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#本:大戸屋 にっぽんの定食レシピ
vegehana-food · 6 months
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✿ 豚とたっぷり野菜の蒸し鍋定食
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boooooooooooook · 2 years
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2022年1月、2月、3月、4月、5月、6月読んだ本
「微分積分」浅野重初・石原繁 裳華書房 「応用解析」矢野健太郎・石原繁 裳華書房 「縄文文明の発見」梅原猛・安田喜憲 PHP研究所 「シボネイ」村上龍 主婦の友社 「ワイルドスワン上下」ユン・チアン 講談社 「現代用語の基礎知識2021」自由国民社 「現代用語の基礎知識2016」自由国民社 「軽い手荷物の旅」トーベ・ヤンソン 筑摩書房 「からっぽ男の休暇」いとうせいこう 講談社 「沖縄の歴史と旅」陳舜臣 PHPエル新書 「色即是空の研究」山本七平・増原良彦 日本経済新聞社 「『聖書』名表現の常識」石黒ユリ―ローズ 講談社現代新書 「スクラップ・アンド・ビルド」羽田圭介 文藝春秋 「本所深川ふしぎ草紙」宮部みゆき 新人物往来社 「たまわりの日々」俵万智 ベネッセ 「Cプログラミング」黒田康太 東京電機大学出版局 「コンピュータの基礎知識」大日方真 東京電機大学出版局 「日本の私からの手紙」大江健三郎 岩波新書 「二十歳の原点序章」高野悦子 新潮社 「パワナくじらの失楽園」ル・クレジオ 集英社 「ヴィトゲンシュタイン論理哲学論考を読む」野矢茂樹 ちくま学芸文庫 「ゲーデル 不完全性定理」林晋・八杉清利子 岩波文庫 「山椒魚戦争」カレル・チャペック 小学館 「親の毒 親の呪縛」岸田秀・原田純 大和書房 「人気定食屋レシピ200」主婦の友社 「善光寺の精進料理 高野悦子・若麻績勝子 信濃毎日新聞社 「日本共産党」 筆坂秀世 新潮新書 「社会を変えるには」小熊英二 講談社現代新書 「すべてがFになる」森博嗣 講談社文庫 「N・P」吉本ばなな 角川書店 「まんが学習シリーズ 日本の歴史1巻~15巻」KADOKAWA 「まんが学習シリーズ 日本の歴史別巻1巻~4巻」KADOKAWA 「スタア黄金時代」淀川長治 集英社 「ペスト」カミュ 新潮文庫 「殉死」三島由紀夫 新潮文庫 「じぶん この不思議な存在」鷲田清一 講談社現代新書 「ハルーンとお話の海」サルマン・ラシュディ 国書刊行会 「ハワイ紀行」池澤夏樹 新潮社 「ひとり暮らし」谷川俊太郎 草思社 「雪国」川端康成 新潮文庫 「江戸時代の先覚者たち」山本七平 PHP 「万華鏡」遠藤周作 朝日新聞社 「マリカの永い夜 バリ夢日記」吉本ばなな 幻冬舎 「日本人の発想・日本語の表現」森田良行 中公新書 「明暗」夏目漱石 新潮文庫 「吾輩は猫である」夏目漱石 新潮文庫 「合格するための本試験問題集日商簿記3級」TAC出版 「合格テキスト日商簿記2級商業簿記」TAC出版 「合格テキスト日商簿記2級工業簿記」TAC出版 「月刊ちくま 1月号、2月号、3月号、4月号、5月号、6月号」 「月刊図書 1月号、2月号、3月号、4月号、5月号、6月号」 「月刊波 1月号、2月号、3月号、4月号、5月号、6月号」 「月刊みすず 1月・2月合併号 読書アンケート特集」
 4月から新学期が始まり6月に中間テストがあり「現代社会」89点「コミュニケーション英語Ⅱ」85点、あまり良い点は取れませんでしたが期末はもっと頑張ります。それと簿記3級の試験もありまだ合格はわかりませんがそのまま2級の勉強始めました。出所までに2級合格頑張ります。
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kuro-tetsu-tanuki · 3 years
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裕くんが三日月亭でバイトする話(タイトル)
定晴ルート入った辺りのお話。
委員会イベやら本編の描写やらとあるルートネタバレやら有。
「なぁ裕。お前、数日ここでバイトしねえか?」 「は?バイト?」
いつものように三日月亭に買い物に来ていた俺は、店長から唐突な申し出を受けた。
「お前ドニーズでバイトしてたって言ってたよな?調理スタッフとしてもやれるだろ?」 「はあ。まぁ、確かにキッチンもやってたのでやれなくはないですが。どうしたんです?随分と突然ですね」
三日月亭は店長が一人で回している。 繁盛している時間は確かに忙しそうではあるが、注文、調理、配膳と見事に捌いている。 港の食堂を稼働させていた時の俺��ような状態ではとてもない。 これが経験の差というものか。 いや、それは兎も角人員を雇う必要性をあまり感じないのだがどうしたというのだろうか。
「いや、その・・・ちょっと腰が・・・な」 「腰?店長腰悪くしたんですか?ちょ、大丈夫ですか!?海堂さん呼んできましょうか?あの人ああ見えてマッサージ得意なので」 「あー・・・そういうワケじゃ、いや、元はと言えばお前らがブランコなんか・・・」
なんだかよくわからないが随分と歯切れが悪い。 腰悪くしたことがそんなに言いにくい事なのか? 言葉尻が小さくて上手く聞き取れない。
「・・・あー、海堂の旦那の事は頼む。屈んだりすると結構痛むもんでな。基本はホール、こっちが手一杯になったらキッチンもやってもらうつもりだ。で、どうだ?まかない付きで給料もしっかり出すぜ。時給は・・・こんくらいでどうだ?」 「おお・・・意外と結構な金額出しますね」 「臨時とは言えこっちから頼んでるわけだしな。その分コキ使ってやるが」
海堂さんの事を頼まれつつ、仕事内容も確認する。 まぁ、ドニーズの頃と左程変わらないだろう。お酒の提供が主、くらいの違いか。 時給もこんな離島の居酒屋とは思えない程には良い。田舎の離島で時給四桁は驚きだ。 内容的にも特に問題ない。直ぐにでも始められるだろう。 とはいえ、屋敷に世話になっている身。勝手に決められるものでもない。
「非常に魅力的ではあるんですが、即断即決とは・・・。申し訳ないですが、一度持ち帰らせてください」 「おう。言っとくが夜の居酒屋の方だからな」 「キッチンの話出しといて昼間だったらそれはそれでビックリですよ。わかりました、また明日にでも返事に来ますよ」
話を終え、買い物を済ませて三日月亭を後にする。 バイト、かぁ・・・。
夕食後。皆で食後のお茶をいただいている時に俺は話を切り出した。 夜間の外出になるのでまずは照道さんに相談するべきだし、海堂さんにもマッサージの話をしなければならない。
「成程。裕さんがやりたいと思うなら、私は反対はしませんよ。店長には日ごろからお世話になっていますし」 「ほー。ま、いいんじゃねぇの?懐があったかくなることは悪いことじゃあねえじゃねえか。マッサージの方も受けといてやるよ。店長に借り作っとくのも悪くないしな」
難しい顔をされるかと思ったが、話はあっさりと通った。 海堂さんに至っては難色を示すかと思っていたが、損得を計算したのかこちらもすんなりと了承を得た。 ちょっと拍子抜けしつつ、改めて照道さんに確認する。
「えっと、本当にいいんですか?」 「ええ。ただ、裕さんの事を考えると帰りだけは誰かしらに迎えに行ってもらった方がいいかもしれませんね」
確かに。禍月の時ではなくても、この島は気性が荒い人は少なくない。 まして居酒屋で働くのだ。店長がいるとはいえ何かしらトラブルに巻き込まれる可能性もある。
「じゃあ、俺が迎えに行くぜ。なんなら向こうで普通に飲んでてもいいしな」
お茶を啜っていた勇魚さんがニカッと笑う。 あ、湯呑が空になってる。 急須を取り、勇魚さんの湯呑にお茶を注ぎながら問い返す。
「俺は助かりますけどいいんですか?はい、お茶のおかわり」 「お、さんきゅ。いいんだよ、俺がやりてえんだから。俺なら酔いつぶれることもねえしな。それに、そういうのは旦那の仕事だろ?」
自然な流れで旦那発言が出てきて驚きつつ、その事実に一気に顔が火照る。 うん、そうなんだけど。嬉しいんだけど。そうストレートに言われると恥ずかしいというかなんというか。
「え、と・・・ありがとうございます」 「けっ、惚気は余所でやれってんだ」 「ふふ・・・」
海堂さんのヤジも、照道さんの温かな眼差しもどこか遠くに感じる。 ヤバい。凄い嬉しい。でもやっぱ恥ずかしい。 そんな思いに悶々としていると、冴さんがコトリと湯呑を置いた。
「で、バイトはいいんだけど、その間誰が私達のおつまみを用意してくれるの?」 「はっ、そういやそうだ!オイ裕!お前自分の仕事はどうする気なんだ」
冴さんの一言に、海堂さんが即座に反応する。 ええ・・・酒飲みたちへのおつまみの提供、俺の仕事になってたの・・・?
「それこそ三日月亭に飲みに来ればいいのでは・・・?」 「それも悪くはないけれど、静かに飲みたい時には向かないのよ、あそこ。それに、この髭親父を担いで帰るなんて事、か弱い乙女の私にさせるの?」
確かに三日月亭は漁師の人達がいつもいるから賑やか、というかうるさい。 ゆったり飲むには確かに向かないかもしれない。ましてや冴さんは女性だから漁師たちの視線を集めまくることだろう。 さり気なく、海堂さんを担ぐのを無理ともできないとも言わない辺りが冴さんらしい。
「ふむ。俺が裕につまみのレシピを教えてもらっておけばいいだろう。新しいものは無理だが既存のレシピであれば再現して提供できる」 「それが無難ですかね。すみません、洋一さん。今日の分、一緒に作りましょう。他にもいくつか教えておきますので」 「ああ、問題ない」
結局、洋一さんが俺の代わりにおつまみ提供をしてくれる事になり、事なきを得た。
翌日、午前中に店長へと返事をした後、島を探索。 少々の収穫もありつつ、昼過ぎには切り上げ、陽が落ち始める前には三日月亭へと足を運んでいた。
「説明は大体こんなもんか。不明な点が出てきたら逐一聞いてくれ」 「はい。多分大丈夫だと思います」
注文の仕方、調理場の決まり、会計の方法。 業務の大半はドニーズでの経験がそのまま役立ちそうだ。 むしろ、クーポンだのポイントだのない分こちらの方がシンプルで楽かもしれない。 渡されたエプロンを付けて腰紐を後ろで縛る。うん、準備は万全だ。
「さ、頼むぞルーキー」 「店長が楽できるよう努めさせてもらいますよ」
そんな軽口をたたき合いながら店を開ける。 数分も経たないうちに、入り口がガラリと音を立てた。
「いらっしゃい」 「いらっしゃいませー!」
現れたのは見慣れた凸凹コンビ。 吾郎さんと潮さんだ。
「あれ?裕?お前こんなとこで何してんだ?」 「バイト・・・えっと、店長が腰悪くしたみたいで臨時の手伝いです」 「なに、店長が。平気なのか?」 「動けないって程じゃないらしいので良くなってくと思いますよ。マッサージも頼んでありますし。それまでは短期の手伝いです」 「成程なぁ・・・」
ここで働くようになった経緯を話しつつ、カウンター近くの席へご案内。 おしぼりを渡しつつ、注文用のクリップボードを取り出す。
「ご注文は?まずは生ビールです?生でいいですよね?」 「随分ビールを推すなお前・・・まぁ、それでいいか。潮もいいか?」 「ああ、ビールでいいぞ。後は―」
少々のおつまみの注文を受けつつ、それを店長へと投げる。
「はい、店長。チキン南蛮1、鶏もも塩4、ネギま塩4、ツナサラダ1」 「おう。ほい、お通しだ」
冷蔵庫から出された本日のお通し、マグロの漬けをお盆にのせつつ、冷えたビールジョッキを用意する。 ジョッキを斜めに傾けながらビールサーバーの取っ手を手前へ。 黄金の液体を静かに注ぎながら垂直に傾けていく。 ビールがジョッキ取っ手の高さまで注がれたら奥側に向けてサーバーの取っ手を倒す。 きめ細かな白い泡が注がれ、見事な7:3のビールの完成。 うん、我ながら完璧だ。 前いたドニーズのサーバーは全自動だったから一回やってみたかったんだよなぁ、これ。
「はい、生二丁お待たせしました。こっちはお通しのマグロの漬けです」 「おう。んじゃ、乾杯ー!」 「ああ、乾杯」
吾郎さん達がビールを流し込むと同時に、入り口の引き戸が開く音がした。 そちらを向きつつ、俺は息を吸い込む。
「いらっしゃいませー!」
そんなスタートを切って、およそ2時間後。 既に席の半分は埋まり、三日月亭は盛況だ。 そんな中、またも入り口の引き戸が開き、見知った顔が入って来た。
「いらっしゃいませー!」 「おう、裕!頑張ってるみたいだな!」 「やあ、裕。店を手伝っているそうだな」 「勇魚さん。あれ、勇海さんも。お二人で飲みに来られたんですか?」
現れたのは勇魚さんと勇海さんの二人組。 俺にとっても良く見知ったコンビだ。
「勇魚から裕がここで働き始めたと聞いてな。様子見ついでに飲まないかと誘われてな」 「成程。こっちの席へどうぞ。・・・はい、おしぼりです。勇魚さんは益荒男ですよね。勇海さんも益荒男で大丈夫ですか?」 「ああ、頼���よ」 「はは、裕。様になってるぞ!」 「ありがとうございます。あまりお構いできませんがゆっくりしていってくださいね」
勇魚さんは俺の様子見と俺の迎えを兼ねて、今日はこのままここで飲むつもりなのだろう。 それで、勇海さんを誘ったと。 もう少しここにいたいが注文で呼ばれてしまっては仕方ない。 別の席で注文を取りつつ、すぐさまお酒の用意を準備をしなければ。
「いらっしゃいませー!」 「おッ、マジでいた!よう裕!遊びに来てやったぜ!」 「あれ、嵐の兄さん、照雄さんまで。何でここに?」
勇魚さん達が来てからしばらく経ったころ、店に見知った大柄な人物がやってくる。 道場の昭雄さんと嵐の兄さんだ。
「漁師連中の噂で三日月亭に新しい店員がいるって話を聞いてな」 「話を聞いて裕っぽいと思ったんだが大当たりだな!」 「確認するためだけにわざわざ・・・。ともかく、こっちの席にどうぞ。はい、おしぼりです」
働き始めたの、今日なんだけどな・・・。 田舎の噂の拡散力は恐ろしいな。 そんな事を思いつつ、2人を席に誘導する。 椅子に座って一息ついたのを確認し、おしぼりを渡しクリップボードの準備をする。
「おお。結構様になってるな。手際もいい」 「そりゃ照雄さんと違って裕は飲み込みいいからな」 「・・・おい」
照雄さんが俺を見て感心したように褒めてくれる。 何故か嵐の兄さんが誇らしげに褒めてくれるが、いつものように昭雄さん弄りも混じる。 そんな嵐の兄さんを、照雄さんが何か言いたげに半目で睨む。ああ、いつもの道場の光景だ。
「はは・・・似たようなことの経験があるので。お二人ともビールでいいですか?」 「おう!ついでに、裕が何か適当につまみ作ってくれよ」 「え!?やっていいのかな・・・店長に確認してみますね」
嵐の兄さんの提案により、店長によって「限定:臨時店員のおすすめ一品」が即座にメニューに追加されることとなった。 このおかげで俺の仕事は当社比2倍になったことを追記しておく。 後で申し訳なさそうに謝る嵐の兄さんが印象的でした。 あの銭ゲバ絶対許さねえ。
「おーい、兄ちゃん!注文ー!」 「はーい、只今ー!」
キッチン仕事の比重も上がった状態でホールもしなければならず、一気にてんてこ舞いに。
「おお、あんちゃん中々可愛い面してるなぁ!」 「はは・・・ありがとうございます」
時折本気なのか冗談なのかよくわからないお言葉を頂きつつ、適当に濁しながら仕事を進める。 勇魚さんもこっちを心配してくれているのか、心配そうな目と時折視線があう。 『大丈夫』という気持ちを込めて頷いてみせると『頑張れよ』と勇魚さんの口元が動いた。 なんかいいなァ、こういうの。 こっからも、まだまだ頑張れそうだ。
「そういえば、裕は道場で武術を学んでいるのだったか」 「おう。時たまかなり扱かれて帰って来るぜ。飲み込みが早いのかかなりの速度で上達してる。頑張り屋だよなぁ、ホント」 「ふふ、道場の者とも仲良くやっているようだな。嵐の奴、相当裕が気に入ったのだな」 「・・・おう、そうだな。・・・いい事じゃねえか」 「まるで兄弟みたいじゃないか。・・・どうした勇魚。複雑そうだな」 「勇海、お前さんわかって言ってるだろ」 「はは、どうだろうな。・・・ほら、また裕が口説かれているぞ」 「何っ!?ってオイ!勇海!」 「はははははっ!悪い。お前が何度もちらちらと裕の方を見ているのでな。あれだけ島の者を惹きつけているのだ、心配も当然だろう」 「裕を疑うわけじゃねえ。が、アイツ変なところで無防備だからよ。目を離した隙に手を出されちまうんじゃないかと気が気じゃねえんだよ」
何を話しているのかはここからじゃ聞こえないが、気安い親父たちの会話が交わされているらしい。 勇魚さんも勇海さんもなんだか楽しそうだ。
「成程な、当然だ。ふうむ・・・ならば勇魚よ、『網絡め』をしてみるか?立会人は俺がしてやろう」 「『網絡め』?なんだそりゃ」 「『網絡め』というのはだな―」
あまりにも楽しそうに会話しているので、まさかここであんな話をしているとは夢にも思わなかった。 盛大なイベントのフラグが既にここで立っていたのだが、この時点の俺にはあずかり知らぬ出来事であった。
そんなこんなで時間は過ぎ、あっという間に閉店時刻に。 店内の掃除を終え、食器を洗い、軽く明日の準備をしておく。 店長は本日の売り上げを清算しているが、傍から見ても上機嫌なのがわかる。 俺の目から見ても今日はかなり繁盛していた。 売り上げも中々良いはずだろう。
「いやぁ、やっぱお前を雇って正解だったな!調理に集中しやすいし、お前のおかげで客も増えるし財布も緩くなる!」 「おかげでこっちはクタクタですけどね・・・」 「真面目な話、本当に助かった。手際も良いしフードもいける。島にいる間定期的に雇ってもいいくらいだ。もっと早くお前の有用性に気づくべきだったな」
仕事ぶりを評価してくれているのか、便利な人材として認識されたのか。 両方か。
「俺も俺でやることがあるので定期は流石に・・・」 「ま、ひと夏の短期バイトが関の山か。ともかく、明日もよろしく頼むぜ」 「はい。店長もお大事に。また明日」
金銭管理は店長の管轄だし、もうやれることはない。 店長に挨拶をし、帰路につくことにする。 店を出ると、勇魚さんが出迎えてくれた。
「さ、帰ろうぜ、裕」 「お待たせしました。ありがとうございます、勇魚さん」 「いいって事よ」
三日月亭を離れ、屋敷までの道を二人で歩いていく。 店に居た時はあんなに騒がしかったのに、今はとても静かだ。 そんな静かな道を二人っきりで歩くのって・・・何か、いいな。
「・・・にしてもお前、よく頑張ってたな」 「いや、途中からてんてこ舞いでしたけどね。飲食業はやっぱ大変だなぁ」 「そうか?そう言う割にはよく働いてたと思うぜ?ミスもねえし仕事遅くもなかったし」 「寧ろあれを日がな一人で捌いてる店長が凄いですよ」 「はは!そりゃあ本業だしな。じゃなきゃやってけねえだろうさ」
勇魚さんに褒められるのは単純に嬉しいのだが、内心は複雑だ。 一日目にしてはそれなりにやれたという自覚もあるが、まだまだ仕事効率的にも改善点は多い。 そういう部分も無駄なくこなしている店長は、何だかんだで凄いのだ。
「にしても、この島の人達はやっぱり気さくというか・・・気安い方が多いですね」 「そう、だな・・・」
酒も入るからか、陽気になるのは兎も角、やたらとスキンシップが多かった。 肩を組んでくるとかならまだいいが、引き寄せるように腰を掴んできたり、ちょっとしたセクハラ発言が飛んできたり。 幸か不幸か海堂さんのおかげで耐性がついてしまったため、適当に流すことは出来るのだが。
「裕、お前気を付けろよ」 「はい?何がですか?」 「この島の連中、何だかんだでお前の事気に入ってる奴多いからな。こっちは心配でよ」 「勇魚さんも俺の事言えないと思いますけど・・・。大丈夫ですよ、俺は勇魚さん一筋ですから」 「お、おう・・・」
勇魚さんは俺の事が心配なのか、どこか不安そうな顔で俺を見る。 モテ具合で言ったら寧ろ勇魚さんの方が凄まじい気がするので俺としてはそっちの方が心配だ。 でも、その気遣いが、寄せられる想いが嬉しい。 その温かな気持ちのまま、勇魚さんの手を握る。 一瞬驚いた顔をした勇魚さんだが、すぐさま力強く握り返される。
「へへっ・・・」 「あははっ」
握った手から、勇魚さんの熱が伝わってくる。 あったかい。手も。胸も。 温かな何かが、胸の奥から止まることなく滾々と湧き出てくるようだ。 なんだろう。今、すごく幸せだ。
「なぁ、裕。帰ったら風呂入って、その後晩酌しようぜ」 「閉店直前まで勇海さんと結構飲んでましたよね?大丈夫なんですか?」 「あんくらいじゃ潰れもしねえさ。な、いいだろ。ちょっとだけ付き合ってくれよ」 「全くもう・・・。わかりましたよ。つまむもの何かあったかなぁ」
という訳でお風呂で汗を流した後、縁側で勇魚さんとちょっとだけ晩酌を。 もう夜も遅いので、おつまみは火を使わない冷奴とぬか漬け��大根おろしを。
「お待たせしました」 「おっ、やっこにぬか漬けに大根おろしか。たまにはこういうのもいいなあ」 「もう夜遅いですからね。火をつかうものは避けました」
火を使っても問題は無いのだが、しっかりと料理を始めたら何処からかその匂いにつられた輩が来る可能性もある。 晩酌のお誘いを受けたのだ。 どうせなら二人きりで楽しみたい。
「お、このぬか漬け。よく漬かってんな。屋敷で出してくれるのとちと違う気がするが・・・」 「千波のお母さんからぬか床を貰いまして。照道さんには、俺個人で消費して欲しいと言われてますので・・・」 「ああ、ぬか床戦争って奴だな!この島にもあんのか」
ぬか漬け、美味しいんだけどその度に沙夜さんと照道さんのあの時の圧を思い出して何とも言えない気分になるんだよなぁ。 こうして勇魚さんにぬか漬けを提供できる点に関しては沙夜さん��感謝なんだけど。 というかぬか床戦争なんて単語、勇魚さんの口から出ることに驚きを感じますよ・・・。 他の地域にもあるのか?・・・いや、深く考えないようにしよう。
「そういえば前にからみ餅食べましたけど、普通の大根おろしも俺は好きですねえ」 「絡み・・・」
大根おろしを食べていると白耀節の時を思い出す。 そういえば勇魚さんと海堂さんでバター醤油か砂糖醬油かで争ってたこともあったなぁ。 と、先ほどまで饒舌に喋っていた勇魚さんが静かになったような気がする。 何があったかと思い勇魚さんを見ると、心なしか顔が赤くなっているような気がする。
「勇魚さん?どうしました?やっぱりお酒回ってきました?」 「いや・・・うん。なんでもねえ、気にすんな!」 「・・・???まぁ、勇魚さんがそう言うなら」
ちょっと腑に落ちない感じではあったが、気にしてもしょうがないだろう。 そこから小一時間程、俺は勇魚さんとの晩酌を楽しんだのであった。
翌日、夕方。 三日月亭にて―
「兄ちゃん!注文いいかー?この臨時店員のおすすめ一品っての2つ!」 「こっちにも3つ頼むぜー」 「はーい、今用意しまーす!ちょ、店長!なんか今日やたら客多くないですか!?」 「おう、ビビるぐらい客が来るな。やっぱりお前の効果か・・・?」
もうすぐ陽が沈む頃だと言うのに既に三日月亭は大盛況である。 昨日の同時刻より明らかに客数が多い。 ちょ、これはキツい・・・。
「ちわーっとぉ、盛況だなオイ」 「裕ー!面白そうだから様子見に来たわよー」 「・・・大変そうだな、裕」
そんな中、海堂さんと冴さん、洋一さんがご来店。 前二人は最早冷やかしじゃないのか。
「面白そうって・・・割と混んでるのであんまり構えませんよ。はい、お通しとビール」 「いいわよォ、勝手にやってるから。私、唐揚げとポテトサラダね」 「エイヒレ頼むわ。後ホッケ」 「はいはい・・・」
本日のお通しである卯の花を出しながらビールジョッキを3つテーブルに置く。 この二人、頼み方が屋敷の時のソレである。 ぶれなさすぎな態度に実家のような安心感すら感じr・・・いや感じないな。 何だ今の感想。我が事ながら意味がわからない。
「裕。この『限定:臨時店員のおすすめ一品』というのは何だ?」 「俺が日替わりでご用意する一品目ですね。まぁ、色々あってメニューに追加になりまして」 「ふむ。では、俺はこの『限定:臨時店員のおすすめ一品』で頼む」 「お出しする前にメニューが何かもお伝え出来ますよ?」 「いや、ここは何が来るかを期待しながら待つとしよう」 「ハードル上げるなァ。唐揚げ1ポテサラ1エイヒレ1ホッケ1おすすめ1ですね。店長、3番オーダー入りまーす」
他の料理は店長に投げ、俺もキッチンに立つ。 本日のおすすめは鯵のなめろう。 処理した鯵を包丁でたたいて細かく刻み、そこにネギと大葉を加えてさらに叩いて刻む。 すりおろしたにんにくとショウガ、醤油、味噌、を加え更に細かく叩く。 馴染んだら下に大葉を敷いて盛り付けて完成。 手は疲れるが、結構簡単に作れるものなのだ。 そうして用意したなめろうを、それぞれのテーブルへと運んでいく。 まだまだピークはこれからだ。気合い入れて頑張ろう。
そう気合を入れ直した直後にまたも入り口の引き戸が音���立てたのであった。 わぁい、きょうはせんきゃくばんらいだー。
「おーい裕の兄ちゃん!今日も来たぜ!」 「いらっしゃいませー!連日飲んでて大丈夫なんですか?明日も朝早いんでしょう?」 「はっは、そんくらいで漁に行けない軟弱な野郎なんざこの打波にはいねえさ」 「むしろ、お前さんの顔見て元気になるってもんだ」 「はァ、そういうもんですか?とは言え、飲み過ぎないように気を付けてくださいね」
「なぁあんちゃん。酌してくれよ」 「はいはい、只今。・・・はい、どうぞ」 「っかー!いいねぇ!酒が美味ぇ!」 「手酌よりかはマシとは言え、野郎の酌で変わるもんです?」 「おうよ!あんちゃんみたいな可愛い奴に酌されると気分もいいしな!あんちゃんなら尺でもいいぜ?」 「お酌なら今しているのでは・・・?」 「・・・がはは、そうだな!」
「おい、兄ちゃんも一杯どうだ?飲めない訳じゃねえんだろ?」 「飲める歳ではありますけど仕事中ですので。皆さんだってお酒飲みながら漁には出ないでしょう?」 「そらそうだ!悪かったな。・・・今度、漁が終わったら一緒に飲もうぜ!」 「はは、考えておきますね」
ただのバイトに来ている筈なのに、何だか何処ぞのスナックのママみたいな気分になってくる。 それも、この島の人達の雰囲気のせいなのだろうか。
「あいつすげぇな。看板娘みてぇな扱いになってんぞ」 「流石裕ね。二日目にして店の常連共を掌握するとは。崇といい、これも旺海の血なのかしら?」 「もぐもぐ」 「さぁな。にしても、嫁があんなモテモテだと勇魚の野郎も大変だねぇ」 「裕の相手があの勇魚だって知った上で尚挑めるのかが見ものね」 「もぐもぐ」 「洋一、もしかしてなめろう気に入ったのか?」 「・・・うまい。巌もどうだ?」 「お、おう」
料理を運んでいる途中、洋一さんがひたすらなめろうを口に運んでいるのが目に入る。 もしかして、気に入ったのかな? そんな風にちょっとほっこりした気持ちになった頃、嵐は唐突に現れた。 嵐の兄さんじゃないよ。嵐の到来って奴。
「おーう裕。頑張っとるようじゃのう」 「あれ、疾海さん?珍しいですね、ここに来るなんて」 「げ、疾海のジジィだと!?帰れ帰れ!ここにはアンタに出すもんなんてねぇ!裕、塩持って来い塩!」
勇海さんのお父さんである疾海さんが来店。 この人がここにやってくる姿はほとんど見たことがないけれど、どうしたんだろう。 というか店長知り合いだったのか。
「なんじゃ店主、つれないのう。こないだはあんなに儂に縋り付いておったというのに」 「バッ・・・うるせェ!人の体好き放題しやがって!おかげで俺は・・・!」 「何言っとる。儂はちょいとお前さんの体を開いただけじゃろが。その後に若い衆に好き放題されて悦んどったのはお前さんの方じゃろ」
あー・・・そういう事ね。店長の腰をやった原因の一端は疾海さんか。 うん、これは聞かなかったことにしておこう。 というか、あけっぴろげに性事情を暴露されるとか店長が不憫でならない。
「のう、裕よ。お主も興味あるじゃろ?店主がどんな風に儂に縋り付いてきたか、その後どんな風に悦んでおったか」 「ちょ、ジジィてめぇ・・・」 「疾海さん、もうその辺で勘弁してあげてくださいよ。店長の腰がやられてるのは事実ですし、そのせいで俺が臨時で雇われてるんですから。益荒男でいいですか?どうぞ、そこの席にかけてください」 「おい、裕!」 「店長も落ち着いて。俺は何も見てませんし聞いてません。閉店までまだまだ遠いんですから今体力使ってもしょうがないでしょう。俺が疾海さんの相手しますから」 「―ッ、スマン。頼んだぞ、裕」
店長は顔を真っ赤にして逃げるようにキッチンへと戻っていった。 うん、あの、何て言うか・・・ご愁傷様です。 憐れみの視線を店長に送りつつお通しと益荒男を準備し、疾海さんの席へと提供する。
「よう店主の手綱を握ったのう、裕。やるもんじゃな」 「もとはと言えば疾海さんが店長をおちょくるからでしょう。あんまりからかわないでくださいよ」
にやにやと笑う疾海さんにため息が出てくる。 全く・・・このエロ爺は本当、悪戯っ子みたいな人だ。 その悪戯が天元突破したセクハラばかりというのもまた酷い。 しかも相手を即落ち、沈溺させるレベルのエロ技術を習得しているからなおさら性質が悪い。
「にしても、裕。お前さんもいい尻をしておるのう。勇魚の竿はもう受けたか?しっかりと耕さんとアレは辛いじゃろうて」
おもむろに尻を揉まれる。いや、揉みしだかれる。 しかも、その指が尻の割れ目に・・・ってオイ!
「―ッ!」
脳が危険信号を最大限に発し、半ば反射的に体が動く。 右手で尻を揉みしだく手を払いのけ、その勢いのまま相手の顔面に左の裏拳を叩き込む! が、振り抜いた拳に手ごたえは無く、空を切ったのを感じる。 俺は即座に一歩下がり、構えを解かずに臨戦態勢を維持。 チッ、屈んで避けたか・・・。
「っとぉ、危ないのう、裕。儂の男前な顔を台無しにするつもりか?」 「うるせえジジイおもてでろ」 「ほう、その構え・・・。成程、お前さん辰巳の孫のとこに師事したんか。道理で覚えのある動きじゃ。じゃが、キレがまだまだ甘いのう」
かなりのスピードで打ち込んだ筈なのに易々と回避されてしまった。 やはりこのジジイ只者ではない。 俺に攻撃をされたにも関わらず、にやにやとした笑いを崩さず、のんびりと酒を呷っている。 クソッ、俺にもっと力があれば・・・!
「おい裕、どうした。何か擦れた音が、ってオイ。マジでどうした!空気が尋常じゃねぇぞ!?」
店内に突如響いた地面を擦る音に、店長が様子を見に来たようだ。 俺の状態に即座に気づいたようで、後ろから店長に羽交い締めにされる。
「店長どいてそいつころせない」 「落ち着け!何があったか想像はつくが店ん中で暴れんな!」 「かかかっ!可愛い奴よな、裕。さて、儂はまだ行くところがあるでの。金はここに置いとくぞ」
俺が店長に止められている間に、エロ爺は笑いながら店を後にした。 飲み食い代よりもかなり多めの金額が置かれているのにも腹が立つ。
「店長!塩!」 「お、おう・・・」
さっきとはまるきり立場が逆である。 店の引き戸を力任せにこじ開け、保存容器から塩を鷲掴む。
「祓い給え、清め給え!!消毒!殺菌!滅菌ッ!!!」
適当な言葉と共に店の前に塩をぶちまける。 お店の前に、白い塩粒が散弾のように飛び散った。
「ふー、ふー、ふーッ!・・・ふぅ」 「・・・落ち着いたか?」 「・・・ええ、何とか」
ひとしきり塩をぶちまけるとようやく気持ちが落ち着いてきた。 店長の気遣うような声色に、何ともやるせない気持ちになりながら返答する。 疲労と倦怠感に包まれながら店の中に戻ると、盛大な歓声で出迎えられる。
「兄さん、アンタやるじゃねぇか!」 「うおッ!?」 「疾海のじいさんにちょっかいかけられたら大体はそのまま食われちまうのに」 「ひょろっちい奴だと思ってたがすげえ身のこなしだったな!惚れ惚れするぜ!」 「あ、ありがとうございます・・・はは・・・」
疾海さんは俺と勇魚さんの事を知っているから、単にからかってきただけだろうとは思っている。 エロいし奔放だし子供みたいだが、意外と筋は通すし。 あくまで「比較的」通す方であって手を出さない訳ではないというのが困りものではあるが。 そんな裏事情をお客の人達が知っている訳もなく、武術で疾海さんを退けたという扱いになっているらしい。 けど、あのジジイが本気になったら俺の付け焼刃な武術じゃ相手にならない気がする。 さっきの物言いを考えると辰馬のおじいさんとやりあってたって事になる。 ・・・うん、無理そう。
「おっし!そんなあんちゃんに俺が一杯奢ってやろう!祝杯だ!」 「いいねえ!俺も奢るぜ兄ちゃん!」 「抜け駆けすんな俺も奢るぞ!」 「ええっ!?いや、困りますって・・・俺、仕事中ですし・・・」 「裕、折角なんだし受けておきなさいな」
どうしようかと途方に暮れていると、いつの間にか冴さんが隣に来ていた。 と、それとなく手の中に器のようなものを握らされた。
「冴さん。あれ、これって・・・」
横目でちらりと見ると『咲』の字が入った器。 これ、咲夜の盃・・・だよな?
「腕も立って酒にも強いと知っとけば、あの連中も少しは大人しくなるでしょ。自衛は大事よ」 「はぁ・・・自衛、ですか」 「後でちゃんと返してね」
これって確か、持ってるだけで酒が強くなるって盃だったっけ。 その効果は一度使って知っているので、有難く使わせてもらうとしよう。 店長もこっちのやりとりを見ていたのか何も言うこと無く調理をしていた。
「おっ、姐さんも一緒に飲むかい!?」 「ええ。折角だから裕にあやからせてもらうわ。さぁ、飛ばしていくわよ野郎共ー!」 「「「「おおーっ!!」」」」 「お、おー・・・」
その後、ガンガン注がれるお酒を消費しつつ、盃を返す、を何度か繰り返すことになった。 途中からは冴さんの独壇場となり、並み居る野郎共を悉く轟沈させて回っていた。 流石っス、姐さん。 ちなみに俺は盃のご利益もあり、その横で飲んでいるだけで終わる事になった。
そんな一波乱がありつつも、夜は更けていったのだった。
そんなこんなで本日の営業終了時刻が近づいてくる。 店内には冴さん、海堂さん、洋一さんの3人。 冴さんはいまだ飲んでおり、その底を見せない。ワクなのかこの人。 海堂さんはテーブルに突っ伏してイビキをかいており、完全に寝てしまっている。 洋一さんはそんな海堂さんを気にしつつ、お茶を啜っている。 あんなにいた野郎共も冴さんに轟沈させられた後、呻きながら帰って行った。 明日の仕事、大丈夫なんだろうか・・・。
後片付けや掃除もほぼ終わり、後は冴さん達の使っているテーブルだけとなった時、入り口が壊れそうな勢いで乱暴に開いた。
「裕ッ!」 「うわっ、びっくりした。・・・勇魚さん、お疲れ様です」
入り口を開けて飛び込んできたのは勇魚さんだった。 いきなりの大声にかなり驚いたが、相手が勇魚さんとわかれば安心に変わる。 だが、勇魚さんはドスドスと近づいてくると俺の両肩をガシリと掴んだ。
「オイ裕!大丈夫だったか!?変な事されてねえだろうな!」
勇魚さんにしては珍しく、かなり切羽詰まった様子だ。 こんなに心配される事、あったっけ・・・? 疑問符が浮かぶがちらりと見えた勇海さんの姿にああ、と納得する。 というか苦しい。掴まれた肩もミシミシ言ってる気がする。
「うわっ!?大丈夫、大丈夫ですって。ちょ、勇魚さん苦しいです」 「お、おう。すまねえ・・・」
宥めると少し落ち着いたのか、手を放してくれる。 勇魚さんに続いて入って来た勇海さんが、申し訳なさそうに口を開いた。
「裕、すまないな。親父殿が無礼を働いたそうだな」 「勇海さんが気にすることではないですよ。反撃もしましたし。まぁ、逃げられたんですけど」 「裕は勇魚のつがいだと言うのに、全く仕方のないことだ。親父殿には私から言い聞かせておく。勘弁してやって欲しい」 「疾海さんには『次やったらその玉潰す』、とお伝えください」 「ははは、必ず伝えておくよ」
俺の返答に納得したのか、勇海さんは愉快そうに笑う。 本当にその時が来た時の為に、俺も更なる修練を積まなければ。 ・・・気は進まないけど、辰馬のおじいさんに鍛えてもらう事も視野に入れなければならないかもしれない。
「裕、今日はもう上がっていいぞ。そいつら連れて帰れ」 「え、いいんですか?」 「掃除も殆ど終わってるしな。色々あったんだ、帰って休んどけ」
俺に気を遣ってくれたのか、はたまたさっさと全員を返したかったのか、店長から退勤の許可が出た。 ここは有難く上がらせてもらおう。色々あって疲れたのは事実だ。
「じゃあ、折角ですので上がらせてもらいます。お疲れ様でした」 「おう。明日も頼むぞ」
店長に挨拶をし、皆で店を出る。 勇海さんはここでお別れとなり、俺、勇魚さん、冴さん、海堂さん、洋一さんの5人で帰る。 寝こけている海堂さんは洋一さんが背負っている。
「裕、ホントに他に何も無かったんだろうな!?」 「ですから、疾海さんにセクハラ受けただけですって。その後は特に何も無���ったですし・・・」
で、帰り道。勇魚さんに詰問されております。 心配してくれるのはとても嬉しい。 嬉しいんだけど、過剰な心配のような気もしてちょっと気おくれしてしまう。
「俺に気を遣って嘘ついたりすんじゃねえぞ」 「冴さん達も一緒にいたのに嘘も何もないんですが・・・」 「裕の言ってる事に嘘はないわよ。疾海の爺さんに尻揉まれてたのも事実だけど」 「・・・思い出したら何か腹立ってきました。あのジジイ、次に会ったら確実に潰さなきゃ」
被害者を減らすにはその大本である性欲を無くすしかないかな? やっぱり金的か。ゴールデンクラッシュするしかないか。 あの驚異的な回避力に追いつくためにはどうすればいいか・・・。 搦め手でも奇襲なんでもいい、当てさえすればこちらのものだろう。 そう思いながら突きを繰り出し胡桃的な何かを握り潰す動作を数回。 駄目だな、やっぱりスピードが足りない。
「成程、金的か」 「裕、その、ソイツは・・・」
洋一さんは俺の所作から何をしようとしているかを読み取ったようだ。 その言葉にさっきまで心配一色だった勇魚さんの顔色変わる。 どうしました?なんで微妙に股間を押さえて青ざめてるんです?
「冴さん。こう、男を不能寸前まで追い込むような護身術とかないですかね?」 「あるにはあるけど、そういうの覚えるよりもっと確実な方法があるわよ」 「え?」 「勇魚。アンタもっと裕と一緒にいなさい。で、裕は俺の嫁アピールしときなさい」
嫁。勇魚さんのお嫁さん。 うん、事実そうなんだけどそれを改めて言われるとなんというか。 嬉しいんだけど、ねぇ?この照れくさいような微妙な男心。
「裕。頬がだいぶ紅潮しているようだが大丈夫か?」 「だ、大丈夫です。何というか、改めて人に言われると急に、その・・・」 「ふむ?お前が勇魚のパートナーである事は事実だろう。港の方でも知れ渡っていると聞いている。恥ずべきことではないと思うが?」 「恥ずかしいんじゃなくて嬉しくも照れくさいというか・・・」 「・・・��ういうものか。難しいものだな」
洋一さんに指摘され、更に顔が赤くなる。 恥ずかしいわけじゃない。むしろ嬉しい。 でも、同じくらい照れくささが湧き上がってくる。 イカン、今凄い顔が緩みまくってる自覚がある。
「流石にアンタ相手に真正面から裕に手を出す輩はいないでしょう。事実が知れ渡れば虫よけにもなって一石二鳥よ」 「お、おお!そうだな!そっちの方が俺も安心だ!うん、そうしろ裕!」
冴さんの案に我が意を得たりといった顔の勇魚さん。 妙に食いつきがいいなァ。 でも、それって四六時中勇魚さんと一緒にいろって事では?
「勇魚さんはそれでいいんですか?対セクハラ魔の為だけに勇魚さんの時間を割いてもらうのは流石にどうかと思うんですが」 「んなこたあねえよ。俺だってお前の事が心配なんだ。これくらいさせてくれよ」 「そう言われると断れない・・・」
申し訳ない旨を伝えると、純粋な好意と気遣いを返される。 実際勇魚さんと一緒に居られるのは嬉しいし、安心感があるのも事実だ。
「裕、あんたはあんたで危機感を持った方がいいわよ」 「危機感、といいますとやっぱりセクハラ親父やセクハラ爺の対処の話ですか?」
冴さんの言葉に、2人の男の顔が思い浮かぶ。 悪戯、セクハラ、煽りにからかい。あの人たちそういうの大好きだからなぁ。 でも、だいぶ耐性はついたし流せるようになってきたと思ってるんだけど。
「違うわよ。いやある意味同じようなモンか」 「客だ、裕」 「客?お店に来るお客さんって事ですか?」
え、海堂さんとか疾海さんじゃないのか。 そう思っていると意外な答えが洋一さんの方から返って来た。 客の人達に何かされたりは・・・ない筈だったけど。
「店にいた男たちはかなりの人数が裕を泥酔させようと画策していたな。冴が悉くを潰し返していたが」 「何っ!?」 「え!?洋一さん、それどういう・・・」
何その事実今初めて知った。どういうことなの。
「今日店に居た男たちは皆一様にお前をターゲットとしていたようだ。やたらお前に酒を勧めていただろう。お前自身は仕事中だと断っていたし、店長もお前に酒がいかないようそれとなくガードしていた。だがお前が疾海を撃退したとなった後、躍起になるようにお前に飲ませようとしていただろう。だから冴が向かったという訳だ」 「疾海の爺さん、なんだかんだでこの島でもかなりの手練れみたいだしね。物理でだめならお酒でって寸法だったみたいね」 「えっと・・・」 「食堂に来てた立波さん、だったかしら。ここまで言えばわかるでしょ?店長も何だかんだでそういう事にならないよう気を配ってたわよ」
あァ、成程そういう事か。ようやく俺も理解した。 どうやら俺は三日月亭でそういう意味での好意を集めてしまったという事らしい。 で、以前店長が言っていた「紳士的でない方法」をしようとしていたが、疾海さんとのやりとりと冴さんのおかげで事なきを得たと、そういう事か。
「えー・・・」 「裕・・・」
勇魚さんが俺を見る。ええ、心配って顔に書いてますね。 そうですね、俺も逆の立場だったら心配しますよ。
「なあ裕。明日の手伝いは休んどけ。店には俺が行くからよ」 「いや、そういうワケにもいかないでしょう。勇魚さん、魚は捌けるでしょうけど料理できましたっけ?」 「何、料理ができない訳じゃねえ・・・なんとかなるだろ」
あっけらかんと笑う勇魚さんだが、俺には不安要素しかない。 確かに料理ができない訳じゃないけど如何せん漢の料理だ。店長の補助とかができるかと言うと怪しい。 この島に来てからの勇魚さんの功績をふと思い返す。 餅つき・・・臼・・・ウッアタマガ。 ・・・ダメだ、食材ごとまな板真っ二つにしそうだし、食器を雑に扱って破壊しそうな予感しかしない。 勇魚さんの事だからセクハラされたりもしそうだ。 ダメダメ、そんなの俺が許容しません。
「様々な観点から見て却下します」 「裕ぅ~・・・」
そんなおねだりみたいな声したって駄目です。 却下です却下。
「裕、ならば俺が行くか?」 「お願いしたいのは山々なんですが洋一さんは明日北の集落に行く予定でしたよね。時間かかるって仰ってたでしょう?」 「ふむ。ならば巌に―」 「いえ、海堂さんには店長のマッサージもお願いしてますしこれ以上は・・・」
洋一さんが申し出てくれるが、洋一さんは洋一さんで抱えてる事がある。 流石にそれを曲げてもらうわけにはいかない。 海堂さんなら色んな意味で文句なしの人材ではあるのだが、既にマッサージもお願いしている。 それに、迂闊に海堂さんに借りを作りたくない。後が怖い。
「洋一も無理、巌も無理とするならどうするつもりなんだ?高瀬か?」 「勇魚さん、三日月亭の厨房を地獄の窯にするつもりですか?」 「失礼ねェ。頼まれてもやらないわよ」
勇魚さんからまさかの選択が投げられるがそれは無理。 冴さんとか藤馬さんに立たせたら三日月亭から死人が出る。三日月亭が営業停止する未来すらありえる。 頼まれてもやらないと冴さんは仰るが、「やれないからやらない」のか「やりたくないからやらない」のかどっちなんだ。
「明日も普通に俺が行きますよ。ついでに今後についても店長に相談します」 「それが一番ね。店長も裕の状況に気づいてるでしょうし」 「巌の話だとマッサージのおかげかだいぶ良くなってきているらしい。そう長引きはしないだろう」 「後は勇魚がガードすればいいのよ」 「おう、そうか。そうだな」
そんなこんなで話も固まり、俺達は屋敷に到着した。 明日は何事もなく終わってくれればいいんだけど・・・。 そんな不安も抱えつつ、夜は過ぎていった。
そしてバイト三日目。 俺は少し早めに三日月亭へと来ていた。
「ああ、だよなぁ。すまんな、そっちの可能性も考えてなかったワケじゃ無いんだが・・・そうなっちまうよなあ」
俺の状況と今後の事を掻い摘んで説明すると、店長は疲れたように天井を仰ぐ。
「何というか・・・すみません。腰の具合はどうです?」
別に俺が何かをしたわけではないけれど、状況の中心にいるのは確かなので申し訳ないとは思う。
「海堂の旦那のおかげでだいぶ良くなった。もう一人でも回せそうだ。何なら今日から手伝わなくてもいいんだぞ?」
店長はそう言うが、完治しているわけでもない。 悪化するわけではないだろうが気になるのも事実。 なので、昨日のうちに勇魚さんと決めていた提案を出すことにする。
「でも全快というわけでもないんでしょう?引き受けたのは自分です。勇魚さんもいますし、せめて今日までは手伝わせてくださいよ」 「心意気はありがてえが・・・。わかった、面倒ごとになりそうだったらすぐさま離れろよ?勇魚の旦那も頼むぜ」 「おう!」 「はい!さ、今日も頑張りましょう!」
昨日話した通り今日は開店から勇魚さんも店に居てくれる。 万が一な状態になれば即座に飛んできてくれるだろう。 それだけで心の余裕も段違いだ。
「裕、無理すんなよ」 「わかってますよ。勇魚さんも、頼みますね」 「おう、任せときな!」
勇魚さんには店内を見渡せる席に座ってもらい、適当に時間を潰してもらう。 俺は店長と一緒に仕込みを始めながら新メニューの話も始める。 途中、勇魚さんにビールとお通しを出すのも忘れずに。
「新しいメニュー、どうすっかねぇ」 「今日の一品、新レシピも兼ねてゴーヤーチャンプルーでいこうかと思うんですよ」 「ほー。確かに苦瓜なら栽培してるとこはそこそこあるしな。行けるだろう」 「スパム缶は無くても豚肉や鶏肉でいけますからね。肉が合わないなら練り物やツナでも大丈夫です。材料さえあれば炒めるだけってのも高ポイント」 「肉に卵にと寅吉んとこには世話になりっぱなしだな。だが、いいねえ。俺も久しぶりにチャンプルーとビールが恋しくなってきやがった」 「後で少し味見してくださいよ。島の人達の好み一番把握してるの店長なんだから。・・・でも、やっぱり新メニュー考えるのは楽しいな」 「・・・ったく、面倒ごとさえ無けりゃあこのまま働いてもらえるってのに。無自覚に野郎共の純情を弄びやがって」 「それ俺のせいじゃないですよね・・・」
調理実習をする学生みたいにわいわい喋りながら厨房に立つ俺達を、勇魚さんはニコニコしながら見ている。 あ、ビールもう空きそう。おかわりいるかな? そんな風に営業準備をしていると時間はあっという間に過ぎ去り、開店時間になる。 開店して数分も経たないうちに、店の引き戸がガラリと開いた。
「いらっしゃいませー!」
「裕、お前まだここで働いてたのか」 「潮さん、こんばんは。今日までですけどね。あくまで臨時なので」 「ふむ、そうか。勇魚の旦那もいるのか」 「おう、潮。裕の付き添いでな」 「・・・ああ、成程な。それは確かに必要だ」
「おっ、今日も兄ちゃんいるのか!」 「いらっしゃいませ!ははは、今日で終わりなんですけどね」 「そうなのか!?寂しくなるなぁ・・・。なら、今日こそ一杯奢らせてくれよ」 「一杯だけならお受けしますよ。それ以上は無しですからね」
「裕の兄ちゃん!今日でいなくなっちまうって本当か!?」 「臨時ですので。店長の具合もよくなりましたし」 「兄ちゃんのおすすめ一品、好きだったんだけどよ・・・」 「はは、ありがとうございます。今日も用意してますから良かったら出しますよ」 「おう、頼むぜ!」
続々とやってくる常連客を捌きつつ、厨房にも立つ。 店長の動きを見てもほぼ問題ない。治ってきてるのも事実のようだ。 時折お客さんからの奢りも一杯限定で頂く。 今日は以前もらった方の咲夜の盃を持ってきているので酔う心配もない。
「おう、裕のあんちゃん!今日も来たぜ!」 「い、いらっしゃいませ・・・」
再びガラリと入り口が空き、大柄な人物がドスドスと入ってくる。 俺を見つけるとがっしと肩を組まれる。 日に焼けた肌が特徴の熊のような人だ。名前は・・・確か井灘さん、だったかな? 初日に俺に可愛いと言い、昨日は酌を頼まれ、冴さんに潰されてた人だ。 スキンシップも多く、昨日の一件を考えると警戒せざるを得ない。 取り合えず席に案内し、おしぼりを渡す。
「ガハハ、今日もあんちゃんの可愛い顔が見れるたぁツイてるな!」 「あ、ありがとうございます。注文はどうしますか?」 「まずはビール。食いモンは・・・そうさな、あんちゃんが適当に見繕ってくれよ」 「俺が、ですか。井灘さんの好みとかわかりませんけど・・・」 「大丈夫だ。俺、食えねえもんはねえからよ。頼むぜ!」 「はあ・・・分かりました」
何か丸投げされた感が凄いが適当に三品程見繕って出せばいいか。 ついでだからゴーヤーチャンプルーも試してもらおうかな。 そんな事を考えながら、俺は井灘さんにビールとお通しを出す。
「む・・・」 「どうした旦那。ん?アイツ、井灘か?」 「知ってるのか、潮」 「ああ。俺達とは違う港の漁師でな。悪い奴では無いんだが、気に入った奴にすぐ手を出すのが玉に瑕でな」 「そうか・・・」 「旦那、気を付けた方がいいぞ。井灘の奴、あの様子じゃ確実に裕に手を出すぞ」 「・・・おう」
こんな会話が勇魚さんと潮さんの間でなされていたとはつゆ知らず。 俺は店長と一緒に厨房で鍋を振っていた。
「はい、井灘さん。お待たせしました」 「おう、来た来た」 「つくね、ネギま、ぼんじりの塩の串盛り。マグロの山かけ。そして今日のおすすめ一品のゴーヤーチャンプルーです」 「いいねえ、流石あんちゃん。で、なんだそのごーやーちゃんぷうるってのは?」 「内地の料理ですよ。苦瓜と肉と豆腐と卵の炒め物、ってとこでしょうか。(厳密には内地の料理とはちょっと違うけど)」 「ほー苦瓜。滅多に食わねえが・・・あむ。うん、美味え!美味えぞあんちゃん!」 「それは良かった」 「お、美味そうだな。兄ちゃん、俺にもそのごーやーちゃんぷうるってのくれよ」 「俺も!」 「はいはい、ただいま」
井灘さんが美味しいと言ってくれたおかげで他の人もゴーヤーチャンプルーを頼み始める。 よしよし、ゴーヤーチャンプルーは当たりメニューになるかもしれない。 そう思いながら厨房に引っ込んでゴーヤーを取り出し始めた。
それからしばらくして井灘さんから再びゴーヤーチャンプルーの注文が入る。 気に入ったのだろうか。
「はい、井灘さん。ゴーヤーチャンプルー、お待たせ」 「おう!いやー美味えな、コレ!気に入ったぜ、ごーやーちゃんぷうる!」 「あはは、ありがとうございます」
自分の料理を美味い美味いと言ってもりもり食べてくれる様はやっぱり嬉しいものだ。 作る側冥利に尽きる。 が、作ってる最中に店長にも「アイツは気を付けとけ」釘を刺されたので手放しに喜ぶわけにもいかない。
「毎日こんな美味いモン食わせてくれるなんざあんちゃんと一緒になる奴は幸せだなあ!」 「はは・・・ありがとう、ございます?」 「あんちゃんは本当に可愛い奴だなあ」
屈託ない笑顔を向けてくれるのは嬉しいんだけど、何だか話の方向が急に怪しくなってきたぞ。
「おい、裕!早く戻ってきてこっち手伝え!」 「ッ、はーい!じゃあ井灘さん、俺仕事に戻るので・・・」
こっちの状況を察知したのか、店長が助けを出してくれる。 俺も即座に反応し、戻ろうと足を動かす。 が、その前に井灘さんの腕が俺の腕を掴む。 あ、これは・・・。
「ちょ、井灘さん?」 「なあ、裕のあんちゃん。良けりゃ、俺と・・・」
急に井灘さんの顔が真面目な顔になり、真っ直ぐに俺を見据えてくる。 なんというか、そう、男の顔だ。 あ、俺こういう顔に見覚えある。 そう、勇魚さんの時とか、立浪さんの時とか・・・。 逃げようと思うも腕をガッチリとホールドされ、逃げられない。 ・・・ヤバイ。そう思った時だった。 俺と井灘さんの間に、ズイと体を割り込ませてきた見覚えのあるシャツ姿。
「なあ、兄さん。悪いがこの手、離してくんねえか?」 「勇魚さん・・・」
低く、優しく、耳をくすぐる声。 この声だけで安堵感に包まれる。 言葉は穏やかだが、どこか有無を言わせない雰囲気に井灘さんの眉間に皺が寄る。
「アンタ・・・確か、内地の客だったか。悪いが俺の邪魔・・・」 「裕も困ってる。頼むぜ」 「おい、アンタ・・・う、腕が動かねえ!?」
井灘さんも結構な巨漢で相当な力を込めているのがわかるが、勇魚さんの手はびくともしない。 勇魚さんの怪力はよく知ってはいるけど、こんなにも圧倒的なんだなあ。
「こいつ、俺の大事な嫁さんなんだ。もし、手出しするってんなら俺が相手になるぜ」
そう言って、勇魚さんは俺の方をグッと抱き寄せる。 抱き寄せられた肩口から、勇魚さんの匂いがする。 ・・・ヤバイ。勇魚さん、カッコいい。 知ってたけど。 知ってるのに、凄いドキドキする。
「っ・・・ガハハ、成程!そいつは悪かったな、旦那!」 「おう、分かってくれて何よりだぜ。さ、裕。店長が呼んでるぜ」 「あ、ありがとうございます勇魚さん。井灘さん、すみませんけどそういう事なので・・・」
勇魚さんの言葉に怒るでもなく、井灘さんは納得したようにあっさりと手を放してくれた。 井灘さんに謝罪しつつ、促されるまま厨房へと戻る。
「おお!あんちゃんも悪かったな!旦那、詫びに一杯奢らせてくれや!」 「おう。ついでに裕のどこが気に入ったのか聞かせてくれよ」
漁師の気質なのかはたまた勇魚さんの人徳なのか。 さっきの空気はどこへやら、そのまま親し気に話始める2人。
「ちょ、勇魚さん!」 「いいぜ!旦那とあんちゃんの話も聞かせてくれよ!」 「井灘さんまで!」 「おい裕!いつまで油売ってんだ、こっち手伝え!」
店長の怒鳴り声で戻らざるを得なかった俺には二人を止める術などなく。 酒の入った声のデカい野郎共が二人、店内に響かない筈がなく・・・。
「でよ、そん時の顔がまたいじらしくってよ。可愛いんだこれが」 「かーっ!羨ましいこったぜ。旦那は果報モンだな!」 「だろ?なんたって俺の嫁さんなんだからな!」
勇魚さんも井灘さんも良い感じに酒が入ってるせいか陽気に喋っている。 可愛いと言ってくれるのは嬉しくない訳ではないけれど、連呼されると流石に男としてちょっと悲しい気分になる。 更に嫁さん嫁さん連呼されまくって複雑な心境の筈なのにどれだけ愛されているかをガンガン聞かされてオーバーヒートしそうだ。
「何故バイト中に羞恥プレイに耐えなければならないのか・・・」 「おい裕、いつまで赤くなってんだ。とっとと料理運んで来い」 「はい・・・いってきます・・・」
人が耐えながらも調理しているというのにこの銭ゲバ親父は無情にもホール仕事を投げて来る。 こんな状況で席に料理を運びに行けば当然。
「いやー、お熱いこったなあ兄ちゃん!」 「もう・・・ご勘弁を・・・」 「っははははは!」
茶化されるのは自然な流れだった。 勇魚さんと井灘さんのやりとりのお陰でスキンシップやらは無くなったが、祝言だの祝い酒だの言われて飲まされまくった。 咲夜の盃が無ければ途中で潰れてたかもしれない。
そんな揶揄いと酒漬けの時間を、俺は閉店間際まで味わうことになったのだった。
そして、もうすぐ閉店となる時間。 勇魚さんと一緒にずっと飲んでいた井灘さんも、ようやく腰を上げた。 会計を済ませ、店の前まで見送りに出る。
「じゃあな、あんちゃん。俺、マジであんちゃんに惚れてたんだぜ」 「はは・・・」 「だが、相手が勇魚の旦那じゃあ流石に分が悪い。幸せにしてもらえよ!」 「ありがとうございます・・・」 「また飲みに来るからよ。また今度、ごーやーちゃんぷうる作ってくれよな!」 「その時に居るかは約束できませんが、機会があれば」
からりとした気持ちの良い気質。 これもある種のプレイボーイなのだろうか。
「じゃあな!裕!勇魚の旦那!」 「おう!またな、井灘!」 「おやすみなさい、井灘さん」
そう言って手を振ってお見送り。 今日の三日月亭の営業も、これにて閉店。 店先の暖簾を下ろし、店内へと戻る。
「裕。そっちはどうだった?」 「こっちも終わりました。後は床掃除したら終わりですよ」 「ホント、この3日間マジ助かった。ありがとうな」 「いえいえ、久しぶりの接客も楽しかったですよ」
最後の客だった井灘さんも先程帰ったばかりだ。 店内の掃除もほぼ終わり、閉店準備もほぼ完了。 三日月亭のバイトももう終わりだ。 店長が近づいてくると、封筒を差し出してきた。
「ほい、バイト代だ。色々世話もかけたからな。イロ付けといたぜ」 「おお・・・」
ちょろっと中身を確認すると、想定していたよりかなり多めの額が入っていた。 店長なりの労いの証なのだろう。
「なあ裕。マジで今後もちょくちょく手伝いに来ねえか?お前がいると客足増えるし酒も料理も注文増えるしな。バイト料もはずむぜ」 「うーん・・・」
店長の申し出は有難いが、俺は俺でまだやらなければならない事がある。 悪くはない、んだけど余り時間を使うわけにもなぁ。 そんな風に悩んでいると、勇魚さんが俺の頭にぽん、と掌をのせる。
「店長、悪いがこれ以上裕をここにはやれねえよ」 「はは、旦那がそう言うんなら無理は言えねえな。裕の人気凄まじかったからな」 「ああ。何かあったらって、心配になっちまうからな」
今回は勇魚さんのお陰で事なきを得たけど、また同じような状況になるのは俺も御免被りたい。 相手に申し訳ないのもあるけど、どうすればいいか分からなくて困ったのも事実だ。
「お店の手伝いはできないですけど、またレシピの考案はしてきますので」 「おう。売れそうなのを頼むぜ。んじゃ、気を付けて帰れよ」 「はい、店長もお大事に。お疲れ様です」 「旦那もありがとうな」 「おう、おやすみ」
ガラガラ、という音と共に三日月亭の扉が閉まる。 店の前に残ったのは、俺と勇魚さんの二人だけ。
「じゃ、帰るか。裕」 「ええ、帰りましょうか。旦那様」 「おっ・・・。へへ、そう言われるのも悪くねえな」 「嫌味のつもりだったんだけどなァ」
そう言って俺と勇魚さんは笑いながら屋敷への帰路につくのであった。
後日―
三日月亭に買い物に来た俺を見るなり、店長が頭を下げてきた。
「裕、頼む・・・助けてくれ・・・」 「ど、どうしたんです店長。随分疲れきってますけど・・・」 「いや、それがな・・・」
あの3日間の後、事あるごとに常連客から俺は居ないのかと聞かれるようになったそうな。 俺がまだ島にいるのも事実なので連れて来るのは不可能だとも言えず。 更に井灘さんがちょくちょく仲間漁師を連れて来るらしく、『姿が見えない料理上手な可愛い店員』の話だけが独り歩きしてるらしい。 最近では聞かれ過ぎて返す言葉すら億劫になってきているそうな。 ぐったりした様子から、相当疲弊しているのがわかる。
「な、裕。頼む後生だ。俺を助けると思って・・・」 「ええ・・・」
それから。 たまーに勇魚さん同伴で三日月亭にバイトに行く日ができました。
更に後日。
勇魚さんと一緒に『網絡め』という儀式をすることになり、勇海さんに見られながら致すというしこたま恥ずかしいプレイで羞恥死しそうな思いをしたことをここに記録しておきます。
4 notes · View notes
tiffany0222 · 4 years
Text
沢山のお祝いを頂いて、胸がいっぱいで。何回この日を迎えても同じ喜びじゃなくて、年々嬉しさは増すばかりです。動画でお祝いしてくれた皆さんに俺は何が出来るかなって考えて、皆さんの魅力を沢山紹介しようと思いました。俺はこんな魅力に溢れた皆に囲まれてるって…自己満足かもしれないけどお付き合いくださいね。
薮とはまだまだ全然話せていないんだけど、今俺から見る薮は凄く距離感を考えてくれているなって。詰めすぎる事無く、でも離れているわけでもなく、これから沢山の可能性を感じてます。デビューお前の方が早いんだし、そんなに後輩後輩しなくていいよ?っていうくらい礼儀正しいいい子なんです。
ごっち
ごっちと出逢ったのはここじゃなくて、なんならゲームの中で。繋がってもいないのに可愛がってくれて、俺の求めてたごっちが居るって思って繋がることを持ちかけました。落ち着いて少し離れたところで見ていてくれる、そんなお兄ちゃんみたいな人。まだまだ知らないことばかりなので、とりあえずご飯行ってお互いのこと語り合いたいね。
すばるくん
ぜんっぜん話せてないんですけど、毎度俺の声を褒めてくれてめちゃくちゃ照れます。相変わらずメッセージに癖があって、いや、癖が強すぎてメッセージ入ってこないんですけど(笑)そこがすばるくんらしさ全開で。本当にもっと話したいんで、今年は距離詰め作戦頑張ろうと思います。もっと謎のベールに包まれたすばるくんを暴きたいのでこれからもよろしくお願いしますね。
佐久間
佐久間は本当にテンションが高いです。しかもずっと変わらない。デビューして落ち着いたかな?って思ったけどそんなことも無かったです(笑)よく飯に行ってカラオケ行ったり、カニのビュッフェに行ったのも懐かしいな。一時期凄く目をかけてたヤツですね。たまの鋭いツッコミは本当にお前後輩…?って思うくらいです。
みっちゃん
みっちゃんは出逢った時から凄くしっかりしていて、落ち着いていて…でも意外と電話したら天然だったりいい意味でイメージを覆してくれたね。最近はなかなか話せていないんだけど、みっちゃんと話している時間は凄く楽しくて癒されます。北山さんが旦那さんって呼ばれててちょっと羨ましく感じたのはここだけの話(笑)これからももっとまだ知らないみっちゃんの事を教えてね。
とりあえず元気。でも凄く繊細だと思ってて。おバカですぐ真っ直ぐに突き進むから激突した時のダメージ大きいんじゃないかってちょっと心配だったりもするけど。恐れないで、思った方に進んでいける樹を少し羨ましくも思っていて。なかなかできる事じゃないからそれは凄く大事にして欲しいし、樹のいい所。でも少し落ち着きなさいよ、とも思ってます(笑)
まちゃさん
まちゃさんと電話した時のこと、今でも覚えてて。めちゃくちゃ楽しかったんですよね、当たり前なんですけど、凄く大人で落ち着いていて。だけど凄く面白い人なんですよね。話すこともそうなんですけど、話しているテンポも心地よくて。あんまり知らなかったまちゃさんのこと、今は少し知れてるなって実感してます。早く大倉くんと3人でご飯実現しましょうね!
辰巳
言わずもながら俺の大親友。ここで出逢った4年、泣き笑いバカ騒ぎを1番したやつ。何でここまで仲良くなれたのかは未だに不明です。俺はお前が居たから頑張れたし、折れないでここまで来れたって思ってる。俺の全部を認めてくれてるのはお前だなっていつも思う。早く飯行くぞ!今年も変わらず俺のそばに居てください。そして、一緒に笑っててね。
しめちゃん
最近1番目をかけている後輩です。可愛くて可愛くて、おバカで仕方ないんです。あれ、なんか間違った…かな、気のせいだね。でもこう見えてガラスのハートだし、グイグイは来ないんだよな。ちゃんと俺の事見てタイミング見計らって藤ヶ谷くーん!って来てくれる躾のできたワンコです。俺が他の後輩に取られそうになると必死でヤダヤダしてくるんだけど、またそこも可愛くて(笑)よく弄ってるけど、実は藤ヶ谷くんはしめちゃんが大好きで仕方ないです。
美優紀
全然顔出さないなー。今年は美優紀と太輔の仲になるんだろ?(笑)美優紀は俺の繋がっている女の子nrさんで1番長い付き合いになるんじゃないかな。とりあえず人狼での占いの的中率ハンパないです。占い師美優紀。ふわふわした雰囲気だけど、男を墜す術ちゃんと分かってる永遠のアイドルです。こんなこと言ったら絶対怒られるな(笑)
ハニー
ハニーはハニーです。因みに俺はダーリンです。あくまでも呼び名の話です。ずっとずっと昔の話。それこそまだフラフラしてた時に出逢ったね。女の子では1番長い付き合いだし、実は君に認めて貰えるのはこの姿でいる上でめちゃくちゃ嬉しかったりする。いつでも笑ってて、頑張りすぎるくらい頑張る女の子。だからたまに心配になるけど絶対弱いところは見せないね。最近になってやっとブラックなところ見せてくれるようになったけど、そんな所も大好きだよ。
はるちゃん
はるちゃんとは色んな人のCASで会ってて。CASで会う度に俺の事ちゃんと覚えててくれて。今でもセブンの肉まんで盛り上がったのを覚えてます(笑)まだ繋がったばかりで深い話まではなかなか出来ていないんだけど、凄くセンスに溢れた素敵女子です。これからもっとはるちゃんのこと教えてね。
にっしー
にっしーはね、もう見つけた時からマジで西島隆弘だった。文章も、雰囲気も、全てがNissy。凄く真面目で俺には絶対真似出来ない。作り上げるものの全ては完璧だし。でも完璧すぎてたまに疲れちゃわないか心配になるからね(笑)沢山色んな話をしてるけど、最近お互い忙しくてなかなか話せてないね。約束してた電話、近いうちしようね。
大毅
俺の中の永遠の後輩。語り継がれるエピソードを持つくらいには後輩の鏡。…とかいうとイメージと全然違うからやめて!か凄え調子乗るかのどっちかだから程々にしておきます(笑)とりあえず大毅は歯が多い、うるさい、可愛い、です。よく飯に行ってたんだけど、なんか最近全然予定が合わなくて行けてません。そろそろ飯行くぞ。予定空けとけよ?
田中さん
田中さんと繋がったのは急でしたね(笑)まだまだあまり知らないことが多いですが、お酒が大好きでノリが良くて。俺を落ち着いた抱擁力のある青年だなんて言ってくれるとても優しい方です。いつか俺もゴチにお邪魔したいです。そして飲みにも行きたいです!沢山お話してお互いのことを知っていきましょうね。
奈緒
奈緒の魅力語り出したら多分収まらなくなりそうだから簡潔にします。奈緒はとても静かなイメージだったんだけど、でも実は喜怒哀楽がとてもハッキリしてて、そして凄く優しい女の子。ドラマで共演していたのもあって、仲良くなるのはあっという間で、凄く早かった。たまに素直じゃないし、意地悪なところもあるけど、それも可愛いなってなるくらいには魅力的です。
春くん
春くんは一時期お互いによく相談だったり、話し合ったりしてた心の友。めちゃくちゃハッキリ言うから嘘がないというか。そんな所が好きなところ。酔っ払うと何言ってるか分からないけど、とりあえず俺のことが大好きなのは知ってるよって言っておきます。男らしいとか、格好いい、とかじゃないけど自然体で、格好つけずに人を大事にできる人。だからそんな春くんのフォロワーでいられる俺は幸せだなって思います。
みぃ
みぃは繊細でとても女の子らしい。悩んでる姿をよく見かけるけど、でもその度にきっとちゃんと自分の力でちゃんと立ち直れるそんな強さがある女の子。可愛いだけじゃなくて、そんな姿勢は凄く格好よくて尊敬してる部分でもあります。まあでも、あんまり溜め込まないようにね(笑)今年もお祝いしてくれてありがとう。
光とは少しずつ会話を重ねてゆっくりゆっくり距離を縮めているんだけど、そのペースが心地よくて。俺が話題に出したことにスマートに格好つけずに答えてくれて、なんだかそんなところに男らしさなんかを感じて。でもまだまだ謎だらけ。もっと深いところまで話したいね。とりあえず美味しそうなその料理のレシピ教えてね。
翔太
翔太も一時期よく飯行ったりカラオケ行ったりしたな。最近は忙しそうで遠くから応援してますよ。クールで、大人で、媚びない。そんなお前だから俺を頼ってきてくれた時は凄く嬉しかったのを覚えてるよ。他とは違うしっかりした目線で、いい意味で後輩だけど後輩っぽくない。そんな所が翔太の好きなところです。
亀梨くん
亀梨くんは格好いいけど、可愛い人だと思っていて。なんだろう、包み込む雰囲気が優しくて柔らかい。でもいざと言う時の抱擁力というか、強さというか、そういうのは格好よくて。美味しいものを沢山知っていて、いつか連れてって欲しいなとも思うしショッピングにも行きたいなって。渉だけじゃなくて俺のことも構ってくださいね。
チョコビ
言わずもながら俺の嫁です。なぜ嫁になったのかは忘れました。でも気づいたら嫁でした。とにかく考える事、感じる事が一緒。ノリも一緒。好き嫌いが激しいけど懐いたらとことん。でも人間が嫌い。なのに俺の事好きだって言ってくれるそんな子です。歌は上手いし、センスはあるし、流石です。近々また濃厚な話をしましょうね。
潤くん
潤くんは俺が繋がりたくてタグアカウントにアピールしまくって繋がって頂いた大先輩。なにがって、もう見るからに、話すからに松本潤なんです。俺と仲良くなるのはマストだって最初から言ってくれて、繋がれただけで嬉しかったのにそんなこと言われたら天にも登る思いですよ。落ち着いた声をしていて、聞いていてとても心地がいいです。二宮くんと話してる時のちょっと弄られる潤くんが個人的に大好きなのでまたCASしてくださいね(笑)
大野くん
まさか大野くんにお祝いしてもらえるなんて思ってなくて、凄く嬉しくてメッセージを見た瞬間大声を出して北山に笑われたくらいです(笑)大野くんの雰囲気は俺が求める大野智くんそのままなんです。おっとりしてるけど、芯があって、そして笑いのセンスにも溢れてて。まだまだ沢山話したいことがいっぱいで何から話そうかなってワクワクしています。
二宮くん
俺、フォロワーの嵐さんにめちゃくちゃ恵まれてるなって思うんですけど、二宮くんもその1人です。よくCASに遊びに来てくれて、声を掛けてくれて。なかなか俺が返事を返せてないのであまり話せていないのですが、優しいだけじゃなくて凄く人を見ている人なんだなっ���。誕生日に書いてくれたTumblrを見てそう思いました。本当にありがとうございます。
すーちゃん
俺の永遠のお姫様。とにかく美人でお姫様って言葉が似合う。でも結構大食いでよく食べる。よく食べてくれるからご馳走しがいがあるというか、美味しいお店に連れていきたくなる。頑張り屋さんで弱音は吐かないそんな強い子だからたまに心配になるけど、何かあったら気晴らしにデートしよう。姫のことは俺がお迎えに上がりますからね。なんて。
遥亮
最近なかなか顔を見せてくれませんが元気にしていますか?よくヒロとゲームしたり電話したりしたね。実は俺も遥亮の笑った声が好きです(笑)本当に遥亮は人の中に溶け込むのが上手くて、俺もすぐ仲良くなったのを覚えています。お酒が好きだって言っていたからいつか一緒に飲みに行こうね。お祝いしてくれてありがとう。
亮とも一時期凄えよく遊んだな。色んな話をして、色んなものを見て、色んなものを食べて。とにかく毎回手土産で持ってくるものが俺のドツボで、センスに溢れてて俺の脳みそ見えてます?ってくらいなんだよね。やっぱり顔面が国宝級だと劣るところがないというか、完璧なんですよ。もちろん亮の作り上げる世界も完璧なんだよね。君のその「01」の世界に少しでも入れた事は俺の誇りです。またご飯いこう。うどんがいい?(笑)
テテ
テテはとにかく末っ子って感じ。甘え上手で可愛いを知り尽くしてる。でも凄く遠慮しいで時々我慢してないか心配になる。俺と好きな曲が似ていて、可愛い顔してド変態です。絶対。俺の返事が遅くてもめげずに送ってきてくれるところとか、オケCASしたら必ず褒めてくれるところとか、凄く嬉しいです。ちょっと照れるんだけどね。いつかご飯行こうねって約束��たそうな。楽しみにしてるから。
���マくん
俺らのグループの絶対的エース。そして俺の玉森裕太。俺はこいつ以外に玉森裕太って存在を考えられない。面白さとかもそうなんだけど、ふざけてる様で真面目にちゃんと向き合うところとか、隠れたところで凄く努力家なところとか、俺が思う玉森裕太はお前以外にありえなくて。これまでもこれからも、玉森裕太はタマくんでいい。タマくんがいい。そう思わせてくれたのは君だけです。
たっくん
たっくんこと佐藤健、めちゃくちゃ真面目です。俺のフォロワーさん真面目な人が多いんだけど、フォロワーが多い中でここまでの事をこのクオリティでよく出来るなって本当に尊敬しかなくて。そして愛情深い人。彼の愛を一心に受けて過すあの人は多分相当幸せものですよ。ちょっと俺と似たところがある様で、いや、ごめんなさい、たっくんには到底及びません。でも結構ゲラなことも知っています(笑)また近々、あの4人で話しませんか?なんて。お祝いしてくれてありがとう。
大倉くん
大倉くんはとにかくイケボ。そしてやることなすことスマート。あんまり大倉くんが外しているところを見たことないんですけど、それは俺が後輩だからですか?なんかちょっとあれなんで、今度は是非弱点も見せてください(笑)寒空の初対面があんなんで本当にすいません。今度はもっとちゃんとした格好していきますね、なんていうのは置いといて、そろそろご飯行きましょう。大衆居酒屋でもオシャレなレストランでも、多分大倉くんと食べるご飯はなんでも美味しい気がします。また俺が迷った時は夜な夜な相談に付き合ってくださいね。なんて。今年もお祝いしてくれてありがとうございます。
兄貴
兄貴はイカついけど優しくて、可愛らしい人です。見た目は怖いけど実際そんなことないです。ジブリが似合うそんな方です。一言、そろそろ遊ぶ?ってそれだけメッセージをくれたんですけどね、そこに兄貴らしさが詰まってて。俺と兄貴だからこそのその一言っていうか。ご飯もいいけど、ちょっとゆっくり語り合いたいです。色んな兄貴の顔をもっと見てみたいです。
斗真くん
斗真くんは通常時はイケメンなんですけど、お酒が入ってONになるとめちゃくちゃ面白いです。オネエになるともう誰も止められません、変態ですし、大変です。でもその暴走具合が面白くて、大好きで。でも凄く根は真面目で、俺のモノマネをCASでしてくれた時も全然似てなかったよね?ごめん!って謝ってきたりとか、いや、めちゃくちゃ嬉しかったからそんなの全然良くて、とても俺としては美味しかったのでまたやってくださいね(笑)またゲームしたいですね、今度は俺もON、させていただきます!本日もおつまるでーす!
山下くん
山下くんと俺、すぐ繋がれなかったの未だに後悔していて。もっと早く仲良くなってたら良かったなって思ってるんですけど、でも仲良くなり始めた日から俺の理想の山下智久は山下くんでしかなくて、格好良いとかそんな在り来りな言葉で表せられない魅力で溢れているんですよね。とんでもなく歌声がえっちです。セクシーとか通り越して、えっち。こんな締め方したら怒られちゃうので、真面目な話。俺が迷った時はとことん話に付き合ってくれて、受け止めて慰めてくれて、背中を押してくれたそんな強くて優しいお兄ちゃんです。これからもきっと頼ってしまうかもしれませんが、これからもよろしくお願いします。
仁くん
仁くんは赤西仁以外のなにものでもありません。逆に仁くん以上の赤西仁って居るんですか?っていうレベルです。熱くて、真っ直ぐで、時にジャイアンだけど友達思いで愛情深いです。お酒飲むとめちゃくちゃ楽しそうに話すのでずっと見てられます(笑)仁くんには沢山叱られました。次はねえぞともまで言われました。でも、それでも、何度もめげずに俺と向き合ってくれたのは仁くんだけでした。どんな時も正しい道に導いてくれる俺の強い味方です。いつまでも俺はその背中を追い続けたいなと思っています。これからも沢山ご迷惑をおかけすると思いますが、よろしくお願いします。今年もお祝いしてくれてありがとうございます。
安田くん
安田くんは、俺の師匠です。歌、文章、発想、俺の中でこの3つ全ての頂点に立つ安田くん。もう開いた口が塞がらないとかそんなレベルじゃなくて。安田くんと出会えて、自分には見えなかった世界とか、逆に意外と同じだって思えるダークな部分を見せられる相手だったことも、全てが出会えて良かったと思えるところで。何回褒めても、何回紹介しても足りないくらいには魅力的です。言い過ぎやってーって言われてもこれからも容赦なく褒めますからね?(笑)今年の俺の目標は安田くんに褒められる1曲を持つことです!きっと今年で達成できるようなものじゃないと思いますが…(笑)またいつか、カラオケ行きましょうね。
錦戸くん
なにから紹介しましょうか?錦戸くんはめちゃくちゃ格好いいです。4年間ずっとその背中を追いかけて、ずっと見てきたからこそ後輩から見た錦戸くんは全て引っ括めて格好いいんです。多分分かってくれるのは大毅だけだと思いますが(笑)天然なところもありますが、チャラくてちょっとテキトーな気分屋なところもありますが、そんな全てさえ錦戸亮。ここ何年かは声までも錦戸亮になっているので多分あれは本物です。錦戸くんにはこれまで色んなところで助けていただきました。多分錦戸くんが居なかったら俺はここに立てていないんじゃないかなって。前とは少し違う距離で今年は支えて頂けたら、嬉しいです。無力ではありますが俺なりに錦戸くんの力になれたら嬉しく思います。今年もお祝いしてくれてありがとうございます。
北山さん
こんな風に貴方にお祝いされるなんて、数年前は思って無かった。不思議だし、人生どこでどうなるかなんて分からないね。まず繋がるとすら思って無かったし、何回も言うけど嫌いだったからね(笑)今はまあ、それですよ。はい。何から書こう、貴方を紹介するって難しくて。頑張り屋で凝り性、人の懐に入るのが上手くて、コミュ力オバケ、最年長なのに俺にはワガママ、しかも俺にしか聞けないようなワガママしか言わない、グルメで美味しいものを凄く知ってて、アイディアマン、抱擁力をなめてたら丸ごと包まれる、箇条書きにしたらこんな感じ。でも、それを全部纏めてひと言で言わせてください。俺の隣はこいつ以外に務まらない。色んな道を歩んで、色んな世界を見て、思ったことは俺の1番の北山宏光は彼です。これからも、メンバーとして、シンメとして、ライバルとして、よろしくお願いします。お祝いしてくれて、素敵な動画を作ってくれて、ありがとう。
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omoi-no-hoka · 5 years
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Japanese Reading Practice: 本格的なドイツのプレッツェルを作ってみました!
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Update on work: I only have ~500 more pages of materials to translate. My boss had a nervous breakdown and has been absent for two weeks, and I am taking on some of his duties and working on helping him recover, because Japan has literally ZERO mental health awareness and I can’t trust him or his coworkers to handle it in a healthy way. So...yeah. Sorry. I’ll get back to the Word of the Day Posts soon!!!! For now, please enjoy a blog post I wrote about my adventure making pretzels a while back.
既にご存知かと思いますが、私の趣味はベーキングです。基本はクッキーしか作らないのに、今回新しい食べ物に挑戦してみました。柔らかいドイツのパン~プレッツェルです。綺麗なきつね色の硬い皮の中に柔らかくて美味しいパンと塩の組み合わせのおかげで、プレッツェルはヨーロッパで1000年以上美味しく食べられています。
なぜか分からないけれども、以前からプレッツェルが食べたかったのです。4年北海道に住んでいるのに、こういうプレッツェルを見たことがないです。なので、週末にレシピを探して作ってみました。非常に勉強になりました、いろいろw。言っときますが、この記事の冒頭にある素敵なプレッツェルの写真は私の作品ではありません。(笑)
(これからは私の撮った写真になりますが、写真が得意ではないし、部屋の明かりがあまりよくなかったので、お許しをw)
まずは材料:
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右から左は:強力粉、砂糖、塩、重曹、ドライイースト、バター、トッピング用おしゃれ塩です。水も後ろにあります。
材料
4 cups 強力粉
2 teaspoons 塩
1 teaspoon 砂糖
1 cup ぬるいお湯
2袋 ドライイースト
3 tablespoons バター
ふりかけ用の大きめ塩
1/2 cup 重曹
2 quarts お湯
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👆井戸を掘っている
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👆イーストを注いでいる
最初にイーストをぬるいお湯に溶かしました。そして小麦粉と塩を大きいボールで混ぜて、真ん中に井戸を掘って、砂糖を井戸の底に入れました。最後に、イースト水を井戸に注いで15分待ちました。
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👆練り中
次に、柔らかいバターを追加して、記事がサラサラになるまで練ります。これは~5分かかりました。終わったら手ぬぐいをボールに被せて、膨らますために30分ほっときました。
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👆生地を12個に切り分ける
生地が倍に膨らみました!このレシピはプレッツェル12個を作るので、生地を12個に切って、1個1個を50センチの紐状にしました。最初は両手で紐状に伸ばそうとしたが、やはり麺棒の方が楽でした。しかし、麺棒だとは紐ではなく、ぺったんこなリボンしか作れないですねw。
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👆まず、「U」を作る
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👆2回捻て、下にくっつぐ
生地が正しい長さになったら、プレッツェルの形を作ります。これは意外と簡単でした(初見だけど)。
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👆小さくなってる~~゚Σ(゚Д゚)
そして大事件!!切った生地の水分がなくなっていました。水分がなくなると、弾力性がなくなってしまいます。私の求めていた長細い紐にはなってくれなくなりました。 そのせいでプレッツェルがだんだんぽっちゃりになりましたw。次回は水分保持の回避策を用意しないと!プレッツェルを成形したら、1時間冷蔵庫で冷やします。
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👆重曹を入れる
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👆片方を10秒ゆでる
次は重曹のお風呂でした。本当は重曹より強い「灰汁」を使うべきですが、5つのお店に聞いてみたら、だれも「灰汁」知らなくて、どこで買えるかも知らなかったです。これはスープの上に浮くアクではなくて、木の炭からできている白い粉なんです。(普通の灰とはまた違いますが)洗剤や石鹸の基本材料です。素手で触ったら火傷する危険物質です。「えっ?それを食べ物にかけるの?!」とびっくりしていると思いますが、沸かしているお湯にほんのちょっとしか入れないので、全く大丈夫です。
まぁ、結局見つからなかったから重曹で我慢しました。灰汁と重曹のおかげで、プレッツェルの外側が素敵な硬い茶色になり、味も多少変わるので、これをしないとドイツのプレッツェルとは言えません。片方10秒湯煎してすぐ出しました。
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👆プレッツェルを刻む
次、カッターでプレッツェルに切り込みを入れていきます。なぜ必要なのか分かりませんが、レシピに従いました。私は横線を入れちゃってますが、あとでレシピの写真を見ると縦線を入れるべきだったと気づきました。まぁ、人生にそういうことありますねw。 最後に、おしゃれ塩wを掛けて、オーブンの準備をしました!
オーブンを205度に設定して、15~17分焼きました。右上にある最初焼いた4個はほかのプレッツェルより黒くて硬いですが、中はまだとても柔らかでした。 17分焼きました。個人的にもうちょっと柔らかいのが好みなので、ほかの全部は15分としました。
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👆焼き立て!
じゃじゃーん!自分で言うとアレですがw結構満足しています。見た目はちょっと情けないほうかもだけど、味と食感は本物のパン屋さんで買うプレッツェルと全く同じでした。パン作りが苦手な私にとってこのレシピはかなり簡単な方でした。
しかし、味は地味でした。今度作るときには焼く前に溶かしたバータを塗りたいです。そしてほかのレシピにメープルシロップを追加する方もいましたので、それも気になります。
お腹いっぱいになれる美味しいおやつ食べたいとき、プレッツェルを作ってみませんか?
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hananien · 4 years
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【S/D】サムと忘却の呪い(仮)1~4
ツイッターに画像で投稿しているS/D小説です。一万文字超くらい。まだ続きます。
もし魔女のロウィーナが、将来自分を殺す男になると知って攫い、殺してしまうつもりだった幼少のサムに情がわいて、自分の子として育てることにしたら? そしてハンターが”魔女狩り”に特化した集団だったら? という妄想から生まれた小話です。シーズン12の11話「忘却の呪い」をオマージュしています。アリシアやマックスという12から登場する魔女キャラにも出てもらってます(彼らはハンターだけどここでは魔女として)。
連載中の小説を書きたいとは思うんだけど宿便状態なので、ガス抜きに小話を書いてる現状です。なのでお気楽な感じで読んでもらえると。。
 サムの養い親である魔女いわく、日のあるうちの森は獣の領域。だから理性ある魔女や魔法使いは夜に活動し、昼間のうざったい太陽が地上を照らしている間は絹のシーツに包まって体力の回復に努めるのだという。サムにいわせれば怠惰の言い訳にすぎないが、夜更かしな魔女たちの生態がいとおしくもあった。何より夜の彼女らはサムなど足元にも及ばぬほど鋭い英知と魔力の使い手だ。ならば彼女たちと少しばかり生態の異なる自分が、早起きして夜の”活動”の手助けをするのは義務であるし喜びでもある。獣の領域というなら早朝の森は狩りをするのに恵まれた環境だ。彼女たちはウサギのシチューが大好きだけど、そのウサギがどこで泥の毛皮を脱いできて鍋に飛び込んでくれたのかは考えたがらない。
 自分が何者であっても、森を歩くのが好きな男に変わりはなかっただろうかとサムは想像する。下草を踏むたび立ち上る濡れて青い土のにおい。罠にかけた小さな獣をくびくときすら、森はサムと獣のどちらをも憐れんで祝福してくれる。森はサムのびっくり箱だ。彼は自分の生まれた場所を知らない。だけど彼の親がこの森の入口に彼を捨てたとき、赤ん坊と森のあいだに絆が生まれ、その瞬間から森がサムの故郷になったのだ。※
 そうだ。森はいつもサムを驚かせてくれる。かくれんぼで遊んでいた七歳の彼を、その懐の深さで半月のあいだかくまってくれ、養い親をすっかりやつれさせてしまった時のように。
 その日、狩りを終えたサムの目の前を、遅寝のウサギが飛び跳ねていった。茂みの奥に逃げ込んだウサギを彼は追いかけた。腰には今日のぶんの収穫が下げられていたけれど、もう一匹恵まれたって困ることはない。
 茂みの中から黒い毛皮が現われた。サムは手を伸ばそうとしてひっこめた。黒くもなかったし、毛皮でもなかった。朝露で濡れた短いブロンドがゆっくりとサムのほうを向いて、彼はアッと息をのんだ。魔女がウサギを化かして僕をからかおうとしているのか。そうでなければなぜこんな場所に、サムの知らない男がいる?
 ところがブロンドの男の懐からさっきのウサギがぴょんと飛び出して、サムの脇を通ってどこかへ行ってしまった。「バイ、うさちゃん」と男はいった。寝ぼけたように、低くかすれた、それなのに、ぞっとするくらい、やわらかな声だった。
 「僕はサム」と、サムはいった。まぬけ、と森がささやくのが聞こえた。もしくは自分自身の心の声だったかもしれない。
 男は重たげなまぶたを持ち上げて、サムを見上げた。 
 「やあ、サム」
 新緑、深い湖、砂金の流れる小川。男の瞳は輝いていた。
 森はまたもサムに驚きを与えてくれた。彼は恋多き魔女たちに囲まれながら、自分が恋することが出来るとは思っていなかった。
 この時までは。
 昼過ぎから始まるブランチの席で、気もそぞろなサムに、養い親のロウィーナはけげんな視線を送る。
 「今朝のウサギ、ちょっと血抜きが甘いじゃない? 生臭いのは嫌よ、われわれは吸血鬼ではないのだから」
 「そう?」 サムはぼんやりと答える。「そうかな? それ、缶詰の肉だけど」
 「サミュエール」 ロウィーナの視線がますます冷たくなる。
 「今朝の狩りは空振りだった?」 行儀よくパンをちぎってアリシアがたずねる。彼女は見た目だけではなく、実年齢もサムとさほど離れていない若い魔女だ。母親のターシャ、双子のマックスとともに、ここロウィーナの屋敷に下宿している。
 「今朝の狩り……」 思いもかけぬ収穫があったことを姉弟子にどうやって伝えればいいだろう。いや、とサムは意識の中で首を振る。
 魔女のなわばり意識の強さといったら、狼人間が可愛く思えるほどだ。人間が――しかもどうやら”記憶があやふや”な、身元の怪しい――神聖な魔女の森に入り込んだと知れたら、ロウィーナははっきりと戦化粧をして森へ勇み、彼を排除しかかるだろう。双子のアリシアとマックスも、彼らは敵とみなした人間に容赦はしない。つまり、明日のシチューの中身が決まるってことだ。
 サムはぶるっと震えた。靴の底から顎の奥まで震えは伝わってきた。春の始まりに色づく枝先のように初々しく、美しい彼の瞳が、よく炒めてから煮込んだ紫玉ねぎの横に浮かんでいるさまを思い浮かべて。彼の肉つきのよい白い二の腕を調理するときの甘い香りを想像して。彼の肉を食べる――残酷なはずの行為が甘美な誘惑に感じる自分にうろたえて。
 だめだ、だめ。そんなことにはさせない。彼のことは秘密にする。
 「今日は、思ったより暖かくて」 サムは本当のことだけを口にする。「血を抜くのが遅すぎて、ダメにしちゃった。毛皮だけはいで、肉は捨てたよ」
 「また寄り道をしたんでしょう。狩りのあとはすぐに帰ってこなきゃだめよ。獲物を持ったままウロウロしないの」 ロウィーナは血のような葡萄ジュースで唇を湿らせる。
 「でないとあなたが獲物にされるわ」
 サムはこっそりと屋敷を抜け出し、森の男を見つけた場所まで急ぐ。
 彼はそこにいなかった。けれどたどり着いた茂みの変わりようを見て、逃げたわけじゃなさそうだと安堵する。ただの茂みだったそこは、下草が踏みならされて空き地に変わり、中心の地面は掘られていて、男が簡易なかまどを作ろうとしていたことが見て取れた。
 がさがさ音がして、薪になりそうな枝を腕に抱えた男が戻ってきた。サムの顔を見ると一瞬で表情が明るくなる。「サム!」 男は枝を足元に落としてサムに近づいた。その両手がわずかに広げられているので、サムは自分がハグされるんだと気づいた。
 サムが躊躇いながら上げた腕の下に、男の腕が入り込んできた。肩甲骨の下に巻き付いた腕がぎゅっと彼の胴体を締める。”抱きしめられた”んだ。魔女たちはサムによく触れたがるけど、頬にキスしたり腕を組んだりするだけだ。
 こうして誰かに真正面から抱きしめられるなんて、初めての経験だ。他人の体温を腹で感じるのも。
 なんて心地がいいんだ。
 「また来てくれたんだな」 男はそのまま顔だけを上げて、同じくらいの高さにあるサムの目を見てにっこり笑った。
 サムはまぶしくてクラクラした。まるで、ああ、彼は太陽みたいだ――魔女や魔法使いが忌み嫌う太陽――けれど彼らが崇める月を輝かせる光の源。
 「来るっていったじゃないか」 サムはゆっくりと、舌が絡まないようにいった。ハグに動揺したなんて、彼の笑顔にクラクラしたなんて、知られたら、あまり恰好がつかない気がした。恋に長けた魔力使いの男女のスマートな駆け引きを思い返し、取り澄ました顔を作る。「ほら、パンとジュースを持ってきた。昨日から何も食べてないって、ほんとう?」
 「ありがとう!」 男はサムのぺたぺたと頬を叩いて感謝を表した。――状況を考えれば、それは感謝のしぐさで間違いないはずだ。サムにとってはあまりに親密すぎたので、すぐには思い当たらなかった。だけど、男は四六時中、出会った人間の頬をぺちぺちしてますとでもいうように平然として、その場に屈むとリュックの中を探りだす。
 サムは早まる動悸を抑えるため、こっそり深呼吸を繰り返した。
 「どうかな、憶えてないんだ。何も憶えてない」 男は瓶の蓋を捻って開け、すぐに半分を飲み干した。よほど喉が渇いていたんだろう。きれいに反った喉のラインを必要以上に凝視しないようにサムは気をつけた。「ほんとに、参ったよ。腹が減って、おまえの捨てていったウサギを焼こうと思ったんだ。でも火を熾す道具が見つからなくて」
 「何も憶えてないって、どうしたの? どうしてこの森に入ったんだ? 町からそんなに遠くはないけど、ここが魔女の森だってわかってるだろう? それとも、よそから来たの?」
 「それが、わかんねんだ」
 「何も憶えてないの? 自分の名前も?」
 彼は、驚いたように目をしばたかせた。まるで自分に名前あることすら、失念していたように。
 その様子に異様さを感じて、サムはまさか、と思った。記憶喪失の人間が、”自分の名前を思い出せない”と悩むことはあっても、”自分に名前があること”を忘れて明るく振る舞うなんてことがあるだろうか。この異様さは、まじないの気配に通じる。彼の様子は、身体的、精神的な後遺症による記憶喪失であるというよりも、呪いによるダメージを受けている状態だと思ったほうがしっくりくる。
 でも、まさか。だれが彼を呪うっていうんだ? 中世ならともかく、このセンシティブな時代に魔女が人間を呪うなんてありえない。
 「うーん、たぶん、Dがつく気がする」 男が考え込むと眉間にしわができた。「D、D……ダリール、ディビット、違う……。デ……デレック? パッとしねえなあ……」
 「ダンカン? ダドリー?」
 「うーん?」
 「ドミニク? ドウェイン?」
 「ドウェイン? いいかもな。おれをそう呼ぶか?」
 「それがきみの名前なの? 思い出した?」
 「うーん? 多分違う気がする。でもいかしてるよな」
 サムは首を振った。彼の愛嬌に惑わされてはいけない。「もう少し、思い出してみようよ。デイモン、ディーン、ダライアス、デイル……」
 「それだ!」
 「デイル?」
 「いや、もう一つ前の」
 「ダライアス? ディーン?」
 「ディーンだ!」 男はうれしそうに歯をむき出して笑った。「おれの名前はディーンだ。それに、思い出したぞ。おれには弟がいる」
 「いいぞ。どこに住んでいたかは?」
 男はさらにしわを深くして考え込んだが、しばらくしても唸り声しか出てこない。
 サムはちらばった薪を集めて、かまどの枠を組み立てた。気づくとディーンがじっと見つめていた。
 「何も思い出せない」 あっけらかんとしていた少し前と違って、悲しみに満ちた声だった。「どうしちまったんだろう。おれ。ウサギを抱いて、おまえを見つけた。それ以前のことが、何も思い出せないんだ」
 「たぶん……たぶんだけど、きみは呪われたんだ」 サムは慎重に言葉を選んでいった。「魔女のことは、憶えてる……というか、知ってるだろ? 今ではそんな悪さをする魔女は少ないけど、トラブルになる自覚もないまま、彼女ら――彼かもしれないけど――を怒らせて、呪われるってことも、ないわけじゃないんだ」
 「呪われた?」 ディーンは大きな目を限界まで開いた。「おれが? どうして?」
 「わからない。もしかしたら違うかも。でもきみ、どこにも怪我はないようだし、記憶がないっていうのに、やたら気楽だったろ。それにここは魔女の森だよ。人間は入ってこない。基本的にはね。なのにきみがここにいるっていうのが、魔女が関わっているっていう証拠にならない?」
 「おまえはずいぶん賢そうに話すんだな」 ディーンは鼻をすすった。水っぽい音がした。「何が証拠になるっていうんだ。おれはどうすればいい? どこに行けばいい」
 「ここにいればいい」 サムは火種のないかまどを見つめて、それから首を振った。「ここじゃだめだ。ここは屋敷から近すぎるし。僕の家族に見つかったらディーンが危ない」
 「何をいってるんだ? 怖いぞ」
 「大丈夫。もっと奥に、今は使ってないあばら家があるんだ。たぶん僕しか知らない。そこにディーンをかくまってあげる。僕は魔法使いなんだ――まだ一人前じゃないけど。いろんな本を読める。それに、僕の親はすごい魔女なんだ、ディーンにかけられた呪いを解く方法をきっと知ってる」
 「まて、待てよ。おまえが魔法使い? おまえの親が魔女? おれに呪いをかけたのはその魔女じゃないのか? ここはその魔女の森なんだろ?」
 「ロウィーナは人に呪いなんてかけないよ。そんなにヒマじゃないんだ」
 「わかんないだろ」 ディーンの声に水っぽさが増した。と思ったら、彼はぽろりと涙をこぼしている。サムは頬を叩かれた時以上に衝撃を受けた。こんなに静かに泣く人は見たことはなかった。
 「ディーン、ごめん。泣かないで」 折れた薪の上に尻を乗せて、膝を折りたたんで小さくなっているディーンの横にしゃがみ込む。「大丈夫だよ。僕が守ってあげる。記憶を取り戻してあげるから」
 ディーンはサムを見つめて、まばたきもせずまた二粒涙を落した。サムを奇跡を見守っているみたいにじっと彼を待った。やがて彼は赤いまぶたで瞳を覆って、小さくうなずいた。
 「わかった。おまえを信じるよ」
 あずまやに移動して寝床を整えた頃にはもう日が暮れかけていたので、サム���急ぎ屋敷に戻らないといけなかった。夕食にはコックを雇っているとはいえ、実際に食卓を作るのは女主人であるロウィーナの指示をうけたサムだ。
 「また何か食べ物を持ってくるよ。遅くなるかもしれないけど、夜中までには必ず」
 「サム、おれの記憶、戻るよな?」
 小屋の質素な木戸を開けたサムは振り返る。戸の影で彼の不安そうな顔の半分が隠れてしまっている。サムより年上に見えるのに、心内を素直に伝えてくる瞳だけをみるとディーンは幼い子供のようだ。このまま留まりたい思いでいっぱいになる。
 彼が人間ではなかったら。彼が記憶ではなく、過去を持たない精霊だとしたら、それは森がサムに与えた贈り物なのではないか。
 彼を森の精霊だといって屋敷に連れ帰り、ターシャやマックスが連れているような使い魔として側に置く。何も知らず、誰と繋がりもない彼の唯一の主人となる。彼の食べるもの、着るもの、行動の範囲の一切をサムが指図し、彼のすべてを支配する。それがサムに、許されているとしたら?
 あるいは彼をこのままここに留め置いて、二人で秘密の生活を続ける。ディーンには記憶を取り戻す方法がなかなか見つからないといっておけばいい。小屋を出ればいかに危険かを言い聞かせれば、逃げられることはないだろう。
 違う。僕は彼を支配したいんじゃない。ただ彼に――
 「キスしたいな……」
 「えっ」
 「えっ、あっ、いや」 妄想が強すぎて声に出ていたと知ってサムは慌てた。
 「き、君の記憶は戻るよ、僕にまかせて。でも、いったん戻らなきゃ。ロウィーナは僕が家にいると思ってる。彼女は僕の部屋に勝手に入ったりしないけど、ディナーの準備に遅れたら魔法の鏡で覗かれるかも。僕がいないことがばれたら大騒ぎになる、森に捜索隊が出されたら大変だ。僕が行方不明になったのはもうずっと前のことなのに……」
 「サム、おれにキスしたいのか」
 「えっ」 サムは片手で戸にすがりつきながら唇をこすった。「なんで?」
 「なんでって、そういっただろ? おれは、憶えてる」
 そういって、自分の唇の感触を確かめるように、ディーンは舌をそろりと出して下唇を噛む。赤い舌と、暗がりでもきらりと輝く白い歯が、熟れたベリーのような唇から覗いた。サムは狩人の本能で手を伸ばした。指先が唇に触れ、湿った感覚がした。頬を滑った指が、耳たぶに触れると、そこは唇よりも熱かった。ディーンはため息を吐いた。
 「サムの手、でっかいな」
 ディーンは少し俯いて、サムの手が自分の項を包み込めるようにした。サムは夢心地で一歩近づき、両手でディーンの頭を抱く。後ろで木戸が閉まる音がする。ガラスの嵌っていない窓が一つあるだけの小屋の中は真っ暗になった。
 ディーンは目を閉じたままゆっくりを顔を上げた。親指の付け根に彼の穏やかな脈動を聞く。野性の鹿に接近を許されたときのように誇らしく、謙虚な気持ちになった。サムは初めてキスをした。
 何をいわれるかとひやひやしながら屋敷に戻ったが、ロウィーナは不在だった。かわりにアリシアがキッチンを取り仕切っていた。気が緩んだサムは今度はアリシアににやけ顔が見られないかと心配するはめになった。味見をして、雇いのコックにしょっぱいわね、でもこれでいいわ等と指示を出しながら、アリシアはサムを観察している。魔女というのはみんなそうだ。気安いふりをして他人の心を探るのに余念がない。
 食卓が完成するころにロウィーナとターシャが帰ってきた。二人が揃って出かけていたことにサムは驚いた。何か大きな事件があったのかと思い、それからあずまやのディーンのことがばれたのではないかと怖くなる。
 ロウィーナは冷静を装っていたけどイライラしているのは明らかだったし、ふだん泰然としているターシャもどこか落ち着きがない。
 「二人でどこに行ってたんだ?」
 食事が始まってしばらくして、マックスが尋ねた。サムは二人の魔女の答えを待つ間、ろくに呼吸もできなかった。ロウィーナがグラスを煽ったので、ターシャが話し出した。
 「ロックリン家よ。招待状を出しに行ったの。とんでもないことを聞かされたわ。大事が控えているから心配ね。おかしなことにならなければいいけど。ロウィーナ……」
 「ギデオンが死んだこと?」 ロウィーナはその話題を口にするのも腹立たしいとばかりにターシャをにらんだ。「大したことじゃないわ、あの腐った三つ子が今までそろっていたことが不吉だった。わざわざ私たちに話したのはサムの儀式にケチをつけるためよ。なめられたもんだわ、たかが数十年ばかりアメリカに入植したのが早いからって」
 「ロックリン家? 私もあいつらは嫌い。でもしょうがないわ、あっちは由緒正しいドルイドのスペルを持ってる」 アリシアがみんなの顔を見回す。「私たちにあるのは……実地で身に着けた薬草学に、星占術、たくさんの水晶。あちこちの流派を回って極めた最先端の魔法術。あれ……全然悪くないかも?」
 「さしずめ野草派ってとこだな」 マックスが調子を合わせる。「雑草と自称するのはやめておこう。でも、サムの儀式は予定どおりやるんだろ?」
 「もちろんそのつもりよ」
 「僕の儀式って?」 みんなが当然のようにいうから、サムは何か重要な予定を自分だけ聞き逃していたのかと焦った。ロウィーナとターシャ親子はともに定期的に魔法の儀式を行う。サタンへの忠誠を示し、魔力を高めるためだ。子どもにはまだ早いといって、いつものけ者にされていたから、どうせ自分には関係ないと思ってよく聞いていなかったのかも。
 「僕も儀式に参加できるの?」
 それを熱望していたのは覚えているが、ディーンを匿ってる今は避けたい。
 「いいえ、そうじゃない。サム。”あなたの”儀式よ」 サムが言い訳を探す間もなくロウィーナはいった。
 彼女は背筋をピンと伸ばしてサムを見た。「あなたはもう十六歳。サタンに忠誠を誓って一人前の魔法使いになる時が来たの。小さいころに教えたでしょ、森のストーンサークルで儀式を行う。この土地に住まう全ての魔女と魔法使いの立ち合いのもと、新しい魔法使いの誕生を祝うのよ」
 サムはあっけにとられた。「そんな――大事なことを、なんで――もっと前に、言ってくれなかったんだ」
 「逃げちゃうと困るでしょ」 アリシアがあっさりといってのける。「多感な思春期の子どもに”おまえは十六歳になったら”死の書”にサインしてサタン様の下僕になるんだ、それまで純潔を守れ”なんていったら大変なことになる。私もマックスも、知らされたのはその日の夕方。まあそれまでも、男の子と仲が良くなりすぎないように見張られていたけどね」
 「その反動が今きてる」 マックスが気だるそうに顔を向けて、双子はほほ笑んだ。
 「その日の夕方だって?」 サムは仰天した。「まさか、今夜?」
 「まさか。今日は招待状を出しただけ。儀式は明日の夜」 ロウィーナはため息を吐いて再びカトラリーを持つ手を上げる。「まあ、だから、明日の昼間の勉強はお休み。あなたは寝ていなさい。真夜中に始め、明けの明星が昇るまで行うのが通例なの。初めての儀式だから特に長く感じるものよ。主役が居眠りなんて許されませんからね、しっかり寝ておくことね」
 「私たちもその助言がほしかったわ」 双子が嘆くと、ターシャが「私の若いころなんてもっとひどかった。真夜中に叩き起こされて……」と話を始める。サムはそれを耳の端で聞きながら、味のしない肉を噛み締めた。大変なことになった。
 ストーンサークルはディーンをかくまっているあずまやのすぐ近くにある。ただの天然のアスレチックジムだと思っていた古ぼけた巨石にそんな使い道があったなんて知らなかった。
 ディーンを別の場所へ移す? いや、他に森に彼を隠せるような場所なんて思い当たらない。もしも永久に彼を森に閉じ込めておくっていうなら別だ――大木のうろ、崖下の洞窟、そういった場所を幾つか知っている――そこを拠点に家を作ることができる。何週間、何か月、何年もかけていいなら、サムは彼のために新しい屋敷だって建てられる――だけどそうじゃない。そうはならない。ディーンの記憶を取り戻して、彼の帰る場所を思い出せてあげるんだ。
 「ロウィーナ……聞いていい?」 サムは何でもないふうに装って質問した。「人の……記憶を消す魔法ってあるだろ? 難しいのかな?」
 当然ながら、何でもないふうに答えてくれる魔女はいなかった。みんながサムの顔を見るので、サムは急いで唐突に変な質問をした正当な理由を披露しなければならなかった。
 「思春期に……」 喉にパンが詰まったふりをして咳をする。「その、儀式のことを聞かされたって、ああそう、って受け入れる子もいるかもしれないだろ。まずは話してみないと。隠すのはあんまりだ。それで、すごくその子が嫌がったり、自暴自棄になるようなら、その時は記憶を消す魔法を使えばいいんじゃないかと、そう思ったんだ。ただ思いついたんだよ」
 一瞬、間があいて、マックスが「ひゅー」と口笛を吹くまねをする。「その考え方、俺は好きだな。冷酷で、合理的で。さすが、ロウィーナの一番弟子」
 ロウィーナは口元でだけ微笑み、ゆっくりと首を振った。「そうね、でも少し、短絡的よ。一時的に記憶を奪うことは、ハーブの知識があれば簡単にできる。だけど人の記憶を完全に消し去るのはとても難しい魔法なの。呪いというべきね。そんなものは仲間に使うべきじゃない」
 「一時的なものだったら、ハーブを使えば治る?」
 「ええ。ジュニパーベリー、それとほんの少しのベラドンナ……」 ロウィーナはスープをすすりながらすらすらと必要なハーブの種類を挙げていく。サムは記憶しながら、どれも屋敷の薬草庫や温室から拝借できるものだと思って安心した。「……マンドレークの頭をすり鉢にしてそれらを混ぜ合わせ、魔力を溜めた水に浸す。それを飲むのよ。簡単でしょ」
 「それは記憶を失わせるほうのレシピじゃない?」 薬草学に長けたターシャが口を出す。ロウィーナはそうだったわと頷いた。「記憶を戻すほうなら、ベラドンナを入れ���ゃだめだった。だけどそういったハーブの魔法は時間とともに解けるから、ふつうはわざわざ作らないのよ」
 「記憶をあれこれする魔法はドルイドが得意だったわね。ロックリン家にも伝わってるはずよ、あの書……」 ターシャは訳ありげな微笑みをロウィーナに向ける。「”黒の魔導書”。あれのせいで多くの魔女が高いプライドを圧し折ることになったわ。まあ、でも、今ではちょっと時代遅れね」
 「あいつらの頭は中世で止まっているのよ」 ロウィーナは憎々し気につぶやいて、ツンと顎を上げた。
 その夜中、各々が部屋に戻ってそれぞれの研究や遊びに没頭している時間、サムが眠っていることを期待されている時間に、彼はこっそりとベッドを抜け出してキッチンに忍び込んだ。用意したリュックサックにパンと果物を詰め込む。早くディーンのところに戻りたかった。空腹で不安な思いをさせたくないし、新しいランプを灯して暗闇を払ってやりたい。それになにより、彼と話がしたかった。記憶がなくてもかまわない。彼の声を聞いていたい。彼にどうして僕とキスをしたのと尋ねたいし、どうして僕がキスをしたのかを話して聞かせたい。もう一度キスをさせてほしいといったら彼は頷いてくれるだろうか。サムは期待でうずく胸を押さえた。断られないだろうという確信がそのうずきを甘いものにした。
 「サム?」 暗がりからロウィーナが現われてサムの心臓は押さえたまま止まりかけた。冷蔵庫のドアを開けてうずくまる養い子をしばし見下ろして、ナイトドレスにローブを羽織った彼女はふと目元をやわらげた。
 「眠れないのね。儀式の話をしたから」
 「う、うん。そうなんだ。喉が渇いて……」 サムは冷蔵庫のドアを閉めて立ち上がり、足元のリュックを蹴って遠ざけた。暗いから見えないはずだ。
 「心配することはないわ。あなたはただそこにいて、”死の書”にサインをすればいいだけ。あとは私たちの長い祝福を聞いていればいいのよ。夜が明けるまでね」
 「勉強はたくさんさせられてるけど、夜更かしの授業はなかったな」
 「何をいってるの。あなたが毎日遅くまで本を読んでいること、呪文や魔法陣の勉強をしてることは知ってるわ」 ロウィーナはそういってサムを驚かせた。彼女は手を伸ばしてサムの伸びた前髪を撫でつけてやった。
 「情熱のある、熱心な生徒を持って光栄だわ。あなたはきっと、偉大な魔法使いになる。私にはわかる。あなたがほんの赤ん坊のころからわかってたわ」
 「森で僕を拾った時から?」
 んー、とロウィーナは目を細めて考えるふりをした。「やっぱり、あなたが自分の足でトイレまで歩いていけるようになった頃かしらね」
 サムは笑って、自分を育てた魔女を見つめた。彼女の背丈を追い越してもうずいぶん経つ。彼女がサムの身体的な成長について何かいったことはなかった。けれど時々、彼女が自分を見上げる目が、誇らしく輝いているように思える瞬間があって、サムはその瞬間をとても愛していた。
 「ロウィーナ」
 「なあに」
 「僕、成人するんだね」
 「魔女のね。法律的にはまだ子ども」
 「ロウィーナのおかげだ。僕、あなたの子どもであることが誇らしいよ」
 ロウィーナの目が輝いた。
 「まだまだ独り立ちはさせないわ。もう少し私のしごきに耐えることね」
 「覚悟しとくよ」
 ロウィーナは冷蔵庫を開けて水のデカンタを取り出した。キッチンを出ていこうとする彼女の柳のような後ろ姿に息を吐いて、踏みつけていたリュックを引き寄せる。何か思い出したようにロウィーナが振り向いて、サムは慌ててまたリュックを後ろ脚で蹴った。
 「いくらでも夜更かししていいけど、明日の朝は狩りに行っちゃだめよ。食事の支度は双子に任せるから」
 「なんで?」
 ロウィーナは肩をすくめた。「ロックリン家のギデオン。彼が死んだのは夕食の時にいったわね。死体が森で見つかったのよ。彼らの領地は森の東側だけど、ハンターはそんなこと気にしないわ」
 サムはギクリとした。「ギデオンはウィッチハンターに殺されたの?」
 「魔女を殺せるのはウィッチハンターだけよ」
 「だけど、そんなのニュースになるだろ」
 「正当な捕り物ならハンターは死体を残さないし、カトリーナの様子じゃ何かトラブルを隠してる。だけど巻き込まれるいわれはないわね。しきたりだから、明日の儀式には彼ら――生き残った二人の嫌味なロックリン家――も呼ぶけれどね。森にはハンターがひそんでいるかもしれない。目撃者がない状況でハンターと遭遇したら、やつらがいうところの違法行為がなくても逮捕されるわよ。だから、サミュエル、明日の儀式にみんなで行くまでは、森に入っちゃだめ」
 「わ、わかった」
 ロウィーナが行ってしまうと、サムは念のために一度部屋に戻って、ベッドサイドのランプを付けた。それから温室に忍び込み、ハンガーに吊るされているマンドレークを一根、それと必要なハーブを掴んでリュックに詰める。温室の裏口からこっそりと抜け出したサムは、二階で休むロウィーナに心の中で詫びながら、パーカーのフードを深くかぶって、まっすぐ森へ向かった。
◇ ◇ ◇
ツイッターにも書いたけど設定だけは壮大。このあと・というかいま書いてるのは三部作のうちの一部でディーンとは別れて終わる。そしてサムは魔女の権利向上のために戦う革命戦士もどきになり、ハンターのディーンとは敵対関係に。。というロミジュリな。でも大ボスはUKの賢人か悪魔かチャックにでもして魔女もハンターも同じ側で戦うんだな。(そのあたりはボヤボヤ)最終的な問題は二人が兄弟だってどうやってばらすか、ばらした時の反応はどうするかだけど、その時にはもうやることやっちゃって覚悟できてるサミさまになってるだろうからきっとなんとかなる。
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tofubeatsreblog · 6 years
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FANTASY CLUB 随筆
CD “FANTASY CLUB”ブックレット用のもの 2017/4/19
 今回のアルバムを作るにあたって、セルフレビューとは又違った何かを掲載したい、ということに決まりまして、なんとなく書いてみた文章を以下にまとめます。FANTASY CLUBそのものを楽しんでくださればそれで十分ですが、歌詞カードだけじゃ手持ち無沙汰なお方はこちらも読んでみてはいかがでしょうか。  今回のアルバムのための曲のうち、1〜2曲はPOSITIVE製作中にスケッチ程度で手元にあった曲だ。ただPOSITIVEはほとんどボーカル曲で揃えることにしていたのでインストは外していた。その中でもこれは入れたいな、と思っていた曲の一つが”FANTASY CLUB"である。この曲がアルバムタイトルになるだなんて想像だにしなかったが、いつかこれを良い形で出したいなとずっと思っていた。  自分がクラブミュージックというものを聴き始めて最初のほうに聞いた曲に、Pierre’s Pfantasy ClubのDream Girlという曲がある。ハウスという言葉についてもボンヤリしか知らなかったし、シカゴハウスについてはほとんどこれが始めて聞いた曲だったので、当時強烈な印象を受けた。リフレインする覇気のない声と地鳴りのように押し寄せるベースラインは、HIPHOPとはまた違った形で気合がとても伝わってきて、こんな音楽があるのかととても驚いた。そしてこれはなんとなく自分にしっくりくるタイトルでもあった。DJを始めてすぐのころは、J-POPとかに混ぜてこの曲をプレイしていて、数年前にはこの名前をもじって連載タイトルなんかにもする(ガチ恋・ファンタジー・クラブという連載をPOPEYEでやらせて頂いていた)。そういうこともあってなんとなく作った出来の良いデモ曲に、またこの名前を付けた。”FANTASY CLUB”だ。  時は経ち、今回のアルバムをどういう方向性にしようかと考えてみたとき、POST-TRUTHという言葉が飛び込んできた。ガラパゴスにますます向かっていく日本では音楽の置かれてる立場が良い方向に向いてるとは思えないし、ファストで軽薄だ!といって世間を揶揄するのは時代(と本作から制作の半分がラップトップベースに変わった自分)に目を背けているようで嫌だがあまりにそうなりすぎたとも思う。日本で音楽的に開かれていると感じる作品は殊更に日々、見つけにくくなっている気がする。しかし自分がそもそも芳醇なものを浴びて(浴びようとして)育ってきたかと聞かれれば否だと思うし、全力でその流れに抗っているのか?と問われれば少々答えるのは難しい。  インターネットを始めたころは面白いものが昔よりもっと評価されやすくなる未来がくるぞ!と信じていたが、今となっては全く逆で、全てがバズみたいなものと結び付けられていけば、物事はきっとさらに低い所に流れていくだろうと思う。倫理みたいなものもどんどん無くなっていくのだろうか、そんな時に自分の聞きたいような音楽を作ってくれる人は出てくるのか・・・と考えるとあんまり明るい気持ちになりにくい。本当に人間が求めているものは下世話な話題だけだったりするのかもしれない。  自分がこうした義憤にかられてしまっていることについて立ち止まって考えてみる。インターネット越しに全てをわかったような気分になり、嘘か幻かもわからないような、自分の目で確かめたことではない情報について語っている時点で、自分が揶揄している向こう側の人間と全く同じ状況であることに気がつく。なんとなく世間がよくなくなっているイメージこそメディア越しに植え付けられてしまったものなのかもしれない。そしてこの文章もそんなぼんやりとした不安を植え付ける作用があるのかも。  きっと今より良い世の中というのはあるはず、ただそこにはどうやって行ったらよいのか、自分が何をすべきかというのがわからない。”FANTASY CLUB”とまとめるくらいがちょうどいい、と思うようになった。毎日友達と飲んだり遊んだりしているわけではない。ほとんど一人で過ごしているからどうしても歩いたりしていると考え事をしてしまう。あんまりこういう不確定な未来について考えすぎると人間は必ず悪い方にイメージが行ってしまうのも知っている。ただアルバムはこうして完成した。  人間は高い山を切り開き台地にした後、住宅を並べ、ショッピングモールを建てた。その時はそれで良しとした。  今日は渋谷ヒカリエ裏のシオノギビルのルノアールで山根さんにアルバムジャケの原画を頂いた。遅刻気味だったのでタクシーに乗り込んで、運転手に場所を教えるために「しおのぎ」と調べた。自動変換で塩野義と書くことを知った。格好いい苗字だ。  今日に至るまで山根さんにはタイトルと数行のヒント、そして6割くらいの完成度の音源をお送りしていた。そこから帰ってきたラフスケッチは確か4つ。その時から自分にはこのジャケしか選ぶ気が無かった。ボートが収められている倉庫で話す2人の男。船は何かの力で進むことができるが、実際は海や川の流れに大きく動きを支配される。それはもしかすると音楽を作ったりすることのと近いのかもしれない。  なぜか最初このラフスケッチを見た時自分は競艇の船が収めてある倉庫の絵だと思った。どう見てもがっつり普通の手漕ぎボートの絵なのにボートと聞けば競艇を思い浮かべてしまった自分にとても反省した。思い込みで返信してしまった最初のメールではなんとなくそれに山根さんが乗っかってくれていて、さらに申し訳なかった。全然そういうのはツッコんでくださいよ。  そんなことを話しながらお互いの近況を伺うなどして小一時間話した。山根さんはこういう仕事をしていてあまり会うことがない同い年かつ、もう3〜4年くらい仕事でご一緒している貴重な人物だ。一番最初に「水星」でお願いしようか悩んでいたとき、「この人は長く続けてくれそうか」というのが自分の中で大きな問題だったことを思い出す。昨日も神戸で別の友人と話したことだが、自分にとっては何かを続けて行うことがとても大事に思える性分があるらしい。山根さんは今は住む場所をすこし変えて、仕事の分量を少し変えて自分の絵とまたゆっくり向き合っているそうだ。忙しさを高めて続ける方法もあるとは思うが、スピードを緩めてきちんと付き合う方法もある。何よりそうやって自分の好きな物事とどうやって付き合っていけば長く一緒に居られるか、そういったことについてきちんと考え、接しておられる人なのだなと短い時間の中でも分かって改めて良かった。  途中から合流したアート・ディレクターのタミオさんに関してはさらに長く、5年以上お世話になっている。どちらかというとタミオさんは助けてくれる先輩という���じが強い。そんな3人でジャケの原画を囲んで(原画を壁に立てかけつつ話していたのだがルノアールに妙に馴染んでいた)お茶をした。  その後、思っていたより少し大きめだった原画を入れるためのバッグを買いにタミオさんと2人で文具店に立ち寄った。仕事を初めてさせて頂いた時は独身だったタミオさんも今や一児の父だ。自分がタミオさんくらいの年になったらもうその子供と普通に喋ったりできるようになるのか・・・と思ったりしながらタミオさんを見送った。  なんとなく自分の中で毎回「オトコマエ枠」というのがアルバムにある気がするが、今回はYOUNG JUJUが担当だ。tofuチームのマネージャー並びにディレクターがKANDYTOWNのリリース時関わっていたのが音源を聞いたきっかけで、実際に彼のフロウは印象に残った。そのアルバムには収録されなかったヴァースがとても好きで(イベント特典として配布されたSONG IN BLUEのREMIXがそれにあたる)、オートチューンをかけたヴァースをもっと蹴ってほしくてトラックを作った。  今回彼のレコーディングは彼が懇意にしているILLICIT TSUBOI氏のスタジオで行った。YJが来る前に自分はこれだけ音楽やっていてほぼ初めてくらい、スタジオのボーカルブースに入って歌をレコーディングした。もちろんオートチューンはかけ録りなので音痴な自分の声を聞かずには済んだのだが、自分の声が他のボーカリストに比べてかなり大きいということを初めて知った。家で一人でやっているとそんなこともわからないまま10年経ったりもする。  YJの録りが終わってから「アルバムの1曲目にスクリュー入れたんすよ」という話題からスタジオでその曲を聴くことになり、アウトロを聞いたツボイさんが「この2枚使い編集で作った?」と聞いてきた。当初編集で2枚使いっぽい感じに編集してアウトロを作っていたのでそう答えると、「そういうのはちゃんと生でやんないと!」と言われてハッとした。別に自分はもともとターンテーブリストでも何でもないが、なんとなくここは生でやらなきゃなと思わされた。そういうこともあり、神戸に帰ってからはDJを始めた時以来くらいにとても簡単ではあるが2枚使いを練習して録音し直した。今回のアルバムでKASHIFさんのギターを除けば唯一の生演奏パートである。  昨日、ライブの仕事で大阪に行っていた。いいものを沢山見させていただいた。先輩方のライブを見ながら新しいことや客が見たことないものを恐れずやるのはやはりとても大事だと改めて勇気づけられた。雑誌WIREDで折に触れて語られる「イノベーションは勇気から生まれる」という言葉もそうだが、何かを変えて行くために必要なものはそれであると確かに思う。  したたか、という言葉は「強か」と書く。もしくは「健か」とも書くらしい。いくぶん良い意味ではない言葉に思えるが、辞書で昔の例文を引いてみると植物が健かに育つ姿などにも使われている。強く、健やか(この場合はスコヤカと読むだろうか)な。この曲はそういう人に歌ってもらいたいなあとボンヤリ思っていた。結果、第一候補として自分が挙げたsugar me氏にOKをいただくことができた。  氏との顔合わせは渋谷の「珈琲貴族」という喫茶店で行われた。まずこの場所を指定してくださったsugar me氏が所属するレーベル、RALLYEの近越さんも最高だが、よくよく考えたらこのお方も結構昔から連絡を取らせていただいている方である。そして金沢でずっとやっていらっしゃる地方組のベテランでもある。そういう人と仕事をさせていただけるアルバムでよかったな〜、と思いつつ、コーヒー「貴族ブレンド」を頂いた。  自分的には珍しく午前の集合でいい気分だったが、滅多に午前行動をしないマネージャーが眠い目をこすっていた。そんなことを書いていたらその直後、sugar meさんはJ-WAVEの月〜金の朝の帯番組のアシスタントMCに抜擢されていた。至って朝型の自分はたまに神戸から聞かせてもらっていて、変な感じだ。この文章を仕上げている日の朝、まさにその番組でYUUKIがワールド・プレミアされていたのもなんだかおもしろい。  もう一人のゲスト、中村佳穂さんもいわばそういった普段は昼間にライブをされている方だろうか。結構前にくるりの岸田さんがオススメしていたのかネットだったか何だったか忘れたが、楽曲を聞いて驚いたのを覚えている。そんな彼女が自分の大学生の時に書いた曲を普通にライブでカヴァーしていたことを知ってさらに驚いたのはオファーを出した後のことだ。彼女の諸作品のエンジニアリングを行っているスタジオ、SIMPOもとても素晴らしい仕事をなさっているが、何よりご本人が持っているナチュラルなリズム感や編集センスが素晴らしい。レコーディングの時の瞬発力もあって、歌いながらめっちゃ手が動くのもある意味ラッパーっぽくて良いと思う。本人はいたって人当たりのいい感じの素敵なお方だが、アルバムのデザインのシュっとした感じなどはなんだか関西っぽくないような気もする。フェイクもなんかちょっとだけ宇多田ヒカルっぽく聞こえる瞬間があった。そのことを当日のエンジニアであるY氏に伝えたら「世代じゃないすかね」とおっしゃっていた。妙に腑に落ちた。  そんな京都でレコーディング前にスタジオから近いという理由だけでなんとなく来た喫茶店がめちゃくちゃお洒落だ。大きな一枚板のカウンター、サイフォンで入れてくださる美味なコーヒー。オムライスに添えてあるピクルスまでも美味しかった。少々無愛想な店員の前でマックブックを開いて作業をする。こういう喫茶店で仕事していると自分はとても大人になったなあ、と感じる。  純喫茶でゆっくりするのは妙に落ち着かないことが前は多かった。何故かというとそういった店に行く機会が無かったからだ。小学校の頃はロイヤルホストに連れていってもらい、「ジャワビーフカレー」を食べるのが何よりの贅沢だった。胃潰瘍をやってから香辛料は極力控えているが今でも年に数度、コレは・・!という日に食べる。ロイホに詳しい人しかわからないと思うが自分的にはリブステーキを食べるより神聖な行為だ。  話は戻って、チェーン店やある程度画一的な店のほうが落ち着くのは自分が生まれた環境がそちら寄りだからではないかと思う。「いらっしゃいませ!」とマニュアル通りに声を掛けてくれる店にしかほとんど行ったことがなかった。顔を覚えてもらったり、最近何があったかを話し合うような店舗には今でもそこまで馴染みはない。  自分にとっての懐かしさは商店街にあるような親近感ではなく、国道から見るドライブスルーの看板のような距離感の方にあるようで、それでいて、どのロイホで食うジャワビーフカレーも美味い。  今回のアルバム、一番最後にやった作業がCHANT #2のアウトロを作ることだった。ピッチが下がっていってそのまま終わるのも悪くはないが、どうもアルバム全体が締まらないような気がして何日も頭を悩ませていた。今作はこれまで作ったアルバムの中ではlost decadeの次に時間的な余裕があった作品だ。特にアウトロについて1週間くらい考える時間があったというのは非常に贅沢だった。メジャーに入ってはじめて作品全体を見渡した制作ができる時間が作れたことは今回のアルバムに一番作用した。  いろいろ思慮を巡らせつつ、今回はフィールドレコーディングにしてみたらどうか、と思い、とりあえずレコーダーを持っていろんな場所に向かってみて、音を録ってみることにした。普段外では音楽を聴きながら歩いているので、そこでどんな音が流れているのか、改めて見つめ直すことはとても新鮮で意味のあることだった。  例えば最後に聞こえる汽笛の音がそうだ。神戸に居れば実は結構な山側に居ても汽笛の音が聞こえることはよくある。海に出るまで20~30分以上かかるであろう場所でも、山地を背にした神戸でそれが聞こえることはおかしいことではない。ただ、こうして録音してみないと汽笛が普段聞こえていることなんてすっかり忘れてしまっているのだ。教会の鐘の音もそうである。人間の耳というのは都合良くできていて、知らず知らずのうちに驚きの無いものは奥の方に仕舞い込んでしまう。レコーダーで録音することによってそんな音の数々を洗い出していった。そうして自分が好きで何度も向かっている場所からいくつかの音を集めて、それらの音が重なって再生してアルバムは終了する。大体は自分が一人で気分転換に向かう場所の音だ。今回は晴れの日を待つ余裕もあったのもラッキーだった。  今回のアルバムのマスタリング、様々な条件や音源を加味してお願いする事になったのが得能さんだった。専業のマスタリングエンジニアではない得能さんにマスタリングをお願いするのは少しだけ挑戦でもあったが、きっとうまく行くだろうとは思っていた。  普通、マスタリングという作業はスタジオで1日、朝から晩までぶっ通しで行って仕上げてしまうことが多い。自分的にはこれが効率的である反面、判断力の欠如を生むと思っていた。長く聞ける作品を作るためには何度もチェックが必要だ。スタジオではなく普段の環境でチェックしてマスタリングを進めるため、何度も得能さんとはやりとりをさせて頂いた。インターネット越しに少なくとも6往復くらいはやりとりがあったと思う。  そんな作業を経て、最後ddpというデータを作成してマスタリングは終了する。そんな最後の「落とし」の作業をチェックも兼ねて京都の得能さんの家で行わせていただくことにした。  落としの数日前、得能さんが別の知人とtwitterで神戸垂水にある精肉店の焼豚の話をしていた。せっかく伺うのだからそこの焼豚を持って行って差し上げよう、と思い、同じく興味津々だったマネージャーの分もあわせて神戸で購入し、クーラーバッグに入れて京都に持って行った。得能さんはご自宅で作業をされているので、冷蔵庫に焼豚を一旦入れさせていただき、作業を開始した。  マスタリング作業が終わったあとはせっかくなので、と得能さんがレコード屋を案内してくださり、その後も中華を3人で頂いた。満腹になったところで、マネージャー用の焼き豚を冷蔵庫にすっかり忘れていたことに気がついた。  京都駅までの途中だし、と焼豚を取りに得能さんの家まで一旦戻ったのだが、雑談しているうちにそんなこと全員忘れてしまい、そのことに改めて気がついたのは帰りの電車に乗ってからだった。誰もそんな素ぶりは見せなかったがアルバムが仕上がって肩の荷が降りたのだろうか。もちろん焼豚は得能夫妻が2パックとも美味しく完食してくださった。丁寧にもその時の写真とレシピまで得能さんは送ってくださった。そこで、そもそも最初っから自分の分の焼豚を買い忘れていたと気がついた。  
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本日、1月31日。
ここ最近、「  使いキリ  」にはまっております。
「 食材を、無駄なく使う 」
一見、エコへの取り組みスローガンのようなこの文言を
私は今、ハマって!実践しております。
というのも。
今までは、食べたいものに合わせ、必要な食材をその都度買っていました。
・・まぁ、ほぼ衝動買いだったかな...?
それがこの状況下で、
たまに行くスーパーでのまとめ買いと、
週に1度届く戸配のフル活用へとシフトチェンジ。
食材を得れる回数が限られたことから、
ある程度いろんなパターンを作れるよう、
まんべんなく食材を買い、
その中で組み合わせを考えるようにしました。
食べたいものをモヤモヤ〜っと思い浮かべては、
冷蔵庫とレシピサイトをチェックし、
今日の献立を決めていく。
以前の私なら、
食べたいレシピを見つけても、
「これを買わないと、作れない。」 と、
普段はテキトーなくせに、
食に対しては断固として譲らなかったのに。
でも今は、
指定された食材が無いのなら、
今、家にあるもので代用し、作ればいい。
自然とそう思えるようになり、
そんな柔軟な対応をする自分に少し驚いたりします。
自分にとっては嬉しい、この小さな変化は、
冷蔵庫だけでなく、
私の気持ちも身軽にしてくれて
なんだかめちゃめちゃ、気分が良い・・!
選んだ食材の掛け合わせに成功し、
少しずつ、冷蔵庫がカラに近づいていくこの爽快感は、
まるでゲームの 「 ぷよぷよ 」。
4個色が揃うと消えていく、
あの感覚に近いのかもしれません。。
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そんなある日、献立に「おでん」を選んだ時に、
「たくさん作って、次の日もまた食べよう。」
そう思った次の瞬間、
「あっ 次の日はカレーにしよう。」
ふいに、そう思いました。
きっと、何かリメイク料理の特集とかで
「おでん」からの「カレー」づくり
といった情報を、無意識に得ていたんだと思います。
そして、次の日。
イイ感じに、味がしみしみになった「おでん」を見ていたら、
「カレー」にしてしまうことに、ちょっと躊躇もしたけれど。
そこは「食べてみたいっ!」という
食欲アグレッシブな自分の気持ちが上回り、
「カレー」のルーを思いっきって、
鍋に どーーーーん!
見た目的にも満足。
そして食べてみた結果、
めちゃうまっ!で大満足。
下準備は楽だし、無駄もなくせるし。
なんてったって、おいしいし!!
この料理、最強!?
リメイク料理法を考えてくれた人にも感謝です!
食べた翌日、胃への負担もないし(歳のせい・・?)
軽い感じで、ダシのきいた、
おそば屋さんの「カレー」っぽい���がして。
このレシピ、
今ではすっかり我が家の鉄板(定番)メニューにもなって、
この冬、「カレー」を見越しての「おでん」作り。
一体、何度やったかわからないくらい。。
それにしても
「カレー」って、何でこんなに美味しいんやろ〜?
刻んで、
ぶっ込んで、
ハイ出来上がり!的な
誰もが簡単に美味しく作れる、魅惑の料理。
緻密な計算もいらないし、
冷蔵庫の余りもので、ちゃちゃっと作れるし。
・・ん?
あれ。
以前はレシピ通り作らないと、気が済まないようなこと言ってたけど。
前から「カレー」って
めっちゃ感覚的に作ってる・・な、と。
余った食材の使い道に困ったら
今までも「カレー」にぶっ込んでた・・な、と。
まぁ。
とりあえず、おいしいんだから。
まーいっか!
ムダ無く、美味しく、効率よく!
この「 ぷよぷよスタイル 」を
しばらく楽しんでいこうと思います。
2月もがんばろう!
おしまい!
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sarahflow · 4 years
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「しがや」でごはん。
 ――はじまりは「味噌豆」だった。
 底の深いフライパンに油を敷き、軽く水洗いした大豆を入れながら、志賀真幸(しがまゆき)はそう思う。  ゆっくりとへらでかき混ぜて大豆に油をまわし、強火にかける。十五分ほど煎っていると、豆がしわしわになっていく。さらに煎り続けていけば、しわがなくなって、ぱちぱちと音をたてはじめる。表面が少し割れてもくる。  ちょっとずつ焦げ目がつく、この過程が真幸はとても好きだ。  どんなメニューを組む日でも、「味噌豆」は必ず作ってタッパーに入れておく。あまり甘くしないから、ごはんのおともにも、お酒のアテにもなる。  真幸がひとりで切り盛りする『しがや』は、昼の十二時から夜の十一時までが営業時間だ。ランチが午後二時まで。三時間の休憩を挟んで、午後五時から再開する。  八人でいっぱいになるカウンター席と、二人かけのテーブルがふたつに四人かけのテーブルがひとつの小さな店。  夕方からの営業には、食事だけでなく、お酒をメインにする常連さんも多いため、「味噌豆」を含むお通し三点付けはとても喜ばれる。もっとも、真幸はアルコールには詳しくなくて、ごく普通のビールと廉価な焼酎、日本酒しか置いていない。こだわりのある飲兵衛には向かない店だ。  それでも、『しがや』の個性や、ある法則をもったメニューのほうが重要だと言ってくれるお客さんに守られていた。  いまは、ランチあとの休憩時間。  ランチの片づけをして、食材のチェックをしてみたら、今朝作った「味噌豆」がこころもとない残量になっていた。夜の営業で足りなくなるのは困るので、追加で作っている。  中火にし、砂糖と味噌を入れて擦り合わせつつ混ぜはじめたとき、まだ暖簾を出していない店の引き戸が開いた。
「姐さん、これ置かせて」
 挨拶もなく入って来た青年がよく通る声で軽やかに言う。
「ちょっと待って」
 真幸は声の主を見ようともせず、ちゃっちゃとフライパンの中の豆を仕上げていく。砂糖も味噌も焦げやすいので、眼を放せないのだ。
「おう」
 青年は短く答えると、カウンターの角席に腰かけたようだった。椅子を引き、とんとなにかを置く音が聞こえた。  彼はその席が好きだ。絶対にそこでなければいやというわけではないのだが、何人かの仲間と顔を出してもテーブル席ではなく、角席を含んだ数席を選ぶ。  胡麻を加えて「味噌豆」を完成させてから、真幸はカウンター内を移動した。青年の真ん前に立った。
「見せてよ」 「あ、おう」
 青年はまた短く答えて、手元にあったA4サイズの封筒を真幸に差し出した。一センチほどの厚みがある。  真幸は受け取った封筒からぺらっと一枚引っ張り出してみた。「ふうん」と呟いて紙を見つめる。
「正之丞(せいのすけ)さん、出世したよねぇ」 「出世ってこたぁねぇですよ」
 正之丞と呼ばれた青年はへっと鼻先で笑い、カウンターに支度されている透明なポットに手を伸ばした。トレイに並んだグラスをひっくり返し、冷えた緑茶を半分ほど注ぐ。ごくごくと咽喉を鳴らして一気に飲み干した。
「でも、たいしたもんだよ。菱野ホールってキャパ二百五十くらいあるでしょ。そこで毎月やれてるんだもん」
 真幸の手にある紙は、いわゆる宣伝チラシだ。青っぽい背景の中央に着物姿の正之丞がいて、寄席文字と呼ばれる独特の太い筆致の文字で『日月亭(たちもりてい)正之丞月例独演会』と二行に分けで書かれていた。  ちなみに、寄席文字とは、提灯や半纏に使用されていた字体と、歌舞伎などで用いられていた勘亭流の字体を折衷して編み出したビラ字をもとにしている。天保年間に神田豊島町にあった藁店に住んでいた紺屋の職人が改良したものらしい。  たくさんの客が集まって、空席が少なくなるようにとの縁起を担いで、文字と文字の間隔を詰め、隙間を最小限にして書く。その際になるべく右肩上がりにもする。
「次からはチラシデザイン、もっと凝ったら? 正之丞さんイケメンなのにふつうのデザイン過ぎてつまんないよ、これ」
 真幸は淡々と言うと、チラシを封筒に戻した。  正之丞はもう一杯緑茶を注ぎながら、「だったら姐さんがやってよ」と唇を尖らせた。
「じょーだんでしょ。もうわたしは引退したのよ。いまはただの食堂のおばちゃん」
 自嘲気味に笑って、真幸はできたばかりの「味噌豆」といんげんと山芋のおひたし、小女子の佃煮入り卵焼きを三点付け用の小皿に盛り合わせ、正之丞の前に置いた。  正之丞は「うまそう」と呟いて、割り箸を手に取った。
「おばちゃんだなんて思ってないくせに」
 まず卵焼きを口に運び、正之丞はにっと口角を引き上げた。
「わたし、何歳だと思ってんの?」 「おれより四歳上だっけ?」
 正之丞はもぐもぐと咀嚼しつつ、首を捻った。真幸はすぐに「五歳」と返した。  正之丞は、スポーツ医療系専門学校卒業後に日月亭正治(せいじ)に弟子入りし、八か月の見習い期間のあと、前座として寄席に入った。四年半務め上げ、五年前に二ツ目となった。確か、早生まれの三十歳だったはずだ。  二ツ目になってからしばらくは、三十人キャパ程度の会場で勉強会を繰り返していたが、ある新鋭監督の映画に準主役で期用されてから注目されはじめた。  端は整った見た目ばかりが話題にされていたものの、ネタ的にほうぼうに呼ばれているうちに噺家としての実力もあがっていった。  真幸は、集客に苦労していた姿も知っているから、とんとん拍子に飛ぶ鳥を落とす勢いの存在となっていく正之丞に圧倒された。  多くの注視は自信の裏付けになると同時に、敵も生まれる。諸刃の剣だ。ファンの好意はちょっとしたボタンの掛け違いで嫌悪に変わってしまう。  そして、それを含め、目立ってナンボの世界だ。潤沢とはいえない客の数を多くの噺家たちで食い合いするのだから、売れていて、魅力がなければ勝ち抜けない。  真幸は『しがや』を開店するまで、日本橋にあるデザイン事務所に所属して、多種多様のチラシをデザインし、寄席文字を書いていた。売れはじめるまえの正之丞のチラシを作ったことも、独演会用に高座のめくりを準備したことも一度や二度ではない。  真幸のデザインするチラシは、噺家たちにも落語会に足を運ぶ客たちにも好評だった。  母が亡くなり、『しがや』を継ごうと決めて一線を退くとき、相当に残念がられたものだ。事務所を辞めても個人的に仕事を請け負ってほしいと頼まれたけれど、それではなんだか示しがつかないような気がして、すべて丁重にお断りをした。  仕事としてかかわらなくなっても、落語そのものは好きだったから、『しがや』のメニューに演目にちなんだものを出すようになった。 「味噌豆」も落語の演目からきている。  主人が隠れて「味噌豆」を食べようと便所にこもる。使用人もやはり隠れて食べたくて、椀によそった「味噌豆」を持って便所へ向かう。そこには主人がこもっているから鉢合わせになり、使用人は機転をきかせておかわりを持ってきたと言い放つというオチを迎える噺である。  もともと「味噌豆」という言葉の響きが妙に好きで、どんなものなのか興味があって個人的に調べて作って食べていた。いろいろなパターンのレシピに挑戦し、自分なりに改良を重ね、『しがや』の落語にちなんだ新メニューのトップバッターに決めたのだ。   真幸が作っている「味噌豆」は、落語に登場するものとはちょっと違うのだけれど。 「味噌豆」が好評だったから、真幸は少しずつ落語の演目絡みのメニューを増やしていった。 「目黒のさんま」にちなんださんま料理、「かぼちゃ屋」や「唐茄子政談」に絡めてかぼちゃ料理、「二番煎じ」に出てくる味噌味の肉鍋風煮物、などなど。  あとは、ランチ時には「時そば」にちなんで、もみ海苔を散らした花巻そばや、玉子焼き、蒲鉾、椎茸、くわいなどをのせたしっぽくそばを常に出している。  夏場には「青菜」に登場する鯉の洗いを用意したこともある。  つまり。  これが『しがや』のある法則をもったメニューなのだ。  このおかげで、母の代からのお馴染みさんや地元だから贔屓にしてくれるお客さんとともに、落語好きの常連さんが多くなった。飲みながら、落語話に花を咲かせているお客さん同士も、落語会帰りに一杯というひとたちもいる。  そのため、多くの噺家たちがチラシを置かせてほしいと言ってくる。去年からは頼まれて彼らのCDや著作物なども販売するようになった。置いてあるチラシやCDなどを目当ての客も結構いた。  正之丞の初CDが出た際には、サイン会を兼ねた特別落語会を開催もした。二百五十のキャパをコンスタントに埋められる正之丞なのに、二十程度の席しかないため、チケットはとんでもない争奪戦となった。  この会がうまくいけば、隔月くらいで落語会をやってみてもいいかなと思ったけれど、ファンの血眼ぶりがトラウマで、尻込みしている。正之丞ほどの動員能力を持つ噺家ばかりではないし、まだまだこれからの若手を呼べば、あんなことにはならないだろうとは頭ではわかるのだが。  思い切るにはもうちょっとの勇気が必要そうだ。
「正之丞さん、まだ時間ある?」
 真幸はチラシの入った封筒をカウンター下の棚に収めてから、ふわっと訊いた。
「ん? あるよ。今日は寄席の昼席二か所だけだから、夜は空き。なんで?」 
 山芋のおひたしを口に入れて、正之丞は訝しそうな顔をした。眉間に薄く皺が寄る。
「さんまのつくね食べる?」
「ランチ残ったの?」
 正之丞はいたずらっぽく眉を上げた。
「あーー、やな言い方するなぁ。そういう態度だと出してあげないよ」
 真幸はむっとしている振りをした。  正之丞とはついじゃれ合いをしてしまう。異性であることを意識したことは、少なくとも真幸側からはない。きょうだいか喧嘩友達みたいな関係をずっと続けている。  真幸には大勢の噺家の知り合いがいるが、たぶん正之丞がいちばん親しい。家族関係もつきあっていた女性のことも知っている。  そして、ひとつひとつの恋愛があまり長く続かないことも。  正之丞がいろいろな女性と交際をしている間に、真幸は取引先の会社にいた相手と恋愛をし、シンプルな式を上げて結婚した。二歳上の物静かな男性だった。軽口を叩き合うような関係性ではなかったけれど、しっとりと静かに穏やかに時を重ねていけると思っていた。  だが、ともに暮らしはじめて三年目に突入して間もなく、「好きなひとがいる」と離婚を切り出された。相手が女性であればもっと引き止めたり、もめたりしたかもしれない。  でも、夫が選んだ相手は同性だった。  それも、高校時代からひそやかに続いていた。「女性の中ではいちばんきみが好きだけど、それ以上にどうしても彼がいとしい。もう嘘はつけない」と言われれば、もう返す言葉はなかった。  惚れていたぶんだけ、離婚直後は恨みめいた気持ちもあったものの、真幸といっしょにいるときよりも自然に幸せそうに、よく笑う元夫を見ているうちに、これで良かったのだと思えるようになった。  元夫は、いまでもあの彼氏とともに生きているらしい。  真幸は、職場ではずっと旧姓で通していたから、たぶん正之丞は結婚離婚を知らないだろう。
「食べる?って訊き方したんだから、ひっこめんなよ。オトコに二言はねぇだろ」
 正之丞はぶんっと割り箸を回した。
「行儀悪いことしないっ!」
 真幸は腕を伸ばして、正之丞の割り箸を掴んで止めた。
「あと、誰がオトコだ!」
 そのまま握り締めて拳にすると、正之丞の額を小突いた。正之丞はでへへっと笑った。
「いしる汁、ひとりぶんにちょっと足りないくらいなんだけど」 「いしるってどこの料理?」 「料理っていうか、能登の調味料ね。いしる出汁っていうの」 「能登かぁ。能登ねぇ」
 正之丞が感心したように頷き、「一昨年呼ばれて行ったなぁ」と続けた。 
「噺家はいろんなとこ行けていいねぇ」 「行くだけで観光もうまいもの食うのも、めったにできないけどね」
 真幸の拳の中から割り箸を奪い返し、正之丞は今度はいんげんのおひたしを食べた。  噺家たちは、確かに地方公演は多いが、余裕をもったスケジューリングにはされていない。  たとえば、福岡公演の翌日���昼に東京公演が組まれていたり、昼は名古屋、夜は仙台なんてむちゃくちゃなことになっていたり。その合間に師匠方に稽古をつけてもらいに行ったり。  噺家は、大抵は個人���業主で、事務所などがマネージメントしているわけではないのに、ファンの多い人気者や名人ほど大事にされていない。ひっぱりだこと言えば聞こえが良いが、ただの過重労働だ。  売れ出して以降の正之丞のスケジュールもそうなっている。昼席のあと、空いているというのは珍しい。
「正之丞さん。もうあとがないんなら、ごはんも食べて呑んじゃう? 奢るよ」
 真幸は断っても問題ないのだという隙間を持たせて、言ってみた。
 正之丞は性格的に年上や先輩からの誘いにノーと言わない。多忙な売れっ子をやっかむ先輩たちや、人気者を連れまわしたいタニマチ風の主催者たちにも従ってしまう。  だから、落語を離れたプライベートの場では気にせずに首を横に振っていい。つまらない上下関係や重圧を離れて、羽根を伸ばせばいい。夜が空いているのなら、彼女とデートだってしたいだろう。  そんな思いも内包していた。  まあ、もっとも、いまの正之丞に交際している女性がいるかどうかは知らないが。
「いいの?」
 正之丞は間髪あけずに返してきた。  真幸の見る目が歪んでいなければ、だが、正之丞にいやがっている様子はない。年上からの誘いだから仕方なく了解したという感じもしない。  正之丞の如才なさの賜物で、うまく本音を覆い隠している可能性もあるな、なんて臍の曲がったことを考えつつ、真幸は薄く笑みを浮かべた。
「ランチの残りと、普段、大皿で出してるような料理しか、まだ用意できないけど」 「充分充分。助かるよ」 「そう? じゃあ、ビール? 焼酎?」 「う~~ん。焼酎かな。ここの緑茶で割るから、グラスに氷と焼酎だけ入れてくれたらいいよ」
 真幸は「おっけー」と答えて、大きめのグラスに氷を四つと七分目ほどの焼酎を注いだ。正之丞の手元近くにグラスを置く。  正之丞はいかにも嬉しそうに「ありがと」と笑んだ。  正之丞は結構酒が強い。深酒も泥酔もしないし、醜態も晒さないが、酒量はいつも多いほうだ。真幸も酒飲みだから、ふたりで飲めば長くなる。  正之丞が緑茶で軽く割った焼酎を飲みはじめるのを見やり、真幸は残りが少ないので小鍋に移してあったいしる汁を火にかけた。汁には、つくねの他に大根、人参、牛蒡、三つ葉が入れてある。  さんまのつくねは、「目黒のさんま」にちなんだ料理のひとつとして作っている。  あの演目だと、「さんまは目黒に限る」で形容されるさんまの丸焼きがメインだ。もちろん『しがや』でも九月に入るとさんま焼きを提供する。  それ以外の時期に出すのが、さんまのつくねなのだ。演目の後半に、殿様が屋敷に戻って「さんまが食べたい」と言ったときに、使用人たちがさんまの脂っぽさや小骨をとりまくってぼろぼろになったものを椀に入れて出す場面を参考にしている。  汁に入れる以外では、揚げたり照り焼きにしたり、にんにくたっぷりでソテーにしたりする。  さんまを使ったメニューとしては、他に味噌煮、蒲焼き、野菜あんかけ、竜田揚げなど、我ながらレパートリーに富んでいると思う。お客さんにも人気がある。  真幸はいしる汁とごはんをカウンターに置くと、続けて、大皿料理として常に用意している筑前煮、かぼちゃの煮付、きんぴら、切り干し大根、肉じゃが、小松菜とツナと玉子炒め、オクラの豚肉巻き、鶏の唐揚げを少しずつ取り分けて出した。  ひとつひとつは凝ったものではなくても、全部が並ぶと途端に贅沢な食卓となる。和食中心の店だから、どうしても色合いが茶色っぽくなってしまうのは否めないが。
「こりゃ豪勢だな。ありがてぇ」
 落語の登場人物の江戸弁めいた口調で喜んで、正之丞は箸をつけていく。  緑茶割を飲みながら、ほんとうに美味しそうに平らげる。細い身体のどこに入ってしまうのかと思うくらいの食欲だった。見ているだけで楽しくて、嬉しくなる。  よく食べる人間は好きだ。ひとは食べたもので作られるのだから、気取って小食のふりをするよりも、食べるべきものをちゃんと食べる姿のほうが素敵なのは当然なのだ。
「おかわりする?」
 グラスの中身が残り少なくなったのを見て、真幸は訊いた。正之丞は「う~~ん」と低く唸って、グラスの底の薄い緑色と、皿に残った惣菜を見比べた。
おかわりを頼むには、つまみが足りないということか。
「えっとさ」 「うん?」
 真幸は、珍しく歯切れの悪い正之丞を見つめた。
「おれね、真幸……姐さんの料理好きなんだ」
 正之丞は、真幸の呼称代わりにしている姐さんの前に名前を入れた。これも珍しいことだ。
「このいしる汁も肉じゃがも筑前煮も豚肉巻きもぜんぶ美味いし、どれも好きだ。ほんとに口に合う」 「あ、ああ。そうなんだ。ありがとう」
 淡々と、だが、真摯に料理を誉める正之丞の口調が妙に照れくさくて、真幸はさり気なく目線をずらした。正之丞を正面から見ているのが、なんともいたたまれない気分だった。
「実家のおふくろのメシより好きだ」
 正之丞の「好き」は更に続く。真幸はかあっと顔が熱くなるのを感じた。  いま、彼が言い続けている「好き」は、あくまでも真幸の料理に対するものなのに。
 すべてが自分に直接跳ね飛んでくるみたいな感覚だった。
「できれば、これからもずっと姐さんのメシを食いたい」
「……う、うん」
 真幸は小刻みに頷いて、「いつでも食べに来てよ。毎回は奢らないけど」と続けた。  正之丞はふうっと深く大きなため息を吐いた。こんなに誉めたのに奢らないと言われて、つまらないと思ったのかもしれない。  でも、正之丞みたいな健啖家を毎回ロハで食べさせていては、『しがや』が立ち行かなくなってしまう。
「そうじゃないよ」
 少しの間を置いて、正之丞は低く言った。  なんとなく怒っているように聞こえて、真幸はちらっと正之丞を覗った。正之丞はまっすぐに貫くように真幸を見つめていた。
「『しがや』の客としても、だけど、それ以上に個人的にって意味」 「え、え? あ?」
 あまりに意外な言葉で、真幸は間抜けな反応しかできなかった。声もいびつに裏返った。
「どういう……」 「おれ、姐さんが好きだよ。何人かの女性とつきあってみて、余計にはっきりとわかった。おれは姐さんが好きだし、おれに合うのは姐さんだけだ」
 訊き返そうとした真幸の声に被せて、正之丞は一気に言い切った。手にしていた割り箸を肉じゃがの小皿に置いた。
「え、いや、でも、ほら、わたし年上だし」
 間抜けな動揺を色濃く残したまま喋るから、真幸の声は自分でも笑ってしまいそうなくらいに上擦っていた。  きょうだいや喧嘩友達のような存在の正之丞からこんなことを言われるなんて、想像したこともなかった。いまのふたりの関係に変化が起こるわけがないと、ずっと思っていた。
「五歳くらいどってことないんだけど」
 すかさす正之丞が答えた。
「え、でもね」
 なおも否定を続けようとした真幸に、正之丞は「姐さんのでもでもだっては、ぜんぶ打ち返せると思うよ、おれ」と微かに笑みを浮かべた。
「いますぐに答えがほしいわけじゃないんだ。おれの言葉を聞いた今日から、考えはじめるんでいい。姐さんの恋愛対象におれがいなかったんなら、これから加えてほしい。そういうことなんだよ」
「……でも、正之丞さん……」 「でもは、もうなし」
 うだうだと「でも」を並べる真幸を迷いなく見つめ、正之丞はびしゃっと切り捨てた。噺の中で誰かを叱りつけたときのような口調だった。  思わず背筋が伸びた。  真幸はぎくしゃくと正之丞に向き直った。正之丞は微笑みを湛えたまま、その動きを待っていた。
「考えてみて」
 正之丞は真幸と眼が合うのを待って、ひどく穏やかにそう言った。
「たくさんたくさん考えてみて。姐さんとおれがいっしょに生きていけるかどうか。真剣にちゃんと考えた結果がごめんなさいなら、おれは受け止めるから」
 あまりに真剣な口調に、真幸は唇を引き締めた。  いままで正之丞と自分を男女として意識したことはなかったけれど、ここまでしっかりと伝えられた以上、直視しないわけにはいかない。誤魔化したり予想外だからなんて言い方で逃げてはいけない。
「時間はいっぱいかけていいよ」
 正之丞は、これまで一度も見たことがないくらい穏やかに優しく頷いた。笑みの形になったままの表情がひどく美しかった。
 ――考えよう。これから、きちんとまっすぐに。
 真幸は言葉にはのせずに、ただ強く頷いていた。
「……良かった。ありがとう」
 心底から嬉しそうに、正之丞が頭を下げた。
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athena-i-tes · 6 years
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疾病退散のおまじない
ドラゴン退治の道中から、少し様子がおかしいとは思っていたのだ。ジェナッサの雇い主であり恋人でもある彼――ケイモアはいつも破壊魔法を使う時、敵から標的として狙われないよう走って相手の後ろに回り込む。しかし地上に降りたブラッドドラゴン相手に立ち回る時、動きが明らかに鈍かったし、走る時には痛そうに表情を歪めていた。ジェナッサは当初、ドラゴンの吐く氷の息を浴びてしまったために身体が急に冷えて動きが鈍ったのかと思っていたが、ドラゴン退治を終えてイヴァルステッドへ戻る道中でも、彼の動きはいつも通りとは言い難かった。 オータムウォッチ・タワーを出て、なだらかな丘をしばらく下ると川が見えてくる。イヴァルステッドは川をまたぐ石橋を渡った先にある。
辛そうに肩で息をしながら歩くケイモアに、ジェナッサが声を掛けた。
「ねぇ……どこか痛むんじゃないの」 「うん?ああ、少しね……でも大したことはないよ。治癒の光を念入りにかけたし、宿で休めばすぐに良くなるだろう」
体調を気遣ってくれる恋人に対し、ケイモアはそう言って笑ったが、その笑顔にはいつものような柔らさはなく、痛みを押し殺しているような違和感があった。
「やっぱりおかしいわよ。いつからなの」
彼女の問いかけに対し、ケイモアは否定せずに小さく頷く。
「オータムウォッチ・タワーに向かう途中で熊に襲われただろう。あの熊に引っかかれた右胸がズキズキするんだ」
あの時か、とジェナッサは記憶を巡らす。熊に負わされた傷が癒えていないままドラゴンと戦ったために悪化してしまったのだろうか? スカイリムに来たばかりで何をするにも慎重だった頃と比べて、最近の彼は、旅路での様々な危険に対し、彼なりの身の処し方を覚えつつあるようだった。しかしその分、つい無理をしてしまうこともあるようだ、とジェナッサは考える。何事においても、慣れてきた頃の油断こそが命取りになり得るものだ。
熊は通常自分の縄張りに人が立ち入ると、まずは離れた場所から吠えて威嚇をする。それでも立ち去らないと知ると、人を撃退するために太い四足で猛然と駆け寄り、攻撃をしてくるのだ。しかしその熊は、オータムウォッチ・タワーへ向かう道を探すため山道を歩いていた二人に突然襲い掛かってきた。 自分たちがそうと知らぬうちに熊の縄張りに踏み込んでしまったのか、空腹で気が立っている熊に運悪く出会ってしまったかのどちらかだろう、とジェナッサは考える。 ジェナッサの前を歩いていたケイモアは、飛び出してくる熊に気づき、反射的にアイアンフレッシュを唱えた。しかし最初の一撃には間に合わず、右の上半身に熊の前脚による強烈な打撃を受けてしまった。彼はよろめきながら回復魔法を唱え、痛みを一時的に抑える事で倒れ伏すことを防いだが――やはり鎧ではなく薄いローブを着ている彼にとって、負担はかなりのものだったらしい。 彼の後ろを歩いていたジェナッサは、咄嗟の襲撃に間に合わなかったことを悔しく思う。
「回復魔法を使ったのなら、もう傷が治っていても良い頃じゃないの。だいぶ経ったのにそんなに痛むのはおかしいわよ」
労るように彼の顔を覗き込んだジェナッサは、彼の額に汗が浮かんでいることに気づく。今日はいつもと変わらない寒い日だ。それにそろそろ夕刻で、太陽が地平線に沈み、一日の中でも更に冷え込んでくる時間帯だった。どう考えても汗をかくような気温ではない。
「ちょっと……大丈夫?」
ジェナッサはダンマーなので、アルトマーの顔色の善し悪しについての知識はない。しかし旅のパートナーであり恋人でもある彼の顔色が、普段と違っていることは彼女の目にも明白だった。 金色の肌にはつやが無く、土気色にすら見える。 ジェナッサはケイモアに立ち止まるよう促し、少し背伸びをして手を伸ばした。彼の額に触れて驚く。明らかに熱を持っていた。
「熱があるじゃない!ただの怪我じゃないわ。早く室内に入るわよ」
宿屋「ヴァイルマイヤー」の重い木の扉を開く。室内の大きな囲炉裏には火が入っており暖かかった。ケイモアは扉を入るなり、すぐそばにある長椅子に力なく腰を下ろしてしまう。
「ごめん……目眩がして」 「少し待ってて。今晩の部屋を取って来るから。ベッドで休んだ方が良いわよ」
ジェナッサが宿の主人ウィルヘルムの立つバーカウンターまで駆け寄り、二言三言伝える。ウィルヘルムは頷くと、従業員のリンリーに手短に指示を出し、それからジェナッサと共にケイモアの元へとやって来た。
「だいぶ具合が悪そうだ。肩を貸そう。立てるか」
ウィルヘルムとジェナッサがそれぞれケイモアの左右に立ち、大柄な体格の彼を支える。ケイモアは明らかにぐったりしていたが、二人に心配をかけまいと努めて気丈に振る舞おうとする。
「大丈夫だ……一人でも歩けるよ」 「駄目よ、無理しちゃ。ほら、部屋まで行くわよ」
二人はケイモアを支えたままゆっくりと部屋に入り、彼をベッドに腰掛けさせた。
「言われたものを持って来ました。これでいいかしら?」
水の入った桶と数枚の清潔な布巾を持ったリンリーが部屋の前から顔を覗かせる。
「ありがとう。桶はそこに置いてちょうだい。あとは私がやるから、二人は仕事に戻っても良いわ」
ジェナッサはベッドの脇を指差して指示を出す。ウィルヘルムとリンリーは、心配そうな表情でジェナッサに声を掛ける。
「大丈夫か?どうせ滅多に来ない巡礼者くらいしか客らしい客は来ないんだから、何かあったらすぐに呼んでくれよ」 「ええ。ありがとう。でもこちらは大丈夫よ。これから夕食時でしょう?イヴァルステッドの皆が食事をしに来るんだから、二人は彼らに料理を出してあげて」
二人は顔を見合わせると、ジェナッサに言われるまま、部屋を出て宿の仕事に戻っていく。 部屋に二人きりになると、ジェナッサはケイモアの正面に立った。
「ちょっと見せてみて」
彼女はケイモアにローブを脱ぐように促す。上手く動かない右腕側には手を添えて介助した。 布が取り去られると、筋肉質な上半身があらわになった。目に見えるほどの外傷は彼が唱えた回復魔法によってある程度癒えていたが、やはりジェナッサが予想していたとおり、右肩から胸にかけて、赤黒く腫れ上がっていた。
「ひどいな」
ケイモアが自分の身体を見下ろして苦笑する。ジェナッサは顔色ひとつ変えず、患部に手を添えて軽く指で押した。ケイモアは顔をしかめて身じろぐ。腫れている箇所は熱を持っていた。 リンリーが置いて行った桶の水に布巾を浸し、手早く患部にあてがう。肩から胸を覆うように布を巻く。背中側で布の端を縛ると、ケイモアが呻いた。
「う……痛い……」 「こうして冷やしておくと良いわ」
傭兵として日々戦いに明け暮れ、幸か不幸か多くの怪我や病気を見聞きし、時には自分自身が経験してきたジェナッサは、彼の症状には心当たりがあった。
「これ、たぶん骨折熱ね」 「何、骨折だって……」
ジェナッサの言葉を聞いてケイモアが目を白黒させる。
「損傷を受けた骨は、あなたが咄嗟にかけた回復魔法で何とか繋がったってところかしら。でも無理に動くと折れてしまうかもしれない」
ケイモアは怪我を負った時の状況を思い返す。肌を硬化させる変性魔法をかけていない生身の状態で、熊の前脚に殴られたのだから、骨が折れるのも無理はないだろう。むしろ骨折だけで済んで運が良かったのかもしれない。ジェナッサは症状の説明を続ける。
「骨折は身体の負担が大きくて、発熱することがあるのよ。疾病のひとつだけど、伝染る病気じゃないわ。……薬は持ってる?」
以前旅の途中でケイモアが重関節症に罹った時は、生憎と薬の持ち合わせがなく、二人は翌日の予定を変更し、エイドラの祠を探して歩き回ることになった。身体を動かすだけでも患部が痛むというのに、祠を探すために丘を上り下りした事を思い出し、ケイモアが苦い顔をする。
「もちろん持ってる……前みたいなことはもう懲り懲りだ。悪いけど、その鞄に入っているから取ってくれないか」
脱いだローブと共に枕元に置かれている薬用の小さな鞄をケイモアが顎で指し示す。ジェナッサが鞄を手にとって開くと、中には彼が道中で採取した様々な草花と一緒に、小瓶が何本も入っていた。体力回復の薬やマジカ回復の薬……錬金素材店の店頭でよく見かけるような、見慣れた形の瓶が何本か。そして、ケイモア自身が調合して作ったらしい、中身の分からない小瓶がいくつか。
「どれかしら?」
ジェナッサが当てずっぽうでそのうちの一本を手に取ると、どうやら正解だったらしく、ケイモアが頷く。
「そう……それだ。その赤い小瓶に入っている薬」
ジェナッサが蓋を開けて手渡すと、彼は匂いを嗅いで中身を確認し、ぎゅっと目を閉じて一気に飲み干した。 いつだったか、彼自身がホワイトランの自宅の錬金台で作った薬だ。彼は調合した当人なので、当然のその材料も把握している。乳鉢で素材を細かい粉末にし、飲みやすいよう少量の精製水に溶かした液体の薬だ。そして、肝心の素材は吸血鬼の遺灰とマッドクラブの殻だった。
「錬金素材の店で買ったレシピ通りに作ったが……いや、だいたいの予想はしていたけれど、美味しいはずがなかった。遺灰を飲むだなんてあんまり想像したくないな」
顔をしかめるケイモアを見て、ジェナッサは可笑しそうに笑う。
「良薬口に苦しって言うでしょ。じきに熱が引いてくるわよ。あなたの作った薬が合ってれば、ね」 「薬の調合は正しいはずさ」
ジェナッサにからかわれ、ケイモアが唇を尖らせて抗議する。軽口を返す余裕が出てきたらしい事に、ジェナッサは内心安堵する。
「さて、その格好のあなたはじゅうぶん魅力的だけど、そろそろ着替えた方が良いわよ。替えのローブはどこかしら?大きな方の鞄に入れてある?」 「ああ。開けてくれたら分かる。黒いローブだ。アークメイジのローブではなくて、部屋着代わりにしている方の……」 「これね。いかにも魔術師って雰囲気」
鞄からきれいにたたんであるローブを取り出して広げてみせる。薄手の黒いローブは簡素な作りで、確かに脱ぎ着をしやすそうに見える。
「さて、着替える前に汗を拭いてあげるわ」
新しい布巾を桶の水に浸して絞ると、ジェナッサはケイモアの隣に座った。
「ええ……そのくらい自分でできるよ」
ジェナッサの申し出にケイモアは動揺した。先ほどから甲斐甲斐しく自分の世話を焼いてくれる恋人に、申し訳無さを感じていた。それから――彼自身は認めたくなかったが――少しばかりの劣情を。体調が悪いせいもあり、性欲どころの話ではなかったのが救いだとまで考えてから、ケイモアは自分の考えのおかしさに呆れてしまう。
「あなた病人なのよ。無理に動いて悪化したら大変でしょう。良いからじっとしてて」
ジェナッサはケイモアの前に回り、彼の身体を拭こうと肩に手を掛ける。ちらりと彼の顔を覗き見ると、彼女が予想したとおり、彼は緊張した様子で唇を引き結んでいた。 二人の関係性は、つい最近恋人同士のものに進展しはしたが、こと性的なことに関して経験の浅い彼は、人目の少ない場所で手を繋いで歩いたり、着衣のまま寄り添って眠ったりするだけでも、誰の目にも分かるほどにどぎまぎしてしまう。 今は体調が悪いとは言え、やはり裸の身体を直接触られることには戸惑いがあるのだろう、とジェナッサは考える。彼が元気な時であればからかいの材料にしてしまっても良かったが、状況が状況だ。弱っている彼のプライドを傷つけてしまう結果は、彼女としても避けたかった。
「ねぇ」
ジェナッサは上半身を少し屈め、正面から恋人の目を見つめる。彼は愛の告白をした夜、ジェナッサの瞳が好きだと言っていた。ジェナッサもケイモアの瞳が好きだった。暖かい陽が当たる草原のような、澄んだ黄緑色。熱に浮かされたせいか目尻が少し腫れていたが、彼の優しげな眼差しを愛おしく思う。 ジェナッサはそのまま顔を近付け、彼の唇に軽く口づけた。 不意打ちのキスに目を丸くするケイモア。ジェナッサがいたずらっぽく笑う。
「私達、恋人同士でしょ。好きなマーの看病くらいさせてくれたって良いんじゃないの」 「ああ……」
ジェナッサの問いかけに対するケイモアの返事は曖昧だったが、身体の緊張感はすっかり抜けていた。 その様子を確認してから、ジェナッサは肩から胸、腹にかけて恋人の身体を優しく拭き始める。
「ジェナッサ」 「何?」
彼女の柔らかい声に安らぎを覚え、ケイモアはそっと嘆息する。ジェナッサの手つきは柔らかく、熱で火照った肌には心地良い感覚だった。
「その、ありがとう」 「気にしないで。困った時には支え合うのがパートナーというものだわ」 「うん……」
ジェナッサは彼の身体を拭き終えると着替えを手伝い、それから身体が冷えないようにとベッドに寝かせ、丁寧に毛布を掛ける。ベッドサイドに椅子を運んで腰掛け、ケイモアの髪を優しく撫でた。
「ウィルヘルムのところから夕食を貰ってきてあげるわ。今夜のメニューはじゃがいもスープと、あなたの好きなウサギ肉料理だそうよ」 「ああ、そう言われてみたらすごく空腹だ」 「食欲が出てきたなら大丈夫。薬も回復魔法もよく効いてるし、あとはしっかり食べて寝たら治るわよ」
ジェナッサはそう言うと、食事の器を取りに行くため椅子から立ち上がる。不意に毛布の中からケイモアが腕を伸ばし、ジェナッサの手を握った。
「……あとひとつ、足りないものがある」 「あら?他に何か取ってきて欲しい?」
恋人に動きを止められたジェナッサは、彼の要望を聞こうとベッドに耳を近づける。
「……て欲しい」 「え?」 「キスして欲しいんだ」
分厚い毛布から顔だけ出した状態の彼と目が合った。その真剣な表情にジェナッサは吹き出してしまう。
「駄目かな……」
愛する彼女が笑っているのを見て急に気恥ずかしくなったのか、毛布から出た顔が、自信なげにずるずると毛布の中へ潜っていく。
「駄目じゃないわ!私のおまじないで治るのなら、ひとつと言わずいくらでもあげる」
ジェナッサはクスクス笑いながらベッドの上に覆い被さり、ケイモアの頭がある側の毛布を捲る。まだ熱が引いていないのかそれとも照れているだけなのか、彼の頬には赤みが差していたが、ジェナッサは気にせずキスを落とした。額に、鼻先に、左右の頬に、そして唇には念入りに。
「お二人さん、スープが冷めないうちに食べてくれ……おっと失礼、お取り込み中だったかな」
ジェナッサがなかなか食事を取りに来ないため心配になったウィルヘルムが部屋を覗くと、二人はベッドの上で抱き合い、幾度も口づけを繰り返しながらうっとりと見つめ合っていた。 二人きりの世界に入り込んでいたカップルは、宿の主人の声で我に返る。
「うわ、いやこれは、その」 「あらありがとう、すぐに取りに行くわ」
慌てて毛布を被り直すケイモアに対し、ジェナッサは何食わぬ顔で乱れた髪を直しながら起き上がった。
「それだけ元気なら、もう大丈夫そうだな」
ウィルヘルムはニヤリと笑って顔を引っ込めた。
翌朝、ケイモアは清々しい気分で目を覚ました。身体の痛みはすっかりおさまり、昨晩彼を苦しめた寒気も怠さも引いていた。目を開けて室内を見渡す。部屋の反対の隅にあるシングルベッドでジェナッサが眠っている。 昨日、彼女が献身的に看病をしてくれたことを思い出す。彼女が居なかったら、回復はもっと遅れていただろう。 ゆっくりとベッドから抜け出し、彼女の元へと近づく。 つんと尖った耳に、高めの頬骨。閉じられた瞼を縁取る長い睫毛。小ぶりな鼻の下には、形の良い唇。愛らしい寝顔だと思う。そっと跪き、彼女の頬に口づけた。
「……ん……」
瞼が微かに震える。 手を伸ばして彼女の髪を撫でる。
「ジェナッサ。ありがとう――」
小声で囁いた。
――彼女が起きたら一緒に朝食をとろう。そして他愛もない話をして笑い合うんだ。そしてお互いの体調が良ければ、今日は予定通りに七千階段を登ってみるのも良いだろう。頂上からの景色はきっと見ものだ――。
旅を始めた頃は想像もつかなかった事だが、彼女と毎日を過ごせることが、今のケイモアにとっては何よりも幸せだった。
――彼女に余計な心配をかけないためにも、私はもっとしっかりしなければ。
胸のうちで決意を新たにすると、そっと立ち上がり、身支度を始めた。
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vegehana-food · 6 months
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✿ 豚と野菜の豆乳坦々スープ鍋定食
✍️ 豆乳なし⭕️,調味料半分 
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syoneda · 5 years
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しそジュースと思い出
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不規則な生活が続いていた。
9月も終わりに差し掛かるに従い 「ほらもう秋ですよ」 みたいな顔をした夕べが増えた。
あたらしい季節は残酷にも来て、ゆっくりと優雅に一回転してみせたあと 後ろ姿を見せようとするのに、当の自分になにひとつ変化はない。ここを離れられない自分がとても小さくみえては焦って、私は例年よりも去り行く夏を惜しもうとしているようだった。
毎晩遅くまで、というか外が薄紫色に薄明るくなるくらいだから 朝早くまでといったほうが正しいのだが、兎にも角にも 時間がひっくり返るまで起きて寝てを繰り返す日々。
友達には 留学にでも行ったのと揶揄されては曖昧に笑っていた。
そんな時に、宮下奈都さんの「そうだウミガメのスープを煮込もう」を読んだ。買ったはいいけれど ベッドの下で積ん読になっていた本。それは自分と自分の人生を彩ってくれた食べ物にまつわる思い出をたくさん詰め込んだエッセイで、ひとつひとつの短編集を読むとあったかいスープを一口ずつ空腹の胃袋に染み込ませるみたいにおなかからあたたかく、なった。そしてふと、自分にとっては と考えてみたのだ。
まあどうせそれ以外にすることのない夜だ、ゆっくりとノートを開けて携帯の明かりを頼りに書き出していった。
好きな食べ物は、スープぎょうざとアボカド、そしてフルーツ。……うーん、そうじゃなくて、思い出すだけで風景の浮かんでくるような、なにかの象徴みたいな。そんなもの。
そうすると母が離婚した直後に、帰った三田のおばあちゃん家がふわあっと思い出された。幼稚園の間だけ過ごした片田舎。私が人生で一番何も考えないで過ごした3年間。
思い出すは 緑緑緑。特に夜なんかは鬱蒼とした木々をみつめていると、黒い森がわあっと襲ってきて 飲み込まれてしまいそうで、大人に手を繋いで一緒に歩いてもらえないとこわかった。その中のぽつらぽつらと住宅街があって、その何十軒かの家屋と公園と住民が、小さかったが 私の世界のすべてだった。
その頃起きたら母は家にいないし寝た頃に帰ってくるという生活を送ってきっと遮二無二がんばってくれていたので、私は おばあちゃんとおじいちゃんとほとんどの時間を過ごしていた。
平和な日々だった、ように思えたが陰で私からは見えない沢山の苦労があっただろう。
山を越えたところにある幼稚園に、当時若かったおばあちゃんが漕ぐ自転車に乗せてもらって毎日通い、帰る。帰ったら同じ住宅街に住む ちびっこたちと遊びに出かける。ダムで水遊びをしたり、公園で砂の城を作ってカナヘビを放ったり、へびいちごを食べてみたり、舞台を自然に のびのびと遊んだ。砂や泥水、御構いなしで 走ったり。
遊び疲れた私が 日の傾いた夕方帰ると、
リビングの、すこし黄色くなったビニールのテーブルクロスがぺったりとかぶせられた丸い木の食卓の真ん中に、赤と濃いピンクのちょうど間の色をした 澄んだ液体の入った瓶が置いてあるのだ。
それは 夏の日差しを浴びて 神秘的なマゼンダ色の海みたいに 光った。すべてが 日に焼けた色をして生活感を醸し出していた三田の家で 、そのきれいなジュースが入った瓶だけがこれ以上ないほど鮮やかに、キンと冷たく 汗をかいていた。
それをおばあちゃんはどこどこのだれだれさんが作ってくれたんよ、と有難そうに言って宝物のようなその液体を注いでくれた。 1:1で水で割りガサガサっとたくさん氷を入れると、ガラスのコップに入ったその濃い濃い色水は私の手に渡った。
くん、とかぐ。酸味のある、でも甘くて色鮮やかな香りが鼻をきゅっとつく。しそジュース。しそジュース。私のしそジュース。
しそを丁寧にこしてつくるこのジュースはうちのおじいちゃんとおばあちゃんが所属していた農業団体でしか作れないようだった。今思ったってあのシソからどうやってこんな魔法みたいな液体が抽出できるんやろうと首をかしげる、まるで魔法みたいだ。
十数年前が経ち22歳になったいま、
懐かしいこれのレシピを教えてもらおうと連絡をとったおじいちゃんの旧友がしそジュースを、500mlペットボトルに入れて持たせてくれた。幸運にも今年作ったぶんがあまっていたと聞いて、自分で作るしかないと思っていた私としそジュースは予定より早いご対面が実現した。
一緒に付いてきたレシピはなにかの裏紙に材料だけを鉛筆で走り書きという、余計なことを一切書いていなくて笑ってしまった。でもこれでいつか自分だけのジュースを作ろうと密かに決める。
やはり、この匂いをかぐと、裕福ではなかったけれど満たされていた汗っかきの、クーラーだってつけなかったような あの夏を思い出す。
庭が見える窓辺は猫の特等席で、サバトラの愛吉はてっぷりとした腹をゆすりながら きれいな黄色の目を細ませていた。そんな横ではカメムシが ころりと一生を遂げて、からりと干からびた姿で 無臭で 2、3個しんでいる。
おじいちゃんもおなじしそジュースを飲みながら白い肌着にステテコというリラックスした格好で、去年の阪神だか銀行だかのうちわで呑気に顔を扇いでいるし、
おばあちゃんは 働き者のおひさまみたいに ずっと流し台に立って 食卓に向いている。今日はおばあちゃん得意の揚げ物だ、チリチリという脂がしゅわしゅわ音を立てている。
ばーちゃんも飲みなよ、しそジュース。
いつも笑顔で、あとでもらうって言ってた。
四角いテレビ、今日は面白いのやってるかなあ。よくみんなでみのもんたのどうぶつ奇想天外をみた。動物が好きな子供だった、あの、遊んだ汚れをスッキリした後に涼む網戸。そしてたまのチューペット。
あの場所の、楽観的さ、おいしい空気も 田舎の夏らしい夏も 田舎らしい不便さも おじいもおばあも あの愛おしい風景をぜんぶ、ぶわっと思い出すのがこのジュースなんだ。と気付いたら尊くて500mlを飲みにくくなってしまった。酸いを余すことなく舌に広げて、ゆっくりゆっくり 思い出を自分の養分にするみたいに おなかに入れていこうと思う。
忘れかけていた思い出はそうやって吸収され、また私の細胞の一部になるんだ。
バタンと アナログな音がして 私の記憶の中の型落ちの冷蔵庫が閉まる。マグネットにかけてあった沢山の輪ゴムが揺れた。
もうコップいっぱいだけ、濃いめのしそジュースが飲みたいと思った。
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sage88a476 · 5 years
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靑一瑯で百問百答。
ずっと動かしてなかったけど、テキストならここにまとめればいいことに気がついた。
お題はこちらより。 http://100mon.jp/q/3733
1. 性別 男性
2. 人種 ex.日本人、人魚、エルフ 人間(、と本人は思っている。)
3. 年齢 記憶喪失のため、正確な年齢は不明。 見た目は20代半ばといったところ。
4. 一人称 『私』 恐らく同居人の影響。時々『自分』とも。同居人が複雑そうな顔をするので、最近は避けている。
5. 誕生日 11月29日(ドールとしてのお迎え日) 図らずもいい肉の日……いい筋肉……
6. 身長 190cm後半。
7. 体重 90kmとすこし。
8. 肌の色・質感 健康的な黄みのある薄香。
メタい話をするとGranadoのタンスキンです。想像していたより深い色なので、ライティングしないと、理想の色にならない。
9. 髪の色・髪型 柘榴の実のような、赤みのある深い紫。葡萄色。
10. 目の色・形 夕焼けの空のような色、猛禽類のような琥珀の瞳。
11. 職業 今のところ主夫。戸籍がないしね。
12. 所属する団体 大所帯で寝食を共にするような仕事についていた、ような気もする。ずっと1人だった気もするとのこと。
13. 服装 こちらで初めて会った時はあまりにぼろぼろだったので、家にあった大きめのシャツと、着物、袴を着せた、という設定。
14. 出身地・現在住地 不明。でも日本で、寒くも暑くもないところ。という感じはしている。
15. 家族構成、及びその職業 同居人。公務員。年齢性別は想像してね。 一応設定はあるんだけど、ここでは言わないつもり。
16. 趣味 料理。煮物とか多め。 家庭菜園。割としっかりしたやつ。 筋トレ。気づいたらしてた。 (趣味というかやらないとそわそわする。)
17. 特技 動物に好かれる。人を避けて歩く。力持ち。
18. 利き手 右。
19. 性格 誠実さと実直さの塊。優しく、良くも悪くも人のために胸を痛められるひと。
20. 自己分析した性格(そのキャラが自分自身をどういう性格だと思っているか) 嘘はつかない。周囲が言うほど真面目ではないと思っている。そんなことはあるんだよ。
21. 他人から見たそのキャラの性格 優しそう。大きい。公明正大。
22. 長所 真面目で責任感が強い。
23. 短所 自分の痛みを隠してしまうところ。
25. 口癖 口癖はまだ思い浮かばないけど、丁寧語が抜けない。〜ですから、〜でしょうな。みたいな。
26. チャームポイント 意外と目が優しいところ。
27. コンプレックス 大きいのは時々気にしてそう。 大きいことは彼にとっては悪いことではないんだけど。
28. 座右の銘 銘ではないが、日々の暮らしを疎かにしないこと。
29. 第一印象 靑一瑯→同居人 初めてあった時は混乱、動揺していたので正直外見などの情報は認識できていなかった。突如話しかけてきた人間に対する不信感、話し方に感じる懐かしいような気持ち、怯えたような、泣き出しそうな、それでも嬉しそうな瞳だけはよく覚えている。
30. これまでの経歴 覚えている限り何もなし。筋肉質、厚い掌から、肉体労働……?調べているうちに軍人、自衛隊員かとも思ったこともあるらしい。同居人に秘密で問い合わせてみたが、該当者はいなかった。
31. 好き・嫌いな食べ物 好き嫌いなし。出てくるものは大概なんでも食べられるが、和食は特に好き。和菓子も好き。
32. (以下略)季節 どの季節も好き。同居人には秋が似合うと言われた。
33. 時間 早��の空気が好き。
34. 場所 山、森林、古い木造建築。
35. 動物 鷹、馬。
36. ムシ 昆虫…については、あまり好きではない様子。同居人も見せたがらない。蟋蟀や蛍は耳を傾けたり眺めたりしているが、力加減が下手なので近づきたがらない。
37. 草花 柘榴と蓮のイメージ。
38. 天気 晴れの日が好き。
39. 色・素材 落ち着いた色、清潔感のある色。黒を着ることが多い。 綿、麻のような素材が好き。
40. 数字 三と八。
41. 食べ物 食べるのも食べさせるのも好き。つまみ食いはお手伝いをすると許してくれるけどこっそりやると怒る。
42. 尊敬する人 同居人……は尊敬とは多分少し違う。 体格のいい、男性が自分の左に立つイメージがあるのだが、これが誰かは不明。
43. 宝物 今の彼にとっては、名前が一番で唯一の宝物。
44. 将来の夢(職業のみに限らない) 記憶を取り戻しても、今の自分をなくさないこと。
45. 好きなタイプ(同性) 友人、同僚としてと言う意味なら、互いに認め合える相手。切磋琢磨できる相手。
46. 好きなタイプ(異性) 恋愛対象として……なら、自分の帰る場所になってくれるひと
47. 嫌いなタイプ(同性) 48. 嫌いなタイプ(異性) 人に嫌いというほどのものではないと言って教えてくれないが、パーソナルスペースが広めなのでずけずけと踏み入ってくる人は苦手。
49. 初恋について 今の彼は恋愛経験ゼロ。以前は不明。
50. 恋愛観・結婚願望 性格的に、誰かを好きになったところで、相手に思いは伝えないし、況してやパートナーになろうとはしない。 記憶のない、身元も不確かでどんな人間なのかわからない以上、責任を取れないと思っているから。
51. 好きな仕草 流れ的に、するほうじゃなくて相手の方かな?視線が合う、困ったように笑う、ご飯を美味しそうに食べる。
52. 理想のデート、結婚 あくまでするなら……だけど、どちらかがリードするのではなく、お互いに尊重しあって色々なことに向き合える関係性、時間の過ごし方。
53. 理想の自分 自信を持って、自分とは何者か言えること。
54. 理想の生活 養われるのではなく、自立したい。
55. 興味のある物事 最近は釣り、家庭菜園(新しいものに挑戦したい)、スポーツなど。 一般的な語彙や知識はあるけれど、スポーツなどに関しては全く知らないので1から勉強している。(すっかり忘れてしまった……のではなく、もともと知らないということは彼にはわからない)
56. 欲しい物 ……近いところでは、野菜の種、苗。 自分についてゆっくり考える時間。
57. したい事 自分と向き合いたい。思い出すために手がかりを探すのか、自分を積み上げていくのか迷っているところ。
58. 見たい物事 前の問いを踏まえて、日本国内の色々な場所に行ってみたいと思っている。
59. 聞きたい物事 同居人が、自分の向こうに見ている誰かについて。 でも多分、傷つけたくないので聞かないと思う。
60. 怖い物事 真っ暗な、荒れ果てた古い木造家屋を、何かを探してか、何かから逃げてから、何かに駆られて走る夢。
61. 起床時刻・就寝時刻 5時起床。10時ごろには就寝。
62. 起床後にする事 ランニング、シャワー、朝の支度を整えて同居人を起こす。
63. 就寝前にする事 同居人におかえりを言って風呂に入れること。 帰ってこなかった時は、メモを残すこと。
64. 寝相は良いか 仰向けで寝て、微動だにしない。
65. 感情の起伏の激しさ 基本的に穏やか。厳しく注意することはあっても、優しさを感じる。ただし、悪人や倫理に悖る行為に対しては激昂することもある。
66. 頭の良さ 頭の回転はとても速い。知識の吸収もいい。
67. 料理の腕前 基本的に健康的な味付け。和食全般はかなりうまい。家庭料理程度の洋食、中華料理もレシピを見ながら作れる。
68. 器用さ 不器用ではないが、力が強いので壊れやすいものは苦手。
69. 声の調子 ex.低い声、しゃがれ声、アニメ声 落ち着きのある低い、力強い声。ハリがあり、声量も多め。
70. 相談される側かする側か 圧倒的にされる側。相談を持ちかけるのも下手ではない。
71. おしゃべりか おしゃべりでも寡黙でもない。会話をたのしめるひと。
72. 惚れっぽいか どちらかというと色恋に疎い。関係の中で思いを育むタイプなので、惚れっぽくはない。
73. 友人は多いか 多い。年齢を問わず好かれる。
74. 子どもは好きか 言葉にしないが多分好き。大きいので初めは避けられがちだが、ゆっくり話す、視線を合わせると言ったことを自然としてくれるので自然と懐かれる。
75. 朝食は毎朝とるか しっかり食べる派。
76. 走る速さ 遅くはないが速くもない。持久力はある。
77. 泳ぎは得意か 泳いだことがないので不明。
78. 運動神経は良いか 基本的に良い。敏捷性よりも持久力、というタイプ。瞬発力はある。ただし道具を使う系は壊しやすい。
79. 暑がりか寒がりか 暑がりだし寒がり。我慢はできる。
80. 長髪と短髪どちらが好きか 本人は長髪。同居人の趣味。他人については、顔が見えればどちらでも、という感じ。
81. 何フェチか 靑一瑯にフェチとか教えないでくれと同居人が言ってるけど多分手フェチだよ。
82. SかMか 靑一瑯に(以下略)どっちかというとMかもしれない。好きな人のお願いを聞いてあげたいタイプ。
83. 持ち物は多いか少ないか。また、その内容 一人の時は少なめ。コンパクトにまとめられる。大人数の時はみんなのご飯を始めいろんなものを持ってくれるので大荷物。
84. 他人の中での役割 良心。最後の決断を下すのは彼。
85. 今まで付き合った人数 覚えている限り、なし。
86. 嬉しかった事 言葉や生活することに関する知識があることがわかったこと。名前をもらったこと。
87. 悲しかった事 家族も、友人も、思い出せなかったこと。 記憶の話になると複雑な表情をする同居人に、 『思い出しても、貴方との関係が変わるわけではありませんから』と伝えた時に、どうやら傷つけてしまったこと。
88. 緊張した事 記憶のない状態で、初めて声をかけられた時。
89. 人に言われて嬉しかった事辛かった事 嬉しかったことは、『靑一瑯が何であっても大切なひとに変わりはない』と言われたこと。 ふと思い出した、『あんたはいつも正しすぎる』という誰かの言葉。
90. 人に言われて悲しかった事 『もし記憶を取り戻したら、きっと一緒にはいられないだろうね』という同居人の言葉。
91. 今現在幸せか 幸せだが、安定がない。
92. 過去に戻るならいつか 93. 戻れるなら戻りたいか 記憶は取り戻したいが、過去に戻りたいとは思っていない。過去に戻ったら、同居人との時間がなくなるから。
94. どんな子ども時代だったか(今子どもの場合は略) 不明。
95. どんな大人になりたいか(今大人の場合は略) 大人なので略。
96. 自分を誇らしく思う時 謙虚な男なので今は特にないかな……同居人に頼られた時は誇らしげだったりする。
97. ふいに寂しくなる時 生活しながら、誰かの面影がよぎる時。
98. 自分が自分で怖くなる時 過去の自分が凶悪な人間だったら?誰かを傷つけていたら?と思う時。
99. 信じている物事 記憶があるかどうかは、自分の根幹とは別問題だということ。
100. 抱えている秘密(あれば) 実は少し思い出したくない自分がいること。
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pianolesson · 7 years
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私的漫画読書感想1月編
平素より大変お世話になっております。
ANYO/the sankhwaのドラム、玉田と申します。
実は月平均10~20冊程漫画を購入しているのですが、今年から備忘録も兼ねて、感想文なるものを書いていこうかなと思ってる次第です。
極稀に漫画がダブったりしてるので、そういうのを避ける為にも必要な作業なのかも知れません。というか記憶力が弱過ぎる所を何とかした方が良いのかもしれない。
あんまり文章得意でないので心配ですが、一先ず頑張って続けてみます。
▼メイドインアビス #5/つくしあきひと
WEBコミックガンマで連載中のロリペド冒険活劇。地中深くまで空いた大穴「アビス」に挑む少年少女とケモ。大穴に下るのは簡単だが、上るには身体にかかる負荷に耐えなければならない。降りた分だけ身体に掛かる負荷が大きくなる。内蔵とかもやられる。絵が非常にロリロリしいのにグロ描写に躊躇いが一切無いあたり作者の趣味が伺える。
#1~4迄は既に購入済みで、#5では強敵との決戦が行われている。カートリッジのくだりが本当に心にくる。度し難い。黎明卿ボンボルドの使う漢字にカタカナルビのロマン武器群(理不尽なくらい強い)には非常にテンションが上がる。ジョジョ2部のサンタナが使う、露骨な肋骨(リブス・ブレード)や憎き肉片(ミート・インベイド)辺りに通ずるネーミングセンスな気もしなくもない。
1巻まるまま戦闘だったのであんまりアビスの謎は解明されなかったが、ナナチが非常に可愛いので全て良し。
▼ホクサイと飯(ヤンマガサード版)/鈴木小波
現在ヤンマガサードで「ホクサイと飯さえあれば」を連載中の鈴木小波氏の、カドカワ版ホクサイと飯(上記連載の8年後、連載誌休刊)と同人版(休刊した続き)を一冊に纏めたやつ。飯に関して妥協の無い絵描き山田ブンと、人形ホクサイによる料理漫画。
テンポ感が独特で、絵のタッチも独特。最初カドカワ版を本屋で見た時にジャケ買いして大当たり。その後ずっと購入してる。主人公ブンちゃんがショートカットでスポーティで可愛い。でも中身はちょっとオッサン。そこもいい。分けわからん人形と会話してるのも良い。他人に理解の出来ない趣味や能力がある人ってとても惹かれる。
あと途中で出てくる乙女さん(ご近所さん)のキャラも最高。サバサバ女子。料理へたくそな辺りとか、偉そうなのも高得点。乙女という名前のキャラは最高という方程式が僕の中で出来つつある。(ex.25時のバカンス/市川春子)
作る料理は基本的にそこまで拘っていないので、割と簡単に作れそう。主人公が結構めんどくさがりなので、インスタントカレーうどんを使ったレシピとかも出てくる。作者がネーム書く前に一度作ってるらしいので味も保証済み(?)。
料理漫画を見ると自炊欲が高まるのだが、いかんせん現在我が家のキッチンは機材で埋まっており使用する事が困難だ。マジで何とかしてくれ。収納の神カモン。
▼怪物の飼育員さん #2/藤栄道彦
1巻だと思って買ったら2巻だったシリーズその1。でも短編系だったので設定の理解もスムーズで割とスラスラ読めた。
動物園ならぬ妖怪園に暮らす(というか飼育されてる)妖怪達とその飼育員の話。妖怪調達に行ったりする話もあった。日本の妖怪メインなのかなと思ったらケンタウロスとか出てきてちょっと困惑。
結構マイナー妖怪も出てくるのでちょっと嬉しかったり。家鳴りとか豆腐小僧メインの話をうまい事作ってるの本と凄いと思う。家鳴りのビジュアルは木魂っぽくて最高。
登場する妖怪ほとんどが日本語喋れて意思疎通も出来るのに、飼われるってスタンスなのが謎、というかこれで良いのか妖怪…とならん事も無い。設定では保護対象っぽいので恐らく甘んじているのだろう、と自分を納得させたりしながら読んでました。めちゃめちゃ我の強い一旦木綿が結構笑える。
そのうち1巻探して買います。多分。
▼ばけもの夜話づくし #1/マツリ
月刊コミックジーンから妖怪もの。妖怪と付くと買う癖ちょっと控えたい。
絵柄はカドカワ月刊っぽい(偏見)感じで、華奢な少年とかのお風呂シーンとか露出が比較的多い気がする。キャラ付けはCLAMPっぽくもある。あんまり誰が主人公なのか、1回読んだだけでは判り辛い気がした。内容はミステリーと妖怪とイケメン従者。常世にある宿屋「叢雲屋」は、秘密を持った人が迷い込む場所。そこで待ち構えつつ秘密を求める大将とやってくる客の人間ドラマ、みたいな。
ちょっとカッコいい(厨二っぽい)妖怪とか怖い話とかが集中して出てくるので、若干求めていたものと違った。最初は叢雲屋の大将が主人公だと思っていたけど後半で謎の存在にクラスチェンジ。なんだかふわっとした1巻だったので続きに期待。このままイケメン妖怪路線になるとすこし残念。
▼別式 #1/TAGRO
変ゼミTAGRO氏の新作。緑川百々子氏のインスタグラムで拝見して購入。
江戸時代、腕の立つ女性剣士(主人公)が婿探しをしたりコミケに行ったりする話。主人公の「思った事が顔に出る(文字で出る)」という設定は後半に行くにつれて消失していくのが面白い。
相も変わらず丸い絵柄と裸が多い。可愛い絵柄でも泥々した部分は躊躇わず描く。出会いと離別の書き方に定評があると僕の中で話題のTAGRO氏であるが、特に別れのシーンの心情表現にはグッとくるものがある。まつげの1本1本まで意味のある部位に思えるから凄い。
あとエロい表情を描く時の気概みたいなのが本当に凄い。エロい。表情だけでエロい。江戸時代なのに主人公が結構俗物で、これもまたTAGRO節なんだなあと思ったり。変ゼミ途中でフェードアウトしてしまったけどまた買い直そうかな。
▼モノノ怪 鵺/蜷川ヤエコ
ノイタミナ枠アニメ「モノノ怪」のコミカライズ。好き過ぎてアニメは全部4週以上してる気がする。
なかなか原作再現率も高く、それでいて作者の味も出た名コミカライズだと思う。アニメ入りの僕でも一切違和感無く読み進める事が出来る。有り難い。
これでもかってほどの繊細なデザインとタッチが秀逸。登場キャラクターのキャラデザが神懸かってる。細部の書き込み度合いも凄い。薬売りがちょっと猫っぽくなってるくらい。
お香の匂いを当て合う「組香」に集まった4人と、その主催者瑠璃姫。ゲスい3人+薬売りで組香が始まり、勝ったものが瑠璃姫の婿となる。ただしゲス3人の目的は瑠璃姫ではなく、姫の持つ「東大寺」なるモノ。しかし瑠璃姫が急死し事態は急展開に…。という流れなのだが、内情は非常にドロドロとしていて謀略が蜷局を巻いてそこかしこに鎮座している。薬売りによるモノノ怪退治の過程で露わになる、登場人物達の闇が人それぞれ深くて面白い。
次はのっぺらぼう編らしいので楽しみにしてます。
▼チチチチ #2/クール教信者
1巻だと思って買ったら2巻だったでござるその2。
クール教信者の性癖が詰まった漫画。ネットで知り合った人が居候になる。が、なんと相手は巨乳美人の女性だった!みたいなやつ。だいたいおっぱいの話。パイズリ祭り。某トラブってる奴より露骨。ほぼエロ漫画。ヤングチャンピオン烈だし仕方ないね。
でも暗い話になると、クール教信者の本領発揮で、少し引き込まれる。あと普通のラブコメパートはかなり好き。文章から溢れ出る厨二がとても心地よい。
最近アニメ化新連載と多忙のご様子ですが、ピーチボーイリバーサイド更新まだですか。待ってます。
▼地底旅行 #2/倉薗紀彦
ジュール・ヴェルヌ著「地底旅行」のコミカライズ。
漫画らしいタッチと、風景の描写がとても素晴らしい。少年漫画っぽくもあり、青年漫画っぽくもある。モノローグが多い分あまり喋らないが、きちんと間が持つ画力が素晴らしい。
地下に降りていくアクセル少年の心がうまく描かれている。リーデンブロック教授の理不尽な感じとか、本来なら高熱と圧力で動ける筈の無い深さ迄潜ったときのアクセル少年の戸惑いと希望が溜まらない。
アクセル少年が迷子になるシーンがあるのだが、その絶望のモノローグが今回非常に印象に残っている。小説っぽい軽さと、その行間に読める深い諦めと生への執着がとてもゾクゾクした。
一行は地底の海にたどり着いて、さて続きが楽しみだという所で2巻終了。続き待ってます。
▼真昼の百鬼夜行 #1/比嘉史果
1話目は妖怪×動物園の何処かで見た事あるようなパターン。でもこっちはもう少し動物に近い妖怪に焦点が当たっている。 ギリギリ意思疎通できない位の妖怪に対しての人の在り方みたいなのを解いている気がする。こっちは結構ガッツリ妖怪で人と価値観の違う生き物治して描かれているので、妖怪としては良い事やってるつもりでも人間的にはそこそこ迷惑、みたいなパターンが多かった気がする。ちょっと無理矢理良い話に落ち着きがちではあったけど、やっぱり人が解釈する妖怪を見るのは好きである。 麒麟の話で、人と麒麟では生きている時間が違う感じがうまく出ててとても見入った。
▼やおろちの巫女さん #2/武月睦
1巻持ってて若干惰性で買った感はあるものの、話としてはのほほん日常妖怪系でとてもグッド。和む。
八岐大蛇を飼う巫女と、巫女の持つ妖怪の王の心臓を狙う妖怪達の日常、みたいな。主人公最初からLv.100。絶対勝てない。でも妖怪も死なないからたまに襲いかかったりして体裁を整えている。八岐大蛇を身体に飼う事で寿命が短い巫女なのだが、割と普通に学校に通ったりもしている。ただしその所為で髪の毛は真っ白だったり目の下の隈が凄かったり。
1巻に比べて進展も多く、新キャラも多かったので良し。少しずつ巫女を取り巻く謎が解き明かされている感じも良し。多分この感じ3巻も買う。
▼春と盆暗/熊倉献
今月の大当たり。スカートの澤部氏とかたいぼく氏がお勧めしているのをみてこれは買わねばと思っていたが、買って良かった。本当に良い漫画だ。
良い漫画を読んでいるときは後頭部がチリチリする感覚を覚える。熱を持っていて読み終わってから顔がカッカする。熱暴走じゃん。排熱機構欲しい。
登場人物全員が自分の尺度を持っていて、その尺度で見た世界が存分に描かれている。月面に道路標識を投げまくる女の子や、水中都市の山手線でシュノーケルを咥えた女の子。心情描写と風景描写の絡み合いがとてもグッド。非常に宜しい。出てくる人々全員癖があり、その癖を癖のまま漫画にしているので読んでいてとてもワクワクする。人が本当に其処に居るような気持ちになる。
Twitterでも少し描いたけど、これは、市川春子氏とか、町田洋氏を読んだときのような、心の琴線に直接触れてくるような漫画だと思う。僕の中でまた一つ大事な1冊が出来た。とにかくこれは読んでください。
▼うと そうそう/森泉岳土
とても少ない線と文字で構成された、とても美麗な漫画。以前は紙に爪楊枝と水で線を描き、そこに墨汁を垂らすという絵の書き方だったそうだが、今作は鉛筆画っぽい。簡略化された絵柄と、そこに書き出される感情の表現度には驚く。載ってる物語は全て実話なのではないかと思う程、綿密に、しかし言葉少なく描かれている。其処には人が居るのだ。
うとそうそうというタイトルのごとく、流れる時間がテーマになった本作であるが、内容は非常に幅広いオムニバスである。少年少女から中年の男性まで、1話1人に焦点を当てて話は進む。
人が言葉を話す時、その人の人生に裏付けられた言葉が選ばれて口から出て行く。そんな当たり前の事だけど普段意識しないような事をこの漫画を見て強く意識した。
▼ハクメイとミコチ #5/樫木拓人
この世界の人間は身長9cmで、動物や昆虫達と一緒に暮らしている。もう5巻になるんだなあ。一生続いて欲しい漫画10選に入る漫画。
なんでもない日常も9cmの目線からだとこんなにも楽しそうに見えるのか。いいなあ。なんて思いながらページを捲る。基本的にはアウトドアライフだったり自炊だったり、主人公のハクメイとミコチを取り巻く人々や街の様子を描いているのだが、異国感たっぷりで書き込みも素晴らしく、とても見応えがある。古くからの文化があり、そこに乗っ取った話もいくつか出てきたりもする。
都会に憧れるクワガタの話とか、どうやって生活してたら思いつくんだろう。その世界に住む人や動物達の生活が簡単に想起出来るのって本当に凄い。季節感やら土地の特性やら、しっかり描いてあって想像が膨らむのなんの。
あと描かれている食べ物が本当においしそうで最高。料理漫画として機能するかどうかは置いておいて、食べ物がおいしそうに描かれている漫画にはずれ無し。
▼双亡亭壊すべし#1~3/藤田和日郎
からくりサーカス、うしおととらの藤田和日郎の新作。あんまり週間コミックスサイズの漫画を買う事って今迄無かったんですが、最近だんだん解禁されつつあります。
それはもうめちゃくちゃ藤田節炸裂の、ギリギリ異世界&可愛いチャンネー。主人公がホノオ君よろしく一世代前の売れない絵描き。トーヘンボクに見えて実は一本芯の通った男前パターン。藤田氏の描く女性キャラの魅力ったらない。その魅力の一つとして主人公にチョロい所が上げられる。本当にチョロい。
今迄の藤田氏の作品の中でカッコいい事言う主人公は沢山居れど、今回はまた少し違ったアプローチかもしれない。第一に戦闘能力が高くない。マサルとかナルミとかとらとかとはまた一線を画したキャラクター付けになっている気がする。
人のトラウマとそれを許す心を裏テーマ的に掲げていて、読んでいてたびたびはっとさせられる。今迄のロマンっぽい所とはひと味違う、心の強さと優しさと人である事とはなんたるか、みたいなものを説いている気がする。僕が好きな主人公達(他漫画含め)は、自ら弱い部分がある事を知っていて、それを認める事でうまく共存している。今回の主人公、タコハはなんだかそっちに近い気がして今から続きが楽しみだ。
ホラーテイストの他に、若干のクトゥルフ臭が漂っているのが結構好みで、異世界なのか妖怪なのか、それとも宇宙人なのか、謎が少しずつとけていく感じも目が離せない。続きは絶対買う。
▼古見さんはコミュ障です。 #1~2/オダトモヒト
Tumblrに時々流れてくる1~2コマのキャプチャを見て購入を決意。これも少年誌コミックサイズ。人とコミュニケーションを取る事がとても苦手な古見さんと、たまたま席が隣だった只野君とその取り巻きの話。所謂日常モノ。
とにかく古見さんが可愛い。ほんとに。最初に只野君と黒板を使ってコミュニケーションを取る場面があるのだが、そのシーンが本当に最高。見開き1ページがとてもグッとくる。並んでる言葉もそうだけど、小さく描いてある落書きも可愛い。
あとネーミングセンスがハイスクール奇面組な辺りも最高。あれってどんなキャラか一発で判る、画期的なシステムだったんだなあと改めて思ったり。もし実在したら酷く苦労するだろうけど、その辺は漫画と思って読んでる時にならなくなるし無問題かなと。
おもちゃにされる古見さんと、黒歴史を暴かれていく只野君の今後の高校生活楽しみです。続き絶対買う。
▼純物拾い ピュアコレクター/nojo
天使の取り分、という言葉から着想を得て描かれた漫画。ちょっと強引な感じもしなくもないが、目線は良いのでは。偉そうですみません。
ワインとか作ってて樽を空けたら微妙に量が減ってる、みたいなのを天使の取り分と言うのだが、天使がどんどん横暴になっていって色んなものをめちゃくちゃに取りまくったら、という流れ。物質だけじゃなくて概念とかまで奪ってくるし、結構躊躇い無く奪ってくるので悲壮感も強い。
絵が不安定でちょっと不安になる所もあるが、概ねさらっと読める。ニュアンス的には最初に進撃の巨人を読み始めた時と似てる気がする。敵が強すぎる感じも含めて。
ヒロインが悪魔にそそのかされて(?)、天使に歯向かっていく話に今後はどんどんシフトしていくんだと思うが、今の所敵が強過ぎてどうやって対処していくのか謎。大丈夫なんだろうか。平気で意思とか概念とかにまで突っ込んでくる慈悲の無い相手にどう立ち向かっていくのか楽しみでもある。
▼C1 #1/菜園モノクローム / 水谷フーカ
間が凄く心地いい話。C1という連載中の話と、菜園モノクロームという話も一緒に掲載されているのでこんなタイトルに。
5億人に1人、黄緑色の髪の毛を持った子どもが生まれる。その黄緑の紙を持つ保志君と、その友達三田君と取り巻き数名。ほんのちょっとずつ明かされる(といっても話の中でもあんまり解明されてない)黄緑色の髪の謎。行間に含まれるコンテクストの多さもグッド。
基本的にゆるゆるな空気だが、時々ピリッとする瞬間があって、そのバランスがとても良い。ピリッと、までもいかないか。遠くで不穏な音がする、位の空気が流れる時がある。という感じかな。
どっちも元々同人誌から連載に、という流れらしい。1月と7月で連載。1月と7月、いつも買おうと思って探すけど近所に売ってないのが残念である。
といった具合で、計20冊レビュー終了。長い。1日で終わらなかった。
これを書くのが億劫で漫画の購入数が落ちたら面白いな、とか思いながら書いてました。多分落ちない。
そろそろ部屋に漫画置く場所が無くなってきてるので引っ越したいです。
ではまた。
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jbeer-ja · 4 years
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shibaracu · 4 years
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●味噌の効用
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●味噌の効用 味噌や日本酒やその他の発酵食品には絶対に欠かせないモノとしてコウジ菌がある。 『魏志倭人伝』の記述に倭人のことを「人性嗜酒(さけをたしなむ)」と評しており、喪に当たっては弔問客が「歌舞飲酒」をする風習があることも述べている。 酒と宗教が深く関わっていたことを示すこの『三国志』の記述は、酒造りが巫女(みこ)の仕事として始まったことをうかがわせる一つの根拠となっている。 正式にはこの後500年後に『大隅国風土記』逸文(713年(和銅6年)以降)に大隅国(今の鹿児島県東部)では村中の男女が水と米を用意して生米を噛んでは容器に吐き戻し、一晩以上の時間をおいて酒の香りがし始めたら全員で飲む風習があることが記されている。 『播磨国風土記』(716年(霊亀2年)頃)にも携行食の干し飯が水に濡れてカビが生えたので、それを用いて酒を造らせ、その酒で宴会をしたという記述が見える。 こちらは麹カビの糖化作用を利用した醸造法であり、現代の日本酒のそれと相通じるものである。 このように、奈良時代の同時期に口噛みによるものと麹によるものというまったく異なる醸造法が記録されている。   デモ昔読んだ本にはコウジを取り扱い独占権を持っていたのは神社だったとは色々調べても出てこなかった。 当時北野天満宮を本所としていた麹座の麹製造の独占権を巡るトラブルから文安元年(1444年)に室町幕府軍の攻撃を受けて天満宮が焼け落ちてしまい、一時衰退する(文安の麹騒動)。 ヤハリ元締めとしての役目はあったようだ。 土人などでも口噛みの酒の風習は時々テレビなどでも見ることが出来るから世界的にそう言うことはしていたのだろう。 昔の人はカンでそう言うことを理解して実行していたのかも知れない。 明日の朝はうまい味噌汁を一杯飲んで下さい。 戦国の武将の様ににぎりめしに味噌をこすりつけて食べてみてはドウカナ。   ◆味噌(みそ)http://bit.ly/y1UeFp 穀物を発酵させて作られた日本の発酵食品である。 日本の定番調味料であり、日本の味として世界に広がっている。   味噌は副食素材が豊富になった今日では調味料とみなされているが、伝統的には日本の食生活における主要な蛋白源であり、特に江戸時代中盤以前は「おかず」的な扱いをされていた。 調味料として今日でも日本料理に欠かせないものの一つとなっている。 主な原料は大豆(戦国時代などは主に糠が原料とされた)で、これに麹や塩を混ぜ合わせ、発酵させることによって大豆のタンパク質が消化しやすく分解され、また旨みの元であるアミノ酸が多量に遊離する。 製造に際しては、麹が増えると甘味が増し、大豆が増えると旨味が増すとされる。 温暖多湿という日本の国土条件の中、職人技により製造されるが、現代的な食品の衛生基準との間で伝統を守りづらくなっている。   一方、味噌の原型となる大豆の醤は日本でも古くから食べられていたとも推測され、弥生時代の遺跡からは穀物を塩蔵していた形跡が見つかっている。   中世の日本では、「手前みそ」という表現が生まれた。 室町時代になると、各地で味噌が発達し、調味料というよりは保存食として用いられるようになった(現代では、味噌というとペースト状のものが想起されるが、元々の味噌は米や麦の粒がそのままにぽろぽろした状態であり、つまんで食べられる)。 戦国時代には兵糧(陣中食)として重宝され、兵士の貴重な栄養源になっていた。その名残は、朴葉味噌などに残っている。各地の戦国武将にも味噌作りは大事な経済政策の1つとして見られるようになった。 現在のように調味料として認識されるようになったのは、江戸時代になってからであり、味噌は各地の風土・気候を反映されていて、熟成方法などが異なり全国に多様な味噌をもたらした。   ◆糠(ぬか)http://bit.ly/wdQrQm 穀物を精白した際に出る果皮、種皮、胚芽などの部分のことである。 イネ科植物の果実は穎果と呼ばれる形態で、表面を一体化した果皮と種皮で硬く覆われている。 これを除去する過程が精白で、この際得られる穎果の表層部分が糠である。 日本では、一般に米から出るものがよく知られるため、「米糠」のことを単にこう呼ぶ場合が多い。 他に、大麦の糠は「麦糠」、小麦の糠は「ふすま(麬)」という。 多くの穀物では穎果の外層が胚乳よりももろいため、精白に際して表面に衝撃を与える(搗精)ことで糠が微細片となってはがれるのでこれをふるいわけて分離する。 小麦の場合は胚乳が穎果の外層よりももろいため、穎果全体を粉砕して製粉するときに細かく砕けず粗大片として残るふすまをふるいわけて分離する。   ◆穀物(こくもつ)http://bit.ly/wuyBdA 植物から得られる食材の総称の1つで、澱粉質を主体とする種子を食用とするもの。 また米と麦以外の穀物は一般に雑穀とよばれている。 穀物は狭義ではイネ科植物の種子のみだが、広義の場合はマメ科やタデ科などの植物も含まれる。 マメ科の種子、すなわち豆を穀物に入れる場合、菽穀(しゅくこく)、それ以外の科の種子を穀物に入れる場合、擬穀(ぎこく)と呼ぶ。   ◆麹(こうじ)http://bit.ly/wmaYyA 米、麦、大豆などの穀物や精白するときに出来た糠などに、コウジカビなどの食品発酵に有効なカビを中心にした微生物を繁殖させたものである。 コウジカビは、増殖するために菌糸の先端からデンプンやタンパク質などを分解する様々な酵素を生産・放出し、培地である蒸米や蒸麦のデンプンやタンパク質を分解し、生成するグルコースやアミノ酸を栄養源として増殖する。 コウジカビの産生した各種分解酵素の作用を利用して日本酒、味噌、食酢、漬物、醤油、焼酎、泡盛など、発酵食品を製造するときに��いる。 ヒマラヤ地域と東南アジアを含めた東アジア圏特有の発酵技術である。 「こうじ」の名は「かもす(醸す)」の名詞形「かもし」の転訛。  漢字では「糀」とも書く。   ◆発酵(はっこう)http://bit.ly/xsQ1fR 発酵(はっこう。「発酵」は代用表記で、本来の用字は「醱(醗)酵」)とは、狭義には、酵母などの微生物が嫌気条件下でエネルギーを得るために有機化合物を酸化して、アルコール、有機酸、二酸化炭素などを生成する過程である。 広義には、微生物を利用して、食品を製造すること、有機化合物を工業的に製造することをいう。   ◆酵母(こうぼ)http://bit.ly/zGqdLc 酵母(こうぼ)またはイースト(英語:yeast)は、広義には生活環の一定期間において栄養体が単細胞性を示す真菌類の総称である。 より一般的には食品などに用いられて馴染みのある出芽酵母の一種サッカロミセスセルビシエ(Saccharomyces cerevisiae)を指す。 酵母は正式な分類群の名ではなく、いわば生活型を示す名称であり、系統的に異なる種を含んでいる。 発酵に用いられるなど工業的に重要であり、遺伝子工学の主要な研究対象の1つでもある。 明治時代にビール製法が輸入されたときに、yeast の訳として発酵の源を意味する字が当てられたのが語源であるが、微生物学の発展とともにその意味するところが拡大していった。   ◆コウジカビ(麹黴)http://bit.ly/ABphD3 麹菌(きくきん)ともいい、アスペルギルス (Aspergillus) 属に分類されるごく普通の不完全菌の一群である。このうち一部のものが、麹として味噌や醤油、日本酒を作るために用いられてきたことからこの名が付いた。コウジカビは、増殖するために菌糸の先端からデンプンやタンパク質などを分解する様々な酵素を生産・放出し、培地である蒸米や蒸麦のデンプンやタンパク質を分解し、生成するグルコースやアミノ酸を栄養源として増殖する。 発酵食品の製造に利用される一方で、コウジカビの仲間にはヒトに感染して病気を起こすものや、食品に生えたときにマイコトキシン(カビ毒)を産生するものがあり、医学上も重要視されているカビである。 学名は、分生子がカトリックにおいて聖水を振りかける道具であるアスペルギルム(Aspergillum)に似ていることから命名された。 2004年に一島英治・東北大学名誉教授が日本醸造協会誌第99巻第2号巻頭随想において「麹菌は国菌である」と提唱。2006年10月12日日本醸造学会大会で麹菌(Aspergillus oryzae)が国菌に認定された。   ◆酵素(こうそ)http://bit.ly/AxERac 生体でおこる化学反応に対して触媒として機能する分子である。 酵素によって触媒される反応を“酵素的”反応という。 酵素は生物が物質を消化する段階から吸収・輸送・代謝・排泄に至るまでのあらゆる過程に関与しており、生体が物質を変化させて利用するのに欠かせない。 したがって、酵素は生化学研究における一大分野であり、早い段階から研究対象になっている。 多くの酵素は生体内で作り出されるタンパク質をもとにして構成されている。 したがって、生体内での生成や分布の特性、熱やpHによって変性して活性を失う(失活)といった特性などは、他のタンパク質と同様である。   ◆医者に金を払うよりも味噌屋に払え…日本人のソウル調味料「味噌」の魅力に迫る    2016/09/06 https://iki-toki.jp/4452/ これは江戸時代のことわざです。「大豆の甘、温は気を穏やかにし、腹中をくつろげて血を生かし、百葉の毒を消す。 麹の甘、温は胃の中に入って、食及びとどこおりをなくし、消化をよくし閉寒を防ぐ。 元気をつけて、血のめぐりをよくする」効果があるとしています。 江戸庶民は経験に基づく伝承によって「手前みそ」を醸造し調味料としてのみならず健康のための栄養素としてみそをベースにした食生活を確立したのです。 江戸庶民の文化やパワーも「みそがあってこそ」のものだったといえるでしょう。そして、これからも。   ◆味噌の効用について http://bit.ly/x5FK87 昭和50年代以降は、マスコミに「味噌のには胃ガンに対する効果がある」という話がしばしば登場するようになりました。 それによると味噌の食用的効用を調査した結果、味噌汁を飲む人は胃かいようにかかる率が低く、味噌にはがんの原因のひとつである。   ◆味噌は食べないと損!古くから愛される万能調味料の秘密 https://shikinobi.com/miso 2013年にユネスコの無形文化遺産に登録された和食。 日本で古くから重用され非常に栄養価の高い味噌は、年々輸出が増え海外からも注目されています。 改めて味噌の魅力を見ていきましょう。 【目次】 1.味噌の歴史 2.味噌の種類 3.味噌の産地 4.驚くべき味噌の効能 5.味噌で健康的な食生活を送ろう お味噌はバランスの取れた高い栄養価の他に、こんなすばらしい効能が あります。病気の予防 詳しい説明はそれぞれの効果をクリックして下さい。   ◆みその効用 | みそ健康づくり委員会/ 味噌の公式サイト http://miso.or.jp/museum/knowledge/effect/  全国味噌工業協同組合連合 「みそは医者いらず」という言い伝えがあります。昔からみそにまつわることわざがたくさんあり、みそと健康を結びつけたものが少なくありません。昔の人は、経験的にみその高い栄養価を知っていたようです。 そして現在、みそは栄養学や医学の面からさまざまな研究が進められ、その成果も次々と発表されています。それらの研究論文を中心にして「みそと健康」について紹介しましょう。   ◆味噌は医者いらず?健康に対する効果効能や栄養成分 | ピントル https://food-drink.pintoru.com/miso/health-benefits-of-miso/ 味噌は豊富な栄養素を含み、その効果・効能から医者いらずと言い伝えられていることをご存知ですか?日本人には馴染み深い食品なので、毎日何かしらの形で食べている方も多いのではないでしょうか。 味噌は医学や栄養学の面からもその効果を次々と発表され、最近では日本を代表するパワーフードとして注目されています。 健康促進、病気予防、美肌効果など幅広い効果・効能を持つ味噌の魅力について、具体的にご紹介致します。 目次    味噌は健康に良いの?    健康に効果的な味噌の摂り方    味噌を使ったおすすめレシピ   ◆味噌の説明 http://bit.ly/A2yHBB ◆味噌の効能 https://marumikouji.jp/knowledge/ ◆おつけものまめ知識 > 味噌の効用 http://bit.ly/wlZZNM 味噌には様々な効果があるといわれています。たくさん取れば体に良いというものではありませんが、味噌は私達の食生活の中では切っても切り離せないものです。毎日の食事の中に少しずつ取り入れることで、様々な効能が得られるといわれています。 ぜひ、味噌に秘められた効用を知っていただき手作り味噌づくりにチャレンジしてください!! ◆放射能対策としてのお味噌の効用は ? http://bit.ly/ymA2i6 内部被爆をしてしまったら、どうすればいいのか、何をすればいいのか。 特に小さいお子さんのいらっしゃるご家庭のママさんはご不安でしょう。 さて、放射能対策としてお味噌が有効では、というお話を聞いたことがありませんか。 しかし、これに対して「そんなことはない !」としている方もたくさんいらっしゃるようです。 ◆みそ健康づくり委員会『みそサイエンス最前線』http://bit.ly/yigswd ◆ニホンコウジカビ - Wikipedia http://bit.ly/zZDs3X ニホンコウジカビ(Aspergillus oryzae、アスペルギルス・オリザエ)とはユーロチウム科 コウジカビ属に属する不完全菌の1つである。 麹または麹菌と呼ばれる菌の仲間で醤油や味噌、醸造酒など様々なものを作るために利用される。   ◆麹菌の歴史 https://www.marukome.co.jp/koji/history/ 紀元前から日本の食生活を支えてきた麹 2012年「塩麹」がトレンドとなり今やアジア中心に世界中で使用されている 麹ですが、麹の歴史は古く、紀元前から人々の食生活と関わってきました。 長い歴史を持っている麹の歴史を辿りながら見ていきましょう ◆菌と人間の歴史 http://bit.ly/xD8NEH ◆種麹 - Wikipedia http://bit.ly/zuyqfD 通常米などを原料に麹菌を培養し、胞子を十分に着生させた後、乾燥させる。
◆北野天満宮 - Wikipedia http://bit.ly/xerMfM 中世になっても菅原氏・藤原氏のみならず足利将軍家などからも崇敬を受けた。 だが、当時北野天満宮を本所としていた麹座の麹製造の独占権を巡るトラブルから文安元年(1444年)に室町幕府軍の攻撃を受けて天満宮が焼け落ちてしまい、一時衰退する(文安の麹騒動)。   ◆日本酒の歴史 http://bit.ly/wfMj6t 『魏志倭人伝』の記述 日本に酒が存在することを示す最古の記録は、3世紀に成立した『三国志』東夷伝倭人条(いわゆる魏志倭人伝)の記述に見られる。 同書は倭人のことを「人性嗜酒(さけをたしなむ)」と評しており、喪に当たっては弔問客が「歌舞飲酒」をする風習があることも述べている。 ただ、この酒が具体的に何を原料とし、またどのような方法で醸造したものなのかまでは、この記述からうかがい知ることはできない。 ちなみに、酒と宗教が深く関わっていたことを示すこの『三国志』の記述は、酒造りが巫女(みこ)の仕事として始まったことをうかがわせる一つの根拠となっている。   ◆味噌    https://ja.wikipedia.org/wiki/味噌 味噌(みそ)は、大豆や米、麦等の穀物に、塩と麹を加えて発酵させて作る発酵食品で、日本の伝統的な食品の一つである。日本料理(和食)の代表的な材料として日本国外にも知られている。   ◆味噌汁   https://ja.wikipedia.org/wiki/味噌汁 味噌汁(みそしる)は、日本料理における汁物の一つで、だしを味噌で調味した汁に、野菜や豆腐、麸や魚介類などの食品を実としたスープ様の料理である。 御味御付(御御御付、おみおつけ)ともいう。   ◆醤油    https://ja.wikipedia.org/wiki/醤油 醤油(しょうゆ、醬油)は、主に穀物を原料とし、醸造技術により発酵させて製造する液体調味料である。日本料理における基本的な調味料の一つ。同様の調味料は東アジアの民族料理にも広く使用。 以下、特記なき記述は日本について記したものとする。
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