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#ヴィクトル誕生日
nerohellsing · 1 year
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Today is the Christmas and Victor’s birthday! 🥳🥳🥳 Which plans do you have for this day? Tell in comments! And Merry Christmas for all of you! I hope we know something about Ice Adolescence in 2023 :D __________________________ #ヴィクトル・ニキフォロフ誕生祭2022 #ヴィクトル・ニキフォロフ生誕祭2022 #ヴィクトル誕生祭 #ヴィクトル誕生日 Victor Nikiforov - me ( Nero Hellsing ) Ph/Ed: @dokura_photo _________________________ • #YuriOnIce #victornikiforov #cosplay #ユーリオンアイス #yurionicecosplay #ユーリonICE #yurioniceedit #victornikiforovcosplay #victuri #yurioniceanime #victuuri #victuuricosplay #コスプレ #コスプレイ #merrychristmas #christmascosplay #victornikiforovedit #xmas #christmas #cosplaymodel #cosplayphotography #cosplayersofinstagram #iceadolescence (at 東京 Tokyo) https://www.instagram.com/p/Cml-zmGLdMO/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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ruby0403 · 4 months
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𝑀𝑒𝑟𝑟𝑦 𝐶ℎ𝑟𝑖𝑠𝑡𝑚𝑎𝑠♥️
本日はヴィクトルの誕生日でもあります。
ヴィクトルお誕生日おめでとう🎉
Happy Birthday Victor♥️
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mrakmrakmrak · 1 year
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ヴィクトル誕生日おめでとう!!!
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icebluevic · 5 months
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利くん、誕生日おめでとう🎉
ずっとずっとヴィクトルと一緒に幸せでいてください✨
ユリアドもずっと待ってる❗️
意外にも、初めてカラーで描いたあのタキシード姿!
お姫様抱っこは、羽生結弦さんの写真を参考にしました。
そして、早くに完成してしまったので、ユーリ垢では初めて、旧友にアドバイスをもらい修正し(口角以外ほぼ塗り)自分でも気付いた所を直しまくり!
誰かに���せると客観視できるのなぜ?😂
華がないんやーと言ったらこうすれば良い!とか、色での奥行きの出し方とか、いまいちできてなかった反射光とか、引き算は大事とか、学ぶ事が多いわ〜❗️
旧友ありがとう❤️
初めてアルコールマーカー(筆)風ブラシ使用
4番目はアイビスペイントの背景素材(加工してます)と、LINE cameraのフレームを使用して遊んでみた❤️
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veggiebunbuntmlr · 3 years
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❄⛸12/25 HAPPY BIRTHDAY VIKTOR 🎂
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fujiyl2 · 5 years
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ヴィクトル誕生日おめでとうございました!(去年描いたもの)
※Viktor, Happy birthday! (What I drew last year)
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kirariky · 4 years
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ヴィクトルお誕生日おめでとう!! Happy Birthday💕💕💕
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sorairono-neko · 3 years
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いくつになったの?
「もうすぐきみの誕生日だね」  ヴィクトルがそう言ったとき、勇利はきょとんとした顔をした。忘れていたのだろう。無理もない。ちょうどその日はグランプリシリーズの日本大会の日程になっており、つまり勇利には試合があるのだ。演技を熟させようというこの時期に、誕生日のことなど考えているはずもない。もっとも、勇利の場合、試合のないときだとしてもおぼえていなさそうではある。そういうことに関心がないのだ。勇利が気になるのは、スケートと、ヴィクトル・ニキフォロフのことだけだ。 「そういえばそうだね」  思ったとおり、彼はとくにどうということもないという挨拶だった。ヴィクトルはほほえんだ。 「ちょうど日本大会だし、お祝いされるんじゃないのかい」 「そうかもしれない。でもそれどころじゃないよ。ああ、誕生日か。いやだな」 「なぜ?」 「みんな何かを期待するだろうから」  ヴィクトルは笑ってしまった。確かに、誕生日をすばらしい演技で飾れるだろうか、というような見方はされるだろう。少なくとも、テレビ放送の実況者はひとことはふれるにちがいない。祝福のケーキなども用意されているかもしれない。勇利はそういったことが苦手だ。 「でも、いいこともあるかもしれないよ」 「いいことってどんな?」 「さあ……」  ヴィクトルは、勇利が生まれてきた日はうれしいから、単純にみずからのそうした感情に照らしあわせ、いいことが起こるにちがいないと言ったのだった。しかし勇利は何か特別なことを想像したらしい。用事があったため、ヴィクトルが勇利より遅く帰宅したとき、彼は居間でなにやらふしぎなことをしていた。 「あ、あの、演技とてもすてきでした。ぼく、見蕩れてしまいました……」  誰と話しているのかと驚いてヴィクトルが部屋をのぞくと、勇利は両手を握りあわせ、うっとりと宙をみつめているところだった。ヴィクトルはわけがわからず、大きく瞬いて彼の姿を凝視してしまった。 「そうかい? どうもありがとう。きみの演技もよかったよ」  勇利は立っている場所をぱっと変え、さっきまで自分のいたところを見てそう言った。どうやら勇利自身とは別人を演じているらしい。 「えっ……見てくださったんですか……!? そんな……」  勇利はもとの位置へ帰り、感激したようにひとみをうるうるとうるませた。ヴィクトルはすこし考え、なんとなくわかったような気がした。 「ああ、そういえばきみは今日が誕生日だったね。おめでとう」 「えっ! ヴィクトル、どうして知って……うそ……うれしい……」 「そうだ。誕生日プレゼントに俺と話をしないか。スケートにつ��て語りあおう」 「ヴィクトル……!」  勇利は忙しく二役を演じ分け、「誕生日をヴィクトル・ニキフォロフに祝ってもらう勝生勇利」というふしぎなひとり芝居をしていた。ヴィクトルは笑いをこらえるのが大変だった。どうやら彼はヴィクトルに演技を見てもらえないと思っているらしいし、ヴィクトルが勇利の誕生日を知らないときめてかかっているようだ。相変わらず勇利の考えることはよくわからない。それにしても、欲しいプレゼントが「スケートについて語りあう」だとは。せっかく妄想するのだから、もっと何かあるのではないかとヴィクトルは��笑しくてたまらなかった。いや、むしろ勇利の最高の望みはそれなのかもしれない。 「ただいま」  あんまり見ているのも悪いので、ヴィクトルはさっさと扉を開けて中に入った。勇利がびっくりして振り返り、ヴィクトルの表情を見て、かーっと耳まで赤くなった。 「み……見た……?」 「見たよ」 「うそ……」  勇利は両手で頬を押さえ、ソファに座りこんでしまった。普通なら「ヴィクトルのことで妄想しているところをヴィクトル本人に見られた」と気恥ずかしくなる場面だけれど、勇利はちがう。彼は笑みをふくんだヴィクトルの視線にそっぽを向くと、拗ねたように言った。 「ぼくだってヴィクトルがこんなふうに親しくしてくれないことくらいわかってるよ! そんなに笑わなくてもいいじゃん!」  このひとことにこそ、ヴィクトルは噴き出すところだった。勇利の頭の中はいったいどうなっているのだろう。本当にわからない……。しかし勇利はこういう子なのだ。 「べつに笑ってなんかいないさ」  ヴィクトルは彼の隣に腰を下ろし、気軽に言った。 「うそ。ぼくがありもしないことを想像していい気になってるって思ってる」 「思ってないよ。それに、もしかしたら本当にそういうことがあるかもしれないだろう?」  勇利は溜息をつき、ゆっくりとかぶりを振った。 「ないよ……。そんなことない」 「そうかな」 「ヴィクトルには試合があるんだよ。一緒に出る選手の誕生日にかかわってる時間なんてないよ。そもそも知らないだろうし」 「それは残念だね」 「いいの。べつに。ただ想像して浮かれてただけだから。ヴィクトルと同じ試合に出られるだけで、ぼくは、もう……」  勇利は頬を紅潮させ、またうっとりとした目つきになった。確かに日本大会にはヴィクトルも出場するけれど、もちろんヴィクトルは勇利の演技を見るし、彼の誕生日も祝うつもりだった。 「……とにかく、運がいいっていうこともあるかもしれないから……、ヴィクトルに見られても恥ずかしくない演技をしなくちゃ」  勇利は決意をあらたにしたように、大きくひとつうなずいた。 「がんばる。……ああ、ヴィクトルはどんな演技を見せてくれるのかな。早く見たいな……」  本番の演技はともかく、ヴィクトルの練習は毎日見ている勇利は、そんなふうに夢見る目をするのだった。  エキシビションの衣装を着て廊下を歩いているとき、物陰に勇利の姿をみつけてヴィクトルはほっと息をついた。いったいどこへ行ったのだろうと思っていたのだ。お互い取材やスケート連盟との打ち合わせがあり、ホテルの部屋へ戻る時間も異なって、せっかくの誕生日だというのに、試合後、なかなか彼に会えなかった。ようやく顔を見られた。  しかし勇利は柱の陰から目元をちょっと出して、通り過ぎるヴィクトルをまっかになってみつめているだけだった。あのとき妄想していたようには、自分から声をかけてきそうにない。それではとヴィクトルは立ち止まり、笑顔で彼に話しかけた。 「やあ、勇利」 「えっ」  勇利は驚き、どぎまぎしてすこし後ろへ下がった。おもしろかったけれど、ヴィクトルはできるだけ平静を装おうとした。 「あ、あの……な、なんですか?」  勇利はいまにも逃げ出しそうだ。なぜなんだとヴィクトルは可笑しかった。ヴィクトルを完全に選手として見ているとしても、彼はヴィクトルに遠く及ばないような成績ではないのだし、友人のように話しかけてくればよいのに。もっとも、勇利にはそれは無理なことなのだろう。ヴィクトルだってそれくらいはもうわかっている。ただ、ふしぎで愉快だ。 「きみの演技を見たよ」  ヴィクトルはにっこりした。勇利は緊張しすぎて、自分から「ヴィクトルの演技すてきでした」とも言えないようだ。 「えっ、あ、え……?」  勇利は二役でしていたお芝居のときより感情をみだし、足元がふらついて、いまにも倒れそうだった。 「演技? 演技って? 演技ってなに? ぼくの? 演技?」 「きみの演技だよ。きみのプログラム。とてもよかったね。叙情的で、音楽的で……音が完全にきみのものになっていた」 「演技……プログラム……え……? え、ぼくの……? あ、ありがとうございます……え……?」  勇利はまだよくわかっていないようだ。しかし自分が言われたことの意味はわからなくても、言うべきことは思い出したようである。 「あっ! ヴィクトル、ぼく貴方の演技見ました!」  彼は突然、まるでいまこの瞬間にスケートの話を始めたかのような口ぶりで叫んだ。 「すばらしかったです。あの……すばらしかったです……」  勇利のひとみがうるうるとうるんだ。 「あんまりすてきすぎて……ぼく泣いちゃって……」 「ありがとう。きみのスケートも最高だよ」 「ぼくのスケートが……なに……?」 「そうだ。きみ、誕生日だね。おめでとう。いくつになったのかな?」 「何が? 誕生日? いくつ?」 「じつは、勇利がいくつになったのか、俺はよく知ってるんだ。とにかくおめでとう。よかったらあとでお祝いさせてくれないか。きみとスケートの話がしたいな」 「いくつ……お祝い……スケート……話……」  勇利には話の筋道が立てられないようだ。腰を抱いて優しく髪を撫で、ひとつひとつ説明してあげたいけれど、いまは時間がない。 「さあ、そろそろきみの出番だよ。エキシビションもきっとすてきだろうね。行ったほうがいい。楽しみにしてるよ」  勇利は係員に呼ばれ、ふらふらしながら去っていった。彼は口の中で、「出番……エキシビション……ヴィクトル……お祝い……スケート……」とくり返していた。大丈夫だろうか? いや、問題はないだろう。彼は氷の上に立つと豹変するのだ。  ヴィクトルはリンクサイドで勇利の演技を見た。思ったとおり、ライトを浴びた勇利はすずしげな凛々しい顔をしており、すこし緊張してはいるようだけれど、上品で優美な演技を披露した。ヴィクトルはほほえみながらそれをみつめていた。やはり勇利のスケートはすばらしい。どのようにしてあんなふうにすべっているのだろう? 彼のコーチになってもその謎はとけないままだ。永遠にわからないだろうし、それがよい。  勇利が戻ってきたとき、ヴィクトルは、彼がエッジカバーをつけるためにフェンスに置こうとした手を、自分が代わりに取って支えた。勇利はつめたい感触ではなくあたたかなてのひらに受け止められたことに驚き、顔を上げて目をみひらいた。 「しっ」  ヴィクトルは彼の耳元にささやいた。 「次の選手の演技が始まるよ……騒いじゃいけない」  勇利は反対の手で口を押さえ、こくこくと大きくうなずいた。それからヴィクトルに寄りかかりながらカバーをつけた。そのあいだじゅう、彼は必要以上にうつむいていた。ヴィクトルの顔を見られないといった様子だった。 「俺の出番は次なんだ」  ヴィクトルは勇利の耳にさらに口を寄せて低く言った。勇利がまたこっくりとうなずいた。もちろん知っているだろう。彼が知らないはずがない。 「勇利、ここで見ていてくれるね」  勇利がそのつもりでいることをヴィクトルは承知していたけれど、それでも彼に約束して欲しかった。勇利は相変わらずものも言えないという態度で、ヴィクトルを見上げて、やはり声もなくうなずいた。ヴィクトルはにっこりした。ヴィクトルの前の選手の演技を見ながら、勇利は黙りこんでいた。 「眼鏡はかけないほうがいいよ」  ヴィクトルは忠告した。勇利はやっと口をひらいた。 「眼鏡がないと貴方がよく見えません」  ヴィクトルは笑いだした。彼は了解し、それじゃあ、と続けた。 「いつでも外せるようにしているといい」  ヴィクトルはリンクへ出ていき、拍手と喝采を浴びた。しかしすぐに氷の中央へは行かず、係員に寄っていってマイクを受け取った。 「やあ、みんな。さっきの勇利の演技、すばらしかったよね」  ヴィクトルは英語で話したけれど、彼が何かするだろうと待ちかまえていたファンたちは心得ているらしく、歓声を上げてこたえた。 「みんなも知ってるよね。そんなすてきでうつくしい勇利は、この日本大会で誕生日を迎えた」  もう一度歓声が上がった。 「こんなにうれしい日はないよ。俺はいま、ひどく浮かれてはしゃいでるんだ。勇利がいてくれることが俺の幸福なんだ。いまからすべる演技を、愛する俺の勇利に捧げるよ」  この日いちばんの歓声が降りそそぎ、ヴィクトルはマイクを返した。そして言葉どおり、勇利に捧げるために演じた。「離れずにそばにいて」。勇利がヴィクトルを日本へ呼び寄せたプログラムだ。もう以前のような演じ方ではない。ヴィクトルは勇利と出会い、愛を知って変わったのだ。あんなすべりは二度としないだろう。勇利がこれを演じるときともちがう──しかし、魂をわかちあっているとわかる踊り方だった。 「どうだった?」  リンクサイドへ戻ったヴィクトルは、口元を両手で押さえて目をみひらき、涙をいっぱいにたたえている勇利に笑いかけた。勇利の頬はまっかだった。 「さあ、締めくくりだね。おいで。眼鏡は俺が外してあげよう」  ヴィクトルは勇利から眼鏡を取り上げ、彼の手を引いて氷の上にエスコートした。 「ま、待って──待ってください」 「どうしたんだい。おや、戸惑ってるね。気にすることはない。きみはいま氷の上に立つべきひとなんだよ。俺は俺のプログラムをきみに捧げたんだから。大丈夫さ。コーチに怒られる? 俺があとで説明しておくよ」  もちろんこのときに勇利とすべるプログラムはデュエットの「離れずにそばにいて」で、勇利は驚いたことに、緊張のあまりか、何度もつまずきそうになった。ヴィクトルは笑いをこらえながら、彼を助けて上手くすべれるようにしてやった。演じ終わったとき、勇利はいつもより息をはずませ、わけがわからないという様子でほとんど立っていられないようだった。 「大丈夫かい?」 「あ、あの……」 「楽しかったね」 「ええ、でも……」 「いままででいちばん失敗しそうなデュエットだったね。それもいいさ。勇利、誕生日おめでとう」 「ヴィクトル、あの──」  勇利がけなげにヴィクトルをみつめた。ヴィクトルはほほえんで、彼の言葉はひとつも聞き漏らさないようにと顔を近づけた。 「なんだい?」 「あの、あの、ぼく──」 「ああ」 「ぼくはいったいいくつになったんですか?」  ヴィクトルはあぜんとした。次の瞬間、彼は笑いだし、勇利を抱きしめて頬ずりをした。 「それでね、ヴィクトルがね、ぼくのためにすべってくれたんだよ。もう本当に信じられないよ。そんなことってある? ヴィクトルがぼくの誕生日を知ってるだけでもびっくりするのに、ぼくに──ぼくに──プログラムを捧げるなんて──ああ! 夢じゃないのかな? 本当に起こったことなの? まだぼうっとしてるよ。ぼくはまぼろしを見たのかな? 妄想かもしれない。ヴィクトルが好きすぎてとんでもないことを考えるようになっちゃった。ねえ、ぼくおかしい? 大丈夫? あぶないやつに見える? ねえ、どう? 変?」  勇利が興奮して口早に話すのを、ヴィクトルは窓際のソファに座ってテーブルに頬杖をつき、くすくす笑いつつ聞いていた。 「そんなことあるわけないよね? やっぱり夢だったんだ。でも、手を握られた感触が残ってるんだよ……夢の中から感覚まで持ってきちゃうなんて、ぼく……相当……」 「勇利、それは本当にあったことだよ。心配しなくていい。ヴィクトル・ニキフォロフは勇利のために一曲プレゼントしたし、そのあとふたりでデュエットもしてたよ。俺が保証しよう」 「本当?」 「本当さ」 「本当に本当?」 「ああ、まちがいないね」 「…………」  勇利は両手でおもてを覆ってうつむいてしまい、ヴィクトルは笑いながら立ち上がった。彼は勇利の肩を抱きソファに座らせると、冷蔵庫を開けてちいさなケーキを取り出した。 「俺からも祝わせてくれるかい? それとも、俺からの贈り物には勇利は興味がないかな?」  勇利はぱっとおもてを上げると、一生懸命にヴィクトルをみつめ、「そんなことない!」と叫んだ。 「そんなことない……そんなことないよヴィクトル……」  ヴィクトルはにっこりした。 「それはよかった」 「何をくれるの?」  ヴィクトルは勇利の前にケーキを置き、彼の髪を撫でた。 「このケーキと……」  勇利は星のように輝くひとみで熱心にヴィクトルを見た。 「俺の時間だよ」 「時間?」 「このところ、お互い忙しくて、練習以外で話せていなかったからね。だから勇利とゆっくりしたい。勇利の話をなんでも聞くよ。話さなくてもいい。ただそばにいるだけでも。みつめあうのでも、そばで眠るのでも、どんなことでも。今夜ひと晩、俺の時間はおまえのものだ。いらないかな?」 「いる!」  勇利がもう一度叫んだ。 「本当にいいの?」 「いいよ……」  ヴィクトルは勇利の前に座り、ちいさなケーキに一本だけろうそくを立てて火をつけた。ほの暗くしてあった部屋で炎がゆらめき、ふたりだけの空気がやわらかに色づいた。 「さあ、消してごらん」  勇利が大きく息を吸い、ひと息にろうそくを吹き消した。 「おめでとう、勇利」 「……ありがとう」  勇利ははにかんだ。ヴィクトルはフォークを渡した。 「どうぞ」  勇利ははにかんでもじもじした。 「なんだかいけない感じがする……」 「いいよ……コーチがいいと言っているんだからね……。ふたりでいかがわしいことをしよう……」 「いかがわしいわけじゃない。変なこと言わないで」  勇利がヴィクトルをにらみつけ、美味しそうにケーキを食べた。ヴィクトルは頬杖をついて愛らしい彼を見守った。 「カロリーは低くされてるよ。特別につくってもらったやつだからね。砂糖もひかえめだ。普通のケーキとはちがう。そのぶんすこし味気ないかもしれないけど」  勇利は口をもぐもぐと動かした。くちびるの端に白いクリームがついているのが愛らしく、それを指かくちびるでぬぐってやりたいとヴィクトルは思った。 「そんなことない。美味しい。すごく甘いよ」  ごくんとのみこんだあと勇利が言った。 「そうか。普段食べないからそういう感じがするのかもしれないね」 「普通のケーキの味を忘れてる?」 「おそらく」 「ヴィクトルも忘れてる?」 「たぶんね」 「ヴィクトルは食べないの?」 「食べていいのかい?」  勇利はふしぎそうにヴィクトルを見た。ヴィクトルはほほえみながらみつめ返した。しかし勇利は察する気配がない。 「キスしようと言ってるんだよ。わかるだろ?」  勇利は目をみひらき、あぜんとし、それから怒ったように頬をふくらませた。 「そんなのわかるわけないじゃん!」 「そうか」 「そうだよ! わかるほうがおかしい!」  勇利はぷりぷりした。ヴィクトルはくすくす笑った。 「それで? キスは?」 「ふたつケーキを支度すればよかったでしょ!」 「勇利とキスしたくてひとつにしたのかもしれない……」 「ばか!」  勇利は大切そうにひとくちひとくちケーキを食べた。しかしその途中で、勇気を出したように言った。 「『あーん』ならしてあげないこともないよ」  ヴィクトルは笑ってしまった。「あーん」をしてもらう誘惑に打ち勝つのは、彼には大変な困難だった。 「いや、やめておこう。ひとくちぶんのケーキについて考えて、あとで勇利が泣いたら困るからね。きみはかわいい泣き虫だから」 「ケーキのことで泣いたりしないよ。ぼくをなんだと思ってるの?」  人が恥ずかしいのを我慢して言ってるのに、と勇利はふくれてケーキを食べ、口をもぐもぐさせた。何かの小動物のようでたまらなくかわゆい。  食べ終えると、勇利は静かにフォークを置いた。ヴィクトルは、いよいよ勇利が話し始めるものと思って心がまえをした。勇利のことだから、スケートのことにしろ、ヴィクトル・ニキフォロフの演技にしろ、何かしら言いたいことがあるのではないかと思ったのだ。勇利がみずから一生懸命おしゃべりすることといえば、このふたつ以外には何もなかった。  しかし勇利は、口をひらかず、ひとこともしゃべらず、ただヴィクトルをみつめていた。ヴィクトルはふしぎに思った。 「話さないのかい?」 「話さなくてもいいって言ったじゃない」 「もちろんかまわないとも。勇利の時間だからね。きみの好きにしてくれればいい。何かねだるのでも、黙っているのでも。けれど俺は勇利は話がしたいんじゃないかと予想してたんだよ」 「ヴィクトルの時間をめいっぱい使って何か話をするのはすごく贅沢だね」  勇利はかすかに笑った。彼はすぐに言った。 「でも、こうして何も語らず、ただヴィクトルをみつめて一緒にいるだけっていう時間の使い方が、何よりもわがままだから……」  ヴィクトルはほほえんだ。確かにそうだ。そして勇利にはその権利がある。本当は、誕生日だけではなく、いつだって彼はそうしていいのだ。勇利の特権だ。 「今夜、勇利はエキシビションで二度氷に乗ったね」  ヴィクトルは言った。勇利はたちまち不安そうな顔になった。 「うん……いけなかった?」 「いや。彼に誘われたならそうするしかないさ。勇利のことは誘いたくなる。リビングレジェンドと言われている男だってね」 「彼、コーチには説明しておくって言ったのに……」  勇利が口元に手を当てて考えこんだ。ヴィクトルは笑った。 「俺とも踊ってくれるかい?」  勇利はぱっとひとみを輝かせ、勢いよくうなずきそうになった。しかし彼は思い直したようにおとがいを引き、すずしい顔をしてつんとなった。 「もっとちゃんと誘って」 「これは失礼」  ヴィクトルは立ち上がると、勇利の手を取り、洗練されたしぐさで身をかがめ、気取って丁寧に尋ねた。 「踊っていただけますか?」  勇利はさっと立ち、上品にヴィクトルの手に手をすべりこませた。ヴィクトルは勇利のほっそりした腰を抱き寄せた。 「なに?」 「ワルツはどうかな」  勇利はうなずき、ふたりはゆったりとした拍子でステップを踏み始めた。しばらく黙ってそうしていたけれど、そのうち勇利はヴィクトルの肩口に甘えるように顔を寄せてもたれかかり、うっとりと目を閉じた。 「世界一贅沢でわがままな時間……」 「そうかい?」 「だってヴィクトルが、ぼくのことだけ考えて、ぼくのために時間を使ってる……」 「本当は普段からそうなんだけどね。知らなかったかな?」 「うそ。普段はほかのことを考えてる」 「どんなことだい?」  スケートのこと、と勇利が答えるのを予想していたのに、彼はちがうことを言った。 「ヤコフコーチのこととか」  ヴィクトルは笑いをこらえるのにかなりの努力をしなければならなかった。ここでヤコフの名を出してくるとは……。どうして勝生勇利とはこうもかわいらしいのだろう。 「彼は説教がすごいからね。そういう意味では仕方ないんだよ」 「ぼくもヴィクトルにお説教しようかな……」  なんて魅力的な提案なのだとヴィクトルは思った。 「勇利のお説教はこわそうだね」  ヴィクトルはほほえんだ。 「でも、されてみたいな」 「本当にされたいの? 一日じゅう言うよ、ぼくは」 「どんなことを?」 「ぼくのことよりカツ丼のこと考えてたでしょうって。そんなことでコーチが務まると思ってるの、未熟なんだよって」 「俺のカツ丼って勇利だからね……」 「また人をぶただとかなんとか言うつもりなんだ……」 「……いまの言葉の意味がわかる程度には大人だと思ってたんだけどな」  ヴィクトルは笑いをかみころした。いつか自分から「すっごく美味しいカツ丼になる」などと言っていたけれど、あのときのままのようである。勇利ならそうだろう。 「なに? ぼくのこと幼稚だって思ってる? ヴィクトルっていつもそう」 「いや……、ユニークでいいね……」  ヴィクトルがささやくと、勇利がおもてを上げてチョコレート色のみずみずしいひとみを瞬かせた。ヴィクトルは熱烈にその目を見つめた。勇利の頬がうすさくら色に染まった。 「……幼稚だと思っててくれていいですけど……そのまま……」 「そうかい?」 「そう……ええ……」 「困るな……そんなふうに思っていられるか自信がない……」 「え? あの……」  勇利が戸惑ったようにヴィクトルを見た。彼は目をそらすことが難しいほどかわいらしく可憐でうつくしい。ヴィクトルはみつめ続けた。勇利が赤い顔をしてぱちぱちと瞬いた。ヴィクトルはゆっくりとおもてを近づけてゆき、首を傾けて、くちびるを寄せ──。 「あっ」  勇利が驚いて声を上げた。彼がまだ口元につけていたケーキのクリームを舐め取ったヴィクトルは、それを味わってからひとつうなずいた。 「美味しいね。確かに甘い。甘すぎるくらいだ」 「…………」  勇利は信じられないという表情でぽかんとしてヴィクトルをみつめ、それから舐められたところを手で押さえて怒りだした。 「ちょっと! 何するんだよ!」 「クリームがついていた」 「教えてくれればいいじゃん! なんであんな……あんな……」 「でもさっき勇利はケーキをくれなかったからね」 「ひとくちあげるって言ったでしょ!?」  なんなの、もう、信じられない、と勇利は口元に握った手を当ててぶつぶつ言った。ヴィクトルはそんな勇利にいとおしそうなまなざしを夢中で向け、ほほえんでいた。 「困ったな」 「何が!?」 「どうしてもおまえがかわいい」  ヴィクトルは顔を寄せ、くちびるに、今度こそキスをした。勇利はさっきよりも驚いて目をみひらき、あぜんとなった。 「……ヴィクトル……」 「なんだい」 「いまのなに……?」 「それがわかるくらいには大人のはずだけど……」  ヴィクトルは可笑しそうに笑った。 「勇利はいくつになったんだっけ?」  勇利は拗ねてヴィクトルの胸に顔をうめ、子どものように甘えた。 「忘れました!」 「勝生選手、試合が終わりましたが、ファンからはもちろん、大好きなひとにもお祝いされましたし、いい誕生日が過ごせたんじゃないですか?」  そんなふうにマイクを向けられたとき、勇利ははにかんで頬を赤くした。 「ええ……、すてきな誕生日でした」
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petapeta · 4 years
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パリ北東に約40キロメートルに位置するイル・ド・フランス地域圏セーヌ=エ=マルヌ県クヴレ村に[1]、馬具職人である父シモンと母モニクの間に4人兄弟の末っ子として生まれる[1][2][3]。 1812年、3歳の時、自宅にあったシモンの工房で遊んでいるうち、誤って事故により錐で左目の眼球を突き負傷する[4][5]。その後、右目も交感性眼炎を起こし、5歳で両目とも失明する[4][6]。 1800年代初頭の当時においては、ブライユのように障害のある子どもに対しては教育は不必要とされており、不遇な目に遭うことがほとんどだったが[7]、ブライユは家族の協力もあり生活能力や知識を身につけていく[7]。6歳の時、村にやってきた神父ジャック・パリュイにその聡明さを見出されたブライユは、7歳になるとパリュイ神父から村の学校のアントワーヌ・ベシュレ校長への取り計らいで村の学校に通い、他の生徒と同じように授業を受け、優秀な成績を収めた[8][9]。 学校での成績や「自分で読み書きがしたい」というブライユの願望に[10]、さらに進んだ教育が必要と感じた周囲の援助もあり[8][9]、村の侯爵は、ヴァランタン・アユイ(フランス語版)が設立したパリの王立盲学校へ入学のための推薦状を送った[11]。そのことが認められて、1819年、ブライユは同校に奨学生として入学することになる[12]。 1819年、ブライユは10歳でパリの王立盲学校に入学[1]。同時期、フランス軍の軍人、シャルル・バルビエ(フランス語版)が考案したソノグラフィ(フランス語版)(夜間文字[13]、暗やみの字[7])と呼ばれる12点式の暗号に出会う[1][13]。ブライユはこれを元に6点式の点字を発明した。ブライユはパリ盲学校を卒業し、同校の教官になった。王立盲学校はセーヌ川沿いにあり、建物がもともと監獄として使われ、古く多湿で非衛生的だったため、100人近くいた生徒も不健康な状態であったせいもあり[14]、ブライユが26歳のとき肺結核となる[14]。 晩年は盲学校教師として教鞭を取り、また教会のパイプオルガンを演奏するなどして活躍した。その傍ら晴眼者・視覚障害者両用の点文字の開発に勤しんだ。この点文字は、はじめブライユが点字器で試みたものをブライユの友人の盲人であるピエール・フランソワ・ヴィクトル・フーコーが独特の機械を開発し、のちにラフィグラフ(英語版)と呼ばれるようになった。その方法はタイプライターの普及にともない廃れて、現在では使用されていない。 ブライユは1852年に肺結核のため43歳で亡くなった。死後百年にあたる1952年、ブライユの遺骸は故郷のクヴレ村からパリに移され、ヴィクトル・ユーゴーやエミール・ゾラなど多くの国民的英雄を祀るパンテオンに葬られた。 クヴレ村ルイ・ブライユ通り13番地にあるブライユの生家は点字博物館として公開されており、世界中の視覚障害者たちが訪れ、盲人たちに光をもたらしてくれたブライユの遺徳を偲んでいる。 点字を表す言葉は多くの国で、ブライユの名前から“Braille”(フランス語読みではブライユだが、英語読みではブレイルになる)と呼ばれている。その誕生日にあたる1月4日は2000年に世界盲人連合により世界点字デーとされた。
ルイ・ブライユ - Wikipedia
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modorisunpu · 4 years
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ヴィクトル&ポムヴィお誕生日おめでとー!!!24時間以内には間に合わせるよ!
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yoml · 5 years
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秋は黄金
『 1612-1911 断片、その先 』(https://yoml.tumblr.com/post/169544209464/)の続編です。文庫にのみ収録していましたが、しばらく再販の予定がないのでこちらにも掲載します。
『断片~』はそのタイトル通り、時間軸が行ったり来たりする短い章が続くシリーズです。本編を読まないでこちらを読んでいただいても大丈夫かなと思います。
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来る秋ごとにわたしはあらたに花ひらく。
ロシヤの寒さが体によい。
日々の暮しに親しみがわく。
つぎつぎに夢がとびたち 空腹がおとずれ
心のなかで血が軽くあかるくおどり 望みがもえる
ふたたびわたしはしあわせをおぼえ
若さをとりもどし 生きる力にみたされる。
                  「秋(断章)」 プーシキン
***
 便利な季節だな、と勇利は思う。
 だらだらと残り続けた夏の暑さがようやく落ち着きを見せ始めたら、すぐに気温は降下して、あせるように冬を乞う。年々短くなる東京の秋。だけど季節は、いつだって決してなくならない。秋。感傷的になるのも、眠れない夜が続くのも、無駄に食べ過ぎてしまうのも、秋だから仕方がない。そんな言い訳がまかり通る。朝起きて、体が動かず走りに行けない。ベッドの上で、濡れている自分の目元にばかばかしくなる。恋しいのだ。後悔しているのかはわからない。そんなことを考えている余裕はなかった。ただただ自分の隣の空白が、どうしようもなく大きかった。平静を装いながら、一方であの名前を口にでも出してしまったら、どうにかなってしまいそうだった。だけどそれは全部、秋のせい。秋のせい。
  「秋は黄金」
 「なに?」
「黄金。日本は紅かったね、山並みが燃えるようだった」
「ああ、うん」
「ね、『黄金の環』を回ってみる? この時期に行くときれいだよ」
「あれって紅葉のことなんだ? 寺院の屋根が金色だからそう呼ぶのかと思ってた」
「ああ。そうかも?」
「知らないんだ?」
「知らないね」
 別に行かなくても、と勇利は思った。サンクト・ペテルブルクはもうすでに十分過ぎるほど紅葉して美しかったし、金の環なら二人の指に相変わらずはめられたままだ。その右手を、ヴィクトルはくすくすと笑いながらじゃれるように握りしめた。「ねぇ勇利」といたずらっぽい声を出す。
「勇利の金メダルにキスしたいなあ」
 一年前の、ロシアの記憶。
 黄金は砕けて、粒子になった。
    ***
   大概の恋人たちが一度はそうするように、勇利とヴィクトルにもまた、離れている時間というものがあった。今がまさにそ���なので、時間は進行形。同じ競技者という立場から師弟関係になり、その後再びライバルとなり、数年経つ間に恋人と言える関係にもなった二人は、その複雑すぎる(あるいは単純すぎる)互いへの想いを、ときに抱えきれず持て余した。憧れ続けた人との距離を縮め過ぎた勇利は相手なしに自分を保てなくなりそうな意味のない恐怖を抱えていたし、その恐怖を一向に理解できないヴィクトルは、だけど自分を一番信じ、頼ってくれる存在を失いかけていることへのフラストレーションに潰されそうだった。そういうことはよくあるのだ。距離感がつかめないのではなくて、距離感の扱い方がわからない。とくにこの二人の場合、精神的距離間はもう変わりようがないのだから。変わるとしたら地理的距離だ。
 自身の引退とともに、勇利は若さゆえの向こう見ずさからヴィクトルに一方的な別れを告げて日本に戻った。地元の街に居ても活動に制約が生まれるだけだったので、しばらくはマネージメント会社のある東京に住むことにした。ある程度の意志を会社に伝えると、トントン拍子で仕事が入ってくる。アイスショーに、競技の解説、子ども向けスケート教室の特別講師、テレビ出演、ジャンルを問わない取材の諸々。現役時代のようなスポンサー契約はなくても、滑ることに困るような日々ではなかった。相変わらず勇利の生活にはスケートがあって、相変わらず彼は「フィギュアの勇利」で、現役の頃のような緊張感は当然ないものの、誰もそれを非難したりしなかった。ただ、いつも隣にいたあの人だけがいなかった。
 毎日を黙々とこなした。新しいキャリアはそれなりに刺激的で、しばらくは本当に、ヴィクトルのことを考えずに済んでいた。連絡が来るわけでもない。連絡をするはずもない。そうなればもう、ロシアは遠い異国なのだ。スケート界に属し続けて彼の名を聞かないことはないけれど、それにも結局、慣れてしまう。何もつけていない、右手の薬指の軽さにも。
 だけど秋が来てしまった。 
 ランニングをしながら、色づいた木々に気付いてしまった。
 
  秋の記憶が蘇る。
    ***
   最初の秋はホームリンクのある長谷津にいた。二人で臨む、初めてのグランプリシリーズだった。遠征先の中国で、勇利はめずらしく感情をストレートに放ち、初めてコーチの前で、ヴィクトルの前で泣いた。秋が終わる頃には二戦目が始まり、やむを得ないアクシデントから大会途中で二人は離れ離れになった。無理なんだと、お互いに思った。指導のことだけではない。それ以上の結びつきを感じていた。離れてはいけない。少なくとも、スケートを続けているうちは。
 次の秋はロシアにいた。ヴィクトルのホームであるサンクト・ペテルブルクに拠点を移した��利は、そこでワールドのメダルを目指していた。切磋琢磨という言葉が恥ずかしいほどに似合う日々で、キャリアの終盤にああいった時間を持てたことは競技人生の誇りとも言える。競技に復帰したヴィクトルが勇利のコーチを続けることは結果的には困難で、早い段階で勇利には別のコーチがついたけれど、生活をともにし、練習をともにし、慌ただしい季節が風のように過ぎていった。この頃勇利は、四回転フリップを完璧に成功させた。
 二人が揃って日本に一時帰国したのも、その年の秋である。勇利の仕事のために訪れた東京、日本滞在最後の夜、懐かしさと束の間の観光気分がそうさせたのか、そこで二人は初めて体の関係を持った。多くを語る必要がないほど、極めて自然な流れだった。求めていたのだ。互いに深く、抑えきれないほどに。
 そしてその次。去年のことだ。なんてことのない、恋人たちの秋だった。勇利はまだロシアにいた。黄金の木々に囲まれながら、だけど勇利は引退の意志を固め始めていた。そしてそれは、ヴィクトルとの関係を続けることへの、スケートなしに続けることへの、不安の芽生えと同時だった。気持ちの変化に理由をつけるのは難しい。一度顔をのぞかせた影はしぶとく、キャリアの終わり、異国の地、将来への焦燥、そうしたものへの漠然とした不安は、すべて勇利にもっとも近しい存在、つまり勇利のキャリアを伸ばし、新天地へ招き、ともに未来へと歩んでいた存在である、ヴィクトルへのそれに姿を変えたのだ。
  冬が来ると、一緒にいることが辛くなった。年が明けたら、セックスができなくなった。そして春が来る前に、二人は別れて勇利は日本へ帰った。
  書き出せばあっさりと短い、三つの秋の記憶である。
   ***
 「秋は黄金」
 いつかのあの人の言葉を思い出す。たしかに黄金だったのだ、去年までは。指輪が砕ける前までは。今年の秋は、ただひたすら、勇利は苦しい。それはまるで、砕けた黄金が粒子となって、肺いっぱいに溜まっているような感覚だった。空気のにおいが変わって、空気の重さが変わって、朝のランニングで勇利は風に混ざった粒子を知らず知らずのうちに吸い込む。粒子は次第に蓄積し、少しずつ呼吸を困難にする。苦しかった。だけど秋はもうすぐ終わる。十一月も後半に差し掛かり、勇利の誕生日が迫っていた。今の気分の諸々は、きっと秋とともに過ぎ去るだろう。ぼんやりと、勇利はそう信じていた。
 ところが冬の気配を感じ取る直前、突然勇利のスマートフォンに、見慣れた名前が表示された。最初は着信。早朝のランニング途中、めずらしく気分が乗らず、ランニングコースの端で足を止めかけた時だった。 
 Victor Nikiforov 
 
足は完全に止まり、スマートフォンを握りしめたまましばらく立ちすくんだ。そのあと数時間が経ち、今度はメッセージ。「これだから、秋は」。それが勇利の、精一杯の強がりから出た言葉だった。数分間の逡巡があったものの、勇利は落ち着いたふりをして簡素な返信をする。本当はスマートフォンを握りしめたまま、その場で泣いてしまいたいくらいだった。急なのだ。彼はいつも。
 届いていたのは日本滞在を知らせるシンプルなメッセージ。一行置いて、たった一言。
 Any possibility?
  ***
  再会の場は新宿の西にあるホテルで、それは二年前に二人が泊まったホテルと同じだった。彼らの関係が単なる別れた恋人同士であるならば、話はもっと単純だろう。未練がましい再会なんて望まずに、メッセージを無視することだってできた。あるいは嬉々としてホテルへ駆けつけ、その首に腕を回せばよい。そのどちらも、今の勇利は切り札として持ってはいない。話すべき言葉は決まらず、伝えたい意思もわからず、だけど勇利はやって来た。それはきっと、ヴィクトルも同じだろう。
 ロビーのソファに腰掛けて、勇利は観光客をぼんやり見ていた。エレベーターのランプが点いたり消えたりするたびに、平静を装う彼の肺がきゅっとなる。
「あ」
 なんとなく、来るなと思った。エレベーターの扉が開き、数名の乗客とともに、懐かしい銀髪の姿を見る。ベージュのロングジャケットを軽く羽織り、両の手をそのポケットに。細いな、と勇利は思った。ロシアにいた時もよく思った。ヴィクトルはアスリートらしい筋肉こそあるものの、向こうの人たちの中ではだいぶ華奢な体つきで、すらりと細く伸びた体はそれだけで浮世離れした雰囲気がある。絶対的な存在感が彼を大きく印象付けるけど、隣に立てばそこまででもない。しっかりセットされていないときの髪は案外乾いてパサついていて、その軽さが勇利は好きだった。それでいつも空気を軽くかき分けるように、飄々と歩くのだ。変わらない。特に手を振るでもなく、勇利はじっとヴィクトルを見ていた。やがて向こうも勇利に気づき、やはり手を振るでもなく、微笑むでもなく、だけどまっすぐ勇利の方に足を進める。すぐそばまでやって来て二人の目が合うと、ヴィクトルは少しだけ肩を上げ、首をかしげるジェスチャーをした。それでいつもの穏やかな、笑っているような、無表情のような、極めて美しい表情で、ふっと軽いため息をついた。
「勇利」
 二人の間に、こまかい黄金の粒子が舞った。
 「痩せたね」
「老けたね」
 それは十分野暮な会話で、だけど「何しに来たの」と聞くよりは、幾分ましだった。時刻は夕方。
「上のバーか、外に出てもいいけど。もし勇利がよければ」
「外は……どうかな、混んでるし、あてもない」
「禁酒中?」
「や、でもずっと飲んでない」
 んー、と声を漏らしながら、ヴィクトルはぐるりとロビーを見渡して、もう一度勇利を見た。
「部屋かな」
  二人並んで歩き出す。エレベーターに乗ったのは二人だけだった。なんとなく、小さな箱の対角線上に立った。
「いつ着いたの」
「今朝」
「寝てないじゃん」
「寝たよ、少しね。ついさっきまで」
 少しの沈黙。だけど高層階まではあっという間に着いてしまう。ポンと軽い電子音がして、エレベーターの扉が開いた。
「何しに来たのって聞かないんだね」
 そう言って、あの人が初めてはっきり笑った。エレベーターを降り廊下を進みながら、お互い様だと勇利は思った。あんな立ち去り方をして、呼ばれてのこのこやって来られるような立場ではない。聞き慣れた低めの声を、乾いて揺れる前髪を、襟足から覗く白い首筋を、しなやかに動くその指先を、気が遠くなるほど恋しく思える立場ではないのだ。部屋に入るなり、その首に腕を回して、溜まりすぎた恋しさを全身で伝えるような、そんな都合の良さは許されない。ヴィクトルだって、勇利に触れる素振りはない。カードキーが小さな音を立てて、二人は部屋に入った。ドラマチックなことは、起こらない。
 「ギオルギーがね、今度ショーをやるんだ」
 そう言いながらヴィクトルはジャケットを脱ぎかけて、一瞬躊躇し、だけど脱いだ。椅子の背に適当に掛ける。
「誘われて話を聞いたらなかなか面白そうな企画で。しばらくは連盟のほうの仕事をしたいと思っていたけど、だめだね、面白そうって一回思うと」
 勇利がカウチに腰を下ろす。ヴィクトルは立ったまま。ジャケットのポケットに入れっぱなしだったスマートフォンを思い出し、取り出しかけてやっぱりやめた。
「女性スケーターを何人か、日本でキャスティング予定で」
 デスクに置いてあったペットボトルの水を一口、
「ああ、そう今回はプロデュースのほうに回ろうと思って」
 前髪をじゃまそうにかき上げる。
「直接見たほうがいいし、滑りは。あと個性とか」
 それで立ったまま一瞬勇利の方を見て、伏し目に戻る。
「まあなんか、ほかにもいろいろ」
 そこでこほん、と軽く咳払いをすると、ロビーの時と同じ黄金の粒子が舞った。
「日本に行くって言ったらいろいろ、取材とかも入って」
 きらきらしたものが空中にしずかに消えていく。
「でも来るなら、ねえ」
 勇利の方に近づいて、
「勇利はどう思うかなって」
 だけど顔は見ない。
「まあ、断られるだろうとは、内心。返事も来ないかもしれないし」
いや、と勇利が言いかける。
「でもほら、サプライズ主義だし」
 そう言って笑顔を作るから、勇利もつられてははっと笑った。同じ粒子が勇利からもこぼれる。たくさん、はっきりと。きらきらと舞う。
「っていう言い訳ならいくらでも言えるんだけど」
 同じカウチにヴィクトルも腰を下ろした。
「あと」
 言葉を落とすたび、
「下心も」
 かすかに笑うたび、
「否定できないな」
 黄金の粒子が少しずつ吐き出される。
「なんてね」
 髪と髪が触れ合う距離まで近づいて、
「本当は」
 肌のすぐそばで途端にか細くなるヴィクトルの声。
「ほんとうは」
 震えるような呼吸のあと、
「会いたかった」
 泣いている。
「会いたかった」
 泣いているのだ。
「勇利」
  温度を、においを、存在を確かめるように、勇利は肩にヴィクトルの頭を乗せたまま深く息を吸うと、ぎゅっと目をつぶって大きなため息を吐き出した。またも粒子が舞い上がる。勇利が何度か大きく呼吸をすると、カウチの周りに大量の金色がきらきらと舞う。肺が軽くなるのがはっきりとわかった。上体を完全に隣に向けて、両腕をヴィクトルの首元に回すと、力の限り抱きしめる。同時にヴィクトルの腕が勇利の背中に回って、同じくらい、あるいはそれ以上の力で彼を捕まえる。互いの首元にくっつけていた顔を、それでも相手から離すことなく摺り合わせながら、顔と顔を正面へ、焦点が合わないほどに近づいたまま、唇がいとしい唇を探す。それが確かに重なると、二人は黄金の中に落ちた。
「ごめん」
 息継ぎの途中でかろうじて出る言葉。
「ごめんヴィクトル」
 それ以上は言わせないように、ヴィクトルの口が再び勇利の口を塞ぐ。頭の中が白くなって、踵から身体の軸を伝って感情がこみ上げる。勇利が本当に言いたいのはそんな言葉ではなかった。だけど言葉が出てこない。代わりに精一杯の熱を放って、相手のそれと混ぜ合わせる。ついさっき空っぽになったばかりの肺に新しい何かが流れ込む。放出された黄金の粒子は軽やかに二人の周囲を舞いながら、少しずつ空気に消えていく。秋が、終わるのだ。金色に染まるロシアの秋も、紅く燃える日本の秋も、孤独も、恋しさも、苦しさも、強がりも、やがて銀の世界に包まれる。二人は一つずつ歳を取り、まだ見ぬ場所へと滑り出す。重ね合わせた肌の奥に熱を蓄え、鋭いブレードで世界を裂き、跳ぶ。高く。恐れるものなく。手放すものなく。
 秋は黄金。求め合うその指に、記憶の環が再び光る。
fin.
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nerohellsing · 1 year
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Today is the Christmas and Victor’s birthday! 🥳🥳🥳 Which plans do you have for this day? Tell in comments! And Merry Christmas for all of you! I hope we know something about Ice Adolescence in 2023 :D __________________________ #ヴィクトル・ニキフォロフ誕生祭2022 #ヴィクトル・ニキフォロフ生誕祭2022 #ヴィクトル誕生祭 #ヴィクトル誕生日 Victor Nikiforov - me ( Nero Hellsing ) Ph/Ed: @dokura_photo _________________________ • #YuriOnIce #victornikiforov #cosplay #ユーリオンアイス #yurionicecosplay #ユーリonICE #викторникифоров #yurioniceedit #victornikiforovcosplay #victuri #yurioniceanime #victuuri #victuuricosplay #コスプレ #コスプレイ #merrychristmas #christmascosplay #victornikiforovedit #xmas #christmas #cosplaymodel #cosplayphotography #cosplayersofinstagram #iceadolescence (at 東京 Tokyo) https://www.instagram.com/p/Cmjjui-L2rU/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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ruby0403 · 2 years
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ヴィクトル誕生日おめでとうイラスト。
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mrakmrakmrak · 2 years
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ヴィクトル誕生日おめでとう〜🎉👏🎂
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kerolu · 6 years
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ヴィクトルお誕生日おめでとうございます🎉 ...and Merry Christmas (´▽`ʃ♡ƪ) #yurionice #ヴィクトル誕生日 #ヴィクトル生誕祭2017 #MerryChristmas
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fujiyl2 · 4 years
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ヴィクトル誕生日おめでとう!!
HAPPY BIRTHDAY ! ! ! VICTOR ! !
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