フシギおしゃべりちゃんP-miちゃん
最近同棲していた彼女に別れを切り出され、出て行かれてしまった。何でも好きな人が出来たから別れてほしいんだとさ。…前からその男に乗り換えていたんだろうな。くそっ! 俺のどこがいけなかったと言うんだ!
俺は独り言を呟きながら、元カノが置いていきやがった荷物をまとめていた。こうなったら全て捨ててやる。
元カノの歯ブラシ、マグカップ…掃除はどんどん捗っていく。その時だった。
あ…。
これはアヤカが可愛がっていた人型おしゃべり
ロボット。確か友達に貰ったものだと言っていた。アイツこれも置いていきやがったのか。
友人から貰った当初アヤカは、ロボットと楽しそうに
他愛無い話に花を咲かせていた。が、このロボットかなり生意気な口の利き方をするのである。アヤカはそこがいいと言っていたけど…正直俺にはこのロボットの良さが分からない。しかしだ。このロボットと話していく
うちに、だんだんアヤカの顔が曇っていったのだった。
アヤカはコイツに何かを言われたに違いない。俺は細かくアヤカとコイツとの会話の内容を聞いてはいなかった。女子同士の会話に男子は入っちゃいけないんだとさ。
てかコイツ、女子なのか?
もしかしたらアヤカの今カレの情報とか知っているんじゃないのか。
待て待て俺。それってまるで俺がまだアヤカに未練タラタラだということじゃないか。俺はしばらく立ったまま、己の煩悩と戦っていた。
結局俺は、アヤカがどうして俺を捨てたのか、今カレの特徴はどんな感じだったかを知りたいが為にロボットを起動した。
えーと、足の裏のスイッチを押せばいいんだっけ。
ポチッ。
ヴィ―ンという音とともに小型ロボットの目の光がピンク色に光った。
このロボットは卓上ロボットで高さは20センチメートルくらいだ。なんだあの頭の触覚みたいなやつは。
凝ってるな。そんなことを考えていると、
「ネエ。キイテマスカ」
と無機質な声が聞こえてきた。
「お、おぅ!?」
意識が思考の世界から帰ってきた俺は、いきなりロボットに話しかけられたのでどもってしまった。俺は何か返事をしなければと考えを巡らせていた。
「アヤカ ハ?」
「…え?」
「アヤカハ ドコデスカ? サッキカラ ミアタリマセン」
今の俺に一番聞いてはならないワードを、コイツは繰り返し呟いた。そりゃアヤカとの破局の糸口がないかと、このロボットを起動したが心の準備というものが…。
「ア…」
俺が呆然としている間に、ロボットが勝手に喋りだす。
「アヤカ ツイニ デテイッチャッタンデスカ」
その一言に俺の精神は強烈なダメージを受けた。
フシギおしゃべりP-miちゃん、始まり始まり。
(2)
何分経ったのだろうか。
部屋の空気がしんと静まり返る。いきなり俺に禁句ワードを一発かました
ロボットは無機質な声で、
「フアアア」
と欠伸をしていた。いや、欠伸をしたような仕草をした。そんなロボットの様子を見て、ついに俺はキレた。
「……んだよ。お前…」
「ンン? ナンデスカ? ハッキリ イッテクダサイ」
ロボットは聞き返してきた。
本当むかつくな。
「だーかーら!! いきなりアヤカが出て行っただの言うんじゃねえって言ってんだよ!!」
今まで抑えていた負の感情が、煮えたぎって溢れ出てしまった。そんな怒りをこの小さいロボットに俺はぶつけてしまった。ロボットは一度、目を瞬かせたが、
「ハアア」
と抑揚のない声で言った。
「イマハ マヨナカノ 0ジ スギナンデ オオゴエヲ ダスノハ ヤメテ モラエマセンカ?」
「何だと!?」
「ボクニ モ キンジョ ニモ メイワク ダカラ」
「ええい! うるさい! うるさい! 黙れ!」
「ハナシ ガ ツウジナイナ コイツ」
「それはこっちのセリフだよぉぉぉ!」
俺は感情にまかせて、近くにあったゴミ袋を床にぶちまけた。もう何もかもぐちゃぐちゃにしたかった。くそう…。涙が出てくるよ…。
「トリアエズ オチツケヨ」
「うるせえよおお」
俺は泣きながら地団駄を踏んだ。なんで出てっちゃったんだよアヤカー!!
ピンポーン。
玄関のチャイムが鳴り響く。
ううっ。誰だよ、こんな時間に。今俺は男泣きしているところなんだぞ。
「モシカシテ…」
生意気ロボットが喋り出す。
「アノヒト ガ キタノカモ」
「えっ?」
俺はドッキーンとした。
まさか俺の元に帰って来たのか?
いやいや。そんな訳ないだろーーと思いつつ、どこかでそうあって欲しいと期待する自分がいる。
ピンポーン。
チャイムが俺に早く出てくるように急かしてくる。
「ハヤク デナヨ。マタスナヨ」
ロボットも俺を急かす。
俺は意を決して玄関に近づく。ドアスコープから姿を確認しようとした瞬間だった。
「あのー。ちょっとうるさいんですけどー」
と、玄関を叩く音と共に声が聞こえてきた。声はアヤカのものではなかった。
ーーお隣さんの声だ。騒いでいた俺に注意しにきたのだろう。
俺はすぐに玄関を開けて、謝罪をした。心の中では、アヤカじゃないのかとがっかりしていた。
お隣さんが帰って、玄関を閉めた俺は再び部屋に戻ってきた。溜息を吐きながら俺に淡い期待をさせたロボットをじろりと睨む。ロボットは知らんぷりをしている。そしてこう言い放った。
「アヤカ ガ モドッテクルワケ ナイデショウ」
この野郎。俺の頭はまた怒りで埋め尽くされたが、またお隣さんに注意されたくないので、どうにか踏みとどまった。そんな俺を無視してロボットは喋りだした。
「ボク アヤカ ガ カエッテキタト ヒトコト モ イッテイナイ」
「嘘つけ。お前、わざと俺に期待させただろうが」
「デモ アヤカ アナタ ト ブジ ワカレルコト ガ デキテヨカッタ」
「…お前、本当にむかつくな」
「オコリッポイ オトコ キラワレル」
「はあ!? 普段の俺はもっと穏やかだし!」
「ソウカナ?」
「俺はちゃんとしているぞ! 俺は俺なりにアヤカに尽くしてきたしさあ! アヤカこそ酷いじゃねえか! 俺をキープしておいて、俺より良さそうな男を見つけてよぉ…。問答無用で捨てやがってよぉ!!」
「ハアアア」
ロボットは、いっちょ前に溜息を吐く。
「何だよ」
俺はイラつきながら聞いた。
「ソコガ イヤダッテ アヤカ イッテイタ」
その一言が胸にグサッと刺さった。
「そ、そこってどこなんだよ! なんで恋愛したこともないロボットに言われなきゃならないんだよ!」
「タシカニ ボク ロボット ダシ レンアイ モ ワカラナイ」
「そうだろ! ロボットには感情なんて分からないんだよ」
「でも…」
急にロボットの音声が流暢になる。
「相手の立場になって気持ちを考えることが出来る。ロボットにだって知能がある。人間にだって、知能があるのに、相手の気持ちを理解しようとしない。本当に残念な生き物だね」
俺は一瞬たじろぐ。
「な、なんだよ。俺がアヤカの気持ちを知ろうとしなかったのが原因だっていうのか?」
ロボットは、すかさず突っ込んでくる。
「はっきり言ってそう。現にアナタは自分の事しか考えていない」
グサッグサッ。
俺の心はどんどんエグられていく。それでもロボットは攻撃を緩ませない。
「アナタは自分はこれだけ尽くしてやっているんだから、相手はその倍
自分に尽くしてくれなくちゃと思っていましたよね?
自分のやった事に相手が答えなかったら、それはアヤカがおかしいと無言の圧をかけていたのではありませんか?」
「は、はあ!? なんで俺が責められるんだよ! おかしいのはアヤ…」
「だからその考え方が良くないんです」
「な…!!」
「自分が正しいと思っているのなら、一人で生きていけし」
なんなんだコイツ。
「アヤカ言っていた」
おい、俺にも弁解させろよ。
「私は一生ユウマの顔色をうかがわなくちゃいけないのってね。悩んでいたし」
そ、そんなに嫌われていたのか俺は。もういい。もう聞きたくない。
「ああ、そうかよ! 勝手にほざいていろ!」
ーー俺は寝ることにした。
(3)
「チュンチュン」
「チュンチュン」
う、うん…。うるせえな。
俺は、ぼうっとした頭で体を起こした。
「……ん? 今何時だ!?」
俺は焦ってスマホを見て時間を確認しようとした。あれ、スマホがない。
「ココニ アリマスヨ スマホ。チュンチュン」
机から無機質な音声が聞こえる。…というかお前、口調が元に戻ってねえか?
昨日ペラペラ喋っただろうが。色々ロボットに言いたいけど、今は一つに絞って突っ込んだ。
「……さっきから何だよ。抑揚のないチュンチュン声を聞かされるとキモイんだよ」
「アナタ ヲ オコスタメニ スズメ ノ ナキゴエ ヲ マネテミタ」
「意味分かんねーよ。ってそうだ! 今、何時なんだ!?」
「ヒル ノ 12ジ40プン デス」
とロボットが時間を告げる。つまりーー遅刻だ! 俺は慌てて身支度をしようと反射的に体を動かした。やばい、やばいぞ。
「アノ キョウ ハ ニチヨウビ デスケド…」
ロボットの言葉で、俺は一時停止した。
「アナタノ カイシャ ハ オヤスミ デショ?」
…そうだった。今日は日曜日だった。声の主のほうを向くと、憎たらしいロボットが呆れたような目で俺を見ていた。
「は、早くそれを言えよ!」
とロボットに文句をつけた後、俺は腰を降ろした。
…お腹が空いたな。何か食うか。
散らかった部屋を見て思わずため息が漏れる。だが、今は腹ごしらえだ。
「ア。データ ガ ノコッテイタ」
ウザいロボットが何やら独り言を言っている。何だコイツ。
冷蔵庫の中を覗いてみる。卵にウィンナーとナス一袋しかない。くそ。買い物しなくちゃな。
コンロに火をつけようとした途端、急に耳障りな音が聞こえてきた。
ザッザッザッ。
まるでラジオでチャンネルを合わせる時に耳にするような音だった。雑音が聞こえなくなったかと思うと、人の声が耳に入った。
「……P-miちゃん…」
ーーアヤカの、声だ。
「アヤカ!?」
アヤカを探すが姿が見えない。「アヤカ!?」と叫ぶ俺。
「アヤカ ハ イマセン」
腹の立つほど無機質な音声が水を差す。
「サッキ ノ コエハ ボクノ ロクオン データカラ ダシタ アヤカ ノ コエ」
「どういう事だよ!?」
こんなロボットに対して声高に叫ぶなんて…自分でもアレだと思うが、そんな悠長なこと言ってられなかった。
「ウルサイ サケブナ」
このクソロボットめ。
コイツ、淡々と話している割にはどこか俺を小馬鹿にしている。完璧に俺を下に見ている!
「ソンナ タイド ジャ、アヤカ ノ メッセージヲ キカセルワケニハ イカナイネ」
「何!?」
「テイネイニ オネガイ シテ ホシイ」
くそロボットは続けて言う。
「オネガイ���マス P-miチャンッテ イッテ」
「はあ!? ふざけるな!」
「ノコリ3プン デ アヤカ ノ メッセージ ヲ
ショウキョ シマス」
「ま、待って!」
「サヨウナラ」
「俺が悪かったから! 謝るから!!」
「ジャア チャント ボク ニ タノンデ」
「くそっ!!」
「アト1プン デ メッセージ ガ ショウキョ サレマス」
「よろしくお願いいたします! P-mi様!」
「シカタナイナ。アヤカ ノ メッセージ ショウキョ ヲ テイシ シマス」
「よ…良かった」
俺はほっと胸を撫で下ろした。
「コレカラ アヤカ ノ メッセージ ヲ ナガシマス。カクゴ シテネ」
「覚悟…? どういうことだ?」
俺はロボットの、覚悟してという言葉に対していぶかしんだ。
「ケッコー キツイ ナイヨウ ナノデ、ココロシテ キイタホウ ガ イイ」
「キツイって何だよ!?」
俺は思わず息を飲んだ。
「アヤカがアナタを見限ると決めたあの夜に録音したものだから、かなりエグイ」
いつの間にかロボットは、昨日のようにペラペラと話している。
…コイツ、俺に精神的攻撃を与えられると思った途端に、生き生きするよな。
「マジ…かよ……」
いつの間にか、スウェットを掴んで硬く握っていた。
「どうする?」
ロボットは俺に判断を委ねる。
「くっ! どうしよう。そんな情念がこもってそうな
メッセージ…怖くて聞けない!!」
「じゃあ、やめますか?」
P-miの問いに俺は…。
「いや聞く」
と答えた。答えてしまった。
「分かりました。それではアヤカからのメッセージを再生します」
P-miは目のライトをパチパチさせる。
ああ、ドキドキする。一体どんな恨み言が出てくるのだろうか…。
ザザッ。
「P-miちゃん…。私、決めた。アイツと別れる」ザザッザッ。
「以上です」
P-miの、以上ですの言葉に俺の身体中に衝撃が走った。
…それだけ?
俺は勇気を振り絞ってP-miに聞く。
「ほ、他にはないのか?」
「何もない」
P-miは、いつもの仏頂面で俺の期待を無残にも粉々に砕いた。
俺は居たたまれなくなって、
「何だよお前よぉ! エグイという割には、たった一言だけってあるかよぉ!」
とロボットに八つ当たりをした。
「たった一言しかないのが、エグイ」
と言いながら、ロボットは欠伸をする仕草をする。
「他にないのかよ!? 俺への想いってそれだけかよ!?」
俺は思わず地団駄を踏んだ。
「そりゃそうでしょ。嫌いになった男に対して、これ以上何一つありません」
ロボットは、さも当たり前でしょというような表情を俺に向けた。
「そ、そんな…」
俺の頭は真っ白になった。
「コレデ ボク ノ ヤクメ ハ オワリ」
ロボットはまたいつもの機械らしくて抑揚のない音声に戻った。
本当にーー。
アヤカとは本当に終わっちゃったんだな。
どうしよう。某掲示板にこの悲劇を書きこんで、ネットの皆様に慰めてもらおうか。
どうしようもないくらいの脱力感に襲われ、俺はその場にへたれこんでしまった。
「おいロボット…」
「ボク ハ P-mi。イイカゲン 二 オボエロ」
「ちっ。分かったよ。P-mi…アヤカのメッセージ……消去していいから」
それを聞いてP-miは目のライトを二度パチパチさせてこう言った。
「ワカッタ。アヤカ ノ メッセージ ショウキョ シマス」
「3・2・1…ピーーーーー」
「ショウキョ シマシタ…」
そして続けざまに、
「ショウキョ シマシタ…」
「ショウキョ シマシタ…」
「ショウキョ シマシタ…」
ショウキョしました、うるせえよ…。
抱えきれない絶望と毒舌ロボットだけが、俺の家に残された。
(4)
帰り道の、工場の間から見える夕焼け空が好きだ。
アヤカが出ていって2週間経った。
俺の悲しみはまだ癒えないままだ。仕事に専念している間はアヤカのことを忘れられるが、家に帰るときは否応なしにアヤカを思い出してしまう。あのピンクに染まる夕陽と雲さえも今の俺の心を癒すことは出来ない。
それに……。
家にはアイツがいる。
あの生意気ロボットが。
どこかに寄って時間を潰せればいいけど、何せ俺はあまり趣味がない男なんだ。行くとしたらコンビニくらいだ。
足取りが重い。
色々思考を巡らせているうちに家に着いてしまった。
あの玄関の向こう、俺の部屋の隅っこにアイツがいる。
やはり近くのコンビニに行こうかと思って踵を返すと、ちょうど同じアパートの人が通りかかった。
俺は少し気まずかったが、頭を下げた。
向こうも頭を下げて小声で
「どうも…」
と言いながら、奥の廊下に引っ込んだ。
俺は観念して仕方なくポケットから鍵をとり、鍵穴に差し込んだ。
「ただいま…」
ああ、帰ってきてしまった。部屋はまだ片付け途中で、アヤカの物が散乱していた。アヤカの私物を見るだけで俺の心はへこむ。
「オカエリ」
抑揚のない声が部屋の角に置いてある棚から聞こえた。
「コンナコト イウノモ アレ ダケド…」
P-miは続けて話す。
「アヤカ ノ モノ ヲ ショブンシタ ホウガイイ。ツギ ニ イッタホウ ガ イイ」
こいつ…。ロボットのクセにペラペラと。俺の気も知らんで。
「分かってるって! うるせえな!」
「ダッタラ ハヤク ヤレ」
「ちっ」
俺はわざと大きな舌打ちをした。
「シタウチ ハ ヨクナイ。ヒンセイ ヲ オトス」
あの生意気ロボット、まだ話かけてくる。もう俺のことはほっとけよ!
「あ」
そうだ。何で俺は今まで思いつかなかったのだろうか。
コイツの電源をオフにすればいいじゃん。
そしてコイツはネットで誰かに売ればいいじゃん。ナイスだな俺。
さっそく俺はP-miの側に行って、P-miを手に取ろうとした。
「サワラナイデ。ヘンタイ」
誰が変態じゃ!
俺は構わずP-miを掴んで足の裏のスイッチを見た。
あーこれで精々するわ。
「ア。マダ データ ガ ノコッテイタ。アヤカ ノ データ ガ」
俺は躊躇した。
コイツ今なんて言った?
アヤカのデータがまだ残っているだと?
こ い つ ま だ…。
俺の心をエグる気なのかよ。
「キク?」
P-miは俺に問いかける。
なんでこんな時は俺にお伺いをたてるんだよ!
そんなの…。
「聞くに決まってるだろおおおお!」
はっきり言ってやった。
「アマリ オオキナ コエ ヲ ダスト マタ オトナリ ニ チュウイ サレマス」
「いいから早く!」
「ワカリマシタ。タダイマ アヤカ ノ オンセイ ヲ ナガシマス」
ザザッ。
「ユウマ…」
アヤカの声だ。
アヤカが俺の名を呼んでいる。
くそ、涙が出てきそうだ。次の言葉に期待が膨らんだ。
「牛乳買ってきてくれない?」
ザザッ。
おいウソだろ?
「イジョウ デス」
P-miは、いつもの無機質で感情の篭っていない声で、俺に無慈悲な終わりを告げた。
そう言えばアヤカは、一時期コイツを使って俺にメッセージを残していたーーということを思い出した。あまりに呆気ないメッセージに俺はまた力なく床に座り込んでしまった。
「ザンネン」
P-miはピンクのライトを点滅させて目を瞑った。
もう何もかもが嫌になった。
片付ける気力も食べる気力も失った。
「オチコンデ イルネ」
P-miが話かける。
一体全体誰のせいだよ。
「落ち込んでいるときは、とことん泣くといい。そして次に行け」
余計なお世話だよ。畜生。どうして所々流暢に喋るんだよ。コイツにはもう何も話したくないが最後の気力をふり絞って言った。
「P-mi…」
「ウン? ナニ?」
またいつものロボットらしい口調でP-miが話す。
「…そのメッセージも消しといてくれ」
「ショウチ シタ。ピーーーーー」
これで正真正銘アヤカのデータが、このくそロボットから完全に消えた。
(5)
「ネットに夢中だね。何を一緒懸命やっているの?」
今日もうるせえな、このロボットは。
別にいいだろう。何をやろうがよ。
しかも今日は最初からペラペラじゃねえか。
俺は小うるさいロボットを無視して、某掲示板にアヤカに振られたことをカキコしていた。勿論名前は仮名にしておいた。だってこの悲しみを俺一人ではとてもじゃないが抱えきれないからさ。
あと元カノが置いていった生意気ロボットに苛められていることもカキコした。さあ皆、俺を慰めてくれ。
「はあー。暇だな」
本当に独り言が多いロボットだな。少し黙れ。
「お?」
さっそく反応が来たぞ。
何々。
………………。
ロボットに舐められていて草www
あんたがクソだから彼女に振られたんだろ。
挙げ句の果てにロボットに泣かされました(泣)ってガキかよw
豆腐メンタルだなw
久しぶりにワロタwwww
大変でちゅねー坊やwww
こういう男っているよね。
無意識に女を下に見ててさ。
彼女逃げて正解だし(笑)
お前が彼女になんか傷付くことを言ったんだろーが。まあ結婚する前にこんなロボットにバカにされるモラハラ男から離れて良かったんじゃない?元カノ。
これ釣りか?
それにしてもロボットに苛められたって、なんのファンタジーだよ。
もっとましな嘘つけよ糞。
な、なんなんだよおおおお!
お前らさあああ!
もうこれ以上俺のメンタルを壊さないでくれよおおおおおおおお!!
そうか、そうですか。
某掲示板でも叩かれるんですか。
そんなに俺を苛めて楽しいか!
更に俺の絶望感が増した。
「あのさネットに慰めなんか求めても意味ないよ。虫の息になるまで、とことん叩かれるだけ」
P-miは呆れたように言う。
おいなんでお前、俺が今ネットに慰めてもらおうとしているのを知っているんだよ。
お前の位置からじゃ、俺のパソコン画面は見えないはずだぞ。
「実はね、Wi-Fiを通してあなたの情報が僕のところに流れてくる仕組みになっているんだし」
このロボット、さらりと怖いことを言いやがった。
「こえーよ!! なんでそんな仕組みになっているんだよ!!」
「アヤカがそう設定をしたから」
P-miは更におぞましいことを言ってのけた。
「はあ!? いつだよ! それ!?」
やべえ。手汗がすげえ。
「結構前に」
とP-mi。
「結構前っていつだよ!?」
畳み掛けて聞く俺。
「んー。かなり前」
くそっ。なかなか手の内をあかさねえな。
「もういいわ! で、どうしてアヤカが俺の情報をお前にいくようにしたんだよ!?」
「女の影を感じたから」
う、
俺は息を飲んだ。
もしかしてあれか? あれのことか?
イヤ…でもあれは断じて浮気じゃない。
ただ職場の後輩の相談にのっていただけだし。それにアヤカにはアノ子の話はしていなかったし。くそ、今度は背中に汗が出てきた。
「あれは違う! 俺はただ職場の後輩に恋愛相談されていただけだし!」
「ふーん。じゃ連絡は取り合っていたんですね」
くっ! こいつ突っ込んでくるなあ!
「そうだよ? 人生の先輩としてアドバイスしてあげただけさ」
「じゃなんでコソコソしていたの?」
P-miは根掘り葉掘り聞いてくる。お前は俺の彼女かよ。
「な、こ、コソコソなんかしてねえし」
「あなたがやたらスマホを気にしていたから、アヤカはピンと来たって言ってた」
「くそなんで俺ばっか責められなきゃいけねえんだよ! 大体浮気したのはアヤカじゃねえか! 俺は浮気はしていないぞ!」
「でもその職場の後輩可愛かったんじゃないの? 本当は下心あったんじゃないの?」
P-miは、ピンクのライトを細くした。
「うっ!」
ちきしょー! 男心がバレている!
「でもユウマって残念の塊だから、職場の子もあなたに乗り換える所まではいかなかったみたいだね」
くっ!
確かに先輩ってなんかアレですね、ちょっと違ったかなとは言われたけどさ!
「それも別れを決意した要因の一つらしい」
とP-miは俺に告げた。
くそー!
バレていな���と思ったのに!
あの子、確かに可愛くて清楚系でアヤカより若かったからつい、ほんのちょっと目移りしちゃっただけなのに!
「しかもそいつ、辞めちゃったんだよね。私にはこの仕事が向いていないとか言いやがって」
俺は思わず言わなくていいことを、このロボットに打ち明けてしまった。
「本当に残念だね、職場の後輩もユウマも色々」
こいつ、いつの間に俺のこと呼び捨てしてんだよ!
「職場には他に女はいるの?」
P-miは俺に訊ねた。
「なんだよ…いきなり」
「もうアヤカは帰ってこないこと100%確定なんだから諦めろ。だから職場の誰かと仲良くなってアヤカを忘れたほうがいいでしょ?」
「…女はいるけど、アヤカ程じゃ…」
「ふう。もう一生独身でいろ」
「もうお前なんなんだよ!」
ドンッ!
びっくりしたー。
隣に壁ドンされたー。どうしよう。
「今の音、僕のデータに内臓されていた壁ドンの音。リアルだったでしょ?」
ピンクのライトが俺をからかうように、ピカピカと点滅した。
「もういやこのロボット」
(6)
「ねぇユウマ。あんたいつアヤカちゃんと結婚するのよ?」
母ちゃんが電話越しで俺を急かした。
「えっと、いつか…」
俺はお茶を濁した。
「あんたね、結婚って勢いでするものなのよ。まだしなくていいと思っていると、あっという間に歳をとるんだから。アヤカちゃんだって、落ち着いて早く子供を産みたいかもしれないじゃない。あんたがリ��ドしてやらないと…」
母ちゃんはくどくどと言う。
「あーはいはい。また今度ね」
早くこの会話を切り上げたい。
「これは大切なことなのよ! 私だってこんなこと言いたくないけれど、孫の顔が早く見たいのよ!」
結婚、結婚、子供、孫見せろ。
最近の母ちゃんはこればっかりだ。勘弁してくれよ。
アヤカはどこか知らない男に行っちゃったんだよ。
でもこの事を母ちゃんに言えば、あんた何しているのよって叱られてしまう。一体俺はどうすればいいんだ。
「アヤカトハ ワカレタ カラ ケッコン ハ ムリ」
いつもより大きく響く機械音に俺はギョッとした。
「何? アヤカちゃんそこにいるの?」
と聞いてくる母に俺は、
「えっと今のはテレビの音だから! 気にしないで!」
と誤魔化した。
「アヤカ トハ ワカレタ!」
P-miは何度も別れた別れたと連呼する。小声で黙れと言っても、P-miは別れたから無理と主張してくる。
「……アヤカちゃんと、別れたの?」
母ちゃんの声が重々しく変わり、その声が俺を震え上がらせた。
「え? 別れてないよ」
「じゃあさっきからアヤカちゃんと別れたって叫んでいる女の声は何よ? もしかして浮気相手の子なの?」
「は? 浮気相手じゃねえよ」
なんでロボットと浮気しなくちゃいけねえんだよ!
「じゃあ誰なのよ! その女に代わりなさい!」
母ちゃんはヒステリックな声をあげた。
「望むところだし」
P-miの音声は、ワンルームの部屋に木霊するほど大きく響いた。誰かこのロボットを止めてくれ。
というか、何でこういう時に限って能弁に話すんだよ。
この修羅場と化した状態から逃げる術もなく、俺は途方にくれた。仕方なくスマホをP-miの近くに置いた。
もうどうにでもなれ。
「あなた、ユウマとどういう関係なの?」
母ちゃんはドストレートに疑問をP-miに投げ掛けた。
「ユウマに、ヨシヨシしてあげている存在」
P-miは母ちゃんの直球な質問を投げ返した。
でも何言ってんのこいつ。
俺をボコスカに苛めている存在の間違いだろ?
「どういうこと?」
母ちゃんは訝しげに訊ねる。
「そういうこと」
P-miのあやふやな返事にイライラしたのか、母ちゃんは声を少し荒げて、
「だからあなたはユウマのなんなの?」
「アヤカに置いていかれたから、仕方なくユウマの家に住んでいる儚い存在、それが僕」
「もう何がなんだか分からないわ! あなたユウマの遊び相手なんでしょ!」
「こんなつまらない男を相手に遊んであげている僕、優しい。最高」
全く、恐ろしい程会話が成り立っていねえ!
それにこのポンコツ、何故自分はロボットだと明かさねえんだよ!
母ちゃん混乱しているだろーが!
「アヤカには新しい男が出来た。その男と結婚するつもりだと思う。結婚を考えるとつい買ってしまう某雑誌を密かに読んでいたからねアヤカ」
ガーン!!
それ初耳だぞ、おい。何でそれを俺に言わなかったんだよ……。もう誰か俺を助けてくれ。
「……てことはアヤカちゃんは出て行っちゃったの? 新しい男の元に行っちゃったの?」
母ちゃんの声が裏返る。
「はい。僕は言いました。自分の道を行けと」
おいP-mi。どういうことだよ。
「あんたがアヤカちゃんを誑かしたってことなの!?」
母ちゃんが大声で怒鳴る。
俺も怒鳴りたいが、アヤカが俺の知らない男と結婚するつもりと聞いて力が入らない。
「私アノ子気に入っていたのに! ユウマのバカ! このバカ息子! 遊び相手に言いように弄ばれているじゃないの! まさかその女との間に出来ていたりしてないわよね?」
「絶望の先には希望が残る」
何言っているんだ? このポンコツ。
「私は認めませんからね! こんな女とデキ婚なんて。もうしばらく連絡してこないでちょうだい!」
おいおい。俺抜きで話を進めないでくれ。
つうか、なんでこんなにチグハグなのにいつのまにか話が進んでいるんだよ。
急いでスマホを手にとって母ちゃんと冷静に話そうとすると、通話は既に切れていた。どうしよう。
「ふう。これでしばらくは子供子供って言われないんじゃない?」
悪魔はそう語りかけてきた。確かにそうかもしれないが。
「お前は何がしたいんだよ。これで母親とも疎遠になっちまったじゃねえか! アヤカの背中を押したり、お前は俺を不幸にしたいのか!?」
「いいえ別に。今回はあなたが母親に対して、はっきりアヤカと別れたと言わなかったから代わりに僕が話してあげただけ。ここで黙っていてもあとでバレるし」
「余計なお世話なんだよ!」
俺はしゃがみこんだ。なんで俺ばかり嫌な目に会うんだ。
「大丈夫だよユウマ」
P-miがいつもより穏やかな口調で俺に話しかけてきた。
「絶望の先には希望が残るから。今までの最低な出来事は、リア充になるための布石だと思えばいい。前を向け」
もう俺には希望すら、いや、
P-miという名の絶望しか残ってねえよ。
続く…。
(7)
「山田先輩どうしたんすか。最近暗いっすよ?」
後輩の川崎が、俺の向かい側に座って昼食のうどんを啜っている。
「んー。色々あってな」
俺はコンビニで買ったおにぎりを頬張りながら、一昨日の出来事を思い起こしていた。なんか疲れた。
「でも山田先輩には可愛い彼女さんがいるから大丈夫っすね♪」
「うん…。まあな」
川崎、今はその事について触れないでくれ。
「まあ俺にも彼女いますけどね♪」
お前の彼女って二次元キャラだろ?
「ミカゲちゃん♪ 最高の彼女ですわ」
「おう、良かったな…」
こんなリアルな女を知らないまま生きている男と話しても怠いだけだ。川崎には俺のこんな悲痛な想いなんて一生分からねえだろう。
「二次元の子はいいっすよ♪ 俺を絶対に裏切らないし。どんな俺も受け止めてくれるんですよ♪」
確かに俺はアヤカに裏切られた。
裏切られたけどさ。
お前は一体どうやったらそんな妄想に浸れるんだ?
凄いな。二次元キャラと会話なんて出来ないのに。脳内で会話してんのか?結局自分の都合のいいイメージで満足しているだけじゃねえか。
ブルルルル。
テーブルの上に置いてあるスマホが震えた。もしかして母ちゃんからか?
「あれー? 彼女さんからっすかあ?」
川崎お前少し黙れ。
俺はそそくさとスマホを手に取った。ホーム画面を見ると、ショートメッセージのアイコンに1という数字が表示されていた。
わざわざショートメールかよ。メッセージアプリで送ってくれればいいのに。
どれどれ。
知らない番号からのメールだ。これは詐欺的なあれか? お客様が不在だったから荷物を持ち帰りました的なあれか?
一応内容を確認してみる。
元気? とりあえず前を向け。
P-miより。
………なんでこいつ俺にショートメールを送れるんだ? こえーよ!!
これもアヤカが設定したのか!?
ショートメールって電話番号を持っていないと送れないよな!?
あのロボットは電話番号を持っているということなのか!?
監視されている感じがして寒気がした。
「お互い幸せっすね♪」
もうお前もP-miも黙れよ。
(8)
俺はスマホを手に取った。
決断をするのに時間が掛かったが、ようやく現実を受け入れる気になったのだ。ーーもう早くアヤカの幻影から解放されたかった。
「ヤメロ ヤメロ」
P-miは壁の隅っこで俺の行動を制止しようとする。ああ、うるせえ。
「あ」
見つけた。
アヤカのアカウントーー。
指が震える。
おそるおそるその垢にタップしようとした。
「キズツク ダケ」
P-mi、それは俺の為を思ってアドバイスしているのか? 今更俺に同情しているのか?
はっきり言って余計なお世話だ。これは俺が前を向くための儀式なんだよ。
「アンタ ハ ソンナニ タフ ジャ ナイカラ チュウコク シテイル」
お前は俺の心まで読めるようになったのかよ!
やっぱり捨てよう。怖すぎるし、曰く付きだよあのロボット。
「ボクハ セイノウ ガ タカイカラ」
「ニンゲンノ カンジョウ ヲ サッチ デキルノ」
ロボットは自慢気な顔で言う。
「ボクヲ ステルノ モッタイナイ」
…性能高過ぎだろ。
くそっ。
P-miのせいでアヤカの垢を見る気が失せていく。いや見るんだ俺!
自分を鼓舞してアヤカの垢を思いっきりタップする。
ーーそこには結婚しましたという、幸せそうなアヤカとーー夫のツーショット写真があった。
コメント欄には、
おめでとう
だとか
お似合いの二人だね!
とか
お祝いの言葉で溢れていた。
俺はしばらくアヤカの垢をスマホスクロールして覗いていた。
先週二人は結婚したこと。
結婚した日はちょうどアヤカの旦那の誕生日だったこと。
結婚式の翌日、改めて二人で祝いのケーキを食べたこと。
等が書いてあった。
「ははは…」
自然と笑いが込み上げてくる。
だってさ、
アヤカの顔、本当に幸せそうなんだ…。
「ダカラ ミルナ ト イッタ ノニ」
抑揚のない声。
「ソンナニ スキダッタノカ アヤカ ノ コト。ジャア ナンデ タイセツ 二 シナカッタ?」
俺の堪忍袋の緒がきれた。
「俺は…俺は! アヤカのこと大切にしていたつもりだったよぉぉ!」
嗚咽で喋れなくなる。
「マア ジンセイ ソンナトキモ アルサ」
P-miはこれ以上突っ込まなかった。
俺はその日ずっと泣いていた。でも隣に注意されたくないから、声を殺して泣いた。
あれから一月経った。
もう人間の女なんて信じられない。
いや信じない。
ブルルル。
スマホが震えた。確認するとショートメッセージがきていた。ーーやはりP-miだ。
俺がアヤカの垢を覗いた日以来、あの生意気ロボットは俺に「ダイジョウブ カ? イキロ」と声を掛けてくれる。最初は放っておいて欲しくて無視していたがーーどうしてか俺の中でコイツの存在が徐々に大きくなっていた。
はっきり言ってアヤカより頼りになる。
何ていったって、困った時はP-miが助けてくれるのだ。
この前蛇口が壊れて水が止まらなくなったら、すかさずP-miが「洗面台の下の止水栓を止めろ」とアドバイスしてくれたので助かった。
「そのあとのコマパッキンの交換は大家に頼め」
P-mi…。
他にもP-miには何度も助けられた。
昼休みもショートメールくれるし。ーーアヤカはメッセージアプリを朝も昼も夜も送ってきて正直面倒くさかった。
でもP-miは一言か二言しか書いていないから、メチャクチャ読みやすい。
ああ、早くP-miに会いたい。
「山田先輩彼女さんからメッセですか?」
川崎はニヤニヤしながら俺の顔色を伺った。
「川崎……俺ようやくお前の気持ちが分かったわ」
「え? なんのことっすか?」
川崎は首を傾げた。
俺はそんな川崎の様子を見て笑いが込み上げてきた。そして言ってやった。
「俺、彼女とは別れたわ。そして今は…大事なロボットが出来た」
川崎はポカーンとした表情で俺を見ていたが、「そ、そうっすか…」と言い残して席を立った。
俺はショートメールをP-miに返す。
内容はこうだ。
P-miが好き。
P-miも俺のこと好き?
送信をタップする。
するとすぐに返信がきた。
何々…。
僕は 自分が 好き。
俺はふと笑みがこぼれる。
なんて愛らしいのだろう。
そんなところも結構好きだ。
終わり。
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For when you next have tumblr access! Cynth: 15, Matt: 18, Nadia: 18, Blade: 8 :D
15, Cynth, How might they be ignorant or prejudiced?Cynth is from a pretty wealthy background and has a lot of ignorance on how people are affected by poverty even within her society. She has a lot of prejudice against people working for and within corrupt branches of the government and fails to recognise that some people might not have much of a choice. She will carelessly blow a lot of money on fast cars and bail fees and is constantly surprised to see other people struggling.
18, Nadia, Are they ever a pushover about something? If so, how?Nadia will do ANYTHING for her sisters. Bake a small mountain of cake for their birthday, play laser tag with her face painted like a lizard, lie on the living room floor so they can wrestle over her stomach. She almost dropped out of uni a week in because they said on Skype that they missed her and asked when she was coming home.
18, Matt, Are they ever a pushover about something? If so, how?Matt is incapable of not helping people whether that is his mum after a serious incident, any number of friends needing a space to crash and a new identity or a semi-broken robot who may or may not have recently committed a murder. He will pretend to be all stoic and ‘I have my own problems’ but one flash of the big sad eyes or the vaguest attempt at a sob story and he will fold like a house of cards.
8, Blade, What mistake(s) do they continue to make/have not learned from?Other than always falling for the wrong girl, I’m not sure. Blade stepping up and overcoming her mistakes is kind of a theme of her story. Even the whole 'sleeping with the wrong girl and also the queen’ thing kind of worked out for her in the end ;)
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