Tumgik
#畳縁小物
potterkanae · 1 year
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よく遊んで貰うお友達😆 ぬいぐるみみたい~ だっこされると固まってます。 @wagokoro_koubou 豆柴だと思っていたら、フツーの柴犬でした! どーりでめちゃくちゃ重たく育ってた。 #黒柴犬 #畳屋 #看板犬 #畳縁小物 #看板娘がいるお店 #広島 #陶芸 #コロナ対策してます #pottery #陶芸家 #ものづくり #potterkanae (株式会社和ごころ工房) https://www.instagram.com/p/CoD4ZCMvuA6/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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yoooko-o · 3 months
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24/01/2024
今も断捨離やっていますが、ひと段落つきそうになった最近、私の寝室も好きな香りで満たされたい心境になりました。
プンプンときつい香水、アロマの類は苦手な私。
プンプンな香りは苦手でも、山登り(初心者レベル)、ハイキングは大好きで歩いているときに仄かに香る植物の香り、特に樹木の香りは大好き❣️
そんな私が今まで無縁だったアロマディフューザーデビューを果たしました🙌
家具の買い替えでずっと通い詰めたニトリで。
店内にある香りのサンプルを色々嗅いでいるうちに酔いました笑
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その中でユーカリ&ウッドの香りがめっちゃ好み🥰
去年の12/30にニトリで購入したサイドテーブルの上に置いています。
スティックがなぜやたら多いのかという理由ですが、私の部屋に対して、容量が小さいことが判明 笑
※私の部屋はかつて弟と一緒に使っていた部屋+途中で増改築を経て、超細長い間取りで現在10畳くらいあるかも…💧
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私の部屋を出た廊下の奥にあるサブ洗面台(特に冬場は寒いので家族は誰も使いません笑)にはこちら。
ダイソーで買いました。
香りのサンプルがなかったので大丈夫かな~と思いましたが、110円なので試しに購入👛
スティックは6本入っていましたが、プンプンは嫌なので3本にしました。
こちらは昨夜設置、今はほんのり花の香りがする位なので、洗面台のスティック本数はこのくらいの使い方でちょうどよさそうです。
[今日の結論]
人って断捨離でここまで変わるんだと思いました。
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tutai-k · 1 year
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そこへたどり着いてもわたしには見えない
フォトエッセイ集『つばさの方へ旅をする』を読んでくださった方はご存じだろうと思うが、滋賀県の湖北にオオワシが飛来する。カムチャツカで繁殖し、北海道などで越冬する巨鳥だ。 滋賀県の湖北地方に25年間連続で飛来しており、ねぐらとしているのが「山本山」という山だから、「山本山のおばあちゃん」という愛称で呼ばれている。 去年初めて会いに行き、彼女が帰北するころ、世界情勢が大きく動いてしまった。大丈夫だろうかと不安に思いながら、11月を待った。飛来の知らせを聞いたとき、戻ってきて「くれた」と、なにかそれが人類への自然からのプレゼントのように思えたし、同時に警鐘のようにも思えた。 だから今年もまた、どうしても山本山のおばあちゃんに会いたかった。『消えゆくものたちの生』で、筆者が「絶滅しつつある生物をこの目で見て言祝がねばならない」と綴っていたが、まさにそうで、人間という種族に生まれた責任と、(オオワシは絶滅危惧種である)まだこの目で見て存在を確かめることができる機会があるという幸運から、たしかにこの目で見て、言祝ぐ必要があるとわたしも思う。
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オオワシがどんな環境で越冬するのかをこの身で体感すること、オオワシの生態を知ること。鳥の幻想小説を書いている(主人公はコウノトリだがオオワシやいろいろな鳥が登場する)ので、その取材も兼ねていた。 湖北野鳥センターで、オオワシの生態について教えて欲しいとスタッフの人に話しかけ、情報をもらっていたら「調べているんですか」と逆に質問を返された。 「オオワシが出てくる小説を書いているんです」 とするっと小説を書いていることが出てきたことに自分でも驚く。 見ず知らずの人に、(そうでなくても親しい人とかでもだけど)「小説を書いている」と宣言することは、わたしにはハードルの高い行為で、ほとんど人に話すことができなかったのだが……。 どんな心境の変化があったんだろうと不思議に思う。
まあ、もうすぐ転職する開放感とかがあるのかもしれない。 やっぱり退職というのは体にいい行為で、なにかしら人をおおらかに、強気にさせるものだ。
体調不良もあって、いまの仕事は休みがち。(今日は次の仕事の準備?で工場見学とか行って休んだ)
肩があがらなくなって日常生活に支障も出たので先々週一日休んだ。 肩が痛いのは、カメラが原因らしい。2キロ越えてる超望遠を振り回していたらそうなるなと言うことで、山本山ではさすがに一脚を持っていった。
肩を痛めた日は『神々の山嶺』という映画を見た。 山に憑かれた人間の物語で、最後はエベレストに登頂する。 「なぜ登るのか」その行為への答えが「わからない」のがよかった。登山する男を追うのは記者で、もともとは風景写真を撮っていたようだ。だけど次第に山に憑かれていって、自分もエベレストへ途中までだが登る。「風景写真」という、わかりやすく「その場にいない人間」にも共感を得られるツールを操る人間が、「その場で体験することでしかわからない」世界を経験するところがすごい。 わたしは鳥がいるから仕方なく登山もする人間で、景色や、登る(歩く)楽しさというのを感じる感受性に乏しい。 どうして山に登るのかとか、山に登ってなにが得られるのかとかわたしにはちっともわからない。夜通し走って木曽駒ヶ岳へゆき、三時間以上並んでたどり着いた千畳敷カールも、そんなに感動しなかった。
ただ、五歩歩いたら十分休むような酸素濃度のひくい世界で、ヒイヒイいいながら登っているときに、宝剣岳の山頂で万歳をする人を見て「のぼったんやなあ、幸せそうやなあ」とつぶやいている人がいたのが印象的だった。 この人の中には(たぶんこのぞろぞろと蟻の熊野詣のように登っている人たちのほとんどが)「登り切る」ことの『幸せ』を知っているのだ。そう思うと、わたしもその尻尾の毛先くらいはつかんでみたいと思う。また木曽駒ヶ岳へ行きたいと思う。
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ほかに、昨日は『イサド住み』(オカワダアキナ)を読む。 トランス男性が主人公のボーイズラブだ。 マジョリティに対して『語らされる』ことで飼い慣らされていく過程への抵抗の物語としてわたしは読んだ。マイノリティが、マジョリティ側から「説明」を要求されるとき、聞き手には「期待している物語」がある。物語を期待できる(ジャッジできる)乱暴な権力のまえに、矯められなければ立つ場所が得られない。座ってくつろげるような場所なんてなくて、「まあいてもいいよ」と言われるのは排除ベンチみたいなかたちの椅子しかない。 「当事者の言葉で語られるべきだ」とわたしは常々思うのだが、その「当事者の言葉」は、この乱暴なジャッジにしてみれば「期待外れ」の言葉なんだう。期待通りの言葉を語らされることで、どんどんどんどん心の中にはゆがみがたまっていくし、マジョリティに都合のいい「物語」ができあがってしまう。 「物語すること」というのは主体的な行いのように見えて、聞き手の立ち位置によっては「させられること」受け身の行いになって(変えられてゆくこと)になる。作品の紹介に書かれた「吠える」とは、語りの主体を獲得することだとわたしは読んだ。 『誰かの理想を生きられはしない』という書物のタイトルが、ずしりと重く思い出される本だった。
あと二日出勤したら、療養のための長い旅に出る。 小説をたくさん読みたいという気持ちがあるのに、荷造りで詰めたのは小説の資料本ばかりだった。 旅先の本屋で、小説と縁を結びたい。
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kennak · 6 months
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埼玉県川口市でクルド人の犯罪が激増して問題になり、その対策が川口市政の中心的課題になっている!というエントリが度々ホッテントリ入りしている。またyoutubeのゆっくり動画等でも「クルド人」「川口」のテロップが入ったサムネの動画が投稿されている。結論から言うとそんな事にはなっておらん。川口市は『広報かわぐち』という広報誌を配布しているが、この10月号で犯罪認知件数が過去最低を記録しているとの広報を打っている。https://www.city.kawaguchi.lg.jp/material/files/group/3/202310-04.pdfこの一年で白昼の強盗事件、沿道商店に突っ込む大事故や死亡ひき逃げ、クルド人による病院での喧嘩騒乱などの事件が報道されて体感治安が低下している故だ。でも実際には治安は過去最高となっている。この問題を喧伝しているのはagora出身の石井孝明というライターで、産経新聞と夕刊フジがそれを元に記事を書くという構造になっている。石井のやり方は、川口、蕨を中心として、肌の浅黒い中央アジア、東南アジア系の人間が事故や事件、不法な業務、反マナー行動をしたものにクルド人を匂わす文言を付けて宣伝するという方法だ。それ故クルド人が毎日事件や不法行為をしているように見える。そんなにクルド人は増えているのか?日本にクルド人は何万人いるのだろうか?だが実際のクルド人の数は2000人程度である。人口60万人の川口市人口の0.3%だ。「あれもこれもクルド人」の安物ネガティブキャンペーンが成功しているのである。 それで今回はちょっとこの問題の背景を説明するよ。「クルド人とは何か、どういう民族か」などは産経以外の大マスコミや大学人が記事を書いてるからそういうのを参考してくれ。 地理「埼玉県川口市」でgooglemaps検索すると川口市の県境が表示される。https://www.google.com/maps/place/%E5%9F%BC%E7%8E%89%E7%9C%8C%E5%B7%9D%E5%8F%A3%E5%B8%82この一番左側の蕨駅付近が問題の舞台だ。まず、駅の東側にやたら細かい碁盤目で緑の線が入った地域があるのが判るだろうか?ここは芝2丁目と芝4丁目という地域になる。ここは一見整備された住宅地に見えるが、実は都市計画に乗っ取ったインフラ整備が間に合わなかったスプロール地域なのである。この碁盤目は元々は大正時代に田んぼを整地したものだった。緑の線は用水路跡で、今でも暗渠化された水路敷きになっている。この付近は江戸時代に作られた見沼代用水が通り、その分水も充実していた。そこで碁盤目に畔と用水路を整備して土地の権利も整理したものだ。ちょっと脱線するが、こういう整備された元田んぼ住宅地の近くにはL字の道と変形交差点を組み合わせたような地区がある事が多い。またそこには寺や神社がある事が多い。その場合、そこら辺は嘗ての村の集落があった場所である。行ってみるとせせこましい建売の中に突然田舎の農家のような大きな庭付きの家、時に藁ぶきだったりゴルビジェのサボア邸のようなやたらハイセンスの家が建っていて驚かされる事があるのでおススメだ。そこは付近の建売の元地主やマンションの大家である。この田んぼが戦後の高度経��成長期に売りに出され宅地化されたのがこの芝2、4丁目地区なのだ。元あぜ道は公道化されているのが多いが、そこから奥に入る道は幅が狭い砂利道のままだ。これは私道だからであり「その道路の権利は細切れになって付近の家の持ち主が持っている。故に権利関係がごちゃごちゃなので金を出し合って舗装工事をするという事が出来ない。更にこの路地は通り抜けが出来ない。真ん中に水路敷がある為だ。水路は元々の地主が権利を持っている筈だ。通り抜けにはそこに橋を掛けなきゃならないが、誰もその費用を負担したくないので碁盤目に見えて行き止まりの路地ばかりという事になっている。 1990年代初頭に建築基準法が改正されるとセットバックの義務と接道義務が定められた。接道義務とは、幅4m以上の道に2m以上接していない土地には建物建築不可という事である。これでこの路地の奥にある家というのは建替えが不可能になった。また、水路敷は舗装されていて道路に見えても道路じゃないのでセットバックの義務が無い。だからいつまで経っても道は広がらないから接道要件を満たす道にならない。散歩する時はこのせいで魅力的なのだが不動産的には不良である。この路地をストビューで見れば判るが、公道に面した家は新しい低層アパートで路地は4m拡幅、その奥の一軒は新しい戸建て(公道側隣家のセットバックで接道要件クリア)、その奥は築30年以上の古い戸建てや古アパート、となっている。奥の方の家は建替え出来ないので古いままなのだ。奥の方の家やアパートを借している場合、家が古くて車も入れない砂利道なので客付けが困難である。蕨駅から徒歩5~10分という好条件なのだがこういう状態なのだ。高度成長期中期の昭和30年代後半からこういうスプロール現象が問題になって規制が強化されたのだが、その前に家が建てこんだ地域なのだ。私有地である用水路の暗渠化は市が行ったが、これは下水道整備が間に合わず、水路に垂れ流しとなった為の代替政策だ。 さて、外国人というのは部屋が借り難い。これは差別の問題もあるが、家主としては万が一の時の連絡の問題、家賃不払いや退出後の内装補償、突如国に帰ってしまうリスク、それと土足の問題などがある。室内に靴を脱いで入るのは日本だけなのだ。最近じゃ米国都市部も日本式になって来てるが。だから土足で生活されて畳床等がダメになるリスクがある。故に外国人が部屋を借りるのはとても大変だ。一方、建替不可で古くて前が砂利道で引っ越しのトラックも入れない、なんていう借家やアパートの大家は客付けが全然できない。この両者の利害が一致して賃貸借契約、とあいなる。お互い「こんなボロ屋なのに高いが…」「外国人でリスクが高いが…」という妥協の産物だ。 このやたら細かい碁盤目地区はもう一か所ある。駅の反対側に線路で分断された川口市の飛び地みたいな三角の土地があるだろう。ここは芝園町と芝富士という地区なのだが、そのうち芝園町は元鉄道車両工場のUR団地(電車から見える屏風みたいな建物)、芝富士は元田んぼの細かい碁盤目地区だ。この芝富士地区は先の芝2・4丁目地区と全く同様の特徴と来歴を持っている。路地のセットバックが進んで4m以上が確保されて建替え可能になっている所が多いなど、スプロール化の程度は2.4丁目よりも改善されているのだが、それでも水路敷による路地分断などはあり、また建替不可家屋が密集する地帯もある。更にここは飛び地状態なので見捨てられた感もあり市政が行き届きにくいという特徴もある。中学校や幼稚園が線路の反対側で遠いのだ。ここも同様の理由で昔から外国人が多かった。 「蕨」なのに「川口市」であるのはこういう事で、駅の左右に川口市の不良宅地地区がありそこのアジア系の住民が住む事が増えたというのが原初としてあったのだ。「川口市は小規模の鋳鉄工場があり外国人工員を必要とした」という説明をしている記事もあるが間違いだ。鋳鉄工場地域は西川口から南側であって、蕨周辺は田んぼから住宅地に転換している。その転換が早すぎてスプロール化してしまったのだ。 始まりはヘイトデモクルド人問題がおかしな奴らの飯のタネになっている問題の根幹は在特会のヘイトデモに遡る。2009年に在特会はオーバステイフィリピン人の子息が通う中学校付近で「叩き出せ」といシュプレヒコールを上げるデモを行うようになった。この中学校や居宅は蕨駅の南側、西川口駅寄りだ。このデモに左翼運動からの転向者が合流すると一気に過激化し、「殺せ」「殺しに来た」というコールになり、警察に掴まらないような巧い仕方の暴力や、近所のヤジに対して「○○人の家だ」「お前日本から出ていけ」「殺せ」と連呼したり、お散歩と称してデモの後に落書きをしたり通行人に因縁を付けたりという行動をするようになった(後に警察官が解散地から駅まで随行するようになった)。転びアカが合流すると大抵こういう事になる。これに呼応して掲げられる旗も日章旗から旭日旗やハーケンクロイツとなっていった。そんな中で在特会は芝園団地付近でクルド人に住民が迷惑しているという情報を掴む。そこでヘイトデモの開催地は蕨駅~西川口駅から蕨駅北方になる。そこで鍵十字の旗が沢山はためき、「悔しかったらクルド野郎出てこい殺してやる」などのデモがされるようになった。但し、彼らは居住地区を知っていたから疑問なので警察がそこから外れるルートを許可していても判らなかったかもしれない。 こういう経緯で中東系や中央アジア系の人間の犯罪、不始末を「クルド」と称する動機が生まれてきた。事件が有る度に「これは在日朝鮮人」という差別デマがずっと流れていたが、それの中央アジア版だ。 もう一つの理由がトルコの少数民族問題で、トルコは親日国で、そこで問題化している少数民族のクルドは敵だ、という単純な世界観によるもの。元々国際問題を親日反日でしか捉えれない人間の頭の中なのでこれ以上はバッファオーバーフローである。そもそも少数民族問題は国家の宿痾であって国際政治学では必ず履修する項目であるのにそれを焚きつけて利益にせんとするあたり、ガソリンスタンドでタバコを吸うバカの如しである。 故にそれよりこの方ずっと「クルド」はやべぇ奴らの間の符丁となり、民族問題を理解するという動機にはならずに、彫りが濃い人間の不祥事は「クルド」とする文脈が生まれたのである。 続く https://anond.hatelabo.jp/20231004185255
蕨と川口とクルド人の問題に関して その1
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manganjiiji · 8 months
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諮りものめずらしき
日記を書く気がまるで起きない。そんなに悪くない日々を過ごしていると思うのだが。日記というか、文章全て何もかも書く気が起きない。あいかわらずツイートはよくしている。口語体。書き言葉でなにかを留めておこうという気が起きない。あまり自分が滑稽で浅はかな気がして。前回の日記のその後、どうにか爆食と睡眠を繰り返して出勤し、今では回復しています。これからも働き続けられると思います。これは良かった。今日は月曜の夜で、2連休の最後で、1日寝ていたが、最後になけなしの外出をして、なんとなくまたミスドやコンビニ飯を爆食したのであった。さすがに胃も荒れるし体重は落ちないし浪費なので、もう自炊以外は食べない、ということにした。ということにしてもどうせ食べるとは思うが、一旦決めることで一旦心が納得して落ち着いてくれる。このようなことを小さい頃からずっと繰り返している。自分を振り返り次の目標を設定し、その目標を達成できた自分を思い浮かべてひとまず落ち着くこと。そうしないと何もできなくなる。だから、目標は全然嘘でもいい。達成するために目標を立てているわけではない。今の自分の満足感、というか、平常心を取り戻すため。これを達成すればわたしは「良く」なっているはずなので、今が駄目でも恐慌状態に陥ることは避けられる。私の決意や目標立てとはそういうもので、じゃあ本来の目標はどうやって立てているのかというと、立てていない。やりたいと思った時にやりたいことをするし、やりたくないことはその場で止める。先のことを考えない。長期的にできたらいいなと思うことはあるが、とくに期限を設定しない。期限があってもそれに向けて行動しないので設定しても意味がない。自分にとってやるべきことなら目標を立てずとも感覚的に進めていくし、やる必要がないことなら体調を崩して終わるので結局やらない。わかりやすい世界を生きていると思う。ここまでわかりやすい性質になるまでに多々の迷走があったが、今はもうそのような足掻きはない。やりたいことしかどうせ続かない。目の前の事しかできない。であればその時その時で出来る限りのことをやって次に繋げていくしかない。一寸先は闇か光か全く分からないこの体をかかえて、そもそも短期目標も中長期的目標も立てようがない。明日の朝の自分の体調さえわからない。しかもこれは治る病気ではなく、死ぬまでこうなのである。明日の朝、すごく元気かもしれないし、動けなくなっているかもしれないし、それは明日の朝にならないとわからない。わたしの人生において「確実」なことは何も無い。
今日はミスドでドーナツを食べながら、いきなり思考が急降下し始めて、うっかり希死念慮が始まってしまった。ただ最近のことを考えていただけで、自分一人でとことんまで悪い方へ突き詰めて考え、最悪の事態で自分はいかに振る舞うべきかまでシミュレートしないと安心できないので、つねに最悪の事態を想定している。とくに気圧も下がっていないし、1日よく休養したので疲労で薬の効きが悪いということもない。誰かから何を言われたわけでもなく、ただただ自分で考えて勝手に「死にたい」まで具合を悪くする。結構なことだ、と思う。わたしは当事者なのでわりあい困っているが、この日記を読んでいる方はわたしではないので安心してほしい。昼には「今日は寝たきりの日だな」と思ってひたすら寝ることに注力し、その通りよく眠れた。そういう日は大体夜少し元気に活動してから寝るというのがパターンなので、このようにいきなり落ち込み、自分用の鍵アカウントでえんえんと暗いことを書き続けるという事態は想定していなかった。それでもそうなる。そういう時は来る。諦めなくてはならない。私はこういう性質の体と頭を持っているので、いついきなり死にたくなるほどつらくなるかわからない。ただし、わかっているのはつらくても死ぬことはないという事である。私の生への執着は筋金入りで、絶対に死にたくないという思いでここまで来ている。この先も絶対に死にたくないという思いで、絶対に自殺はしないはずだ。生命力が強い。私くらいの症状の患者だと結構自殺してしまう人もいると思うが、私はその点だけは心配ご無用、本当に、生きたいという欲望が強い個体だ。ただ「死にたい」という感情は湧き上がってくるし、「死ぬべきだ」も然り。それに対しては毎回かなり消耗する。ようは、「私は全てを捨てて逃げたいと思うほどに苦しんでいる、誰か助けろ」である。現実には助けてくれる他人はいないので、自分でなんとか思考の踏ん切りをつけて、日常生活を営める程度まで軌道修正しなければならない。これからも生きていくために働かなければならない。つらい時につらいと言って心ゆくまで傷ついてすべてを放擲できればいいのにな、と思うが、それはできない。生きていきたいから。仕事があるから。そのためには食べて寝なければならないし洗濯物を畳んでしまわなければならないし水分を取ったりお湯を沸かしたりしければならない。これらのことを一つ一つ意識してえっちらおっちら片付けていき、一つできるごとに自分を褒め称え、涙を我慢しながらどうにか辛いことから目を逸らしていく。病気ではない人がどの程度こういったことを大変な思いをしてこなしているのかはわからないが、とにかく私は少しでも悲しみを覚えると何もかもがとても大変になる。それでも今はなんとかやって行くことができている。生家を出てほぼ縁を切っているから。それだけでこんなにも穏やかで、健康的な生活が送れるということが幸せで、にわかには信じられない。人生史上最大級の「凪」を毎日体感している(一寸先はわからないにしても)。
結局また暗い話をしてしまった。爪を塗ったので乾くまで寝られないなと思って日記を書き始めた。最近は調子がいいし、前回の終わり方も不穏であったから。私の言う「最近」は、よくて「ここ2日」という長さである。それより前は過去だし、もう最近ではなく、「ちょっと前」になる。
最近は労働と体調不良以外のものに対応している時間がなく、読書も勉強もしていない。よってここに書けることも特にない。
2023.8.28
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canty-essay · 2 years
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60代からのソーイング
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 最近、「60代からのソーイング」という本を教科書にして、服作りにはまっている。まあ、はまっている、というほど作ってはいないのだが、この夏2枚のワンピースを「いい感じ」で作ることができた。今までにも、ワンピースやブラウスは自己流で作ってきたのだが、この本の通りに作ると実にスムーズに作れる。
 この本との最初の出会いは本屋さんで、まだ私は50代の終わりだったのだか、ふと手に取ったこの本の「作り方」のページがカラーで大きくて見やすかった。
 当時東京に住んでいた私の楽しみのひとつは、大型書店の「手芸・ソーイング」コーナーに行って、最近の手芸・ソーイング事情を時々チェックすることだった。
手芸は刺繍でも編み物でもやり尽くされていると思いきや、後から後からいくらでも新しい切り口で、魅力的な写真とともに出版される。ソーイングの方はいかに簡単にステキな服が作れるか、ということに主眼が置かれて、やはり次から次へと出版される。
 思えば、昔の服作りは大変なスキルを要求されていた。小さい頃から、母が服を作るのを横から見ていたのだが、まずスタイルブックを見てどの服を作るか決めたら、後ろに載ってる白黒の小さな製図の仕方を方眼ノートに書き写し、自分のサイズに計算して型紙を起こす。布地への印つけは、たいてい「切りじつけ」といって白い糸で型紙の輪郭やダーツを縫いながら印をつけていた。母は決してはしょったり手を抜いたりせずに、きちんと工程を踏んで、身体にフィットしたすばらしい服を作っていたと思う。昔の婦人服は胸のダーツをとって、ウエストも細くくびれさせた服が主流だったのだ。
 母は服が出来上がると、残りぎれの一部を切手大に切って方眼ノートに貼り付けていた。私はその母の方眼ノートをパラパラめくって、色とりどりの小さなきれを眺めるのが好きだった。母が亡くなった後、押入れの奥から出てきた何冊もの方眼ノートは、パラパラとすると、変色したセロテープの跡のついた小きれがいくつも落ちてきた。どれも見覚えがあり、懐かしい若き母のワンピース姿が目に浮かんだ。
 さて、「私はまだ50代なんだけど」と心の中でつぶやきながら、「60代からのソーイング」を買って帰った。スタイルブックを見ながら、どれを作ろうか、生地はどれにしようかと思いを巡らすのも、またたまらなく楽しい。こんな楽しいことがあるだろうか、と思ってしまう。けれど時間だけはどんどん経ってしまう。当時の私は週に2回は両親のいるホームに通っていたし、世の中ではコロナ騒動が始まっていた。両親は相次いで亡くなり、私たち家族は山梨に移住した。
 山梨に来てから、買い物をする場所が少ないこともあって、生協に入った。いや、東京にいる時だって、子どもが生まれてからずっと生協に入っていたのだが。私はスーパーやらデパ地下で買い物するのは、時間がかかるのであまり好きではない。今までも、食べ物から日用品からパジャマや下着など、何もかも生協で買ってきた。いろんな本もまた生協で買ってきた。山梨で入った生協は、カタログを広げて見ると、東京で入っていたのとは品揃えがちょっと違うところがなんか新鮮だ。そして今度のカタログにも、わずかだが書籍のページもある。
 ある日、その書籍案内のページに「60代からのソーイング」を発見した。春夏版だった。私が買ったのは秋冬版だった。へー、懐かしい友人に久しぶりに会った気持ちだった。調べてみるとその本は年2回出版で、私が最初に買ったのはVol.4だった。今度の新しいのはVol.7だ。
 早速注文して、またあれこれ思いを巡らせる。春夏物だから、秋冬物より作りやすそうだ。母の遺した布地がいっぱいあって、どの生地でどれを作る? 楽しい時間の始まりだ。
 そんなある日、我が家から車で20分ほどのところにある、「アフリカンアートミュージアム」に出かけた。展示品のアフリカの仮面もおもしろかったのだが、ミュージアムショップに色鮮やかな布が売っているのが気になった。布地はいっぱい持っているのに、新しいものを見るとまた欲しくなる、これは一種の病気だ。
 その布は「カンガ」という、アフリカの女性が体に巻いて胸から膝までを覆う布で長方形の布で、太い額縁と中の絵があるような構図になっているのは、どの布も同じだ。そして絵のタイトルのように、スワヒリ語で「KUELEWANA KWA NDUGU NI UTAJIRI」とプリントしてある。意味は「親身になってくれる人がそばにいるのはいいものだ」とのこと。色も大好きなターコイズブルーで、これで何としてもワンピースが作りたいと思った。
 家に戻って「60代からのソーイング」春夏版を広げる。どの型だったら、カンガの柄を生かせるか。これだったら、というのが見つかり、実物大型紙をハトロン紙に写す。母が洋裁をしていた時代のスタイルブックは製図しか載っていなかったのが、今の本は逆で、製図はまず載っていない。SMLのサイズのどれかの型紙を選んで写すのだ。
 以前はそうした本の型紙をそのまま写して、生地に乗せてから周囲に縫い代を、ここは1センチ、ここは1.5センチとチャコペンで印をつけていた私だが、最近は( 以前からあった方法なのに、私が知らなかっただけかもしれないが)縫い代付きの型紙にして、縫うときにここは1.5センチの縫い代だからと、ミシンの針が落ちる板に刻印してある1.5センチの刻み線に沿って、布端から1.5センチのところを縫うというルールだ。母のやっていたような糸による切りじつけや、あるいはチャコペンで簡単に印をつけることさえ省略しているのだ。昔の服は身体にきちっと沿っていたから、厳密な印付けが必要だったが、現代はゆとりのある服を着るのが普通になっいるので、そうなったのだろう。
 「60代からのソーイング」も大きめサイズをスポンとかぶるスタイルが多く、胸のダーツを取るスタイルは少なく、ボタン開きのデザインも少ない。普段はM~Lサイズを選ぶ私だが、「60代からのソーイング」ではSを選んだ。
 縫い代付き型紙を作って布に乗せる。例の「親身になってくれる人が・・・」の文字が、ちょうど切れないようにスカートの幅いっぱいになるように置く。布のど真ん中で前身頃を取ったので、後ろ見頃は布の両端で取って、背中の真ん中ではぎを取る。でもそれを額縁の絵の両端同士をはぎ合わせて、背中にも新たな長方形を作るか、前身頃から続いているようにして、額縁の外側同士をはぐか迷ったが、前者にすることにした。残りのわずかな部分で、襟ぐりの見返しを取った。
 こうして移住一年目にして、初の「60代からのソーイング」ができた。気づけば私もちょうど60歳になっていた。母のやり方に比べれば、随分ラフな作り方だが、サイズ感もちょうどよく、これが現代にマッチした服作りなのではないだろうか。
 今までも自己流で作ってきた型紙は、一作ずつビニールに入れていた。タイトルも「何の本の何ページの服Lサイズ」などと書いたシールをビニールに貼って保存してきたが、いざ「あの型紙はどこだっけ」と探すとなかなか見つからない。みんなどうやって整理しているのかなとネットで調べると、出るわ出るわいっぱい参考になる整理法がある。
 「とにかく人間は忘れやすいので、襟だとか見返しだとか小さい型紙の全部に、何の型紙か書くこと。一枚だけ部屋に落ちていてもどの型紙とセットかすぐわかる」なるほど。型紙は畳んで、A4のクリアファイルに収めている人が多いようだ。「作り方の順番も全部書いて型紙と一緒に保存して置くと、すぐ取りかかれる」なるほど。作り方のページをコピーして、自分なりのメモも忘れないうちに書き出しておく。「作った布地のはし切れを型紙に貼って置くと、次回あの服を作った型紙はと探すとき一目瞭然」なるほど。
 こうして私の宝物のような型紙ファイルができた。同じ型の服を作るならすぐ作ることができる。そして最初のワンピースに続いて、次に秋冬物の本から、袖が七部丈のワンピースを作ることができた。布地は母が遺していたものだ。母がこの布を買ってから、40年ぐらい経っているのではなかろうか。でも、布の柔らかさとワンピースの型がうまくマッチしたようで嬉しい。山梨の風景にも合っている服だと思う。「60代からのソーイング」の新しい秋冬号も今から楽しみだ。
  2021年8月
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thanatochu · 17 days
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Hydrangea
綾子主ほのぼの日常編 黒い森を抜けたあと、の続き
春の終わりに、出会ったばかりの僕たちが共同生活を始めてしばらく経った。 今ではもう梅雨の季節で毎日雨が降ったり止んだり、じめじめとしたお天気が続く。樹さんに頼んで乾燥機買ってもらえて良かった。 樹さんは割と子煩悩というか叔父馬鹿なところがあって、甥っ子の快適な生活のためなら金と労力は惜しまないと豪語する。 僕としてはそんなに甘やかしちゃ駄目だよとブレーキ役のパターンが多くなってるんだけど、多紀を甘やかしたいのは正直とてもよく分かるので結局甘々な僕たちを多紀本人が諌めてくるという構図。 多紀はこの春から転校して近所の小学校2年生になった。 最初は内気なのもあってポツンとしていたようだけど、僕らと暮らすようになってから笑顔も増えて友達も出来たらしい。お勉強も頑張っていると連絡帳にも書いてあった。 僕は表向き、樹さんたちの遠縁ということにしてもらっている。みんな苗字がバラバラでも辻褄が合うように。ごく普通のママとパパがいる家庭ではないと、多紀が変な噂を立てられないように外面は良くしておくに越したことはない。 同級生のママさんやPTA、ご近所付き合いまで僕が一手に引き受けているけど、若い女の子たちとの会話とはまた違ったスキルが要求されるので、慣れるまで大変だ。 実のところ僕は2009年どころかもっと先の未来のことまで知っているので、2000年代初頭に生きる人たちと話しているとジェネレーションギャップみたいな気分になっちゃうことがよくある。うっかりSDGsが、とか言わないようにしないと。 でも皆さん基本的に良い人たちだ。近所には緑も多い公園があり、曜日によって種類の変わる安売りセールのスーパーと、閑静な住宅街で広々とした居住スペース。子供を育てる生活環境としては今のところ何の問題もなく満足している。 最初にこの環境を整えてくれていた樹さんには頭が上がらない。 多紀の父方の親戚連中に随分とご立腹の様子で、その頃の多紀を見たらそれは無理もないだろうなと推測する。 親戚たらい回しの放置されっぱなし、愛情のお水を貰えずに干涸びて。そんな環境で育ったら他人に期待しなくなるのは当たり前だ。 巌戸台に越してきたばかりの、舞い散る桜も空の青も、綺麗なものを何も映していないような君の灰色に霞んだ瞳を思い出す。 どうでもいいなんて言わせない。そのために僕らは家族になったんだ。
そろそろ多紀が学校から帰ってくる時間だ。 僕は樹さんと多紀が選んでくれた黒のデニム生地のエプロンを締め直して、おやつ作りに取り掛かる。 蒸し暑くなってきたからゼリーとか涼しげなのも良いなあ、なんて考えながら定番のホットケーキだ。休日の朝ご飯にはじゃがいもをすり下ろしたパンケーキが好評だったけど、今回はおやつなのでメープルシロップとバターを多めに。 「ただいまー」 焼き上がったいいタイミングで玄関のドアが開いた。 「おかえり。今日も楽しかった?」 「うん。今度ね、遠足があるみたい。おべんと作ってくれる?」 「へえ!いいねえ〜頑張ってお弁当さん作っちゃうよ」 おやつがあるから手洗ってね、と言うと多紀は素直にランドセルを置いて洗面所に向かった。 冷たい牛乳と一緒にホットケーキを並べると、戻ってきた彼が「いいにおい」と顔をふんわり綻ばせる。もう、うちの子すっごく可愛い。 僕の分は最初に焼いた、あんまり上手い焼き色にならなかった1枚でカフェオレと。やっぱり皆で選びに行ったランチョンマットは色違いの豚さんだ。 「ジュジュの分ある?」 「あるよ、ちゃんと作ってあるから大丈夫」 ジュジュとは樹さんのことだ。音読みで、じゅ。 教えてもらった時は微笑ましいなと思ったけど、最初に言い始めたのは樹さんのお姉さんなんだそうだ。つまり多紀の亡くなったお母さん。 ひと回り近く歳の離れたしっかり者のお姉さんだったそうで、もう姉というより母親が2人いるみたいだったと樹さんが溜息を吐いていた。 「ジュジュ今日も帰り遅いのかなあ。おしごと大変なのかな」 「夏休み取れるように今から頑張ってるんだって。お祖父ちゃんち行くんだもんね」 「うん!」 学校が夏休みになって樹さんも纏まった休みが取れたら、実家のお祖父さんとお祖母さんに会いに行こうと計画している。 長閑な田舎に遊びに行く夏休み、なんて絵日記が捗る子供らしいイベントだ。 多紀は小さい頃に会っただけで記憶も曖昧だけど、電話ではよく話しているので2人に早く会いたいと毎日とても待ち遠しそうだ。 こんな時に、そういえば向こうの多紀もお爺さんお婆さんが好きだったな、なんて考えたりする。文吉さんにクリームパンをポケットに捩じ込まれたと満更でもなさそうに僕に半分くれたことがあって、くすりと思い出し笑いが漏れた。 とても懐かしいし君に会いたいなとは思うけど、その彼を堂々と迎えに行くために此処に来たんだ。ホットケーキを咀嚼して感傷的になってしまった気分を振り払った。
遠足はどこに行くの?お弁当は何食べたい?などと話しながら夕飯を2人で済ませ、お風呂上がりに水分補給していると樹さんがようやく帰宅した。 「あー、つっかれた…」 「ジュジュ、おかえり」 疲労と空腹でよろけている叔父さんを玄関まで多紀がお出迎えする。手には飲みかけの乳酸菌飲料が入ったコップだ。 「ただいま〜。良いもん飲んでるな。ひと口くれよ」 「ええ〜。ひとくちって言ってジュジュいっぱい飲むんだもん」 「この前は喉乾いてて、つい。悪かったよ。それとジュジュじゃなくてたつきって呼べ」 パジャマ姿の甥っ子をハグして謝りながらも文句を言う。 こうしていると本当に雰囲気が似ている叔父と甥だなと思う。樹さんのほうが少し癖っ毛で毛先が跳ねているけど、2人とも青みがかった艶やかな黒髪だ。僕も黒髪だけど、色味が違う。 樹さんはよく見るとアメジストみたいな瞳の色をしていて、仕事中は外しているけど左の耳にピアス穴がある。 多紀と違うところといえば、叔父さんの方が男の色気があるところかな。多紀はもっと中性的だし。 これで大手企業にお勤めなんて、かなりモテるんだろうなあ…とぼんやり思うけど今のところお付き合いしている恋人さんはいなそうだ。普段はできる限り早く帰宅するし、仕事と甥っ子に全振りしている。 そんな叔父さんに渋々ながらも結局自分の飲み物をひと口あげている多紀は偉いなあ、と家族の考え事をしながら樹さんのご飯の支度をした。 「玄関の紫陽花、綺麗だな。買ってきたのか?」 シューズボックスの上に置いた花瓶を見たのだろう、ネクタイを外しながら樹さんが訊いてくる。 「ご近所の榊さんのお庭にたくさん咲いたからって、お裾分けしてもらったんだ」 色とりどり、形も豊富な紫陽花をお世話するの上手ですねって正直に感想を述べたら、少し切ってあげると品の良い老婦人が花束にしてくれた。 バラや百合みたいな派手さはないけど、今の時期しか嗅げない匂い。梅雨も悪くないなって思えて結構好きなんだ。 ドライフラワーにしても綺麗なのよ、とその人は笑っていた。 「ぼくもあじさい好きだよ。雨の雫が似合うよね。あっ、でも遠足の日は晴れて欲しいなあ」 「遠足があるのか。そりゃ雨じゃちょっと残念だもんな」 席に座って、いただきますとお箸を手に取りながら樹さんが頷く。 「近くなったらてるてる坊主作ろうね。すごく大きいのと、小さいのたくさん作るのどっちがいい?」 「小さいのいっぱい!」 「ふふ。布の端切れもいっぱいあるからカラフルなの作ろう」 そんな話をしているともう夜の9時を回っていた。いけない、多紀の寝る時間だ。 「歯磨いて寝る準備出来た?じゃあ昨日の続きから少し絵本読もうか」 「うん、歯みがいた。ばっちり!」 「樹さん、食べ終わったら食器は水につけておいて。お疲れなんだから早くお風呂入って寝てね」 「ふぁい」 夕飯のチキンソテーとおやつのホットケーキを頬張りながら樹さんが返事をする。 「たつきもおやすみなさーい」 「ん、おやすみ」 挨拶のあと子供部屋へと入る。樹さんが用意した多紀の部屋は愛に溢れていて、子供用らしく可愛いパステル色で揃えられた壁紙やラグ、家具と小物に至るまで趣味がいい。おもちゃも温かみのある木が多く使われていて、こういうのお値段結構するんだろうなと思う。 多紀をベッドで待っていたのは小さめのクマちゃん。樹さんが買ってくれたぬいぐるみで、キャメル色の毛並みに水色のリボンを首に巻いている。 多紀はいつも枕元で座っているクマちゃんと、その下に畳んであった柔らかく肌触りのいい木綿のタオルケットを抱きしめる。 青と黄色のチェック柄で、両親と住んでいた昔から愛用している所謂セキュリティブランケットだ。 それらに囲まれてふかふかのお布団に入り、少し絵本を読み聞かせるとすぐに多紀はうとうとし始める。 以前までは寝つきが悪かったようなので、精神的に安定してきたなら何よりだ。 しっかり眠ったのを確認して掛け布団を整えて、僕はキッチンへと戻った。丁度お風呂上がりの樹さんがタオルで髪の毛を拭きながらテレビのリモコンを操作している。 僕が温かいほうじ茶を淹れてテレビ前のテーブルに置くと、「お、ありがと」と笑ってひと口啜った。 樹さんは家ではお茶とコーヒーばかりだ。仕事の付き合い程度にはお酒を飲むけど、プライベートまで飲むほど好きでもないそうだ。 僕もお酒は飲めないのでちょっと親近感。もう半月くらいすると、多紀と一緒に漬けた梅ジュースが飲み頃になるから楽しみなんだ。 「多紀は今日も元気だったか?」 「うん。ジュジュの分のホットケーキはあるの?って心配してた」 「ははっ。無かったら半分くれる気かな」 多分ね、と相槌を打ったら樹さんはしみじみと優しいなあと呟いた。 「さてと。俺もメールチェックして早めに寝るかな。ごちそーさま」 「お疲れさま。おやすみなさい」 樹さんが自室に入る足音を聞きながら残りの洗い物を片付けて、自分も休む。 当然ここでも毎晩影時間はある。多紀が象徴化しないのはもちろんだけど、樹さんもペルソナ使いだからか、それとも適性の問題か、普通に棺桶にならずに寝ている。それでも影時間のことは認識していない。 一応シャドウが2人に悪さをしないように、いつ多紀が影時間に目覚めてパニックを起こしても対処できるように周囲の気配を見守っているつもりだけど、現時点ではそんな心配もいらないようだった。
遠足は今週末の金曜日。天気予報では雨の確率は50%といったところで、今日帰ってきたら多紀と一緒にてるてる坊主を作ろうと約束していた。 本日のおやつはいちごババロアが冷蔵庫に冷えている。お湯と牛乳で作れるもので簡単で美味しい。 布団乾燥機を稼働させながら夕飯の下拵えまで終わったところで、多紀がまだ帰ってこないことに首を傾げた。 奥様方が小学生にも子供用PHSを持たせようか、まだ早いか話題に上がっていたのを思い出す。いざという時に連絡がつく安心感は重要だ。 小雨の降る窓の外を眺め、エントランスまで様子を見に行こうかとヤキモキしていたら多紀が帰ってきた。 「ただいまー」 「あっおかえり。ちょっと遅かったね?何かあったの」 「うん。リサちゃんちでね、子犬が生まれたって聞いたから触らせてもらいにいったの」 レインコートを脱いで傘立ての横にある壁のフックに引っ掛けながら、多紀が早口で説明してくれる。 ふわふわの触り心地を思い出したのか「これぐらいでね、茶色くて」と両手で抱える真似をしながら、かわいかった〜なんて笑うから、心配していた僕のほうまで笑顔になる。 中型犬より大きめの体で、毛が長くフサフサした母犬だと言っていたので数ヶ月もすれば子犬もすぐに大きくなるんだろう。 「りょーじも今度いっしょに見に行こう?」 「うん、僕も出来れば抱っこしてみたいな」 おやつの後にお裁縫道具と端切れを出してきて、てるてる坊主作りに取り掛かった。 そのまま吊るすと頭の重さでひっくり返っちゃうからどうしようか、と2人で相談して体の部分に重りを仕込めばいいんじゃない?という結論に至った。 多紀にビー玉を提供してもらって、いくつか綿と一緒に袋詰めして端切れを縫い合わせたマントの中に仕込んだら、顔を描いて首にリボンを取り付ける。 「ジュジュと、りょーじと、ぼくと、じいじとばあばね」 5体のカラフルなパッチワークてるてるが出来上がり、カーテンレールに並んで吊るされた様子はなかなか可愛い。 「これで金曜日は晴れるね」 「うん!」 「樹さんが帰ってきたら見てもらおう」 「どれがジュジュか分かるかなあ」 「きっと分かるよ、多紀がみんなの顔描いたんだもん」 多紀とは逆に、今日は少し早く帰宅した樹さんが感心したようにカーテンレールを眺める。 「へえ。随分イケメンに描いてくれたな」 「だってジュジュいけめんでしょ」 「望月だってイケメンだろうけど。タレ目と吊り目の違いか?」 樹さんのてるてる坊主はキリッとした印象で、ピアスも忘れずに描かれている。僕の顔はぐりぐりした目の横にホクロが描いてある。ちゃんと黄色いマフラーも多紀が首に巻いてくれた。 久しぶりに皆揃って夕飯を食べながらリサちゃんちの子犬の話になった。 「多紀は犬が好きか。うちの実家にも白い雑種の、ももがいるぞ。覚えてるか?」 「…いぬ?お鼻がピンクの子?ジュジュが撮った写真があった」 「そうそう。もう今年10歳だからおばあちゃんだけどな。まだまだ元気だって聞いてるから夏休みに会えるよ」 「うん。ぼくのこと覚えてるといいな」 「ももちゃんかあ。僕も仲良くなれるかな」 野生の本能なのか、動物全般に僕はあんまり好かれない。そもそも近くに寄り付かないし、威嚇される時もある。怯えさせないようにしたいんだけど。 僕と眼を合わせられるコロマルくんの度胸はすごかったなあ、なんて記憶の中の白い犬を思い浮かべた。 「飼いたいなら…うちでも飼えるんだぞ。ここのマンション中型犬までなら大丈夫だし。猫だっていいけど」 「えっ。…ええと、そっか。でも、もうちょっとちゃんと考えてみる…」 多紀は最初に分かりやすく目を輝かせたけれど、ぐっと踏み止まって大人みたいな対応をした。確かに命を預かる責任が生じることだ。 「ああ。よく考えて、どんなことが必要か勉強しておこう。そうすればきっと出会うのに相応しい時に会えるよ。こういうのも縁だからな」 叔父さんに頭を撫でられて、多紀は嬉しそうに頷いた。
ついに遠足当日。朝のお天気は薄曇りで、念の為の折り畳み傘だけで済みそう。 お弁当は前日から練習してみたけど微妙なヒーホーくんキャラ弁。まだこの時代には100円ショップを探してもそれほど種類豊富なお弁当グッズが売ってないので、ちょっと苦戦した。 海苔とスライスチーズでフロストの顔を作り、体はミニハンバーグ。彩り重視で卵焼きにウィンナー、ブロッコリーとミニトマト。仕上げに保冷剤代わりの、冷凍にした小さいゼリーを添えて。 小さめのおにぎりを2つ入れたら準備完了だ。出来栄えは食べる時のお楽しみね、と多紀には言ってある。 おやつは多紀の好きなお菓子と水筒には麦茶。これだけで小さな体には結構な荷物だ。 「忘れ物はないかな?」 「えーと、うん。みんな入ってる」 「よしよし。じゃあ気をつけていってらっしゃい」 「うん。いってきます」 多紀が靴を履いていると洗面所から樹さんが慌てて玄関までやって来た。 「待て。俺にいってきますのチューは?」 「チューなんていつもしてないよ」 呆れながら多紀は膝をついて屈んだ樹さんにハグをしてあげる。ぽんぽん、とリュックを背負った背中を叩いて樹さんが「楽しんでこいよ」と笑った。 笑い返して頷いた多紀を送り出すと樹さんが身支度に戻る。僕は彼にトーストとコーヒーを用意して、後はお弁当の残りおかずで朝ごはんとする。 「てるてる坊主のご利益があったな」 「そうだね。帰りまで保てばいいけど」 照ってはいないが朝から土砂降り、なんてことにならないだけ御の字だ。 たくさん作った分の効果があったのかな。
金曜日はお肉セールの日。豚コマと鶏挽肉を買ったスーパーの帰り道に「望月くん」と声を掛けられた。声がした生垣の方を見ると、先日の紫陽花の老婦人が手招きしている。 「榊さん。こんにちは、先日は綺麗な紫陽花ありがとうございました」 「いえいえ、どういたしまして。それでね、今日も良かったらなんだけど」 今度はやや小さく、もこもことした可愛い白色の紫陽花をくれた。 「紫陽花の花言葉は移り気なんて言われるけど、てまりの種類には家族や団欒なんていうのもあるの。白い紫陽花は寛容とか一途な愛情。色や形で様々な花言葉があるのも魅力ね」 「そうなんですね…家族か。うちにぴったりです」 「でしょう?それとね、これはお裾分けなんだけど。ちょっと時期はズレちゃったけど美味しいものは変わらないわ」 渡された紙袋の中を見ると柏餅だ。葉っぱが緑のと茶色いのがあって、中身の餡が違うのだそうだ。こし餡と味噌餡。どっちも美味しそう。 「わあ、今年の端午の節句はもう終わっちゃってて、お祝いできなかったので嬉しいです。ありがとうございます」 「よく行く和菓子屋さんのなんだけど、まだ柏餅売ってたから買って来ちゃった。多紀ちゃんによろしくね」 ぺこり、とお辞儀し合ってまた歩き出す。我が家はみんな甘いもの好きだから、洋菓子和菓子関係なく喜ぶ。 空を見上げると雲は厚いものの、まだ雨は降らなそうだ。多紀が遠足から帰ってきたら柏餅でおやつにしよう、なんて考えながら家路を急いだ。
貰った白い紫陽花は壁際のキッチンカウンターに飾った。花瓶も可愛らしく小ぶりな桜色にして、部屋も明るくなったようで見ていると和む。 「ただいまー」 玄関が開く音のあと、すぐ元気な声が続いた。 「おかえり。遠足どうだった?」 「楽しかったけど、ちょっとバス酔っちゃった」 「あれ。酔い止め効かなかったかな」 「帰り��平気だったよ」 「そっか。良かった」 話しながら多紀がリュックからゴソゴソと取り出したのは空のお弁当箱と水筒。それからやっぱり全部空になったお菓子袋。 「おべんと、ごちそうさまでした。みんながねー、すごいってほめてくれた」 「おお!ひとまず安心したけど、個人的にはクオリティがいまいちなので…次に頑張るね」 「そなの?上手だし、おいしかったよ」 「…うちの子って、なんて良い子なんだろ」 首を傾げる愛くるしさにぎゅーっと抱き締めると「わかったわかった」と腕をぽんぽん叩いてあしらわれる。さっさと抜け出した多紀は手を洗いに行ってしまった。 真似してるのか無自覚か、仕種が叔父さんに似てきたなあ。 「お皿のね、絵付けたいけんしてきた。焼いてから学校に送ってくれるんだって」 「へー!なに描いたの?」 「ひみつ!」 笑いながらリビングへ入って、てるてる坊主に「雨ふらなかったよ、ありがとう」なんてお礼を言ってる。それから白い紫陽花に気づいて顔を近づけた。 「あれ?新しいのだ。きれいだね」 「さっき買い物帰りに榊さんに会ってね、また貰ったの。それと多紀にって柏餅も貰ったよ」 「かしわもち!こどもの日に食べるやつだ」 「みんなで住み始めたの大型連休過ぎてたから、お祝いしそびれてたよね。お祝いといえばお誕生日も!来年は盛大にやろう。ケーキ作っちゃおう」 「うん。その前に2人のたんじょうびだと思うけど…ジュジュは夏生まれだって言ってた。りょーじは?」 「僕?うーん僕は…秋生まれかなあ?」 正直、誕生日も歳もよく分からない。どこから数えたらいいのかも曖昧だ。 強いて言うなら、君にファルロスとしてお別れを言った朝の、次の日なのかなと思っている。そこから今の僕が形成された。もう随分昔のことみたいだけど。 「じゃあ、きせつが変わるたびにお祝いできるね。ケーキぼくも手伝う!」 にこにこ笑った多紀が、はたと思い出したように紫陽花を見上げた。 「あじさいのおばあちゃんにお礼したいな」 「そうだね。一緒にお菓子か何か作って持って行こう。ケーキの予行練習でもいいよ」 またひとつ、数日先、1年後までの約束と楽しみが増えた。こんなことの積み重ねで幸せが作られていくんだろうな。 柏餅は、こし餡と味噌餡どっちにする?と訊いたら迷うことなく「どっちも!」と答えるところは子供らしいというより多紀らしい、と笑ってしまったけど。 「ジュジュに半分ずつあげるの。どっちも食べたいでしょ」 「そうだねえ。樹さんも両方食べたかったーってなるよねえ」 樹さんがまた喜んじゃうなあ、と子供特有の猫っ毛でサラサラの髪の毛を撫でた。 柏餅を食べながら、教わった紫陽花の花言葉について話し合う。多紀は興味を持った様子で、今度学校の図書館でお花の図鑑を借りてくると言っていた。 まんまるで、人の心を和ませる。そんな世界一の団欒が作っていけたら良いなあ。 ささやかで壮大なことを願いながらエプロンを付け、夕���の準備に取り掛かった。
このお話の時代考証というか、どこまで詳細にやったらいいのか悩みまして、結論。 ファンタジーミレニアムにすることにしました。この時代にまだそれ無いじゃない…? とか色々挙げればキリがないのと、この望月さんは全部体験はしていなくとも 令和まで知識として知ってるという未来人っぽさを醸し出してもらおう!という…。 チートなハウスキーパーというより所帯染みた専業主夫になってますが 子主さんにいろんな体験をさせてあげたいものです。 叔父さんはマキちゃんと友達以上恋人未満のいい感じになってて欲しい もうお前ら早く付き合っちゃえよ!(願望)
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wabisukepons25 · 21 days
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2頁
また今日も残業だった。クソ上層部のクソ女との接待。俺がテメェみてぇな女好きになるかよ。アイツのキツい薔薇とホワイトリリーの香水の匂いがまだする。吐き気がする。
深夜1時。外は雪がちらつき、空は雪が街の光に反射してか薄明るい。そのせいで回りがよく見える。歩いているのは俺一人。足跡も俺の後以外には雪が覆ったんだろう、見当たらない。頭に雪を散らし、疲れ切った男が一人ただ家路に向かっている。それだけの悲しい風景。
雪が浅く積もった階段を、重い足を引きずりながら3階まで上がる。一段、一段上がる事に口から湯気が立っては消えを繰り返す。手すりを掴む手は凍え、痛みさえある。やっと自宅の所々赤錆びたドアの前に着いた。換気扇からまた別の匂いがしている。
ホワイトムスクの匂い。これは嫌いでは無い匂い。
そして微かな血………生臭く、錆びた、喉に張り付き締め付けるような…同棲者からよくする、もう嗅ぎなれた匂い。
凍える手でベルトに付いた小物入れから家の鍵を探し出し、少し回しにくくなった鍵穴に差し込む。5、6回揺らしただろうか、スンと鍵が回りその勢いに体が傾く。
「ただいまぁ。帰ったで」
玄関で革靴を脱ぎ廊下に上がる。寝室から明るい光とゲームの音が漏れている。また遊んでる。こちとら散々疲れてやっとこさ帰ってもう1時だってのに。腹は空いたわ、眠いは、風呂入りたいわ…。廊下は冷たく、棒になり感覚が薄れた足裏に痛みという感覚を取り戻させた。ため息を吐きつつキッチンを抜け、寝室を開ける。
「おかえり。遅かったねー」
ソファーに腰かけこっちをチラリとも見ずにテレビ画面を凝視し、コントローラーをポチポチしている「嫁」がいた。
鼬。俺の親友兼嫁である。人生どういう事か俺は股間に逸物の付いている人間と籍を入れたのだ。
白銀の腰程までに長い髪。異様なまでに整った中性的な顔。長い睫毛。細い指としなやかで柔らかい、筋肉があまりない女性的な身体。余りにも綺麗で魅入ってしまう高価な人形の様な見た目。それなのに俺の前だと何を言ってるのかさっぱり分からない宇宙人になる。いっそ自分は金星人だと言ってくれれば俺は納得するだろう。あぁ、実に勿体ない。
「血の匂い。残っとる」
「狼ちゃんは鼻ええよね。ウチわからんで」
声を返すもテレビの画面を見たまま。俺の疲れ切った顔をちらりとも見ずに。
「ゲーム、止めろよ」
「ちょっとまって今セーブ出来るとこ行ってるから…。はい。終わり。お疲れ様ー。ご飯あっためるね。お風呂も沸かし直してくる。その間に別データの雑魚狩りしてくれると嬉しい…けどその顔、怒ってる?」
眉間にシワが寄っているのに気が付いた。怒ってる?あたりめーだろ。のんきにゲームしやがって。キレてるよ。黙ってソファに座って手袋を脱ぎ、ポケットに捻じ入れる。手際よく目の前のテーブルにお茶、箸、白米、卵スープ、空芯菜の炒め物、回鍋肉が並べられる。食欲をそそる匂い。ついがっつく。だが回鍋肉にレンジの熱が行き渡っていないのか冷たい所がある。噛む度に熱すぎる所と冷えきった所が口の中で場所を取り合い、とても不快に感じる。イライラが募る。
「風呂出来た。んじゃ、ゲームしてるから。お風呂は抜いて洗っといて。んで先寝てて」
俺はゲームより存在下なのかよ。脱衣所で服を脱ぎながら自分の情けなさに辛くなった。タオルを取り、鉛のように重くなった腕で体を洗うのは面倒だと感じながらも、なんとか体を洗い終えた。ピンク色のラベンダーの匂いの湯船から湯気が上がっている。色も匂いも嫌いだ。しかも長い髪の毛が1本浮いている。なんで最後に取らないんだ。湯船に浸かった胸にピチャリとその髪が張り付く。つまみとり浴槽の縁に貼りつけようとするも指に白銀の髪がまとわりつきなかなか取れない。諦めてその指を浴槽に沈めた。
このまま寝てしまいそうだ。しかし寝ぼけて溺死するのはあほらしいので渋々浴槽から出た。栓を抜き、いつの間にか指から離れたあの忌々しい髪の毛は排水溝に渦を巻いて意図も簡単に吸い込まれていくのが見えた。そのまま海まで流されろ。
柔らかいバスタオルで体を拭き、畳まれたいつものルームウェアに着替える。サングラスはなく眼鏡が畳まれてタオルの上に置いてある。人のものかってに触るなよ。髪を乾かし、重い足を引きずってどうにかソファーまで辿り着き、横になる。同居人はまだフローリングに座り、のんびりとゲームをしている。それを横目に見ていているとさらにイライラが増していく。
いつの間にか睡魔に襲われる。重い瞼を閉じかけた時、鼬がソファーに手をかけて覗き込んできた
「狼ちゃん、お疲れ様。…まだ怒ってるん?何に?」
何?何っててめぇの中途半端な家事やゲームばっかりやってる態度にだよ。本当は俺の事どうでもいいんだろ。俺はお前が言う理想を演じ続けてるだけだしな。昔のひ弱だった「オレ」なんか嫌いなんだろ。…俺はあの頃と変わっちゃいない。どうせお前は「オレ」を見てない。「オレの全部」を。そんなお前の態度や言葉や…全部。全部が腹立たしい
「全部」
「全部か…。そっか。ごめんね。いつも完璧じゃなくて」
「完璧を求めてんじゃねーよ!お前さ、俺に色々指示だけしやがって。んでなんだ?自分は遊んでばっか、我儘三昧か?俺の事少しでも考えた事あるんか!?…どうせ『オレ』の事どうでもいいんやろ」
「狼ちゃん、ウチってそんなに…本当に狼ちゃんの事、少しも考えてないように見える?本当にどうでもいいなんて…考えてるように思える?」
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鼬の口が固く結ばれて、手は震えている。金と紫のガラス玉の様な眼には雫が溜まり始めて、1粒俺の左手の甲に落ちた。その冷たい雫に我に返る。雫が心にしみていく。怒りは徐々に静まり焦りが生まれる。そして気が付く。俺の言葉はナイフになって鼬の心を刺してしまった。そのナイフの柄を持っているのは俺だ。俺は…
また俺は鼬を泣かせてしまった。
俺のことを少ししか考えてない?どうでもいいように思ってる?軽率な言葉だったかもしれない。 そうだ。飯は作ってあった。飯食った後に直ぐに風呂も入れた。風呂に入ってる間に服は仕舞われて、着替えと眼鏡は出してある。俺が気がついてないだけでまだ沢山気を遣われてる。
きっと鼬ちゃんは俺が計り知れない程に「俺」も「オレ」の事も考えている。
「…泣くなよ。鼬ちゃん、俺の事思ってくれてるんだよな。俺、家帰って何から何まで鼬ちゃんにしてもうてた…。それやのに酷い事言ってしまった…ごめん。鼬ちゃんも疲れとるのに…俺の事思ってくれて、しかも疲れてるのを気遣って全部面倒見てくれて、…ありがとう」
鼬は赤くなった目を丸くしてる。両手で顔をぐしぐし拭いさる。そこには涙が止まり頬を赤らめたなんとも愛らしい笑顔があった。少し驚いたし腹の当たりがじんわり熱くなった。 俺、やっぱり鼬ちゃんの事好きなんだな。
「んへへ、狼ちゃんが分かってくれて凄く嬉しいです!あのさ、嫌じゃなかったら…今日は一緒に寝る?」
霜の降りた窓からは、雪が降っているのが見える。月光は部屋に差し込みベッドに柔らかな光の毛布を敷く。狭いベッドに大人二人。窮屈だが握ったその手は暖かかった。
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kachoushi · 29 days
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各地句会報
花鳥誌 令和6年4月号
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坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和5年1月6日 零の会 坊城俊樹選 特選句
ドッグラン鼻と鼻とで交はす賀詞 荘吉 裸木のはるかを白く光る街 要 頰切るは鷹の翔つ風かもしれず 順子 人波をこぼれながらの初詣 光子 焼芋の煙たなびく志んぐうばし 和子 群衆といふ一塊の淑気歩す 順子 寒雀神馬と分かちあふ日差し 光子 寒雀入れ神苑の日のたまり 同 寒の水明治の杜のまま映す 小鳥
岡田順子選 特選句
跼り清正の井を初鏡 昌文 本殿につぶやく寒紅をつけて 光子 楪の浴ぶる日我にゆづらるる 慶月 肺胞に沁み込んでゆく淑気かな 緋路 冬草や喧騒去りて井戸残し 眞理子 馬見えぬ乗馬倶楽部の六日かな 六甲 寒鯉来おのれの色の水を分け 緋路 寒椿落つれば湧くや清正井 眞理子 寒の水明治の杜のまま映す 小鳥
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月6日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
一束もいらぬ楪もて遊ぶ 成子 深井より羅漢に供ふ冬の水 かおり 赤なまこ横目に買ひし青なまこ 久美子 畳みたるセーターの上に置くクルス かおり 再会のドアを開けばちやんちやんこ 朝子 半泣きのやうに崩るる雪兎 成子 火を見つめ男無口に薬喰 かおり 歳晩の一灯母を照らすため 朝子 悴みて蛇となる能の女かな 睦子 その中の手話の佳人やクリスマス 孝子 悪童に悲鳴をはなつ霜柱 睦子 凍空とおんなじ色のビルに棲み かおり かくも典雅に何某の裘 美穂 唐突に雪投げ合ひし下校の子 成子 楪や昔硝子の磨かれて かおり 奥伝の稽古御浚ひする霜夜 愛 出会ひ重ね寿限無寿限無と年惜む 美穂 冬灯一戸に遠き一戸あり 朝子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月8日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
流れ来し葉屑も霜を置いてをり 昭子 御慶述ぶ老いも若きも晴れやかに みす枝 初春の光りまとひし石仏 ただし 神なびの雨光り落つ氷柱かな 時江 地震の中産声高き初笑ひ ただし 歌留多とり一瞬小町宙に舞ふ みす枝 まだ誰も踏まぬ雪道新聞来 ただし 奥の間に柿餅吊し賑はへり 時江 さびしさの枯野どこまで七尾線 昭子 万象の音の鎮もり除夜の鐘 時江
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月9日 萩花鳥句会
初句会吾娘よりホ句のファクシミリ 祐子 書き初め震何んぞ訳あり辰に雨 健雄 吹雪突き突進するエネルギー 俊文 日本の平安祈る今朝の春 ゆかり こがらしが枯葉ころがしからからと 恒雄 平穏な土地にて食べる七草粥 吉之 御降や茶筅ふる音釜の音 美惠子
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令和5年1月10日 立待花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
被災地にすがりし木の芽盛んなる 世詩明 的中の乾いた響き弓始 誠 初場所の桟敷の席の晴れ着かな 同 初御空耶馬台国は何処にぞ 同 石段を袖振り上がる春著の子 同 細雪番傘粋に下駄姿 幸只
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月11日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
年上の夫に引かるる初詣 喜代子 地震起こり慌てふためく大旦 由季子 曇り拭き笑顔映りし初鏡 さとみ 地震の地にぢりぢり追る雪女 都 冴ゆる夜の天井の節をまじまじと 同 男衆が重き木戸引き蔵開き 同 寒月や剣となりて湾の上 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月12日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
海鳴や雪の砂丘は祈りめく 都 初電話卒寿は珠のごと笑ひ 同 針始友が未完のキルト刺す 同 授かりし神の詞や竜の玉 悦子 蜑に嫁し海山詠みて老いの春 すみ子 焚上げの火の粉加勢や冬銀河 宇太郎 古傷を思ひ出させて寒四郎 美智子 枯葦の透き間に光る水一途 佐代子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月12日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
寒の雨誦経とよもす陽子墓碑 文英 寒林を上り来よとて母の塔 千種 顔消えし元禄仏へ寒菊を 慶月 道祖神寄り添ふ寒の雨うけて 慶月 就中陽子の墓所の蕗の薹 幸風 裸婦像の背にたばしる寒の雨 同
栗林圭魚選 特選句
信州へ向かふ列車の二日かな 白陶 寒林を上り来よとて母の塔 千種 晴天の初富士を背に山降る 白陶 大寺の太き三椏花ざかり 幸風 空までも続く磴なり梅探る 久 はればれと良き顔ばかり初句会 三無 就中陽子の墓所の蕗の薹 幸風 五姉妹の炬燵の会議家処分 経彦 走らざる枯野の車両咆哮す 千種 凍蝶のポロリと落つる影哀れ れい 三椏の開花明日かと石の門 文英
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月13日 枡形句会(一月十三日) 栗林圭魚選 特選句
嗽ぐをどる喉越し寒の水 幸風 七福神ちらしの地図で詣でをり 多美女 七福神詣りしあとのおたのしみ 白陶 凍て鶴の青空渡る一文字 幸子 金継ぎの碗に白湯汲む女正月 美枝子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月15日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
曇天に寒紅梅や凜と咲く のりこ 寒梅のつぼみの枝の陽の仄か 貴薫 青空に白き寒梅なほ白く 史空 朝の日に紅色極め寒椿 廸子 我が机散らかり初めし二日かな 和魚 倒れ込む走者にやさし二日かな 三無 釦穴に梃摺る指や悴かみて あき子 夢てふ字半紙はみ出す二日かな 美貴 二日早主婦は忙しく厨事 怜 りんご飴手に兄妹日向ぼこ 秋尚 雪遊びかじかむ手の子包む母 ことこ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月16日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
幼子の運を担いで福引へ 実加 寒空や命尊きこと思ひ みえこ ことわざを子が覚えをりかるた取り 裕子 元旦の母と他愛もない話 同 元旦や地震の避難を聞くことに みえこ 初詣車椅子の児絵馬見上ぐ 実加
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月17日 伊藤柏翠記念館句会 坊城俊樹選 特選句
古里に温石と言ふ忘れ物 雪 師の墓に愛子の墓に冬の蝶 清女 寒の月見透かされたり胸の内 眞喜栄 鴨浮寝無言の中にある絆 同 降る雪を魔物と今朝を天仰ぐ 英美子 藪入りも姑の一言行けぬまま 同 庭仕事今日冬帝の機嫌よき かづを 玻璃越に霏々と追はるる寒さかな 同 正月が地獄の底に能登地震 みす枝 雪しまき町の点滅信号機 ただし お御籤の白き花咲く初詣 嘉和 若狭より繋がる水脤やお水取 やす香 水仙の香りて細き身の主張 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月17日 福井花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
寒紅の濃き唇が囁きし 世詩明 お雑煮の丸と四角と三角と 同 正月の馳走其々ある謂れ 千加江 新年の風も言の葉も美しく 和子 磯の香も菰巻きにして野水仙 泰俊 捨て舟を取り巻くやうに初氷 同 左義長や炎崩れて闇深し 同 去年今年形見の時計よく動く 同 ふと今も其の時のマフラーの色 雪 天地に誰憚からぬ寝正月 同 迷惑を承知の猫に御慶かな 同 不器用も父似の一つ初鏡 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月17日 鯖江花鳥句会(一月十七日) 坊城俊樹選 特選句
而して九十三の初鏡 雪 蛇穴に入り人の世は姦しく 同 紅を差し眉ととのへて近松忌 同 懐手おばあちやん子を憚らず 同 鬼つ子と云はれて老いて近松忌 同 着膨れて顔ちさき女どち 一涓 歌かるた子の得て手札取らずおく 昭子 年新たとは若き日の言葉とも やす香 新年を地震に人生うばはれし 同 元旦を震はせる能登竜頭めく 同 裂帛の気合を入れて寒みそぎ みす枝 風の神火の神乱舞どんど焼き ただし 八代亜紀聞きをり外は虎落笛 清女 寒怒濤東尋坊に砕け散り 同 波の腹見せて越前浪の華 世詩明
(順不同特選句のみ掲���) ………………………………………………………………
令和5年1月19日 さきたま花鳥句会
月冴えて城址うろつく武者の翳 月惑 仲見世を出て蝋梅の香に佇てり 八草 枯菊や木乃伊の群の青き影 裕章 寒鴉千木の反り立つ一の宮 紀花 合掌す金波銀波の初日の出 孝江 青空に白き一機や寒紅梅 ふゆ子 初詣令和生まれの児と犬と ふじ穂 白鼻緒水仙の庫裏にそろへあり 康子 激震の恐れ記すや初日記 恵美子 お焚き上げ煙を浴びて厄払ひ 彩香 我が干支の年につくづく初鏡 みのり 家篭りしてをり冬芽萌えてをり 良江
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令和5年12月1月 花鳥さざれ会 坊城俊樹選 特選句
師を越ゆる齢授かり初鏡 雪 初笑玉の如くに美しく 同 大晦の右大臣左大臣 同 猫の名は玉と答へて初笑 同 天が下縁深めゆく去年今年 数幸 能登の海揺るがし今日の空冴ゆる 和子 しろがねの波砕かれて冴え返り 笑子 語り継ぐ越前の秘話水仙花 同 雪降れば雪に従ふ越暮し 希子 皺の手にマニキュア今日は初句会 清女 初電話親子の黙を解きくれし 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月 花鳥さざれ会 坊城俊樹選 特選句
蟷螂を見て戻りたるだけのこと 雪 もて余す老に夜長と云ふ一つ 同 蟷螂の緑失せつゝ枯れんとす 同 小春日や袱紗の色は紫に 泰俊 正座して釜音聞くや十三夜 同 海沿ひにギターの調べ文化の日 千加江 枝折戸をぬけて紅さす返り花 笑子 祇王寺の悲恋の竹林小鳥来る 同 大胆な構図を取りし大銀杏 和子 宿の灯も消して無月の湖明り 匠 秋の海消えゆくものにますほ貝 天空 落葉降る賽の河原に降る如く 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年12月 花鳥さざれ会 坊城俊樹選 特選句
異ならず枯蟷螂も人老ゆも 雪 世の隅に蟷螂は枯れ人は老い 同 無造作に残菊と言ふ束ね様 同 冬ざれや汽車に乗る人何を見る 泰俊 石膏でかたまりし腕冬ざるる 和子 山眠る小動物も夢を見る 啓子 路地裏の染みたる暖簾おでん酒 笑子 冬ざれや路面電車の軋む音 希子 おでん屋の客の戯れ言聞き流し 同 風を背に連れておでんの客となり かづを にこにこと聞き役おでん屋の女将 同 冬紅葉地に華やぎを移したり 同 街師走見えざるものに背を押され 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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higashiazuma · 2 months
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ヤンヨグトラック卓#3 友情上等!親子の絆はコケコッコー!
!ご注意! このログには、裁定ミス、吟遊プレイ、内輪ノリなどが大量に含まれます。 どんとこいガハハ!な方のみ、お酒でも飲みながらのんべんだらりとお楽しみください。
ちなみに文中で使用しているナイスな各種シートは公式サイト(http://www.bouken.jp/pd/yy/)からDLできるぞ! るるぶを購入したら、今日から君もヤンキーだ!!
※ここからリヒトさんの中の人が復活いたします。
うろつきフェイズ2サイクル目。 ルールの確認などを交えながら、各々は行先を決定します。
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稲原 アギト:転がる草を転がす @~~~ 小野 蒼真:ニテンド君とボーリングが出来るぞ! 似天堂裕太郎:やったーー!!!ナワバリ効果のために誰でも良いから被ってくれと念じてたんだ……!>ボウリング
※自身の持っている友情度が攻撃力になるヤンキースキルを持っているため、切実である。
劔 理一:ほんとにお二人すごく息ピッタリに行き先選んでる… GM:おし 軽いところから処理していきまーす  邪教の神殿では相変わらずエルフたちがじゃあくないのりを捧げています バッドヤンキーのナワバリのままです 稲原 アギト:処理の軽さに反して描写が重い 小野 蒼真:ここは じゃあくないのり
※ここは わんわんののろい
GM:ショゴスが洞窟を訪れて再び菌核を活性化させます 涼んでいたエルフたちが慌てて逃げ出すでしょう バッドヤンキーのナワバリになります 劔 理一:せっかく涼んでたのに…! 稲原 アギト:おれの手元にある岩が生き残ってしまった
GM:妖精の村を訪れたバッドヤンキーは、にわかに活気づいている妖精たちに腹を立てて手近にあった家を破壊します 小野 蒼真:あっなんてことを! 稲原 アギト:あっ 野生のクリーパーが! GM:「誰の許可取ってそんな目して良いと思ってンだ!!」  で、片付けようとされていたコップについたリップの色を見て、こめかみをピクりと動かし  「気に入らねえ!気に入らねえ!!!」と破壊の限りを尽くします バッドヤンキーのナワバリになります 小野 蒼真:反応!!!!!! 劔 理一:アッッッ何かしらの反応!!!  蒼真さんがリップモ○スターを使っていたらこうはならなかったのかもしれない(???) GM「あいつが…まさかな……」
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※お忘れかもしれないが、蒼真さんは武勇伝表でバッドヤンキーとの因縁を引き当てている。
稲原 アギト:くぅ~~~
※何かを嚙みしめている。
小野 蒼真:くっ 300円くらいのやつですねきっと 似天堂裕太郎:リップモンスターはバズりすぎて手に入らなかったんだ……
※リップモンスター…色落ちしにくい、カップにつきにくいと評判の、人気の口紅。
劔 理一:今冬の限定色は私も逃しました おのれ 似天堂裕太郎:グッドヤンキーは転売から買わないからね! 劔 理一:えらい!!! GM:グッドヤンキーだからね!!
GM:では、次に風呂屋ですね。店主が「ああっ!バッドヤンキー様…じゃない!?」と貴方を見て驚きます  「もしかしてヤンキー様!伝説のヤンキー様ですか!?ああ……」 劔 理一:店主の目に映るのはそこそこ負傷してるけどバッドではないわりと硬派っぽいヤンキーだ! 小野 蒼真:お料理も上手だぞ! 劔 理一:「…なンだか伝説になるのもわりと慣れてきたな。悪ィことじゃあないんだが…」 GM:「どうぞ、今薬湯を準備いたします!ぜひゆっくりしていってください!!」店主は喜んで、魔法の給湯器の温度を調整し、なんかこう 千と千尋っぽい感じでお薬をくべます  ぶわーっと鮮やかなグリーン色のお湯が広がりますね 劔 理一:あっ千と千尋っぽい感じ 千と千尋っぽい感じ大好き  「お、効きそうな匂いがすんな。こいつは薬湯ってやつか? 湯治だな…」  こう、まだ本当に「マジメ君」だった頃に家族(兄貴含む)で行った温泉旅館とかを思い出してちょっとしんみりします 稲原 アギト:いいなあ 札を上にガーって飛ばすやつやりたかった GM:「おお、この香りは」「親父さん、久々にまともに営業してんのかい」「なんせ伝説のヤンキー様が…」常連客らしき人たちと店主が会話してますね 劔 理一:心も体もあたたまる光景だあ…  じゃあリヒトも服を脱ぎ、ちゃんと畳んで置くべきところに置き、タオル片手につかりに行くこととしましょう  もちろん湯船にタオルは持って入らないぞ! 小野 蒼真:マナー! 似天堂裕太郎:まなー! 劔 理一:ちゃんと先に身体と髪を洗ってからだ! 似天堂裕太郎:ぐっどやんきー!
※グッドヤンキー仕草。
GM:身に染みるほどほどの熱さです 露天に行くならあの大パノラマも楽しめます GM:不思議なことに、怪我がみるみる治っていきますね むしろ前より元気 劔 理一:そう その効果を期待して来たのよ…! GM:HPを20点にしてください! 小野 蒼真:めっちゃ元気!!! 劔 理一:ヤッターーー!!! 気分爽快! 稲原 アギト:いい感じの温度の風呂ってすごい 小野 蒼真:やっぱり風呂って健康に良いんだな GM:魔法の冷蔵庫っぽい中に瓶コーラのようなものも入ってますが 劔 理一:わーーー!!! GM:「あっ!ヤンキー様、それは!」  「ショー番長様に命じられて作ったやつでして……今廃棄します。これが本来のうちの味です」と、おずおずと冷えた瓶コーラを持ってきてくれます 劔 理一:あっ何か違いがあるの! 似天堂裕太郎:クラフトコーラだから……!画一的ではないのか…… GM:味見してみます? 劔 理一:どうしよう GM:マイナス効果はないです フレーバーだけ 劔 理一:フレーバーだけなら飲んどこ 「あン? …なるほど、クラフトコーラってこたァ香辛料の配合を自由に変えられるわけだ」  「いや、そいつもくれ。例の番長の『好き』ってのがどんなもンか、俺も試してみたい」  って感じで飲むことにしよう
※GMの用意しておいたネタは拾ってくれる、PLの鑑。ありがたいです。
GM:風呂屋特製のクラフトコーラは、炭酸弱めでぐぐっと飲み干せる感じですね。そのぶんスパイスが効いてて、後味爽やか  ショー番長のはですね、「痛い」  めっちゃ辛いです 劔 理一:バチバチに強炭酸なうえ辛いやつ!!! 似天堂裕太郎:香辛料パワーが凄そう GM:ハバネロ味の泡パチめっちゃ食べたらこうなる感じ 小野 蒼真:刺激物 稲原 アギト:きっとなんかSNSとかで話題になるやつ GM:確かにバズりそう  才能あるよ祥ちゃん
※バッドヤンキーのこと。フルネームは斬馬祥。
劔 理一:じゃあ、まず番長のコーラを一口…いや、一般人にとっては三口ぶんぐらいぐっと飲み込んで 劔 理一:むせはしないけど、軽くケホッ、って一息ついて 劔 理一:「…けッ、根性あるじゃねえかよ。これで他所まで出張ってこなきゃ、認めてやっても良いんだがな…」  等と呟きつつ、改めて本来の味のクラフトコーラをぐびぐびしましょう もちろん腰に手を当てて! GM:一気に飲み干せる爽やかさ!  その飲みっぷりと、ショー番長の特製コーラを三口ぶんも飲んだってことでまた周りのエルフたちがやんややんやします「さすが勇者様だ!」「素晴らしい飲みっぷり!」 似天堂裕太郎:(♨ ボーリング お祭りってエンジョイますが選ばれたのか……)
※異世界(神話生物付き)でゆっくりしてってね!
劔 理一:プハァ 「…ああ、こいつはウマいな。俺はこっちが好みだ。どう言やいいのかね、後味…キレてんのに優しい、つーか」  「最初に来るのがたぶん黒胡椒とカルダモンだろ? ちっと柑橘みてえな匂いがするからな。それで生姜も効いてるな。あとは…このスッと来る感じ、クローブも結構強めに入れてンのか…」  「…いや、よくよく考えたら異世界の味を俺らの基準で考えんのがまず野暮か」  「とにかく、美味いぜ! あんたら、良い魂持ってんじゃねェか!」 稲原 アギト:ヤンヨグのOPさえ耐えればいいかなと思っていた飯テロが風呂屋でも! 劔 理一:PLが私だったのが不運と思って(略)
※リヒトの中の人は飯テロの常習犯である。
GM:「ありがとうございます勇者様!」「私どもにも協力させてください!!」やんややんや  というわけで、風呂屋がPCたちのナワバリになりました 似天堂裕太郎:やったーー!! 小野 蒼真:やったー! GM:クラフトコーラに関しては皆さん一家言あるみたいで、そこからちょっとしたクラフトコーラ談義になりますね 劔 理一:「背筋が伸びる味がすンだよ。いや、先公から背中にバシッと食らうとかじゃねえ、ダチから喝もらうみてえな感覚というか…」  とかなんとか食レポしつつ暫し寛ぎましょうかね  クラフトコーラに一家言ある村、いいなあ… GM:はーい、ありがとうございました!
GM:では続いてお祭り舞台ですね。改めて描写しますと、  良い感じの樹の枝元を利用し、噴水や植え込みの作られた、風光明媚な公園だったようですが、  今は「偉大なるショー番長」と、でかでかと書かれたデコトラステージが中央に準備されています。  周囲でうなだれているエルフに話を聞くと、斬馬を称える集会を、夜な夜なやらされているそうです。 小野 蒼真:かわいそう… 稲原 アギト:実に気の毒だ GM:で、近づくとデータにもならない木っ端ヤンキーたちが絡んできます 「おうおう何だァアンタ?」  「お前もこっちに来てショー番長を称える歌詞を書くんだよォ!あと20番はいるな!」 稲原 アギト:「なんだこの暑ぐるしさは」 劔 理一:歌詞を 小野 蒼真:歌詞をかく GM:「ショー番長が望んだ。それで十分だろ?」 稲原 アギト:「そんなものはチャットGPTにでも食わせておけ」 似天堂裕太郎:AIを扱えるやんきー 小野 蒼真:<称える歌詞を書くポイントは5つあります 似天堂裕太郎:<マークダウン形式で表記してください
※チャットGPTの解像度の高さよ。
GM:「あァン?喧嘩売ってんのかてめえ!」適当に蹴散らして大丈夫です 稲原 アギト:デコトラに乗り込み、まとわりついた装飾ごと運転してメキシコに走り去っていきます  めきめきめきー 劔 理一:いかんなく発揮される運転スキル!!! 小野 蒼真:つよいwwww GM:「お、おいテメエ何をグワーーーーッ!」「ウワーーーーーッ!!!」 稲原 アギト:「ゴテゴテしているのは趣味じゃない。うむ。スッキリしたなベイブ」 GM:プイプイ!  エルフたちは唖然としながらも、「お、おい今のってもしかして…」「ヤンキー様…!?伝説の…!?」  「ヤンキー様だ!ヤンキー様が助けてくださった!」「ありがとうございますヤンキー様!!」やんややんや 稲原 アギト:パパラパー GM:デコトラの旋回で悪趣味に飾られたお祭り舞台は台無しになりました。  木々を繋ぐ吊り橋は魔法で補強されているのでデコトラでも難なく走れるでしょう。  お祭り舞台がPCたちのナワバリになりました! 小野 蒼真:シンプルにリフォームされたナワバリだ! 稲原 アギト:滑車をつけておこう GM:折角だから喜んだエルフたちが遠くから魔法を飛ばして、デコトラを塗り替えてくれます 稲原 アギト:優しい
GM:次回登場時、アギトさんは好きなデザインのデコトラに乗って登場できます 稲原 アギト:うれしい
※運命の一言。
似天堂裕太郎:すごい効果だ 小野 蒼真:かっこいい 劔 理一:これはいい演出 稲原 アギト:マリカの選択画面みたいなところでいろいろ弄ってカスタマイズしていよう  スピード テクニック コントロール プイプイ GM:プイプイ 似天堂裕太郎:チチンプイプイ GM:だれうま GM:なんかこう 演出的には魔法的にキラキラーって塗り替わっていく感じ  他にやりたい事がなければ次の施設に移りますがよろしいですか? 稲原 アギト:ない デコトラをへんしゅうする GM:エルフたちは去って行くデコトラに、いつまでも声援を送っていました  ありがとうございました!
GM:ではボウリング場です。  「いらっしゃいまー……も、もしかしてヤンキー様!?伝説の…!?」  「ああ、暖房を冷房に切り替えて良いんですね!?」 似天堂裕太郎:「おう、なんかここあちーしな!」 小野 蒼真:「どこもかしこもあちーなもー! 変えて変えて!!」 稲原 アギト:地獄から天国 GM:暖房が冷房に切り替わる事によりPCたちのナワバリになりました 劔 理一:気温で GM:気温で。 劔 理一:あれだ、サーモカメラの映像みたいに赤かったところがすーーっと青く
※ゲーミングボウリング場。
小野 蒼真:熱が引いてく  青いところがナワバリ GM:気温計がスーーーッと 稲原 アギト:わかりやすい 似天堂裕太郎:なるほど 劔 理一:蒼真さんのお名前が「蒼」なのも必然だったのかもしれない 小野 蒼真:つながって…しまった…! 似天堂裕太郎:サーモグラフィーならナワバリ状況が自動化ができますしね GM:「どうぞどうぞ!ぜひ遊んで行ってください!」見た感じ、現実世界のボウリングと大差ないようですね  店内の装飾が樹の中で、照明が浮いている光の球だったりしますが 小野 蒼真:ファンタジーな店内! GM:ぜひ「他愛のない会話」を楽しみながら遊んで行ってください。代表の方、表をd66でどうぞ! 小野 蒼真:前回ふったのでどうぞ! 似天堂裕太郎:じゃあ振ります!
似天堂裕太郎 d66 -->35
GM:喧嘩の話  振り直しますか?このままで行きますか? 小野 蒼真:私は大丈夫です! 似天堂裕太郎:ですね!  ダイスの女神さまを信じます GM:はーい!プレイボール!  ガコーン 似天堂裕太郎:「とりあえず先行は俺な!!!」  「俺様はいっちばーんだからな!」 小野 蒼真:「!! 待って待って、やり方わかんないんだけど!」 劔 理一:蒼真さんは未経験者か…! 小野 蒼真:憧れのラウンド1
※意外な側面。理由については後述されます。
似天堂裕太郎:「あー? んなの投げりゃいんだよ投げりゃ」 小野 蒼真:「やったことなくてさ、これ? あっちに?」 GM:「初心者用レーン出しますかー?」スタッフさんが声かけてくれます 似天堂裕太郎:「ガキじゃねえんだからそんなのいらねーよ!」  訳)ガーターしたいです GM:「はーい!」訳)承知しました
しばしの間、ダイスでボウリングのスコアを算出する方法を談義する一同。
GM:涼しく���ったことで戻ってきた隣の一般エルフが8本倒しました 似天堂裕太郎:9本!!!! 小野 蒼真:ニテンド君うまいな!!!!! 劔 理一:一般エルフもうまいしニテンド君はもっとうまい…! 小野 蒼真:(ほうほうなるほどという顔で見ています) 似天堂裕太郎:「くそ! しくったーー!! でもまあ、お前もこんな感じでやれば良いんだよ」  ここでストライク出してほしいな(期待の目) 小野 蒼真:「おっけー、もう完璧に把握したわこれ」  図に乗りたいね! GM:強者の発言 小野 蒼真:お約束としてボーリングを上段に振りかぶりましょうね GM:8本! 小野 蒼真:本当に結構把握してる  「あああああ はじ、はじのがさーーーー!」 劔 理一:蒼真さんボウリングのセンスがある! 似天堂裕太郎:「初めてにしてはうめーじゃないか!」  端が2本残ったのかな……
※あるある。
GM:ボールは奥までゴトーンと落ちると、スッと魔法で定位置に戻ってきます 小野 蒼真:「やーばい、これは新しい才能を見付けてしまったかもしれんね……」 稲原 アギト:ワープ魔法か妖精さんがぱたぱた持ってきてくれる奴なのか… GM:急募 ボール運び 要件 妖精の方 劔 理一:こっちでも娯楽サービス業は人手不足なんだ… 稲原 アギト:前任者が気温がやばくてやめたって話が…
※せちがらい。
小野 蒼真:「あーしン家めちゃ厳しくってさ、ボーリングとか、あとカラオケ?も全然いかしてくんなくってさー。そんでブチギレて、ダブってる間中ずっと喧嘩喧嘩で。もうまじで親父かあーしのどっちか毎日鼻血出してたよね」  ボールが帰ってきた! 稲原 アギト:きびしいおうち! 劔 理一:めちゃくちゃフィジカルな親子喧嘩してたんだ…小野家… 似天堂裕太郎:「まじかよ! そりゃひでーな!」 小野 蒼真:成長期の息子と割と最盛期の親父によるテコンドー勝負 かなりガチ GM:ジャンピング踵落としが飛んでくる親子喧嘩
※蒼真さんのヤンキースキル「ネリ・チャギ」と「テイミョ」のこと。
稲原 アギト:想像してたケンカと風向きが変わってきたな  コマンド入力たくさんしてそう
似天堂裕太郎:「おれんちなんてテレサでスターとって親父泣かせたくらいしかねーぞ!」
劔 理一:平和 GM:平和 小野 蒼真:「てれ なに? 知らん単語出てきたけど、さては仲良いな?」 似天堂裕太郎:「別に仲良くね―よ もう一緒に遊んでね―し!」 小野 蒼真:微笑ましいよお!!!! 劔 理一:そうやって一緒に遊んでた頃の思い出がするっと出てくる親子は普通に仲良しなのよ…! 似天堂裕太郎:「最後に遊んだのは超おどるメイドインワリオだし!!」 GM:割と最近では!? 劔 理一:先月! 先月!!!
※このセッション時点で先月発売。だいぶ最近。
小野 蒼真:親子で実況しててほしい 似天堂裕太郎:初日に喧嘩してそれっきりだから……  喧嘩の話題だよ!
※そういえばそうだった。
劔 理一:なるほど!? GM:ほっこりする喧嘩の話題だった 稲原 アギト:高校生ですよね??? 似天堂裕太郎:高校生ですね 似天堂裕太郎:ダブってますね
※似天堂くんはダブ1。
GM:親のコケコッコのポーズ見て大爆笑して怒られたんだろうな 似天堂裕太郎:すごく良いので採用したい>コケコッコーのポーズ GM:採用されてしまった  親子喧嘩の発端がコケコッコになってしまった 小野 蒼真:(ポーズを把握してきました) 劔 理一:(同じく把握してなるほどこれは…という顔をしている)
参考文献 https://youtu.be/G5zdW9rS7Xo?si=RxtiCOd5fWZSC86b&t=691
GM:「お前もやるんだぞ!!そこまで笑わなくてもいいだろう!!!」 似天堂裕太郎:「親父はなりきりすぎててきめーんだよ!」 稲原 アギト:なりきりすぎててだめだったのwww 小野 蒼真:全力で遊んでくれるお父さん!! GM:「きめーとはなんだ!!親にそんな口を利くもんじゃない!!!」 劔 理一:小さい頃からヒーローごっこの悪役とかガチめにやってくれたんだろうなあ… 似天堂裕太郎:「こけこっこー!って声に出しながら部屋をウロウロしている中年見たらきめーってなるだろ!」 GM:「母さん!裕が謝るまでおやつ抜きだ!!!」 小野 蒼真:母さんwwww 似天堂裕太郎:「はあ!? おやつぬきだなあ!? 横暴すぎるぞ!!」 GM:「父さんはいつも言ってるだろう!やるなら全力でやれと!!それを体現したまでだ!!」 劔 理一:なんかこう、平成のにぎやかホームコメディ感がすごくて画面の前でニヤニヤしてる(昭和だったら晩飯抜きになる)(そもそも昭和のホームコメディの親父は高校生の息子とゲームしないだろうけどそれはそれだ) 似天堂裕太郎:「声に出せとは言われてね―だろ! なんで勝手に追加してんだよ! しかも失敗してるし!」
※それはそう(それはそう)。
GM:「これは……父さんのなりきりが足りなかったからだ!!」  「次はより完璧なコケコッコーをしてみせるぞ!!」 小野 蒼真:向上心がある 似天堂裕太郎:「もういい! 親父とやってるといつまでたってもクリアできねえ! 俺は1人でやる!」 劔 理一:どうしよう似天堂父がいいキャラすぎる 小野 蒼真:ああっ息子の自立…! GM:「なんだと!!もう勝手にしろ!!!」  「やるなら全力でやれ…」「やるなら全力で…」(エコー)そしてボウリング場、みたいな感じでどうでしょう 似天堂裕太郎:素晴らしい戻し方 小野 蒼真:鮮やかに回想シーンから返ってきた! 劔 理一:最高の回想シーンだった 似天堂裕太郎:「……って感じだ。俺と親父は」 小野 蒼真:「ガチの仲良しじゃんびっくりした」 GM:ほんとだよ! 似天堂裕太郎:「はあ!?聞いてたんかよ!それからずっと一緒にゲームはしてねえんだぞ!」  なお発売日 劔 理一:高校生の息子と親父が一ヶ月一緒にゲームしてないのはわりと普通のことだよ!!! 稲原 アギト:上位2パーセントの仲の良さだよ 小野 蒼真:「帰ったらまた一緒にやったらいいじゃん。親父さん多分ウキウキでまたやってくれるって」 劔 理一:そう…完璧なコケコッコのポーズを… 小野 蒼真:きっと今も研究してるはずだから… GM:より洗練されたコケコッコのポーズを…  夜な夜な増えて行くプロフィールのプレイ時間 劔 理一:たまにちょっと別ゲーに浮気してる 小野 蒼真:息子さんすくすく真っ直ぐなグッドヤンキーに育ってますよ!!!(報告) 劔 理一:なんならもう親父さんも若いころはグッドヤンキーだったかもしれん 似天堂裕太郎:「……まあ、親父がどーしてもって言うなら遊んでやってもいいけどな!  だけどな! 今はお前と全力でボーリングだぜ! やっぱダチと遊ぶのは最高だからな!」 小野 蒼真:「それ! それ!!! トモダチとゲーセンとか! ボーリングとか!! めっっっちゃ憧れてた すっごい嬉しい今!!!」 似天堂裕太郎:「おう!!! これからもいっぱい遊ぼうぜ!!!!」 似天堂裕太郎:と言って投げて、2投目ガーターしたいですね!!!  絶好のチャンスを不意にしたい GM:ガーターン 似天堂裕太郎:「………!?!?!?!」 GM:そこへすかさず蒼真さん投球どうぞ 小野 蒼真:トリャー GM:4本!ビミョン 小野 蒼真:くっ 毒にも薬にもならない数を! GM:なかよし!  そんな感じで伸びたり伸びなかったりするお互いのスコアに笑いあったりするんでしょうね お互いへの友情度を1点上昇させてください! 劔 理一:うう 青春している… GM:関係も変更できます 任意or表 小野 蒼真:わーい!ユウジョウ!  先生、ナワバリ効果のユウジョウ度上昇はどうすれば?
※ボウリング場には、友情度が上がった場合2点上昇する効果がある。ナイス指摘。
GM:あ、そうだ!  2点上昇ですね、失礼しました! 似天堂裕太郎:せんせー!  あ、さきこされた!  うへへへ……ナワバリ効果おいしい! 小野 蒼真:とても仲良くなりました!!! 劔 理一:めちゃくちゃ仲良くなったねえ GM:関係は変更しますか? 似天堂裕太郎:すげえでいたい! 小野 蒼真:関係のダイスだけ振ってみても良いですか! GM:はい、1d6どうぞ! 小野 蒼真:あざます!!
小野 蒼真 1d6 -->2
GM:親友 似天堂裕太郎:な…に…… 小野 蒼真:ダイスが完璧な答えをだしてきた 劔 理一:ですよねーーーー!!! 小野 蒼真:親友!!!! 似天堂裕太郎:マブダチ! GM:似天堂さんからも親友にします? 似天堂裕太郎:しておきます! GM:はーい!ユウジョウ! 似天堂裕太郎:そーまくんが居るだけで攻撃力6上がるしね!  (怒りMAX時 小野 蒼真:後ろでヤンヤヤンヤしてる GM:ではよろしければシーンを〆ます!心残りありませんでしょうか! 小野 蒼真:はーい! 大丈夫です!!! GM:最終スコア3d100で出すという手もあります 小野 蒼真:! 出していきたい
小野 蒼真 3d100 -->13,20,83-->合計116
小野 蒼真:私よりボーリングうまい GM:成長している 劔 理一:目に見えて成長してる…! 稲原 アギト:戦いの中で成長するタイプ
似天堂裕太郎 3d100 -->87,4,80-->合計171
小野 蒼真:ニテンド君やっぱボーリングめちゃくちゃうまいな!? GM:とくせいムラっけ 劔 理一:逆に第二ラウンドは何があったんだという感じ 似天堂裕太郎:なんかからかわれたりしたんじゃないですかね?  盤外戦術に弱そう 劔 理一:うっかり過去の親父の何かを思い出して集中できなかったのかもしれない… 小野 蒼真:見えそうで見えない位置でコケコッコーしてたのかもしれない GM:じゃあ第二ラウンドでうわさを聞き付けたエルフたちが「勇者様だ!!」「勇者様の投球だ!!!」って寄ってきたのかもしれない 似天堂裕太郎:怒涛のコスメ解説についていけずに宇宙猫だったのかもしれない GM:ぜんぶだったのかもしれない 劔 理一:メイベリンのスカイハイマスカラの話しながらコケコッコーする蒼真さんとヤイヤイするエルフと脳裏で(任意の集中力を削ぐポーズ)する親父 似天堂裕太郎:やばい、すごくそういう状況に弱そう
※その状況は似天堂くんじゃなくても無理だと思うよ。
小野 蒼真:試される集中力 似天堂裕太郎:宇宙猫の顔でガーター連発してそう GM:かわいそうだなっておもいました(こなみ  では、このシーンの処理を終えて…2サイクル目が終了したので、襲撃シーンが発生します!
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helloharuo-diary-2023 · 3 months
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思い出を振り返る
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Tuesday 11 February 2014
2014年1月9日(木)夜10時4分、おかあさんが92歳で亡くなった。おかあさんは、自分の母のことではない。ハルオは、26歳の時人生のターニングポイントを迎えた。それはカメラマンになる修行を始める時だった。キーパーソンは、カナダ人のジョン。ジョンとの出会いは、ハルオが当時勤めていたカメラ量販店(24〜26歳)でのことで販売員(ハルオ)とお客(ジョン)の関係から始まった。そのジョンにカメラマンになりたいと伝えるとジョンはある女性を紹介してくれた。その女性は、ハルオが師事する事になったカメラマンGが手掛けていた雑誌の編集者をしていた。ハルオは、ジョンを介してその女性と会いまもなくカメラマンGを紹介してもらい彼の元で働きながら写真を学ぶことになった。
ハルオは、当時国分寺に住んでいた。カメラマンGの仕事場は中目黒にあった。一方ジョンは中目黒に近い下北沢のアパート「葉隠荘」に住んでいた。そのアパートは、いわゆる外人ハウスで管理人がいなくある意味無法地帯のアパートだった。そのアパートがあった敷地内におかあさんが営む一杯飲み屋「小料理 小千谷」があった。ハルオは、国分寺のアパートをキープしながら葉隠荘(3畳部屋)に移り住んだ。そしておかあさんと出会った。おかあさんは、当時70歳だった。1991年のことだ。「小千谷」とはおかあさんの生まれ故郷新潟県小千谷のことだ。「小千谷」カウンターに5席ほどの小さい飲み屋でおかあさんが一人で切り盛りしていた。メニューは、300円と600円のみ。瓶ビール(大瓶)500円。おかあさんは、自分のことを『昔はあばずれ、今は聖母マリア』と言った。そして『おかあさん』と呼んでと言われる。おかあさんは、外国人しかいない葉隠荘に日本人がやって来たことが嬉しかったのだろうかハルオとおかあさんはすぐに打ち解けて仲良くなった。「小千谷」は夕方から12時まで営業していたので仕事が遅くなった時でもお店は開いていてよくハルオはおかあさんに会いにお店に寄った。おかあさんは昔の下宿屋のおばちゃんみたいな存在だった。おかあさんは世田谷区に住まいがあり旦那さんと暮らしていたが葉隠荘にも1室部屋を持っていた。その部屋はジョンの部屋(6畳部屋)の隣りだった。ジョンもハルオも20代後半の血気盛んな時期で週末となればどこからともなく外国人たちがジョンの部屋に集まりテクノミュージック(後にトランス)を聞いて騒いだ。ボロアパートの葉隠荘だから音は筒抜けでおかあさんは最年長でテクノを聞いていたことになるだろうか。聞くだけならともかくその音はおかあさんには不快でよくジョンの部屋に来て『うるさいよ〜』と注意に来た。
「小千谷」には、常連のお客さんがたくさんいて当然おかあさんのファンでもあった。おかあさんが道で拾った鶏をカゴに入れて飼っていた時があった。そのカゴは「小千谷」の店先に置いてあってある日おかあさんはそのコメコと名付けた鶏を写真に撮っている女の子Aと出会う。そして「うちにも写真を勉強しているハルオ君という子がいるよ』と伝えハルオはその女の子と「小千谷」で会った。ハルオは、その女の子を気に入りやがて2人は付き合う様になった。おかあさんは愛のキューピッドをし他にもおかあさんがお客さんとお客さんの縁を取り持ち結婚までしたカップルがいた。ハルオには、18歳で上京して以来2番目に仲良くなったTという友人がいるがそのTも「小千谷」が気に入り常連になった。そのTもやはり常連だった女性と恋に落ちその縁は今でも続いている。
ハルオが葉隠荘にいた期間は3年間だったがその間に「小千谷」が30周年を迎えた。近くの北沢八幡宮の宴会場を借りて大勢の人が集まり盛大に開催された。おかあさんは、得意のかっぽれを踊った。おかあさんはハルオに葉隠荘の外観写真を撮ること依頼しその写真を使い記念テレフォンカードを作った。おかあさんが何かの病気になり病院に入院した。それは大したことではなかったが退院の日ハルオはおかあさんに頼まれて迎えに行った。当時ハルオは400ccのバイクに乗っていておかあさんをシートの後ろに乗せて葉隠荘まで連れ帰った。そのことは後々までもおかあさんの記憶に残っていて時折そのことを懐かしんでハルオに話した。
「小千谷」には焼き飯というメニューがあってとても美味しく量がありハルオはよく好んで食べた。他には、刺身や漬け物、焼き魚等のメニューがあった。時折ハルオが朝仕事に出掛けると葉隠荘の入り口におかあさんからハルオに宛てたメモがありお店で残ったメニューの焼き飯やおにぎり、惣菜、を詰めてハルオに弁当を持たせてくれた。おかあさんは"お母さん"だった。ハルオは、バイクで交通事故に遭い肩甲骨と鎖骨を折って入院したことがあった。その際にはハルオの母も看病にやって来たのでハルオの母とおかあさんは顔を合わせている。その後年賀状のやり取りも続く。
ハルオが葉隠荘に住んで約3年後葉隠荘が取り壊しになる話が進められていた。丁度ハルオはカメラマン修行も終えた頃で立退料を大家の代理から30万円貰って早々に羽根木公園の近くのアパートに引っ越しをした。その後も暫く葉隠荘も「小千谷」もそのまま健在だったが遂に取り壊しをする時がやって来た。おかあさんが75歳前後のことだろうと思う。ハルオは、葉隠荘が取り壊される日、ドキュメント写真を撮った。その後まだ元気だったおかあさんは世田谷区上町駅近くの商店街に「小千谷パート2」を開店させた。ハルオは、定期的におかあさんに会いに行った。さてその店が何年続いたか?2〜3年?ハルオには記憶にない。下北沢という好条件にあった時に比べ上町ではお客さんが少なくなっていた。それでもおかあさんはお店を続けたかったんだと思う。
おかあさんは、水泳を好んで良くプールに出掛けていた。『ハルオ君、今度私が泳いでいるところを撮って』とおかあさんに言われたことがあったが実現には至らなかった。『小千谷パート2��が終りかけた頃、おかあさんは、自分史を書いた。その文章を常連のお客さんたちが小冊子に纏めた。その中にハルオについての話を書いてくれた。
2006年、ハルオは、写真展「十人十ゑろ」を開催した。しばらくおかあさんとは会っていなかったがおかあさんに写真展の話をすると行きたいと言ってくれた。しかしおかあさんは足が悪くなっていて自力では来れない。ハルオは、タクシーをチャーターしておかあさんの送迎をした。「十人十ゑろ」は10人の女性の素肌(殆どがヌード)をキャンピングテントの中で撮影した作品だった。その後おかあさんとのやり取りは年賀状や時折の電話で続いて行った。
2008年、ハルオは25年間住み慣れた東京から静岡に引っ越しをした。この年の前後(記憶が乏しい)におかあさんに会いに行った。場所は下北沢から近い世田谷区の淡島通り付近の喫茶店。おかあさんの住まいは一戸建だったがとても小さく人を迎い入れるには難があった。おかあさんの足は更に悪くなっていた。その時は、ハルオはおかあさんがキューピッドをして付き合うことになった女の子Aと行った。Aとのお付き合いは半年も続かなかった。しかし元々Aはカメラマンになりたかった女の子でハルオに触発されてか付き合っている頃から写真学校の夜間部に通い晴れてカメラマンになっていた。ハルオとAは、友達として連絡を取り合っていたのでいい機会と一緒におかあさんに会いに行ったのだった。ハルオは、写真を撮って後でおかあさんにその写真を額に入れて贈った。おかあさんはその後世田谷の住まいをそのままにして小千谷に近い新潟県長岡市に身を寄せた。始めはおかあさんだけでその後旦那さんも。
2011年、おかあさんからハルオに手紙が届いた。その日は偶然にもハルオの誕生日だった。手紙が入った封筒には、現金2万円と写真も入っていた。その時何故現金が入っていたのか分らずハルオは、誕生日プレゼントだと勝手に思った。(しかしそれは後で気付いたが新潟までの往復の交通費だった。)そして写真だがそれが驚いたことにおかあさんのヌード写真だった。おかあさんが50〜60歳位の頃の温泉の露天風呂に入っている写真で下半身はタオルで隠れていて上半身は裸で乳首は見えそうで見えてはいなかった。手紙に『ハルオ君の個展か何かに出せるんじゃないかと勝手に考えました。自分のうぬぼれかも知れないけどそんな風に役立てて下さい。お願いします』とあった。随分大胆だなとハルオは驚いた。ハルオは、この時以前プールの写真を撮ってとリクエストされたことを思い出した。
手紙を貰った後中々新潟までおかあさんに会いには行けなかった。 ハルオは、それがはがくゆく気になっていたのでおかあさんに会いに行く決意をする。 おかあさんに貰った交通費2万円を使い時がやって来たのだ。
2013年春、 その旨をおかあさんに伝えようと身を寄せていた新潟県長岡市のお宅に電話すると旦那さんが危ないからまたの機会にして欲しいと言われ延期した。おかあさんには2人のお子さんがいて長女さんは大阪に住んでいて息子さんはすでに亡くなっていた。その息子さんの奥さんがおかあさんと旦那さんの世話をしていたのだ。間もなく旦那さんは亡くなられた。そして10月の始め、おかあさんに会いに静岡から車で出掛けた。久しぶりに会ったおかあさんは、すでにガンに侵されていた。部屋の中で2時間ほど話した。写真も撮った。しかしおかあさんの笑顔は撮れなかった。おかあさんは、長年の伴侶だった旦那さんが亡くなり生きることよりも死ぬことを願っている様に見えた。ハルオは、おかあさんと別れた後おかあさんの勧めで小千谷にも寄って来た。おかあさんの実家は小千谷駅近くにあった。甥っ子さんが寿司屋を経営し、その同じ通りにおかあさんの幼馴染みが住む金物屋があって両方訪ねた。幼馴染みの方はご健在で写真も撮ることが出来た。
『おかあさん、これから手紙を定期的に送っていい?』そうハルオはおかあさんに尋ねると承知してくれたのでその後迷惑にならない様に気を使いながら手紙(葉書)を送った。しかしおかあさんはそれから3ヶ月後に帰らぬ人になってしまった。
おかあさんのご冥福を心からお祈り致します。 長い間本当にありがとうございました。 安らかにお眠り下さいね。
2014年2月21日(金)    ハルオ
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benibame · 4 months
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2023年お気に入り映像作品5選
2023年に投稿された映像作品から、特にお気に入りな5作品を紹介します。どれも素晴らしい作品なので順位はつけていません。勉強用としてのまとめも兼ねて。
過去の5選はこちら
【2018年お気に入り映像作品5選】
【2019年お気に入り映像作品5選】
【2020年お気に入り映像作品5選】
【2021年お気に入り映像作品5選】
【2022年お気に入り映像作品5選】
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①ウルトラトレーラー/重音テトSV
圧倒的な勢いとスピード感。そして息をつかせぬ超展開の中にもネタを挟むことで小気味いいリズムを作り出し、最初から最後まで目が離せない展開にただただ圧倒されます。熱血でまっすぐな歌詞に対して映像はコメディタッチであり、そのギャップによって物語により深い余韻が生まれ、笑いと感動のラストに持っていくパワフルな展開に目が離せません。また、逆三角形や渦巻き模様、髪と同じ赤色などのモチーフをさりげなく散りばめられていることで脱線しすぎないパロディを読み取ることができる点も見事です。ラスト1分の暑さみなぎる疾走感はこの作風でなければ味わえないほどの爽快さがあります。
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②Disengaging
BMS作品はどこまでも自由だということは以前にも言及したことではありますが、まさにそれを体現するかのような作品が再び現れてくれました。商業的に大衆受けする作風を差し置いてでも自分の良いと思ったものを作る。その執念が滲み出る一作。開始10秒で見る人を選別するかのような圧倒的ノイズミュージックと激しい映像は、ついてこられる人だけ見てくれと言わんばかりの情報量です。その後も理解できそうで出来ない不安定な展開と構図を畳みかけ、こちらに考える隙すら与えない強気な作風に思わずため息がもれます。己の好きな表現を突き詰めた先に垣間見える美しさがまさに秘められているように感じます。
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③JR東海「会いにいこう」
相変わらず自分はこういった作風に弱いのですが、今回は王道中の王道にきたな、というのが最初の感想でした。コロナによる制限が緩和されつつあった2023年において非日常になってしまった「移動する」という行動を、「誰かに会いに行く」という行動の最も強い理由に訴えてテーマを設定し作品にしたことは非常にうまいと言わざるを得ません。一人称視点ではあるものの主人公は不特定多数であり、どんな人にも当てはまる理由を提示することで没入感を深めていく。映像としてもマーケティングとしても非常に計算された作品であるように思います。新幹線に乗ることというより、乗った結果に焦点を当てたこと。つまりそのもの自体ではなくその結果に訴えることは、演出としてもCMとしても今後の映像制作にもヒントになるんじゃないかと思います。
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④フォニイ / 25時、ナイトコードで。 × MEIKO
普段は音MADばかり見てるので、フォニィの映像でこんな洒落たものが登場するなんて想像もしていなくびっくりしました(失礼)
嘘という主題から、対比・鏡の構図をうまく利用して魅せる演出にしている点が非常に巧みだと言わざるを得ません。色彩も紫を基調とした暗い絵作りとロングシャドウの組み合わせが不穏な空気感を生み出しています。また人物の立ち絵周辺に出ている黒色のフチ表現が個人的に気になりました。まるで低解像度の画像を無理やり拡大したような、雑に人物を切り抜いたようなバリに近いフチを出すことで不安定感を見る人に与え、また縁取りもしっかりしているので人��を鮮明に表現できます。あまり見たことのない手法だったのでとても斬新に感じました。
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⑤group_inou / HAPPENING
年末には怪物が来るというのはよく知られているところですが、まさかgroup_inouがAC部を引っさげて登場してくるとは夢にも思いませんでした。本作品はいわゆる縦動画でありスマートフォンで見るとその真価がよく分かります。縦読みの漫画風展開ではありますが、AC部の作品にコマの意味はないというか、コマを超越した動きで魅せる強さがあります。繰り返しを多用したコミカルな動きで視聴者の視線を常に次へ次へと飽きさせず移動させる手法は、そのことを意識させずに見やすい展開を作っていて流石と言うしかありません。破天荒な作風の中にも計算された演出が見てとれます。
他にも選外としましたが
・CoMETIK『無自覚アプリオリ』feat.KEIGO INOUE
・ハイド・アンド・シーク Official Music Video
・ビー玉 / HACHI 【Official MV】
など素晴らしい作品が数多くあり今年も選ぶのにとても悩みました。MV系は好きなのですが、モーショングラフィックス以外にも実写や他の表現方法など別分野での作品も今後たくさん見て勉強していきたいところです。
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屋敷探索表
ロールorチョイスです。 ダイスを振る場合は、ロケーションを[[1d8]]で、詳細を[[1d6]]で決定できます。
表に描かれていることはフレーバーなので、一部のみ採用や、従わないことも可能です。 RP補助として便利にお使いください。
1)屋敷の中
1:福助人形がお茶を出してくれる。まさかこの人形、元は……? 一瞬ひやりとしたが、【任意の方法】で調べた結果、ちゃんと人形だ。ほっ。 2:芸者人形が丁重に布団を引いて部屋を整えてくれる。まさかこの人形、元は……? 一瞬ひやりとしたが、【任意の方法】で調べた結果、ちゃんと人形だ。ほっ。 3:玩具が沢山入った無地のつづらを見つけた。核らしきものは無いが、どれも状態が良い。大切にされてきたのだろう。 4:万が一の事態がある。【任意の帰還方法】はあるが、屋敷内で現世との境界が薄い場所は無いか探っておこう。 5:厨房では包丁を動かし竈へ竹を吹いて、人形たちが忙しく食事の準備をしている。……えっ? 自分が味見を? 6:厨房の裏口から道が続いている。万一のための脱出路として、頭に入れておく。
2)石畳の道
1:道に沿うよう、真っ赤なヒガンバナが咲いている。 2:外に出れば空がよく見える。満月も星も、いくら時間が経っても定位置から動かない。……そういえば、つづらの蓋の裏にも満月と星が描かれていた。ここは本当にあのつづらの中なのだろう。 3:屋敷の内外を隔てる竹垣の向こうへ目を凝らす。夜闇の向こうに見えるものはない。 4:気配を感じて振り向く!! なんだ、ススキが揺れているだけか……しかし前を向くと、やはり後ろで気配が……? 5:道沿いの東屋を覗いてみると、露天風呂が見えた。この屋敷の作りだけを見ると、本当に高級旅館に来たかのような錯覚を覚える。 6:屋敷の縁側が見える。屋敷の中からは気付かなかった。どこから入るんだろう……?
3)茶室
1:日本家屋特有の急な階段だ。一歩ずつ、確実に登っていく。ギシ……ギシ……といった音が恐怖をかき立てる。 2:二階部分から大きな池が見える。明るい時に見ればさぞ壮観な景色だったに違いない。 3:侘び寂びを感じさせる茶室だ。お湯が沸いている。まるで我々をもてなす準備が出来ているとでも言うように。 4:カタカタカタ……茶運び人形が抹茶と茶菓子を運んできた。主人からの”おもてなし”は、受けねばなるまい。 5:裏口から屋敷の厨房に通ずる道がある。なるほど、ここからお茶菓子を運ぶ作りになっているのだな。しかし今はもう少し茶室を探索しよう。 6:床の間だ。陶器の一輪挿しにススキとヒガンバナが活けられている。石畳の道で見かけたものと同じようだ。
4)庭園
1:大きな池に近づいても、水音のひとつもしない。覗き込んでみても、生き物の姿はないようだ。 2:目の前を、不意に真っ赤な色が横切る。……地面に落ちたものを確かめれば、何のことはない。色づいた紅葉だ。 3:池を横切る橋の上から屋敷を眺めれば、その大きさが改めてよくわかる。この中から、怪異の核を探し出さなくては……ゲームが終わる前に見つかるか、定かではないが。 4:庭園に造られた道を歩いていくと、道々の石灯篭にひとりでに灯がともる。……呪力は感じるが、核ではないようだ。 5:――カコンッ! 硬い音にはっと振り向く。なんだ、ししおどしか……。 6:池の向こう側に、簡素な作りの茶室が見えた。風景を邪魔しない大きさになっている。計算された侘び寂びだ。
5)調査
1:もてなし人形は呪力を帯びているが、核は感じられない。これらはただの人形のようだ。 2:異界内に入ってから、核と思しき大きな呪力の反応は常にある。しかし、いまいち場所が掴めない。 3:現世との通信は断たれている。きっちりと蓋の閉められた、箱の中のように。 4:空を見上げる。蒼褪めた不動の月が、不気味だ。 5:生きたものの気配がしない。それなのに時折視線を感じるのはもてなし人形か、それとも……。 6:一夜明けて屋敷を確認してみるが、変わりはない。ひとまず、間取りが変わることはなさそうだ。
6)露天風呂
1:掃除をしている人形たちに「申し訳ございません、もう少しでお湯の準備が出来ますので……」と追い出されてしまった。 2:露天風呂の横に釜がある。どうやらここでお湯を沸かしているようだ。煤まみれで一心不乱に薪を投入する人形がいる。邪魔するのも悪いかな…… 3:見事な岩肌、そして満月を眺めるのに丁度良い角度の温泉だ。満月が動かないからこそのベストポジション。 4:脱衣所がある。何の変哲もない脱衣所だ。体重計と扇風機が置かれている。 5:薪棚に大量の薪が積まれている。この閉ざされた世界のどこから持ってきたのだろう。 6:準備をしていた人形に話を聞く。「事前にご注文頂ければ牛乳やお酒もお持ちできますよ」そういう情報が欲しかった訳ではないのだけれど、とりあえずお礼は言っておこう。
7)屋敷の中Ⅱ
1:福助人形がお茶を運んでいる。この光景も、何だか見慣れてきたな……刺激しないように会釈をしてすれ違う。 2:芸者人形が丁重に布団を引いて部屋を整えてくれる。通じているかどうかは分からないが、お礼を言う。お疲れ様です。 3:玩具が沢山入った無地のつづらを見つけた。……こっそりと、【任意の罠】を仕掛けてみようか。これだけあるのだ、気づかれまい。 4:一度調べたはずの通路……のはずが、新しい部屋を見つける。遊戯場のようだ。ビリヤード台が置かれている。ハイカラというか違和感というかは微妙なところ。 5:厨房の人形たちに味見をお願いされる。一口頂いて、無難な感想を述べる。厨房を離れたあとでヨモツヘグイ対策のお団子を食べることを忘れずに。 6:厨房の裏口から道が続いている。なるほど、これが茶室に続いているんだな。
8)石畳の道Ⅱ
1:道に沿うよう、真っ赤なヒガンバナが咲いている。数日前に蕾だった花は、今も咲いていない。日数が経っているはずなのに。 2:外に出れば空がよく見える。満月も星も、いくら時間が経っても定位置から動かない。空を見上げて、現世のことを思い浮かべる。あちらではどれだけの時間が過ぎただろうか。 3:屋敷の内外を隔てる竹垣の外に、小さな石を投げてみる。不思議な力でカツリと跳ね返った。やはり脱出は無理なのだろうか。 4:気配を感じる。どうせまたススキでしょ? ……と油断を見せておいて急に背後を振り向く!! ススキでした。 5:露店風呂がある。これに入って月を見上げるのも風流というものなのかもしれない。全く動く気配のない月を風流と呼ぶかはさておき。 6:屋敷の縁側が見える。探索の途中だけど、少し休んでいこうかな、と思ったが、あまりにも今の状況に慣れ過ぎている自分に気付く。
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shukiiflog · 6 months
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ある画家の手記if.80 雪村絢/名廊直人視点 告白
俺は 俺の意思だけで生きてこれたわけじゃなかった たくさんの人の支えがあった その中に この人への憎悪と関心 見つかったことの恐怖や 見つけてもらえたことへの戸惑いや あの人へ演じ続けた本物と 演じた偽物の自分 ほとんど会ってもないのに加害であって被害でもある傷つけあった関係  そういう、すべてが あった
電車でしばらく行ったらすぐに最寄駅に着けた。 探さないでもすぐ分かった。ここからぱっと見て徒歩五分圏内に、30階もある高さのマンションは一つしかなかったから。 それなりの高級住宅街ではあるのかな。階数はなくても周りも綺麗なマンションとかアパートが多い。手入れされてない荒れた公園とか、無秩序にゴミや廃棄物の積まれたエリアとかは、行き着くまでに見かけなかった。 近づくほどに思う。このマンション…本当に直にぃが選んだのか? あの人のことよく知らないけど、小学生の俺が会った時の直にぃの格好は、よれたシャツに履き古して色の落ちたデニム、髪はぼさぼさでいい加減に後ろでひとつに縛ってた、それもなんか輪ゴムとかだったような。ちょっと本家に寄るだけにしてもあまりに浮きすぎてて印象に残ってる。 実際すごい顰蹙かってたけど、直にぃはまるで気にしてなかった。俺と話してる短い時間の途中で皮肉をかけていった親戚もいたけど、気にしてないどころか直にぃには言ってることの意味がわからないみたいだった。 俺の中の直にぃの心象は、そのときの本人の様子とそこから俺が類推できることで形作られてる。その心象からこのマンションにはたどり着かないけどーーー実際がどうかは、これから会えばわかる。
絢が無事だった。 誠人くんの話しぶりでは絢がもう死んだみたいだった。つい最近まで香澄と会って、元気に仲良くしてるみたいだったのに… そう思ってた頃に、沈んでたのが態度に出ちゃってたのか、香澄が知ってることを話してくれた。僕に話すとこうやって態度に出ちゃうから黙ってたんだって。香澄が絢の安全を優先してくれてて嬉しかったから香澄を褒めてお礼を言った。 僕は血縁者ーーーいとこか、ではあるし、理人さんを介しての関係なら…あったけど、絢本人と個人的な繋がりはーーーない。 …でも、ずっと忘れてたことだけど、香澄から初めて絢の名前が出てきた日に、思い出したこともあった。 そういういろんなことを、絢とちゃんと話したい、例えば僕が嫌われてて、たった一度でもう二度と会えないことになったとしても。そう思って、電話をした。 午前の日が眩しい。香澄は今は起きてて、リビングのソファにいる。 ここ最近、香澄は僕の部屋の本棚から『星の王子さま』の古い本を出してきて読んでた。今はその本を開いたページで胸に乗せてソファでうとうとしてる。絢が引用したって言ってたっけ。 …香澄もきっと、絢に会いたい。 まだ自傷がおさまらなくて僕の腕には引っかき傷が残ったままだけど、僕は怪我が治るのも早いからひどく傷んだりはしてない。 それで僕は今はお昼ご飯を作ってる。
1705室のインターホンを押した。 香澄の声で応答がきたから「絢です」って言ったらろくに本人確認の質疑応答もないまま解錠された。見つかりそうになって誰かから逃げてきたとか思われちゃったかな。特にマスクとか帽子とかは何もつけてないから、香澄ならモニターで顔見れば俺だってわかるか。 エレベーターに乗って17階まで上がる。聞いたところによると直にぃは画家だった頃に相当な数の自殺未遂を繰り返してるんだとか。経歴うまく伏せるかごまかしてマンション買ったな。じゃないと17階なんて、不動産屋やオーナーやかかってるなら病院の審査に通るわけない。ここ高そうな物件だしいくら財産持ってても厳しいはずだ。…遠くからマンションの外観を見たときと同じブレがある。直にぃがうまく自分の経歴をごまかす? 誰か別の人の名義で買ってでもいるのか…部屋を譲られたとか…なにか、直にぃに変化があった、画家をやめたのとここを買ったのは同時期かもしれない。…でも昨日話した直にぃは昔の心象からそれほどズレてない。まぁ…ひとが綺麗にまっすぐな一本道で今日につながってるわけないから、怪しむほどでも、ないのか…どうか
扉を開けたところ��香澄が待ってて、エレベーターから降りてきた俺を部屋の前で一度ぎゅっと抱きしめた。 体を離して、香澄が先に口を開いた。 「勝手に直人に話して…ごめんなさい…」 しょんぼりした香澄の頭を撫でて「いいよ」って笑う。 「…なんて呼んだらいい?」 「今の名前は雪村絢だよ。香澄の好きに呼んで」 絢の一文字が残ったら嬉しいって言ったら絢の一文字だけでとくに何もくっつけられずに他全部ぶっとばされた。真澄さんらしいな…。 「絢…」 香澄が感慨深そうに俺の名前を口にした。 「なに?」 優しく笑って返事したら香澄は眉を下げてにこにこした。つられて俺もにこにこする。 香澄の体に腕を回してぎゅっと抱きついたら香澄もまた抱き返してきた。香澄の肩に頭を乗せて、頭を傾けて頰を肩にくっつける。…あったかい
香澄が部屋の前でドアを開けて待つって言うから、僕は突然のことに急いで畳んだまま置いてた洗濯物とかを寝室に運び込んだりしてた。 絢がきた、って、昨日「近いうちに」なんて言ってただけだったのに、何も準備してない、せっかく会えるなら、受け取ってくれるかはわからないけど絢にもなにかプレゼント準備したかったな… 廊下で話してたのか、少ししてから香澄と一緒に部屋に一人の青年が入ってきた くすんだ金髪の、香澄と同じくらいの背で、 「ーーーーーーー………」 靴も脱がずに玄関から廊下にいる僕をじっと見つめる、大きな両目はどこか少し心細そうで、繊細な印象をしてた 「…………絢…」 「直にぃ。久しぶり。…ほとんど初めましてに近いけど」 そう言って柔らかく笑って、靴を脱いで香澄と一緒に部屋に上がってきた 「…………絢。…こっちにきて」 僕は絢に歩み寄って、その背に腕を回してダイニングの方のテーブルの前に誘導した。 適当にそこらのいらない紙をとってテーブルに置いて、近くにあったペンを一本、絢に差し出す。 「絢。ここにこう書いてくれる?ーー………、」 絢はしばらく無言でじっと白紙を見つめてたけど、おもむろにペンをとった 淀みなくすらすらとした筆致に筆跡を偽るような気配は感じられなかった 一目見て確信することができた 「やっぱり、あれは絢だったんだね」
“名廊雅人”
ほとんど癖のない綺麗な楷書だけど毎回同じだれかの筆跡だってことだけは分かった 視たものをまだちゃんと覚えてる 僕に兄さんの名前を名乗っていくことの意味を深く考えたことなんてなかったし、今も僕にはわからない 昔は なにもかもそのままで終わっていって過ぎ去っていってた  意味なんてものは問わなかった  なにに対しても 僕にはそのことに痛みも悲しみも なにもなかった でも僕はいま聞いてみようと思う、僕にはわからないことを、相手を大切にするために、心から知りたいと思うから 「どうして僕に…この名前を名乗ったの?」
久しぶりに会った直にぃは、少し身なりがこざっぱりしたくらいで、ほとんどなにも変わってないみたいだった これまでの話より何より真っ先にさせられることが これだなんて思ってなかった ほんとうのことなんて 言えるわけない でも隣で背に優しく手をあてて微笑んだまま俺をまっすぐ見つめて捉えて離さない瞳が、いま、この場で、このことについてだけは、俺にいっさいの嘘を許さなかった 言ったことをなんでもそのままにすべて信じる、滑稽なほど正直で素直な、非武装の姿をそのまま惜しげなく晒す  昔となにも変わってない  危うい生き方だ  危険な視線だ  その無防備さが対峙した相手にも武装を解くように訴えてくる なぜか、ただ愚直だと笑い飛ばせる類のものじゃなかった この人はこれで40年以上生きてきた いつも真剣で  自分の愚直さに気づけないほどにいつも一生懸命だ 他のことならいくらでも嘘もつくし事実も捻じ曲げよう、この人にできないのなら俺がやろう、そう思って その当人から、こんなことを問われてる 俺のことを深く知らないにしたってそんなことと関係なくあんまりにも心ってものに無神経すぎるよ それでも俺は このことについては 嘘をつけない さっきまでの快活な口調でいられなくなって 俯いて 喉が詰まる  小さな声しか出なかった 「…雅人さんの遺体の第一発見者が、直にぃだって本家で聞いたんだ。それで …苦しめばいいと思った。作品のむこうにいる俺にまで…まっすぐな目を向けてくるから 悪意もなく  無自覚に  暴きたててくる視線が怖かった それが  ずっと  つらかった…」
絢の言ってることは、僕にはわかるようでわからない 作品ーーーあの、感想文か、『星の王子さま』の 僕は作品から作者を見ることはほとんどない  特にあの頃はそうだったと思う でも絢の表現は絵ではなかった 文章は一目瞭然じゃないから、僕は絢の書いたものを視たんじゃなくて「読んだ」 その頃の僕は今よりもっと文章や特に物語を読むのが苦手で、文章は知識を頭に入れていくだけのもので、感想も解釈も僕の中には生まれなかった 絢の書いた意訳と感想文を眩しく思ったのを覚えてる でもそれだけではなかった 文章の向こうに 痛切に姿を隠そうとする誰かが視えた 僕は視えたものが偶然ひとだったから、あのとき声をかけた 絢に 思ったことを言った でもーーーあの頃の僕は  どうやってひととモノを分けて  視ていたっけ すべては描けるかどうかで、描けるならそれは  それそのもの以外の何でもなかった  それだけのものだったはずだ ーーー昔の感覚が 覚えていられなかったはずの過去の記憶に引き寄せられる 絢は僕に 苦しめられていた そんなことは知ってた  でも、理人兄さんのことを抜きにしても、…そうか、関係して  続いてたんだ  絢の中では 僕に見つかって怖かった…  僕は言ってはいけないことを言っていた? 「………」 少し俯いて首を傾けた絢の大きな目に睫毛に支えられるみたいにして涙がいっぱい溜まってる  …ああ なんて美しい かけがえのないものだろう 簡単に謝ろうとした言葉をのみこんで 絢の背にあてた手を肩に回して引き寄せて、絢の頭にこつんと僕も頭をあてて 目を閉じる 肩に回した手をそっと頭にあてて金髪を撫でる 絵も文章もない触覚だけの くらい世界 それでもたしかに 絢はここにいる 
あのとき直にぃに見つかった俺は、ただ怯えて戸惑って感情のやり場を失った でもあのことがなかったら、俺は理人さんを亡くした くらい部屋の中から歩みだして、何かを最後にしておこうなんて 思っただろうか なんとなくのその延長線上でフランス文学やフランス語、翻訳や意訳を続けたことが、今の俺が生活していく支えになろうとしてる 意訳は俺にできるギリギリの自己表現だったんだろう 直に���みたいに絵なんて直接的なものはあらわせなかったし、隠れ蓑がないと怖かった だから訳をしてた 原著を書いたのは俺じゃないから でもどうしても意訳をしたくなる癖が抜けなかったのはーーー寂しかったんだ 誰かに見つけてほしかった 見つかりたくないのと 同じくらいに 目に溜まっていた涙がとうとうボロっと溢れてテーブルに落ちた 背中から回ってた直にぃの大きな手が俺の頭を体ごと引き寄せて、俺の顔を自分の肩口にそっと押し付けさせた 直にぃのシャツに涙が吸われて沁みていく 俺は確かにこの人にも生かされてた 幸せを願ってたよ 憎んでたのと同じくらいに その憎しみを、ようやく手放す時がきたのかもしれない そんなものに縋らなくても、俺にはもうしたいことや守りたいものがあって、生きていけるようになったから
今日まで生きてこれたことを心から喜べると思う  それだけではないけど それでも ここに至るまでにどんな思惑があったんだとしても、言葉にして伝えたいことは…
「「生きててくれて  ありがとう」」
二人、ほとんど同じタイミングで発した同じ言葉が重なった しばらく顔を見合わせてお互いにぽかんとしたけど 二人して思わず吹き出して笑ってしまった
直にぃから離れてぼんやり部屋の中を見渡す俺の後ろに静かに香澄がきて、俺の手を握った 握られた手を握りかえす テーブルの上に一冊の本が置きっぱなしになってた 俺が香澄に暗誦したのを覚えててくれたのかな
香澄の体に軽く背中を預けて、香澄の首筋や両腕や爪の傷口を刺激しないようにしながら、香澄の両腕をひいて後ろから俺の体を包むみたいに前で絡ませた 香澄の額に俺の額をそっと合わせて静かに目を閉じる 明るい室内にむけて 優しく囁くように物語の終幕を暗誦した
「Si alors un enfant vient à vous, s’il rit, s’il a des cheveux d’or, s’il ne répond pas quand on l’interroge, vous devinerez bien qui il est. Alors soyez gentils. Ne me laissez pas tellement triste : écrivez-moivita qu’il est revenu……..」
”もしその時、一人の子どもがあなたたちのところへ来て、笑ったり、金髪をしていたり、質問に答えなかったりしたら、彼がだれであるかあなたには分かるはず。 その時が来たら、親切にしてほしい。僕をこんなに悲しんでいるままにしておかないで。 すぐに、僕に教えて、便りをください、「王子さまが帰ってきたよ」と………”
ーーーーーーーーーアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ著 『星の王子さま』より
香澄視点 続き
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satoshiimamura · 8 months
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第2話「地(とし)上」
 目覚めた先に見えたのは、暗闇に染まった無機質な天井だった。左右に視線を動かし、シンプルな照明器具があるのを見つけて、ここが自室でないと思う。その直後に、自室を最後どころか、地下都市クーニャを出たのだと思い出した ゆらぎは、がばりと慌てて起き上がる。
 身体の軽さで、クーニャを出るときに着ていた上着が脱がされていることを知る。そろりと、暗闇の中で少し手を伸ばした先に、上着は丁寧に畳まれて置かれていた。
 掴んだ上着を身につけつつも、暗闇に慣れた視界は、現在地を把握するのにそう時間は掛からなかった。と言うよりも、随分とシンプルで物がない部屋だったのだ。
 窓に引かれた濃い色のカーテン、彼が寝ているベッドも似たような色合いだ。部屋の片隅に積まれたのは、頑丈にそして入念に封をされた無機質な箱がいくつか。それだけがあった。それしかなかった。
 ゆらぎはベッドから静かに降りると、窓際へと移動する。夜闇の冷たさを吸い込んだカーテンを掴み、隠された光景を広げた。
「うわっ」
 ガラスのキャンバスに映り込む外の景色に、驚きの声をあげる。
 そこに広がっていたのは、光の洪水であった。
 地下都市クーニャでは見られなかった高層ビル郡。それらの間を通り抜ける幾つもの光が流れる道。ギラギラと輝くのは車か部屋の灯りか。消灯時間になれば真っ暗になっていたクーニャとは対照的な光景に、ゆらぎは一歩後に引く。
 その時、来客を告げる音がした。ついで、慌ただしい様子の足音が、部屋の外ーーおそらく廊下を駆け抜ける。聞き覚えのある声がしたが、その内容まではさすがに聞き取れなかった。
 ゆっくりと、そしてこっそりと部屋の扉をゆらぎは開ける。ほとんど音はせず、来客と家主の会話は止まることなく進められていた。
「新人を列車から連れ去った上で、イカロスに直接乗せるとか馬鹿じゃねーの!」
「うるさい。結果的にペティノスたちを殲滅したから良いだろう。大体お前だって、ノリノリで組んでたじゃないか」
「まさか、移送中のまっさらな新人のことだとは思わないじゃねえか。直接搭乗は禁止されてる。それを、兎成姉妹のイカロスにわからないよう小細工までしてやったことにオレは怒ってんだよ」
「だが、あれをしなければまず間違いなくペティノスを削りきれずに、犠���者はもっと出た。左近だって、まっさらな何も知らない新人を尊い犠牲とやらにはしたくなかっただろ?」
「それはッ」
 そこで来客者は押し黙る。わなわなと握る手を震わせてはいたが、それでも怒りを相手にぶつけることはしなかった。
 ゆらぎは、そこまで聞いてようやく来客者の男が、あの黒のイカロスから聞こえてきた声の主だと気付く。そして、家主と思われる人物が、ゆらぎをイカロスで連れ去ったあの痩せた男だとも。両者ともがどこか似たような声質で、髪型や目の色などは違うが、それでも面影が重なる不思議な感覚に支配された時、第三者が現れた。
「はいはーい、右近も左近も夜中に大声で怒鳴りあうんじゃないの。あんまりにもうるさいと、獅子夜くんが目覚めるよ?」
 先程まで言い合っていた二人とは違う、落ち着いた声。けれど、茶目っ気も含まれた言い方に、右近と左近の二人はムッとした表情を浮かべる。
 二人の間に、文字通り床から浮き上がるようにして登場したのは、イカロスの中で現れたエイト・エイトと呼ばれる人物だった。その身体は透けており、彼がAIで、現れたのがホログラムだと分かる。
 左近と呼ばれた来客は、少し落ち着きを取り戻したようだが、それでも言いたいことはまだまだあったようだ。
「だいたい、エイト・エイトも右近の無茶振りに応えるなよ。めろり教官だってカンカンに怒ってたし、ユタカ司令官も」
「あー、はいはい。うん、左近の怒りが治らないのはよーく分かった。オレちゃんだって、まずいなぁって自覚はあったさ」
「だったら、なおさらやるなよ」
 テヘッとふざけたポーズをするエイト・エイトに、遂に毒気が抜けたのか。項垂れる左近に対し、エイト・エイトや右近は大して反省している素振りもなく、また慰めることすらしなかった。
 がくりと膝をついていた左近は、そこでようやくゆらぎの存在に気づく。お、と顔を明るくさせた彼の様子に、右近もまた後輩が目覚めたのを知ったらしい。エイト・エイトだけは、肩をすくめた後に、パチンとウィンクをして、その場から消えた。
「よー、起きたんだな」
 馴れ馴れしく近づいてくる左近に、彼がこれまで接したことのないタイプだったゆらぎは身体を固まらせる。
 白い髪と桜色の目。けれど面立ちは右近とよく似ているし、痩せ型であるところも同様だ。色だけが違うだけで、あとは殆ど一緒であることに違和感がある。人間のクローンは違法であるが、ペティノスの一件を黙っていたこれまでのことがあるからか、ゆらぎはその説を捨てきれないでいた。
「獅子夜ゆらぎ、だっけ? お前すげーな、ダイブ直後だったんだろ? それであそこまで乱戦に対応できるなんて、本当天才だな。なぁなぁ、オペレート中の景色どこまで見えたんだ?」
 ゆらぎの肩を組���、矢継ぎ早に繰り出される左近からの質問。それらに答えるだけの度胸もなく、ゆらぎは視線をきょときょとと不自然なほどに、あちらこちらに向けた。
 その様子が、あまりにも哀れに思われたのか。右近から助けが入る。
「左近、獅子夜くんが怯えている。一旦、離れろ」
「えー、親睦だよ、親睦。右近だけでなく、オレとも仲良くなろうよ、獅子夜くーん」
「だから、獅子夜くんは、まだ俺たちのことを知らないんだ。お前だけでなくて、俺のことも、この場所のことも」
 そこまで言われて、左近の動きがピタリと止まった。
「え? マジ?」
「大マジ」
 確かめるように、か細い声で左近が問いかければ、重々しく右近は頷く。その答えに、左近はゆっくりとゆらぎの肩から手を引いた。
「……自己紹介も、もしかしてまだ?」
 とんでもない相手をみる、怯えるような左近からの問いかけに、ゆらぎは無言で頷く。その様子で現状を客観的に見た左近は、右近に近づくと、彼の頭を叩いた。
「この大馬鹿野郎が! 完っ全に誘拐犯じゃねーか!」
 そのまま右近の頭を床に押し付けようとする。が、右近は右近でそれに抵抗しているようだ。十数秒の攻防だったが、右近が左近の脛を蹴り飛ばしたことで決着がついた。
 床にうずくまる左近を放っておいて、右近がゆらぎに近づく。そして、ゆっくりとした丁寧な口調で自己紹介を始めた。
「今更ではありますが、自己紹介を。俺は神楽右近(からき うこん)。君を連れ去った張本人であり、あの青のイカロス、つまりナンバーズ五番のパイロットです」
 そこまで一息に告げて、右近はぎこちなく握手を求めてくる。ゆらぎもまた、ぎこちなく握手を返した。互いにその手は冷たい。
 続けて右近は説明する。
「ここは、俺が住んでいる家で、獅子夜くんがいたのは……君用の部屋のつもりです。本当は新入生は寮に入る規則なのですが、ここはナンバーズ用の宿舎なので、多少融通は効くと思って、連れてきました」
 それと、と続く言葉にゆらぎは首を傾げる。
「そこにいる、俺とよく似た男は神楽左近(からき さこん)。察していると思いますが、あの黒のイカロス、つまりナンバーズ六番のパイロットで、俺の双子の兄弟です」
 ゆらぎは双子という言葉を初めて聞いた。
 地下にいる人類は全員、統一マザーコンピューターによって、ガラスによく似た材質の擬似子宮から生まれる。ランダムに選出された卵子と精子が受精し、擬似子宮に着床。その後十ヶ月ほどかけて生まれ落ちた胎児は、血縁関係にない、統一マザーに選出された二人組の親の元で一定期間育てられるのだ。
 ごく稀に、何らかの事情で兄弟姉妹の関係になる子供たちがいるらしいとは、ゆらぎもクーニャで聞いているが、双子の兄弟はどういう意味なのかと戸惑う。
「どーも、神楽左近デス。この大馬鹿野郎とは双子デス。双子なのを後悔してマス」
 先程まで床にうずくまっていた左近は、恨めしげな声で、右近の背後をとる。ぎりぎりと首元に腕を回し、大馬鹿野郎の評価に反抗する右近を押さえつけた左近。両者の表情はまるで違っていたが、それでもそっくりに近かった。
「あの……双子ってなんですか? クローンとは違うんですか」
 ゆらぎの質問に、気がついたらまた一戦交えようとしていた二人は、動きを止める。
「あー、そっか。そうだよな、普通は双子なんて見ないだろうしな」
「俺だってここに来るまで、左近の存在を知りませんでしたからね。もしかしたら、双子は別の環境で会わないように設定されているのかもしれません」
「可能性あるよなぁ……たまたまオレたちがここにいるっていう、滅多にないというか、とんでもない偶然があったから、話が広がってここ最近は双子の説明をする必要がなかったんだもんな」
 そこまで互いに確認し合ってから、右近から説明が入る。
「ええっと俺と左近は、全く同一の受精卵から発生してます。とある受精卵が二つに別れたのち、別の人間になっていったのが双子、というわけです。統一マザーへ情報の確認をしましたが、俺と左近は二つに別れた後に、そのまま同じ擬似子宮で成長を続けます。その後、健康状態に不備はなく、無事に生まれ、全く違う親の元で育てられました。説明した通り、同一の受精卵なので同一の遺伝情報を持っていますから、結果瓜二つの人間となるわけです」
「え、でも髪色も目の色も違いますが」
 ゆらぎの疑問に、カラリとした笑顔で左近が答える。
「それは、オレが脱色してカラコン使ってるだけ。元々は右近と同じ色合いだったんだ。オレも右近の存在を知ったのは、この『都市ファロス』に来てからで、お互いあまりにもよく似ているもんでな。周囲が間違えて間違えて、すっげー面倒になったから、じゃあカラーリング変えちまえって。その結果これよ」
「双子といえど、別の人間ですからね。進路適正には性格も含まれますが、まさか双子が揃ってイカロスのパイロットになるとは思わなかったのでしょう」
「さすがに、めろり教官や他のAIは間違えなかったから良かったといえば、良かったけど」
「替え玉試験はできなかったですけどね」
「そこは惜しかった」
 うんうんと腕を組み合って頷く動きがシンクロしていることに、これが双子なのかぁ、とゆらぎは妙な感想を抱く。そして、二人がゆらぎを見つめているのに気づくと、今度は自分の番なのだと悟った。
「えっと、獅子夜ゆらぎです。クーニャのエリア6出身……というか、今回の卒業はエリア6の番なので、ご存知かと思います。兄弟はいなくて、両親と暮らしていました。あとは……その、特には」
 他に何か言うことはあったかと空回りする思考の中、「よろしくな!」と左近が肩を組んでくる。おずおずとゆらぎは「よろしく……お願いします」と二人に改めて挨拶の言葉を告げる。
「ええ、よろしくお願いします」
 ようやく家主であり、正体不明の相棒である右近の表情が和らいだのを見たためか、ゆらぎの体から力が抜ける。
 その瞬間、盛大な腹の虫の音が鳴った。
「……」
「……」
 音の出どころを確認する双子に対し、ゆらぎは顔を真っ赤にさせながらも俯く。
「食事にしましょうか」
「そうだな」
「あの……本当にすみません」
 右近と左近の「気にするな」の言葉が重なった。
 こっちです、という右近の案内で、ゆらぎはリビングへと案内される。彼の一人暮らしというには、テーブルやソファなどは広々と置かれていた。
 ゆらぎは案内されたダイニングテーブルとその椅子に座る。
「エイト・エイト」
 右近の呼びかけにAIが再び姿を表す。今度はエプロンを身につけたホログラムで、完全に主人の用件を把握しているようだった。
「はいはーい、夜食だね。獅子夜くんだけでなくて、右近と左近も食べるかい?」
「ええ」
「お、エイト・エイトの夜食だ。やった、ラッキー」
 じゃあ、少し待っててねー、とキッチンの方へ向かうAIと、その様子になんの疑問も抱かない双子の様子に、ゆらぎは一拍だけツッコミが遅れた。
「え、いや、AIのホログラムって料理できませんよね!?」
「エイト・エイトは起動してから長いもので……ああ言った小芝居をよくするんですよ」
 ゆらぎの言葉に、あっさりと右近は返す。が、そんな理由で彼が納得するわけもなく、苦笑いを浮かべた左近が補足する。
「いや、起動してから長いって理由だけじゃないよ。ほぼ同時期に支給されてるオレのAIに料理頼んでも、温めた料理プレートをテーブルに置かれるだけだぜ。……まぁたぶんだけど、当初この家住んでたオレ含めた連中の世話している内に、ああいう小芝居というか、親みたいな対応し始めたんじゃないかな。料理の好き嫌いが全員極端だったし、いちいち対応するのも面倒な連中だったしな」
 懐かしい風景だと言わんばかりの左近の表情に、ゆらぎは困惑を隠せない。
「左近さんも、この家に住んでたんですか?」
「そう。二、三年前に出てったけどな。それでもエイト・エイトの料理はうまいし、たまに食べに来てるぜ」
「たかりにきているの間違いでは?」
「いいじゃんか。右近がちゃんとメシ食ってるかどうかの、確認も兼ねてるんだし」
 どうも彼の言葉通りならば、この家には複数人の人間が住んでいたようだ。この広さや部屋数も納得できる。しかし、どうみても今は隣にいる右近だけが住んでいる状況。なんとなく違和感がゆらぎを襲ったが、空腹を刺激するいい匂いが立ち込める。
 ぐぅと再びゆらぎの腹が鳴った。
「今もっていくから、獅子夜くん待っててね!」
 軽快な言葉と鼻歌交じりで登場したエイト・エイト。彼の周囲には、物理ハンドで運ばれている三つの器があった。
「空腹限界の獅子夜くん用、ごろごろ野菜のスープです。ブイヤベースは、この間調べた改良型を合成してみたよ」
 どうぞ、とテーブルの上に並べられた器の中身は、ゆらぎがこれまで見たこともない色と形をしたスープだった。香りもまた、見た目以上に食欲をそそる。
「うまそー」
「ああ、そうだな」
 先輩二人がエイト・エイトに一言礼を告げて、スプーンで口にする。その二人の嬉しそうな顔に、ゆらぎはいてもたってもいられずに、スプーンを掴んで食べ始めた。
 一口で止められずに、二口、三口とかき込むように、野菜を運び込む。あつあつのスープに、舌がやけどしかけたりもしたが、それでも水を飲んで冷ますと、また次を食べ始める。
 がつがつと食べるゆらぎを見て、エイト・エイトは満足そうな顔をした。
「いいねー、こんなに勢いよく食べてくれる子がいてくれると、お兄さん嬉しいなぁ。見てておいしいってのがわかるのは、本当にありがたいよね」
 にこにことするAIに対し、何か後ろめたいこともあるのか、双子たちは黙って食べ続ける。それなりに好き嫌いがあった彼らは、それはもう数多くのわがままを、AIに対してぶつけていたのを後輩には悟らせないようにしよう、と無言のまま誓い合った。
「ああ、そうそう。ユタカ司令官から、明日の十時に司令室に来るよう連絡があったよ。獅子夜くんも連れてくるように、だって」
 三人が三人とも食事を終えた頃に、エイト・エイトが右近に告げる。その内容に、家主は嫌な顔を浮かべた。
「もう少し遅い時間にはできないのか?」
「だめだめ、さすがに今回の一件は早めに説明した方がいいよ。獅子夜くんだって、これ以上蚊帳の外に放置すべきじゃないし」
「……」
「右近が恐れるものは、AIのオレでも分かるさ。でも、彼はスバルとは違う。彼をスバルと同一視しないって、前に約束したよな?」
「……ああ」
 すまない、と口に出した右近にエイト・エイトは満足そうに笑った。
 その様子を横から見ていた左近は、からかい混じりに「司令官はめちゃくちゃ怒ってたぞー。あ、でも夢見博士は普段通りで、むしろ直接搭乗の件ですっげぇ興奮してたな」と、ここにくる前の光景を告げてくる。
「憂鬱だがしょうがない。獅子夜くん、明日はファロス機関の本部に……獅子夜くん?」
 これまで何も尋ねてこなかったゆらぎを不審に思った右近は、彼の名を呼ぶ。が、それに対しても返事はない。
「あ、これ寝ちゃってるな」
 隣にいた左近が、うつ伏せになっていたゆらぎの肩を揺らして、その顔を確認したところ、大変健やかな寝顔を晒していた。
「まぁ、空腹も解消しましたし」
「疲れてるだろうしなぁ……部屋まで運ぶの手伝うぞ、右近」
「ああ、助かる」
 今日はオレもこのままこっちに泊まるかなと零す左近は、ふとした疑問を右近にぶつけた。
「どこの部屋だ? もしかしてオレが寝泊まりしてたあの部屋?」
 客間に改造されていたのは知っているが、だがこれでは寝泊まりできないかも、と彼が思った矢先に、右近から静かに答えが返される。
「……スバルの部屋だったところだ」
 その説明に、一拍だけ左近は動きを止めた。
「……そっか。うん、そうだよな。あそこは、もう誰も使わない部屋だもんな」
 むりやり自分を納得させるかのような口調の彼に対し、話はもう終わりだと言わんばかりに双子の兄弟は指示を出す。
「左近は、獅子夜くんの足元を持ってくれ。俺は頭側を運ぶ」
「りょーかい、了解っと」
 三人を見守っていたエイト・エイトは、静かにその場から消えた。
***
 都市ファロスは、中央に街で一番長い塔があることが特徴である。その塔こそが、対ペティノスに特化したファロス機関の本部であり、その塔からイカロスたちが発射される。
 塔の周囲ほど街は発展しており、主要な役所、対ペティノスの防衛学校、さらにはペティノス研究や医療機関も集中していた。
 逆に街の外側へ向かうほど、植物園や食肉の合成工場、あるいは交通網が可視化されており、隠されているが街の防御に関連した施設も多数ある。
 人々は、そういった施設の合間合間に住居を作っていた。
「というのが、大まかな都市ファロスの構造となります。移動は基本徒歩と自動通路。あのチューブみたいなのは……自動車の一種です。あんまり俺は使わないのですが、知り合いのパイロットの中には、あれのマニアも何人かいますね」
 右近からの説明に対し、ゆらぎは「はぁ」と気の抜けた返事しかできなかった。何もかもが地下都市クーニャとは違いすぎて、驚くのも飽きてしまったほどだ。
「で、今からこの塔に登るわけですが、ここはさすがにセキュリティが強固ですので、獅子夜くんは俺から離れないように。ナンバーズ権限で、一緒に司令室まで向かいますから」
「は、はい」
 右近が指差す先にそびえるクリスタルのように輝く塔。下の方へはより広がっていて、細長いラッパを置いたような形だとゆらぎは思った。
 入り口と思われる場所は無人で、誰もいない。エントランスとも言えない場所に右近は立ち止まる。その横にゆらぎが並ぶと、入り口が一瞬にして閉じ、光が途切れる。完全な闇にたじろぐ彼だったが、すぐに二人の前にホログラムが現れた。
「……ペンギン?」
 どういうわけか現れたのは、アデリーペンギンだった。いつだったか祐介がおもしろいと持ってきた映像にあった姿のままだ。
 何故と首を傾げるゆらぎに対し、隣の男に驚いた様子はない。
ーーご用件はなんでしょうか?
 ペンギンから女性の声がした。合成音特有の、ぶつ切りにされた音に、これまでのAIたちとは違い随分と雑な印象を抱く。ペンギンのくちばしすら動いていない。
「ユタカ司令官への面会を予定している、神楽右近だ。同席者として獅子夜ゆらぎもいる」
ーー音声照合実施。声門に相違なし。ユタカ・マーティンのスケジュールを照会、矛盾なし。未承認の人物がいます。この人物が獅子夜ゆらぎですか?
「ああ」
 右近の右人差し指がゆらぎを指した。
ーー獅子夜ゆらぎを登録します。バッジを提示してください。
 指示された通りにゆらぎは卒業バッジを掲げる。その瞬間、何か光の線が複数彼を通り抜けていった。おそらくなんらかの光学センサーが、彼の中身ごと分析したに違いない。
ーー登録を完了しました。それでは、司令室へと案内します。
 ぴょこん、とペンギンが跳ねて背を向けたかと思えば、一瞬にして暗闇が消えた。
「うわっ、すごい……」
 全面がガラス張りの箱のような部屋が、塔の中を上昇していく。何かしら特別な作りなのだろう。都市ファロスが眼下に広がる。
「それなりに機密の多い建物ですから……都市の景観が見られる代わりに、この塔でどれだけの人間とAIが働いているのか一切わからないようになっているんです」
 そんな右近の説明を話半分で聞き流しながら、広がる街と覆う空を眺め続けるゆらぎ。彼の様子に、右近はこれ以上の説明は野暮かと思い口を閉じた。
ーー司令室に到着します。
 先程の女性の声が響く。再度ペンギンが跳ねて、二人の方を見た。バイバイとジャスチャーのために羽をばたつかせたペンギンが、その場から消える。その直後に見えない扉が横に開き、広い部屋に出た。
 大きな窓が都市ファロスを映し出す。その窓の前に置かれた重厚な執務机には、いくつかの画面が浮かび上がっている。全体的に品のいい家具で揃えられた部屋だった。
 その中央に、男が立っていた。身長はゆらぎや右近よりも高い。一眼でわかるほどに、鍛えられた体躯だ。
「待っていたよ、神楽右近君。そして初めまして、獅子夜ゆらぎ君。ファロス機関の歯車の一つ、ユタカ・マーティンだ」
 友好的な挨拶、浮かべる笑みは柔らかい。けれど、顔や手に刻まれた皺も、白髪に染まった頭も、血のように赤く鋭い目も、全てが年老いた狡猾な重鎮である彼を構成する圧となる。
「今回、君たちを呼び出したのはただ一つの理由からだ。神楽右近君。私は君に尋ねよう。何故、何も知らない新人に直接搭乗などという暴挙をさせたのか」
 その言葉でようやくゆらぎは、目の前にいる男が非常に強い敵意を持っているのだと気付いた。
 右近が挑発的な眼差しを添えて、質問に答える。
「俺のオペレーターを迎えに��っただけです。あのままでは、まず間違いなく今回の新人は犠牲となった。大多数の命を救うために、強行しました」
 その迷いない答えに、ユタカは冷笑を浮かべた。
「そのために、直接搭乗のリスクも説明せずに、たった一人の新人を犠牲にすると? 確かに、事前情報で獅子夜君のオペレーター適正が高いことは事実だ。だが、直接搭乗はオペレーターに過度の負担がかかる。まして、基礎情報を直接的に脳内にインプットする『ダイブ』直後に、乱戦を行うことがどれだけの負担になるのか、長くイカロスに乗っている右近君が知らぬわけではあるまい」
 何も知らないゆらぎにも、どのような事態だったのか分かるよう、ユタカが淡々と丁寧に説明を交えて問いかけていく。昨晩あれほど左近が怒っていたのも、この説明を聞けば頷けるものだっただけに、ゆらぎは顔をこわばらせた。
 少年のその様子で、ユタカはパチンと指を鳴らした。途端に室内が暗くなる。
「どうも君は、獅子夜君に説明していないことが多いようだ。改めて、ペティノスやイカロス、そして現在の戦況について説明しよう」
 ふわり、と天井から三つのホログラムが降りてきた。
 一つはペティノス。
 一つはイカロス。
 最後の一つは、地球だ。
「約百五十年前に飛来したペティノスの正体は、現状分かっていない。彼らの形状も実に様々で、飛来した直後は絶滅した動物を模したものが多かったそうだ。が、近年ではその姿に統一性も法則性もない。ただ、小型なものは素早く、大型なものはパワー重視の戦略をとることは共通している」
 ペティノスのホログラムが複数に分かれ、さらに形状が数秒ごとに変化していく。
「ペティノスが攻撃するのは、人類に限られる。数が大変少ないが、その他の動植物に対しての攻撃は、人間を狙うために巻き込むこと以外はないと断言していいレベルだ。つまり、あれらの狙いは人類の滅亡である」
 ここまでいいかね、とユタカからの問いかけに、ゆらぎは無言で頷いた。
「ペティノスへの有効な攻撃方法は、必ず存在する人の顔を砕くことだ。砕く、と表現したが、それは銃撃でも切断でも構わない。ただ、顔を破壊しなければ、あれらは再生を続ける。
 そして、その攻撃手段として開発されたのが、イカロスと呼ばれる機体だ」
 ペティノスのホログラムと対峙するように、イカロスのホログラムが横に並ぶ。しかし、その形状はどこか弱々しく、ただの骨格標本と表現してもいいほどに細かった。
「イカロスは素体と呼ばれるものを基本とし、その周囲の装甲と武器をパイロットやオペレーターの得意とする戦法によりカスタマイズしている。獅子夜君が昨日、搭乗したあの青のイカロスは、乱戦を得意とする機体であり、背に羽のような銃を身につけた形状だ。似たような戦法をとる、黒のイカロスは腕を六本つけてのガンマナイフを用いた超接近戦での乱戦を得意とする。同じ銃を使う赤のイカロスは、長距離戦でのスナイパーのような戦法を。白のイカロスは、剣と銃を使い分ける中距離型だ」
 ユタカの説明により、イカロスのホログラムが複数の姿へと変化していく。そこに映るのは、確かにゆらぎが見たあのイカロスたちだった。
「さて、そのイカロスだが、操作にはパイロットとオペレーターという二人の人間が必要となっている。パイロットはその名の通り、機体そのものの操作を行なっており、オペレーターは簡単に言うとレーダーだ。ありとあらゆる信号をキャッチし、あらゆる方向からの攻撃の察知および計算による敵の動きを予知レベルで推測していく。このオペレーターの成り手は非常に少ないのだが、理由は脳負荷が挙げられている」
 そこでホログラムが一旦消え、どこかの映像が流れ始めた。そこには、ボサボサな髪を乱雑に結いあげた、白衣姿の女性が映し出されていた。
「今、写っているのは夢見・リー博士だ。ペティノス研究の第一人者であり、またオペレーター適正に対して脳科学分野からの研究もしている」
 画像の中の夢見博士は、気怠げな口調で論文を読み上げる。
『つまり、オペレーターたちはありとあらゆる刺激を元に、自身の脳内に仮想領域を形成しているのです。AIならともかく、常に仮想領域を展開し続け、現実と仮想の二重の視界の中で戦闘をすることは、多大な負荷となっています。
 ここで掲示しているのは、イカロスで取得できる情報量を徐々に拡大していったときの、オペレーターたちのストレス値の上昇具合をグラフ化したものです。
 見れば分かると思いますが、一定の法則性があります。
 そして、オペレーターを続けられる限界点の存在も見えてきました。これまでストレス値への耐性や、仮想領域の形成精度には個人差がありましたが、このグラフを用いればより適正な人材の判別および、長期的なオペレートの限界点の早期発見が可能でしょう。今後の進路適正試験において、これらの情報を元にしたオペレーター適正試験も導入すべきことが分かります』
 そこで、ぶつりと映像が消えた。ついで、イカロスと地球のホログラムが再び現れる。
「これらのストレス値を軽減するために、導入されたのが間接搭乗という手法だ。二重の視界をなくし、より精密なオペレートを可能とした手法で、オペレーター病とも言われた頭痛・視力低下・記憶障害および色覚異常がなくなった。それを……」
 そこで、再びユタカは右近へ視線を向ける。
「右近君は、利己的な理由で、一人の人間を使い潰すつもりか」
 ぎらりとユタカの赤い目が右近を睨みつける。だが、右近もまた譲れない部分があったようで、負けじと言い返した。
「使い潰すなんて、そんなひどいことはしません。確かに直接搭乗にはデメリットも多い。が、メリットだってあります。それに、機体の性能向上によりAIとの連携も進み、オペレーターの負担は減りました。最後の空中楼閣撃破を狙うのならば、タイムロスの存在しない直接搭乗を行うべきです」
 突如新しい単語が出たことで、ゆらぎは「あの、」と緊張した面持ちで手を上げる。ユタカは彼の疑問を察して、地球のホログラムを指さした。
「……確かに、右近君の言うことも、もっともな部分がある。だが、私は三十年前の大敗を知っている身だ。安易に、その意��を呑めない事情がある」
 彼は、地球のホログラムのとある一点を指さした。その一点が拡大され、一つの奇妙な浮島が現れる。浮島は東洋のどこかの建築物を核として、その周囲に木々が生えている、なんとも奇妙なものだった。
 これは……とユタカは説明を始める。
「空中楼閣と名付けられた、高度二十キロ地点に浮かぶ、ペティノスの拠点だ。この拠点周囲での時空転移により、ペティノスは現れ、地球に襲来する。……三十年以上も前に、地球上にこの空中楼閣は五十基ほど存在していた」
 絶望的だったと続くユタカの感想に、ようやく彼の暗い過去が垣間見えた。
「人類の空中楼閣撃破が、初めて為し得たのは三十年前。とある英雄たちにより、その大半が撃破されたが……そこで油断してしまったのだろうな、人類は」
 ずらりと地球上のいたるところにあった空中楼閣の映像は、その撃破の映像であったが、歓喜にも似た雄叫びが流れるのとは対照的に、ユタカの声は淡々としすぎている。
「最後の空中楼閣撃破を目指した人々は、ある英雄の死により任務を失敗。歴史的大敗により多くの同朋が亡くなったが、特にパイロットを庇ったオペレーターたちがその割合を多くしていた」
 スッと、司令官の視線が右近とゆらぎの間を通り抜けた。まるで、誰かが彼らの間に立っているかのように、視線が固定される。
「……同じ悲劇を繰り返さないためにも、次の空中楼閣戦において、オペレーターは間接搭乗を行うべきだ。そして間接搭乗によって起きる、目下の問題として地上と高度二十キロ地点での通信ラグについては、多くの技術者と科学者が解決方法を模索している。そう、焦るべきではないんだ」
 それまでの怒りが勝った口ぶりとはうってかわった、ユタカの諭すような口調に、しかし右近は噛み付く。
「ですが、基地本部とのコンマ一秒以下のタイムロスが原因で、あの最後の大敗が起きたと言われています。オペレーターとパイロット間でのタイムロスは、それ以上に命取りなのは自明でしょう。そして、人類に残された時間が想像以上に少ないのは、俺の元オペレーターのスバル・シンクソンが証明しています」
 あいつは、とそれまでにない激情を込めて右近は言葉にする。
「間接搭乗をしていたスバルは、それでも原因不明の病に倒れました。最期まで何の解決策もなく、薬も意味を成さず、原因すら不明で、この世を去ったんです。そして、スバルのような最期を迎える人間は、年々多くなっています。今は、確かにペティノスに滅ぼされていないけれど、いずれ時間が過ぎれば過ぎるほどペティノスに抵抗する力さえ失って、滅びるのは事実です」
 右近の言い分で、ようやくゆらぎは、あの広々とした家の隙間を誰が開けたのか理解した。一緒に住むほどに、彼らは仲が良かったのだろう。そして、いなくなった後そこから引っ越しすることもできないほどに、未練を残す最期を迎えたのも察せられた。
 その痛みをゆらぎは感じ取った。ユタカもまた、感じてはいる。いるのだが、頷けない。
「……これは、私だけの意見ではない。同じく、三十年前にオペレーターを亡くした現見さんもまた、直接搭乗には反対している。死の重みは、平等であるべきだ」
 痛々しい吐露に、現見という人物とユタカが、同じ傷を負ったのだと察せられた。それでも、右近はたたみかける。
「現見さんには、俺が言います。俺が説得します。あの人だって、時間がないのは知っているはずです」
「そこまで言うのなら、明日のこの時間に他のナンバーズを召還しよう。そこで、君一人で彼らを説得してみなさい」
 私ができる譲歩はここまでだ、とユタカは告げる。そして、彼はそのままゆらぎの名を呼んだ。
「獅子夜ゆらぎ君」
「……はい」
「君は、本当に直接搭乗でいいのかね? 先程から君の様子を見ていると、何も右近君から教えられていないようだ。先程説明したように、直接搭乗には多くのリスクが存在する。そのリスクを全て了承した上で、君はイカロスに乗るのか?」
 ゆらぎは、どうすればいいのか正直分かっていなかった。
 卒業してから、地上に出てから、ペティノスを見てから、イカロスに乗ってから、目覚めた先の空虚な部屋を見てから、右近の周囲の人間を知ってから……ありとあらゆる場面で、激情とされる何かは顔を見せていた。だが、その感情の正確な名前は分からない。それがどんな意味を持つのかも、彼は知らない。ただ、理解していることは一つ。
「おれは、まだ何一つ分かりません。分からないから、とりあえず右近さんと一緒に、イカロスに乗り続けようと思います」
「……そうか」
 ゆらぎの答えに、満足はしていないユタカだったが、それでも一つの区切りとなったらしい。要件は終わりだと彼は告げて、退室を促す。それに右近は無言で頷き、ゆらぎは丁寧な礼をして去っていった。
 再び、二人は都市ファロスを見下ろす見えない道を辿って帰っていく。その後ろ姿を見送ったユタカは、誰にも聞こえないことをいいことに、独り言を零した。
「きっと、こんな中途半端な私のことを卑怯者だとも言ってくれないんでしょうね、海下先輩と高城先輩は」
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irutame · 3 years
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ふりかえり
2020.11.18-20
 感覚が開いたまま東京に戻ってきたため、しょっぱなに乗った品川から渋谷までの山手線で「人の臭い!」と以前は気にすることのなかった強烈な感覚にびっくりした。いや、以前は気にすることのなかったというか、北海道から上京した時も感じていた気がする。忘れて(慣れて)しまった?  例によって文章がまとまらなかった。
◯東京→江原  東京の稽古場で3日間、「東京(社会)の時間・体」から「自分自身の時間・体」へと慣らしてから兵庫に行ったのが、結果としてはかなりよかったように思う。江原では、江原河畔劇場や⻘年団、SUVLOG(渡辺瑞帆さん)の助力をいただき、いろいろな場所でいろいろな試みを行わせてもらった。とても充実した実りのある5日間だった。時間を⻑くゆっくり感じながらも、足りない!とも思っていた。あまりにも早く過ぎていった今年の中で、久しく実感していなかった感覚だった。  江原では⻘年団が所有しているどんぐり荘と呼ばれる古⺠家に宿泊��ていたので、畳の部屋での朝���ガから一日を始めた。日の当たる場所や景色のいい場所を探し、だいたい1時間ヨガをやった後、「静止するワーク」を 1 時間行い、外に出る。町や海や河原などでひたすらその場に居るために場と向き合う。振り返ると、ストイック極まることをひたすらに繰り返す、修行のようなことをしていたような気がする。  東京での最初の取り組み日から継続して行った「静止するワーク」は”美術モデルのように体を一定時間動かさずに止まり続ける”というもの(※1)で、これがなかなか面白かった。最初は3分、次の日は5分、また次の日は8分とだんだん時間を増やしていった。江原に行ってからは中庭や縁側など、直接外とつながっている場所で試してみた。自分がやってみてわかったのは、だいたい3分経過した頃に体が安定してくるということとそれは外から見ててもわかるということ、そして時間の⻑さは意外と苦痛じゃないということだ。ただ、時間の⻑さについては終わりのあるもの(例えば音楽)や一定で刻まれ続けるもの(例えば時計)があるとつらい。これらを意識してしまうと静かに体に向き合���ことが難しくなり、社会的な時間・体のスピードに戻ってきてしまう。  自分の時間・体に集中することができた時、私の場合だと「A:体のことを忘れて思考だけが広がっていく」か、「B:思考の速度と密度がだんだん薄くなっていき、体の実感だけがある(あるいは広がっていく)」という2パターンのうちのどちらかになる。今回の期間中、⻄田幾多郎の「知的・神的状態⇄動物的魂⇄動物的魂・物体的状態」という捉え方(※2)を軸に体のことを考えていた。この考え方に従うと、A は知的・神的状態になっており、B は植物的魂の状態である。また、B の状態では体に流れてくるもの(聞こえてくる音、例えば鳥の 声や工事の音など)を思考を通すことなくただ”そこにあるもの”として体の中を受け流していたが、A の状態の時は思考がはっきりしているのでその音などの情報の方へ想像やイメージで飛んでいくことが多かった。いわゆる A は覚醒している状態、B は心頭滅却と言われる状態だったと思う。火もまた涼しなのかはやってみたいところ。  知的・神的状態と植物的状態のどちらも“居る”には違いないのだが、恐らく私たちが作品での居方で最適だと想定しているのは、体と思考が一致している動物的魂の状態だろう。だが、本当にそのあり方が最適かどうかはやってみないとわからない。そして、果たして自意識と共に乗る舞台の上でそんなことが可能なのかもやってみないとわからない。
◯『居るためのれんしゅう1〜4』3について  滞在2日目から3日目にかけて、なんとなくできることとやってみたいことが見えてきたので、実験的にひとつの何かができないかと二人で話をした。私は始めに、「三浦がどんぐり荘という空間に作品(言葉)を一致させ、その言葉ありきのどんぐり荘に宮本が居る」という試みを提案した。4 日目に実際に試してみたが、私が空間に全く⻭が立たず、どう考えればいいのかの糸口さえ掴めないまま夕方を迎えた。宮本はその間、いろいろなパターンで居ることを試していたらしい。らしい、と言うほど何も見る余裕がなかった。  私が試みた「空間に作品(言葉)を一致させる」というのは、既存の小説や詩の言葉をどんぐり荘に”居させる”ことが目標だった。普段は演劇をつくっているので、俳優が担うものを言葉単体でも同じように担えるのではないかと考えた末だったが、実際は全く違った。やってみて実感したが、そもそもこのふたつは全く性質が違うものだった。  言葉は情報の塊だが、俳優は情報そのものにはなりきらない。美術作品をつくるに近いことを試みていたのだと思う。どう考えたらいいのかもわからなかったし、予想とやってみた結果も尽く相違していた。情報の塊じゃない言葉なら空間に乗ったのか?でもそれは果たしてどんな言葉で、どんな方法なんだろう?夕方になると、あまり日の入らないどんぐり荘は一気に暗くなる。蛍光灯の下でどんぐり荘のことはあまり考えられないので、SUVLOG(※4)に移動することにした。宮本に先に行ってもらい、私は一度今日を終わらせたい…とわがままを言い、1時間仮眠をしてから向かった。行くと、ガラス張りなので外からでも宮本が居るのがわかった。  最初に「二人でひとつの何かができないか」と私が言い出したのは、滞在2日目に江原河畔劇場スタジオで宮本のインプロを見ていた時だった。この時の宮本のインプロを、私は景色を見るのと同じように見ていた。そして、解説や解釈や付与ではない形で自分から言葉が 流れてくるのを感じていた。「宮本が”居る”のを見て記述しながら”居る“三浦」という構造について、「宮本が”居る”ということに対して言葉を並べることで意味や情報の付与をしてしまうんじゃないか」「文字を書くというのは、知的・神的活動で”居る”とは遠い行為なのではないか」とよくわからないでいたが、何かの突破点がそこにあるような気はしていた。  宮本への説明と許可も得て、とにかくやってみることになった。この試みに対して、「嘘の言葉、実感のない言葉を書かない」・「物語を付与しない」ということは強く意識していた。宮本も”居る”身体に嘘をつかず、物語や情報や知識に頼らないという地盤があった。宮本にとっての”居る”が身体の自然な動きなら、三浦にとっての”居る”を言葉で出来ないかと考えたのだが、やってみて、映像を見返してみた今でも、あまりよく考えられていない。これがうまくいっているのかもわからない。ただ、私が空間や宮本に言葉を付与・説明・解説・解釈しているように見えているのであれば、この試みは失敗だ。
◯江原→東京  世界を拡張したまま東京に戻ってきてしまったので、うまく体を閉じられず、以前よりもものすごい情報量が体に流れ込んでくるのを感じている。特に音が顕著で、濁流のように体に流れてくる。聴いているではなく、流れていく。体を通り過ぎていく。これはいつまで維 持できるだろうか。加えて、計画された人工物はあまり⻑い間じっくり見てられないことがわかった。水の流れや芸術作品、木の揺れや落ち葉などは静止するワークと同様にずっと見ていられる気がする。一定の強度・速度を保ったものではなく、流動的でさまざまな強度・速度が束になっているものの方が、自分と親和性の高い時間を選ぶことができて楽だ。予想では人の流れも見ていられると思うのだけど、どうだろう。意外と無理かな?このワークに取り組む以前までは、人混みを歩く時、体がここにない感じがしていた。というより、ここにないことにしてたんだと思う。否応なく人とぶつかるし、視線が飛び交う。やわらかな安心しきった体でいると話しかけられたりアクションを起こされたりする。だから、体はここにない・感覚をなくすことで防御していた(いる)んじゃないだろうか。よくわかる。今までは放心して弛緩するか、意識を保って緊張するかのどちらかしか知らなかった。  滞在期間中、いろんなことを思い出したり、発見したりできた。久々の感覚。新しいことを見つけるのは楽しい。できるかもしれないこと、やりたいことが浮かんでくるのも嬉しい。何かを作る時に背負う緊張感やプレッシャーという社会的な感情から少し離れられたのも身体に現れていたと思う。
◯わたしたちは 徹頭徹尾 他者である  滞在期間中、「わたしたちは徹頭徹尾他者である」ということを強く意識していた。他者であること、つまり本当のところではわかりあえないということを、今回のパートナーである宮本と共通認識の上で暮らしていくことを明確に目指していた。これは、クリエイションで はいつも注意していることだが、今回は特にお互いが近寄ってきやすい試みだったので普段のクリエイション以上に意識をしていた。  滞在中の試行錯誤では、安心できる相手がいればコミュニケーションを取っていなくても無防備な状態で外に居られるということ、また、自分と同じ“居る”状態の相手であれば他者のままお互い交わらずに存在していられるということがなんとなく実感になってきた。同化しないまま同じ地面に立つことはどうやら可能かもしれない。  少し話が逸れるけれど、隣屋(※5)は“他者同士がそれぞれの人生の中で選択をして何かを為したり為さなかったりできる組織”を目指している。団体としてひとつの目標に向かってみんなで走っていくスタイルではなく、それぞれの人生の中で交わった興味の対象に惹かれた者同士が一緒に何かを作ったり考えたりしてみるという流動的な在り方を目指している。  強固な集団性よりも、しなやかな結びつきによってお互いが自由でいられることが今の私の理想であり、そうでなければこの先⻑くは続けられないかもしれないと感じている。同じ集団にいても、わたしたちは徹頭徹尾他者であり、当たり前だけれどそれぞれの生き方があること、お互いを背負わずに流動的に居たり居なかったりできる場所を目指すことで、たおやかに続いていく流れになれたらいいなと思っている。  演劇は複数人でひとつの作品をつくる行為だが、多くの場合は演出家がイニシアチブを取る。言葉を言わせる・喋らせるという行為がひどく暴力的だと思ってしまっている今、演出家・劇作家である私は、言葉を引き受ける俳優や空間を担う技術スタッフの方々とどのように他者のまま強度を持った作品がつくれるのか、ずっとわからないでいる。わからないでいるというと少し違うのだけど、うまく言葉にできない。そりゃ今までの作品だって世界のどんな作品だって人間は他者と同化することはできないので他者は他者のままなのだけど…。
◯これから  今回の期間では、本来の目的である「作品が場に浮いてしまうこと」を考えるに至らなかったので、まだ当分このプロジェクトは続いていく。初回の成果としては、「人がそこに居ること」のさわりくらいは考えられたと思う。やりたいことも、続けたいこともまだまだあ るので、引き続き修行に勤しむ。たのしみ。  いまは、今回のまとめを何か物体で残したいと考えているところ。ZINE でも作ろうかな。
◯滞在最終日に温泉で詠んだ句  ここにいる ことを世界に 示すよう 私の際から 湯気が流れて
三浦雨林
(※1) 静止する人とそれを見る人に分かれて行う。基本的には目線も一点で止めておくため、意識的に動かしてもいいのはまぶた(まばたき)だけである。また、体が限界だったり止まっていられない場合は都度中断しても良いとしていたが、中断することはなかった。静止する人は居る場所とポーズを様々なパターンで組み合わせて試した。それぞれ見る人が指定するパターンと自分で決めるパターンの違いはかなり大きく、おもしろい体験だった。
(※2)意識と身体が一致している状態を動物的魂、身体についての意識が消えるかあるいは身体そのものになりきった状態を植物的魂・物体的状態、身体の制約から解き放たれてほとんど意識そのものになりきっている状態を知的・神的状態として、われわれはそれらの状態を「身体的欲望を感じ身体を強く意識している状態(動物的魂の状態)を中間段階として、一方の植物的魂・物体の状態と他方の知的・神的状態とのあいだを日々往ったり来たりしている」(小浜善信『⻄田幾多郎の哲学(III)』p11)。
(※3) https://www.youtube.com/playlist?list=PLplGcy-ch2H2rXLA4drdm0tu7nI49ICgT
(※4)SUVLOG はアーケードの中の一店舗で、展示などが可能な多目的スペースのような空間だ。8畳ほどのガラス張りで、壁は木目と土台のコンクリートが剥き出しになっており、ご協力いただいた渡辺瑞帆さん含めとても素朴で素直で何かが生まれそうな栄養が蓄えられているような場所だった。
(※5) https://tonaliya.cargo.site/
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