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#クラスター爆弾
senjokisha2022 · 2 years
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須賀川拓の瞳が捉えた紛争地を映し出す場面写真&30秒映像解禁
圧倒的なリアル。紛争地を徹底的に取材する、彼の瞳が捉えた「対岸の火事ではない」世界の現実
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戦争が日常となってしまったウクライナの今 2022年、我々の記憶に新しく、今も最新の情報が日々届けられるロシアのウクライナ侵攻。戦争が続くウクライナで須賀川は、非人道的な兵器であるクラスター爆弾が降り注ぐ街や、そこに住む住人、またロシア軍の占拠で放射能汚染のリスクが激増したチョルノービリ原発の職員に現地取材。ロシアのプーチン大統領が「ネオナチからの解放作戦」と主張する“軍事作戦”が、紛れもない侵略・破壊行為であることを示す。 解禁された場面写真は、南部の要衝オデーサで街の様子が戦争によって一変しているさまを目のあたりにした瞬間の須賀川の表情のほか、前線から近いミコライウで巡航ミサイルによって攻撃されたとみられる建物に立ち尽くす姿や、ロシア軍が住宅街に撃ち込んだ非人道的兵器・クラスター爆弾のキャニスターを持ってくる兵士、また付近の道路に残るその子弾の痕跡なども含まれている。須賀川はこれらを詳細にレポートしながら「軍事的ターゲットではないことは明らかなんです」「人道的に使ってはならない兵器が撃ち込まれて人が亡くなっている」と、平和な日常が一瞬にして戦場と化す現実を我々に突きつけるのだ。
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アメリカ軍が撤退し、タリバンが支配するアフガニスタンの今 昨年に続き今年夏、須賀川はアフガニスタンへ赴き、タリバンの支配下で女性の人権が抑圧される実態のほか、深刻化する貧困と蔓延するドラッグが作り出した「橋の下の地獄」の取材を敢行した。 解禁された写真は、昨年11月に訪れた際にタリバンのパトロール車両にテロ警戒のためヘルメット・防弾ベスト姿で乗り込み同行する姿や、今年夏に訪れた際に取材した「橋の下の地獄」に足を踏み入れ取材する須賀川を見ることができる。「(橋の下に住む人たちは)ここでの生活から抜け出せなくなっている」「タリバンでさえも麻薬中毒者を見ても見ぬふり。社会から断絶されてしまっている」とレポートする須賀川の言葉が印象的で、日本という安全な国で暮らす私達には想像もできない悲惨な現状を垣間見ることができる。
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パレスチナ自治区ガザとイスラエルの終わりが見えない争いの被害者は―。
 須賀川がJNN中東支局長に着任して、初めて取材に向ったのがガザ地区。以降、何度もガザに入って取材をしてきた須賀川だが、本作でも、イスラエルによって閉ざされたこの人口200万の「天井のない監獄」で、4人の子供と妻を空爆で失った男性の静かな慟哭に耳を傾ける。一方のイスラエルでは、ガザから無差別に放たれるロケット弾と迎撃ミサイルが空を行き交う異様な光景を伝えた上で、それぞれの当局者に攻撃の正当性を問い質す。
解禁された写真は、アパートが跡形も無くなった空爆現場や、その周辺で発見された爆弾の破片などを念入りに取材する須賀川の様子を映し出す。この映画は、愛する家族や住む場所を失ったガザ住民の悲痛な心の叫びに寄り添い、その痛々しいほどの現状を我々に伝えてくれる。
  一体どれぐらいの日本人が現在、世界で進行中の紛争を身近にとらえているのだろうか。解禁された30秒映像では、「(一般住民が)戦争の狂気の受け皿になってしまっている」と語る須賀川の言葉から、無差別攻撃や民間人の巻き添え被害など「戦争犯罪」を非難する彼の強い姿勢を感じることができる。カメラがとらえた子供たちの姿も印象的で、その眼差しは日本に暮らす我々に、「戦争が日常化」しているという「非日常」をスクリーン越しに投げかけてくる。その圧倒的なリアルを体感できるドキュメンタリー映画『戦場記者』を、是非劇場でご覧いただき、今世界で起きている人道危機を自らの目で目撃してほしい。
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ari0921 · 7 months
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【詳報】日印国際シンポジウム「激動する世界の中の日米印関係」
国家基本問題研究所はインドから国際戦略研究の第一人者であるブラーマ・チェラニー名誉教授を招き、藤崎一郎元駐米大使、近藤正規ICU上級准教授と共に「激動する世界の中の日米印関係」をテーマに議論しました。チェラニー氏の講演をご紹介します。
中国の侵略はロシア型ではない
ブラーマ・チェラニー(Brahma Chellaney)
安倍首相のレガシー
今、世界は交差路にあります。将来どちらの方向に向かうのか不確実性があります。グローバル化は進みましたけれども世界の分断も進んでいます。例えば気候変動のような国際問題でも協力が難しい状況です。世界が機能しなくなる可能性があると国連事務総長が警告を発しています。これは現実のものになりそうです。
ウクライナでの戦争で今、国際的なフォーカスはヨーロッパに移ったわけですけれども、実際は一番大きな安全保障の課題はインド太平���地域にあるのです。
「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」というコンセプトはみなさんご存じだと思います。これは、誰が作ったか。故・安倍晋三首相です。四日前に一周忌を迎えました。安倍さんの暗殺は分水嶺でした。日本の歴史の中でもです。ケネディ大統領はアメリカで一九六三年に暗殺されましたけれども、それがアメリカの歴史にとって分水嶺であったのと同様に、です。
ケネディ暗殺と同様に、安倍総理の暗殺によってまだ答えが見つかっていない問いが残っています。例えば、国の安全保障はどうなっているのか。彼はどうして守られることがなかったのか。彼は亡くなったにも拘わらず、安倍さんは生き続けています。つまり、彼はレガシーを残したのです。
この「自由で開かれたインド太平洋」という概念は、より重要になってきました。今日により関連性を持つようになってきたのです。アメリカの二つの政権が次々とこの「自由で開かれたインド太平洋」という概念を受け入れ、アメリカの戦略の中心に据えているのです。アメリカが、外国で作られた概念を受け入れるのは、これが唯一の例ではないでしょうか。それを自分たちの戦略の中心に据えるのは、過去に一度もありません。ですから、これは大変ユニークな安倍総理のレガシーと言えるでしょう。「自由で開かれたインド太平洋」という概念が今日もアメリカの政策の指針となり続けているわけです。
弱い国は守られない
インド太平洋にどういう課題があるのか。大事なのは、この世界では競争と対立は必ずあるものだということです。なぜならば、世界政府が存在しないからです。国際法を執行する世界政府はなく、より弱い国を守ってくれる組織が存在しないわけです。
例えば、ここ二十五年間の歴史を見てみましょう。大国が侵略を繰り返しています。より小さい国の侵略を続けている。同じパターンです。
一九九九年にはNATO(北大西洋条約機構)のユーゴスラビアでの空爆がありました。主権国家が大国によって侵攻を受けるということが繰り返されてきています。これから先の二十五年間も過去二十五年とそんなに大きくは違ってこないのではないでしょうか。
なぜならば一つ理由があります。国際法の厳しい現実です。国際法は力強いものです。しかし、国際法は弱いものに対しては力を持つけれども、強いものに対しては力を持たない。だから主権国家が侵攻され続けるという同じパターンが繰り返されているのです。今日もそうです。主権国家がロシアによって侵攻を受けました。今、国(ウクライナ)の中で戦争が続いているわけです。
ただ特筆したいのは、この侵攻が侵略者の計画通りに進むことはほとんどないということです。過去二十五年、侵略者の計画通りに進んだものは一度もなかったのではないでしょうか。もっと遡っても、非常に上手くいった侵略、侵攻などはないわけです。
イラクのサダム・フセインはクウェートに侵攻したときに力を失った。そして自分の命さえ失うことになってしまいました。
アメリカはアフガニスタンやイラクを侵攻しました。どうなったか。長く、コストの高い軍事の泥沼に入ってしまったわけです。アメリカは二十年間も戦争に足を突っ込むことになり、最終的にはアフガニスタンをタリバンに渡さなければなりませんでした。言い換えれば、アフガニスタンをテロリストの手に渡してしまったということです。アフガニスタンにはそもそもそれを止めるために介入したのにも拘わらず、です。
リビアで西側が介入した時にはどうだったでしょうか。リビアは依然として破綻国家で、全く機能不全に陥ってしまっています。イスラエルは南レバノンを侵攻した結果、十八年間にわたる占領時代に入りましたがそれは終わりを迎えました。イスラエルは全く戦略的な目的を達成しないうちに、撤退しなければならなかったということです。
ロシアがウクライナを侵略した結果がどうなるかは別として、一つ確実に言えることは、非常にその代償は高くつくということです。これは間違いない。そして、ロシアは自らの力を削がれてしまうことになるということです。
ウクライナは過去の侵略と同じように、その悲惨な状況が続いて不安定化してしまう。国内が分断されてしまうかもしれません。ウクライナの領土の二〇パーセントをロシアが占領しており、そこからロシアが引き上げることは考えにくいからです。
ウクライナ戦争の勝者
こういった背景の中で我々が自問自答しなければならないのは、「ウクライナの戦争から勝者は出てくるのか」ということです。ウクライナの戦争は、我々すべての人の生活に影響を及ぼしています。経済的、エネルギー的、政治的、地政学的にも、様々な影響を世界中に及ぼしています。ですからそれはロシアが勝つか、ウクライナが勝つかという意味での勝者ではありません。他にも当事者はいます。欧米が全体としてこの戦争に関わってしまっているからです。ですから「ウクライナ戦争から勝者は出てくるのか」とは、間接・直接を問わず「あらゆる当事者の中から勝者が出てくるのか」ということです。
色々な当事者が関わり、様々な影響を受けています。
ウクライナは最も大きな破壊に苦しんでいます。そして、控えめに見積もってもウクライナの将来は非常に暗いと言えるわけです。
ロシアはどうか。今回の侵略で最も重い制裁を受ける国になってしまいました。今の段階で終戦の見通しは少ないですが、仮に停戦になり、朝鮮戦争のように休戦協定が結ばれたとします。朝鮮戦争は終戦を見ておらず停戦状態がずっと続いています。今、朝鮮半島は紛争が凍結状態にありますが、それはウクライナでも起こりうるわけです。しかし、停戦というシナリオでも欧米の対ロシア制裁はなくならないでしょう。ロシアは予見可能な未来において非常に厳しい制裁を受け続けることになります。その結果、ロシアは経済的な出血が止まらない。また、ロシアは国際的な立場、ステータスも弱まっています。欧米がロシアの首を絞め、孤立化させているからです。
ヨーロッパは大きな影響を受けています。経済的にも、地政学的にも、ウクライナ戦争の影響を受けてしまっています。
アメリカはどうか。もちろん地理的には、戦地から遠い。しかし、アメリカはあまりにもこの戦争に間接的に深く関わっています。例えば、アメリカはウクライナに兵器を供給しています。バイデン大統領は三日前、日曜日にCNNのインタビューで、アメリカは砲弾などがなくなってきていると述べています。アメリカはロシアと直接戦ってるわけではなく、兵器や弾薬をウクライナに提供しています。それが段々と枯渇してきていると述べているわけです。
だからこそバイデン大統領は、他に選択肢がないからクラスター弾をウクライナに提供すると言っているわけです。過去に他の国、シリアやスーダンがクラスター弾を使ったとき、アメリカはそれを戦争犯罪だと非難しましたが、そのアメリカがウクライナにクラスター弾を提供すると言っているわけです。つまりこの紛争は非常に醜い紛争になってしまっているということが分かります。
二匹の猫と猿
アメリカの生産能力、つまり重要な兵器や弾薬の在庫を積み増す製造能力は、ロシアより劣っていることがこれによって詳らかになったわけです。今回の戦争が行われるまで、そんなことは誰も知りませんでした。ロシアの生産能力がアメリカを越えているなんて誰が考えたでしょうか。でもそれが現実になっているのです。
そして中国が力をつけてきているという背景があります。アメリカはウクライナを支えるために戦争のための重要な在庫が減ってきている。そのときに中国の影響力がどんどん大きくなってきている、という状況にあるわけです。ですからアメリカを勝者と言うこともできない。アメリカが今回の戦争の勝者になりうるとは考えられないわけです。
インドには二匹の猫と一匹の猿の児童向けの物語があります。二匹の猫がお菓子を奪い合っている。そこに猿がやってきてお菓子を横取りしてしまう。こんな話です。インドではこの物語で何を子供に教えようとしているのか。それは二匹の当事者が論争したり、戦ったりしていると、全く関係ない第三者が勝者として全部持っていってしまうことがありますよ、というメッセージです。
では現在、誰が二匹の猫なのか。ロシアと欧米です。ケーキを巡って争っているわけです。ケーキとは将来のウクライナです。では、そこに出てくる猿は誰なのか。猿は中国なのです。
今回の戦争は中国にとっては終わってほしくない戦争です。この戦争が長引けば長引くほど中国は力をつけ、アメリカは弱体化する。だから中国はこの戦争の終結を望んではいないわけです。
ではなぜ中国が勝者となるのか。これは日本の安全保障にもインドの安全保障にも直接的な影響があり、アジア、インド太平洋地域の全ての国にも影響があるため述べます。
欧米が科している対ロ制裁は、アメリカの政策当局が中国に差し出したこれまでで最大の贈り物なのです。世界で最も天然資源を豊富に持っているロシアを中国に差し上げてしまったということです。そして中国がロシアとの二国間関係を支配できるようになったのです。ロシアの機微な軍事技術も使えるようになった。中国はロシアのバンカー、銀行になったということなのです。欧米が制裁を科したがゆえにロシアはドルを使えません。ロシアは今、人民元で貿易決済を行っているという状況です。
インドとロシア原油
そして今回の戦争でエネルギーが大変なことになりました。
ヨーロッパは今回、ロシアのエネルギーからスイッチしました。安くてもロシアのエネルギーを買わず、より高いコストをかけてロシア以外からヨーロッパはエネルギーを調達しているわけです。そこで恩恵を受けているのは誰か。
それは中国なのです。中国にとっては二つの棚ぼたと言っても良いでしょう。
もちろんインドは恩恵を受けています。インドは主要なロシアの原油の買い手になってます。なぜならロシアの原油はアメリカ、欧米の制裁の対象となっておらず、石油の決裁にも制裁がかかっていないからです。
一方、イランからの原油はアメリカの制裁の対象となっています。トランプ大統領が色々な制裁をイランにかけ、石油の輸出にも制裁がかかりました。そのアメリカの制裁に応じてインドのイランからの石油輸入はゼロになりました。インドにとってイランは緊密な国だったので、割り引きもありイランが石油のナンバーワン供給国だったのですが、その石油は買えなくなりました。今インドは同じような状況に晒されたくないと考えています。
ですからインドはロシアの石油を買って取引をどんどん増やしています。イランの石油にアクセスできないことを埋め合わせているわけです。
もし、インドがロシアの石油を買わず、イラクやナイジェリアなどから買っていたとしましょう。そうすると世界の市場におけるエネルギーの価格変動はさらに大きくなったでしょう。なぜなら日本や欧米は今、中東からの石油への依存を高めているからです。インドがもしロシアから買わず中東に依存したら価格は高騰します。世界の景気後退を生んでしまうことになるでしょう。
実際、インドは石油の輸入国では三番目に大きく、石油化学製品の輸出では四番目です。ロシアから石油を輸入して生成したものをヨーロッパや他の市場に輸出をしているわけです。もちろんインドが自国の利益のために安い石油を買っているのは間違いありませんが、ある意味、間接的に世界経済の役に立っているのです。
中国の棚ぼた
では、中国にとっての二つの棚ぼたとは何か。
中国がどんどんロシアの石油とガスの輸入を増やしています。陸上輸送です。例えば、液化天然ガスを海上輸送で輸入する場合、封鎖にあう可能性があります。中東から中国に海上輸送する場合には、もし中国が台湾を攻撃した時にはアメリカ海軍が封鎖をすることができます。中国はそのような封鎖にあう可能性があります。
けれども今、中国は中核的なエネルギーをロシアから陸上ルートで輸入しているのです。そうするともう安全です。もし台湾を侵攻してもエネルギーの供給を途中で止めることはできない。封鎖はできません。中国を混乱させ、途絶させることはできないわけです。
中国はいわゆる「エネルギーのセーフティーネット」を作っているのだと言っています。エネルギーセーフティーネットを作れるのは西側のロシアに対する制裁があるおかげです。ヨーロッパが安いロシアのエネルギーに背を向けたから、それが可能になったわけです。中国がロシアの銀行家になり、ロシアの石油とガスの主要な買い手となったのです。
これが中国の大きな棚ぼたです。
中国にとって二つ目の棚ぼたはイランの石油です。他の国々はアメリカのイランに対する制裁を遵守しましたが中国は決して守らず、イランの石油を買い続けています。でもアメリカの制裁はかかっています。アメリカは中国には制裁をかけるのは怖いと思っているからです。その結果、中国が独占的にイランの石油を買ってる状態なのです。このシナリオの中では、中国に売る時にはイランはさらに価格を安くしなければなりません。中国の市場でイランはロシアと競争しているわけです。
これは、ウクライナでの戦争のおかげなのです。ですから中国は、明らかにより意を強くして大胆になってきています。この戦争は中国にとっては贈り物のようなものなのです。
中国の三戦略
そこで問題です。果たして台湾は次のウクライナになるのでしょうか。
もし、台湾が次のウクライナになるのであれば、直接的に影響を受けるのは日本の安全保障です。日本が軍事的に台湾紛争に巻き込まれる可能性があります。台湾は日本の安全保障の領域に入っているからです。これは日本、もしくはインドから遠くで行われる戦争ではなく、アジア諸国とその権益に大きな影響を与える紛争となるでしょう。
そして台湾が次の紛争地域になる可能性があります。習近平は今、良い時を見計らっている。台湾に攻撃をかけて、アメリカなどを不意打ちにしようとしています。
ロシアはウクライナに対して全面的に侵攻をかけています。でも中国の戦略は全く違うのです。一九七九年、中国はベトナムに対して、ロシアがウクライナに今日やっていることを行いました。つまり中国は全面的に仕掛けてベトナムに入っていきました。そこで中国は痛い目にあったのです。
中国があの一九七九年の失敗からどういう教訓を学んだかと言えば、全面的にやるのではなく、もっと高度な戦略を実行しなければいけないということです。あの失敗の結果、中国の侵略の戦略に大きな転換がありました。
七〇年代に中国は西沙諸島の占拠を行い、拡張主義をとって、南シナ海の地政学的な地図を書き換えました。太平洋とインド洋を繋ぐ重要な回廊ですけれども、中国は一発も銃弾を撃たずにそれを成し遂げたのです。これはものすごい拡張主義です。中国は国際的な対価を支払わず、それを達成しました。
どうやって行ったか。この戦略は少しずつ攻撃を高めるというものです。一つの攻撃を百に分けて行う。ちょっとずつやるわけです。
中国の戦略には一九七〇年代中盤から見られる三つの要素があります。これは中国が今まで行ってきた侵略行為の中で全て使われてます。
まず一つ目は「ステルス(隠密)」、二つ目が「デセプション(欺瞞)」、三つ目が「サプライズ(不意打ち)」です。ステルス、デセプション、サプライズ。中国はひっそり、騙しながら、サプライズをかけるのです。
インドへの侵略
この三要素は、日本に対する中国の戦略でも行われています。これで中国は尖閣問題を国際紛争に持ち込み、日本の空域、海域への侵入を増やしているわけです。
同じく三要素はヒマラヤでの中国の戦略にもあります。この三年以上、中印は軍事紛争を抱えています。十万人以上のインド人、そして十万人以上の中国の兵士が、ヒマラヤの最前線で睨み合っています。この睨み合いがなぜ始まったのか。インドの北部、ラダックにおいて、中国がひそかにインドの領土を少しずつ取っていたからなのです。
ヒマラヤの最前線地帯は、冬は物理的に兵士がそこにいるのさえ厳しい寒さです。その氷や雪のある厳冬に、中国がインドの重要な国境地帯を手中に収めてしまったのです。インドは、それに対して強く対応しました。中国軍に匹敵する軍隊、あるいはそれ以上の軍隊を送りました。そしてインドは絶対に折れないという姿勢を強く示したわけです。
この対立は国際的にはあまり注目されず話題になりませんでした。なぜなら皆ウクライナばかりに目がいっているからです。でも中印のこの対立は今後、最悪の場合は全面戦争になりかねない。少なくともさらに激しい衝突になり得るリスクを孕んでいます。中国の戦略の三要素はここでも揃っているわけです。
万が一、習近平が台湾に対して何か行動を起こすとすれば、間違いなく言えることが一つあります。それは、ロシア型の台湾攻撃にはならないということです。軍隊をフルに使った台湾への侵攻にはなりません。やるとしたら中国は真綿で首を絞めるような戦略を取るでしょう。これを「スロースクイーズ」と言いますが、徐々に、徐々に、台湾の息の根を止めていく。それが中国の戦略です。
茹でガエル戦略
中国はそれをどうやってやるのか。台湾海域での中国の実弾演習がそのやり方を示しています。つまり中国が台湾を侵略する場合には、まず台湾の海域と上空を封鎖する方法を取ることが実弾演習から見えます。
中国の侵略は先述のように複数の段階に分かれ、小刻みに行ってきます。
まず、最初の段階は完全な封鎖ではないかもしれません。海警や漁船などを使って台湾海峡を封鎖する。その封鎖の規模を少しずつ広げていく。そして台湾を三六〇度封鎖する。どこからも台湾にアクセスできないように、台湾がどこにもアクセスできないようにするのです。例えば台湾と他の国が繋がっているインターネットのケーブルを切断する。あるいは台湾へのエネルギー供給を止める。台湾は原油の備蓄が七日間分しかないと公式に述べています。中国がこのスロースクイーズ戦略を取ったとすれば台湾は屈服するしかない状況に追い込まれるわけです。
中国は誰の目にも明らかな侵略という形はとりません。まず文民、武装した漁民を使ったりして侵略をしていく。これは我々にとって大きなジレンマになり得るわけです。
ホワイトハウスはこの中国の戦略を「茹でガエル戦略」と呼んでいます。熱いお湯の中にカエルを入れるとすぐに飛び出てカエルは逃げます。でもカエルをお鍋の水の中に入れて少しずつその水の温度を上げていくと、カエルは水が熱くなってきていることに気が付かないのです。水温は少しずつ上がっていくけれどカエルはそれに慣れていく。最終的には沸騰して熱湯で命を奪われるまでカエルは気がつかないのです。中国の侵略もそれと同じです。「茹でガエル戦略」なんです。
インド太平洋地域が鍵
中国の拡張主義はすごくスピードが遅くて、少しずつ欧米や日本、インドのエリートなどを慣らせていくということです。そして、もうどうしようもない、中国の拡張を止めることはできないという状況を生み出していく。そして西側が一致団結するのを防ぐ。一致団結する前に「遅すぎる」という状況を生み出すのです。
バイデン大統領は記者会見で、中国が台湾を攻撃した場合にアメリカは台湾を防衛するのかと聞かれ、こう述べたと言われています。「イエス、過去にない攻撃があったら防衛する」と。でも台湾に対しては「過去にない攻撃」はないでしょう。「明らかな台湾に対する攻撃」も起こらないでしょう。
ではアメリカは、中国が台湾に行っていることが侵略だとどのタイミングで、どの段階で判断するのか。中国がスロースクイーズ戦略を取る場合、どのタイミングで、それが戦争行為であり台湾を守らなければならないとアメリカは腹をくくるのか。
これは台湾の今後の運命、アメリカの将来を左右することになります。もし台湾が中国の手中に落ちてしまったら、それはアメリカのグローバルな優位性��終わりを意味します。
インド太平洋地域は、経済的にも、地政学的にも非常に大きな世界の中心地、ハブとなりました。でもインド太平洋地域は大きな安全保障上の課題に直面しています。インド太平洋地域は広い海を抱えているため、海洋の課題にどう対処するのかが地域の秩序にとって非常に重要な意味を持っているのです。台湾の自治をどう保全していくのかがインド太平洋地域における最も喫緊の課題で、おそらく世界の最も喫緊の課題だと言えるでしょう。
欧米の批評家はよくロシアがウクライナに侵攻したことによって、世界秩序の根幹が揺らいだと言っています。でももし、中国が台湾を取ってしまったなら、それは単に世界秩序の根幹が揺らぐだけではなく、全くこれまでにない秩序が始まってしまうということです。これまでにない秩序が導入されると、この新秩序の下でアメリカの同盟国からなるシステムが破壊されてしまうということです。もし台湾が中国の手中に落ちてしまうことになったとき、日本は日米安保条約の下での安全保障を信頼することができるでしょうか。
インド太平洋地域の大きな課題とは「自由で開かれたインド太平洋」を維持することです。それは安倍さんが望んだことです。そのために必要なのは、地域の秩序を作ることです。
ルールベースの、威圧のない、自由が損なわれない、つまり航行の自由、上空飛行の自由を守るということです。世界の中心が今、インド太平洋に移ってきています。国際安全保障の鍵を握っているのはこの地域です。
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reportsofawartime · 3 months
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ロシアはアヴデエフカに国旗を掲げた。 多数の犠牲者を出した都市。 ウクライナ軍とナチスのアゾフ大隊が首都ドネツクの民間人を毎日標的とした都市。 これらの爆撃により多くの子供たちが命を落としました。ここからウクライナ軍はクラスター弾で民間人も標的にした。 アヴデーエフカは2014年以来、ウクライナ軍最後の拠点でもある。今後、前線の動きがさらに速くなるだろう。 アヴデーエフカは、ソレダルとバフムートに次いで、新指揮官シルスキーにとって3度目の悲惨な敗北でもある。 ここ2週間で膨大な数のウクライナ兵が殺害された。 NATOの巨額の資金は実を結ばず、ロシアはその前にあらゆるものを粉砕し続けている。
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pudknocker · 11 months
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いい感じに信仰心が高い聖女を魔物の群の真っ只中に投下して神の加護で一掃する神罰クラスター爆弾(この作戦は発案者が即時塩の柱になったので中止されました)
ノブさんはTwitterを使っています
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shinjihi · 9 months
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ウクライナ軍がウロジャイン村を解放した。ウロジャイン村は、最近解放されたスタロマイオルスケからほど近い南ドネツク方面に位置している。親ロシア派の複数のテレグラム・チャンネルがこの出来事を報じたが、情報源はさまざまで、ある者は空挺部隊を非難し、別の者はストームZ部隊を非難した。 ウロジャインがAFUに奪還されたことを確認するビデオが出ており、クラスター弾を含むウクライナの砲撃を受けて退却するロシア兵が映っている。この映像は、ウロジャイネの南側の道路で撮影された。兵士たちはザヴィトネ・バジャンニャ村、あるいはスタロムリニフカに向かって後退しているように見える。スタロマイヨルスケの解放後、AFUはスタロマイヨルスケとウロジャイネ北側の両方から進軍していたため、隣接するウロジャイネの奪還は時間の問題だった。 ニューヨーク・タイムズ紙は、戦争研究所の報告書を引用し、AFUは攻勢において戦術的に重要な進展を達成し、前線のいくつかの地域では9~10キロ前進したとする記事を掲載した。しかし、NYTの記者は、この数字を10~12マイル(16~19キロ)に膨らませたようだ。この食い違いは、OSINTアナリストのデフ・モンを含む多くの軍事アナリストを困惑させている。6月の攻勢開始から数えても、ロボティネとウロジャイン付近でのこれまでの最遠距離の前進は、合計でおよそ9〜10キロである。 私たちの考えでは、戦術的に重要な突破口は、ロシアの防衛線を突き破り、現在予備にある西側装備の旅団で構成されるAFUの主力打撃部隊で間隙を突くことである。 ウクライナとロシアの領土への攻撃 8月14日夜、ロシア軍はオデッサに対する攻撃を開始した。その結果、スーパーマーケットで火災が発生し、従業員3人が負傷したと伝えられた。オデッサ地方軍政局のセルヒイ・ブラチュク議長によると、ミサイルとドローンのほとんどは防空ミサイルに迎撃された。 8月12日、ウクライナ軍はクリミアの橋を攻撃しようとした。これはすでに双方が認めている。ロシア国防省によると、この攻撃は地上の標的を攻撃するために改良された2発のS-200 SAMシステムミサイルによって行われた。2発とも撃墜されたと報道されているが、その事実を示す視覚的証拠はない。橋に被害はなかったと報じられている。その後、橋を狙った3発目のミサイルも撃墜された。 多くのビデオでは、橋の周囲に煙幕が張られているのが映っている(より正確なミサイル誘導や修正を防ぐためと思われる)。このようなスクリーンは通常、白い煙でできている。映像に見える小さな黒煙は、迎撃されたミサイル、クリミア海岸に落下した破片、あるいは他の攻撃によるものかもしれない。 8月12日、ウクライナがケルソン地方オレシキー地区のラデンスク村を空爆した結果、小さな弾薬庫が攻撃されたと思われる。 8月13日夜、ラデンスクからほど近いオレシキーの町への攻撃が開始された。AFU作戦司令部「南」のウラジスラフ・ナザロフ報道官は、2つの弾薬庫が破壊されたと発表した。占領管理局のナザロフ報道官によると、この攻撃で人道援助倉庫が破壊されたという。 8月12日、ロシア軍は、UMPK(万能滑空補正モジュール)搭載のFAB-500M-62空爆と思われる爆弾をオリヒフの町に投下し、警察官1人が死亡、12人が負傷した。 同日8月12日、ロシア航空宇宙軍は、イワノ=フランキフスク州コロミヤ近郊の軍飛行場に高精度のKh-47M2キンザル極超音速ミサイルによる攻撃を試みた。ミサイルのうち1発はキエフ地方で撃墜され、別の3発は飛行場周辺に着弾、うち1発は民家に命中し、子供が死亡した。 また8月12日には、ロシア軍がハリコフ州クピアンスク・ヴズロヴィの都市型集落を攻撃し、住宅が損壊、高齢女性が死亡した。 8月13日朝、ロシア軍はケルソン州のシロカ・バルカ村を攻撃し、12歳の少年と幼児を含む7人が死亡した。 8月13日、ウクライナの無人機がベルゴロドの住宅ビルに飛来。 8月11日、ドネツクのキエフスキー地区がクラスター弾で攻撃されたが、死傷者は報告されていない。目撃者によって夜間に撮影されたビデオには、クラスター弾の使用に関連する音が映っていた。8月12日、ペトロフスキー地区は砲撃を受けており、弾丸が住宅に命中し、死者1人、負傷者7人を出した。8月13日、投擲弾が住宅に命中し、死者1名、負傷者4名、ホルリフカでの攻撃で1名が死亡した。
https://notes.citeam.org/dispatch-aug-11-14
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kurano · 3 months
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※ バルト三国、対人地雷禁止を定めたオタワ条約からの離脱を検討
https://milirepo.sabatech.jp/baltic-states-consider-withdrawing-from-ottawa-treaty-banning-anti-personnel-landmines/
 正しい選択。日本もこの手の条約からは速やかに離脱すべき。
クラスター爆弾もかな。
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jaguarmen99 · 6 months
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Fighto! ↑19 ↓6日本も国際社会も偉いね、これから大きな役割を担っていくハズロシアの地雷を放置しておくとカンボジアみたいな悲しい事故が起きてしまう罪のない子供たちが手足を失ってしまうことになる>>Fighto!TokyoLiving ↑7 ↓18>>ロシアの地雷を放置しておくとカンボジアみたいな悲しい事故が起きてしまうウクライナ軍の地雷だって混じってるんだが>>Fighto!Mr Kipling ↑6 ↓13>>ロシアの地雷を放置しておくとカンボジアみたいな悲しい事故が起きてしまうそういえばカンボジアに地雷埋めたりクラスター爆弾を投下したのはどこの国だったっけ…ウクライナにクラスター弾を供給したのは誰だったっけ…>>Mr KiplingBeerDeliveryGuy ↑14 ↓4アメリカを揶揄したいの?でもクラスター弾を養成したのはウクライナ自身だよそして効果的に使用してるわw
劇訳表示。 : 外国人「これは日本に感謝!!」自衛隊、地雷除去の国際枠組みに参加へ。
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xf-2 · 7 months
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米長距離ミサイルATACMSのウクライナへの輸送は、バイデン米大統領の政権の無責任さを示している。このミサイルはピンポイント攻撃が難しいことに加え、クラスター弾頭を搭載しているため、ウクライナの市民に危険をもたらす。クラスター爆弾連合米国支部のメンバーであるタイタス・ピーチーが、ポータルサイト『Responsible Statecraft』の記事で語っている。
ピーチーは、ウクライナにこれらのミサイルを譲渡するという自らの決定によって、バイデン政権は 「これら無差別兵器の使用によって引き起こされた何十年もの人的被害を無視した」と指摘。米国はまた、クラスター弾は「責任ある形」での使用はできないと認識している国際社会の立場を無視していると指摘した。
西側諸国によるウクライナへの兵器供与
「命中しなかった」 ATACMSはウクライナ軍の役に立たず=英誌
昨日, 06:15
ピーチーは、クラスター弾は「国際法の重要な原則に違反している」と強調している。第一に、クラスター弾は広い範囲に被害を及ぼすため、標的を定めるのが難しい。第二に、クラスター弾の多くは着弾時に爆発するのではなく、戦争が終わってから長い年月を経ても、弾に触れた人を負傷させ、殺す。さらに、小型の弾が多いため、「特に壊滅的」な被害をもたらす。
米国側の繰り返される過ち
これに先立ち、米国家安全保障会議の広報担当は、射程距離165キロのATACMS戦術ミサイルがウクライナに移送されたことを確認した。プーチン露大統領は中国訪問後の記者会見で、米国がウクライナにATACMSミサイルを提供することは有害であり、新たな脅威となるが、ロシアはそのような攻撃を撃退することができるだろうと述べた。プーチン大統領は、ATACMSの供与を米国側の一連の過ちのうちの一つであると呼んだ。
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kennak · 9 months
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元陸将の人がTVで「クラスター爆弾禁止条約とかああいうのは全て西側を縛ってて中露等は全く縛ってない。連中はやりたい放題、こっちは使えないから非常に不利。これでどう国防するかは本当に難しい」と話してた。
[B! ウクライナ] 【記事紹介】“ロシアの防御陣地はウクライナに昔ながらの問題を突きつけている”(Russian fortifications present an old problem for Ukraine, by |Panzergraf
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dailynewsdrawings · 9 months
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17.08.2023
Ukraine’s counteroffensive inches forward, with the help of cluster bombs
ウクライナの反撃、クラスター爆弾の助けを借りて前進
https://edition.cnn.com/2023/08/17/europe/ukraine-counteroffensive-urozhaine-intl/index.html
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team-ginga · 10 months
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ピッコロ劇団の『やわらかい服を着て』
 昨日7月25日(火曜)は、藤井聡太vs.佐々木大地の王位戦第3局1日目があり、ピッコロ劇団の芝居『やわらかい服を着て』があり、井上尚弥vs.フルトンのタイトルマッチがありました。
 なにも同じ日に3つ重ならなくてもいいだろうにと思わないではないですが、楽しみがあるのはいいことです。
 『やわらかい服を着て』は午後1時開演ーー私は「やわらかい服」ならぬピッコロ劇団のTシャツを着て自転車でピッコロシアターに向かいました。いつぞやピッコロサポートクラブのクイズ大会(?)で優勝して景品にもらったTシャツです。この辺りは「気合い」の問題ですね。
 実を言うと、今回の芝居はちょっと不安(?)でした。
 だって、ピースウォークだかピースアクションだか反戦運動・人道支援をしているNGO法人の話です。チラシには「夏原の夢だったんですよ。大きなまあるい木のテーブルで、ゆったりと話し合いたい。我らピースウィンカーの最も重要な活動は話し合うこと自体にあるって」と書いてあります(「ピースウィンカー」と言うのはNGO法人の名前で「夏原」はその代表の名前です)。
 みんなで話し合うのが最重要の活動のNGO団体って「楽しい社交の場」かよとツッコミを入れたくなるし、青臭い平和論を聞かされても困る、そんな芝居なら私は椅子を投げて帰ってしまうだろうと思っていましたが……幸いにして決してそんなことはありませんでした。
 劇中に青臭い平和論がないわけではありません。時は2003年ーーイラク戦争直前です。ピースウインカーは戦争反対のデモをしますが、まもなく開戦。3人の日本人がイラクで人質になると、ピースウインカーは人質解放のために自衛隊をイラクから撤退させるようアピールしてバッシングを受けます。
 懐かしい話ーーというと語弊がありますがーーですね。今の若い人はきっと何のことかわからないでしょうし、年配の人間もどこまで覚えているか怪しいものです。私は一応覚えていますので、ああそうだったなあと思い出しながら見ていました。
 ピースウインカー代表の夏原は一流の会社に勤めていたのですが、会社がイラク戦争をビジネスチャンスと捉えていることが許せず仕事を辞めてしまい、生活に困窮します。純粋でまっすぐだというのはわかりますが、正直「バカじゃないの」と思ってしまったことも事実です(嫌な大人ですか? でもそうなのだから仕方ありません)。
 夏原は会社の同僚でピースウインカーのメンバーでもある千秋と婚約しています。でも、千秋が会社に残ったことや、夏原がピースウインカーのメンバーの新子と互いに惹かれあっているらしいことから、二人の関係はギクシャクし、千秋は会合に来なくなります。
 新子に想いをよせる純也はピースウインカーの活動方針をめぐって夏原を激しくなじり、「あなたは自分を疑ったことはないんですか」と言います。
 いいセリフですね。純粋でまっすぐであることは美徳かもしれませんが、自分を疑わないのは単なる独善だからです。
 作者の永井愛はイラク戦争当時、反戦運動・医療支援・人道支援に携わったNGO法人の若者たちは「七〇年代に見た反戦活動家たちと大きく印象が異なりました」と書いています。
 「え? どこがどう違うの?」と思いましたが、芝居を見てわかりました。
 この芝居に出てくる若者たちは大学のクラブやサークルの延長として活動をしている……と言って悪ければ、彼らは居場所を求めているのです。
 そして居場所を求めることは人間として当然のことであり、政治活動がその受け皿となったとしても、それは決して悪いことではないということ、大学のクラブやサークルの延長として、「楽しい社交の場」として政治活動をしてもいいじゃないかということをこの芝居は教えてくれます。
 『やわらかい服を着て』というタイトルが何を意味するのかはわかりませんが、「そんなにかしこまって政治活動をする必要はないじゃないか。リラックスして政治活動をしてもいいじゃないか」という意味なのかもしれません。
 夏原をなじって出て行った純也はコロッケを買って戻ってきて謝罪し、ピースウインカーを辞めると言いに来た千秋もみんなにせがまれてイラク戦争に関するピースウインカー主催の展覧会で販売するチョコレートを一緒に包むというラストは、正直「ちょっと甘いかな」と思いましたが、いい芝居だったと思います。
 ピッコロ劇団には珍しく、休憩を挟んで2時間半超えの長い芝居でしたが、最後まで楽しく見ることができました。怒って椅子を投げて帰るような羽目にならなくてよかった!
追記:  劇中、アメリカ軍がイラクでクラスター弾を使ったことを非難するセリフがあるのですが、数日前アメリカがウクライナにクラスター弾を提供することを決めたということを、芝居のキャスト・スタッフも含めて劇場にいた人間のうち何人が知っていたのでしょう。  知っていて欲しいと思いました。  (この芝居に出演された三坂賢二郎さんから「クラスター爆弾のこと、気にしていない関係者はいなかったと思います」というメッセージを頂戴しました。大変結構なことだと思います。この芝居は二十年前の話ですが、アメリカはあれからちっとも変わっていないということですね。)
追記2:  井上尚弥は8ラウンドTKOでフルトンを破りました。  す、すごい。  井上尚弥、藤井聡太、大谷翔平……その分野で「史上最高」と言われる天才が同じ時期に生まれるというのはすごいですね。
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smtbs · 10 months
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ari0921 · 11 months
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和五年(2023)7月9日(日曜日)
    通巻第7814号
 バイデン政権、クラスター爆弾をウクライナに供与
  米議会に反対論が突出、ドイツも反対。NATOは迷惑顔
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 7月7日、バイデン政権は追加援助8億ドルのパケッジにクラスター爆弾供与も含まれるとした。合計400億ドルの武器援助となる。
 サリバン補佐官は「ウクライナ軍に都市部で使用させない」ことを条件としたと表明し、バイデンは「ウクライナ軍に弾薬が足りなくなったからだ」と軽率な発言をした。
 「プーチンは人殺し、習近平は独裁者、アサド(シリア大統領)は消えろ}と連続的に失言を繰り出すバイデンは、国際政治のリテラシーを知らないようだ。
 これは世界に衝撃のニュースで、まずドイツ外務省が反対を表明し、NATO事務総長のストルテンブルグは「米国が決めたこと、NATOの決定ではない」と米国との距離を明確にした。
 もうひとつ重大な変化は「ウクライナのNATO加盟」問題である。
リトアニアで開催されるNATO会議には岸田首相も参加するが、ここでウクライナ加盟が話し合われる。事前工作でブルガリア、トルコなどを訪問中のゼレンスキー大統領が巧妙な外交工作を展開している。
トルコのエルドアン大統領はウクライナのNATO加盟に支持を表明した。
ウクライナがNATO加盟? 
となると戦争の拡大を意味し、ウクライナ vs ロシアという現在の枠組みから、NATO vs ロシアの戦争というレベルになる。第三次世界大戦である。(事実上はNATOとロシアの戦争だが、表向きは局地戦というパラダイムで双方が闘っている)。
 米議会が沸騰した。
クラスター爆弾供与、ウクライナのNATO加盟に賛成を表明したのはリンゼイ・グラハム上院議員(共和党。サウスカロライナ州)で、「断固、賛成だ」とした。
グラハムは共和党内で例外的にウクライナ熱烈支持、キエフを三回訪問しゼレンスキー大統領と懇談している。このグラハムにトム・コットン上院議員(共和党、アーカンソー州)が合流した。
 しかし議会では反対論が多い。
 「NATO加盟もクラスター爆弾供与も反対」を鮮明にしたのはランド・ポール上院、マジョリー・テイラー・グリーン下院、ベディ・マコラム下院議員で、「この決定はおそるべきミステークだ」とした。
 日本のメディアが、この地殻変動のような「戦争の質の変化」を重視していないのは不思議である。
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reportsofawartime · 3 months
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アヴデフカが陥落間近 10年間の爆撃の後、ドネツクはついに息をできるようになる。 ロシアはアヴデフカにいるウクライナ人に物資を供給する最後の道路を切断しようとしている。 ここから10年間、ウクライナ軍はドネツクの街を爆撃し、多くの市民や子どもたちを虐殺した。 クラスター弾を含むあらゆる兵器で、民間人を爆撃したのだ。 ウクライナの戦争に詳しい人たちの話を聞く限りでは、ウクライナの司令部と砲兵隊の間に捕虜は存在せず、彼らはすでに処刑されている。 ドネツク人民民兵の手に落ちれば、プーチンですら彼らを救うことはできない。 これらの兵士の多くは、ここから発射された大砲によ��て家族を失った。"
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russellian-j · 10 months
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米国によるウクライナへのクラスター弾の提供
「(週刊)バートランド・ラッセルに関するメルマガ」n842_2023/07/15   https://russell-j.com/magmag/br_magmag_n842_20230715.htm    先日バイデン大統領がウクライナへのクラスター弾の提供を表明しました。そうして、読売新聞の本日の報道によれば、既にウクライナにクラスター弾が到着したとのことです。
 クラスター弾(爆弾)は無差別に人間を死傷させるだけでなく、不発弾による民間人の被害が大きいことから、日本も含め、100カ国近くの国がクラスター爆弾禁止条約に署名しています。しかし、米国、ロシア、中国などの軍事大国は批准していません。
 批准している日本としては、米国によるクラスター弾提供について、反対すか、少なくとも「好ましくない」と諫言すべきですが、日本政府は「コメントは差し控える」とし、反対の態度は示しませんでした。ソ連や中国などの「仮想敵国」であれば即座に反対の態度を示します。日本の友好国でも米国以外であれば、少なくとも「好ましくない」と言うはずです。しかし、米国のやることにはほとんど全て、反対しないか、コメントをしない(さしひかえる)という態度に終始しています。
 ロシアは、米国によるクラスター弾の提供に対し、「ウクライナに対して同様の破壊手段で報復せざるを得ない」との声明を発表しました。戦闘は今後ますます熾烈なものになっていくことが予想されます。
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tumnikkeimatome · 11 months
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バイデン政権『禁じ手』クラスター弾のウクライナ供与:国際社会から反対の声、日本はコメント拒否
クラスター弾供与の決断 米国バイデン政権がクラスター弾のウクライナ供与に踏み切った背景には、複雑な地政学的課題と戦術的判断が交錯しています。 「とても難しい決断だった」とバイデン大統領は語り、その裏にはウクライナに対する支援と、非人道的な兵器との間での慎重なバランスが求められたことが窺えます。 ウクライナの反攻遅延とクラスター弾 ウクライナへのクラスター弾供与の背後には、2つの主要な理由があります。 その一つがウクライナの反攻が期待ほど進んでいないことです。 この「親爆弾」の中に数十から数百の「子爆弾」を内蔵する兵器は、「面」での攻撃を可能にし、強大な打撃力を持つため、広範囲に塹壕を整え、地雷を設置したロシア軍の戦力低下を狙うウクライナ軍にとっては有益な存在となります。 弾薬不足とクラスター弾 ウクライナに対するクラスター弾の供与のもう一つの主要な理由は、ウクライナが直面している深刻な弾…
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