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#ブライアン・クランストン
kyonokoto · 11 months
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映画『アルゴ』を紹介
2012年に公開された映画『アルゴ』を紹介します。 この映画『アルゴ』は、1979年から1980年にかけて実際に起こった在イランアメリカ大使館人質事件の人質救出劇を描いた作品です。ベン・アフレックが監督・製作・主演を務め、第85回アカデミー賞で作品賞、脚色賞、編集賞の3部門を受賞し、助演男優賞、作曲賞、音響編集賞、録音賞にもノミネートされていました。 あらすじ 1979年、イラン革命が起こり、国外に亡命したパーレビ国王をアメリカが受け入れたことにより、イランの反米デモ隊がテヘランのアメリカ大使館を占拠し、52人のアメリカ人外交官を人質に取る。しかし、大使館が占拠される直前に6人のアメリカ人大使館員が脱出し、カナダ大使公邸に匿われていた。CIAのトニー・メンデスは6人をイランから救出するため、『アルゴ』という架空のSF映画をでっち上げて、6人をそのロケハンのスタッフに身分偽変させ秘密…
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picolin · 10 months
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Asteroid City
dir. Wes Anderson
2023年6月29日 Curzon Mayfair
ウェス・アンダーソンの最新作は1950年代が舞台。白黒のスタンダードサイズの画面で、ブライアン・クランストン扮する司会者がある新作演劇の紹介をしている。コンラッド・アープ(エドワード・ノートン)作、シューバート・グリーン(エイドリアン・ブロディ)演出の作品『アステロイド・シティ』の舞台は近くで核実験が行われているような砂漠の真ん中の小さな町。劇(本編?)が始まるとカラーのシネマスコープになる。過去に隕石が衝突した跡のクレーターが名物で、町の名前はそこから取られている。ここに子供を対象とした天文学発明コンテストの参加者が親とともにやってくる。
最初にまず舞台装置やキャストが控えていることを説明するところで、ソーントン・ワイルダーの『わが町』を想起するひともいるだろう。クランストンによる司会者は『ネットワーク』も思い出させる。全体が三幕に分かれ、特に一幕と二幕では場の区切りも示され、いつになく演劇的な演出である。冒頭のみならず、折に触れて白黒になり「現実」の芝居の舞台裏や裏話、劇作家によるワークショップの模様などが挿入される。一方の芝居では、妻を亡くした戦場カメラマン(ジェイソン・シュワルツマン)と娘を連れた有名女優(スカーレット・ジョハンソン)の親子同士の関係が中心に添えられ、他にもややクセのある親たち、小学生を引率している教師(マヤ・ホーク)、地元の天文台の研究者(ティルダ・スウィントン)、コンテストの司会を務める将軍(ジェフリー・ライト)といったキャラクターたちがクレーターで遭遇するある奇妙な出来事の顛末をいつもの箱庭のようなタッチで描いていく。今や「ウェス・アンダーソン調」としてパロディにされたり激しい嫌悪の対象になっている画作りは、砂漠という開けたロケーションの設定もあり今回はより絵画や写真を思わせるものになっている。
一方で全編を通して特に印象的なのは白黒の「現実パート」でもあり、芝居のキャスト対象のワークショップのシーンで発される「眠らないと目覚めることはできない」というフレーズと、終盤近くのカメラマン役の俳優(当然シュワルツマンがそのまま演じている)がキャラクターの解釈に混乱して演出家と対峙し、場面が削除されて出番がなくなった亡き妻役の俳優(マーゴ・ロビー)とカットされたシーンを演じて糸口を見つけるシーンであるのも面白い。これらのシーンは『バードマン』とも通じるものがある。
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pukupukushinji · 2 years
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「人生の動かし方」と「最強のふたり」を見比べてみた感想(ネタバレ有り)
新年あけましておめでとうございます。 本年もよろしくお願いします。 元旦の朝から映画三昧です。 本日は「人生の動かし方」と「最強のふたり」を観ました。 タイトルは全然違いますが、内容はほぼ同じです。 というのも「人生の動かし方」はフランス映画「最強のふたり」のリメイク版なんです。 物語は実話をベースに書かれたものらしいですよ。 今回はそれぞれの映画の違いと感想について書いてみたいと思います。 まず、僕はこの2つの映画を吹替え版で観たことを前提に感想を書きます。 「人生の動かし方」はどうかはわからないけど「最強のふたり」に関しては吹替え版で観ることをお勧めします。 それはドリス役のオマール・シーの声よりも吹替えした菅原正志さんの声の方が役にあっているからです。 〇あらすじ 仕事もせずに明日の��活もどうなるかわからない男ドリス(リメイク版:デル)は雇用保険金の受取条件として求職活動をする。…
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cookingarden · 4 years
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ジェイ・ローチ監督『オールザウェイ JFKを継いだ男』 (その1:ケネディ暗殺から1994年公民権法成立まで) 原題:All The Way 制作:HBO Films, アメリカ, 2016. いまから56年前の1964年7月、アメリカ国内で人種差別を禁止する公民権法が制定された。独立宣言で「すべての人間は平等」とうたいながらも、いまなお激しい人種差別がつづくアメリカにとって、人種差別を法律で禁じた公民権法の存在は特別な意味を持っている。 映画『オールザウェイ』は、「昇格」大統領と言われたリンドン・ジョンソンが、公民権法制定の大義のもと、大統領の座を勝ち取るまでの政治闘争の内幕を描いた伝記である。アメリカの歴史に深く刻まれる公民権法はどのように成立したのか、本作はその真実を伝える貴重な映像資料と言えそうだ。本稿では史実を参考に、映画がどのように当時の実態を描いているかを辿った。 なお、今回取り上げる『オールザウェイ』はHBO films制作の劇場未公開のもので、ロブ・ライナー監督の『LBJ ケネディの意志を継いだ男』とは別物である。アマゾンのPrime videoで観ることができる。主演のリンドン・ジョンソンをブライアン・クランストンが素晴らしい演技で熱演している。
CONTENTS その1:ケネディ暗殺から1964年公民権法成立まで
昇格した大統領が抱いた大志
ジョンソンが公民権法成立を目指した背景
法案通過の鍵となった投票権
議事妨害に対抗するジョンソン
ジョンソンが行った「特別な接待」
映画には描かれなかった上院通過の様子
取り下げられた投票権の行方
その2:民主党全国大会から大統領選挙まで
大統領選挙に立ち塞がる二つの難題
公民権活動家殺害事件が生んだ新党
寝室で行われた民主党全国大会の舞台裏
大統領選を有利にしたジョンソンのメディア戦略
悲劇を招いた北ベトナム空爆
圧倒的な勝利となった大統領選挙
プライバシーに見るジョンソンの現実主義と映画のスタンス
映画『オールザウェイ』を振り返って
昇格した大統領が抱いた大志 この映画は、第36代大統領リンドン・ベインズ・ジョンソンがアメリカ大統領に就任してからの、およそ一年間の出来事を描いている。中心となる話題は、公民権法の成立とジョンソンが自らの実力で大統領の座に着くまでの二つの過程である。 映画は、凶弾に倒れたケネディ大統領の血痕が残るリンカーン・コンチネンタルの描写からはじまる。事件は1963年11月22日、テキサス州ダラスで起きた。凶弾はケネディの頭部を貫通、大統領は即死だった。こうして、副大統領だったリンドン・ジョンソンが大統領の座に着き、ケネディの政策を引き継ぐことになる。 「昇格大統領、それが肩書きだ」というジョンソンに、妻のバード・ジョンソン1)が「そうね。でも来年の11月に変えましょう」と励ます場面がある。ジョンソンにとって大統領就任は、実力で大統領になるための戦いのはじまりでもあった。 ジョンソンは就任演説の際、その日がリンカンが奴隷解放宣言を出してちょうど100年目にあたることを念頭に、上下両院合同会議で次のように宣言する。
ジョン・F・ケネディの遺志であった公民権法の実現に向け、歩みを継続しましょう。100年以上にもおよぶ議論をさらに進め、前大統領が提出した公民権法に新たな章を付け加える時です。人種によるいかなる差別も、我が国から排除しようではありませんか。
演説でキング牧師が実現を訴えた公民権法は、ケネディ大統領によって法案作成が指示され、すでに議会で審議が行われていた。ジョンソンはその遺志を引き継ぎ、より確かな公民権法を制定しようと呼びかけたのである。
この演説にひときわに大きな期待を寄せる者がいた。マーティン・L・キング・ジュニア牧師である。キング牧師はちょうど三ヶ月前、「仕事と自由のためのワシントン行進」で演説を行ったばかりだった。「私には夢がある」と題された演説2) の反響は大きく、名演説として歴史に刻まれただけでなく、その後の公民権運動の支えとなった。映画には、そのキング牧師がジョンソンの考えに深く共感する様子が描かれている。 一方、ジョンソンの演説に万雷の拍手が鳴り響くなか、憮然とした表情の議員たちもいた。ジョンソンが師と仰ぐ南部出身のリチャード・ラッセル上院議員3) もその一人だ。ラッセルはかねてから人種差別主義と隔離政策を支持しており、公民権運動反対の陣頭指揮をとってきた。彼にとって朋友ジョンソンの考えは受け入れがたいものだった。ラッセルはその後、リベラルな姿勢を強めるジョンソンと対立を深めていく。 こうしてジョンソンは大統領就任と同時に、公民権法の制定を胸に民主党内部の右派議員の説得にあたり、さらには黒人層に気を配りながら自力で大統領の座に着くという、複雑で難しい道を歩みはじめることになる。次の大統領選までに残された猶予は1年間だった。 ジョンソンが公民権法成立を目指した背景 就任演説の翌日、黒人を読者層とする新聞が「2000万人の黒人が安堵した」と伝えるなか、あれは選挙対策の口上だろうとジョンソンの本心に期待する議員も多くいた。古参議員ラッセルも最初はそうだった。映画には、ジョンソンに疑問をぶつける右派議員を相手にラッセルが、「合衆国憲法の重大な危機だ。しかし彼にも事情がある。時がくれば公民権法を骨抜きにするはずだ。」と説得する様子が描かれている。ラッセルはラッセルで、南部出身の大統領を議会掌握に利用するねらいがあった。
共和党ではすでに、バリー・ゴールドウォーター上院議員が大統領候補者の指名を受けていた。彼は小さな政府と強硬な反共路線を打ち出していた。一方、大統領が交代したばかりの民主党には大統領候補を選ぶだけの余裕はなかった。「ゴールドウォーターなら楽勝ですよ」という上院議員のヒューバート・ハンフリーにジョンソンは、「手強いぞ。だが、自分が党候補になるのが先だな」と応じている。 翌年11月にジョンソ���が大統領になるには、まず党の候補者指名を受ける必要がある。ケネディの弟、ロバート・ケネディが立候補する可能性もあった。ラッセルはそうなれば党内分裂だという。一方、ケネディが残した公民権法案は重荷になる。あるいはジョンソンは、大統領の権限で法案の審議を先延ばしにすることができたのかもしれない。しかし彼は、ケネディが死亡してすぐに法案と向き合うことを決意する。それは選挙戦を勝ち抜くための手段というより、大統領としての大義であり、困難をバネに選挙戦を乗り切ろうとする闘志の現れだっただろう。 ジョンソンのこの判断の背景には、公民権闘争の高まりがあった。その抗し難い機運がジョンソンに、公民権法の成立に掛ける決意をもたらした。映画のなかで彼は、「罪を犯してきた南部を救えるのは、南部出身の大統領だけだ」と心情を吐露している。しかしこれは、共和党の攻撃材料になるばかりか、下手をすれば党内右派との分断を招きかねない諸刃の剣だった。ジョンソンはラッセルから、リベラルの連中を付け上がらせるなと忠告を受けている。 法案通過の鍵となった投票権 ジョンソンに託された公民権法案は、1960年ごろケネディによって構想された。具体的には、「投票権の保護、行政的な対応、南部白人票の確保」を盛り込んだものだ。白人票の確保にケネディの政治姿勢が現れているが、投票権の保護は当時から人種差別対策の重要な柱だった。4) しかし黒人の投票権は、南部の保守的な人々には受け入れがたい、非常にリベラルな考え方だった。それだけに、このまま法案を通そうとすれば共和党からはもちろん、民主党内の反発も強くなる可能性があった。このころジョンソンは、「通らないような法案を全力で推進することは自分の政治的立場に大きな打撃を与える」5) と恐れていたという。 そこでジョンソンは、法案から投票権を除外することを考える。映画では、就任演説の翌日に行われたキング牧師との電話のやりとりに、その腹の内が描かれている。彼は投票権の重要性を訴えるキング牧師に「まさか私に説教かね」と疎ましがる。そして、H.R.1752(法案第7152号)と題された条文冊子から、投票権が記されたページを引きちぎるジョンソンの姿が描かれている。 投票権の除外というジョンソンの提案は、キング牧師には受け入れがたいものだった。側近のハンフリーも投票権を外そうとするジョンソンに、リベラル派も裏切りだと受け止めるだろうと反対する。しかし、ジョンソンは「お前が説得しろ。リベラル派の代表だろう」とハンフリーに詰め寄り、さらには副大統領候補の甘言を浴びせる。 ジョンソンはキング牧師に、「黒人を貧困から救う必要がある、保険や教育にも取り組みたい、この国を根本から変えたい、法案成立後には必ず投票権条項を追加する」と熱心に語りかける。それにたいしキング牧師は、「わたしは仲間に約束する必要がある。実現しなければ暴動も起こりかねない」とほのめかし食い下がる。これに対しジョンソンは、下院で確実に法案を通すためには君の協力が必要だと票の取りまとめを依頼する。結果的にキング牧師はジョンソンの提案を受け入れ、黒人指導者として黒人活動家を説得する協力的な姿が描かれている。 こうしたジョンソンの説得と活動が効いたのだろう。公民権法案は1964年2月、賛成290票、反対130票で下院を通過する。これによりジョンソンは当初の目的を達成するが、保守派のラッセルは落胆する。これまでラッセルに懐柔されてきた右派議員は、「これでもジョンソンを信じろというのか」と詰め寄る。これにたいしラッセルは、上院では議事妨害で食い止めてみせると応じている。一方、キング牧師はかろうじて仲間への体裁を保った格好だ。キング牧師には、選挙戦になればジョンソンは黒人票を欲しがるという読みがあった。 以上が映画に描かれた、公民権法案が下院を通過するまでの様子である。この一連のやりとりには、法案の通過を最優先に、人を選び報いることで自分の思いを達成していくジョンソンの姿が、実に丁重かつリアル描かれている。 議事妨害に対抗するジョンソン 法案の成立に危機感を抱いたラッセルは会見を開く。公民権法案は悪質で過激な憲法侵害に他ならないと訴え、我々有志は上院伝統のフィリバスター(議事妨害のための長時間演説)で戦うと宣言する。これを知ったジョンソンの妻バードは、「ディック(ラッセル)が語る愛国心には説得力があるわ。あなたは何のために闘うのか、国民に話すべきよ。」とジョンソンを鼓舞する。 妻の言葉に動かされたジョンソンは公邸の庭に記者団を集め、ラッセル上院議員の残念な決断に反応を示しておきたいと、小学校の教師だったころの思い出を語りはじめる。
テキサス州コチュラの古びた学校だった。コチュラは荒野の真ん中にある国境の町で、極貧のメキシコ移民であふれていた。教え子はかわいかった。毎日、朝飯抜きだから腹ペコで登校してくる。だが、みんな勉強が大好きなんだ。心が温まった。
しかし、子供たちはやがて変わる。キラキラ輝いていた瞳から光が消えてしまう。嫌われていることに気づくからだ。肌の色のせいで・・・
「慌てるな」と忠告されることもある。「政治生命が危険だ」と。だが私は言いたい。正しいと信ずることを行えないなら、大統領とは何だとね。
ジョンソンはテキサス州の貧しい農家に生まれ、苦学の末に教員養成大学を卒業した経歴を持つ。コチュラでの思い出は、その在学中に一年間休学して行った教員見習いの時のものである。6) こうした体験こそが、彼を公民権法の実現へと突き動かす原点になっている。ジョンソンという人物を考える上で重要なエピソードといえるだろう。 自身の苦しい過去を振り返るジョンソンに、メモを取る手を止めて話に聞き入る記者たちの姿があった。ジョンソンが打ち出すこうした親密で率直なメッセージは新聞に掲載され、人々の心を打ち、公民権法の善良なイメージを伝える広報活動として大きな効果を発揮したと考えられる。 ジョンソンが行った「特別な接待」 そうした努力にもかかわらず、議事妨害がはじまってすでに67日が経過していた。映画は荒び疲れた議場の様子を映し出す。そこではラッセルが、南部には黒人が集中しすぎている、黒人が全米で均等な比率になるように全州に振り分けるべきだ、と前代未聞の提案をしている。他にも、1500 ページのスピーチ原稿を持参した議員もいた7) というから、反対派の抵抗は相当なものだったのだろう。 長期化する議会妨害を利用し、公共施設での差別撤廃条項を骨抜きにしようとする共和党議員も現れる。譲歩しなければ妨害は続くというのだ。しかし、ジョンソンは要求をはねつけ、次のように説得する。
共和党は公民権法に反対するか、人種差別主義者に投票するかだ。われわれは歴史を作る、その歴史にどのように名を残すか考えるべきだ。アメリカの流れを変えた偉大な人物となるか、単なるおしゃべり男になるかだ。
コチュラのエピソードもそうだが、こうした会話の端々にジョンソンが人々を説得する巧みさが現れている。彼は自分に言い聞かせる形を取りながら、実際には相手が自分のこととして受け止めるように導いている。主張の正しさを押し付けるのではなく、相手がそう考えるように誘う巧みな話術だ。 そうこうするうちに、議会妨害は69日目に入る。この時点ではジョンソンはまだ劣勢だった。このままでは勝てない。彼は党派を超えて票の獲得に奔走する。あるときは、脳腫瘍で手術のため入院した議員向けに、「意識さえあれば投票はできる」と首席補佐官ウォルター・ジェンキンスにハッパをかけたりもする。さらに、法案通過に協力すると見た者には、大統領章が記された自分のカフスボタンを「世界にひとつしかないものだ」と言いながら押し付けたりする。 ジョンソンは別の場面で票の取りまとめについて、「大勢の女性を誘うようなものだ。遊ばないかと声��かけるといったんは断られる。ビンタを食らうこともある。しかし、大抵はイエスなんだ」と述べている。ジョンソンは、女性に声を掛けるのと同じ思いで、多くの議員を法案賛成へと引き込んだのだろう。映画のなかでジョンソンが「またカフスを頼む」と側近に伝える場面がある。彼はいったい、カフスボタンを幾つ作らせたのだろうか。 こうしたジョンソンの姿は、周りの人々に驚きをもたらしたようだ。ジョンソンのもとでホワイトハウス特別研究員を務めた歴史家のドリス・カーンズ・グッドウィンは、そうしたジョンソン特有のやり方を「特別な接待」と呼ぶようになったという。7) 熱心に説得を繰り返す彼のこうした姿勢はやがて、労働、宗教、公民権団体など、多くの団体のロビー活動に力を与えていく。 映画には描かれなかった上院通過の様子 議会妨害は74日目を迎え、法案はついに討論終結決議に持ち込まれる。映画にはこの最終局面の様子は描かれていない。しかし、本田創造氏の『アメリカ黒人の歴史 新版』8) によれば、この日の状況は次のようなものだった。
結局は討論打ち切り動議を採択するといった異例の白熱した審議をへて、6月19日──この日は、奇しくもケネディ大統領が政府原案を議会に提出してから、ちょうど満一年目にあたる──ついに賛成73票、反対27票で上院も通過し、それから十数日後の7月2日、ジョンソン大統領の署名を得て正式に連邦の法律として成立した。上院における反対27票は、その年の11月の大統領選挙で、共和党候補となって民主党候補のジョンソンに惨敗した、超保守主義者のバリー・ゴールドウォーターをはじめとする共和党議員6名と、南部民主党議員21名が投じた票である。(Kindle の位置No.2548-2554).
こうして「1964年公民権法」は苦難のうえ上院を通過する。ジョンソンの懸命の努力が難局を乗り切る原動力だったことは間違いない。まさにジョンソンは彼の信念に従い、アメリカの歴史に名を残す仕事をはたしたのである。 7月2日の法案署名の場面でジョンソンは、キング牧師に署名に使ったペンを贈呈している。一方、署名を前に退室するラッセルは「選挙に影響が出なければいいが」と言い残し、ジョンソンと袂を分つ様子が描かれている。去りゆくラッセルを見送るジョンソンは、「おめでとうございます」と声を掛けるハンフリーに、「私がいる限り南部は民主党を支持しないだろう。法案成立がそんなにめでたいか」とつぶやく。ジョンソンの気持ちはすでに大統領選挙にあった。 取り下げられた投票権の行方 ところで、こうして成立した「1964年公民権法」には別の正式名称がある。それは、「憲法上の投票権を実施し、公共施設における差別にたいする差止救済を与えるため、合衆国地方裁判所に裁判権を付与し、公共機関、公教育における憲法上の権利を保護するため、訴訟を提起する権限を司法長官に授権し、公民権委員会を拡大し、連邦援助計画における差別を防止し、平等雇用機会委員会を設置する等の目的のための法律」というものだ。9) この異様に長い名称を見て奇異に思う人もいるだろう。長すぎる名称のことではない。投票権の実施がうたわれているからである。ジョンソンは法案の成立を優先し、キング牧師に投票権の放棄を提案していた。この食い違いの詳細はWikipediaの「投票権法(1965年)」の記述で知ることができる。そこには、例えば次のように書いてある。
同法(1964年公民権法)には投票権の保護も幾つか入っている。登録官は、各投票者に書くことの識字試験を平等に管理することと、小さな誤りのある申請書を受領するように求めている。また6年生の教育を受けた者なら十分に投票できるだけの識字能力があるという「反証を許す推定」を創造した。しかし、公民権運動指導者からのロビー活動があったにも拘わらず、この法は投票時の差別の大半の形態を禁じることはなかった。10)
ジョンソンが1964年7月2日に署名した公民権法には、確かに投票権の保護が定められている。しかし、法案を通すことを優先し修正が加えられたことで、投票の際の差別を完全には排除できない不十分なものになっていたのである。しかしジョンソンは、前述のようにキング牧師との交渉のなかで「公民権法の成立後には必ず投票権条項を追加する」と述べている。はたしてこれは、法案の成立後履行されたのだろうか。 映画にはこの約束がどうなったかの具体的な描写はない。しかし、エンドロールに次の説明が加えられている。
(1964年11月の大統領選挙でジョンソンが当選した)翌年ジョンソンはキング牧師らと協力し、投票権法を制定。さらに「偉大な社会」を提唱し、福祉・教育・雇用などの分野で抜本的な改革を行った。
このとき制定された投票権法は「投票権法(1965年)」と記されるように、1965年8月6日にジョンソンの署名により法制化された。実はこの署名の際にもジョンソンは、国民に向けた次のようなメッセージを発している。11)
米国の文明の主流をなす基本的事実は、(中略)自由と正義と人間の尊厳はわたしたちにとって単なる言葉ではない、ということである。わたしたちはそうした概念を強く信じている。大きな発展や混乱、そして豊かさを体験しながらも、わたしたちはそれを信じている。従って、わたしたちの中に抑圧された人々がいる限り、わたしたちはその抑圧に加担しているのであり、それはわたしたちの信念を弱め、気高い目的の力を弱めるものである。
それ故に、これは米国のニグロの自由の勝利であるだけでなく、米国の国民の自由の勝利でもある。そして、皆さんが可決し、今日わたしが署名をするこの法律によって、探求を続けるこの偉大な国家に住むすべての家庭が、さらに力強く自由の中で暮らし、さらに素晴らしい希望を持ち、米国民であることをさらに誇りとすることができる。
こうして、法案の通過を優先して投票権が除外もしくは骨抜きにされた1964年の公民権法は、ジョンソンが約束した通り法案通過からおよそ1年後に正しく履行されたのである。これにより1964年の公民権法では限定的だった黒人の投票権の確保が拡大された。その効果は下記のように、まことに劇的なものだった。12)
1965 年末までに、深南部5州だけで新たに 16 万人のアフリカ系米国人が有権者登録をした。そして 2000 年までには、アフリカ系米国人の有権者登録率は、白人に比べわずか2%低いだけとなった。1965 年には、南部では連邦議会または州議会議員に選出されたアフリカ系米国人は2人にすぎなかったが、今日ではその数が 160 人に達している。
(その2へつづく)
(その1:ケネディ暗殺から1994年公民権法成立まで)
(その2:民主党全国大会から大統領選挙まで)
引用文献 1) バードは通称。本名はクローディア・アルタ・テーラー・ジョンソン。 Wikipedia「レディ・バード・ジョンソン」 https://bit.ly/2Z90Ekb 2) マーティン・L・キング・ジュニア「私には夢がある」American Center Japan, 米国国務省出版物, 1963. https://americancenterjapan.com/aboutusa/translations/2368/ 3) Wikipedia「リチャード・ラッセル・ジュニア」 https://bit.ly/2QTRp2Z 4) 安東次男「ケネディと1963年公民権法案」立命館国際研究, 14-3, 2001.11. http://www.ritsumei.ac.jp/ir/isaru/assets/file/journal/14-3_02ando.pdf 5) 安東次男「1964 年公民権法と大統領政治」立命館国際研究, 13-3, 2001.3. http://www.ritsumei.ac.jp/ir/isaru/assets/file/journal/13-3_13ando.pdf 6) Wikipedia 「リンドン・ジョンソン」 https://bit.ly/2Dg4Map 7) アメリカンセンター Japan「ついに我らに自由を 米国の公民権運動」 https://americancenterjapan.com/wp/wp-content/uploads/2015/11/wwwf-pub-freeatlast.pdf 8) 本田創造『アメリカ黒人の歴史 新版』岩波書店, 1991. 9) 本田創造, 上掲書, Kindle の位置No.2554-2558. 10) Wikipediaの「投票権法(1965年)」 https://bit.ly/2EGUxwF 11) アメリカンセンター Japan「ついに我らに自由を 米国の公民権運動」p.61. https://bit.ly/3h2L1Rr 12) アメリカンセンター Japan, 上掲資料, p.61. https://bit.ly/3h2L1Rr
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cinemastylenews · 6 years
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ウェス・アンダーソン監督最新作『犬ヶ島』ウェス・アンダーソンのセンスが炸裂したキャラポスター到着!
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日本人ボイスキャストのキャラクターも!? 人間から犬まで!個性的でユニークな顔が勢ぞろい! ◆・・・・・・・・・◆ この度、全世界で大ヒットし、アカデミー賞最多9部門ノミネート、最多4部門受賞の『グランド・ブダペスト・ホテル』(14)を手掛けたウェス・アンダーソン監督が贈る映画『犬ヶ島』が5月25日(金)に日本公開いたします。 全編にわたり日本を舞台とし、“ドッグ病”の大流行によって犬ヶ島に隔離されてしまった愛犬を探す少年と犬たちの壮大な旅と冒険をストップモーション・アニメーションで描く本作。声優陣としてビル・マーレイ、ジェフ・ゴールドブラム、エドワード・ノートン、ハーヴェイ・カイテル、ティルダ・スウィントン、F・マーリー・エイブラハム、ボブ・バラバン、フランシス・マクドーマンド、野村訓市といった、アンダーソン監督作品常連の豪華俳優陣に加え、新たにスカーレット・ヨハンソン、グレタ・ガーウィグ、ブライアン・クランストン、リーヴ・シュレイバー、コーユー・ランキン、ヨーコ・オノら多彩な才能を持ったキャストが集結。 さらには日本人ボイスキャストとしてRADWIMPS・野田洋次郎、村上虹郎、渡辺謙、夏木マリらといった日本を代表する多彩なキャストの他、続々と人気ゲストの参加も発表されております。先日開催された第68回ベルリン国際映画祭では、銀熊賞【監督賞】を堂々受賞!日本の映画ファンのみならず、全世界中からますますの注目を集めております! ◆・・・・・・・・・◆ この度、ウェスのセンスが炸裂したユニークで個性的な顔が勢ぞろいのキャラクターポスターが到着いたしました!! 今回到着したキャラクターポスターに登場するのは、愛犬のスポッツを探しにたったひとりで“犬ヶ島”へやってきた主人公の少年アタリ(コーユー・ランキン)と、その目的を手助けするヒーロー犬たち、そして物語を大きく左右させていく人間たちの姿! 闘争心に溢れケンカの強いノラ犬のチーフ(ブライアン・クランストン)、かつては女主人に大切にされ、ゴシップが大好きなことからいつも様々な噂を仕入れてくるデューク(ジェフ・ゴールドブラム)、高校野球チームの元マスコット犬で、「ドラゴンズ」のチーム名が入った犬用セーターを着ているボス(ビル・マーレイ)、数々のオーディションに勝ち抜き、22本ものドックフードのCMに出演していた元アイドル犬のキング(ボブ・バラバン)、未来を“ビジョン”で見ることができるという“予言犬”のオラクル(ティルダ・スウィントン)、そして現在は犬ヶ島のどこかへと追放されてしまったが、アタリの護衛犬、そして親友としてそばに寄り添っていたスポッツ(リーヴ・シュレイバー)。 さらに、舞台となるメガ崎市の市長で、ドッグ病に感染する犬たちを犬ヶ島へ追放する条例を発表した小林市長(野村訓市)、小林市長の補佐役として登場する正体が謎に包まれた長身男のメイジャー・ドウモ(高山明)、メガ崎高等学校の交換留学生で新聞部に所属するトレイシー・ウォーカー(グレタ・カーヴィグ)、劇中で巻き起こる様々な事件を日本語で伝え、ときには小林市長への取材も行うテレビ局のニュースキャスター(RADWIMPS・野田洋次郎)、夜になるとトレイシーの部屋に牛乳を届けにやってくる下宿のおばさん(夏木マリ)。 それぞれがユニークな風貌とキャラクター性を持ち合わせていることから、すでにウェス・アンダーソンワールドが炸裂していることがよくわかるビジュアルに加え、右上に配置された写真には国境を越えて独特のオーラを発しているボイスキャスト陣の姿も!錚々たる面々によって、キャラクターたちにどのように命が吹き込まれていくのか期待が膨らむ仕上がりとなっております。 日本と犬をこよなく愛するキャスト・スタッフたちによって描かれる、これ��で誰も観たことがない日本が舞台のワンダフル・アドベン��ャーが繰り広げられる『犬ヶ島』に是非ご期待ください! ◆・・・・・・・・・◆ 【作品情報】 『犬ヶ島』 ■監督:ウェス・アンダーソン ■キャスト:ブライアン・クランストン、リーヴ・シュレイバー、コーユー・ランキン、エドワード・ノートン、ビル・マーレイ、ジェフ・ゴールドブラム、野村訓市、グレタ・ガーウィグ、フランシス・マクドーマンド、スカーレット・ヨハンソン、ヨーコ・オノ、ティルダ・スウィントン、野田洋次郎(RADWIMPS)、村上虹郎、渡辺謙、夏木マリ ■配給:20世紀フォックス映画 5月25日(金)全国公開!! 情報提供:ガイエ (C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation
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0058 奥さまは名無しさん 2021/10/13 15:59:32
ジェニファー・アニストンってどちらかと言うとコメディー寄りのイメージであってる?
性別は異なるけどブライアン・クランストンと似てる立ち位置というか
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ID:MOi7kBr4
0059 奥さまは名無しさん 2021/10/20 22:57:41
>>58
シットコム出身で映画も恋愛コメディ系がほとんどだからコメディ寄り
ID:qSpBn12h
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sweetdelivery · 3 years
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フランス版のオリジナル「最強のふたり」は観てたんで、ハリウッドでリメイク?
ないない、って全然、毛ほども気にしてなかったらケビン・ハートとブライアン・クランストンじゃねぇのー!
そんなわけで「The Upside」、つまんなくてもいいや2人の共演楽しそう程度の気持ちで観たんだけど
なんだかんだフランス版より心を動かされるシーンは少なかったけど、楽しさが良かった。
特にケビン・ハートのあのダラっとした感じとまくしたてる口調のアンバランスさと
ブライアン・クランストンの笑顔がなぁ、フィリップぽくていいんだよなぁ。
さらにニューヨークが舞台だから、知ってる街の知らない富豪の暮らしと、よく知る街並みや人々を垣間見てそこも私には高ポイントな点だった。
まぁ、ハリウッドですから予定調和的な部分は目を瞑ってですね、楽しんだら勝ち。そんな作品かと思います!ケビン・ハートは黒目がデカい!←これで〆ようとする私でごめんなさい。
ニコール・キッドマンはほんとに必要だったかはわかんないけどね!笑笑
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kazuctdcom · 4 years
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ENGLISH JOURNAL2020年1月号の特集は「あなたの知らない世界の英語」ケヴィン・ハートとブライアン・クランストンの息の合ったインタビューに注目。
☆ブログ記事を書きました☆ ENGLISH JOURNAL2020年1月号の特集は「あなたの知らない世界の英語」ケヴィン・ハートとブライアン・クランストンの息の合ったインタビューに注目。
こんにちは、毎日英語学習をしているKAZUです。
2019年12月6日にENGLISH JOURNAL2020年1月号が発売になりました。
一足早く2020年号です。「2020」という響きがとても新鮮です。
表紙デザインはシンプルで、「“A TWO-FOUR” Q:カナダではどんな意味?」という問いかけがあります↓
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ENGLISH JOURNAL(イングリッシュジャーナル)2020年01月号/アルク posted with カエレバ 楽天市場 Amazon Yahooショッピング
当記事では、ENGLISH JOURNAL2020年1月号(以下、EJ1月号)で学んだことについて書きます。
(more…)
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kconasu · 5 years
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The Upside(「最強のふたり」のハリウッドリメイク。ネタバレあり)
2017年(トロント映画祭)・2019年(アメリカ公開・日本はアマゾンプライム)/アメリカ/カラー/126分
 フランス映画「最強のふたり」のハリウッドリメイクとなった「The Upside」をANAの機内上映で鑑賞しました。ちょっと上映の経緯がややこしいのですが、2017年に完成し、トロント映画祭で上映された物の、セクハラ事件を起こしたハーヴェイ・ワインスタインの会社が製作をしていたためにお蔵入り。その後権利関係を買収した会社によってアメリカで2019年上映。日本ではアマゾンプライムで「人生の動かし方」という邦題で同じく2019年に公開されたそうです。
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 アフリカ系アメリカ人のデル・スコット(ケヴィン・ハート)は失業中。失業保険を継続して貰えるためだけに無気力で就職訓練を受け、ただサインを貰うだけの日々であった。ある日デルは大資産家で、事故が元で頭から下が麻痺したために車椅子生活となったフィリップ・ラカッセ(ブライアン・クランストン)の介護者面接に応募する。例のごとく就職活動をしている実績だけ欲しいデルは別居中の息子の学校の送迎時間という事もあり、面接に強引に割り込んでくる。フィリップの秘書のイヴォンヌ(ニコール・キッドマン)は止めるものの、フィリップは型どおりの介護者とは違うデルを気に入り採用してしまう。
 介護未経験だったデルは排泄物の処理など戸惑うものの、自分のペースを崩さないことで引きこもりがちだったフィリップを外に出させることに成功する。前向きに変わっていったフィリップはやがて文通のみの相手と割り切っていた女性とも会う決断をするのだが…というお話でした。
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(以下からネタバレがあります)
 ここまで読んで貰うと「最強のふたり」に忠実なリメイクに見えますがデルが別居しつつも妻子持ちという設定になっていますし、エンディングも違う展開になっています。またアレサ・フランクリンの音楽を絡める事で新しい要素を加えています。
 感想としては「原作と違うことをしようとして、それが物語の面白さを削ってしまった失敗作」という物でした。クリエーターとして原作と同じ事をしては芸が無いのも解りますし、お客さんがアメリカ人になるためにローカライズするのも大切なことだと思いますが…。
 まずオープニングのアース・ウィンド&ファイアーのSeptemberを使わなかった事が最初で最大のつまずきだったと思います。あのシーンは物語のつかみとして、そして主人公二人のキャラクターや関係性を数分で解らせる上で最高だったし、そして紆余曲折あってもラストはハッピーエンドになる安心感を観客に与えていたわけです。それをわざわざ捨てるとは…。
 それとデルがフィリップの本棚から「ハックル・ベリーフィンの冒険」を盗み、それを別居中の子供にプレゼントとして与えた事にも疑問が。この本、白人少年であるハックルが奴隷であるジムをお互いの事情から助け合いながら逃亡していくしていく話なので、「The Upside」の二人の関係性に似ているので上手い選択だったように「一見」見えるのですが、奴隷制度に疑問を呈する話である一方で「ニガー」という表現が多かったり、白人よりもアフリカ系が劣っている思想を引きずったまま描いているのでアフリカ系の子供に与えるには不自然な感じがします。この本をきちんと理解している観客であればあるほど「デルはこの本の中身を知らずに渡してしまったのか?」とか「これを見た母親はデルのプレゼントのセンスが悪すぎて怒り出したりしないか?」、「友情関係で結ばれたデルとフィリップは結局は主従関係なのか?」といった無駄な伏線を生ましてしまった問題が出てきてしまいます。確かフィリップの本のコレクションは初版本限定と言っていたと思うので、「ニガー」表現を直した現在の修正バージョンでは無いのでなおさら不味いと思うんですよねぇ。不適切というより不必要な追加エピソード。
 あとラスト前、最終目的地に着いてヒゲを伸ばし放題だったフィリップをデルがビレッジピープル風にしたりと遊びながら剃るシーン。「最強のふたり」のまんまコピーだったのですが、これは逆にもっと縮小した方が良かったかも。というのも綺麗にそり終わる一歩手前がヒトラー風にしているのですが、これをフランス人がやるのとアメリカ人がやるのとでは物語に与える意味合いが全然違ってきます。障がい者差別をやったヒトラーを障がい者がモノマネするブラックジョークという点に限ればフランス版もアメリカ版も大差なく面白いのですが、問題は彼らの居る場所にあります。フランス版「最強のふたり」で居る場所は、僕も見直して気が付いたんですが「あの」ダンケルクなんですよね。クリストファー・ノーラン監督の「ダンケルク(2017年)」のあの舞台にいたという事は「色々あったけど、生きてここからやり直す」というドリスとフィリップのその後のメタファーになっていた訳です。と、なるとヒトラーのモノマネとダンケルクはセットじゃないと生きてこない。「The Upside」だとアメリカのおだやかな風景の場所というだけですからヒトラーのモノマネが悪ふざけに終わってしまって、エンドに向けて後は締めるだけの状態で芝居の邪魔になった印象を持ちました。髭剃りエピソードまるごとカットか、ビレッジピープル止まりで良かったかも…。
 色々酷評してしまいましたが、アレサ・フランクリンの楽曲を絡めてきたアイデアはかなり良かったです。オペラ好きでパヴァロッティ押しのフィリップに対し、アレサ・フランクリンを押してくるデル。お互い影響を受け合った結果、終盤カーオーディオで聴くのがアレサ・フランクリン版の「誰も寝てはならぬ」というのが上手い。この曲、98年のグラミー賞でパヴァロッティが喉の不調で出演を急遽キャンセル。緊急代打を引き受けたアレサが見事なパフォーマンスを見せたというものなのです。曲の内容がラストのハッピーエンドにもつながるのでここは本当に良かったです。
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ronpe0524 · 4 years
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自宅鑑賞のための映画データベース 【vol.2】
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■「自宅鑑賞のための映画データベース」 【vol.2】
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ おっ、あの映画、もうすぐ配信されるんだ! 見たい映画を見逃さないために、自宅鑑賞に使える映画情報コーナーです。 +‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥+
┌───────────────────┐ │【 早く見たい、まもなくリリースの映画】 └───────────────────┘
【1】 『キューティーズ!』マイモウナ・ドゥクレ監督(フランス)
<配信日・配信サービス> 9月9日(水)・Netflix
サンダンス映画祭2020でワールドシネマ・ドラマ部門の監督賞を受賞したダンス映画。マイモウナ・ドゥクレ監督の長編映画デビュー作。
【2】 『ゴリラのアイヴァン』テア・シャーロック監督(アメリカ)
<配信日・配信サービス>9月11日(金)・Disney+
実話を基にした世界的なベストセラー小説をウォルト・ディズニー・スタジオが映画化。出演はブライアン・クランストン、声の出演にサム・ロックウェル、アンジェリーナ・ジョリー、ダニー・デヴィート、ヘレン・ミレン、そしてブルックリン・プリンス!
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hentaianime2019 · 4 years
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ブライアン・クランストン主演・伝説の麻薬捜査官/映画『潜入者』予告編
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cinemastylenews · 6 years
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映画『30年後の同窓会』予告&ポスター解禁
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リンクレイター監督が描く“50歳のスタンド・バイ・ミー” ◆…………◆…………◆ 妻に先立たれ、更に戦地で最愛の息子を失い悲しみに暮れるドク(スティーヴ・カレル)。彼は亡くなった息子を故郷に連れて帰る旅に、30年間音信不通だった戦友・サル(ブライアン・クランストン)とミューラー(ローレンス・フィッシュバーン)を誘う。過去の事件でトラウマを抱え、その後の人生が大きく変わってしまった三人の再会がもたらしたものとは…? スティーヴ・カレル、ブライアン・クランストン、ローレンス・フィッシュバーンという、アカデミー賞主演男優賞ノミネート経験を持つ名優達が集結し、『6歳のボクが、大人になるまで。』で世界中の賞レースを席巻した名匠、リチャード・リンクレイター監督が12年の構想を経て実現した本作。リンクレイター監督は、2005年に刊行された原作小説を読んで以来、この企画を12年間も温め続けていた。 原作者のダリル・ポニックサンは、アメリカン・ニューシネマの傑作『さらば冬のかもめ』(73年)の原作小説でも知られるベテラン作家。今回の脚本はリンクレイターとポニックサンが共同で手掛け、過去と現在の戦争の苦しみに向き合いつつ、ユーモアに満ちた仲間との交流の旅が、空っぽの心を埋めていく温かい友情の物語を作り上げた。キャストには『フォックスキャッチャー』(14)で第87回アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたスティーヴ・カレル、『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』(15)で第88回アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたブライアン・クランストン。『TINA ティナ』(93)で第66回アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたローレンス・フィッシュバーンという名優たちが集まった。エンドロールで流れるボブ・ディランの「Not Dark Yet」が彩りを添える感動のロードムービーが誕生しました。 ====================== 『30年後の同窓会』 予告編はこちらから。 https://www.youtube.com/embed/lM2MgKAsi5c ※YouTubeへ遷移します。 ※ガラケーでは視聴できません。 ====================== <ストーリー> 男一人、酒浸りになりながらバーを営むサル(ブライアン・クランストン)と、破天荒だった過去を捨て今は牧師となったミューラー(ローレンス・フィッシュバーン)の元に、30年間音信不通だった旧友のドク(スティーヴ・カレル)が突然現れる。2人にドクは、1年前に妻に先立たれたこと、そして2日前に遠い地で息子が戦死したことを2人に打ち明け、亡くなった息子を故郷に連れ帰る旅への同行を依頼する。バージニア州ノーフォークから出発した彼らの旅は、時にテロリストに間違われ得るなどのトラブルに見舞われながら、故郷のポーツマスへと向かうーー。 30年前に起きた“ある事件”をきっかけに、大きく人生が変わってしまった3人の男たち。 仲間に起きた悲しい出来事をきっかけに出た再会の旅。語り合い、笑い合って悩みを打ち明ける旅路で、3人の人生が再び輝き出す。 ◆…………◆…………◆ 【作品情報】 『30年後の同窓会』 ■監督・脚本:リチャード・リンクレイター ■原作・脚本:ダリル・ポニックサン「LAST FLAG FLYING」 ■出演:スティーヴ・カレル、ブライアン・クランストン、ローレンス・フィッシュバーン ■配給:ショウゲート   6月8日(金) TOHOシネマズ シャンテ 他、全国ロードショー 情報提供:ショウゲート (C)2017 AMAZON CONTENT SERVICES LLC
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movieslover-fan · 4 years
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ケヴィン・ハート&ブライアン・クランストン、コメディアンならではの絶妙な掛け合い!/映画『THE UPSIDE/最強のふたり』特別映像
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diaryofstrangerinp · 5 years
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トータル・リコール シュワちゃん版よりこっちの方が好みかも。
トータル・リコール シュワちゃん版よりこっちの方が好みかも。 #映画
映画「トータル・リコール」
2012年 アメリカ映画、原作:フィリップ・K・ディック『追憶売ります』、監督:レイ・ワイズマン、脚本:マーク・モンバック、カート・ウィマー、音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
登場人物(キャスト) ダグラス・クエイド(コリン・ファレル)
コロニーの住民。毎晩、同じ夢に悩まされている。
ローリー・クエイド(ケイト・ベッキンセイル)
ダグラスの妻。緊急隊勤務。
メリーナ(ジェシカ・ビール)
ダグラスの夢に出てくる謎の女。
コーヘイゲン(ブライアン・クランストン)
UFBの代表。
ハリー(ボキーム・ウッドバイン)
ダグラスの同僚。
マクレーン(ジョン・チョー)
リコール社の責任者。
マレック(ウィル・ユン・リー)
ダグラスの職場の新人。
マサイアス(ビル・ナイ)
レジスタンスのリーダー。
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jijinetasite-blog · 5 years
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ハリウッドで障害者のストーリーが語られるのは嬉しい、でも俳優は健常者ばかりでうんざり。
私は映画『The Upside』を見ていないし、今後見ることもないとないでしょう。1月11日に全米公開されたその映画は、『ブレイキング・バッド』のブライアン・クランストンが、元犯罪者を介護人として雇う四肢麻痺の億万長者、フィリップ役として主演しています。
今の所、映画の評価は月並みーでもそれが私が映画を見ない理由ではありません。私が障害を持つ女性として、健常者であるクランストンが障害者の役を演じている事に納得がいかないからです。
そう感じているのは私だけではありません。クランストンとこの映画は、Twitterで障害者コミュニティから大きな批判を受けています。それでも、クランストンは車椅子利用者のフィリップ役を演じる事を擁護しました。
「俳優として、僕らは他の人になりきる事、演じる事を求められています」と彼は英国記者協会(British Press…
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ブライアン・クランストン、人生の転機語るhttps://t.co/4vKpWnT0QK
ブライアン・クランストン、人生の転機語るhttps://t.co/4vKpWnT0QK
— 少佐 (@DawnPer76892244) June 11, 2018
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