2023.10.15
最近のまいにちは、たまごっちでブリーダーみたいなことをして日々違うかたちのたまごっちの育成をしている。
最新の機種は育て方によって異なるキャラクターに進化するだけでなく、ランダムに振り分けられた性格の違いにより、同じキャラクターでも好きなものや画面上での振る舞いが全くもって異なるのだ。
わたしが手に入れたいのはあまえんぼうのみるくっちなのだけれど、性格の不一致、あとは育て方を間違えたり他のことに夢中になってネグレクトをしてしまったりして未だかつて邂逅したことはなく、思い通りに成長しなかった個体はたまっちんぐパーティーで無理やり結婚させて追い出してはあらたなたまごを迎え入れることを繰り返している。
24にもなってこんなくだらないゲームをしているなんて、と思われるかもしれない。
だが、いつかの将来もしわたしが結婚して子供を育てるという状況になったとき、彼/彼女を自分とは切り離された一個人だと認識した上で、一人前になるまで気を抜かずに育て上げられるのか、望んでいた容姿や人となりではなくても愛し続けることができるか、独り立ちしたいと言い出した時に素直に背中をおしてやれるのか、と不確かな未来に対して辟易しながら生活するたまごっちのいる日々は、とてもではないが若年層には負担がかかりすぎると思う。
しかも状況はシングルマザー、シリアル以外の食事を摂らせたまの旅行に連れていけるほどの生活水準にもっていくにはハンバーガー屋で鬼バイトをするかクラブで踊ってお金をつくるしかない。
わたしにも平日は本職があり自分自身の時間を削ってたまごっちを養っているため、仕事中ほとんどの時間をたまシッターにお世話になっているが、少なくとも放置して死なせてはだめだという責任感がわたしにはある。
それがたとえあまえんぼうのみるくっちに進化する個体でないにしても。
そもそもたまごっちを購入したのは、仲のいい会社同期が退社したことにある。
彼女は頭がきれ仕事がかなりできる(タイピングも鬼速い)一方でプライドも低けりゃ驕りもしないし、人と比べてなにかをしたり感じ取ることもない。
わたしはいつも人と比べてしまうし妬み嫉みが原動力となってものごとに取り組むけれど、彼女は院卒で歳が2つ上なので、彼女が自分より優れていることに対して素直に尊敬できることも居心地の良さを感じる理由のひとつだったのだと思う。
それに加えて彼女も中高女子校育ち、大学以降はブラジルについて研究していて環境が似通っているためか価値観の根底が近い部分に張っている気がする。
彼女の好きなところを挙げるときりがないが、どうしてもまだ書き足りないのであと3つだけ知ってほしい。
① 見つめあっても素直におしゃべりができるところ
わたしは嘘をつかない、隠し事をしない性格だけれど素直か、と言われればおそらくそうではなくて、話すことは言わんとしていることの毛をそぎ落として皮も厚めに剥いたあとに残ったおいしい部分だけ提供するか、あとは既出の話題だったら今の感情や意見ではなく、他人からどう見られるか、またそれによって築かれた自分像と矛盾しないように、過去に話したことと辻褄をあわせて答えているのでいつまでも幼い問答を繰り返していて、結局のところ嘘ばかりをついて本心を隠していることになる。
(だからおしゃべりは苦手で、文章を書いたりメッセージで伝えることが好き。直接相手側の反応を見ずに済むし、いくらでも推敲できるから。)
だけれど、彼女といるときは自分自身が本来の姿よりも高尚な人間であるように見せたいという邪な考えを持たずに、たとえわたしの考えや価値観が認められなかったとしてもきっと受け入れてもらえるという気持ちで思いついたことを何でも話すことができるの。
そうしてすらすら言葉が出てくるし、もともと口数が多いほうなのにもっ とたくさん話すようになって、彼女は引き出しが多くて大容量だからわたしだけがたくさん話すわけでもなくほぼ同じ分量で言葉を並べてくれるのもとても嬉しかった。
それと、彼女は交友関係が広くわたしよりよっぽど友達が多くて、多種多様なお話全部が興味深かった。
② 友達が多いところ
わたしは多分ひと、もの、ことにおいて依存しやすく、日々のルーティーンはやめられないし、一か月毎日お弁当にカオマンガイを持っていっているし、彼女を頻繁にご飯/遊びに誘っていた。
だけれど彼女はドライな性格且つ友達が多くて予定が詰まっており、気分が乗らなかったり予定が入っていたりで3~5回の誘いにつき1回しか会ってくれなくて、
それで逆に気を負わずに誘えたし、当たって砕けるのが定番になっていたので彼女に依存しすぎることなく適度な距離感と100%の気持ちで接することが出来ていたのだと思う。
③ 一緒に一番くじをしてくれるところ
お酒を飲みに行った帰りに近くのコンビニで、たとえ知らないアニメやキャラクターだったとしても無駄にたくさん引いて運を確かめ合うのが楽しかった。
おそろいのドラゴンボールZのハンカチはまだ大切にとっておいてあるし、いらないからと引越の時に譲り受けたどうぶつの森のタイマーは本棚の裏に飾っているよ。
内容が薄っぺらくなってきたところでいったんやめて、これ以降は推敲を重ねてまたいつか直接言えたらいいな。
絶対言えないけど。
彼女が会社を辞めると8月に聞いたとき、当たり前ではあるけれどほんとうに悲しくてやめないでほしいと思っていた。
なのに人前で感情をうまく表現できないがゆえに結局辞めないでほしい気持ちを十分に伝えられずたわいのない話ばかりしてにこにこ解散してしまったけれど、その後何時間もつらつら泣きながらヒトカラして、それでも気持ちが収まらなくてもはや吐きそうになりながら夜通しジムで猛ダッシュしていたりとか、わたしが人前で泣きたくないのはダサいから、というのと普段泣かないほうがいざというときに切り札になるかも、という卑しさからなのに、何の効果も発揮しないまま終わりを迎えてしまって悲しい。
しかも彼女の前で泣いたのは一緒に彼女の部屋で劇団四季の子役オーディションの密着番組を見ていた時だけで、ただダサいだけだったのが悔しい。
そして何よりも、彼女のいない日常も、前と何も変わらずたのしく過ごせそうだと簡単に予測できてしまうことが嫌だ。
実際に9月と10月、それなりに楽しさを追い求めて生きてきたし、楽しかったし、このあともコンスタントに楽しみなイベントを控えて前のめりになって生きているけれど、彼女がいない毎日なんて真っ暗であってほしいのに、簡単に他の予定に取って代わられてほしくないのに、いつか近いうちに彼女と過ごした楽しい時間もフルサイズでは思い出せなくなるんだろうね。
彼女は自己開示して余計なことを知らせたくない、とかたしかそういう理由でライン以外のSNSをやっていないのだけれど、彼女からメッセージを送ってくれることはないし、9月に送ったメッセージにも未だ返信はない。
でもわたしは近くにいなくてもたくさんくだらない話をしたいな、と思っている。
ずっとA型だと思って生きてきたけど、実際に検査をしたらO型だったよ、とか、髪が伸びてくくりたいけど姫カットにしているせいでポニーテールにすると古のおたくになっちゃうんだ、とか、ちょっと命が重すぎるからたまごっち引き取ってくれないかな、とか、
ワーホリ先だったら日本のこういったゲーム機ってうけると思うんだよね。
はるかちゃんの代わりに依存できると思って買ったたまごっち、わたしはもう満足したから代わりにどうかな。
じゃあまた、気長に返信待ってるね。
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少女の館
グロ注意。その一は長身女性(巨大娘?)、その二は超乳娘、その三はふたなり娘。どの少女も怪力なことから察してください。
その一
さて、皆様、お食事はお済みでしょうか? 何分、急でしたから、たいしたものを出せず、申し訳ございません。――ありがとうございます。そう言って頂けると、私としても大変嬉しく思います。やはり、あなた方は優しい、惜しいほどに優しいです。他意はございません。……
ええ、ええ、再会を祝して私もいただくことにしましょう。ですが、こうしていると、いくらでも時間が経ってしまいますから、話を戻すことにしまして、あの日以来、私の身に何が起きたのか、約束通り語ることにしましょう。
まずは自己紹介から初めたいと思います。――左様、左様、必要ないとは私も理解しておりますが、今の身分を語っておきたいのです。――ええ、名前は今も変わっておりません、○○と申します。ですが職業の方は変わっておりまして、今はこちらの館、……あなた方が迷い込んだこの屋敷で、いわゆる中世ヨーロッパのような執事を生業としております。昔は別の館に仕えていたのですが、その時の名残と言いますか、性に合っていたと言いますか、あの館を後にしてもこうして執事業を続けておりまして、その時の主人が厳格なものでしたから、すっかり口調なども変わってしまいました。――ええ、そうです、その通りです。その「別の館」というのが問題だったのです。
冷静になってみれば、かなりおかしな館でした。あの日、死に場所を探し求めて見つけてしまったそれは、山の中にひっそりと佇むお城のような洋館で、壁一つとっても、窓一つとっても、作りが華々しく、ここ日本には全く似合わない雰囲気を辺り一帯に振りまいていました。中からはところどころ光が漏れていまして、誰かがいらっしゃるのは間違いないようです。
死が間近にせまっていた私には、その暖かい光は途方もなく魅力的に見えました。呼び鈴も何も無かったため、思い切って正面にある大きなエントランスをくぐって中に入りますと、……様子は思い思いご想像していただきたいのですが、私の印象としましては、「とてつもなく広い」の一言でしょう。その時、声が聞こえたような気がして、吸い寄せられるようにして扉をくぐり、廊下を歩き、階段を登りして、たどり着いたところは、食堂のようです。中では5人のご主人様、……まだ幼さの残る美しいお顔立ちでいらっしゃいます5人の少女たちが、一堂に会して食事をお取りになっておいででした。
「こっちにおいで」
と言われた私は、その中の一人の元へ歩いて行きます。しかし、その時私はあることにようやく気づいて、歩みを止めそうになりました。……中にある家具が全て巨大なのです。後ろにある扉も巨大であれば、テーブルも、椅子も、人が使うにしては大きすぎました。テーブルは立った私の首元にまで届き、椅子は私の股の部分に座面が来ています。その座面というのも広く、机と言われても何も不思議ではありません。机に置いてあるお皿や、スプーンや、フォークと言った食器類すらも、常識では考えられないほど大きい。……
が、ご主人様たち、……少女たちはそんな椅子に足をつけて座り、そんな机の上にあるご馳走を上品な手付きで召し上がっていらっしゃいます。先程私をお呼びしたご主人様の前にたどり着いた時、私は心底恐怖を抱きました。彼女の目線は座った状態で私より上、肩幅は広く、腕は太く、胸は大きく、むっちりとした太ももは私の胴体とそれほど変わりません。動きに合わせて躍動する筋肉は、ご主人様の顔からは全く想像できないほどたくましく、かと言って女性らしいしなやかさは失っておらず、たいへん魅力的でございます。
「食べる?」
と彼女はおっしゃって、肉の一欠片を差し出しました。私は無礼にもご主人様のお召し物をいただきました。ほどよい塩加減と、濃厚な肉の香りと、舌から伝わってくる途方もない熱量、……これほどまで美味な食べ物はこの世には無いでしょう。空腹に耐えかねて水でごまかし続けた私の胃袋は、たったそれだけで満たされてしまいました。
それからしばらく、面白がって同じことをなさり初めた他のご主人様からもお召し物をいただき続け、食事が終わった頃合いにはすっかり生気を取り戻したような気がします。にっこりと微笑むご主人様の視線を受けながら、床に置かれた水を這いつくばって飲み干しました。見上げると、彼女は慈しみに富んだ目で私を見下ろして来ておりました。
「もう飲んだの? えらいえらい。じゃあ、早速、最初の仕事、お願いしちゃおうかな。でも、その前に自己紹介しようね」
と言って、他のご主人様をお呼びになる。
「みんなー、おもちゃがやってきたよー」
「あゆみちゃん、おもちゃって言ったらダメですよ。ちゃんと執事って呼ばないと」
と、一人の大人しそうなご主人様が言う。
「あー、はいはい。ほら、執事くん? お姉ちゃんの膝においで」
ご主人様の手が伸びて来ました。私の顔を簡単に包めるほど大きなその手は、そっと脇の下に入ってくると、ひょいと私の体を持ち上げ、恐怖を感じる暇もなく膝の上にストンと下ろします。私は背中に押し付けられた、ご主人様の豊かな胸元を感じながら、足をぶらぶらと宙に浮かせつつ、彼女の膝の上に座らせていただく状態になりました。……いえ、座るというのではもはやありません。私の下半身はご主人様の太ももと太ももの間にすっぽりと収まり、私の上半身はご主人様の上半身と一体になってしまいました。
「キャハハハハ、かわいい!!!」
「キョロキョロしちゃって、まぁ。……」
「ダメですよ、みんなそんなに見つめちゃ。……ほら、怖がってるじゃありませんか」
「ねー、ぼく? ぼくはどこから来たのかな? おなまえは?」
「あ、そうだそうだ。名前だ。執事くんの名前はなんて言うの?」
と上から声がかかったので、私は名前をご主人様たちに申し上げます。すると彼女たちもご自分の名前をおっしゃり初め、数々の質問を私になさりました。
「じゃあ、もう厨房の場所は分かってるよね? あなたの初めてのお仕事は、そこへ私たちのお皿を持っていくこと。それが終わったら小人、……じゃなかった。使用人用のお風呂で体を洗った後、疲れてるでしょうから、もう部屋で寝なさい。いいね?」
このとき、私はこの館の間取りを教わってはおりません。しかし、なぜか頭の中には次の目的地がしっかりと焼き付いておりました。私の体を床に下ろしになったご主人様は、自身の腰にも届いていない私を撫でると、
「おやすみ」
と一言だけおっしゃってから、あの巨大な扉を、頭をかがめてくぐって行きました。
こうして、私の執事生活は始まりました。ご主人様たちの失礼のないように気を張る必��はあったのですが、業務は単純、衣食住は完備されている、ご主人様たちは人間の二倍以上の体格だけども、極上の体つきと、極上の顔立ちと、極上の性格を誰もが兼ね備えていらっしゃり、そもそも館そのものが広くて快適でした。……第二の人生としてはこれほどない好待遇、私は奇跡を目の当たりにして、浮かれてしまっていました。
――ええ、終わったのです。私は恐怖のどん底に再び落ちることになりました。ある日、
「今日はお客さんがたくさん来るから、そのつもりで居てね!」
と声をかけらた私は、いつものように勝手に頭の中に入ってくる業務内容をこなし、おっしゃられた通り10人分の人間用の食事を作りました。程なくしてご主人様たちが賑やかになっておいでになると、エントランスの方で扉の開く音がします。
「あなたはこれから、あの小人、……じゃなかった。あの人達を食堂に案内しなさい。食べ終わったらホールの方へ連れて来るように」
と仰せられるので、私はその通り彼ら、……男ばかりでした。おそらく私のようにこの館に迷い込んだ人たちでしょう、数えてみるとぴったり10人でございまして、私は彼らに先程作った食事を提供した後、ご主人様たちがしばしばダンスを嗜んでいらっしゃるホールへ連れて行きました。
「ここから先は、執事くんにはきついよ? 本当に居るつもり?」
「お姉ちゃんと一緒に部屋まで行こう、ほら」
彼女たちはどういう訳か私を追い出そうとしていらっしゃいました。ですが怖いもの見たさと言いますか、私はここに残ることにしまして、ご主人様の許可を得てから、ホールの隅で静かにこれから起こることを見守ることにします。
結論から言えば、後悔しかありません。ご主人様たちは男たちを一列に並ばせて、こう言いました。
「突然だけど、これから虐殺を行いまーす」
可愛らしい声、狼狽える男たち、呆気に取られる私。ご主人様たちはのんびりと伸びをなさったり、楽しげな声でお喋りをなさったりして、男たちに近づいて行きます。自分の二倍以上ある少女を見て彼らは何を思ったのでしょう、恐れおののいたのでしょうか、それともまだあのお体を好きに出来ると期待していたのでしょうか。どちらにせよ、ご主人様のお言葉には嘘はありません。次の瞬間には、ダンスホールは地獄となっていました。
ある者はご主人様の脇に頭を挟まれてそのまま潰されてしまいました。
ある者はご主人様の太ももに挟まれて上半身全てを失ってしまいました。
ある者はご主人様の手で頭を掴まれてトマトのように握りつぶされてしまいました。
ある者はご主人様のお腹に顔が潰れるほど押し付けられ、抱きしめられ、跡形もなく消えてしまいました。
ある者はご主人様の手に掴まれてバレーボールのように跳ね上げられた後、強烈なアタックで壁の染みとなってしまいました。
逃げる者を圧倒的な歩幅で詰め寄り、圧倒的に長い手で捕まえ、そして暴れまわってもがく者を宙吊りにしながら、うっとりとした顔でじっくり眺めてからあらゆる手を使って殺す。
「キャハハハハ!! それで抵抗のつもり? クソ雑魚ども、もっと力を入れろ!!」
と、髪をポニーテールにお纏めになったご主人様は、男をその巨大な足で踏んづけて、最後のもがきをお楽しみでいらっしゃいます。
「すみません、小人さん。でも、私たちこれをやめられないんです」
と、大人しそうなご主人様は男の腕を引き抜き、足を引き抜き、だるまにしてから、声ならざる声で雄叫びをあげる男に語りかけていらっしゃいます。
「ぼくはどう殺されたい? おっぱいがいい? それともおしりがいい? んー、おっぱいが好きそうだから窒息でいいかしら?」
と、一番年上に見えるご主人様が男の顔を胸の谷間の中へすっぽりと入れます。あまりの身長差に男の足はぶらぶらと宙に浮いて、激しく動いていますが、「あっ、……」とご主人様が言った時には、事切れたように揺れるだけになってしまいました。
私は目の前の光景を黙って見ているしかありませんでした。息すらも止めていたのかもしれません。少しでも動くとご主人様たちに感づかれて、あの男たちのようになってしまう、……そんな恐怖で全く体を動かすことが出来ないのです。が、同時に私の中である一種の感情が芽生えていました。それは、芸術品を見ているような、音楽を聞いているような、そんな口では上手く説明のできない何かでした。なぜそんな感情を抱いたのでしょうか。男を虐殺しているご主人様たちがあまりにも美しかったからでしょうか。それとも私の中で新たな性癖が生まれたからでしょうか。恍惚と男を嬲る彼女たちと同じように、私もまた、恍惚とした表情をしておりました。
ご主人様たちによる虐殺は、ものの5分もかからなかったような気がします。後に残ったのは、血だらけの彼女たちと、血だらけのダンスホールと、男たちの着ていた服のみ。この時聞いた、女性の甲高く色っぽい声は今でも突然思い出すことがあります。――ええ、そうなのです。ご主人様たちは男たちを虐殺することで、性的な欲求を満たしていらっしゃいます。およそ身長2.5メートルほどもある巨大な少女たちが、互いの股を弄り合い、エロティックな声で慰め合う光景は、誰しもが目を奪われるに違いありません。
私はこの時決断をしました。……この屋敷から逃げる、と。が、その代償に右足がもはや機能しなくなってしまいました。――ええ、そうです、この足はご主人様の太ももに挟まれたのです。まだ残っているのは、せめてもの慈悲で、どれほどご主人様が優しい人物でおありなのか、お分かりになりましょう。
さ、みなさん、もう一度再会を祝して、杯を交わしてはくれませんか。――ありがとうございます。
と、男は足を引きずりながらテーブルに近づき、右手で杯を上げると、
「乾杯」
と歯の抜けた口で言った。
その二
さて、皆様、お食事はお済みでしょうか? 何分、急でしたから、たいしたものを出せず、申し訳ございません。――いえいえ、そんな、……恐縮でございます。ですがそう言って頂けると、大変嬉しく思います。やはり、あなた方は優しい、惜しいほどに優しいです。他意はございません。……
では、再会を祝して私もいただくことにしましょう。ですが、こうしていると、いくらでも時間が経ってしまいますから、話を戻すことにしまして、あの日以来、私の身に何が起きたのか、約束通り語ることにしましょう。
まずは自己紹介から初めたいと思います。――左様、左様、必要ないとは私も理解しておりますが、今の身分を語っておきたいのです。昔はあのような会社でパワハラに次ぐパワハラを受けておりましたが、今はこちらの館、……あなた方が迷い込んだこの屋敷で、いわゆる中世ヨーロッパのような執事を生業としております。と言っても、ほとんど家政婦のようなものですけど、とにかくご主人様曰く、執事だそうです。昔は別の館に仕えていたのですが、その時の名残と言いますか、性に合っていたと言いますか、あの館を後にしてもこうして執事業を続けておりまして、その時の主人が厳格なものでしたから、すっかり口調なども変わってしまいました。――ええ、かなり厳格でした。今は全然そうではないです。――そうです、その通りです。その「別の館」というのが問題だったのです。
冷静になってみれば、かなりおかしな館でした。あの日、死に場所を探し求めて見つけてしまったそれは、山の中にひっそりと佇むお城のような洋館で、壁一つとっても、窓一つとっても、作りが華々しく、ここ日本には全く似合わない雰囲気を辺り一帯に振りまいていました。中からはところどころ光が漏れていまして、誰かがいらっしゃるのは間違いないようです。――ええ、夜のことです。たしか、午後7時か、8時ほどでしたでしょうか。記憶が曖昧ではっきりとは申し上げられませんが、夜が更けつつある頃でした。
さて、話を戻しましょう。死が間近にせまっていた私には、その暖かい光は途方もなく魅力的に見えました。呼び鈴も何も無かったため、思い切って正面にある大きなエントランスをくぐって中に入りますと、……様子は思い思いご想像していただきたいのですが、私の印象としましては、「とてつもなく広い」の一言でしょう。その時、声が聞こえたような気がして、吸い寄せられるようにして扉をくぐり、廊下を歩き、階段を登りして、たどり着いたところは、浴室のようです。思い切って中に入りますと、5人のご主人様、……まだ幼さの残る美しいお顔立ちでいらっしゃいます5人の少女たちが、プールのような広い浴槽の中でゆったりと湯に浸っておいででした。
「服を脱いでこっちにおいで」
と言われた私は、何がなんだか分からないままに服を脱ぐと、浴室へ入って行きます。しかし、その時私はあることにようやく気づいて、歩みを止めそうになりました。……牛乳のような優しい匂いが浴室中に漂っているのです。膝を崩しそうになるほど強烈に匂ってくるその香りは、浴槽に近づけば近づくほど強くなっていくようでした。見ると浴槽の中には白骨の湯のように真っ白な何かで満たされ、トポトポと外へ流れ落ちています。足に流れついたそれは、ぬるぬると粘り気があります。そしてさらに気になったのは、彼女たちの前にある二つの丸みを帯びた、巨大な球体でございました。
呆気にとられる私をよそに、ご主人様たち、……少女たちはプカプカとその球体を浮き沈みなさりながら、惚けた顔でお湯に浸かっていらっしゃいます。先程私をお呼びしたご主人様の前にたどり着いた時、私は心底興奮しておりました。彼女の前にある球体は、彼女の肌と同じ色、同じ質感、そして手が触れる度に自由に変わるほどの柔らかさ、……間違いありません。球体のように見えた何かは、途方もなく大きな女性の乳房、つまりおっぱいでございます。小学生とも取れるご主人様の可愛らしいお顔からは決して想像は出来ないそのおっぱいは、少なく見積もっても直径2メートルほどもあり、浴槽の縁に柔らかく乗り上げています。
「舐める?」
と彼女はおっしゃって、人差し指を差し出しました。私は無礼にもご主人様の指に口を近づけて、猫のようにぺろりと舐めました。濃厚な味と、芳醇な香りと、なめらかな舌触り、……これほどまで美味な飲み物はこの世には無いでしょう。喉の渇きに耐えかねて木の実でごまかし続けた私の喉は、たったそれだけで潤されてしまいました。
それからしばらく、面白がって同じことをなさり始めた他のご主人様の指を舐め続け、彼女たちが満足された頃合いにはすっかり生気を取り戻したような気がします。にっこりと微笑むご主人様の視線を受けながら、まだ物足りない私は、浴室に流れ出たその白い液体を這いつくばって舐めました。見上げると、彼女は慈しみに富んだ目で私を見下ろして来ておりました。
「ふふ、満足した? よかったよかった。じゃあ、早速最初の仕事、お願いしちゃおうかな。でも、その前に自己紹介しようね」
と言って、他のご主人様をお呼びになる。
「みんなー、おもちゃがやってきたよー」
「あゆみちゃん、おもちゃって言ったらダメですよ。ちゃんと執事って呼ばないと」
と、一人の大人しそうなご主人様が言う。
「あー、はいはい。ほら、執事くん? お姉ちゃんのおっぱいにおいで」
ご主人様の手が伸びて来ました。女の子らしい小さくしなやかなその手は、そっと私の手を掴むと、信じられない力で一気に浴槽の方へ引き込み、私を胸元へ勢いよく倒れ込ませます。なんとか身を翻した私は、彼女の吐息を耳元に感じながら、とてつもなく柔らかいおっぱいに包んでいただく状態になりました。……本当に包まれておりました。顔こそは出ているものの、首から下は足先の方まで余すこと無くご主人様のおっぱいの感触が伝わってきております。
「キャハハハハ、かわいい!!!」
「惚けた顔をしちゃって、まぁ。……」
「ダメですよ、みんなそんなに見つめちゃ。……ほら、恥ずかしがってるじゃありませんか」
「ねー、ぼく? ぼくはどこから来たのかな? おなまえは?」
「あ、そうだそうだ。名前だ。執事くんの名前はなんて言うの?」
と背後から声がかかったので、私は名前をご主人様たちに申し上げます。すると彼女たちもご自分の名前をおっしゃり初め、数々の質問を私になさりました。
「じゃあ、もう掃除用具の場所は分かってるよね? あなたの初めてのお仕事は、この浴室を綺麗にすること。それが終わったら変態ども、……じゃなかった。使用人用の食堂で食事を取った後、疲れてるでしょうから、もう部屋で寝なさい。分かった?」
このとき、私はこの館の間取りを教わってはおりません。しかし、なぜか頭の中には次の目的地がしっかりと焼き付いておりました。私の体を谷間から引き抜いたご主人様は、ひどく惜しい顔をしている私の顔にキスをされると、
「おやすみ」
と一言だけおっしゃってから、扉におっぱいをめり込ませながら、浴室から出ていきました。
こうして、私の執事生活は始まりました。ご主人様たちの失礼のないように気を張る必要はあったし、彼女たちのブラジャーを洗うのは一筋縄ではいかなかったのですが、業務は単純、衣食住は完備されている、ご主人様たちは普通の女性の何百倍ものおっぱいを持っているけれども、何一つ不満をお漏らにならないほど心強く、私にお気遣いなさるほど優しく、私をドギマギなさるほど可愛くいらっしゃり、そもそも館そのものが広くて快適でした。……第二の人生としてはこれほどない好待遇、私は奇跡を目の当たりにして、浮かれてしまっていました。
――ええ、終わったのです。私は恐怖のどん底に再び落ちることになりました。ある日、
「今日はお客さんがたくさん来るから、そのつもりで居てね!」
と声をかけらた私は、いつものように勝手に頭の中に入ってくる業務内容をこなし、おっしゃられた通り10人分の人間用の食事を作りました。程なくしてご主人様たちが賑やかになっておいでになると、エントランスの方で扉の開く音がします。
「あなたはこれから、あの変態、……じゃなかった。あの人達を食堂に案内しなさい。食べ終わったら浴室の方へ連れて来るように」
と仰せられるので、私はその通り彼ら、……男ばかりでした。おそらく私のようにこの館に迷い込んだ人たちでしょう、数えてみるとぴったり10人でございまして、私は彼らに先程作った食事を提供した後、私とご主人様たちが最初に出会った浴室の方へ連れて行きました。
「ここから先は、執事くんにはきついよ? 本当に居るつもり?」
「お姉ちゃんと一緒に部屋まで行こう、ほら」
彼女たちはどういう訳か私を追い出そうとしていらっしゃいました。ですが怖いもの見たさと言いますか、私はここに残ることにしまして、ご主人様の許可を得てから、浴室の隅で静かにこれから起こることを見守ることにします。
結論から言えば、後悔しかありません。ご主人様たちは男たちを一列に並ばせて、こう言いました。
「突然だけど、これから懲罰を施行しまーす」
可愛らしい声、狼狽える男たち、呆気に取られる私。ご主人様たちはのんびりと伸びをなさったり、楽しげな声でお喋りをなさったりして、男たちに近づいて行きます。自分の体以上もある少女の乳房を見て彼らは何を思ったのでしょう、気持ち悪いと感じたのでしょうか、それともまだあのおっぱいを好きに出来ると期待していたのでしょうか。どちらにせよ、ご主人様のお言葉には嘘はありません。次の瞬間には、浴室は地獄となっていました。
ある者はご主人様のおっぱいに壁際まで押しやられてそのまま潰されてしまいました。
ある者はご主人様のおっぱいに何度も何度も壁に打たれて肉塊となってしまいました。
ある者はご主人様のおっぱいに上から押し付けられて浴槽の中で溺死してしまいました。
ある者はご主人様のおっぱいにハンマーのように打ち付けられて骨すら粉々になってしまいました。
ある者はご主人様のおっぱいに丸ごと挟まれて、全身をパイズリされているあいだにすり潰されてしまいました。
逃げる者を圧倒的な大きさのおっぱいで殴り、倒れ込んだところでおっぱいの下敷きにし、そして暴れまわってもがく者を谷間にはさみながら、うっとりとした顔でじっくり眺めてからあらゆる手を使って殺す。
「キャハハハハ!! それで抵抗のつもり? クソ雑魚ども、もっと力を入れろ!!」
と、普段は髪の毛をポニーテールにお纏めになっておいでになるご主人様は、壁に押し付けた男の体を宙に浮かせながら、最後のもがきをお楽しみでいらっしゃいます。
「すみません、変態さん。でも、私たちこれをやめられないんです」
と、大人しそうなご主人様は男の腕をおっぱいですり潰し、足をおっぱいですり潰し、だるまにしてから、声ならざる声で雄叫びをあげる男に語りかけていらっしゃいます。
「ぼくはどう殺されたい? パイズリがいい? それともおっぱいビンタがいい? んー、ビンタの方が怖そうだからおっぱいビンタでいいかしら?」
と、一番年上に見えるご主人様が男の腕を取って、無理やり立たせます。常識では考えられないおっぱいの持つ彼女らにとって、男を持ち上げることくらい訳ないのでしょう。そんなご主人様が、
「せーのっ!!!」
と掛け声を放たれたのです。ボールのように吹き飛んだ男の体は、次の瞬間には、あまりの勢いに液体となって壁から滴り落ちていました。
私は目の前の光景を黙って見ているしかありませんでした。息すらも止めていたのかもしれません。少しでも動くとご主人様たちに感づかれて、あの男たちのようになってしまう、……そんな恐怖で全く体を動かすことが出来ないのです。が、同時に私の中である一種の感情が芽生えていました。それは、芸術品を見ているような、音楽を聞いているような、そんな口では上手く説明のできない何かでした。なぜそんな感情を抱いたのでしょうか。男を虐殺しているご主人様たちがあまりにも美しかったからでしょうか。それとも私の中で新たな性癖が生まれたからでしょうか。恍惚と男を嬲る彼女たちと同じように、私もまた、恍惚とした表情をしておりました。
ご主人様たちによる虐殺は、ものの5分もかからなかったような気がします。後に残ったのは、血だらけの彼女たちと、血だらけの浴室と、男たちの着ていた服のみ。この時聞いた、女性の甲高く色っぽい声は今でも突然思い出すことがあります。――ええ、そうなのです。ご主人様たちは男たちを虐殺することで、性的な欲求を満たしていらっしゃいます。およそバスト5メートルほどもある巨大なおっぱいを持つ少女たちが、互いの股を弄り合い、母乳を吹き出しながら、エロティックな声で慰め合う光景は、誰しもが目を奪われるに違いありません。
私はこの時決断をしました。……この屋敷から逃げる、と。が、その代償に歯が奥歯以外全て抜け落ちてしまいました。――ええ、おっしゃる通り、この歯はご主人様のおっぱいに打たれたからなのです。まだ奥歯が残っているのは、せめてもの慈悲で、どれほどご主人様が優しい人物でおありなのか、お分かりになりましょう。
さ、みなさん、もう一度再会を祝して、杯を交わしてはくれませんか。――ありがとうございます。
と、男は足を引きずりながら右手で杯を上げると、
「乾杯」
と歯のない口で言った。
その三
さて、皆様、お食事は、……ああ、すみません、すでにお済みでしたか。それにしても何分、急でしたから、たいしたものを出せず、申し訳ございません。――恐縮でございます。まだまだ修行の身ですが、その一言があるおかげで頑張れます。やはり、あなた方は優しい、惜しいほどに優しいです。他意はございません。……
ところで、再会を祝して一杯この私めに盃を傾けてはくれませんか? ――ありがとうございます。さて、そろそろ話を戻すことにしまして、あの日以来、私の身に何が起きたのか、約束通り語ることにしましょう。
まずは自己紹介から初めてもよろしいでしょうか。――ええ、ええ、必要ないとは私も理解しておりますが、今の身分を語っておきたいのです。――名前、……ですか? もはや私に名前など必要ございません、単に「執事」とお呼びください。――ええ、今はこちらの館、……あなた方が迷い込んだこの屋敷で、いわゆる中世ヨーロッパのような執事を生業としております、ほとんど下僕のようなものですが。昔は別の館に仕えていたのですが、その時の名残と言いますか、性に合っていたと言いますか、あの館を後にしてもこうして執事業を続けておりまして、その時の主人が厳格なものでしたから、すっかり口調なども変わってしまいました。――私はもうご主人様に屈してしまったのです。――左様、その「別の館」に仕えていた時が問題だったのです。
冷静になってみれば、かなりおかしな館でした。あの日、死に場所を探し求めて見つけてしまったそれは、山の中にひっそりと佇むお城のような洋館で、壁一つとっても、窓一つとっても、作りが華々しく、ここ日本には全く似合わない雰囲気を辺り一帯に振りまいていました。中からはところどころ光が漏れていまして、誰かがいらっしゃるのは間違いないようです。
死が間近にせまっていた私には、その暖かい光は途方もなく魅力的に見えました。呼び鈴も何も無かったため、思い切って正面にある大きなエントランスをくぐって中に入りますと、……様子は思い思いご想像していただきたいのですが、私の印象としましては、「とてつもなく広い」の一言でしょう。その時、声が聞こえたような気がして、吸い寄せられるようにして扉をくぐり、廊下を歩き、階段を登りして、たどり着いたところは、寝室のようです。中では5人のご主人様、……まだ幼さの残る美しいお顔立ちでいらっしゃいます5人の少女たちが、キングサイズのベッドよりもまだまだずっと大きなベッドの上で、思い思いの体勢で寝ておいででした。
「こっちにおいで」
と言われた私は、その中の一人の元へ歩いて行きます。しかし、その時私はあることにようやく気づいて、歩みを止めそうになりました。……いえ、実際に止まりました。床のいたるところに散乱した白い水たまりに足をすくわれてしまったのです。
「クスクス、……だっさー、……」
見ると白い水たまりは、ぷるぷるとゼリー状になっていました。匂い立つ芳香は、とてもずっと嗅げるほどいい香りではなく、生々しく、それでいて魅惑的で、例えるなら栗の花のような匂い、――ええ、そうです。この白い水たまりとは人間の精液だったのです。しかし、尋常ならざる量でしたから、私は初め、それが精液だとは気が付きませんでした。何せ倒れ込んだ背中にべっとりと付着していたのですから、とても一度や二度の量ではございません。
が、ご主人様たち、……少女たちはそんな匂い立つ部屋の中で、可愛らしい声をお上げになりながら、こちらをじっとりと舐め回していらっしゃいます。先程私をお呼びしたご主人様の前にたどり着いた時、私は心底驚嘆してしまいました。彼女の股からは猛々しいそれが、……男にしか生えてはならない男の象徴とも言えるそれが、キャミソールの裾を持ち上げて、こちらに首を向けて来ていたのです。それは紛うことなき男性器、……しかし男のものとは比べ物にならないほど長く、太く、ご主人様の可愛らしいお顔立ちからは決して想像も出来ないほど獰猛でございます。
「口をお開け?」
と彼女はおっしゃって、私の顔に男性器をお向けになりました。私は無礼にも、一瞬口に入れようか迷ってしまいました。しかし、後頭部を抑えられるや、無理やり口に入れられました。えぐい塩加減と、嫌な香りと、口全体から伝わってくる途方もない彼女の熱、……これほどまで吐き出したい念に駆られた物は、これまでの人生で初めてでございます。空腹に耐えかね、喉の渇きに耐えかねた私の胃袋に、ご主人様の精液が止めどもなく流れ込んできて、私の胃袋はたったそれだけで満たされ、ついには溢れてしまいました。
それからしばらく、面白がって同じことをなさり初めた他のご主人様の男性器も口に含み続け、私の体が精液でドロドロになった頃合いになってようやく開放されたような気がします。にっこりと微笑むご主人様の視線を受けながら、床に散らばった精液を這いつくばって舐めあげました。見上げると、彼女は愉悦に富んだ目で私を見下ろして来ておりました。
「まだ綺麗になってないじゃない。そんなことも出来ないの? 早くきれいにして、と言いたいところだけど、でも、その前に自己紹介しようね」
と言って、他のご主人様をお呼びになる。
「みんなー、おもちゃがやってきたよー」
「あゆみちゃん、おもちゃって言ったらダメですよ。ちゃんと執事って呼ばないと」
と、一人の大人しそうなご主人様が言う。
「あー、はいはい。ほら、執事くん? お姉ちゃんのお股においで」
ご主人様の手が伸びて来ました。女の子らしい小さくしなやかなその手は、そっと私の手を掴むと、信じられない力で私の体をベッドの方へ引き込み、有無を言わせず自身の男性器と私の顔を対峙させます。私は後頭部からかかるご主人様の怪力に、懸命に抗いながら、土下座のような格好で、目の前でヒクつく圧倒的な存在に体を震わせる状態になりました。思えば、彼女たちは私の記憶の中でも、特に残虐性に溢れた子たちでした。体は小さく、外から見れば小学生にさえ見えますが、力はどんな男よりも強いでしょう。眼の前でグランドピアノが一人のご主人様の手によって浮いたのです。それも笑顔で。恐怖に震える私を見て、ご主人様はクスクスと笑みを溢していらっしゃいました。
「キャハハハハ、かわいい!!!」
「キョロキョロしちゃって、まぁ。……」
「ダメですよ、みんなそんなに怖がらせちゃ。……ほら、震えてるじゃありませんか」
「ねー、ぼく? ぼくはどこから来たのかな? おなまえは?」
「あ、そうだね。名前だ。執事くんの名前はなんて言うの?」
と上から声がかかったので、私は名前をご主人様たちに申し上げます。すると彼女たちもご自分の名前をおっしゃり初め、数々の質問を私になさりました。
「じゃあ、もうお風呂の場所は分かってるよね? あなたの初めてのお仕事は、そこで体を綺麗にすること。そしてこの床を綺麗にすること。それが終わったら短小、……じゃなかった。使用人用の食堂で食事を取った後、もう部屋で寝なさい。わかった?」
このとき、私はこの館の間取りを教わってはおりません。しかし、なぜか頭の中には次の目的地がしっかりと焼き付いておりました。私の頭を開放したご主人様は、恐怖で震えの止まらない私を突き放すと、
「おやすみ」
と一言だけおっしゃってから、ヒクつく男性器をパンツの中へ入れてから、部屋から出て行きました。
こうして、私の執事生活は始まりました。ご主人様たちの失礼のないように気を張る必要はあったのですが、業務は単純、衣食住は完備されている、ご主人様たちは男よりも男らしいものを股に生やしているけれども、基本はただのいたずら好きな女の子で、時々私ごときを気にかけるほど優しく、この世の少女とは思えないほど可愛らしいお顔立ちをしていらっしゃり、そもそも館そのものが広くて快適でした。……第二の人生としてはこれほどない好待遇、私は奇跡を目の当たりにして、浮かれてしまっていました。
――ええ、終わったのです。私は恐怖のどん底に再び落ちることになりました。ある日、
「今日はお客さんがたくさん来るから、そのつもりで居てね!」
と声をかけらた私は、いつものように勝手に頭の中に入ってくる業務内容をこなし、おっしゃられた通り10人分の人間用の食事を作りました。程なくしてご主人様たちが賑やかになっておいでになると、エントランスの方で扉の開く音がします。
「あなたはこれから、あの短小、……じゃなかった。あの人達を食堂に案内しなさい。食べ終わったら寝室の方へ連れて来るように」
と仰せられるので、私はその通り彼ら、……男ばかりでした。おそらく私のようにこの館に迷い込んだ人たちでしょう、数えてみるとぴったり10人でございまして、私は彼らに先程作った食事を提供した後、ご主人様たちが度々会してお楽しみになる寝室へと連れて行きました。
「ここから先は、執事くんにはきついよ? 本当に居るつもり?」
「お姉ちゃんと一緒に部屋まで行こう、ほら」
彼女たちはどういう訳か私を追い出そうとしていらっしゃいました。ですが怖いもの見たさと言いますか、私はここに残ることにしまして、ご主人様の許可を得てから、寝室の隅で静かにこれから起こることを見守ることにします。
結論から言えば、後悔しかありません。ご主人様たちは男たちを一列に並ばせて、こう言いました。
「突然だけど、これからあなた方をレイプしまーす」
可愛らしい声、呆れ笑う男たち、呆気に取られる私。ご主人様たちはグングンと股にある男性を大きくしながらのんびりと伸びをなさったり、楽しげな声でお喋りをなさったりして、男たちに近づいて行きます。自分の二倍以上ある少女のそれを見て彼らは何を思ったのでしょう、恐れおののいたのでしょうか、それともまだあのか細いお体を見て余裕を持っていたのでしょうか。どちらにせよ、ご主人様のお言葉には嘘はありません。次の瞬間には、寝室は地獄となっていました。
ある者はご主人様の男性器に心臓をつきぬかれて死んでしまいました。
ある者はご主人様の男性器に口を貫かれ、腹部を精液で破裂させられて死んでしまいました。
ある者はご主人様の男性器にお尻を貫かれ、これもまた腹部を精液で破裂させられて死んでしまいました。
ある者はご主人様の男性器を手で上手く気持ちよく出来なかったために、激しく犯されて死んでしまいました。
ある者はご主人様の男性器を耳に入れられ、脳を直接犯され、脳に直接精液を注がれて死んでしまいました。
逃げる者を圧倒的に強靭な足で追いかけ、圧倒的な怪力で後ろから抱え上げ、そして暴れまわる者を、逆駅弁の体勢でじっくりといじめてからあらゆる手を使って殺す。
「キャハハハハ!! それで抵抗のつもり? クソ雑魚ども、もっと力を入れろ!!」
と、髪をポニーテールにお纏めになったご主人様は、男の髪の毛を掴み、無理やり顔を前後に動かして口を犯しながら、最後のもがきをお楽しみでいらっしゃいます。
「すみません、短小さん。でも、私たちこれをやめられないんです」
と、大人しそうなご主人様は男の腕を引き抜き、足を引き抜き、まるでオナホールのようにその体をもてあつかいながら、声ならざる声で雄叫びをあげる男に語りかけていらっしゃいます。
「ぼくはどう犯されたい? お口がいい? それともおしりがいい? んー、みんなお口を犯してるから、お尻の方にしようかな?」
と、一番年上に見えるご主人様が男を四つん這いになさり、泣き叫ぶ男の声にうっとりとした顔を浮かべながら、お尻に自身の男性器を入れます。おぞましいまでの音を立てながら犯される彼の体は、もはや男性器に支えられているのか、ぶらぶらと手足が揺れています。そして、
「んっ、ふぅ、……」
とご主人様が色っぽい声をお上げなさった途端、彼の体は二倍にも三倍にも膨らみ、白い精液と、赤い血を当たりに撒き散らしながら床に力なく倒れてしまいました。
私は目の前の光景を黙って見ているしかありませんでした。息すらも止めていたのかもしれません。少しでも動くとご主人様たちに感づかれて、あの男たちのようになってしまう、……そんな恐怖で全く体を動かすことが出来ないのです。が、同時に私の中である一種の感情が芽生えていました。それは、芸術品を見ているような、音楽を聞いているような、そんな口では上手く説明のできない何かでした。なぜそんな感情を抱いたのでしょうか。男を虐殺しているご主人様たちがあまりにも美しかったからでしょうか。それとも私の中で新たな性癖が生まれたからでしょうか。恍惚と男を嬲る彼女たちと同じように、私もまた、恍惚とした表情をしておりました。
ご主人様たちによる虐殺は、ものの5分もかからなかったような気がします。後に残ったのは、血だらけの彼女たちと、血だらけの寝室と、男たちの着ていた服のみ。この時聞いた、女性の甲高く色っぽい声は今でも突然思い出すことがあります。――ええ、そうなのです。ご主人様たちは男たちを虐殺することで、性的な欲求を満たしていらっしゃいます。およそ男の何倍もある巨大な男性器を持つ少女たちが、互いの股を弄り合い、エロティックな声で慰め合う光景は、誰しもが目を奪われるに違いありません。
私はこの時決断をしました。……この屋敷から逃げる、と。が、その代償に左腕を失ってしまいました。――いいえ、違います。私はご主人様に勇気を出して、この屋敷から出たいと申し上げました。この腕はその時激高したご主人様に犯された際に、あまりにも抵抗してしまったために握りつぶされてしまったのです。まだ右腕が残っているのは、せめてもの慈悲で、どれほどご主人様が優しい人物でおありなのか、お分かりになりましょう。
さ、みなさん、もう一度再会を祝して、杯を交わしてはくれませんか。――ありがとうございます。
と、男は足を引きずりながらテーブルに近づき、右手で杯を上げると、
「乾杯」
と歯の抜けた口で言った。
その四?
さて、私はみなさんに一つだけ嘘をつきました。何でござりましょう。常識では考えられないような15人のご主人様たちと日々を送っておりますと、私自身もまた、常識では計れないような人になってしまったようでございます。あの日、私の運命は決まったようなものでしたが、ご主人様たちはあまりにも慈悲深く、チャンスをお与えになりました。本当ならば私はとっくの昔に、ご主人様の手によって肉塊にされていたことでしょう。
ところで、今夜皆さんにお集まり頂いたのは他でもありません。道に迷ったかと思いましたか? それは違います。ご主人様たちがそう思ったからここに来たのです。ご主人様たちが、あなた方をここに来るよう仕向けたのです。おそらくは突然旅行に行こうなどと思いついて、なぜか山の中にある温泉地を目指すことになったのでしょう。しかし、地図をごらんなさい。そんなものはこの辺りにはありません。ここは、鬱蒼と生い茂った木々を分け入って、道なき道を歩んでようやくたどり着けるおかしな洋館、……そこでは常識では考えられないような少女たちが、現世を離れて暮らしていると、知っている人は知っています。あなた方は、そんな少女たちがお望みになられた通り道を間違い、疑問にも思わず山道を歩いてここまで来たのです。
では、私はここまでで失礼することにしましょう。そろそろ、ご主人様たちがここへおいでになります。粗相のないよう、お気をつけください。
と、執事が歯のない口で言って、片腕で食事の入っていた皿を片付けて、足を引きずりながら出て行ってしばらくすると、男たちの背後にある大きな扉から、ざわざわと嬉しそうな話し声が聞こえて来た。
(おわり)
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