物干しの足が折れてしまい、男の子達が修理してくれましたが。。。 小さい子ども達が遊んでいて足に乗ってしまい、また折れて実はこれ2回目の修理中! 次折れたら、やっぱり溶接かな🤔って思ってます。 子ども達もいろいろなお手伝いを通して、出来ることが増えてきてるのは、嬉しいことです😊 #物干し #足が折れて #男の子達が修理 #小さい子ども達 #遊んでいて足に乗ってしまい #また折れて #2回目の修理中 #次折れたらやっぱり溶接かな #いろいろなお手伝いを通して #出来ることが増えてきてる #嬉しいこと #カンボジア #孤児院 https://www.instagram.com/p/Cla806LJ39v/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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「彼が会いに来ない理由」
「彼が会いに来ない理由」【Chapter2】
"Why He Doesn't Come to See Me"
Chapter1はこちら↓
ーChapter2
夜ベッドに入る前、コーヒーを片手にホブは今日のことを思い返していた。ふと誰かの気配を感じ顔を上げてみると、変わらぬ姿の彼が目の前にいた。込み上げてくる嬉しさに笑顔が抑えられなかったのを覚えている。
ここ100年ほどの間、彼には多くの困難が降りかかっていた。それによって引き起こされた問題もいろいろとあったそうで、最近やっとその後片付けが済んだそうだ。今は身の回りや自分に起きた変化を受け入れ始め、前を向いている様子で少し安心した。
“変化”そう、変化だ…。今日1日ホブが強く感じたこと。捕らえられた100年あまりの時間と、それに伴う環境の変化が彼をどこか丸くしていた。ホブに対する謝罪の言葉と“友人”という言葉、以前では考えられないものだ。プライドの高い彼はこれまでなかなか自分の気持ちに素直になれず、その反面心の底ではずっと誰かとのつながりを求めていたのかもしれない。その気持ちを受け入れることができた結果彼は会いにきてくれた、ホブにとっては嬉しい変化である。そういえば、姉に会いにいくことを勧められたと言っていたな。いつかそのお姉さんにお礼を言わなければ、なんで俺のことを知っているのかは分からないが。
そしてもう1つ気になる変化があった。これが問題なのだ。
『別にダメとは言ってない。少しその、確認しただけだ…』
『久しぶりの食事だ、せっかくだし君の好きなものを私も食べてみたい。』
『また、会えないか?その…100年後ではなくもっと近い日に』
時折彼の口から出る発言がなんだかホブをドキッとさせるのだ。それだけではない。ほんのりと赤らんだ耳、夕日に照らされた顔、別���際の照れくさそうな表情、会話中じっとこちらを見つめる目…その全てが、なんというか…ホブを勘違いさせるのだ。
“彼も”好いてくれてるのではないかと。
薄々気づいてはいた、彼に会えなくなってからはより一層。自分は彼に友人として、そして同時に“友人として以外の好意”も抱いているのだと。
今日のあの態度を見ていると、心のどこかに潜めていた想いがどんどん出てこようとする。だが、この気持ちを伝えたからといってどうなるのだ。彼は今後も変わらぬ様子で自分に会いにきてくれるのだろうか。長年の友人に突然好きだと言われ、何食わぬ顔で酒を酌み交わし食事をするのも難しい話だろう。せっかく彼に友達と言ってもらえたのだ、今の関係を崩すようなことは正直したくない。それに、自分の気持ちを伝えたせいで彼と今後会えないなんてことになったら俺はそのことを一生ずるずると引きずり続ける気がする…。とりあえず、今はこれまで通り過ごそう。気持ちを伝えたくないと言えば嘘になるが、どんな関係であれ彼とああして一緒に過ごせるだけでも十分幸せなんだ。
ホブはすっかり空になったマグカップを片づけ、気持ちを切り替えるように一度深呼吸をして眠りについた。
――
9月某日
待ちに待ったひと月後は、大学での忙しない日々のおかげで案外すぐに訪れた。
酒場に着くと彼はすでに席で待ってくれていた。いつもと変わらぬ黒に身を包んで、満杯のグラスを静かに見つめている。
「よお、モルフェウス。待たせてすまない。」
「やぁ、ホブ。私もさっき来たところだ。」
「先に飲んでくれてて良かったのに。俺も早く何か頼もう。」
忙しなく席についたホブはメニューを手に取ることもせず、そばにいた店員に酒を注文した。
「大学の仕事が忙しいと言っていたが、ひと段落ついたのか?」
半分ほど減ったグラスを片手に、モルフェウスがそう言った。
「あぁ、とりあえずな。秋学期が始まってすぐだから、学年ごとに違った講義のアプローチを考えたり資料作ったり。新入生も多いから特にセミナーとかの少人数の活動の時は、個人の特徴をいろいろ観察して。新しく入ってきた教授も多いから、授業の段取りとか生徒の様子話したりもしてたよ。新学期は新しい空気で溢れてて楽しいけど、試行錯誤の連続で大変だな。」
「新しい環境は刺激があっていいか?」
「もちろん!人や環境の変化は新鮮で、いつの時代も退屈しないよ。まぁ良い時だけじゃないけどな、栄枯盛衰っていうのか。今の時代の大きな変化でいうならコロナだよなぁ。今年あたりからやっと普段の生活に戻ってきたけど、大学も去年までリモートで仕事してたよ。」
「確か人々が直接会わずに活動することだな。」
「そうそう、パソコンとか電話とか使って。感染症の対策にもなるし移動時間の手間も省けたりで便利だけど、俺はやっぱ直接人と会う方が好きだな。」
「君は本当に誰かと関わることが好きなんだな。それほど生きていても、まだ飽き足りないといった様子だ。」
「まぁな、それが俺の性分なんだろう。」
「真摯に人と向き合える君のことだから、大学で慕ってくれる生徒も多いんだろうな。」
「真摯に向き合えてるのか自分じゃ自信ないよ、そう努めてはいるけど。人と関わる上で今だに失敗することも多いし。」
自嘲気味に笑うホブをモルフェウスは優しい表情で見つめていた。
「でも、何人か慕ってくれてる生徒はいるよ。そうそう、2年生の学生で1人親しい生徒がいてね。その子とは普段から歴史についてよく意見を交わしたり、他愛の無い話をしたりしてるよ。ヨーロッパ史にも興味があるみたいで、いろいろと教えてあげてる。」
「その子はいい教授と出会ったな。“本当の歴史”を学べるのだから。」
「はは、そうだな。まぁその子はそんなこと思ってもみないだろうけど。」
だって、彼らが本当の歴史を学んでいること��知っているのは目の前に座るこの男だけなのだから…。
――
12月某日
何度目かの飲み会を終えた2人。季節はすっかり色を変え、凍える寒さと肌を刺すような冷たい風が吹いていた。高くなった空には沈みかけの夕日と広がり始めた夜が共存しており、そのグラデーションはなんとも美しかった。
隣で白い息を吐く友人、その頬は少し赤みを帯びている。寒さを感じないであろう彼の服は人に溶け込めるよう冬仕様になっていた。その真っ黒のコートと彼の白い肌が夕日に照らされホブの目に映る。そして、どこか思い耽るような彼の表情に見惚れてしまっていた。
「なぁホブ。」
「んっ、なんだ?」
彼からの呼びかけに内心慌てながらも返事をする。自分は今どんな表情で彼を見つめていただろうか。大丈夫、横目だったし気づかれてはいないはず。そんなことを考えながらホブは隣を歩く友人の方を向く。
「帰る時、君はいつも私を見送ってくれるだろう。だから今日は、私が君を見送ろうかと思っていたんだ。酒場から家は近いと言っていたし、もう少しついて行ってもいいか?」
「本当に?もちろんいいさ…!ここからなら10分もかからないぐらいだよ。そうか、なら今日はもう少し話していられるな。」
ダメなわけがない。彼との時間を思い返す帰り道もいいが、一緒にいられる方がいいに決まっている。嬉しくなったホブは思い切ってある提案をしてみようと、少し緊張しながら口を開いた。
「なぁモルフェウス、次会うことについてなんだけどな。その…次はひと月後じゃなくてクリスマスにでも会わないか…?」
「クリスマス、人間が降誕祭としている記念日のことか。でもなぜその日なんだ?」
「クリスマスってのは家族とかそういう大切な人と過ごす日なんだ。いつもより豪華な料理を囲んで、酒飲んだりデザートをつまみながらゆっくり過ごす。俺は家族や親戚なんてもんはいないし、クリスマスムードの街を眺めながらまったり酒を飲むのも悪くないから大抵1人で好きに過ごすことが多いんだ。でも今はこうして気心の知れた友達がそばにいるんだし、せっかくなら一緒に過ごすのも楽しいかなって。もちろん君が嫌なら全然断ってくれて構わない…!どうかな。」
「そうなのか…私は別に構わない。では次はクリスマスに会うとしよう。」
優しい表情でそう答えるモルフェウス。ほんの一瞬見えたどこか寂しそうな視線は、彼が瞬きをすると消え去っていた。
2人がそんな約束をしているうちに、気づけばもう家の前だった。空はすっかり深い黒になっており、辺りは街灯に照らされていた。
「わざわざここまでありがとう、いつもより長く話せて楽しかったよ。月末楽しみにしてる。」
「私も楽しみにしている、誘ってくれてありがとう。じゃあ…おやすみ、ホブ。」
冬の夜は一段と冷え込むが、彼の穏やかな声と笑みはそんな寒さを和らげてくれた。
「あぁ、おやすみモルフェウス。」
玄関ドアに向かうホブは立ち止まって、ふと彼がいる方へ振り返った。そこにあるのは吸い込まれそうな夜の闇と地面を舞う砂だけだった。
―あとがき
「彼が会いに来ない理由」Chapter2を読んで下さりありがとうございました!
今回は2人がクリスマスの約束をして終わりでしたね。モルフェウスの意味深な視線もありましたが、その意味がわかるときはくるのでしょうか…
Chapter2を書くにあたって、イギリスの大学について色々調べていました。ホブさんのセリフで秋学期(Autumn Term)という言葉が出てきましたが、イギリスの大学では3学期制が一般的で9月〜12月を秋学期としているそうです🍂 ですが学校によれば9月〜1月を1学期とするところもあるみたいですね。
さて、次回はクリスマス!順調に仲を深める2人ですが、今後どう発展していくのでしょうか?お楽しみ!
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ある画家の手記if.90 名廊情香/雪村絢視点 告白
絢に簡単に語った、私と直人との馴れ初め話。
端折ってるってことも言ったはずだ、あれじゃあ私のほうがヤバい人間だってことも。
なにせ不穏な話だから絢の不安感ばっか煽っても話す意味がないかと思って、直人のことを教えるつもりで話した。私のことは誰も知らなくていい。
あのあと慧と会って直人の様子なんかを聞いたけど、どうやら直人にもまだ私の知らないものがあった、それで本人もきっと知らないまま生きるだろうって慧は言ってたか。記憶の抜け。
聞いた感じの第一印象は解離性同一性障害、慧もそんな把握でいた。病名ってのはてっとり早いもんだな、注意点や問題点がもうはっきりしたみたいだ。
って慧にも言ったら
「俺はお前ほど強くねぇからな、心細いから言葉になおす、よすがが欲しくなる」
…そう言っていた。
慧は言葉で武装してる。誰にでも通じる理解しやすい万人へ向けた話し方をする。講義を仕事にする人間としては最適なんだろう。社会的な場でのコミュニケーションにおける強者。
実態は、他者と肉体で関われない分の空虚をそうやって宙に吐いた言葉で補ってる。補うつもりが虚しくなって、言葉にすればするほど、人と人の体が離れていく。…慧はそういう、話し方をする。
誰もが慧に“他人”として適切な距離感からしか触れられなくなる。言葉の通じない直人にそれはまさしく通用しなかった。それで直人は大学時代、慧に躊躇せず踏み込んだ。
悲惨な結果に終わったし、慧は誰も愛せないと自認してるけど、私はそうは思わないな。正確には、それで終わってほしくはないな。
私の願望だ。
人生に愛の要らない人間もいるだろうが、平然としてるふりが板についてるけどあれで直人以上に寂しがりなのは充分わかるよ、あのガランとした冷たい部屋に一人で居てシェーズロングに腰掛けずに寄り添うように床に座って寝てる
そういうとこ見てると そう思うよ
今日会う人間にも、肩書きから入るつもりはない。
私は名廊情香だけど、姓も名も大した意味はない。だから名廊香澄の母親としてでもない、名廊直人の妻としてでもない、私の感じた不快感とただ守りたいもののために。
相手が手段を選ばないんなら私も武装する必要があるんだろうな。
チューイングガムを噛みながら服を着替えて、自室の棚からそういう時のものを出す。よくしなる頑丈な皮のベルト、腕時計の中に刃物、シャツの襟やブラの中に薄いのを一応入れておく、水に溶ける薬も。要らないならそれでいい。
ほとんどの道具は置いてきた。
絢から聞いた感じ世間的にはカタギらしいからテーブルの裏から拳銃が出てくるなんてことはないだろうし、ならなるべく身ひとつのほうが私の気が楽だ。いざとなれば素手でもいけるし、生活空間なら相手の部屋の中になんか使えそうなモンはあるだろ。
シャツの下にデニムを履いてベルトを締めて、長めの丈のコートを羽織った。人間の頭蓋骨を殴っても折れない頑丈な素材にヒールの部分だけ変えてもらった編み上げブーツの革紐をしっかりくくって締めていく。噛んでいたガムを口から出して奥歯だけに着けるマウスピースに仕込む。
ここまでの警戒がかえって非礼にあたるような相手なら、その方がいい。そういう可能性もある。
不快感を薙ぎ払いたいのか、なら私は薙ぎ払って得られる快感のためにこうするのか、…そういうことを考え始めると、慧の在り方は少し羨ましいよ。こんなときは特に。武装なんて初めからできないほうが。すべてが言葉で済むならそれが一番だ。
車に乗る。
私の愛車はメルセデスベンツだ。それも少し古い型で、頑丈さに定評がある。普通の日本車に車体をぶつければほぼ100パーセント相手の車のほうが潰れる。
簡単に潰れるのは中の人間を衝撃から守るためだ。潰れなかった硬い車に乗った人間が車内でどうなるか。私は車種を選ぶときそこに重きを置かなかった。これまでこの車に乗るのは私一人だったから。
強くあればよかった。そのための健康と、鍛えた体、リズムの整った衣食住、バランスのいい食事、動きやすい服。
脆いから周りを壊してしまう、力だけ持ってる直人。関わりたきゃ必要なときはあの巨躯を圧倒できる程度にはしておかないと。
でもそういう部分も少し改めなきゃいけないんだろうな。
一年前にはコイツを直人に貸したし、この前は香澄と絢を乗せた。…守り方を、変えていかなきゃ守れない人間もいる。
絢と電話で打ち合わせて決めた時間に間に合うように相手の家まで車を走らせる。
絢も同席すると言ってた。
私がむこうの家に直接訪ねるのは絢の事情を考えればリスキーなんだろうけど、あいつはあいつで無茶するからな…。慧が少しなだめるようなことを言ったらしいけど。
***
時間が近くなってきてからは、部屋の窓から外を見てた。
情香さんがそろそろ来るはず。
見てると近くのパーキングエリアに黒いベンツが停まって、情香さんが降りてきた。
不審じゃない程度の早足でうちに歩いてくる。黒のレザーコートがこんなに似合う女の人いるの…
俺がよく見知ってる女性って桜子さんとか桜とか歴代彼女とか、みんななんかふわっとしてる感じの人が多かったから、情香さんはいまだにちょっと未知の生き物感ある。
「あやー、もうくる?なおとくんのかのじょ」
俺の背中に飛び乗ってきた光さんをおんぶしながら、この人のほうがもっと未知の生き物だった…とか思う。
情香さんが34歳とか言ってたっけ…? 光さんのほうが歳上じゃん。
「ん。もう来るみたい。姿見えたし。あと彼女じゃなくて奥さんね」
「そのひとも絢の友だち?敵じゃないひと?」
光さんにも俺は、前の家のこととか話した。
詳しくは話してないけど、光さんが人質にとられたり危害を加えられたり…とかは、あの家で誠人さんが感知してる範囲では起きないと思うけど。
でも俺と真澄さんならどうにか切り抜けられる場面でも、光さんは体格的にどうにもならないようなことが多そうだから。
話したら光さんは正座して真剣な顔で向かいあって聞いてくれた。
「なるほど。絢にはかえりたくない家があって、敵に追われて逃げている。それでここにせんぷくしている。」
って言った後で、光さんは眉を下げて滅多にしないような泣きそうな顔して聞いてきた。
「…じゃあ追われなくなったら絢はどこかにいっちゃうの? ここにいるのはそのためなの?」
光さんはすぐ後ろのソファに座ってた真澄さんのほうにも振り返って、俺と真澄さんを交互に見た。不安そうに彷徨う視線に、真澄さんは何も言わない。
だから俺が言った。
「安全になっても俺はずっとここにいるよ。ここにいるのは隠れるためだけじゃなくて俺の意思だから」
本当のことだ。死ぬまで一生ここに居るかどうかは誰にも断言できないことだけど、今は、今の話をすればいい。
「絢も真澄のことがすき?」
真正面から聞かれる。光さんはこういうとこ物怖じしないというか、一周して逆に気遣われてんのかなとか、まだ謎だったりする。俺は笑って答えた。
「うん」
泣きそうだった光さんの目がぱっと開いて笑顔になる。そのまま笑って後ろにいた真澄さんの膝の上によじ登って、真澄さんの頰を小さな手で挟んで至近距離から顔を覗き込んでる。
「真澄も絢のことがすきだよね」
「うん」
………。なんかすごいこと訊かれてたし簡単にすごい返事された気がする…
光さんは「真澄がいいこだ!」って真澄さんの首にぎゅっと抱きついてた。
「今日来る人は敵じゃないよ」
背中の光さんに言ったら警戒心より好奇心のほうが上回ったみたいに目���きらきらさせてた。
インターホンが鳴った「俺が出る」「わたしも」
光さんも一緒に玄関まで行った。
「情香さん、いらっしゃい」
扉を開けて情香さんを出迎える。お土産にお菓子もらった。
「お邪魔します。長居はしないから」
この前会ったときと何も変わらない、ちょっとだけ服装がかっちりしてるけど、他人の家に初めて訪問するときってそんなもんかな。
「なんかかわいい服着てんな。部屋着だといつもこうなのか?」
情香さんが俺の服を見て言う。
「これ、ジェラートピケってやつ。光さんが買ってくれた。俺に似合うって」
「光さん?」
「わたしです。」
俺の背中にきれいに隠れてた光さんがくるっと体を翻して情香さんの前に出た。
玄関で靴を脱いで端に揃えて上がる情香さんは光さんを見て目を瞬かせてる。そういえば光さんが居ることはまだなにも話してなかった。
光さんはじっと情香さんを見つめて「ジョーカちゃん。なおとくんの奥さん。」って言った。
「初めまして。お邪魔します。あなたは直人を知ってるの?」情香さんは優しい目で光さんに話しかける。
「なおとくんはわたしの義理のむすこで、人間を高次に導くものを探求するなかま。」
こういうことにこにこしながらも真面目に言うから、俺は慣れてきたけど、情香さんはさらに目を丸くして首を傾げてた。
情香さんをリビングに案内したら真澄さんはお茶いれて待っててくれた。
促されて情香さんは軽く会釈をしながらコートを脱いでソファに座って、コートは俺が受け取ってハンガーにかけといた。
真澄さんと向かい合って座った情香さんが先に挨拶した。
「初めまして。名廊情香と申します。突然の一方的な申し出を快諾していただいて、ありがとうございます」
情香さんの話してたことからして微妙に剣呑な空気になるのかと思ってたけど、情香さんは普段より優しく穏やかに笑ってる。真澄さんも空気感を合わせるみたいに返す。
「初めまして。私が雪村真澄です」
真澄さんのとなりに光さんが座ったから、真澄さんは少し顔を傾けて光さんのことを示す。「妻です」
「こんにちは。」
笑顔で情香さんにもう一度ちゃんと挨拶する光さんに情香さんは微笑みで返す。すぐに真澄さんにまっすぐ戻された視線に応えるように真澄さんが切り出した。
「直人さんとは何度か面識がありますが貴女にお会いするのは初めてですね?」
「ええ、そうなります。戸籍上は直人の妻で香澄の母ということになりますが、今回は個人的にあなたにお聞きしたいことがあってこうしてお訪ねしました。ただ、絢の身の上を考えるにあたって私がここに長居するのは好ましくないのではないかと思います。失礼ですが、当たり障りのない話は省いて、早速本題に入ってもよろしいですか?」
…情香さんの聞きたいこと。俺はまだ真澄さんにそのことはなにも訊いてない。俺の事情について俺が独断で情香さんに勝手に喋ったことは真澄さんに全部報告した。誰がなんの情報を持ってるかは共有しといたほうがいい。
「はい」
「では。今からちょうど一年ほど前、自宅に居た香澄が突然行方不明になりました。香澄のケータイから追って一人の該当人物に行き当たりました。該当者の名前は香澄のケータイの表示では雪村真澄となっていましたが、これはあなたのことで間違いありませんか」
「ええ」
表情は変わってないのに情香さんの目が一瞬だけ光ったような気がした。
「直人に連れ帰られた香澄は満身創痍と言っていい状態でした。山中で逃走するためにかなり無茶をしたようで、その怪我もあったでしょう。ただ、香澄の首には人為的に絞殺されかけた痕がありました。香澄に問い質したところ、それはあなたの行動によるものだと。それは事実ですか」
人為的に、殺されかけた痕 絞殺。…痕が残るほどの
「満身創痍…」
真澄さんの言葉に微動だにせずじっと聞き入る、いまだに穏やかな笑顔の情香さんが少し怖い気がした。
「事実ですよ。…いや、…」
真澄さんが一度口元を手で覆って、言葉を途中で彷徨わせた。…珍しいな。話してて言い淀みそうなときはいつも最初から黙ってるのに。
「満身創痍という表現では食い違いがあるかも知れませんね。全身打撲と身体中に裂傷、筋肉の断裂、低体温症、裸足で走った足の裏は肉が抉れていました。足を骨折していて手術をしています。しばらく発熱が続き、意識が混濁した状態で直人に会おうと入院した院内を歩き回り、ベッドに拘束される処置を施されました。満身創痍とは、このような状態でした」
まだ詳しく聞いてなかったことがどんどん出てくる。俺が聞いたのはどっちかというと直にぃの行動とか体に残った後遺症のこととかだったから。
ーーーー殺されかけて 逃げ延びた …
「あなたにされたことから逃れるための行動としてはごく自然に思えますが、あなたはどう思いますか。…いえ、行動するとき、あなたはどうお考えになりましたか」
「自然でしょうね。私はあの子の話を聞こうとはしませんでしたから」
真澄さんが…香澄の話を聞かなかったのは 香澄が意思を持たないと…自分ではなにも判断できないと思ってたからなんじゃないか
…横から口を挟もうかと思ったけど、情香さんは俺のほうを一度も見ない、それだけで���「お前は今は黙ってろ」って言われてる気がした。そしたら真澄さんが言ってくれた。
「私はその自然な反応をあの子ができると思っていませんでした」
…よかった。自分をちょっとでもフォローするような言葉を真澄さんは避けがちだから
「…絞殺されかけた…ことを、あの子は自分の口でそう言いましたか」
「言っていません。香澄は、首を絞められた、とだけ言いました。それも私が問い質してようやくです。香澄の中に絞殺という言葉は今も浮かんですらいないでしょうね。夫の直人にもその発想はないかも知れません。ただ、首に痕が残るほどの締め方は本来ならお戯れでは済まないことのはずです。ただでさえ人体の急所を集中して狙っているのですから、そこに死という結果と殺意がないというほうが、無理があるかと私は考えましたが。何か見当違いな部分があったら忌憚のない答えをいただければと思います」
情香さんは…落とし所を探しにきてるのか。真澄さんを極悪人だと決めつけてきたわけじゃ…なさそうだ。多分。
「いえ…納得しました」
目を伏せた真澄さんはしばらく黙ってた。光さんがソファに置いてる手のすぐ横にあった真澄さんのシャツの袖を小さくぎゅっと握ったのが見えた。
「話を遮って申し訳ない。どうぞ続けてください」
「…少し私の疑問からは話が逸れますが、これもあなたの口から聞いておかなければいけません。事が起きる前に、香澄は夫にあなたのことを簡単に説明していたようです。曰く、あらゆる家族関係を包括したような、自分を庇護してくれる存在であったと。香澄が行方不明になったとき、直人はそのことに憤っていました、なぜあなたがいながら自分のような存在に関わらせたまま香澄は今日まで放置されたのか、と。…何故ですか。事の顛末や絞殺未遂を一旦脇においてお尋ねします。香澄を救助する目的の誘拐であったなら、何故あのタイミングだったのですか?」
「香澄を救助…ね」
それから真澄さんはいつも以上に言葉にすることを吟味するみたいにして話し出した。
ーーーー私は直人さんのことをほとんど存じておりません…直人さんが香澄に具体的にどのような態度で関わっていたのかも。知っていたのは直人さんと関わってから香澄が入退院を繰り返すようになったこと…だけ
あの子を救助するとは思っていませんでしたよ。それはそうだったらいい…というだけの私の勝手な願望でしかありませんでした
…浚ったのは彼らが家族になったからです。共に生活をし始めたから…
香澄が人生の一部になってしまうのは…危ういと思った、一時ならば構わない、あの子は直人さんを助けたかもしれない…けれど…
要領を得ずすみません…ただの勘だった…とも、経験則だったとも言える、あそこが限度だろうと私が勘でそう思った…そういうことにさせてもらいますーーーー
「……。」
ぜんぶ、一年も前の話だ。今と違うから、筋の通った説明は…事情を知らない相手にはできない…
「限度、ですか」
情香さんはまっすぐに見つめていた真澄さんからふと視線をはずして、穏やかに笑うのをやめた。少し目を伏せてぼんやり遠くを眺めるような目をしてる。
「……私の話になりますが、私は夫…直人と夫婦らしい共同生活をした事がありません。夫の現状もほとんど把握していない有り様で、香澄といつからどのように関わり始めたのかも、直人から聞いたに過ぎません。
ただ、あなたの経験則という言葉を借りるなら、ーーー私ははじめにあなたと同じ判断を下しました、直人に対して。誠実さと暴力性の境界線を弁えろと諭しましたが……それでも二人は紆余曲折を経て家族になる道を選んだ。
養子縁組の話が持ち上がって、初めて私は香澄に会いました。家族になるにあたって香澄のこれまでの略歴や自分についてを香澄自身に尋ねましたが、問い詰めてもほとんど曖昧模糊とした返答しか返ってきませんでした。…私が香澄と家族になる覚悟と決意を固めたのはその時です。これも言葉を借りるなら、香澄を直人と居させたいだけにしておけば「限度を超える」と。おそらくは双方に言えることです。
正式な家族になれば、私が堂々と二人に立ち入る口実ができます。…私はまだ香澄のことをあなたほど深く把握しているわけではありませんが…奇しくも逆の方法で、守ろうとしていたと これは…そう考えて、いいものでしょうか」
情香さんは、香澄を守るために家族になったのか。…直にぃと家族になったときと、少し似てるな。これが情香さんのやり方ってことなのかな…。
「…あの子が大事なんですね」
「どうでしょう、私の動機を言葉にすればそういう表現になるのかも知れませんが、私に持ちうる手段が他になく無力だったというだけでもあると思いますよ」
絶対に揺らがない軸をもって行動してるように見えたけど、ただ独善的なわけでもない。…それはこの前の話からも、わかる。
「手段は動機の後にある、必要な力も」
コーヒーを口に運びながら真澄さんが言った。
「貴女は香澄を大事に思って…守ろうとしている…のかもしれませんが、僕についてはあいつを守ろうとしてたとは、思わない方がいいですよ」
「それなら守ろうとする以外で、絞殺しようとした理由は …なんだったんです」
その後に真澄さんが言ったことは 俺の想像の範囲内にあったけど、何度も否定してきた そのものだった
「殺そうか迷ったんですよ」
「もう何度も…何度も、迷った」
「あの子はいつものことだなんて…言わなかったでしょうけど」
ーーーーかわいそうだと思うよ…。
「殺すって なんで…?」
口をついて出た 黙ってられなかった なんで…
「絢は香澄が生きる方へ向かっていたんじゃないかと話してたね。そういう人間も居るだろう。僕も可能性くらいは知っていた…だが香澄はそうじゃ無かったんだよ」
そうじゃなかった …そうじゃなかった? なんで それを知ってるんだ 誰も 誰かのことなんて
「なんで真澄さんがそれを知ってるの?」
誰かの本当のことなんて 自分の本当のことだって
「僕が…あの子に何かある度生かし続けたというだけだ 以前の香澄は守るべき自我を持ってなかった、そう話したね。あの子はどれほど痛め付けられても尊厳を踏みにじられても自殺する意思すらなかっただけで…死ぬ寸前で僕が遮っていた」
「………」
「僕のせいで生きているなら僕があの子に死をあげるべきなんじゃないか …そう思っては首に手を掛けた」
………
「生きていてほしいのと同じくらい死んでほしかった
僕のことも僕とは認識せずにされるがままで
香澄はもう自分から死にたいとさえ言えなかったからね」
「でも僕は結局いくら関わっても自分が責を負わなくて済むことを知っていてあの子の傍にいました」
「迷ったまま…香澄が逃げ出すまで何もできませんでした」
「ーーーー誰も誰かの本当のことなんて分からない、一生、どれだけ長く一緒にいても、どれだけ注意深くその人を見てたって、どれだけその人を深く愛したって、憎んだって、誰も誰かのことなんてわかるはずない、なのに
そうじゃなかったって?
自我がないのも意思がないのも香澄の外側を見てそう考えただけの真澄さんの妄想だ
遮られなきゃ死んでたかどうかだって誰にも分かるもんか、香澄は生きてる、起きなかったことなんて全部ぜんぶただの妄想だ
希望も理想も抱かないから良いほうに事が運んだときにそれが奇跡だなんて滑稽な言葉になるんだ
周りがそれを担わないで終わらせることばっかり考えてなにが良いほうにいくもんか
誰かを終わらせる権利や資格が誰かにあってたまるか
そんなものあってたまるか!!!」
最後のほうは叫ぶみたいな口調になった 泣きそうだと思ったからその前に立ち上がったそのまま書斎に駆け込んだ
***
珍しく…というかまだそんなに接したことがあるわけじゃないけど、感情を剥き出しにするのをなるべく避けてるような印象があったから、今の絢の言葉と行動は少し意外だった。
絢のあとをあの小さな女の子…光さん、か、が「わたしがいく。」って追いかけてった。
「…絢もこの場に居た方がよろしければ呼んできますが」
絢が駆け込んでった部屋の扉を見るともなしに見てたら向かいから言われた。
「必要ありません。私が聞きたいことはあと一つだけでしたけれど、今のお話をお聞きして、もうお尋ねする必要はないと思いました。あとはこちらのご家族の問題でしょうから」
そう言ったあとで、絢も女の子も居なくなったリビングで軽い話を振る。
「随分若い奥さんですね」
「光は僕より年上です。… 一応」
「………不思議なこともあるもんだな…」
つい普段の口調が出た。
一呼吸置いて、シャツの上に着てた薄手のジャケットを脱ぐ。シャツの襟やあちこちに仕込んでた物を全部その場で出してベルトを腰から引き抜いて、シャツの背中からアーミーナイフを取り出す。
それらをひとつずつテーブルの上に並べていく。
「ティッシュかなにかお借りしても?」
訊くと「どうぞ」って箱ごと渡されたから遠慮なく大量に引き出して手で口元を隠しながらマウスピースとガムを取り出してティッシュの中に丸めて包み込んで、ゴミ箱が見当たらないからジャケットのポケットにとりあえず突っ込んだ。
洗面所だけ借りて手を一度洗ってからリビングに戻る。
ずらっと並んだ物騒な物を前に、膝に手を置いて相手に頭を下げて謝罪する。
「最悪の事態のために最低限の備えをしてきました、非礼をお詫びします」
「いえ」
道具を全部かき集めてまとめてジャケットの上に放って、風呂敷みたいに包んで持つ。
わざわざ晒す必要もないんだろうが、こうしとかなきゃ勘付かれてた場合に私が信用を落とすからな。
ソファから立ち上がって、コートを肩に引っ掛けて持つ。
「それじゃあ、私はそろそろ失礼します。どうも私が引っかき回したようで…絢は放っといて大丈夫ですか」
「…光がついてますから大丈夫でしょう。一声掛けます?」
「今は結構ですが、帰る前にひとつだけ。絢が、直人のことを調べて回ってますね?」
「そうなんですか? 知りませんでした。絢が何をしているかまで干渉していないもので」
ガリガリ頭をかいてセットしてた髪型を崩す。滑らかに嘘をつくタイプか…?…直人とは逆に難儀なやつだな。深く関わらねぇならこんなもんなんだろうけど。
「……どちらにせよ知っておくべきことですから。絶対に関わらせてはいけないしあなたも極力避けるべき人間についてです。中郷稔という、直人の…まぁ恩師のような存在なんですが。関われば死人が出るのを避けられない厄介な人種です。もうご存知かもしれませんが、被害当事者としての警告です。直人を辿れば早い段階で行き着いてしまう。いつ誰にむけて何をするかはまったく読めないと思って、警戒を怠らないようにお願いします」
「…どうも」
「まってまって!まだかえらないで!」
絢の入ってった部屋から女の子…光さん、が出てきて、私を呼びとめた。
その子はポケットからスマホを取り出して画面を操作しながら言う。
「ジョーカちゃん、メアドこうかんしよ。」
まだこの子にどう接するか定まらないまま言われた通りに私もスマホを取り出して連絡先を交換した。
「よし。ともだちがふえた。…あとでききたいことあるからメールするね…。」
語尾にむかってだんだん声が小さくなってる。聞きたいこと? まぁいいか。
さて これで言うべきことも聞くべきことも済んだ。
私の憂いが晴れただけなんだけど、今日はこれで満足するしかないな。
.
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1
「これ捨てなかったんだ?」
『玄関』と書かれた段ボールから靴や折り畳み傘などを取り出していた時、早音はそれを見つけた。彼女はそれを、今までに何度も見たことがあったが、手に取ったのは初めてだった。四角形のアルミの枠に、潜水艦のような形をした白い陶器がぶら下がっている。上部に一円玉ほどの大きさの穴を開けており、中は空洞のようだった。風貌どおり、持ってみると重みがあった。
「ねえ、これ」
早音は持ち主のところにそれを持って行った。用途も名称も見当がつかないので、直接見せるしかなかった。
「ああ、それ」持ち主は汗をぬぐいながら、ほほ笑んで言った。「それ、なんだと思う」
「え、なんだろう」
まず思い浮かんだのは、ビートルズのイエローサブマリンであった。さっきまでレコードの荷解きをしていたからかもしれない。しかしそれにしては、どうにも風格があった。ポップスバンドのファングッズには到底見えなかったし、もちろんイエローでもない。つまりそれくらい潜水艦のような形をしていた。
「それはね、人生だよ」
「なにそれ」
持ち主は来月、私の旦那になる予定の男だ。彼は得意げに「人の一生」と言ってまた笑った。こういう極端なことを言ってのけるユーモアが、彼にはあった。理屈っぽいところがたまにキズだが、それでもそんな彼が早音は好きだった。
「それは、捨てられないね」
早音もあえて、意地の悪い返答をした。
「実を言うと、俺もよく分からないんだ」
「何かの、記念品?」
「二十歳の誕生日に父親にもらったんだよ」
「これを?」
しかし納得はできた。なるほど、この引っ越しの前に彼が住んでいたワンルームにも、ずっと飾ってあったのはそういうわけか。
「親父そのとき、酔っぱらってそれを人生だって言ったのよ」
意味分からないよなと、彼は呆れた様子で荷解きを再開した。
「ふうん」
早音は先月、彼からプロポーズを受けた。そして二人はおよそ三年の交際期間を経て、結婚することになった。ところで早音の両親はというと、少し古風なところがあった。結婚するまでは同棲など認めてなるものかと、父親の方はいつも背中で二人を睨みつけた。しかし早音の婚約者は、そのような思想をまったく純粋に尊重した。とはいえ実際には、早音は彼のワンルームに入り浸っていたのだから、結局は同じことだったのだが。とにかく婚約を機に、早音たちは新居に引っ越してきたのである。
早音はその『人生』とやらを丁寧に持ち直して玄関に戻ると、まだ綺麗な靴棚の上に、そっと置いた。
2
「いいのよ早ちゃん、ゆっくりして」
早音が夕食の後片付けを手伝おうとすると、彼の母親に柔らかく遮られた。
「じゃあこれだけ」早音はテーブルの中央に置かれた丸い大皿を持って台所に運んだ。その大皿は立派な作りをしていた。描かれた花木は、先ほどまで盛られてあったご馳走に引けを取らないほど、鮮やかに彩っていた。「これ、すごいですね」
「重いでしょう。このお皿も昔は、スタメンだったのだけれど」
彼女はありがとうと言って受け取ると、手際よくシンクの中に重ねていく。
「今は違うんですか」
「だって私たち二人で、どうするのよ」
居間でくつろぐ自分の旦那を振り返りながら、彼女は笑った。
「確かに」
しかし、二人でどうすると言ってしまえば、この家にある全てがそうである気もした。二人で住むには広すぎるこの家での暮らしを、早音は想像する。昨日まで、そして明日からの彼女たちの暮らしは、どのようなものなのだろうか。
「でもその絵柄、すごくきれいです」
「いる?あげようか」
「やめとけやめとけ」割って入ってきたのは彼の父親だ。呑んでいた瓶ビールが空になったらしい。「古臭いよ」
「そんなこと、ないわよねえ」
早音はこの二人を見ていると、気持ちが穏やかになるのだった。こんな夫婦になれたらいいなと、いつも憧れた。そして同時に、この家で育った婚約者のことを羨ましく思った。花柄の大皿を古臭いと一蹴する心の余裕が、自分の父親にも備わっていてほしかった。
その時ガタンと物音がして、三人がそれぞれ、合わない目を見合わせた。それは二階から聞こえてきた。
「ほらお父さん、手伝ってあげなさいよ」
洗い物で手がふさがっていた彼の母親は、顎で音の鳴った方向を示した。
二階では、彼が雨戸の修繕をしていた。先の台風の影響で、その立て付けが悪くなったという。被害はそれくらいで済んだと彼の母親は言ったが、近隣の土砂崩れが夕方のニュースで取り上げられるほど、雨風は強力なものだった。それの過ぎた朝方に、両親を心配した彼が電話をかけたところ、雨戸の一部が歪んでしまい開かなくなったと報告を受けたのだ。結婚の挨拶からいくつも経っていなかったが、二人はまた足を運ぶことにした。早音たちは彼の実家に来ていたのだった。
「そしたら、りんごを剥いてくれる?」
手伝いを制され逡巡する早音を見かねてか、彼の母親は提案した。かえって気を遣わせたかとも思ったが、その優しさを早音は素直に受け入れた。
「剥きます」
「でも良かった。新しい住まいの写真も見られたし」
「お義母さんたちも、無事で良かったです」
「来てくれて、ありがとうね」
早音はこの台所で初めて手伝いをしたときの、その情けなさを思い出していた。今ではりんごの皮はなめらかな一本の帯となって、静かにたたまれていく。早音はそれがこの家族との繋がりのように思えて、なんだか嬉しかった。
「古臭いなんて言ってたけどね、あの人。これ大事にしてたのよ」彼女は洗いものを一通り終えると、例の大皿についた水滴を丁寧に拭きながら言った。「子供たちが小さかったときまでは、和室に飾ってあったの」
「そうだったんですか」
「男って意味が分からないわよねえ」
早音は手元の作業をいったん中断して、彼女を見つめた。
「どうして?」
「だってそうでしょ、食べ物を乗せなきゃ。お皿なんだから」
それはどうにも拍子の抜けた台詞だったが、早音は妙に納得してしまった。ここは大げさに彼女の味方をすることにした。
「言われてみれば、意味が分からないですね」
二人は女学生のように、顔を寄せ合って、そして笑った。
彼の母親は大皿を食器棚の奥の方にしまい込みながら、こうも続けた。
「何のためにあるか分からなくても、なんとなく置いておくのもいいじゃないかって、変なことを言ってたわ」
「なんか深いですね」
「しまいには『これは人生だ』なんて、大げさよ」
早音は驚いた。つい最近、全く同じ言葉の並びを聞いたばかりだった。
ここまで順調に一本の帯を成していたりんごの皮は、あっけなく途切れてしまった。
3
玄関のベルが来客を知らせたのは、よく晴れた土曜日の昼下がりのことだ。新居に越して来てからというもの、訪ねてくるのは業者ばかりであったため、次はなんだろうと、早音たちは顔を見合わせた。そして今回の来客も予想通り、一箱の段ボールであった。ところがその送り主は意外にも、早音の母親であった。
「なんだろう」
大きさの割に軽いその段ボールをテーブルの上に置くと、二人は並んで座った。そしてかしこまったように、姿勢を正した。ゆっくりと中を開くと、そこに入っていたのはなんとも豪勢な花の束であった。
「すごいね」
「すごい」
早音はその美しい造形を崩さぬよう、丁寧に持ち上げた。優しい香りが、部屋の空気に溶けていく。花々は凛とし、それぞれが自分の役目を知っているかのように、朗らかに咲いていた。
「挨拶に行ったときに話した今日のこと、お義母さんたち覚えてたんだね」
「そうみたい」
その今日が、まさしく今日であった。とうとうこの日が来てしまった。『しまった』という言葉が、相応しくないことは分かっていたが、早音はやはり、この日について『来てしまった』と表現する自分を認めるしかなかった。
「この真ん中の赤い花、きれいだね」
そう言われて早音は、その中央にひと際目立つ花があることに気付いた。彼女はこの花のことをよく知っていた。そしてそれは父親の思い出と共に、早音の心の中にあった。まだ小さい頃、実家の庭にそれは咲いた。早音はなぜかその赤い色に惹かれて、来る日もただ眺めていた。その姿を不憫に思ったのか、父親がそれを鉢に植え替えてくれた。無言で土を掘り起こす父の背中が、やけに小さく見えたことを早音はよく覚えていた。
「帰りに花瓶を買おうね」
「うん」
「それじゃあ、行こうか」
今日は役所に婚姻届けを出しに行く日だ。しかし早音は、自分がなぜこんな気持ちになるのか分からなかった。彼の両親たちのような、あるいは自分の親でも、あんなふうに、二人で生きていけるのだろうか。不安の原因が彼にあるわけではないことも、それ以外の全てもまた無関係であることも、分かっていた。早音のこのような気持ちは、決して彼に悟られてはいけなかった。きっと彼の優しさは、何か気の利いた冗談で早音を慰めるに違いない。でもそれでは駄目だった。玄関を開けると、澄んだ風が部屋の中へ流れ込んだ。その眩しさに目が慣れると、空は澄んで輝いていた。
「そうだ」
彼がそう言ったのはその時だった。そして靴棚の上に飾られた白い陶器を手に取ると、ちょっと待って、と言いながら部屋の方へ戻っていく。
「忘れ物?」
早音は、差し込んだ光に照らされたその床や壁を見つめた。ここが帰る場所なのだ。外の方に向き直ると、秋の空を深く吸い込んだ。
「ほら見て」彼が戻ってきた。その手には、白い陶器に挿された一輪の赤い花があった。彼は笑って言った。「なんのためにあるか分からなかったけど、やっと意味が生まれたよ」
早音に先ほどまでの不安はもう無かった。涙が出ただろうか。しかしこれもまた、決して彼に悟られるわけにはいかなかった。
...
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「これ捨てなかったんだ?」
『玄関』と書かれた段ボールから靴や折り畳み傘などを取り出していた時、早音はそれを見つけた。彼女はそれを、今までに何度も見たことがあったが、手に取ったのは初めてだった。四角形のアルミの枠に、潜水艦のような形をした白い陶器がぶら下がっている。上部に一円玉ほどの大きさの穴を開けており、中は空洞のようだった。風貌どおり、持ってみると重みがあった。
「ねえ、これ」
早音は持ち主のところにそれを持って行った。用途も名称も見当がつかないので、直接見せるしかなかった。
「ああ、それ」持ち主は汗をぬぐいながら、ほほ笑んで言った。「それ、なんだと思う」
「え、なんだろう」
まず思い浮かんだのは、ビートルズのイエローサブマリンであった。さっきまでレコードの荷解きをしていたからかもしれない。しかしそれにしては、どうにも風格があった。ポップスバンドのファングッズには到底見えなかったし、もちろんイエローでもない。つまりそれくらい潜水艦のような形をしていた。
「それはね、人生だよ」
「なにそれ」
持ち主は来月、私の旦那になる予定の男だ。彼は得意げに「人の一生」と言ってまた笑った。こういう極端なことを言ってのけるユーモアが、彼にはあった。理屈っぽいところがたまにキズだが、それでもそんな彼が早音は好きだった。
「それは、捨てられないね」
早音もあえて、意地の悪い返答をした。
「実を言うと、俺もよく分からないんだ」
「何かの、記念品?」
「二十歳の誕生日に父親にもらったんだよ」
「これを?」
しかし納得はできた。なるほど、この引っ越しの前に彼が住んでいたワンルームにも、ずっと飾ってあったのはそういうわけか。
「親父そのとき、酔っぱらってそれを人生だって言ったのよ」
意味分からないよなと、彼は呆れた様子で荷解きを再開した。
「ふうん」
早音は先月、彼からプロポーズを受けた。そして二人はおよそ三年の交際期間を経て、結婚することになった。ところで早音の両親はというと、少し古風なところがあった。結婚するまでは同棲など認めてなるものかと、父親の方はいつも背中で二人を睨みつけた。しかし早音の婚約者は、そのような思想をまったく純粋に尊重した。とはいえ実際には、早音は彼のワンルームに入り浸っていたのだから、結局は同じことだったのだが。とにかく婚約を機に、早音たちは新居に引っ越してきたのである。
早音はその『人生』とやらを丁寧に持ち直して玄関に戻ると、まだ綺麗な靴棚の上に、そっと置いた。
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「いいのよ早ちゃん、ゆっくりして」
早音が夕食の後片付けを手伝おうとすると、彼の母親に柔らかく遮られた。
「じゃあこれだけ」早音はテーブルの中央に置かれた丸い大皿を持って台所に運んだ。その大皿は立派な作りをしていた。描かれた花木は、先ほどまで盛られてあったご馳走に引けを取らないほど、鮮やかに彩っていた。「これ、すごいですね」
「重いでしょう。このお皿も昔は、スタメンだったのだけれど」
彼女はありがとうと言って受け取ると、手際よくシンクの中に重ねていく。
「今は違うんですか」
「だって私たち二人で、どうするのよ」
居間でくつろぐ自分の旦那を振り返りながら、彼女は笑った。
「確かに」
しかし、二人でどうすると言ってしまえば、この家にある全てがそうである気もした。二人で住むには広すぎるこの家での暮らしを、早音は想像する。昨日まで、そして明日からの彼女たちの暮らしは、どのようなものなのだろうか。
「でもその絵柄、すごくきれいです」
「いる?あげようか」
「やめとけやめとけ」割って入ってきたのは彼の父親だ。呑んでいた瓶ビールが空になったらしい。「古臭いよ」
「そんなこと、ないわよねえ」
早音はこの二人を見ていると、気持ちが穏やかになるのだった。こんな夫婦になれたらいいなと、いつも憧れた。そして同時に、この家で育った婚約者のことを羨ましく思った。花柄の大皿を古臭いと一蹴する心の余裕が、自分の父親にも備わっていてほしかった。
その時ガタンと物音がして、三人がそれぞれ、合わない目を見合わせた。それは二階から聞こえてきた。
「ほらお父さん、手伝ってあげなさいよ」
洗い物で手がふさがっていた彼の母親は、顎で音の鳴った方向を示した。
二階では、彼が雨戸の修繕をしていた。先の台風の影響で、その立て付けが悪くなったという。被害はそれくらいで済んだと彼の母親は言ったが、近隣の土砂崩れが夕方のニュースで取り上げられるほど、雨風は強力なものだった。それの過ぎた朝方に、両親を心配した彼が電話をかけたところ、雨戸の一部が歪んでしまい開かなくなったと報告を受けたのだ。結婚の挨拶からいくつも経っていなかったが、二人はまた足を運ぶことにした。早音たちは彼の実家に来ていたのだった。
「そしたら、りんごを剥いてくれる?」
手伝いを制され逡巡する早音を見かねてか、彼の母親は提案した。かえって気を遣わせたかとも思ったが、その優しさを早音は素直に受け入れた。
「剥きます」
「でも良かった。新しい住まいの写真も見られたし」
「お義母さんたちも、無事で良かったです」
「来てくれて、ありがとうね」
早音はこの台所で初めて手伝いをしたときの、その情けなさを思い出していた。今ではりんごの皮はなめらかな一本の帯となって、静かにたたまれていく。早音はそれがこの家族との繋がりのように思えて、なんだか嬉しかった。
「古臭いなんて言ってたけどね、あの人。これ大事にしてたのよ」彼女は洗いものを一通り終えると、例の大皿についた水滴を丁寧に拭きながら言った。「子供たちが小さかったときまでは、和室に飾ってあったの」
「そうだったんですか」
「男って意味が分からないわよねえ」
早音は手元の作業をいったん中断して、彼女を見つめた。
「どうして?」
「だってそうでしょ、食べ物を乗せなきゃ。お皿なんだから」
それはどうにも拍子の抜けた台詞だったが、早音は妙に納得してしまった。ここは大げさに彼女の味方をすることにした。
「言われてみれば、意味が分からないですね」
二人は女学生のように、顔を寄せ合って、そして笑った。
彼の母親は大皿を食器棚の奥の方にしまい込みながら、こうも続けた。
「何のためにあるか分からなくても、なんとなく置いておくのもいいじゃないかって、変なことを言ってたわ」
「なんか深いですね」
「しまいには『これは人生だ』なんて、大げさよ」
早音は驚いた。つい最近、全く同じ言葉の並びを聞いたばかりだった。
ここまで順調に一本の帯を成していたりんごの皮は、あっけなく途切れてしまった。
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玄関のベルが来客を知らせたのは、よく晴れた土曜日の昼下がりのことだ。新居に越して来てからというもの、訪ねてくるのは業者ばかりであったため、次はなんだろうと、早音たちは顔を見合わせた。そして今回の来客も予想通り、一箱の段ボールであった。ところがその送り主は意外にも、早音の母親であった。
「なんだろう」
大きさの割に軽いその段ボールをテーブルの上に置くと、二人は並んで座った。そしてかしこまったように、姿勢を正した。ゆっくりと中を開くと、そこに入っていたのはなんとも豪勢な花の束であった。
「すごいね」
「すごい」
早音はその美しい造形を崩さぬよう、丁寧に持ち上げた。優しい香りが、部屋の空気に溶けていく。花々は凛とし、それぞれが自分の役目を知っているかのように、朗らかに咲いていた。
「挨拶に行ったときに話した今日のこと、お義母さんたち覚えてたんだね」
「そうみたい」
その今日が、まさしく今日であった。とうとうこの日が来てしまった。『しまった』という言葉が、相応しくないことは分かっていたが、早音はやはり、この日について『来てしまった』と表現する自分を認めるしかなかった。
「この真ん中の赤い花、きれいだね」
そう言われて早音は、その中央にひと際目立つ花があることに気付いた。彼女はこの花のことをよく知っていた。そしてそれは父親の思い出と共に、早音の心の中にあった。まだ小さい頃、実家の庭にそれは咲いた。早音はなぜかその赤い色に惹かれて、来る日もただ眺めていた。その姿を不憫に思ったのか、父親がそれを鉢に植え替えてくれた。無言で土を掘り起こす父の背中が、やけに小さく見えたことを早音はよく覚えていた。
「帰りに花瓶を買おうね」
「うん」
「それじゃあ、行こうか」
今日は役所に婚姻届けを出しに行く日だ。しかし早音は、自分がなぜこんな気持ちになるのか分からなかった。彼の両親たちのような、あるいは自分の親でも、あんなふうに、二人で生きていけるのだろうか。不安の原因が彼にあるわけではないことも、それ以外の全てもまた無関係であることも、分かっていた。早音のこのような気持ちは、決して彼に悟られてはいけなかった。きっと彼の優しさは、何か気の利いた冗談で早音を慰めるに違いない。でもそれでは駄目だった。玄関を開けると、澄んだ風が部屋の中へ流れ込んだ。その眩しさに目が慣れると、空は澄んで輝いていた。
「そうだ」
彼がそう言ったのはその時だった。そして靴棚の上に飾られた白い陶器を手に取ると、ちょっと待って、と言いながら部屋の方へ戻っていく。
「忘れ物?」
早音は、差し込んだ光に照らされたその床や壁を見つめた。ここが帰る場所なのだ。外の方に向き直ると、秋の空を深く吸い込んだ。
「ほら見て」彼が戻ってきた。その手には、白い陶器に挿された一輪の赤い花があった。彼は笑って言った。「なんのためにあるか分からなかったけど、やっと意味が生まれたよ」
早音に先ほどまでの不安はもう無かった。涙が出ただろうか。しかしこれもまた、決して彼に悟られるわけにはいかなかった。
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儀仗官について1
「聖アヴァルクの儀仗官」の設定続き。ルミリアンナ伯爵令嬢が就いている役お仕事。設定2はこちら。
令嬢なのに仕事をしているのは珍しいが、この役職にキャリアスキルなぞ不要。黙って居ることが出来るなら誰でも出来る。……と思われている。本当の役目が判明したあとは「閣下(Your Honor)」と呼ばれる。
▼概要
オルドーグ小王国形成期に作られた役職。神国の影響を受けて作られたと言われるが、この時代の人たちは儀仗官の成り立ちを忘れてしまっている。
謎の杖を持っている。司祭ぽくても聖職者ではない。皇帝の隣で「由緒ある杖」を持って佇み権力を見せびらかす役目。昔は「幻獣の意志を聞く」という真っ当なお役目があったけれど、作中時間軸では幻獣が姿を消して久しい。よって完全にお飾り役職。
系統は文官。軍人や騎士は就任不可。シビリアンコントロールが効いている。なぜ文官のみなのか? は儀仗官の成り立ちまで遡らないと分からない。古きを生きた「聖なる角」なら知っているらしい。
以下、詳しい設定。
*
▼儀仗官の仕事
儀仗官はパーティーや外交など派手な公務には必ず付き添う。秘書や書記官みたいに聞こえるが、儀仗官が何か言ったところで聞き入れられない。政治的意見はもちろん、雑談も歓迎されない。「あっ」とかうっかり口を開こうものならお前ごときは黙ってろと周囲から睨まれる。だってお飾りだもの。
つまるところ「儀仗官」の仕事で大事なものは「儀仗」であって、杖を持つ人間の意志は不要。むしろ持ってる人間の姿は見せるなとさえ言いたげな感じ。ヤダー。
まあ意見は求められないとは言え、皇帝と直接言葉を交わせる近侍であるゆえ、影の権力者になり得る可能性もある。……が、いかんせん影の権力者にまで登り詰めるにはまず「儀仗官ごときが…」と見下されている部分を克服しないといけない。皇帝のお側付きというプレッシャー+自分自身は見てもらえないという、大目に見てもあまり美味しくない立場。
▼儀仗官の立場
その証拠に宮廷内の地位は低め。吟遊詩人くらいの扱い。でも大事な大事な杖の持ち主=皇帝の側仕え=最低でも上流貴族から選ばれてしまう。前述した理由で常識的な貴族ならお断り願うお仕事の為、選ばれたら完全に貧乏クジ。大昔の幻獣伝承が残る平民の間ではなぜか憧れの仕事だったりするけれど、貴族なら屈辱と捉える人間も多く、貴族間の嫌がらせとして儀仗官就任が使われたりする。
また、儀仗官に就任している間は未婚の人間が選ばれる。役職についている限りは結婚は出来ない。婚約は可能。
この職には男性が就くので問題なかったのだが、160年ぶりに女の身で儀仗官に就任したルミリアンナは婚期を逃してしまった。
▼儀仗とは
白銀の杖。正式名称は「翠灯の盃」。大きさは185cmくらい。細くてかなり軽い。でも力いっぱい岩や剣をぶん殴っても折れない強度がある。盃に似た杖上部には流水をイメージした装飾が施されている。
由緒ある杖。国教が存在しない(色んな宗教が混ざり有って共存している)帝国では国指定の教会も存在しない。だから宗教的な意義のあるブツは貴族や皇帝が自分で保管することになる。そういった物の一つが、この儀仗。
かつては盃内に魔法の氷を拝していた。幻獣が作り出した氷らしいが、今は存在せず、ただの受け皿ぽい部分でしかない。言い伝えでは、氷は祝福が消えるまで永遠に溶けないそうだ。伝承本だと「青き龍角 作りもうた氷 内に碧玉の炎を宿し 落日を照らす」とも書かれており、碧灯の盃は大変幻想的な姿をしていたことが分かる。
盃のすぐ下には丸い輪。円環にはツルが巻き付き、中心の柄と接する部分にカッティング加工した真っ白な宝石が埋め込まれている。触ると暖かみがあり、柔らかさを感じる不思議な石。成分的にアルグシュニフの花が何らかの形で石化した宝石と推定されるも、誰も製造方法は分からず。
柄の一番先(床側)にも同じく白い宝石が埋め込まれている。柔らかいので床を傷付けない。助かる。
▼伸縮性
杖は伸縮性があって、儀仗官が望めば特殊なブレスレットになる。このブレスレットは杖を出している時は杖と持ち主を物理的に繋ぐ鎖へ、しまう時はブレスレットの飾りとなる。
▼伯爵家の任命
ルミリアの家系、ソニエール伯爵家は時の寵児クリスタンヴァル公爵家に盾突いていた。そのため、筆頭公爵家一派による嫌がらせとして伯爵家に儀仗官任命の話が流れてくる。
父ディミトリ伯爵は断れないよねえと笑顔で兄オーギュスタン次期伯爵へ投げた。兄は「いいよやるよ~!」と返事したものの遊び人でチャラすぎたらしい。宮廷側から「皇帝の隣に黙って立ってなんて居られないだろう」と逆に却下されてしまう。
断れない話なのに、もう伯爵家って私しか居ないじゃん……? となったルミリア。泣く泣く任命を受け入れることに。このことで兄に対し「コノヤロッ」と思ったルミリアンナだが、オーギュスタンが変わらず妹を溺愛するため兄妹仲は大変宜しい。
ストーリーは任免されてから数年後のお話。
.
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1995y COOPER 1.3i 車検整備
Mk-3仕様の1.3i車検整備でご入庫頂きましたm(_ _)m
当店の販売車両で、そこそこ手を入れてある個体なので最初はそんなに手は掛からないだろうと思ってましたが・・・。其処は「クラシック・ミニ」という事でなかなかの手数(汗)
少し長くなりますが車検整備を含む、修理のご報告です。
まずは入庫当日に突然右のウインカーが点かなくなりましたと。点検すると右のウインカーが全数点かないようなのでウインカーレバー周辺から分解・点検・・・
しようと外した時にポロッと・・・。んん?なんだっけコレ??
あぁ。コレが原因か・・・
左右の接点に繋がるピンの右側が折れてました・・・。
かなり昔に西のお師匠さんが作業してたのをブログで見た記憶があり、当時は「あぁ〜こんな事にもなるもんか〜」みたいに多少他人事で見てましたがw
いざ当事者になると、バラした事も無くどうやって外すの?って感じで・・・
簡単に新品交換してしまえば楽なのですが、そうした所でまた同じ事になりかねないので、此処は腹を決めて修理する方向で試行錯誤の末・・・
何とか原因の部分を取り外し。
最初は折れた部分を炙って溶着させようかと試みましたが、そうそう上手くいく事も無く・・・。材質が違いますがスチールワイヤーを使ってフリーハンドで曲げて作る事に。
強度を上げようと少し太めにしたら上手く嵌まらないので、元と同じ太さの物で再チャレンジ。
組み立ても結構大変で、カシメ部分をどうするかとか、ピン角度の微調整など色々悩みながらも上手く出来ました。今回材質を変えたので、接点との相性が少し気になる所ですが・・・まぁ折れるよりマシでしょう。
レバースイッチ戻して・・・
ウインカー復活♫
その他の機能も正常に作動して、何とか壊さずに修理出来ました。
一応熱の影響も見ておきたいので3分ほどウインカー出しっぱなしにしておきましたが特に熱変化は起きないので、これで1つめの問題はクリアーです。
走れるようになったので試運転して2つめの問題の確認へ・・・。水温計の指針が微妙な位置で以前のように上がらず、アイドリングの回転数も少し高いようです。
まずは基本的な点検から。クーラントの量はOK。
診断機を繋いで各データチェック。
水温が70℃辺りから上がりが悪く、アイドリングも合わせて高めです。
うーん。微妙(汗)サーモかセンサーか・・・どっちだ???
とりあえず車検整備を進めながら少し悩む事にしました。
まずは下廻りチェック・・・
フロントサブフレームの前側のマウントが少し剥がれてきたので・・・
左右交換させて頂きました。
ブレーキチェック。サーボはリークも無く良好です。
リヤブレーキは漏れ・固着も無く良好ですが・・・
予防整備で今回も日本製カップを使ってO/Hしました。
フロントブレーキはパッドの残量もまだまだ有りますので清掃・給油のみでOK。
ブレーキ&・・・
クラッチフルード交換して・・・
フロント右上のボールジョイントにガタが出てきたのでシム調整・・・
しました。
エンジンオイル・フィルター交換。
異物の排出も無く、いい感じです。
スロットル廻りやステッパーモーターなどチェック&・・・
給油など。
フューエルトラップの清掃して・・・
リークチェック。
転ばぬ先の杖で、ホースとコネクターは交換します。
高効率のエアークリーナーですが、効率良すぎなのか細かいゴミまで中に吸い込むので、スポンジ貼り付けてみます。
結果は次回点検時のお楽しみ♫
その他、オルタネーターガードの取付け部が折れていたので・・・
溶接して・・・
サンディング&塗装。今回はイメチェンでブラックにしてみました。
という感じで、まずは此処まで。水温系統は次回に続きます。
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週報2022-07-02
・えっちアンソロ参加してます!
二次元コミックマガジン 異種姦百合えっちVol.1
【R18お仕事情報】
みんな~!
07/15よりキルタイムコミュニケーション様より発行される
『異種姦百合えっちVol.1』に参加させて頂きました
オカルトとスケベ好きな女にAV撮られそうになり
慌てて交配を迫るエイリアンを描きました
体液が触手状になる。は?https://t.co/z0C5PfgwEJ
よろしくね~ pic.twitter.com/ASCvgrMIVT
— 若鶏にこみ📸6/27ぎんしお②巻でるよ〜 (@tori_nico2) July 14, 2022
15日配信なので、あと数時間で読めるかもしれません。
https://www.ktcom.jp/books/dl/dl918
↗もっと詳しく
オカ研部員として最強のエイリアンについて語る主人公。
その内容は人間を苗床にして卵を産み付けるというもので、
更にはそんなエイリアンを捕まえたらAVを撮るなどと宣う。
後日。その話を聞かせていた後輩から呼び出され、
主人公は告白されるとるんるん気分で向かうが、
されたのは後輩の正体がエイリアンという告白だった。
しかも、主人公が語った生態通りのエイリアンだと暴露し、
「AVは撮られたくないので……」と襲われてしまう。
長い舌でのディープキスや、
体液を粘液状にしての責めに
主人公は快楽を刺激され、徐々に身を委ねていく。
ついには粘液触手で直接子宮に卵を産み付けられてしまい……。
という感じのやつを描いています。
カモノハシって卵生の哺乳類らしいですね、エイリアンと似ている。
「「触手を出せる」というより、「自分の体液をある程度動かせる」という感じの疑似触手プレイをします。」
と文面だけで伝えてとりあえずGOくれた担当さん凄すぎませんか?
いつもありがとうございます!!!!
「狂った女の性交渉〜!」と言いながらぴょんぴょん跳ねて喜んでる所を
「いいですねえ…」と褒めてくれる環境はキルタイムコミュニケーションさんしかありません。
https://www.ktcom.jp/goiken/
↗ktcさんのアンソロそのものにはアンケート等は無いので、もしよかったらコチラにお送り頂けたらと思います!
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSefVi6lbALJevUghOVeXo6MJENs34y_Rpox6oraw1Ab10XEDQ/viewform
↗もっと踏み込んだリンクはこちら。
なんと「アンソロジーで取り上げて欲しいテーマ、性癖、シチューエーションがございましたらご記入ください。」
というすごい項目がある。
・お久しぶりです。
お週報久しぶりすぎる。すみません。
先週は突然Twitterのスペースをやってみて、それで満足して終わりにしてしまいました。
スペースとは、音声媒体の基本ログの残らない配信です。
たそがれ氏と一緒に腕相撲をしました。
なんで?音声のみの媒体で腕相撲を?
無事に敗北したので、罰ゲームでたそちゃんのアバターのマイクロビキニの絵を描きました。
なんで?負けた身分でヒトを辱めているの?
そういう感じで先週はたそちゃんと遊んだり、
なんなら、たそちゃんに「高山写真館さんに置いてもらうフライヤー」のアドバイスをもらったり、
たそちゃんのお誕生日だったのに、なぜか私が誕生日祝ってもらって、家族が増えました。
家族写真の���はこの一個前の記事に唐突にアップロードしたので見てください。
他にも、コミケの原稿をやっている者とお通話しながら原稿をしたり…
一人でサイゼのハンバーグを食べに行ったり…
私の守護霊は結構辛辣キャラである事を知ったり…
髪で飼っているネオンテトラが死にかかっていたり…
病院や公共、色んな人に優しくしてもらったり…そんな最近でした。
ともかく幸せな日々を過ごしていました。
でも、幸せって有限なんですよね。
・抜いた。親知らずを。
親知らずの抜歯とは。拷問である。
それだけで説明はつくのですが、詳細を語ると……
肉を切り、歯を砕き、抜く作業なり。(575)
…「拷問」で終わらせた方がマイルドだったなコレ。
識者には上記情報のみで「下の歯ですね」と理解できるようです。下の歯です。
こういう大工事タイプの抜歯でも平均タイムは1時間、RTA走者なら40分くらいらしいのですが、
私の口内はRTAに不向きだったらしく、2時間位かかった。
大仕事すぎる。
私はもう本当に麻酔でビリビリなので(なぜなら、拷問ではないので)、
先生方のほうがよっぽど「拷問」だったように思う…
今から「最中」の話をするので、痛そうなやつが苦手な人はブラウザバックしてください。
ギュワ〜〜と「歯を砕くマシーン」が口の中に入り、ギュワ〜〜と音を立てている間に、
「凄く…鉄の匂いがする…」という感覚は…なかなか…
そう…4DX的だった…視覚はないので3DXでしょうか…そんなことはどうでもいい。
時折顔周りも拭かれる。
目隠しもされているので、ボンヤリ想像するしかないのですが、
今顔面血だらけなんじゃ?
今口から凄い量の血しぶき飛ばしてるんじゃ…?
あっチェンソーマン二部面白かったですね。
抜歯自体はそれより一日前でしたが…
そんな中、歯医者さんはメチャ優しくしてくれて、(二時間もの間……)
「頑張ってねー」とことあるごとに声をかけてくださり、
とはいっても麻酔でビリビリなので何を頑張るとかは無いので、気持ちだけ頑張っていました。
なんとなく雰囲気が良い感じのまま、私は恐らく血みどろにされている。
しかし……存外時間がかかったのでわりと飽きてくるんですよね、失礼すぎませんか?
恐怖こそあれど「単調ではあるな」という作業、
やることといえば「なるべく恐怖を感じにくい考えごと」になってくるわけですよね。
それはなんなのか。
エロ漫画のプロット考えタイム。
夏コミの原稿正直持て余してるので、
なんか9月にエロ本出したいな〜出来るかな~とか思ってたタイミングでこんな機会…
歯医者さんが歯を抜いてくれている間、
私は、推しの男性器の抜く抜かないを考え続けていたわけです。
最悪。
頑張ってね〜と声をかけられながらエロ漫画のプロット考える機会なんてもうないと思う。
いやそんなことないな…
なぜなら、まだ右頬に親知らずが眠っているから。
・もう終わりです。
抜歯本体はそれはそれでレア経験として「楽しかった!」が7割でした。
お週報ヘビーユーザーの方はご存知かもしれませんが、
実は「罪のない歯を抜く抜歯(歯科矯正に必要な抜歯)」は昨年経験しており、
それともまた違った感じの経験で面白かったです。
https://www.tumblr.com/blog/view/2comlog/665486200395726848?source=share
↗前回の抜歯模様。
そう、抜歯自体はまあいいんですよ。
終ってから、顔溶けた?ってくらい腫れた。
左頬だけ重力が強い?
歯医者さん曰く「歯肉を切った瞬間もう腫れてました」とのことですが、
それ私の顔面が元々……いやなんでもないです………
一ノ瀬花名ちゃんの気持ちわかった…………
そして頬が貼れるとですね……
口も目も耳も開かない!耳が開かないってなに!?!でも耳が開かない!!!新感覚〜……
これを記している今日はもう抜歯から四日ほど経過しており、
腫れはかなり引きましたが、なんかまだ耳がボヤーっとしています。
あと唇が未だにビリビリしている。これホントに大丈夫?
食事が終わっており、ここ数日ずっとメイバランス啜って生きてます。
ずっと飢えたハイエナの気持ち。
なんでも食べたい。見てこの歯ブラシ、美味しそう…
しかしこのために体重増やすのを急いでいたので…ギリギリプラマイゼロやんな…
そう思う事で心を守っています。
ところで、前回抜歯した後、なんかメチャクチャ運が良かったり楽しい事例がたくさんあったのですが、
(家族会議が成功したり、うれしいお手紙もらったり、楽しいお仕事もらったり、カラオケバトルが想像の5倍盛り上がったり…)
今回はなんと。
ねこちよのサイン本当たった。
ありがとう抜歯、ありがとうまんが王、ありがとうせらみっく先生。
抜歯頑張って良かった……本当に……
「ねことちよ」って何?
知らんのか!?
https://houbunsha.co.jp/comics/detail.php?p=%25A4%25CD%25A4%25B3%25A4%25C8%25A4%25C1%25A4%25E8¤t=1&idx=0
まんがタイムきららフォアードにて連載されていた、最高漫画です。
社会人OL「ちよ」と、小さき生き物「ねこ」が暮らす、生活が描かれます。
生活の漫画です。この世の「全て」です。
私のもつ二ッチ癖の一つである
「植物を育てる事で情操教育される小さい人間かどうか不明な生き物」が描かれます。(二巻)
こんな二ッチ癖が満たされる漫画、「みくよん」以外にあんのかい。
……他にももうちょっと良い事はたくさんあったので、抜歯=運気上昇は確実に「ある」と思います。
もう片側の抜歯も楽しみだなあ~
楽しみなわけがあるか…ふざけるな…もう二度とこんな目にはあいたくない…
でもサイン本当選は本当にうれしいです…夢じゃない?夢じゃないと良いな…
「幸せは有限」と言いましたが、やっぱりコレも気の持ちようなんですよね!
…ブログ書いてもお腹は膨れないから嘘かもしんない…
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薪ストーブ煙突の交換と放熱改善
交換用に買った煙突は径106mm×1mのステンレス製直筒(シングル)で価格は1000円弱。一旦はストーブ後方のスペースに立て置いたが、帰宅直後で既設の煙突も充分冷めているし、すぐやっちゃうかとその場の勢いで交換作業に。煙突管は差し込んで繋げているだけなので、引っ張ればスポスポと外れる。ストーブからの垂直立ち上がりの最上部に新品を配置し、下方は既設の劣化していない部分を切り出して流用した。流石にまだ熱焼けしていない新品部分はピカピカに光ってるね~。
ところで薪ストーブの暖房効果は、燃焼させるストーブ本体からの放熱と、その排気を通す煙突からの放熱によって得られる。とは言え、室温上昇に寄与する熱量はごく一部で、そのほとんどは排気により持ち出され大気に放出され捨てられる。煙突の室内露出部分が長ければ放熱も多くなるが、その分掃除に手間が掛かるようになる。当家の場合はストーブからの垂直立ち上がりで約1.5m、その後の曲がりを入れても室内部分はせいぜい2m弱しかない。この短い距離で少しでも放熱を多くして暖房効率を上げる工夫はできないものか。
安易に考えつくのは、伝熱の表面積を増やして室内空気の接触を増やすこと。そのためには放熱フィンのようなものを煙突外周に取り付ければいいと思うのだが、いかんせん無収入な身なのでわざわざ高価な部品を購入してまでやる気にはならない。代わりにスチールたわしを巻き付けていくのはどうだろう。費用はあまりかからないだろうけど、ホコリがいっぱい溜まって掃除が大変そうだ。
そんな折、ビールの空き缶の利用を思い立った。ちなみにビール類は高級品なので貧乏人の私が買うことはないのだが、来訪したゲストやホームステイする人が持ち込んだり、頂き物があったりして空き缶が発生する。これらはもろもろの工作に利用出来る��用な「資材」になるため捨てずため込んでいるのだが、最近はストックも過剰気味だ(笑)。ビール缶の材質であるアルミは銅と並び伝熱性に優れているし、融点も極端に低いわけではないのでストーブ排熱程度で溶けてしまう恐れもない。何よりタダだから失敗を恐れず気軽にふんだんに使えるのがいいよね。ストックを有効に消費する良い機会だ。
底に10mmの穴を空けた缶は逆さにし、煙突に密着させるよう周囲に巻いていく。当方の煙突径の場合は1周で缶8つ。これをズレないように針金でまとめる。最下段は脱落しないように固定する工夫が必要だが、2段目以降は下の缶にはめる感じで積み上げていけるので作業は意外にも簡単だ。ちなみに全て銀色になるよう同じ銘柄で揃えているのは、銀色に光っていた新品煙突へのリスペクトだ(謎)。
最初は試しに5段ほどのつもりだったが、容易だったのでホイホイと上限ギリギリまで積んでいったら最終的に9段になっていた。それでも空き缶なので重量は極めて軽く、煙突自体に加工はしていないので物理的負担は軽微だろう。煙突の表面からアルミ缶へ積極的に伝熱されれば、表面積が増した分、放熱も多少なり増えるはずだ。缶の底には穴を空けたので積んだ缶の内部は縦方向に通気し自然対流もできるだろうしね。
そんな期待を抱きながら、薪ストーブにいつものように火を入れる。温度が低いうちは順調だったが、寒いからとガン焚きしたところ空き缶から白い煙がモウモウと上がり部屋を満たし始めた。その匂いで原因はすぐにわかった。空き缶表面の塗料が熱で焼け揮発したのだ。いやあ思慮が浅かったなあ(悔)。すぐに窓を開けしばらく換気しながら焚き続けたが、時間の経過と共に次第に収まってきた。その後も強く焚くと多少匂いは出たが、換気が必要な程にはならず、日ごとに揮発分の発生は減少してきている(カラフルな缶じゃなかったのはまだ幸いだったかも?)。この状況なら数ヶ月もすればほとんど気にならなくなるだろうと見込んでいるが、最悪な場合は取り外してしまえばいいだろう。
一方で、空き缶は熱で変色してきているものの、形状的変化はほとんど起こっておらず、その点においては堅強だ。放熱効率の改善を測定によって具体的に確認することはできないが、特に邪魔になっているわけではないので、匂いの問題さえ無くなれば次回の煙突交換まではそのまま放置されることになるだろう(笑)。
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ダ-ティ・松本 不健全マンガ家歴30年[-α]史
●はじめに
この文章は同人誌「FUCK OFF!7」において書かれたものをベースにして逐次増補改定を加えていき、いずれ歴史の証言として、[というほど大袈裟なものでは無いが…]一冊の本にまとめたいという意図のもと、近年どんどん脳が劣化していくダ-松の覚え書きとしても使用の予定。事実関係は間違いに気付き次第 訂正。同人誌発表時のものも今回自粛配慮して、実名、エピソード等を削除した箇所有り。有り難い事に某出版社よりすでに出版打診があったがまだまだその時期ではない、マンガを描く事が苦痛になったら活字の方も気分転換にいいかも…。 /*マークは今後書き加える予定のメモと心得たし。
●前史/修行時代・1970
さいとうプロの短くて濃い日々……
1968年に上京。数カ月後東京は戦場に。熱い季節の始まりだった。
2年後親元を飛び出し友人のアパートに転がり込む。場所は渋谷から井の頭線で駒場東大駅下車、徒歩5分。地図で見ると現在の駒場公園あたり。昼間でも裸電球を付けなければ真っ暗という馬小屋のような部屋。数メートル先には当時の建設大臣の豪邸が…。前を通りかかるだびに警備のおまわりがじろり。
いつまでも友人に迷惑もかけられないのでとりあえずアシスタントでも…と手元にあったマンガ誌をひっくり返し募集を探す。幸いさいとうプロと横山まさみち氏のところでアシ募集があり両方応募。どっちか一つ通れば…と思っていたら何と両方受かってしまい、双方に条件を聞く。当時高円寺 のアパート、風呂無し4畳半の部屋で相場12000円の時代。前者一ケ月の給料10000円、後者20000円との事。給料の方がボロアパートの家賃より安いとは…!どう考えても前者は食う方法がないと判断し、後者さいとうプロへ入社。
ここに居たのはたったの半年に過ぎないけれど今思えばこれだけで本が一冊描ける位の濃い半年だった。しかしこのあと2X年分も書かねばならないことを思えば今回はいくつかのエピソードを書くだけに留めよう。
ダー松が入った時は小池一夫氏[クビ?]、神田たけ志氏や神江里見氏、きしもとのり氏[現・松文館社長]等と入れ替わりの時で、きし氏の女遊びの凄さと神江氏の絵のうまさは伝説になっていた。現在「亀有」「ゴルゴ」が歴代単行本の巻数の多いベスト1、2位だが[ともに100巻を越えた]、3位は神江氏の「弐十手物語」[70巻以上]だという事は知ってる人は少ないだろう。
当時の制作部は、さいとうたかを[以下ゴリ]をトップに石川班[ゴルゴ13、影狩り]、甲良班[バロム1]、竹本班[シュガー、どぶ等]の3つに分かれ、それぞれのキャップにサブ・チーフが一人づついて、ヒラが2~6人いるというシステムで総16名。独立し現在も活躍中の叶精作、小山ゆう、やまさき拓味の3名がそれ��れの班のサブ・チーフ。ダー松は石川班で左右1メートル以内に叶氏とゴリにはさまれ、のんびり出来ない状態で、はなはだ窮屈。叶氏はほとんどマンガ家になりたいとも思った事のなかった人で、設計事務所みたいなところで図面を引いていた人がなぜマンガプロダクションに来たのか不思議だった。格別マンガ好きというわけでもなかったせいか現在まで全ての作品が原作もので、オリジナルは一本もないのはそのせい?祭りなどの人がうじゃうじゃ出てくる群集場面が得意。
やまさき氏は大の競馬好き、現在競馬マンガを多く描くのは当時からの趣味が生きたというべきか。もう一つの趣味である風俗についてはここでは書くのは差し控えよう。小山氏は後日ここの事務の女性と結婚するが、当時はつき合っているとは誰も知らず、スタッフの一人がやめる時その女性に交際を申し込んだら、茶店に呼び出されて小山氏からと凄まれたと聞いたが嘘か本当かは不明。
ここでの生活は新入り[ダー松を含めて3名]は朝の9時前に会社に行き、タイムカードを押し、前日のごみをひとまとめして外に出し、トイレ掃除をして、16人分のお茶を2Fで入れて制作部のある3Fへの狭い階段をふらふら昇り、机ごとに置いて歩き、終れば、一息ついて買っておいたパンと牛乳を3分で食べて、やっとそれから仕事。しかし新入りの3名の内1人折茂は常に遅刻なのでいつも佐藤と2人でやっていた。佐藤も遅れる時はダー松1人で。辞めてから10年位、16人分のお茶を持って階段をふらふら歩きお盆をひっくり返す夢をよく見たものだが、実際ひっくり返したのは折茂と佐藤の2人で、よく茶碗を割っていた。
たまには夕方6時には帰れるが、普通は夜10時までで、アパートに帰って銭湯に行けばもう明日にそなえて寝る時刻、このくり返しの日々。週1日は徹夜で明け方に帰り、その時は当日の昼12時出勤。休日は日曜日のみで忙しい時はそれも取り消し。つまり休みは月3日。[これで給料2万円!]そんな日々の繰り返し。
夕方までは皆和気あいあいと仕事していたが、ゴリが夕方6時頃に「おはようさん」と現れると、全員無駄口がたたけなくなり、仕事場はシーンと静まり返り、以下その日が終わるまでは疲れる時間がただひたすら流れるのみ。
当時石川班は「ゴルゴ13」と「影狩り」を描いていたがゴリは主人公の顔と擬音のみ。マジックで最後に入れる擬音はさすがに入れる位置がうまいと感心。ゴルゴの顔はアルバムに大小取り混ぜてコピーがとってあり、忙しい時は叶氏がピンセットで身体に合わせて「これが合うかな~」といった感じで貼り付けていた。
その頃すでに「ゴルゴ」は近々終わると噂されていたが、現在もまだ続いているとは感嘆ものだ。
ゴリと石川氏が「ゴルゴ」の最終回の終わり方を話しているのを聞いたら、何ともつまらない終わり方。しかしあれから20年以上も経つ事だし、きっともっといい終わり方を考えてあるだろうなと思っていたら、先日TVで本人が最初から考えてある終わり方だと言うのを聞き、がっくり。企業秘密だろうから書かないが、作品の最初の方に伏線が数度出ているのでわかる人にはすぐわかる筈。
辞めた小池一夫氏とさいとうプロに何があったかは知らないが、漏れ聞く話では結構もめ事があったみたいだ。
「子連れ狼」で「ゴルゴ13」と同じ設定の回があった時、「小池のガキャー訴えたるー!」とゴリが吠えていたものだが、結局たち消え。さいとうプロ作品で脚本を書いた本人が辞めた後、他の作品で同趣向の作品を書いても著作権は脚本を書いた原作者のものだと思うがどんなものだろう。その回のタイトルは忘れたが、ある場所に居合わせた人々が武器を持った集団の人質となり、その中に素人だと思われていた主人公、実は殺しのプロフェッショナルがいて、次々とその集団を殺していく、といったプロットで、ミッキー・スピレーンの短編に同じような作品があり、本当に訴えていたら恥をかいたと思うが・・・。
そういえば事務の方には山本又一郎という男がいたが、後年映画プロデューサーとして
「ベル薔薇」や「太陽を盗んだ男」等を創る事になるが、この野郎が生意気な男で当時皆に対して10歳は年上、といった感じの振る舞いだったが後日俺と一つしか年が離れてなかった事を知り、そんな若造だったとは、と皆怒ったものだ。以来奴の事を「マタさん」から「クソマタ」と呼ぶようになる。
さて半年後に先輩たちが積もり積もった不満を爆発させる反乱事件が勃発し、2年は居るつもりでいたここでの生活も、辞めるか残るかの選択を迫られる。残ればさいとうプロの現体制を認める事��なるので、ダー松も退社。
しかし反乱グループとは別行動をとって一人だけの肉体労働のアルバイター生活へ突入。超ヘビーな労働の製氷工場、人使いの荒い印刷所、命綱もない高所の足場で働く建設現場等々。トラックの助手をしていた時は運ちゃんが「本宮ひろしって知ってるか?うちの息子の友達でさぁ、昔、おっちゃんメシ食わしてくれーなんて言ってきたもんだが、今は偉くなっちゃってさー、自分のビル建てたらしいよ。赤木圭一郎みたいにいい男なんだ。」とうれしそうに話してくれたが、運ちゃんには悪いがそいつは今も昔も一番嫌いなマンガ家なんだ。あの権力志向はどうにかならんか。天下を取る話ばかりだもんなぁ。
ところで後日、単行本の解説で高取英が「さいとうたかをのヤローぶっ殺してやる!」とダー松が言ったなどと書いているが、小生はそんな危ない事言った覚えはないのでここできっちり訂正しておきます。
「会社に火ィつけてやる!」位は言ったかも・・・[嘘] 。 悪口は言っても別に怨みなど無い。ところでアシスタントとしてのダー松は無遅刻、無欠勤以外は無能なアシだったと反省しきり。理想的なアシスタントとはどんなものか、それはまた別の機会に。
*入社試験はどんな事を?
*さいとうプロには当時ほとんどろくな資料は無かった?
*ハイジャックの回の飛行機内部の絵は、映画「大空港」を社内カメラマンが映画館で写してきたものをもとに描く。
*当時のトーンは印刷が裏面にしてあり上からカッターでけずったり出来ない。
*トーンの種類は網トーンが数種、それ以外はほんの3、4種類位しかなかった。
*仕事中のB.G.M.はアシの一人が加山雄三ばかりかけるので大ひんしゅく。好評だったのは広沢虎造の浪曲「次郎長三国志」、初代桂春団次の落語。眠気もふっとぶ位笑えた。 ダ-松が岡林信康の「見る前に跳べ」をかけてるとゴリは「何じゃー!この歌は!」と怒る。名曲「私たちの望むものは」はこの男には理解不能。
●1 9 7 1 ~ 1 9 7 4
持 ち 込 み & 実 話 雑 誌 時 代
当時は青年劇画誌全盛時代で、もともと望月三起也氏や園田光慶氏のファンで活劇志向が強く、
主にアクションもののマンガを描いて持ち込みに行っていた。今のようにマンガ雑誌が溢れかえって、山のようにマンガ出版社がある時代ではなく、数社廻るともう行くところがない、という状態で大手では「ビッグコミック」があっただけで
「モーニング」も「スピリッツ」も「ヤン・ジャン」も当然まだない。テーマを盛り込んだ作品を持って行くと編集から「君ィ、うちは商売でやっているんだからねぇ」と言われ、アクションに徹した作品を持って行くと「君ぃ、ただおもしろいだけじゃあねぇ」と言われ
「おい、おっさん!どっちなんだ?」とむかつく事多し。この辺の事は山のように書く事があるが、有りすぎるのでパス。
*そのうち書く事にする。
ただ金属バットで頭をカチ割って脳みそをぶちまけてやりたいような奴が何人もいたのは事実。今年[’97]「モーニング」に持ち込みに行って、断られた奴が何万回もいやがらせの電話をかけて逮捕された事件があったが、そのうちトカレフを持って殴り込みに行く奴が出てくるとおもしろい。出版社も武装して大銃撃戦だぁ!などと馬鹿な事書いてどうする!とにかく持ち込みにはいい思い出が何もない。そんな中、数本だけ載った作品は渡哲也の映画「無頼」シリーズの人斬り五郎みたいな主人公がドスで斬り合う現代やくざもの[この頃の渡哲也は最高!]、ドン・シーゲルの「殺人者たち」みたいな二人組の殺し屋を主人公にした『汚れたジャングル』、陽水の「傘がない」が好きだという編集さんの出したテーマで車泥棒とブラックパンサーの闘士とのロード・ムービー風『グッバイ・ブラザー』、拳銃セールスマンを主人公にした『ザ・セールスマン』、等々10本ちょい位。
さてその頃並行してまだエロマンガ専門誌といえるようなものがなかったような時代で、実話雑誌という写真と記事ページからなる雑誌に4~10ページ位を雑誌の味付けとして描かせてもらう。当時、お手本になるようなエロマンガなど皆無で、エロ写真雑誌を古本屋で買ってきてからみのポーズを模写。マンガで裸を描く事はほとんど初めてで、これがなかなか難しいのだがエロシーンを描くのは結構楽しい。当時出版社に原稿持って行き帰りにグラフ誌をどっともらって帰るのが楽しみだった。SM雑誌の写真ページも参考になる。なお当時のペンネームは編集部が適当につけた池田達彦、上高地源太[この名前はいけてます。また使いたい]等。その数年後、逆にマンガが主で記事が味付けというエロマンガ誌が続々と創刊される。
*さいとうプロをやめたあと編集や知人に頼まれて数人のマンガ家の所へ手伝いに行く。秋田書店「漫画ホット」で『ジェノサイド』を連載中の峰岸とおる氏の所へ行き、仕事が終わったあとまだ売れてない頃の榊まさる氏も交え酒を飲む/川崎のぼる大先生のところへ数日だけ/3000円たこ部屋/小山ゆうオリオンププロ
*当時のアルバイトは記憶によると時給150~200円位/大日本印刷市ヶ谷駐屯地/坂/
*一食100円/どんなに貧しい漫画家もみかん箱の上で書くやつはいない/TV萩原サムデイ
*ろくでなし編集者
●1 9 7 5 ~ エ ロ マ ン ガ 誌 時 代 に 突 入
実話誌は意外とエロは抑え目で描くように口すっぱく言われていたのだが、以前活劇っぽい作品を描かせてもらってたが潰れてしまった出版社にいた児島さんが編集する「漫画ダイナマイト」で打合せも何にもなしに好きに描かせてもらい、ここでエロマンガ家としての才能[?]が開花する。描いてて実に楽しく眠る時間がもったいない位で、人に睡眠時間が必要な事を恨んだ程。出来る事なら一日中休まず描いていたい気分で完全にはまってしまう。
初の連載作品「屠殺人シリーズ」はこの頃から/『漫画ポポ』。中島史雄氏は大学時代にこの作品を見ていたとの事で、トレンチコートにドクター・ペッパー模様のサイレンサーつきマグナム銃で遊戯人・竜崎一也が犯しまくり殺しまくり、サディスト、マゾヒスト、殺人狂、まともな奴が一人も出てこない性と暴力の祭典。ちなみにタイトルページは描かないでいい、との事でどうするのかと思っていたら編集部が中のワンカットを拡大してタイトルページを創り、1ページぶんの原稿料をけちるというせこいやり方だった。けちるといえば、原稿の1/3にCMを入れる際、原稿料を1/3削った会社もあり。
●1 9 7 6 ~
後に発禁仲間となる高取英と出逢い、『長編コミック劇場』で「ウルフガイ」みたいのをやろうと、怒りに震えると黒豹に変身してしまう異常体質の主人公を設定し、獣姦のイメージで「性猟鬼」なるエロマンガをスタート!しかしその号で雑誌が潰れる。この路線は今でもいけそうな気がするがどんなものだろう。
この頃の珍品に「快楽痴態公園」がある。タイガースに11-0とワンサイドで打ちまくられ、怒ったジャイアンツファンのおっさんが公園でデート中の女をずこずこに犯りまくり、その間にジャイアンツは9回裏に12-11とゲームをひっくり返してしまうのである!その時のジャイアンツの監督はもちろんミスター長嶋、先発堀内、打者は柴田、土井、高田、王、張本等々がいる。タイガース監督は吉田、ピッチャー江本、キャッチャーフライを落球する田淵、そしてあの川藤もいる。解説は牧野……
●1 9 7 7 ~
上記2作品を含む初の単行本「肉の奴隷人形」が久保書店より発行。後にリングスの会場で逢った佐竹雅昭氏はこの本が一番好きとの事だった。
「闇の淫虐師」もこの年スタート。一話完結でバレリーナ、バトンガール等々、毎回いろんな女たちをダッチワイフのごとくいたぶりまくるフェチマンガとして1979年まで続け、単行本は「堕天使女王」「裂かれた花嫁」「エロスの狂宴」「陶酔への誘い」「終りなき闇の宴」の全5巻。ちなみに今年「闇の淫虐師’97」を『コミック・ピクシィ』にて発表。いつか『闇の淫虐師・ベスト選集』でも出したいところ。 [’98に実現、’99には続刊が出る]
●1 9 7 8 ~
久保書店より第2弾の単行本「狂った微惑人形」。収録作品の「犯された白鳥」は持ち込み時代に描いた初のバレリーナもの。結構気に入っていた作品なのに、後年再録の際、印刷所の掃除のおばさんが捨ててしまい、この世にもはや存在しない不幸な子となる。[’99に宝島スピード・ブックに本より直接スキャンして収録���
エロ、グロ、ナンセンスの会心作「恍惚下着専科」を発表。サン出版より同名の単行本発行。また同出版より「コミック・ペット/堕天使画集」として今までの作品を続々単行本化。全10巻位。これは今でも古本屋で流通しているとの事で、まだまだ世間様のお役にたっているらしい。
この年、「堕天使たちの狂宴」を描いていた『漫画エロジェニカ』が発禁処分、来年でもう20年目となる事だし、当時の人たちと集まってその大放談を収録し「発禁20周年特集号」でも創ってみようかと計画中。さて当時の秘話としてもう時効だろうから書いてみるけど、前述の『堕天使画集』に「堕天使たちの狂宴」は収録される事となり、当然修正をガンガン入れて出版されるものと覚悟していたら、米国から帰国後出来上がった本を見ると発禁になった状態のまま再録されている!以下桜木編集長との会話
ダ/いや~、いい度胸してますね。
編/だって修正してあるじゃない。
ダ/その修正状態で発禁になったんですよ
編/・・・・・
ダ/・・・・
以下どんな会話が続いたのか失念……
それにしてもサドの「悪徳の栄え」の翻訳本は発禁後20年以上して復刻されたけれど、「堕天使たちの狂宴」は半年もしない内に単行本になっていたとはエロ本業界とは何といいかげんな世界!しかし作品そのものは、今見るとリメイクする気にもならないどうという事もない可愛い作品で、結局あれもあの時代の姑息な政治のひとかけらに過ぎなかったのだろう。いい点があるとしたら一つだけ、それまでのエロマンガになかった瞳パッチリの少女マンガ的ヒロインを登場させた事位か。今の美少女エロマンガは本家の少女マンガもかくや!という位眼が大きいが当時としては画期的だったかも。
●1 9 7 9 ~
この年の「淫花蝶の舞踏」は「堕天使たちの狂宴」よりずっといい/『漫画ソフト』。今年出た「別冊宝島/日本一のマンガを探せ!」でベスト2000のマンガがセレクトされているが、ダー松の作品の中ではこの作品が選ばれている。教師と生徒、二人の女たちが様々な男たちの手によってに次々ともてあそばれ、闇の世界を転々として再び巡り会う時、女たちは蝶と化し水平線の彼方に飛び去り、男たちは殺し合い血の海の中で屍と化す。ダー松作品にはこのように男根が女陰の海に飲み込まれてに負けるパターンが多い。[性狩人、遊戯の森の妖精、美少女たちの宴、人魚のたわむれ・・等々]
この年からスタートの「性狩人たち」シリーズ[劇画悦楽号]はバレエ、バイオレンス、SEXの三要素がうまくからみあい、それぞれが頂点まで達する幸福な神話的作品だ。ここから派生した路線も多く、美少年路線は’83の「聖少女黙示録」へ。身体障害者路線は’80の「遊戯の森の妖精」、’84からの「美姉妹肉煉獄」へと繋がる。’81の最終話「ハルマゲドンの戦い」ではせりふなしで24ページ全てが大殺戮シーンという回もあり、中でも一度やりたかった見開きで銃撃戦の擬音のみという事も実現。こんな事がエロマンガ誌で許される時代だった。ちなみにこの回は[OKコラルの決闘・100周年記念]だが、何の意味もない。単行本は最初サン出版より、その後久保書店より「白鳥の飛翔」「少女飼育篇」「ヘラクレスを撃て!」「眼球愛」「海の女神」の全5刊。現在入手出来るのは後の3刊のみ。[「海の女神」も最近在庫切れ]
この年出た「人魚のたわむれ」の表題作は性器に{たこ}を挿入するカットを見た編集長が「・・・[沈黙]・・・頭おかしいんじゃ・・ブツブツ・・気違い・・・ブツブツ・・・」と呆れてつぶやいていたのを記憶している。たこソーニューは今年出た「夜顔武闘伝」で久しぶりに再現。なおこの作品は’83にマンガと実写を噛み合せたビデオの珍品となる。水中スローモーションファックがなかなかよい。
●1 9 8 0 ~
なぜか「JUNE」の増刊として作品集「美少女たちの宴」がサン出版より出版され、その短編集をもとに脚本化し日活で映画が創られる事となる。[「花の応援団」を当てたこの映画の企画者・成田氏は日活退社後「桜の園」等を創る。]その際、初めて映画撮影所を見学し、せこいセットがスクリーン上ではきちんとした絵になってるのを見て映画のマジックに感心。タイトルはなぜか「性狩人」で、’96にビデオ化された。監督・池田敏春のデビュー第2作となり現在までコンスタントに作品を発表しているが、出来のいい作品も多いのになぜか代表作がない。初期の「人魚伝説」が一番いいか。
この映画に合わせて「美少女たちの宴」を2~3回のつもりで「漫画ラブラブ」で描き出すがどんどん話がふくらみ、おまけに描いてる出版社が潰れたり、雑誌が潰れたりで雑誌を転々とし条例による警告の嵐がきた「漫画大飯店」を経て、「漫画ハンター」誌上で完結したのは’83になる。この作品でクリトリスを手術してペニスのように巨大化させるという人体改造ものを初めて描く。
この年の「遊戯の森の妖精」は身体障害者いじめ鬼畜路線の第2弾!森の中の別荘に乱入したろくでなしの二人組が精薄の少女の両親達を虐殺し、暴行の限りをつくすむちゃくちゃな作品で、雷鳴の中、少女の性器に男達のペニスが2本同時に挿入されるシーンは圧巻!しかしこのとんでもない男達も少女の性のエネルギーに飲み込まれ、朽ち果てていく・・・。
●1 9 8 1 ~
美少女マンガ誌のはしり「レモン・ピープル」誌創刊。そこで描いたのが「白鳥の湖」。虚構の世界のヒロインを犯すというコンセプトは、アニメやゲームのヒロインをずこずこにするという今の同人誌のコンセプトと同じかも。バレエ「白鳥の湖」において悪魔に捕われたオデット姫が白鳥の姿に変えられる前に何にもされてない筈がないというモチーフにより生まれたこの作品は、悪魔に男根を植えつけられたヒロインが命じられるままに次々と妖精を犯して歩き悪魔の娘となるまでを描くが、あまり成功したとは言えない。ただ人形サイズの妖精をしゃぶりまくり淫核で犯すアイデアは他に「少女破壊幻想」で一回やっただけなのでそろそろもう一度やってみたいところ。「ダーティ松本の白雪姫」はその逆をいき、犯す方を小さくした作品で7人の小人が白雪姫の性器の中にはいり、しゃぶったり、処女膜を食べたり、と乱暴狼藉![ちなみに両者をでかくしたのが同人誌「FUCK YOU!3」の「ゴジラVSジュピター」]この童話シリーズは意外と好評で続いて「ダーティ松本の赤い靴」を上記の単行本に描き下ろして収録。童話は結構残酷なものが多く、この作品も切られた足だけが荒野を踊りながら去って行くラストは原作通り。
*近年童話ブームだがこの頃もっと描いておけば「こんなに危ない童話」として刊行出来たのにとくやまれる。
「2001年快楽の旅」もこの本に収録。快楽マシーンを逆にレイプしてしまう、珍しく映画「2001年宇宙の旅」風のSF作品。
掲載誌を決めずに出来る限り多くのマンガ誌で描こうというコンセプトで始めたのがこの年スタートした「怪人サドラン博士」シリーズ。「不死蝶」シリーズや「美少女たちの宴」シリーズの中にも乱入し、「漫画ハンター」最終号では地球をぶっ壊して[その際地球は絶頂の喘ぎ声をあげ昇天する!]他の惑星へ行ってしまう。今のところ10誌位に登場。いつかこのサドラン・シリーズだけ集めて単行本化したいところ。ちなみに「サド」と「乱歩」を足して「サドラン博士」と命名。作者の分身と言っていい。 [後年、「魔界の怪人」として全作品を収録して刊行、04年現在品切れ中]
この年描いて’82の単行本『妖精たちの宴』に収録の「とけていく・・」はレズの女たちが愛戯の果てに、肉体が溶けて一��の軟体動物と化す、タイトルも内容も奇妙な作品。作者の頭もとけていた?
●1 9 8 2 ~ 1 9 8 3
’83年に「美少女たちの宴」が完結。全てが無に帰すラストのページは真っ白のままで、このページの原稿料はいりません、と言ったにもかかわらず払ってくれた久保書店、偉い![明文社やCM頁の稿料を削った出版社=某少年画報社なら払わなかっただろうな……と思われる……]この作品以外は短編が多く、加速度をつけてのっていく描き方が得意のダー松としてはのりの悪い時期に突入。また10年近く走ってきてだれてきた頃でもあり第一次落ち込み期と言っていい。マンガがスタンプを押すように描けないものか、などとふとどきな考えまで湧いてくる。思えば一本の作品には、いったい何本の線を引いて出来上がっているものなのか。数えた馬鹿はいないだろうが数千本は引いている筈。一ヵ月に何万本とペンで線を引く日々・・うんざりする筈です。
この頃のめぼしい短編をいくつか書くと、少女マンガ家の家に税務調査にきた税務署員が過小申告をネタにねちねちいたぶるが、アシスタントに発見された署員は撲殺される。そして板橋税務署は焼き討ちにあう、といった作品「[タイトル失念]xx税務調査」。[後日読者よりこのタイトルを「色欲ダニ野郎」と教えていただく。ひどいタイトル
*編集者のつけるタイトルはその人のセンスが実によくわかる。しかしサイテ-の題だなこりゃ…。
果てるまで「おまんこして!」と言わせながら処女をやりまくる「美処女/犯す!」はラスト、狂った少女が歩行者天国の通行人を撃ちまくり血の海にする。「嬲る!」はパンチドランカーとなった矢吹ジョーが白木葉子をサンドバッグに縛りつけ、殴って、殴って、殴りまくる。段平おっちゃんの最後のセリフ「・・ブスブスくすぶっちゃいるが・・・」「打てッ!打つんだ!ジョー!」「お前はまだ燃えつきちゃいねえ!」とはエロ・ドランカーの自分自身に向けて発した言葉だったのかも。トビー・フーパーばりの「淫魔のはらわた」は電気ドリルでアナルを広げてのファック!とどめにチェーンソーで尻を切断!いまだに単行本に収録出来ず。[’98の「絶頂伝説」にやっと収録]「からみあい」は夫の愛人の性器を噛みちぎる。「危険な関係」はアルコール浣腸をして火をつけ尻から火を吹かせる。この手は『FUCK YOU!2』の「セーラー・ハルマゲドン」で復元。そういえばこの作品の序章と終章だけ描いて、間の100章位をとばすやりかたはこの頃の「禁断の性獣」より。女性器にとりつき、男性器に変身するエイリアンの侵略により地球は女性器を失い滅亡する、といったストーリーで当時聞いた話では谷山浩子のD.J.でこの作品がリスナーの投書でとりあげられ、ダー松の名はダーティ・杉本と読まれたそうな。ヒロインの少女がひろ子という名前なのでこのハガキが選ばれたのかもしれないが、作者は薬師丸ひろ子からとったつもりだったのだが・・。[別にファンではない。] 「女教師狩り」は映画館で観客に犯される女教師とスクリーン上の同名のエロ映画の二本が同時進行し、一本で二本分楽しめるお得な作品。 ’83は’80に「漫画エロス」にて描いた「エロスの乱反射」の最終回の原稿が紛失したため単行本が出せないでいたのを、またまた「仏の久保さん」に頼んでラスト近くをふくらませて「漫画ハンター」に3回程描かせてもらい、やっと’85に出版。見られる事に快感を覚えるファッション・モデルが調教される内に、次第に露出狂となっていき、街中で突然裸になって交通事故を起こさせたり、最後はビルの屋上でストリップショー。そしてカメラのフラッシュの中に飛び降りていき、ラスト1ページはその性器のアップでエンド!
本格美少年・ゲイ・マンガ「聖少女黙示録」も’83。レズの姉たちの手によって女装に目覚めた少年がホモのダンサーたちに縛られなぶられ初のポコチンこすり合いの射精シーン。そして性転換して女となった主いるが、その中の’84の「白い肌の湖」はタイトルで解る通りのバレリーナものだがポコチンを焼かれた男が、一緒に暮ら人公が手術で男になった少女と暮らすハッピーエンド。この作品は単行本「美少女ハンター」に収録されてす二人の女と一人の男に復讐するエンディングがすごい!まず男の性器を切り取り、片方の女の性器にねじ込んだあと、その女の性器ごとえぐり取る。そしてその二つの性器をつかんだまま、もう一人の女の性器にフィストファック!のあげく、その二つの性器を入れたままの女性器をナイフでまた切って、ほとんどビックマック状態でまだヒクヒクうごめく血まみれの三つの性器を握りしめるとんでもない終り方!全くダー松はこんな事ばかりやっていたのかとあきれかえる。もう鬼畜としか言い様がない!しかし「ウィンナー」を二枚の「ハム」で包むなんて・・GOODなアイデアだ、又やってみよう。
●1 9 8 4 ~
「漫画ハンター」で「闇の宴」前後篇を描き、後日これをビデオ化。雪に包まれた六本木のスタジオで痔に苦しみながらの撮影。特別出演として中島史雄氏が絶妙の指使い、東デの学生時代の萩原一至が二役、取材に来たJITAN氏もスタジオに入ってきた瞬間、即出演で生玉子1000個の海で大乱交。カメラマンが凝り性で照明が気に入るまでカメラを廻さず、たった二日の撮影はやりたい事の半分も出来ず。撮影が終ると痔はすぐに完治。どうもプレッシャーからくる神経性だったみたいでこれに懲りてビデオは一��のみ。 この年の「肉の漂流」は親子丼もので、近所の書店のオヤジからこの本はよく売れたと聞いたが、一時よく描いたこのパターンは最近では「FUCK YOU!3」の「母娘シャワー」のみ。熟女と少女の両方が描けるところが利点。「血の舞踏」は久しぶりの吸血鬼もの。股間を針で刺し、噛んで血を吸うシーン等々いい場面はあるが、うまくストーリーが転がらず3回で止める。短編「果てるまで・・」は核戦争後のシェルターの中で、父が娘とタイトル通り果てるまでやりまくる話。被爆していた父が死んだ後、娘はSEXの相手を捜して黒い雨の中をさまよう。
またリサ・ライオンの写真集を見て筋肉美に目覚め、マッチョ女ものをこの頃から描き出す。しかしなかなか筋肉をエロティックに描くのは難しい。
●1 9 8 5 ~
くたびれ果ててすっかりダレてきたこの頃、8年間働いてくれたアシスタント女史に代わってパワーのかたまり萩原一至、鶴田洋久等が東京デザイナー学院卒業後加わってダーティ・マーケットも第2期に突入!新旧取り混ぜておもしろいマンガをいろいろ教えて貰って読みまくる。「バリバリ伝説」「ビーバップハイスクール」「ペリカンロード」「めぞん一刻」「わたしは真悟」「Be Free!」「緑山高校」「日出処の天子」「吉祥天女」「純情クレイジー・フルーツ」「アクター」「北斗の拳」「炎の転校生」「アイドルをさがせ」「綿の国星」「いつもポケットにショパン」「バツ&テリー」「六三四の剣」永井豪の絶頂期の作品「バイオレンス・ジャック」「凄之王」「デビルマン」等々100冊以上とても書ききれない位で、う~ん・・マンガってこんなにおもしろかったのか、と感動!
そこで眠狂四郎を学園にほうり込んで、今まであまり描かなかった学園マンガをエロマンガに、というコンセプトで始めたのが「斬姦狂死郎」。「六三四の剣」ばりに単行本20巻を目指すものの、少年マンガのノリは今では当たり前だが、当時はまだエロマンガとして評価されず、ほんの少し時代が早すぎたかも。’86に中断、今年’97に「ホリディ・コミック」にて復活!果たしていつまで続けられるか? →後に「斬姦狂死郎・制服狩り」、「斬姦狂死郎・美教師狩り」として刊行完結
前年末から始めた「美姉妹肉煉獄」は身障者いじめの鬼畜路線。盲目の姉とその妹を調教して性風俗店等で働かせ、娼婦に堕していく不健全・不道徳な作品で、肉の快楽にひたっていく盲目の姉に対し妹も「春琴抄」の如く己の眼を突き、自らも暗黒の快楽の世界にはいり、快楽の光に目覚めるラスト。 また、これからは女王様物だ!となぜか突然ひらめき「筋肉女」シリーズの延長としてフィットネス・スタジオを舞台に「メタル・クイーン」シリーズも開始。これは単行本2冊分描いたが、連載途中でヒロインの髪型を歌手ステファニーのヘア・スタイルにチェンジしたり、レオタードもたっぷり描けてわりと気に入っている。
10年近く描いた「美蝶」先生シリーズもこの年スタート!こうしてみるとマンガを描く喜びに満ちた大充実の年だったかも。
●1 9 8 6 ~
この年は前年からの連載ものがほとんどだが、「エレクト・ボーイ」は空中でファックするシーンが描いてみたくて始めた初の超能力エロマンガ。コメディ的要素がうまくいかず2回で止める。この路線は翌年の「堕天使輪舞」で開花。
「夜の彷徨人」は自分の育てた新体操選手が怪我で選手生命を失ったため、その女を馬肉のごとく娼婦として夜の世界に売り渡した主人公という設定。しかし腕を折られ、女にも逆に捨てられ、そして事故によってその女を失ったあげく不能となってしまう。失った快楽を取り戻すため無くした片腕にバイブレーターを取りつけ、夜の街をさすらい次々と女たちをレイプしていくというストーリー。がっちり設定したキャラだったのにまったく話がはずまず、男のポコチンは勃起しないままに作品も不発のまま終る。
「斬姦狂死郎」が不本意のまま終わったため学園エロス・シリーズは「放課後の媚娼女」へと引き継がれる。当時見ていた南野陽子のTV「スケバン刑事・」とS・レオーネの「ウエスタン」風に料理。ラストの「男といっしょじゃ歩けないんだ」のセリフは一番好きな映画、鈴木清順の「東京流れ者」からのもじり。単行本は最初司書房から出て、数年後ミリオン出版から再販、そして’97久保書店より再々販ながら結構売れて今年また再版。この作品は親を助けてくれる有難い孝行息子といったところ。
●1 9 8 7 ~
さいとうプロOBで那珂川尚という名のマンガ家だった友人の津田が「漫画ダイナマイト」の編集者になっていて、実に久しぶりに同誌で「堕天使輪舞」を描く。超能力エロマンガの第2弾。今回はエロと超能力合戦とがうまくミックスされ一応成功といっていい。この路線は「エレクト・ボーイ」とこの作品、そして’96の「夜顔武闘伝」も含めてもいいかも。一時、この手の作品は数多くあったが最近はめったに見かけない。しかし、まだまだこの路線には鉱脈が眠っているとにらんでいるがどんなものだろう。
●1 9 8 8 ~
「放課後の媚娼女」に続いて抜かずの凶一無頼控え「放課後の熱い祭り」を2年がかりで描く。’89に完結し司書房より単行本化。そして今年’97に改定してめでたく完全版として復刊!この頃が一番劇画っぽい絵で、たった2~3人のスタッフでよくこれだけ描き込めたなと改めて感心!エロシーンがちょっと少なめながら中島史雄氏がダー松作品でこの作品が一番好き、とお褒めの言葉を頂戴する。
TVで三流アマゾネス映画を見ている内、むくむくとイメージがふくらみ、昔から描きたかった西部劇と時代劇がこれで描けると、この年スタートさせたのが「不死蝶伝説」なるアマゾネス路線。昔々青年誌の創世期にあのケン月影氏がマカロニ・ウエスタンを描いていたことを知る人は少ないだろう。俺もあの頃デビューしていたらウエスタンが描けたのに、と思う事もあったが、このシリーズでほんの少しだけその願望がかなう。
この頃、アシスタントやってくれてた格闘技マニアの鶴田洋久に誘われ、近所の空手道場通いの日々。若い頃修行のため新宿でやくざに喧嘩を売って歩いたという寺内師範は、もう鬼のような人で、行けば地獄が待っていると判っててなぜ行く?と不思議な位休まず通う。体育会系はマゾの世界と知る。組手は寸止めではなく顔面以外は当てて可だったので身体中打撲のあざだらけ、ビデオで研究したという鶴田の体重をかけたムエタイ式の蹴りをくらい、右手が饅頭のように腫れ上がる。先輩たちの組手の試合も蹴りがもろにはいってあばら骨が折れたりで、なぜこんなヘビーな事をする?と思うが、闘う事によって身体の奥から何か沸き上がってくるものがある。スリランカの元コマンドと組手をやった時、格闘家の気持ちが少しだけ判るようになった。
●1 9 8 9 ~
’94まで続く「美蝶」シリーズでこの年は『ノスフェラトウ篇』を描き、シリーズ中これが一番のお気に入り。同人誌の「王夢」はこれが原点。
短編では「悪夢の中へ」はスプラッタ・エロマンガで久しぶりにチェーンソゥでお尻のぶった切り!はらわた引きずり出し、人肉食いちぎり!顔面叩き割り等々でラストに「ホラービデオの規制をするバカは俺が許さん!」などと書いているので、この年が宮崎事件の年か?世間は彼が日野日出志・作のホラービデオ「ギニーピッグ」を見てあの犯罪をおかした、としてさんざんホラービデオの規制をやっといて、結局見てもいなかったとわかったあとは誰一人日野日出志氏にもホラービデオさんにも謝らす゛知らんぷり。残ったのは規制だけで、馬鹿のやる事には全く困ったもんである。先日の「酒鬼薔薇・14才」の時も犯罪おたくの心理学者が、「これはマンガやビデオの影響です。」などと相も変わらずたわけた寝言をぬかしていたが、馬鹿はいつまでたっても馬鹿のまま。少しは進歩しろよ!お前だよ、お前!短絡的で幼稚な坊や、小田晋!よぅく首を洗っとけ!コラ!
「獣人たちの儀式」は退学者や少年院送りになつた生徒、暴走族、ヤクザ達が集まって酒盛りしながら女教師たちをずこずこにしてOB会をひらく不健全作品。編集長が「また危ない作品を・・・」とこぼしたものだが、岡野さん、田舎で元気にお過しでしょうか。この頃の「漫画エロス」には「ケンペーくん」だとか「アリスのお茶会」だとかおもしろい作品が載っていたものです。「爆走遊戯」は伝説のストーカー・ろくでなしマンガ家の早見純が一番好きな作品と言ってくれたが、なぜだかわからない。人の好みはいろいろです。以上3本は単行本「熱き唇の女神」に収録。 「ふしだらな女獣たち」はフェミニストの女二人が美少年をいじめる話。これは「氷の部屋の女」に収録。
●1 9 9 0 ~
この年の「美蝶」シリーズは『ダンシング・クイーン篇』。マネキン工場跡でJ・ブラウンの「セックス・マシーン」にのせて5人プレイをするシーンや文化祭でのダンスシーン等々結構好きな場面多し。暗くて硬い作品が多いので、この「美蝶」シリーズは肩肘張らずに、かなり軽いノリでキャラクターの動きに任せて、ストーリーも、そして次のコマさえも先の事は何にも考えず、ほとんどアドリブで描いた時もある。
「不死蝶伝説」に続いてシリーズ第2弾「不死蝶」は2誌にまたがって2年位続ける。これも結構お気に入りの一遍。
●1 9 9 1 ~ 1 9 9 3
「性狩人たち」の近未来版、といった感じの「夜戦士」は学園物が多くなったので、マグナム銃で脳天をぶっとばすようなものが又描きたくなって始めたミニシリーズ。全5話位。松文館より単行本「黒い夜と夢魔の闇」に収録。
この年から知り合いの編集者がレディス・コミックを始める人が多く、依頼されてどうしたものかと思ったが、エロなら何でもやってみよう精神と何か新しい世界が開けるかも、という事から’94位までやってみたものの結果的に不毛の時代に終わる。与えられた素材が体験告白物という事で、非現実的なものは描けないという事は得意技を封印して戦うようなもので苦戦を強いられ、これって内山亜紀氏がやまさき十三原作の人情話を描いたようなミス・マッチングで不発だったかな。今後、もしやることがあれば美少年SMのレディス・コミックのみ。そんな雑誌が出来れば、の話だが。
いくつかやったレディコミの編集の一人「アイリス」の鈴木さんは同じさいとうプロOBで、マンガ・アシスタント、マンガ家、マンガ誌の編集、そして今はマンガ学校の講師、とこれだけ多くのマンガに関わる仕事をしてきた人はあまりいないだろう。これでマンガ評論でもやれば全て制覇だが・・・。
この頃はいつもと同じ位の30~40本の作品を毎年描いていたが、レディコミは一本30~40枚とページが多く結構身体にガタがきた頃で、右手のひじが腱傷炎になり1年以上苦痛が続く。医者通いではさっぱり痛みがひかず、電気針で針灸治療を半年位続けてやっと完治。その後、住んでいたマンションの理事長を押しつけられ、マンション戦争の渦中に巻き込まれひどい目にあう。攻撃する��は楽だが、話をまとめるなどというのは社会生活不適格のダー松には大の苦手で「お前等!わがままばかり言うのはいいかげんにしろー!」と頭をカチ割りたくなるよう��事ばかりで、ひたすら我慢の日々で血圧がガンガン上がり、病院通いの日々。確実に寿命が5年は縮まる。あの時はマジで人に殺意を抱いたものだが、今でも金属バット持って押しかけて奴等の脳みそをクラッシュしたい気分になる時もある。いつかこの時の事をマンガにしようと思っていて、まだ誰も描いてない「マンション・マンガ」というジャンル、タイトルは「我が闘争」。え?誰も読みたくない?
この間に出た単行本は「血を吸う夜」、「赤い月の化身」「熱き唇の女神」[以上・久保書店] /「牝猫の花園」「真夜中の人魚たち」[以上久保書店]、「美蝶/放課後篇」「美蝶/ダンシング・クイーン篇」「不死蝶/鋼鉄の女王篇・上巻」[以上ミリオン出版]。
●1 9 9 4 ~ 1 9 9 5
ろくでもない事が続くのは厄払いをしなかったせいか、このままここにいたら頭がおかしくなる、と15年以上いたマンションから引っ越し。板橋から巣鴨へ移動し気分一新!以前からうちもやりましょうよ、と言われていた同人誌創りをそのうち、そのうちと伸ばしてきたものの遂に申し込んでしまい、創らざるをえなくなる。しかもそれが引っ越しの時期と重なってしまい大いに後悔する。しかしいろんな人にお願いして何とか一冊でっちあげ、ムシ風呂のような夏コミに初参加。これが運命の分岐点。レディコミもこの年で切り上げ、以下同人街道をまっしぐら。現在まで「FUCK OFF!」が9まで、「FUCK YOU!」が4まで計10+&冊創る。
’95からダーティ松本の名前にも飽きてきたしJr,Sam名でも描き始める。
レディコミ時代は松本美蝶。あと2つ位違うペンネームも考案中。
この間の単行本「氷の部屋の女」「双子座の戯れ」[久保書店]、「黒い夜と夢魔の闇」[松文館]、「危険な女教師/美蝶」[ミリオン]
●1 9 9 6 ~
美少女路線の絵柄もこの年の「夜顔武闘伝」あたりでほぼ完成、今後また少し変化させる予定。しかしこの作品は超能力、アマゾネス、忍法エロマンガとでも呼ぶべきか。「グラップラー刃牙」みたいに闘技場での勝ち抜き性武道合戦までいきたかったけれど、残念ながらたどり着けず。
「冬の堕天使」は久しぶりの吸血鬼もの。都営住宅で生活保護をうけている吸血鬼母子のイメージが浮かび、そこから漫画家協会・加藤芳郎を撃つ有害図書騒動のマンガへ。吸血鬼少年が光の世界との戦いに旅立つまでを描き、「闇に潜みし者」は時空を越えて近未来での戦い。その間を描く作品を今後創らなければ。
「FUCK CITY 2006」はクソ溜めと化した近未来のTOKYOを舞台に久しぶりにダーティ・バイオレンスが炸裂!ハード・エロ劇画と同人誌風・美少女路線の合体は果たしてうまくいったかどうか?30ページほど描き足して、’97、9月にフランス書院のコミック文庫にて発売。[「少女水中花」]
「放課後の媚娼女」と「人形愛」刊行。[いずれも久保書店刊]前者は以前、上下巻だったのを一冊にまとめて。後者は近作を集めた同人時代を経ての初単行本で、同人誌を知らなかった読者はショックを受ける。メタルフアンから以下のようなお手紙を受け取る。「これはジューダス・プリーストの『ターボ』だ。ラストの『眠れる森の少女』は『レックレス』にあたる。しかしジューダスもその後『ラム・イット・ダウン』や『ペイン・キラー』という傑作を世に出した事だし、今後を期待したい」という意のダー松のようなメタルファン以外は意味不明の激励をうける。
●1 9 9 7
同人誌「エロス大百科シリーズ」スタート!いろんな項目別に年2刊づつ計100ページ位を別刊シリーズとして出し続ければ10年で1000ページになり、以前「谷岡ヤスジ1000ページ」という枕に最適の本があったが、これも一冊にまとめて枕にして寝れば、目覚める頃は3回夢精しているなんて事に・・・などとまだたった40ページの段階で言っても何の説得力もないか。飽きたら2~3号でSTOPするだろうし・・。[推測通り「毛剃り」「美少年SM」「女装」3号でストップ中]冬にはやおい系にも進出の予定。
今年出した単行本は厚くて濃いエロマンガを集めた久保書店MAXシリーズ第2弾!「放課後の熱い祭り/完全版」と「夜顔武闘伝」オークラ出版。ともに大幅描き足して25周年記念出版として刊行。ティーツー出版よりJr,Sam名で「昼下がりの少女」、9月にはフランス書院より「少女水中花」の文庫本が出る予定で現在、この同人誌と並行して描き足し中。「斬姦狂死郎」第2部も「ホリディ・COMIC」誌にて6月よりスタート!年内創刊予定の『腐肉クラブ』なる死体姦専門のマンガ誌にも執筆予定。
さてさて25年間、旅行の時を除いて、現在まで2日続けてマンガを描かなかった事はほとんどない。これはその昔、伊東元気氏というマンガ家とお会いしたとき「今月何ページ描いた?」との問いに、「今月仕事ないんでぜんぜん描いてません」と答えたら、「そんな事じゃ駄目だ。仕事があろうがなかろうが、毎月100頁は描かなきゃ。」と言われ、以後その教えを守り[描けるページ数は減ったが]、マンガは仕事ではなくなり、朝起きたら顔を洗うのと同じで生活そのものとなり現在に至る。
今は何でも描けそうなハイな状態で、以前はたまには外出しないと煮詰まってしまうので週いち位ガス抜きをしていたものだが、最近はせいぜい月いち休めば十分の「純エロマンガ体」。[純粋にエロマンガを描くためだけの肉体、の意。ダー松の造語]
こうしてふり返ると、この路線はまだえぐり足りない、これはあと数回描くべし、なぜこれを一度しか描かない!等々、残り時間にやるべき事、やりたい事の何と多い事!
爆裂昇天のその日まで・・・
燃 え よ ペ ン !
なお続きは
1997年後期
1998年
INDEX
http://www.rx.sakura.ne.jp/~dirty/gurafty.html
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オオミズアオさん飼育記3/3【四齢から羽化まで】8月17日 完結
オオミズアオさんを飼育した記録をまとめました。
これはあくまで「自分はこうやった」という記録ですが、どなたかの参考になれば幸いです。
脱皮して変わる齢ごとにまとめてあります。
※飼育の際には、この記録のみだけでなく、複数の記録や文献を参照なさることをお勧めします。
目次
【最初に】
【孵化まで】 2021年5月16日(0日目)産卵の日 〜
【孵化・初齢】 2021年5月26日(10日目)一つ目、二つ目の卵が孵化 〜
【二齢】 2021年5月31日(15日目)初めての脱皮をして2齢になる 〜
【三齢】 2021年6月4日(19日目)二度目の脱皮 〜
【四齢】 2021年6月7日(22日目)三度目の脱皮 〜
【終齢】 2021年6月13日(28日目)最後の脱皮〜
【繭作成、そして蛹化】 2021年6月18日(33日目)一頭目が繭になる
【羽化】2021年7月13日(58日目)←ここから8月17日追加更新
【飼育にあたっての参考文献】
【4齢】
2021年6月7日(22日目)三度目の脱皮
★個体の状況や行動
脱皮直後と脱皮直前の個体の比較。左が脱皮直前の3齢、右が脱皮直後の4齢。
毛の透明感や口元の色、手足の色に明らかな違いがある。オナガミズアオ(オオミズアオと似ているがもっと希少な種。図鑑を見てみよう)は口の色が茶色くないというがこんな感じなのだろうか。
ここから二日おきにしていた掃除と給餌を毎日の実施に切り替える。よく食べる。食事の際にしゃくしゃく音がするくらいの勢いでよく食べる。体もだいぶ巨大になったな。
今回の脱皮後から葉っぱの食べ方が変わる。これまでは葉っぱの真ん中の太い葉脈をほぼすべて残していたが、今回の4齢では半分ほどまで食べるようになった。また、まず葉っぱの根本(画像の赤い矢印部)をある程度かじって細くしてから、手元に引き寄せ、手元にたぐり寄せつつ食べるようになった。体が重くなり葉っぱに登れなくなるため、こうやって手元に手繰り寄せて食べるしかなくなって、あらかじめたぐり寄せやすくするためにまず葉っぱの根本に折れ目をつけるのだと思われる。かしこい。
★所感
読んだ本に「蚕は1,500メートル分の糸を吐く」と書いてあった。品種改良された蚕ほどではないにしろ、オオミズアオさんもきっとたくさんの糸を吐くのだろう。そのためにたくさん食べるのだろうなあ。
この四齢のとき、水槽の掃除をしていたら偶然糞の構造の面白さに気づく。
どうしてこのような形になるのかは別途 ここに調査経過 と ここに推論 を書きました。
【終齢】
2021年6月13日(28日目)最後の脱皮
★個体の状況や行動
ここで孵化直後と並べて大きさを比較してみましょう。
でかい。とにかく食欲がやばい。うんちがすごい。シュレッダーかな?と思うような勢いで葉っぱが消えていく。水槽に入る限り葉っぱをギチギチ与えても、帰ってくる頃には消えている。これまでは太い葉脈を残していたが、すべて食べ尽くすようになる。
この時点で、繭を作る際の準備を始めることにした。やった事は下記の通り。
・図鑑で調べると飼育環境の底面で葉っぱを使って繭を作るとのことだったため、こまめに水槽底面を掃除
・水槽底面になるべく均等に葉っぱを置き、それぞれの個体が近すぎない場所で繭を作れるように準備
【繭作成、そして蛹化】
2021年6月18日(33日目)一頭目が繭になる
2021年6月19日(34日目)二頭目、三頭目が繭に
2021年6月20日(35日目)最後の四頭目が繭になる
★個体の状況や行動
体が大きい個体から順番に繭になっていった。水槽底面に用意した葉っぱを使用し、無事に繭を作ってくれて一安心。葉っぱをたくさん用意しておいて良かった。アゲハチョウと同じく、繭を作る前に茶色く泥状の糞を排泄するが、アゲハチョウほど量はなくて意外だった。体は巨大なのに量は少ないのね。
繭を作る際、枝を挿していたビンに接触して作ってしまった個体が二頭いて困った。繭に衝撃を与えると羽化不全につながる可能性があったが、カイコの様子を調べてそれを参考に「24時間後なら繭が安定しているのでは」と推理し、待った後にゆっくりと繭を剥がした。繭の形成が終わっており、なおかつ蛹化していない=それほど衝撃に弱くはない段階だったのでうまくいった。繭形成中や蛹化進行中にあわててビンから剥がすと不安定なところに影響を及ぼしていたかもしれないので、結果的にうまくいってよかった…。
繭になった個体から慎重に羽化部屋に移した。下の写真が羽化部屋。段ボールにネット(これは水槽の蓋代わりに使用していたのと同じ三角コーナー用ネットを開いたもの)をかけ、羽化した際にはこの網を上って上部に行き、羽が乾かせるようにしてある。
羽化の様子のYouTube ↓ これを参考にした。
https://www.youtube.com/watch?v=M4A_p5XRKUI 【昆虫注意】オオミズアオの羽化(2019/5/29)
https://www.youtube.com/watch?v=VZCjACdqUGk <蛹越冬>オオミズアオ♀羽化<春型>
蛹化と羽化の際にお互いが接触してしまうと、干渉し合って羽化不全が起きる可能性があったため、下記のことを重視して作成。
・成虫一頭の体の最大幅が12センチとして、二頭並んでも余裕があるよう30センチ以上の横幅がある段ボールを使用。
・繭になった個体から羽化部屋に移す。それぞれ番号を振って管理。
2021年6月26日(41日目)
時々猛烈な勢いで繭が左右にけいれんしていて不安になる。果たして無事に羽化するのか。
下調べしたところ、繭になってから10日ほどで羽化するらしいので、3〜5日後に羽化すると思われると思われる。
羽化したらまた更新します。
【羽化】
2021年7月13日(58日目)←ここから8月17日追加更新
6月20日に繭になった個体が羽化。繭になってから23日目。とてもうれしい。18時半に帰宅したらこの状態で嬉しくて膝から崩れた。
最初の羽化だが、想像よりも遅い羽化だった。(まだかな〜ヤママユ類は1ヶ月程度かかるらしいし時間がかかってもおかしくないのかな〜)と思っていたら心あるフォロワーさんが「子供の頃に育てていたオオミズアオは蛹化から羽化まで42日かかった」と教えてくださってほっとする。ありがとうございます。他の個体も気長に待とう。
ちなみに、繭の中にいる間の気温によって羽化後に生まれる卵が越年卵かどうか決まると本で読んで知っていたので、繭の間はエアコンの影響を受けないようにした。(越年卵とは…オオミズアオは初夏に生まれる個体と秋に生まれる個体があり、秋に生まれる個体は繭の姿で越冬することができる。このように越冬するのが越年卵から生まれる個体。ちなみに、カイコの場合、25度以下の気温で繭を過ごすとその繭から羽化した個体は全て越年卵を産むことがわかっている。カイコはすべて管理された飼育環境に置かれるため、産む卵をコントロールして人為的に越年卵か否かを決めているが、野生の個体の場合は夏に越年卵を産んだり秋に越年卵ではない卵を産んだりしてしまうと、生まれた個体は生きていけないため、繭の間の温度が重要)
また、繭は、温度の他に光も探知していると推測。これは、羽化の様子を示した記録が全て「夕方に羽化を開始し22〜24時に飛び立つ」と書いてあったため。光感知で時間を判断して羽化の時間を決めているのではないか。そこで、なるべく人為的な照明の影響を受けず、自然光で日の出・日の入りの太陽光が当たる場所に設置した。
それから、羽化の際は陰になるところを好む&ぶら下がって羽を乾かすようだから網を登れるようにセッティングした羽化部屋を整えておいてよかった。水槽だったらうまくいかなかったかもしれない。 「羽を乾かす」というと濡れたものを乾かすように聞こえるが、実際には葉脈のように張り巡らされた羽の脈に体液を通して羽を広げているので、ぶら下がるようにして羽を広げると、重力を利用して体液を行き渡らせやすくなる=早く羽が乾くのかもしれない。 私の個体は少なくとも6時間かかって羽を乾かし終えて飛べるようになった(18時に写真の状態になっていることを確認し、6時間後である24時に飛べるようになった)。これも環境によって変わるのか?自然界で6時間もかかったら捕食される危険が増えるのでは?室内で風がなかったから時間がかかったのだろうか。
とってもおしゃれなふわふわ。ショートコートに刺繍のような左右のワンポイントが効いている。
しかしこのふわふわは非常に儚く、繭から出て羽化する時点ですでに散り始めており、短い命が終わる頃にはもう全然残っていないのだろうなと思われた。
フラッシュを焚くと緑かかった色がよくわかる。
2021年7月25日(70日目)
6月19日に繭になった個体が羽化。繭になってから36日目。(写真はありません)
2021年8月15日(91日目)
6月18日に繭になった個体が羽化。繭になってから58日目。個体の下に白く残るのが羽化するときに出す液体・蛾尿です。
2021年8月16日(92日目)
6月19日に繭になった個体が羽化。繭になってから58日目。この状態で蛾尿を出していたためソファが汚れてしまい落ち込む。何か敷いておけば良かった…なるべく影になるところで落ち着きたかったのでしょうね。
全頭羽化してみると、羽化のタイミングにはかなり個体差があり、また先に繭になったからといって先に羽化するわけではないこともわかった。この個体差の原因は完全に不明。繭になって空羽化までの期間は、最小23日、最大58日。
羽化した後の繭の様子。質感と色はちょっとカマキリの卵に似ている。2枚目の下部に開いている穴が出てきた後の穴で、唾液で溶かしてこの穴を開けるらしい。
全て無事に羽化させることができてとても嬉しく安堵している。
この記事を読んでいるあなたがオオミズアオの飼育をしているなら、無事に成長し、羽化することを願っています。
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09072014
「読了、と。」
相変わらず小説を一本読み終えたような疲労感だ、と思いながらも、胸に巣食う不快感は抜けない。それは下手な話を読んでしまったからでもなく、内容が気持ち悪いからでもない。彼の書く小説は大体どれも悍しく、内臓を指で掻き回され、神経を指で直接嬲られているような感覚になるからもう慣れてしまった。
原因は、ただ一つ。
「...彼は、本当に皮膚が好きだな。」
筆者のフェティシズム。いわゆる性的嗜好の中に、皮膚愛好が時折含まれているということだった。大概のフェティシズムは容認出来る。魅せ方によってはむしろ魅力に気付かされ、此方が嵌ってしまう可能性すらある。事実僕は彼の小説に出会ってから、街ゆく人の眼球や、喉元や手先をよく見るようになった。彼の小説にあったような、口の中で転がすと鈴の音がなりそうな綺麗な眼球だ、犬歯を立てて噛めば齧りやすそうな白い喉だ。彼の小説で犠牲になった人のような、細く折れやすそうな指だ。頭の中で妄想していた曖昧な景色が現実と重なることで輪郭を得て、実写映画のように動いていく様に興奮したことは一度や二度ではない。
つまりは、少なくとも彼の小説において、フェティシズム自体に対する拒否反応は起きないということだ。ならばなぜ、この鳩尾から這い上がってくるような不快感と戦う羽目になったのか。
僕は、人の皮膚が苦手だ。
すれ違う人間と触れ合っただけでもぞわぞわと毛が逆立って、その部分の皮膚を削ぎ落としてしまわないと気が済まないような気分になってくる。勿論、低いながらも社会的地位がある僕は実際に行動には移さない。後に残らない程度にそこを擦り、掻いて、心を沈める。大丈夫、触れただけ、綺麗になった、もう大丈夫。そう言い聞かせて、1人になった瞬間声を出し発散する。ああぁぁあぁぁああぁあああぁぁぁあああ。何度かそうして頭を掻き回して部屋を歩き回ってはちゃめちゃに動いて、呼吸を出し切って、僕は僕に戻れる。皮膚、ならどこでもダメだった。手も、腕も、足も、爪の先ですら、人の皮膚らしい産毛の生えた柔らかな肉に触れた瞬間、気が狂いそうになる。正常でいたいと叫ぶ僕の脳が暴れ回る。
ひふ。皮膚。肌。上皮。ああ、その響きは僕にとって全て黒板を引っ掻く音。銀歯でアルミを噛む味。生理的嫌悪。精神病の一種なのだろうか。分からない。
自分の異常さを何度直そうと思ったか分からない。高級ソープから安い場末のデリヘルまで、数多の女を試した。さすがに男に走る気にはならなかった、というか、男であれば、道でぶつかる程度の接触には耐えられた。不思議だった。だから、色んな女に触れて、その度に敗北して帰ってきた。今日もダメ、美人も、可愛い子も、不細工も、平等に、生物学上女に分類される生き物の皮膚は全てダメ、というのが自身で出した結論だった。カタワ、その言葉が頭の中をぐるぐると回る。崇高な母親のもとで育てられ、様々な主義主張に触れ、結果ナチズムを崇拝する立派なレイシストとなった僕にとって、己が動物以下の生き物に成り下がることは到底耐えられなかった。今この世でT4作戦が始まったら、僕が対象になるのではないか。そう思うだけでもう、脊髄から神経をずるずると引きずり出されるような、じっとしていられない耐え難い苦痛に襲われた。
慣れることは出来なかった。無視して生きることは、もっと出来なかった。そんな僕にある日突然、受胎告知の如く正解が舞い降りた。僕が今までたどり着かなかった境地を、神は僕に与えてくれた。僕が優れているからか、選ばれたからか、それは天国へ行ったとき聞かなければわからないが。
目の前に転がる身体を、ゴム手袋越しに触ってみる。やはり、二の腕がぞわぞわりと粟立つ。鳥肌だ。ああ、寒い。掻き毟りたい。叫びたい。耐えろ、我慢だ。滅菌済パックを破りメスを取り出した。鋒を二の腕の内側に突き刺し、一本線を引いてみた。どうやら、骨と皮との間、皮下脂肪ごとひっぱり剥がせば上手く剥がれるらしい。まだ温かい肉の中に手を差し入れてみれば指の腹に硬い触感を感じる。これが骨か。ならば。隙間に合わせて指を這わせる。体内の、筋肉の緩やかな曲線と弾力を感じる。手の甲にぬらぬらと纏わり付く黄色い皮下脂肪。この調子でいけば、いけるかもしれない。身体をひっくり返し、背中にも真っ直ぐ一本、メスを入れる。綺麗に剥がなければ、僕の目的は達成されない。一度しかないチャンスを逃してしまえば、僕は一生カタワのままだ。落ち着け、落ち着け。ああ、そういえば、最初よりも幾分か、皮膚に触れられている気がする。ゴム越しだが、感じる皮膚の触感に、少しだけ、慣れたような気がする。柔らかな、産毛の感覚や手に吸い付くような質感はまだ味わえてはいないけど、でも、味わいたいと思い始めている。
所々萎びた背中の皮膚。一本通った赤い道から指を差し入れ、背骨から肋骨へ、骨を目指して、背中を抱きしめるようになぞり、指をめり込ませていく。
「良かった、何度皮膚を無くそうと思ったか。その度に立ち止まって、衝動を抑えた。彼らのようにバールで、コンクリートのブロックで、踊るような彼らを、何度羨ましく、憎らしく思ったか。ああ。」
首、手首、足首は切り落とし、それぞれから皮膚を剥ぎ取って並べておいた。体の部分、マネキンのようになったそれは床でべしゃり、轢き殺された蝦蟇のようにうつ伏せで這っている。背中の皮膚は大方剥がれた。身体をひっくり返し、同じように筋肉と骨の隙間、僕が還るべき場所へ還るように、手を馴染ませ、撫でて、愛していく。意を決して、ゴム手袋を外してみた。
「僕はこの光景を何度夢想したか分からない。己が正常に戻る日を、何度夢に見、そして泣き、心を折られてなお夢に見たか、分からない。」
素肌で、筋肉繊維に触れてみる。脈動も燃えるような熱さも感じない。緩く硬い感触。だが、ただ、人に、触れられている、その幸せだけが胸を満たして、じわり、視界がぼやけて滲んでいく。僕は、人に、触れた。素手で、人に触れられることがで��た。こんなもの、進歩でも何でもないと嗤う人はいるだろう。でも、僕の中では立派な進歩、成長、進化だ。
事前に、彼と僕とのつながりは全て絶っておいた。と言っても、閲覧履歴を消し、ブックマークを解除し、印刷しておいた彼の作品をシュレッダーに泣く泣く掛け水に溶かしてトイレに捨てただけ、だが。それで証拠の隠滅が出来るのか、知識のない僕には分からない。
ただ、彼に迷惑をかけるようなことがあってはいけないと思う気持ちが半分、彼の作品に触発されて行動した模倣犯扱いされたくない気持ちが半分だった。
模倣犯。何と嫌な言葉の響きだろう。僕は別に彼になりたいわけでもなく、彼の書く話の主人公達になりたいわけでもない。他人に感化されて人生を曲げるほど愚かな人間ではないし、自分の頭で自分の人生について考えられる程度の知能は持って生まれてきたはずだ。だから、あくまでも僕は、彼の小説は趣味として好んでいただけで、何も影響なんてされていない。
第一彼だって、自分の話を読んだからといって軽率に真似されるのは不快だろう。彼には彼の矜持がある。高尚な、僕の脳では追いつかないグロテクスでナンセンスでノーモラルな彼の世界がある。僕はそれを下から見上げながら、目の前に続く僕の人生を歩む。ただそれだけ。
「よし、だいぶ進んだな。」
上半身はすっかり、ダイビングスーツのような有様で萎んだ皮と剥き出しになった血液塗れのピンク味を帯びた肉になった。綺麗にできているはずだ。比較対象がないから、何とも言えないが。下半身。と視線を移して、はて、どうしよう。と首を傾げた。
局部の処理はどうしよう。周りを見渡す。ああ、包丁があった。丸く切り込みを入れて、そこは残しておこう。大切な場所だから。無闇に傷付けるわけにはいかない。ああ、これで、ちょっととちった部分もあったけど、綺麗に皮膚が全て剥がれた。幸せだ。どうしよう。ああ。達成感。
いや、そんなことはどうでもいいんだよ。忘れてた。そばに落ちてた服で手を拭いて、懐に置いておいた、中学の頃からずっと大切に使ってる裁縫セットを開けた。1番太い糸、黒しかないがまあいいか。針に糸を通すのは昔から得意だった。並べていた手足を指先で摘んで、ちまちま、恐る恐る、裏返していく。あれ、やっぱり、触っても大丈夫みたい。一度、してみたかったことが、出来るかもしれない。僕は一度針を針山に刺して、恐る恐る、左手を、左手の中に入れた。僕より小さい手。無理矢理ねじ込んで、血と脂でぬかるむから案外奥までちゃんと入った。軍手みたい。左手を、そっと持ち上げて、そして、僕の頭へと、それをポン、と置いた。
「あああ、ああああ、あああああああああああ、」
嬉しい、嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい!!!!!!背筋が全部鳥肌になったみたい、ぞわぞわぞくぞくして、ああ、何だか失禁しそう。僕、僕、ずっと頭を撫でられたかったんだ、でも、人の皮膚が頭に乗るって考えただけで、その皮膚から、得体の知れない毒素がじわりじわりと滲み出て、頭皮を覆い、その生温い液体がこめかみを伝って耳を流れ、しまいには頭蓋骨から僕の脳へ染み込んで侵食してくるような、悍しい、ただただ悍しい感覚がした。正気じゃいられない。
それが今はどうだ。こうも、当たり前のように、人の手に優しく頭を撫でられる多幸感を享受して、当たり前の人間のように、僕は、ああ。
ずるり、手を抜いて少しだけふやけたように膨らんだ皮膚をひっくり返す。ひっくり返す。ひっくり返す。ひっくり返す。ひっくり返す。ひっくり返す。ちくちくと地味な作業は案外得意だと手首と手、足首と足、首と首をつなぎ合わせて、縫っていく。そういえば僕が昔見たアニメ映画に、こんな感じのヒロインが出てきたような気がする。可愛かったなあ。よし、出来た。
「よし。」
身につけていたものを全て取っ払い、僕は、目の前に出来上がった、裏返しになった皮膚の背中に手を入れて、ぞわぞわと、肌を擽る産毛の感覚に脳内物質をどぱどぱ溢れさせながら、ゆっくり、じっくり、着ていった。手、手首、指先が指先へ到達し、ふわりぺちゃりと密着する。汗ばんでいるのは僕の素肌か。別人のようだと、どこか客観視している冷静な自分が感心する。ぱつぱつなはずなのに伸縮性のある皮膚は僕の太ももも二の腕もお腹も全て包み込んで、背中はさすがに開いているけど僕は頭まですっぽり、人の皮膚に覆われた。髪がごわごわがさがさと擦れあってくすぐったい。ああ、凄い、僕はやっぱりカタワじゃなかった、正常だった。理解し難いフェティシズムにも打ち勝てた。
視線を落とす。肋骨、乳房のすぐ下に、1センチ四方の規則正しい穴があった。動く度に、内側にあるカサついた唇と僕の唇が触れ合って何だか少し恥ずかしい。ちょこん、お皿に乗ったそれをぐちゃぐちゃした指でつまみ上げて、そして、真皮側を舌に、そっと、乗せた。
あぁ...彼はやはり、本当に皮膚片を食べたんじゃないだろうか。あんな的確な食レポ、とても想像だけでは書けないはずだ。きっと彼も僕と同じように舌にこの塩っけとヌルヌルした脂の匂いを感じて、そしてそこにほのかな甘みも感じたはずだ。ミルクのような、蜜のような、ほのかに微かに香る甘味を、僕は感じている。ころころ、転がす前に、舌を駆使してその皮膚片をひっくり返す。と、思わず娼婦のような悦に浸った声が出てしまった。あぁっ。それは産毛が僕の味蕾で遊ぶ感覚によるもので、あぁっ。もうダメ。イっちゃいそう。いやむしろ漏れちゃいそう。あっ、失禁、本当だ。彼は凄い、天才だ。
出し終わってスッキリした僕は床に座り込んで、体育座りをしてみた。全身の肌という肌に皮膚がまとわりついて、包まれて、脳がゆらゆらと湯煎されて溶けていくチョコレートのように、耳から流れて出ていきそう。目の前に転がったズル剥けの身体。綺麗に残った陰部。
粘膜の接触。それは僕が想像すらし得ない境地。彼の小説においても、粘膜の触れ合いが細かく書かれたものはない。恐らく彼は女性が苦手なホモセクシュアルか、もしくは無性愛者か、インポテンツだろうと予想していた。すっきりしたせいか、僕はすっかり興奮してしまっていた。今なら、こうして皮膚を纏えた今なら、何も怖いものはないのかも知れない。よし、いける、出来る。僕はぬるぬると滑る太ももに指を立てて何とか固定し、そして、テレビで見たセックスをした。ズン、と奥まで入り込む僕の陰茎が中で喜びに震えている。子供の素を、奥に奥に送り込もうと腰が揺れる。届け、届け。
「ママッ!!」
思えば、最初に嫌悪を覚えたのは、母に手を繋がれた時だった。買い物の帰り、まだ子供ながらに、そのかさついた手に触れられることがどうにも気持ちが悪く、振り払って手が血塗れになってもアスファルトに擦り付けていた。
「ママッ!!」
さすがに照れ隠しだとは思わなかったんだろう、そこから母は、僕に触れるのをやめ、腫れ物にでも触るかのように僕と接した。諦めが悪いのが女の特性なのか、それでも時折僕と接触を図っては、傷付いた顔を見せた。手を繋ぐ、頭を撫でられる、肩を叩かれる、手の大きさ比べをする、どれもこれも、僕は自分の手を切り落として見せつけてやりたいほど嫌だった。病気になって膝枕された時も、あれは気分が悪くて吐いたんじゃない。耳に当たる母の太ももの生暖かい体温に耐えかねたからだ。
「ママッ!」
何故なのか、分からなかった。最初はこの女が何かしらの毒素かオーラを出しているんだと思った。次は、宇宙から放たれた電磁波が脳に悪影響を及ぼしているんだと思った。アルミを巻いてもお題目を唱えても、治らなかった。そしてそれは、母以外の女へも波及していった。カタワにさせられたんだ。
「ママッ!」
何もかもが嫌だった。別に普通の母親だ。父が事故で亡くなってから、女手一つで僕を育てた立派な母だ。何が嫌だったのか、今となってはもう確かめようもない。少なくとも、僕は母がいなければまともなまま悩むこともなく、彼の小説を楽しみ、生きられたということだけは分かる。汗が皮膚と肌の間を伝って、いつかソープで塗りたくられた潤滑油のような感覚を覚えさせた。ああ、考えてるうちにまた射精しそうだ。赤ちゃんの部屋まで競争だ。届け、届け。
「届けッ!届けッ!」
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麻薬、殺人、売春が横行。郊外では山賊が跋扈し、都市部の公共交通機関内ですら追い剥ぎが出る。人々は犬・猫・猿・蛇・亀はおろかハクビシンやセンザンコウまであらゆる生物をむさぼり食い、犯罪者の市中引き回しや公開銃殺刑の執行も日常茶飯事……と聞けば、どこの暗黒国家の話かといぶかる人も多いだろう。だが、実はこれは1990年代〜ゼロ年代前半にかけての中国広東省の話である。
広東省といえば、深圳市を中心としためざましい経済発展とイノベーションの進展によって、特に昨今の日本ではキラキラしたイメージが持たれることも多い。新たな可能性を求める若者や、テック系の情報感度の高い人からは羨望のまなざしが注がれる地域である。だが、つい十数年前までは常識はずれのアナーキー地帯として、他の地域の中国人からすら恐れられていた。
2019年1月24日、私は広東省で印刷会社を経営する日本人、佐近宏樹さん(46)を取材する機会があった。佐近さんは香港生まれの香港育ち(正確には生後3ヶ月だけ日本)で広東語ネイティヴ、現在も生活と仕事の基盤を完全に香港と広東省に置いている。
彼の国籍や血縁上のルーツは日本だが、事実上は日系移民の1.5世だ。彼は中国人向けのビジネスでは中国名を名乗っており「仕事で半年間付き合った相手が自分を日本人だと気付かなかった」ほど現地に溶け込んでいる。
別の取材テーマで会った佐近さんと私が、予想外に盛り上がったのは、かつての広東省で見聞した凄まじい暗黒エピソードだった。私自身、2001年に広東省の深圳大学に留学しており、その後もいろんな事情があってこの地域とは縁が深い(自分のなかでは「中国でのホームグランドはここ」という感じである)。
現在はキレイになっている中国最先端地域の、ほんの一昔前のカオスな日常風景。そこから中国の別の姿を感じていただきたい。
「1日1回は死体を見ていました」
安田 まずはご経歴をおさらいさせてください。佐近さんは日本語と広東語が両方ネイティヴ。それプラス、標準中国語(普通話)と英語も不自由なく話すことができます。
佐近 ですね。僕の経歴を言いますと、親の仕事の関係で香港で育って、現地ローカルの学校に通ってから香港の日本人学校に行っていました。それから、高校・大学は日本。大学時代に広東語を言語学的な面から勉強しなおしました。
安田 大学時代は千島英一先生のお弟子さんですよね。日本人の広東語学習者がほぼ必ず手に取る、『東方広東語辞典』や『エクスプレス広東語』を書かれた広東語研究の泰斗です。
佐近 はい。で、学生時代に台湾に留学して標準中国語も覚えて、1996年以降、多少の中断はありますが基本的に広東省で働いています。2016年に独立して、現地で東莞市比愛色印刷材料有限公司という印刷会社を経営しています。自宅は香港にあって、平日は東莞住まいですね。
安田 中国南方のメチャクチャ感は90年代がピークで、ゼロ年代なかばぐらいまでは明確にありましたよね。
佐近 90年代後半は、1日に1回は死体を見ましたからね。交通事故ですけど。ドライバーは歩行者がいても一切ブレーキ踏まないし進路も変えない。対して歩行者も車を見ていない。事故になるのは明らかなのになぜ毎日轢かれて死んでいる人がいるんだろうと。
安田 人間と自動車のメンツの勝負みたいになっていましたよね。僕もさすがに「1日1回」ではないですが、地方では路上で手が取れて死んでいる人を見たなあ……。ちなみに当時、農村部で人を轢いたときは、ドライバーはケガ人を助けずに全力で走り去って、隣村に行ってから警察と救急車を呼べ、と言われていました。
佐近 うんうん。言われていましたね。
安田 ドライバーが事故現場にとどまると身の危険があるからです。村人が総出で復讐にやってきて、よくて半殺しにされるし、車もボコボコにされてしまう。基本、生命が軽くて、暴力が身近な世界でした。
深圳の高速道路には山賊が出た!
佐近 暴力といえば、昔の会社が広州の外れの永和経済開発区という場所にありましたが、かなりヤバかったですよ。強盗とか荒っぽい犯罪者が多いから、公安(警察)がすぐにマシンガンを撃つんです。会社で仕事してると、外からタタタタタン、と乾いた音が聞こえてくる。
安田 無法地帯すぎる(笑)。90年代後半ですね。
佐近 会社の門の前に、分銅の付いた鎖を振り回しているヤバいやつがいましたからね。ずっと振り回し続けていたので、変なヤクをやっていたんだと思う。当時は薬物関連も、氷毒(メタンフェタミン)なんかが野放し状態で流通していたので、頭がおかしくなっている人が多かった。
安田 2003年の春に、当時の中国人の彼女と乗ったタクシーの運転手がそういう人でした。「俺は追われているんだ!」とか叫んで、駐車中の他の車にボコボコぶつかりながら走りはじめて。時速140キロぐらいでタンクローリーに接近されたときは本気で死を覚悟しました。停車した折に無理矢理ドアを開けて地面に転がり出て脱出したので、もちろん目的地には着けず(笑)。
佐近 変な人、大量にいすぎて感覚がマヒしていましたよね。あと、強盗関係だと、昔は深圳から東莞に通じる高速道路の、中間地帯にあたる虎門鎮のあたりで山賊が出たんです。まだ高速道路に警察が配備されていない時代なので、市と市の中間地帯であれば、追い剥ぎをやっても警察が来る前に逃げ切れた。現在は日系企業の若い女子社員1人でも、出張で通る道路なんですが……。
「盗まれる」「食われる」「騙し取られる」
安田 追い剥ぎといえば、ゼロ年代前半までは深圳市内のミニバス(注.現在は存在しない)のなかでも強盗���出ました。特に日暮れ後が危ない。
佐近 ああ、いました。昔の会社の同僚が身ぐるみ剥がされてパンツ一丁で放り出されましたっけ。あれ、強盗と運転手が完全にグルなんですよ。車内は密室ですから、乗客が少ないときはカモにできてしまう。
安田 そんな社会ですから、当時は地元の人が他人を一切信用していなくて「危ない」と「盗まれる」ばっかり言っていましたっけ。こちらは真偽のほどは知りませんが、女性がイヤリングをして歩いていたら耳ごとむしられる、みたいな話が当たり前のように話されていた。
佐近 ありましたね。深圳の人は「広州に行くと耳をむしられるぞ」と言っているのに、広州の人は「深圳に行くと耳をむしられるぞ」と言う。一種の都市伝説みたいな話ですが、現地の人がみんな信じるリアリティがあったんですよね。
安田 なかば笑い話ですが、知人が小さいときに亀を飼っていて、ある日いなくなったらしいんです。それで泣いていたら、お母さんに「きっと誰かに食べられたからあきらめなさい」と言われたみたいで。
佐近 いまでも現地の人はカエルや亀を食べますが、昔はもっと食べる人が多かったですから。2003年に感染症のSARS(重症急性呼吸器症候群)のパンデミックが起きた際、その原因として規制されましたが、それまでは「野味」(イェウェイ、各種の動物食)のレストランがたくさんあった。犬や猫どころか、ハクビシンもセンザンコウも食べていた。
安田 店の前にイケスみたいな檻があって、いたいけな子犬(注.食用)が入れられていたやつですね。ペットの犬もよく誘拐されて食われていた。とにかく、当時は自分のあらゆる所有物について「盗まれる」「食われる」「騙し取られる」の鬼畜三原則を常に警戒しなきゃいけなかった。漫☆画太郎のマンガみたいな世界です。
佐近 ひどい(笑)。でも、実際にそうだったからなあ。誇張でも何でもなく。
通り全部が「ピンク床屋」
安田 現在は表立ってはほぼ壊滅しましたが、以前はアンダーグラウンドな産業もすごかったです。深圳でも、街のいたるところにニセDVD屋とピンク床屋(注.中華圏では理髪店が簡易風俗店になる例が多い)がありました。当時は感覚が麻痺していて、完全に日常風景として眺めていましたが、いまから考えると異次元だよな……。
佐近 昔の会社の近所に、通りが全部ピンク床屋だけになっていた場所がありましたよ。一歩足を踏み入れるだけで店の人が100人ぐらいワラワラと集まってくるような。ちなみに通りの先にある公安の敷地内に、ある建物がありました。当時は公安が、ピンク床屋の客向けのレンタルルームというか、連れ込み宿みたいなものを経営していたわけです。
安田 でも、広東省のピンク床屋って、特に都市部ではゼロ年代中盤〜後半に一気に消滅しましたよね。本当にウソみたいに消えてしまった。都市化が進むと、社会は健全になっていくんだなあとも。
佐近 いや、その見立ては甘い(笑)。ピンク床屋のほとんどは、地元のヤクザが経営しています。でも、ゼロ年代なかば以降は土地を転がすほうがカネになった。再開発で一儲けを狙う経営元(=ヤクザ)の事情で、まとめてぶっ潰したケースのほうが多かったはずです。社会の健全化なんて話じゃないですよ。
安田 なるほど(笑)。ところで、ここで言う「ヤクザ」って、もちろん公安も含みますよね。公安がヤクザに取り込まれていたというか、ヤクザが公安“も”やっていた。
佐近 それそれ。「警匪一家」(=警察も盗賊もひとつのファミリー)ってやつです。そもそも地方の公安の偉い人って、その地域でいろんな利権を持っている金持ちの息子がやるポストでしたからね。
「90年代までは公開処刑があったんです」
安田 公安と言えば、2002年の冬に広西チワン族自治区の街で犯罪者が市中引き回しの刑にされているのを見たことがあります。中型トラックの荷台に檻があって、オレンジのベストを着た犯罪者が手錠でズラッと繋がれていて。「こいつらは憎っくきスリ犯罪を犯した!」「人民の敵である!」とか拡声器でアナウンスしていた。
佐近 あったあった。
安田 2006年末、確か沙咀村という巨大な売春街が摘発された際も、働いている女性や関係者らが100人規模で市中引き回しにされていましたっけ。たった12年くらい前まで、深圳でも普通にそういうことをやっていた。人権という概念が根本的にない。
佐近 それどころか、90年代までは公開処刑があったんですよ。ひとつの会社あたり2人、みたいに動員ノルマが決まっていて、広場で強制的に銃殺刑を見学させられるんです。僕はさすがに人間としてこれだけは参加してはいけないと思って、動員から逃げ続けていましたが。
安田 立ち会ったらトラウマですね……。
佐近 立ち会いといえば、昔は堕胎も、妊娠させた当事者以外の人間が現場に立ち会わなくてはいけなかった。診療所で女性の股間に掃除機の先っぽを突っ込んで胎児を吸い出すのを、なぜか第三者に「見学」させるんです。
安田 計画生育政策(往年の「一人っ子政策」)に違反する行為なので、一種の罰として見学制度があったのかもしれないですね。とにかく公衆の面前で恥をかかせることが最大の罰になるという考えがあるんでしょう。しかし、堕胎見学は想像するだけでしんどい。
佐近 一人っ子政策、ひどかったですよ。会社の運転手の男性が、2回ぐらい自宅を破壊されていました。一人っ子政策に違反して子どもを多く生むと、罰として家を壊される。
現在の広東省の街を見るとびっくりするが……
佐近 考えてみると、日本語でこういう話をしたのは十数年ぶりです。話しているうちにどんどん思い出してきました。ちょっと前まで、そうだったんだよなあ……。
安田 私もだいぶん思い出しました。社会が変化すると、それ以前の状態を忘れるんですよね。一昔前の感覚で現在の広東省の街を見るとびっくりします。治安はいいし、インフラも整った。ただ、それを一皮剥いた根っこの場所には、きっといまでも往年の「暗黒の伝統」が息づいているんでしょう。
佐近 現代の中国の監視社会は、中国政府の側が「放任すれば、以前のようにメチャクチャになる」と考えていることが、理由としてあるのでしょうね。それが良いか悪いかではなく、監視社会の出現については一種の納得感があります。
安田 かなりの納得感がありますね。そして「現在の社会は前よりもよい」という実感も明らかにある。やっぱり人権はないんですが、そもそも20年前まで公開処刑をやっていた社会だからなあ……。
佐近 AIをどんどん導入して監視するのも、人力でやらせたのでは公安の「中の人」が真面目に仕事をしないからでしょう。機械の方が信用できるということです。まあ、理屈自体は理解できる。
「こっちの中国」と「あっちの中国」
安田 ところで、往年のアナーキーな広東省の記憶や肌感覚から抱いた中国観って、たとえ中国通の人が相手でも共有しづらくないですか? 例えば外務省や大手メディアの人は、普通は北京や上海に留学して、そこで仕事をしています。でも、「あっちの中国」って一応は同じ国のはずですけど、違うんですよね。
佐近 わかります。「中国とは〇〇なのだ」みたいな話になっても、なにか認識に根本的なズレがある気がする。どちらかが間違っているとか、そういうことではなく。
安田 北京から深圳や東莞までの距離って、パリからサラエボまでの距離よりも遠いですからね。「同じ欧州だからっておフランスの話をされても、こっちはスラブ圏やねん」みたいな気持ちになります。
佐近 そうそう(笑)。実は安田さんと会う前、「すごく思い入れの強い調子で天安門事件の話をされたりしたら困るなー」と心配していたんですよ(注.安田は同事件がテーマの『八九六四』という著書がある)。政治的なタブー云々という問題以前に、あれは北京の事件だし、自分が同時代に中国国内にいたわけでもないので……。
安田 実際、『八九六四』を読んだ年配層の人からも「冷め過ぎている」と怒られます(笑)。でも、天安門事件ってもちろん人権問題としては深刻なんですが、「こっちの中国」とは違うカルチャーの中国で起きた話なので、一定の距離を置いた感覚しか持ちようがないんですよね。尖閣問題なり中国人権擁護運動なりの、日本のニュースで大きく報じられる中国問題についても、語弊を恐れずに言えばそういう感覚はあります。
佐近 そうですよねえ。「こっちの中国」の人たち(=広東人)は、もっと地に足の着いた利害関係が絡むエゲつないことにしかスイッチが入らないもんなあ……。
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