Tumgik
#揚輝荘
tabi-niwa · 1 year
Photo
Tumblr media
覚王山。 いろんなお店があって歩いてて面白い街でした。 1枚目は松坂屋の創業者の別荘、揚輝荘。 最後の写真はシェシバタ。シェシバタに行ったら本物のシェシバタもお店にいました。 #日本 #愛知 #名古屋 #覚王山 #揚輝荘 #洋館 #街角スナップ #シェシバタ #スイーツ #本物のシェシバタ #japan #aichi #nagoya #kakuouzan #sweets (覚王山) https://www.instagram.com/p/CpsB0aULuk0/?igshid=NGJjMDIxMWI=
1 note · View note
yaouo · 2 years
Photo
Tumblr media
遅くなりましたが、揚輝荘南園二階での展示の写真です。少しだけ針金サカナを増やしてきました。木によっては葉が紅葉してきたみたいです。 11/5(土)〜12/4(日)覚王山地元作家の作品展 揚輝荘南園聴松閣二階 展示室 要聴松閣観覧料(300円) #yaouo #針金細工八百魚 #ワイヤークラフト #覚王山アパート #揚輝荘 #覚王山 #サカナ (揚輝荘) https://www.instagram.com/p/ClDWBfOvns5/?igshid=NGJjMDIxMWI=
0 notes
soundexcursion · 1 year
Text
#374 - 15JUN2023 ▶ 窓の旅フィールドワーク vol.2 名古屋・揚輝荘 編
Tumblr media
窓コンシェルジュ・林博政さんと、「窓」を切り口に名建築を訪ねるシリーズ第2弾。 今回は、大正から昭和初期にかけて名古屋市・覚王山の丘陵地につくられた、松坂屋初代社長・伊藤次郎左衞門祐民(いとう じろざえもん すけたみ)氏の別荘、「揚輝荘」の魅力について語り合います。 本投稿の掲載写真をお供にお楽しみください!
ON AIR
2023年6月15日(木)19:30-20:00 FMまつもと(長野県松本市 79.1Mhz)
FM++ アプリ/ブラウザプレイヤーより国内どこからでも聴取できます https://fmplapla.com/fmmatsumoto/
SNAPSHOTS
写真1-4 : 北園 「伴華楼」(ばんがろう)
Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media
写真5-7: 南園「聴松閣(ちょうしょうかく)」 外観
Tumblr media Tumblr media Tumblr media
写真8-13: 南園「聴松閣(ちょうしょうかく)」 内装
Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media
揚輝荘公式サイト https://www.yokiso.com
TRUCKLISTING
1 John Pizzarelli - Baubles, Bangles and Beads 2 The Stone Roses - Waterfall 3 Stacey Kent - Polka Dots & Moonbeams
PODCAST
0 notes
mmcathkmm · 1 year
Text
幅広い心を くだらないアイデアを 軽く笑えるユーモアを うまくやり抜く賢さを
2022よかったもの 基本的に2022のことを書くがそれ以前のものも登場する
<香水>
Tumblr media
ビュリー 庭園での語らい 薔薇、ミント、茶 とにかく上品で今年一番好きな匂い 限定、このまま廃盤らしいが定番化してほしかった
Aiam chapter65 清潔な温泉の匂い そんな貧相な語彙での表現以外思いつかないがお店の前を通るとこの香りに引き寄せられてつい入る chapterというコンセプトやアートワークもかわいい
<コスメ>
Tumblr media
キャンメイク ラスティングマルチアイベースWP アイシャドウの発色とモチがよくなる
キャンメイク マシュマロフィニッシュファンデーション ファンデ迷子から脱出 デパコスからミネラル、韓国コスメまで試したがキャンメイクが正解だと気づく グリセリンが合わない人、パウダー派、荒れやすい人におすすめ
レブロン キスシュガースクラブ 前評判の期待を裏切らなかったリップスクラブ ラッシュの瓶入りのに似ているが洗い流し不要で塗りっぱなしにできるのがよい
あと今年は口紅はケイトのリップモンスターしか塗ってない 名品
<基礎化粧品>
Tumblr media
シェルクルール ベーシッククリーム 過去使ってきた中で三つの指に入るくらい好きなクレンジングかも 負担が少ない+流した後肌がやわらかくなる
bsコスメ ローションGE(超敏感肌用化粧水) 何を使っても肌痛かったときこれは痛くなかった
イニスフリー アップルシードポイントメイクリムーバー アイメイクがよく落ちる!
<髪類>
Tumblr media
なにしても頭かゆい、頭皮の皮脂で髪乾かない人はシャンプーh&sで洗ってスカルプブラシを使うのがよい これは前年からの発見 ヘアケア(トリートメント)は個人的な記録だがukaのウィンディレディとミルボンのエルジューダエマルジョン+が結局よい
お財布と相談の時はアハロバターのアウトバストリートメントもよい
就寝時毎日シルクのキャップを被る習慣に加え今年から髪ゴムもシルクのシュシュにした ほどくときクセがつきにくくよい プロダクトのドライシャンプーは風呂に入れないときのレスキューアイテム 匂いもよい
<健康>
呉茱萸湯(ゴシュユトウ) 冷えがある人の頭痛に使う漢方を処方された 頭痛にもまあ……効く気がしたがそんなことよりいきなり数年続いた異常な寒さや食欲不振が回復傾向にあることに感動している はっきりいって大変驚いている 漢方は体質があるので一概にはいえないが合えば合うケースもあるということで 頭痛薬としては単体というより鎮痛剤を併用した時切れ味が良くなる感触だった
ピルクルミラクルケア 私の場合は不眠っぽさが十分軽減される ただやや夢の質感が変わる それでも寝た感覚は得られる 普段の睡眠が5-10点ならピルクルミラクルケア飲用時は75-80点くらい ヤクルト1000も数日飲んだだけでかなり効果を感じたのだが品薄で入手できずピルクルに手を染めた経緯がある
ハウスオブローゼ ボディエイドリフレッシャー 薄荷の香りのジェル これをこめかみとか耳の裏に塗ると頭痛が楽になる 気分転換にも
アリナミンメディカルゴールド 眼精疲労がヤバすぎる時のめちゃ高ビタミン剤
森永 プロテイン効果(ソイプロテイン) ソイカカオ味がさすが森永という感じで飲みやすかった 食欲がない時や朝食置き換えで飲んでいた
<場所>
Tumblr media
金沢: 室生犀星記念館、カメリアイン雪椿、雨の詩(ショコラトリー) 滋賀: 田村辻町公園(写真) 埼玉: 川越近辺 東京:早稲田奉仕園 スコットホール、甘露(中華スイーツショップ) 愛知 :蒲郡 りんくうビーチ、覚王山 揚輝荘 大阪:国立国際美術館
北陸のことがかなり好きかもしれない 滋賀の田村辻町公園はみずうみを見るだけのために行って本当にみずうみだけ見て帰った 人生で一番好きな公園かも
川越は建物が低くておもしろかった 高層の建物がないと空が広くてよい
<音楽>
新たにルナシーとdeadmanと黒夢を聴いた 自分の中のVのポテンシャルを感じた 黒夢「少年」や「BEAMS」のMVに夢中になる https://www.youtube.com/watch?v=d-aECx9FyIc https://www.youtube.com/watch?v=cSfwQVdZelk
ファンブックとTシャツを買う いちばん好きになったのはdeadmanで音源を買った
<本>
過剰可視化社会: 「見えすぎる」時代をどう生きるか/與那覇潤 心を病んだらいけないの?―うつ病社会の処方箋―/斎藤環,與那覇潤 単純な脳、複雑な「私」: または、自分を使い回しながら進化した脳をめぐる4つの講義/池谷裕二 彼女は頭が悪いから/姫野カオルコ 教養悪口本/堀元見
<続けていること>
セルフお灸、アレクサンダーテクニーク、鼻歌の録音、冬場の加湿器
---
余力があれば2022の振り返りを書く
1 note · View note
lotusmtxs6837 · 5 years
Photo
Tumblr media
#紅葉 #揚輝荘 #覚王山 https://www.instagram.com/p/B5p3_aLAoci/?igshid=anc2pj5ccu93
0 notes
a7iii-adventure · 5 years
Photo
Tumblr media
1 note · View note
thekimonogallery · 3 years
Photo
Tumblr media
Artwork by 撫子凛👘10/2〜11/21KIMONO展in名古屋松坂屋美術館&揚輝荘
@nadeshicorin
74 notes · View notes
hisafoto · 3 years
Photo
Tumblr media
揚輝荘と聴松閣
267 notes · View notes
ari0921 · 4 years
Text
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
Tumblr media
令和2年(2020)7月31日(金曜日)参
 「アジアの巨星」。邪悪に挑戦した「台湾のモーゼ」=李登輝元総統
  「わたしは日本人だった」。「台湾人にうまれた悲哀」と歴史的な名言残して
***************************
 何回もお目にかかった。その情景が様々な感慨とともに瞼に浮かんでくる。
 1996年に台湾初の直接選挙による総統選挙が行われ、中国がミサイルを撃って脅迫を続けていた。筆者は台北にいて、総統選挙を取材していた。
巷は騒然としていた。李登輝は「国民党は外来政権」と比喩したが、蒋介石に付いてきた外省人の一部は急ぎ財産を売り払って米国へ逃げた。
町の声は「逃げたい奴はとっと失せろ」だった。
 李登輝は96年ミサイル危機を目の前にしてこう言った。
「何も心配は要らない。わたしには十八の戦略がある」。
この剛胆とも言える総統の発言に本省人の多くは頼もしさを見出し、安堵感を得た。アメリカは親中派のクリントン政権だったが、空母を当該海域に派遣し、中国はすごすごと引き揚げていった。
 96年の総統選には民進党から「台湾独立運動のカリスマ」を言われた膨明敏が出馬していた。
多くの本省人は膨明敏支持だった。しかし同時に心情的には李登輝を応援した。結果は李登輝が55%。膨は25%。残りは林洋港(旧国民党強硬派。参謀総長、首相を歴任した赫白村が副総統候補)と陳履安(無所属)が出ていたが、旧勢力は惨敗だった。
 この選挙戦で、筆者は初めて李登輝氏の輝きを見た。この人の行くところ、後光が射しているかの如きで、じつは他の候補は霞んでいた。民進党は善戦したと言える。
 前後して日本側が中嶋嶺雄教授と住友電光の亀井正夫氏の呼びかけで毎年一回、台湾と日本を交互に「アジアオープンフォーラム」が開催されていた。私は台中会議から呼ばれるようになり、取材陣に加わった。毎回、李登輝閣下は出席して基調演説をこなし、懇親会にも顔をだされることがあった。
日本側の参加者を総統府に招かれ、ひとりひとりと握手された。筆者は初めて李登輝氏と握手を交わした。手に暖かみがあった。
 李登輝はキリスト教を信仰していたが、台湾のキリスト教は一神教の風情がまったくなく、台湾の風土と道教的な馬祖信仰の伝統に被さった、独特のキリスト教である。
なかでも長老会派の勢力が強いが、戒厳令の時代、教会が、じつは台湾独立派の集まる秘密集会の場所でもあった。
 ▼守旧派と千日の静かなる闘いに李登輝は勝利した
 李登輝の使命感は「台湾のモーゼ」。邪なものに挑戦し、正義を回復する。良いものは良いと評価し、一歩一歩、確実に改革に邁進するという政治信条をもち、蒋経国急死のあと、副総統から昇格したのち、守旧派と千日にわたる凄絶な戦いを続け、ついに戒厳令を撤廃し、蒋介石時代からの終身立法委員を廃止し、総統を民意で選ぶ民選にまでもっていく。
独裁政権だった国民党は大きく動揺し、李登輝を敵視する守旧派はあらゆる場面で李登輝を妨害した。
 李登輝は怯まなかった。
さずがに「台湾のモーゼ」を自称し、武士道を日本精神の中核とする信念は無私無欲、そして日本との繋がりを重視し、継続発展させるには、新幹線を日本に強引に発注する決断をなした。その後のメインテナンスで、日本との関係は継続され、深化するという独特の読みがあった。
 日台の民間交流はますます���発になった。
 1999年だった。筆者は竹村健一氏を誘って、李登輝総統への独占インタビューに出かけた。印象深かったのは、同席した「お目付役」の国民党幹部らの渋面である。同席の通訳が早業のように翻訳した紙切れを廻すと「え、こんなことを言っている」「なんとまぁ、こんなことを発言しているゾ」というあきれ顔、渋面、苦渋を浮かべる国民党幹部の顔色と、悠然と自由な会話を愉しむ李登輝総統の対比的な光景を観察しているだけでも愉しかった。
 当時、李登輝のまわりを囲んだブレーンの一人が蔡英文(現総統)だった。彼女が「中国と台湾は別個のくに」という二国論を起草した。
ドイツのラジオ局とのインタビューという形で出した「��国論」に中国は猛烈に反発したが、李登輝は自信を持って対応した。筆者は直後に『諸君!』に「猿でもわかる二国論」と題した文章を寄稿した。
蔡英文女史はその後、立法委員に当選し、いつしか党の重鎮となり、2016年総統選で国民党候補を破った。
 李総統が『台湾の主張』を出版されたときは、論壇の多くに呼びかけて発起人を引き受けて貰い、オークラに1500名が集まった李登輝出版記念会。大盛況だった。
 ▼李登輝氏とはその後も何回かインタビューに出向いた
 その後、台湾へ出かける度に、李登輝氏の台北の自宅、大渓の別荘、李登輝氏主宰のシンクタンクは淡水にあったが、そこにも三回か、四回は訪問している。
自宅を訪ねたときは花田紀凱、堤堯、中村彰彦氏が一緒だった。別荘に伺った時はたしか高山正之、花岡信昭氏が一緒だった記憶がある。
別荘の地下が書庫となっていて、その大半が日本語の書籍。哲学、思想関係のほかに日高義樹氏の著作もあった。最新の日本事情に詳しい背景がわかった。
シンクタンクへの訪問は最初、ラジオ番組収録のために、ミッキー安川と一緒だったが、このときは急遽入院されたので叶わず、後年、息子のマット安川との特別番組のインタビューの時は会えた。別の機会には、井尻千男、片岡鉄哉、藤井厳喜氏らが一緒だったこともあった。いずれも筆者が台湾側と交渉し、ツアーを組んだ企画だった。
 東京に来られたときも六本木の国際文化会館で開催された後藤新平賞授賞式では楽屋に訪ねた。日本李登輝友の会の懇親会では拙著への質問があり、氏の隣に呼ばれた。
 李登輝総統との幾つかの会話で、筆者は多くを発見した。
 第一に『武士道解題』をかかれた李登輝氏の武士道理解は『死ぬことと見つけたり』の山本常朝の武士道という悲壮な世界観に立脚するのではなく、新渡戸稲造的なキリスト教的コモンセンスの世界解釈だったこと。
 第二に、三島由紀夫に関しては、おそらく情報不足からか、一度も発言がなかった。
 第三は、李登輝世代は恋文も哲学も日本語でなしたので、大正から昭和初期にかけての日本的情緒、その奥ゆかしさを体現でき、思考の基礎を日本語で組み立てることだった。それも正調日本語である。
 或る時は駐日大使(台北経済文化代表処長)のお招きで芝のレスオランに筆者夫妻、阿川弘之夫妻、竹村健一夫妻が招かれ、懇談した。席上、阿川弘之氏が李登輝総統に会いに行くことになった。そのとき阿川氏は「断じて自費で伺います」と元日本海軍将校の基本姿勢を言われたのも印象深い。
 かくして日本李登輝友の会は初代会長を阿川弘之、二代目が小田村四郎、そして現在は渡邊利夫(拓殖大学学術顧問)となって地道な活動を続けてきた。
これからも李登輝総統閣下をカリスマとして、日台友好発展のための中核的組織として継続される。毎年7月30日の命日には追悼行事が組まれることになるだろう。
36 notes · View notes
toubi-zekkai · 3 years
Text
厚着紳士
 夜明けと共に吹き始めた強い風が乱暴に街の中を掻き回していた。猛烈な嵐到来の予感に包まれた私の心は落ち着く場所を失い、未だ薄暗い部屋の中を一人右往左往していた。  昼どきになると空の面は不気味な黒雲に覆われ、強面の風が不気味な金切り声を上げながら羊雲の群れを四方八方に追い散らしていた。今にも荒れた空が真っ二つに裂けて豪雨が降り注ぎ蒼白い雷の閃光とともに耳をつんざく雷鳴が辺りに轟きそうな気配だったが、一向に空は割れずに雨も雷も落ちて来はしなかった。半ば待ち草臥れて半ば裏切られたような心持ちとなって家を飛び出した私はあり合わせの目的地を決めると道端を歩き始めた。
 家の中に居た時分、壁の隙間から止め処なく吹き込んで来る冷たい風にやや肌寒さを身に感じていた私は念には念を押して冬の格好をして居た。私は不意に遭遇する寒さと雷鳴と人間というものが大嫌いな人間だった。しかし家の玄関を出てしばらく歩いてみると暑さを感じた。季節は四月の半ばだから当然である。だが暑さよりもなおのこと強く肌身に染みているのは季節外れの格好をして外を歩いている事への羞恥心だった。家に戻って着替えて来ようかとも考えたが、引き返すには惜しいくらいに遠くまで歩いて来てしまったし、つまらない羞恥心に左右される事も馬鹿馬鹿しく思えた。しかしやはり恥ずかしさはしつこく消えなかった。ダウンジャケットの前ボタンを外して身体の表面を涼風に晒す事も考えたが、そんな事をするのは自らの過ちを強調する様なものでなおのこと恥ずかしさが増すばかりだと考え直した。  みるみると赤い悪魔の虜にされていった私の視線は自然と自分の同族を探し始めていた。この羞恥心を少しでも和らげようと躍起になっていたのだった。併せて薄着の蛮族達に心中で盛大な罵詈雑言を浴びせ掛けることも忘れなかった。風に短いスカートの裾を靡かせている女を見れば「けしからん破廉恥だ」と心中で眉をしかめ、ポロシャツの胸襟を開いてがに股で歩いている男を見れば「軟派な山羊男め」と心中で毒づき、ランニングシャツと短パンで道をひた向きに走る男を見れば「全く君は野蛮人なのか」と心中で断罪した。蛮族達は吐いて捨てる程居るようであり、片時も絶える事無く非情の裁きを司る私の目の前に現れた。しかし一方肝心の同志眷属とは中々出逢う事が叶わなかった。私は軽薄な薄着蛮族達と擦れ違うばかりの状況に段々と言い知れぬ寂寥の感を覚え始めた。今日の空が浮かべている雲の表情と同じように目まぐるしく移り変わって行く街色の片隅にぽつ念と取り残されている季節外れの男の顔に吹き付けられる風は全く容赦がなかった。  すると暫くして遠く前方に黒っぽい影が現れた。最初はそれが何であるか判然としなかったが、姿が近付いて来るにつれて紺のロングコートを着た中年の紳士だという事が判明した。厚着紳士の顔にはその服装とは対照的に冷ややかで侮蔑的な瞳と余情を許さない厳粛な皺が幾重も刻まれていて、風に靡く薄く毛の細い頭髪がなおのこと厳しく薄ら寒い印象に氷の華を添えていた。瞬く間に私の身内を冷ややかな緊張が走り抜けていった。強張った背筋は一直線に伸びていた。私の立場は裁く側から裁かれる側へと速やかに移行していた。しかし同時にそんな私の顔にも彼と同じ冷たい眼差しと威厳ある皺がおそらくは刻まれて居たのに違いない。私の面持ちと服装に疾風の如く視線を走らせた厚着紳士の瞳に刹那ではあるが同類を見つけた時に浮かぶあの親愛の情が浮かんでいた。  かくして二人の孤独な紳士はようやく相まみえたのだった。しかし紳士たる者その感情を面に出すことをしてはいけない。笑顔を見せたり握手をする等は全くの論外だった。寂しく風音が響くだけの沈黙の内に二人は互いのぶれない矜持を盛大に讃え合い、今後ともその厚着ダンディズムが街中に蔓延る悪しき蛮習に負けずに成就する事を祈りつつ、何事も無かったかの様に颯然と擦れ違うと、そのまま振り返りもせずに各々の目指すべき場所へと歩いて行った。  名乗りもせずに風と共に去って行った厚着紳士を私は密かな心中でプルースト君と呼ぶ事にした。プルースト君と出逢い、列風に掻き消されそうだった私の矜持は不思議なくらい息を吹き返した。羞恥心の赤い炎は青く清浄な冷や水によって打ち消されたのだった。先程まで脱ぎたくて仕方のなかった恥ずかしいダウンジャケットは紳士の礼服の風格を帯び、私は風荒れる街の道を威風堂々と闊歩し始めた。  しかし道を一歩一歩進む毎に紳士の誇りやプルースト君の面影は嘘のように薄らいでいった。再び羞恥心が生い茂る雑草の如く私の清らかな魂の庭園を脅かし始めるのに大して時間は必要無かった。気が付かないうちに恥ずかしい事だが私はこの不自然な恰好が何とか自然に見える方法を思案し始めていた。  例えば私が熱帯や南国から日本に遣って来て間もない異国人だという設定はどうだろうか?温かい国から訪れた彼らにとっては日本の春の気候ですら寒く感じるはずだろう。当然彼らは冬の格好をして外を出歩き、彼らを見る人々も「ああ彼らは暑い国の人々だからまだ寒く感じるのだな」と自然に思うに違いない。しかし私の風貌はどう見ても平たい顔の日本人であり、彼らの顔に深々と刻まれて居る野蛮な太陽の燃える面影は何処にも見出す事が出来無かった。それよりも風邪を引いて高熱を出して震えている病人を装った方が良いだろう。悪寒に襲われながらも近くはない病院へと歩いて行かねばならぬ、重苦を肩に背負った病の人を演じれば、見る人は冬の格好を嘲笑うどころか同情と憐憫の眼差しで私を見つめる事に違いない。こんな事ならばマスクを持ってくれば良かったが、マスク一つを取りに帰るには果てしなく遠い場所まで歩いて来てしまった。マスクに意識が囚われると、マスクをしている街の人間の多さに気付かされた。しかし彼らは半袖のシャツにマスクをしていたりスカートを履きながらマスクをしている。一体彼らは何の為にマスクをしているのか理解に苦しんだ。  暫くすると、私は重篤な病の暗い影が差した紳士見習いの面持ちをして難渋そうに道を歩いていた。それは紳士である事と羞恥心を軽減する事の折衷策、悪く言うならば私は自分を誤魔化し始めたのだった。しかしその効果は大きいらしく、擦れ違う人々は皆同情と憐憫の眼差しで私の顔を伺っているのが何となく察せられた。しかしかの人々は安易な慰めを拒絶する紳士の矜持をも察したらしく私に声を掛けて来る野暮な人間は誰一人として居なかった。ただ、紐に繋がれて散歩をしている小さな犬がやたらと私に向かって吠えて来たが、所詮は犬や猫、獣の類にこの病の暗い影が差した厚着紳士の美学が理解出来るはずも無かった。私は子犬に吠えられ背中や腋に大量の汗を掻きながらも未だ誇りを失わずに道を歩いていた。  しかし度々通行人達の服装を目にするにつれて、段々と私は自分自身が自分で予想していたよりは少数部族では無いという事に気が付き始めていた。歴然とした厚着紳士は皆無だったが、私のようにダウンを着た厚着紳士見習い程度であったら見つける事もそう難しくはなかった。恥ずかしさが少しずつ消えて無くなると抑え込んでいた暑さが急激に肌を熱し始めた。視線が四方に落ち着かなくなった私は頻りと人の視線を遮る物陰を探し始めた。  泳ぐ視線がようやく道の傍らに置かれた自動販売機を捉えると、駆けるように近付いて行ってその狭い陰に身を隠した。恐る恐る背後を振り返り誰か人が歩いて来ないかを確認すると運悪く背後から腰の曲がった老婆が強風の中難渋そうに手押し車を押して歩いて来るのが見えた。私は老婆の間の悪さに苛立ちを隠せなかったが、幸いな事に老婆の背後には人影が見られなかった。あの老婆さえ遣り過ごしてしまえばここは人々の視線から完全な死角となる事が予測出来たのだった。しかしこのまま微動だにせず自動販売機の陰に長い間身を隠しているのは怪し過ぎるという思いに駆られて、渋々と歩み出て自動販売機の目の前に仁王立ちになると私は腕を組んで眉間に深い皺を作った。買うべきジュースを真剣に吟味選抜している紳士の厳粛な態度を装ったのだった。  しかし風はなお強く老婆の手押し車は遅々として進まなかった。自動販売機と私の間の空間はそこだけ時間が止まっているかのようだった。私は緊張に強いられる沈黙の重さに耐えきれず、渋々ポケットから財布を取り出し、小銭を掴んで自動販売機の硬貨投入口に滑り込ませた。買いたくもない飲み物を選ばさられている不条理や屈辱感に最初は腹立たしかった私もケース内に陳列された色取り取りのジュース缶を目の前にしているうちに段々と本当にジュースを飲みたくなって来てその行き場の無い怒りは早くボタンを押してジュースを手に入れたいというもどかしさへと移り変わっていった。しかし強風に負けじとか細い腕二つで精一杯手押し車を押して何とか歩いている老婆を責める事は器量甚大懐深き紳士が為す所業では無い。そ��そも恨むべきはこの強烈な風を吹かせている天だと考えた私は空を見上げると恨めしい視線を天に投げ掛けた。  ようやく老婆の足音とともに手押し車が地面を擦る音が背中に迫った時、私は満を持して自動販売機のボタンを押した。ジュースの落下する音と共に私はペットボトルに入ったメロンソーダを手に入れた。ダウンの中で汗を掻き火照った身体にメロンソーダの冷たさが手の平を通して心地よく伝わった。暫くの間余韻に浸っていると老婆の手押し車が私の横に現れ、みるみると通り過ぎて行った。遂に機は熟したのだった。私は再び自動販売機の物陰に身を隠すと念のため背後を振り返り人の姿が見えない事を確認した。誰も居ないことが解ると急ぐ指先でダウンジャケットのボタンを一つまた一つと外していった。最後に上から下へとファスナーが降ろされると、うっとりとする様な涼しい風が開けた中のシャツを通して素肌へと心地良く伝わって来た。涼しさと開放感に浸りながら手にしたメロンソーダを飲んで喉の渇きを潤した私は何事も無かったかのように再び道を歩き始めた。  坂口安吾はかの著名な堕落論の中で昨日の英雄も今日では闇屋になり貞淑な未亡人も娼婦になるというような意味の事を言っていたが、先程まで厚着紳士見習いだった私は破廉恥な軟派山羊男に成り下がってしまった。こんな格好をプルースト君が見たらさぞかし軽蔑の眼差しで私を見詰める事に違いない。たどり着いた駅のホームの長椅子に腰をかけて、何だか自身がどうしようもなく汚れてしまったような心持ちになった私は暗く深く沈み込んでいた。膝の上に置かれた飲みかけのメロンソーダも言い知れぬ哀愁を帯びているようだった。胸を内を駆け巡り始めた耐えられぬ想いの脱出口を求めるように視線を駅の窓硝子越しに垣間見える空に送ると遠方に高く聳え立つ白い煙突塔が見えた。煙突の先端から濛々と吐き出される排煙が恐ろしい程の速さで荒れた空の彼岸へと流されている。  耐えられぬ思いが胸の内を駆け駅の窓硝子越しに見える空に視線を遣ると遠方に聳える白い煙突塔から濛々と吐き出されている排煙が恐ろしい速度で空の彼岸へと流されている様子が見えた。目には見えない風に流されて行く灰色に汚れた煙に対して、黒い雲に覆われた空の中に浮かぶ白い煙突塔は普段青い空の中で見ている雄姿よりもなおのこと白く純潔に光り輝いて見えた。何とも言えぬ気持の昂ぶりを覚えた私は思わずメロンソーダを傍らに除けた。ダウンジャケットの前ボタンに右手を掛けた。しかしすぐにまた思い直すと右手の位置を元の場所に戻した。そうして幾度となく決意と逡巡の間を行き来している間に段々と駅のホーム内には人間が溢れ始めた。強風の影響なのか電車は暫く駅に来ないようだった。  すると駅の階段を昇って来る黒い影があった。その物々しく重厚な風貌は軽薄に薄着を纏った人間の群れの中でひと際異彩を放っている。プルースト君だった。依然として彼は分厚いロングコートに厳しく身を包み込み、冷ややかな面持ちで堂々と駅のホームを歩いていたが、薄い頭髪と額には薄っすらと汗が浮かび、幅広い額を包むその辛苦の結晶は天井の蛍光灯に照らされて燦燦と四方八方に輝きを放っていた。私にはそれが不撓不屈の王者だけが戴く栄光の冠に見えた。未だ変わらずプルースト君は厚着紳士で在り続けていた。  私は彼の胸中に宿る鋼鉄の信念に感激を覚えると共に、それとは対照的に驚く程簡単に退転してしまった自分自身の脆弱な信念を恥じた。俯いて視線をホームの床に敷き詰められた正方形タイルの繋ぎ目の暗い溝へと落とした。この惨めな敗残の姿が彼の冷たい視線に晒される事を恐れ心臓から足の指の先までが慄き震えていた。しかしそんな事は露とも知らぬプルースト君はゆっくりとこちらへ歩いて来る。迫り来る脅威に戦慄した私は慌ててダウンのファスナーを下から上へと引き上げた。紳士の体裁を整えようと手先を闇雲に動かした。途中ダウンの布地が間に挟まって中々ファスナーが上がらない問題が浮上したものの、結局は何とかファスナーを上まで閉め切った。続けてボタンを嵌め終えると辛うじて私は張りぼてだがあの厚着紳士見習いの姿へと復活する事に成功した。  膝の上に置いてあった哀愁のメロンソーダも何となく恥ずかしく邪魔に思えて、隠してしまおうとダウンのポケットの中へとペットボトルを仕舞い込んでいた時、華麗颯爽とロングコートの紺色の裾端が視界の真横に映り込んだ。思わず私は顔を見上げた。顔を上方に上げ過ぎた私は天井の蛍光灯の光を直接見てしまった。眩んだ目を閉じて直ぐにまた開くとプルースト君が真横に厳然と仁王立ちしていた。汗ばんだ蒼白い顔は白い光に包まれてなおのこと白く、紺のコートに包まれた首から上は先程窓から垣間見えた純潔の白い塔そのものだった。神々しくさえあるその立ち姿に畏敬の念を覚え始めた私の横で微塵も表情を崩さないプルースト君は優雅な動作で座席に腰を降ろすとロダンの考える人の様に拳を作った左手に顎を乗せて対岸のホームに、いやおそらくはその先の彼方にある白い塔にじっと厳しい視線を注ぎ始めた。私は期待を裏切らない彼の態度及び所作に感服感激していたが、一方でいつ自分の棄教退転が彼に見破られるかと気が気ではなくダウンジャケットの中は冷や汗で夥しく濡れ湿っていた。  プルースト君が真実の威厳に輝けば輝く程に、その冷たい眼差しの一撃が私を跡形もなく打ち砕くであろう事は否応無しに予想出来る事だった。一刻も早く電車が来て欲しかったが、依然として電車は暫くこの駅にはやって来そうになかった。緊張と沈黙を強いられる時間が二人の座る長椅子周辺を包み込み、その異様な空気を察してか今ではホーム中に人が溢れ返っているのにも関わらず私とプルースト君の周りには誰一人近寄っては来なかった。群衆の騒めきでホーム内は煩いはずなのに不思議と彼らの出す雑音は聞こえなかった。蟻のように蠢く彼らの姿も全く目に入らず、沈黙の静寂の中で私はただプルースト君の一挙手に全神経を注いでいた。  すると不意にプルースト君が私の座る右斜め前に視線を落とした。突然の動きに驚いて気が動転しつつも私も追ってその視線の先に目を遣った。プルースト君は私のダウンジャケットのポケットからはみ出しているメロンソーダの頭部を見ていた。私は愕然たる思いに駆られた。しかし今やどうする事も出来ない。怜悧な思考力と電光石火の直観力を併せ持つ彼ならばすぐにそれが棄教退転の証拠だという事に気が付くだろう。私は半ば観念して恐る恐るプルースト君の横顔を伺った。悪い予感は良く当たると云う。案の定プルースト君の蒼白い顔の口元には哀れみにも似た冷笑が至極鮮明に浮かんでいた。  私はというとそれからもう身を固く縮めて頑なに瞼を閉じる事しか出来なかった。遂に私が厚着紳士道から転がり落ちて軟派な薄着蛮族の一員と成り下がった事を見破られてしまった。卑怯千万な棄教退転者という消す事の出来ない烙印を隣に座る厳然たる厚着紳士に押されてしまった。  白い煙突塔から吐き出された排煙は永久に恥辱の空を漂い続けるのだ。あの笑みはかつて一心同体であった純白の塔から汚れてしまった灰色の煙へと送られた悲しみを押し隠した訣別の笑みだったのだろう。私は彼の隣でこのまま電車が来るのを待ち続ける事が耐えられなくなって来た。私にはプルースト君と同じ電車に乗る資格はもう既に失われているのだった。今すぐにでも立ち上がってそのまま逃げるように駅を出て、家に帰ってポップコーンでも焼け食いしよう、そうして全てを忘却の風に流してしまおう。そう思っていた矢先、隣のプルースト君が何やら慌ただしく動いている気配が伝わってきた。私は薄目を開いた。プルースト君はロングコートのポケットの中から何かを取り出そうとしていた。メロンソーダだった。驚きを隠せない私を尻目にプルースト君は渇き飢えた飼い豚のようにその薄緑色の炭酸ジュースを勢い良く飲み始めた。みるみるとペットボトルの中のメロンソーダが半分以上が無くなった。するとプルースト君は下品極まりないげっぷを数回したかと思うと「暑い、いや暑いなあ」と一人小さく呟いてコートのボタンをそそくさと外し始めた。瞬く間にコートの前門は解放された。中から汚い染みの沢山付着した白いシャツとその白布に包まれただらしのない太鼓腹が堂々と姿を現した。  私は暫くの間呆気に取られていた。しかしすぐに憤然と立ち上がった。長椅子に座ってメロンソーダを飲むかつてプルースト君と言われた汚物を背にしてホームの反対方向へ歩き始めた。出来る限りあの醜悪な棄教退転者から遠く離れたかった。暫く歩いていると、擦れ違う人々の怪訝そうな視線を感じた。自分の顔に哀れな裏切り者に対する軽侮の冷笑が浮かんでいる事に私は気が付いた。  ホームの端に辿り着くと私は視線をホームの対岸にその先の彼方にある白い塔へと注いた。黒雲に覆われた白い塔の陰には在りし日のプルースト君の面影がぼんやりとちらついた。しかしすぐにまた消えて無くなった。暫くすると白い塔さえも風に流れて来た黒雲に掻き消されてしまった。四角い窓枠からは何も見え無くなり、軽薄な人間達の姿と騒めきが壁に包まれたホーム中に充満していった。  言い知れぬ虚無と寂寥が肌身に沁みて私は静かに両の瞳を閉じた。周囲の雑音と共に色々な想念が目まぐるしく心中を通り過ぎて行った。プルースト君の事、厚着紳士で在り続けるという事、メロンソーダ、白い塔…、プルースト君の事。凡そ全てが雲や煙となって無辺の彼方へと押し流されて行った。真夜中と見紛う暗黒に私の全視界は覆われた。  間もなくすると闇の天頂に薄っすらと白い点が浮かんだ。最初は小さく朧げに白く映るだけだった点は徐々に膨張し始めた。同時に目も眩む程に光り輝き始めた。終いには白銀の光を溢れんばかりに湛えた満月並みの大円となった。実際に光は丸い稜線から溢れ始めて、激しい滝のように闇の下へと流れ落ち始めた。天頂から底辺へと一直線に落下する直瀑の白銀滝は段々と野太くなった。反対に大円は徐々に縮小していって再び小さな点へと戻っていった。更にはその点すらも闇に消えて、視界から見え無くなった直後、不意に全ての動きが止まった。  流れ落ちていた白銀滝の軌跡はそのままの光と形に凝固して、寂滅の真空に荘厳な光の巨塔が顕現した。その美々しく神々しい立ち姿に私は息をする事さえも忘れて見入った。最初は塔全体が一つの光源体の様に見えたが、よく目を凝らすと恐ろしく小さい光の結晶が高速で点滅していて、そうした極小微細の光片が寄り集まって一本の巨塔を形成しているのだという事が解った。その光の源が何なのかは判別出来なかったが、それよりも光に隙間無く埋められている塔の外壁の内で唯一不自然に切り取られている黒い正方形の個所がある事が気になった。塔の頂付近にその不可解な切り取り口はあった。怪しみながら私はその内側にじっと視線を集中させた。  徐々に瞳が慣れて来ると暗闇の中に茫漠とした人影の様なものが見え始めた。どうやら黒い正方形は窓枠である事が解った。しかしそれ以上は如何程目を凝らしても人影の相貌は明確にならなかった。ただ私の方を見ているらしい彼が恐ろしい程までに厚着している事だけは解った。あれは幻の厚着紳士なのか。思わず私は手を振ろうとした。しかし紳士という言葉の響きが振りかけた手を虚しく元の位置へと返した。  すると間も無く塔の根本周辺が波を打って揺らぎ始めた。下方からから少しずつ光の塔は崩れて霧散しだした。朦朧と四方へ流れ出した光群は丸く可愛い尻を光らせて夜の河を渡っていく銀蛍のように闇の彼方此方へと思い思いに飛んで行った。瞬く間に百千幾万の光片が暗闇一面を覆い尽くした。  冬の夜空に散りばめられた銀星のように暗闇の満天に煌く光の屑は各々少しずつその輝きと大きさを拡大させていった。間もなく見つめて居られ無い程に白く眩しくなった。耐えられ無くなった私は思わず目を見開いた。するとまた今度は天井の白い蛍光灯の眩しさが瞳を焼いた。いつの間にか自分の顔が斜め上を向いていた��に気が付いた。顔を元の位置に戻すと、焼き付いた白光が徐々に色褪せていった。依然として変わらぬホームの光景と。周囲の雑多なざわめきが目と耳に戻ると、依然として黒雲に覆い隠されている窓枠が目に付いた。すぐにまた私は目を閉じた。暗闇の中をを凝視してつい先程まで輝いていた光の面影を探してみたが、瞼の裏にはただ沈黙が広がるばかりだった。  しかし光り輝く巨塔の幻影は孤高の紳士たる決意を新たに芽生えさせた。私の心中は言い知れない高揚に包まれ始めた。是が非でも守らなければならない厚着矜持信念の実像をこの両の瞳で見た気がした。すると周囲の雑音も不思議と耳に心地よく聞こえ始めた。  『この者達があの神聖な光を見る事は決して無い事だろう。あの光は選ばれた孤高の厚着紳士だけが垣間見る事の出来る祝福の光なのだ。光の巨塔の窓に微かに垣間見えたあの人影はおそらく未来の自分だったのだろう。完全に厚着紳士と化した私が現在の中途半端な私に道を反れることの無いように暗示訓戒していたに違いない。しかしもはや誰に言われなくても私が道を踏み外す事は無い。私の上着のボタンが開かれる事はもう決して無い。あの白い光は私の脳裏に深く焼き付いた』  高揚感は体中の血を上気させて段々と私は喉の渇きを感じ始めた。するとポケットから頭を出したメロンソーダが目に付いた。再び私の心は激しく揺れ動き始めた。  一度は目を逸らし二度目も逸らした。三度目になると私はメロンソーダを凝視していた。しかし迷いを振り払うかの様に視線を逸らすとまたすぐに前を向いた。四度目、私はメロンソーダを手に持っていた。三分の二以上減っていて非常に軽い。しかしまだ三分の一弱は残っている。ペットボトルの底の方で妖しく光る液体の薄緑色は喉の渇き切った私の瞳に避け難く魅惑的に映った。  まあ、喉を潤すぐらいは良いだろう、ダウンの前を開かない限りは。私はそう自分に言い聞かせるとペットボトルの口を開けた。間を置かないで一息にメロンソーダを飲み干した。  飲みかけのメロンソーダは炭酸が抜けきってしつこい程に甘く、更には生ぬるかった。それは紛れも無く堕落の味だった。腐った果実の味だった。私は何とも言えない苦い気持ちと後悔、更には自己嫌悪の念を覚えて早くこの嫌な味を忘れようと盛んに努めた。しかし舌の粘膜に絡み付いた甘さはなかなか消える事が無かった。私はどうしようも無く苛立った。すると突然隣に黒く長い影が映った。プルースト君だった。不意の再再会に思考が停止した私は手に持った空のメロンソーダを隠す事も出来ず、ただ茫然と突っ立っていたが、すぐに自分が手に握るそれがとても恥ずかしい物のように思えて来てメロンソーダを慌ててポケットの中に隠した。しかしプルースト君は私の隠蔽工作を見逃しては居ないようだった。すぐに自分のポケットから飲みかけのメロンソーダを取り出すとプルースト君は旨そうに大きな音を立ててソーダを飲み干した。乾いたゲップの音の響きが消える間もなく、透明になったペットボトルの蓋を華麗優雅な手捌きで閉めるとプルースト君はゆっくりとこちらに視線を向けた。その瞳に浮かんでいたのは紛れもなく同類を見つけた時に浮かぶあの親愛の情だった。  間もなくしてようやく電車が駅にやって来た。プルースト君と私は仲良く同じ車両に乗った。駅に溢れていた乗客達が逃げ場無く鮨詰めにされて居る狭い車内は冷房もまだ付いておらず蒸し暑かった。夥しい汗で額や脇を濡らしたプルースト君の隣で私はゆっくりとダウンのボタンに手を掛けた。視界の端に白い塔の残映が素早く流れ去っていった。
4 notes · View notes
yaouo · 2 years
Photo
Tumblr media
また、たくさんリース立てを作りました。飾りが指定無しだったので前から作ってみようと思っていた #ハシビロコウ を試しに作ってみました。後は #星 、 #雪の結晶 、 #サンタ 、 #セキセイインコ です。 最近注文溜まってきていて、せっせと作っていたら、いつのまにか覚王山秋祭も終わってました。あと揚輝荘での展示に少し作品飾らせてもらっています。入場料300円かかりますが建物自体も面白いのでもし良かったら覗いてみてください。 まだ注文たくさん残っているので、頑張って作ります。 #yaouo #針金細工八百魚 #ワイヤークラフト #覚王山アパート #針金一本作り #一筆書き (針金細工八百魚) https://www.instagram.com/p/Ck0j5yRv7e4/?igshid=NGJjMDIxMWI=
0 notes
sorairono-neko · 4 years
Text
Love Mode
 ヴィクトルの演技を、勇利はもう何十回も見直していた。幼いころから、ヴィクトルの踊っているところは夢中で見ていたし、姉に「またなの?」とあきれられるほどくり返し再生したけれど、これは特別だった。だってヴィクトルの復帰試合なのだ。ヴィクトルは長いあいだ、勇利のコーチとして働き、競技のほうは休養していたのである。もちろんそのあいだ、ヴィクトルがまったくすべっていなかったというわけではない。勇利と一緒にいつも氷にのっていた。しかしそれはあくまで勇利のためで、試合に出ることを考えた真剣な練習ではない。ときおり、思い出したように過去のプログラムを演じて見せてくれたけれど、それだけのことだ。たとえば勇利がその程度の稽古で試合に出ろと言われたら、きわめてみじめな結果になるだろう。それなのにヴィクトルは、ロシア選手権で、これまでとはまるでちがう、これまで以上のすばらしい演技をして見せたのだ。その復帰試合の映像を初めて目にしたとき、勇利は、ヴィクトルはこんなにうつくしいんだ、と思い、頬には知らず知��ずのうちに涙が流れた。  それからは、寝てもさめてもヴィクトルのことばかり考えた。あんなに神々しい演技、あれほどのことができるヴィクトル、なんてすばらしいんだろう、なんてすてきなんだろう、とそればかりだった。ヴィクトルが自分のコーチだということも勇利は思い出せなかったくらいだ。とにかく氷上のヴィクトルに夢中で、ほかのことは考えられなかった。表彰台のヴィクトルが、気取ったしぐさで金メダルにキスしたとき、勇利は、ああ、この光景がまた見られるんだ、とそのことにも泣いてしまった。どうしようもなくヴィクトルのことが好きで、ヴィクトルのことだけを想い、ヴィクトルしか目に入らなかった。 「ヴィクトル、かっこよか……」  ああ、ヴィクトル。ヴィクトルの試合が見たい。彼の姿を瞳に直接焼き付けたい。これまで以上にうつくしく、華麗で荘厳なヴィクトルの演技。神々しいほどのプログラム。皇帝の名にふさわしいあの威厳。すべてを肌で感じたい。 「ヴィクトルを見たい……」  そうつぶやいた瞬間、勇利はもう立ち上がっていた。彼はバックパックに必要なものをつめこみ、「しばらく帰ってこないから!」と家族に声をかけて家を飛び出した。電車に飛び乗り、移動しながらすべての手配を済ませた。勇利はのんびりしているように見えるかもしれないけれど、やるときは熱中する性質なので、あっという間にチェコはオストラウにたどり着いていた。それはヨーロッパ選手権が開催される地だった。雪がひどかったので、ちゃんと飛行機が着陸できるか心配だったのだが、それほど待つこともなく望み通りオストラウの地を踏みしめることができた。 「さむっ……」  外へ出た勇利は、ニット帽をかぶり直し、下げていたマスクを鼻の上まで引き上げて身をふるわせた。眼鏡がすこし曇った。 「えっと……」  とりあえずホテルへ向かった。荷物を置いたら散策しようと思っていたけれど、それどころではなかった。時差に勇利はまいってしまったのだ。バルセロナに行ったときもそうだったが、差が八時間あると体内時計は狂ってしまう。チェコと日本の時差は、スペインと日本のそれと同じである。 「あー、だめ……」  勇利は早々にベッドにもぐりこみ、深く眠った。目ざめる前に夢を見た。ヴィクトルが出てきた。彼は氷の上で優雅に舞っており、勇利は客席から彼をうっとりとみつめているのだ。ヴィクトル、かっこよか、と感激したところで目がさめた。 「いい夢だった……」  勇利はふわっと笑ってつぶやいた。これは正夢だ。もうすぐヴィクトルを見ることができるのだ。  食事を済ませてから、持ってきた雑誌をひろげた。それはフィギュアスケート雑誌の最新号で、ヴィクトルの記事がたっぷりと掲載されていた。もともと世界的に有名なヴィクトル・ニキフォロフだが、彼は日本の勝生勇利のコーチでもあるので、このところ、日本ではますます知名度が上がっているのだ。勇利は、勝生勇利のおかげでヴィクトルの記事が増える、と感謝した。 「あ、勝生勇利ってぼくだ」  それはともかく、勇利は雑誌を読み耽り、満足してから再び眠りについた。  翌日は、道に迷いながら、雪の中を一生懸命会場へ向かった。今日は男子のショートプログラムがある。しかし、勇利の目当てはそれだけではない。 「ヴィクトルー!」 「クリス!」 「エミル!」 「ユーラチカー!」  黄色い声援が飛び交う中、選手たちが会場入りする。もちろん勇利も大勢のファンに紛れこんでその様子を見学した。ものすごい揉み合いである。ファンとしてこういう場に参加するのは、じつは勇利は初めてではないのだけれど、過去にないほど活気にあふれていた。それだけヴィクトルの復帰をみんなが待ちわびていたということだろう。よくチケット取れたなあ、と勇利は息をついた。開催地がチェコだからよかったのかもしれない。ロシアでは無理だっただろう。確か来年はモスクワで開催だ。次はチケット争奪戦だぞ……と勇利は気を引き締めた。  ヴィクトル、ヴィクトル、と呼ぶ声が多かった。勇利も一緒になって叫んだ。 「ヴィクトル、かっこよかー!」  日本語で言った。ものすごく気持ちよかった。すると、戸口の前でヴィクトルが立ち止まり、振り返ったからどきっとした。でも、もちろん勇利の声が聞こえたわけではないだろう。彼はかけていたサングラスを外すと、にっこり笑い、片目を閉じて愛嬌を振りまいた。悲鳴と歓声が上がる。勇利も両手を握り合わせて、みんなと一緒に「きゃー!」と叫んだ。ヴィクトルのファンでいられるって最高……。  ヴィクトルが笑顔で手を振って中へ入っていく。勇利はいつまでも彼の消えた扉をみつめていた。ヴィクトルだ……。なんだか泣きそうだった。かっこいい。すごくかっこいい。ぼくの神様。王子様。 「あなたもヴィクトルのファンなの?」  隣にいた女の子が話しかけてきた。金髪でそばかすのある、気のよさそうな少女だった。癖のある英語を話す。 「うん、そうだよ」  勇利は興奮気味に答えた。 「男の子でも彼の魅力がわかるのね。当然よね。かっこいいわよね、彼!」 「うん! ぞくぞくきちゃう! 最高!」 「ああ、ヴィクトルにほほえみかけられたいわ。ちょっとでもいいから話したいわ。彼、去年、自分の生徒にリンクでキスしたのよ。見た? すごいわよね。ユーリ・カツキって選手。知ってる?」 「知ってる。うらやましいよね!」 「みんなは、あれはしてない、ぎりぎりだ、とか言ってたけど、私はしてると思うわ。あなたは?」 「ぼくもそう思う!」  会場に入り、客席に腰を下ろした勇利は、もう完全にのぼせ上がってしまっており、あとでいくら思い出そうとしても、ヴィクトルが登場するまでの記憶がなかった。ヴィクトルがもうすぐすべる、それを見られる、ぼくが、ぼくがこの目で、と思うと全身がふるえるほどだった。勇利の頭の中はヴィクトルでいっぱいだったのだ。ヴィクトルの滑走順は最後で、彼がリンクサイドに姿を現したとき、勇利は興奮のあまり泣き出してしまった。 「ちょっと、大丈夫?」  隣にいた女性に心配された。 「だ、大丈夫です……問題ありません……」 「ヴィクトルを見に来たの?」 「はい……」 「わかるわ。そうなるわよね。ロシア選手権の演技もすごかったわよね」  勇利は、ヴィクトルのロシア選手権の演技がどれほどすばらしかったかを演説したかったけれど、ヴィクトルを見るのに夢中でものが言えなかった。  前の選手の演技が終わり、ヴィクトルが氷にのる。地響きのような歓声が上がった。勇利も喉を嗄らして「ヴィクトル!」と叫んだ。ヴィクトルがコーチと何か話している。彼はまったく緊張しているようには見えなかった。微笑さえ浮かべ、くつろいだ様子でうなずいていた。ヤコフが何か言いかけるのを、「わかったわかった」というように愛嬌のあるしぐさで遮ったのでみんなが笑った。 「はあ……ヴィクトル、かっこよか……演技前でもぜんぜん緊張しとらん……さすがヴィクトルばい……」  ヴィクトルの名前が読み上げられ、彼は歓声に応えながらリンクの中央へ向かった。勇利は再び涙ぐんでいた。両手をかたくかたく握り合わせ、ヴィクトルの一挙手一投足を見守る。スタートポジションについたヴィクトルは、目を伏せ、優しいまなざしでみずからの手を見た。何をしているのだろう? 勇利は首をかしげた。ヴィクトルのルーティンにこういうものはなかったはずだけれど。 「指輪を見てる」  隣の女性がつぶやいた。勇利は瞬いたが、その瞬間、ヴィクトルが静止し、わずかな間のあと、音楽が流れ出した。ヴィクトルがなめらかにすべり始める。  それからの約一分半は、勇利にとって目がくらむほどの陶酔の時間だった。勇利は、ぼくはあの一分半のために生まれてきたのではないかとあとになって思った。それほど濃密で、息もできないほどうつくしく、崇高な時だった。勇利は夢見るような瞳でヴィクトルの姿を追い続けた。釘付けだった。  ヴィクトルの演技が終わった瞬間、勇利は勢いよく立ち上がって思い切り手を叩いた。もちろん、まわりの観客もそうしていた。数々の花束がリンクに投げこまれる。そこで勇利はようやく気がついた。花を支度していない。そんなことも思いつけないほど、勇利の頭の中はヴィクトルでいっぱいだったのだ。  ヴィクトルが丁寧な挨拶をし、ぬいぐるみをひとつ拾った。まわりの女性が「かわいい!」と叫んだ。プードルのぬいぐるみだ。マッカチンだ、と勇利はにこにこした。  キスアンドクライで、ヴィクトルはマッカチンのぬいぐるみを膝に置き、マッカチンのティッシュカバーの奥からティッシュペーパーを引き出した。あのカバーはいまぼくのところにあるはずなのに、と勇利は思い、ヴィクトル、マッカチンたくさん持ってるんだなあ、とほわっとした感情をおぼえた。ヴィクトルが手を振ってから鼻をかんだ。さすがヴィクトル、鼻をかむ姿もかっこよか……。  ヴィクトルの得点が出た。二位を大きく引き離して、いちばんだった。勇利は当然だと思いながらも、歓喜の悲鳴をまわりのみんなと一緒に上げた。ヴィクトルは笑みを浮かべ、うんうんとうなずいた。ヤコフが何か言っている。ヴィクトルは怒られているのだろうか? どこがいけなかったのか、勇利には想像もつかなかった。ていうか、ヴィクトル、パーソナルベスト更新してもいいんじゃないの? 採点員はわかってないな!  そのあと、どうやってホテルへ戻ったのかよくおぼえていない。とにかく気持ちがふわふわと浮ついて、夢見ごこちだった。興奮で食事が喉を通らなかった。  ああ、ヴィクトル……。  かっこよかった……。  すごかった……。 「……ヴィクトル」  勇利はベッドの上を転げまわり、ヴィクトルのすばらしい演技に思いをめぐらせた。指先の繊細な動き、視線の使い方、思いのこもった表情、身体のしなり、音楽のとらえ方、そしてジ��ンプの入り方、着氷――何もかもが完璧だった。八ヶ月もやすんでいたとは思えない。ヴィクトル・ニキフォロフは絶対王者だというのが演技から伝わってきた。これが最高ではない。もっともっと、今後、どんどん彼のすばらしさがあますところなく発揮される。そんな予感をおぼえるプログラムだった。 「ああ、ヴィクトル、ヴィクトル、ヴィクトル……」  勇利は幾度も吐息を漏らした。頬は紅潮し、ちょっとしたことで目がうるんでしまう。 「ヴィクトル、好き、好き好き……」  その夜は、ヴィクトルの比類ない姿を思い浮かべながら眠りについた。勇利はしあわせだった。  翌日はシングル男子の試合はなかったので、勇利は一日ホテルにこもって過ごした。雪がひどく、外は寒そうだったけれど、そんなことは頭になかった。勇利は退屈しなかった。彼は両手を組み合わせ、ぼんやりと視線を宙に投げ、うっとりした表情で昨日のヴィクトルの演技を思い出していた。そうしているだけで時間は飛ぶように過ぎた。ときおりは、会場入りするときのヴィクトルを思い浮かべた。スケートをしていないおりでも彼は優雅な身のこなしをしており、すばらしく洗練された物腰でふるまうのだ。振り返り方、そのときの髪の揺れ方、サングラスを取るときの手つき、片目を閉じる上品さ――、どれをとっても文句のつけようがない。勇利は上気させた頬に手を当て、「ヴィクトル……」と幾度もつぶやいた。彼は恋に落ちた乙女のようだった。  夜になると勇利は、明日のフリースケーティングに備え、早めにやすんだ。翌朝はきちんと朝食をとり、心構えをしっかりした。万全の体調でヴィクトルを見るのだと彼は意気込んでいた。ああ、またヴィクトルに会える、彼の姿を目に焼き付けることができる――そう思うと勇利はこれまでにないほど気持ちが高揚した。  もちろん、今日もヴィクトルの会場入りを見守った。勇利はもみくちゃにされながら、大勢のファンに交じって声を張り上げた。 「ヴィクトル、ヴィクトル、かっこいい! ヴィクトル、ショート最高だった。ヴィクトル好き! 大好き!」  ヴィクトルは親切にファンたちを振り返り、にっこり笑って手を振った。勇利は思わず隣にいた少女に話しかけてしまった。 「見た? 見た? いまのヴィクトル見た!? クッソかっこいい!!」 「見た! ほんとかっこいい!」  ほかの者たちも同意した。ファンのこころはひとつだった。 「すごいわよね、ヴィクトルと普通に話せる人もこの世に存在するんだもんね」 「ほんとにね! ヴィクトルを目の前にして落ち着いてられるってどういう人間なんだろう。もう、信じられないよ! ぼくだったら絶対興奮して頭が変になっちゃう!」  勇利はこぶしを握って力説した。  先日もそうだったけれど、勇利は客席で、まわりを見まわす余裕もなかった。ただヴィクトルの出番を待ちわび、彼の姿を望んだ。精神状態がおかしくなっているんじゃ、と自分で疑ったので、とにかく深呼吸をして気持ちを鎮めた。ヴィクトルの演技前に倒れて医務室へ運びこまれる、なんていう事態は絶対に避けなければならない。落ち着け、落ち着け。  ヴィクトルは今日も最終滑走だった。彼がリンクサイドにやってくると、勇利は目をきらきらと輝かせ、じっと見入った。眼鏡を押し上げて、最適な位置にレンズを動かすことも忘れない。眼鏡の度���を変えておけばよかったかな? そんなこと、いま考えても仕方がない。ヴィクトルだ。ああ、ヴィクトルだ! 「ヴィクトルー! ダバーイ!!」  ヴィクトルがスタートポジションへ向かってすべり出すと、勇利は声を限りに叫んだ。うつくしい衣装の裾がひらりと翻る。勇利はヴィクトルのこの衣装が大好きだった。色といい、デザインといい、完璧だ。いかにも気高く、皇帝にふさわしい。昨季から着用しているものなので、勇利はヴィクトルが衣装を変えてしまうのではないかと心配していたのだ。ヴィクトルのことだから、どんなものでもうつくしく着こなすだろうけれど、しかし勇利はこれがよかった。作製の時間がないからか、それともヴィクトル自身も気に入っているのか、彼がロシア選手権でこの衣装をまとって現れたときは、少なからず感激した。これを着こなせるのはヴィクトルしかいない、と思った。  ヴィクトルが静止した。彼はふうっと息をつくと、右手を持ち上げ、そっと薬指にはめた金色の指輪に接吻した。観客がどよめき、勇利も陶酔したようにそのしぐさをみつめた。  ヴィクトル、かっこよか……。  金メダルにするときもそうだが、ヴィクトルは、キスという動作が本当に似合うのである。  ヴィクトルが優しいまなざしで指輪をみつめ、ゆっくりと手を下ろした。ひと呼吸おいたあと、アリアの叙情的な旋律がささやくように流れ出る。それに乗って、なめらかにヴィクトルがすべり始める――。  勇利はほうっと溜息をついた。なんてうつくしいのだろう。この世のものとは思えない。「離れずにそばにいて」。昨季からのプログラムである。しかし勇利は、それが新鮮さをともなってこころに迫ってくるのを感じた。ちっとも見慣れたという気がしない。ヴィクトルはいつだって新しい感性をくれる。去年までのヴィクトルとぜんぜんちがう。あのときもすてきだったけれど、いまはもっと――もっと――ああ、言葉にできない!  ヴィクトルはほほえみさえ浮かべて踊っていた。「とんでもない鬼プロ」とスケート仲間のあいだでささやかれるそれを、甘く魅惑的に。舞いを見ているかのようだ。そうして人々を惹きつけておいて、難しいジャンプを鋭く跳ぶのである。はっとめざめさせられる。  ヴィクトル、貴方はなんて綺麗で威厳があるのでしょう。ぼくはもう、貴方にすべてを捧げたくなる。ううん、でも、そんなふうに考えることさえ畏れ多い――。  勇利はつぶらな瞳を大きくみはり、くちびるをわずかにひらいてヴィクトルに見蕩れていた。ヴィクトルが最後に両手を肩に添え、天を仰いだとき、勇利の瞳からは大粒の涙があふれた。 「ヴィクトル……」  しかしヴィクトルの姿を見逃すわけにはいかない。勇利は急いで眼鏡を上げ、手の甲で目元をこすると、風格のある長身に目をこらした。ヴィクトルは両手を下ろしたあと、右手だけをすっと上げ、最初と同じように指輪にうやうやしくくちづけした。それから笑顔で手を振った。彼は丁寧な挨拶を幾度もした。勇利は立ち上がり、てのひらが痛くなるほど拍手した。ヴィクトルはリンクの出口へ向かう途中、ふと視線をめぐらせ、ひとつのぬいぐるみへ寄っていった。マッカチンかな、と思った勇利は大きく瞬いた。思わずつぶやいた。 「あのぬいぐるみ、なに?」  勇利のちいさな声を聞き取った隣の観客が答えた。 「ユーリ・カツキよ! 手作りみたいね。『エロス』の衣装着てる。かわいい!」  ああ、なるほど。ユーリ・カツキか……。ヴィクトルの生徒のぬいぐるみを誰かが気遣って投げ入れたのだ、と勇利は納得した。ヴィクトルうれしそう。よっぽど自分の生徒が好きなんだね……。  キスアンドクライに座ったヴィクトルは、ぬいぐるみの手を取り、左右に振ってにこにこ笑っていた。勇利は、ヴィクトルが歴代最高得点を塗り替えるのではないかと考えた。胸がどきどきした。勇利は瞳を輝かせながら採点を待った。  会場の大型モニタに、ヴィクトルが足元にあるモニタをみつめる光景が映し出されている。結果を知らせるアナウンスが流れた。歓声が上がった。「Rank1」という文字が映し出される。ヴィクトルが金メダルだ。  予想していたことなのに、勇利はたまらなくうれしくてまた泣いてしまった。歴代最高得点は更新できなかった。しかしヴィクトルならそのうち抜いてくれるだろう。とにかくヴィクトルは最高だった。  表彰式のあいだも、勇利はずっと夢見ごこちだった。さらにその気分は続いた。翌日のエキシビションで、ヴィクトルはなんと勝生勇利のショートプログラム「エロス」を披露したのだ。これには会場じゅうが悲鳴を漏らした。勇利は両手を頬に当て、歓声を上げっぱなしだった。ヴィクトルかっこいい、と瞳は常にうるんでいた。勝生勇利の見せる誘う駆け引きとはちがう、まるで最初から「おまえは俺を愛してるだろう?」と魅了するような「エロス」だった。さあおいで。そんな目をするなら抱いてあげるよ。その代わり、忘れられなくなっても知らないよ。――そうして惹きこまれた。勇利はふるふるとふるえながら、「抱いてください……」とつぶやいてしまった。日本語だったので誰にもわからなかっただろうけれど、もし通じる者がいたとしても問題はなかっただろう。なぜなら、会場じゅうがそんな感情でいっぱいだったからである。勇利は、「ヴィクトル、ぼくを抱いてー!」と今度は叫んだ。  勇利はみちたり、これ以上ない幸福感を抱いてホテルへ戻った。彼は何をするにもヴィクトルのことを考え、ヴィクトルの圧倒的に男っぽい微笑、なまめかしい指先、そして胸がずきずきするほどのつやっぽさと色気を思い起こしては涙を流して時間を過ごした。人間が暮らしをいとなむために必要なこともするにはしたけれど、食事も入浴もすべて上の空だった。勇利は自分が何を食べたか思い出せなかった。  ベッドにもぐりこんだ勇利は、来てよかった、とこころからの満足を感じていた。これで明日からまた生きていける。ヴィクトルがいればこの世界は輝くし、勇利の人生はばら色だ。  翌朝勇利は上機嫌でホテルをチェックアウトし、空港へ向かおうとした。しかし、ものすごい吹雪に遭い、行き倒れそうになった。そのときもまだ勇利はヴィクトルのすべてにこころを奪われていたので、まるで理解していなかったのだけれど、交通機関は麻痺し、道をゆく人はまったくいない状態だった。さすがに生命の危機を感じたとき、ようやく勇利は我に返り、このままではまずい、と青ざめた。これではきっと飛行機は飛ばないだろう。そもそも空港にたどり着けないし、あたたかいところへ避難しなければ大変なことになる。  勇利はホテルへ引き返そうとした。しかし、ずいぶん歩いてきてしまったので、とても帰れそうになかった。どうしよう?  そういえば、もう一軒ホテルがあった、と思い出した。そちらのほうが都合がよかったのだけれど、泊まり賃が高くて断念したのである。だが、いまはそんなことは言っていられない。ここからならたどり着けるはずだ。勇利はふらふらしながら記憶を頼りに道を曲がった。  雪にまみれ、ほとんど雪だるまになって、勇利はようやくホテルにたどり着いた。泊まっていたところより豪華なつくりにいくらか気後れしたけれどどうしようもない。とりあえず部屋が空いてるか訊いて……と中へ入ろうとしたとき、ちょうど出てきた宿泊客にぶつかってしまった。 「あ、ごめんなさい……」  勇利はしりもちをつき、ずれた眼鏡に手をやった。 「こちらこそ。失礼」  長身の男性が言った。勇利は曇った眼鏡越しに相手を見たが、その瞬間、一気にのぼせ上がった。  ヴィクトルだ! 「えっ、あ、あ、えっ、えっ、なっ……」  まともにしゃべれなくなってしまった。こんなところにヴィクトルがいるなんて! 信じられない。ここは選手が泊まるホテルだったのだろうか? 勇利はそこまでは知らなかった。なんという幸運。でもいま自分は、甚だしくみっともない姿をしているのである。勇利は急に気恥ずかしくなった。なんだこの垢抜けない貧しそうな子どもは、と思われたかもしれない。サインが欲しいけれど、そんなことを言っている場合ではない。 「あ、うんと、ヴィ、ヴィクトル、え、えっと、や……」  しどろもどろになった勇利をヴィクトルは助け起こし、それからぱちりと瞬いた。彼は大きく目をみひらき、どうして、というようにつぶやいた。 「勇利……?」 「えっ」  そこでようやく勇利は、自分がヴィクトルの生徒なのだということを思い出した。いや――もちろんそれは事実として頭の片隅にあったのだけれど、勇利はひと月ほどずっとひとりで練習していたし、そのあいだ、ヴィクトルのことを画面越しにしか見ていなかったし、オストラウに来てからはファンとしての感情しかなかったしで、そういう心構えが吹き飛んでしまっていたのだ。 「す、すみませんでした!」  勇利は反射的に逃げ出そうとした。なぜかはわからないけれど、自分の存在をヴィクトルに知られたくない、と思った。たぶん、練習もせずにこんなところにいることとか、そこまでしたかったファン心理とか、それを気持ち悪いやつだと思われるのではないかとか、そんなことが心配だったのだろう。勇利はヴィクトルにくるりと背を向け、重厚な扉を押し開けて外へ飛び出した。 「わっ」  雪に足を取られて勢いよく転んだ。勇利は雪につっぷした。 「勇利!」  ヴィクトルが慌てて出てきて勇利を抱き起こした。 「大丈夫かい? 急に外へ出るから……」  どこも痛くなかった。そんなことよりヴィクトルから逃げ出したかった。勇利はまっかになり、マスクを引き上げ、マフラーに顔をうめるようにしてうつむいた。 「ぼ、ぼくは勝生勇利ではありません」 「え?」 「人違いです。失礼します」 「あ、ちょっと」 「さよなら!」 「勇利!」  勇利は立ち上がり、よろよろと駆け出した。幸い、風はよわまり、雪もさっきほど降っていなかった。これなら前も見えるし歩ける。もとのホテルへ戻れそうだ。勇利は雪の深さに不自由しながら、脇目もふらず歩いた。とにかく安全な場所へ行きたかった。この寒さがなく、ヴィクトルもいないところへ。 「はあ、はあ」  息を弾ませつつ、ようやく目当てのホテルへたどり着く。一時間ほど前に出たばかりの建物なのに、ひどくなつかしく感じた。とにかく疲れた。もう一泊できるか訊かなければ。ロビーには人が多い。勇利のように予定の狂った旅行客だろう。泊まれるだろうか、と不安になった。扉の前で雪を払い落とし、ふらふらしながら受付へ行こうとしたとき――。 「勇利」  やわらかくて艶のある声にはっきりと呼ばれ、勇利は飛び上がった。おそるおそる振り返ると、観葉植物の陰にヴィクトルがいて、腕を組み、にこにこしながら勇利を見ていた。 「やあ。ひどいな。なぜさっきは逃げ出したりしたんだい?」 「あ、あの……」  勇利は青ざめた。どうしてここに? なんで? なぜ勇利の居場所がわかったのかも不思議だし、勇利よりさきにたどり着いているのもおそろしい。 「ぼ、ぼくは勝生勇利ではありません……」  勇利はちいさな声で反論した。ヴィクトルがおおげさに目をみひらく。 「勝生勇利じゃないだって?」 「は、はい……」 「この俺を置いてきぼりにするなんて、そんなこと、この世界で勝生勇利しかしないはずなんだけどね」  ヴィクトルはつかつかと歩み寄ってきた。勇利はうろたえ、ヴィクトルは勇利の手首をしっかりとつかんだ。もう一方の手でマスクとマフラーを下ろし、ニット帽も取ってしまう。 「ああ、やっぱり俺の勇利だ。こんなにかわいい子は俺の生徒しかいないよ。きみは勝生勇利だよ」 「い、いえ、あの……」 「で、俺の最愛の生徒がなんでこんなところにいるんだろうね? 俺のいとしい勇利はいまごろ日本の長谷津にいて、四大陸選手権のために練習をしているはずなんだけど。俺は夢を見ているのかな?」 「えっと……」 「まあいい。話は部屋で聞くよ。こんなところで言いあっていても仕方がない。おいで」 「えっ」 「こっちだ。勇利が逃げたりするから手間がかかるじゃないか。雪が激しくなったら移動できなくなるよ。早く」 「ぼ、ぼくはここに泊まるんです」 「残念ながら部屋は空いてないそうだよ。俺のところへおいで」 「でも……」 「野宿する気かい? 来るんだ」  勇利はヴィクトルに手を取られ、ふらふらしながらついていった。部屋が空いていない? 本当だろうか? しかし、どちらでも同じことだ。ヴィクトルにみつかってしまった以上、もう事態は勇利の思うようにならないのだ。  勇利は再び外へひっぱり出され、ヴィクトルのホテルへ連行された。ヴィクトルは受付でもうひとり泊まることを伝え、そのぶんの金額を支払った。 「ヴィクトル、ぼく、自分で払います」 「そんなことはいいからおいで。寒いだろう。俺のところはダブルだから問題ないよ。もともともう一泊する予定だったんだ。ちょうどよかった。明日にはこの天候もおさまるといいね。ちなみに、俺が勇利のホテルへ行けたのは、ここからいちばん近いホテルを考えて見当をつけたからで、きみより早くたどり着けたのは、俺がきみよりこのあたりの道を知っていたからというだけの理由だよ」  勇利はヴィクトルの���屋へ連れていかれた。勇利としては、引き立てられるという気持ちだった。ヴィクトルの部屋はそれほどひろくはなかったけれど、寝台が大きく、そして、枕元にぬいぐるみが置いてあった。マッカチンと、「エロス」の衣装を着た勝生勇利だった。 「さあ、服を脱いで。濡れただろう。着替えはある?」 「あ、あります」  本当に少ない荷物で来たから、それはすでに着た服だった。しかしほかに乾いているものはないし、どうしようもないので勇利はうなずいた。ヴィクトルはすこし考え、自分のトランクの中から清潔なジャージを取り出し、勇利に手渡した。 「これを着るといい」 「あの、結構です。悪いから……」 「いいから着て。下着は……」 「あっ、下着はいいです。あります」  前夜、入浴したときに手洗いして干しておいたのだ。勇利が慌てて手を振ると、ヴィクトルはふっと笑い、「じゃあ浴室を使って」と扉を示した。 「あの……」 「なんだい?」 「……すみません」 「いいよ。早く入って。試合前に風邪をひいたら大変だ。試合前じゃなくても大変だけどね」  勇利はおずおずと浴室へ行き、そこで熱いシャワーを浴びた。ああどうしよう、と頭の中はそればかりだった。ヴィクトルと会ってしまった。怒ってるかな? でもそんなことより、ヴィクトルはあのヴィクトル・ニキフォロフなのだ。どうしよう。どうしよう。どうしよう……。  ほかほかとあたたまった身体で部屋のほうへ行くと、ヴィクトルが窓際のテーブルで紅茶を飲んでいるところだった。 「おいで」  ヴィクトルがほほえんだ。勇利はぽーっとなった。遠慮がちにそちらへ行き、彼の前にちょこんと腰を下ろした。 「服、ありがとうございます」  ヴィクトルのジャージは勇利にはすこし大きかった。そしてよい匂いがした。ぼく、ヴィクトルのジャージ着てる……と勇利は興奮ぎみだった。  ヴィクトルは勇利のために、優雅な手つきでカップに紅茶をついだ。勇利は低い声で礼を言ってそれを飲んだ。 「さてと……」  ヴィクトルはソファの背もたれにもたれ、脚を高々と組んで勇利を打ち眺めた。勇利は赤くなって目を伏せた。ヴィクトル、かっこよか……試合でもかっこよかったけど、いまも……。 「説明してもらえるかな」 「え?」 「どうして勇利がこんなところにいるんだろう? 俺はびっくりしたんだよ。思いがけず勇利に会えてとてもうれしい。でもかなり混乱している。だから話して欲しい。どうして勇利はここにいるんだ?」 「え、えっと、あの、ぼく……」  何か言わなければ。ヴィクトルが説明を求めている。話さなければ。そう思うのに、勇利の舌はいっこうに動いてくれなかった。目の前にヴィクトルがいるのだ。あのヴィクトル・ニキフォロフが。あれほどのすばらしい、感動的な、たぐいまれな演技をしたヴィクトルが。勇利は喜びと興奮とで気持ちが高揚し、口が利けなかった。その代わり、どんどん頬が紅潮してくる。さっきまで雪にまみれて凍えていたのに、熱い湯を使ったり紅茶を飲んだりしたからではなく、内側から熱があふれてくるようだった。 「勇利? どうしたんだ?」 「…………」 「なんだい? そんなにじっと見て。きみは……」 「ヴィ、ヴィクトル」  勇利の口がようやく動いた。話せるとなると、勇利は一気に語り始めた。とめどなく言葉があふれた。 「あの、あの、ぼく、ヴィクトルの試合見ました。演技、見ました!」 「え?」 「すごかったです。すばらしかったです。気品高いヴィクトルの演技……、最高でした。泣きました。あの、上手く言えないんですけど、本当に感激しました。貴方が氷の上に戻ってきてくれてうれしいです。また貴方のスケートが見られると思うと、ぼくは喜びで胸が苦しくなります」 「……勇利?」 「かっこよかったです。綺麗でした。うつくしかった。すみません、月並みな言葉しか出てこなくて……ちょっといまぼく、とりみだしてて……。あのヴィクトルに会えるなんて思っていなかったし」 「…………」 「会場入りする貴方を待ってました。みんなに笑顔を振りまいてくれてうれしかった。どきどきしました。ヴィクトルはやっぱりファンに優しいなあって、ファン同士で盛り上がりました。みんな、貴方のことを偉大だって言ってました」 「…………」 「エキシビションも見ました。気高くて、崇高で、それから大人っぽくて、すっごくエロスで……ぞくぞくしました。抱いてあげるって言われてるみたいでした。ぼく、ヴィクトル、抱いて! って思いました。ホテルへ戻ってからもずっと、寝てもさめても貴方のことを想っていました」 「…………」 「来てよかったです。ありがとうございます。ヴィクトルが復帰してくれて本当にうれしい。それで、あの、ぼくずうずうしいと思うんですけど、いままでこんなこと言ったことないし、近づくのも無理だったんですけど、もうここまで来てしまったので、恥知らずだけどおねがいしてしまいます。よかったら、あの、あの……」  勇利はバックパックを探り、いつも持ち歩いているおぼえ書き用の大切なノートを取り出した。 「サインください!」 「…………」  ヴィクトルは黙って勇利をみつめていた。彼は静かにノートを受け取ると、新しいページを出し、ペンでさらさらと名前を書いた。 「宛名入れるの?」 「で、できれば……! あの、ぼく勝生勇利っていいます」  ヴィクトルは微笑を浮かべながら、「かわいらしい俺の勇利へ」と宛名を入れ、そのページを勇利のほうへ向けて差し出した。勇利はふるえる手でノートを引き取ると、胸に抱きしめ、泣きそうになりながらつぶやいた。 「ありがとうございます。宝物にします……!」 「どういたしまして」  にっこり笑ったヴィクトルはペンを置き、頬杖をついてからかうように言った。 「……��? つまり勇利は、ロシア選手権の俺の演技を見て気持ちが高揚し、いてもたってもいられなくなってヨーロッパ選手権を観戦しに来たということなのかい?」 「えっ……、は、はい、そうです」 「俺の演技を自分の目で見るまでは落ち着いて練習もできないと」 「は、はい」 「見ることさえできれば四大陸選手権に集中できるし、勉強にも、力にもなるからと」 「はい……」 「俺に連絡したら怒られるから、こっそり来たと」 「こっそりというか……そういうこと考えてなくて……」 「なるほど」  ヴィクトルはゆっくりとうなずいた。 「かわいいね……、勇利」 「あ、あの、ヴィクトル」 「なんだい?」 「訊いてもいいですか? ヴィクトルの演技、昨季とぜんぜんちがったんですけど、今回の心構えとか意識とか」 「おやおや。だんだんファン式からいつもの遠慮のない勝生勇利式に変わってきたな」 「あとジャンプ構成が……」 「あのかっこうでファンにまぎれこまれたら、さすがに俺も勇利だとはわからないよ。試合用の姿で来てくれたらよかったのに。でもね、おやっとは思ったんだ。なんとなく勇利の声が聞こえた気がしたんだよ。あまりにもおまえを恋しがっているから幻聴が聞こえるんだと思ったけどね。勇利、きみ、俺の演技前に『ダバーイ』と叫んだね」 「えっ」 「『エロス』はきみへ向けて踊ったプログラムだよ。抱いて欲しくなった? オーケィ。きみの解釈でまちがいない」 「あ、あの、ヴィクトル……?」  ヴィクトルは立ち上がると、勇利の手を取り、うやうやしく、しかし強引にベッドへ案内した。 「何を……」  押し倒され、勇利はとりみだした。ヴィクトル何なの!? 何しようとしてるの!? 「ファ、ファンにこんなこと……」 「まだそんなことを言ってるのか。皇帝ヴィクトル・ニキフォロフの魔法にかかっているようだね。俺がその魔術をといてあげよう」 「ちょ、ちょっとヴィクトル――」 「勇利……、会いたかったよ。あとで金メダルにキスさせてあげる。いまは俺にキスをして」 「あっ……」 「信じられない!」  身体のけだるさからようやくさめた勇利は、頬をふくらませて文句を言った。ヴィクトルは勇利に腕枕をし、のんびりと笑っている。 「なんでえっちなことなんてするの!? ぼくはヴィクトルの演技に本当に感動してたんだよ!」 「演技に感動することとセックスに感激することは相反しない」 「べつに感激なんてしてませんから!」 「いやだった?」 「……いやじゃないけど」  勇利がヴィクトルの胸に顔をうめて甘えると、ヴィクトルは陽気に笑って勇利の髪を撫で、耳元にささやいた。 「魔法がとけたようだね」 「う……」  ヴィクトルの親しみ深い愛撫を受ければ、遠くからあこがれているだけの子どものような精神ではいられない。 「……もうちょっとあのままがよかった」 「勇利は楽しいかもしれないけどね、俺はつまらないよ」 「だって……」  勇利は拗ねた。 「本当によかったんだもん、ヴィクトルの演技……」 「じゃあファンの言葉じゃなく、俺が溺愛する、俺の勇利の言葉で褒めてくれ」 「…………」  勇利はヴィクトルの喉元に接吻し、あえかな息をついた。 「ヴィクトル……」 「うん?」 「……すてきだった……」 「ああ」 「かっこよかった……もうわけがわからないくらいよかった……ロシア選手権も……。よすぎて、思わず家を飛び出しちゃったし、チェコにまで来ちゃったし、完全なファンに戻っちゃったよ……」 「勇利の愛情表現は複雑だ」  ヴィクトルが明るく笑った。彼のてのひらを背中に感じながら、ああ、ヴィクトルだ……と勇利は目を閉じた。 「ぼくのヴィクトルは最高……」 「ふ……」  ヴィクトルは勇利のまなじりにかるく接吻した。勇利はすりすりとすり寄った。ヴィクトルは手を伸べて携帯電話を取り、時刻を確かめた。それからすこし何か操作した。 「……あ」 「なに?」 「勇利、撮られてるよ」 「え?」 「ニュースになってる」  勇利は目をみひらいた。 「うそ!」 「本当。『ヴィクトル・ニキフォロフの秘蔵っ子、勝生勇利、ヨーロッパ選手権を観戦。関係者席にいないことから、ファンとして見に行ったものだと思われる。勝生は会場入りする選手を行儀よく待って、ほかのファンとともにニキフォロフに声援を送り、満足の様子だった。観戦中はニキフォロフの演技に夢中になっており、勝生勇利はヴィクトル・ニキフォロフのファンなのだということを改めて我々に思い出させた』だって」 「見せて!」  勇利はヴィクトルの腕をぐいと引いた。読んでみると、確かにヴィクトルが言ったようなことが書いてあった。眼鏡とマスクという姿の勇利の写真もある。両手を握り合わせて、目をうるませているではないか。勇利はまっかになった。この顔! こんなにとろけきって……。世界じゅうに知れ渡ってしまった。  気恥ずかしさのあまりヴィクトルに抱きつくと、彼は笑いながら携帯電話を戻し、勇利を抱き直した。 「俺のファンとどんな交流したの?」  勇利はすぐに立ち直った。確かにきまりが悪い。けれどよいではないか。ヴィクトルなのだ。誰だってヴィクトルの試合は見たいだろう。勇利は当たり前のことをしただけなのである。何も恥じることはない。 「みんなヴィクトルかっこいいって。ヴィクトルに話しかけられたい、笑いかけられたいって言ってたよ。そうそう、勝生勇利とリンクでキスしたかしてないかっていう話があるんだって」 「勇利はなんて答えたんだ?」 「してたと思う、って。あと、うらやましいよねって」 「おまえはどうかしている」 「そうかな……」  ヴィクトルがくちびるを重ねた。勇利はふるっとふるえた。 「……それから?」 「ヴィクトルの『エロス』見て、みんな『抱いて!』って雰囲気だった」 「俺が抱くのは勇利だけだよ」 「ぼく、ヴィクトルかっこよか! って叫ぶの最高に気持ちよかった。ヴィクトルのファンサービスうれしかった」 「普段、勇利にはもっとサービスしてるだろう?」 「そういうのとはちがうんだよ……」 「わからない子だな……」 「それに……、」  勇利はつぶやいた。 「このところは会ってなかったから、ヴィクトルのぼくへのそういうサービスとも無縁だったし……」  ヴィクトルはもう一度優しく勇利にキスし、ほほえんだ。 「いましてるじゃないか……」 「じゃあ、もっとして」 「何をしてもらいたい?」  勇利はおとがいを上げると、のんびりと笑っているヴィクトルを熱心にみつめた。 「いまになって気がついたんだけどね、ぼく、一ヶ月とすこしあとには、あのヴィクトル・ニキフォロフと戦わなくちゃならないんだよ」 「その通りだね」 「ヴィクトルは強くて、品位が高く、絶対的な威厳にみちていた……」 「勇利は可憐で凛々しく、逆らえないうつくしさにみちているよ」 「ねえヴィクトル」  勇利はヴィクトルに顔を近づけた。 「どうすればヴィクトル・ニキフォロフに勝てると思う?」 「…………」 「ヴィクトルはぼくのコーチでしょ。勝てる方法を考えてよ。そして練習の項目一覧をつくり直してよ」  ヴィクトルはおもしろそうな目で勇利をしばらく眺めていたが、「ファン式の勝生勇利は完全に終わったようだね」とうなずいた。 「そうだよ。ヴィクトルが魔法をといたんじゃない」 「しかし、ベッドの中でする会話じゃないな」 「そんなの知らない。ヴィクトル、ぼくをヴィクトルに勝てるようにして!」 「まさに勝生勇利式だ……」  勇利はベッドから裸で飛び降りると、テーブルにのっていたノートとペンを取り、再びヴィクトルの隣へすべりこんだ。 「ぼくがいま朝からやってる練習をおさらいするね。いい? まず基礎練をして、コンパルソリーをして、パート練習をして、ジャンプをやって、走りに行って……、三日に一度はランスルーをして……」  勇利はそれから一時間ほど、ヴィクトルと稽古についてまじめに話しあった。ヴィクトルに注意されたこと、新しくする練習について、こまかくノートに書いておき、あとで見直して役立てることにする。作戦会議が終わるころには、勇利は大満足のていでにこにこしていた。 「ありがとうコーチ。ぼく勝てそうな気がしてきたよ」 「その前に四大陸選手権があるけどね」 「練習のききめをためすいい機会だね」  勇利は機嫌よくノートをまくらべに置いた。ヴィクトルは勇利の髪にくちびるを寄せ、しばらく黙っていた。 「……勇利」 「なに」 「こっそり俺の試合を観戦するのは楽しかったかい?」 「うん、すごく」 「不公平だな」 「何が?」 「俺は勇利の試合でそうすることができない」  勇利は笑った。 「ヴィクトルはいつもぼくのいちばんそばにいて見ていてくれなきゃいやだよ」  ヴィクトルの長い指が勇利の黒髪をかるく梳いた。 「……前もって言って欲しかった?」 「うん?」 「ぼくが会場にいるってわかってたほうがよかった?」 「…………」  ヴィクトルは目を伏せて優雅に微笑した。 「いや……」 「そう?」 「もちろん、勇利がいると思えばうれしいけどね。ただ……」  ヴィクトルのくちびるが勇利の耳元に寄る。 「いつも、勇利が見ていると思いながら演技をしているよ。だから、同じことさ……」  勇利はその甘美な声にぞくぞくした。ファンの勝生勇利では味わえない、ヴィクトルの特別な愛だった。ヴィクトルは皇帝ヴィクトル・ニキフォロフの魔法はといたかもしれないが、ヴィクトルだけの魔術的な誘惑で、勇利をこうしてとろとろにとろけさせるのである。  勇利は頬を上気させ、とりのぼせたようにヴィクトルを見た。ヴィクトルが笑って、「夕食にするかい?」と起き上がろうとした。勇利はヴィクトルに抱きついた。 「勇利?」 「ファン式の勝生勇利は終わったの」 「ああ」 「生徒式の勝生勇利も終了だよ」 「うん?」 「ここからは……」  勇利は指先でヴィクトルのくちびるにふれ、世にも稀な清楚にみちたまなざしで彼をみつめた。若ざかりといった感じのしなやかな裸身が、ヴィクトルの身体にすり寄っていく。ヴィクトルが何かを耐えるような顔つきになった。 「勇利……、俺、試合を終えたばかりなんだけどね……」 「だめ……?」  勇利はけなげな表情で瞬き、慎ましやかにくちびるをふるわせた。 「いや……?」  ヴィクトルがまいったというように笑い出した。彼は勇利を抱きしめ、寄り添って楽しそうにささやいた。 「勇利……、本当におまえは俺を驚かせるな。こんなところへ現れたことも、そんなふうに『エロス』とはちがう方法で悩殺することも」  勇利は、四大陸選手権での再会をかたく約束してヴィクトルと別れた。たった二週間なのに永遠の別れのような気がして、勇利は泣いてしまった。ヴィクトルは優しくいつくしむように勇利の頬を撫で、愛情のこもった接吻を念入りにしてくれた。  帰国した勇利はまた時差にまいってしまって寝こみ、翌日、稽古を再開した。早朝、リンクへ行き、誰もいない氷の上に立つと、すがすがしい、さわやかな気持ちでいっぱいになった。しかし、ここにヴィクトルはいないのだ。あんなに一緒に練習したのに。ひとりにようやく慣れたというのに、チェコで彼に再会したことで、また勇利はさびしくなってしまった。 「ヴィクトル、さびしいよ!」  勇利はせつなさでいっぱいになり、リンクの中央で叫んだ。 「なんだって? それはいけない!」  そんな答えが反響し、勇利はこころの底からびっくりした。  なに? いまの……。  ヴィクトルの声……。  信じられない気持ちでおそるおそる振り返った。ヴィクトルが氷の上に立ってにこにこしていた。 「ヴィクトル……」  勇利の全身に、ぞくぞくっとした戦慄が走った。 「本物……?」 「驚かされっぱなしは性に合わないものでね。どう、びっくりしたかい?」  勇利の目に涙があふれた。勇利はものすごい勢いでヴィクトルのもとまで駆けつけ、彼に思い切り抱きついた。 「チェコで勇利に会ったときの俺の気持ちがわかった?」  勇利は泣きながらささやいた。 「いまのヴィクトル、何式?」 「勇利は何式でいてもらいたい? 皇帝式? コーチ式? それとも……」 「リンクではコーチ式でいてもらいたいけど、いまだけは我慢できないよ……!」 「オーケィ」  ヴィクトルはいつでも勇利を驚かせるし、いつだって勇利の望みをかなえてくれる、最高の男なのだ。
2 notes · View notes
2ttf · 12 years
Text
iFontMaker - Supported Glyphs
Latin//Alphabet// ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZabcdefghijklmnopqrstuvwxyz0123456789 !"“”#$%&'‘’()*+,-./:;<=>?@[\]^_`{|}~ Latin//Accent// ¡¢£€¤¥¦§¨©ª«¬®¯°±²³´µ¶·¸¹º»¼½¾¿ÀÁÂÃÄÅÆÇÈÉÊËÌÍÎÏÐÑÒÓÔÕÖ×ØÙÚÛÜÝÞßàáâãäåæçèéêëìíîïðñòóôõö÷øùúûüýþÿ Latin//Extension 1// ĀāĂ㥹ĆćĈĉĊċČčĎďĐđĒēĔĕĖėĘęĚěĜĝĞğĠġĢģĤĥĦħĨĩĪīĬĭĮįİıIJijĴĵĶķĸĹĺĻļĽľĿŀŁłŃńŅņŇňʼnŊŋŌōŎŏŐőŒœŔŕŖŗŘřŚśŜŝŞşŠšŢţŤťŦŧŨũŪūŬŭŮůŰűŲųŴŵŶŷŸŹźŻżŽžſfffiflffifflſtst Latin//Extension 2// ƀƁƂƃƄƅƆƇƈƉƊƋƌƍƎƏƐƑƒƓƔƕƖƗƘƙƚƛƜƝƞƟƠơƢƣƤƥƦƧƨƩƪƫƬƭƮƯưƱƲƳƴƵƶƷƸƹƺƻƼƽƾƿǀǁǂǃDŽDždžLJLjljNJNjnjǍǎǏǐǑǒǓǔǕǖǗǘǙǚǛǜǝǞǟǠǡǢǣǤǥǦǧǨǩǪǫǬǭǮǯǰDZDzdzǴǵǶǷǸǹǺǻǼǽǾǿ Symbols//Web// –—‚„†‡‰‹›•…′″‾⁄℘ℑℜ™ℵ←↑→↓↔↵⇐⇑⇒⇓⇔∀∂∃∅∇∈∉∋∏∑−∗√∝∞∠∧∨∩∪∫∴∼≅≈≠≡≤≥⊂⊃⊄⊆⊇⊕⊗⊥⋅⌈⌉⌊⌋〈〉◊♠♣♥♦ Symbols//Dingbat// ✁✂✃✄✆✇✈✉✌✍✎✏✐✑✒✓✔✕✖✗✘✙✚✛✜✝✞✟✠✡✢✣✤✥✦✧✩✪✫✬✭✮✯✰✱✲✳✴✵✶✷✸✹✺✻✼✽✾✿❀❁❂❃❄❅❆❇❈❉❊❋❍❏❐❑❒❖❘❙❚❛❜❝❞❡❢❣❤❥❦❧❨❩❪❫❬❭❮❯❰❱❲❳❴❵❶❷❸❹❺❻❼❽❾❿➀➁➂➃➄➅➆➇➈➉➊➋➌➍➎➏➐➑➒➓➔➘➙➚➛➜➝➞➟➠➡➢➣➤➥➦➧➨➩➪➫➬➭➮➯➱➲➳➴➵➶➷➸➹➺➻➼➽➾ Japanese//かな// あいうえおかがきぎくぐけげこごさざしじすずせぜそぞただちぢつづてでとどなにぬねのはばぱひびぴふぶぷへべぺほぼぽまみむめもやゆよらりるれろわゐゑをんぁぃぅぇぉっゃゅょゎゔ゛゜ゝゞアイウエオカガキギクグケゲコゴサザシジスズセゼソゾタダチヂツヅテデトドナニヌネノハバパヒビピフブプヘベペホボポマミムメモヤユヨラリルレロワヰヱヲンァィゥェォッャュョヮヴヵヶヷヸヹヺヽヾ Japanese//小学一年// 一右雨円王音下火花貝学気九休玉金空月犬見五口校左三山子四糸字耳七車手十出女小上森人水正生青夕石赤千川先早草足村大男竹中虫町天田土二日入年白八百文木本名目立力林六 Japanese//小学二年// 引羽雲園遠何科夏家歌画回会海絵外角楽活間丸岩顔汽記帰弓牛魚京強教近兄形計元言原戸古午後語工公広交光考行高黄合谷国黒今才細作算止市矢姉思紙寺自時室社弱首秋週春書少場色食心新親図数西声星晴切雪船線前組走多太体台地池知茶昼長鳥朝直通弟店点電刀冬当東答頭同道読内南肉馬売買麦半番父風分聞米歩母方北毎妹万明鳴毛門夜野友用曜来里理話 Japanese//小学三年// 悪安暗医委意育員院飲運泳駅央横屋温化荷開界階寒感漢館岸起期客究急級宮球去橋業曲局銀区苦具君係軽血決研県庫湖向幸港号根祭皿仕死使始指歯詩次事持式実写者主守取酒受州拾終習集住重宿所暑助昭消商章勝乗植申身神真深進世整昔全相送想息速族他打対待代第題炭短談着注柱丁帳調追定庭笛鉄転都��投豆島湯登等動童農波配倍箱畑発反坂板皮悲美鼻筆氷表秒病品負部服福物平返勉放味命面問役薬由油有遊予羊洋葉陽様落流旅両緑礼列練路和 Japanese//小学四年// 愛案以衣位囲胃印英栄塩億加果貨課芽改械害街各覚完官管関観願希季紀喜旗器機議求泣救給挙漁共協鏡競極訓軍郡径型景芸欠結建健験固功好候航康告差菜最材昨札刷殺察参産散残士氏史司試児治辞失借種周祝順初松笑唱焼象照賞臣信成省清静席積折節説浅戦選然争倉巣束側続卒孫帯隊達単置仲貯兆腸低底停的典伝徒努灯堂働特得毒熱念敗梅博飯飛費必票標不夫付府副粉兵別辺変便包法望牧末満未脈民無約勇要養浴利陸良料量輪類令冷例歴連老労録 Japanese//小学五〜六年// 圧移因永営衛易益液演応往桜恩可仮価河過賀快解格確額刊幹慣眼基寄規技義逆久旧居許境均禁句群経潔件券険検限現減故個護効厚耕鉱構興講混査再災妻採際在財罪雑酸賛支志枝師資飼示似識質舎謝授修述術準序招承証条状常情織職制性政勢精製税責績接設舌絶銭祖素総造像増則測属率損退貸態団断築張提程適敵統銅導徳独任燃能破犯判版比肥非備俵評貧布婦富武復複仏編弁保墓報豊防貿暴務夢迷綿輸余預容略留領異遺域宇映延沿我灰拡革閣割株干巻看簡危机貴揮疑吸供胸郷勤筋系敬警劇激穴絹権憲源厳己呼誤后孝皇紅降鋼刻穀骨困砂座済裁策冊蚕至私姿視詞誌磁射捨尺若樹収宗就衆従縦縮熟純処署諸除将傷障城蒸針仁垂推寸盛聖誠宣専泉洗染善奏窓創装層操蔵臓存尊宅担探誕段暖値宙忠著庁頂潮賃痛展討党糖届難乳認納脳派拝背肺俳班晩否批秘腹奮並陛閉片補暮宝訪亡忘棒枚幕密盟模訳郵優幼欲翌乱卵覧裏律臨朗論 Japanese//中学// 亜哀挨曖扱宛嵐依威為畏尉萎偉椅彙違維慰緯壱逸芋咽姻淫陰隠韻唄鬱畝浦詠影鋭疫悦越謁閲炎怨宴援煙猿鉛縁艶汚凹押旺欧殴翁奥憶臆虞乙俺卸穏佳苛架華菓渦嫁暇禍靴寡箇稼蚊牙瓦雅餓介戒怪拐悔皆塊楷潰壊懐諧劾崖涯慨蓋該概骸垣柿核殻郭較隔獲嚇穫岳顎掛括喝渇葛滑褐轄且釜鎌刈甘汗缶肝冠陥乾勘患貫喚堪換敢棺款閑勧寛歓監緩憾還環韓艦鑑含玩頑企伎忌奇祈軌既飢鬼亀幾棋棄毀畿輝騎宜偽欺儀戯擬犠菊吉喫詰却脚虐及丘朽臼糾嗅窮巨拒拠虚距御凶叫狂享況峡挟狭恐恭脅矯響驚仰暁凝巾斤菌琴僅緊錦謹襟吟駆惧愚偶遇隅串屈掘窟繰勲薫刑茎契恵啓掲渓蛍傾携継詣慶憬稽憩鶏迎鯨隙撃桁傑肩倹兼剣拳軒圏堅嫌献遣賢謙鍵繭顕懸幻玄弦舷股虎孤弧枯雇誇鼓錮顧互呉娯悟碁勾孔巧甲江坑抗攻更拘肯侯恒洪荒郊貢控梗喉慌硬絞項溝綱酵稿衡購乞拷剛傲豪克酷獄駒込頃昆恨婚痕紺魂墾懇沙唆詐鎖挫采砕宰栽彩斎債催塞歳載剤削柵索酢搾錯咲刹拶撮擦桟惨傘斬暫旨伺刺祉肢施恣脂紫嗣雌摯賜諮侍慈餌璽軸叱疾執湿嫉漆芝赦斜煮遮邪蛇酌釈爵寂朱狩殊珠腫趣寿呪需儒囚舟秀臭袖羞愁酬醜蹴襲汁充柔渋銃獣叔淑粛塾俊瞬旬巡盾准殉循潤遵庶緒如叙徐升召匠床抄肖尚昇沼宵症祥称渉紹訟掌晶焦硝粧詔奨詳彰憧衝償礁鐘丈冗浄剰畳壌嬢錠譲醸拭殖飾触嘱辱尻伸芯辛侵津唇娠振浸紳診寝慎審震薪刃尽迅甚陣尋腎須吹炊帥粋衰酔遂睡穂随髄枢崇据杉裾瀬是姓征斉牲凄逝婿誓請醒斥析脊隻惜戚跡籍拙窃摂仙占扇栓旋煎羨腺詮践箋潜遷薦繊鮮禅漸膳繕狙阻租措粗疎訴塑遡礎双壮荘捜挿桑掃曹曽爽喪痩葬僧遭槽踪燥霜騒藻憎贈即促捉俗賊遜汰妥唾堕惰駄耐怠胎泰堆袋逮替滞戴滝択沢卓拓託濯諾濁但脱奪棚誰丹旦胆淡嘆端綻鍛弾壇恥致遅痴稚緻畜逐蓄秩窒嫡抽衷酎鋳駐弔挑彫眺釣貼超跳徴嘲澄聴懲勅捗沈珍朕陳鎮椎墜塚漬坪爪鶴呈廷抵邸亭貞帝訂逓偵堤艇締諦泥摘滴溺迭哲徹撤添塡殿斗吐妬途渡塗賭奴怒到逃倒凍唐桃透悼盗陶塔搭棟痘筒稲踏謄藤闘騰洞胴瞳峠匿督篤凸突屯豚頓貪鈍曇丼那謎鍋軟尼弐匂虹尿妊忍寧捻粘悩濃把覇婆罵杯排廃輩培陪媒賠伯拍泊迫剝舶薄漠縛爆箸肌鉢髪伐抜罰閥氾帆汎伴畔般販斑搬煩頒範繁藩蛮盤妃彼披卑疲被扉碑罷避尾眉微膝肘匹泌姫漂苗描猫浜賓頻敏瓶扶怖附訃赴浮符普腐敷膚賦譜侮舞封伏幅覆払沸紛雰噴墳憤丙併柄塀幣弊蔽餅壁璧癖蔑偏遍哺捕舗募慕簿芳邦奉抱泡胞俸倣峰砲崩蜂飽褒縫乏忙坊妨房肪某冒剖紡傍帽貌膨謀頰朴睦僕墨撲没勃堀奔翻凡盆麻摩磨魔昧埋膜枕又抹慢漫魅岬蜜妙眠矛霧娘冥銘滅免麺茂妄盲耗猛網黙紋冶弥厄躍闇喩愉諭癒唯幽悠湧猶裕雄誘憂融与誉妖庸揚揺溶腰瘍踊窯擁謡抑沃翼拉裸羅雷頼絡酪辣濫藍欄吏痢履璃離慄柳竜粒隆硫侶虜慮了涼猟陵僚寮療瞭糧厘倫隣瑠涙累塁励戻鈴零霊隷齢麗暦劣烈裂恋廉錬呂炉賂露弄郎浪廊楼漏籠麓賄脇惑枠湾腕 Japanese//記号//  ・ー~、。〃〄々〆〇〈〉《》「」『』【】〒〓〔〕〖〗〘〙〜〝〞〟〠〡〢〣〤〥〦〧〨〩〰〳〴〵〶 Greek & Coptic//Standard// ʹ͵ͺͻͼͽ;΄΅Ά·ΈΉΊΌΎΏΐΑΒΓΔΕΖΗΘΙΚΛΜΝΞΟΠΡΣΤΥΦΧΨΩΪΫάέήίΰαβγδεζηθικλμνξοπρςστυφχψωϊϋόύώϐϑϒϓϔϕϖϚϜϞϠϢϣϤϥϦϧϨϩϪϫϬϭϮϯϰϱϲϳϴϵ϶ϷϸϹϺϻϼϽϾϿ Cyrillic//Standard// ЀЁЂЃЄЅІЇЈЉЊЋЌЍЎЏАБВГДЕЖЗИЙКЛМНОПРСТУФХЦЧШЩЪЫЬЭЮЯабвгдежзийклмнопрстуфхцчшщъыьэюяѐёђѓєѕіїјљњћќѝўџѢѣѤѥѦѧѨѩѪѫѬѭѰѱѲѳѴѵѶѷѸѹҌҍҐґҒғҖҗҘҙҚқҜҝҠҡҢңҤҥҪҫҬҭҮүҰұҲҳҴҵҶҷҸҹҺһҼҽҾҿӀӁӂӇӈӏӐӑӒӓӔӕӖӗӘәӚӛӜӝӞӟӠӡӢӣӤӥӦӧӨөӪӫӬӭӮӯӰӱӲӳӴӵӶӷӸӹӾӿ Thai//Standard// กขฃคฅฆงจฉชซฌญฎฏฐฑฒณดตถทธนบปผฝพฟภมยรฤลฦวศษสหฬอฮฯะัาำิีึืฺุู฿เแโใไๅๆ็่้๊๋์ํ๎๏๐๑๒๓๔๕๖๗๘๙๚๛
see also How to Edit a Glyph that is not listed on iFontMaker
5 notes · View notes
na9mo · 3 years
Text
揚輝荘 南館地下
Tumblr media Tumblr media
0 notes
a7iii-adventure · 5 years
Photo
Tumblr media
0 notes
thekimonogallery · 3 years
Photo
Tumblr media
Artwork by 撫子凛👘10/2〜11/21KIMONO展in名古屋松坂屋美術館&揚輝荘
@nadeshicorin
69 notes · View notes