のスタジアムが立ち並ぶ一大アミューズメント・コンプレックスで、アゼルバイジャンの大金持ちが建てた。
2013年の「ミスユニバース大会」もここで開催され、主催者は誰あろう、ドナルド・トランプだった。
 3月22日に起きたコンサートホール襲撃はIS─K(イスラム国ホラサン派)のテロ集団が機関銃を乱射し、ガソリンか、なにかの液体を撒いて火を放ったため トイレに隠れていた市民が窒息死したのが犠牲の大半だという。
 プーチンはウクライナとの関連を示唆したが、どうやら背景にウクライナの謀略機関は関与していないようだ。
 さてIS─Kである。シリア、イラクを拠点にアサド体制に戦いを挑み、一時はシリアの半分近くを占領していた。ロシア、ならびにイランによって撤退を余儀なくされたIS─Kはロシアとイランを敵視するようになった。
 かれらが格好の避難場所として選んだのはアフガニスタンだった。
 治安の乱れ、無法地帯と化していたアフガニスンに潜入し、当時の反政府組織タリバンと連携し、秘密基地をアフガニスタンに構築した。
アフガニスタン首都のカブールの教育施設で2020年5月に自爆テロで24名が死に、11月にはカブール大學で、イランに関するイベントが開催されたとき、IS─Kが襲撃し、教師と学生22名が犠牲となった。カブール大學は2018年にも同様なテロが起こり警戒を強めていた。
いずれも米国撤退前のテロで、米国傀儡のガニ政権への反乱。タリバンは関連を否定していた。
 
2024年1月3日、イランのケルマンで開催されていたイラン革命防衛隊のソレーマン司令官(米軍がイラクでドローンより殺害)の追悼会にIS─Kは自爆テロを敢行し、84名の死者と287名の負傷がでた。1979年のイラン・イスラム革命以来、最大の惨事となった。
ロシアと同様にイランはIS─Kを敵視している。
今回のテロリストはタジキスタンの偽造パスポートで入国した可能性がある。タジキスタンはソ連のアフガニスタン侵略のときにはソ連の前線基地。いまも数百のロシア兵が駐屯している。この国も治安はなきに等しく、くわえて中国がプロジェクトを請け負い、多数の中国人がウイグル独立運の地下組織を瞠っている。
タジキスタン政府はパスポート照合の結果、無関係と発表した。
米国は偵察衛星やネットの監察などで秘密通信を解読していたと見られ、モスクワ襲撃でも、事前に在留アメリカ人に警告を発していた。
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ryotarox · 3 years
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人気コメに「平和な近代国家が成立する分かれ道があったか」と指摘があるが1950~60年代のアフガンは平和で繁栄した時代だった( https://bit.ly/3geMKFA )。 73年のダーウードのクーデターから紛争が続いている。
[B! 歴史] 1分でわかるアフガニスタンの歴史
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(略)
1929年:アフガン国王「あかん、反発が強すぎるわ。無理やり抑えてきたけどもう限界や」 →反乱が多発して首都が占拠される →アフガン新国王「反乱を鎮圧してワイが王様になったで! もっと穏健に近代化を進めるで!」
1973年:アフガン大統領(引用注:ダーウード)「国王が軟弱やからクーデター起こしたったで! 王制を廃止してワイが大統領になるで! ソ連を後ろ盾にもっと近代化を進めるで!」
1978年:ソ連「大統領のやつ、最初はワイらに尻尾振っとったのに、最近はアメリカにべったりやんけ。ほんならこっちにも考えがあるで」 →四月革命 →ソ連「アフガンは共産主義の同志になったんやで(にっこり)」 →イスラム勢力「共産化なんかありえへんやろ! 反乱するで!」
1979年:ソ連「アフガン政府を助ける名目で軍事介入するで!」 →アフガニスタン紛争開始
(略)
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50~60年代のアフガニスタンの活気にあふれた風景をとらえた写真いろいろ - DNA
ムハンマド・ダーウード - Wikipedia
アフガニスタン - Wikipedia #王政廃止からソ連軍の撤退
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jaguarmen99 · 3 years
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アフガニスタンのイスラム主義組織タリバン(Taliban)は23日、米国などの外国軍部隊が今月31日の撤収期限を越えてアフガンに駐留すれば「結果」を伴うと警告した。  各国は、強硬派イスラム政権の復帰から必死に逃れようとする外国人やアフガン人を退避させるため、数千人の部隊を再びアフガンに派遣。米政府に対しては、撤退期限延長を求める圧力が高まっている。  タリバンのスハイル・シャヒーン(Suhail Shaheen)報道官は英スカイニューズ(Sky News)に対し、合意された期限を過ぎた駐留は「占領の延長」となると指摘。「米国や英国が退避を継続するためにさらに時間を要求するなら、答えはノーだ。さもなくば結果を伴うことになる」と語った。関係者2人がAFPに語ったところによると、タリバンは最後の米兵が出国するまで政府や内閣の構成を発表しない意��だ。  首都カブールでは、国外退避を希望する人々が殺到したことで、少なくとも8人が死亡。人々が圧死したり、少なくとも1人が飛行機から転落死したりするなど、悲惨な光景を引き起こしている。  ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領は、今月末までに米軍の撤収と人々の退避を完了させる意向を強調。米国防総省は23日、カブールの空港から過去24時間で約1万6000人を退避させ、今月14日に始まった空輸作戦で避難した人の数は3万7000人になったと発表した。
米軍撤収、期限延長なら「結果」伴う タリバンが警告 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News
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jsato · 2 years
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ウクライナで、米国はロシアとの戦争に我々を引きずり込もうとしている
ウクライナにおける米政府の役割、そして米政府のネオナチへの支援は、世界の他の地域にも大きな影響を与える。 2014年5月14日 英ガーディアン紙のJohn Pilger氏執筆意見記事 原文:https://www.theguardian.com/commentisfree/2014/may/13/ukraine-us-war-russia-john-pilger
 なぜ私たちは、私たちの名を借りた別の世界大戦の脅威を容認しているのだろうか。なぜ、このリスクを正当化する嘘を許してしまうのか。私たちの洗脳の規模は、まるで真実が「起こっている最中にも起こらなかった」かのように、「見事で、機知に富んだ、非常に成功した催眠行為」であるとハロルド・ピンターは書いている。
 アメリカの歴史家ウィリアム・ブラムは毎年、「アメリカの外交政策の記録に関する最新の要約」を発表している。それによると、1945年以来、アメリカは50以上の政府(その多くは民主的に選ばれた政府)の転覆を試み、30カ国で選挙に大きく干渉し、30カ国の民間人を爆撃し、化学・生物兵器を使用し、外国の指導者を暗殺しようと試みてきたのである。
 多くの場合、英国は協力者であった。世界で最も進んだ通信手段と名目上最も自由なジャーナリズムが存在するにもかかわらず、米英政府の犯罪性はおろか、人的被害の程度も西側ではほとんど認識されていない。テロリズム-「我々の」テロリズム-の最も多数の犠牲者がイスラム教徒であることは、言うに及ばずである。9.11を引き起こした極端なジハード主義が、英米の政策(アフガニスタンでのサイクロン作戦)の武器として育まれたことは、報道されない。米国務省は4月、2011年のNATOの作戦を受け、「リビアはテロリストの安住の地となった」と指摘した。
 「我々の」敵の名前は、共産主義からイスラム主義まで、何年もかけて変わってきた。しかし一般的には、西側勢力から独立し、戦略的に有用な、あるいは資源の豊富な領土を占める社会、あるいは単にアメリカの支配に代わるものを提供する社会のことである。こうした妨害的な国家の指導者は通常、イランのムハンマド・モセデク、グアテマラのアルベンス、チリのサルバドール・アジェンデのような民主主義者を暴力的に押しのけたり、コンゴ民主共和国のパトリス・ルムンバのように殺害されたりしている。フィデル・カストロ、ウゴ・チャベスなど、すべてのターゲットが西側メディアの中傷キャンペーンにさらされている。現在はそれがプーチンだ。
 ウクライナにおける米国の役割は、私たちに対する意味合いにおいてのみ異なる。レーガン時代以来初めて、アメリカは世界を戦争に巻き込むと脅している。東ヨーロッパとバルカン半島がNATOの軍事拠点となり、ロシアと国境を接する最後の「緩衝国」であるウクライナは、米国とEUが放ったファシストの力によって引き裂かれようとしているのである。私たち西側諸国は、ウクライナのナチスがヒトラーを支持した国で、今やそのネオナチを支持しているのである。
 2月にキエフの民主的に選ばれた政府に対するクーデターを首謀し、クリミアにあるロシアの歴史的で合法的な温水海軍基地の奪取を計画していたワシントンは、失敗した。ロシア人は、ほぼ1世紀にわたって西側からのあらゆる脅威と侵略に対して行ってきたように、自分たちを守った。
 しかし、NATOの軍事的包囲網は、米国が組織したウクライナのロシア系住民への攻撃とともに、加速している。もしプーチンを刺激してウクライナのロシア系住民を助けるように仕向けることができれば、プーチンのあらかじめ決められた「除け者」の役割は、ロシア自体に波及し、NATOが運営するゲリラ戦を正当化することになるだろう。
 しかし、プーチンは挑発に乗らずに、ワシントンやEUとの融和を模索し、ウクライナ国境からロシア軍を撤退させ、ウクライナ東部のロシア系民族に週末の挑発的な住民投票を放棄するよう促すことによって、戦争当事者を混乱に陥れている。ウクライナの人口の3分の1を占めるロシア語を話すバイリンガルの人々は、この国の民族的多様性を反映し、キエフから自立し、モスクワからも独立した民主的な連邦国家を長い間求めてきた。その多くは、西側メディアが呼ぶような「分離主義者」でも「反乱者」でもなく、祖国で安心して暮らしたいという市民である。
 イラクやアフガニスタンの廃墟のように、ウクライナはCIAのテーマパークと化している。CIA長官のジョン・ブレナンがキエフで自ら運営し、CIAとFBIの数十人の「特別部隊」が「治安維持組織」を立ち上げ、2月のクーデターに反対した人たちへの野蛮な攻撃を指揮しているのだ。今月オデッサで起こった大虐殺のビデオを見たり、目撃者のレポートを読んだりしてほしい。バスに乗ったファシストの凶悪犯が労働組合の本部を焼き、中にいた41人が殺された。警察は横で何もせずに見ていた。
 ある医師は、焼かれている人々を救おうとした。「しかし、私は親ウクライナのナチス過激派に止められた。そのうちの一人が私を無礼にも押し退け、もうすぐ私やオデッサの他のユダヤ人も同じ運命をたどることになるだろうと言い放った。昨日起こったことは、第二次世界大戦中に私の町がファシストに占領されたときにも起こらなかったことなのです。なぜ世界中が黙っているのか、不思議です」。[脚注を参照)。
 ロシア語を話すウクライナ人は、生き残りをかけて戦っている。プーチンが国境からのロシア軍撤退を発表したとき、キエフ政権の国防長官アンドリー・パルビイ(ファシスト政党スヴォボダの創設メンバー)は、「反乱者」への攻撃は継続すると自慢していた。ウィリアム・ヘイグによれば、西側のプロパガンダは、このことをモスクワが「紛争と挑発を画策している」と逆手に取っている。彼の皮肉は、オデッサの大虐殺の後、オバマがクーデター政権に対して送った「驚くべき自制心を示した」というグロテスクな祝辞に匹敵する。オバマは、クーデター政権は「正当に選ばれた」のだと言う。ヘンリー・キッシンジャーがかつて言ったように。「重要なのは何が真実かではなく、何が真実と認識されるかということだ」。
 アメリカのメディアでは、オデッサの残虐行為は「不透明」であり、「民族主義者」(ネオナチ)が「分離主義者」(ウクライナ連邦の住民投票のための署名を集める人々)を攻撃した「悲劇」であるとして、ごまかされてきた。ルパート・マードックのウォールストリート・ジャーナルは犠牲者を非難した-「致命的なウクライナの火災は反乱軍が引き起こした可能性が高い、政府はそう言っている」。ドイツのプロパガンダは純粋に冷戦的で、フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング紙はロシアの「宣言されていない戦争」について読者に警告を発している。ドイツ人にとって、プーチンが21世紀のヨーロッパにおけるファシズムの台頭を非難する唯一の指導者であることは痛烈な皮肉である。
 9.11以降、「世界は変わった」というのが一般的な定説である。しかし、何が変わったのだろうか。偉大な内部告発者ダニエル・エルズバーグによれば、ワシントンで静かなクーデターが起こり、軍国主義が横行するようになった。国防総省は現在、124カ国で「特殊作戦」-秘密戦争-を展開している。国内では、貧困の拡大と自由の喪失が、永続的な戦争状態の歴史的な帰結である。核戦争のリスクも加わり、問題は、なぜ私たちはこれを容認しているのか、ということである。
www.johnpilger.com
2014年5月16日に以下の脚注を追記した。親ウクライナのナチス過激派に止められた」という医師の引用は、その後削除されたフェイスブックページのアカウントによるものである。
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taketea44 · 4 months
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毎日が記念日
12月22日は…
改正民法公布記念日
1947年12月22日、「民法」の第4編と第5編を全面改正する改正法が公布されました。家父長制の家族制度が廃止され、戸籍が夫婦単位となったのです。
面白いことに家長って、ブラジルの日系社会では、まだ、使っているよ。
【疑わしいAI-イチロウによる12月22日の出来事】
1808年 - フランス皇帝ナポレオン・ボナパルトがスペインでマドリードを占拠。
1944年 - 第二次世界大戦中、バルジの戦いが始まる。1989年 - ルーマニアの大統領ニコラエ・チャウシェスクが失脚し、後に処刑される。
2001年 - リチャード・リード将軍がアフガニスタンのターリバーン政権を崩壊させるために行われた作戦「アイリーン」が終了。
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xf-2 · 3 years
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アフガニスタンで進攻を続ける反政府組織タリバンが15日夜、首都カブールに入った。それに先立ち、アシュラフ・ガニ大統領は隣国へ出国した。タリバンはカブールを攻撃して制圧するつもりはなく、平和的な権力移譲を目指すとしている。タリバンは同日夜には、首都の外で待機していた戦闘員に、市内に入るよう指示。大統領府を掌握したとしている。
アフガニスタン国家和解高等評議会のアブドラ・アブドラ議長は15日夜、ガニ大統領が出国したと確認した。フェイスブックに投稿した動画でアブドラ氏は、ガニ氏を「前大統領」と呼び、「国をこのような状態で置き去りにした」ガニ氏について「神が責任を問うし、国も審判を下す」と述べた。
これに先立ちタリバンは15日午後、首都に武力で入るつもりはないとして、権力の平和的移譲へ向けた協議が続いていると述べていた。政府内相は、閣僚が「平和的権力移譲」を準備していると述べた。タリバン報道官はBBCに、「全てのアフガニスタン人が含まれるイスラム首長国のイスラム政府」は「国民と国に奉仕する」と言い、懸念されている女性の権利についても教育や就労の権利を認めると話した。
大統領はタジキスタンへ
画像提供,REUTERS
ガニ大統領は15日午後に出国した
ガニ大統領については、地元トロ・テレビなど複数メディアが政府幹部の話として、その出国を伝えていた。タジキスタンへ向かったという。アムルラ・サレ副大統領も出国したという。同日午後には、ガニ大統領が、米政府のザルマイ・カリルザド特使をはじめ、他の北大西洋条約機構(NATO)幹部と緊急協議をしているとの情報もあった。
タリバンは15日夜、首都の入り口で待機させていた戦闘員に、市内に入るよう指示した。「略奪を防ぐため」だと、ザビフラ・ムジャヒド広報官は説明した。アフガニスタン治安部隊がすでに市内の持ち場や検問所を離れているため、タリバンが混乱と略奪を防ぐために市内に入るのだと説明した。
同日夜には、大統領府を掌握したと主張した。
タリバン広報官は声明で、市民に戦闘員を恐れないよう呼びかけた。
アフガニスタンにおけるアメリカの外交トップ、ロス・ウィルソン代理大使は15日夜、大使館を離れてカブール国際空港に避難した。米当局者によると、大使館に掲げられていた星条旗も空港へ運ばれた。
カブール空港で発砲があったという情報もある。
「平和的権力移譲」を
アフガニスタン政府のアブドル・サッタル・ミルザクワル内相代行は同日午後、地元トロ・テレビが放送した動画で、暫定政府への「平和的権権力移譲」が行われると述べた。カブールが攻撃を受けることはないとも話した。
タリバンはさらに声明で、国民に国内にとどまるよう呼びかけ、「あらゆる経歴の人たちに、将来的なイスラム制度の中に自分がいる様子を思い浮かべてほしい。新しいイスラム制度では、責任ある政府が奉仕し、全員に受け入れられるようになる」と強調した。
カタールの首都ドーハでアフガニスタン政府とタリバンが続けていた和平交渉の場に、アフガニスタン各地の部族長たちが参加し、政権移譲の形を協議することになったという情報もある。
タリバンは15日午後、戦闘員には首都の入り口で待機するよう指示していた。さらに、首都と市民の安全はアフガニスタン政府次第だとして、権力の平和的移譲へ向けた協議が続いていると述べた。
タリバン関係者は、戦闘員には祝砲の発砲を禁止したと述べた。アフガニスタン政府軍の兵士たちには、帰宅を認める方針という。関係者はさらに、空港と病院は運営を続け、緊急援助物資の搬入を阻止することもないと話した。
外国人は、出国を希望する人には出国を認めるほか、滞在を希望する場合はタリバン当局に申告するように言われている。
タリバンはさらに、カブール北郊にあるバグラム空軍基地と刑務所を掌握したと発表した。バグラム空軍基地は2001年10月に始まったアフガニスタン空爆から今年7月2日まで、タリバンやアルカイダと戦う米軍など外国駐留部隊にとって最大の作戦拠点だった。
空港へ渋滞 銀行では行列
こうした状況で、15日には多くの市民がカブールから脱出しようとして、交通渋滞が発生した。カブールで取材するBBC記者によると、多くの店舗や市場は閉店し、一部の政府庁舎も閉じた。持ち場を離れる兵士や警官もいたという。
パキスタンは、国境沿いの地域をタリバンが制圧したため、越境地点のトルカム検問所を閉鎖したとされる。このため、アフガニスタンからの出国ルートはカブール国際空港発の空路のみになった。
空港への道路が渋滞する中、「鍵を車内に残して空港へ歩き始めた人もいる」と、住民の1人はロイター通信に話した。
カブールではさらに住民たちが、預金を引き出そうと銀行で長蛇の列を作っている。現金が足りなくなった支店もあるという。
米軍を中心とした外国駐留軍が20年の軍事作戦を経て撤退すると、タリバンは一気に国内で進撃を続けて、勢力範囲を拡大した。一連の戦闘で数十万人が避難民となり、その多くが安全を求めて首都カブールに避難していた。
アメリカはドナルド・トランプ前政権が昨年2月の時点で、今年5月までに米軍を撤退させるとタリバンと合意していた。ジョー・バイデン大統領は今年4月、米同時多発テロから20年を迎える9月11日までにアフガニスタンの駐留米軍を完全撤退させると表明した。
画像提供,EPA
タリバンが首都に迫ったと知らされ帰宅を急ぐ人たち(15日、カブール)
女性の権利は
カタールの首都ドーハでアフガニスタン政府と和平交渉を続けるタリバンのスハイル・シャヒーン広報官は同日、BBCニュースのキャスターとして生放送中のヤルダ・ハキーム記者に電話をかけ、アフガニスタンの人たちに「報復はしない」と話した。
「アフガニスタンの人たち、とりわけカブールの人たちには、あなたたちの財産や生命は安全だと、約束する。誰にも報復はしない」とシャヒーン氏は述べた。
「タリバン指導部は兵士に、カブールの入り口で待機し、市内に入らないよう指示した。私たちは平和的な権力移譲を待っている」とシャヒーン氏は話した。
<関連記事>
なぜタリバンはこれほど急進撃しているのか アフガニスタン
アフガニスタン再支配を目指すタリバン 過酷な刑罰復活か
欧米の外交スタッフの避難加速、タリバンは首都カブールに近づく
「平和と寛容」の政府になると繰り返したシャヒーン氏は、タリバンのイスラム政府には、タリバンに所属しない人も含め、すべてのアフガニスタン人が参加できるとも述べた。「全てのアフガニスタン人が含まれる」「アフガニスタン・イスラム首長国のイスラム政府」は「国民と国に奉仕する」と強調した。
さらに、アフガニスタン内外で懸念されている女性の扱いについては、女子が教育を受ける権利や女性が家の外で働く権利を認め、女性は頭髪を隠すヘジャブを着ければ外出は認められると述べた。タリ��ンが制圧した地域ではすでに、戦闘員が女子の登校を禁止したという情報があると指摘されると、それは指導部の方針と異なり、タリバンの名誉を傷つけようとする風説だと述べた。
タリバンが掌握した地域ではすでに、女性が全身を覆うブルカの着用を強制されたり、男性の付き添いなしでの外出が禁止されたりしているという。また、タリバンが強制する行動規範に違反した人たちを殴ったりむちで打ったりしているという報告もある。
「女性に対する戦争を世界は静観している」 アフガニスタンの現状を語る
アメリカの対応は
こうした中、欧米諸国はアフガニスタンに在留している外交スタッフや市民の出国を急いでいる。
バイデン米大統領は、「アメリカや同盟諸国の人員が、秩序だって安全に出国できるよう、駐留中に我々を助けてくれたアフガニスタン人や、とりわけタリバンの脅威にさらされている人たちが、秩序だって安全に避難できるよう」、米兵約5000人を現地に派遣した。
イギリス市民の出国を支援するため、英兵約600人もカブールに派遣された。この英兵たちは、イギリス軍を支援し、タリバンから報復される危険のあるアフガニスタン人の移住も支援する。
他の欧米諸国も自国民を出国させている。大使館を閉鎖する国もある。
バイデン大統領は7月2日深夜に米軍の大半を撤退させたことについて、「よその国の内戦のただなかにアメリカが果てしなくい続ける」ことは正当化できないと述べていた。バイデン氏は7月8日、タリバンがアフガニスタン全土で勝利する可能性は「非常にあり得ない」とも発言していた。
アントニー・ブリンケン米国務長官は日本時間15日夜、米CNNに出演。「どうしてバイデン大統領はこの件についてこれほど間違ったのか」と質問するジェイク・タッパー司会者に対して、「まず文脈をはっきりさせよう。アメリカがアフガニスタンにいた一番の目的は、9/11に我々を攻撃した連中に対抗するためだった」として、オサマ・ビンラディン容疑者を裁き、テロ組織アルカイダの能力を後退させるという目的は果たしたと述べた。
「そもそもアフガニスタンへ行った理由については、我々は目的達成に成功した」とブリンケン氏は言い、「我々が部隊を(アフガニスタンに)残しておけば、現状がずっと維持できたはずだという考え方は、ひたすら間違っていると思う」と続けた。
ブリンケン長官は米ABCニュースに対しても、アフガニスタンでの任務は「成功」だったと強調し、ヴェトナム戦争でアメリカが支援した南ヴェトナム軍の敗北が決定的となった、1975年の「サイゴン陥落」と現状は異なるとの見解を示した。
「これはサイゴンじゃない」と、ブリンケン長官は述べた。
東部ジャララバードは無抵抗
カブール接近の前には、タリバンは14日から15日にかけて、北部バルフ州の州都マザーリシャリーフと東部の主要都市ジャララバードを制圧した。
東部ナンガルハル州の州都ジャララバードでは15日朝、タリバンが一発も発砲することなく、無抵抗の市内を席捲(せっけん)したとされる。
地元政府関係者はロイター通信に「ジャララバードでは何の衝突も起きていない。知事がタリバンに降伏したからだ。市民の命を守るのは、タリバンの入市を認めるしかなかった」と話した。
ジャーナリストのタリク・ガズニワル氏は、州知事がタリバンに行政権を移譲する様子だという写真をツイートした。
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ジャララバードを押さえたことで、タリバンはアフガニスタンをパキスタンとつなぐ道路を確保したことになる。
マザーリシャリーフ制圧
ジャララバードに先立ち、14日には北部の要衝マザーリシャリーフがタリバンの支配下に入った。伝統的に反タリバン派だったマザーリシャリーフの陥落は、タリバンにとって大きな戦果となる。ほんの数日前には、ガニ大統領が政府軍の視察に訪れたばかりだった。現地の公務員によると、アフガニスタン第4の都市マザーリシャリーフは、ほとんど戦闘のないまま制圧された。
マザーリシャリーフのあるバルフ州のアバス・エブラヒムザダ議員はAP通信の取材に対し、政府軍がまず降伏し、それに親政府派の武装組織が続いたと語った。
マザーリシャリーフはウズベキスタンとタジキスタン国境に位置する経済の中心地。タリバンが1990年代までこの地域を占領していた。
ウズベキ系軍閥のアブドル・ラシド・ドストゥム司令官とタジク系指導者アッタ・モハンマド・ヌール司令官は、マザーリシャリーフのあるバルフ州を脱出したとの情報もある。
ソーシャルメディアで共有された動画には、無人となったドストゥム氏の家にタリバン戦闘員が入っている様子が映っている。
これに先立ち11日にガニ大統領と協議した際には、ドストゥム氏は「タリバンは何度か北へやってきたが、いつも包囲された」と威勢よく話していた。
ヌール氏は14日、フェイスブック投稿で、自分とドストゥム氏は「安全な場所」にいると書き、マザーリシャリーフでの敗退は政府軍のせいだと非難した。政府軍の兵士たちは自ら武器や装備をタリバンに手渡していたと、ヌール氏は書いた。
マザーリシャリーフの住民はBBCに対して、市内に入るタリバンについて「一軒、一軒、ドアをたたいている。私たちは家にいて、残念ながら何もできない。とても怖い。子供たちはとても怖がっていて、妻は泣いている。明日どうすればいいんだ」と話した。
14日にはこのほか、パクティカ州とクナール州の州都もタリバン支配下に入った。
クナール州アサダバードで撮影された未確認映像では、タリバンの旗を振って道を歩く人たちが映っていた。
カブールでは、タリバンを逃れて避難してきた人たちが、公園などで野宿を余儀なくされている。タリバンが制圧した地域では司令官が、戦闘員の妻にするため未婚の女性を手渡すよう住民に要求しているという話もある。
姉妹2人とパルワンからカブールへ逃れてきたムズダさん(35)は、タリバンに結婚を無理強いさせられるくらいなら、自殺すると話した。ムズダさんはAFP通信に「昼も夜もずっと泣いている」と話した。
画像提供,GETTY IMAGES
タリバンの攻撃から避難して首都カブールで野宿する人たち(10日、カブール)
アフガニスタン政府は何を
14日にはガニ大統領の録画演説がテレビ放送された。住民がこれ以上を家を追われ、各地で破壊が続くことを防ぐため、アフガニスタン軍の勢力を再結集することが何より最優先されると、大統領は述べた。
ガニ大統領は、国民に「押し付けられた」戦争がこれ以上、命を奪うのは許さないとして、アフガニスタン治安部隊の「勇気」をたたえた。
国連はアフガニスタンの近隣諸国に対して、避難民の安全確保のため、国境を閉じないよう呼びかけた。アントニオ・グテーレス国連事務総長は、状況は制御不可能な状態に陥りつつあると懸念を示していた。
アフガニスタン情勢の変化:アメリカの作戦展開とタリバンの進攻
2001年10月: 9月11日の米同時多発テロを受け、アメリカ主導によるアフガニスタン空爆開始
2009年2月: アメリカはさらに兵士1万7000人の増派を決定。NATO加盟国もアフガニスタンへの増派などを約束
2009年12月: バラク・オバマ米大統領(当時)は、アフガニスタン駐留軍を3万人増員し、計10万人に拡大すると決定。一方で、2011年までに撤退を開始すると表明
2014年10月: アメリカとイギリスが、アフガニスタンでの戦闘作戦を終了
2015年3月: オバマ大統領が、駐留軍の撤退延期を発表。アフガニスタンのアシュラフ・ガニ大統領の要請を受けたもの
2015年10月: オバマ大統領が、2016年末までは兵士9800人をアフガニスタンに残すと述べた。これ以前は、1000人を残し全軍を撤退させると約束していた
2016年7月: オバマ大統領は「安全保障上の不安定な状態」を理由に、2017年には米兵8400人が駐留すると発表。NATOも駐留を継続することに合意したほか、2020年までアフガニスタン政府軍への資金援助を続けると強調した
2017年8月: ドナルド・トランプ大統領(当時)が、タリバンの勢力拡大を受けた増派表明
2019年9月: アメリカとタリバンの和平交渉が決裂
2020年2月: 数カ月におよぶ交渉の末、アメリカとタリバンがドーハで合意に至る。アメリカは駐留軍撤退を約束
2021年4月: ジョー・バイデン大統領、9月11日までに駐留米軍を完全撤退させると表明
5月: 米軍とNATO各国軍の撤退開始
5月: タリバン、南部ヘルマンド州でアフガニスタン軍へ大攻勢開始
6月: タリバン、伝統的な地盤の南部ではなく、北部で攻撃開始
7月2日: カブール北郊にあるバグラム空軍基地から、米軍やNATO加盟各国軍の駐留部隊の撤収完了
7月21日: タリバンが半数の州を制圧と米軍幹部
8月6日: 南部ザランジの州都をタリバン制圧。タリバンが新たに州都を奪還するのは1年ぶり
8月13日: 第2の都市カンダハールを含め4州都がタリバン支配下に
8月14日: タリバン、北部の要衝マザーリシャリーフを制圧
8月15日: タリバン、東部の要衝ジャララバードを無抵抗で制圧。首都カブールに入る
(英語記事 Afghanistan on the brink of Taliban takeover / Taliban take government's last northern stronghold)
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kennak · 3 years
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1747年:アフマド・シャー「イランから独立するで!」 →アフガニスタンの建国 1838年:イギリス「ロシアがインドを狙っとるからアフガンにイギリス軍を置かせてくれや」 →交渉決裂 →イギリス「ほな戦争や!」 →第一次アフガン戦争 1842年:イギリス「あかん、とりあえずアフガンを占領したけど、反乱が多すぎるから撤退するわ」 →和睦 1878年:イギリス「今度のアフガン国王はロシア寄りっぽくて怪しいわ! また戦争するで!」 →第二次アフガン戦争 1881年:イギリス「今回は勝ったけど、めちゃくちゃ苦労したわ…」 →イギリスがアフガンを保護国化 1919年:アフガン国王「世界大戦でイギリスが弱っとるみたいやで! いまこそアフガンから追い出す好機や! ジハードや!」 →第三次アフガン戦争 →アフガン国王「あかん、勝てへんわ。和睦するで!」 →イギリス「こっちも戦争はうんざりやし、もう独立してええで」 →アフガンが独立する 1919年:アフガン国王「トルコのムスタファ・ケマルかっこええな…ワイも真似したろ! アフガンも近代化や!」 1929年:アフガン国王「あかん、反発が強すぎるわ。無理やり抑えてきたけどもう限界や」 →反乱が多発して首都が占拠される →アフガン新国王「反乱を鎮圧してワイが王様になったで! もっと穏健に近代化を進めるで!」 1973年:アフガン大統領「国王が軟弱やからクーデター起こしたったで! 王制を廃止してワイが大統領になるで! ソ連を後ろ盾にもっと近代化を進めるで!」 1978年:ソ連「大統領のやつ、最初はワイらに尻尾振っとったのに、最近はアメリカにべったりやんけ。ほんならこっちにも考えがあるで」 →四月革命 →ソ連「アフガンは共産主義の同志になったんやで(にっこり)」 →イスラム勢力「共産化なんかありえへんやろ! 反乱するで!」 1979年:ソ連「アフガン政府を助ける名目で軍事介入するで!」 →アフガニスタン紛争開始 →アメリカ「ソ連に対抗してもらうためにイスラム勢力に武器渡すで〜」 1989年:ソ連「10年も戦って何の成果も得られませんでした…ソ連軍は撤退するで…」 1991年:ソ連「というか、もう国がダメやわ…ほな…」 1992年:アフガン政府「ソ連が無くなってもうたやんけ。ワイらもあかんわ」 →アフガン政府「イスラム勢力が集まって新政府が誕生したで! でもバラバラに戦ってた派閥の寄せ集めやから内ゲバでズタボロやで!」 1994年:タリバン「いつまでも派閥同士で争って内戦が終わらんやんけ! ワイらがやるしかあらへんわ!」 →アルカイダ「アタシらも協力しまっせ^^」 1996年:タリバン「首都を占拠したったで! ワイらは欧米化も共産化も目指さへん! 伝統的なイスラム社会を作るで!」 →旧政府あらため北部同盟「北に逃れて『北部同盟』として捲土重来を期すでー」 2001年:アメリカ「なんやテロリストがビルに飛行機を突っ込ませて大惨事やんけ! ワイらにこんなことしたやつは絶対許さへんで!」 →アメリカ「犯人のアルカイダがアフガンにおるらしいやんけ! 引き渡せや!」 →交渉決裂 →アメリカ「ほな戦争や!」 →タリバン政権が打倒される →北部同盟あらため新政府「まさかの復活やで! アメリカさんのご指導のもとでやっていくで!」 2021年:タリバン「アメリカ軍が撤退するっていうから攻勢を仕掛けるで!」 →新政府「こりゃかなわんわ、降参します」 →タリバン政権復活! ←いまここ
1分でわかるアフガニスタンの歴史
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aikider · 3 years
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カブール陥落
アフガニスタンの首都カブールが陥落し、タリバンが「アフガニスタン・イスラム首長国」の設立を宣言した。
この1ヶ月ほどの展開はきわめて速く、米軍が予想していたよりもはるかに速い侵攻だった。
なぜ旧政府軍が負けたのかについてはさまざまな分析がある。直接的な原因としては、バイデン米大統領とタリバン政権の間で「タリバンがテロを輸出しないことを条件にアメリカが撤退する」という約束が成立したためということになる。しかし、世界最強の米軍がなぜ撤退することになったのか。そちらのほうがよほど本質的な問題である。
結論から言えば、米陸軍は統治がヘタクソ、ということである。一般論として、陸軍が敵の土地を制圧した以上、その後しばらくは軍に統治が任される。その後、現地人の政権に少しずつ権限を移譲して軍は撤退することになる。
しかし、アフガン侵攻から20年間、カルザイ政権などの傀儡政権を作ったものの、そもそもカルザイ政権は広範な支持を得られず、政権として機能していなかった。治安は悪化しレイプや窃盗や殺人などの犯罪が増え、農村の旱魃には有効な手が打てず、数百万人以上が飢餓線上にあるというのが実態である。
そもそもカルザイ政権の内実は、首都カブールのインテリと旧北部同盟の連合政権である。首都と農村の距離感は我々日本人が想像するよりも遥かに遠く、カブールのインテリ集団は農村の飢餓の実態について十分に把握できていなかった。北部同盟にしても、「パンジシールの獅子」と呼ばれたアフマド・シャー・マスードが健在であった頃にはまともな集団だったのだが、彼が暗殺されてからは軍閥どうしの内ゲバが続き、それぞれの軍閥が自らの利権拡張に執心していた。失業者や飢餓難民に対する対策は二の次であり、治安が悪化するのは必然であった。人口の9割を占め、旱魃に直面する農民の支持を得られないのは当然であった。つまりカルザイ政権はアフガニスタン国民全体を代表できるような政権ではなかったのである。
もちろんそうした中でも農村の日常は続いている。そもそもアフガニスタンは部族社会であり、長老を頂点として部族が結集し、長老の決定に従って動くような、ある意味では中世的な社会である。農村における治安の維持や灌漑や貧困対策は部族によって行われていた。部族どうしの対立が発生した場合には長老どうしが話し合う。しかしカブールの中央政府があてにできず、いつ戦闘が起きるかわからない状態では、地方の部族レベルでできることにも限界がある。結果として失業者や飢餓難民が増え、治安が悪化していた。
ところが興味深いことに、タリバンはイスラム教を基盤とした集団であるため、犯罪や弱者保護に対しては非常に厳格であり、タリバンの支配地域ではレイプや窃盗などの犯罪が激減したという。また、アメリカの論文ではタリバンの資金源の一部が麻薬とされているが、実際にはタリバンの支配地域ではケシの栽培がなくなり、タリバンが撤退するとすぐにケシ畑が復活するという有様であった(ペシャワール会代表としてアフガニスタンの農村支援を行っていた中村医師の報告による)。しかもタリバンは学校や病院を作るなどの支援をしていた。その学校についても、自爆テロリストの温床であったと批難する声もあるが、ほとんどは子供たちに読み書きを教える寺子屋のような存在であり、中には近代的な物理学を教える学校もあった。農村の部族にとってはカルザイ政権やその後継などよりもタリバンのほうがよほどありがたい存在だったわけで、農村がどちらを支持するかは自明であろう。
イスラム原理主義が女性を抑圧し、女性の教育を禁じているという批判もあるが、実際には女性の出産のために助産師(ほぼすべて女性)が必要となる。したがって女性の教育禁止というのはイスラム教的な建前であって、現実的には女性の教育がなくなっていたわけではない。
また、欧米を基準にして女性の権利が抑圧されているという批判もあるが、そもそも中世レベル(日本で言えば室町時代レベル)の社会水準の地域に対して女性の権利が云々というのはかなり頓珍漢な話である。それよりも優先すべきなのは旱魃、飢餓、飢饉である。内政が安定してくれば、徐々に女性の権利は拡大していくであろう。ただし時間はかかる。100年くらいの視野で見守る必要があるだろう。
原理主義に関しては、偶像崇拝の禁止についても面白いエピソードがある。すでに引用した中村医師の診療所シンボルマークとして「鳩に三日月」を描いたら、タリバンから「鳩は偶像にあたるからやめろ」という通達があった。診療所の側が「そんなこと言われてもいまさら変えられないよ」と答えたところ、タリバンの担当者は苦笑しながら「鳩に絆創膏でも貼っといてくれ」と返したという。なんとも言えないユルさであり、実際にはタリバンは原理主義と言えないところがある。
ではタリバンとは何なのか?よくアルカイダとの関係を指摘して批判する声はあるが、実際のところアルカイダとタリバンは水と油のようなものである。アルカイダは汎アラブ主義的なテロ組織であり、イスラム教を基盤としてすべてのイスラム教徒が結束し、アラブ世界から欧米を叩き出そうという理念によって動いている。だから英語の話せるテロリストを育成して欧米に輸出していたのだ。
それに対してタリバンは、純粋にアフガニスタン土着の勢力であり、本質からして異なる。そもそもタリバンは、アフガニスタンの主要民族であるパシュトゥン人のナショナリズムからスタートした組織である。ではパシュトゥン人が少数民族であるタジク人を迫害抑圧するかというと、今やタリバンにはタジク人も参加している。アフガニスタンは長らく隣国のパキスタン等との戦争を経験し、さらにイギリス、ソ連、そしてアメリカといった大国の介入を受けてきた影響で、「我々はアフガニスタン人である」という国民意識が民族を超えてすでに定着してしまっている。皮肉なことだが、「アメリカの介入によってタリバンがアフガニスタンナショナリズムの代表者へと成長した」と言うことさえできる。
そのタリバンはアルカイダの指導者であるビン・ラディンを匿ったが、これも「ビン・ラディンが逃げてきたので客人として迎え入れた」というだけに過ぎない。現代日本人にはやや理解しにくいが、アフガニスタンの伝統として「客人を迎え入れたら必ず守り通さなければならない」という鉄の掟がある。これは近世日本で言えば、清水次郎長のようなヤクザ映画の世界である。あるいは、中国の青幇のような秘密結社でも似たような傾向がある。近代法が成立していない国家ゆえに、こうした旧来の慣習法が社会を安定させているわけだ。
また、タリバンは侵略者たる米軍に対しては攻撃を行うが、アルカイダのように国外でテロ行為を行うような能力もなければ、それによるメリットもない。タリバンが自爆テロで米軍を攻撃していたことはあるが、これはむしろ米軍に殺された一般人の遺族がタリバンに加入し、慣習法としての復讐法に則って自爆テロを行っていたというのが実情である。何しろ米軍はテロ対策と称して大量の市民を殺害しており、その大半は誤爆どころか、そもそも「ここがテロリストの根城になっている」という情報自体が間違っているものであった。これでは米軍がアフガニスタン人に支持されるはずもないし、殺された一般人の遺族からすれば米軍はただの侵略者にしか見えないだろう。そこに慣習法としての復讐法が組み合わされば、怒り狂った遺族が自爆テロに走るのは理の当然であった。米軍は自ら自爆テロリストを生産していたようなものである。しかしタリバンがアフガニスタン全体を支配することになれば、自爆テロはなくなる。ただ、長らく内戦状態にあったことから、旧北部同盟の地位をどうするかに関しては揉めるだろう。粛清もありうる。
ここまで、米軍がアフガニスタン統治に失敗してきた経緯について述べてきたが、これは別にアフガニスタンに限った話ではない。アフガニスタン以前にも、アメリカはベトナムで失敗している。ベトナムでは南ベトナムを支援して北ベトナムと戦争したものの、南ベトナム政権が腐敗した独裁政権であるために民衆からの支持を得られず、北ベトナムに追い出されて終わった。結局のところ、これも民衆からの支持を得ることに失敗したことが原因である。
こうした経緯について歴史人口学者のエマニュエル・トッドは「米陸軍は伝統的に無能」と辛辣に評している。米陸軍は軍事力としては最強だが、制圧した地域を支配するのが苦手なのである。
にもかかわらず、アメリカはなぜ対外戦争を繰り返すのか?おそらくアメリカは日本を一つの成功モデルとしているのであろう。日本は権威主義的な軍事政権であったが、アメリカに負け、アメリカの支配を受け入れて自由主義社会の一員となった。朝鮮戦争にせよベトナム戦争にせよアフガニスタン戦争にせよ、アメリカとしては日本をモデルにして自由主義社会のメンバーを増やそうとしたと考えられる。しかし朝鮮戦争では中国の介入で半分だけ、ベトナム戦争やアフガニスタン戦争では完全な失敗である。ベトナムもアフガニスタンも中国の援助があるものの、金や武器だけでアメリカに勝てるものではない。本質的には民衆の支持がどちらにあるかである。つまり民衆の支持を得ようとしなかったことが米軍の失敗の本質である。
補足として、イラクについても同様の視点で見てみよう。アメリカがイチャモンをつけて戦争をしかけフセイン政権を倒したのち、アメリカの傀儡のような政権が成立したが、これは長続きするだろうか。ベトナム、アフガニスタンの経緯から予測すると、転覆する可能性は低い。というのも、もともとフセイン政権は少数派のスンナ派政権であり、多数派のシーア派を弾圧するという不安定な図式だったからである。フセイン政権がアメリカによって打倒された結果、多数派のシーア派が政治の中心に返り咲いたわけで、そのほうが安定するのは必然である。ただ少数派とはいえスンナ派もそれなりに数がいるので、スンナ派に配慮できるかどうかが一つの鍵になるだろう。
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