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#壁付けキッチン
nostalblue · 3 months
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ガステーブル給電方法の変更
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山の中暮らしをしているので、薪を薪ストーブだけでなく風呂や調理の熱源にも利用出来れば、自給自足の理に適うし経済的でもある。ただ現実的には専用のカマドや風呂釜が必要となるし、それに必要な量の薪を集め常に保持するのは口で言うほど簡単ではない。冬場の薪ストーブ用だけでも薪狩りは重労働なのに、独り暮らしで自給農もしながらそれを行うなら時間や体力をさらに酷使することになる。毎日そういう暮らしでも苦にならない人はやったらいいと思うけど、短時間での湯沸かしや温調制御の利いた温水シャワーの便利さ、快適さを知ってしまった身としては、それを放棄してまで熱源の自給には拘れないと言うのが正直なところだ。
そんなわけで、うちでは熱源としてガスも使っている。さすがに都市ガスは来ないが、LPGはこんな僻地でも供給される。
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キッチンのガステーブルは移住時に中古品を入手し、各所劣化しながらもだましだまし使ってきたのだけど、先日片側のコンロが燃焼維持できなくなった。状況からみて原因は中央部にあるSiセンサー部の故障と見られる。内部構造を確認するとコネクターで繋がっているだけなので、部品さえ手に入れば自分で容易に交換できるのだが、五徳なんかと違いこの部品は一般向けに販売されない。安全機能に関わる部分だからと言うのが建前なのだろうけど、メーカーに送って部品交換して貰えばそれだけで何万円と掛かってしまうので現実的でない。コンロが一箇所だけだとかなり不便だし、全体的な劣化も相当進んでいるので丸ごと買い換えを決断した。
とは言え、ガステーブルは安い物ではないので、今回もオークションサイトやフリマサイトで中古品を探すが、そうすぐには都合の良い物は出品されない。じっくり腰を据えて長期戦で臨めばいずれ妥当な物が手に入るだろうけど、それまで不便な状態が続くのが許容できないので、断腸の思いで新品入手することになった(痛)。
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家庭用のガステーブルは2008年からSiセンサー搭載が義務づけられていて、天ぷら油の過加熱や消し忘れが原因の火災防止には大きく貢献しているようだが、調理の種類によっては邪魔な機能だったり、今回のようにセンサーが壊れればまったく燃焼させることが出来なくなってしまうというデメリットがある。
またこのセンサーは電気で機能させているのでコンロ使用時には常に給電する必要がある。今まで使っていたガステーブルは単1乾電池×2個で給電するタイプだったが、センサーの消費電力が大きいためか割と頻繁に電池交換が必要だった。そして届いた新品のガステーブルは、何と単3乾電池×2個使用タイプ。センサーの消費電力が同等ならこれまでよりさらに頻繁に電池交換するハメになるだろう(怒)。乾電池って再利用も出来ないし、簡単に捨てられないし、液漏れとかするから嫌いなんだよね。
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これまでも何とかしたいと思いつつ先送りしていたが、今回ガステーブルを交換したのは良い機会なので、この給電方法を変更してやることにした。具体的には昔秋葉原で買ったスイッチング電源モジュールを発掘したので、これを使いAC100Vを乾電池と同等の直流電圧に変換して供給する。ちなみにこのモジュール、袋に300円の値札が付いていた。安かったからとりあえず買っておいたのだろうね(忘)。
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電気的絶縁性の高いポリプロピレン製のタッパー容器を筐体にし、3mmのボルトナットを使ってモジュール基盤を少し浮かせた状態でその中に固定する。入力側は壁のACコンセントからケーブルを引いてくるが、プラグ抜き差しによるON-OFFがやりにくい位置にあるので、トグルスイッチ経由で基盤に配線する(ハンダづけ)。出力側端子は独特の形状だったが、たまたま上手く填る脚付き端子台があったのでそれを利用して被覆電線を接続した。部品を一通り接続したらビスを使って筐体を壁に固定する。もろもろ邪魔にならないよう床から1.8mの位置とした。
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出力電圧をチェックすると開路状態で約3.4V。最大開路電圧の規定はアルカリ乾電池で1.68V(2本直列で3.36V)、マンガン乾電池で1.73V(2本直列で3.46V)なので問題無しと判断。
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スイッチング電源は電力変換効率が高いので発熱は多くないと思うが、念のため筐体蓋に放熱用の穴を開けておく。ホコリや虫などが入ると不具合の原因になる為、穴径は小さめで。
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仕様の順電圧値が丁度良い感じの緑色LEDがあったので出力端子間に挟んでみた。筐体蓋を取り付けた状態でもその光は透過し、通電状態が確認出来る。
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電源については順当に用意できたが、肝となるのはこの先。ガステーブル自体には手を加えずに製作した電源から給電してやりたいのよ。いろいろ模索したが、最終的には電源から配線したダミー電池をガステーブルの電池ボックスに填める方法で行くことにした。
ダミー電池は、一段小さな規格の乾電池を流用する為の「電池スペーサー」を利用して作成する。これにもいろいろなタイプがあるが、金属の電極板が付いている物を使うと便利だ。電源と繋がる電線をそれぞれ極に対応する電極板に接続する。ハンダづけしても良いが、電極板の材質によっては付かない場合もあるのでその場合はひと工夫必要となる。私が入手した電池スペーサーは電極板を外側からはめ込んでいるタイプだったので、その穴に電線端を噛ましてはめ込み直したら圧着端子のようにしっかりと固定できたのでそれで良しとした。
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電池ボックスの構造をよく観察し、直列乾電池の両端になる接点にそれぞれ対応する極性の電極板が当たるようにダミー電池をはめ込む。向きを間違えると華麗にショートするので要注意である(後日対策済/後述の追記参照)。電線は電池ボックスの内側から下方に引き抜く。ガステーブルの下面はガラ空きで蓋などないので取り回しは容易だ。ただ調理で使っているうちに油や汁が飛んで電線を汚しそうなので、ガスレンジに近い場所は保護の為樹脂製の可とう電線管を通すことにした。
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掃除等でガステーブルを移動することもあるだろうから、電線は途中で差込型端子を使って接続し、着脱容易にした。全てが繋がった状態になったので着火・燃焼を試すが問題無し。新品のガステーブルは数十年ぶりに購入したが、やっぱり気持ちが良いね!。懐は痛いけど。
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ちなみに停電時はスイッチング電源から給電されなくなるが、ダミー電池を一時的に外し、乾電池を電池ボックスに填めればガステーブルは使用できる。一方、ガス給湯器は停電時には動作不可なので風呂や温水シャワーは使えなくなってしまうが、そんな時でもガステーブルで湯を沸かしたり調理することが出来るのは意義が大きい。まあ停電なんてこの国では滅多に起きないが、以前この場所で3日程停電した時はなかなか大変だったからね~。
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2024/02/04 追記:
後日、片方のダミー電池の両極にスイッチング電源からの配線を接続し、もう片方のダミー電池は両極を内部でバイパスするように変更した。これによりダミー電池の左右を入れ替えても動作するし、填める向きを間違えてもショートする危険性は無くなった(逆極性となり動作しないだけ)。初めからこうすればクールだったに(悔)。
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astk-design · 12 days
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House in Shukugawa
ミニマルな空間と美しい曲線が生む 優しく包容力のある住まい The minimalist space and beautiful curves create a tender and inclusive home
夙川の家は兵庫県西宮市に位置し、四方を2階建て隣家に囲まれた旗竿型のコンパクトな敷地にあります。 プライバシーの観点から外側に開くことが難しい敷地条件であったため、内側にクライアントのための独立した世界をつくることを目指しました。 “大きな気積をもったドーム”と“適度に求心性のある平面”によって空間に包容力を持たせることで、閉じた箱の中でも窮屈さを感じることなく、美しい緑や光を愛でながら心地良く過ごせる住まいを計画しました。
“House in Shukugawa” is located in Nishinomiya City, Hyogo Prefecture, on a compact flagpole-shaped lot surrounded on all sides by two-story neighboring houses. The site conditions made it difficult to open the house to the outside for privacy reasons, so we aimed to create an independent world for the client on the inside. The "moderately centripetal plane" and the "dome with a large volume" give the space an inclusive feeling, so that even in a closed box, the client does not feel cramped, but can enjoy the beautiful greenery and light while living comfortably. The house was designed to be comfortable while loving beautiful greenery and light, without feeling cramped in a closed box.
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⚪︎ロケーション
��立地は兵庫県西宮市。周辺は自然が豊かで古くからの邸宅街が広がる夙川沿岸の閑静なエリア。地価が高く坪単価も比較的高いため、土地が細分化され密集している地域も多くみられる。 敷地はそのような地域の旗竿型のコンパクトな土地であり、四方を2階建て隣家に囲まれた窮屈な印象があった。クライアントは、周辺環境の良さと幼い頃から慣れ親しんだ地域であるという点を重視しこの土地を購入された。
⚪︎要望
 クライアントから伺った理想の住環境や要望は、次の5つに整理できる。
自然とのつながり(緑、光、風、四季を感じれること)
プライバシーを確保しつつhyggeを大切にできること(hygge:デンマーク語で「居心地がいい空間」や「楽しい時間」をさす言葉)
陰翳礼讃の精神で光や陰翳を繊細に感じられること、照明計画にも変化や緩急があること
空間の多様性、ボリュームのメリハリ
普遍性のあるデザイン
⚪︎デザインコンセプト
 プライバシーの観点から外側に開くことが難しい敷地条件であったため、内側にクライアントのための独立した世界をつくることを目指した。共有していただいた好みのインテリアイメージにはヨーロッパの空気感を感じるものが多く、意匠にもそれらの要素を取り入れることにした。
 まず敷地に対して可能な限り大きく建物のフットプリントを設定し、外に閉じた箱型の計画とした。内部でも自然や四季を感じ取れるよう、比較的採光が確保しやすい北側の角に中庭を配置。その周りにリビングダイニングやキッチンなどのアクティブスペースを設けた。寝室や浴室といった個人の休息スペースは、必要最小限の大きさにして2階に配置した。  この住まいの最大の特徴であるホールは、外に閉じた住まいの中で窮屈さを感じることなく、家族や親しい人達と親密な時間を過ごせる空間を目指したものである。適度に求心性のある平面が団欒を生み、ドームの大きな気積により人が集まっても居心地の良さを担保できる。暮らしを受け止める包容力のある空間となっている。  さらに完全にプライベートな空間である2階に対して、1階は住宅でありながらセミパブリックな空気感を持たせることで、狭い箱の中に変化と奥行きを生み出そうとしている。床のタイル仕上げ、路地のテラス席のようなダイニングテーブル、吹き抜けに突き出したバルコニーのような踊り場、ドームとシンボリックなトップライトが醸し出す少し厳かな雰囲気、などの要素が相まって1階の空気感をつくり出している。  採光については、単に明るいことだけではなく相対的に明るさを感じられることも重要である。ホールの開口部は最小限として全体の照度を下げつつ、中庭に落ちる光が最大限美しく感じられるように明るさの序列を整理した。また壁天井の仕上げは淡い赤褐色の漆喰塗りに統一することで、明るさを増幅させながら光の暖かさも感じられるようにした。  空間操作としては、中庭外壁隅部のR加工、シームレスな左官仕上げとしたドーム天井、ドームと対照的に低く抑えた1階天井高などが距離感の錯覚を起こし、コンパクトな空間に視覚的な広がりをもたらしている。
⚪︎構造計画
 木造軸組構法の構造材には、強度が高いことで知られる高知県産の土佐材を使用。上部躯体には土佐杉、土台にはより強度や耐久性の高い土佐桧を用いた。工務店が高知県から直接仕入れるこだわりの材であり、安定した品質の確保とコスト削減につながっている。
⚪︎造園計画
 この住まいにおける重要な要素である中庭は、光や風を映し出す雑木による設え。苔やシダなどの下草から景石や中高木まで、複数のレイヤーを重ね、コンパクトでありながらも奥行きのある風景をつくり出している。またコンパクトな分植物と人との距離が近く、天候や四季の移ろいを生活の中で身近に感じ取ることができる。石畳となっているため、気候の良い時期は気軽に外へ出て軽食を取るなど、テラスのような使い方も可能。草木を愛でる豊かさを生活に取り入れてもらえることを目指した。  敷地のアプローチ部分には錆御影石を乱張りし、大胆にも室内の玄関土間まで引き込んで連続させている。隣地に挟まれた狭い通路であるため、訪れる人に奥への期待感を抱かせるような手の込んだ仕上げとした。また石敷きを採用することにより来訪者の意識が足元に向かい、ホール吹抜けの開放感を演出する一助となっている。
⚪︎照明計画
 ベース照明は、明るすぎず器具自体の存在感を極力感じさせない配置を心掛けた。特に中庭の植栽を引き立てる照明は、月明かりのように高い位置から照射することで、ガラスへの映り込みを防止しつつ、植物の自然な美しさを表現できるよう配慮している。ホールについても、空間の抽象度を損なわないために、エアコンのニッチ内にアッパーライトを仕込み、天井面に器具が露出することを避けた。  対して、人を迎え入れたり留まらせる場(玄関、ダイニング、リビング、トイレ)には、質感のある存在感をもった照明を配置し、インテリアに寄与するとともに空間のアクセントとしている。
⚪︎室内環境
 居心地のよい空間をつくるためには快適な温熱環境も不可欠である。建物全体がコンパクト且つ緩やかに繋がっているため、冬季は1階ホールとキッチンに設置した床暖房によって、効率よく建物全体を温めることができる。壁天井には全体を通して漆喰(マーブルフィール)による左官仕上げを採用し、建物自体の調湿性能を高めている。  換気設備は「第1種換気※1」を採用。温度交換効率92%の全熱交換型換気ファン(オンダレス)により、給排気の際に室内の温度と湿度を損なうことなく換気を行うことができるため、快適で冷暖房負荷の削減に繋がる。CO2濃度や湿度をセンサーにより検知し、自動で換気量を増やす仕組みも取り入れている。  また断熱材は、一般的なボードタイプよりも気密性が高く、透湿性に優れた木造用の吹き付けタイプを使用。サッシはLow-E複層ガラス+アルゴンガス充填で断熱性を高めた。 ※1「第1種換気」..給気、排気ともに機械換気装置によって行う換気方法
⚪︎まとめ
 近隣住宅が密集する環境の中で、周囲を隔てて内部空間を切り離すことで、住み手のための世界を築くことができた。仕事で毎日を忙しく過ごすクライアントだが、ここでの時間は、仕事を忘れ、好きなものに囲まれ、家族や友人たちと心から安らげる時を過ごしてほしい。心身共に癒やされるような家での日常が、日々の活力となるように。この住まいがそんな生活を支える器になることを願っている。
⚪︎建物概要
家族構成 |夫婦 延床面積 |70.10㎡  建築面積 |42.56㎡  1階床面積|39.59㎡ 2階床面積|30.51㎡ 所在地  |兵庫県西宮市 用途地域 |22条区域 構造規模 |木造2階建て 外部仕上 |外壁:小波ガルバリウム鋼板貼り、ジョリパッド吹付 内部仕上 |床:タイル貼、複合フローリング貼            壁:マーブルフィール塗装仕上             天井:マーブルフィール塗装仕上 設計期間|2022年11月~2023年7月 工事期間|2023年8月~2024年3月 基本設計・実施設計・現場監理| arbol  堤 庸策 + アシタカ建築設計室  加藤 鷹 施工  |株式会社稔工務店 造園  |荻野景観設計株式会社 照明  |大光電機株式会社  花井 架津彦 空調  |ジェイベック株式会社  高田 英克 家具制作|ダイニングテーブル、ソファ:wood work olior.      ダイニングチェア:tenon インテリアスタイリング|raum 撮影  |下村写真事務所 下村 康典 、加藤 鷹 資金計画・土地探し・住宅ローン選び|株式会社ハウス・ブリッジ テキスト|加藤 鷹
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House in Shukugawa
⚪︎Positioning the land as the background
 Located in Nishinomiya City, Hyogo Prefecture, the surroundings along the Shukugawa River are quiet, with abundant nature and a long-established residential area. Due to the high value of land and the relatively high unit price per tsubo, there are many areas where land is densely subdivided into smaller lots.
 The site was a compact, flagpole-shaped lot surrounded on all sides by two-story neighboring houses. These conditions were by no means good. However, the client purchased the lot because of its good surrounding environment and the fact that it was in an area that he had grown familiar with since childhood.
⚪︎Requests
 The ideal living conditions and requests we recieved from the client can be organized into the following five categories.
To be able to feel nature (greenery, light, wind) and the four seasons (change of time) even inside the house.
To be able to cherish hygge (Danish word meaning "comfortable space" or "enjoyable time") while ensuring privacy.
The spirit of "In Praise of Shadows" should be valued, and changes in shadows and ambient light should be sensed with subtlety. The lighting scheme should not be uniformly bright, but varied and gradual.
The entire space should be loosely connected, but with a variety of spatial volumes to suit different uses.
The design should have a universality that will allow the owner to enjoy the house, from the interior to the exterior, for a long time.
Based on these themes and the site conditions, the architectural form was studied.
⚪︎Design concept
 The site conditions made it difficult to open the house to the outside for privacy reasons, so we aimed to create an independent world within the house in line with the client's preferences. Many of the interior images they shared with us had a European feel, and we decided to incorporate these elements into the design.
 First, the footprint of the building was set as large as possible in relation to the site, and it was designed to be boxy and closed to the outside. To allow the interior to experience nature and the four seasons, a courtyard was placed in the north corner, where it is relatively easy to secure lighting. The hall (living and dining room), kitchen, and other active spaces are located around the courtyard. Rooms for individual rest, such as bedrooms and bathrooms, were kept to the minimum necessary size and placed on the second floor. (The storage furniture in the bedroom is movable in order to accommodate changes in usage.)
 The hall, the most distinctive feature of this house, was intended to be a space that gently envelops time with family and close friends without feeling cramped in a house closed to the outside. The hall has a moderately centripetal plane that creates a sense of harmony, and a large dome-shaped volume that ensures a cozy atmosphere even when people gather together, giving the space a sense of inclusiveness.
 In contrast to the completely private space on the second floor, the first floor has a semi-public atmosphere even though it is a house, creating a sense of change and depth within the narrow box. The tiled floor, the dining table that resembles a terrace in an alley, the balcony-like landing that protrudes into the atrium, and the slightly austere atmosphere created by the dome and symbolic top light all work together to create the atmosphere of the ground floor.
 In terms of lighting, it is important not only to have brightness, but also to have a sense of relative brightness. While minimizing the openings in the hall to lower the overall illumination level, we organized the sequence of brightness so that the light falling on the courtyard would be perceived as beautiful as possible. The walls and ceiling are finished in a uniform light reddish-brown plaster, which allows the warmth of the light to be felt while amplifying  the brightness of the space.
 In terms of spatial manipulation, the soft curvature of the outer courtyard wall corners, the seamless plastered dome ceiling, and the low ceiling height of the first floor in contrast to the dome create the illusion of distance and visual expansion in a compact space.
⚪︎Interior Environment
 A comfortable thermal environment is also essential for creating a cozy space. As the entire building is compact and gently connected, the volume can be efficiently heated in winter by floor heating installed in the ground-floor hall and kitchen. The walls and ceilings are plastered (with a Marble Feel) throughout to enhance the building's own humidity control.
 The ventilation system is "Class 1 Ventilation*1. The ventilation system uses a total heat exchange type ventilation fan (ondaless) with a temperature exchange efficiency of 92%, which allows ventilation without compromising indoor temperature and humidity during air supply and exhaust, resulting in comfort and reduced heating and cooling loads.
 The insulation is of the sprayed wooden type, which is more airtight and has better moisture permeability than ordinary board-type insulation. Low-E double-glazing glass with an argon gas filling are used to enhance thermal insulation.
*1 "Type 1 Ventilation". A ventilation method in which both air supply and exhaust are done by a mechanical ventilator.
⚪︎Structural Planning
 Tosa wood from Kochi Prefecture known for its high strength, were used for the structural members of the wooden frame. Tosa cedar was used for the upper frame, and Tosa cypress was used for the foundation because of its higher strength and durability. The construction company purchased these materials directly from Kochi Prefecture, ensuring stable quality and reducing costs.
⚪︎Landscaping plan
 The courtyard, an important element of the house, is designed with a mix of trees that reflect the light and wind. Multiple layers, from undergrowth such as moss and ferns to landscape stones and medium height trees, create a compact yet deep landscape. The compactness of the space also means that the plants are close to people, allowing the users to feel the weather and the changing seasons in their daily lives. The cobblestone pavement enables the use of a terrace-like space, where one can casually step outside for a light meal when the weather is nice. We aimed to bring the richness of loving plants and trees into people's lives.
 The approach to the site is made up of tan-brown granite, which is boldly pulled into the entrance floor of the house to create a continuous line. Since it is a narrow passageway between neighboring properties, we created an elaborate finish to give visitors a sense of anticipation of what lies ahead. The use of stone paving also directs visitors' attention to their feet, helping to create a sense of openness in the hall atrium.
⚪︎Lighting Plan
 The base lighting is not too bright, and the presence of the fixtures themselves is minimized as much as possible. In particular, the lighting that enhances the plants in the courtyard illuminates from a high position, like moonlight, to prevent reflections on the glass and to express the natural beauty of the plants. In the hall, lights were installed in the air conditioner niche avoiding the exposure of fixtures on the ceiling surface, so as not to spoil the abstractness of the space.
 On the other hand, at the place where people are welcomed in or stay (entrance, dining room, living room, and restroom), lighting with a textured presence is placed to contribute to the interior design and accentuate the space.
⚪︎Summary
 In an environment where neighboring houses are densely packed, we were able to build a world for the residents by separating the interior spaces from their surroundings. The client spends his busy days at work, but during his time here, he wants to forget his work, surround himself with his favorite things, and spend truly restful moments with his family and friends. We hope that daily life in a house that heals both body and soul will be a source of daily vitality. We hope that this home will be a vessel to support such a lifestyle.
⚪︎Property Information
Client|Couple
Total floor area|70.10m2
Building area|42.56m2
1floor area|39.59m2
2floor area|30.51m2
Location|Nishinomiya-shi, Hyogo, Japan
Zoning|Article 22 zone
Structure|Wooden 2 stories
Exterior|Galvalume steel sheet, sprayed with Jolipad
Interior|Floor: Tile flooring, composite flooring
          Walls: Marble Feel paint finish
          Ceiling: Marble Feel paint finish
Design Period|November 2022 - July 2023
Construction Period|August 2023 - March 2024
Basic Design/Execution Design/Site Supervision| Yosaku Tsutsumi, arbol  + O Kato, Ashitaka Architect Atelier
Construction| Minoru Construction Company
Landscaping|Ogino Landscape Design Co.
Lighting|Kazuhiko Hanai, Daiko Electric Co.
Air Conditioning|Hidekatsu Takada, Jbeck Co.
Dining table and sofa|wood work olior.
Dining chairs|tenon
Interior styling|raum
Photography|Yasunori Shimomura, Shimomura Photo Office (partly by O Kato)
Financial planning, land search, mortgage selection|House-Bridge Co.
Text | O Kato
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kennak · 1 month
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本来は親友に向けたマンションリフォームのアドバイスだが、LINEで送るには長すぎるので、増田の日記として公にさらしてみる。ブコメやトラバで有用な反論が得られるかもしれない。祝1000user超え。いろんな意見が聞けて楽しい。おそうじ浴槽がみんなに届いてうれしい。祝2000user超え。自分の知識がみんなの役に立ったようでうれしい。はてブ愛してる。増田は建築士としてそれなりに経験値はあるが、住まいのあり方や価値観は本当に多様なので、N=1の意見として参照するぐらいがちょうどよい。大前提適切な断熱壁と二重ガラス樹脂サッシが装備されていること。それがない建築が許されるのは安藤忠雄だけ。既存のサッシが交換できないならインプラスなどの内窓をいれればよし。風呂編おそうじ浴槽!これが言いたくてこの長い日記を書いているといっても過言ではない。google:image:おそうじ浴槽 他の設備投資を削ってでもこれを装備してほしい。日々の家事から風呂そうじを排除できるのでオススメ。じゃあ何を削ればいいかというと、、、鏡→いらない。水アカ掃除の手間を増やすだけ。化粧棚→いらない。必要に応じて山崎実業のマグネット収納をつかえばよい。浴室乾燥機→いらない。アイリスオーヤマの除湿器で代用できる。風呂の入り口付近にコンセントを用意しておく。上下するシャワーフック→これはいる。が、山崎実業のマグネットフックで代用可能。風呂のサイズは1620か1616にする。この2つは浴槽が1.6mあるから足を伸ばせる。そのほかの1416とか1418 etcは浴槽が1.4mになってしまう。ただし1616は一般に住宅用しかない。なぜか1620はマンション用もある。住宅用とマンション用の違いは施工に必要な天井の高さ(これショールームのスタッフすら知らなかったりする)。マンション用のほうが必要高が低いので、排水の勾配など制約の多いマンションでも施工できる。逆に言えばその制約さえクリアできれば住宅用をマンションに施工することも可能。最近は1616でもマンション用があるとのこと。TOTOは1717というさらに浴槽が大きいやつもあるらしい。トラバ感謝。なお換気扇は選べるならパナソニック製をオススメする。パナソニック以外は換気扇の羽を外すことができない。それでお前は何にしたノーリツのユニットバス1616。標準でおそうじ浴槽がついてくる。なぜならおそうじ浴槽はノーリツの特許だから。だがコスパが高すぎて儲からなかったのかノーリツはユニットバス事業から撤退してしまった。。。床編なぜか無垢フローリングにあこがれる人が多いが、高いし隙間が空くしメンテも大変で何がいいのかさっぱりわからん。オススメは厚突きフローリング。無垢の質感とべニヤの寸法安定性を両立している。薄い突板のフローリングは偽物感がすごいので、だったら偽物でいい。マンションだと防音フローリングといってふにゃふにゃのフローリングを勧めてくる工務店がいるが、これは工務店の施工が楽になる建材でユーザーにメリットはない。下地側で防音は確保できる。仕上げの塗装ウレタン塗装やUV塗装は強靭で水を放置しても浸透しない。ただし傷ついたときの補修はプロに依頼しないといけない。自然ワックス仕上げは質感に優れるが、醤油をこぼしたのを一晩放置すると浸透してシミになる。数年おきに塗り直しが必要だが自分でDIYできる。どっちが良いかはお好みで。それでお前は何にしたニッシンイクス150mmオーク自然オイル仕上げ/30度ナナメ貼り。複合オーク150幅 | 無垢・複合フローリング・不燃ボード|NISSIN EX.本当はヘリンボーンにしたかったがめっちゃ高いのでナナメ張り。床暖房温水式にしよう。電気式は暖まるまでの時間がかかりすぎて実用的でない。壁や天井の仕上げ天井躯体あらわし!中古マンションでなければできない仕上げ!天井は水漏れでカビてなければそのままつかえるはず。ぜひやろう。壁壁面は大抵のマンションで解体後にGLボンドという接着剤が盛大に残るので、上から塗装するかそのままにするかを判断する必要がある。google:image:GLボンド 撤去 マンションリフォームの事例集で綺麗なコンクリート壁がでてくる場合があるが、あれはもう一回壁を仕上げなおしている。余談だが世の中のほとんどのコンクリート打ちっぱなしの建築は、コンクリの上から打ちっぱなし風の塗装をしている(安藤忠雄のように本物のコンクリートで打ちっぱなしを仕上げるのはものすごく難しい)。一般人はその塗装をみて「やっぱコンクリート打ちっぱなしはかっこいいねー」と言っている。それは塗装だ。たまに「コンクリート打ちっぱなしって寒くないの?」と聞かれるが、それは断熱が入っていない建築をイメージしているから。なので安藤忠雄の住宅は夏暑いし冬寒い。なお忠雄本人はタワマンに住んでいる。マンションの場合、隣や上階に部屋があればそこが断熱として効くので打ちっぱなしでも大丈夫。ただし床は例外。熱伝導率が高いので皮膚が触れたときに同じ温度でもコンクリートやタイルのほうが冷たく感じる。それでお前は何にした壁面はGLボンド撤去の上、塗装。一部モルタル塗り直し。一般の壁はAEP塗装の白マット仕上げ。寝室とクローゼットはモイスという調湿建材。壁紙はきらいなので未使用。キッチン食洗器海外勢のデカイ食洗器をいれよう。パナソニックのビルトインは買ってはいけない。あれは卓上タイプよりも食器が入らない。海外食洗器をキッチンをいれるときは、床から天板の下端までの高さに注意してほしい。日本だとミーレがデカい顔をしてぼったくり価格で売っているが、これは高さが80cmでギリギリ日本の一般的なシステムキッチンに入る寸法だからだ。AEGやボッシュは82cm以上を要求するので、日本の一般的な85cmの高さのカウンターだと入らないことが多い。逆に言えばとにかく下を82cm確保すればどのメーカーでも入る。AEGはカゴがリフトアップする。ボッシュは耐久性が高い。ガゲナウはボッシュの見た目をかっこよくしただけ。IKEAはAEGのリフトアップを削除した廉価版。ミーレはぼったくり(2回目)。ガスorIH中華料理命!でなければIHをオススメする。加熱時に上昇気流が発生しないから油が飛び散りにくいし、使っていないときはフラットだからほかの用途に使える。勝間和代氏はIHのガラスの上でうどんこねてた。それでお前は何にしたコスト削減のためシステムキッチンは購入せず、天板だけ買って大工さんに施工してもらった。天板の下は無印の収納を突っ込んでいる。これで百万ぐらいコスト削減。天板はシゲル工業で作ってもらった。スクエアシンクって手で溶接するからめっちゃ高いんだけど、ここはプレス品だから安い。スクエアシンク | ステンレスワークトップとキッチンシンク製造のシゲル工業その他に検討したのはキッチンハウスのグラフテクト。今でもグラフテクトはアリだと思っている。GRAFTEKT -グラフテクト- | 家具のようなキッチン・システムキッチン水栓はLIXILのナビッシュA6。濡れた手で触らないので、水栓周りがよごれにくい。https://www.lixil.co.jp/lineup/faucet/navish/換気扇はパナのDEシリーズかフジオーにしよう。メンテがしやすい。パナはDWという10年掃除不要と謳っている製品を推しているが、あれは代わりに一切のメンテができず、10年で本体交換を必要とする地雷。IHもパナ。グリルまでIHにしている唯一のメーカー。このグリルが優秀で、オーブン代わりになるし、パンもおいしく焼ける。おかげでヘルシオとバルミューダトースターが不要になった。洗面台水栓は垂直面から生えたやつにすべし。立ち水栓は根本が汚れる。ダブルボウルは便利だが、なくてもなんとかなる。それでお前はLIXILのYL-537を2台設置。洗面台と水栓が一体型で、かつ壁から水栓が生えている。本来は公共施設用のものなので耐久性が高い。それでいてシステム洗面台より安い。いいことづくめ。唯一の弱点は排水トラップが真下に生えるから下の収納に制約がでる。脱衣所にガスコンセントを引いておくと、ガスファンヒーターで冬の風呂上がりの寒さや洗面所の足元の冷えを解消できる。乾太くんやガス炊飯器もそうだが現代のガス機器は優秀なのにマイナーなのでもっと評価されるべき。トイレ安さに惹かれてパナのアラウーノにしたが、失敗した。パナはアラウーノの素材のことを「有機ガラス系新素材」とか言っているが、これは単なるプラスチック。普段は自慢の泡洗浄で汚れを防いているが、一度洗剤が切れると陶器の数倍の速さで汚れる。しかも洗剤の消費ペースが早く毎月補充が必要。めんどい。やはりトイレはTOTOにすべきだった。パナは商品設計はとても誠実なのに、どこかに弱点があると言葉のあやでごまかそうとするのがムカつく。パナソニックが聞きなれない単語を使い始めたら要注意だ!手洗い器は洗面所と同じで、垂直面から水栓が生えているやつにしよう。その点でサンワカンパニーはダメ。あいつらインスタ映えすることばっかり一所懸命でメンテのことを忘れてる。照明調光可能な照明を入れる人類は太陽の動きと連動して暮らす生活を何万年と続けてきたので、極力それに合わせた照明を計画するのが基本。究極は「日が沈んだら寝る」だが、現代人には無理ゲーなので「夕日が沈むのを遅らせる」のを目的とする。なのでだんだん暗くできる調光可能な照明をいれる。夕日の代わりなので暖色にする。色温度が変わる機能は不要。増田は風呂や納屋も含めて調光可能にした。深夜になにかを思い出して、納屋やトイレに行ったときにバチっと全開でライトが付くのは不快だ。パナソニックがまさにそういった夜間だけ暗くなる人感センサースイッチを出している。[トイレ壁取付]かってにスイッチ(換気扇連動・ほんのり点灯モード対応) | アドバンスシリーズ | スイッチ・コンセント(配線器具) | Panasonicタスク&アンビエント聞きなれない言葉かもしれない。これはタスク=作業場所とアンビエント=環境照明は別々に計画しましょうということだ。真っ暗な部屋でスマホライトをを下向きにすれば手元が照らされ、上向きにすれば部屋がぼんやり照らされる。照明は向きによって機能が変わる。食卓やキッチンなど何かしらの作業が発生する場所には下向きのライトで必要な明るさ確保、それだけでは全体が暗いので、上向きの間接照明で明るさを補うといい感じになる。食卓の上にペンダントライトを吊るのはタスクライトのためであってオシャレのためではない。この「何かしらの作業が発生する場所」はライフステージの中で結構変動するので、照明の位置や向き、数を可変できる「照明ダクト+スポットライト」が増田のオススメ。白くて丸いシーリングライトは、タスクに必要な明るさを確保しようとするとアンビエントまで過剰に明るくなる。す��と眼の光彩が絞られて手元が暗く感じる→さらに明るいシーリングライトを買ってきて・・・の無限ループに陥る。親のいる実家がどんどん明るくなるのはそのせい。シーリングライトは法律で販売禁止にすべき。それでお前は何にしたタスクライト→天井に配線ダクトをつけまくり、MAXRAYのレトロフィットスポットライトMS10481-44にウシオ電機のCシリーズの電球。 LDR6/5 E11 φ65 ロング(スポットライト) | 照明器具のマックスレイ | ウシオライティング(製品サイト) 信頼できるメーカーで調光可能で演色性が高くてそれなりに安いとなるとこのへんになる。ウシオ電機は一般にはあまり知られていないかもしれないが、建築業界ではとても有名な照明メーカー。器具自体はデザインでお好きにどうぞ。よく「LEDは10年もつぞ」と言われるが、その前に5年ぐらいで制御基板が壊れるので灯数が多い器具は電球が分離できるやつにしておいたほうがいい。アンビエント→リビングはコイズミの棚上照明。商品名の通り壁面収納の上を間接照明にして天井を照らしている。Shelf’s Compact Line|シェルフズコンパクトライン|コイズミ照明株式会社寝室は壁面にパナのホームアーキの壁面ブラケット。天井には照明無し。HomeArchi(ホームアーキ)|ブラケット|住宅用照明器具 | Panasonicスイッチ基本スイッチはすべてパナのリンクプラスで遠隔操作可能にした。���直高くついたしアプリは超クソだが、PSEを遵守したなかで選ぶとパナしかない。Philips Hueなどのスマート電球でリンクプラスの代用とすることも可能だが灯数が多いときはあまりオススメしない。演色性が低いのと基盤がすぐ壊れる。アプリはクソなので(2回目)、これらをArduino+Homebridgeで自動制御しているが、詳細を書くとこの日記が3倍に膨れ上がってしまうので、そのうちQiitaにでも書く。なお照明は製品設計としてそれなりに奥が深いので(インバーター周波数とか演色性とかカンデラとルクスとルーメンの違いetc)なるだけパナか照明専業メーカーのものを使おう。安いからってアイリスオーヤマとか買っちゃダメ![B! 家電] ブログ アイリスオーヤマのLEDシーリングライトのチラツキが酷いパナのアプリがクソで思い出した。パナソニックの玄関ドアホン、これもアプリも超クソだった。ピンポーンとなってからスマホで出るまでに30秒はかかる。 30秒もまたせたら相手は留守だとおもって立ち去ってしまう。それじゃあ、と思ってアイホン、Google Nest、Alexa Ring、も買ったが同様に遅延がひどい。どうしろと!!→結果、Aqara G4でなんとかジプシーを卒業できた。今んとこまともに機能するスマホドアホンはこれだけかも。安藤忠雄は好きです。
マンションリフォーム虎の巻
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ashrhal · 21 days
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20240407
「東京の街に出てきました。相変わらずワケの、わからないこと言ってます。」というのはくるりの東京という曲の歌詞だが、20代前半に北海道から東京に戻ってきたよりも一層色濃く、この歌詞が身体に馴染んで俺はいつまでも相変わらずワケのわからないこと言っていますなんだろうなと思う。
東京での暮らしが始まって1週間が経った。歳を重ねれば重ねるほど、時間が過ぎる速度は加速していくものだが、この1週間はこれまでの北海道での一ヶ月よりも一年よりも長く感じた。その理由は二つあって、一つは家の問題と一つは仕事の問題だった。
つまらない方から書く。仕事の問題だ。俺は北海道の職場ではそれなりにブイブイ言わせて活躍することができていたが、東京の仕事を知って感じたことは無力さだった。大学で人気者だった新卒の男の子たちが一般的に感じる無力さ同様、俺は東京の仕事量や周りのスキルにきちんと圧倒され、あーばばばと宣うこととなった。
具体的に言えば、Excelでピポットテーブルを使いこなすことなぞしたこともなかったが、周りのみんなはそれを呼吸するがの如くできる。他部署や他社との電話での"お話"をすることなんて今まで俺には無く、急にやらざるを得ない状況になった時に無意味なエヘヘへ〜という不気味な笑みを電話相手に聞かせてしまい気色の悪い結果となるが、周りの人はそんなことを普通にやってのけてしまう。そんな環境であることを期待していたにも関わらず、今の周りにとって普通のことを普通にできないという事実に直面してきちんと落ち込んでいるし、まあ新卒みたいなもんだからいずれできるようになるっしょという気持ちでなんとか乗り切ろうときちんと四苦八苦している。
業務量も北海道の頃の体感比4倍で、午後になるともう頭がピヨピヨしてしまう。労働時間もこれまでは19時まで残業したら俺は今日頑張った!と思っていたが、今は朝6時に起き19時半まで働くことがデフォルト。19時半からが残業だよなあと錯覚してしまうような環境がまだ1週間も働いていないのに当たり前と化している。
「なんで東京で働きたいの?」と質問されたらどう答えよう。理由は死ぬほどある。前の日記に書いたように、若かりし頃に得た東京の暮らしへの憧憬だとか、父親が高卒ででかい会社の偉い人になったからその視点や世界を味わってみたいだとか、目標や乗り越えなくてはいけない壁のようなものがないと退屈してしまう俺の性質だとか、社会人として北海道時代の俺への評価は果たして適切だったのか知りたいというような自身の社会性への期待だとか、シンプルに金が欲しいという浅ましい気持ちだとか。
それら���まざまな理由をもって東京に来たはずだったが、現実はそう甘くはない。今はなんとか、持ち前の「全員殺すぞ」という気持ちと、「なるようにしかならない」という適当な気持ちで4月1日からの1週間を乗り越えることができたが、今後どうなっていくのかは正直わからないという気持ちもあるし、まあ俺はなんだかんだで上手いことやっていくでしょうという根拠のない自信も微かにある。アサハラ鬱病編が人生に無いことを祈りつつも自分自身に健闘を祈る。
二つ目が家の問題だ。北海道では綺麗な1LDK、浴室乾燥機付、エアコン付、札幌中心まで徒歩5分で家賃7万円程度という、こと"家"という観点では何不自由ない暮らしをしていた。東京に引っ越すとなった時に、選択肢としては自身で賃貸を借りる、社宅に住むという2択があった。今でこそ思考停止していたなと反省することではあるが、奥さんと2人で住めるような家で、俺が住みたいエリアに住む家を借りて住むとなると家賃は最低でも12万円ほど必要だった。それに比べて、社宅は家賃1万円。年間コストで言えば120万円社宅に住む方がお得だった。その120万円という暴力にあえなく屈し脳死で社宅を選んだが、これがとんでもない物件だった。
駅徒歩15分、は最悪許せる。6畳間の和室が二つあることも最悪許せる。エアコンやガス台がないことも最悪許せる。部屋の壁と床に隙間があり、そこから冷気が流れ込んでくることや、小さな蜘蛛たちがどう頑張ってもそこかしこで跳梁跋扈してることも全然許せる。なぜなら俺は元無職だから。汚い家にはそれなりに慣れているつもりだから。が、しかし社宅のそれは俺の想像を悠々と超えており、初めて家に対して生理的に無理という気持ちを抱いた。
問題は水回りにあった。まず風呂がバランス釜。バランス釜って言葉みんな聞いたことある?少なくとも俺はこの家に住むまでなかったよ。加えて風呂の床は汚い雑巾みたいな色をした石でできており、シャワーの水圧は猫のおしっこよりも弱い。キッチンは一切水を流してなくとも時折ゴポッという音を立てて、ゲロを煮詰めたような香りが定期的に部屋に供給される。洗濯機置き場という概念が部屋に存在せず、今も洗濯機はキッチンの片隅で深い寝息を立てている。形として家のていをなして入るものの、昭和末期の団地の暮らしに時間軸を移行された感触がして、住めるような努力の手段も考えたが、とても住めたものではないというのが率直な感想だった。
可哀想なのは妻だった。俺の目的で東京の正社員を辞め北海道で暮らし始め、結婚して生活が安定してきたと思ったらまた俺の目的で東京に連れ戻され、住んだ家はゴミ廃墟、在宅勤務の妻にとって家というものがどんなに重要かは計り知れないが、結果的に相当量のストレスを与えることになった。
今日4月7日はそんな現状を打破すべく、2人でヘロヘロになりながら不動産屋を駆け巡り、ようやく良さそうな家を見つけたものの、いつも通り俺のキモさのせいで妻との話し合いがうまくいかずに喧嘩になって引越しの話は宙空に霧散した。
自分の嫌なことの話、お金の話など、すったもんだの言い合いの末、妻は俺に対して「決めて欲しい」と言った。俺は「引越しをしよう」と言った。その後に俺は自分だけが責任を取るのは嫌だと思いその浅ましい気持ちを忌避するために「その上で最終決定をして欲しい」と妻に言った。それまでの流れから、最終的には2人で引越しを決めるという大円団を想定していたが、妻は少し逡巡したのちに「この家で頑張って暮らしていこう」という結論を俺に伝えた。
新しい生活には不安はつきものだ。俺は自身の自己肯定感と全能感でそんなものはお釣りがくるもんだと鷹を括っていたが、何事もそんなにうまくはいかないらしい。ひとまず明日の朝までに俺はこのゴミみたいな家で、これから暮らす覚悟をしないといけない。今日の日記は本当につまらないな。
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ryotarox · 1 year
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(ChatGPTの力で「片付ける気すら起きないほど荒れた部屋」が楽に綺麗になった話 | ギズモード・ジャパンから)
Model: GPT-4 d 忙しくて部屋が荒れてしまいました。 片付けたいのですが、どこから手を着けたら良いかわかりま せん。 あなたに考えてもらいたいので、どこから片づけを始めるべきかあなたが判断できるまで、 私に質問をしてください。 一度に何個質問をしてくれてもいいです。 日本語ではなく、 英語でお返 事をください。
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ChatGPT :この度は、お部屋の片付けのご相談にのっていただき、ありがとうございます。喜んでお手伝いさせていただきます。状況をよりよく理解するために、いくつかの質問をさせていただきます。
1. あなたのお部屋の大きさはどのくらいですか(小、中、大)?
2. あなたの部屋にある物の主な分類は何ですか(衣類、本、電化製品など)?
3. 他のものよりも片付けが急がれるものはありますか(例:仕事道具、腐りやすいものなど)?
4. 棚や引き出し、コンテナなど、利用できる収納手段はありますか?
5. 部屋の片付けに割ける時間はどれくらいですか?
どこから片付けを始めたらいいのか、最適なアドバイスをさせていただきますので、これらの質問には英語でお答えください。
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私 :
1. 広くないワンルームマンションです。キッチン&ユニットバスを含みます。
2. 衣類、洗濯機、電子レンジ、冷蔵庫、本がたくさん、自転車が2台
3. 机の上にごみがたくさん乗っています。床がごみで埋まってしまっています。
4. クローゼットが1つありますが、整頓が必要です。本棚もありますが、ほぼ埋まっています。それ以外にいくつか棚もあり、いくらか空きがあります(有効活用するには整理が必要そう)。
5. 今日これからだと3時間くらいです。
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ChatGPT :ここでは、ステップバイステップのプランをご紹介します。
1. 机の上を片付ける :まず、机の上のゴミを取り除くことから始めましょう。机の上のゴミを取り除くことで、ワークスペースがすっきりし、他の仕事もはかどるはずです。
2. 床を片付ける :床に落ちているゴミを拾って捨てます。床がきれいになると、他の場所への移動が楽になります。
3. 洋服の整理をする :きれいな服はクローゼットへ、汚れた服は洗濯機へ。クローゼットの整理が必要な場合は、シャツをまとめて掛け、ズボンは畳んでしまうなど、似たようなものをまとめておくとよいでしょう。
4. 本 :可能であれば、不要になった本を寄付したり売ったりして、本棚のスペースを確保しましょう。そして、残った本をカテゴリーやサイズごとに整理しましょう。
5. その他のアイテム :電子レンジや小型家電、電化製品など、空いた棚を利用して収納しましょう。同じようなものはまとめて、よく使うものはすぐ手の届くところに置くようにしましょう。
6. 自転車 :自転車を置く場所は、部屋の中か、共用の収納スペースがある場合はそちらを利用しましょう。
以上の手順で、あなたの部屋はより整理され、使いやすくなるはずです。もし、まだごちゃごちゃしていたり、もっと収納方法が必要だと感じたら、収納容器や家具を追加購入することを検討してみてください。
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私 :1にとりかかるところです。デスク全体がいろんなモノが埋まっているのですが、どこから手をつけるといいでしょう?
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ChatGPT :散らかったデスクを片付けるには、まず体系的なアプローチから始めるとよいでしょう。ここでは、いくつかのステップをご紹介します。
1. ゴミを取り除く :まず、明らかなゴミや不要なものを処分することから始めましょう。そうすることで、残ったものを見やすく、分類しやすくなります。
2. 似たようなものをまとめる :机の上にあるものを、文房具(ペン、鉛筆、ノート)、電子機器(充電器、ヘッドホン、ケーブル)、身の回り品(財布、鍵、メガネ)など、カテゴリー別に分類します。こうすることで、優先順位をつけ、それぞれのカテゴリーに最適な収納方法を決めることができます。
3. 机の上を完全に片付ける :机の上にあるものを一時的に床や他の場所に移動させます。こうすることで、机の上が真っ白になり、理想の整理整頓がイメージしやすくなります。
4. 机の上をきれいにする :机の表面を拭き、ホコリやゴミを取り除きます。この機会に、ワークスペースを徹底的にきれいにしましょう。
5. アイテムの優先順位をつける :よく使うもの、手に取りやすいものを選びましょう。使用頻度の低いものは引き出しや棚に収納し、デスク上の目立つ場所に置くとよいでしょう。
6. 整理して収納する :デスクオーガナイザーやトレイ、コンテナなどの収納用品を使い、机の上に物を戻しましょう。似たようなものをまとめて、カテゴリーごとに収納場所を決めておくとよいでしょう。
7. シンプルに :机の上に物を詰め込みすぎないようにしましょう。清潔で整理されたワークスペースは、集中力と生産性を高めるのに役立ちます。
これらのステップを踏めば、整理整頓された機能的なデスクスペースを作ることができます。また、定期的に整理整頓をし、使ったものを片付けることで、デスク周りの整理整頓を心がけましょう。
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ChatGPTは質問させるのがよさそう。 「回答の精度が上がるから」という理由だけでなく、質問されることで、人間側の意識が変わるから。壁打ちの相手として人間より優秀かも。  
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locationhunting · 4 months
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🎯ロケーションハンティング™ 【明治神宮前8分 / 100㎡×4フロア / ¥25,300/h / iD : 19567】
◆原宿 / 渋谷区◆ ルーフトップ付き2階建1棟ビルのイベントスペース。
渋谷区は神宮前2丁目。原宿、明治神宮前駅からも徒歩圏内のルーフトップ付き1棟、地下1階地上2階建てのロケーションのご案内です。 質の高さは写真からも伝わりますが、内装、設備、家具と細部に渡り非常にグレードの高いものが使用されているこちらの会場。
各フロアおよそ100平米、1階,2階,地下1階とルーフトップの合計4フロアからなるこちらの会場。 1Fはシンプルかつミニマルな淡いトーンで統一されたギャラリー/ポップアップスペース。
2Fはドイツ製キッチン、各種輸入家具、ベッドルーム、シャワールーム付きのリビングダイニング的ハウススタジオ空間。 B1Fは白を基調としつつも要所の黒の縁取りがシックな印象のキッチン付きイベントスペース / 展示会場。
ルーフトップはグレートーン x コンクリート壁のクリーンな屋上スペース。また、全フロアにスピーカーとプロジェクターを完備。 1棟利用も可能なこちらのロケーション、展示会、ポップアップ、ギャラリー、各種イベントでの利用にオススメです。
  🚩会場ご提案サービス
提案サービスご利用無料。 会場利用費以外にご料金はかかりません。
豊富な知識と経験を持つ担当が ( 展示会 / ポップアップ / イベント / ギャラリー / 撮影 / 動画配信) など、会場のご希望をお伺いし即日提案を行っております。
(用途・エリア・広さ・ご予算・他ご要望 )を記載いただき、 下記お問合せ先で承っております。
🚩掲載会場募集のご案内
上質な会場を取り扱うレンタル予約案内サービスです。 タイプを問わず、質の高い会場を募集しております。
弊社の顧客を御社会場にご案内し、御社の会場運営に貢献できればと考えております。お気軽にお声がけくださいませ。
(会場のウェブサイトまたはお写真、住所)を記載いただき、下記お問合せ先までお声がけくださいませ。
🚩問い合わせ先 📩 [email protected] 📞 03-6809-0952
*公式ウェブサイト 🖥 https://locationhunting.jp
*ロケーションハンティング™️ 製作委員会
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huldah-with-joy · 2 years
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ハレルヤ
2022/10/26
片付けながら、ペンキとか見やすいように、白に塗った棚に並べてみました😃
わかりやすくて良いかも😁
壁や天井とかも白に塗ったので、とても明るくよいです✨✨
つぎは、キッチンの方の部屋も白く塗る予定です😃
まだ、掃除中で😅
頑張ろう、出来上がったら、塗った白い部屋で、部屋キャンプします✨
今日も主に感謝します✨✨
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tanakadntt · 1 year
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三輪隊の小説(二次創作)
三輪隊の四畳半
「広いな」
広くはない。
︎ しかし、三輪秀次の独り言に奈良坂透は同意した。
「確かに広い」
「ま、広いな」
︎ 米屋陽介も同意する。
「いつもが狭いのよ」
︎ 控えめに月見蓮もうなずく。
︎ 全員意見は一致しているが、本来ならば広くはない。
︎ 三輪隊作戦室の奥まった場所にひっそりと存在する四畳半の部屋だ。
︎ この作戦室に入室して最初に目に入るオフィス然とした大部屋と対照的に、奥にある四畳半の小部屋はのんびりとした空間だ。畳の間に座卓を置いている。
︎ なぜそうなったかは、三輪隊以外の者は誰も知らない。壁際には渋い色の階段タンスが配置され、︎日本画の色紙も額縁に入って飾られ、その風景はノスタルジーさえ感じさせる。
「サザエさんかよ」
とは、A級太刀川隊隊員である出水公平のツッコミだった。
しかし、磯野家の居間も八畳である。カツオとワカメの子ども部屋だって六畳もある。
︎ 狭い四畳半が広く感じられるのは、三輪隊狙撃手である古寺章平の昨日からの不在によるものだった。
︎ 兄さんたちは寂しいのだ。
︎ 当の古寺は本日は遠征選抜試験初日で、寂しさなど感じている暇は微塵もないだろう。昨日は隊長面接のために休みをとっていた。
︎ 古寺は試験のために編成された臨時部隊の隊長を務める。それが意味する未来を考えると三輪は寂しい。
︎ 遠征よりもっと先の未来の話だ。上層部が最終的にどのような決定を下すかは分からないが、四人がバラバラで活動することになっても、遠征が終わればチームに戻る。
︎ しかし、古寺が本当に隊長になる未来は思っていたよりもきっと早く来るのだろう。
︎ とうとう、ちゃぶ台に頬っぺたを載せて、突っ伏してしまった奈良坂を眺めた。こたえている。日浦も行ってしまったあとだしな。米屋はニヤニヤと笑って頬杖をついた。
「動画残しとく?」 ︎
︎「やめてやれ」
「章平、喜ぶんじゃねえ」
「喜ばないだろう」
「章平のことわかってねえなあ。秀次じゃねえんだから」
それはその通りで、三輪なら困惑するだろう。
「話を混ぜっかえすな」
「米屋、りょーかい」
︎ 米屋は最後のバームクーヘンの切れ端を口に放り込んで、ちゃんと残してあった緑茶の冷めたのをごくごくと飲み干してご馳走様と言った。︎
「んじゃ、ま、個人戦行ってくるわ」
「遅番だからあまり時間がないぞ」
「ブースに行っても審査と試験で誰もいない」
︎ 三輪と奈良坂に同時に言われても、わかってるってと立ち上がる。
「太刀川さんは、いるっしょ」
「太刀川隊は早番だから、任務中よ」
︎ タブレットを見ながら、月見も声をかける。
「はーい」
︎ それでも、出かけようとする米屋に三輪はついに名前を呼んだ。
「陽介」
︎ その声の調子を汲んで、
「りょーかい」
︎ 米屋はストンと腰を下ろした。そのまま、三輪を見る。表情は読めない。これは文句を言いたいのだろうと三輪は見当をつけた。
︎ 米屋は未来を憂えて寂しがるなんてことに価値を見出さない。今、古寺がいなくて寂しいのは共有できても、それ以上の共有はお断りなのだ。
︎ しかし、米屋はそうでもこちらにも都合がある。だから、三輪は米屋���引き止めた。
「お前までいなくなったら寂しいだろう」
「なんだよ、そりゃ」
「そのままだ。部屋が広くなって、寂しいという意味だ」
︎ 米屋はそれ以上は突っ込まなかった。
︎ 奈良坂が不機嫌そうに顔をあげる。
「別に俺は寂しくない」
「奈良坂だって引き止めていただろう」
「忠告だ」
「はいはい、りょーかい、りょーかい」
︎ 米屋はもう一回立ち上がると、すぐ脇の冷蔵庫から紙パックの緑茶を取り出してきた。
「狭い部屋が好きだねえ」
狭い部屋だ。
︎ 四畳半の畳部屋ができたのには理由という程のものはない。
︎ A級にあがった時は皆とにかくテンションが高かった。
︎ 憧れの部隊章、トリガー改造、作戦室も引越しになる。
︎ 部隊章のデザインについては大いに盛り上がり、めちゃめちゃかっこいいのが出来たと全員自負している。
︎ トリガー改造は米屋が張り切った。前々から考えていた槍型のトリガーを実装して、学業そっちのけで訓練室にこもってしまうほどだった。これは三輪にとっても待望の実装だったので、相当付き合った。
︎ 一方で、さほど、盛り上がらなかったのは部屋のインテリアである。そこは高校生男子のチームだ。
︎ 大部屋もオペレーター室も広くなり、小さいながらもキッチンもついた。そして、その横に申し訳程度の小さな部屋がひとつ増えることとなった。
︎ B級時代、作戦室でも︎受験勉強が出来るようにと購入した古寺の机はそのまま大部屋に置くこととして、増えた一部屋を何に使おう。
︎ まず、面々は月見に相談した。三輪隊がB級ランク戦を勝ち抜き、晴れてA級部隊になったことについて、月見が最大の功労者であることは戦闘員全員の意見が一致していた。
「月見さんが好きに使えばいい」
︎ しかし、月見は辞退した。本部にあるオペレーターのスペースで身支度するから、自分用はいらないと言う。彼女の幼馴染である太刀川慶曰く『結構、すごいとこのお嬢様』だ。作戦室で身支度したり休憩するのはかえって落ち着かないものかもしれない。
︎ そこで、︎応接室にしたらどうですかと言ったのは古寺だ。
こみ入った話をする面談室のイメージだ。しかし、却下された。
「客こねーだろ」
「俺たちに客? ないな?」
「ラウンジで済む話しかないだろう」
︎ 米屋、三輪、奈良坂に順に言われて、古寺は先輩たち、自己評価低くないですか?と思ったが、実際、用事があってもA級新参部隊はこちらから出向くことが多いし、相談事も滅多になかった。あってもラウンジで済むことばかりだ。
︎ 次に、奈良坂がテスト前に作戦室で勉強したいと言い出した。古寺の受験勉強が捗っ��のを見ていたからだ。しかし、目の前でダラダラされると集中できないからあのスペースを勉強部屋にしたらどうかという高校生らしい提案だ。それを聞いて、勉強のほうが大事だ、古寺の机も大部屋にある事だし、ダラダラするほうが狭い部屋でいいと三輪が言い切り、ダラダラするんだったら靴を脱ぎたいと米屋が希望し、そしたらフローリングか畳ですねと古寺が提案し、畳のほうが省スペースよと月見がまとめて、トントン拍子に狭い部屋の処遇は決まった。
︎ そこまで、決めてしまうと、みんなもう什器備品のことなどどうでも良くなって、
「今まで通り、タブレットあるし、モニターはまあ、なくてもいいな」
「タブレットの方が使いやすかったりしますしね」
「章平のパソコンもあるしな」
「必要になったら買えばいいんじゃね? 」
大部屋は作戦机、ロッカーからソファまでB級時代の作戦室から持ってきたものそのままざっくりと配置し、今に至る。モニターは未だに購入に至っていない。タブレットを持ち寄り、額を集めて相談する。
︎ 雑に決まった割には、四畳半はうまく機能し、それぞれダラダラもするし、全員でお茶もする。
長期遠征選抜試験が終わったら、まずはここで座卓を囲むことだろう。
終わり
︎ ︎ ︎ ︎ ︎
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senpenbanka0426 · 2 years
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San Myshunoのアパートあれこれ - その2
今回はSan Myshunoのアパート3つと施設2つを軽く紹介。 ただ、今回改装したアパートにちょっとしたバグを発見したから、次の記事で対処法を改めてUPする予定。(記事はコチラ)
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区画名:スパイアー・アパートメント888号室
DoubleBed:3 / Toilet:5 / Shower:2 / Bathtub:3
No CC
Need Pack : City Living
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唯一、3階層固定のアパート「スパイアー・アパートメント888号室」を改装。 1階にプールを設置する事を想定して作ったが、単純にギャラリーからDLするとプールは付いてこないので注意。階段と同じで自分で設置するのを忘れないでネ! 階段の場所はデフォルト状態の場所と同じ所にしてハーフ壁とかで区切っておいたけど分かりにくかったらスマソ。
あと、このアパートはブルドーザで整地すると外壁のペイントが一部剥がれるバグがあるんで、そこのところも注意が必要。一応、対策方法は別記事でUP予定。(記事はコチラ)
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区画名:ランドグラーブVIII
DoubleBed:3 / Toilet:4 / Shower:2 / Bathtub:2
No CC
Need Pack : City Living
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お次は、ランドグラーブVIIIを改装。こっちも多階層のアパートなんで階段の設置を忘れずに! 場所はデフォルト状態と同じ場所になりやす。
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区画名:ランドグラーブIX
DoubleBed:2 / Toilet:3 / Shower:3 / Bathtub:2
No CC
Need Pack : City Living
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ランドグラーブIXも外壁にバグがあるアパートなんで一応、注意。(記事はコチラ) あと、デフォルト状態と同じ吹き抜けを2階に作ったから使う時にちょい壁を自分で塗らないとダメかも。階段の設置も忘れずに!
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区画名:マイシューノ・メドウズ
Toilet:2
Lot Type : Central Park
No CC
Need Pack : City Living
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マイシューノ・メドウズも改装。雨が降ってる状態でも結婚式できる区画にしてみるか、とか思って小さいチャペル?みたいな物をド真ん中に置いてみたが……クッソ使いづら��て草。 キッチンも無いからウエディングケーキ忘れると結婚式失敗する可能性がある(笑)
風呂場も作る余裕なかったからなぁ。これは気が向いたら作りなしたい所(そして結局飽き散らかして忘れるパターン)
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区画名:スカイ・フィ��トネス
Toilet:3 / Shower:4
Lot Type :Gym
No CC
Need Pack : City Living
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ラストはスカイ・フィットネスを改装! うん、まぁ……普通だな! ただの普通なジムだから特に言う事ないわww
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これでSan Myshunoの区画は全部改装し終わった。ペントハウスとかは過去記事で上げてるんで改めて紹介するような事はしないZOY。
City Living縛りで全部作ったから似たり寄ったりな部屋ばっかりになってしまったが、個人的には使いやすいアパートになったからヨシ!
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※個人的なバックアップファイルを公開してるだけなので予告なく削除する時もあります。ご了承下さい。
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doctormaki · 1 day
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雨で濡れそぼつ日本を出発する。涙をこらえる。私ほど海外生活が嫌いにも関わらず、海外出稼ぎ労働者である人は日本では珍しいだろう。今回は、コレステロール値に気をつけながら、リハビリトレーニングしながらの日々の生活になる。ヨーロッパ好きぃーとかほざく幸せな身分に戻りたいが、白人至上主義が苦手な私は、アメリカの方が住んでいて居心地が良かった。かといって、ある種の特権階級にいないと、アメリカも大変だろうとも思う。いつも、何か目に見えないものにガッチリ守られている私、今回も無事に帰国できる日まで元気でいられますように。
JALのラウンジでは、関西からハワイへ飛ぶ家族連れの会話に微笑ましく思った。ハワイで、円が対米ドルで、どれだけ弱くなっているか体験する旅だ!と、お父さんが中学生と思わしき御子息と高校生と思わしきお嬢さん相手に鼻息荒く話しているのが、なんとも微笑ましい。その中、御子息の方は、おじいちゃんにもらったらいしペソをゴソゴソ、財布から出して、このお金、ハワイでチップに使えるかなぁとお父さんに相談。なんやこれ、ペソやないか?!とお父さん。おじいちゃんに貰ったんや、と息子。ハワイってやっぱ米ドルやよね。。と確認している息子さん。そして、どこでこんなペソ手に入れたんや、いつの時代のペソやと、ペソを見つめながら悩むお父さん。なんとも可愛らしい。
ヘルシンキでは、京都から、おばあちゃんと一緒にプラハへ二人旅に出るお嬢さんに会う。今回はフライトが遅延してしまい、プラハ便とハンブルグ便は乗り換え時間が三十分以下。ヘルシンキで荷物検査に入国審査もあるので、股関節手術した末期ガンのおばあちゃんを二人で気にかけながら、ヘルシンキ空港を一緒に早足で歩く。走れないワシ。走れないおばあちゃん。そして迫りくる時間。ヘルシンキは何回も利用しているので、私は大丈夫だが、彼女達は初めての空港。一緒に、入国審査で並んでいる時に、私は急ぐラインに変更されたのだが、彼女たちのフライトはゲートを閉められてしまったらしい。健気なお孫さんが、頑張ってプラハに連れてきたおばあちゃんとの二人旅、ワシは涙出そうになりながら、別れ際に係員に色々と聞いて、次の彼女たちのやるべき行動を聞き出して、伝えて上げるのが精一杯だった。良き旅になっていますように。
ハンブルグはかろうじて曇天だったが、スーツケース2つだし、重いので、乗り換えが大変な電車ではなくタクシーで楽をする事にする。BMWの電気自動車タクシーだったが、加速が速すぎて、急ブレーキを踏むドライバーのせいで、少し酔う。加速が速すぎるのは、あまり良くないと思う。
家に着いて荷解きし、ママに愚痴ってから、雨が降る中、お買い物に行く。1月には戻る予定だったので、なんだか気持ちがまだ1月のままだった事に気付く。馴染のスーパーの棚替えや、閉店した店、開店した店に、時の経った事を感じる。ハンブルグは、店の回転が早く、一昨年、通いまくっていた店の半分はもう存在しない。
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ゴーアジアという馴染の中華食材スーパーに行き、顔を覚えていた店員さんに、親しげに中国語で話しかけられて戸惑う。お前、ワシの事を今までずーっと中国人やと思うとったんか。。。でも納得。最近のヨーロッパで見かける日本人は貧相な人が多く、中国人の方が、まともそうな方がチラホラいる。ハンブルグ日本人会に誘われたが、お前らと一緒にされるんやったら亡命しちゃるわい。。。と心底思うような人相と雰囲気の日本人しか、ハンブルグでは見かけん。ちなみに、今の領事は上智でた女性です。良く高級デパートで見かけるので、棚の間から会話の盗み聞きストーカーをしますが、実に下らない話ししか聞こえてこない。あんなオバハンがトップの日本人会なんて、入会費免除どころか、入会費分貰えたとしても、お断りですことよ。
チンゲンサイがお店に入っていたのでゲット。昼はブロッコリーとレタスの炒めサラダ。夜はチンゲンサイの炒め物と、アリシアさんが作ってくれたキムチとチャプチェで野菜たっぷりチゲ。日本で手に入れた韓国味噌は、だんだん熟成されて八丁味噌のようです。
今朝は朝からなんだかんだ整理して、疲れたので編み物して、ランチは、お風呂の師匠に教えてもらった塩麹で作る素麺チャンプル。鰹節を振掛けて食べると、劇うま。心配だった糠床は、表面は様々なカビが生えていたが、まぁ予想通りだったので、カビを取りきって、昨晩からブロッコリーの芯を皮剥いて捨て漬けしている。空気を入れたら、香りは復活してきているので、大丈夫かな。。。
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留守中、誰かに侵入された形跡あり。破壊されたくまちゃんの蛇口がポイとされていて、悲しいが、取り付け直す。ワシのキッチンでは、どうやらトマトのパスタソースを使ったらしく、壁にべっちょりとトマトソースが着いていた。ワシは神経質の綺麗好きなので、そんな事して家を留守にしているわけもなし。カーペットには、ワシは食べないパンのかけらが落ちているし。。。この部屋で、ワシの留守中、何があったのか不明だが、気分悪い。合鍵は研究所が管理しているので、研究所関係者が侵入したのだろう。入るなら入る、使うなら使うと言ってほしい。失礼極まりないし、ドイツ人とスイス人は全く信用ならん、と改めて思う。
昨日、牛乳や野菜を持って歩いたので、左脚が痛む。重い荷物を持ち歩くなんて、日本ですらやらないお嬢様なワシ。頑張ってリハビリしないと、体がボロボロになるぅ。
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helloharuo tour 2014
Wednesday 16 April 2014
真観は、箱根の旅館に向かった。箱根までは約1時間で到着。この旅館でチェコから来ている観光者Dと初対面。昨年知り合ったチェコの女性Mからの紹介だった。Mは、大学で心理学の教授をしているがその彼女のクラスの生徒の母親が日本に来て箱根に泊まる。その彼女の箱根エリアの観光案内をして欲しいというリクエストだった。真観は快く承知した。9時にDが滞在してい旅館の前で彼女と合流。DとはFacebookで既に繋がっていて何度かメッセージのやり取りをして交流を始めていた。真観は彼女を車に乗せて「helloharuo tour 2014」をスタートさせた。旅館の前には橋が架かっていてその橋の両側に鯉のぼりが何体も風に吹かれて泳いでいた。鯉のぼりの意味をDに話すとチェコではポピュラーで食用するとのこと。真観には新しい情報だった。Dがお茶に興味を示していたので真観は強羅公園に先ず向かった。この公園には茶室があるからだ。強羅公園の入場料は500円。茶室に着いて抹茶とまんじゅうセットで500円。簡易的にサービスされ後は3カ所の茶室を回った。湯を湧かす為の正方形の小さい炉を塞いでいた畳をひっくり返してDに炉について説明すると『畳がこんなに厚いとは知らなかった』と言った。彼女には意外だったんだろう。真観たちがこの茶室を去る時に外国人の団体がやって来た。Dは、彼らの言葉を聞き『ロシア人だわ。チェコ人はロシア人は好ましく思っていない』と言った。真観はその意味を理解していた。それはかつて1968年に起きたロシア侵攻、いわゆる「プラハの春」があったからだ。Dは、チェコでアメリカのパソコン関係の会社の弁護士をしている。歳は真観の1歳上。初めて会った真観だったがDのオープンな性格と真観のオープンな性格がマッチしたのか一緒にいて会話は弾んだ。���に向かったのは富士屋ホテル。ジョンレノンも泊まったと言うホテルならば印象も深まるだろうという真観の案だった。このホテルは、つい先月Kちゃんと訪れたばかりだった。和洋折衷のホテルはDにとっても興味深く感じた様で連れて来て良かったと真観は思った。次に予定していたのは富士山須走口。箱根からR138、そして東富士五湖道路のインターに入った。そして真観は道を間違えたことに気付いた。仕方なく一つ目のIC、山中湖で降りて真観はiPhoneで富士山須走口を検索し一般道路で引き返すことにした。山中湖に差し掛かった時ランチの時間でもあったのでイタリアンレストランを見付けて入ろうとしたら休日だった。これまた仕方なく富士山須走口を見付けることを第一優先と考え車を進めた。まもなく「須走道の駅」を見付けてここでランチを食べることにした。そして真観はやっと富士山須走口に行く為には東富士五湖道路に入っては行けないんだと悟った。「須走道の駅」のレストランは富士山がバッチリ見えるレストランで二人とも「富士山カレーライス」を食べた。このカレーライスのライスは富士山に見立ててライスの盛りつけをしていて日本人の芸の細かさをDは知った。さて食事も終わり富士山須走口に行こうと車を走らせた時更なるどんでん返しがあった。雪でまだ通行止めだというのだ。確かに富士山に雪が積もっているのは茶畑庵からも確認出来ていたがこれは大きな誤算だった。富士山須走口を目指したのはそこから行ける「小富士」に行きたかったからだ。う〜ん、残念。
Dは真観の観光案内にフレキシブルに対応してくれて『富士山が見れればそれで十分』と言ってくれた。真観は気を取り直して古巣十里木高原へと向かった。R469を上り忠ちゃん牧場の先にある富士山絶景スポットに案内。Dは大変感動してくれて何度も真観に感謝を伝えた。今日の富士山は空にガスがあり少し霞んでいたが標高1000mの十里木高原に来たらすこしばかりクリアーに見ることが出来た。そしてさらちょっとした感動をと真観は思い十里木展望台へと向かった。途中真観はDに東京から静岡に引っ越しをするきっかけになった友人のペンションも紹介する。そうやってDとの道中お互いのことを話して打ち解けて行く。Dはご多分にもれず?離婚を経験していたり、その訳あって子育てで子供に辛い思いをさせたことや社会主義時代のチェコの話をしてくれた。真観も出身地から上京しカメラマンになるまでの経緯や日本についての考え等を話した。十里木展望台の駐車場には車が沢山停まっていたが人気はなかった。そして約10分2人は展望台へと登って行く。Dは少々運動不足の日々を送っている様で途中途中立ち止まっては休憩しながら登った。展望台に着くと気持ちよい絶景が待っていた。二人ともこの時ばかりにカメラの機能であるパノラマで撮影をする。そうやって撮りたくなるほど景色はパノラマに広がっていた。当初「小富士」に行く予定で観光案内のスケジュールを組んでいたが諸々で変更となりその分時間に余裕が出来ていた。真観はDに箱根に帰る前に茶畑庵を紹介したいと言った。Dは、茶畑にも興味を持っていたので丁度いいと真観は思った。そして外国からの観光客にとって日本の家屋の造りを見るのも良かろうとの判断だった。茶畑庵の到着すると庵内に入る前にバックヤードにある茶畑に案内した。天気が良ければ富士山が茶畑の向こうにそびえるのだが富士山は雲のベールでかすかにシルエットだけだった。この茶畑庵のバックヤードにある茶畑は茶畑らしい?形状を持ちとてもフォトジェニックである。茶畑庵の中に入ると真観はDに各部屋を紹介した。それはいつも茶畑庵に初めてやって来訪者たちへの恒例の案内。Dは、キッチンや壁の素材に興味を示した。それとバスルームで使う桶は何の為にあるのか?と質問して来た。恐らく日本の旅館に泊まった際に温泉の浴場に置いてあったのだろう。立ちながらシャワーをする欧米人には不思議なモノに写るのだと思う。真観は、バスルームに入って水のないバスタブから水を汲む振りをしてどう使うかをジェスチャーで紹介した。次は寝室そしてリビングと移りオーディオルームやレコードの説明そして坐禅部屋で坐禅の組み方も披露しDにも体験してもらった。英語で禅について説明するのは難解なのでインターネットで調べてほしいと頼んだ。2回に上がり仕事部屋から見える富士山を見たDは真観をうらやましがった。外国人にも富士山は憧れの山ということだろう。ライブラリー室に移ると真観は自身の作品、今回はウェディングアルバムの数々をDに見せた。Dは、一枚一枚ページを丁寧にめくり見ていた。ウェイディングは各国共通項の行事。ウェディングにどれだけの費用が掛かるのかとかどうしてお色直しをするのか興味津々だった。
夕暮れになり時間も6時近くになって来た。そろそろDを箱根の旅館に戻す時間になった。真観は茶畑庵を出発してDに真観が毎朝通う禅寺に案内した。禅寺には枯山水の庭があるのでツアーの最後に紹介したかったのだ。Dは真観の坐禅についての話を彼女なりに汲み取って自分の生活に何かが足りないのかもと気付いた様だった。真観自身がそうだった様に。
もう空は暗くなりヘッドライトを点灯してのドライブになった。朝Dと話した時に旅館でのディナータイムは7時半からだと聞いていたので今回のツアーはそれまでには終えようと真観はスケジュール調整して観光案内をした。
真観の車アーティ21スペシャルが旅館に着いたのは7時13分。 「helloharuo tour」はこうして無事に終える事が出来た。 Dとはこれからもkeep in touchで行こうとハグをして別れた。 いい出会いに感謝。
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thanatochu · 14 days
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Hydrangea
綾子主ほのぼの日常編 黒い森を抜けたあと、の続き
春の終わりに、出会ったばかりの僕たちが共同生活を始めてしばらく経った。 今ではもう梅雨の季節で毎日雨が降ったり止んだり、じめじめとしたお天気が続く。樹さんに頼んで乾燥機買ってもらえて良かった。 樹さんは割と子煩悩というか叔父馬鹿なところがあって、甥っ子の快適な生活のためなら金と労力は惜しまないと豪語する。 僕としてはそんなに甘やかしちゃ駄目だよとブレーキ役のパターンが多くなってるんだけど、多紀を甘やかしたいのは正直とてもよく分かるので結局甘々な僕たちを多紀本人が諌めてくるという構図。 多紀はこの春から転校して近所の小学校2年生になった。 最初は内気なのもあってポツンとしていたようだけど、僕らと暮らすようになってから笑顔も増えて友達も出来たらしい。お勉強も頑張っていると連絡帳にも書いてあった。 僕は表向き、樹さんたちの遠縁ということにしてもらっている。みんな苗字がバラバラでも辻褄が合うように。ごく普通のママとパパがいる家庭ではないと、多紀が変な噂を立てられないように外面は良くしておくに越したことはない。 同級生のママさんやPTA、ご近所付き合いまで僕が一手に引き受けているけど、若い女の子たちとの会話とはまた違ったスキルが要求されるので、慣れるまで大変だ。 実のところ僕は2009年どころかもっと先の未来のことまで知っているので、2000年代初頭に生きる人たちと話しているとジェネレーションギャップみたいな気分になっちゃうことがよくある。うっかりSDGsが、とか言わないようにしないと。 でも皆さん基本的に良い人たちだ。近所には緑も多い公園があり、曜日によって種類の変わる安売りセールのスーパーと、閑静な住宅街で広々とした居住スペース。子供を育てる生活環境としては今のところ何の問題もなく満足している。 最初にこの環境を整えてくれていた樹さんには頭が上がらない。 多紀の父方の親戚連中に随分とご立腹の様子で、その頃の多紀を見たらそれは無理もないだろうなと推測する。 親戚たらい回しの放置されっぱなし、愛情のお水を貰えずに干涸びて。そんな環境で育ったら他人に期待しなくなるのは当たり前だ。 巌戸台に越してきたばかりの、舞い散る桜も空の青も、綺麗なものを何も映していないような君の灰色に霞んだ瞳を思い出す。 どうでもいいなんて言わせない。そのために僕らは家族になったんだ。
そろそろ多紀が学校から帰ってくる時間だ。 僕は樹さんと多紀が選んでくれた黒のデニム生地のエプロンを締め直して、おやつ作りに取り掛かる。 蒸し暑くなってきたからゼリーとか涼しげなのも良いなあ、なんて考えながら定番のホットケーキだ。休日の朝ご飯にはじゃがいもをすり下ろしたパンケーキが好評だったけど、今回はおやつなのでメープルシロップとバターを多めに。 「ただいまー」 焼き上がったいいタイミングで玄関のドアが開いた。 「おかえり。今日も楽しかった?」 「うん。今度ね、遠足があるみたい。おべんと作ってくれる?」 「へえ!いいねえ〜頑張ってお弁当さん作っちゃうよ」 おやつがあるから手洗ってね、と言うと多紀は素直にランドセルを置いて洗面所に向かった。 冷たい牛乳と一緒にホットケーキを並べると、戻ってきた彼が「いいにおい」と顔をふんわり綻ばせる。もう、うちの子すっごく可愛い。 僕の分は最初に焼いた、あんまり上手い焼き色にならなかった1枚でカフェオレと。やっぱり皆で選びに行ったランチョンマットは色違いの豚さんだ。 「ジュジュの分ある?」 「あるよ、ちゃんと作ってあるから大丈夫」 ジュジュとは樹さんのことだ。音読みで、じゅ。 教えてもらった時は微笑ましいなと思ったけど、最初に言い始めたのは樹さんのお姉さんなんだそうだ。つまり多紀の亡くなったお母さん。 ひと回り近く歳の離れたしっかり者のお姉さんだったそうで、もう姉というより母親が2人いるみたいだったと樹さんが溜息を吐いていた。 「ジュジュ今日も帰り遅いのかなあ。おしごと大変なのかな」 「夏休み取れるように今から頑張ってるんだって。お祖父ちゃんち行くんだもんね」 「うん!」 学校が夏休みになって樹さんも纏まった休みが取れたら、実家のお祖父さんとお祖母さんに会いに行こうと計画している。 長閑な田舎に遊びに行く夏休み、なんて絵日記が捗る子供らしいイベントだ。 多紀は小さい頃に会っただけで記憶も曖昧だけど、電話ではよく話しているので2人に早く会いたいと毎日とても待ち遠しそうだ。 こんな時に、そういえば向こうの多紀もお爺さんお婆さんが好きだったな、なんて考えたりする。文吉さんにクリームパンをポケットに捩じ込まれたと満更でもなさそうに僕に半分くれたことがあって、くすりと思い出し笑いが漏れた。 とても懐かしいし君に会いたいなとは思うけど、その彼を堂々と迎えに行くために此処に来たんだ。ホットケーキを咀嚼して感傷的になってしまった気分を振り払った。
遠足はどこに行くの?お弁当は何食べたい?などと話しながら夕飯を2人で済ませ、お風呂上がりに水分補給していると樹さんがようやく帰宅した。 「あー、つっかれた…」 「ジュジュ、おかえり」 疲労と空腹でよろけている叔父さんを玄関まで多紀がお出迎えする。手には飲みかけの乳酸菌飲料が入ったコップだ。 「ただいま〜。良いもん飲んでるな。ひと口くれよ」 「ええ〜。ひとくちって言ってジュジュいっぱい飲むんだもん」 「この前は喉乾いてて、つい。悪かったよ。それとジュジュじゃなくてたつきって呼べ」 パジャマ姿の甥っ子をハグして謝りながらも文句を言う。 こうしていると本当に雰囲気が似ている叔父と甥だなと思う。樹さんのほうが少し癖っ毛で毛先が跳ねているけど、2人とも青みがかった艶やかな黒髪だ。僕も黒髪だけど、色味が違う。 樹さんはよく見るとアメジストみたいな瞳の色をしていて、仕事中は外しているけど左の耳にピアス穴がある。 多紀と違うところといえば、叔父さんの方が男の色気があるところかな。多紀はもっと中性的だし。 これで大手企業にお勤めなんて、かなりモテるんだろうなあ…とぼんやり思うけど今のところお付き合いしている恋人さんはいなそうだ。普段はできる限り早く帰宅するし、仕事と甥っ子に全振りしている。 そんな叔父さんに渋々ながらも結局自分の飲み物をひと口あげている多紀は偉いなあ、と家族の考え事をしながら樹さんのご飯の支度をした。 「玄関の紫陽花、綺麗だな。買ってきたのか?」 シューズボックスの上に置いた花瓶を見たのだろう、ネクタイを外しながら樹さんが訊いてくる。 「ご近所の榊さんのお庭にたくさん咲いたからって、お裾分けしてもらったんだ」 色とりどり、形も豊富な紫陽花をお世話するの上手ですねって正直に感想を述べたら、少し切ってあげると品の良い老婦人が花束にしてくれた。 バラや百合みたいな派手さはないけど、今の時期しか嗅げない匂い。梅雨も悪くないなって思えて結構好きなんだ。 ドライフラワーにしても綺麗なのよ、とその人は笑っていた。 「ぼくもあじさい好きだよ。雨の雫が似合うよね。あっ、でも遠足の日は晴れて欲しいなあ」 「遠足があるのか。そりゃ雨じゃちょっと残念だもんな」 席に座って、いただきますとお箸を手に取りながら樹さんが頷く。 「近くなったらてるてる坊主作ろうね。すごく大きいのと、小さいのたくさん作るのどっちがいい?」 「小さいのいっぱい!」 「ふふ。布の端切れもいっぱいあるからカラフルなの作ろう�� そんな話をしているともう夜の9時を回っていた。いけない、多紀の寝る時間だ。 「歯磨いて寝る準備出来た?じゃあ昨日の続きから少し絵本読もうか」 「うん、歯みがいた。ばっちり!」 「樹さん、食べ終わったら食器は水につけておいて。お疲れなんだから早くお風呂入って寝てね」 「ふぁい」 夕飯のチキンソテーとおやつのホットケーキを頬張りながら樹さんが返事をする。 「たつきもおやすみなさーい」 「ん、おやすみ」 挨拶のあと子供部屋へと入る。樹さんが用意した多紀の部屋は愛に溢れていて、子供用らしく可愛いパステル色で揃えられた壁紙やラグ、家具と小物に至るまで趣味がいい。おもちゃも温かみのある木が多く使われていて、こういうのお値段結構するんだろうなと思う。 多紀をベッドで待っていたのは小さめのクマちゃん。樹さんが買ってくれたぬいぐるみで、キャメル色の毛並みに水色のリボンを首に巻いている。 多紀はいつも枕元で座っているクマちゃんと、その下に畳んであった柔らかく肌触りのいい木綿のタオルケットを抱きしめる。 青と黄色のチェック柄で、両親と住んでいた昔から愛用している所謂セキュリティブランケットだ。 それらに囲まれてふかふかのお布団に入り、少し絵本を読み聞かせるとすぐに多紀はうとうとし始める。 以前までは寝つきが悪かったようなので、精神的に安定してきたなら何よりだ。 しっかり眠ったのを確認して掛け布団を整えて、僕はキッチンへと戻った。丁度お風呂上がりの樹さんがタオルで髪の毛を拭きながらテレビのリモコンを操作している。 僕が温かいほうじ茶を淹れてテレビ前のテーブルに置くと、「お、ありがと」と笑ってひと口啜った。 樹さんは家ではお茶とコーヒーばかりだ。仕事の付き合い程度にはお酒を飲むけど、プライベートまで飲むほど好きでもないそうだ。 僕もお酒は飲めないのでちょっと親近感。もう半月くらいすると、多紀と一緒に漬けた梅ジュースが飲み頃になるから楽しみなんだ。 「多紀は今日も元気だったか?」 「うん。ジュジュの分のホットケーキはあるの?って心配してた」 「ははっ。無かったら半分くれる気かな」 多分ね、と相槌を打ったら樹さんはしみじみと優しいなあと呟いた。 「さてと。俺もメールチェックして早めに寝るかな。ごちそーさま」 「お疲れさま。おやすみなさい」 樹さんが自室に入る足音を聞きながら残りの洗い物を片付けて、自分も休む。 当然ここでも毎晩影時間はある。多紀が象徴化しないのはもちろんだけど、樹さんもペルソナ使いだからか、それとも適性の問題か、普通に棺桶にならずに寝ている。それでも影時間のことは認識していない。 一応シャドウが2人に悪さをしないように、いつ多紀が影時間に目覚めてパニックを起こしても対処できるように周囲の気配を見守っているつもりだけど、現時点ではそんな心配もいらないようだった。
遠足は今週末の金曜日。天気予報では雨の確率は50%といったところで、今日帰ってきたら多紀と一緒にてるてる坊主を作ろうと約束していた。 本日のおやつはいちごババロアが冷蔵庫に冷えている。お湯と牛乳で作れるもので簡単で美味しい。 布団乾燥機を稼働させながら夕飯の下拵えまで終わったところで、多紀がまだ帰ってこないことに首を傾げた。 奥様方が小学生にも子供用PHSを持たせようか、まだ早いか話題に上がっていたのを思い出す。いざという時に連絡がつく安心感は重要だ。 小雨の降る窓の外を眺め、エントランスまで様子を見に行こうかとヤキモキしていたら多紀が帰ってきた。 「ただいまー」 「あっおかえり。ちょっと遅かったね?何かあったの」 「うん。リサちゃんちでね、子犬が生まれたって聞いたから触らせてもらいにいったの」 レインコートを脱いで傘立ての横にある壁のフックに引っ掛けながら、多紀が早口で説明してくれる。 ふわふわの触り心地を思い出したのか「これぐらいでね、茶色くて」と両手で抱える真似をしながら、かわいかった〜なんて笑うから、心配していた僕のほうまで笑顔になる。 中型犬より大きめの体で、毛が長くフサフサした母犬だと言っていたので数ヶ月もすれば子犬もすぐに大きくなるんだろう。 「りょーじも今度いっしょに見に行こう?」 「うん、僕も出来れば抱っこしてみたいな」 おやつの後にお裁縫道具と端切れを出してきて、てるてる坊主作りに取り掛かった。 そのまま吊るすと頭の重さでひっくり返っちゃうからどうしようか、と2人で相談して体の部分に重りを仕込めばいいんじゃない?という結論に至った。 多紀にビー玉を提供してもらって、いくつか綿と一緒に袋詰めして端切れを縫い合わせたマントの中に仕込んだら、顔を描いて首にリボンを取り付ける。 「ジュジュと、りょーじと、ぼくと、じいじとばあばね」 5体のカラフルなパッチワークてるてるが出来上がり、カーテンレールに並んで吊るされた様子はなかなか可愛い。 「これで金曜日は晴れるね」 「うん!」 「樹さんが帰ってきたら見てもらおう」 「どれがジュジュか分かるかなあ」 「きっと分かるよ、多紀がみんなの顔描いたんだもん」 多紀とは逆に、今日は少し早く帰宅した樹さんが感心したようにカーテンレールを眺める。 「へえ。随分イケメンに描いてくれたな」 「だってジュジュいけめんでしょ」 「望月だってイケメンだろうけど。タレ目と吊り目の違いか?」 樹さんのてるてる坊主はキリッとした印象で、ピアスも忘れずに描かれている。僕の顔はぐりぐりした目の横にホクロが描いてある。ちゃんと黄色いマフラーも多紀が首に巻いてくれた。 久しぶりに皆揃って夕飯を食べながらリサちゃんちの子犬の話になった。 「多紀は犬が好きか。うちの実家にも白い雑種の、ももがいるぞ。覚えてるか?」 「…いぬ?お鼻がピンクの子?ジュジュが撮った写真があった」 「そうそう。もう今年10歳だからおばあちゃんだけどな。まだまだ元気だって聞いてるから夏休みに会えるよ」 「うん。ぼくのこと覚えてるといいな」 「ももちゃんかあ。僕も仲良くなれるかな」 野生の本能なのか、動物全般に僕はあんまり好かれない。そもそも近くに寄り付かないし、威嚇される時もある。怯えさせないようにしたいんだけど。 僕と眼を合わせられるコロマルくんの度胸はすごかったなあ、なんて記憶の中の白い犬を思い浮かべた。 「飼いたいなら…うちでも飼えるんだぞ。ここのマンション中型犬までなら大丈夫だし。猫だっていいけど」 「えっ。…ええと、そっか。でも、もうちょっとちゃんと考えてみる…」 多紀は最初に分かりやすく目を輝かせたけれど、ぐっと踏み止まって大人みたいな対応をした。確かに命を預かる責任が生じることだ。 「ああ。よく考えて、どんなことが必要か勉強しておこう。そうすればきっと出会うのに相応しい時に会えるよ。こういうのも縁だからな」 叔父さんに頭を撫でられて、多紀は嬉しそうに頷いた。
ついに遠足当日。朝のお天気は薄曇りで、念の為の折り畳み傘だけで済みそう。 お弁当は前日から練習してみたけど微妙なヒーホーくんキャラ弁。まだこの時代には100円ショップを探してもそれほど種類豊富なお弁当グッズが売ってないので、ちょっと苦戦した。 海苔とスライスチーズでフロストの顔を作り、体はミニハンバーグ。彩り重視で卵焼きにウィンナー、ブロッコリーとミニトマト。仕上げに保冷剤代わりの、冷凍にした小さいゼリーを添えて。 小さめのおにぎりを2つ入れたら準備完了だ。出来栄えは食べる時のお楽しみね、と多紀には言ってある。 おやつは多紀の好きなお菓子と水筒には麦茶。これだけで小さな体には結構な荷物だ。 「忘れ物はないかな?」 「えーと、うん。みんな入ってる」 「よしよし。じゃあ気をつけていってらっしゃい」 「うん。いってきます」 多紀が靴を履いていると洗面所から樹さんが慌てて玄関までやって来た。 「待て。俺にいってきますのチューは?」 「チューなんていつもしてないよ」 呆れながら多紀は膝をついて屈んだ樹さんにハグをしてあげる。ぽんぽん、とリュックを背負った背中を叩いて樹さんが「楽しんでこいよ」と笑った。 笑い返して頷いた多紀を送り出すと樹さんが身支度に戻る。僕は彼にトーストとコーヒーを用意して、後はお弁当の残りおかずで朝ごはんとする。 「てるてる坊主のご利益があったな」 「そうだね。帰りまで保てばいいけど」 照ってはいないが朝から土砂降り、なんてことにならないだけ御の字だ。 たくさん作った分の効果があったのかな。
金曜日はお肉セールの日。豚コマと鶏挽肉を買ったスーパーの帰り道に「望月くん」と声を掛けられた。声がした生垣の方を見ると、先日の紫陽花の老婦人が手招きしている。 「榊さん。こんにちは、先日は綺麗な紫陽花ありがとうございました」 「いえいえ、どういたしまして。それでね、今日も良かったらなんだけど」 今度はやや小さく、もこもことした可愛い白色の紫陽花をくれた。 「紫陽花の花言葉は移り気なんて言われるけど、てまりの種類には家族や団欒なんていうのもあるの。白い紫陽花は寛容とか一途な愛情。色や形で様々な花言葉があるのも魅力ね」 「そうなんですね…家族か。うちにぴったりです」 「でしょう?それとね、これはお裾分けなんだけど。ちょっと時期はズレちゃったけど美味しいものは変わらないわ」 渡された紙袋の中を見ると柏餅だ。葉っぱが緑のと茶色いのがあって、中身の餡が違うのだそうだ。こし餡と味噌餡。どっちも美味しそう。 「わあ、今年の端午の節句はもう終わっちゃってて、お祝いできなかったので嬉しいです。ありがとうございます」 「よく行く和菓子屋さんのなんだけど、まだ柏餅売ってたから買って来ちゃった。多紀ちゃんによろしくね」 ぺこり、とお辞儀し合ってまた歩き出す。我が家はみんな甘いもの好きだから、洋菓子和菓子関係なく喜ぶ。 空を見上げると雲は厚いものの、まだ雨は降らなそうだ。多紀が遠足から帰ってきたら柏餅でおやつにしよう、なんて考えながら家路を急いだ。
貰った白い紫陽花は壁際のキッチンカウンターに飾った。花瓶も可愛らしく小ぶりな桜色にして、部屋も明るくなったようで見ていると和む。 「ただいまー」 玄関が開く音のあと、すぐ元気な声が続いた。 「おかえり。遠足どうだった?」 「楽しかったけど、ちょっとバス酔っちゃった」 「あれ。酔い止め効かなかったかな」 「帰りは平気だったよ」 「そっか。良かった」 話しながら多紀がリュックからゴソゴソと取り出したのは空のお弁当箱と水筒。それからやっぱり全部空になったお菓子袋。 「おべんと、ごちそうさまでした。みんながねー、すごいってほめてくれた」 「おお!ひとまず安心したけど、個人的にはクオリティがいまいちなので…次に頑張るね」 「そなの?上手だし、おいしかったよ」 「…うちの子って、なんて良い子なんだろ」 首を傾げる愛くるしさにぎゅーっと抱き締めると「わかったわかった」と腕をぽんぽん叩いてあしらわれる。さっさと抜け出した多紀は手を洗いに行ってしまった。 真似してるのか無自覚か、仕種が叔父さんに似てきたなあ。 「お皿のね、絵付けたいけんしてきた。焼いてから学校に送ってくれるんだって」 「へー!なに描いたの?」 「ひみつ!」 笑いながらリビングへ入って、てるてる坊主に「雨ふらなかったよ、ありがとう」なんてお礼を言ってる。それから白い紫陽花に気づいて顔を近づけた。 「あれ?新しいのだ。きれいだね」 「さっき買い物帰りに榊さんに会ってね、また貰ったの。それと多紀にって柏餅も貰ったよ」 「かしわもち!こどもの日に食べるやつだ」 「みんなで住み始めたの大型連休過ぎてたから、お祝いしそびれてたよね。お祝いといえばお誕生日も!来年は盛大にやろう。ケーキ作っちゃおう」 「うん。その前に2人のたんじょうびだと思うけど…ジュジュは夏生まれだって言ってた。りょーじは?」 「僕?うーん僕は…秋生まれかなあ?」 正直、誕生日も歳もよく分からない。どこから数えたらいいのかも曖昧だ。 強いて言うなら、君にファルロスとしてお別れを言った朝の、次の日なのかなと思っている。そこから今の僕が形成された。もう随分昔のことみたいだけど。 「じゃあ、きせつが変わるたびにお祝いできるね。ケーキぼくも手伝う!」 にこにこ笑った多紀が、はたと思い出したように紫陽花を見上げた。 「あじさいのおばあちゃんにお礼したいな」 「そうだね。一緒にお菓子か何か作って持って行こう。ケーキの予行練習でもいいよ」 またひとつ、数日先、1年後までの約束と楽しみが増えた。こんなことの積み重ねで幸せが作られていくんだろうな。 柏餅は、こし餡と味噌餡どっちにする?と訊いたら迷うことなく「どっちも!」と答えるところは子供らしいというより多紀らしい、と笑ってしまったけど。 「ジュジュに半分ずつあげるの。どっちも食べたいでしょ」 「そうだねえ。樹さんも両方食べたかったーってなるよねえ」 樹さんがまた喜んじゃうなあ、と子供特有の猫っ毛でサラサラの髪の毛を撫でた。 柏餅を食べながら、教わった紫陽花の花言葉について話し合う。多紀は興味を持った様子で、今度学校の図書館でお花の図鑑を借りてくると言っていた。 まんまるで、人の心を和ませる。そんな世界一の団欒が作っていけたら良いなあ。 ささやかで壮大なことを願いながらエプロンを付け、夕食の準備に取り掛かった。
このお話の時代考証というか、どこまで詳細にやったらいいのか悩みまして、結論。 ファンタジーミレニアムにすることにしました。この時代にまだそれ無いじゃない…? とか色々挙げればキリがないのと、この望月さんは全部体験はしていなくとも 令和まで知識として知ってるという未来人っぽさを醸し出してもらおう!という…。 チートなハウスキーパーというより所帯染みた専業主夫になってますが 子主さんにいろんな体験をさせてあげたいものです。 叔父さんはマキちゃんと友達以上恋人未満のいい感じになってて欲しい もうお前ら早く付き合っちゃえよ!(願望)
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kaarijajpn · 19 days
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TULIPAHAN KÄÄRITTYÄ-その2
Helsingin Sanomat(ヘルシンキ新聞)が別冊号として発表したカーリヤ特集記事を、英訳→和訳しています。 ★英訳全文はこちら ★その1はこちら 以下和訳ーー
2023年10月3日 イェレ・ポウホネン宅 ヴァンター
フィンランドで最も旬なアーティストがここに住んでいるとは誰もが思いもよらないだろう。 巨大な名声を得たからと言って、アーティストがいきなり豪勢な暮らしを送れるようになるわけではない。イェレ・ポウホネンは、高級車もロレックスも彼には必要ないのだと言う。もし必要になる時が来るとしても、それはもっと後のことだ。
もしAIにフィンランドのアパートがどのような感じなのかを尋たなら、おそらくこのティックリラの物件が回答例としてあがるだろう。 明るい色の外観。駐車場。ドアのそばに放置された電動スクーター。 ポウホネンの自宅の正確な場所は国家機密に等しいため、これ以上の詳細を伝えることはできない。少しの情報も漏れ出さないことが極めて重要なのだ。さもなくば、人々がひっきりなしにその場所を詮索するようになるだろう。 3Kのアパートは、典型的なフィンランドのインテリアで飾られている。木製のキッチンテーブルと、明るい色のソファ。壁掛けテレビと湖の景色が描かれた大きな絵画。小さなキッチンの隣には仮設の収納スペースとして利用できる書斎があり、あらゆるカーリヤ関係のもの、そして大量のファンからのプレゼントであふれている。あまりにも量が膨大すぎて、それを整理する時間もない。
ポウホネンは、ヴァンター東部のヴァーララに生まれ、ルスケアサンタで幼少期を過ごした。今、彼は、子どもの頃に住んでいた場所から数キロしか離れていない街に住んでいる。 ここにはUMKで勝利したあとに越してきたが、この"カーリヤの引っ越し"は、ちょっとした騒ぎになった。6月にヴァンター市が、1年間ポウホネンのアパートの家賃を市で負担すると発表したからだ。 ポウホネンは、ニュースが発表された当初は、この件について別の側面があることの説明が欠けていたと語る。 「実はヴァンター市とスポンサー契約を交わしていたんです」 UMKの期間中、ヘルシンキのマルミに住んでいたカーリヤに、故郷からオファーがあった。ヴァンター市はポウホネンにアパートを提供する代わりに、一緒に仕事をしないかともちかけたのだ。 「世間の反応はちょっとおもしろかったですね。みんなはなんで僕がアパートを手に入れたのかわかってなかったので。ヴァンターはタダで僕にアパートをくれたわけじゃないんです」ポウホネンは言う。 ポウホネンが家で過ごせる時間はほとんどないうえに、近所を歩き回ることもできない。どれだけ隠そうとも、人々はすぐ彼に気づいてしまうからだ。
忙しい夏が過ぎ去ったあと、ポウホネンはすべての仕事やファンの視線から逃れようとタイへ飛んだ。だが、その休暇もそれほど長い期間ではなかった。 「自分のための時間をつくることが目的でした。ただ、本当にすべての仕事から距離を置こうとするなら、もう少し長く休みをとるべきでしたね」 カーリヤの秋のツアーは9月に始まり、12月まで続いた。また数十本のライブが彼を待ち受け、実質すべての週末が仕事で埋まっていた。 それに加えて、新曲も作る必要があった。"Cha Cha Cha"以来初のシングルとなる"It's Crazy It's Party"は、8月の半ばにリリースされた。 エストニアのラッパー トミー・キャッシュと共作したこの曲はしかし、それほど熱狂的に受け入れられたわけではなく、どのランキングでもトップに来ることはなかった。ただいずれにせよポウホネンは、それほどの反響は期待していなかった。 "It's Crazy It's Party"に取り組んでいたときからすでに彼は、この曲が新たなミリオンヒットになることはないとわかっていたのだという。 この曲は今もSpotifyで再生回数を伸ばしているが、それはカーリヤが有名になったおかげでフィンランド国外でもリスナーを獲得しているからだ。 新曲は失敗だったと言う批評をポウホネンは一笑に付した。いずれにしてもこの手のコメントは出てくるものだと彼は言う。 「"Cha Cha Cha"はいわばブルドーザーのような曲でしたから。この時点では僕たちは、何かを犠牲にするしかなかったんです」 いつかこの男自身も"犠牲"になる日が来るのではないかーーそう思える言葉だった。 ポウホネンは、自身の得た名声についてはひとつも不満はない、と繰り返す。 だが、彼はいつまでこのペースを維持できるのだろうか?
ポウホネンは、ライブや新曲の制作に加え、テレビ撮影やインタビュー、スポンサー契約が山のようにあったと説明する。 厳密にいえば毎週月曜日は休日のはずだったが、実際その通りだったことはほとんどない。1年を通して本当の休日だった日は、両手で数えられるほどしかなかった。 「あまりに多くのスポンサー契約を結んだことについて、自分を責めることもあります。でも一方で、まだオファーをいただけるうちに、すべて受けてしまったほうがいいとも思うんです」ポウホネンは言う。 「僕が何か特別な経験をしていると言いたいわけじゃないんですが…ただ事実、こんな状況を経験したフィンランド人アーティストは、ほんの一握りしかいませんから」 ポウホネンは、過剰供給によってカーリヤというブランドをだめにしたくはない、とレーベルに話している。 「数か月休みが必要だと感じたら休む、とチームには伝えました。もしあらゆることを強制されていると感じるようになったら、誰がなんと言おうと僕は辞めます」 いずれ引っ越しも検討している。彼の夢は、天井の高いロフト付きアパートに住むことだ。ヴァンターか、あるいはシポーになるかもしれない。 ポウホネンは、彼にゆかりのある場所をめぐるツアーを始める。もっとも重要な場所は、若きポウホネンが自由時間のほとんどを過ごしたティックリラのアイスリンクだ。 アイスホッケー選手としてのキャリアは、彼が決して得られなかったもののひとつだ。それはひどく残念なことだった。 「僕は身長が低すぎて、キエッコ・ヴァンター(*ヴァンターを本拠とするアイスホッケーチーム。カーリヤはこのチームのユース出身)から外されたんです。人生最悪の日でしたよ」 そう語るポウホネンの身長は、170cm。 「たぶん僕は、音楽を通して自分のエゴをブーストしてしまったんでしょうね。体のサイズに関係なく自分を表現できるようになったんですから」
2023年10月23日 ラウンドハウス ロンドン
ロンドン北部のカムデンは、伝説的なコンサート会場があることで知られている。その中のひとつが、3,000人のキャパシティの会場、ラウンドハウスだ。ローリング・ストーンズやジミ・ヘンドリックス、レッド・ツェッペリン、デヴィッド・ボウイ、モーターヘッドなど、錚々たるスターたちがこのステージに立ってきた。
その建物の外で、何時間も並んでいる人たちがいる。午後7時にようやく開場したときには待機列は数百メートルに達し、次の交差点にまで伸びていた。列に並んでいる人々を見れば、彼らが誰を見に来たかは一目瞭然だろう。この日のカラーは鮮やかなグリーン。マイ・ボレロを作ってきた人も少なくない。なぜここに来たのか彼らに尋ねれば、ひとつの答えが浮かんでくる。 "本物"だから。
"カーリヤ"が実に計算されたブランドである一方で、イェレ・ポウホネンの誠実さと魅力的な人柄はひときわ輝きを放つ。どうやら彼には、言葉や文化の壁を超えて人々を魅了する力があるようだ。 この日の主役は、パーカーとスウェットに身を包み、ラウンドハウスの小さな楽屋に座っていた。2週間にわたるヨーロッパツアーの最後にして最大の公演が控えている。 一行は前日にアイルランドでの公演を終え、この日の朝にロンドンへと飛び、ホテルを経由して会場に到着した。ツアー中、常にそうだったように、この日も休む時間はなかった。 イェレ・ポウホネンは熱気を放っていた。 「なんかまだ終わるっていう実感がないよ!」
ポウホネンはヨーロッパツアーについて、これまでとはまったく違う姿勢で臨んだことを認める。夏の時点で、彼は開催地を17か国から7か国へと減らした。長すぎるツアーを組みたくなかったのだ。 ポウホネンは、海外のファンは「Cha Cha Chaだけ聴きたい」のだと思っていた。だが蓋を開けてみれば、彼らはカーリヤのフィンランド語の曲をすべて覚え、一緒に歌ってくれた。 アーティストは、ツアーでほかにどこへ行くことができるか考えている。例えばアメリカ。例えば日本。 「僕たちにはもっと広く海外展開するチャンスがある。フィンランドを捨てることなく、与えられたこの名声を受け入れ活かしたいと思っています」
この日の空気感は、夏のプーマラの小学校の教室とはまったく異なっていた。ポウホネンはメンバーたちと冗談を言い合うことはない。実際のところ、ほかのメンバーはその部屋にいなかったのだ。 彼らはそれぞれ個別の楽屋を割り当てられ、カーリヤはボディーガードのヴェイッコ・ケルマンが守る自分の楽屋を与えられていた。彼はフィンランド内外でポウホネンの警備を担当するために雇われていた。 アーティストはメイクをしながら、ヨーロッパツアーでは意識的に一人の時間を作っていると語った。 「プロとしてきつい状態に身を置いています。この先もこういった経験を楽しむことができるように、できる限りうまく対処したい。アルコールも断ってるんです――まあ、今日は例外なんですけど。今日はちょっとだけ飲みます」
ツアーマネージャーのイェッセ・ボスは、カーリヤの幼馴染だ。ボスとともに、ポウホネンはカーリヤの曲" Urheilujätkä"を書いている。ユーロビジョンが始まる時には、ボスは友人を助けるため通訳を買って出た。 「当初僕は、イェレがインタビューで話すことをすべて訳しようと思っていたんですが、イェレが彼の独特の英語でしゃべったほうがウケがいいことに気付いたんです」ボスはそう言って笑った。 それ以来、彼はカーリヤのツアー手配に関わる実務を担っている。イヤモニを調整し、どの曲をステージ上で撮影できるか検討するのも彼だ。
ほどなくライブが開演した。ラウンドハウスを埋め尽くしたオーディエンスはフィンランド語の歌詞を覚えており、"Cha Cha Cha"の合唱が巻き起こる。カーリヤは再び、大観衆の視線を一身に浴びる喜びをかみしめる。 ライブが終演し会場の撤収が終わると、ポウホネンはラウンドハウス2階のVIPエリアで成功の余韻に浸る。クルーや彼の母親、そしてアーティストのベスを含む数名の友人たちがそこに加わる。 幸せそうな笑顔を浮かべながら、ポウホネンは今の気分をこう表現する。 「なんとなく、今になってようやく、自分がアーティストであることを実感しています。海外の国から国へと渡り歩く、アーティストとしての夢の時間を生きているんだと」
打ち上げは午前1時に終わり、会場スタッフが一行を外へと案内する。彼らはこの後もロンドンの夜を楽しむつもりだった。 だが、一行が楽屋口から表に出たところで、計画は変更を余儀なくされる。 終演から2時間以上が過ぎていたにも関わらず、200人以上のファンがラウンドハウスの楽屋口でカーリヤを出待ちしていたのだ。 カーリヤが姿を現すと、周囲はたちまち騒然となる。若いファンがフェンスに殺到し、一緒に写真を撮ってくれと叫ぶ。完全なるカオスだ。ファンが群がり、ポウホネンの仲間たちは散り散りになる。写真やサインを求める声が延々と響く。 その時、ツアーバスが群がるファンの前に止まった。ボディーガードのケルマンが半ば強引にポウホネンをファンから引きはがし、バスのスモークガラスの向こう、彼が唯一平穏でいられる場所へと連れて行った。 ーー
続きはこちら→その3
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shukiiflog · 30 days
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ある画家の手記if.?-8 雪村絢視点 告白
朝起きたら乾ききった大量の血でベッドのシーツはシワになったまま固まっちゃってた。 してる間ずっと端によけてた布団は無事、だけど血痕が、床にも壁にもそこらじゅうに飛んじゃってるから、大掃除して色々買い換えないと。前の家にいた頃、完全に乾いた布とかの血を洗って落とすのは至難の技だったから無駄に時間消費してないで血で汚れたものは丸ごと捨てちゃってた。今は綺麗に落とせる洗剤とか売ってたりするかな。 部屋やベッドはひとまず放置して先に人体。
二人でお風呂にお湯をためて使いながら、弱く出したシャワーで派手な血の跡を体から軽く流して落とす。真澄さんの背中はまだ生乾きの部分もあったから、広範囲の傷自体を流したりはしないでおいた。 少し思う、真澄さんってどこか…弱い? まったく同じように転んで同じように怪我しても、出血が激しい人と滲む程度にしか血も出ない人といる。血圧とか血液量とか血液の凝固のスピードとか皮膚の違い? 理人さんは後者に近くて、血みどろになるような日はもっと激しい暴力があった日だった。真澄さんの派手な出血量と凝固の遅さが気になる。元からの体質がこうじゃないなら、体が弱ってるか深刻な病気の可能性もある。 「……」 体を拭いて着替えて、リビングのソファに座って真澄さんに両手の指の手当てをしてもらう。真澄さんの背中を手当てするには俺がまともに指使えないと話になんないし。 俺の指は包帯とガーゼで綺麗に巻かれた。とれた爪はどうにもなんない、割れたり指に刺さった爪を丁寧にピンセットで動かしながら処置された。出血が止まるのが遅いのに痛覚は鈍い、俺も弱ってる。
次は俺の番。真澄さんの背中、まだ生乾きだから止血帯大きく貼ろうかな…とかやり方考えてたら、インターホンが鳴った。約束の時間より少し早いけど、たぶん香澄だ。今日デートの約束してたから。 「…。」 「……」 真澄さんと顔を見合わせる。 この状況を今からバタバタ隠そうとしてもな、寝室見られたら事が起きた場所は一目瞭然だし、背中の怪我、いろいろと言い逃れるのは無理。香澄がどこまで察するかだって分かんないんだし、とりあえず下手に取り繕うのはスッパリ諦めよう。 鍵を開けて香澄が来るのを待つ。 ドアを開けて入ってきた香澄は、まず俺の指を見て唖然とした。 「香澄おはよ~。キッチンにハーブティーあるから飲んで待ってて。今手が離せなくてさ。すぐ終わるから」 いつものちょっと気怠げなような穏やかなようなゆったりした口調で話す。以前よりさらに口調から覇気が抜けた。ここも省エネ。 場に緊張感がないことを香澄に示すためにあくびとかしながら、玄関からリビングのもといたソファの位置にぽすっと座って、真澄さんの手当て続行。 香澄は紅茶も入れずソファにも座らず、俺たち二人を見ておろおろしてる。明らかに自分も何かをすべき状況に見える、でも何をすべきか何もわからない、ような感じかな。ごめんね、話せること、今回はすごく少ないんだ。 「ど…したの…その、怪我…」 香澄のほうに微かに走る緊張感と不安と恐怖、いつも通りを徹底することでこの異常事態を平常に錯覚させるとか俺にできるかな…真澄さんの協力があればできるかな。 「どれも病院行くほどのやつじゃないから。そろそろ終わりそうかも。香澄、俺の部屋からコート取ってきて~」 「うん…」 二人とも処置が終わって怪我をいつもの服で覆い隠して、ぱっと見だけでも装って、香澄の目につく頻度が落ちれば少しは気にせずに楽しく過ごせるはず。…楽しい記憶を、幸せな記憶を一つでも 多く香澄の中に遺したい
香澄が俺の部屋にコートを取りに行ってる間に、痛まないようにそっと真澄さんの背中に頬を寄せてすり寄った。 本当は傷を労わって今日はずっとそばについてたかった。でも俺も指を怪我してちゃきっと大したことできないし。もともと今日は香澄と約束してた。それを前日に事態をこじらせたのは俺だ。 昨日はずっと予想外のことが続いたけど予想外のことが起きる可能性には前もって思い到れたはずだ、踏み込んだ話をするんだから。俺がもっとスケジュールに余裕みて真澄さんと話すべきだった。 ソファから立ち上がったらコートを体にかけてくれる香澄と二人で玄関に向かおうとして、真澄さんのほうを振り返る。「絢…」呼ばれて香澄のほうを振り返る。定まらない視線が二人を交互に行き来した末に、床に落下した。 こんなのは嫌い。 とどめられなかったどうしようもなく溢れる感情の発露とか、それで泣いたり怒ったりとか、体力いるから苦手だけど嫌悪してるってほどじゃない、特にこの家に来てからは、なるべく自分の素直な感情を圧し殺さないって決めたから。 でもこれは、そういうのとも違う。二人の間でどっちにするのか俺はどうするのかうじうじ俯いて悩んで、二人に決めてほしいアピールみたいで鬱陶しい… 「光を迎えに行くからそこらまで乗ってくか」 真澄さんが言い出してくれた。怪我させといて、また助けられてる…。 この場で俺が一番呑気でいい身分なのに。怪我も少ないし、ひどく詰られた訳でもないし、香澄みたいに事態の詳細がわからないまま俺も真澄さんも両方の怪我を心配してなくてもいい。 視線だけ俯いたまま動けずにいたら、頭にスポッと帽子被せられた。 「まだ家に居るんなら先に出るよ。もし出掛けるなら戸締まりしといて」 いつも通りの真澄さんに、背中の怪我は?って訊こうとして、結局訊けないまま俺も香澄も、さっさと廊下の横を通り過ぎて玄関から出ていく真澄さんの背中についていった。 「香澄、せっかくだしピアスのお店の近くに降ろしてもらおーよ。歩かずに済むし」 駐車場まであくまで笑っていつもみたいに歩きながら、先を行く俺の手を取ろうとした香澄が手をとめた。俺の指が痛むのを心配して。 香澄はいつも必要なときは真澄さんと接してるけど、多くを語る気はそんなにないみたい。これまでがこれまでだから、ってのは香澄の記憶の欠損で成り立たない。あるいはその欠損がギリギリ今の関係を保ってる、こっちかな。二人からは馴れ合いたくないというより不要に馴れ合えないみたいな、磁石のプラスとマイナスみたいなのを感じる。心配してることくらい語っていい気がするけど。 「今日は香澄が運転したら?うちの車、運転そんなに難しくないと思うよ」 暗に込めた意味をこれくらいなら香澄は十分察する。 「えっ うっうん…いや、あの」 「…」 察したせいで狼狽えてる。でもやっぱり詮索はできない。怪我の理由も、何があったかも。 俺は昨日の真澄さんとのことは、感情面や会話内容やしたことまでは詳しく話したくない。事実関係ならバレても平気だけど、…でもどこから寿峯に伝わるか分かんないし、知られればそこで寿峯の中では終わるって思うたびに、追い詰められるような、常軌を逸した悪いことをしてるみたいな気がして なんでそうなるのか分かってるけど解らないのがもどかしい、なんだって反論なら簡単だけど信じるものが違えばこうなる、多くの人が信じるものを寿峯も信頼してるから社会を形作る信頼を損なうなって指を指される俺は 悪者じゃなくて、ただの少数だよ。少数だってことを悪にするのが、悪だ。 「保険���応さしてねえからお前はだめだ」 「ち、ちがう!」 俺がごちゃごちゃ考えてる前後で真澄さんと香澄が言い合いしてる。ちょっとだけいいなとか思ったり。 「兄ちゃん怪我してるんだから運転はしちゃだめでしょ。車の運転は責任重大だよ!」 「お前話聞いてたか?大した怪我じゃねえって絢がそう言ったろう」 「うぐ…。…でも絢は兄ちゃんのこと心配してるよ」 「…」 三人で車に乗る。運転は真澄さんが緩やかに押し切った。 店の近くで二人で車から降りた。
いつもみたいに香澄の腕にまとわりつかないで、香澄の指先を包帯だらけの指先でキュッと軽く握った。香澄が俺のほうを見る前に、横顔で小さく呟く。 「俺、真澄さんのことが好きなんだ」 「……」 光さん、ごめんなさい。 家庭内だけに関係も事実もとどめて絶対外に漏らさないことで、誰からも許されなくても結実する関係だって。俺の想いを認めて、迷う俺に道を示してくれた、その条件が誰にも言わないことだったのに。 黙って静かに聞いてる香澄は”好き”の意味をちゃんと理解したかな。もっと小さな囁やくような声で付け足す。 「…まこには内緒にしてね」 眉を下げて、悲しく微笑む。 香澄も小さく「わかった」ってだけ答えた。 寿峯と一度少し似たケースで揉めた香澄なら責めないでいてくれるかも。直にぃとだけ結ばれたい香澄には理解不能で呆れられるかも。香澄も直にぃも愛す情香さんのことを知ってるから静かに納得してくれるかも。 俺は香澄にどれだけのことを求めてるんだろう。俺に守らせてくれるなら、俺の願いはたったひとつそれだけだったはずなのに。 「兄ちゃんのこと心配だよね?…戻る?」 隣から少し顔を傾けて俺のほうを見てくる香澄に、にっこり笑って返す。 「大丈夫。真澄さんは俺が香澄と一緒にいるほうが嬉しいと思う」 ピアス店の中に入っていきながら、真澄さんに借りた手袋をはめる。 店内が寒いわけじゃないけど包帯が目立つから。香澄は逆に手袋を外してた。白い毛糸の、ポンポンがついたクリスマスに俺が編んで香澄にあげたやつ。あの日の服に合わせて作ったけど、意外と香澄がはめてたら他の服とも合わないことない。俺の耳にはかいじゅうピアス。
綱渡りは避けるほう。100パーセントの安全がどこにもないにしろ、俺は俺の納得できるラインまで安全度が満ちるまでじっと待つ。でも同時に、ある程度のリスクと不確定の未来の恐怖に晒されてはじめて得られる堅実な安心や信頼ってものもある。 人間関係の深度が一気に進むときはそういうところを起点にしてたりとか。これまで築いたものが壊れる時に発生する。全てに言えるわけじゃないけど。 この前光さんが読んでた仏語の本を軽い気持ちでめくった、そこにあった”l’homme est d'abord ce qui se jette vers un avenir,et ce qui est conscient de se projeter dans l'avenir.”っていう一説。「人は賽子のように自分を人生の中へ投げる」? 本当の意味は知らないけど、言葉面だけならあんな感じなのかな。 黒髪に戻してからここまで外を出歩いたのって初めてだ。ここまで車だし、近場だけど。 来てるのはピアスのお店。寿峯が連れてきてくれた。香澄も寿峯とだいぶ前に来た���憶があるっぽい。
「思い立ってもさ、あの人の好みとか普段どういう系統の服着てるとか、俺なんも知らないんだよね。会ったのもほんの数回だし。そこで香澄の出番です。ピアス選ぶための手がかり知らない?」 ずらっと並んだピアスを二人で見ながら、横の香澄に振る。俺がピアスをあげたいのは情香さん。 最近、寿峯と香澄が少し衝突して仲直りした、なんの問題かは俺が本人たちに問うべき筋じゃないとしても察しはつく、香澄は寿峯の言い分に返す言葉がなくて情香さんに連絡した。情香さんは電話一本ですぐその場に来てくれて、香澄が傷つきすぎる前に寿峯と物理的な距離を離させた。 これはやや憶測混じり。だいぶ後になって和解も済んでから、香澄が俺との通話中にあのとき情香さんが来てくれたことを話したから、そこから。 「うーん…会ったばっかりの頃はカジュアルめなスーツとかだったけど、あれは仕事の都合だったみたいだし…最近は夏ならタンクトップとデニムに編み上げブーツとか、冬もロンTとデニムとか、ピアスはたくさんしてるけど飾り気なくてシンプルな…あ、靴はいつもすごく高いヒール履いてる」 「…」 それって護身用の武器としてのヒールじゃないかなぁ、とか思ったり。 情香さん、やり方は正攻法だけど同時に大胆でもある。誰かを守るとき仕方なく他の誰かから不興を買うことになっても大して意に介さないというか。俺は俺にとって瑣末なたった一人でも敵を増やさないように動くほうだから。 にしても、結果寿峯は香澄とは和解しても情香さんには不愉快な気持ちを抱えてた。おそらく情香さんが香澄を連れ出すときにそうなるように印象操作した、寿峯の中で香澄の立場が悪くならずにネガティブな感情は情香さん一人に集まるように。 一年前に真澄さんと話してた通り。情香さんはおそらく一生香澄を家族として守ってくれる。 それはおそらく、家族だからとか息子だからとか、そういう固定観念に縛られて愛情を落とした強迫的な守護の意思というより…愛情を基軸にした情香さんにとってごく自然なことだから。ただ自分だけにとって自然な行いっていうなら以前の直にぃもそうかもしれないけど、情香さんは自分の逸脱に仔細な自覚がある。 あの人柄なら、例えばいつか直にぃと香澄が完全に離別して戸籍も分けて他人として別々に生きるようになったとしても、情香さんは今とほとんど同じように香澄に関わり続けるだろう。 直にぃと香澄の関係は、情香さんと香澄の関係にそれほど影響しない、情香さんの価値観の中では、多分。 「あ、香澄のピアスあった」 指をさして香澄に見せる。ロップイヤーのピアス。 耳から下がるタイプより耳たぶに綺麗におさまるような小さめのがいいかな。香澄なりふり構わず唐突な動きとかするし。 「香澄はピアスしないの?」 「うーん、俺の服とピアスって合うかな」 「耳たぶからジャラジャラ下がってるアクセよりは小ぶりのが香澄は似合うかな?服には合うやつ探せばいいじゃん、ふんわりしたモチーフのさ、これとか」 目先にあった冠かぶったうさぎのピアスを掲げて見せる。 「か、かわいい… !」目を輝かせてピアスを見てる。確かにさっきのロップイヤーよりデザインがかわいいかんじ。 「まあ王子さまうさぎって実質俺だし。」 軽口叩きながらピアスを手に取る。これは俺から香澄へのプレゼント。香澄にはまだピアス穴も何もないし、これから穴あけてつけろって強要の意味でもない。 ピアス穴は放置し続けたらいつか自然に塞がってなくなる。またあけたくなれば香澄が自分であければいいだけで、そこには香澄の意思に基づいた決定と行動がある。刺青なんかより、ずっといい。 香澄が見つけた情香さんのピアスと、俺が見つけたインペリアルトパーズのピアスと、王冠うさぎ、これらを持ってカウンターに行こうとして、意外な二人組とはちあった。
虚彦くんと空ちゃんが俺たちより先に喫茶店から出ていって、愛想よく見送ってからソファの上で香澄にもたれてぐったりする。 「絢、疲れた?熱ない?」 俺の額に手を当ててる香澄の首元にグリグリ頭を押しつける。 「前よりさらに体力落ちたな~ってのもあるけど、そっちより気疲れ的な…人と話すの好きなほうなんだけどなぁ」 相手が悪かった。 空ちゃんのほうはかえって本人と話してよかったような感触。やっぱりデータ上だけだと憶測入れても拾えないものが多いな。だいぶ他人行儀に接されたけど、初対面の、それも成人済みの年長相手なら常識的だ。施設育ち、か。そういう対人スキルがないとやってけない場所だったってことか、…真澄さんがまったくどうでもいい他人に接するときの最低限の礼儀だけ弁えた態度とも少し似てなくもないか…?目もとが似てるからそんな気がしたかな。 面立ち…そんなに凝視するのも失礼だからそこまで念入りに見たわけじゃないけど、やっぱり目もとが似てるかな。年齢が比較にならない気がするけど、俺の歴代彼女とかとは全然違うタイプ。 元カノ、みんな細くてか弱そうで繊細そうで、顔やスタイルはキレイ系だけど化粧とかでニュアンス可愛くしてて、服は清楚で大学生の範疇から逸脱しないかんじで、俺が「こうしよっか」て言えばなんにでもついてきちゃう、常識とか判断能力がないわけじゃないけど、少し言いなりになりすぎるところがある、みたいな。 容姿だけなら空ちゃんもあんなかんじにもなるかもしれない。でも彼女には強い意志と自我があった。本人が強いとは自覚してないかもしれないような、潜在的な強さ。 なら、香澄のトラウマの起爆剤になるかもしれない自分を彼女がもし知ったとして、そんなものに成り下がるのはごめんだって反応、香澄がどうなろうが知ったことではないって反応、いろいろあるけど、どうかな…。 虚彦くん…は、俺には少し…おかしいように、見える。 あの子、まっすぐに俺のほうを見てくる。並んで歩いてるときも首曲げて俺の目を覗き込んでくるとかって意味じゃない。俺がそういう印象をあまりにも強く受けるって話。 静かに、まっすぐ。簡単なことのようで、普通は躊躇ってできない。 俺相手には虚彦くんは真顔みたいな無表情なことが多いから、あの目で見られると俺が俺を誤認しそうになる。…まるでとうに死んだ首吊り死体を見るような目で、目の前の事実を淡々と見つめてる、だから俺が気づいてないだけで俺の方が本当は首吊り死体なんじゃないか?ってふうに。 彼のモノの見方が全てになってモノの実態と入れ替わって支配する、そういう…少しだけ似てる目を知ってる。直にぃだ。 一、二度だけ会った若い頃の直にぃはもっと顕著だった。人間を無理やり強引に静物にする目をしてた。 相手の目を見て話しなさい、なんてよく言うけど、あれはその通りにするにしても相手の肩やせいぜい顎とかあちこちに目線は適宜移動させながら、本当に相手の目だけじっと見ろってことじゃない。 本当に相手の目を長時間じっと見つめて失礼じゃない関係っていうと、恋人同士とか夫婦とか。それも多分愛し合ってる感情を伝え合うための行為に分類される。 相手をじっと見ることは、付き合いの浅い相手とのコミュニケーションにおいてはディスコミュニケーションのほうに入る。 個人差はあれど一般的に、じっと見られてる相手は居心地の悪さや落ち着かなさや不快感を覚える。そういう不快感をわざと与えることでなんらかの感情を自分相手に抱かせて、その感情を恋愛感情や強い関心なんだって相手に錯覚させていく、結婚詐欺師とかそんな感じかな。 ぶっちゃけると昔の俺がよく使った手ってだけなんだけど。 二人が出ていって早々に手袋をとった。あったかい店内ではめてると蒸れて汗がしみるから。怪我、虚彦くんにはバレてたけど。俺の包帯だらけの指先を香澄の指先がそっと撫でる。
「俺もう一杯なんか飲みたいな」 「俺も。次はコーヒーとかお茶じゃなくてジュースにしようかな」 「香澄、ぶどうジュース頼んでよ、俺カルピス頼む」 「? 俺のぶどうジュースも飲む?」 「そーじゃなくてさ、香澄と俺のジュースを二人で混ぜたら多分ぶどう味のカルピスできるじゃん?美味しそう」 俺の体をソファの上で上体だけ楽な姿勢で寝かせて、頭を膝の上に乗せさせてる、香澄は俺の髪を撫でる。 香澄と俺が初めて会って、会話っていえないような会話で話をした、そこも喫茶店だった。 あのときの香澄を、何も知らない俺は大雑把に区分してだいたいこういう人種だろって、乱暴にあたりをつけた。そうすると全部俺の都合のいいように解釈ができるから。俺と話す気なさそうで口数少ないのも楽しくなさそうなのも、ああ人見知りね、で終わっちゃうんだよな。きっとどこまでいっても俺に非がこない。 そういうとこは、つくづく理人さんに似てた。
香澄と二人で細長いガラスコップからぶどうジュースとカルピスを混ぜるのに四苦八苦して、最終的には交互にすばやく飲めば口の中で味が混ざる!なんて言って笑う。 飲み終えたら二人一緒に喫茶店を出た。 店を出るときに香澄が俺にマフラーを巻いてうさぎ耳のついた帽子を被せてくれた。 今朝家を出てくるときに真澄さんが同じことしてくれた。 ねえ香澄。血縁関係がなくたって、一緒に過ごした頃が曖昧だって、それでも香澄を育ててくれたのは真澄さんで、二人は似てないけどときどき似てるよ。
俺がそろそろ体力的にきつくなってきたから、俺の家まで一緒に帰ってきた。香澄はいつもみたいに泊まってく。 真澄さんは光さんと一緒に先に帰ってきてた。ソファで二人で話してたら光さんが途中で眠り込んじゃったかんじか、真澄さんの膝の上に小さなまん丸の頭を乗せて、光さんは珍しく俺たちが帰ってきても気づかないでぐっすり寝てた。 帰宅したときのいつもの感覚で、香澄と一緒にお風呂入ろうとして、やめた。指に爪がないのバレちゃうし、服の上から触って香澄もわかってはいるだろうけど、実物見ると怖がらせそう。痩せすぎた。運動して絞ったんじゃないからきれいな痩身でもないし。 真澄さんと光さんと香澄と俺で、寝るまでになんかして遊んだり、ただのなんてことない雑談でもいい、できたらなって思ったんだけど、帰るなり俺が熱出して、何もできなかった。 書斎で布団に入って大人しくしてながら、取り繕えなくなっていくのを感じる。前から外出した日は帰ってきたらだいたい微熱は出してたけど、普通に振る舞うことだってできた。でも今はこの程度の微熱が誤魔化せないくらいあつくて苦しくて痛い、寝てるしかできない。 香澄はずっと俺についてるつもりだったのを、真澄さんに首根っこ掴まれて書斎から引きずり出されてった。 久々に外出したんだし、外でもらってきた風邪とかインフルエンザだと確かに危ないから、一人で少し様子を見なきゃ。
そのとき真澄さんに借りた手袋返そうとして、ひっこめた。 両手で手袋を持って引き寄せて、頰にあてる。俺の手よりずっと大きな手。革の部分がきもちいい。帰ったときにすぐ殺菌消毒したから顔すりすりしても一応大丈夫なはず。 少し眠った間に、俺が握りしめてた手袋が口元からなくなってて、ほつれて解けかけて出血が滲んでた包帯がきれいに新しく処置しなおされてた。…真澄さん。 眠ってたら何時間か経って夜になってた。 急な高熱とかその前兆とかひどい頭痛や関節痛も喉の痛みも、これから発症する兆しはなにもなかったから大丈夫かなと思って、リビングに出てってみる。 途端に香澄に書斎の中に押し戻されて抱えられてベッドに入れられて布団かけられた。 「まだ安静にしてなきゃダメだよ」 熱のことか指のことか、どっちもかなこれ。 「…ひどくなんないから、いつもの疲れたときの体が火照ってる感じだと思うよ。ひとに移さないやつ」 熱って前提で話したら、俺が話すうちにも香澄はサイドテーブルに常備してる解熱剤を出して、水を用意して持ってきた。 俺もベッドの上で体を起こす。 「香澄、薬飲ませて」 指差し指の指先で自分の唇をトントン軽く叩いて示す。にこって笑いかけたら香澄が急に挙動不審になった。意味は伝わったってことかな。 俺と薬を交互に見てたけど、意を決したのか薬と水を口に含んだ。 こぼしちゃわないように唇をきれいに合わせて喉に通す。 すぐ間近に香澄の顔がある。切れ長の涼しげな、俳優さんみたいな綺麗な目。何事もなく普通に学校いって、友達作ったり、部活入ったり、そんなありきたりな愛しい時間を今日まで積み上げられたなら。香澄は容姿だけでもきっと人気者でいっぱいモテた、そんな香澄じゃなかったから直にぃと出会った。 幸せを願うことだけでも難しい。 しっかり飲み込めてから唇を離して、お互いに微妙に照れる。布団を持ち上げて俺の横のマットレスをぽんぽん叩いたら、香澄がもそもそ潜り込んできた。
ベッドの中でしばらく香澄と身を寄せあってたら、またいつの間にか眠ってた。 夜中。 一人で布団から起き上がった俺の横で香澄もぼんやり目を覚ます。 こういうことは ずっと言いたくなかった。 誰かの体について何かを強いるようなこと。強いてなくても、願うだけでも、今の姿と本人そのものを否定してるようで、 俺の気に入る姿に変わってくれって 前後にどんな事情があっても、要はそう���うことだ。 それなら刺青を入れた綾瀬樹と、刺青を消せって言う俺に、何の違いがある。違わないんだ本当は。 愛から生じて香澄を守りたいがために。
刺青を入れるのも消すのも惨い苦痛を伴う。どこかで「痛いから嫌だ」って香澄に言ってほしい。 でも …真澄さん 昨夜、眠りに落ちる寸前、俺の頰に落ちてきた雫 伝い落ちて俺の唇の間に滑り込んだ 血じゃなかった 泣かないで、俺の愛する人たち 香澄の話を真剣に聞いてくれた寿峯 誰より香澄を生涯愛してくれる直にぃ 二人を見守ってくれる情香さん 裏で手を回してくれた慧先生 虚彦くんと空ちゃん はじめから俺が何も言わなきゃいい、香澄は気にしてないんだから。 だってそれは本人から 見えない位置にある。 だから、それを一番近くで見続けてきたのは 直にぃだ それでもきっと何も知らない直にぃはどれだけ傷つきながらも言い出すことができない なら、俺が いなくなったあとも二人が愛し合い続けられるように
香澄のまわりの愛する人が損なわれずに 明日も香澄を惜しみなく愛してくれるように
「香澄 その背中の刺青、…消してほしい」
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shimoda-text · 1 month
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シロクマハウスについての6つの文章
-------------------------------------------------- [テキスト] シロクマハウス:たとえば6つの解釈  ■1.住宅としての解釈  ■2.構造からの解釈  ■3.生態的な解釈  ■4.形式への解釈  ■5.コーリン・ロウ風の解釈  ■6.音楽としての解釈
■1.住宅としての解釈
 シロクマハウスの住人は、むかしから慣れ親しんだ実家の土地に新しく家を建て住まうことを決めました。建てた家は、折しもウッドショックや戦争の影響による資材高騰があり、また雪国特有の条例(建物外壁は隣地から1m以上の離れが必要なこと)などから、敷地に対してとてもコンパクトな立方体形状の家となりました。  全体の構成は、一辺が2.3mの立方体を8つ、それぞれ95cmずつ、外側は30cmずつ離して配置した、全体6.15mの立方体を基本としています。この立方体は敷地に収まる最大の容積を根拠に大きさを決めたため、人間のスケールや生活を根拠にしたものではありません。  この立方体を「建築」と仮託して、そこに土地の状況や生活の観点から、〈明るい場所〉〈暗い場所〉〈大きな場所〉〈小さな場所〉を住まい手とともに見極め、想像しながら「暮らし」として意味付けをしていきました。「建築」に「暮らし」を見出していくなかで注意したのが〈リビング〉や〈ダイニング〉などの言葉で使い方と場所を結びつけない、ということでした。明るくて爽やかな場所、大きくてふわっと明るい場所、小さくてしんと暗い場所、などを見つけながら、でも、意味を付けすぎないように、という作業を根気強くつづけました。吹抜けのある大きな場所は朝食を食べてもいいし、一段上がったキッチン横の場所は夕食が合うかもしれない。浴槽のある場所はいちばん明るくて爽やかな場所なので、そこで読書しても気持ちよさそうです。立方体の組み合わせによる単純な「建築」に対して「暮らし」が応答して出来上がったかたちは、とても複雑で多様な場所を生みました。  建物として家は完成しましたが、ここから住まい手自身が愛着をもって意味付けをしていければ、そこは唯一無二の大切な〈わが家〉になっていくでしょう。その意味付けのきっかけは〈他と少し違う外観〉かもしれないし、〈壁の手触り〉かもしれないし、〈台所の音〉や、あるいは〈匂い〉かもしれません。柱梁がむきだしの部分、段々に角がある部分、ざらざらした部分、つるつるした部分など、いまはまだよくわからないかたちにも、暮らしていくなかでその都度、意味を見出しながら使いこなして〈わが家〉にしていく、そういった主体的な暮らしの準備ができたと思います。
■2.構造からの解釈
 モノの流通が滞り、普通にあったものが手に入らなくなったり、高くなったりしている昨今、建物の材料や作り方を再考する必要性が生じています。このプロジェクトは北海道という土地柄、早くから構造材の四寸(120 mm幅)シリーズが品薄となっていたこともあり、一番手に入りやすくて安価な「三寸五分の正角材(105 mm×105 mm)のみの構造」、そして施工業者を選ばない「最低限の技術レベルでの組み立て」、その結果として「構造にかかるコストを最小にすること」は、今を反映した一つのプロトタイプになりえるのではないかと考えました。  プランは 2.3mを最大スパンとしているため、軸力も小さく柱は105 mm角で問題ありません。ただ、曲げがかかる梁ではそれでは役不足なので、柱を結ぶ大梁の位置では逆V字の斜材を上下の梁材の間に入れることによりトラス効果で床荷重を支持することとしました。  大梁で囲まれた2.3m角の床面は、通常のように一方向に小梁を流すと四周の大梁に均等に力が流れず、その負担分に差が出ます。そこで、力の方向性をなくすこと、スパンを減らすこと、トラスの斜材に直に力を流すこと、の3つの理由から火打ち梁のようにダイヤ型に梁を配置しています。  基本的には木造在来軸組み工法なので、簡易な構造といえます。トラス梁部分は少しイレギュラーですが、斜材端部は梁にその一部を差し込むことで、離れ止めのボルトのみで緊結するというシンプルなものです。このように特別な金物を使わないことは製作および現場施工を容易にし、コストも下げられます。 (文:正木構造研究所:正木健太さん)
■3.生態的な解釈
[ベルクマン・アレンの法則]  「ベルクマンの法則」とは、ドイツの生物学者ベルクマンが発表した法則で、恒温動物について、同じ種でも寒冷な地域に生息するものほど体が大きいという法則です。例えば熊は、マレー熊など南方の熊は体が小さく、ホッキョクグマなど北方の熊は体が大きい傾向にあります。また反対に「アレンの法則」とは、恒温動物について、寒冷な地域に生息するものほど耳や尾などの突出部が短くなるというものです。ホッキョクグマの小さな耳はこの法則にのっとっているそうです。  さて、札幌の住宅を眺めると大抵どれも大きく箱型で、かつ、陸屋根というかたちをしています。これは東京などの都心部とは異なる土地事情によって一軒あたりの土地面積が比較的大きいこと、積雪に対しては落雪させずにスノーダクトを用いて雪を処理すること、などの要因が大きく関係していることはすぐに想像できるのですが、ここに「ベルクマン・アレンの法則」が見いだせるのではないかとも思っています。  あらためていまの札幌の住宅を眺めてみると、庇も少なく勾配屋根もあまり見られません。また外壁の凹凸も比較的少ない傾向に見えます。一方、建物全体のボリュームは都内の狭小住宅などに比べると、ひとまわり、ふたまわり、大きいような印象があります。つまり、���出部が小さく、かつ、その表面積に比べて体積が大きい、ホッキョクグマの体のような傾向がなんとなく見えてきます。  「ベルクマン・アレンの法則」は放熱の問題で説明されます。つまり、表面積に比べて体積を大きくすることは、体内の熱生産量に比べて放熱量を小さくする工夫だというのです。シロクマハウスの胴体にあたる立方体は球に次いで表面積の小さなかたちです。シロクマハウスは中心の大きな立方体をメインに、その少し外側に付加断熱を加えた外壁が「毛皮」のように取り巻き、また、生活に必要な玄関や納戸などの非居室が「鼻」や「尻尾」のようにくっついたかたちをしています。  この建物を設計していくなかで、なんとなく通称として仮に呼びはじめ、なんとなくしっくりきている〈シロクマハウス〉という名前は、このような北国の生き物、建物、の立ちあらわれ方を象徴しているようにも思えます。
■4.形式への解釈
[一辺が6.15mの立方体が与えられたとする]  「立方体」というのは公理に非常に近く、証明しようのない、根拠の無い、論理式に近いかたちです。いってしまえば、とても意味の無い、無意味なかたちともいえます。  四角い箱にはおおむね作られる意味があります。中にリンゴを入れるため、あるいは人が上に乗るため、など、いろんな意味のために四角というかたちをつかって箱は作られます。でも、四角というかたち自体に意味をつけることは、実は難しかったりします。四角がなぜ四角なのか、いろいろと意味を付けてみても、それら全部が上滑りしてしまうのが純粋な幾何学のかたちの不思議なところだと思います。むかしから四角いかたちの造形物(モノリス)が、異様な、未来からのものに見えたり、過去世界の遺物に見えたり、別世界のものにみえたりするのは、その純粋幾何学のかたちの無根拠さゆえかもしれません。  一方で、世界のありとあらゆるものをどのように意味付けて解釈するかは私たち人間に任されています。あらゆるものに意味をつけて世界を存在させること、それが私たちの主体性であって自律性でもあります。しばしば建築家によって〈自律的な建築〉とか〈他律的な建築〉とかいった言葉がつかわれますが、それは結局、ある人からはそう見える、というくらいのことなのかもしれません。建築自体の自律性や他律性を考えるのも面白いのですが、人間として主体的によく生きたいという、より根本的なものを目標にすれば、建築を含めたこの世界を意味付ける、人間の自律性の方がはるかに重要なものに思えます。  たとえば住まいをつくろうと考えたとします。たとえば住みたい場所が寒い地域だったとします。そういったなんとなく与条件として意味付けられるものたちと、立方体のような、あからさまに根拠が無くて、意味のよく分からないものを、同列に並べてみましょう。それらをあらためて自ら意味付け、解釈しようとするところに、私たち、設計者や住まい手の主体性や自律性は自覚されて、自分が置かれた環境を積極的に肯定していく人間的な暮らしにつながっていくのではないでしょうか。
■5.コーリン・ロウ風の解釈
[理想的ヴィラの数学]  「この住宅は立体の表象であるという観念が実現されるとき、ヴェルギ��ウスの夢という意図も果たされるのである。ここには絶対的なるものと偶然的なるもの、抽象と自然の衝突があり、理想世界とあまりに人間的な現実の急務とのギャップが悲哀に満ちて示されている。」 コーリン・ロウ『マニエリスムと近代建築』(伊東豊雄、松永安光訳、彰国社、1981年)より。
 この住宅は、前後に付加された勾配屋根のヴォリュームを除けば、基本的なヴォリュームは 1 対 1 対 1 の立方体である。平面の構成は、中央の柱間を 1 とすると、前から後へおよそ 1/3 対 1+√2 対 1 対 1+√2 対 1/3 の比で進む。この比の構成は左右方向についても、また垂直方向についても徹底して保たれている。中央部のスパンに対して中間部のスパンが白銀比に近似している点は日本的比例の美学というよりは偶然的なものであろうが、その膨張した中間部のスパンに対して外周部のスパンが極端に圧縮されることによって、関心は中央から中間部へと移されることになる。3軸に同じ比が徹底されることによって中間部には 1+√2 の立方体が8つ現れており、それぞれの中心に重心が等しく置かれていることが暗示される。この住宅では3軸のシンメトリー 構成の中で、中央部への集中でもなく、周縁への離散でもなく、中間部において複数の中心の遍在というものが強調される。  この3軸が等しくシンメトリーな構成の中で、なおも上下左右を等しく相対化しようという試みに、床や壁、柱や梁といった構造も参加する。中央右手では吹抜けに面して2層をまたぐ壁面が垂直性を強調する一方、2層目左では同じ大きさの床面が水平性を強調している。柱や梁は同じ太さで縦横に現れ、重力の存在を示唆するのは二段梁の間を繋ぐ山形の方杖のみである。こうして通常、重力に基づいて積み上げられる壁・柱の垂直性や床の水平性は、ここでは解体され、立方体の6面すべてに均等な重要性が割り当てられることになるのである。均等に重力を与えられた6面は、離散することなく幾何学的配置にその中心を留め全体を構成する。  このように集中的なヒエラルキーを排しつつも離散を避けようとするどっちつかずの態度は、恐らく、多様な中心の遍在を認めるリゾーム的世界観によるものであろう。多様化した社会において、ある建物を住宅たらしめるのは行為として表現される暮らしそのものであり、慣習に拠る美を持ち込み、継承し、再生産し続ける「文字以前の文字(プロ・グラム)」である。一方、この住宅の理論は一種のポストモダンであり、過去の客観的美学=数学的規範を持ち込みつつ、それによって過去の構築を相対化し、集中と離散の二項対立を脱構築しようとする分裂的な試みである。そしてプロ・グラムと衝突するこの理論こそ、普遍的な生き生きとした力を喚起する幾何学なのである。
■6.音楽としての解釈
[マイルス・デイビス]  「非常にわかりやすい、見え見えなぐらいな部分と、全く意味不明の謎の部分というのが、丁度半分半分混じっていく、というのが、マイルス・デイビスの音楽であり、人となりであり、パッションであり、あらゆる彼の行動規範に張り付いているアンビバレンスです。」ジャズ・ミュージシャンの菊地成孔さんはマイルス・デイビスをこのように解説しました。  マイルスによって完成された「モード・ジャズ」は、それまでのコード進行によるモダン・ジャズとは異なり、「モード」と呼ばれる音階内でのアドリブを特徴とするものなのだそうです。それまでのジャズの歴史でどんどん複雑化していたコード進行を極端に単純化したうえで、モードによってより自由な演奏を可能にしました。モードとは、西洋音楽の音階とは異なる音階、日本のヨナ抜き音階や、琉球音階、インドネシアのガムラン音階など、土着的で民族的なものを指し、マイルスはカリンバのアフリカ的な音階に出会ってモード・ジャズを完成させたともいわれます。おおむね7つの音で構成されるモードと、それを用いたモード・ジャズについて、菊池成孔さんは「少ない音、7つだけの音で自由に演奏しろと言われた場合はですね、自由度が高すぎてサウンドの審美眼とかセンスが露骨に出るので、非常に難しい、」と解説します。  シロクマハウスも、もしかするとそのモード・ジャズ、あるいはマイルス・デイビスのように解釈することができるかもしれません。シロクマハウスは、8つの立方体の間に95cm幅のスリットをたてよこ水平に入れるという「非常にわかりやすい見え見え」な構成ですが、その構成の根拠は恣意的かつ薄弱で「意味不明」でもあります。一方で、暮らしによって立ちあらわれている壁や窓や棚などの部分は、意味としては「見え見え」ですが、複雑で過剰なその全体のかたちは「意味不明」でもあります。  つまりシロクマハウスは、あからさまに単純な構成を〈コード〉とし、北海道という土地や社会などの〈モード〉のなかで、設計者の恣意性や手癖・住まい手の趣味や暮らしによる〈アドリブ〉が行われる、そんなモード・ジャズ、という見方ができるかもしれません。そしてそれは、意味とあらわれのアンビバレンスが振動するようなグルーヴを生んでいくのかもしれません。
-------------------------------------------------- [Text] Six Interpretations of the house “Polar bear”, for example      1. Interpretation as a HOUSE      2. Interpretation from STRUCTURAL engineering      3. Interpretation from ECOLOGICAL point of view      4. Interpretation in terms of FORM      5. Interpretation in the style of Colin Rowe      6. Interpretation as MUSIC
1. Interpretation as a HOUSE
     The owner of this house decided to build a new house on a site in Hokkaido, which he had grown accustomed to living in since long ago. The house was built in a very compact cube form concerning the site, due to the rising cost of materials caused by the wood shock and the war, as well as a regulation unique to snow country (the building envelope must be at least 1 m away from the neighboring site). The overall composition is based on eight cubes of 2.3 meters on each side, 95 cm apart on each side, and 30 cm apart on the outside, for an overall cube of 6.15 meters. The size of this cube was defined based on the maximum volume that could fit on the site and is not based on human scale or traditional modules.      We considered this cube as "Architecture," and together with the owner and his family, we discovered and imagined "bright places," "dark places," "big places," "small places", etc. in terms of local conditions and lifestyles, and gave meaning to them as "living". In trying to give "Architecture" a meaning of "living," we were careful to avoid using generic terms such as "living room" or "dining room" to link behavior with place. We patiently continued our exploration, finding bright and breezy places, large and softly bright places, small and dark places, etc., without adding too much meaning to them. The large area with the atrium could be used for breakfast, and the area next to the kitchen, one step up, might suit dinner. The bathtub area is the brightest and most refreshing place, so it would be pleasant to read a book there. The resulting house, in which "living" responds to the plain "Architecture" of overlapping cubes, has generated a complex and diverse place.      The house as a building has been completed. However, the attachment of the owner and his family and the meaning they give to the house will make it a unique "home." The trigger for this attachment may be "the somewhat strange facade," "the hand feeling of the walls," "the sound of the kitchen," or even "the smells." The owner and his family are now ready to live with a sense of agency, finding meaning in forms that are not yet understandable, such as exposed pillars and beams, several intricate corners, rough and smooth surfaces, and so on, and using them to make the house his "home" while living in the house. 
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2. Interpretation from STRUCTURAL engineering
     Recently, the distribution of goods tends to be stagnant, and what used to be commonplace has become unavailable or expensive, making it necessary to reconsider building materials and construction methods. Because of the location of this project in Hokkaido, where the 120 mm width series of structural timbers were in short supply from early on, we thought that "structure using only 105 mm x 105 mm structural timbers," which is the most accessible and inexpensive, and "construction at the minimum technical level" that does not require special contractors, and thus "minimizing the cost of the structure" could be a prototype that reflects the social situation of the present day.      The maximum span of the columns is 2.3 m, so the axial force is small, and 105 mm square columns are sufficient. However, this is not enough for beams that are subject to bending, so an inverted V-shaped diagonal timber was placed between the upper and lower beam members at the position of the girder connecting the columns to support the floor load with a truss effect. The 2.3m square floor is surrounded by girders, if the beams are placed in one direction as usual, the force will not flow evenly to the girders on all four sides, resulting in a difference in the amount of load. Therefore, the beams are placed in a diamond shape like a corner brace for three reasons: to nullify the direction of force, to shorten the span, and to flow the force directly to the truss members.     It can be said this is a simple structure because it is essentially a Japanese conventional post and beam structural system. The truss section is a bit irregular, but they are simply tied together by inserting a portion of the truss member into the beams and bolting them together. Thus, the absence of special hardware facilitates fabrication and construction, as well as lowers costs. (Translation by the author with some changes from the original text by the structural engineer)
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3. Interpretation from ECOLOGICAL point of view
[Bergmann's and Allen's rules] “Bergmann's rule” is an ecogeographical rule that states that within a broadly distributed taxonomic clade, populations and species of larger size are found in colder environments, while populations and species of smaller size are found in warmer regions. For example, bears living in the southern areas, such as Sun bears, tend to be smaller, while bears living in the northern areas, such as Polar bears, tend to be larger. Conversely, "Allen's rule " refers to the fact that animals that live in colder regions tend to have shorter ears, tails, and other protruding parts than those that live in warmer regions. Polar bears' small ears are said to be following this rule.      When we look at houses in Hokkaido today, we can see that they are generally large, box-shaped, and have flat roofs. The reasons for this can be easily imagined to be that the area of land per house is relatively larger than in urban areas such as Tokyo, and snow ducts are used to deal with snow accumulation instead of letting it fall. And in these points, I suspect we can find " Bergmann's and Allen's rule " as well. Looking again at the houses in Hokkaido today, there are not many eaves, and pitched roofs are not seen very often. The exterior walls also tend to be relatively less uneven. On the other hand, the overall volume of the building seems to be larger than those of narrow houses in Tokyo. These facts suggest that the tendency of the polar bear's body to have a small protrusion and a large volume compared to its surface area seems to be somewhat common to the features of these houses.      The "Bergmann's and Allen's rules" are explained by the issue of heat dissipation. In other words, increasing volume compared to surface area is a device to reduces the amount of heat dissipated compared to the amount of heat produced in the body. The shape of the body of this house is a cube, which is the second smallest geometric form in surface area after a sphere. This house consists of a large cube in the center, with exterior walls with additional insulation surrounding it like "fur," and non-habitable rooms necessary for daily life, such as an entrance and a storage room, attached to it like a "nose" and a "tail”.      The name of this house, "Polar bear," which became somewhat comfortably familiar to us as we began to call it tentatively in the process of designing this house, seems to symbolize the appearance of this kind of northern creature and building.
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4. Interpretation in terms of FORM
[Suppose you are given a cube with a side of 6.15m.] The "cube" is very close to an axiom, a form that can never be proven, that has no ground, and that is very close to a logical formula. In other words, it is a very nonsense and meaningless form.      A square box usually has a meaning. Boxes are made in the shape of a square for various purposes, such as to put an apple inside, or for a person to ride on top. However, it is difficult to assign meaning to the square shape itself. The mysterious thing about the form of pure geometry is that even if you try to attach various meanings to why a square is a square, all of these meanings will slip over and over. A square-shaped object (monolith) often looks strange, like something from the future, a leftover from the past, or another world, perhaps because of the groundlessness of its pure geometrical form.      Meanwhile, it is up to us as human beings to make meanings and interpretations of everything and anything in the world. To create meanings for everything and bring the world into existence, that is our agency and our autonomy. Sometimes, architects use terms such as "autonomous architecture" or " heteronomous architecture," but it may just be that this is how it seems from their point of view. It is interesting to consider such autonomy and heteronomy of architecture, but if we focus on the more fundamental subject that we as human beings want to live well, the autonomy of human beings that makes sense of this world, including architecture, seems to be much more important.      For example, suppose you are thinking of building a house. Suppose, for example, that you want to live in a cold climate. Let's put such things that we can somehow make sense of as given conditions and things like cubes, which have no obvious basis and whose meanings we are not sure of, in the same line. In trying to redefine and interpret the meaning of these things, we, the designers and homeowners, become aware of our agency and autonomy, and this may lead to a humane lifestyle in which we actively affirm the environment in which we are placed.
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5. Interpretation in the style of Colin Rowe
[The Mathematics of the Ideal Villa] ... and the realization of an idea which is represented by the house as a cube could also be presumed to lend itself very readily to the purposes of Virgilian dreaming. For here is set up the conflict between the absolute and the contingent, the abstract and the natural; and the gap between ideal world and the too human exigencies of realization here receives its most pathetic presentation. …  (Colin Rowe. 1947. The Mathematics of the Ideal Villa. AR)
     The basic volume of this house is a 1:1:1 cube, except for the pitched roof volumes added to the front and rear. The configuration of the plane proceeds from front to back in a ratio of approximately 1⁄3 to 1 + √2 to 1 + √2 to 1⁄3, with 1 between the central columns. This ratio configuration is thoroughly maintained for horizontal as well as vertical directions. The fact that the middle span approximates the silver ratio to the center span may be more by chance than Japanese proportional aesthetics, but the extreme compression of the outer span relative to the expanded middle span transfers interest from the center to the middle. Also, the same ratio is thoroughly applied to the three axes, so that eight cubes of 1+√2 appear in the middle part, implying that gravity is equally placed in the center of each cube. In this house, the three-axis symmetrical configuration emphasizes the omnipresence of multiple centers in the middle, rather than their concentration in the center or their dispersion to the periphery.      In this symmetrical configuration with equal symmetry of the three axes, the structural elements such as floors, walls, columns, and beams also participate in the attempt to relativize the top, bottom, left, and right equally. On the right side of the center, the verticality is emphasized by the wall surface that spans the first and second floors of the atrium, while on the left side of the second floor, the horizontality is emphasized by a floor surface the same size as that wall surface. Columns and beams appear horizontally and vertically with the same thickness, and the only suggestion of the existence of vertical forces is the triangular truss members connecting the upper and lower beams. Thus, the verticality of the walls and columns and the horizontality of the floor, which are usually constructed by gravity-based stacking, are here deconstructed, and equal importance is assigned to all six sides of the cube. The six equally gravitated sides, which are not discrete, keep their centers in a geometric placement and make up wholeness.      This ambivalent attitude of avoiding discretization while eliminating centralized hierarchies is probably due to a rhizomatic worldview that recognizes the omnipresence of diverse centers. In a diversified society, what makes a building a house is the life itself, which is expressed as an action, and the "pro-gram" that continuously reproduces, inherits, and brings in customary beauty. Meanwhile, the theory of this house is a kind of postmodernism, a schismatic attempt to bring in the objective aesthetics of the past = mathematical norms, but thereby relativize the construction of the past and deconstruct the dichotomy between concentration and dispersion. And this theory that conflicts with the pro-gram and evokes our universal life force is geometry.
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6. Interpretation as MUSIC
[Miles Davis] “The ambivalence that characterizes Miles Davis' music, persona, and passions, and that accompanies all of his codes of conduct, is a half-and-half mixture of the very straightforward and obvious, and the completely mysterious and unintelligible.” (Translation by the author) Commentary on Miles Davis by jazz musician Naruyoshi Kikuchi.
     “Modal jazz," perfected by Miles, is said to be characterized by improvisation within a scale called a "mode," unlike modern jazz, which was based on chord progressions. And it allowed for more flexible playing through modes, taking chord progressions that had become increasingly complex in the history of jazz up until then, and simplifying them radically. Mode refers to scales that are different from those of Western music, indigenous and folkloric, such as the Japanese "yona nuki" scale, Okinawan scale, and Indonesian gamelan scale, and Miles is said to have perfected modal jazz when he discovered the African scale of the kalimba. Naruyoshi Kikuchi explains that modes, which are generally composed of seven notes, and modal jazz, which uses these modes, are "very difficult to play if you are asked to play freely with only seven notes because the degree of freedom is too high and the aesthetics and sense of the sound come out obviously.” (Translation by the author)       This house could also possibly be interpreted as modal jazz or even Miles Davis. This house has a "very straightforward and obvious" configuration of 95cm-wide slits horizontally and vertically between eight cubes, but the rationale for this configuration is arbitrary, weak, and "unintelligible" as well. On the other hand, the walls, windows, shelves, and other parts that respond to the daily life are "straightforward" in terms of meaning, but their complex and excessive overall form is "unintelligible.      Therefore, this house could be seen as a "modal jazz" in which a straightforwardly simple configuration is the "code," and the architect's arbitrariness, his/her habits, and the residents' tastes and lifestyles are "improvised" within the "mode" of the region and society of Hokkaido. And this may give rise to a "groove” in which the ambivalence between signification and manifestation vibrates.
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jcmarchi · 2 months
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