Tumgik
#傷口に塩
danzoku · 6 months
Text
哀しみは教えるもの
悲しい時、哀しい時、
全く共感してくれない人がいる。
悲しみに気づけない人がいる。
悲しみが理解できない人がいる。
そういう時、教えるのだ。
悲しみとはなんなのか
哀しみとはなんなのか
今それがここにあることを
傷口に塩を塗り込むように
教えるのだ。
そうすれば
悲しいフリくらい
すぐにできるようになるのだから。
0 notes
ari0921 · 9 months
Text
カルタゴ滅亡をトレースする現代日本
◆カルタゴはなぜ滅んだのか?!
日本と同じような商人国家であったカルタゴが、完膚なきまでに滅ぼされた例を他山の石として日本人は国防を考え直す必要があると切に思うからです。
カルタゴは紀元前250年頃、地中海に覇を唱えていた大国でした。
第2次ポエニ戦争に負けて、戦勝国から武装を解除させられ、戦争を放棄することになったカルタゴは、戦後の復興を貿易一筋で見事に成し遂げ、戦後賠償も全てきれいに払い終えました。しかし、その経済を脅威だと捉えたローマ帝国によって、結局は滅ぼされてしまいました。
滅ぼされる直前、カルタゴの愛国者であるハンニバル将軍は、ローマの考えを悟り、祖国の危機をカルタゴ市民に訴えましたが、平和ぼけした市民は耳を貸そうとしませんでした。
それどころか「ハンニバルは戦争をしようとしている!」と中傷する者さえいました。しかも、最終的にハンニバルはローマに洗脳された者達によってローマに売られ、自殺にまで追い込まれてしまったのです。
平和ぼけした市民は、ローマから無理難題を次々に要求されてからはじめてハンニバルの警告が正しかったことに気が付きましたが、時すでに遅く、徹底抗戦に踏み切るもカルタゴの陥落を防ぐことはできませんでした。この間、たった3年の出来事でした。
ちなみに、生き残ったカルタゴ市民は約5万人でしたが、その全てが奴隷にされてしまいました。城塞は更地になるまで徹底的に破壊され、再びこの地に人が住み、作物が実らぬように大量の塩が撒かれたと言われています。
これはただの負け方ではありません。まさに地上からの抹殺です。
この悲惨なカルタゴ滅亡の理由は2つあると言われています。
1つは、カルタゴ市民が軍事についてほとんど無関心だったことが挙げられます。もともと自国の防衛はおおむね傭兵に頼っていた上に、国内世論も「平和主義的」な論調が強く、有事に備えて軍事力を蓄えておくといったことはままなりませんでした。
2つめは、国内の思想が分裂状態であったことが挙げられます。そもそも挙国一致して事に当たらなければ有事を乗り切ることはなかなか難しいものですが、カルタゴにはそれがなく、戦時中にハンニバルが外地を転戦している間も市民は素知らぬ顔をしていました。そして、ハンニバルを売り渡したのは、ローマに洗脳されたカルタゴの売国奴達でした。
自らの手で愛国者を切り捨てる・・・かくしてカルタゴは「滅ぶべくして」滅んだわけですが、私は今の日本がこのカルタゴに酷似している様に見えて仕方がありません。
今こそ日本の国防を真剣に考えないと本当に危ないと思います。
【対比】日本と似すぎているカルタゴの運命
カルタゴは、フェニキア人が建国した海洋国家で、現在のアフリカ大陸チュニジアに位置しています。
カルタゴは、世界一の造船技術を持ち、スペイン、シチリア島などの海外領土を支配していました。
紀元前3世紀、地中海貿易により富を蓄え、ローマ帝国と並ぶ強国となります。
BC264年、両者の中間にあるシシリー島で紛争がおこります。そして、これを契機にカルタゴとローマは、世界の覇権を賭けて激突します。この戦いは、23年間の中断をはさんで63年間続きます。(第一次ポエニ戦争、第二次ポエニ戦争)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1867年、島国日本は、長い眠りから覚め、明治維新により近代国家への道を目指します。西洋文明を積極的に取り入れ、富国強兵に邁進します。日清・日露の戦争に勝ち、朝鮮、台湾、南樺太と領土を拡張します。
強国となった日本は、戦艦大和を建造して、世界有数の海軍を持ち、
太平洋をはさみ、超大国アメリカと対峙します。
1941年12月、日本連合艦隊は、ハワイの真珠湾の奇襲に成功します。太平洋戦争が始まります。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
カルタゴの英雄ハンニバルは、象36頭と兵士5万人を率いて、スペインを出発します。象を連れて、アルプス山脈越えに成功、ローマの本拠地イタリア半島を奇襲します。ハンニバルは、イタリアに、なんと15年も踏みとどまり、ローマを一時追い詰めます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「マレーの虎」山下奉文中将は、マレー半島を南下、シンガポールに侵攻します。インド兵への離反策が成功し、1942年2月15日シンガポールは陥落、イギリス軍は降伏します。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
カルタゴは、地力に勝るローマに対して次第に劣勢になります。ついに、名将スキピオ率いるローマ軍が、カルタゴの本拠地に進軍します。カルタゴは、イタリアで善戦していたハンニバルを帰国させ、本土決戦に賭けます。BC202年、天下分け目の戦い(ザマの戦い)が行われます。カルタゴの完膚なき負け戦でした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アメリカは、生産力、技術力で日本に勝っていました。ミッドウェー海戦を境に、戦局は逆転します。ガダルカナル、硫黄島、沖縄。日本は、敗退を続けます。本土空襲が激しくなり、広島と長崎に原爆が投下されます。日本の完膚なき負け戦でした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
カルタゴは、ローマに無条件降伏します。
全ての海外領土は、放棄され、軍船、象もローマに引き渡されます。軍隊は、自衛のためのものだけが許されました。そして、自衛のためでも戦争する場合、ローマの許可が要ることになったのです。(この許可の項目が、後に大問題となります)
そして、50年賦で1万タラントの賠償金をローマに支払うことが決まります。
ともかく、カルタゴの町は、無事に残りました。100人会は、貴族の世襲制でしたが、戦後まもなく代議員が選挙で選ばれるようになります。
カルタゴは、民主主義の国家に生まれ変わります。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「忍び難きを忍び、耐え難きを耐え・・・」玉音放送が流れ、日本は無条件降伏します。
日本列島以外の領土は、返還されます。アメリカが決めた平和憲法で戦争が放棄されます。(後に自衛隊が誕生します。)国土は焼け野原、アジア諸国には賠償金の支払いが必要でした。ともかく、本土決戦だけは避けられました。
日本は、天皇主権の国家から、主権在民の民主主義国家に生まれ変わります。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
カルタゴ人(フェニキア人)は、ユダヤ人やアラビア商人と同じセム語族で、最も商才があるといわれている種族です。
軍事国家への野心を棄てたカルタゴ人は、ますます貿易や商売に熱中するようになります。ローマ人は、楽しむために働きましたが、カルタゴ人は働くこと自体が人生の目的でした。奇跡の経済復興が実現します。
戦勝国ローマは、休む間もなく、マケドニアやシリアと戦わなければなりません。軍備費の要らないカルタゴは、次第にローマに匹敵する経済大国に、のしあがります。
BC191年ローマは、シリアを打ち破ります。
無敵の軍事大国ローマにとっての脅威は、経済大国カルタゴに移っていくのです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
日本人には、勤勉さと物作りの才能がありました。
焼け原から立ち上がった日本人は、ひたすら一生懸命働くことで豊かになろうとしました。エコノミックアニマルと日本人は、陰口を叩かれます。奇跡の経済復興が実現します。
アメリカの核の傘に入り、軍事費もいりません。戦勝国アメリカは、ソ連との冷戦を戦わなくてはなりませんでした。
10%を超す高度経済成長が続きます。日本は、世界第二位の経済大国になります。
ソ連が崩壊し、日米の経済摩擦が激化します。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
BC187年、カルタゴは、50年賦と決められた賠償金を一括払いしたいと申し出ます。いくら叩いても不死鳥のように蘇る、カルタゴ人の経済力に、ローマ人は、羨望と恐怖心を抱きます。ポエニ戦争の悪夢がふと蘇ります。
経済大国カルタゴの最大の悩みは、隣国のヌミディアでした。ヌミディアは、騎馬兵団で有名な、戦争に強い国です。自衛力しか持たないカルタゴを侮り、その領土を侵犯します。
カルタゴは、ローマに調停を頼みますが、黒幕のローマはもちろん取り合いません。ついに、カルタゴとヌミディアの間で戦争が起こり、平和の国カルタゴは、敗北します。
ローマの事前許可のない戦争開始は、条約違反でした。
ローマは、カルタゴに対して、突然宣戦布告をします。
驚いたのは、カルタゴです。ローマの許しを得ようと、300人の貴族の子供を人質に差し出します。しかし、8万人の世界最強のローマ兵が、上陸し、カルタゴに進軍します。
カルタゴの使者が、「どうすれば、許していただけるのですか?」とローマの司令官に聞きます。
「全ての武器を差し出せ。」司令官は、答えます。
カルタゴは、20万人分の鎧、投げやり、投げ矢、2000の石弓を司令官に差し出します。
すると、司令官は、最後の要求を使者に言い渡します。
我々は、カルタゴの街を根こそぎ破壊することを決めた。
カルタゴ人には、今の街より10マイル内陸部に
新しい居住地帯を造ることを許可しよう。
使者からローマの意向を聞いた20万人のカルタゴ人は、驚愕して、嘆き悲しみ、最後に激怒します。
「こんなひどい仕打ちがあろうか。街を破壊するだと。
内陸部に引っ込めだと。どうせ死ぬなら戦って死のう!」
カルタゴ人は、丸腰で戦う覚悟を決めます。返事の猶予期間の30日間、密かに戦争準備がすすめられます。
武器職人は、連日徹夜で武器を作ります。
若い女性は、長い髪を元から切って石弓の弦が作られます。
こうして、始まったのが、第三次ポエニ戦争でした。
(戦争というより、ローマによるカルタゴの民族浄化です。)
カルタゴは、ここで奇跡的な粘りを見せます。なんと丸腰で三年間ローマの猛攻を食い止めたのです。
しかし、戦闘と飢えと疫病で、20万人のカルタゴ市民は、10万人に減ります。
そして、ついに、ローマ兵は城壁を破り、街へ進入します。
女、子供までがレンガを投げて抵抗しますが、5万人が虐殺されます。
ビュルサの砦に逃げ込んだ5万人のカルタゴ人は、オリーブの枝を掲げて投降します。
彼らは、一部が処刑され、残りは奴隷として売られます。
カルタゴの街は、十数日燃えつづけ、灰は1メートル積もります。カルタゴの復活を恐れたローマ人は、この地に塩を撒き不���の土地にします。
700年続いた経済大国カルタゴと世界の富を独占したカルタゴ人は、BC146年こうして滅んだのです。
Tumblr media Tumblr media
291 notes · View notes
delicissors · 1 year
Quote
宮本氏:  ちょっと細かい部分は触れにくいんですけども……ひとつわかりやすい例を挙げるとすれば、今のゲームって完成しても、発売まで大体1ヶ月くらいあるんですね。その1ヶ月の間に、チーム内でご飯を食べたりしながら、そのゲームの「まずかったところ」をお互いに話し始めるんですよ。  ここはまずかった、あそこがまずかったって……「お前はネガティブなのか」と言われるかもしれないんですけど、僕はその「傷の舐め合い」が結構好きなんです。「あそこはこうしておくべきやった」、「工場に行って直せるなら今からでも直したい」とか……僕はその発売までの1ヶ月間で、「傷口に塩を擦り込んで楽しむ」ということを、必ずするようにしているんですよ(笑)。 一同:  (笑)。 宮本氏:  なぜかというと、発売後に人気が上がると全てが良かったような気になるし、逆に人気が出ないと大失敗したような気になるじゃないですか。  それは卑怯なので、「結果が出る前に、自分たち(制作側)の考えは固めよう」と決めているんです。これって実はすごく大事なことで、その作品の続編のネタや大まかな方針は、ほとんどそこで決まるんですよ。  だから、「ゲームが売れてからはあんまり右往左往しない」ということをいつもやっています。
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』が面白すぎたので、宮本さんに直接いろいろ聞いてみた
185 notes · View notes
nanaintheblue · 2 months
Text
2024.2.27
新人賞の選評が出ていたので読んだ。
落選を告げた編集の方の電話口の話しぶりだとさして推されなかったっぽいなあ、という雰囲気を嗅ぎ取っていたがそうでもなかったみたい。
塩田さんの選評を読んで、すぐに、ぶわ、と泣いてしまった。
全員が書いていた瑕としては
男性の書き方が画一的かつ、浅い人、つまり女性の敵としてしか書かれていない
ということ。あとは、きまじめすぎるのではないか、と書いていたのは凪良さんだったか。
ただ、全員ふれていたのは、わたしの作品が一番文章の安定性、うまさがある、ということ。塩田さんが締めくくりに「選者にここまで熱く語らせるのはあなたに才能があるからだし、私はもう一度あなたの作品を読みたい」と書いてくれていて、しばらく立ち上がれなかった。
今回の敗因は、推敲の時間を取らなさ過ぎたこと。あと途中から力抜きすぎたかな……テーマをもっと深く考えてもよかった。「まじめなフェミニズム小説」と書かれていて、それは胸にちくちく刺さった。そんなつもりはない!とは喚くことができないが、まじめ、は表現においては、往々にして弱さと同義だから。
今回扱った題材は大きく言えばシスターフッドでありフェミニズムなのだが、女性同士の協力、つながりだけをきれいに書くのはわりとやりつくされてるし毒がなさすぎる、ので、女性同士の関係の擦れ違い、敵対、疎遠になっていく過程、とか、負の関係性と互い違いになるように構成した。
が、男性がそのなかでどう書くべきか、まで頭に回ってなかった。途中までかいたあたりで、「理想的な男性も書いてみよう」「この役回りは同性の友だちではなく、男友達でもいいのでは?」とか、立ち止まって考えられれば良かったのだな。あと、まんなかのいくつかの編は、かなり詰めて書いたので直球な話になりすぎたかも。
というか駒としてしか男性を使ってない、って……わたしへの壮大な皮肉ですか? 草
編集がいてくれたらいいのに。ちな最終に残ったところでこのご時世なんで担当なんてつかない。
あー、でもいい経験になった。本当に。受けた損傷的に大赤字もいいところなんだけれど、それでもわたしは、舌打ちしながら、ぼろきれを拾い集めながら、血涙で頬を赤く染めながら、こうして最終選考に残ってふるいに落とされる未来を選んだだろう。あー。
文章の確かさとか技術はもう天井まできてるかなと思う。うぬぼれもそうだし選評でもそうあったので。
こっからは……なにで戦おうか。
22 notes · View notes
elle-p · 6 months
Text
P3 Club Book Shinjiro Aragaki short story scan and transcription.
Tumblr media Tumblr media
料理天国、食べたら地獄
······ったく、 何で俺がこんなこと······」
「す、すいません荒垣先輩······っくしゅん!う~げほげほっ」
「ゆ、ゆかりちゃん、大丈夫?」
ここは、寮の���かりの私室。ピンクのパジャマにカーディガンを羽織り、つらそうに咳き込むゆかりの背を、優しく風花がさすっている。体調不良を押してタルタロスに出撃し、ゆかりはすっかり風邪をこじらせていた。そんなゆかりのベッドの横には、同じく心配そうにたたずむ美鶴と、やや所在なげに立つ荒垣の姿があった。そして荒垣の手には、彼が言った “こんなこと” の成果である、温かそうな料理がトレイに乗って湯気を立てていた。どうやら、ゆかりを心配する美鶴に頼まれ、病人食の定番となる粥を作っきてくれたらしい。
「荒垣先輩って、優しいですよね」
「んな······っ!?ま、まあ、ただの気まぐれだ。気にすんな。さっさと食っちまえ」
風花の素直な言葉に、荒垣はそれだけ言ってぶっきらぼうにトレイを差し出す。
「 うう、ありがとうございます。はふ······」
ゆかりが、一見普通の粥に見えるその料理をスプーンですくい、ぱくりと口に入れた。
「どうだ?岳羽?」
熱くないか、ちゃんと飲み込めるかと、美鶴が母親のように心配げに声をかけるが、その目の前でゆかりの表情がみるみる蕩けた。
「ぅ美味しい~っ!何これ、どうやって作ったんですか? 信じらんないー!」
先ほどまでの苦しそうな様子はどこへやら、あっという間に元気を取り戻したゆかりが、凄い勢いで手と口を動かし、器の中身はさほど間を置かずに空になってしまっていた。
「どうやってつーか、ま······適当だな。普通の粥じゃ栄養が足りねえかと思って、中華風のミルク粥にしてみた」
あっさりと荒垣は言うが、じつはけっこう手間がかかったもの。ニンニク、生姜、ネギのみじん切りをゴマ油でじっくり炒め、米と具---拍子木に切ったニンジンと大根を投入して鶏ガラスープを注ぎ入れる。あとはフタをし、沸騰したら吹きこぼれないよう弱火でことこと30~40分。米が十分柔らかくなったところで、牛乳を入れて塩で味をととのえ、できあがったものがこちらにございます、という感じ。体の免疫力を高める、炭水化物や蛋白質、ビタミンA・B・Cに β カロチンを含む、まさに完璧なる病人食なのだ。
以前から、荒垣の料理はプロ並だと真田あたりが言っていたが、その現物を実際に口にしたゆかりは、想像以上の感動を味わっていた。ゆかりは素直に、その賞賛を口にする。
「適当なんてとんでもない!荒垣先輩、もう最高ですよ!尊敬します!」
「バカ野郎······なに恥ずかしいことを······」
「なーに謙遜してるんですか?食事は人間の基本ですよ。大切なことです。それをしっかりできる荒垣先輩は立派です!もう、他の男連中にも見習わせたいぐらいですよ。人として、料理のひとつもできなきゃ駄目だって、ね」
興奮気味で止まらないゆかりの演説に、そこで突然ストップがかかった。
「ちょーっと待ったぁ!」
「!?じゅ、順平?それに皆も?」
ゆかりの部屋の入り口に、順平を先頭にして寮生の面々、すなわちこの部屋にいなかった全員が集まっていた。順平の足元からはコロマルまでが顔を出している。
「何ごとよ、いったい?」
「いや、あんまりいい匂いなんでな、つい······」
正直に真田が言いかけるが、それを体ごと遮って順平がびしっと指を突きつける。
「ゆかりッチ······貴様はオレを怒らせた!」
「は、はぁ?」
「料理ができなきゃ人として駄目?料理がお上手な岳羽サマは、オレたちが人間じゃないとおっしゃるわけだよな?」
「い、いや、別にそこまでは······。そ、それに順平がまともに料理できないのは事実じゃん」
と、そこで順平は、ちっちっと指を横に振る。
「料理が “できない” と “やらない” は違うんだぜ、ゆかりッチ。それに、オレだけじゃねえぞ、お前が傷吻つけたのはな······」
くくっと、芝居の気まんまんで順平が涙をこらえるように両目を手で押さえた。その言葉に、ゆかりが周囲をあらためて見ると。 「あ」
ベッドの脇で美鶴と風花が、顔を伏せてどんよりと暗い空気をまとっていた。
「い、いや、あの。私······別にそういうつもりじゃ······せ、先輩?風花?」
「ゆえにっ!!」
ぐわっと伏せていた顔を上げ、順平は大いに 盛り上がって高らかに宣言した。
「貴様に料理勝負を挑むっ!!」
「はぁ?」
かくて、第一回巌戸台分寮クッキング王決定戦の開催が決定したのであった (どどーん)
「という訳で、本日の司会はわたくし、アイギスがお送りするであります。いかがでしょう、解説の天 田さん」
「······みなさん、ヒマですね」
「なるほど。では、審査委員長の荒垣さん」
「······ったく、 何で俺がこんなこと······」
順平が宣言した翌々日。ゆかりがすっかり体調を取り戻し、ちょうど日曜ということもあって、ついに料理対決が開催される運びとなった。おそらく仲間内でもっとも鋭敏な味覚を持つであろう荒垣を審査委員長とし、味覚がないアイギスは司会を勤めることになっている。天田も参加をうながされていたが、「なんで僕が料理なんか······小学生に何を期待してるんです?」と一蹴し、解説者の席についている。そして、残る全員が参加者兼審査員というわけだ。
当初、美鶴と風花は徹底的に拒否の構えを見せていたのだが、「お祭りみたいなもんだし」とか、「何ごとも経験だし」とかいう順平の甘言で徐々に態度を軟化させ、ついには「······にイイとこ見せるチャンスなんだけどなー」という、とある個人名を出しての決定的なひと言で、料理対決に参加するよう洗脳、もとい説得されてしまったのであった。
「では、いよいよ競技を開始するであります。最初はゆかりさんからお願いします」
「オッケー!見てなさいよ、順平!」
意気揚々とゆかりが持ってきた料理、それは本人の自信を裏切らない見事なできばえ。見た目からして美味しそうな、幕の内弁当である。卵焼き、焼き魚、かまぼこといった幕の内弁当定番のおかずに加え、小さなハンバーグやチーズチキンカツなど洋風のおかずも入っている。もちろんご飯は俵型に成型され、上にはパラパラと黒ゴマが振りかけられている。
「うん、なかなかやるじゃねえか」
卵焼きをひと口かじった荒垣の評価に、ゆかりがガッツポーズを決め、それに続いて他のメンバ ーも横から次々に箸を伸ばす。
「焼き魚は西京味噌漬けか······いい仕事だ」
「うわあ、このかまぼこの切り方、凝ってる」
「もう、優勝は岳羽で確定か?」
立て続けに上がる賞賛の声に、ちょっと照れたような誇らしいような顔でゆかりが言う。
「あ、でもね。今回は意外なライバルがいたっつーか······私も食べてみたいんだよね、 彼の」
そのゆかりの視線の先にいるのは、自己主張が足りない気味の現場リーダーの姿。だが、前髪で隠され半分しか見えない顔に、常にはない自信がかすかに滲んでいるような気もする。
「では、続いてお願いしましょう」
アイギスに促され、2番手の料理が運ばれる。
「おお······!」
それは、ちょっとしたレストランで出してもおかしくないアサリとトマトのパスタ、ボンゴレ・ロッソであった。さっそく審査委員長の荒垣が、フォーク一本で器用にパスタを巻きつけて、ぱくりと口に入れる。
「ちょっとパスタが柔らかいが、合格点だな」
「どれどれオレにも······おおっ、美味ぇ!」
「アサリとトマトって合うのねー」
意外といえば意外だが、幼い頃に両親を亡くしてひとり暮らし歴も長い彼は、料理の腕は決して悪くないのである。ただ、あっさりした性格ゆえか、パスタや丼ものなど簡単に作れるものに限られるというのが弱点といえなくもない。
「で、次は誰だ?」
連続して出される美味い料理に、最初は苦い顔をしていた荒垣も、上機嫌になってきたようだ。やはり、楽しい食事は人を和ませる。もしかすると順平は単に、荒垣と他のメンバーとの間の距離を、少しでも縮めようとして料理対決を企画したのかもしれない。もし、そうだとしたら、その意図は十分に果たされつつあった。
だが。
そんな楽しい雰囲気は、あまり続かなかった。
「······なんだこりゃ?」
「え、えーっと、ラーメンっす」
「カップ麺じゃねえか」
荒垣の前にあるのは、お湯を入れて3分でできるカップ麺だった。ちなみにシーフード味。
「い、いやカップなんすけど!ちゃーんとオレなりの工夫があってですね。荒垣先輩のミルク粥にヒントを得て、牛乳で作ってますっ!」
荒垣がうげっという顔をする。残りの連中も、一様に嫌そうな顔を浮かべている。 「え?え?みんな何だよ?いや、マジ美味い
んだって!」
「たとえ美味くても······料理じゃねえだろ」
「順平さん、失格であります」
どこに置いていたか、アイギスが横にあった鐘をカーンと1回鳴らす。
「いいっ!?そ、そんなぁ······」
がっくりと肩を落とす順平。ただひとり、そのカップ麺をひと口すすった現場リーダーが、うんまあ不味くないよ、といった感じで順平の肩をぽんぽんと叩いていた。
「では、続いて美鶴さん、お願いします」
事態は、破滅に向かって加速していた。
「鴨肉のコンフェ、フォアグラとトリュフ添えだ。素材はすべてフランスから空輸させた」
胸を張って、 豪華な銀の皿を突き出す美鶴の顔には、しかしだらだらと汗が流れていた。皿の上の料理を凝視しつつ、荒垣が尋ねる。
「······鴨は、どれだ?」
「こ、これに決まってるだろう」
「この黒いのは?」
「と、トリュフだ」
「こっちの黒いのは?」
「フォアグラ······だと思う」
「んじゃ、こっちの黒いのは?」
「ええと······付け合せのポロ葱、か?」
聞かれても困る。
下を向いていた荒垣は、凶悪な光を目に宿らせつつ、美鶴に向かってぽつりと言った。
「全部、炭じゃねえか」
「ま、まあ多少火加減を間違えたかもしれないが、素材はいいんだ。食ってないと······」
「食えるかぁ!次だ次!」
世界の終わりのような顔をする美鶴を尻目に、アイギスが鳴らす鐘がかーんと響いた。
「俺は料理などあまりやったことがないからな。変なものを出すのも申し訳ないから、シンジの料理を真似させてもらうことにした」
続く真田の料理は、白濁したスープのようなものだった。どうやら、 荒垣が一昨日作ったミルク粥を参考に作ったらしい。
「順平も、どうせシンジの料理を参考にするならこうするべきだったな。まあ、俺も多少は自己流にアレンジさせてもらっているが」
既に勝ち誇った様子の真田に、荒垣も苦笑しつつ答える。
「くくっ、アキの料理か······そう簡単に俺の味が盗めるもんかよ」
「食べてみなければわからんだろ?」
「わかったわかった。じゃ、いただくぜ」
スプーンで粥をすくい、軽く冷ましてから口へと運ぶ。そして、刹那の間を置いて。
ぶぴゅる。
変な音と同時に、荒垣の鼻と口から白濁液が吹き出した。
「な、な、な、なんだこりゃあっ!!」
「牛乳よりも高蛋白で低カロリーなプロテイン粥だが······筋肉にはいいぞ?」
「食えるかあああああっ!!」
「最後に風花さん、どうぞ」
鐘を鳴らしつつ、 アイギスが淡々と言った。
---それから、5分後。この��のものとは思えない絶叫が、月光館学園巌戸台分寮から響き渡った。付近の住民の通報で、パトカーや救急車が出動したが、とくに事件性はないとのことで早々に引き上げたらしい。ただ、目撃者の証言によると、捜査員や救急救命士たちは一様に、口や腹を押さえていまにも嘔吐しそうな表情を浮かべていたとか。その日、どんな恐ろしいことがあったのか、口を開くものはいない。
「いいかお前らっ!料理の命は火加減!それと塩加減だ!いいな、順平!」
「う、ういっすっ!」
「あと常識だが、プロテインは料理に入れるなよ!わかったか、アキっ!!」
「あ、ああ、わかった」
「つか、山岸!なんでそこでタバスコとか入れるんだ!色を基準にして調味料足すんじゃねえ!味見しろ味見っ!」
「は、はいっ!」
料理対決の翌日。寮のキッチンでは突発料理教室が行なわれていた。こいつらの料理の腕を放置していたら、いずれ人死にが出る。事実、俺は死にかけたという荒垣の命令で、順平、真田、美鶴、風花に対し、マンツーマンで料理を教えることになったのだ。
「······ったく、何で俺がこんなこと······」
そうボヤきつつも、手取り足取り指導する荒垣の頑張りもあり、徐々に全員の料理は “食えなくはない” レベルへと上がっているようだ。
「おら、待て美鶴。焦げそうになったら、一度フライパンを火から降ろして······そうそう。落ち着いてやりゃあ大丈夫だ」
「りょ、了解した」
そんな荒垣の様子を横目で見て、風花はくすりと笑って言った。
「やっぱり、荒垣先輩って優しいですよね?」
その言葉が届いたかどうか定かではないが、荒垣は黙々と料理指導を続けていく。ただ、その横顔には、かすかに笑みが浮かんでいるような気がする。やがて、料理のいい匂いを嗅ぎつけてか、ゆかりたちが同じく笑顔でキッチンへと歩いてくるのが見えた。やはり、楽しい食事は人を和ませる。どうやら、今日の夕食も楽しいものになりそうだった。
13 notes · View notes
harawata44 · 5 months
Text
実は間違い!やってはいけない「おばあちゃんの知恵袋」時代の変化と根拠のない過去の常識 - ライブドアニュース
以下引用
民間療法は過去の常識を疑おう
「昔は今のように便利なものがすぐに手に入ったり、情報にアクセスできなかったので、身近なもので編み出した“苦肉の策”的なアイデアも多いんです。ただ、医師の立場から言えば、実際に効果があったというエビデンスのないものは、おすすめしません」  と話すのは、公衆衛生学が専門の医師、柳澤綾子先生。
「民間療法はあくまで補助的に行うべきもの。例えば、切り傷の治りが悪いぐらいならまだいいですが、菌が入って化膿(かのう)させてしまうような危険なケースもあります」(柳澤先生、以下同)
逆効果で害に!正しい治療法を知ろう
「昔はアロエがすぐに手に入ったため、『切り傷にはアロエを塗る』といった民間療法は日本だけでなく、海外でもよく知られている方法です。アロエの成分には収れん作用があるので、小さな傷であれば有効である可能性があります。  ただ、土や雑菌がアロエに付着していれば、それが傷口に入り、化膿する危険性も。その結果、傷痕が残る可能性がないとはいえません」  さらに、今も一般家庭で行われている、市販の殺菌消毒薬を使う傷治療も、医学の世界では“時代遅れ”。 「正常な細胞まで破壊してしまう危険性のほうが高いので、泥などを水で洗い流すだけというのが、現在の傷治療の常識。昔の常識が間違っているというより、研究が進んで新常識に塗り替わっているのに、広まっていないということなのでしょうね」  最近の研究では、植物や食材を皮膚に塗ると刺激になってかぶれたり、口にするとじんましんが出る「食物アレルギー」発症のリスクが上がることがわかってきた。 「例えばキュウリパックなどで食物アレルギーになった場合、その発症をきっかけとして同じウリ科のメロンなども食べられなくなってしまうことも。“おばあちゃんの知恵”的な『自然のものだから安全』という思い込みは捨てたほうがいいです」  ほかにもヨーグルトやレモン、米のとぎ汁などでも発症する可能性があるので、皮膚につけるのは避けたほうがベター。乾燥しやすかったり皮膚が弱い人は特に要注意だ。  この時期、風邪のひきはじめや体調が悪いときの言い伝えを試す人もいるのでは? 「『風邪をひいたときにネギを首に巻く』のも効果はないですね。ウイルスが引き起こす風邪に特効薬はありませんし、ましてや特定の食べ物を食べて治ることはないです」  このような民間療法は、誰かひとりに何か良い結果が出たことが、噂として広まっただけかもしれない……と柳澤先生は語る。 「実害がなければ、個人の判断で行うのは構わないでしょう。『心地がいい』『気持ちいい』というのも、私たち人間には大事な要素。ただし、イメージで妄信せず、その民間療法が安全かどうかを事前に確認すべきです」
おばあちゃんの知恵【風邪対策編】
×:ネギを首に巻く  首に巻くとネギの成分「アリシン」が鼻から入ってきて良い……というのが、この対策を“本当のように”思わせてしまう理由。 「アリシン自体は免疫活性化に役立つといわれていますが、風邪を直接、治すものではありません。そもそも、首の皮膚から経皮吸収できませんし、分子が大きいので吸い込んでも吸収されません」(柳澤先生、以下同)  免疫を高めるためには「寝ることに勝るものはありません!」 △:風邪のひきはじめには卵酒  酒に卵と砂糖を混ぜ、温めたのが「卵酒」。卵であれば常備している家庭も多く、液体なら体調が悪くてもとりやすい。 「身体に異物が入ってくると、細胞性免疫や白血球が抗体を使って戦うのですが、この抗体を作る原料がタンパク質。  卵の主成分であるタンパク質(アミノ酸)をとると免疫の原料が増えるという意味では、卵に限らず、良質なタンパク質をとるのは良いことです。ただ、お酒はいらないのでは。  私たちはお酒を消化する際、免疫に必要な栄養素を消費してしまうので、免疫力低下につながります」 △:風邪をひいたらチキンスープ  風邪のとき、欧米ではポピュラーな“おばあちゃんの知恵”が「チキンスープ」。鶏肉や玉ねぎ、セロリなどの野菜を煮込んで作る。 「諸説あるものの、米国胸部疾患学会(ACCP)の報告書では、しっかりしたエビデンスはみつかりませんでした。卵酒と同様、鶏肉はタンパク質が豊富とはいえると思いますが……」  療養食としては適しているが“治る”のは期待しないほうがいい。 △:喉のイガイガにははちみつ大根  咳が止まるといわれている「はちみつ大根」。皮をむいてカットした大根をはちみつに漬け、半日程度冷蔵庫に置いてからその大根やシロップをとるというものだ。 「はちみつには咳を止める効果があるという論文がありますが、大根には今のところ裏付けはないはず。はちみつは上気道炎で咳が出ている小児での調査でも、咳止めの薬と同程度の効果が見込まれました。  抗酸化作用や抗菌作用のある成分が多いからとされていますので、喉が痛いときには、はちみつのみを少しとってみては」  ただし1歳未満の小児に与えるのはNGだ。
昔ながらの生活の知恵
×:ひじきで貧血予防  鉄欠乏症などの貧血を防ぐ食品として日本では知られるひじき。しかし、1950年から発表されている『日本食品標準成分表』では、ひじき100gあたり55mgあった鉄分は、2020年版では6.2mg、つまり9分の1に減っていた。 「そもそも、この鉄分は食材に含まれていたものではなく、鉄釜で調理していたから。今はステンレス鍋などを使うので含まれる鉄分が減ったのだとか。これは切り干し大根も同様」  動物性と植物性の鉄は作用が異なるので、レバーや肉、魚の赤い部分、豆類や小松菜などをバランスよく食べよう。 △:こりや痛みに「こんにゃく湿布」  昔はこんにゃくを温めて、こりや痛みのある患部に当てていたそうで、今もナチュラリストの間では実践する人も。 「現代では温めたいなら、こんにゃくである必要性はありません。湯たんぽやカイロなどで良いはず。ただ急性の炎症の場合は冷却が基��だったり、慢性期は温めるのが基本であったり、症状によって違います。  炎症の種類によって変える必要があるので、自己判断で決めず受診したほうがよいでしょうね」 △:お酒を飲む前に牛乳  お酒好きの人は飲酒前に何かをとって二日酔い予防をしたいという人も多いだろう。そのひとつが、「お酒を飲む前に牛乳を飲むと胃に膜ができてアルコールの吸収を遅らせ、酔いにくくなる」という説。しかし、効果は期待できないという。 「タンパク質は分解酵素の原料としては役には立ちますが、即効性はありません。乳脂肪は胃の動きを抑制してアルコールの吸収を遅らせるという作用はありますが、微々たるもの。酔いがまわるのがほんの少し遅くなるというだけです」 ×:塩で歯磨き  塩で歯磨きをすると浸透圧で歯茎の中の老廃物を排出しやすくなるといわれているが、「浸透圧で分子の小さな水分は外に出てきますが、老廃物は外には出てきません」と、柳澤先生は一刀両断。 「塩の結晶が大きいので、歯や歯茎を傷つける可能性しかないです。塩で歯茎のマッサージなんてもってのほか。刺激は強いので爽快感はあるのかもしれませんが……」  汚れを落とす効果もなく、塩分過多で血圧や腎臓への影響も心配だ。 △:りんごが病気を遠ざける 「1日1個のりんごで医者いらず」ということわざが有名。加えて「りんごポリフェノールが豊富なので皮ごと食べるとよい」、「抗酸化物質の塊」ともいわれ、まるで“万能薬”のようにうたわれるりんご。 「ポリフェノールという意味ならぶどうや緑茶にも入っています。ポリフェノールには脳卒中や高血圧、多くの心疾患リスク要因を減らすという効果が期待できても、その作用を起こすほどの量を食べることは現実的ではありません」  さらに果糖もたっぷりあるので食べすぎると、血糖値の上昇や血中の中性脂肪の増加を招く危険性も。 ×:魚の骨が喉に刺さったらご飯を飲み込む 「ご飯の粘度で魚の骨が取れる人もいるそうですが、ますます深く刺さることもあります。たまたま取れた人がいたとしても、ほかの人も成功するとは限らず、おすすめできません」  食道は縦に裂けやすくなっているため、硬い骨を無理して取ると神経などが通る部分に炎症を起こすことがある。 「人の身体には異物を排除する機能があるので、ある程度は自分の身体に任せておいて大丈夫」  どうしても気になるときは、耳鼻咽喉科で取ってもらおう。 △:やけど・傷はアロエで治る  日本だけでなく世界中で、ケガをしたときによく使われている多肉植物のアロエ。この成分を使ったゲルを塗ることで、にきびの回復、やけどの回復が早まる可能性が研究で報告されている。 「やけどの初期対応としてアロエの葉を使う場合、冷却作用は期待できますが、今はそれより冷蔵庫の保冷剤を取り出すほうが、葉っぱを取りに行くより早いのでは?水道水で良いのでとにかく早く冷やしてください」  また、土にはさまざまな雑菌が含まれているので、アロエの葉とともに雑菌が傷に入れば感染症を起こす可能性が。人によっては皮膚がかぶれたりすることもあるので要注意。 ×:蚊に刺されたらアルカリ性の石けんで洗う  蚊の唾液が酸性なので、アルカリ性の石けんで洗うとかゆみがなくなるといわれている。 「まったく効果はありません。そもそも蚊の唾液が酸性であるという証拠がないのです。それに、皮膚の上に石けん水を塗ったからといって、皮膚内に入った蚊の有害成分に届くことはないですよ」  異物が体内に侵入するのを防ぐ役割を果たしているのが皮膚なので、特殊な医療技術を使わない限り奥まで浸透することはない。 ×:わかめで髪が黒くなる&増える  見た目が“緑の黒髪”という言葉を連想させるためか、伝説のように語り継がれているわかめの効果。 「白髪の予防になるという科学的なエビデンスはまったくなく、増毛作用の根拠もありません」  だが、海藻にはビタミンやミネラル、食物繊維といった、毛髪にも良い成分が豊富に含まれているのは事実だ。 ×:美白のためにキュウリのパック  キュウリに含まれるビタミンCには美白効果、βカロテンには美肌効果などの効用は認められているものの、キュウリに含まれる量は少ない。さらにいえば肌に直接のせてパックをしても、ほとんど肌に浸透することはないという。 「キュウリをパックするというのは、そのメリットがまったくわかりません。冷たくて気持ちいい程度の意味しかないと思います。それに刺激物だと身体が認識して、かぶれてしまう心配もあり、こちらのほうが心配です」
今は効果なし!おばあちゃんの節約術
 健康法だけでなく、おばあちゃんの節約術にもハイテクになった現代には使えなくなったワザが。節約に詳しい丸山晴美さんは、次の3つにダメ出しした。 ×:水道水はチョロチョロ少しずつ出す  昔は水道メーターの精度が悪かったため、少量ならカウントされず水道代が安くなるといわれており、洗濯機や風呂の水をためるときに実践している家もあった。しかし、今はメーターの精度が高いので、この方法では意味がない。 ×:冷蔵庫内にビニールカーテン  冷蔵庫の開閉時に冷気が逃げないようカーテンをつける人が続出。しかし、電気代の節約効果はいまいち不明……。それよりは食材を詰め込みすぎないこと、無駄な開閉はしないことを心がけてみては。 ×:コンセントはこまめに抜く  何でもかんでも電源プラグからコンセントを抜いていたが、家電の進歩により今は待機電力がほぼかからない。10年以上前の保温式の電気ポット、旧式のガス給湯器についてはプラグを抜くか、主電源を切って。
教えてくれたのは……柳澤綾子先生●医師、医学博士。東京大学医学系研究科公衆衛生学客員研究員、国立国際医療研究センター元特任研究員。集中治療・麻酔科専門医指導医。年間500本以上の論文を読破し、著作本『身体を壊す健康法』(Gakken)では、世界中から集めた情報をわかりやすく解説。
(取材・文/オフィス三銃士)
8 notes · View notes
europiumoon · 8 months
Text
長月
1日になった。先月の後半から少しずつタスクが増えて、久しぶりに残業をした気がする。与えられた仕事をこなし職場を出ると湿気が肌に帯びた。不快感より、心地いい気温に気分が良かった。無意識で口遊んだ曲がindigo la Endの『夏夜のマジック』で、そのことに対して酷く驚いて思い出してしまった。色々と。Apple Musicを急いで開いて流した。傷に塩を塗る行為が好きなんだね。曲が終わり別の曲を、とyoutubeを開くとおすすめに接吻のカバーが出てきた。たなかくんのカバー。セクシーでやはりこの時期によく聴いていた。次に流れたのもたなかくんのカバーでエイリアンズ。月が始まって早々感傷的になってしまった。良くない良くない。あと、2週連続で恋人と共に過ごしていないこともあるかも。私の体調が2週分優れていないことが要因だから、休息を与えてくれていてとても助かっているんだけどね。今週の頭に全身蕁麻疹が悪化して翌日急遽仕事をお休みして病院に行って薬を処方してもらった。毎食寝る前お薬とお友達だけど、飲む前よりだいぶ体が落ち着いた。4年前も似た病状に悩まされたのを思い出した。あとは、最近気晴らしにyoutubeでこたけ正義感の逆転裁判を観ている。現役弁護士芸人なので着眼点がとても面白い。昨日アップされた動画も面白いから良かったら見てみて。めちゃくちゃネタバレあるけど、とてもいい。
youtube
秋も冬も夜長なので、寂しい時間は増える傾向にあるけど1人で抱え込まずに伝えることが大切ですよね。依存するものとはまた違うけど。そろそろ資格勉強も本腰入れなくちゃ。
読書の秋、食欲の秋、芸術の秋。今年の秋は何に費やそうか楽しみ。
11 notes · View notes
kennak · 2 months
Quote
注意が必要な入浴剤 ①にごり湯やとろみ湯配管や機械の内部に沈殿するリスクがあるため入浴剤はお湯が透明なものやサラサラタイプが安心だそう。 ②硫黄、酸、塩分などを含む硫黄や酸、アルカリ、塩などを含む温泉を模した入浴剤は多く入れると配管の金属を腐食させる恐れがあります。 ③発泡する入浴剤発泡入浴剤は、追い焚き中に浴槽の循環口アダプターの近くで使用しないよう注意が必要といいます。
入浴剤が入ったお風呂、追い焚きしても大丈夫? 東京ガスの回答は…「配管や給湯器を傷める成分に気をつけて」|まいどなニュース
2 notes · View notes
komichi-mado · 1 year
Text
Tumblr media
早朝、目覚めて、ぴんと張り詰めた冷たい空気を、お湯を沸かし、カレーを温めて、ゆるめる。
いつも淡々と飄々と生きたい私と、自己肯定感の低いもう一人のモンスターの私の高低差に流れる冷たく硬い水。跡を残しながら蒸発して、結晶化したミネラル。それは甘く塩っぱく苦い。それは涙になり、詩になり、愛になり、夢になる。
どうか誤解しないでほしい。モンスターは切り離せない私の素肌、血、目の奥の光、咀嚼されてない才能。いつか光を浴びて、傷口から花が咲く蕾。
誰のものでもないひと時を、分かち合いながら生きている。螺旋階段を登るように、同じところをぐるぐる回りながら、上ったり下りたり。
いつか訪れる死は安らぎでありますように。愛する人と共に二人四脚で歩み寄りながら、歩調を合わせながら歩めますように。
38 notes · View notes
aronespace · 1 year
Text
まちかどAronespace のお知らせ
 4月から1年間、Aロマ/Aセクの人間がここに存在している、という社会運動をやることにしました。
【目的】
 私はAロマAセクの人間で、ひとりで生きていきたい人間です。「ひとりでやりたい」の中には、「ひとりは寂しい」「孤独が辛い」「ひとりで生きるのは不安」「誰かを好きでいる」「誰かを大切にしたい」「実際はひとりでやれない」も含まれています。その上で、「ひとり」とは何か、私を「ひとり」にさせてくれないのは何か、「ひとり」を否定し、困難にさせるものは何か、「やる」とはどういうことか、そういうようなことを考えていこうと思います。
 もう一つの目的は、Aロマ/Aセクの人間が存在している、ということをやることです。Aロマ/Aセクは時に「見えない(恋愛的指向/性的指向)」であるとされます。それは、恋愛感情/性的欲求が他者に向く状態が正���/ノーマルであるとされている社会で私たちが不可視化されているからです。「(見え)ない」から「いない」ってどうして?すでにここにいるのに、どうして我々が可視化させなければならない?なぜここにいるだけ、を許されない?「ない」を抹消されなくてはならない?私たちはこの異性(恋)愛規範、恋愛伴侶規範に支配される社会から(再)発見される存在ではなく、すでにここにいます。そんな社会の中、街の風景の中から私たちの場所を奪い返さなければならない。そういう思いで、基本的に屋外の「見られる」場所でやります。この社会が私たちにとって安全だったことはなく、よってまちかどaronespaceはセーフスペースではありません。この社会の中に私たちが存在することで感じてきた傷や悔しさ、やるせなさを話すことは、それらを個人の話(だけ)ではなくそうさせる社会規範への抵抗になると考えています。「ひとり」をやりたいのにそれが難しく、また不幸(unhappy)と結びつけられる社会から、繋がりを求めない、あくまで個として存在しながら、社会の中に私たちのための場所として「ひとり」を獲得し直す、そういう意図でやっていきたいと思っています。
【活動内容】
 メイン:仙台市内のどこか(基本は屋外、天候・体調によっては屋内)で、私(はねだ)が本を読みます。Aロマ/Aセクに関することを始め、ジェンダー、セクシュアリティ、フェミニズム、婚姻制度、家制度、クィア、(反・脱)恋愛、単身者(と老い)、孤独、ひとりなど、そのとき読みたい本を数冊持参します。ひとり積読解消読書会みたいな感じです。
 また、随時来訪者を募集します。通りがかりに手を振ってくれるだけでも嬉しいし、なんとなく一緒に本を読むのもいいですし、ふらっときて一言交わすだけでも十分です。少しの間おしゃべりできたら楽しいなと思います。が、人と会うこと、喋ることを目的としているわけではなく、コミュニティ作りや仲間作りをするわけではないので、基本的にその場だけの関係です。(私が人間関係を継続させるのがとても苦手なので、毎回その場だけの関係のスタンスでいこうと思います。もちろん何回きていただいてもいいですし、そこからいわゆる緩いつながりが構築できたら嬉しいですが、それを目的とした場ではないので)喋らなきゃ...みたいに全然気負わずにふらっと会って、ふらっとさよならしましょう。
追記:半年やってみて、いらっしゃった方とは本を読むというより話をする関わり方の方が多いというか、そのかたちがほとんどです。もちろん参加の在り方は自由ですが、読書会っぽい空気感ではないんじゃないかなという感覚です。話のテーマも特に設定していないので、話したいことを話すだけでも全然OKです。
 おしゃべりができたら楽しいと思いますが、答弁や教示はしません。また、正義のための議論(※「トランスジェンダー問題」のサブタイトルのようなニュアンス)以外を求める議論もしません。しゃべる内容も特に決めませんが、私は「ひとりでやりたい」をどうやってやるのか、を考えていきたいので、それに沿った話題を話せたらいいなと思います。
【日時・場所・期間】
 日時:基本月1度、日曜日に開催予定です。私の都合で変更や不開催などが起こることもあります。時間も季節や天候等によって変化しますが、今のところ14時以降から2時間ほどを目安としています。いつどのタイミングで来て、いつどのタイミングで帰っても全然オーケーです。
 場所:基本的に、宮城県仙台市内の屋外でやります。現在下見した上で候補にあるのは
・勾当台公園市民広場周辺
・錦町公園周辺
・仙台駅東口周辺
です。都度Tumblrと当ツイッタアカウント(@aronespace)にてお知らせします。なるべく直射日光が当たらないようなところで開催したいので、時間によって場所を移動することがあるかもしれませんが、それもリアルタイムでお知らせします。室内でやる場合はその都度の連絡となります。尚屋外で開催する場合、どうしてもトイレへのアクセスが悪くなってしまうことをご了承ください。
【グランドルール】
・私(羽田)はAスペクトラムへの差別を始め、性的マイノリティ差別、トランスジェンダー差別、ノンバイナリー差別、Aジェンダー差別に反対する立場です。よって、「#まちかどAronespace」ではそれらに対する差別を許容しません。おしゃべりの中でそれらに気づいた場合ストップをかけることがあります。意見交換、意見の批判はオーケーですが、差別につながるような議論、おしゃべりはしません。これらへの差別をする方は、ここに来ないでください。他者の尊厳、あなたの尊厳を毀損する発言や行為は控えてください。この社会が私たちにとって安全ではないと認識していることと、他者の尊厳を傷つけない行動を取ろうとすることは矛盾しません。また、まちかどaronespaceは障害、ルーツ、宗教、それ以外のあらゆる差別にも同様に反対します。
・参加される方の代名詞、呼び方(「さん」「ちゃん」「くん」など)は本人が望むものを使用します。基本的には「さん」呼びをします。もちろん名乗らなくても大丈夫です。
・Aロマ/Aセクのための場所ではありますが、参加される方はAロマ/Aセクでなければならないということはありません。セクシュアリティを問う場ではありませんので、明かしたくないことは話す必要はありません。
・「まちかどAronespace」は原則録画・録音禁止です。参加者を写すことはやめてください。ボムや本などの物品の撮影は可能です。写真を撮る場合は一言お声がけください。また、この場で話したことを、個人が特定できる形で第三者に伝えることはやめてください。
・疾病や障害、それ以外の事情によって参加に何かしら困難がある場合、お手数をおかけしますがどのような対応が必要か教えてください。私(はねだ)がひとりで対応するため、できることに限りがあるかもしれませんが、可能な範囲で参加を阻害しないような方法を取らせていただきます。
・原則マスク着用をお願いします。
・飲食物、本やZINE、フラッグ、プラカードなど持ち込みOKです。
・おしゃべりや仲間作り、コミュニティ作りは目的ではありませんので、無理にコミュニケーションを取る必要もありません。通りすぎる、挨拶する、手を振る、なんとなく本を一緒に読む、おしゃべりするなど、完全に自由です。ご自身のペースに合わせてご参加ください。(固い言い方で繰り返しているので交流を歓迎していないように思われるかもしれませんが、積極的には求めていないだけで交流できたら嬉しいと思いますので、ぜひお気軽にいらしてください🖤)
【第1回・4月開催予定のお知らせ】
【日時】4/16(日)14:30〜16:30
【場所】錦町公園の空いているスペース(最寄り駅:JR仙台駅、地下鉄勾当台公園駅)
【読みたい書籍】*これ以外にも増える可能性は全然あります
・エリザベス・ブレイク「最小の結婚」
・ショーン・フェイ「トランスジェンダー問題」
・三浦しをん「愛なき世界」
・塩沢美代子・島田とみ子「ひとり暮らしの戦後史」
 こんな感じで、2023年度の1年間やっていきます。一緒に本を読んだりおしゃべりできたらとても嬉しいですし、何より「ひとりでやる」を考えやっていくゆるい運動として関心を寄せていただけたら幸いです。
12 notes · View notes
binsenkan · 2 years
Photo
Tumblr media
#マメちゃん ご報告 (おはようマメちゃん最終回) 地域猫のマメちゃんをかわいがって下さった皆さまへ 数日前から体調を崩していたマメですが、 動物病院を受診した結果、 喧嘩でできた顎下の傷口に大量の膿が���まってしまい、溢れ始めている状態でした。 既に壊死していた傷口を切除し、膿を流し出し、生理食塩水できれいに洗浄して頂き、術後は縫わずに乾燥させる治療をする運びになりました。 そして、血液検査の結果、FIV(猫エイズ)が陽性と判明しました。最近妙に疲れやすく見えていたのですが、外での生活は限界だったのでしょう。これからの余生は室内でゆっくりしてもらおうと判断しました。 現在、部屋で療養を始めて三日目となりますが、緊張が解けたのか、こんこんとよく眠ってくれています。ガサガサだった肉球は柔らかいピンクになり、肉が盛り上がってきました。喉の傷口はまだポッカリ空いていて、垂れてしまうので体液はマメに拭き取っています。マメだけに… 地域猫を卒業するマメは、もう外でお会いいただくことはできなくなってしまいますが、これからもInstagram上で回復の記録などを公開していきますので、今後も覗きにいらしていただけたらと思います。 #地域猫マメちゃんをかわいがって下さった皆さま、本当にありがとうございました #マメちゃん #地域猫 #卒業 #白黒猫 #猫 #cat #catsofinstagram 記録を残す為、所々怪我の痕が写っています。苦手な方はご注意ください。 最後の最後に、6年前(2016)仔猫時代のマメと母猫ハチワレ、自転車の陰にはあさぎりが写っている写真があります📸✨ あさぎり見つけられますか? https://www.instagram.com/p/Cgql3d0Pfqk/?igshid=NGJjMDIxMWI=
5 notes · View notes
namuahi-san · 2 years
Text
ああああ
Tumblr media
「もういいかなあ」と兄が言ったのでわたしは読みかけの本から視線を上げないまま「なにが?」と訊き返したけれど返事はなく仕方なしにスピンを挟み本を閉じ、読書を邪魔されことに対する文句でも言ってやろうと兄の方を見ると、兄は最初からそうであったかのようにいなくなっていた。わたしはまず部屋の中をくまなく探し、家中をひっくり返し、両親に訴え、警察署に届け、兄の行きそうな店や公園を巡り、学校に確認し、町中に尋ね人のビラを貼り、六年間通った学校に行かなくなり、水晶玉を覗き、Lロッドの行方を追い、恐山でイタコに口寄せしてもらうも圏外だと言われ、失意のわたしを車で轢きかけた男と結婚、兄のことをSNSで拡散してもらい、バズり、当時の同級生を名乗る人物から連絡があり、知り合いだという霊能力者を紹介され願いが叶う薄緑色の石を買い、徳が足らないので世界に三枚しかないというありがたいお札を買い、離婚と同時に出産、ダイソーで売っていたトンカチで薄緑色の石を割り、ガスコンロで札を焼き、海水から作った塩を売って暮らし、わたしが結婚したのと同じ歳まで育った娘が「会わせたい人がいるの」と言って初老の男(以下初老)を連れてきて、わたしはいま初老の運転するバスの中。
「みかん食べる?」娘が冷凍みかんを渡そうとしてきます。初老が娘の恋人なのか気になりましたが、彼がハンドルを握っておりますので機嫌を損ねたら窓の外に広がる渓谷に真っ逆さまということにもなりかねずわたしはなにも言い出せないのです。それにしても、どこに向かっているのでしょうか。ねえ、と娘に尋ねようとすると娘はみかん由来の黄色い手で機械を触っており「なにそれ?」「株」覗いてみようとすると画面を隠し「インサイダ!」と拒絶。反抗期なのでしょうか。
 ハッピ、バッデ、トゥユ、
 ハッピ、バッデ、トゥユ、
 邪悪な秘術を想起させる汚らしい文句。声は娘と初老のものでした。「お母さん」顔を上げると娘がこれまで見せたことのないような笑顔でわたしにノートとペンを差し出しています。ありがとうございます。心根の優しい娘なのです。お義母さあん! と突然、運転席から初老がマイクで叫ぶのでノートを落としてしまいました。ちょうど開かれたページには赤のボールペンで『ギターピックとして代用可能な動物一覧』と書かれているではありませんか。ありがとうございます。ペンギン。ライオン。ワオキツネザル。
「クイズです」初老クイズが始まりました。
「東京タワーと東京スカイツリーは何がために建てられたでしょう」「答えは痛いから」
音割れした初老の声に娘が即答します。
「痛いから?」とわたし。
「東京にはかつて建設を予定されていた塔があった!」「名は東京バベルタワー」「東京は、夢想していた。正しい、理想の己の姿を」「だがそれが叶うことはなかった」「計画は頓挫したのだ」「なんという悲劇!」
 娘と初老が交互に、オペラのように歌い上げていきます。ありがとうございます。
「東京は悲しみました」「そして、いつしかそこが傷み、疼きはじめたのです」「東京の悲しみを受け、時の権力者はバベルタワーの代わりに塔を建てました」「順番に、二本」「ですが、それは両方的外れだったのです!」「正解はこれから向かう場所にあります」
「どこに向かっているの?」
「アール県」
 ふたりの声が重なり時間はズレます。アール県にある塔は巨大ですがまだ根元しかなく、建設反対派との戦争真っ只中。人を殺傷するのに最適な速さで銃弾が飛び交いバスを出るなり初老と娘がその餌食となりました。二人を埋める余裕もなく走りますと、作りかけの塔の先端にはギトギトとした黒い木でできた小屋。入り口の看板にはペンキで大きく『いろっしょい』と書かれています。ドアは開けっぱなしで、中に入ると小屋と同じくギトギトの木でできた本棚に手作りらしき本がいくつか並んでいました。
「いろっしょい」見ると焦げ茶色のエプロンのギトギトな男が口をOの字にして立っており、わたしにコーヒーを差し出しました。
「テンミニッツ・コーヒーです。黙祷」その十分間でわたしは全てを理解しました。このカフェにいつの間にか忍び込んでは自作の本を勝手に置いていく輩がいて困っているそうです。コーヒーはライカ泥水で、わたしはそれをマスターの顔面に浴びせ本棚に向かいます。悲鳴をあげるマスターこそが犯人なのです。そうやって他人の興味をひいてこの本を読ませようという肚なのです。たちの悪い妖怪のような男。ありがとうございます。そうしてわたしはマスターに代わりそこで本を作ることにしました。絵と文字、それと声。三十年もそうしていると分かります。兄は、そこで奇妙な人生を送っていたのです。兄はこちらで弁当屋の娘に恋をし、交換日記を始めようと迫り、右の耳を捻りちぎられ、通報され、服役し、気のいい模範囚として罪を償い、釈放後は殺人鬼のための懺悔室を西麻布にオープン、週五で気のない相づちを打ち、休みの日にはDIYでギロチン作り、ギロチン繋がりで知り合った女性と結婚するも新婚初夜に誤って妹である私の名前を呼んでしまい、手先の器用な兄の妻がハズバンドと物理的に距離を置くために増築し続けていった家は迷宮となり、膨大な固定資産税に兄がぐずりすぐ近くに地獄を顕現させたことで地価は暴落、やがて妻とも別居し地獄のすぐ隣にある三畳一間に住むことになった兄は、やることがないあまりペンとノートを手に取り本を作り始めました。絵と文字、それと声。その本にはわたしの人生が書かれているではないですか。でもよく見てください、兄の背後から地獄より漏れ出た炎がちるちると、兄(とわたしを)を舐めるようにああ(ああ)。
2 notes · View notes
202208050519 · 2 years
Text
Tumblr media
Aさんへ ⑲
Aさんこんばんは
先日、むすめたちと映画をみました
結論から申しますと全私が震撼し涙するおもてたんと違うでした。原作コミックからはいった私の、実写版に対峙する心構えが甘かった。私の非です
映画あと回転寿司にて次女が熱々の茶碗蒸しをひっくり返しテーブルを舞台に見事なプリンとなり、
回転寿司あとコーヒー店にて嗜みましたシトラス(きっとあれはライム。)シロップ含有パッションフルーツブラックティーから超高級ホテルのトイレの芳香剤の香りを感じ、いよいよ……、いよいよ本格的な夏の到来。夏の足音を捉えた次第です。
夏がくる。
しかしAさん、私の心は既に遥か晩夏にあります。ビコーズ
至近の市民プールが昨年閉鎖したことにこれほど歓喜している人間はK県S市の平らは広し近年人口増加傾向と言えど稀かと思います。早く、一刻も早く、
「プールなくなっちゃったのよ。残念よね。」
を娘たちに伝えたい。伝えたいのです。一昨年の夏休み、3日連続で娘二人を連れてオープンからクローズまでを流れるプールの水中で過ごした結果、冷え性が悪化し朝、回る洗濯機の水流を見るだけで酔ってしまうまでになった私にはそれを伝える権利があると思うのです
今後、わたしがダイエットを嗜む場合、プールにだけは通いません。いえ、通えません
よたばなしが過ぎました
梅雨は体調の揺らぎを覚えやすい季節です
どうぞAさん、ご自愛くださいませ
Sより
*********
『カロル絡む。カリム、カ��ム。枯れぬカルマ。』
彼は否定したけれど私はやっぱりネイビーだと思う。
それは、ほとんど黒に近く青より深い濃紺色のこと。
朝がくる直前の一番暗い空の色。
「いま自分がいる場所は絶望なのかもしれないって思う夜に言葉はなんの力にもならない。
絶望は暗いからなにも見えなくて、もちろん希望なんてひとつも見当たらない。
夜中、一人で、疲れて不安で永遠にこの夜にとどまっていたいと思う。朝がくれば否応なしに新しい一日が始まって、止まっているわけにはいかないぜって突きつけられる現実にうんざりするから。絶望の底にも更なる絶望があるんだってことを知ってしまう。辟易する。
なのにさ。
夜中、一人で暗い部屋でベッドの上で寝返りを繰り返してそのうち寝返る気力もなくなって、ぼんやり「あー、このまま朝がこなければいい。」って思いながらでも怖くて仕方ない自分もいたりする。「せめて朝がきて世界が明るくなればいい。」なんて思ったりもする。
このひとことが人生を変えたとか、世界を変えた偉人の言葉。とかさ。前向きに生きるためのヒントとか、いかにもな、まさに今の俺みたいな人が読むんだろうなって本をさ、片っ端から乱読して、なにか、なにかこの今を救う言葉がないかって探すんだ。
健全な状態なら胸打たれるんであろう涙を誘うハートフルな小説とかさ。
でも読んでも言葉はただ乾いたまま通りすぎる。白い紙に五十種類の文字と漢字が羅列してるなってことしかわからなくて、黒い文字がありとあらゆる組み合わせで言葉になってきちんと行儀よく、上から下へ整列してる風にしか見えない。
羅列って。
普通に使ってるけど実はよくわかってないよなって羅列の意味を調べて、ほら、やっぱり合ってたとか思ったりしてさ。音楽もね。あー、この人は日本語を音にのせて歌っている。としか感じない。何も自分の中に止まらず耳を通りすぎる。これは絶望のなかなんじゃないかと思うような時に、本も音楽も友達からのLINEも何の役にも立たない。って言いながら結局トルコ行進曲だったんだけどね。
探り漁ってたどり着いたピアノのトルコ行進曲をなんとなく、ぼんやりぼんやり聞いて小学生の時の運動会を思い出す。
玉入れの砂っぽい玉の感触とグラウンドの埃の匂いを思い出してアラタが「お前すげえ入れてたな」って褒めてくれた言葉と、笑顔を思い出す。ぼんやり眠くなってきて寝る。
夜の怖さも朝がくるプレッシャーも薄れて、ただ、とりあえず眠くなる。結局、言葉の苦しみは言葉で救うしかないんだ。って思いながら寝る。人で味わった痛みを溶かすのは結局人なんだ。
一番暗い、たぶん絶望って思う夜の中にもなにかしらの希望はきっとある。きっと希望はあるだろうっていう頼りない願望がかがり火になる。
希望の色はきっと、夜が明ける直前の一番暗い空みたいな色だと思う。絶望の色ととても似てるから見つけにくいけれど、きっとある。」
問わず語りを閉じ、フフっとタカシくんは笑う。私の頬を撫でる。
タカシくんが教えてくれた希望の色。夜明け前の空の色。彼はその色が似合う人だったと、今も私は思う。
*********
タカシの髪には白髪がある。
流行り廃りのない代わり映えしない定型の短髪。けれど「この髪型以外タカシくんには。」と、ソノコはその頭髪に鼻を埋める度、安堵を覚える。見た目より存外柔らかいタカシの髪に、柔らかな黒と白に、頭皮に届くほどに鼻を深く埋める度に。
20代半ばに生え始めたそれは年を重ねるごとに少しづつ増え、20代の終わりに髪色はブラックではなくグレーに近くなった。
タカシはグレーに近くなった頭髪を撫でて鏡をみつめ「また増えた気がする。」ひとり呟く。
ソノコはタカシの白髪の混ざる短髪を「知的で上品だし、セクシー。」なタカシの雰囲気に似合っている。と、とても気に入っている。
タカシの呟きを聞くとソノコは慌ててベッドから降り、鏡の前に立つタカシの真っ直ぐ伸びた背中を抱きしめる。湿り気の残る肩や背骨に唇を当て、どうかそのままに染めないで欲しい。と、鏡越しに目を見つめねだる。
秒後、鏡越しに、睨むに似た笑みのない視線でソノコを見下ろし、振り返るとソノコの肩をすっぽりと覆う大きな手を骨の浮く華奢な両肩にのせる。笑みの戻らない顔のままソノコをじっと深く見つめ、肩から手の平を頬に移し、包み、下唇をゆっくり何度も噛む。顔を離すとタカシは黒髪への捨てきれない未練とソノコへの愛しい呆れを込め、
「そんなことを言う女性はソノコくらいだ。」
と眉根をひそめ、力なく呟き、ため息をつく。未練も呆れも愛しさに抱きしめられ、幸せなため息となる。
***
「白髪なー。」
とタカシが嘆くのは、例えば、二人で買い物をしているとき。
「タカシくんはこれが似合うわ。もうね、絶対よ。」
と、紺色のシャツを鏡の前に立たせたタカシの胸に当てソノコが試着を催促すとき。
タカシは全体像を確認するより、ソノコを見るより早く、横に立つ、ソノコよりやや身長の低い男性店員の斜め上に向けられた視線を見つける。
悪意なくタカシの頭髪を見上げ、なにかしらの数字を計算する表情ののち歳の差カップル心中お察し致します的笑みの視線を、鏡越しに目ざとく認識すると鏡に顔を近づけ、
「白髪。」と「際立たせるよねー、」と誰に言うでもなく、呟きながら髪を撫でる。ティシャツのハンガーを丁寧にソノコに返し「検討します。」と微笑む。
タカシが白髪を嘆くのは例えば。
タカシが一人暮らしをしているマンションの、階違いに住む2、3歳の子供に満面の笑みで、
「おじさん。」
と、声をかけられるとき。
白髪の嘆きは例えば。
それを申し訳なさそうに我が子より大きなボリュームの声で、
「おにいさん、おーにーいーさーん。ね!」
と慌てて言い聞かせる母親に「すみませーん。」と謝られるとき。
タカシの嘆き、例えば。
タカシより年上であろうその母親が、
「ほんっとーにすみませんもうごめんなさい。あの、私の兄がほんの少しだけ白髪混じりですみません。ね!ごめんなさいは?おじさんのこと大好きだよね!優しいね!」
と、なにひとつ責めていないのに早口で言い訳し、我が子にいわれのない罪とそれに対する陳謝を強要し、ついでに見た目より案外深傷をおっているタカシの傷口に塩を揉み込み重ね重ね謝るとき。
例えば。
ソノコが髪を茶色に染めたとき。
「似合うね。かわいい。」
とソノコの髪に鼻をおしつけ、
「白髪なー。」
嘆き、ため息をつく。
「昼間さ、あの子またママに注意されてかわいそうだった。おじさん!の子。
ソノコそろそろ来るかなと思って下に降りたらあの子いたんだよね。おーい!って手ふってくれてさ。俺もおーい。とか言って。なんかほら、俺、ウキウキしてたしさ。子供かわいいし。で、おじさーん、って。そしたらさー、いつものくだりが始まっちゃってさ。ママ慌てちゃって。また同じ説明してくれるんだよね。初めて話すみたいな新鮮なテンションでさ必死なんだよ。気の毒で見てられない。足元でしょんぼりしてるあの子の顔なんてもう直視できないよ。ただ声かけただけなのにさ。で、謝られれば謝られるほど地味ー、にくるっていうさ。あの人のお兄さんてことはさ正真正銘ど真ん中のおじさんだよね。名実ともにおじさん。そのおじさんでさえほんの少しだって。ほんのすこーし白髪がって。すこーしって。多分あれ、俺に気をつかってくれてるんだよね。でも動揺してるからさ。気配りがバグ起こしちゃってさ。「すこーしだけ、かみがしろいのよね。」って。あの子に同意求めたら真顔で俺の顔ジーって見て首かしげたからね。無言の否定。明らかに彼はおじさんも俺もほんの少しではないことを理解してる。賢いよ。だからさ、無理ないよ。
自分のおじさんより白髪の多い男だったらさ、お兄さんて無理があるよね。
あの子まだちっちゃいし、なにも間違ってないのにその都度叱られてさ。
かわいそう。
でも確かにさ、五歳は老けて見えるよね。
仕事終わりで疲れてる時なんて。
十歳はいくよね。
そのうちさ。ソノコといるときにさ、親子ですか?とかさ、聞かれたらどうする?その日は近いよ。
限りなく近い。」
と、ソノコの染めたばかりの艶かな柑橘系の匂いがする茶色の髪に鼻を埋めたまま度重なるささやかな傷心を嘆く。
いつも必ずやさしい顔見知りのおじさんを見つけ、嬉々として手を振った小さな男の子と、自分を待ちわびウキウキと心弾ませてくれた大きな男が、一転、しょんぼりする様を思い浮かべ、そして、「高校生の頃もこんなに無口だったかしら。」と記憶を手繰ってしまうほど、日頃口数の少ないタカシから改行の少ないない長文の嘆きを聞き、その嘆きを聞くのは2度や3度ではないこともありソノコは、
「親子って。
そんなことあるわけないわ。
でも、そう、そうなのね。
それで元気がなかったのね。
さっき、気持ちいい?って聞いたら、今は大丈夫って言うから、なんか変ねって思ったのよ。
そうね。
でも、わかったわ。
そうよ、彼女のわがままな趣味嗜好を優先する必要はないのよ。タカシくんの髪はタカシくんのものに他ならない。
美容院行ってきたら?次のお休み。」
「ほんと?いいの?
そっかー、いいんだね。
うん。じゃあ、染めようかなー。そうだね、染めよう。
いいですか?未練はないですか?」
「ないわ。」
キッパリと答え、ソノコは目を閉じる。「タカシくん、ごめんね。
おじさんの子にもごめんなさいだわ。」
大切なことを伝えるときに目を閉じる癖のあるソノコの頬を撫で、キスをし、タカシはなぜか淋しさの混ざる複雑な笑顔をつくったあと自分の髪を撫でる。
撫で、ふと、考える。思い出す。いつかの痛い金曜夜のことを。
***
『世界中のミンナが敵になったとしてもボクだけはキミの味方だよ。』
「それってほぼ奇跡。」
ソノコと再会する直前。当時付き合っていた彼女と別れた直後。
金曜の夜を一人で過ごしていたタカシは、缶ビールと音楽番組をぼんやりと眺めていた。
若い女のグループが、一人一人自己紹介し歌い始めた。
メンバーの一人が作詞を手掛けた新曲だと紹介された。名前はおろか誰が誰なのか顔の判別がつかないままタカシは、そもそもこの団体は全員で何人なのかが妙に気になり、まばたきも忘れ、露出の高い服を着た女たちの人数を真剣に数えていると、その歌詞が耳に入った。
恋人と別れたばかりの一人の金曜の夜に音楽番組を何気なく選んだことがそもそも間違っていたのだ。
春の訪れに向け前向きな、メッセージ性の強い曲ばかりが流れ新しいスタートや再スタートを応援する。季節が変わり環境が変われば気持ちも変わる。前を向く。
そんな健全なスタートの季節に二の足を踏んでいる自分のような人間には、金曜日の夜に一人缶ビールの水滴を見つめ前の季節に止まっているような人間には、料理番組か将棋対戦当たりが妥当なのだと思う。旅番組など見た日には、自分探しなどと使い古した言い回しで手つかずの有給休暇申請をしてしまいそうだと思う。そのまま帰り道を見失ってしまいかねない。
それにしても痺れるパンチだったとタカシはビールをひとくち押し込み、かつての彼女を思い出す。
「嫌いじゃないけど、好きでもない。」
と、静かで長い別れ話の攻防の後、女から吐き出された文句は二人の交際を総括し要約されたシンプルな殺し文句は、フラれたというボディブローは、日毎、目には見えない速度でじわりじわりと心を蝕むような気がした。そのボディブロー、そのダメージ。
相手の女が最後に吐き捨てた言葉はタカシが相手に感じていた気持ちのコピーだった。コピーアンドペースト。女の顔を、すでに懐かしささえ込み上げるその顔を見つめ、タカシの思考を満杯にしたのは復縁祈願でも蛍の光でもなく「自分は、結婚はおろかまともな恋愛ができるのだろうか。」という底はかとない不安だった。
見つめ返した女から、
「毒にも薬にもならない。」
と、ボソリとゴミを捨てるようにつけ足されたとき。女の視線が鋭利な角度で斜め上を向いたこと。その視線を見逃せない自分を恨めしく感じた。
仕事の忙しさにかまけ、忙しさからの疲れにかまけ、ここしばらく自分の身なりをほったらかしにしていた。もちろんほったらかしにしたのは身なりだけではなかった。疲労を栄養に白髪が増えたことは、女から非難の視線を向けられなくとも認識していた。
不安で満杯だった思考は、どうせ終わるのだからと砂をかけたくなる思考に変わった。真実を暴く女々しい砂。
「わかった。で、このあとどこに帰るの?」
寸でのところで、とっくに喉を通り過ぎ口内で出番を待っている言葉を飲み込んだ。心底情けないと思った気持ちが砂をかける言動のストッパーとなった。
「奇跡ってどこに売ってるんだ。」
キンと冷えた缶ビールを心底まずいと思う金曜の夜だった。味方どころか敵ですらなかった。
結局、奇跡を歌うグループの人数は把握できなかった。まずいビールに酔ったせいではなく、
「動くよねー。」
ポジションがコロコロ変わるダンスに目が追いつかなかったのだ。全部が同じ顔に見えて仕方なかった。
いつから自分は若い女を見てきれいやかわいいの前に、タイプの女を探す前に、団体の人数を把握したいと思うようになったんだろう。グループを団体と呼ぶようになったんだろう。自分はこの子達よりこの子達の親に近い歳なんだと考えるようになったんだろう。そもそもいつから自分はひとりごとを声に出すようになったんだろう。
いつだ。
ビールはまずくなる一方だった。
***
タカシは冷えたビールがまずかった夜を思い出す。
目の前の「知的で上品だし、セクシー。」と白髪を褒める女を見つめる。再会した日「すごい久しぶりね。」に続いた言葉と優しい声を思い出す。
万が一、ソノコにフラれるとき。
愛してると言った同じ口に憎しみを込め毒にも薬にもならないとフラれるとき。
きっと、フラれた次の日の朝、顔を洗う前に鏡を見て白髪まみれの髪を今日にでも染めたいと思うんだろう。
もう誰もこの髪を愛し、包容し、許容して共有し、
「タカシくんの全てをすきよ。」
と、この頭を胸の中に抱いてくれる人はいないときっと淋しくなる。結婚はおろかまともな恋愛ができるのだろうかと悩むより先に、ただ、ソノコの笑顔を思い出す。髪を黒く染め、白髪に悩むことはなくなる。
けれど。
鏡にうつる自分の黒い髪を見つめきっと、とても淋しくなるのだろうと思う。
目の前のソノコと、その瞳のなかにうつる自分と見つめ合いタカシは、一人だった金曜日の夜を、キンキンにまずいビールを、いまだ人数がわからない若い女の団体が歌う奇跡の歌詞を思い出す。
*********
高校生だった時から12年後本屋で偶然再会したとき
「すごい久しぶりね!」
の挨拶の次の言葉は
「髪、すごく素敵ね。」
であったことを今も鮮明に覚えている。その言葉の次に
「ありがとう。」
と、謙遜や卑屈やまた自虐の言葉を返すことはできず、それらの言葉を思い浮かべることさえさせない清潔な気持ちの良い響きにありがとう以外返すことはできなかった。
清潔な気持ちの良い響きのありがとうには懐かしさと同じ量の安らぎがあった。
*********
タカシはネイビーが似合うと思う。それは黒に近い濃紺色。ネイビーのティシャツが世界でいちばん似合うひとだと思う。けれどタカシは、
「一層際立たせている気がする。」
と、髪を撫で否定の苦笑をこぼす。
ネイビーのシャツから伸びる腕。腕組みをするときの、ひじから手首まで真っ直ぐな力強い線。遠くを見るとき少し細める目。ベッドで、眠っているときの顔も、苦しそうに響く気持ちいいの声も、眉間に寄せる皺も、耳元で聞く温かい息も。全部のタカシを好きだとソノコは思う。
「すごくおいしそうにごはんを食べているところなんて。たまらないわ。」
ソノコは目を閉じ言葉に力を込める。
「それはね、」
字幕が全部上に流れて、スクリーンが黒くなって、照明がついて明るくなった映画館でしばらく椅子から立ち上がれないくらい感動してチケットの半券を一生宝物にしたいと思う映画を観たあとみたいな。読み終わってしまうのが勿体無くて淋しくて、一旦、ページを閉じてしまう小説を一冊読んだあとみたいな。捨て曲が一曲もないアルバムを一枚聴いたあとみたいな気持ちよ。
大きな木を見上げて、風に揺れる葉っぱのカサカサって音を聞いて、その葉っぱと葉っぱの隙間から太陽がキラキラ落ちてくる。
「そんな気持ちになるの。タカシくんといると。それに、」
タカシくん眠いの?って聞きたくなってしまうような穏やかな表情はもちろん好きだけれど、怖いくらいに厳しい表情もたまらなく好き。
「つまり、タカシくんの全てがすきよ。」
目を閉じ、開く。
開いたソノコの目に自分が映っている。から、視線は確かに交わっているのだとわかる。けれど、ソノコはどこを見ているのだろうと思う。低い声、ゆっくり語るソノコの声に耳を委ねる。
そうか。
映画館にいる、
小説を読んでいる、
音楽を聴いている、
木を見上げ溢れる太陽を見上げている、
そうか、ソノコは今きっと幸せの中にいる。
タカシは、ソノコの瞳を、眠気を誘う愛の歌が溢れるよく動く唇を沈黙のまま見つめる。永遠に見つめ永遠に聴いていたいと願う。そして、ソノコのひと通りの説明が終わるとタカシは、
「うん。どれも全部よく分からないけどうれしいよ。ありがとう。」
笑う。
「ソノコが好きならなんでもいい。」
ソノコの首筋に顔を埋め強く抱きしめる。
泣きたくなるような幸せをソノコごと抱きしめ、タカシは目を閉じる。
*********
タカシの髪には白髪があった。
「知的で上品だし、セクシー。」なタカシの髪の色はソノコと再会した日から約一年後の3人の最後の日までブラックになることはなくずっとグレーのままだった。ソノコは時々タカシのグレーを思い、
「タカシくんはネイビーが似合う人だった。」
今も変わらず確信する。
2 notes · View notes
elle-p · 11 months
Text
P3 Club Book Akihiko Sanada short story scan and transcription.
Tumblr media Tumblr media
真田明彦の難攻不落伝説
某日深夜---ここ、月光館学園巌戸台分寮のと ある一室で、その恐ろしくもおぞましい謀略は、徐々に形を現わそうとしていた。
「許せねえ······絶対に許せねえぜ、真田サン。いや、真田明彦ぉ!」
「じゅ、順平くん。そこまで怒らなくても······」
「甘いわよ、風花!私も順平に同感。食い物の根みが恐ろしいってこと······真田先輩の骨の髄まで思い知らせてやらなきゃ!」
「別に僕は、甘いものがそれほど好きって訳じゃないですが······美味しそうでしたよね。お土産のー日限定100個の特製プリン」
「わん!」
「コロマルさんも、ひとりで10個は食べすぎだと申しているであります」
「トレーニングで疲れてたか何だか知らねえけどよ、フツー全部食うか?俺たち仲間だろ?みんなの分残しとくとか考えるだろ!?」
「あ、あうう。り、リーダー、皆さんを止めなくていいんですか?え?······別にどうでもいい? ううううう······」
あまり恐ろしくもおぞましくもないようだが、ここからが恐ろしい。
「よっし!んじゃ、満場一致で “真田先輩をギッタンギッタンにしてギャフンといわせてグウの根も出なくさせる計画”、略してトリプルGプロジェ クトの発動を宣言します!」
「おーっ!」
この今どきどうよ、というネーミングセンスのなさが恐ろしい。
ともあれ、真田の天然ぶり---というより鈍感さに端を発する、特別課外活動部メンバーの怒りの鉄槌が、真田の頭上に振るわれようとしていた。だが彼らはやがて思い知る。真田明彦の天然もまた、ボクシングの腕前と同じように、超高校級であるということを······。
~フェイズ1 伊織順平&山岸風花~
「オレの武器は······これだ」
そう言って順平が取り出したのは、普通ならスポーツドリンクなどを容れるのに使う、ストローつきの白い円筒形のボトルだった。
「トレーニングで疲れたセンパイに飲ませるための、特製栄養ドリンクって訳だ」
「あんた······敵に塩送ってどうすんのよ?」
ゆかりの言葉に、順平はちっちっちと指を振って、恐るべき事実を公表した。
「これはな 風花の······手作りだ」
「そうなの。頑張って、作ったんだよ」
どよつ。
場の温度が下がり、驚愕のどよめきが走る。
「そ、そんな······順平さん。そこまで酷いことをしなくてもっ······!」
「こ、これは、ワシントン軍縮条約に抵触する可能性すら考えられるであります!」
「きゅ~ん······」
「順平······本気ね······?恐ろしい男······」
この液体がもたらす惨劇の予感に、その場にいた全員の顔が着白と化す。ちなみに、兵器開発もとい調理担当の風花は、皆の評価によって心に深い傷を負い、壁際でしくしく泣いていた。
「お!来たぜ!」
順平の言葉どおり、朝のトレーニング帰りの真田が寮の玄関から姿を現わした。すかさず順平がタオルとボトルを持って歩み寄る。
「センパイ!お疲れさんッス!どうスか?運動あとに特製ドリンクなんて?」
「おお、順平。ありがたいな、ちょうど喉が渇いていたところだ」
「しめしめ······じゃなくて、どーぞ!いい感じに冷えて、飲み頃ッスよ!」
何の疑いもなく、真田は順平からボトルを受け取ると、ストローに口をつけて中の液体を勢いよく吸い込んだ。
ずずずずずずずず!
何だか、嫌な感じに粘度を感じさせる音が響き······そうして、真田が口を開いて叫んだ。
「美味い!これはいけるな!」
「······へ?」
予想を裏切る真田のセリフに、唖然とする順平。そこに、真田の歓声を聞きつけ、何ごとかといった表情で桐条美鶴が現われた。
「どうした、明彦?」
「いやな、順平が作ってくれた特製ドリンクが、なかなか美味だったからな。美鶴も飲むか?」
ごく自然に、真田が美鶴にボトルを手渡し、そしてごく自然に、美鶴もストローを口にくわえる。付き合いが長い上、精神年齢的に成熟しているふたりは、間接キスなど気にはしない。······してくれれば、順平の制止は間に合ったろうし、その後の悲劇も防げたのだが
ずずずずず······。
やや飲みにくそうに、美鶴は頬に力を込めて体を吸い上げ、次の瞬間。
ぶびっ。
表情を変えないまま、美鶴の鼻の穴から腐った沼のような色の液体が噴出した。
「き、 桐条センパイっ!!」
美鶴の顔色が、黄土色から紫色、さらにはオレンジ色から緑色へと目まぐるしく変化する。そして最後は、ぐりんと白目を剥き、棒が倒れるような勢いでばたんと倒れ伏した。
「せ、せんぱぁあああいっ!!」
順平の悲痛な叫びがこだまする。それは、この後に来るはずの、美鶴の報復を予感し
ての、早すぎる断末魔のように聞こえた······。
~フェイズ2 岳羽ゆかり~
「えー、牛丼をプロテイン茶漬けで食べる、真田先輩の味覚を甘く見すぎてました。そこで、食欲以外のアプローチで行きたいと思います」
「順平さんはどうしたでありますか?」
「解凍に、あと半日はかかります。ついでに、風花も部屋にこもってしまい戦力外です」
計画の第1フェイズで、すでに彼らの戦力は激減している。あまつさえ、善意の第三者であるところの美鶴まで巻き込み、もはや失敗は許されない状況へと追いやられていた。
「で、あの······ゆかりさん、今度の作戦は?」
そう言う天田は、ゆかりから目線をチラチラと外しては戻すという、不審な���きを続けていた。し かし、それも無理からぬことだった。
「ズバリ!色気で落とすっ!」
きっぱりと宣言したゆかりの服装は、いわゆるボンデージ風のタイトな超ミニワンピース。服というより、数枚のラバー生地を紐で大雑増に繋ぎました、という感じの露出過多のデザインである。胸元や背中そして左右のサイドから、これかというくらいに眩しく、白い素肌を見せつけている。日ごろ弓道部で鍛えた均整の取れたプロポーションを誇るゆかりが着ると、これが意外と悪くなかった。第二次性徴期が来たかどうか微妙な年頃の天田ですら、頬を赤らめてぼうっとなるほでの色香を放っている。
「これで真田先輩をメロメロにして、さんざんしてあそんだ挙句に捨てるという、自分の非情が恐ろしくなるほどに完璧な作戦よっ!メイクバッチリ、ヘアスタイルもオッケー!」
「胸部の追加装甲も問題なしであります」
「アイギス、ひと言余計! 」
ちなみに、いま彼女らがいる場所は、白昼のポロニアンモールのど真ん中。真田は辰巳東交番の中で、黒沢巡査と話している。出てくるところを狙って、作戦開始という段取りである。
「あ、出てきた出てきた。んじゃ、みんな。行ってくるよーっ!」
何も知らずにやってくる真田を確認し、ゆかりがゆっくりと接近していく。2メートルほど近づいたとき、ついに真田がこちらに気づき、ゆかりと目が合う。すかさず身体をくねらせ、ほどよい弾力を感じさせる太ももを見せつけるように、グラビアアイドル風のポーズを取った。
「······」
つゆつゆつゆ。
······見事に、真田はそれをスルーした。
「んなっ!?」
たとえ色気が多少足りなかったとしても、後輩このゆかりをシカトするとは······。プライドを傷つけられ、ゆかりの中の女の意地が覚醒した。
立ち去ろうとしつつある真田をダッシュで追い抜き、くるりと振り向いて真田の進路を塞ぐように対峙する。さすがに歩みを止める真田。そしてその真田の目の前で、ゆかりは前かがみになり左右の腕でバストをぎゅっと中央に圧迫した。寄せて底上げした胸が、さらに押し付けられて豊かな双丘を形作る。そして---。
「セ•ン•パ•イ (はぁと)」
微動だにしないまま沈黙する真田。手ごたえあり!と、ゆかりが心の中でガッツポーズをしかけたとき、真田がゆかりに話しかけた。
「あー······月光館の生徒か?すまんな、覚えがない。しかし平日は制服着用が定められているはずだぞ?生活指導に見つからないうちに着替えに戻ったほうがいい。それじゃ、な」
つかつかつかつか。
再び見事にスルーし立ち去る真田。取り残されるゆかり。ひゅるりら~と風が吹いた気がした。完敗、というか惨敗、というか勝負にすらなっていなかった。あろうことか、ちょっと髪型を変えて化粧をし、いつもと違う服を着ただけで、真田はゆかりを知人だと認識できなかったのだ。よく年配のオジサンたちが、若い女の子はみんな一緒に見える、などと言うが、それのさらに酷いやつである。予想の斜め上を突っ走る真田の朴念仁ぶりと言えよう。
「せ、せんぱい······会ってからもう半年たつっていうのに······もてあそばれたー!酷いぃぃ!!」
真田の無心ゆえの見事なカウンターアタックで、ゆかりは精神を破壊されかねないほどの敗北感を感じていた。その再起には、まだしばらく時間がかかりそうだった······。
~フェイズ3 アイギス&コロマル~
「ホントに、大丈夫ですか?」
残る戦力となる、天田、アイギス、コロマルの3者が、夕方のランニングをしている真田を遠くから追跡しつつ作戦会議を行なっていた。
「大丈夫であります。私とコロマルさんがいれば、十全と言えるでしょう」
今度の作戦はシンプル。真田にコロマルをけしかけ、ズボンの尻でも破いてトホホな目にあわせてやろうというものだ。
「では、アイギス行きます!」
コロマルの首に結びつけたリードをしっかりと握り、アイギスが走り始める。さすがに運動性能が高いアイギスは、天田が見守る中、どんどんと真田に接近していく。
あと20メートル。10メートル。5メートル。4、3、2、1······あっさり追い抜いた。
「あ······」
見ている天田の額から、汗が一筋垂れる。その間も、アイギスとコロマルは走る走る。どうやら、久々の広い場所が嬉しくてしかたないコロマルが、目的を見失って猛ダッシュしているようだ。念入りにリードを手に絡めていたアイギスは、前に倒れそうになりながら振り解くことも止めることもできずに引っ張られ。
コケた。
そしてそのまま。
ずるずるずるずるずるずるずる。
1機と1匹が巻き上げる砂煙が、遠く地平線の向こうに夕陽とともに消えていくのを、ただ天田は見つめるだけしかできなかった。
~最終フェイズ 総攻撃~
「正攻法で行きましょう」
各々の理由で叩きのめされ疲れ果てた面々に、天田は溜め息交じりに提案した。だが。
「ダメだ······勝てる気がしねえ······」
「見た目はともかく声ぐらい覚えててよ······」
「ぜっはっぜっはっ (散歩して満足)」
「もはや、ベコベコであります······」
部隊の士気は、嫌が応にも低かった。
ちなみに、前髪が長い現場リーダーは、フェイズ2の頭あたりで、ばったり会ったクラスメイトの友近と、はがくれのラーメンを食べに行ってまだ帰ってきてはいない。ぐだぐだである。
全員が集まった寮のラウンジに、どよんと重く苦しい空気が沈殿する。と、そこに。
「おう、みんな。何だか元気がないようだが、どうした?風邪か?食中毒か?」
攻撃目標 • 真田明彦が現われた。トラウマがかった「ひぃ」という悲鳴を、誰かが上げる。
いったい、どうやって戦えば······どうすれば、勝てるんだ······。この、痛みを感じない (それ以外のものもあまり感じない) バケモノのような人に、どうやって太刀打ちすれば······?いっそ復讐代行サイトにでも依頼を······。
そこにいる全員が、絶望に覆われ心を闇に侵食されかけた、そのときである。
「おう、こら、アキ!」
「ん?どうしたシンジ?」
今日は朝からどこかに出かけていた荒垣真次郎だった。いつの間にか寮に帰ってきていたらしく、二階からドスドスと音を立てて降りてくる。そして、鋭い声がラウンジに響いた。
「てめぇ······昨日美鶴が買ってきた限定プリン、全部食いやがったんだってぇ!?」
「ああ、悪かったな。まぁでも普通のプリンと味は変わらなかったぞ。牛乳と卵と砂糖の味だ。今度コンビニで代わりを買ってきて---」
順平たちが問い詰めたときと同じ。謝っているようで、まったく謝罪の意味をなさない、それどころか被害者の神経を逆なでする、無神経な言葉の羅列。昨日は、この真田の態度にさんざん文句をつけたのだが、“たかがプリン” に目くじらを立てるということが、どうしても真田には理解できず、最後までこちらの怒りが伝わらなかったのだ。荒垣も真田の無反省な態度には怒り心頭に······発してはいなかった。むしろ、またかよ、と呆れたような 顔。そして。
「おい、アキ。ちゃんと謝らねえと······」
何を怒られているのか、わからない風の真田に、荒垣が投げかけた言葉は。
「絶交だぞ」
「ごめんなさい!」
真田のリアクションは、これがまた早かった。
「もう、人の分まで食うんじゃねえぞ」
「あ、ああ、わかった」
「食った分、おめえが買ってこいよ?」
「もちろんだ!」
その様子を見て、呆然となるラウンジの面々。
「あんなんで······良かったんですか?」
「今度から······荒垣先輩に頼もうね」
「その作戦を推奨するで、あります······」
そして、力尽きた後輩たちは、バッタリとソファに倒れこみ、そこからしくしくとやるせない泣き声が漏れ始める。その泣き声は、翌日の朝から行列に並んだ真田が、限定プリンを人数分買ってくるまで続いたのだった。
3 notes · View notes
moko1590m · 5 days
Quote
2021年に行われた調査では、アメリカ人の50%が「水道水で鼻うがいをしたり、コンタクトレンズを洗ったりしても問題ないと考えている」との結果が出ており、テイラー氏は「危険な勘違いです」と述べました。 ◆鼻は危険地帯 鼻の感染症が危険な理由のひとつは、鼻や副鼻腔(びくう)は表皮が薄く血管が体表に近いため、病原菌が血液中に入りやすいことです。ただでさえ鼻は感染リスクが高い上に、アレルギーにより炎症が起きて血管が拡張されると、表面から血管までの距離がさらに短くなるため、特に血管が損傷した場合の感染リスクが高まります。 また、鼻の周囲の血管は、頭蓋骨に流れ込む主要な血管とつながっており、病原体が副鼻腔から脳に移動する経路となることから、目と目の間と口の両端を頂点とする三角形は「顔の危険な三角形」と呼ばれています。 副鼻腔炎や顔のできものなどで増殖した病原体が、脳から血液を排出する「海綿静脈洞」という血管に広がると、血栓を形成して感染の拡大を防ごうとする防御反応により海綿静脈洞血栓症が発生し、最悪の場合死に至ることもあります。 ◆どんな人が鼻うがいを避けるべき? 前述の通り、鼻うがいは感染症のリスクを高めますが、テイラー氏が特に避けるべきだとしている人は大きく分けて3種類です。まず、何らかの理由で免疫力が低下している人は、鼻うがいで感染した病気が命に関わることもあるため、特に水道水を使った鼻うがいは避けるべきとのこと。 同様に、耳や副鼻腔に感染症がある人は、治るまで鼻うがいを控えるべきです。耳は耳管という管で鼻とつながっており、耳管内の圧力が高まったり、病原菌が他の場所に広がったりすると、さらなる感染の拡大や不快な症状を引き起こすおそれがあるのがその理由です。 また、鼻の中や副鼻腔が乾燥している人が鼻うがいをすると、鼻の湿度を保つ天然の保湿成分まで流れてしまいます。 こうした点からテイラー氏は「もし鼻うがいが有効だと思われる場合は、必ず滅菌生理食塩水を使ってください。どうしても水道水でやる場合は、沸騰させてから冷ました水を使いましょう」と述べました。
「鼻うがい」をすると命に関わることもあると専門家、水道水はもちろん滅菌水も非推奨 - GIGAZINE
1 note · View note
kennak · 1 year
Quote
東京都狛江市の住宅で住人の大塩衣与さん(90)が殺害された強盗殺人事件で、千葉県で起きた別の強盗致傷事件に関与したとして県警が逮捕した男のスマートフォンに大塩さん宅の住所が記録されていたことが捜査関係者への取材でわかった。関東地方では今年に入り、手口の似た強盗事件などが相次いでいる。警視庁は狛江市の事件に広域の強盗グループが関与しているとみて捜査している。
東京狛江の強盗殺人、広域強盗グループ関与か…千葉で逮捕の男のスマホから被害者住所 : 読売新聞オンライン
2 notes · View notes